(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143003
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241003BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20241003BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/165 101
B41J2/17 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055452
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中瀬 貴文
(72)【発明者】
【氏名】洞田 竜児
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸昌
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056JA03
2C056JA13
(57)【要約】
【課題】装置を小型化することが可能な液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、ノズルを有し、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに当接して、ノズルを覆うことが可能なキャップと、キャップ内に配置された電極と、入力された電圧を昇圧する昇圧部を有し、昇圧部により昇圧された電圧を電極に印加して液体吐出ヘッドと電極との間に電位差を生じさせる電圧印加部、及び、ノズルから液体が吐出されたときの電極における電気的な変化に応じた信号を出力する信号出力部を有する回路基板と、を備える。回路基板は、キャップ外において、キャップの下方に配置され、かつ、電極の主面と直交する方向において、回路基板の少なくとも一部とキャップとが重なるように配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドに当接して、前記ノズルを覆うことが可能なキャップと、
前記キャップ内に配置された電極と、
入力された電圧を昇圧する昇圧部を有し、前記昇圧部により昇圧された電圧を前記電極に印加して前記液体吐出ヘッドと前記電極との間に電位差を生じさせる電圧印加部、及び、前記ノズルから液体が吐出されたときの前記電極における電気的な変化に応じた信号を出力する信号出力部を有する回路基板と、
を備え、
前記回路基板は、前記キャップ外において、前記キャップの下方に配置され、かつ、前記電極の主面と直交する方向において、前記回路基板の少なくとも一部と前記キャップとが重なるように配置されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記電極から前記キャップの底部を貫通して下方に延び、前記電極と前記回路基板とを電気的に接続する導電性の棒を備えることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記回路基板の上方に配置され、前記キャップを下方から支持するキャップホルダを備え、
前記棒は、前記キャップホルダに一体成型されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記回路基板は、前記棒を着脱可能に接続する着脱部を有することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記回路基板の上方に配置され、前記キャップを下方から支持するキャップホルダを備え、
前記回路基板は、前記電極の主面と直交する方向において、前記キャップホルダよりも面積が小さく、前記キャップホルダの配置領域内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記液体吐出ヘッドは、前記ノズルとして、第1の色の液体を吐出する第1ノズルと、第1の色とは異なる第2の色の液体を吐出する第2ノズルとを有しており、
前記キャップとして、前記第1ノズルを覆うことが可能な第1キャップと、前記第2ノズルを覆うことが可能な第2キャップとを有しており、
前記電極として、前記第1キャップ内に配置される第1電極と、前記第2キャップ内に配置される第2電極とを有しており、
前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する接続部と、
前記第1電極および前記第2電極のうち前記第1電極のみから前記第1キャップの底部を貫通して下方に延び、前記第1電極と前記回路基板とを電気的に接続する導電性の棒と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記液体吐出ヘッドは、前記ノズルとして、第1の色の液体を吐出する第1ノズルと、第1の色とは異なる第2の色の液体を吐出する第2ノズルとを有しており、
前記キャップとして、前記第1ノズルを覆うことが可能な第1キャップと、前記第2ノズルを覆うことが可能な第2キャップとを有しており、
前記電極として、前記第1キャップ内に配置される第1電極と、前記第2キャップ内に配置される第2電極とを有しており、
前記第1電極から前記第1キャップの底部を貫通し下方に延びる導電性の第1棒と、
前記第2電極から前記第2キャップの底部を貫通し下方に延びる導電性の第2棒と、
前記第1棒と前記第2棒とを電気的に接続する接続部と、
を備え、
前記回路基板は、前記第1棒及び前記第2棒のうちのいずれか一方と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記回路基板の上方に配置され、前記キャップを下方から支持するキャップホルダを備え、
前記接続部は、上下方向において、前記回路基板と前記キャップホルダとで挟まれる位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記回路基板の上方に配置され、前記キャップを下方から支持するキャップホルダを備え、
前記接続部は、上下方向において、前記キャップと前記キャップホルダとで挟まれる位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記回路基板の上方に配置され、前記キャップを下方から支持するキャップホルダを備え、
前記接続部は、前記キャップホルダの内部に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記回路基板における、前記電圧印加部及び前記信号出力部が実装される実装面、または前記実装面とは反対側の面のいずれかが前記キャップに向いていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記回路基板における複数の側面うちの少なくともいずれかが前記キャップに向いていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記キャップは、前記キャップ内の液体を排出する排出口を有しており、
前記排出口に接続される排出チューブをさらに備え、
前記回路基板は、前記電極の主面と直交する方向において、前記回路基板と前記排出口とが重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記回路基板の下方に配置され、前記キャップを前記液体吐出ヘッドに向けて付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記昇圧部は、
コンデンサとダイオードとを含み入力された電圧を、昇圧可能なチャージポンプを有することを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を吐出する液体吐出装置として、特許文献1には、インクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して画像を記録するプリンタが記載されている。この特許文献1のプリンタでは、ノズルを覆うことが可能なキャップ内に検出用電極が配置されている。そして、高電圧電源回路により検出用電極に電圧を印加してインクジェットヘッドと検出用電極との間に所定の電位差を与えた状態で、ノズルから検出用電極に向けてインクが吐出されるようにインクジェットヘッドを駆動させる。このとき、ノズルから吐出されたインクにより検出用電極の電位が変化するため、この検出用電極から出力される信号に基づいて、ノズルがインクの吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを検査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように特許文献1には、検出用電極に電圧を印加する高電圧電源回路を備えたプリンタについて記載されているが、この高電圧電源回路を含む回路基板が配置される位置については記載されていない。ここで、例えば、回路基板が、検出用電極から離れた位置に配置されていた場合、キャップと回路基板とを合わせた設置面積が大きくなり、装置が大型化する問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、装置を小型化することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の液体吐出装置は、ノズルを有し、前記ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに当接して、前記ノズルを覆うことが可能なキャップと、前記キャップ内に配置された電極と、入力された電圧を昇圧する昇圧部を有し、前記昇圧部により昇圧された電圧を前記電極に印加して前記液体吐出ヘッドと前記電極との間に電位差を生じさせる電圧印加部、及び、前記ノズルから液体が吐出されたときの前記電極における電気的な変化に応じた信号を出力する信号出力部を有する回路基板と、を備え、前記回路基板は、前記キャップ外において、前記キャップの下方に配置され、かつ、前記電極の主面と直交する方向において、前記回路基板の少なくとも一部と前記キャップとが重なるように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、キャップの下方にあるスペースであって、電極の主面と直交する方向において、回路基板の少なくとも一部とキャップとが重なるスペースを有効活用して、回路基板が配置される。これにより、キャップと回路基板とを合わせた設置面積を小さくすることができるため、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。
【
図2】(a)はヘッドユニット、検査用装置、及びキャップ機構の概略断面図であり、(b)は検査用装置、及びキャップ機構の平面図である。
【
図3】インクジェットプリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【
図4】検査用装置の回路構成について説明する図である。
【
図5】(a)は吐出駆動によりノズルからインクが吐出されなかった場合に、ハイパスフィルタから増幅回路に向けて出力される信号を説明するための図であり、(b)は吐出駆動によりノズルからインクが吐出された場合に、ハイパスフィルタから増幅回路に向けて出力される信号を説明するための図であり、(c)は増幅回路から出力される吐出検知信号を説明するための図である。
【
図6】(a)は比較例に係る検査用装置及びキャップ機構の概略断面図であり、(b)は比較例に係る検査用装置及びキャップ機構の平面図である。
【
図7】(a)は変形例1に係る検査用装置及びキャップ機構の概略断面図であり、(b)は変形例2に係る検査用装置及びキャップ機構の概略断面図である。
【
図8】(a)は変形例3に係る検査用装置及びキャップ機構の概略断面図であり、(b)は変形例4に係る検査用装置及びキャップ機構の概略断面図である。
【
図9】(a)及び(b)は回路基板が備える、導電棒を着脱可能に接続する着脱部の変形例について説明する概略断面図である。
【
図10】(a)及び(b)は回路基板が備える、導電棒を着脱可能に接続する着脱部の変形例について説明する概略断面図である。
【
図11】回路基板と導電棒との接続方法の変形例について説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好適な実施形態に係るインクジェットプリンタ1(「液体吐出装置」に相当)の概略構成について説明する。
図1に示すように、プリンタ1は、プラテン2、キャリッジ3、ホルダ4、ヘッドユニット5、搬送ローラ6,7、メンテナンスユニット8、検査用装置40(
図2(a)参照)、及び制御装置100(
図3参照)などを備える。尚、以下では、
図1の紙面手前側をプリンタ1の「上方」、紙面向こう側をプリンタ1の「下方」と定義する。また、
図1に示す前後方向及び左右方向を、プリンタ1の「前後方向」及び「左右方向」と定義する。以下、前後、左右、上下の各方向語を適宜使用して説明する。
【0010】
プラテン2の上面には、記録媒体である用紙Pが載置される。また、プラテン2の上方には、左右方向(走査方向)に平行に延びる2本のガイドレール18,19が設けられる。
【0011】
キャリッジ3は、2本のガイドレール18,19に取り付けられ、プラテン2と対向する領域において2本のガイドレール18,19に沿って走査方向に移動可能である。また、キャリッジ3には、駆動ベルト11が取り付けられている。駆動ベルト11は、2つのプーリ12,13に巻き掛けられた無端状のベルトである。一方のプーリ12はキャリッジ駆動モータ14(
図3参照)に連結されている。キャリッジ駆動モータ14によってプーリ12が回転駆動されることで駆動ベルト11が走行し、これにより、キャリッジ3が走査方向に往復移動する。また、このとき、キャリッジ3上に搭載されたヘッドユニット5は、このキャリッジ3とともに走査方向に往復移動することになる。
【0012】
ホルダ4は、キャリッジ3よりも前方、且つ、プラテン2よりも右側に配置されている。ホルダ4には、4つのインクカートリッジ15が着脱可能に装着される。4つのインクカートリッジ15には、それぞれ、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインク(「液体」に相当)が貯留されている。
【0013】
ヘッドユニット5は、プラテン2との間に隙間を有する状態でキャリッジ3に搭載されており、キャリッジ3とともに走査方向に往復移動する。ヘッドユニット5は、インクジェットヘッド20(「液体吐出ヘッド」に相当、以下、単に「ヘッド20」と称す)と、ヘッド20の上面に設けられ、ヘッド20に供給するインクを一時的に貯留するためのバッファタンク25とを有する。バッファタンク25には、可撓性を有する4本のインク供給チューブ26それぞれの一端が着脱可能に接続されている。4本のインク供給チューブ26それぞれの他端は、ホルダ4に接続されている。ホルダ4に装着された4つのインクカートリッジ15内のインクは、この4本のインク供給チューブ26を介して、バッファタンク25にそれぞれ供給される。
【0014】
ヘッド20は、流路ユニット21とアクチュエータ22(
図3参照)とを有する。流路ユニット21は、金属材料からなり、グランドに接続されている。流路ユニット21の下面は、複数のノズル10が形成されたノズル面20a(
図2(a)参照)である。このノズル面20aは水平面と平行である。また、流路ユニット21には、複数のノズル10と連通する内部流路が形成されている。この内部流路は、バッファタンク25に接続されており、複数のノズル10は、バッファタンク25から内部流路を介して供給されたインクを下方に向けて吐出する。
【0015】
ノズル面20aには、走査方向に並ぶ4つのノズル列9が形成されている。4つのノズル列9は、右側に位置するノズル列9から順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクを吐出する。イエロー、シアン、マゼンタのインクを吐出するノズル列9に属するノズル10が「第1ノズル」に相当し、ブラックのインクを吐出するノズル列9に属するノズル10が「第2ノズル」に相当する。
【0016】
アクチュエータ22は、各ノズル10から個別にインクを吐出させるための吐出エネルギーを生成するものである。例えば、アクチュエータ22は、ノズル10に連通する不図示の圧力室の容量を変化させてインクに圧力を付与するものや、加熱により圧力室内に気泡を発生させてインクに圧力を付与するものである。ただし、アクチュエータ22の構成自体は公知のものであるため、ここではこれ以上の詳細な説明は省略する。
【0017】
搬送ローラ6,7は、搬送モータ16(
図3参照)によってそれぞれ同期して回転駆動される。搬送ローラ6,7は協働して、プラテン2に載置された用紙Pを
図1に示す搬送方向に搬送する。
【0018】
メンテナンスユニット8は、ヘッド20のノズル10の吐出機能の維持、回復のためのメンテナンス動作を行うためのものであり、キャップ機構30、切換装置31、吸引ポンプ32、廃液タンク33等を備えている。
【0019】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、キャップ機構30は、キャップ部71、キャップホルダ72、回路基板ホルダ73、キャップリフトホルダ74、キャップ昇降機構75、及び、キャップ駆動モータ76(
図3参照)を備えている。
【0020】
キャップ部71は、プラテン2よりも走査方向一方側(
図1の右側)の位置に配置されている。キャップ部71は、例えばゴム材料によって構成され、基材71aと、リップ部71bとを備える。基材71aは、平面視で略矩形状の板状体である。リップ部71bは、基材71aの上面から上方に立設されており、外縁部71b1と、境界部71b2とを有する。外縁部71b1は、基材71aの外周に沿ってその全周に亘って配設されている。境界部71b2は、キャップ部71を、左右2つのキャップ70a,70bに区画するように前後方向に沿って配設されている。基材71aは、キャップ70aの底部を形成する底壁部71a1と、キャップ70bの底部を形成する底壁部71a2とを有する。
【0021】
キャリッジ3がプラテン2よりも右側に移動して待機位置に位置付けられたときには、キャップ70aが最も右側のノズル列9と対向し、キャップ70bが左側3列のノズル列9と対向する。各キャップ70a,70b内それぞれには、排出口71c,71dが設けられている。より詳細には、排出口71cは、キャップ70aにおける底壁部71a1の前端部の右端に設けられている。また、排出口71dは、キャップ70bの底壁部71a2の前端部の左端に設けられている。
図1に示すように、排出口71c,71dは、排出チューブ35を介して切換装置31と接続されている。キャップ70bが「第1キャップ」、キャップ70aが「第2キャップ」に相当する。
【0022】
また、各キャップ70a,70b内には、後述する電極41a,41b(以下、電極41a,41bを区別しない場合又はこれらを総称する場合、「電極41」とする。)が配置されている。電極41bが「第1電極」、電極41aが「第2電極」に相当する。
【0023】
キャップホルダ72は、例えばゴム材料によって構成され、平面視で略矩形であり、上面に開口した凹状に形成されている。キャップ部71は、凹状のキャップホルダ72に収容される。これにより、キャップホルダ72は、キャップ部71を下方から支持する。より詳細には、キャップ部71は、凹状のキャップホルダ72の、下部を形成する底壁部72aの上面に載置されている。また、キャップ部71は、底壁部72aの、キャップ部71よりも外側にはみ出した縁部から上方に突出した縁壁部72bによりその全周が取り囲まれている。
【0024】
回路基板ホルダ73は、キャップホルダ72の下方に配置されており、平面視において、キャップ部71及びキャップホルダ72よりも面積が小さく、且つ、排出口71c,71dとは重ならない位置に配置されている。
【0025】
回路基板ホルダ73は、平面視で略矩形であり、上面に開口した凹状に形成されている。より詳細には、回路基板ホルダ73は、下部を形成する底壁部73aと、底壁部73aの上面から上方に立設され、底壁部73aの外周に沿ってその全周に亘って配設される外縁部73bを有している。回路基板ホルダ73の外縁部73bの上端には、不図示の複数のフックが形成されている。キャップホルダ72の底壁部72aの下面には当該複数のフックと着脱可能に係合する不図示の複数の孔が形成されている。回路基板ホルダ73の複数のフックが、キャップホルダ72の複数の孔に係合することで、回路基板ホルダ73がキャップホルダ72に着脱可能に取り付けられる。この回路基板ホルダ73内には、後述する回路基板42が収容される。
【0026】
キャップリフトホルダ74は、平面視で略矩形であり、上面に開口した凹状に形成されている。キャップホルダ72は、凹状のキャップリフトホルダ74に収容されることで、キャップリフトホルダ74に保持される。凹状のキャップリフトホルダ74の、下部を形成する底壁部74aの上面の略中央部には、コイルばね77(「付勢部材」に相当)が設けられている。コイルばね77の上端部は、回路基板ホルダ73の底壁部73aの下面に取り付けられている。これにより、キャップ部71、キャップホルダ72、及び回路基板ホルダ73が、コイルばね77により上方に(ヘッド20に向けて)付勢される。また、キャップホルダ72は、底壁部74aの、キャップホルダ72よりも外側にはみ出した縁部から上方に突出した縁壁部74bによりその全周が取り囲まれている。
【0027】
キャップホルダ72の縁壁部72bには不図示の複数の突出部が設けられており、キャップリフトホルダ74の縁壁部74bには、上記複数の突出部に上下方向に移動可能に嵌合する不図示の複数の嵌合部が設けられている。キャップホルダ72の複数の突出部とキャップリフトホルダ74の複数の嵌合部が係合することで、キャップホルダ72とキャップリフトホルダ74とが互いに連結される。
【0028】
キャップ昇降機構75は、カム機構等からなり、キャップ駆動モータ76(
図3参照)により駆動されて、キャップリフトホルダ74を上下方向に昇降可能である。そして、キャリッジ3を上記待機位置に位置させることによって複数のノズル10とキャップ部71とを対向させた状態で、キャップ駆動モータ76によりキャップリフトホルダ74を上昇させると、キャップ部71及びキャップホルダ72も共に上昇する。そして、キャップ部71のリップ部71bの上端部がノズル面20aに当接すると、最も右側のノズル列9がキャップ70aに覆われ、左側3列のノズル列9がキャップ70bに覆われたキャップ状態となる。また、キャップ駆動モータ76によりキャップ部71を降下させた状態では、複数のノズル10がキャップ70a,70bで覆われていないアンキャップ状態となる。なお、キャップ70a,70bはノズル面20aに当接することで複数のノズル10を覆うものであることには限られない。キャップ70a,70bは、例えば、ヘッド20のノズル面20aの周囲に配置される図示しないフレーム等に密着することで、複数のノズル10を覆うものであってもよい。
【0029】
図1に戻って、切換装置31は、上述したように排出チューブ35を介してキャップ70a,70bの排出口70c,70dに接続されている。また、切換装置31は、排出チューブ36を介して廃液タンク33に接続されている。排出チューブ36の途中には、吸引ポンプ32が設けられている。そして、切換装置31は、吸引ポンプ32の連通先を、キャップ70a、及びキャップ70bの間で選択的に切り換える。
【0030】
プリンタ1では、制御装置100による制御の下、メンテナンス動作として、吸引パージをメンテナンスユニット8に行わせることができる。
【0031】
吸引パージは、ノズル10からインクを強制的に排出させるパージである。最も右側のノズル列9に属するノズル10からブラックインクを強制的に排出させる吸引パージ(以下、ブラックパージと称す)を行う際には、キャッピング状態で、キャップ70aを吸引ポンプ32と連通させたうえで、吸引ポンプ32を駆動させる。これにより、キャップ70a内が負圧となることで、ノズル10からブラックインクが強制的に排出される。
【0032】
同様に、左側3列のノズル列に属するノズル10からカラーインクを強制的に排出させる吸引パージ(以下、カラーパージと称す)を行う際には、キャッピング状態で、キャップ70bを吸引ポンプ32と連通させたうえで、吸引ポンプ32を駆動させる。
【0033】
以上のように、メンテナンスユニット8は、ブラックパージ及びカラーパージを選択的に実行可能である。これら吸引パージによって、ヘッド20から排出されたインクは、廃液タンク33に送られる。
【0034】
検査用装置40は、電極41や回路基板42を備え、ノズル10が異常ノズルであるか否かの検査や、ヘッド20と電極41との間で流れるリーク電流の検出等を行うための装置である。検査用装置40については、後で詳細に説明する。
【0035】
図3に示すように、制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、フラッシュメモリ104、ASIC(application specific integrated circuit)104等を含む。ROM102には、CPU101が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM103には、プログラム実行時に必要なデータや画像データが一時的に記憶される。ASIC104には、ヘッド20、キャリッジ駆動モータ14、搬送モータ16、切換装置31、吸引ポンプ32、検査用装置40、キャップ駆動モータ76、通信インターフェース110等、プリンタ1の様々な装置あるいは駆動部と接続されている。
【0036】
尚、制御装置100は、CPU101のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC104のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU101とASIC104とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御装置100は、1つのCPU101が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU101が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御装置100は、1つのASIC104が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC104が処理を分担して行うものであってもよい。
【0037】
制御装置100は、ROM102に格納されたプログラムに従い、CPU101及びASIC104により各種処理を実行する。例えば、制御装置100は、通信インターフェース110を介して外部装置200から記録指令を受信すると、吐出処理と搬送処理とを交互に行う記録処理を実行する。吐出処理は、キャリッジ3の走査方向への1回の移動(パス)の間に、RAM103に記憶された画像データに基づいてノズル10からインクを吐出させる処理である。搬送処理は、搬送ローラ6,7により用紙Pを前方に所定量だけ搬送させる処理である。このように、本実施形態のプリンタ1は、シリアル式のインクジェットプリンタである。
【0038】
また、制御装置100は、ヘッド20及び検査用装置40を制御して、ヘッド20の複数のノズル10各々について、当該ノズル10がインクを正常に吐出させることができない異常ノズルであるか否かを検査するノズル検査処理を行う。具体的には、ノズル検査処理では、制御装置100は、上記キャップ状態にするとともに、電極41に電圧を印加させてヘッド20と電極41との間に電位差を生じさせた印加状態にする。そして、ヘッド20のアクチュエータ22に、ノズル10から電極41に向けてインクを吐出させるための吐出駆動を行わせ、このときの電極41の電圧の変化に応じて検査用装置40から出力される吐出検知信号に基づいて、ノズル10が異常ノズルであるか否かを検査する。
【0039】
以下、
図2(a)を参照して、検査用装置40について説明する。検査用装置40は、電極41a,41b、回路基板42、導電棒43,44、及び、接続棒45(「接続部」に相当)を有する。
【0040】
電極41a,41bは、平面視で略矩形であり、キャップ70a,70b内にそれぞれ収容されている。この電極41a,41bの主面と直交する方向は、上下方向と平行である。
【0041】
回路基板42は、平面視で矩形状の基板であり、回路基板ホルダ73内に収容されている。より詳細には、回路基板42は、回路基板ホルダ73の底壁部73aの上面に載置されている。以上のように、回路基板42は、キャップ70a,70b外において、キャップ70a,70bの下方の位置に配置されている。また、回路基板42は、キャップホルダ72の下方に配置され、コイルばね77の上方に配置されている。
【0042】
図2(b)に示すように、回路基板42は、平面視(電極41の主面と直交する方向から見たとき)において、キャップ70a,70bと少なくとも一部が重なるように配置されている。より詳細には、回路基板42は、平面視において、キャップホルダ72より面積が小さく、キャップホルダ72の配置領域内に配置されている。さらに、本実施形態では、回路基板42は、平面視において、キャップ部71より面積が小さく、キャップ部71の配置領域内に配置されている。また、回路基板42は、平面視において、排出口71c,71dと重ならない位置に配置されている。
【0043】
回路基板42の上面は、各種回路が実装される実装面42aとなっている。この実装面42aは、キャップ70a,70b(上方)に向いている。また、回路基板42には、面方向に拡がる不図示のグランドパターンが形成されている。このグランドパターンにより、回路基板42の各種回路がノイズの影響を受ける可能性を低減することができる。
【0044】
導電棒43(「第2棒」に相当)は、金属等からなる導電性の棒であり、電極41aから、キャップ70aの底壁部71a1を貫通して下方に延びている。導電棒43の下端は、キャップホルダ72の底壁部72aの内部に位置する。
【0045】
導電棒44(「棒」及び「第1棒」に相当)も、同様に、金属等からなる導電性の棒であり、電極41bから、キャップ70bの底壁部71a2及びキャップホルダ72の底壁部72aを貫通して下方に延びている。導電棒44の下端は、底壁部72aよりも下方に位置する。
【0046】
接続棒45は、金属等からなる導電性の棒であり、導電棒43及び導電棒44を電気的に接続する。具体的には、接続棒45は、キャップホルダ72の底壁部72aの内部において、導電棒43の下端から左方に延びて、導電棒44の途中部位に接続されている。
【0047】
導電棒43、導電棒44、及び接続棒45は、キャップホルダ72に一体成型されている。これにより、導電棒43、導電棒44、及び接続棒45をキャップホルダ72により位置決めすることができる。
【0048】
回路基板42の上面には、ガスケット49(「着脱部」に相当)が設けられている。ガスケット49は、弾性を有する矩形状のスポンジを導電性布で覆った部材である。導電棒44は、ガスケット49に対して上方から押し当てられることで、導電棒44はガスケット49に着脱可能に接続される。導電棒44がガスケット49に接続されると、導電棒44と回路基板42とがガスケット49を介して電気的に接続される。導電棒44をガスケット49から離すと、導電棒44と回路基板42との接続が解除される。
【0049】
以上の構成により、電極41aは、導電棒43、接続棒45、及び導電棒44を介して回路基板42と電気的に接続される。また、電極41bは、導電棒44を介して回路基板42と電気的に接続される。
【0050】
次に、
図4を参照して、回路基板42に実装される各種回路について説明する。回路基板42の実装面42aには、電圧印加回路91と、ローパスフィルタ92と、DCリーク信号出力回路93と、ハイパスフィルタ94と、増幅回路95と、ACリーク信号出力回路96等の回路が実装されている。
【0051】
電圧印加回路91は、電極41に電圧を印加するための回路である。電圧印加回路91は、入力された電圧を昇圧して、昇圧した電圧を出力することによって電極41に電圧を印加する。電圧印加回路91の構成および動作については、後ほど詳細に説明する。
【0052】
電圧印加回路91と電極41とは、ローパスフィルタ92を介して接続されている。ローパスフィルタ92は、電極41での電圧変動における遮断周波数より高い周波数の成分を逓減させて電圧印加回路91側に出力するフィルタである。すなわち、電極41の電圧の主に直流成分が、ローパスフィルタ92を介して電圧印加回路91側に出力される。
【0053】
DCリーク信号出力回路93は、電圧印加回路91とローパスフィルタ92とを接続する配線から分岐した配線に接続されている。ここで、プリンタ1では、例えば、吸引パージの際にキャップ70a,70b内に付着したインクを介して、電極41とヘッド20とが導通することにより、電極41とヘッド20の間に直流のリーク電流が流れることがある。電極41とヘッド20の間に直流のリーク電流が流れると電極41の電圧が低下する。また、この直流のリーク電流が大きいときほど、電極41の電圧の低下量が大きくなる。DCリーク信号出力回路93は、上述の、ローパスフィルタ92を通して入力された電極41の電圧の直流成分に基づいて、電極41とヘッド20の間に流れる直流のリーク電流の大きさを示すDCリーク信号を制御装置100に出力する。
【0054】
ハイパスフィルタ94は、電極41とローパスフィルタ92とを接続する配線から分岐した配線に接続されている。増幅回路95は、ハイパスフィルタ94に接続されている。
【0055】
ハイパスフィルタ94は、電極41の電圧の直流成分、すなわち、電極41の電圧の高電圧成分を逓減するフィルタである。これにより、電極41に電圧変動が生じたときに、電極41の電圧の変化が、ハイパスフィルタ94において高電圧成分が除去されたうえで、増幅回路95側に出力される。ハイパスフィルタ94から増幅回路95に入力された電圧は、増幅回路95において増幅され、吐出検知信号として制御装置100に出力される。本実施形態では、ハイパスフィルタ94、及び増幅回路95を合わせたものが「信号出力部」に相当する。
【0056】
ここで、上記キャップ状態にするとともに、電圧印加回路91により電極41に電圧を印加することによってヘッド20と電極41との間に電位差を生じさせた状態で、ヘッド20に吐出駆動を行わせたときの電極41の電圧の変化について説明する。吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されなかったときには、電極41の電圧がほとんど変化しない。吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されたときには、電極41の電圧が変化する。また、このときの電極41の電圧の変化は急激なものとなる。従って、吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されたか否かによって、電極41の電圧の高周波成分が異なる。
【0057】
これにより、吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されなかったときには、ハイパスフィルタ94から増幅回路95に向けて出力される信号、および、増幅回路95で増幅されて出力される吐出検知信号は、
図5(a)に示すように、電圧がV0からほとんど変化しない信号となる。ここで、V0は例えばグランド電位に近い電圧である。
【0058】
一方、吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されて電極41の電圧が変化したときには、ハイパスフィルタ94から増幅回路95へ出力される信号が、
図5(b)に示すように、電圧がV0に対して変化する信号となる。ただし、吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されたときの電極41の電圧の変化量は、後述するようにヘッド20と電極41との間に交流のリーク電流が流れたときの電極41の電圧の変化量と比べて小さい。そのため、吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されたときにハイパスフィルタ94から増幅回路95へ出力される信号も、
図5(b)に示すように電圧の変化量が小さい信号となる。
【0059】
また、増幅回路95から出力される吐出検知信号は、
図5(c)に示すように、
図5(b)の信号が増幅された信号となる。従って、増幅回路95から吐出検知信号は、ハイパスフィルタ94から増幅回路95へ出力される信号よりも電圧の変化が大きいものとなる。例えば、吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されたときの吐出検知信号は、最大値がVh1(>V0)よりも大きく、かつ、最小値がVm1(<V0)よりも小さい信号となる。
【0060】
このように、吐出検知信号は、吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されたか否かを示す信号となる。また、吐出検知信号は、増幅回路95によって増幅された信号であるため、吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されたときの電圧の変化量がある程度大きい信号となる。
【0061】
ACリーク信号出力回路96は、ハイパスフィルタ94と増幅回路95とを接続する配線から分岐した配線に接続されている。ここで、プリンタ1では、例えば、吸引パージの際にキャップ70a,70b内に付着したインクを介して、電極41とヘッド20とが一時的に導通することにより、電極41とヘッド20の間に交流のリーク電流が流れることがある。ヘッド20と電極41との間に交流のリーク電流が流れると、電極41の電圧が変化し、ハイパスフィルタ94から増幅回路95に向けて出力される電圧も変化する。この信号の変化は、上述の吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されたときにハイパスフィルタ94から増幅回路95に向けて出力される電圧の変化よりも大きい。ACリーク信号出力回路96は、ハイパスフィルタ94から増幅回路95に向けて出力される電圧に応じて、電極41とヘッド20の間に交流のリーク電流が流れているか否か、および、交流のリーク電流の大きさを示すDCリーク信号を制御装置100に出力する。
【0062】
以上の構成により、制御装置100は、電極41の電圧の変化に応じて検査用装置40から出力される吐出検知信号に基づいて、ノズル10が異常ノズルであるか否かを検査することが可能である。また、制御装置100は、電極41に電圧を印加させてヘッド20と電極41との間に電位差を生じさせた印加状態にした上で、アクチュエータ22に吐出駆動を行わなかったときに、検査用装置40から出力されるACリーク信号やDCリーク信号に基づいて、ヘッド20と電極41との間に流れているリーク電流を検出することができる。
【0063】
次に、電圧印加回路91の構成について説明する。
図4に示すように、電圧印加回路91は、第1電圧入力部51と、第2電圧入力部52と、電圧出力部53と、直列に接続された複数のチャージポンプ54(「昇圧部」に相当)と、スイッチ素子55と、PWM信号入力部56とを有する。
【0064】
第1電圧入力部51は、プリンタ1の電源回路60に接続されており、電源電圧が入力される。電源電圧は50V以下の電圧である。第2電圧入力部52はグランド電位に保持されている。電圧出力部53は、電極41に印加するための電圧が出力される部分であり、ローパスフィルタ92を介して電極41と接続されている。
【0065】
各チャージポンプ54は、入力部61a,61bと、出力部62a,62bと、コンデンサ63a,63bと、ダイオード64a,64bとを有する。
【0066】
複数のチャージポンプ54のうち最も入力側(
図4の左側)のチャージポンプ54において、入力部61aが抵抗80を介して第1電圧入力部51と接続され、入力部61bが第2電圧入力部52と接続されている。複数のチャージポンプ54のうち最も入力側のチャージポンプ54以外のチャージポンプ54において、入力部61aが、入力側(
図4の左側)で隣接するチャージポンプ54の出力部62aと接続され、入力部61bが、入力側で隣接するチャージポンプ54の出力部62bと接続されている。複数のチャージポンプ54のうち最も出力側(
図4の右側)のチャージポンプ54の出力部62bは、電圧出力部53に接続されている。最も出力側のチャージポンプ54の出力部62aは他の回路等と接続されていない。
【0067】
コンデンサ63a,63bはセラミックコンデンサである。コンデンサ63aは、入力部61aと出力部62aとの間に接続されている。コンデンサ63bは、入力部61bと出力部62bとの間に接続されている。ダイオード64aのカソードは、コンデンサ63aと出力部62aとの間に接続されている。ダイオード64aのアノードは、入力部61bとコンデンサ63bとの間に接続されている。ダイオード64bのカソードは、コンデンサ63bと出力部62bとの間に接続されている。ダイオード64bのアノードは、コンデンサ63aと出力部62aとの間に接続されている。
【0068】
スイッチ素子55は、トランジスタ81と、抵抗82,83とを有する。本実施形態では、トランジスタ81は、NPN型のトランジスタであるが、これに限定されるものではなく、PNP型のトランジスタ、MOS-FETなど、PWM信号によってオンとオフとを切り換えることが可能な別のトランジスタであってもよい。
【0069】
トランジスタ81のコレクタは、抵抗80を介して第1電圧入力部51に接続されている。トランジスタ81のベースは、抵抗82を介して、PWM信号入力部56と接続されている。トランジスタ81のエミッタは、グランド電位に保持されている。また、トランジスタ81のベースとエミッタとは抵抗83を介して接続されている。
【0070】
PWM信号入力部56には、制御装置100から、パルス信号であるPWM信号が入力される。PWM信号がHIGHレベルのときに、トランジスタ81がオンとなり、トランジスタ81のコレクタとエミッタとが導通する。PWM信号がLOWレベルのときに、トランジスタ81がオフとなり、トランジスタ81のコレクタとエミッタとが絶縁される。ここで、制御装置100は、PWM信号の周期に対するHIGHレベルの期間の比率であるデューティ比、および、PWM信号の周波数を変更することができる。
【0071】
次に、電圧印加回路91の動作について説明する。電圧印加回路91では、PWM信号入力部56にPWM信号が入力されると、電圧入力部51,52に入力された電圧が複数のチャージポンプ54により昇圧される。そして、昇圧された電圧が、電圧出力部53から出力される。
【0072】
このときの各チャージポンプ54での昇圧について説明する。ここで、
図4に示すように、電圧印加回路91において、第1電圧入力部51に入力される電圧をVaとし、あるチャージポンプ54の入力部61bに入力される電圧をVbとし、このチャージポンプ54の入力部61aに入力される電圧をVcとし、このチャージポンプ54の出力部62aから出力される電圧をVdとし、このチャージポンプ54の出力部62bから出力される電圧をVeとする。
【0073】
この場合、PWM信号入力部56に入力されるPWM信号のHIGHとLOWとが繰り返し切り換わると、コンデンサ63a,63bへの充電およびコンデンサ63a,63bからの放電の状態が切り換わる。また、PWM信号がHIGHからLOWに切り換わるときに電圧Vc,Vd,Veが上昇する。PWM信号がLOWからHIGHに切り換わるときに電圧Vc,Vdが低下する。一方で、ダイオード64bが接続されていることにより、PWM信号がLOWからHIGHに切り換わって電圧Vdが低下するときに電圧Veは低下せずほぼ一定に維持される。
【0074】
これにより、PWM信号のHIGHとLOWとが繰り返し切り換わると、電圧Vc,Vdが低下と上昇とを交互に繰り返し、上昇したときの電圧が徐々に大きくなる。一方、電圧Veは上昇と維持とを交互に繰り返すことにより徐々に上昇する。最終的な電圧VeはPWM信号のデューティ比によって変わるが、その最大値は(Vb+Va)程度である。即ち、1つのチャージポンプ54で、入力部61bに入力された電圧Vbを最大(Vb+Va)程度まで昇圧して出力部62bから出力することができる。従って、例えば、電圧印加回路91がM個のチャージポンプ54を有し、最も入力側のチャージポンプ54の入力部61bに入力される電圧Vbを電圧Vb1とした場合、M個のチャージポンプ54において、それぞれ、電圧Va程度昇圧されることから、電圧出力部53から出力される電圧は最大(Vb1+M×Va)程度である。本実施形態では、電圧Vb1が0Vであるため、電圧出力部53から出力される電圧は最大(M×Va)程度である。また、本実施形態では、電圧印加回路91が10個以上のチャージポンプ54を有するため、電圧印加回路91において、第1電圧入力部51に入力された電源電圧Vaが、これらのチャージポンプ54によって10倍以上の電圧まで昇圧されることになる。制御装置100は、PWM信号のデューティ比および周波数の少なくとも一方を変更することで、電極41に印加する電圧を調整することができる。
【0075】
以上のように、電圧印加回路91は、複数のチャージポンプ54によって昇圧を行うものとすることにより、変圧器によって昇圧を行うものとするよりも、回路を小型化することができる。具体的には、複数のチャージポンプ54を用いて電圧印加回路91を形成するほうが、変圧器を用いて電圧印加回路を形成するよりも、回路基板42の面積を小さくすることができる。また、コンデンサ63a,63bおよびダイオード64a,64bによって形成されるチャージポンプ54のほうが、変圧器よりも、回路基板42上に配置される部品の体積を小さくできるため回路基板42からの突出する量を小さくすることができる。
【0076】
ところで、本実施形態では、上述したように、回路基板42は、キャップ70a,70b外において、キャップ70a,70bの下方の位置に配置され、且つ、平面視において、キャップ70a,70bと少なくとも一部が重なるように配置されているが、それ以外の位置に配置する方法も考えられる。例えば、
図6(a)及び
図6(b)に示すように。回路基板242を、キャップ機構230の側方に配置する方法(以下、比較例とする)も考えられる。以下、比較例について、
図6(a)及び
図6(b)を参照して説明する。なお、比較例の検査用装置240及びキャップ機構230の構成は、回路基板の配置位置が異なる点、キャップ機構が回路基板ホルダを備えていない点、及び回路基板がガスケットを備えていない点以外は、本実施形態の検査用装置40及びキャップ機構30の構成と略同様である。従って、比較例における検査用装置240及びキャップ機構230において、検査用装置40及びキャップ機構30に対応する構成については、検査用装置40及びキャップ機構30の各構成に付した符号から、その数字に「200」を加算した符号を付して、説明を適宜省略する。また、
図6(a)及び
図6(b)では、説明の便宜上、キャップリフトホルダ、キャップ昇降機構等は省略して図示している。
【0077】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、回路基板242は、キャップ270a,270b外において、キャップ270a,270bの左側に配置されている。即ち、回路基板242は、平面視において、キャップ部71と重ならないように配置されている。回路基板242と、導電棒244の下端とは、ハーネスなどの金属線400により接続されている。これにより、回路基板242と、電極241とが電気的に接続される。
【0078】
以上の比較例の構成では、キャップ270a,270b(キャップ部271)と回路基板272とを合わせた設置面積が大きくなる。即ち、平面視における、キャップ270a,270bと回路基板272とを合わせた投影面積が大きくなる。その結果として、インクジェットプリンタが大型化する問題がある。
【0079】
さらに、回路基板242と導電棒244とを接続する金属線400は、回路基板242がキャップ270a,270bの左側に配置されているため、その長さが長くなっている。金属線400の長さが長いと、ノイズが乗り易くなり、その結果として、回路基板242から出力される吐出検知信号等の信号がノズルの影響を受ける虞がある。これにより、制御装置100は、ノズル検査処理等において精度良く検査することができない。
【0080】
これに対して、本実施形態では、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、キャップ70a,70bの下方にあるスペースであって、平面視において、回路基板42の少なくとも一部とキャップ70a,70bとが重なるスペースを有効活用して、回路基板42が配置される。これにより、キャップ70a,70bと回路基板42とを合わせた設置面積を小さくすることができる。即ち、平面視における、キャップ70a,70bと回路基板42とを合わせた投影面積を小さくすることができる。このため、インクジェットプリンタ1を小型化することができる。
【0081】
また、回路基板42と、導電棒44とは、金属線を介さずに直接接続されている。これにより、回路基板42から出力される吐出検知信号等の信号がノズルの影響を受ける可能性を低減することができる。その結果として、制御装置100は、ノズル検査処理等において精度良く検査することができる。
【0082】
なお、回路基板を配置する方法としては、キャップ内に配置する方法も考えられる。この方法の場合、回路基板の各種回路にインクが侵入しないように、回路基板をゴムなどの絶縁部材で封止する必要がある。しかしながら、回路基板を封止する絶縁部材が劣化すると、キャップ内のインクが内部に侵入して回路基板が故障する虞がある。これに対して、本実施形態では、回路基板42はキャップ70a,70b外において、キャップ70a,70bの下方に配置されている。このため、キャップ70a,70b内のインクが回路基板42に到達する可能性を低減することができる。加えて、ノズル10から吐出または排出されて装置内を飛散等するインクが、回路基板42に到達することを、キャップ70a,70bの存在により抑制することができる。その結果として、回路基板42がインクの侵入により故障する可能性を低減することができる。
【0083】
また、本実施形態では、回路基板42は、導電棒44を着脱可能に接続するガスケット49を有している。回路基板42やキャップ機構30の何れかの部品が故障した場合には、回路基板42から導電棒44を取り外すことで、故障した部品を容易に交換することができる。
【0084】
また、本実施形態では、回路基板42は、平面視において、排出口71c,71dと重ならない位置に配置されている。これにより、排出口71c,71dそれぞれに接続される排出チューブ35と干渉せずに回路基板42を配置することができる。
【0085】
また、本実施形態では、2つの電極41それぞれから延びている導電棒43,44同士は接続棒45により電気的に接続されている。これにより、回路基板42を2つの導電棒43,44のうちの一方のみと接続することで、回路基板42は2つの電極41と電気的に接続されることになる。その結果として、回路基板42を2つの電極41それぞれに対して備える必要がないため、インクジェットプリンタ1を小型化することができる。
【0086】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。以下、変形例について説明するが、上述した実施形態と同一の箇所については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0087】
上述の実施形態では、導電棒43と導電棒44を接続する接続棒45は、キャップホルダ72の底壁部72aの内部に配置されていたが、これには限られない。
【0088】
変形例1では、
図7(a)に示すように、検査用装置40は、導電棒43、導電棒44、及び接続棒45の代わりに、導電棒343、導電棒344、及び接続棒345を有している。また、キャップホルダ72の底壁部72aの上面には、左右方向に延びる溝72a1が形成されている。導電棒343は、電極41aから、キャップ70aの底壁部71a1を貫通して下方に延びている。導電棒343の下端は、キャップホルダ72の溝72a1内に位置する。導電棒344は、上述の導電棒44と同様に、キャップ70bの底壁部71a2及びキャップホルダ72の底壁部72aを貫通して下方に延びている。ただし、導電棒344は、キャップホルダ72の内部に位置する部位に、他の部位よりも平面視の断面積が拡大した拡大部344aが形成されている。この拡大部344aにより、導電棒344をキャップホルダ72に対して位置決めを行うことができる。
【0089】
接続棒345は、溝72a1内において左右方向に延在しており、導電棒343と導電棒344とを電気的に接続している。以上のように、変形例1では、接続棒345は、上下方向においてキャップ部71とキャップホルダ72とで挟まれる位置に配置されている。この変形例1においても、上述の実施形態と同様に、回路基板42を2つの電極41それぞれに対して備える必要がないため、インクジェットプリンタ1を小型化することができる。なお、キャップ部71の基材71aの下面に左右方向に延びる溝が形成されており、この溝内に接続棒345が配置されていてもよい。
【0090】
変形例2では、
図7(b)に示すように、検査用装置40は、導電棒43、導電棒44、及び接続棒45の代わりに、導電棒443、導電棒444、及び接続棒445を有している。導電棒443は、キャップ70aの底壁部71a1及びキャップホルダ72の底壁部72aを貫通して下方に延びている。同様に、導電棒444は、キャップ70bの底壁部71a2及びキャップホルダ72の底壁部72aを貫通して下方に延びている。導電棒443及び導電棒444それぞれの、キャップホルダ72の内部に位置する部位には、他の部位よりも平面視の断面積が拡大した拡大部443a,444aが形成されている。この拡大部443a,444aにより、導電棒443,444をキャップホルダ72に対して位置決めを行うことができる。
【0091】
接続棒445は、回路基板ホルダ73内に配置されている。より詳細には、接続棒445は、上下方向においてキャップホルダ72の底壁部72aと、回路基板42とで挟まれる位置に配置されている。そして、接続棒445は、導電棒443及び導電棒444それぞれの下端同士を接続するように左右方向に延びている。以上、変形例2でも、上述の実施形態と同様に、回路基板42を2つの電極41それぞれに対して備える必要がないため、インクジェットプリンタ1を小型化することができる。
【0092】
また、
図8(a)に示す変形例3のように、検査用装置40は、接続棒を備えていなくてもよい。即ち、検査用装置40は、導電棒43、導電棒44、及び接続棒45の代わりに、1つの導電棒544のみを有していてもよい。導電棒544は、電極41bの下方から、キャップ70aの底壁部71a1及びキャップホルダ72の底壁部72aを貫通して下方に延び、ガスケット49に接続されている。導電棒544の、キャップホルダ72の内部に位置する部位に、他の部位よりも平面視の断面積が拡大した拡大部544aが形成されている。この拡大部544aにより、導電棒544をキャップホルダ72に対して位置決めを行うことができる。
【0093】
キャップ部71におけるリップ部71bの境界部71b2には、左右に延びる貫通孔が形成されており、この貫通孔に電極41と同一の素材からなる電極接続部541(「接続部」に相当)が圧入されている。2つの電極41a,41b同士は、この電極接続部541を介して電気的に接続されている。
【0094】
以上のように、変形例3では、回路基板42は、導電棒544、及び電極41aを介して、電極41bに電気的に接続されている。このように変形例3では、2つの電極41のうちの1つの電極41のみから導電棒544が延びている。また、変形例3では、上述の実施形態と同様に、回路基板42を2つの電極41それぞれに対して備える必要がないため、インクジェットプリンタ1を小型化することができる。
【0095】
上述の実施形態では、回路基板42の実装面42aが上方を向いて、キャップ70a,70bに向いていたが、これには限られない。回路基板42の実装面42aとは反対側の面が上方を向いて、キャップ70a,70bに向いていてもよい。また、
図8(b)に示す変形例4のように、回路基板42の実装面42aが水平方向に向いていてもよい。即ち、回路基板42の4つの側面のうちの1つが上方を向いて、キャップ70a,70bに向いていてもよい。以下、変形例4について詳細に説明する。
【0096】
図8(b)に示すように、キャップ機構30は、回路基板ホルダを備えておらず、代わりに支持部材673を備えている。支持部材673は、キャップホルダ72の底壁部72aの下面から下方に延在する板状の部材である。回路基板42には不図示のフックに形成されており、支持部材673には当該フックに係合する孔が形成されている。回路基板42のフックを支持部材673の孔に係合させることで、回路基板42は支持部材673に支持される。コイルばね77の上端は、回路基板ホルダの代わりにキャップホルダ72の底壁部72aの下面に接続されている。
【0097】
変形例4では、検査用装置40は、導電棒43、導電棒44、及び接続棒45の代わりに、導電棒643、導電棒644、及び接続棒645を有している。導電棒643、導電棒644、及び接続棒645は、上述の変形例2の導電棒443、導電棒444、及び接続棒445の構成と略同様である。ただし、接続棒645は、導電棒444の接続位置よりも左側まで延びている。そして、回路基板42のガスケット49には、導電棒644の下端の代わりに、接続棒645の左端が着脱可能に接続される。なお、変形例4では、回路基板42及び支持部材673は、コイルばね77内に配置されているが、これには限られず、コイルばね77外に配置されていてもよい。
【0098】
以上説明した変形例4でも、回路基板42は、平面視において、キャップ70a,70bと少なくとも一部が重なるように配置されている。また、回路基板42は、平面視において、キャップホルダ72より面積が小さく、キャップホルダ72の配置領域内に配置されている。これにより、上述の実施形態と同様に、キャップ70a,70bの下方にあるスペースを有効活用して回路基板42が配置されているため、インクジェットプリンタ1を小型化することができる。
【0099】
次に、回路基板と導電棒との接続方法の変形例について説明する。上述の実施形態では、導電棒44を着脱可能に接続する着脱部は、ガスケット49であったが、これには限られない。
図9(a)に示す変形例では、導電棒44を着脱可能に接続する着脱部は、ポゴピン349である。ポゴピン349は、筒状のケース349aと、ケース349a内に摺動可能に嵌合されたプランジャー349bと、筒状のケース349a内に配置され、プランジャー349bを付勢するバネ349cとを備えている。ケース349aの下端は、回路基板42にはんだ等により接着されている。導電棒44を、ポゴピン349に対して上方から押し当てることで、プランジャー349bがケース349a内へ押し込まれる。これにより、バネ349cが圧縮されて反力を発生させるので、プランジャー349bが、導電棒44へ向けて押し出される。その結果として、導電棒44とポゴピン349との接触が維持され、導電棒44と回路基板42とがポゴピン349を介して電気的に接続される。導電棒44をポゴピン349から離すと、導電棒44と回路基板42との接続が解除される。
【0100】
図9(b)に示す変形例では、導電棒44を着脱可能に接続する着脱部は、円錐螺旋状のバネ449である。導電棒44を、バネ449に対して上方から押し当てると、バネ449が圧縮されて反力を発生させるので、導電棒44とバネ449との接触が維持される。その結果として、導電棒44と回路基板42とがバネ449を介して電気的に接続される。導電棒44をバネ449から離すと、導電棒44と回路基板42との接続が解除される。
【0101】
図10(a)に示す変形例では、導電棒44を着脱可能に接続する着脱部は、メタルドーム549である。メタルドーム549は、上向き凸状のステンレス等からなる皿ばねである。このメタルドーム549は、接点として使用される。導電棒44を、メタルドーム549の頂部に対して上方から押し当てることで、メタルドーム549の頂部が下向き凸状に弾性変形し、導電棒44と回路基板42とがメタルドーム549を介して電気的に接続される。導電棒44をメタルドーム549から離すと、メタルドーム549の頂部が元の上向き凸状に弾性復帰し、導電棒44と回路基板42との接続が解除される。
【0102】
図10(b)に示す変形例では導電棒44を着脱可能に接続する着脱部は、ピンソケット形状の接続端子649である。導電棒44を、接続端子649の差し込み口に差し込むことで、導電棒44と回路基板42とが接続端子649を介して電気的に接続される。導電棒44を接続端子649から抜くと、導電棒44と回路基板42との接続が解除される。
【0103】
また、導電棒44は回路基板42に対して着脱可能に接続されていなくてもよい。例えば、
図11に示す変形例のように、回路基板42に貫通孔42bを形成し、導電棒44は、貫通孔42bに圧入されていてもよい。なお、貫通孔42bの内周面と導電棒44との間には、回路基板42の回路と電気的に接続される金属部品749が配置されている。本変形例では、導電棒44と回路基板42とをより強固に接続することができる。
【0104】
以下、その他の変形例について説明する。
【0105】
上述の実施形態では、電極41の主面と直交する方向は、上下方向と平行であったが、これには限られず、上下方向と交差する方向であってもよい。また、上述の実施形態では、回路基板42は、平面視において、キャップホルダ72より面積が小さく、キャップホルダ72の配置領域内に配置されていたが、これには限られない。回路基板42は、平面視において、キャップホルダ72より面積が大きくてもよい。また、回路基板42は、電極41の主面と直交する方向から見たときに、キャップ70a,70bと少なくとも一部が重なるように配置されていればよく、回路基板42の少なくとも一部がキャップホルダ72の配置領域外に配置されていてもよい。
【0106】
上述の実施形態では、回路基板42は、平面視において、排出口71c,71dと重ならない位置に配置されていたが、これには限られない。回路基板42が、平面視において、排出口71c,71dと重なる位置に配置されていてもよい。
【0107】
上述の実施形態では、キャップ部71は、ブラックインクを吐出するノズル列9を覆うキャップ70aと、カラーインクを吐出する左側3列のノズル列9を覆うキャップ70bとを別々に備えていたが、これには限られない。全てのノズル10を1つのキャップでまとめて覆うように構成されていてもよい。この場合、この1つのキャップ内に1つの電極のみが配置されていてもよい。あるいは、例えば、キャップが、ノズル列9毎に個別に設けられていてもよい。この場合、各キャップ内に、電極が配置されていればよい。
【0108】
上述の実施形態では、回路基板42には、キャップ70b内に配置された電極41bから延びる導電棒44が直接接続されていたが、導電棒44の代わりに、キャップ70a内に配置された電極41aから延びる導電棒43が直接接続されてもよい。この場合にも、接続棒45により、導電棒43及び導電棒44を電気的に接続することで、回路基板42と電極41bとが電気的に接続されることになる。また、検査用装置40は、2つの電極41それぞれに対応して2つの回路基板を備えていてもよい。即ち、2つの電極41それぞれから延びる導電棒それぞれに対して、回路基板が接続されていてもよい。
【0109】
上述の実施形態では、PWM信号のデューティ比および周波数の少なくとも一方を変更することによって、電圧印加回路91から出力される電圧を調整したが、これには限られない。例えば、電圧印加回路91の第1電圧入力部51と電源回路60との間に変圧器を設け、この変圧器が電源回路60から入力された電圧を昇圧して第1電圧入力部51に出力してもよい。この構成では、変圧器での昇圧率を変更することにより電圧印加回路91から出力される電圧を調整することができる。
【0110】
電圧印加回路91は、複数のチャージポンプ54を有するものであることにも限られず、1つのチャージポンプ54を有するものであってもよい。また、電圧印加回路91は、チャージポンプ54を用いて入力された電圧を昇圧して出力する構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、電圧印加回路91は、変圧器を用いて入力された電圧を昇圧して出力する構成であってもよい。
【0111】
また、上述の実施形態では、検査用装置40から出力された吐出検知信号に基づいて、ノズル10からインクが吐出されたか否かを判定したが、これには限られない。検査用装置40から出力された吐出検知信号に基づいて、例えばインクの吐出方向の異常等、別の異常があるか否かを判定してもよい。
【0112】
また、上述の実施形態では、ヘッド20の全てのノズル10について、吐出駆動を行わせて、ノズル10に異常があるか否かを判定したが、これには限られない。例えば、各ノズル列9における1つおきのノズル10等、ヘッド20の一部のノズル10についてのみ、吐出駆動を行わせてノズル10に異常があるか否かを判定してもよい。そして、それ以外のノズル10については、上記一部のノズル10についての判定結果に基づいてノズル10に異常があるか否かを推定してもよい。
【0113】
また、回路基板42は、DCリーク信号出力回路93およびACリーク信号出力回路96のうち片方がなくてもよい。すなわち、直流のリーク電流および交流のリーク電流のうち片方のリーク電流のみを検出してもよい。また、回路基板42は、DCリーク信号出力回路93およびACリーク信号出力回路96の両方を有していなくてもよい。
【0114】
また、本発明は、ヘッドを固定した状態で、搬送機構により搬送される用紙に画像を印刷する、所謂ライン式のインクジェットプリンタにも適用されうる。また、ノズルからインクを吐出して用紙に画像を記録するプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。用紙P以外の記録媒体に対して液体を吐出する液体吐出装置に適用することも可能である。例えば、特開2017-144726号公報に記載されているように、記録媒体が載置されたステージを搬送方向に移動可能となっており、キャリッジとともにヘッドを走査方向に移動させつつノズルからインクを吐出させる動作と、ステージの移動とを交互に繰り返すことによって記録媒体に記録を行う液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。このようなプリンタにおける記録媒体としては、例えば、Tシャツ、屋外用広告用のシート等が挙げられる。また、配線基板に対して、配線パターンの材料等のインク以外の液体を吐出して記録を行う液体吐出装置に適用することも可能である。また、スマートフォン等の携帯端末のケース、段ボール、樹脂等に対してインクを吐出して記録する液体吐出装置に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 インクジェットプリンタ
10 ノズル
20 インクジェットヘッド
41 電極
42 回路基板
54 チャージポンプ
70a,70b キャップ
91 電圧印加回路
100 制御装置