(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143004
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】持上げ装置及びベッド
(51)【国際特許分類】
A61G 7/05 20060101AFI20241003BHJP
A47C 19/04 20060101ALI20241003BHJP
A47C 19/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61G7/05
A47C19/04 A
A47C19/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055454
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 聡
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040CC10
4C040DD01
4C040DD10
4C040EE02
4C040EE03
4C040EE05
(57)【要約】
【課題】ベッドの脚をベッドが設置された設置面から容易に持ち上げることのできる持上げ装置を提供する。
【解決手段】ベッドの脚部を、該ベッドが設置された設置面から持ち上げる持上げ装置。前記ベッドは、床板を前記脚部に対して上下に昇降させる昇降機構を有する。前記持上げ装置は、前記ベッドの部分であり且つ前記昇降機構が前記床板を昇降させる際に上下方向に移動する部分である上下移動部に取り付けられる取付部と、前記取付部から延びる支持部とを備える。前記床板の昇降動作に伴って前記上下移動部が移動する際に、前記支持部が前記設置面に当接して前記脚部を前記設置面から持ち上げる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドの脚部を、該ベッドが設置された設置面から持ち上げる持上げ装置であって、
前記ベッドは、床板を前記脚部に対して上下に昇降させる昇降機構を有し、
前記持上げ装置は、
前記ベッドの部分であり且つ前記昇降機構が前記床板を昇降させる際に上下方向に移動する部分である上下移動部に取り付けられる取付部と、
前記取付部から延びる支持部とを備え、
前記床板の昇降動作に伴って前記上下移動部が移動する際に、前記支持部が前記設置面に当接して前記脚部を前記設置面から持ち上げる持上げ装置。
【請求項2】
前記取付部は、前記上下移動部に固定される固定部である請求項1に記載の持上げ装置。
【請求項3】
前記支持部は前記固定部に対して第1位置と第2位置の間で変位可能であり、
前記固定部が前記ベッドに固定された状態において、前記第1位置は、前記床板の昇降動作に伴って前記支持部が前記設置面に当接する位置である請求項2に記載の持上げ装置。
【請求項4】
前記支持部の前記第1位置と前記第2位置との間での変位を、遠隔操作により行うように構成された請求項3に記載の持上げ装置。
【請求項5】
前記床板の下降動作に伴って前記上下移動部が下降する際に、前記支持部が前記設置面に当接して前記脚部を前記設置面から持ち上げる請求項1~4のいずれか一項に記載の持上げ装置。
【請求項6】
脚部と、
床板と、
前記床板を前記脚部に対して上下に昇降させる昇降機構と、
持上げ装置とを備えるベッドであって、
前記持上げ装置は、
前記ベッドの部分であり且つ前記昇降機構が前記床板を昇降させる際に上下方向に移動する部分である上下移動部に取り付けられた取付部と、
前記取付部から延びる支持部とを備え、
前記床板の昇降動作に伴って前記上下移動部が移動する際に、前記支持部が前記ベッドが設置された設置面に当接して前記脚部を前記設置面から持ち上げるベッド。
【請求項7】
前記取付部は、前記上下移動部に固定された固定部である請求項6に記載のベッド。
【請求項8】
前記支持部は前記固定部に対して第1位置と第2位置の間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記床板の昇降動作に伴って前記支持部が前記設置面に当接する位置である請求項7に記載のベッド。
【請求項9】
前記支持部の前記第1位置と前記第2位置との間での変位を、遠隔操作により行うように構成された請求項8に記載のベッド。
【請求項10】
前記床板の下降動作に伴って前記上下移動部が下降する際に、前記支持部が前記設置面に当接して前記脚部を前記設置面から持ち上げる請求項6~9のいずれか一項に記載のベッド。
【請求項11】
前記持上げ装置による前記脚部の最大持上げ量が0[mm]より大きく且つ60[mm]以下である請求項6~10のいずれか一項に記載のベッド。
【請求項12】
前記上下移動部は、前記昇降機構が前記床板を昇降させる際に前記設置面の面内方向に移動しない部分である請求項6~11のいずれか一項に記載のベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持上げ装置及びベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や介護施設等において、ベッド上の被験者(患者、被介護者等)の荷重を検出し、検出した荷重に基づいて当該被験者の生体情報(呼吸情報、心拍情報等)を取得することが行われている。被験者の荷重の検出は例えば、ベッドの脚の下に配置された荷重検出器により行われている。
【0003】
特許文献1は、ベッドの脚の下に配置した荷重検出器により被験者の荷重を検出し、検出した荷重に基づいて被験者の呼吸数を算出する生体情報モニタリングシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるような生体情報モニタリングシステムを使用する際には、ベッドの脚の下に荷重検出器を設置する。また、特許文献1に開示されるような生体情報モニタリングシステムの使用とは関係なく、ベッドの脚の下に振動軽減部材、床面の損傷を防止する部材等の部材を設置する場合もある。
【0006】
ここで、ベッドの脚の下に荷重検出器等の機器や、振動軽減部材等の部材を設置する作業は、ベッドの脚を持上げる必要のある手間のかかる作業である。
【0007】
本発明は、ベッドの脚をベッドが設置された設置面から容易に持ち上げることのできる持上げ装置及びベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に従えば、ベッドの脚部を、該ベッドが設置された設置面から持ち上げる持上げ装置であって、
前記ベッドは、床板を前記脚部に対して上下に昇降させる昇降機構を有し、
前記持上げ装置は、
前記ベッドの部分であり且つ前記昇降機構が前記床板を昇降させる際に上下方向に移動する部分である上下移動部に取り付けられる取付部と、
前記取付部から延びる支持部とを備え、
前記床板の昇降動作に伴って前記上下移動部が移動する際に、前記支持部が前記設置面に当接して前記脚部を前記設置面から持ち上げる持上げ装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の態様に従えば、
脚部と、
床板と、
前記床板を前記脚部に対して上下に昇降させる昇降機構と、
持上げ装置とを備えるベッドであって、
前記持上げ装置は、
前記ベッドの部分であり且つ前記昇降機構が前記床板を昇降させる際に上下方向に移動する部分である上下移動部に取り付けられた取付部と、
前記取付部から延びる支持部とを備え、
前記床板の昇降動作に伴って前記上下移動部が移動する際に、前記支持部が前記ベッドが設置された設置面に当接して前記脚部を前記設置面から持ち上げるベッドが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の持上げ装置及びベッドによれば、ベッドの脚をベッドが設置された設置面から容易に持ち上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(a)、
図1(b)は本発明の実施形態に係るベッドを横方向から見た概略的な図である。
図1(a)は上部フレームが下降位置にある状態を示し、
図1(b)は上部フレームが上昇位置にある状態を示す。
図1(a)、
図1(b)は、ベッドの動作を説明するため一部の構成を透視している。
【
図2】
図2(a)は下部機構の平面図、
図2(b)は昇降機構の平面図、
図2(c)は上部機構の平面図である。
【
図3】
図3(a)、
図3(b)は、下部フレームに取り付けられる摺動ブラケットの斜視図である。
【
図4】
図4は、下部フレームに取り付けられる固定ブラケットの斜視図である。
【
図5】
図5(a)、
図5(b)は、上部フレームに取り付けられる摺動ブラケットの斜視図である。
【
図6】
図6は、上部フレームに取り付けられる固定ブラケットの斜視図である。
【
図7】
図7は、ベッドに固定された持上げ装置を後方から見た図である。
【
図8】
図8(a)、
図8(b)は、ベッドに固定された持上げ装置を右方から見た図である。
図8(a)は柱部が展開位置にある状態を示す。
図8(b)は柱部が収納位置にある状態を示す。
【
図9】
図9(a)、
図9(b)は、持上げ装置によりベッドを持ち上げる持上げ動作の様子を示す説明図である。
図9(a)は、ベッドが上昇位置にあり、持上げ装置の柱部が展開位置にある状態を示す。
図9(b)は、ベッドが下降位置にあり、持上げ装置がベッドを床面から持ち上げた状態を示す。
【
図10】
図10(a)、
図10(b)は、持上げ装置をベッドの昇降機構のアームに取り付けた場合の持上げ動作の様子を示す説明図である。
図10(a)は、ベッドが上昇位置にあり、持上げ装置の柱部が展開位置にある状態を示す。
図10(b)は、ベッドが下降位置にあり、持上げ装置がベッドを床面から持ち上げた状態を示す。
【
図11】
図11(a)、
図11(b)は、持上げ装置をベッドの上部フレームに取り付けた場合の持上げ動作の様子を示す説明図である。
図11(a)は、ベッドが上昇位置にあり、持上げ装置の柱部が展開位置にある状態を示す。
図11(b)は、ベッドが下降位置にあり、持上げ装置がベッドを床面から持ち上げた状態を示す。
【
図12】
図12(a)、
図12(b)は、持上げ装置を平行リンク式の上昇機構を有するベッドに取り付けた場合の持上げ動作の様子を示す説明図である。
図12(a)は、ベッドが上昇位置にあり、持上げ装置の柱部が展開位置にある状態を示す。
図12(b)は、ベッドが下降位置にあり、持上げ装置がベッドを床面から持ち上げた状態を示す。
【
図13】
図13(a)、
図13(b)は、持上げ装置をリクライニング機構を有するベッドに取り付けた場合の持上げ動作の様子を示す説明図である。
図13(a)は、ベッドが上昇位置にあり、持上げ装置の柱部が展開位置にある状態を示す。
図13(b)は、ベッドが下降位置にあり、持上げ装置がベッドを床面から持ち上げた状態を示す。
【
図14】
図14(a)、
図14(b)は、変形例の持上げ装置によりベッドを持ち上げる持上げ動作の様子を示す説明図である。
図14(a)は、ベッドが下降位置にあり、持上げ装置の柱部が展開位置にある状態を示す。
図14(b)は、ベッドが上昇位置にあり、持上げ装置がベッドを床面から持ち上げた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
本発明の実施形態のベッドBDについて、
図1~
図9を参照して説明する。
【0013】
図1(a)、
図1(b)に示す通り、ベッドBDは、下部機構10、上部機構20、昇降機構30、及びベッド持上げ装置40を主に有する。
【0014】
以下の説明においては、ベッドBDの長手方向をベッドBDの縦方向とし、ベッドBDの幅方向をベッドBDの横方向とする。縦方向の一方側(
図1(a)、
図1(b)の右側)を頭側とし、他方側(
図1(a)、
図1(b)の左側)を脚側とする。横方向においては縦方向の脚側から頭側を見た場合の左側、右側をそれぞれ左側、右側とする。縦方向及び横方向に直交する方向を上下方向とする。
【0015】
[下部機構10]
図2(a)に示す通り、下部機構(脚部)10は、下部フレーム(ベースフレーム)11、摺動ブラケット121、122、固定ブラケット131、132、アクチュエータ支持梁14、及び4つのキャスター部(脚部)15を主に有する。
【0016】
下部フレーム11は、平面視矩形の枠状部材であり、縦方向に延びる第1部分111、第2部分112と、横方向に延びる第3部分113、第4部分114とを含む。第1部分111~第4部分114の各々は断面矩形の長手部材である。
【0017】
摺動ブラケット121は長尺部材であり、
図3(a)に示す通り、各々が長尺の平板である上板部121a、下板部121b、及び垂直板部121cを長尺方向に見てコの字状(U字状)に連結した形状を有する。摺動ブラケット122も同様に長尺部材であり、
図3(b)に示す通り、各々が長尺の平板である上板部122a、下板部122b、及び垂直板部122cを長尺方向に見てコの字状(U字状)に連結した形状を有する。上板部121a、122aは下板部121b、122bよりも短い。
【0018】
摺動ブラケット121、122は、ベッドBDの縦方向中央部よりも頭側の位置で、摺動ブラケット121、122の長尺方向を縦方向に一致させた状態で、下部フレーム11の第1部分111、第2部分112に固定されている。
【0019】
固定ブラケット131は、
図4に示すように、互いに対向する一対の平板部131aと、軸131xを中心に円弧状に湾曲して一対の平板部131aの下端部を繋ぐ曲板部131bとを有する。固定ブラケット132も同様に、互いに対向する一対の平板部132aと、軸132xを中心に円弧状に湾曲して一対の平板部132aの下端部を繋ぐ曲板部132bとを有する。
【0020】
固定ブラケット131、132は、ベッドBDの縦方向中央部よりも脚側の位置において、軸131x、132xを横方向に一致させた状態で、下部フレーム11の第1部分111、第2部分112に固定されている。
【0021】
アクチュエータ支持梁14は、横方向に延びる断面円形の長手部材である。アクチュエータ支持梁14の左端部は、摺動ブラケット121よりも頭側において、下部フレーム11の第1部分111に固定されている。アクチュエータ支持梁14の右端部は、摺動ブラケット122よりも頭側において、下部フレーム11の第2部分112に固定されている。
【0022】
キャスター部15は、下部フレーム11の四隅に1つずつ設けられている。4つのキャスター部15の各々は、
図1(a)に示す通り、上下軸周りに回動可能に下部フレーム11に取り付けられたホイール支持部WSと、水平軸周りに回動可能にホイール支持部WSに取り付けられたホイールWとを有する。
【0023】
[上部機構20]
図2(c)に示す通り、上部機構20は、上部フレーム(センターフレーム)21、摺動ブラケット221、222、及び固定ブラケット231、232を主に有する。
【0024】
上部フレーム21は、平面視矩形の枠状部材であり、縦方向に延びる第1部分211、第2部分212と、横方向に延びる第3部分213、第4部分214とを含む。第1部分211~第4部分214の各々は断面矩形の長手部材である。
【0025】
摺動ブラケット221は長尺部材であり、
図5(a)に示す通り、各々が長尺の平板である上板部221a、下板部221b、及び垂直板部221cを、長尺方向に見てコの字状(U字状)に連結した形状を有する。摺動ブラケット222も同様に長尺部材であり、
図5(b)に示す通り、各々が長尺の平板である上板部222a、下板部222b、及び垂直板部222cを、長尺方向に見てコの字状(U字状)に連結した形状を有する。下板部221b、222bが、上板部221a、222aよりも短い。
【0026】
摺動ブラケット221、222は、ベッドBDの縦方向中央部よりも頭側の位置で、摺動ブラケット221、222の長尺方向を縦方向に一致させた状態で、上部フレーム21の第1部分211、第2部分212に固定されている。
【0027】
固定ブラケット231は、
図6に示すように、互いに対向する一対の平板部231aと、軸231xを中心に円弧状に湾曲して一対の平板部231aの上端部を繋ぐ曲板部231bとを有する。固定ブラケット232も同様に、互いに対向する一対の平板部232aと、軸232xを中心に円弧状に湾曲して一対の平板部232aの上端部を繋ぐ曲板部232bとを有する。
【0028】
固定ブラケット231、232は、ベッドBDの縦方向中央部よりも脚側の位置で、軸231x、232xを横方向に一致させた状態で、上部フレーム21の第1部分211、第2部分212に固定されている。
【0029】
その他、上部フレーム21には、不図示の取り付け機構を介して、床板BPが取り付けられている。床板BPの上面が、その上にベッドBDの使用者(患者、被介護者等)が横たわる就寝面である。
【0030】
[昇降機構30]
図2(b)に示す通り、昇降機構30は、内側アーム部31、外側アーム部32、及びアクチュエータ33を主に有する。
【0031】
図1(a)、
図1(b)、
図2(b)に示す通り、内側アーム部31は、下軸311(
図2(b)においては、外側アーム部32の上軸322(後述)の下にあり図示されていない)、上軸312、一対の内側アーム313、及びアクチュエータ連結梁314を有する。
【0032】
下軸311は、横方向に延びる断面円形の長手部材である。下軸311の左端部は下側フレーム11の第1部分111に固定された固定ブラケット131に支持されている。下軸311の右端部は下側フレーム11の第2部分112に固定された固定ブラケット132に支持されている。
【0033】
上軸312は、横方向に延びる断面円形の長手部材である。上軸312の左端部は上側フレーム21の第1部分211に固定された摺動ブラケット221の上板部221aの下面に当接し、摺動ブラケット221を介して上部機構20を支持している。上側軸312の右端部は上側フレーム21の第2部分212に固定された摺動ブラケット222の上板部222aの下面に当接し、摺動ブラケット222を介して上部機構20を支持している。
【0034】
一対の内側アーム313の各々は断面矩形の長手部材である。一対の内側アームの313の一方は、一端部が下軸311の左端部近傍に接続されており、他端部が上軸312の左端部近傍に接続されている。一対の内側アーム313の他方は、一端部が下軸311の右端部近傍に接続されており、他端部が上軸312の右端部近傍に接続されている。
【0035】
アクチュエータ連結梁314は、横方向に延びる断面円形の長手部材である。アクチュエータ連結梁314の左端部は、一対の内側アーム313の一方に、当該内側アーム313の長手方向中央部と当該内側アーム313と上軸312との接続部の略中間部に接続されている。アクチュエータ連結梁314の右端部は、一対の内側アーム313の他方に、当該内側アーム313の長手方向中央部と当該内側アーム313と上軸312との接続部の略中間部に接続されている。
【0036】
外側アーム部32は、下軸321(
図2(b)においては、内側アーム部31の上軸312の下にあり図示されていない)、上軸322、及び一対の外側アーム323を有する。
【0037】
下軸321は、横方向に延びる断面円形の長手部材である。下軸321の左端部は下側フレーム11の第1部分111に固定された摺動ブラケット121の下板部121bに当接して、摺動ブラケット121に支持されている。下軸321の右端部は下側フレーム11の第2部分112に固定された摺動ブラケット122の下板部122bの上面に当接して、摺動ブラケット122に支持されている。
【0038】
上軸322は、横方向に延びる断面円形の長手部材である。上軸322の左端部は上側フレーム21の第1部分211に固定された固定ブラケット231を介して上部機構20を支持している。上軸322の右端部は上側フレーム21の第2部分212に固定された固定ブラケット232を介して上部機構20を支持している。
【0039】
一対の外側アーム323の各々は断面矩形の長手部材である。一対の外側アームの323の一方は、一端部が下軸321の左端部近傍に接続されており、他端部が上軸322の左端部近傍に接続されている。一対の外側アーム323の他方は、一端部が下軸321の右端部近傍に接続されており、他端部が上軸322の右端部近傍に接続されている。
【0040】
内側アーム部31と外側アーム部32とは、枢動軸AXを介して、互いに対して枢動可能に連結されている。枢動軸AXは、横方向に延びる断面円形の長手部材である。左側に位置する内側アーム313と外側アーム323とは、各々の長手方向の中央部において、枢動軸AXの左端部近傍の領域により枢動可能に連結されている。右側に位置する内側アーム313と外側アーム323とは、各々の長手方向の中央部において、枢動軸AXの右端部近傍の領域により枢動可能に連結されている。
【0041】
アクチュエータ33は、シリンダ331と、シリンダ331により伸縮されるロッド332とを有する。アクチュエータ33は例えば、電動アクチュエータ、油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータ等であり得る。
【0042】
シリンダ331は、下部機構10のアクチュエータ支持梁14に枢動可能に支持されている。ロッド332の先端部は、内側アーム部31のアクチュエータ連結梁314に枢動可能に連結されている。
【0043】
[持上げ装置40]
持上げ装置40は、昇降機構30により実行される上部機構20の下部機構10に対する昇降動作(詳細後述)を利用して、下部機構10(より具体的にはキャスター15)を、ベッドBDが設置された設置面(本実施形態では床面F)から持ち上げるための装置である。持上げ装置40は、本実施形態では、昇降機構30の枢動軸AXの、横方向中央部に取り付けられている。
【0044】
図7、
図8に示す通り、持上げ装置40は、把持部(固定部)41と、柱部(支持部)42とを主に有する。
【0045】
把持部41は、持上げ装置40を昇降機構30に対して固定的に取り付けるための構造である。本実施形態では、把持部41は、上部ブロック41aと下部ブロック41bとに分離可能であり、且つ上部ブロック41aと下部ブロック41bとが組み合わされた状態で中央部に保持孔Hが画定されるブロック状である。
【0046】
把持部41は、保持孔Hの内部に昇降機構30の枢動軸AXを収容した状態で上部ブロック41aと下部ブロック41bとを不図示のボルトで互いに固定することにより、枢動軸AXに固定されている。
【0047】
柱部42は、昇降機構30が下降動作を実行する際に、一端(上端)においてベッドBDを、他端(下端)において設置面(床面)を押圧することにより、下部機構10を持ち上げる。
【0048】
柱部42は、棒状の支持柱421と、板状の基部422とを有する。
【0049】
支持柱421は、長尺部材であり、断面形状は、矩形、正方形、円形等、任意であってよい。支持柱421の一端421aは、枢動軸axを介して把持部41の下部ブロック41bに接続されている。支持柱421の他端421bには、基部422が固定されている。
【0050】
基部422は、平板部材であり、平面視形状は、矩形、正方形、円形等、任意であってよい。本実施形態では、正方形の基部422の上面の中央部に、支持柱421の他端421bが固定されている。基部422の下面には、床面の損傷防止、床面に対する滑り止め等のためにゴムシートが貼られていてもよい。
【0051】
図8(a)、
図8(b)に示す通り、柱部42は把持部41に対して、展開位置(第1位置;
図8(a))と収納位置(第2位置;
図8(b))との間で枢動する。柱部42は、展開位置においては、支持柱421が把持部41から下方に垂直に延び、基部422が床面に平行となる。柱部42は、収納位置においては、支持柱421が把持部41から後方に延び、支持柱421が床面に平行となる。なお、柱部42の収納位置はこれには限られず、展開位置とは異なる任意の位置とし得る。
【0052】
なお、本実施形態の持上げ装置40は、把持部41の下部ブロック41bに設けられた第1ピンP1と、柱部42の支持柱421に設けられた第2ピンP2と、一端が第1ピンP1に、他端が第2ピンP2に接続されたコイルバネCSとを含む付勢機構BSを有する。そのため、展開位置、収納位置にある柱部42はそれぞれ、コイルバネCSの引張力により現在の位置を維持する向きに付勢される。また、把持部41の一部と柱部42の一部とを摺動可能に当接させて、ベッドBDの荷重が、把持部41から枢動軸axを介さずに柱部42に伝わるように構成してもよい。これにより持上げ装置40の耐荷重を大きくすることができる。
【0053】
[上部機構20の昇降動作]
上記の構造を有するベッドBDにおいて、上部機構20及び床板BPは次のように昇降される。
【0054】
上部機構20が下降位置(上部機構20が取り得る最も低い位置。
図1(a))にある場合、アクチュエータ33のロッド332は、その大部分がシリンダ331の内部に収容されている。この状態においてアクチュエータ33を駆動させると、ロッド332がシリンダ331より押し出され、ロッド322が内側アーム部31のアクチュエータ連結梁314を斜め上方に押し上げる。本実施形態では、アクチュエータ33の駆動は電動により行われる。
【0055】
これにより、一対の内側アーム313が、下部機構10の固定ブラケット131、132に支持された下軸311を中心に回転し、上部機構20の摺動ブラケット221、222内を摺動する上軸312が、摺動ブラケット221、222を上方に押し上げる。
【0056】
同時に、一対の内側アーム313に枢動可能に連結された一対の外側アーム323が、上部機構20の固定ブラケット231、232に支持された上軸322を中心に回転し、下部機構10の摺動ブラケット121、122内を摺動する下軸321が、摺動ブラケット121、122を下方に押す。そして、これに伴い上軸322が上部機構20の固定ブラケット231、232を上方に押し上げる。
【0057】
このように、ロッド332がシリンダ331により押し出されるに従って、一対の内側アーム313及び一対の外側アーム323が枢動し、上部機構20が上昇する。ロッド332がすべて押し出された状態において、上部機構20は上昇位置(上部機構20が取り得る最も高い位置。
図1(b))に至る。反対に、ロッド332がシリンダ331内に収容されるに従って、上部機構20が降下する。
【0058】
[ベッドBDの持ち上げ動作]
持上げ装置40を用いた、ベッドBDの下部機構10(より具体的にはキャスター15)の床面F(設置面)からの持ち上げは、次のようにして行われる。下部機構10の持ち上げは、具体的には例えば、キャスター15の下に、荷重検出器、振動軽減部材(ゴムシート等)、床面の損傷を防止する部材等を設置するために行われる。
【0059】
ベッドBDのキャスター15を持ち上げようとする作業者は、まず、ベッドBDの昇降機構30を操作して上部機構20を上昇位置に移動させた後、持上げ装置40の柱部42を収納位置から展開位置に移動させる(
図9(a))。作業者は、その後、ベッドBDの昇降機構30を操作して、上部機構20を下降位置へと移動させる。
【0060】
上部機構20が下降位置へと移動する工程においては、上部機構20が下降位置に至る前に基部422が床面Fに当接する。そして、その後更に、下降動作が続けられた場合は、支持柱421の上端が枢動軸AXを上方に押圧し、基部422が床面Fに当接して床面Fを下方に押すことにより、下部機構10が上方に持ち上げられる。
【0061】
これにより、キャスター15が床面Fから持ち上げられる(
図9(b))。この状態で、作業者は、キャスター15の下に荷重検出器等の所望の機器、振動軽減部材、床面の損傷を防止する部材等の所望の部材等を設置する。
【0062】
設置後、作業者は、再び上部機構10を上昇位置に移動させ、持上げ装置40を収納位置に移動させる。以上の工程により、キャスター15の下への荷重検出器等の設置が完了する。
【0063】
ここで、持上げ装置40がベッドBDの下部機構10を持上げる量について整理する。
図9(b)に示すように、保持孔Hの中心C
H(本実施形態では枢動軸AXの中心C
AXに等しい)と展開位置にある柱部42の基部422の底面との間の距離をD1、上部機構20が下降位置にある場合の枢動軸AXの中心C
AXとキャスター15の下端部との間の距離をD2、持上げ装置40がベッドBDの下部機構10を持上げる最大持上げ量をαとすると、次の式が成り立つ。
(式1)
D1-D2=α
【0064】
最大持上げ量αの値は任意であるが、本実施形態では、一例として0[mm]<α≦60[mm]であってよく、15[mm]≦α≦60[mm]であってよく、30[mm]≦α≦60[mm]であってよい。或いは、最大持上げ量αの上限は60[mm]には限られず、70[mm]、80[mm]等でもよい。ベッドの脚を60[mm]持ち上げた場合、市販の荷重検出器や振動軽減部材、床面の損傷を防止する部材等の部材とベッドの脚との間に十分な隙間を確保できるため、設置作業をより容易にすることができる。
【0065】
本実施形態のベッドBDの有利な効果を以下にまとめる。
【0066】
本実施形態のベッドBDは、昇降機構30及び持上げ装置40を有する。したがって、昇降機構30の動作を利用して、持上げ装置40によりベッドBDを上方に押し上げることにより、キャスター15を容易に床面Fから持ち上げることができる。また、キャスター15と床面Fとの間に、荷重検出器、振動軽減部材、床面の損傷を防止する部材等の任意の機器、部材等を容易に配置することができる。このように、キャスター15を容易に持ち上げられることは、昇降機構30を備えるベッドBDのように、重量の大きいベッドにおいて特に有利である。
【0067】
本実施形態のベッドBDは、持上げ装置40によりキャスター15を持上げるため、キャスター15の意図しない降下を抑制することができ、ひいては床面や荷重検出器等の機器等の損傷を抑制することができる。
【0068】
本実施形態のベッドBDは、持上げ装置40によりキャスター15を持上げるため、配置しようとする荷重検出器がキャスター15を当該荷重検出器に載置するためのスロープを有さない態様であっても、当該荷重検出器を容易にキャスター15の下に配置することができる。スロープを有さない荷重検出器は平面視の寸法が比較的小さいため、このような荷重検出器を容易にキャスター15の下に配置できることは、ベッドの周囲の空間が限られている場合に特に有利である。
【0069】
また、本実施形態では、持上げ装置40が、配置される機器、部材等とは別体であるため、同一の持上げ装置40を用いて、任意の機器、部材等を配置することができる。
【0070】
本実施形態のベッドBDが備える持上げ装置40は、ベッドBDの昇降機構30を利用して、持上げ装置40自体は動力を有することをなく、キャスター15を床面から持ち上げる。したがって持上げ装置40、及びベッドBDは、キャスター15の持上げの専用の駆動源を必要とせず、構成が簡略である。
【0071】
<変形例>
上記実施形態において、次の変形態様を用いることもできる。
【0072】
上記実施形態では、ベッドBDの枢動軸AXの左右方向の中央部に単一の持上げ装置40を設けているが、これには限られない。ベッドBDにおける持上げ装置40の取付け位置、ベッドBDが備える持上げ装置40の数は任意である。なお、ベッドBDにおける持上げ装置40の取付け位置が、床板BPの昇降時に床面Fの面内方向(水平方向)に移動しない位置とすることで、持上げ装置40による下部機構10の持上げをより安定して行うことができる。また、ベッドBDにおける持上げ装置40の取付け位置が床面Fに近いほど、持上げ装置40の支持柱421を短くすることができ、ひいては持上げ装置40を小型化することができる。
【0073】
具体的には例えば、枢動軸AXに沿って2つの持上げ装置40を設けてもよい。この場合は例えば、枢動軸AXの左端近傍及び右端近傍に持上げ装置40を1つずつ設けてもよい。或いは、枢動軸AXに沿って3つの持上げ装置40を設けてもよい。この場合は例えば、枢動軸AXの左端近傍、右端近傍、及び左右中央に持上げ装置40を1つずつ設けてもよい。
【0074】
或いは、
図10(a)、
図10(b)に示すように、ベッドBDの昇降機構30の、内側アーム313、外側アーム323に持上げ装置40を設けてもよい。この場合は例えば、4本のアーム(即ち、左右両側の内側アーム313、及び左右両側の外側アーム323)のそれぞれに、1つずつ持上げ装置40を設けてもよい。この態様で用いる持上げ装置40の寸法D1は、上記実施形態の持上げ装置40の寸法D1より小さくてもよい。
【0075】
内側アーム313、外側アーム323に持上げ装置40を設けた場合も、枢動軸AXに持上げ装置40を設けた場合と同様に、昇降機構30の下降動作によりキャスター15を床面Fから持ち上げることができる。なお、床板BPの昇降に伴って内側アーム313、外側アーム323が回転し、床面Fに対する基部422の角度も変化する。したがって、内側アーム313、外側アーム323への持上げ装置40の取付けは、持上げ装置40が最大持上げ高さαまで下部機構10を持ち上げた状態で基部422と床面Fとが平行となるように行ってもよい。或いは、基部422を省略してもよい。
【0076】
或いは、
図11(a)、
図11(b)に示すように、ベッドBDの上部機構20に持上げ装置40を設けてもよい。この場合は例えば、上部フレーム21に左右方向に延びる梁215を追加し、梁215に持上げ装置40を設けてもよい。この態様で用いる持上げ装置40の寸法D1は、上記実施形態の持上げ装置40の寸法D1より大きくてもよい。
【0077】
上部フレーム21に持上げ装置40を設けた場合も、枢動軸AXに持上げ装置40を設けた場合と同様に、昇降機構30の下降動作によりキャスター15を床面Fから持ち上げることができる。
【0078】
上記実施形態では、ベッドBDの昇降機構30は、2本のアームがX字状に連結されたパンタアーム機構を一対備える機構であるが、これには限られない。昇降機構30は例えば、パンタアーム機構に代えて平行リンク機構を備えてもよい。
【0079】
平行リンク機構を備える昇降機構30は例えば、
図12(a)、
図12(b)に示すリンク機構70を4つ備える。リンク機構70は、ベッドBDの平面視において、頭側の右側及び左側、脚側の右側及び左側にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0080】
リンク機構70の各々は、下部機構10に接続された第1支持部71、上部機構20に接続された第2支持部72、第1支持部71及び第2支持部72に枢動可能に連結されたアーム73を備える。第1支持部71とアーム73の下端部とは枢動ピン74により枢動可能に連結されており、第2支持部72とアーム73の上端部とは枢動軸75により枢動可能に連結されている。なお、枢動軸75は、左右に並ぶ一対のリンク機構70にまたがって1本が設けられている。即ち、1本の枢動軸75は、右端近傍において右側のリンク機構70の第2支持部72とアーム73とを枢動可能に連結しており、左端近傍において左側のリンク機構70の第2支持部72とアーム73とを枢動可能に連結している。
【0081】
持上げ装置40は、具体的には例えば、頭側の左右に取り付けられた一対のリンク機構70にまたがる枢動軸75の左右中央に取り付けられている。
【0082】
昇降装置30が平行リンク機構を備える場合も、昇降装置30がパンタアーム機構を備える場合と同様に、昇降機構30の下降動作によりキャスター15を床面Fから持ち上げることができる。
【0083】
上記実施形態では、ベッドBDの昇降機構30は、床板BPが床面Fに対して平行である状態を保ったまま、床板BP(上部機構20)を上下方向に移動させる機構であるが、これには限られない。昇降機構30は、
図13(a)、
図13(b)に示すように、床板BPの頭側部分BP1を、床板BPの脚側部分BP2に対して傾斜させるリクライニング機構であってもよい。本発明において、「昇降機構」は「リクライニング機構」を含む。リクライニング機構においては、頭側部分BP1の水平面に対する傾斜を大きくする動作が床板の上昇であり、頭側部分BP1の水平面に対する傾斜を小さくする動作が床板の下降である。
【0084】
リクライニング機構としては、例えば、下部機構10と床板BP1との間に設けたアクチュエータ(実施形態のアクチュエータ33と同様の構造を有し得る)により床板BP1を押圧することにより床板BP1を傾斜させる機構が知られている。或いは、横方向に水平に延びる軸周りに枢動可能な態様で下部機構10に接続されたアームを、下部機構10に設けられたアクチュエータ(実施形態のアクチュエータ33と同様の構造を有し得る)等により枢動させ、当該アームにより床板BP1を押圧することにより床板BP1を傾斜させる機構も知られている。
【0085】
昇降機構30がリクライニング機構である場合は、例えば、床板BP1(或いはこれを支持する上部機構20)に設けられた梁部(不図示)に持上げ装置40を取り付け得る。
図13(a)、
図13(b)に示すように、昇降装置30がリクライニング機構である場合も、上記実施形態と同様に、昇降機構30の下降動作によりキャスター15を床面Fから持ち上げることができる。なお、床板BP1のリクライニング動作に伴って床面Fに対する基部422の角度も変化する。したがって、床板BP1、上部機構20への持上げ装置40の取付けは、持上げ装置40が最大持上げ高さαまで下部機構10を持ち上げた状態で基部422と床面Fとが平行となるように行ってもよい。或いは、基部422を省略してもよい。
【0086】
上記実施形態では、持上げ装置40は、昇降機構30が上部機構20を下降させる過程で下部機構20を床面Fから持ち上げるように構成されているが、これには限られない。持上げ装置40に代えて、昇降機構30が上部機構20を上昇させる過程で下部機構20を床面Fから持ち上げる構成を有する持上げ装置50を用い得ることもできる。
【0087】
持上げ装置50は例えば、
図14(a)に示すように、昇降機構30の、内側アーム313、外側アーム323の下端部に取り付けられる。
図14(a)は、4本のアーム(即ち、左右両側の内側アーム313、及び左右両側の外側アーム323)のそれぞれの下端部に、展開位置にある持上げ装置50が1つずつ取り付けられた状態を示す(図中では右側の持上げ装置50のみが描かれている)。
【0088】
持上げ装置50は、内側アーム313、外側アーム323を把持する把持部51(固定部)と、把持部51に接続された柱部(支持部)52とを有する。把持部51は、内側アーム313、外側アーム323に持上げ装置50を固定し得る任意の構造であり得る。具体的には例えば、把持部41のように、分離したブロックにより内側アーム313、外側アーム323を挟んで固定する構造であり得る。
【0089】
柱部52は例えば、把持部51から入れ子式に伸縮する柱であってもよい。この場合は、柱部52は、収縮した収納位置(第2位置)と、伸長した展開位置(第1位置)との間で変位する。展開位置にある柱部52は、内側アーム313、外側アーム323と平行に延びる。その他、柱部52は、把持部51に対して枢動する柱であってもよい。この場合は、柱部52は例えば、把持部51から水平方向に延びる収納位置(第2位置)と、把持部51から内側アーム313、外側アーム323と平行に延びる展開位置(第1位置)との間で枢動する。展開位置にある柱部52は、ロック機構(不図示)により枢動が規制され得る。
【0090】
持上げ装置50によりベッドBDのキャスター15を持ち上げようとする作業者は、まず、ベッドBDの昇降機構30を操作して上部機構20を下降位置に移動させた後、持上げ装置50の柱部52を展開位置とする(
図14(a))。作業者は、その後、ベッドBDの昇降機構30を操作して、上部機構20を上昇位置へと移動させる。
【0091】
上部機構20が上昇位置へと移動する工程においては、内側アーム313、外側アーム323が枢動し、持上げ装置50の柱部52の下端部が床面Fに当接する。そして、その後更に、上昇動作が続けられた場合は、柱部52の下端部が床面Fを下方に押すことにより、下部機構10が上方に持ち上げられる(
図14(b))。
【0092】
上記実施形態及び変形例では、4つのキャスター15を同時に床面Fから持ち上げる態様について説明したが、これには限られない。持上げ装置40、50は、4つのキャスター15のいずれか1つを持上げるように設けられていてもよい。
【0093】
上記実施形態及び変形例の持上げ装置40、50において、把持部41、51は、持上げ装置40、50をベッドBDに固定し得る任意の構造とし得る。具体的には例えば、ベッドBDの梁部等を挟むクランプであってよい。或いは、ベッドBDの梁部等に設けられたボルト孔にボルト留めされる当接部でもよい。
【0094】
上記実施形態及び変形例の持上げ装置40において、柱部42は、昇降機構30の下降動作に応じて下部機構20を持上げ得る任意の構成とし得る。
【0095】
具体的には例えば、展開位置において柱部42の枢動を規制するロック機構を有してもよい。また、柱部42は、棒状の支持柱421に代えて板状の支持板を有してもよい。この場合、展開位置にある支持板は、上下方向及び横方向に拡がる面内に配置されてよく、収納位置にある支持板は前後方向及び横方向に拡がる面内(即ち水平面内)に配置されてよい。柱部42は基部422を有さなくてもよい。
【0096】
上記実施形態及び変形例の持上げ装置40、50は、柱部42、52の展開位置と収納位置との間での変位を手動により行うように構成されているが、これには限られない。持上げ装置40、50は、柱部42、52の展開位置と収納位置との間での変位を電動により行うように構成されていてもよい。
【0097】
上記実施形態及び変形例の持上げ装置40、50は、柱部42、52の展開位置と収納位置との間での変位を、遠隔操作により行うように構成されていてもよい。具体的には例えば、持上げ装置40、50に、柱部42、52を移動させる電動駆動機構を設け、これをリモコン等により有線又は無線により遠隔操作する構成とし得る。或いは、持上げ装置40、50に、柱部42、52を移動させる機械的な駆動機構を設けるとともに、例えば下部フレーム10にレバーを設け、当該レバーを操作することで柱部42、52が移動するように、当該レバーと当該駆動機構とをリンク機構で繋いでもよい。
【0098】
上記実施形態及び変形例においては、持上げ装置40、50はベッドBDに固定されているがこれには限られない。持上げ装置40、50はベッドBDに対して着脱可能であってもよい。ベッドBDに対して着脱可能な持上げ装置40、50も、本発明の持上げ装置の一例である。
【0099】
持上げ装置40は、把持部41に代えて、ベッドBDに係合する係合部を備える構成であってもよい。係合部は例えば、把持部41の上部ブロック41aを省略することにより得られる。持上げ装置40をベッドBDに対して固定せず、ベッドBDに着脱自在に係合させた状態で使用することによっても、上記実施形態と同様の機序により、下部機構10の持上げを行うことができる。係合部は或いは、棒状の部位を有し、当該棒状部位を、ベッドBDに設けられた孔部に挿入することにより持上げ装置40をベッドBDに係合させるように構成されていてもよい。
【0100】
本発明では、把持部等のベッドBDに対して持上げ装置を固定的に取り付ける部分を総称して「固定部」と呼ぶ。また、「固定部」と、ベッドBDに対して着脱自在に係合する「係合部」とを総称して「取付部」と呼ぶ。「取付部」を介して、昇降機構を有する任意のベッドに固定的に取り付けられ或いは着脱自在に係合して使用される持上げ装置は本発明の一態様である。
【0101】
ベッドBDに対して着脱可能な持上げ装置は、柱部42、52が取付部に対して固定された(即ち、展開位置と収納位置との間で変位しない)構成であってもよい。
【0102】
持上げ装置40、50のベッドBDへの固定、係合は、床板BPを昇降させる際に上下方向に移動する部分である上下移動部に対して行う。上述した枢動軸AX、内側アーム313、外側アーム323、上部フレーム20、枢動軸75等は上下移動部の一例である。
【0103】
持上げ装置40、50は、全てのキャスター15ではなく、少なくとも1つのキャスター15を持ち上げるように取り付けてもよい。
【0104】
上記実施形態及び変形例において、ベッドBDはキャスター15を有しているがこれには限られない。ベッドBDはキャスターを有さなくてもよい。
【0105】
上記実施形態及び変形例において、ベッドBDの昇降機構30は電動式であるがこれには限られない。ベッドBDの昇降機構30は手動式であってもよい。
【0106】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
10 下部機構; 11 下部フレーム; 15 キャスター: 20 上部機構; 30 昇降機構; 40、50 持上げ装置BD; 41、51 把持部; 42、52 柱部; BD ベッド; BP 床板