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特開2024-143006情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143006
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241003BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G08G1/00 C
G08G1/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055456
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】中村 龍馬
(72)【発明者】
【氏名】松平 正樹
(72)【発明者】
【氏名】岡野 謙悟
(72)【発明者】
【氏名】二見 晃仁
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181DD01
5H181EE03
5H181MC04
5H181MC12
5H181MC25
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】精度よく交通流を予測することを可能とする技術が提供されることが望まれる。
【解決手段】第1の時刻を基準として取得される第1の時間分の交通密度に基づく複数の第1の平均交通密度を算出し、前記複数の第1の平均交通密度における前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出するとともに、前記第1の時刻における複数の第1の交通密度に基づいて、前記複数の第1の交通密度における前記複数の第1の交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出する学習部と、第2の時刻を基準として取得される第2の時間分の交通密度に基づいて、第2の平均交通密度を算出し、前記第2の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値と、前記第1の交通密度のパーセンタイル値とに基づいて、前記第2の時刻より後の時刻の交通密度を予測する予測部と、を備える、情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の時刻を基準として取得される第1の時間分の交通密度に基づく複数の第1の平均交通密度を算出し、前記複数の第1の平均交通密度における前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出するとともに、前記第1の時刻における複数の第1の交通密度に基づいて、前記複数の第1の交通密度における前記複数の第1の交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出する学習部と、
第2の時刻を基準として取得される第2の時間分の交通密度に基づいて、第2の平均交通密度を算出し、前記第2の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値と、前記複数の第1の交通密度それぞれのパーセンタイル値とに基づいて、前記第2の時刻より後の時刻の交通密度を予測する予測部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記予測部は、
交通密度の算出に用いられる速度の取得タイミングの最大遅延時間を算出し、前記第2の時刻から前記最大遅延時間だけ過去に遡った時刻を基準時刻とし、前記基準時刻に応じた処理対象時間幅の平均交通密度を前記第2の平均交通密度として算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測部は、
交通密度の算出に用いられる速度が取得されていない道路上のセルおよび時刻である遅延部分が存在する場合に、前記複数の第1の交通密度における前記遅延部分のパーセンタイル値を算出し、
前記遅延部分のパーセンタイル値に対応付けられた暫定的な予測交通密度を取得し、
前記暫定的な予測交通密度と、前記遅延部分以外の部分における前記第1の交通密度とに基づいて、前記第2の平均交通密度を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測部は、
前記第1の時刻から過去に遡りながら、交通密度の算出に用いられる速度が取得された所定の数分の時刻を道路上のセルごとにデータ遅延の無い時刻として検出し、データ遅延の無い時刻に対応する交通密度に基づいて、前記第2の平均交通密度を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記学習部は、
同一の種類の日に属する計測時刻に対応付けられた前記複数の第1の平均交通密度を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記学習部は、
同一の種類の日に属する計測時刻に対応付けられた前記複数の第1の交通密度を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
第1の時刻を基準として取得される第1の時間分の交通密度に基づく複数の第1の平均交通密度を算出し、前記複数の第1の平均交通密度における前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出するとともに、前記第1の時刻における複数の第1の交通密度に基づいて、前記複数の第1の交通密度における前記複数の第1の交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出することと、
第2の時刻を基準として取得される第2の時間分の交通密度に基づいて、第2の平均交通密度を算出し、前記第2の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値と、前記複数の第1の交通密度それぞれのパーセンタイル値とに基づいて、前記第2の時刻より後の時刻の交通密度を予測することと、
を備える、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
第1の時刻を基準として取得される第1の時間分の交通密度に基づく複数の第1の平均交通密度を算出し、前記複数の第1の平均交通密度における前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出するとともに、前記第1の時刻における複数の第1の交通密度に基づいて、前記複数の第1の交通密度における前記複数の第1の交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出する学習部と、
第2の時刻を基準として取得される第2の時間分の交通密度に基づいて、第2の平均交通密度を算出し、前記第2の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値と、前記複数の第1の交通密度それぞれのパーセンタイル値とに基づいて、前記第2の時刻より後の時刻の交通密度を予測する予測部と、
を備える情報処理装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサによって収集されたセンサデータに基づいて交通流をシミュレーションする技術として様々な技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、予測を行なう現時点から一定時間過去に遡った時点までの時間帯と、経路上の小区間とからなる時空間の交通流データ分布を求め、さらに、過去における時空間の交通流データ分布を求める方法が示されている(例えば、段落0032-0038など)。そして、この二つの交通流データ分布のマッチングによって、過去における類似の交通状況の時点を抽出し、当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し、当経路の過去における将来時点での経路推定旅行時間を求める方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-11596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、小区間ごとにリアルタイムに計測して得られた交通流データをもとにしており、小区間の距離を短くすれば、計測するためのセンサを数多く設置しなければならないという問題点があった。
【0006】
また、特許文献1に記載された技術は、小区間の距離を長くすれば、設置したセンサが小区間の交通流を代表することになるため、小区間内で変化する交通流に対応できないという問題点があった。
【0007】
一方、ETC(Electronic Toll Collection System)2.0のような道路上に設置したアンテナと車両に搭載された車載器が通信し走行履歴を取得する方式では、アンテナから離れた地点からの交通流データの取得に遅延が生じるという問題点があった。
【0008】
そこで、精度よく交通流を予測することを可能とする技術が提供されることが望まれる。例えば、アンテナから離れた地点の交通流データの取得に遅延が生じる場合であっても精度よく交通流を予測することを可能とする技術が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1の時刻を基準として取得される第1の時間分の交通密度に基づく複数の第1の平均交通密度を算出し、前記複数の第1の平均交通密度における前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出するとともに、前記第1の時刻における複数の第1の交通密度に基づいて、前記複数の第1の交通密度における前記複数の第1の交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出する学習部と、第2の時刻を基準として取得される第2の時間分の交通密度に基づいて、第2の平均交通密度を算出し、前記第2の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値と、前記第1の交通密度のパーセンタイル値とに基づいて、前記第2の時刻より後の時刻の交通密度を予測する予測部と、を備える、情報処理装置が提供される。
前記学習部は、機械学習により前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値および前記複数の第1の交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出してもよい。
【0010】
前記予測部は、交通密度の算出に用いられる速度の取得タイミングの最大遅延時間を算出し、前記第2の時刻から前記最大遅延時間だけ過去に遡った時刻を基準時刻とし、前記基準時刻に応じた処理対象時間幅の平均交通密度を前記第2の平均交通密度として算出してもよい。
【0011】
前記予測部は、交通密度の算出に用いられる速度が取得されていない道路上のセルおよび時刻である遅延部分が存在する場合に、前記複数の第1の交通密度における前記遅延部分のパーセンタイル値を算出し、前記遅延部分のパーセンタイル値に対応付けられた暫定的な予測交通密度を取得し、前記暫定的な予測交通密度と、前記遅延部分以外の部分における前記第1の交通密度とに基づいて、前記第2の平均交通密度を算出してもよい。
【0012】
前記予測部は、前記第1の時刻から過去に遡りながら、交通密度の算出に用いられる速度が取得された所定の数分の時刻を道路上のセルごとにデータ遅延の無い時刻として検出し、データ遅延の無い時刻に対応する交通密度に基づいて、前記第2の平均交通密度を算出してもよい。
【0013】
前記学習部は、同一の種類の日に属する計測時刻に対応付けられた前記複数の第1の平均交通密度を算出してもよい。
【0014】
前記学習部は、同一の種類の日に属する計測時刻に対応付けられた前記複数の第1の交通密度を取得してもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、第1の時刻を基準として取得される第1の時間分の交通密度に基づく複数の第1の平均交通密度を算出し、前記複数の第1の平均交通密度における前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出するとともに、前記第1の時刻における複数の第1の交通密度に基づいて、前記複数の第1の交通密度における前記複数の第1の交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出することと、第2の時刻を基準として取得される第2の時間分の交通密度に基づいて、第2の平均交通密度を算出し、前記第2の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値と、前記第1の交通密度のパーセンタイル値とに基づいて、前記第2の時刻より後の時刻の交通密度を予測することと、を備える、コンピュータにより実行される情報処理方法が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、コンピュータを、第1の時刻を基準として取得される第1の時間分の交通密度に基づく複数の第1の平均交通密度を算出し、前記複数の第1の平均交通密度における前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出するとともに、前記第1の時刻における複数の第1の交通密度に基づいて、前記複数の第1の交通密度における前記複数の第1の交通密度それぞれのパーセンタイル値を算出する学習部と、第2の時刻を基準として取得される第2の時間分の交通密度に基づいて、第2の平均交通密度を算出し、前記第2の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度と、前記複数の第1の平均交通密度それぞれのパーセンタイル値と、前記第1の交通密度のパーセンタイル値とに基づいて、前記第2の時刻より後の時刻の交通密度を予測する予測部と、を備える情報処理装置として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、精度よく交通流を予測することを可能とする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る交通流予測装置1の機能構成例を示す図である。
図2】フリーフローデータ記憶部123によって記憶されるフリーフローデータの例を示す図である。
図3】プローブデータ記憶部122によって記憶されるプローブデータの例を示す図である。
図4】交通密度(K)と速度(V)との組とKV関係式とを示す図である。
図5】KVパラメータ作成部141によって実行されるKVパラメータ作成処理の例を示すフローチャートである。
図6】推定地点に到達した車両の計測地点における通過時刻の算出例を説明するための図である。
図7】計測地点における交通量から推定地点における交通量を算出する例を説明するための図である。
図8】交通密度算出部142によって実行される交通密度算出処理の例を示すフローチャートである。
図9】学習部143による機械学習の動作の例を示すフローチャートである。
図10】予測部144によってプローブデータ記憶部122からリアルタイムに取得される速度の例を示す図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る予測部144による交通流の予測動作の例を示すフローチャートである。
図12】本発明の第1の実施形態に係る処理対象時間幅の例を示す図である。
図13】本発明の第1の実施形態の変形例に係る予測部144による交通流の予測動作の例を示すフローチャートである。
図14】本発明の第2の実施形態の変形例に係る予測部144による交通流の予測動作の例を示すフローチャートである。
図15】本発明の第2の実施形態に係るデータ遅延の無い通過時刻の例を示す図である。
図16】本発明の実施形態に係る交通流予測装置1の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
(1.第1の実施形態の詳細)
まず、本発明の第1の実施形態の詳細について説明する。
【0021】
(1-1.交通流予測装置の構成)
まず、本発明の第1の実施形態に係る交通流予測装置1の構成例について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る交通流予測装置1の機能構成例を示す図である。
【0022】
図1を参照すると、道路上を走行する車両の例として、車両M1~M3が示されている。さらに、図1を参照すると、奥側の車線を、車両M1と車両M2とが走行しており(車両M2に続いて車両M1が走行しており)、手前側の車線を、奥側の車線の車両M1および車両M2とは逆向きに車両M3が走行している。このように、本発明の第1の実施形態では、道路が複数車線によって構成される場合を主に想定するが、道路は1つの車線によって構成されていてもよい。車両M1~M3それぞれは、車載器を搭載している。なお、車線は、「レーン」とも換言され得る。
【0023】
本発明の第1の実施形態に係る交通流予測装置1は、走行履歴データ記憶部121と、プローブデータ記憶部122と、フリーフローデータ記憶部123と、交通量データ記憶部124と、KVパラメータ記憶部125と、学習モデル記憶部126と、交通密度データ記憶部127とを備える。また、本発明の第1の実施形態に係る交通流予測装置1は、統計処理部131と、交通量算出部133と、処理部140とを備える。処理部140は、KVパラメータ作成部141と、交通密度算出部142と、学習部143と、予測部144とを備える。
【0024】
走行履歴データ記憶部121には、プローブアンテナ112が接続されており、フリーフローデータ記憶部123には、フリーフローアンテナ114が接続されている。
【0025】
統計処理部131と、交通量算出部133と、処理部140とは、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置を含み、ROM(Read Only Memory)により記憶されているプログラムが演算装置によりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。
【0026】
あるいは、統計処理部131と、交通量算出部133と、処理部140とは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。演算装置による演算に必要なデータは、図示しない記憶部によって適宜記憶される。
【0027】
走行履歴データ記憶部121と、プローブデータ記憶部122と、フリーフローデータ記憶部123と、交通量データ記憶部124と、KVパラメータ記憶部125と、学習モデル記憶部126と、交通密度データ記憶部127とは、図示しない記憶部によって実現される。かかる記憶部は、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブまたはフラッシュメモリなどのメモリによって構成されてよい。
【0028】
(フリーフローアンテナ114)
フリーフローアンテナ114は、道路上の各位置を走行する車両の検出を行う車両検出部の一例として機能する。すなわち、本発明の第1の実施形態では、車両検出部が、フリーフローアンテナ114を含む場合を主に想定する。これによって、既に構築されているETC(Electronic Toll Collection)システムのETCフリーフローアンテナが車両検出部として用いられ得るため、新たに車両検出部を設ける必要がない。しかし、フリーフローアンテナ114の代わりに、他の車両検出部(例えば、車両感知器、赤外線センサまたは超音波センサなど)が用いられてもよい。
【0029】
より詳細には、フリーフローアンテナ114は、車両に搭載された車載器との間の通信によって車両から車両の識別情報(車両ID)を受信することによって車両をリアルタイムに検出する。本発明の第1の実施形態では、車載器の例として、ETC車載器が用いられる場合を主に想定する。なお、フリーフローアンテナ114は、複数のバージョンのETC車載器に対応している場合が想定される一方、後に説明するプローブアンテナ112は、特定のバージョンのETC車載器にしか対応していない場合が想定される。すなわち、フリーフローアンテナ114は、プローブアンテナ112よりも、より多くの車両を検出し得る。
【0030】
なお、フリーフローアンテナ114によって車両が検出される道路上の「各位置」は、車両検出部によって検出可能な車両の位置であれば、特に限定されない。以下では、フリーフローアンテナ114によって車両が検出され得る道路上の各位置を、単に「フリーフローアンテナ位置」と言う場合がある。
【0031】
フリーフローアンテナ114は、車両に搭載された車載器との間の通信によって車両IDを受信することによって車両をリアルタイムに検出すると、車両の検出結果(以下、「フリーフローデータ」とも言う。)をフリーフローデータ記憶部123にリアルタイムに出力する。そして、フリーフローアンテナ114からフリーフローデータ記憶部123にリアルタイムに出力された車両の検出結果は、交通量算出部133によって、リアルタイムに利用され得る。
【0032】
ここで、「リアルタイム」は、フリーフローアンテナ位置に車両が到達してから道路上の交通状態が変化してしまう前までの短時間のいずれかのタイミングを意味し得る。このタイミングに車両が検出されれば、道路上の交通状態が変化してしまう前に、車両が検出された時点の交通状態に応じた何らかの措置が講じられ得る。
【0033】
図2は、フリーフローデータ記憶部123によって記憶されるフリーフローデータの例を示す図である。図2に示されるように、フリーフローデータは、「車両ID」と「通過時刻」とが対応付けられてなる。「車両ID」は、フリーフローアンテナ114と車両に搭載された車載器との間の通信によって車両から受信された車両の識別情報である。「通過時刻」は、フリーフローアンテナ114によって車両から車両IDが受信された時刻であり、フリーフローアンテナ位置を車両が通過した時刻に相当し得る。
【0034】
(交通量算出部133)
交通量算出部133は、フリーフローアンテナ位置を走行する車両の検出結果(フリーフローデータ)をフリーフローデータ記憶部123(図2)から取得する。そして、交通量算出部133は、フリーフローデータ(車両IDおよび通過時刻)に基づいて、あらかじめ設定された単位時間あたりにフリーフローアンテナ位置を通過した車両の数(フリーフローアンテナ114によって単位時間あたりに検出された車両IDの数)を、フリーフローアンテナ位置の交通量として算出する。交通量算出部133による交通量の算出は、単位時間ごとに繰り返し行われればよい。
【0035】
なお、フリーフローアンテナ位置を通過した全部の車両に、フリーフローアンテナ114と通信可能な車載器が搭載されているとは限らない。すなわち、フリーフローアンテナ114によってフリーフローアンテナ位置を通過した全部の車両が検出されるとは限らない。したがって、フリーフローアンテナ114と通信可能な車載器が搭載された車両の、(フリーフローアンテナ114と通信可能な車載器が搭載されていない車両を含んだ)車両全体に対する割合を「車載器搭載割合」としてあらかじめ設定し、フリーフローアンテナ114によって検出された車両の数を「検出車両数」とした場合、交通量算出部133は、下記の式(1)によって、フリーフローアンテナ位置の交通量をより高精度に推定するのが望ましい。
【0036】
(交通量の推定値)=(検出車両数)÷(車載器搭載割合)・・・(1)
【0037】
しかし、フリーフローアンテナ114と通信可能な車載器が十分に普及している場合などには、かかる推定は省略されてもよい。交通量算出部133によって推定された交通量とその交通量に対応する時間の終端である計測時刻とその交通量に対応するフリーフローアンテナ位置とは、各フリーフローアンテナ位置に対応する交通量データとして交通量が推定される度に交通量データ記憶部124に出力される。
【0038】
(プローブアンテナ112)
プローブアンテナ112は、車両の走行履歴データを取得する走行履歴データ取得部の一例として機能する。すなわち、本発明の第1の実施形態では、走行履歴データ取得部が、プローブアンテナ112を含む場合を主に想定する。これによって、既に構築されているETCシステムのETCプローブアンテナが走行履歴データ取得部として用いられ得るため、新たに走行履歴データ取得部を設ける必要がない。しかし、プローブアンテナ112の代わりに、他の走行履歴データ取得部(例えば、携帯基地局など)が用いられてもよい。
【0039】
より詳細に、プローブアンテナ112は、車両に搭載された車載器との間の通信によって車両から走行履歴データを取得すると、取得した走行履歴データを走行履歴データ記憶部121に出力する。そして、プローブアンテナ112から走行履歴データ記憶部121に出力された走行履歴データは、統計処理部131によって利用され得る。
【0040】
なお、走行履歴データは、走行履歴地点幅(例えば、100m)ごとに規定された道路上の区間(キロポスト間)ごと、かつ、走行履歴時間幅(例えば、1分間)ごとに走行した各車両の速度と、プローブアンテナ112によって速度が収集された時刻である収集時刻とを含む。
【0041】
(統計処理部131)
統計処理部131は、走行履歴データ記憶部121から走行履歴データを取得し、走行履歴データに対して統計処理を施し、統計処理後の走行履歴データをプローブデータとしてプローブデータ記憶部122に出力する。そして、統計処理部131からプローブデータ記憶部122に出力されたプローブデータは、KVパラメータ作成部141によって利用され得る。
【0042】
例えば、統計処理部131は、道路上の区間(キロポスト間)ごと、かつ、走行履歴時間幅ごとに、走行した1または複数の車両の速度に対して所定の統計処理(例えば、平均化処理など)を施す。これによって、道路上の各区間における走行履歴時間幅ごとの車両速度の統計量が得られる。なお、平均化処理の例としては、調和平均を取る処理などが挙げられる。
【0043】
図3は、プローブデータ記憶部122によって記憶されるプローブデータの例を示す図である。図3に示されるように、プローブデータは、「通過時刻」と「キロポスト」と「速度」と「収集時刻」とが対応付けられてなる。
【0044】
「通過時刻」は、道路の起点からの距離標(キロポスト)を車両が通過した時間の終端時刻である。例えば、「通過時刻:2019年01月01日10時24分」は、距離標(キロポスト)を車両が通過した時間の終端時刻が「2019年01月01日10時24分」であることを示す。「キロポスト」は、道路の起点からの距離標である。
【0045】
「速度」は、道路上の各区間(キロポスト間)を走行履歴時間幅(通過時刻間)ごとに走行した1または複数の車両速度の統計量(例えば、平均速度)である。例えば、「速度:80km/h」は、「キロポスト:100」から「キロポスト:100.1」までを、「通過時刻:2019年01月01日10時23分」から「2019年01月01日10時24分」までに走行した1または複数の車両の速度の統計量である。
【0046】
「収集時刻」は、プローブアンテナ112によって車両の速度が収集された時刻である。
【0047】
(KVパラメータ作成部141)
KVパラメータ作成部141は、プローブデータ記憶部122からフリーフローアンテナ位置ごとの所定期間分の速度および通過時刻を取得する。さらに、KVパラメータ作成部141は、交通量データ記憶部124からフリーフローアンテナ位置ごとの所定期間分の交通量データ(交通量および計測時刻)を取得する。
【0048】
KVパラメータ作成部141は、所定期間分の交通量および計測時刻と、当該所定期間分の速度および通過時刻とに基づいて、機械学習により交通密度(K)と速度(V)との対応関係(以下の例では、近似式)を示すパラメータをフリーフローアンテナ位置ごとに作成する。
【0049】
より詳細には、KVパラメータ作成部141は、同一の時刻および同一のフリーフローアンテナ位置に対応する交通量(Q)と速度(V)とを対応付ける。そして、KVパラメータ作成部141は、下記の式(2)によって、対応付けられた交通量(Q)および速度(V)ごとに、交通密度(K)を算出する。
【0050】
K=Q×1/(V×60)・・・(2)
【0051】
ただし、Kは、交通密度(台/km)を示し、Qは、交通量(台/分)を示し、Vは、速度(km/時間)を示す。KVパラメータ作成部141は、対応する交通密度(K)と速度(V)との組を所定の関係で近似し、近似によって得られた近似式(KV関係式)のパラメータをKVパラメータとして作成する。
【0052】
ここでは、KVパラメータ作成部141は、渋滞流に対応する近似式のパラメータを作成する場合を想定する。より詳細に、KVパラメータ作成部141は、混雑流判定速度(例えば、高速道では55km/hなど)以下の速度(V)とその速度(V)に対応する交通密度(K)との組を所定の関係で近似することによって、渋滞流に対応するKV関係式のパラメータを作成する場合を想定する。例えば、渋滞流に対応するKV関係式は、下記の式(3)によって表現される指数関数であってよい。
【0053】
V=a×exp(-b×K)・・・(3)
【0054】
ただし、Kは、交通密度(台/km)を示し、Vは、速度(km/時間)を示し、aおよびbは、KVパラメータである。なお、本明細書において、混雑流は、渋滞流に包含される概念として使用されており、渋滞流の中でも速度がある値より大きい状態を意味し得る。
【0055】
図4は、交通密度(K)と速度(V)との組とKV関係式とを示す図である。図4に示された例において、横軸は、交通密度(K)を示しており、縦軸は、速度(V)を示している。かかるKV図において、交通密度(K)と速度(V)とが対応付けられた各組が、各点としてプロットされている。また、図4を参照すると、これらの組を近似して得られるKV関係式を示す指数関数が示されている。
【0056】
KVパラメータ作成部141は、作成したKVパラメータを、KVパラメータ記憶部125に保存する。なお、典型的には、所定期間は、1カ月であってよい。しかし、所定期間は、1カ月に限定されない。例えば、所定期間は、1日であってもよい。
【0057】
図5は、KVパラメータ作成部141によって実行されるKVパラメータ作成処理の例を示すフローチャートである。まず、KVパラメータ作成部141は、プローブデータ記憶部122からフリーフローアンテナ位置ごとの所定期間分の速度および通過時刻を取得する(S11)。また、KVパラメータ作成部141は、交通量データ記憶部124からフリーフローアンテナ位置ごとの所定期間分の交通量データ(交通量および計測時刻)を取得する(S12)。
【0058】
KVパラメータ作成部141は、同一の時刻および同一のフリーフローアンテナ位置に対応する交通量(Q)と速度(V)とを対応付ける。そして、KVパラメータ作成部141は、対応付けられた交通量(Q)および速度(V)ごとに、交通密度(K)を算出する(S13)。
【0059】
KVパラメータ作成部141は、交通密度(K)と速度(V)との関係を示すKV関係式のパラメータを機械学習により作成する(S14)。より詳細に、KVパラメータ作成部141は、対応する交通密度(K)と速度(V)との組を所定の関係(例えば、指数関数など)で近似し、近似によって得られたKV関係式のパラメータをKVパラメータとして作成する。ここでは、KVパラメータ作成部141は、渋滞流に対応する近似式のパラメータを作成する場合を想定する。
【0060】
KVパラメータ作成部141は、作成したKVパラメータを、KVパラメータ記憶部125に保存する(S15)。
【0061】
(交通密度算出部142)
交通密度算出部142は、あらかじめ設定されたシミュレーション実行時間間隔(例えば、5分間隔など)に、現在時刻から所定の設定時間前(例えば、1時間前など)までにおける、区間ごとの速度および通過時刻をプローブデータ記憶部122から取得する。また、交通密度算出部142は、シミュレーション実行時間間隔に、現在時刻から所定の設定時間前までにおける、フリーフローアンテナ位置ごとの交通量データ(交通量および計測時刻)を交通量データ記憶部124から取得する。
【0062】
交通密度算出部142は、少なくとも各区間における速度に基づいて、各区間における交通密度を算出する。ここで、各区間における交通密度は、具体的にどのようにして算出されてもよい。
【0063】
例えば、交通密度算出部142は、KVパラメータ記憶部125からKVパラメータを取得し、道路上のある対象区間における交通密度を、その対象区間における速度と、KVパラメータによって規定されるKV関係式とに基づいて算出してもよい。
【0064】
より詳細に、交通密度算出部142は、渋滞流である区間、すなわち、速度が混雑流判定速度(閾値)以下である対象区間における交通密度を、その対象区間における速度とKV関係式とに基づいて算出してもよい。
【0065】
また、交通密度算出部142は、道路上のある対象区間に応じた地点を推定地点とし、対象区間における交通密度を、推定地点における交通量および対象区間における速度に基づいて算出してもよい。例えば、推定地点は、対象区間の起点などであってよい。
【0066】
より詳細に、交通密度算出部142は、速度が混雑流判定速度を上回る対象区間における交通密度を、推定地点における交通量および対象区間における速度に基づいて算出してもよい。例えば、交通密度算出部142は、推定地点における交通量を、交通量算出部133によって算出された計測地点における交通量と、計測地点からその対象区間までの区間ごとの速度とに基づいて算出し得る。例えば、計測地点は、対象区間から上流のフリーフローアンテナ位置(例えば、対象区間から最も近い上流のフリーフローアンテナ位置など)であってよい。
【0067】
図6および図7を参照しながら、推定地点における交通量および対象区間における速度に基づいて対象区間における交通密度を算出する手法の例について説明する。
【0068】
図6は、推定地点に到達した車両の計測地点における通過時刻の算出例を説明するための図である。図6に示された例において、横軸は、道路上における距離(右方向が道路の下流方向)を示し、縦軸は、時刻(下方向が時間の経過方向)を示す。走行履歴データにおける区間(キロポスト間)および単位時間(すなわち、通過時刻から当該通過時刻の直前の通過時刻までの時間)に対応する速度が、その区間および単位時間に対応する矩形(時空間範囲)内の色の濃さによって示されている。この例では、矩形内の色が濃いほど速度が低くなっている。
【0069】
交通密度算出部142は、それぞれの区間および単位時間に対応する速度に基づいて、推定地点および推定地点における時刻から、上流および過去に向かって計測地点までの軌跡を算出する。より詳細に、交通密度算出部142は、推定地点および推定地点における時刻から、それぞれの区間および単位時間に対応する速度に応じた傾きの直線によって矩形内を移動し、矩形の境界においては隣接し合う矩形間を移動するように軌跡を算出する。
【0070】
これによって、交通密度算出部142は、軌跡が到達した計測地点における時刻を、計測地点における通過時刻として得ることができる。図6を参照すると、2台の車両の軌跡が描かれている。ここで、2台の車両の推定地点への到達時刻間における交通量と、その2台の車両の計測地点における通過時刻間における交通量とは一致すると見なされ得る。
【0071】
図7は、計測地点における交通量から推定地点における交通量を算出する例を説明するための図である。図7を参照すると、推定地点への到達時刻間における交通量Qと、計測地点における通過時刻間における交通量Qとが示されている。ここで、計測地点における通過時刻間における交通量は、交通量データ記憶部124に保存されている。したがって、交通密度算出部142は、交通量データ記憶部124から計測地点における通過時刻間における交通量Qを取得し得る。
【0072】
交通密度算出部142は、計測地点における通過時刻間における交通量Qから、推定地点への到達時刻差と計測地点における通過時刻差との比によって、推定地点における交通量を算出し得る。例えば、計測地点における通過時刻差をt1とし、推定地点への到達時刻差をt2とすると、交通密度算出部142は、計測地点における通過時刻間における交通量Qに対して、t1/t2を乗じることによって、推定地点における交通量を算出し得る。以下では、このように計測地点における交通量から推定地点における交通量を算出する手法を「車両追跡」による交通量算出手法とも言う。
【0073】
図8は、交通密度算出部142によって実行される交通密度算出処理の例を示すフローチャートである。まず、交通密度算出部142は、あらかじめ設定されたシミュレーション実行時間間隔に、現在時刻から所定の設定時間前までにおける、区間ごとの速度および通過時刻をプローブデータ記憶部122から取得する(S21)。
【0074】
また、交通密度算出部142は、シミュレーション実行時間間隔に、現在時刻から所定の設定時間前までにおける、フリーフローアンテナ位置ごとの交通量データ(交通量および計測時刻)を交通量データ記憶部124から取得する(S22)。交通密度算出部142は、対象区間の速度が渋滞流の速度、すなわち、混雑流判定速度以下の速度であるかを判定する(S23)。
【0075】
交通密度算出部142は、対象区間の速度が渋滞流の速度(すなわち、混雑流判定速度以下である速度)である場合(S23において「YES」)、その対象区間における速度とKV関係式とに基づいてその対象区間における交通密度を算出する(S24)。
【0076】
一方、交通密度算出部142は、対象区間の速度が自由流の速度(すなわち、混雑流判定速度を上回る速度)である場合(S23において「NO」)、車両追跡により計測地点における交通量を算出し、算出した計測地点における交通量と、計測地点からその対象区間までの区間ごとの速度とに基づいて、その対象区間における交通密度を算出する(S25)。交通密度算出部142は、交通量の計測時刻と区間と交通密度とが対応付けられた交通密度データを、交通密度データ記憶部127に出力する。
【0077】
(学習部143)
図9は、学習部143による機械学習の動作の例を示すフローチャートである。図9を参照しながら、学習部143による機械学習の動作の例について説明する。
【0078】
まず、学習部143は、あらかじめ設定された学習時刻に現在時刻(第1の時刻)が達すると、交通密度データ記憶部127から、現在時刻を基準とした所定の対象時間分(第1の時間分)の交通密度データを、新規の交通密度データとして取得する(S31)。新規の交通密度データは、まだ学習に用いられていない交通密度データである。なお、基準となる第1の時刻は、現在時刻でなくてもよい。基準となる第1の時刻は、過去の時刻であってもよい。
【0079】
例えば、学習時刻は、毎週月曜日の2時であってもよい。このとき、所定の対象時間は、1週間であってよい。しかし、学習時刻および所定の対象時間それぞれの具体的な値は限定されない。また、以下では、現在時刻を基準とした所定の対象時間が、現在時刻から所定の対象時間だけ遡った時刻を開始時点とし、現在時刻を終了時点とした時間である場合を主に想定する。しかし、現在時刻を基準とした所定の対象時間は、かかる時間に限定されない。
【0080】
学習部143は、交通密度データ記憶部127から取得した新規の交通密度データに基づいて、あらかじめ設定された二つの地点間ごとのあらかじめ設定された処理対象時間幅の平均交通密度(第1の平均交通密度)を、あらかじめ設定された処理時間間隔で算出する(S32)。学習部143は、地点間と計測時刻と平均交通密度とを対応付けて学習モデル記憶部126に記憶させる。
【0081】
例えば、地点間は、二つのインターチェンジ間であってもよい。しかし、二つの地点間は、かかる例に限定されない。また、処理対象時間幅は、計測時刻から所定の時間幅(例えば、30分など)だけ遡った時刻から計測時刻までの時間幅であってもよい。しかし、処理対象時間幅は、かかる例に限定されない。また、処理時間間隔は、5分間隔であってもよい。しかし、処理時間間隔は、かかる例に限定されない。
【0082】
学習部143は、地点間が同一、かつ、計測時刻が同一、かつ、計測時刻が属する日の種類が同一である平均交通密度が同じグループになるように平均交通密度を分類する。日の種類は、曜日であってもよいし、曜日属性(例えば、平日、休前日、3連休初日など)であってもよい。そして、学習部143は、グループごとに、平均交通密度の全体に対する各々の平均交通密度のパーセンタイル値(以下、「平均交通密度学習パーセンタイル値」とも言う。)を算出する(S34)。
【0083】
より具体的に、学習部143は、グループごとに、平均交通密度の全体を平均交通密度の小さい順に並び替える。そして、学習部143は、グループごとに、各々の平均交通密度に対して、平均交通密度の小さい順に平均交通密度学習パーセンタイル値を割り当てる。例えば、最も小さい平均交通密度に対しては、0パーセンタイル値、最も大きい平均交通密度に対しては、100パーセンタイル値、中央値を取る平均交通密度に対しては、50パーセンタイル値が割り当てられる。
【0084】
学習部143は、地点間と計測時刻と平均交通密度とに平均交通密度学習パーセンタイル値を対応付けて、学習モデル記憶部126に記憶させる(S35)。
【0085】
さらに、学習部143は、交通密度データ記憶部127から取得した新規の交通密度データに基づいて、各々の交通密度(第1の交通密度)を、道路を構成するブロック(以下、「セル」とも言う。)が同一、かつ、計測時刻が属する日の種類が同一である交通密度が同じグループになるように分類する。そして、学習部143は、グループごとに、交通密度の全体に対する各々の交通密度のパーセンタイル値(以下、「メッシュ交通密度学習パーセンタイル値」とも言う。)を算出する(S36)。
【0086】
ここで、セルの幅は、シミュレーション実行セル幅に規定されている。一方、区間の幅は、走行履歴地点幅に規定されている。セルの幅は、区間の幅と同じであってもよいし、区間の幅と異なっていてもよい。例えば、区間の幅が100mであるのに対し、セルの幅は500mなどであってもよい。
【0087】
学習部143は、地点間と計測時刻と平均交通密度と平均交通密度学習パーセンタイル値とに、セルとメッシュ交通密度学習パーセンタイル値とを対応付けて、学習モデル記憶部126に記憶させる。なお、地点間と計測時刻と平均交通密度と平均交通密度学習パーセンタイル値とメッシュ交通密度学習パーセンタイル値とが対応付けられたデータは、学習モデルに該当し得る。
【0088】
(予測部144)
予測部144の機能について説明する前に、図10を参照しながら、予測部144による速度の取得タイミングの遅延について説明する。
【0089】
図10は、予測部144によってプローブデータ記憶部122からリアルタイムに取得される速度の例を示す図である。図10を参照すると、予測部144によってプローブデータ記憶部122に基づいてリアルタイムに取得される速度が、道路の起点からの距離と通過時刻とに対応付けられている。
【0090】
図10に示された例において、道路の起点からの距離は、シミュレーション実行セル幅(図10に示された例では、500m)ごとに仕切られている。このように道路の起点からの距離が仕切られることにより、道路を構成する複数のブロックそれぞれがセルとして生成される。また、図10に示された例において、通過時刻がシミュレーション実行時間間隔(図10に示された例では、5分間隔)ごとに仕切られている。
【0091】
このように道路の起点からの距離および経過時刻が仕切られることにより、シミュレーション実行セル幅およびシミュレーション実行時間間隔の矩形(以下、「メッシュ」とも言う。)が複数生成される。
【0092】
道路の起点には、車両の走行履歴データを取得するプローブアンテナ112が存在する。したがって、道路の起点から近いセルの速度は、予測部144によってほぼリアルタイムに取得され得る。一方、道路の起点から遠いセルの速度の予測部144による取得タイミングには、遅延が生じてしまう。図10に示された例では、リアルタイムに速度が取得されていないメッシュが白色で示されている。
【0093】
図11は、本発明の第1の実施形態に係る予測部144による交通流の予測動作の例を示すフローチャートである。図11を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る予測部144による交通流の予測動作の例について説明する。
【0094】
まず、予測部144は、プローブデータ記憶部122から、現在時刻(第2の時刻)を基準とした所定の対象時間分(第2の時間分)のプローブデータを、最新のプローブデータとして取得する。さらに、予測部144は、交通量データ記憶部124から、現在時刻を基準とした所定の対象時間分の交通量データを、最新の交通量データとして取得する(S41)。なお、基準となる第2の時刻は、現在時刻でなくてもよい。基準となる第2の時刻は、過去の時刻であってもよい。
【0095】
例えば、所定の対象時間は、1時間であってよい。しかし、所定の対象時間それぞれの具体的な値は限定されない。また、以下では、現在時刻を基準とした所定の対象時間が、現在時刻から所定の対象時間だけ遡った時刻を開始時点とし、現在時刻を終了時点とした時間である場合を主に想定する。しかし、現在時刻を基準とした所定の対象時間は、かかる時間に限定されない。
【0096】
続いて、予測部144は、取得した最新のプローブデータおよび最新の交通量データに基づいて、あらかじめ設定された二つの地点間ごとの各セルの交通密度を算出する(S42)。なお、ここでの交通密度の算出に対しても、図8を参照しながら説明した、交通密度を算出する手法が適用され得る。
【0097】
続いて、予測部144は、現在時刻を基準とした所定の対象時間分の交通密度に基づいて、地点間ごとのあらかじめ設定された処理対象時間幅の平均交通密度(第2の平均交通密度)を算出する。本発明の第1の実施形態においては、予測部144は、地点間ごとに速度の取得タイミングの最大遅延時間を算出する。そして、予測部144は、現在時刻から最大遅延時間だけ過去に遡った時刻を基準時刻とし、基準時刻に応じた処理対象時間幅の平均交通密度を算出する(S43)。
【0098】
例えば、処理対象時間幅は、基準時刻から所定の時間幅(例えば、30分など)だけ遡った時刻から基準時刻までの時間幅であってもよい。しかし、処理対象時間幅は、かかる例に限定されない。
【0099】
図12は、本発明の第1の実施形態に係る処理対象時間幅の例を示す図である。図12を参照すると、処理枠F11は、現在時刻(16時2分30秒)から所定の時間幅(6メッシュ分)だけ遡った時刻から現在時刻までの時間幅が処理対象時間幅として設定された場合における交通密度の平均化単位である。しかし、枠F11の内部には、白色のメッシュがあり、リアルタイムに速度が取得されていないメッシュが存在する。そのため、この枠F11の内部の交通密度を平均化しても、高精度に交通流が予測され得ない。
【0100】
そこで、予測部144は、現在時刻までに連続して最も長く速度が取得されていない最大遅延時間を、5メッシュ分と判定し、現在時刻(16時2分30秒)から最大遅延時間である5メッシュ分だけ過去に遡った時刻を基準時刻(15時37分30秒)とし、基準時刻から所定の時間幅(6メッシュ分)だけ遡った時刻(15時7分30秒)から基準時刻(15時37分30秒)までの時間幅を処理対象時間幅に変更してもよい。枠F12は、変更後の処理対象時間幅である。
【0101】
続いて、予測部144は、算出した平均交通密度と、学習モデル記憶部126によって記憶された、平均交通密度と、平均交通密度学習パーセンタイル値と、メッシュ交通密度学習パーセンタイル値とに基づいて、現在時刻より後の時刻の交通密度を予測する。
【0102】
例えば、予測部144は、現在時刻から最大遅延時間だけ過去に遡った基準時刻と一致する計測時刻に対応付けられ、平均交通密度を算出した地点間と同一の地点間に対応付けられた平均交通密度を、学習モデル記憶部126から取得する。
【0103】
あるいは、予測部144は、現在時刻から最大遅延時間だけ過去に遡った基準時刻と一致する計測時刻に対応付けられ、かつ、現在時刻が属する日の種類と同一の種類の日に属する計測時刻にさらに対応付けられた平均交通密度を、学習モデル記憶部126から取得してもよい。
【0104】
そして、予測部144は、算出した平均交通密度と、取得した平均交通密度とに基づく予測パーセンタイル値を得る(S44)。
【0105】
より具体的に、予測部144は、算出した平均交通密度に最も近い、取得した平均交通密度に対応付けられた平均交通密度学習パーセンタイル値を、予測パーセンタイル値として特定してもよい。
【0106】
あるいは、予測部144は、算出した平均交通密度よりも大きく、かつ、算出した平均交通密度に最も近い、取得した平均交通密度を上側の平均交通密度として算出してもよい。さらに、予測部144は、算出した平均交通密度よりも小さく、かつ、算出した平均交通密度に最も近い、取得した平均交通密度を下側の平均交通密度として算出してもよい。そして、予測部144は、上側の平均交通密度と下側の平均交通密度とに基づく線形補間により予測パーセンタイル値を算出してもよい。
【0107】
予測部144は、現在時刻から所定の設定時間後(例えば、2時間後など)までの、平均交通密度を算出した地点間と同一の地点間に対応付けられた、計測時刻とセルとメッシュ交通密度学習パーセンタイル値とを、学習モデル記憶部126から取得する。
【0108】
あるいは、予測部144は、現在時刻から所定の設定時間後(例えば、2時間後など)までの、平均交通密度を算出した地点間と同一の地点間に対応付けられ、かつ、現在時刻が属する日の種類と同一の種類の日に属する計測時刻に対応付けられた、計測時刻とセルとメッシュ交通密度学習パーセンタイル値とを、学習モデル記憶部126から取得してもよい。
【0109】
予測部144は、学習モデル記憶部126から取得した、計測時刻とセルとメッシュ交通密度学習パーセンタイル値とに基づいて、予測パーセンタイル値に応じたメッシュ交通密度学習パーセンタイル値を、シミュレーション実行セル幅のセルごとに、シミュレーション実行時間間隔で得る。
【0110】
例えば、予測部144は、予測パーセンタイル値に最も近いメッシュ交通密度学習パーセンタイル値を得てもよい。
【0111】
あるいは、予測部144は、予測パーセンタイル値よりも大きく、かつ、予測パーセンタイル値に最も近いメッシュ交通密度学習パーセンタイル値を、上側のメッシュ交通密度学習パーセンタイル値として算出してもよい。さらに、予測部144は、予測パーセンタイル値よりも小さく、かつ、予測パーセンタイル値に最も近いメッシュ交通密度学習パーセンタイル値を、下側のメッシュ交通密度学習パーセンタイル値として算出してもよい。そして、予測部144は、上側の平均交通密度と下側の平均交通密度とに基づく線形補間または調和平均による線形補間により予測パーセンタイル値を算出してもよい。
【0112】
予測部144は、このようにして得たメッシュ交通密度学習パーセンタイル値に対応付けられた交通密度を、シミュレーション実行セル幅のセルごと、かつ、シミュレーション実行時間間隔の予測交通密度として得る。
【0113】
また、予測部144は、予測交通密度に対応する予測速度を、シミュレーション実行セル幅のセルごと、かつ、シミュレーション実行時間間隔で算出し得る(S45)。例えば、予測部144は、予測交通密度に対応する予測速度を、上記の式(3)によって示されるKV関係式により算出してもよい。
【0114】
さらに、予測部144は、公知の技術(例えば、特許文献1など)に記載されている経路推定旅行時間を算出する手法などを用いて、現在時刻より後の時刻における地点間の所要時間を算出してもよい。
【0115】
(1-2.第1の実施形態の変形例)
続いて、本発明の第1の実施形態の変形例について説明する。本発明の第1の実施形態の変形例は、本発明の第1の実施形態と比較して、予測部144が有する機能が異なる。したがって、以下では、本発明の第1の実施形態の変形例に係る予測部144について説明する。
【0116】
(予測部144)
図13は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る予測部144による交通流の予測動作の例を示すフローチャートである。図13を参照しながら、本発明の第1の実施形態の変形例に係る予測部144による交通流の予測動作の例について説明する。
【0117】
図13に示されるように、本発明の第1の実施形態の変形例においても、予測部144によって、S41~S44が実行される。これらのS41~S44は、本発明の第1の実施形態に係るS41~S44(図11)と同様に実行される。
【0118】
続いて、予測部144は、現在時刻から所定の設定時間後(例えば、2時間後など)までの、平均交通密度を算出した地点間と同一の地点間に対応付けられた、計測時刻とセルとメッシュ交通密度学習パーセンタイル値とを、学習モデル記憶部126から取得する。
【0119】
あるいは、予測部144は、現在時刻から所定の設定時間後(例えば、2時間後など)までの、平均交通密度を算出した地点間と同一の地点間に対応付けられ、かつ、現在時刻が属する日の種類と同一の種類の日に属する計測時刻に対応付けられた、計測時刻とセルとメッシュ交通密度学習パーセンタイル値とを、学習モデル記憶部126から取得してもよい。
【0120】
本発明の第1の実施形態に係る変形例において、予測部144は、プローブデータ記憶部122に記憶されたプローブデータに基づいて、速度が取得されていないメッシュ(セルおよび通過時刻)を特定し、速度が取得されていないメッシュ(セルおよび通過時刻)と一致するセルおよび計測時刻における、予測パーセンタイル値に応じたメッシュ交通密度学習パーセンタイル値を得る。以下では、速度が取得されていないメッシュ(セルおよび通過時刻)と一致するセルおよび計測時刻を「遅延部分」とも言う。
【0121】
予測部144は、遅延部分のメッシュ交通密度学習パーセンタイル値に対応付けられた交通密度を、暫定的な予測交通密度として得る(S51)。
【0122】
そして、予測部144は、遅延部分については暫定的な予測交通密度を用い、遅延部分以外の部分については交通密度データ記憶部127から取得された交通密度を用いて、現在時刻を基準時刻とし、基準時刻に応じた処理対象時間幅の平均交通密度を算出する。処理対象時間幅は、基準時刻から所定の時間幅(例えば、30分など)だけ遡った時刻から基準時刻までの時間幅であってもよい。
【0123】
予測部144は、基準時刻と一致する計測時刻に対応付けられ、平均交通密度を算出した地点間と同一の地点間に対応付けられた平均交通密度を、学習モデル記憶部126から取得する。
【0124】
あるいは、予測部144は、基準時刻と一致する計測時刻に対応付けられ、かつ、現在時刻が属する日の種類と同一の種類の日に属する計測時刻にさらに対応付けられた平均交通密度を、学習モデル記憶部126から取得してもよい。
【0125】
そして、予測部144は、算出した平均交通密度と、取得した平均交通密度とに基づいて、予測パーセンタイル値を再度算出する(S52)。
【0126】
予測部144は、このようにして得たメッシュ交通密度学習パーセンタイル値に対応付けられた交通密度を、シミュレーション実行セル幅のセルごと、かつ、シミュレーション実行時間間隔の予測交通密度として得る。そして、予測部144は、予測交通密度に対応する予測速度を、シミュレーション実行セル幅のセルごと、かつ、シミュレーション実行時間間隔で算出し得る(S53)。
【0127】
以上、本発明の第1の実施形態の変形例について説明した。
【0128】
(1-3.効果)
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態およびその変形例によれば、走行履歴データと交通量データとから交通密度が算出され、あらかじめ設定された処理対象時間幅および地点間の平均交通密度が算出される。また、過去の交通密度および過去の平均交通密度から学習パーセンタイル値が算出され、リアルタイムに取得した最新データから平均交通密度が算出される。さらに、算出された平均交通密度と過去の平均交通密度とから予測パーセンタイル値が算出され、予測パーセンタイル値から速度が予測される。
【0129】
これにより、ETC2.0のような遅延を伴う交通流データを利用しても高い精度で交通流を予測できるという効果が得られる。
【0130】
以上、本発明の実施形態に係る交通流予測装置1およびその変形例が奏する効果について説明した。
【0131】
(2.第2の実施形態の詳細)
続いて、本発明の第2の実施形態の詳細について説明する。
【0132】
(2-1.交通流予測装置の構成)
本発明の第2の実施形態は、本発明の第1の実施形態と比較して、予測部144が有する機能が異なる。したがって、以下では、本発明の第2の実施形態に係る予測部144について説明する。
【0133】
(予測部144)
図14は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る予測部144による交通流の予測動作の例を示すフローチャートである。図14を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る予測部144による交通流の予測動作の例について説明する。
【0134】
図14に示されるように、本発明の第2の実施形態においても、予測部144によって、S41~S42が実行される。これらのS41~S42は、本発明の第1の実施形態に係るS41~S42(図11)と同様に実行される。
【0135】
続いて、予測部144は、現在時刻を基準とした所定の対象時間分の交通密度に基づいて、地点間ごとのあらかじめ設定された処理対象時間幅の平均交通密度(第2の平均交通密度)を算出する。本発明の第2の実施形態においては、予測部144は、地点間ごとに各セルについて現在時刻から過去に遡りながら、速度が取得された所定の数分(例えば、6メッシュ分)の通過時刻を、データ遅延の無い通過時刻として検出する。そして、予測部144は、各セルにおけるデータ遅延の無い通過時刻に対応する交通密度に基づいて、地点間ごとの平均交通密度を算出する(S61)。
【0136】
図15は、本発明の第2の実施形態に係るデータ遅延の無い通過時刻の例を示す図である。図15を参照すると、処理枠F21は、地点間ごとに各セルについて現在時刻(16時5分)から過去に遡りながら、速度が取得されていない白色のメッシュを除いた所定の数分(例えば、6メッシュ分)のメッシュの範囲である。この範囲が、データ遅延の無いメッシュの集合であり、交通密度の平均化単位とされる。
【0137】
図14に示されるように、本発明の第2の実施形態においても、予測部144によって、S44~S45が実行される。これらのS44~S45は、本発明の第1の実施形態に係るS44~S45(図11)と同様に実行される。
【0138】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0139】
(2-2.効果)
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、本発明の第1の実施形態と同様の効果が奏される。さらに、本発明の第2の実施形態によれば、データ遅延の有る通過時刻が除外され、データ遅延の無い通過時刻に対応する交通密度に基づいて平均交通密度が算出されるため、より短時間で交通流を予測できるという効果が奏される。
【0140】
(3.ハードウェア構成例)
続いて、本発明の実施形態に係る交通流予測装置1のハードウェア構成例について説明する。
【0141】
以下では、本発明の実施形態に係る交通流予測装置1のハードウェア構成例として、情報処理装置900のハードウェア構成例について説明する。なお、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成例は、交通流予測装置1のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、交通流予測装置1のハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。
【0142】
図16は、本発明の実施形態に係る交通流予測装置1の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
【0143】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバス等から構成されるホストバス904により相互に接続されている。
【0144】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0145】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバー等ユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路等から構成されている。情報処理装置900を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0146】
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプ等の表示装置およびスピーカ等の音声出力装置を含む。
【0147】
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置等を含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0148】
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
【0149】
以上、本発明の実施形態に係る交通流予測装置1のハードウェア構成例について説明した。
【0150】
(4.まとめ)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0151】
1 交通流予測装置
112 プローブアンテナ
114 フリーフローアンテナ
121 走行履歴データ記憶部
122 プローブデータ記憶部
123 フリーフローデータ記憶部
124 交通量データ記憶部
125 KVパラメータ記憶部
126 学習モデル記憶部
127 交通密度データ記憶部
128 予測交通量データ記憶部
131 統計処理部
133 交通量算出部
140 処理部
141 KVパラメータ作成部
142 交通密度算出部
143 学習部
144 予測部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16