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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143011
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】足場の梁用吸音パネル
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20241003BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E01F8/00
E01D22/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055461
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】山本 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 幸夫
【テーマコード(参考)】
2D001
2D059
【Fターム(参考)】
2D001AA05
2D001BA01
2D001BB01
2D001CA01
2D001CB02
2D001CC02
2D001CD01
2D059EE02
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】足場を支持する梁材の裏面を覆って梁材の裏面で反射する騒音を吸音でき、且つ、足場内から安全且つ容易に交換可能な足場の梁用吸音パネルを提供する。
【解決手段】橋梁の足場(恒久足場10)を支持する梁材12の裏面を覆う足場の梁用吸音パネル1において、梁材12の裏面のみを覆い、且つ、足場(恒久足場10)内から取替可能に構成する。また、梁用吸音パネル1は、騒音を低減する吸音材2と、吸音材2を囲うフレーム材3と、を備え、梁材12を用いて仮置き可能に構成する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の足場を支持する梁材の裏面を覆う足場の梁用吸音パネルであって、
前記梁材の裏面のみを覆い、且つ、前記足場内から取替可能に構成されていること
を特徴とする足場の梁用吸音パネル。
【請求項2】
騒音を低減する吸音材と、前記吸音材を囲うフレーム材と、を備えていること
を特徴とする請求項1に記載の足場の梁用吸音パネル。
【請求項3】
前記梁材を用いて仮置き可能に構成されていること
を特徴とする請求項2に記載の足場の梁用吸音パネル。
【請求項4】
前記フレーム材の一部が前記梁材のフランジに載置可能、又は前記梁材に設けられた嵌合溝に差し込み可能に構成されていること
を特徴とする請求項3に記載の足場の梁用吸音パネル。
【請求項5】
前記フレーム材は、前記梁材にボルト固定されていること
を特徴とする請求項4に記載の足場の梁用吸音パネル。
【請求項6】
前記フレーム材は、少なくとも前記梁材のフランジに載置された部分又は前記嵌合溝に差し込まれた部分以外の部分がボルト固定されていること
を特徴とする請求項5に記載の足場の梁用吸音パネル。
【請求項7】
前記梁材間に架け渡された吸音パネルが前記梁材の裏面より下方に突出して取り付けられており、前記梁材の裏面より下方に突出して取り付けられた吸音パネル間に平面上介装されていること
を特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の足場の梁用吸音パネル。
【請求項8】
少なくとも前記フレーム材の一部が、前記梁材間に架け渡された吸音パネルと前記梁材のフランジとの間に挟持されていること
を特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の足場の梁用吸音パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁の足場に設置される足場用吸音パネルに関し、詳しくは、足場を支持する梁材の裏面を覆う足場の梁用吸音パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、橋梁の鋼桁(橋桁)や支持部材のメンテナンスや点検を行うためにその都度仮設の作業足場を設置するのではなく常時設置される恒久足場を設けることが行われている。このような恒久足場は、橋桁の下側全体を覆うことになるため、鋼桁を飛来塩分から守る効果があり、塗装の塗り替え間隔が大幅に延び、ライフサイクルコストが大幅に削減できることからも注目されている。また、恒久足場は、排水管や設備配管を隠せるため見栄えが良く、床版の裏や橋桁から万が一コンクリート片や部品が落下した場合でも受け止められるフェイルセーフとしても注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、中空部を有する上下面が平坦状のアルミニウム製押出形材の幅方向に延在する連接部同士を固定部材によって連結され、互いに連結された上記押出形材の上面は、同一平面状に形成されている橋梁防護板が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0063]~[0071]、図面の図1図4等参照)。
【0004】
特許文献1に記載の橋梁防護板は、橋梁下部を腐食成分から保護すると共に、点検作業者の歩行通路としても使用できるという作用効果を奏する。しかし、特許文献1に記載の橋梁防護板のような恒久足場は、橋梁の下部を覆って平面(裏面パネルの裏面)が形成されることとなるため、図16に示すように、橋梁B1の下方に他の道路が存在する場合、恒久足場の裏面パネルが騒音を反射する反射板となって、騒音の反射音が遠くにまで伝播してしまうという問題が発生する。
【0005】
このような問題を解決するべく、特許文献2には、本体部と、本体部の内部に収納された吸音材20と、本体部の長手方向の側面10bに設けられた深さが異なる凹部が階段状に形成された切欠部30とを備え、切欠部30は、本体部の内側に向けて第一深さを有し、支持部材5のフランジ部6に係合され、本体部を支持する第一凹部31と、第一凹部31に連続し第一凹部31よりも深い第二深さを有し、支持部材5のフランジ部6が挿入可能な第二凹部32とを有している吸音パネルが開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0022]~[0046]、図面の図1図4等参照)。
【0006】
特許文献2に記載の吸音パネルは、恒久足場の裏面での反射音が道路から離れた広範囲の沿線住宅まで騒音として伝播してしまうという前記問題は解決するために、固定する梁ごと吸音パネルで覆う構造となっている。このため、高い吸音性能を発揮すると思われるが、吸音パネルを取り付けたり、取り替えたりする作業が全て騒音源側である橋桁より下方から行う必要があり、新設や更新時に高架橋下の道路・鉄道の交通規制を行う必要があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-205961号公報
【特許文献2】特開2013-23967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、足場を支持する梁材の裏面を覆って梁材の裏面で反射する騒音を吸音でき、且つ、足場内から安全且つ容易に交換可能な足場の梁用吸音パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る足場の梁用吸音パネルは、橋梁の足場を支持する梁材の裏面を覆う足場の梁用吸音パネルであって、前記梁材の裏面のみを覆い、且つ、前記足場内から取替可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る足場の梁用吸音パネルは、第1発明において、騒音を低減する吸音材と、前記吸音材を囲うフレーム材と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る足場の梁用吸音パネルは、第2発明において、前記梁材を用いて仮置き可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る足場の梁用吸音パネルは、第3発明において、前記フレーム材の一部が前記梁材のフランジに載置可能、又は前記梁材に設けられた嵌合溝に差し込み可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る足場の梁用吸音パネルは、第4発明において、前記フレーム材は、前記梁材にボルト固定されていることを特徴とする。
【0014】
第6発明に係る足場の梁用吸音パネルは、第5発明において、前記フレーム材は、少なくとも前記梁材のフランジに載置された部分又は前記嵌合溝に差し込まれた部分以外の部分がボルト固定されていることを特徴とする。
【0015】
第7発明に係る足場の梁用吸音パネルは、第1発明~第6発明において、前記梁材間に架け渡された吸音パネルが前記梁材の裏面より下方に突出して取り付けられており、前記梁材の裏面より下方に突出して取り付けられた吸音パネル間に平面上介装されていることを特徴とする。
【0016】
第8発明に係る足場の梁用吸音パネルは、第2発明~第6発明において、少なくとも前記フレーム材の一部が、前記梁材間に架け渡された吸音パネルと前記梁材のフランジとの間に挟持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1発明~第8発明によれば、足場を支持する梁材の裏面に反射する騒音を低減することができる。また、第1発明~第8発明によれば、梁材の裏面のみを覆い、且つ、前記恒久足場内から取替可能に構成されているので、梁材の裏面を覆う吸音パネルを足場から安全且つ容易に取り替えることができる。
【0018】
特に、第3発明及び第4発明によれば、梁材を用いて仮置き可能に構成されているので、梁用吸音パネルを容易に取り付け、又は交換することが可能となる。
【0019】
特に、第5発明によれば、フレーム材が梁材にボルト固定されているので、落下防止の安全性が向上する。
【0020】
特に、第6発明によれば、フレーム材が少なくとも梁材のフランジに載置された部分又は嵌合溝に差し込まれた部分以外の部分がボルト固定されているので、梁材のフランジや嵌合溝で支持された上、それ以外の部分がボルト接合されているので、落下の危険を完全に払拭して落下防止の安全性がさらに向上する。
【0021】
特に、第7発明によれば、梁用吸音パネルが、梁材の裏面より下方に突出して取り付けられた吸音パネル間に平面上介装されているので、平面上吸音パネルの間に梁用吸音パネルが挟まれることとなり、落下防止の安全性がさらに向上する。
【0022】
特に、第8発明によれば、フレーム材の一部が、吸音パネルと梁材のフランジとの間に挟持されているので、落下の危険を完全に払拭して落下防止の安全性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態に係る足場の梁用吸音パネルを高架橋の恒久足場に設置した場合を示す鉛直断面図である。
図2図2は、同上の恒久足場を見下ろした状態を示す斜視図である。
図3図3は、同上の恒久足場の主な構成を説明するための部分分解斜視図である。
図4図4は、吸音パネルを示す上面斜視図である。
図5図5は、同上の吸音パネルを示す裏面斜視図である。
図6図6は、同上の吸音パネルの構成を示す分解斜視図である。
図7図7は、本発明の第1実施形態に係る梁用吸音パネルの構成を示す鉛直断面図である。
図8図8は、同上の梁用吸音パネルの別の使用例を示す鉛直断面図である。
図9図9は、変形例1に係る梁用吸音パネルの構成を示す鉛直断面図である。
図10図10は、本発明の第2実施形態に係る梁用吸音パネルの構成を示す鉛直断面図である。
図11図11は、同上の梁用吸音パネルの別の使用例を示す鉛直断面図である。
図12図12は、変形例2に係る梁用吸音パネルの構成を示す鉛直断面図である。
図13図13は、本発明の第3実施形態に係る梁用吸音パネルの構成を示す鉛直断面図である。
図14図14は、同上の第3実施形態に係る梁用吸音パネルの別の使用例を示す鉛直断面図である。
図15図15は、本発明の第4実施形態に係る梁用吸音パネルの構成を示す鉛直断面図である。
図16図16は、恒久足場の問題点を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る足場の梁用吸音パネルについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
<恒久足場>
先ず、図1図3を用いて、本発明の第1実施形態に係る足場の梁用吸音パネル1(以下、単に梁用吸音パネル1ともいう)が設置される恒久足場について簡単に説明する。図1は、本実施形態に係る足場の梁用吸音パネル1を高架橋の恒久足場に設置した場合を示す鉛直断面図である。また、図2は、恒久足場を見下ろした状態を示す斜視図であり、図3は、恒久足場の主な構成を説明するための部分分解斜視図である。
【0026】
図1図3に示すように、本実施形態に係る足場の梁用吸音パネル1が設置される恒久足場10は、橋桁G1と床版B2を備える橋梁B1の橋桁G1廻りに設置され、橋桁G1等のメンテナンスや点検を行うため足場である。また、恒久足場10とは、背景技術で述べたように、橋梁B1の橋桁G1や支持部材のメンテナンスや点検を行うためにその都度仮設の作業足場を設置するのではなく常時設置される足場のことを指している。また、この恒久足場10には、図16に示したように、恒久足場10の裏面パネルが騒音の反射面とならないように、橋梁B1下の道路からの騒音を吸音する吸音パネル20と本発明の第1実施形態に係る梁用吸音パネル1の2種類の吸音パネルが設置されている(図16参照)。
【0027】
また、恒久足場10では、図1図3に示すように、梁用吸音パネル1が、梁材12の裏面より下方に突出して取り付けられた吸音パネル20,20間に平面上介装されているので、平面上吸音パネル20,20の間に梁用吸音パネル1が挟まれる。このため、梁用吸音パネル1が高架橋下の道路等へ落下する危険を低減することができる。
【0028】
<吸音パネル>
次に、図4図6を用いて、橋桁G1に支持された梁材12,12間に架け渡された吸音パネル20について簡単に説明する。図4は、吸音パネル20を示す上面斜視図であり、図5は、吸音パネル20を示す裏面斜視図である。そして、図6は、吸音パネル20の構成を示す分解斜視図である。
【0029】
吸音パネル20は、図4図6に示すように、足場となる床板21と、床板21内に設置されて騒音を吸音する吸音材22と、吸音材22を載置して落下するのを防ぐ表面板23など、から構成されており、図2図3に示すように、固定板13を介してハット形鋼からなる梁材12にボルト接合されている。勿論、梁材12は、後述のようにH形鋼からなる梁材12’や一対の溝形鋼からなる梁材12”など、所定の強度を有する鋼材であればよいことは云うまでもない。
【0030】
(床板)
床板21は、人が歩行したり作業したりすることが可能な強度を有する所定厚さの鋼板からなり、床板本体210と、その床板本体210の長手方向の端部を塞ぐ端部板211と、から主に構成され、底面が開放された直方体状の箱体となっている。勿論、床板21は、一枚の鋼板から一体成形されていても構わない。
【0031】
(吸音材)
本実施形態に係る吸音材22は、表面に撥水処理及び難燃処理を施したポリエステル繊維からなる厚さ50mm程度の吸音材である。勿論、本発明に係る吸音材は、ポリエステル繊維に限られず、グラスファイバーなどの繊維材やポリウレタンフォームなどの発泡樹脂などの他の材質の吸音材もしくは共鳴機構や膜振動による吸音機構、多孔吸音板を用いることができる。
【0032】
(表面板)
表面板23は、錆びにくい高耐食性材料からなる一枚の金属板から折り曲げ成形された板材であり、図4図6に示すように、長方形状の底面部230と、この底面部230の長手方向の端部から折り返されて水平方向に突設された一対のフランジ片231と、底面部230の短手方向の端部から折り返されて立ち上る一対の掛止め部232など、から構成されている。
【0033】
ここで、高耐食性材料とは、アルミニウム合金、ステンレス鋼、高耐食性めっき鋼板、チタン合金、又はラミネート鋼板などの錆びにくい高耐食性の材料を指している。また、高耐食性めっき鋼板とは、アルミニウム、マグネシウム、微量のシリコンを含有した鋼板や、溶融亜鉛、アルミニウム、マグネシウム合金メッキ鋼板などの一般の鋼板より耐食性が極めて高い鋼板を指している。そして、ラミネート鋼板とは、表面がポリエステルフィルムなどの樹脂フィルムで被覆された耐食性が高い鋼板を指している。
【0034】
底面部230は、図5図6に示すように、吸音材2が載置される部位であり、騒音を透過するための多数の貫通孔が穿設されている。
【0035】
フランジ片231は、図1に示すように、橋桁G1に吊り材11を介して支持された梁材12に載置・固定される部位であり、H形鋼からなる梁材12にボルト接合されている。勿論、フランジ片231は、ボルト接合に限られず、リベットなどで機械的に接合されていればよい。
【0036】
掛止め部232は、図2図4に示すように、長方形状の底面部230の長辺から外側の部分がいずれも内側に2回折り返されて断面逆Lの字状に折り曲げられ、前述の床板21の床板本体210の上面を外側から内包して抱え込んで掛け止める構造となっている。このため、恒久足場10内から表面板23が床板21に掛け止められており、目視で脱落していないことを確認することができる。
【0037】
<梁用吸音パネル>
[第1実施形態]
次に、図7を用いて、第1実施形態に係る梁用吸音パネル1について説明する。第1実施形態に係る梁用吸音パネル1は、梁材12がハット形の鋼材からなり、そのハット形の鋼材からなる梁材12の下フランジに仮置きできるタイプを例示して説明する。図7は、第1実施形態に係る梁用吸音パネル1の構成を示す鉛直断面図である。
【0038】
梁用吸音パネル1は、図7に示すように、騒音を低減する吸音材2と、吸音材2を囲うフレーム材3と、を備え、フレーム材3で梁材12の裏面のみを覆い梁材12の裏面で騒音が反射することを防止する機能を有している。
【0039】
吸音材2は、前述の吸音材22と同様の吸音材であり、本実施形態では、表面に撥水処理及び難燃処理を施したポリエステル繊維からなる吸音材である。勿論、本発明に係る吸音材は、ポリエステル繊維に限られず、グラスファイバーなどの繊維材やポリウレタンフォームなどの発泡樹脂などの他の材質の吸音材もしくは共鳴機構や膜振動による吸音機構、多孔吸音板を用いることができる。
【0040】
フレーム材3は、前述の表面板23と同様に、錆びにくい高耐食性材料からなる一枚の金属板から折り曲げ成形された板材であり、図2図3に示すように、梁材12(12’)の軸方向を長手方向とする平面視長方形状の枠体である。
【0041】
また、このフレーム材3は、図7に示すように、多数の貫通孔が穿設されて吸音材2を載置する平面視長方形状の底面部30と、この底面部30の長辺から立ち上がり、H形鋼からなる梁材12の下フランジの上面に達する断面逆L字状の仮置部31と、反対側の底面部30の長辺から立ち上がる断面逆L字状のボルト接合部32など、を備えている。
【0042】
この断面逆L字状の仮置部31の高さは、断面逆L字状のボルト接合部32の高さより梁材12の下フランジの厚さ分より高く、図7の矢印方向にスライドさせることにより、梁材12の下フランジに仮置部31とボルト接合部32との隙間が差し込まれ、断面逆L字状の仮置部31が掛け止められて梁用吸音パネル1を梁材12の下フランジの上に仮置きできる構造となっている。このため、梁用吸音パネル1は、梁材12に容易に取り付け、又は交換することが可能となっている。
【0043】
このため、その後、ボルト接合部32を梁材12の下フランジにボルト接合することにより、梁材12のフランジで仮置部31が支持された上、それ以外の部分であるボルト接合部32がボルト接合されているので、梁用吸音パネル1が高架橋下の道路等へ落下する危険を完全に払拭することができる。
【0044】
なお、符号20は、前述の吸音パネル20であり、吸音パネル20は、床板21と、床板21内に設置されて騒音を吸音する吸音材22と、吸音材22を載置して落下するのを防ぐ表面板23を備えている。
【0045】
次に、図8を用いて、第1実施形態に係る梁用吸音パネル1の別の使用例について説明する。図8は、梁用吸音パネル1の別の使用例を示す鉛直断面図である。図8の使用例が、図7の場合と相違する点は、梁用吸音パネル1に隣接して設置される吸音パネル20’の表面板23’の形状が前述の表面板23と相違して、梁用吸音パネル1のフレーム材3の仮置部31が、吸音パネル20’の表面板23’と梁材12’の下フランジとの間に挟持されている点である。このため、梁用吸音パネル1が高架橋下の道路等に落下する危険を完全に払拭して落下防止の安全性がさらに向上する。
【0046】
[変形例1]
次に、図9を用いて、第1実施形態の変形例1に係る梁用吸音パネル1’について説明する。変形例1に係る梁用吸音パネル1’が前述の梁用吸音パネル1と相違する点は、梁用吸音パネル1’を取り付ける梁材がハット形の鋼材ではなくH形鋼からなる梁材12’となっている点である。そのため、同一構成は同一符号を付し、説明を省略する。図8は、変形例1に係る梁用吸音パネル1’の構成を示す鉛直断面図である。
【0047】
梁用吸音パネル1’は、図9に示すように、梁用吸音パネル1と同様に、騒音を低減する吸音材2と、吸音材2を囲うフレーム材3’と、を備えている。しかし、装着する梁材がハット形の梁材12ではなくH形鋼の梁材12’となっているため、フレーム材3’の仮置部31’の断面L字状の折り返しの長さが、梁用吸音パネル1の仮置部31より長くなっている点を除き、梁用吸音パネル1’は、梁用吸音パネル1と略同構成となっている。
【0048】
よって、梁用吸音パネル1’も、図9の矢印方向にスライドさせることにより、梁材12’の下フランジに仮置部31’とボルト接合部32との隙間が差し込まれ、断面逆L字状の仮置部31’が掛け止められて梁用吸音パネル1’を梁材12’の下フランジの上に仮置きできる構造となっている。このため、梁用吸音パネル1’は、梁材12’に容易に取り付け、又は交換することが可能となっている。
【0049】
[第2実施形態]
次に、図10を用いて、第2実施形態に係る梁用吸音パネル4について説明する。第2実施形態に係る梁用吸音パネル4が、第1実施形態に係る梁用吸音パネル1と相違する点は、ハット形の鋼材からなる梁材12の上フランジに仮置部51が載置されている点である。図10は、第2実施形態に係る梁用吸音パネル4の構成を示す鉛直断面図である。
【0050】
梁用吸音パネル4は、図10に示すように、前述の吸音材2と、吸音材2を囲うフレーム材5と、を備え、フレーム材5で梁材12の裏面のみを覆い梁材12の裏面で騒音が反射することを防止する機能を有している。
【0051】
フレーム材5は、図10に示すように、多数の貫通孔が穿設されて吸音材2を載置する平面視長方形状の底面部50と、この底面部50の長辺から立ち上がり、H形鋼からなる梁材12の上フランジの上面に達する断面逆L字状の仮置部51と、反対側の底面部50の長辺から立ち上がる断面逆L字状のボルト接合部52など、を備えている。
【0052】
この断面逆L字状の仮置部51の高さは、図10に示すように、H形鋼からなる梁材12の上フランジに達し、断面逆L字状のボルト接合部52の高さは、梁材12の下フランジの裏面までとなっている。このため、図10の矢印方向にスライドさせることにより、梁材12全体が仮置部51とボルト接合部32との隙間に差し込まれ、断面逆L字状の仮置部51が掛け止められて梁用吸音パネル4を梁材12の上フランジの上に仮置きできる構造となっている。このため、梁用吸音パネル4は、梁材12に容易に取り付け、又は交換することが可能となっている。
【0053】
次に、図11を用いて、第2実施形態に係る梁用吸音パネル4の別の使用例について説明する。図10の場合と相違する点は、梁用吸音パネル4に隣接して設置される吸音パネル20の表面板23’の形状が前述の表面板23と相違して、梁用吸音パネル4のフレーム材5の仮置部51が、吸音パネル20の表面板23’と梁材12の下フランジとの間に挟持されている。このため、梁用吸音パネル4が高架橋下の道路等に落下する危険を完全に払拭して落下防止の安全性がさらに向上する。
【0054】
[変形例2]
次に、図12を用いて、第2実施形態の変形例2に係る梁用吸音パネル4’について説明する。変形例2に係る梁用吸音パネル4’が前述の梁用吸音パネル4と相違する点は、梁用吸音パネル4’を取り付ける梁材がハット形の鋼材ではなくH形鋼の梁材12’となっている点である。そのため、同一構成は同一符号を付し、説明を省略する。図11は、変形例2に係る梁用吸音パネル4’の構成を示す鉛直断面図である。
【0055】
梁用吸音パネル4’は、図12に示すように、梁用吸音パネル4と同様に、吸音材2と、吸音材2を囲うフレーム材5’と、を備えている。しかし、装着する梁材がハット形の梁材12ではなくH形鋼の梁材12’となっているため、フレーム材5’の仮置部51’の断面L字状の折り返しの長さが、梁用吸音パネル4の仮置部51より短くなっている点を除き、梁用吸音パネル4’は、梁用吸音パネル4と略同構成となっている。
【0056】
よって、梁用吸音パネル4’も、図12の矢印方向にスライドさせることにより、梁材12’の下フランジに仮置部51’とボルト接合部52との隙間が差し込まれ、断面逆L字状の仮置部31’が掛け止められて梁用吸音パネル1’を梁材12’の下フランジの上に仮置きできる構造となっている。このため、梁用吸音パネル1’は、梁材12’に容易に取り付け、又は交換することが可能となっている。
【0057】
[第3実施形態]
次に、図13を用いて、第3実施形態に係る梁用吸音パネル6について説明する。第3実施形態に係る梁用吸音パネル6は、図8で示した前述の第1実施形態に係る梁用吸音パネル1と略同構成であるが、吸音効果を高くするため吸音材2に加え、吸音材2’を追加充填されている点が異なる。図13は、第3実施形態に係る梁用吸音パネル6の構成を示す鉛直断面図である。
【0058】
梁用吸音パネル6は、吸音材2と、吸音材2を囲うフレーム材3と、を備えており、フレーム材3の仮置部31とボルト接合部32との間の隙間に、追加の吸音材2’が追加充填されている。このため、梁用吸音パネル6は、吸音パネル20の吸音材22と比べて薄く吸音性能が低い点を補うことができる。
【0059】
次に、図14を用いて、第3実施形態に係る梁用吸音パネル6の別の使用例について説明する。図14は、第3実施形態に係る梁用吸音パネル6の別の使用例を示す鉛直断面図である。図14の使用例が、図13の場合と相違する点は、梁用吸音パネル6が装着される梁材がハット形の梁材12ではなく、一対の溝形鋼からなる梁材12”となっている点である。梁材12の上面に開口は無いが、一対の溝形鋼からなる梁材12”は、上方が開放されているため、恒久足場10内から追加の吸音材2’の充填が容易となる。
【0060】
[第4実施形態]
次に、図15を用いて、第4実施形態に係る梁用吸音パネル7について説明する。第4実施形態に係る梁用吸音パネル7が、第2実施形態に係る梁用吸音パネル1’と相違する点は、H形鋼からなる梁材12’の下フランジに仮置部81が載置されているのではなく、梁材12の下フランジの裏面に形成された嵌合溝14に仮置部81が差し込まれて仮置きされている点である。図15は、第4実施形態に係る梁用吸音パネル7の構成を示す鉛直断面図である。
【0061】
梁用吸音パネル7は、図15に示すように、騒音を低減する吸音材2と、吸音材2を囲うフレーム材8と、を備え、フレーム材8で梁材12の裏面のみを覆い梁材12の裏面で騒音が反射することを防止する機能を有している。
【0062】
このフレーム材8は、図15に示すように、多数の貫通孔が穿設されて吸音材2を載置する平面視長方形状の底面部80と、この底面部80の長辺から立ち上がり、H形鋼からなる梁材12の下フランジの裏面に形成された嵌合溝14に達する断面逆L字状の仮置部81と、反対側の底面部80の長辺から立ち上がる断面逆L字状のボルト接合部82など、を備えている。
【0063】
梁用吸音パネル7は、梁材のフランジに載置しなくても仮置きが可能となる。しかし、予め梁材12の下フランジの裏面にアングル材などを溶接して嵌合溝14を形成する必要がある。
【0064】
以上説明した本実施形態に係る恒久足場の梁用吸音パネル1,1’,4,4’,6,7によれば、恒久足場10を支持する梁材12(12’)の裏面に反射する騒音を低減することができる。また、梁用吸音パネル1,1’,4,4’,6,7によれば、梁材12(12’)の裏面のみを覆い、且つ、恒久足場10内から取替可能に構成されているので、恒久足場10から安全且つ容易に取り替えることができる。
【0065】
それに加え、フレーム材3,3’,5,5’,8の梁材12,12’のフランジに載置された仮置部31,31’,51,51’と異なる反対側のボルト接合部32,52,82でボルト固定されているので、梁材12,12‘のフランジや嵌合溝14で支持された上、それ以外の部分がボルト接合されているので、落下の危険を完全に払拭して落下防止の安全性がさらに向上する。
【0066】
その上、図8図11に示したように、梁用吸音パネル1,4によれば、フレーム材3,4の一部である仮置部31,51が、吸音パネル20と梁材12のフランジとの間に挟持されているので、さらに梁用吸音パネル1,4の落下の危険を完全に払拭して落下防止の安全性がさらに向上する。
【0067】
以上、本発明の実施形態に係る足場の梁用吸音パネルについて詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。特に、梁材としてH形鋼、ハット形の鋼材、及び溝形鋼を例示して説明したが、足場を支えるだけの強度を有した山形鋼など他の形状の鋼材でもよいことは云うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1,1’,4,4’,6,7:(足場の)梁用吸音パネル
2,2’:吸音材
3,3’,5,5’,8;フレーム材
30,50,80:底面部
31,31’,51,51’,81:仮置部
32,52,82:ボルト接合部
10:恒久足場
11:吊り材
12,12’,12”:梁材
13:固定板
14:嵌合溝
20,20’:吸音パネル
21:床材
210:床材本体
211:端部板
22:吸音材
23,23’:表面板
230:底面部
231:フランジ片
232:掛止め部
30:底面部
B1:橋梁
B2:床版
G1:橋桁
図1
図2
図3
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図5
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図11
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図16