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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143020
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】粉粒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/38 20060101AFI20241003BHJP
   B65G 53/24 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65G65/38
B65G53/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055473
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】安達 眞聡
(72)【発明者】
【氏名】城出 健太
【テーマコード(参考)】
3F047
3F075
【Fターム(参考)】
3F047DA00
3F075AA08
3F075BB10
3F075CA08
3F075CC15
(57)【要約】
【課題】高さ方向への粉粒体の搬送が可能であって、小型化及び省電力化に適した粉粒体搬送装置を提供する。
【解決手段】提供される装置は、第1の運動の少なくとも一部の期間で搬送元への下端の挿入状態をとりうる第1の搬送管と、第1の搬送管に近接して配置され、搬送元と接触することで粉粒体の少なくとも一部を移動させる第2の運動が可能な運動部材と、第1及び第2の運動をもたらす駆動部とを備える。第1の運動は、第1の搬送管の下端近傍における長さ方向の往復運動である。第1の運動では、第1の搬送管の挿入深さが減ずる際に搬送管の内部に取り込まれていた粉粒体が持ち上がり、第2の運動によって第1の搬送管の下端の下方への粉粒体の流入が促進され、第1の運動による挿入深さの増減を繰り返すことで第1の搬送管の内部に取り込まれた粉粒体を構成する粒子が当該内部を上昇する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を含む搬送元の上又は上方に配置されて、前記搬送元から前記粉粒体を取り出して搬送する粉粒体搬送装置であって、
第1の運動が可能であると共に、前記第1の運動の少なくとも一部の期間において前記搬送元に下端が挿入された状態をとりうる第1の搬送管と、
前記第1の搬送管に近接して配置され、前記搬送元と接触することで前記粉粒体の少なくとも一部を移動させる第2の運動が可能な運動部材と、
前記第1の搬送管及び前記運動部材に対して、それぞれ、前記第1の運動及び前記第2の運動をもたらす駆動部と、を備え、
前記第1の運動は、前記第1の搬送管の前記下端の近傍における長さ方向に往復する運動であり、
前記駆動部は、
前記第1の運動において、前記搬送元への前記第1の搬送管の挿入深さが減ずる際に、前記第1の搬送管の内部に取り込まれていた前記粉粒体が持ち上がり、
前記第2の運動によって、前記第1の搬送管の前記下端の下方への前記粉粒体の流入が促進され、
前記第1の運動による前記挿入深さの増減を繰り返すことによって、前記第1の搬送管の内部に取り込まれた前記粉粒体を構成する粒子が前記第1の搬送管の内部を上昇するように、前記第1の運動及び前記第2の運動を生じさせる、
粉粒体搬送装置。
【請求項2】
前記第1の搬送管が円管である、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項3】
前記第1の搬送管の内径が50mm以下である、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項4】
前記第1の搬送管の前記挿入深さの最大値は、20mm以上である、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項5】
前記第1の運動の方向が鉛直方向の成分を含む、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項6】
前記運動部材は、前記第2の運動として、前記第2の運動の少なくとも一部の期間において前記搬送元と接触した状態をとりうる往復運動が可能な振動部材である、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項7】
前記運動部材は、柱状体であり、
前記第2の運動は、前記柱状体の下端の近傍における長さ方向に往復する運動であり、
前記柱状体は、前記第2の運動の少なくとも一部の期間において前記搬送元に前記下端が接触した状態をとりうる、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項8】
前記運動部材は、第2の搬送管であり、
前記第2の運動は、前記第2の搬送管の下端の近傍における長さ方向に往復する運動であり、
前記第2の搬送管は、前記第2の運動の少なくとも一部の期間において前記搬送元に前記下端が挿入された状態をとることが可能であり、
前記駆動部は、
前記第2の運動において、前記搬送元への前記第2の搬送管の挿入深さが減ずる際に、前記第2の搬送管の内部に取り込まれていた前記粉粒体が持ち上がり、
前記第1の運動によって、前記第2の搬送管の前記下端の下方への前記粉粒体の流入が促進され、
前記第2の運動による前記挿入深さの増減を繰り返すことによって、前記第2の搬送管の内部に取り込まれた前記粉粒体を構成する前記粒子が前記第2の搬送管の内部を上昇する、ように前記第1の運動及び前記第2の運動を生じさせる、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項9】
前記第1の搬送管が屈曲部を有しており、
前記第1の運動により前記第1の搬送管の内部を上昇した前記粉粒体は、前記屈曲部を経て、前記第1の搬送管の下端から上昇を始めた方向とは異なる方向に移動して、前記下端とは反対側の端部から吐出される、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項10】
前記第1の搬送管から前記粉粒体が吐出される方向が水平方向又は水平よりも下向きの方向である、請求項9に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項11】
前記第1の搬送管から吐出された前記粉粒体を収容する機構、及び/又は、前記粉粒体搬送装置の外部へと搬送する機構をさらに備える、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を含む搬送元から粉粒体を取り出して搬送する粉粒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重力に逆らう高さ方向への粉粒体の搬送には、ベルトコンベア、スクリューコンベア、パケットエレベータ、空気輸送装置等が主に使用されている。特許文献1には、パケットエレベータの一例が開示されている(第1図参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭61-19135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の装置は、一般に大型であって電力の消費も大きい。
【0005】
本発明は、高さ方向への粉粒体の搬送が可能であって、小型化及び省電力化に適した粉粒体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
粉粒体を含む搬送元の上又は上方に配置されて、前記搬送元から前記粉粒体を取り出して搬送する粉粒体搬送装置であって、
第1の運動が可能であると共に、前記第1の運動の少なくとも一部の期間において前記搬送元に下端が挿入された状態をとりうる第1の搬送管と、
前記第1の搬送管に近接して配置され、前記搬送元と接触することで前記粉粒体の少なくとも一部を移動させる第2の運動が可能な運動部材と、
前記第1の搬送管及び前記運動部材に対して、それぞれ、前記第1の運動及び前記第2の運動をもたらす駆動部と、を備え、
前記第1の運動は、前記第1の搬送管の前記下端の近傍における長さ方向に往復する運動であり、
前記駆動部は、
前記第1の運動において、前記搬送元への前記第1の搬送管の挿入深さが減ずる際に、前記第1の搬送管の内部に取り込まれていた前記粉粒体が持ち上がり、
前記第2の運動によって、前記第1の搬送管の前記下端の下方への前記粉粒体の流入が促進され、
前記第1の運動による前記挿入深さの増減を繰り返すことによって、前記第1の搬送管の内部に取り込まれた前記粉粒体を構成する粒子が前記第1の搬送管の内部を上昇するように、前記第1の運動及び前記第2の運動を生じさせる、
粉粒体搬送装置、を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粉粒体搬送装置は、高さ方向への粉粒体の搬送が可能であって、小型化及び省電力化に適している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の粉粒体搬送装置の一例と、粉粒体を含む搬送元の上に当該装置を配置した状態とを示す模式図である。
図2図2は、本発明の粉粒体搬送装置が粉粒体を取り入れて搬送する状態を説明するための模式図である。
図3図3は、本発明の粉粒体搬送装置に使用可能な第1の搬送管の一例を示す模式図である。
図4図4は、本発明の粉粒体搬送装置の一例と、粉粒体を含む搬送元の上に当該装置を配置した状態とを示す模式図である。
図5図5は、本発明の粉粒体搬送装置の一例と、粉粒体を含む搬送元の上に当該装置を配置した状態とを示す模式図である。
図6図6は、本発明の粉粒体搬送装置の一例と、粉粒体を含む搬送元の上に当該装置を配置した状態とを示す模式図である。
図7図7は、スコッチヨーク機構の一例を示す模式図である。
図8図8は、本発明の粉粒体搬送装置に使用可能な第1の搬送管の一例を示す模式図である。
図9図9は、本発明の粉粒体搬送装置の一例と、粉粒体を含む搬送元の上に当該装置を配置した状態とを示す模式図である。
図10図10は、本発明の粉粒体搬送装置の一例と、粉粒体を含む搬送元の上に当該装置を配置した状態とを示す模式図である。
図11図11は、本発明の粉粒体搬送装置の一例と、粉粒体を含む搬送元の上に当該装置を配置した状態とを示す模式図である。
図12図12は、本発明の粉粒体搬送装置の一例と、粉粒体を含む搬送元の上に当該装置を配置した状態とを示す模式図である。
図13図13は、実施例1の結果を示すグラフである。
図14図14は、実施例2の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1態様にかかる粉粒体搬送装置は、
粉粒体を含む搬送元の上又は上方に配置されて、前記搬送元から前記粉粒体を取り出して搬送する粉粒体搬送装置であって、
第1の運動が可能であると共に、前記第1の運動の少なくとも一部の期間において前記搬送元に下端が挿入された状態をとりうる第1の搬送管と、
前記第1の搬送管に近接して配置され、前記搬送元と接触することで前記粉粒体の少なくとも一部を移動させる第2の運動が可能な運動部材と、
前記第1の搬送管及び前記運動部材に対して、それぞれ、前記第1の運動及び前記第2の運動をもたらす駆動部と、を備え、
前記第1の運動は、前記第1の搬送管の前記下端の近傍における長さ方向に往復する運動であり、
前記駆動部は、
前記第1の運動において、前記搬送元への前記第1の搬送管の挿入深さが減ずる際に、前記第1の搬送管の内部に取り込まれていた前記粉粒体が持ち上がり、
前記第2の運動によって、前記第1の搬送管の前記下端の下方への前記粉粒体の流入が促進され、
前記第1の運動による前記挿入深さの増減を繰り返すことによって、前記第1の搬送管の内部に取り込まれた前記粉粒体を構成する粒子が前記第1の搬送管の内部を上昇するように、前記第1の運動及び前記第2の運動を生じさせる。
【0010】
本発明の第2態様において、例えば、第1態様にかかる粉粒体搬送装置では、前記第1の搬送管が円管である。
【0011】
本発明の第3態様において、例えば、第1又は第2態様にかかる粉粒体搬送装置では、前記第1の搬送管の内径が50mm以下である。
【0012】
本発明の第4態様において、例えば、第1から第3態様のいずれか1つの態様にかかる粉粒体搬送装置では、前記第1の搬送管の前記挿入深さの最大値は、20mm以上である。
【0013】
本発明の第5態様において、例えば、第1から第4態様のいずれか1つの態様にかかる粉粒体搬送装置では、前記第1の運動の方向が鉛直方向の成分を含む。
【0014】
本発明の第6態様において、例えば、第1から第5態様のいずれか1つの態様にかかる粉粒体搬送装置では、前記運動部材は、前記第2の運動として、前記第2の運動の少なくとも一部の期間において前記搬送元と接触した状態をとりうる往復運動が可能な振動部材である。
【0015】
本発明の第7態様において、例えば、第1から第6態様のいずれか1つの態様にかかる粉粒体搬送装置では、前記運動部材は、柱状体であり、前記第2の運動は、前記柱状体の下端の近傍における長さ方向に往復する運動であり、前記柱状体は、前記第2の運動の少なくとも一部の期間において前記搬送元に前記下端が接触した状態をとりうる。
【0016】
本発明の第8態様において、例えば、第1から第7態様のいずれか1つの態様にかかる粉粒体搬送装置では、前記運動部材は、第2の搬送管であり、前記第2の運動は、前記第2の搬送管の下端の近傍における長さ方向に往復する運動であり、前記第2の搬送管は、前記第2の運動の少なくとも一部の期間において前記搬送元に前記下端が挿入された状態をとることが可能であり、前記駆動部は、前記第2の運動において、前記搬送元への前記第2の搬送管の挿入深さが減ずる際に、前記第2の搬送管の内部に取り込まれていた前記粉粒体が持ち上がり、前記第1の運動によって、前記第2の搬送管の前記下端の下方への前記粉粒体の流入が促進され、前記第2の運動による前記挿入深さの増減を繰り返すことによって、前記第2の搬送管の内部に取り込まれた前記粉粒体を構成する前記粒子が前記第2の搬送管の内部を上昇する、ように前記第1の運動及び前記第2の運動を生じさせる。
【0017】
本発明の第9態様において、例えば、第1から第8態様のいずれか1つの態様にかかる粉粒体搬送装置では、前記第1の搬送管が屈曲部を有しており、前記第1の運動により前記第1の搬送管の内部を上昇した前記粉粒体は、前記屈曲部を経て、前記第1の搬送管の下端から上昇を始めた方向とは異なる方向に移動して、前記下端とは反対側の端部から吐出される。
【0018】
本発明の第10態様において、例えば、第9態様にかかる粉粒体搬送装置では、前記第1の搬送管から前記粉粒体が吐出される方向が水平方向又は水平よりも下向きの方向である。
【0019】
本発明の第11態様において、例えば、第1から第10態様のいずれか1つの態様にかかる粉粒体搬送装置は、前記第1の搬送管から吐出された前記粉粒体を収容する機構、及び/又は、前記粉粒体搬送装置の外部へと搬送する機構をさらに備える。
【0020】
[粉粒体搬送装置]
(実施形態1)
本実施形態の粉粒体搬送装置の一例を図1に示す。図1の粉粒体搬送装置1(1A)は、第1の搬送管2と、運動部材である柱状体3と、駆動部4とを備える。また、粉粒体搬送装置1Aは、フレーム51を備えている。フレーム51は、第1の搬送管2、柱状体3及び駆動部4を支持している。第1の搬送管2の下端21及び上端22は、開口している(開放されている)。第1の搬送管2は、その下端21の近傍における長さ方向に往復する第1の運動Xが可能である。第1の運動の少なくとも一部の期間、場合によってはすべての期間、において、第1の搬送管2は、その下端21が搬送元101に挿入された状態をとりうる。柱状体3は、搬送元101と接触することで粉粒体102の少なくとも一部を移動させる第2の運動であって、その下端31の近傍における長さ方向に往復する第2の運動Yが可能である。第2の運動Yの少なくとも一部の期間、場合によってはすべての期間、において、柱状体3、より具体的には、柱状体3の下端31は、搬送元101と接触した状態をとりうる。図1に示すように、接触した状態は、搬送元101に挿入された状態であってもよい。柱状体3は、第1の搬送管2に近接して配置されている。第1の搬送管2と柱状体3とは、互いに平行に配置されていてもよい。なお、「下端21の近傍における長さ方向」とは、第1の搬送管2における搬送元101に挿入される部分が延びる方向に対応する。「下端31の近傍における長さ方向」とは、柱状体3における下端31とその近傍を含む部分が延びる方向に対応しており、搬送元101に挿入された状態をとりうる柱状体3では、柱状体3における搬送元101に挿入される部分が延びる方向に対応する。
【0021】
駆動部4は、第1の搬送管2及び柱状体3に対して、それぞれ第1の運動及び第2の運動をもたらす。図1の駆動部4は、振動発生部41A,41Bを備える。振動発生部41A,41Bは、フレーム51、具体的にはフレーム51の上部ビーム52、に固定されている。振動発生部41Aは、第1の搬送管2に対して第1の運動をもたらしうるように第1の搬送管2に接続されている。振動発生部41Bは、柱状体3に対して第2の運動をもたらしうるように柱状体3に接続されている。振動発生部41A,41Bは、例えば圧電素子を備えており、圧電素子により発生した振動を増幅する増幅部や、振動の方向を変換する変換部をさらに備えていてもよい。圧電素子は、積層圧電素子であってもよい。圧電素子を備える振動発生部41A,41Bは、粉粒体搬送装置1の小型化及び省電力化に適し、ダスト等の小径粒子に対する耐久性に優れている。ただし、振動発生部41A,41Bは、第1の搬送管2及び柱状体3に対して、それぞれ第1の運動及び第2の運動をもたらすことができる限り、上記例に限定されない。図1の例における第1の運動X及び第2の運動Yは、いずれも往復運動である。各運動の方向は、いずれも鉛直方向である。
【0022】
粉粒体搬送装置1Aは、上部ホルダ53A,53B及び下部ホルダ54をさらに備える。上部ホルダ53A,53Bは上部ビーム52に、下部ホルダ54はフレーム51に固定されている。各ホルダには、第1の搬送管2及び/又は柱状体3がスライド可能に貫通している。また、粉粒体搬送装置1Aは、レーザー変位計62A,62Bをさらに備える。レーザー変位計62A,62Bは、上部ビーム52上に支持ラック61を介して固定されている。レーザー変位計62A,62Bによって、第1の搬送管2及び柱状体3の運動の状態、例えば、搬送元101に対する高さ、変位量、変位速度及び変位周期等、を検出できる。検出したデータは、第1の運動及び第2の運動の制御に利用できる。本発明の粉粒体搬送装置は、レーザー変位計62A,62Bと共に、あるいは、レーザー変位計62A,62Bに代わって、同等の機能を有する他のデバイスを備えていてもよい。
【0023】
粉粒体搬送装置1Aにおける粉粒体の搬送を、図2を参照しながら説明する。初期状態(a)において、第1の搬送管2は、下端21が搬送元101の露出面である表面103よりも下方となるように、搬送元101に挿入されている。下端21の挿入深さDは、下端21と第1の搬送管2に接している表面103との最短距離に相当する。第1の運動によって第1の搬送管2の挿入深さDが減ずると、第1の搬送管2の内部に取り込まれていた粉粒体102Aは、第1の搬送管2の動きに応じて持ち上がる(状態(b))。粉粒体102Aの上昇には、摩擦が寄与していると推定される。第1の搬送管2及び粉粒体102Aの上昇に伴って下端21の下に生じるスペース104には、周囲から粉粒体102が流入する(状態(c))。第1の搬送管2に近接して配置された柱状体3の第2の運動は、粉粒体102を流動化させて、スペース104への粉粒体102の流入を促進させる。第1の搬送管2の挿入深さが増す際には、第2の運動によって第1の搬送管2の下端21の下方への流入が促進された粉粒体102の少なくとも一部が第1の搬送管2の内部に新たに取り込まれる(状態(d))。そして、第1の運動による第1の搬送管2の挿入深さDの増減を繰り返すことによって(状態(c)~状態(e))、第1の搬送管2の内部に取り込まれた粉粒体102を構成する粒子が第1の搬送管2の内部を上昇する。図2の状態(e)では、第1の搬送管2の内部を粉粒体102の上面105が上昇している。駆動部4は、上記粉粒体102の搬送がなされるように第1の運動及び第2の運動を生じさせる。
【0024】
粉粒体搬送装置1Aは、上記粉粒体102の搬送がなされるように駆動部4を制御する制御部をさらに備えていてもよい。当該制御のために制御部5は、駆動部4と通信可能に接続されうる。制御部5と駆動部4との接続は、有線であっても無線であってもよい。
【0025】
第1の運動の周期は、例えば5~40Hzである。周期の下限は、7Hz以上、10Hz以上、さらには15Hz以上であってもよい。周期の上限は、35Hz以下、さらには30Hz以下であってもよい。ただし、後述するものを含め、第1の運動及び第2の運動に適したパラメータは、粉粒体102の種類、搬送元101の構造、重力加速度等の条件によって変化しうる。条件によっては、本明細書に例示する範囲とは異なる範囲が適することがある。
【0026】
第1の運動の片振幅は、例えば0.5~15mmである。片振幅の下限は、1mm以上、2mm以上、さらには3mm以上であってもよい。片振幅の上限は、13mm以下、10mm以下、さらには8mm以下であってもよい。
【0027】
第1の搬送管2の挿入深さDの最大値は、例えば20~200mmである。最大値の下限は、30mm以上、40mm以上、さらには50mm以上であってもよい。最大値の上限は、180mm以下、160mm以下、140mm以下、120mm以下、100mm以下、さらには90mm以下であってもよい。
【0028】
第2の運動の周期は、例えば5~40Hzである。周期の下限は、7Hz以上、10Hz以上、さらには15Hz以上であってもよい。周期の上限は、35Hz以下、さらには30Hz以下であってもよい。
【0029】
第2の運動の片振幅は、例えば0.5~15mmである。片振幅の下限は、1mm以上、2mm以上、さらには3mm以上であってもよい。片振幅の上限は、13mm以下、10mm以下、さらには8mm以下であってもよい。
【0030】
柱状体3の挿入深さDの最大値は、例えば20~200mmである。最大値の下限は、30mm以上、40mm以上、さらには50mm以上であってもよい。最大値の上限は、180mm以下、160mm以下、140mm以下、120mm以下、100mm以下、さらには90mm以下であってもよい。
【0031】
第1の運動及び第2の運動の間で周期等の各パラメータは同一であっても異なっていてもよい。周期が同一である第1の運動及び第2の運動は、位相差を有していてもよいし、有していなくてもよい。位相差は、必要であれば、例えば90~270°で設定できる。
【0032】
図1の粉粒体搬送装置1Aにおける第1の運動及び第2の運動の方向は、いずれも鉛直方向である。ただし、各運動の方向は、搬送元101から粉粒体102を取り出して搬送できる限り、図1の例に限定されない。第1の運動は、通常、鉛直方向の成分を含む。第2の運動は、粉粒体102の流動化が可能である限り限定されず、例えば、鉛直方向の成分を含んでいなくてもよいし、鉛直方向の成分を含んでいてもよい。また、第1の運動及び第2の運動の方向は、同一であっても異なっていてもよい。第1の運動及び第2の運動からなる群から選択される少なくとも1つの運動の方向が鉛直方向であってもよい。
【0033】
図1の第1の搬送管2は円管である。本明細書において円管とは、長さ方向に垂直な横断面(以下、横断面と記載する)を見たときに内周が円形である管を意味する。横断面を見たときに、さらに外周が円形であってもよい。ただし、搬送元101から粉粒体102を取り出して搬送できる限り、第1の搬送管2は円管に限定されない。第1の搬送管2において横断面を見たときの内周の形状は、三角形、四角形、五角形及び六角形を含む多角形、楕円形及び不定形であってもよい。
【0034】
第1の搬送管2の内径は、例えば3~50mmである。内径の下限は、4mm以上、5mm以上、6mm以上、7mm以上、さらには8mm以上であってもよい。内径の上限は、45mm以下、40mm以下、35mm以下、30mm以下、25mm以下、20mm以下、18mm以下、さらには15mm以下であってもよい。内径は、横断面における内周により囲まれた領域と同じ面積を有する真円の直径として定めることができる。横断面における内周の最大径が上記範囲にあってもよい。第1の搬送管2の内径は、長さ方向に一定であっても、途中で変化していてもよい。例えば、下端21の近傍において下端21に向かうほど内径が絞りこまれていてもよく、換言すれば、下端21の近傍における内周面の形状はテーパー状であってもよい。
【0035】
第1の搬送管2の長さは、例えば10~2500mmである。長さの下限は、50mm以上、100mm以上、300mm以上、500mm以上、800mm以上、さらには1000mm以上であってもよい。長さの上限は、2000mm以下、1500mm以下、1200mm以下、さらには1000mm以下であってもよい。
【0036】
図1の第1の搬送管2は、下端21から上端22まで直線状に延びる直管である。ただし、搬送元101から粉粒体102を取り出して搬送できる限り、第1の搬送管2は直管に限定されず、例えば、屈曲部を有していてもよい。屈曲部を有する第1の搬送管2の一例を図3に示す。図3の第1の搬送管2は、下端21と、下端21とは反対側の端部23との間に屈曲部24を有している。図1の屈曲部24における屈曲の角度は90°である。ただし、屈曲の角度は上記例に限定されない。
【0037】
図1の第1の搬送管2の下端21は、開放されている。ただし、搬送元101から粉粒体102を取り出して搬送できる限り、下端21には網等の部材が配置されていてもよい。
【0038】
第1の搬送管2を構成する材料の例は、樹脂、金属、炭素材料、ガラス、ケイ素化合物及びこれらの複合材料である。材料は、例えば、搬送元101の状態、粉粒体102の種類、並びに必要とされる耐久性等に応じて選択できる。各材料は、補強材として第1の搬送管2に含まれていてもよい。補強材の例は、補強用繊維である。補強用繊維の例は、グラスファイバー及びカーボンファイバーである。樹脂の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン及びテフロン(登録商標)である。金属の例は、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅及びチタンである。炭素材料の例は、カーボンブラック及びグラフェンである。ケイ素化合物の例は、シリカである。内部に取り込んだ粉粒体102の上面105を確認したい場合等には、透明材料又は半透明材料を選択してもよい。第1の搬送管2を構成する材料は、第1の搬送管2の長さ方向に変化していてもよい。ただし、第1の搬送管2を構成する材料は、上記例に限定されない。
【0039】
図1の柱状体3は円柱である。ただし、粉粒体搬送装置1によって搬送元101から粉粒体102を取り出して搬送できる限り、柱状体3は円柱に限定されない。柱状体3は、三角柱、四角柱、五角柱及び六角柱を含む多角柱、楕円柱、並びに、板状及び不定形の横断面を有する柱状体であってもよい。板状には、平板状の他、屈曲や湾曲を有するものが含まれる。
【0040】
柱状体3の外径は、例えば3~50mmである。外径の下限は、4mm以上、5mm以上、6mm以上、7mm以上、さらには8mm以上であってもよい。外径の上限は、45mm以下、40mm以下、35mm以下、30mm以下、25mm以下、20mm以下、18mm以下、さらには15mm以下であってもよい。外径は、横断面における柱状体3の外周により囲まれた領域と同じ面積を有する真円の直径として定めることができる。横断面における外周の最大径が上記範囲にあってもよい。柱状体3の外径は、長さ方向に一定であっても、途中で変化していてもよい。
【0041】
図1の柱状体3は中実体である。ただし、柱状体3は上記例に限定されず、内部に空間を有していてもよい。内部に空間を有する柱状体3の一例は、管体である。本発明者らの検討によれば、柱状体3が管体である場合にも粉粒体102の流動化が可能である。管体である柱状体3の下端31は、蓋、絞り、バルブ等の閉塞部材によって閉塞されていてもよい。
【0042】
横断面を見たときに図1の柱状体3の下端31及びその近傍は、柱状体3の他の部分と同じ形状を有する。ただし、下端31及びその近傍の形状は上記例に限定されない。例えば、下端31の近傍の形状は、下端31に近づくほど外径が小さくなるテーパー状であってもよい。
【0043】
柱状体3の長さは、例えば10~2500mmである。長さの下限は、50mm以上、100mm以上、300mm以上、500mm以上、800mm以上、さらには1000mm以上であってもよい。長さの上限は、2000mm以下、1500mm以下、1200mm以下、さらには1000mm以下であってもよい。
【0044】
図1の柱状体3は、下端31から上端32まで直線状に延びている。ただし、粉粒体搬送装置1によって搬送元101から粉粒体102を取り出して搬送できる限り、柱状体3は上記例に限定されず、例えば、屈曲部を有していてもよい。屈曲部は、例えば、下端31と、下端31とは反対側の端部との間に位置する。
【0045】
柱状体3を構成する材料の例は、第1の搬送管2を構成しうる材料の例と同じである。
【0046】
第1の搬送管2と、これに最も近接している柱状体3との間隔Sは、例えば50mm以下であり、45mm以下、40mm以下、35mm以下、さらには30mm以下であってもよい。間隔Sの下限は、例えば2mm以上であり、3mm以上、4mm以上、5mm以上、7mm以上、さらには10mm以上であってもよい。間隔Sは、第1の搬送管2と柱状体3とが最も近接した位置及びタイミングにあるときの両者の最短距離として定めることができる。
【0047】
図1の粉粒体搬送装置1Aは、1つの第1の搬送管2と1つの柱状体3とを備える。第1の搬送管2及び柱状体3の数は上記例に限定されない。粉粒体搬送装置1は、2以上の第1の搬送管2及び/又は2以上の柱状体3を備えていてもよい。第1の搬送管2及び柱状体3の数は、合計で、例えば2~10であり、2~8、さらには2~6であってもよい。
【0048】
第1の搬送管2及び/又は柱状体3は、粉粒体搬送装置1に対して脱着可能に固定されていてもよい。この態様は、第1の搬送管2及び/又は柱状体3の交換に適している。
【0049】
粉粒体搬送装置1によって搬送元101から粉粒体102を取り出して搬送できる限り、第1の搬送管2及び柱状体3の構成は上記例に限定されない。
【0050】
運動部材は、搬送元101と接触することで粉粒体102の少なくとも一部を移動させる第2の運動が可能である限り、柱状体3に限定されない。運動部材は、第2の運動として、第2の運動の少なくとも一部の期間において搬送元101と接触した状態をとりうる往復運動が可能な振動部材であってもよい。柱状体3は、振動部材の1種である。振動部材は、例えば、板状体、ネット及びメッシュ等の網目構造を有する部材、球状体であってもよい。また、運動部材は、搬送元101と接触することで粉粒体102の少なくとも一部を移動させる第2の運動が可能である限り、振動部材に限定されない。
【0051】
粉粒体搬送装置1は、上記説明した以外のさらなる部材及び/又は機構を備えていてもよい。
【0052】
粉粒体102の例は、土壌、鉱物、鉱石、植物に由来するもの、天然塩(未精製塩)である。土壌にはレゴリスが含まれる。レゴリスには、地球に存在するものの他、月、衛星、小惑星、彗星、準惑星、惑星等の地球以外の天体に分布する粉粒体が含まれる。鉱物の例は、タルク、石英砂である。鉱石の例は、鉄鉱石、金鉱石、銀鉱石、銅鉱石、チタン鉱石、ボーキサイト及びダイヤモンド鉱石である。植物に由来する粉粒体の例は、でんぷん粉、砂糖、小麦粉及びゴマ(胡麻)である。粉粒体102を構成する個々の粒子が真球に近くなるほど、通常、粉粒体の流動性は高くなる。一方、土壌、鉱物、鉱石、植物に由来する粉粒体、天然塩等を構成する個々の粒子は、一般に真球ではなく、方向によって径が大きく異なる傾向がある。これらの粉粒体の流動性は、通常、低くなるが、第2の運動が可能な運動部材を備える粉粒体搬送装置1は、流動性の低い粉粒体102の搬送にも適している。ただし、粉粒体102は、上記例に限定されない。粉粒体102からは、シリカが除かれていてもよいし、ガラスが除かれていてもよい。
【0053】
搬送元101の例は、土壌、堆積層、掘削層、表面層、並びに、原料や粉体材料を収容する機構である。原料又は粉体材料である粉粒体102は、例えば、化粧品、薬品、製鉄、冶金及び食品等の製造に使用される材料、あるいは3Dプリンタの粉体材料であってもよい。ただし、搬送元101は、上記例に限定されない。
【0054】
粉粒体搬送装置1は、粉粒体102を含む搬送元101の上方に配置されてもよい。上方に配置された態様の例として、他の装置、車両、建造物等によって粉粒体搬送装置1が支持された態様がある。
【0055】
(実施形態2)
本実施形態の粉粒体搬送装置1の一例を図4に示す。図4の粉粒体搬送装置1Bは、柱状体3が管体である場合にも粉粒体102の流動化が可能であることを利用した形態に対応する。粉粒体搬送装置1Bは、柱状体3が第2の搬送管7である以外は、図1の粉粒体搬送装置1Aと同様の構成を有する。第2の搬送管7の下端71及び上端は、開口している。粉粒体搬送装置1Bでは、第1の搬送管2に加えて第2の搬送管7によっても、粉粒体102を搬送元101から取り出して搬送することが可能となる。粉粒体搬送装置1Bでは、第1の搬送管2のみによって粉粒体102を搬送する場合に比べて、搬送性能の増強が可能である。
【0056】
換言すれば、粉粒体搬送装置1Bでは、運動部材は、第2の運動として、その下端71の近傍における長さ方向に往復する運動が可能であると共に、第2の運動の少なくとも一部の期間において搬送元101に下端71が挿入された状態をとりうる第2の搬送管7である。粉粒体搬送装置1Bにおける第2の運動において、搬送元101への第2の搬送管7の挿入深さが減ずる際に、第2の搬送管7の内部に取り込まれていた粉粒体102が持ち上がる。近接して配置された第1の搬送管2がなす第1の運動によって、第2の搬送管7の下端71の下方への粉粒体102の流入が促進される。そして、第2の運動による挿入深さの増減を繰り返すことによって、第2の搬送管7の内部に取り込まれた粉粒体102を構成する粒子が第2の搬送管7の内部を上昇する。駆動部4は、第2の搬送管7による上記搬送が可能となるように、第1の運動及び第2の運動を生じさせうる。搬送体搬送装置1Bは、第2の搬送管7による上記搬送が可能となるように駆動部4を制御する制御部をさらに備えていてもよい。
【0057】
第2の搬送管7は、本明細書で述べている第1の搬送管2の各特徴を任意の組み合わせで有しうる。第1の搬送管2及び第2の搬送管7の構成は、同一であっても異なっていてもよい。
【0058】
(実施形態3)
本実施形態の粉粒体搬送装置1の一例を図5に示す。図5の粉粒体搬送装置1Cは、上部ホルダ53A,53Bを備えないと共に、駆動部4が異なる以外は、図1の粉粒体搬送装置1Aと同様の構成を有する(レーザー変位計62A,62B及び支持ラック61については、図示を省略)。図5の駆動部4は、リニアアクチュエータ42A,42Bと、伝達メンバー43A,43Bと、を備える。伝達メンバー43Aは、リニアアクチュエータ42Aにより発生させた第1の運動をもたらす力を第1の搬送管2に伝達する。伝達メンバー43Bは、リニアアクチュエータ42Bにより発生させた第2の運動をもたらす力を柱状体3に伝達する。リニアアクチュエータ42A,42Bは、フレーム51に固定されている。図5の伝達メンバー43A,43Bはロッド状の部材であるが、上記力の伝達が可能である限り、その構成は上記例に限定されない。粉粒体搬送装置1Cでは、フレーム51の上部ビーム52及び下部ホルダ54を、第1の搬送管2及び柱状体3がスライド可能に貫通している。
【0059】
(実施形態4)
本実施形態の粉粒体搬送装置1の一例を図6に示す。図6の粉粒体搬送装置1Dは、上部ホルダ53A,53Bを備えないと共に、駆動部4が異なる以外は、図1の粉粒体搬送装置1Aと同様の構成を有する(レーザー変位計62A,62B及び支持ラック61については、図示を省略)。図6の駆動部4は、スコッチヨーク機構44(44A,44B)、主伝達メンバー45A,45B、上部伝達メンバー46A,46B及び下部伝達メンバー47A,47Bを備える。スコッチヨーク機構44A,44Bは、フレーム51に固定されている。主伝達メンバー45Aは、スコッチヨーク機構44A、上部伝達メンバー46A及び下部伝達メンバー47Aに接続されている。上部伝達メンバー46A及び下部伝達メンバー47Aは、第1の搬送管2に接続されている。スコッチヨーク機構44Aにより発生させた第1の運動をもたらす力は、主伝達メンバー45A、上部伝達メンバー46A及び下部伝達メンバー47Aを介して第1の搬送管2に伝達される。主伝達メンバー45Bは、スコッチヨーク機構44B、上部伝達メンバー46B及び下部伝達メンバー47Bに接続されている。上部伝達メンバー46B及び下部伝達メンバー47Bは、柱状体3に接続されている。スコッチヨーク機構44Bにより発生させた第2の運動をもたらす力は、主伝達メンバー45B、上部伝達メンバー46B及び下部伝達メンバー47Bを介して柱状体3に伝達される。図6の主伝達メンバー45A,45B、上部伝達メンバー46A,46B及び下部伝達メンバー47A,47Bは、いずれもロッド状の部材であるが、上記力の伝達が可能である限り、その構成は上記例に限定されない。
【0060】
スコッチヨーク機構44は、モーター等(図6において図示を省略)により発生させた回転運動又は揺動運動を往復運動に変換する機構である。スコッチヨーク機構の一例を図7に示す。図7の例は、ヨーク441及びクランクディスク443を備える。図7では、説明を分かりやすくするために、ヨーク441及びクランクディスク443を互いに離間した状態で示す。ヨーク441は、スコッチヨーク機構44においてスライダとして機能する。ヨーク441は、溝442を有している。クランクディスク443には、ヨーク441に面する側にクランクピン444が設けられている。クランクピン444は、クランクディスク443の中心軸に対して偏心した位置にある。クランクディスク441は、クランクピン444が溝442の内部に位置するようにヨーク441と組み合わされる。クランクディスク441の中心軸に対してクランクディスク441が回転又は揺動する力を与えると、クランクディスク441の回転運動又は揺動運動はクランクピン444及び溝442によってヨーク441の往復運動に変換される。スコッチヨーク機構の構成は、図7の例に限定されない。公知のスコッチヨーク機構を採用できる。
【0061】
スコッチヨーク機構44A,44Bに代えて、回転運動を往復運動に変換する他の機構を採用してもよい。他の機構の例は、カムフォロワー機構及びスライダ-クランク機構である。
【0062】
(実施形態5)
搬送元101から取り出されて第1の搬送管2の内部を上昇した粉粒体102は、粉粒体搬送装置1から取り外した第1の搬送管2を容器として、運搬や保管することも可能である。そのために第1の搬送管2は、少なくとも1か所で第1の搬送管2を閉塞する部材を備えていてもよい。
【0063】
閉塞する部材を備えた第1の搬送管2の一例を図8に示す。図8の第1の搬送管2は、下端21及び上端22の各々の近傍に、合計で2か所の閉塞部25(25A,25B)を備える。第1の搬送管2を脱着可能に粉粒体搬送装置1に固定し、所定量の粉粒体102が内部に取り込まれた段階で閉塞部25A及び/又は閉塞部25Bによって第1の搬送管2を閉塞する。閉塞後の第1の搬送管2を粉粒体搬送装置1から取り外すことによって、第1の搬送管2による粉粒体102の運搬や保管が可能となる。所定量は、例えば、取り込まれた粉粒体102の上面の高さや重量により確認することが可能である。
【0064】
閉塞部25の例は、蓋、絞り、バルブ、シャッタである。閉塞部25は、手動の部材であってもよい。ただし、閉塞部25は上記例に限定されない。
【0065】
閉塞部25は、第1の搬送管2における任意の場所に設けることができる。下端21及び/又は上端22に設けてもよい。
【0066】
閉塞部25を備える第1の搬送管2は、本明細書で例示する粉粒体搬送装置1A~1Hのいずれにも使用可能である。
【0067】
(実施形態6)
本実施形態の粉粒体搬送装置1の一例を図9及び図10に示す。図9の粉粒体搬送装置1Eは、第1の搬送管2が屈曲部24を有すると共に、駆動部4が振動ロッド48をさらに備える以外は、図1の粉粒体搬送装置1Aと同様の構成を有する(レーザー変位計62A,62B及び支持ラック61については、図示を省略)。振動ロッド48は第1の搬送管2の屈曲部24に接続されている。振動ロッド48によって振動発生装置41Aからの力が第1の搬送管2に伝達され、これにより、第1の搬送管2は第1の運動をすることが可能となる。図10の粉粒体搬送装置1Fは、第1の搬送管2が屈曲部24を有する以外は、図5の粉粒体搬送装置1Cと同様の構成を有する。粉粒体搬送装置1E,1Fでは、第1の運動により第1の搬送管2の内部を上昇した粉粒体102を、屈曲部24を経て、第1の搬送管2の下端21から上昇を始めた方向Z(図9図10においては鉛直上向き)とは異なる方向に移動させて、下端21とは反対側の端部23から吐出することができる。図9図10の例において粉粒体102が吐出される方向は水平方向であるが、当該方向は上記例に限定されない。第1の搬送管2から粉粒体102が吐出される方向は、水平方向又は水平よりも下向きの方向であってもよく、鉛直下向き(重力方向)であってもよい。
【0068】
(実施形態7)
本実施形態の粉粒体搬送装置1の一例を図11に示す。図11の粉粒体搬送装置1Gは、第1の搬送管2が下端21とは反対側の端部23の近傍に屈曲部24を有すると共に、第1の搬送管2から吐出された粉粒体102を収容する機構8として容器83をさらに備える以外は、図1の粉粒体搬送装置1Aと同様の構成を有する(レーザー変位計62A,62B及び支持ラック61については、図示を省略)。容器83は、フレーム51に固定された容器台81の上への固定又は戴置が可能である。図11の容器83は、固定台81の上に設置された計量器82の上に戴置されている。第1の搬送管2の端部23から吐出された粉粒体102は、容器83に収容される。ただし、機構8は、上記例に限定されない。
【0069】
図11の第1の搬送管2が有する屈曲部24はU字状である。U字状の屈曲部24を有する第1の搬送管2によれば、粉粒体102を鉛直下向きに吐出できる。ただし、屈曲部24の形状は、上記例に限定されない。
【0070】
粉粒体搬送装置1は、屈曲部24を有さない第1の搬送管2、及び第1の搬送管2の上端22から吐出された粉粒体102を収容する機構8、例えば容器83、を備えていてもよい。
【0071】
容器83に収容された粉粒体102は、収容された状態で保管や運搬することが可能である。容器83は、蓋等により密閉可能であってもよい。
【0072】
(実施形態8)
本実施形態の粉粒体搬送装置1の一例を図12に示す。図12の粉粒体搬送装置1Hは、第1の搬送管2が下端21とは反対側の端部23の近傍に屈曲部24を有すると共に、第1の搬送管2から吐出された粉粒体を粉粒体搬送装置1Hの外部へと搬送する機構9をさらに備える以外は、図1の粉粒体搬送装置1Aと同様の構成を有する(レーザー変位計62A,62B及び支持ラック61については、図示を省略)。機構9は、支持ビーム91及びベルトコンベア92を備える。支持ビーム91はフレーム51に固定されており、ベルトコンベア92は支持ビーム91によって支持されている。ベルトコンベア92によって、第1の搬送管2の端部23から吐出された粉粒体102を粉粒体搬送装置1Hの外部に搬送できる。ただし、機構9は上記例に限定されない。
【0073】
図12の第1の搬送管2が有する屈曲部24はU字状である。ただし、屈曲部24の形状は、上記例に限定されない。
【0074】
機構9により搬送された粉粒体102は、保管、運搬、加工等の任意の取り扱いが可能である。
【0075】
(実施形態9)
第1の搬送管2における下端21と上端22(又は端部23)との間の側壁に貫通孔を設けておき、搬送元101から取り出されて第1の搬送管2の内部を上昇した粉粒体102の一部又は全部を上記貫通孔から吐出させてもよい。貫通孔の形状及びサイズを調整することで、貫通孔から吐出させる粉粒体102と、上端22(又は端部23)から吐出させる粉粒体102とを第1の搬送管2の内部で分岐させてもよい。上記貫通孔が設けられた第1の搬送管2は、本明細書で例示する粉粒体搬送装置1A~1Hのいずれにも使用可能である。
【実施例0076】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す具体的な態様に限定されない。
【0077】
本実施例では、第1の搬送管2及び第2の搬送管7を備える図4の粉粒体搬送装置1Bを用いて、月面にあるレゴリスを模した月模擬砂の搬送を行った。第1の搬送管2及び第2の搬送管7には、外径16mm及び長さ1000mmの直管である、同一のアクリル製円管を使用した。第1の搬送管2及び第2の搬送管7は鉛直方向に延びるように平行に配置し、各々の搬送管の運動の方向は、いずれも鉛直方向とした。月模擬砂には、100~250μmの範囲に粒径の分布を有する非球形粉粒体からなる清水建設製、FJS-1を使用した。初期状態における第1の搬送管2及び第2の搬送管7の月模擬砂に対する挿入深さDは、いずれも75mmとした。
【0078】
(実施例1)
以下の条件にて、第1の搬送管2及び第2の搬送管7を往復運動させた。また、比較のために、第2の搬送管7を停止した状態で第1の搬送管2のみを往復運動させた。
・搬送管の内径:12mm
・片振幅:4mm
・周波数:20Hz
・第1の搬送管2と第2の搬送管7との間隔S:35mm
・各搬送管の往復運動の位相差:無制御
【0079】
図13に、第1の搬送管2及び第2の搬送管7を往復運動させた場合の各搬送管における粉粒体の上面の上昇、及び第1の搬送管2のみを往復運動させた場合の当該搬送管における粉粒体の上面の上昇を、往復運動を開始してからの時間を横軸として示す。図13に示すように、第1の搬送管2及び第2の搬送管7の双方を往復運動させることで、第1の搬送管2のみを往復運動させた場合に比べて、第1の搬送管2及び第2の搬送管7のいずれにおいても月模擬砂の搬送速度及び月模擬砂の露出面を基準とする搬送高さを高めることができた。また、約70秒が経過した時点で、第1の搬送管2の上端から月模擬砂が噴出した。
【0080】
(実施例2)
以下の条件にて、第1の搬送管2及び第2の搬送管7を往復運動させた。また、比較のために、第2の搬送管7を停止した状態で第1の搬送管2のみを往復運動させた。
・搬送管の内径:8mm
・片振幅:5mm
・周波数:20Hz
・第1の搬送管2と第2の搬送管7との間隔S:30mm
・各搬送管の往復運動の位相差:90°(第1の搬送管2が進相)
【0081】
図14に、第1の搬送管2及び第2の搬送管7を往復運動させた場合の各搬送管における粉粒体の上面の上昇、及び第1の搬送管2のみを往復運動させた場合の当該搬送管における粉粒体の上面の上昇を、往復運動を開始してからの時間を横軸として示す。図14に示すように、第1の搬送管2及び第2の搬送管7の双方を往復運動させることで、第1の搬送管2のみを往復運動させた場合に比べて、第1の搬送管2及び第2の搬送管7のいずれにおいても月模擬砂の搬送速度及び月模擬砂の露出面を基準とする搬送高さを高めることができた。また、約75秒が経過した時点で、第2の搬送管7の上端から月模擬砂が噴出した。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の粉粒体搬送装置は、例えば、土壌や粉体材料に含まれる粉粒体を搬送する用途に使用できる。
【符号の説明】
【0083】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H 粉粒体搬送装置
2 第1の搬送管
21 (第1の搬送管2の)下端
23 端部
24 屈曲部
25,25A,25B 閉塞部(第1の搬送管2を閉塞する部材)
3 柱状体
31 (柱状体3の)下端
4 駆動部
7 第2の搬送管
8 (容器に収容する)機構
83 容器
9 (粉粒体搬送装置の外部へと搬送する)機構
101 搬送元
102 粉粒体
103 露出面
X 第1の運動
Y 第2の運動
Z (上昇を始めた)方向
D 挿入深さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14