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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143021
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】乗用型苗移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A01C11/02 311T
A01C11/02 330Z
A01C11/02 330M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055474
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
(72)【発明者】
【氏名】山田 佳菜子
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】川崎 潤
(72)【発明者】
【氏名】馬場 裕佑
(72)【発明者】
【氏名】飛田 秀平
(72)【発明者】
【氏名】山田 信芳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大翔
(72)【発明者】
【氏名】小松 弘茂
(72)【発明者】
【氏名】石井 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 直也
(72)【発明者】
【氏名】竹▲崎▼ 直人
(72)【発明者】
【氏名】荒木 宝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 洋平
(72)【発明者】
【氏名】谷上 智洋
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 宏真
(72)【発明者】
【氏名】三宅 浩喜
(72)【発明者】
【氏名】岩見 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】後田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 幹大
(72)【発明者】
【氏名】北山 康治
(72)【発明者】
【氏名】河本 創
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 学
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 鷹人
(72)【発明者】
【氏名】栗原 大器
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和之
【テーマコード(参考)】
2B062
【Fターム(参考)】
2B062AA20
2B062AB01
2B062BA28
2B062BA31
2B062CA30
(57)【要約】
【課題】バッテリの電力で作動するモータで前輪及び後輪を駆動する乗用型苗移植機がある。然しながら、バッテリに電力を供給する為に燃料電池を搭載したものであり、燃料電池への燃料供給装置が必要であり、複雑な構成で高価であった。そこで、線引きマーカ等の既存の部品を用いて簡潔で安価な構成で発電しバッテリに電力を供給する乗用型苗移植機を提供する。
【解決手段】線引きマーカ35を機体に基部が枢支された回動支持杆35aと該回動支持杆35aの先端部に設けた圃場に接地して回転するマーカ37で構成し、該マーカ37の回転中心周りに設けたギヤ37bにて回動支持杆35aに設けた回生モータ38を作動させて発電し、該発電した電力をバッテリに供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ(40)の電力で作動する車輪駆動モータ(18)にて駆動される走行装置(11)を装備した走行車体(2)に昇降リンク装置(3)を介して苗植付部(4)を装着し、圃場に次工程のセンターラインを圃場に引く線引きマーカ(35)を設けた乗用型苗移植機において、該線引きマーカ(35)を機体に基部が枢支された回動支持杆(35a)と該回動支持杆(35a)の先端部に設けた圃場に接地して回転するマーカ(37)で構成し、該マーカ(37)の回転中心周りに設けたギヤ(37b)にて回動支持杆(35a)に設けた回生モータ(38)を作動させて発電し、該発電した電力をバッテリ(40)に供給することを特徴とする乗用型苗移植機。
【請求項2】
走行車体(2)に搭載したエンジン(20)にて駆動される第1走行装置(10)と高圧バッテリ(40)の電力で作動する車輪駆動モータ(18)にて駆動される第2走行装置(11)を装備し、路上走行モードでは、第2走行装置(11)を遊転輪としてエンジン(20)にて駆動される第1走行装置(10)の駆動回転にて走行し、第2走行装置(11)の回転により車輪駆動モータ(18)が回生発電して電力を高圧バッテリ(40)に蓄電し、圃場走行モードでは、エンジン(20)にて駆動される第1走行装置(10)の駆動回転と高圧バッテリ(40)からの電力で作動する後輪駆動モータ(18)にて駆動される第2走行装置(11)の駆動回転にて走行することを特徴とする請求項1に記載の乗用型苗移植機。
【請求項3】
エンジン(20)にて駆動されるゼネレータ(41)で発電された電力を蓄電する低圧バッテリ(42)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の乗用型苗移植機。
【請求項4】
走行車体(2)の中央部に配置したモータ(70F,70R)の前後方向に延出した駆動軸(71F,71R)からベベルギヤ(72F,72R)を介して機体の左右方向に設けた車輪駆動軸(73F,73R)を駆動し、該車輪駆動軸(73F,73R)の左右両端部に設けた左右車輪駆動チェンケース(74F,74R)にて走行装置(10,11)を駆動することを特徴とする請求項1に記載の乗用型苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車体に苗植付部を装着した乗用型苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリの電力で作動するモータで前輪及び後輪を駆動する乗用型苗移植機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-268722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、バッテリに電力を供給する為に燃料電池を搭載したものであり、燃料電池への燃料供給装置が必要であり、複雑な構成で高価であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、線引きマーカ等の既存の部品を用いて簡潔で安価な構成で発電しバッテリに電力を供給する乗用型苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、バッテリ40の電力で作動する車輪駆動モータ18にて駆動される走行装置11を装備した走行車体2に昇降リンク装置3を介して苗植付部4を装着し、圃場に次工程のセンターラインを圃場に引く線引きマーカ35を設けた乗用型苗移植機において、該線引きマーカ35を機体に基部が枢支された回動支持杆35aと該回動支持杆35aの先端部に設けた圃場に接地して回転するマーカ37で構成し、該マーカ37の回転中心周りに設けたギヤ37bにて回動支持杆35aに設けた回生モータ38を作動させて発電し、該発電した電力をバッテリ40に供給する乗用型苗移植機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、線引きマーカ35を機体に基部が枢支された回動支持杆35aと該回動支持杆35aの先端部に設けた圃場に接地して回転するマーカ37で構成し、該マーカ37の回転中心周りに設けたギヤ37bにて回動支持杆35aに設けた回生モータ38を作動させて発電し、該発電した電力をバッテリ40に供給するので、苗植え作業時に使用される線引きマーカ35にて電力を得ることができ、簡潔で安価な構成で発電しバッテリ40に電力を供給することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、走行車体2に搭載したエンジン20にて駆動される第1走行装置10と高圧バッテリ40の電力で作動する車輪駆動モータ18にて駆動される第2走行装置11を装備し、路上走行モードでは、第2走行装置11を遊転輪としてエンジン20にて駆動される第1走行装置10の駆動回転にて走行し、第2走行装置11の回転により車輪駆動モータ18が回生発電して電力を高圧バッテリ40に蓄電し、圃場走行モードでは、エンジン20にて駆動される第1走行装置10の駆動回転と高圧バッテリ40からの電力で作動する後輪駆動モータ18にて駆動される第2走行装置11の駆動回転にて走行する請求項1に記載の乗用型苗移植機である。
【0009】
請求項3記載の発明は、エンジン20にて駆動されるゼネレータ41で発電された電力を蓄電する低圧バッテリ42を設けた請求項2に記載の乗用型苗移植機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、走行車体2の中央部に配置したモータ70F,70Rの前後方向に延出した駆動軸71F,71Rからベベルギヤ72F,72Rを介して機体の左右方向に設けた車輪駆動軸73F,73Rを駆動し、該車輪駆動軸73F,73Rの左右両端部に設けた左右車輪駆動チェンケース74F,74Rにて走行装置10,11を駆動する請求項1に記載の乗用型苗移植機である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態にかかる乗用型田植機の正面図である。
図2】同乗用型田植機の平面図である。
図3】同田植機のマーカの側面図である。
図4】本発明の第2実施形態を示す電動乗用型田植機の側面図である。
図5】同第2実施形態を示す電動乗用型田植機の平面図である。
図6】同第2実施形態を示す電動乗用型田植機の正面図である。
図7】本発明の第3実施形態を示す電動乗用型田植機の側面図である。
図8】同第3実施形態を示す電動乗用型田植機の平面図である。
図9】本発明の第4実施形態を示す電動乗用型田植機の側面図である。
図10】同第4実施形態を示す電動乗用型田植機の平面図である。
図11】本発明の第5実施形態を示す電動乗用型田植機の側面図である。
図12】本発明の第6実施形態を示す電動乗用型田植機の側面図である。
図13】本発明の第7実施形態を示す電動乗用型田植機の側面図である。
図14】同第7実施形態を示す電動乗用型田植機の平面図である。
図15】本発明の第8実施形態を示す電動乗用型田植機の側面図である。
図16】同第8実施形態を示すフロートの側断面図である。
図17】同第8実施形態を示すフロートの背断面図である。
図18】同第8実施形態を示す要部の説明用概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0013】
<全体構成>
図1及び図2は、本発明の乗用型苗移植機の典型例である施肥装置を装着した乗用型田植機の正面図及び平面図である。
【0014】
この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。なお、乗用型苗移植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0015】
<走行車体2>
図1及び図2に示すように、走行車体2は、駆動輪である第1走行装置としての左右一対の前輪10,10及び第2走行装置としての左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。
【0016】
また、ミッションケース12の背面部にメインフレームの前端部が固着されており、そのメインフレームの後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして車輪駆動モータとしての左右後輪駆動モータ18,18がローリング自在に支持され、その左右後輪駆動モータ18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0017】
エンジン20は走行車体2前部に設けたエンジンブラケットに搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置22及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。
【0018】
ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ミッションケース12内のトランスミッションにより変速されたのち、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動する。また、外部取出動力は、作業部駆動軸24にて走行車体2の後部に設けた作業部クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥装置5へ伝動される。
【0019】
エンジン20の上部、前部及び左右部は、ボンネット30に覆われている。ボンネット30の左右両側方及び後方には、フロアステップ31が設けられている。
【0020】
フロアステップ31は、メインフレーム上に取り付けられる。フロアステップ31のうち、たとえば、操縦席32付近の一部などは作業者の靴などに付着した泥などを水田圃場に落とせるように、平面視において格子状に形成される。
【0021】
フロアステップ31の後部中央部は、凸状に形成されており、その上面に操縦席32が設けられている。
【0022】
フロアステップ31の後端部には、高く構成された左右後輪11,11のフェンダを兼ねるリヤステップ33が設けられている。
【0023】
ボンネット30の上部には各種操作機構を装備し、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。
【0024】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンクと左右一対の下リンクを備えている。これら上下リンクは、その基部側がメインフレームの後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレームに回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンクが連結されている。そして、縦リンクの下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸が挿入連結され、連結軸を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。リンクベースフレームと縦リンクとの間に昇降油圧シリンダが設けられており、該昇降油圧シリンダを油圧で伸縮させることにより、昇降リンク装置3が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0025】
そして、走行車体2の前部左右両側には、次工程のセンターラインを圃場に引く左右線引きマーカ35,35が設けられている。
【0026】
左右線引きマーカ35,35の左右回動支持杆35a,35aの基部は、メインフレームに基部が固定され機体左右方向に延びる左右マーカステー36,36の先端部に前後方向の枢支軸36aにて枢支され、上動した収納状態と下動した圃場に次工程のセンターラインを引く作用状態に切り換え自在であり、左右線引きマーカ35,35の先端部には水車状の左右マーカ37,37が回転自在に設けられている(図3参照)。
【0027】
左右マーカ37,37は、左右回動支持杆35a,35aの先端部35b,35bにハブ部37a,37aが回転自在に枢支されている。
【0028】
そして、左右マーカ37,37のハブ部37a,37aには、外周にギヤ37b,37bが形成され、左右回動支持杆35a,35aの先端部35b,35bに設けた左右回生モータ38,38の入力ギヤと噛合している。
【0029】
なお、図1で左回生モータ部の図示を省略しているが、左回生モータ部は右回生モータ部と同様の構成である。
【0030】
従って、田植作業中に次工程の機体センターラインを圃場に引くべく下動させて圃場面に接地した左右マーカ37,37が機体の進行によって回転して圃場にセンターラインを引く作動にて、左右マーカ37,37のハブ部37a,37aのギヤ37b,37bが回転し左右回生モータ38,38の入力ギヤを回転させて左右回生モータ38,38が発電する。
【0031】
左右回生モータ38,38にて発電された電力は、電線39にて走行車体2後部のリヤステップ33下方に設けた高圧バッテリ40に蓄電される。
【0032】
よって、田植作業時に使用される左右線引きマーカ35,35にて回生電力を得ることができる。
【0033】
また、エンジン20の右側には、ゼネレータ41が設けられ、エンジン20の駆動にて発電し、発電された電力は機体右端部に設けた低圧バッテリ42に蓄電され、低圧バッテリ42の電力はエンジン20、制御装置44やメータパネルの機器やヘッドライト等のACC電源、施肥装置5の電動ブロア65等に使用される。
【0034】
走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく左右予備苗載装置43,43が設けられている。
【0035】
ここで、ボンネット30内に設けた制御装置44による高圧バッテリ40及び左右後輪駆動モータ18,18の制御について説明する。
【0036】
路上走行モード(副変速が高速の走行速位置になっている場合)では、走行負荷が小さいので、乗用型田植機1はエンジン20にて駆動される左右前輪10,10の駆動回転にて走行し(前輪の二輪駆動で走行し)、左右後輪11,11が遊転輪となる。
【0037】
従って、左右後輪11,11の回転により左右後輪駆動モータ18,18が回生発電して、電力を高圧バッテリ40に蓄電する。
【0038】
圃場内の圃場走行モード(副変速が低速の作業速位置になっている場合)では、走行負荷が大きいので、乗用型田植機1はエンジン20にて駆動される左右前輪10,10の駆動回転と高圧バッテリ40からの電力で作動する左右後輪駆動モータ18,18にて駆動される左右後輪11,11の駆動回転にて走行する(前後輪の四輪駆動で走行する)。
【0039】
<苗植付部4>
苗植付部4は8条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51aに供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51aに供給する苗送りベルトにより苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51aに供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52を備えている。
【0040】
苗植付部4の下部には中央にセンターフロート53、その左右両側に左右サイドフロート54がそれぞれ設けられている。これらフロート53,54を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート53,54が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52により苗が植付けられる。
【0041】
各フロート53,54は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート53の前部の上下動が迎角制御センサにより検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダを制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0042】
<施肥装置5>
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホースでフロート53,54の左右両側に取り付けた施肥ガイドまで導き、施肥ガイドの前側に設けた作溝体によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。
【0043】
電動ブロア65で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバを経由して施肥ホースに吹き込まれ、施肥ホース内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0044】
<他の実施形態>
以下に、上記の左右マーカ37,37による回生電力及び/または車輪11,11(走行装置)による回生電力を使用する電動乗用型田植機1の他の実施形態について説明する。
【0045】
なお、回生電力を使用しない電動乗用型田植機1に下記の実施形態を用いても良い。
【0046】
(1)図4図6は、電動乗用型田植機1を示す第2実施形態である。
【0047】
即ち、走行車体2の略中央部となるメインフレーム15上で操縦席32下方の空間部にフロントモータ70Fとリヤモータ70Rを設ける。
【0048】
フロントモータ70Fからは、前方に向けてフロント駆動軸71Fを延出し、該フロント駆動軸71F前端部に設けた一対のフロントベベルギヤ72Fを介して機体左右方向に延びる前輪駆動軸73Fを駆動する。
【0049】
前輪駆動軸73Fの左右端部は、左右前輪駆動チェンケース74F,74F上部内に設けられ、左右前輪駆動チェンケース74F,74F内のスプロケットとチェンよりなる前輪チェン伝動機構75F,75Fにて左右前輪10,10の左右前輪車軸10a,10aを駆動回転する。
【0050】
リヤモータ70Rからは、後方に向けてリヤ駆動軸71Rを延出し、該リヤ駆動軸71R後端部に設けた一対のリヤベベルギヤ72Rを介して機体左右方向に延びる後輪駆動軸73Rを駆動する。
【0051】
後輪駆動軸73Rの左右端部は、左右後輪駆動チェンケース74R,74R上部内に設けられ、左右後輪駆動チェンケース74R,74R内のスプロケットとチェンよりなる後輪チェン伝動機構75R,75Rにて左右後輪11,11の左右後輪車軸11a,11aを駆動回転する。
【0052】
従って、走行車体2の略中央部となるメインフレーム15上で操縦席32下方の空間部にフロントモータ70Fとリヤモータ70Rを設けたので、圃場での作業時にフロントモータ70Fとリヤモータ70Rに泥水がかかることが防止でき、更には、操縦席32下方の空間部を有効利用してシンプルな構成にすることができる。
【0053】
また、フロントモータ70Fとリヤモータ70Rは、機体前部のボンネット30内に設けた第1バッテリの電力にて作動する。
【0054】
そして、苗植付部4と施肥装置5の各部を駆動するモータ及び昇降リンク装置3を昇降作動するモータは、昇降リンク装置3の基部が取り付けられている走行車体2後部の昇降リンク装置3基部の上部左側位置に設けた第2バッテリの電力にて作動する。
【0055】
従って、第2バッテリを機体の上部位置に配置することにより、圃場での作業中に泥水がかかることを防止できる。
【0056】
また、第2バッテリを機体の左側位置に配置することにより、通常苗取り量調節レバーや苗植付け深さ調節レバーが機体の右側に配置されているので、それらレバーとの干渉を防止できる。
【0057】
なお、機体前部のボンネット30内に設けた第1バッテリが機体左側に設けている場合には、第2バッテリを機体右側に設けると機体の左右バランスを向上させることができる。また、第2バッテリを側面視で前輪10と後輪11の間でフロアステップ31下方の機体右側に設けると、更に、機体の左右バランス及び前後バランスが良くなる。
【0058】
苗植付部4は、苗載台51の左右往復移動及び苗植付装置52の植付け作動をさせるモータと苗載台51の2条づつの苗送りベルトを作動するモータを装備する。
【0059】
施肥装置5は、繰出部61を作動させるモータと電動ブロアを装備する。
【0060】
従って、従来の走行車体2に設けた駆動源からメカ機構にて各部を駆動した構成に比べて、大幅に部品削減をすることができ、車輪駆動と作業部の駆動を分断させることで各部の細かな制御設定が可能となる。
【0061】
そして、操縦席32に着座した操縦者が視認するハンドル34下方に設けたメータパネルにバッテリの充電量を確認するインジケーターが設けられているが、機体外から視認できる位置(ボンネット30の前部、予備苗載装置43の左右部、苗植付部4の左右部または後部、施肥装置5の本体部分の左右端部等)にもバッテリの充電量を確認できるインジケーターを設けると、機体に搭乗していなくても確認でき手作業性が良い。
【0062】
また、苗載台51に設けた苗減少センサが搭載苗の減少を検出して苗補給作業をする際に、音声報知や報知ブザーや報知ランプ等の報知装置にてバッテリ残量を通知し、バッテリの交換を促すようにしても良い。
【0063】
(2)図7及び図8は、電動乗用型田植機1を示す第3実施形態である。
【0064】
即ち、走行車体2前部の側面視で左右前輪車軸10a,10aよりも前方位置のメインフレーム15上にフロントモータ70Fを設け、走行車体2の略中央部となるメインフレーム15上で操縦席32下方の空間部にリヤモータ70Rを設ける。
【0065】
フロントモータ70Fからは、後方に向けてフロント駆動軸71Fを延出し、該フロント駆動軸71F後端部に設けた一対のフロントベベルギヤ72Fを介して機体左右方向に延びる前輪駆動軸73Fを駆動する。
【0066】
前輪駆動軸73Fの左右端部は、左右前輪駆動チェンケース74F,74F上部内に設けられ、左右前輪駆動チェンケース74F,74F内のスプロケットとチェンよりなる前輪チェン伝動機構75F,75Fにて左右前輪10,10の左右前輪車軸10a,10aを駆動回転する。
【0067】
リヤモータ70Rからは、後方に向けてリヤ駆動軸71Rを延出し、該リヤ駆動軸71R後端部に設けた一対のリヤベベルギヤ72Rを介して機体左右方向に延びる後輪駆動軸73Rを駆動する。
【0068】
後輪駆動軸73Rの左右端部は、左右後輪駆動チェンケース74R,74R上部内に設けられ、左右後輪駆動チェンケース74R,74R内のスプロケットとチェンよりなる後輪チェン伝動機構75R,75Rにて左右後輪11,11の左右後輪車軸11a,11aを駆動回転する。
【0069】
左右前輪駆動チェンケース74F,74Fと左右後輪駆動チェンケース74R,74Rは、長さl1とl2が同じであり、同一のものを共用している。
【0070】
従って、フロントモータ70Fを走行車体2前部の側面視で左右前輪車軸10a,10aよりも前方位置に設けることにより、フロントモータ70Fをフロントウエイトとして機能させ、施肥装置5や苗植付部4等の後部作業部が重くなった場合に前後バランスを良好に保つことができる。
【0071】
(3)図9及び図10は、電動乗用型田植機1を示す第4実施形態である。
【0072】
即ち、走行車体2の略中央部となるメインフレーム15上で操縦席32下方の空間部に両軸出力タイプのモータ70を設ける。
【0073】
モータ70の前方に向けて延出したフロント駆動軸71Fの後端部に設けた一対のフロントベベルギヤ72Fを介して機体左右方向に延びる前輪駆動軸73Fを駆動する。
【0074】
前輪駆動軸73Fの左右端部は、左右前輪駆動チェンケース74F,74F上部内に設けられ、左右前輪駆動チェンケース74F,74F内のスプロケットとチェンよりなる前輪チェン伝動機構75F,75Fにて左右前輪10,10の左右前輪車軸10a,10aを駆動回転する。
【0075】
また、モータ70の後方に向けて延出したリヤ駆動軸71Rの後端部に設けた一対のリヤベベルギヤ72Rを介して機体左右方向に延びる後輪駆動軸73Rを駆動する。
【0076】
後輪駆動軸73Rの左右端部は、左右後輪駆動チェンケース74R,74R上部内に設けられ、左右後輪駆動チェンケース74R,74R内のスプロケットとチェンよりなる後輪チェン伝動機構75R,75Rにて左右後輪11,11の左右後輪車軸11a,11aを駆動回転する。
【0077】
そして、フロント駆動軸71F及びリヤ駆動軸71Rの中途部には、各々フロント駆動クラッチ76Fとリヤ駆動クラッチ76Rを設け、ボンネット30後部上面のハンドル34下方位置に設けた操作パネルの駆動形態切替えダイヤルの操作でフロント駆動クラッチ76Fとリヤ駆動クラッチ76Rを入り切りして、前輪10,10及び後輪11,11を駆動する四輪駆動状態と前輪10,10のみを駆動する前輪駆動状態と後輪11,11のみを駆動する後輪駆動状態に切り換えることができる。
【0078】
従って、駆動状態の切り換えで、苗植付部4を他の作業装置と付け替えて作業の汎用性も向上する。
【0079】
また、1つのモータ70にて前輪10,10及び後輪11,11を駆動する構成としてので、安価となり、制御が容易で、メンテナンスも容易となる。
【0080】
なお、フロント駆動クラッチ76Fのみを設けて、前輪10,10及び後輪11,11を駆動する四輪駆動状態と後輪11,11のみを駆動する後輪駆動状態に切り換える構成としても良い。
【0081】
また、リヤ駆動クラッチ76Rのみを設けて、前輪10,10及び後輪11,11を駆動する四輪駆動状態と前輪10,10のみを駆動する前輪駆動状態に切り換える構成としても良い。
【0082】
(4)図11は、電動乗用型田植機1を示す第5実施形態である。
【0083】
即ち、上記実施形態4において、左右前輪駆動チェンケース74F,74Fと左右後輪駆動チェンケース74R,74Rが、長さl1とl2が同じで同一のものを共用している。
【0084】
前輪10,10の外径が後輪11,11の外径よりも小さいので、フロント駆動軸71Fは、モータ70の前方に向けて延出したフロントモータ駆動軸71F1、一対のフロントベベルギヤ72Fを介して機体左右方向に延びる前輪駆動軸73Fを駆動する前輪駆動軸側駆動軸71F2、フロントモータ駆動軸71F1と前輪駆動軸側駆動軸71F2を駆動連結する両端にユニバーサルジョイントを設けた連結駆動軸71F3にて構成する。
【0085】
従って、左右前輪駆動チェンケース74F,74Fと左右後輪駆動チェンケース74R,74Rを共用することにより、部品点数削減、管理工数削減、コストダウンが図れると共に、機体型式が異なる小型から大型まで共用できる。
【0086】
(5)図12は、電動乗用型田植機1を示す第6実施形態である。
【0087】
即ち、上記実施形態5と同様に、左右前輪駆動チェンケース74F,74Fと左右後輪駆動チェンケース74R,74Rが左右前輪駆動チェンケース74F,74Fを基準として長さが同じで同一のものを共用している。
【0088】
詳細に述べると、左右前輪駆動チェンケース74F,74Fと同一のものを角度A前傾させて左右後輪駆動チェンケース74R,74Rにしている。
【0089】
そして、モータ70を走行車体2の略中央部となるメインフレーム15上で操縦席32下方の空間部に設け、フロント駆動軸71Fの長さl5とリヤ駆動軸71Rの長さl6は、同一にしている。
【0090】
従って、左右前輪駆動チェンケース74F,74Fと同一のものを角度A前傾させて左右後輪駆動チェンケース74R,74Rにし、モータ70を走行車体2の略中央部となるメインフレーム15上で操縦席32下方の空間部に設け、フロント駆動軸71Fの長さl5とリヤ駆動軸71Rの長さl6を同一にしているので、部品点数削減、管理工数削減、コストダウン、前後バランスの向上が図れると共に、機体型式が異なる小型から大型まで共用できる
【0091】
(6)図13及び図14は、電動乗用型田植機1を示す第7実施形態である。
【0092】
即ち、走行車体2前部の側面視で左右前輪車軸10a,10aよりも前方位置のメインフレーム15上にモータ70を設ける。
【0093】
モータ70からは、後方に向けて駆動軸71を延出し、該駆動軸71中途部に設けた一対のフロントベベルギヤ72Fを介して機体左右方向に延びる前輪駆動軸73Fを駆動する。
【0094】
前輪駆動軸73Fの左右端部は、左右前輪駆動チェンケース74F,74F上部内に設けられ、左右前輪駆動チェンケース74F,74F内のスプロケットとチェンよりなる前輪チェン伝動機構75F,75Fにて左右前輪10,10の左右前輪車軸10a,10aを駆動回転する。
【0095】
そして、駆動軸71後端部に設けた一対のリヤベベルギヤ72Rを介して機体左右方向に延びる後輪駆動軸73Rを駆動する。
【0096】
後輪駆動軸73Rの左右端部は、左右後輪駆動チェンケース74R,74R上部内に設けられ、左右後輪駆動チェンケース74R,74R内のスプロケットとチェンよりなる後輪チェン伝動機構75R,75Rにて左右後輪11,11の左右後輪車軸11a,11aを駆動回転する。
【0097】
そして、駆動軸71には、一対のフロントベベルギヤ72Fと一対のリヤベベルギヤ72R間にリヤ駆動クラッチ76Rを設け、ボンネット30後部上面のハンドル34下方位置に設けた操作パネルの駆動形態切替えダイヤルの操作でリヤ駆動クラッチ76Rを入り切りして、前輪10,10及び後輪11,11を駆動する四輪駆動状態と前輪10,10のみを駆動する前輪駆動状態に切り換えることができる。
【0098】
従って、モータ70を走行車体2前部の側面視で左右前輪車軸10a,10aよりも前方位置に設けることにより、モータ70をフロントウエイトとして機能させ、施肥装置5や苗植付部4等の後部作業部が重くなった場合に前後バランスを良好に保つことができる。
【0099】
また、1つのモータ70にて左右前輪10,10及び左右後輪11,11を駆動するので、安価となり、制御が容易で、メンテナンスも容易となる。
【0100】
(7)図15図18は、水冷式モータを搭載した電動乗用型田植機1を示す第8実施形態である。
【0101】
即ち、走行車体2に左右前輪10,10及び左右後輪11,11を駆動する水冷式モータ70を搭載している。
【0102】
そして、水冷式モータ70のモータ冷却水用熱交換器80を設け、該モータ冷却水用熱交換器80の冷却水配管81を苗植付部4のセンターフロート53及び左右サイドフロート54の底面に形成した凹部82内に配管する。
【0103】
なお、冷却水配管81は、凹部82内に収められており、センターフロート53及び左右サイドフロート54の底面から突出しない構成とする。
【0104】
従って、水田での田植作業時にセンターフロート53及び左右サイドフロート54底面は水中に浸かっているので、冷却水配管81内の冷却水が圃場の水で冷やされ、小型のモータ冷却水用熱交換器80でモータの水冷能力が足り、安価であり、また、モータ冷却水用熱交換器80の機体への配置スペースを狭くすることができる。
【符号の説明】
【0105】
2 走行車体
3 昇降リンク装置
4 苗植付部
10 第1走行装置(前輪)
11 第2走行装置(後輪)
18 車輪駆動モータ(後輪駆動モータ)
20 エンジン
35 線引きマーカ
35a 回動支持杆
37 マーカ
37b ギヤ
38 回生モータ
40 高圧バッテリ
41 ゼネレータ
42 低圧バッテリ
70F モータ(フロントモータ)
70R モータ(リヤモータ)
71F 駆動軸(フロント駆動軸)
71R 駆動軸(リヤ駆動軸)
72F ベベルギヤ(フロントベベルギヤ)
72R ベベルギヤ(リヤベベルギヤ)
73F 車輪駆動軸(前輪駆動軸)
73R 車輪駆動軸(後輪駆動軸)
74F 車輪駆動チェンケース(前輪駆動チェンケース)
74R 車輪駆動チェンケース(後輪駆動チェンケース)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18