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特開2024-143028容器、テープ付きフィルム、テープ部材、テープ付きフィルムの製造方法および容器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143028
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】容器、テープ付きフィルム、テープ部材、テープ付きフィルムの製造方法および容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/66 20060101AFI20241003BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20241003BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65D75/66
B65D33/00 C
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055494
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸▲高▼ 匠
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA09
3E064BA17
3E064BA27
3E064BA30
3E064BA37
3E064BA40
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA02
3E064EA30
3E064HM01
3E064HN05
3E064HN12
3E064HP03
3E067AB01
3E067AB81
3E067BA12A
3E067BB11A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067EA06
3E067EB08
3E067EB09
3E067EB11
3E067EB22
3E067FC01
3E067GD06
(57)【要約】
【課題】追加の部材を用いることなく、また容器の密封性を担保しながら切り裂きの終点を形成する。
【解決手段】容器本体を形成するフィルムと、前記フィルムに直接または間接的に接合される切裂き条片、および前記切裂き条片に対して前記フィルムとは反対側に積層される基部を含むテープ部材と備え、前記切裂き条片の一方の端部近傍に押圧による薄肉部が形成される容器が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体を形成するフィルムと、前記フィルムに直接または間接的に接合される切裂き条片、および前記切裂き条片に対して前記フィルムとは反対側に積層される基部を含むテープ部材と備え、
前記切裂き条片の一方の端部近傍に押圧による薄肉部が形成される容器。
【請求項2】
前記薄肉部は、前記切裂き条片の一方の端部から全長の20%以内の範囲に形成される、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記薄肉部は、前記フィルム側からの押圧によって形成される、請求項1または請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記薄肉部に対応する位置で前記フィルムに押圧痕が形成される、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記切裂き条片は、前記薄肉部の両側で連続している、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記切裂き条片の前記薄肉部とは異なる位置に開封のためのタブが形成される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記基部は、前記フィルムに接合される第1の基部および第2の基部を含み、前記第2の基部は前記第1の基部よりも幅広であり、
前記第1の基部および前記第2の基部にはそれぞれ第1の係合部および第2の係合部が形成され、前記第1の係合部および前記第2の係合部は互いに係合可能であり、
前記切裂き条片は、前記第2の基部と前記フィルムとの間に積層される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
長尺状のフィルムと、前記フィルムの幅方向が長手方向になるように配置されて前記フィルムに接合され、前記フィルムに接合される切裂き条片、および前記切裂き条片に対して前記フィルムとは反対側に積層される基部を含むテープ部材とを備え、
前記切裂き条片の一方の端部近傍に押圧による薄肉部が形成されるテープ付きフィルム。
【請求項9】
フィルムに接合可能な切裂き条片、および前記切裂き条片に対して前記フィルムとは反対側に積層される基部を備えるテープ部材であって、
前記切裂き条片の一方の端部近傍に押圧による薄肉部が形成されるテープ部材。
【請求項10】
切裂き条片、および前記切裂き条片に積層される基部を含むテープ部材を、前記基部が前記切裂き条片に対してフィルムとは反対側になるように前記フィルムに接合する第1の工程と、
前記第1の工程の後に前記フィルム側からの押圧によって前記切裂き条片の一方の端部近傍で前記フィルムおよび前記切裂き条片に薄肉部を形成する第2の工程と
を含むテープ付きフィルムの製造方法。
【請求項11】
切裂き条片、および前記切裂き条片に積層される基部を含むテープ部材において、前記切裂き条片の一方の端部近傍を前記基部とは反対側から押圧することによって前記切裂き条片に薄肉部を形成する第1の工程と、
前記第1の工程の後に前記テープ部材を、前記基部が前記切裂き条片に対してフィルムとは反対側になるように前記フィルムに接合する第2の工程と
を含むテープ付きフィルムの製造方法。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載のテープ付きフィルムの製造方法における前記第1の工程および前記第2の工程と、
前記フィルムで容器本体を形成する第3の工程と
を含む容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、テープ付きフィルム、テープ部材、テープ付きフィルムの製造方法および容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬品や食品などを包装する袋状の容器において、フィルムからなる袋本体にジッパーテープが接合された各種の袋が知られている。このようなジッパーテープ付き袋には、例えば特許文献1に記載されているように、1枚のフィルムを背貼りするとともに背貼り方向とは直交する方向に接合して袋本体を構成し、袋本体の互いに対向する前壁と後壁とのうち前壁に再閉鎖可能なファスナーを接合し、前壁でこのファスナーに近接して開封のためのプルアウトプラグや糸を取り付けたものがある。
【0003】
上記の特許文献1に記載された技術では、プルアウトプラグを形成するために、パンチング機構によって前壁に複数の孔が設けられ、これらの孔のために袋の密封性が低下する可能性がある。また、開封のために糸を前壁の内面に設けることも開示されているが、この糸の端部を外部に露出させてタブを形成するための具体的な方法の開示はない。通常、糸の端部をタブとして機能させるために、糸が袋本体のフィルムに挿通する孔を前壁に形成することが考えられるが、この場合も孔のために袋の密封性が低下する可能性がある。
【0004】
この点に鑑み、特許文献2や特許文献3では、高い密封性を得られる袋、フィルムおよび袋の製造方法が提案されている。具体的には、袋は、収納空間を形成する袋本体と、袋本体を構成するフィルムの一方の面に設けられ基部および切裂き条片を含むテープ部材と、基部、切裂き条片およびフィルムを貫通する切断線によって外縁が形成されるタブとを備える。袋の内側からタブが形成された領域を覆うように保護部材を設けることによって、開封のためにタブを形成しても袋の密封性を維持することができる。
【0005】
上記の特許文献2や特許文献3に記載された技術では、切裂き条片のタブとは反対側の端部付近でフィルムおよび切裂き条片に切り込みを形成することが記載されている。このような切り込みを形成することによって、切裂き条片による切り裂きの終点を容易に形成することができる。切り込みは基部まで貫通してもよいが、その場合は特許文献3に記載されたように、切り込みの部分にも保護部材を設けることで容器の密封性を維持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平11-510461号公報
【特許文献2】特開2018-188196号公報
【特許文献3】特開2022-65719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、基部を貫通しない切り込みを正確な深さで形成することは必ずしも容易ではなく、例えば製造時の誤差で切り込みが基部を貫通した場合は袋の密封性が低下する。また、保護部材を設ければより確実に袋の密封性が担保されるが、使用樹脂量や製造工程の増加につながる点で改善の余地がある。
【0008】
そこで、本発明は、追加の部材を用いることなく、また容器の密封性を担保しながら切り裂きの終点を形成することが可能な容器、テープ付きフィルム、テープ部材、テープ付きフィルムの製造方法および容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]容器本体を形成するフィルムと、前記フィルムに直接または間接的に接合される切裂き条片、および前記切裂き条片に対して前記フィルムとは反対側に積層される基部を含むテープ部材と備え、前記切裂き条片の一方の端部近傍に押圧による薄肉部が形成される容器。
[2]前記薄肉部は、前記切裂き条片の一方の端部から全長の20%以内の範囲に形成される、[1]に記載の容器。
[3]前記薄肉部は、前記フィルム側からの押圧によって形成される、[1]または[2]に記載の容器。
[4]前記薄肉部に対応する位置で前記フィルムに押圧痕が形成される、[3]に記載の容器。
[5]前記切裂き条片は、前記薄肉部の両側で連続している、[1]から[4]のいずれか1項に記載の容器。
[6]前記切裂き条片の前記薄肉部とは異なる位置に開封のためのタブが形成される、[1]から[5]のいずれか1項に記載の容器。
[7]前記基部は、前記フィルムに接合される第1の基部および第2の基部を含み、前記第2の基部は前記第1の基部よりも幅広であり、前記第1の基部および前記第2の基部にはそれぞれ第1の係合部および第2の係合部が形成され、前記第1の係合部および前記第2の係合部は互いに係合可能であり、前記切裂き条片は、前記第2の基部と前記フィルムとの間に積層される、[1]から[6]のいずれか1項に記載の容器。
[8]長尺状のフィルムと、前記フィルムの幅方向が長手方向になるように配置されて前記フィルムに接合され、前記フィルムに接合される切裂き条片、および前記切裂き条片に対して前記フィルムとは反対側に積層される基部を含むテープ部材とを備え、前記切裂き条片の一方の端部近傍に押圧による薄肉部が形成されるテープ付きフィルム。
[9]フィルムに接合可能な切裂き条片、および前記切裂き条片に対して前記フィルムとは反対側に積層される基部を備えるテープ部材であって、前記切裂き条片の一方の端部近傍に押圧による薄肉部が形成されるテープ部材。
[10]切裂き条片、および前記切裂き条片に積層される基部を含むテープ部材を、前記基部が前記切裂き条片に対してフィルムとは反対側になるように前記フィルムに接合する第1の工程と、前記第1の工程の後に前記フィルム側からの押圧によって前記切裂き条片の一方の端部近傍で前記フィルムおよび前記切裂き条片に薄肉部を形成する第2の工程とを含むテープ付きフィルムの製造方法。
[11]切裂き条片、および前記切裂き条片に積層される基部を含むテープ部材において、前記切裂き条片の一方の端部近傍を前記基部とは反対側から押圧することによって前記切裂き条片に薄肉部を形成する第1の工程と、前記第1の工程の後に前記テープ部材を、前記基部が前記切裂き条片に対してフィルムとは反対側になるように前記フィルムに接合する第2の工程とを含むテープ付きフィルムの製造方法。
[12][10]または[11]に記載のテープ付きフィルムの製造方法における前記第1の工程および前記第2の工程と、前記フィルムで容器本体を形成する第3の工程とを含む容器の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によれば、容器に開口を形成するための切裂き条片による切り裂きの終点が薄肉部によって形成される。従って、基部を貫通しない切り込みを形成したり、保護部材を設けたりすることなく、容器の密封性を担保しながら切り裂きの終点を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る袋状容器の平面図である。
図2図1に示された袋状容器における薄肉部の構成を示す図である。
図3図1に示された袋状容器における薄肉部の構成の別の例を示す図である。
図4図2に示された薄肉部の形成工程の例を示す図である。
図5図3に示された薄肉部の形成工程の例を示す図である。
図6図1に示された袋状容器におけるテープ部材の構成例を示す図である。
図7図1に示された袋状容器におけるテープ部材の別の構成例を示す図である。
図8図1に示された袋状容器におけるテープ部材のさらに別の構成例を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係るテープ付きフィルムを示す図である。
図10】本発明の実施形態に係る袋状容器の別の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る袋状容器の平面図である。図示された例において、袋状容器100は、互いに対向する第1面111Aおよび第2面111Bを含む容器本体を形成するフィルム110と、フィルム110の第1面111Aに接合されるテープ部材120とを含む。テープ部材120は基部121と切裂き条片122とを含み、切裂き条片122の一方の端部近傍には後述する薄肉部131が形成される。切裂き条片122のもう一方の端部近傍には、開封のためのタブ141が形成され、タブ141を覆う保護部材142が配置される。
【0014】
フィルム110は、例えば単層または多層の熱可塑性樹脂フィルムで構成される。熱可塑性樹脂は、具体的には低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)であってもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。フィルム110が多層のフィルムで構成される場合、表基材に二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、または二軸延伸ナイロン(ONy)を用いてもよい。また、フィルム110を構成するフィルムはアルミニウムなどの金属材料の層や、無機材料の層を含んでもよい。また、任意の量のバイオポリエチレンなどのバイオプラスチックを含有した樹脂フィルムを用いることもできる。
【0015】
本実施形態では、後述する例のような長尺状のフィルム110を幅方向の両側から折り返し、重ね合わされた幅方向の両端部をシール部112で接合することによって第1面111Aおよび第2面111Bが形成されている。容器本体の上端および下端には、それぞれシール部113,114が形成される。なお、例えば袋状容器100の完成後に内容物が充填される場合は、シール部113,114の少なくともいずれかが形成されていなくてもよい。
【0016】
テープ部材120では、切裂き条片122がフィルム110の第1面111Aに接合され、基部121は切裂き条片に対してフィルム110の第1面111Aとは反対側に積層される。タブ141を起点にして切裂き条片122を引っ張ると、切裂き条片122は基部121から剥離しながらフィルム110の第1面111Aを切裂き、袋状容器100に開口を形成する。薄肉部131は、切裂き条片122による切り裂きの終点を形成する。図示された例においてタブ141はフィルム110の第1面111A、切裂き条片122および基部121に形成される切り込みであり、切り込みによる袋状容器100の密封性の低下を防止するために保護部材142が配置される。なお、テープ部材120は基部121が1対の対向する部分を含み、それぞれの部分に係合部を形成することによってジッパーテープを構成してもよい。
【0017】
上記のようなテープ部材120において、基部121は、例えばポリオレフィン系樹脂の押出成形によって形成される。より具体的には、基部121は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成されてもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。これらは、環境に配慮したバイオプラスチックであってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオポリエチレンなどのバイオマスプラスチックとの混合物を用いてもよい。また、基部121は、環境に配慮し、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)(PCLBS)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンサクシネート/カーボネート)(PEC)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)(PETS)、ポリ(テトラメチレンアジペート/テレフタレート)(PTMAT)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリビニルアルコール(PVA-H)、ポリグリコール酸(PGA)、およびポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)などの生分解性の樹脂の押出成形によって形成されてもよい。これらはバイオマス由来の生分解性の樹脂であってもよい。基部121の材料には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。
【0018】
一方、切裂き条片122は、基部121と同様に例えばポリオレフィン系樹脂の押出成形によって形成される。基部121を形成する樹脂に対して相溶性が低い樹脂で切裂き条片122を形成することによって、基部121と切裂き条片122とを接合面で界面剥離させることができる。このために、例えば基部121または切裂き条片122の一方を低密度ポリエチレン系の樹脂で形成し、他方をランダムポリプロピレン系の樹脂で形成してもよい。具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)/ランダムポリプロピレン(RPP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)/RPP(一部、m-LLも含む)、LDPE/ホモポリプロピレン(HPP)、LLDPE/HPP(一部、m-LLも含む)、LDPE/ポリスチレン(PS)、LLDPE/PS(m-LLも含む)、RPP/PS、HPP/PS、LDPE/ポリエチレンテレフタレート(PET)、LLDPE/PET、RPP/PET、HPP/PET、PS/PET、LDPE/ナイロン(Ny)、LLDPE/Ny、RPP/Ny、HPP/Ny、またはPS/Nyのような組み合わせが例示される。基部121において生分解性の樹脂を用いる場合は、切裂き条片122も生分解性の樹脂を用いることが好ましい。
【0019】
図2および図3は、図1に示された袋状容器における薄肉部の構成を示す図であり、図1のII-II線またはIII-III線に沿った断面図にあたる。なお、フィルム110の第2面111Bは図示されていない。どちらの例でも、切裂き条片122には押圧による薄肉部131A,131B(総称して薄肉部131ともいう)が形成されている。薄肉部131が押圧によって形成されていることは、例えば切裂き条片122が引き伸ばされてはいても薄肉部131の両側で連続していることによって識別できる。あるいは、押し出された樹脂が薄肉部131の両側に溜まっていることによって薄肉部131が押圧によって形成されたことを識別してもよい。
【0020】
図2の例では、後述するようにテープ部材のフィルムへの接合後に薄肉部131Aが形成されているため、薄肉部131Aに対応する位置でフィルム110の第1面111Aに押圧痕が形成されている。この押圧痕は、例えば第1面111Aが薄肉部131Aの凹状の断面に沿って屈曲した部分として観察される。
【0021】
一方、図3の例では、テープ部材のフィルムへの接合前に薄肉部131Bが形成されているため、薄肉部131Bに対応する位置でフィルム110の第1面111Aに押圧痕は形成されず、第1面111Aと薄肉部131Bの凹状の部分との間には隙間がある。なお、この場合も、例えば隙間の空気がテープ部材のフィルムへの接合後に収縮などの理由で薄肉部131Bに対応する位置で第1面111Aが屈曲することはありうる。
【0022】
薄肉部131における切裂き条片122の厚みを例えば0.25mm以下にすることによって、フィルム110の第1面111Aを切り裂きながら引っ張られてきた切裂き条片122を破断させ、切り裂きの終点を形成することができる。切裂き条片122を容易に破断させる観点から、薄肉部131における切裂き条片122の厚みは好ましくは0.23mm以下、より好ましくは0.20mm以下である。なお、上述のように切裂き条片122は基部121から剥離するため、薄肉部131は基部121には形成されなくてもよい。
【0023】
一方、薄肉部131において切裂き条片122と基部121とを合わせた部分を残す、すなわち厚みを0mm超にすることによって、薄肉部131には保護部材を設けなくても袋状容器100の密封性を維持することができる。この観点から、薄肉部131における切裂き条片122と基部121を合わせた部分の厚みは好ましくは0,01mm以上、より好ましくは0.02mm以上である。なお、基部121の厚みが残っていれば密封性は維持できるため、薄肉部131における切裂き条片122の厚みは0mmであってもよい。
【0024】
図4および図5は、それぞれ図2および図3に示された薄肉部の形成工程の例を示す図である。図4に示された例では、テープ部材のフィルムへの接合後に、フィルム110側からの押圧子201Aを用いた押圧によって薄肉部131Aが形成されている。図5に示された例では、テープ部材のフィルムへの接合前に、切裂き条片122に対する基部121とは反対側からの押圧子201Bを用いた押圧によって薄肉部131Bが形成されている。押圧子201A,201Bは、例えばV字形やU字形、くさび形のような断面形状を有する。押圧子201A,201Bをこのような形状にすることによって、切裂き条片122の一部分に力を集中させて容易に薄肉部を形成することができる。押圧子201A,201Bは例えば金属製であり、加熱したり超音波振動を加えたりすることによって樹脂を軟化させながら薄肉部を形成してもよい。
【0025】
図6から図8は、図1に示された袋状容器におけるテープ部材の構成例を示す図である。基部121と切裂き条片122とを含むテープ部材120としては、以下で例示するように公知の各種の構成を採用することができる。
【0026】
図6に示された例では、対向する2つの基部121A,121Bがいずれもフィルム110の第1面111Aに接合される。基部121Bは、基部121Aよりも幅広である。基部121A,121Bにはそれぞれ係合部123A,123Bが形成され、係合部123A,123Bは互いに係合可能である。この場合、テープ部材120は1対のジッパーテープを構成する。切裂き条片122は、基部121Bとフィルム110の第1面111Aとの間に積層され、第1面111Aに接合されている。図7に示された例のように、切裂き条片122が第1面111Aに接合された基部121Aと基部121Bとの間に積層されてもよい。この場合、切裂き条片122は第1面111Aに間接的に接合される。図6および図7において係合部123C,123Dとして図示されているように、2対以上の係合部が形成されてもよい。係合部123Aは雄型、係合部123Bは雌型、係合部123C,123Dは鉤型の係合部として図示されているが、雌雄は逆であってもよく、また雌雄型や鉤型に限らず公知の各種のジッパーテープの係合部の形状を採用することが可能である。
【0027】
図8に示された例では、スリットを挟んだ基部121の2つの部分121C,121Dがフィルム110の第1面111Aに接合される。切裂き条片122は、基部121の第1面111A側に形成された凹部に配置され、第1面111Aに接合される。この場合も、基部121の2つの部分121C,121Dの少なくともいずれかが切裂き条片122と第1面111Aとの間に介在して、切裂き条片122が第1面111Aに間接的に接合されてもよい。いずれの場合も、切裂き条片122で第1面111Aを切裂くと、基部121の2つの部分121C,121Dの間のスリットを通して袋状容器100に開口を形成することができる。
【0028】
図9は、本発明の実施形態に係るテープ付きフィルムを示す図である。図9に示されたテープ付きフィルム101は、例えば図1を参照して説明したような袋状容器100を製造するための材料である。図示されているように、テープ付きフィルム101は、ロール状に巻回された長尺状のフィルム110と、フィルム110の幅方向が長手方向になるように配置されてフィルム110に接合されたテープ部材120とを含む。テープ部材120は、図9には示されていないが、切裂き条片122がフィルム110に接合され、基部121が切裂き条片122に対してフィルム110とは反対側に積層されるように配置される。切裂き条片122を含むテープ部材120の一方の端部近傍には押圧による薄肉部131が形成され、もう一方の端部近傍にはタブ141が形成されるとともに保護部材142が配置されている。
【0029】
上記のようなテープ付きフィルム101を、テープ部材120の両端付近で折り曲げて重ね合わせ、フィルム110の幅方向、すなわちテープ部材120の長手方向に沿って切断することによって、フィルム110によって容器本体の第1面111Aおよび第2面111Bが形成され、図1に示したような袋状容器100が製造される。図4および図5お参照して説明したように、薄肉部131は、テープ付きフィルム101の製造にあたってテープ部材120をフィルム110に接合する前に形成されてもよいし、テープ部材120をフィルム110に接合した後に形成されてもよい。
【0030】
図10は、本発明の実施形態に係る袋状容器の別の例を示す平面図である。図10に示された例の袋状容器100Aは、タブ141の周りに囲みシール部143が形成され、保護部材が配置されない点で図1の例と異なる。この例でも、囲みシール部143がタブ141の領域を容器内部の他の領域から分離していることによって、タブ141の切り込みによる容器の密封性の低下が防止される。このように、本発明の実施形態において、切裂き条片の一方の端部近傍に形成される薄肉部以外の構成、具体的には例えば上記のような開封のためのタブなどに関する構成は特に限定されず、公知の各種の構成を採用することができる。例えば、切裂き条片の中央付近に形成された2つのタブから両側に切裂き条片を引っ張ることによって容器に開口を形成してもよい。この場合、切裂き条片のもう一方の端部近傍にも薄肉部が形成されてもよい。なお、切裂き条片の端部近傍の指す範囲は、袋状容器の使い勝手の観点から、例えば切裂き条片の端部から切裂き条片の全長の20%以内の範囲である。この範囲は、好ましくは15%以内であり、より好ましくは10%以内である。下限値は特に限定はなく0%超である。
【符号の説明】
【0031】
100,100A…袋状容器、101…テープ付きフィルム、110…フィルム、111A…第1面、111B…第2面、112,113,114…シール部、120…テープ部材、121…基部、122…切裂き条片、131,131A,131B…薄肉部、141…タブ、142…保護部材、143…囲みシール部、201A,201B…押圧子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10