(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143050
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電池監視装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/54 20200101AFI20241003BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01R31/54
G01R19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055527
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 凌
【テーマコード(参考)】
2G014
2G035
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AB29
2G014AB33
2G014AB61
2G035AB03
2G035AC01
2G035AD03
2G035AD55
2G035AD56
(57)【要約】
【課題】複数の電池セルの各々に接続される複数の接続ラインについての断線検出を短時間で行う。
【解決手段】電池監視装置は、複数の電池セルが直列接続された組電池の電池セルの各々に接続される複数の接続ラインの各々について断線を検出する機能を備える。電池監視装置は、複数の接続ラインの各々に接続される複数の内部配線と、複数の内部配線に対応して設けられ、対応する内部配線及びこれと隣接する内部配線との電位差に応じてオン状態となる複数のトランジスタと、複数のトランジスタの出力電圧に基づいて複数の接続ラインの各々について断線の有無を判定する判定処理を行う判定回路と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが直列接続された組電池の前記電池セルの各々に接続される複数の接続ラインの各々について断線を検出する機能を備えた電池監視装置であって、
前記複数の接続ラインの各々に接続される複数の内部配線と、
前記複数の内部配線に対応して設けられ、対応する内部配線及びこれと隣接する内部配線との電位差に応じてオン状態となる複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタの出力電圧に基づいて、前記複数の接続ラインの各々について断線の有無を判定する判定処理を行う判定回路と、
を含む電池監視装置。
【請求項2】
前記複数のトランジスタは、ソースが対応する内部配線に接続され、ゲートが低電位側において隣接する内部配線に接続され、ドレインが第1の電流源に接続されたPチャネル型のトランジスタを含み、
前記Pチャネル型のトランジスタの各々のドレインに生じる電圧が前記出力電圧として前記判定回路に入力される
請求項1に記載の電池監視装置。
【請求項3】
最低電位の接続ラインに接続された内部配線であって、前記最低電位の接続ラインの非断線時においてグランド電位が印加される最低電位内部配線と、
最低電位内部配線をバイアスする第2の電流源と、
ゲートが前記最低電位内部配線に接続され、ソースがグランド電位が印加されるグランド配線に接続され、ドレインが第3の電流源に接続されたNチャネル型のトランジスタと、を含み、
前記Nチャネル型のトランジスタのドレインに生じる電圧が前記出力電圧として前記判定回路に入力される
請求項1に記載の電池監視装置。
【請求項4】
前記判定回路には、前記複数のトランジスタの前記出力電圧が同時に入力される
請求項1に記載の電池監視装置。
【請求項5】
前記判定回路は、前記複数の接続ラインのうち断線が生じているものを示す情報を出力する
請求項1に記載の電池監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は電池監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池セルが直列接続された組電池の各電池セルの電極に接続された接続ラインの断線検出に関する技術として以下の技術が知られている。特許文献1には、複数の単電池を直列に接続した組電池から引き出された配線の断線の有無を検出する組電池監視装置において、単電池の夫々と並列に設定抵抗値を有する補助電流経路が接続され、補助電流経路用のスイッチ装置を閉じ状態としたときの検出電圧に基づいて、配線の断線の有無を検出するように構成されたものが記載されている。
【0003】
特許文献2には、隣接する電池セルの接続点及び組電池の端部にそれぞれ接続可能な検出線、隣接する検出線間の単位電圧を対応する電池セルのセル電圧として検出する電圧検出回路と、組電池の上端部に接続される検出線と、これとは異なる検出線との間に接続されたコンデンサと、隣接する検出線に両端がそれぞれ接続されたセル間スイッチと、セル間スイッチと並列に接続された電流を流すダイオードと、検出線間に接続された反転用スイッチと、を備え、セル間スイッチを所定期間オンにしてからオフにした後、反転用スイッチをオンにした際に、最上位のセル電圧の極性に基づいて、組電池の上端部に接続される検出線の断線を判定するように構成されたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-288034号公報
【特許文献2】特開2015-100199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の電池セルが直列接続された組電池の各電池セルの状態を監視する電池監視装置において、各電池セルの電極に接続される接続ラインの断線を検出するための構成として、以下の構成が考えられる。例えば、接続ラインの各々に対応して設けられた複数のスイッチと、接続ラインの各々に対応して設けられ、対応する接続ラインに接続された複数の電流源と、判定回路とを備えた電池監視装置が想定される。この電池監視装置においては、複数のスイッチのいずれかが選択的にオン状態とされることによって、複数の電池セルのうちの1つが選択される。選択された電池セルは、接続ライン及びオン状態とされたスイッチを介して判定回路に接続され、当該電池セルの正極と負極の間の電圧(以下、セル電圧と称する)が判定回路によって測定される。判定回路は、測定対象の電池セルについて、電流源をオン状態としたときのセル電圧と、電流源をオフ状態にしたときのセル電圧との差分に基づいて、対応する接続ラインについて断線の有無を判定する。
【0006】
しかしながら、上記の断線検出手法によれば、複数のスイッチを順次オン状態として電池セルを順次選択し、選択した電池セルについて電流源のオンオフを切り替えてセル電圧を測定することが必要となる。このたため、全ての接続ラインについて断線検出を行うためには比較的長い時間を要する。
【0007】
開示の技術は、上記の点に鑑みてなされたものであり、複数の電池セルの各々に接続される複数の接続ラインについての断線検出を短時間で行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術に係る電池監視装置は、複数の電池セルが直列接続された組電池の前記電池セルの各々に接続される複数の接続ラインの各々について断線を検出する機能を備えた電池監視装置であって、前記複数の接続ラインの各々に接続される複数の内部配線と、前記複数の内部配線に対応して設けられ、対応する内部配線及びこれと隣接する内部配線との電位差に応じてオン状態となる複数のトランジスタと、前記複数のトランジスタの出力電圧に基づいて、前記複数の接続ラインの各々について断線の有無を判定する判定処理を行う判定回路と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、複数の電池セルの各々に接続される複数の接続ラインについての断線検出を短時間で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】開示の技術の実施形態に係る電池監視装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】比較例に係る電池監視装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】開示の技術の実施形態に係る電池監視装置の判定回路及び比較例に係る電池監視装置の判定回路が、接続ラインの断線検出を行う場合に実施する各処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、開示の技術の実施形態に係る電池監視装置10の構成の一例を示す図である。電池監視装置10は、直列に接続された複数の電池セル40
1、40
2、・・・、40
n-1及び40
nを含んで構成される組電池の各電池セルの状態を監視する機能を有する。複数の電池セル40
1、40
2、・・・、40
n-1及び40
nを区別しない場合又はこれらを総称する場合、電池セル40と表記する。
【0013】
電池監視装置10は、各電池セル40の正極と負極の間の電圧(以下、セル電圧と称する)を測定する機能を有していてもよい。電池監視装置10は、セル電圧を測定するために、セル選択スイッチ及びアナログ・デジタル変換器を有していてもよい。セル選択スイッチは、複数の電池セル40のうちのいずれかを選択的にアナログ・デジタル変換器に接続する。アナログ・デジタル変換器は、セル選択スイッチによって選択された電池セルのセル電圧に相当するデジタル値を出力する。
【0014】
電池監視装置10は、各電池セル40の電極の各々に接続される複数の接続ライン50
0、50
1、50
2・・・50
n-1及び50
nについて断線を検出する機能を有する。複数の接続ライン50
0、50
1、50
2・・・50
n-1及び50
nを区別しない場合又はこれらを総称する場合、接続ライン50と表記する。
図1には、電池監視装置10における、接続ライン50の断線検出に関連する機能部分が示されている。
【0015】
電池監視装置10は、半導体基板上に設けられた集積回路によって構成されている。電池監視装置10は、複数の接続ライン50に対応して設けられた複数の入力端子11を有する。入力端子11の各々は、対応する接続ライン50を介して対応する電池セル40に接続されている。接続ライン50は電池セル40と入力端子11とを接続する導電経路である。各接続ライン50上には、ノイズを抑制するためのローパスフィルタ41が設けられている。
【0016】
電池監視装置10は、接続ライン50の各々に接続された複数の内部配線210、211、212、・・・21n-1及び21nを有する。複数の内部配線210、211、212、・・・21n-1及び21nを区別しない場合又はこれらを総称する場合、内部配線21と表記する。電池監視装置10は、電源配線22及びグランド配線23を有する。電源配線22は、電源端子12及び電源接続ライン51を介して最高電位の電池セル40の正極に接続されている。最高電位の電池セル40の正極に接続された接続ライン50nは、電池監視装置10の外部において電源接続ライン51に接続されている。したがって、接続ライン50nに断線が生じない限り、内部配線21nは電源配線22と同電位である。
【0017】
グランド配線23は、グランド端子13及びグランド接続ライン52を介して最低電位の電池セル401の負極に接続されるとともに、グランド電位に接続されている。接続ライン500は、電池監視装置10の外部においてグランド接続ライン52に接続されている。したがって、接続ライン500に断線が生じない限り、内部配線210はグランド配線23と同電位(すなわちグランド電位)となる。電源接続ライン51上及びグランド接続ライン52上には、それぞれローパスフィルタ41が設けられている。
【0018】
電池監視装置10は、接続ライン50の断線検出に関連する機能部分として、検出電圧出力回路20及び判定回路30を有する。検出電圧出力回路20は、複数の内部配線21に対応して設けられた複数のPチャネル型のトランジスタ241、242・・・24n-1、24nと、これらのトランジスタに対応して設けられた複数の電流源251、252・・・25n-1、25nを有する。複数の電流源251、252・・・25n-1、25nを区別しない場合又はこれらを総称する場合には電流源25と表記する。なお電流源25は、開示の技術における「第1の電流源」の一例である。電流源25は、電池監視装置10において接続ライン50の断線検出処理が行われる期間に稼働し、それ以外の期間は動作を停止させる。
【0019】
トランジスタ241、242・・・24n-1、24nの各々は、対応する内部配線21及びこれと隣接する内部配線21との電位差に応じてオン状態となる。トランジスタ241、242・・・24n-1、24nの各々は、ソースが対応する内部配線21に接続され、ゲートが低電位側において隣接する内部配線21に接続され、ドレインが対応する電流源25に接続されている。例えば、トランジスタ242は、ソースが内部配線212に接続され、ゲートが内部配線211に接続され、ドレインが電流源252に接続されており、内部配線212の電位V2と内部配線211の電位V1と差(V2-V1)が、閾値電圧Vthよりも大きい場合(V2-V1>Vth)にオン状態となり、それ以外の場合にオフ状態となる。トランジスタ241、242・・・24n-1、24nと対応する電流源25との接続点の各々は判定回路30に接続されている。すなわち、トランジスタ241、242、243・・・24n-1、24nの各々のドレインに生じる電圧が判定回路30に入力される。
【0020】
検出電圧出力回路20は、電流源26、27及びNチャネル型のトランジスタ240を有する。電流源26は、電源配線22と内部配線210との間に設けられており、内部配線210をバイアスする。なお、内部配線210は、開示の技術における「最低電位内部配線」の一例である。電流源26は、開示の技術における第2の電流源の一例である。電流源26は、電池監視装置10において接続ライン50の断線検出処理が行われる期間に稼働し、それ以外の期間は動作を停止させる。
【0021】
トランジスタ240は、ゲートが内部配線210に接続され、ソースがグランド配線23に接続され、ドレインが電流源27に接続されている。電流源27は電源配線22とトランジスタ240のドレインとの間に設けられている。電流源27は、電池監視装置10において接続ライン50の断線検出処理が行われる期間に稼働し、それ以外の期間は動作を停止させる。トランジスタ240は、内部配線210の電位V0とグランド配線23の電位VGNDと差(V0-VGND)が、閾値電圧Vthよりも大きい場合(V0-VGND>Vth)にオン状態となり、それ以外の場合にオフ状態となる。トランジスタ240と電流源27との接続点は、判定回路30に接続されている。すなわち、トランジスタ240のドレインに生じる電圧が判定回路30に入力される。以下において、トランジスタ240、241、242・・・24n-1、24nを区別しない場合又はこれらを総称する場合にはトランジスタ24と表記する。
【0022】
トランジスタ24のドレインに生じる電圧のレベルは、対応する接続ライン50の断線の有無に応じてレベルが変化する。断線が生じていない接続ライン50に対応するトランジスタ24のドレインに生じる電圧はハイレベルとなる一方、断線が生じている接続ライン50に対応するトランジスタ24のドレインに生じる電圧はローレベルとなる。すなわち、トランジスタ24のドレインに生じる電圧は、対応する接続ライン50における断線の有無を示す検出電圧である。複数のトランジスタ24の各々のドレインに生じる検出電圧は、判定回路30に同時に入力される。
【0023】
判定回路30はトランジスタ24の各々のドレインに生じる検出電圧に基づいて、複数の接続ライン50の各々について断線の有無を判定する判定処理を行う。判定回路30は、上記の判定処理として、複数の接続ライン50のうち、断線が生じているものを示す情報を出力してもよい。
【0024】
以下において、電池監視装置10における、接続ライン50の断線を検出する態様について説明する。以下の説明では、接続ライン502に断線が生じており、接続ライン502以外の接続ライン50には断線が生じていない場合を例示する。接続ライン502に断線が生じている場合、接続ライン502に接続される内部配線212には、電池セル402の正極の電位が印加されない状態となり、接続ライン502は、接続ライン501と略同電位となる。したがってトランジスタ242はオフ状態となり、トランジスタ242のドレインからは、接続ライン502に断線が生じていることを示すローレベルの検出電圧が出力される。
【0025】
一方、接続ライン502以外の接続ライン50に接続された内部配線21の各々においては、隣接する内部配線21との間にセル電圧に相当する電位差が生じる。これにより、トランジスタ242以外のPチャネル型の各トランジスタ24はオン状態となり、これらの各トランジスタ24のドレインからは、対応する接続ライン50に断線が生じていないことを示すハイレベルの検出電圧が出力される。一方、Nチャネル型のトランジスタ240はオフ状態となり、トランジスタ240のドレインからは、対応する接続ライン500に断線が生じていないことを示すハイレベルの検出電圧が出力される。
【0026】
判定回路30には、トランジスタ24の各々のドレインに生じる検出電圧が同時に入力される。判定回路30は、トランジスタ24の各々のドレインに生じる検出電圧に基づいて、接続ライン502に断線が生じており、接続ライン502以外の接続ライン50には断線が生じていないものと判定する。判定回路30は、接続ライン502に断線が生じていることを示す情報を出力する。
【0027】
以上の説明では、接続ライン502における断線検出の態様を例示したが、接続ライン500における断線検出の態様は、以下のようになる。接続ライン500に断線が生じていない場合には、接続ライン500に接続される内部配線210は、グランド配線23と同電位(すなわちグランド電位)となる。これによりトランジスタ240はオフ状態となり、トランジスタ240のドレインからは、対応する接続ライン500に断線が生じていないことを示すハイレベルの検出電圧が出力される。一方、接続ライン500に断線が生じている場合には、内部配線210は、電流源26によってバイアスされる。これによりトランジスタ240はオン状態となり、トランジスタ240のドレインからは、対応する接続ライン500に断線が生じていることを示すローレベルの検出電圧が出力される。
【0028】
図2は、比較例に係る電池監視装置10Xの構成の一例を示す図である。
図2には、電池監視装置10Xにおける、接続ライン50の断線検出に関連する機能部分が示されている。比較例に係る電池監視装置10Xは、電流源回路60、セル選択回路70及び判定回路80を有する。セル選択回路70は、複数の接続ライン50に対応して設けられた複数のスイッチ71を有する。スイッチ71の各々は、一端が内部配線21を介して対応する接続ライン50に接続され、他端が判定回路30に接続されている。電流源回路60は、内部配線21の各々に接続された複数の電流源61を有する。
【0029】
比較例に係る電池監視装置10Xにおいては、セル選択回路70を構成する複数のスイッチ71のいずれかが選択的にオン状態とされることによって、複数の電池セル40のうちの1つが選択される。選択された電池セル40は、接続ライン50、内部配線21及びオン状態とされたスイッチ71を介して判定回路80に接続され、当該電池セル40のセル電圧が判定回路80によって測定される。判定回路80は、測定対象の電池セル40について、電流源61をオン状態としたときのセル電圧と、電流源61をオフ状態にしたときのセル電圧との差分に基づいて、対応する接続ライン50について断線の有無を判定する。
【0030】
図3の左側は、比較例に係る電池監視装置10Xの判定回路80が、接続ライン50の断線検出を行う場合に実施する各処理の流れを示している。比較例に係る判定回路80は、はじめに、電流源61をオン状態としたときの電池セル40
1のセル電圧V
cell1を測定する。次に、判定回路80は電流源61をオフ状態としたときの電池セル40
1のセル電圧V
cell1を測定する。次に、判定回路80は電流源61をオン状態としたときの電池セル40
2のセル電圧V
cell2を測定する。次に、判定回路80は電流源61をオフ状態としたときの電池セル40
2のセル電圧V
cell2を測定する。判定回路80は、以降同様に、全て電池セル40について、電流源61をオン状態にしたときのセル電圧及び電流源61をオフ状態にしたときのセル電圧を順次測定する。判定回路80は電流源61をオン状態としたときのセル電圧と、電流源61をオフ状態にしたときのセル電圧との差分に基づいて、接続ライン50の各々について断線の有無についての判定結果を出力する。
【0031】
図3の右側は、開示の技術の実施形態に係る電池監視装置10の判定回路30が、接続ライン50の断線検出を行う場合に実施する各処理の流れを示している。電池監視装置10の判定回路30は、初めにトランジスタ24の各々のドレインに生じる検出電圧の入力を一括して受け付ける。次に、判定回路30は検出電圧に基づいて、接続ライン50の各々について断線の有無についての判定結果を出力する。
図3から明らかなように、開示の技術の実施形態に係る電池監視装置10によれば、接続ライン50の断線検出に要する時間を、比較例に係る電池監視装置10Xに対して大幅に短縮することができる。
【0032】
以上のように、開示の技術の実施形態に係る電池監視装置10は、複数の電池セル40が直列接続された組電池の各電池セル40の各々に接続される複数の接続ライン50の各々について断線を検出する機能を備える。電池監視装置10は、複数の接続ライン50の各々に接続される複数の内部配線21と、複数の内部配線21に対応して設けられ、対応する内部配線21及びこれと隣接する内部配線21との電位差に応じてオン状態となる複数のトランジスタ24と、複数のトランジスタ24の出力電圧に基づいて、複数の接続ライン50の各々について断線の有無を判定する判定処理を行う判定回路30と、を含む。
【0033】
開示の技術の実施形態に係る電池監視装置10によれば、複数のトランジスタ24の出力電圧が、複数の接続ライン50の各々における断線の有無を示す検出電圧として判定回路30に同時に入力される。判定回路30は、この検出電圧に基づいて上記の判定処理を行う。したがって、開示の技術の実施形態に係る電池監視装置10によれば、複数の接続ラインについての断線検出を短時間で行うことが可能となる。
【0034】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の電池セルが直列接続された組電池の前記電池セルの各々に接続される複数の接続ラインの各々について断線を検出する機能を備えた電池監視装置であって、
前記複数の接続ラインの各々に接続される複数の内部配線と、
前記複数の内部配線に対応して設けられ、対応する内部配線及びこれと隣接する内部配線との電位差に応じてオン状態となる複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタの出力電圧に基づいて、前記複数の接続ラインの各々について断線の有無を判定する判定処理を行う判定回路と、
を含む電池監視装置。
【0035】
(付記2)
前記複数のトランジスタは、ソースが対応する内部配線に接続され、ゲートが低電位側において隣接する内部配線に接続され、ドレインが第1の電流源に接続されたPチャネル型のトランジスタを含み、
前記Pチャネル型のトランジスタの各々のドレインに生じる電圧が前記出力電圧として前記判定回路に入力される
付記1に記載の電池監視装置。
【0036】
(付記3)
最低電位の接続ラインに接続された内部配線であって、前記最低電位の接続ラインの非断線時においてグランド電位が印加される最低電位内部配線と、
最低電位内部配線をバイアスする第2の電流源と、
ゲートが前記最低電位内部配線に接続され、ソースがグランド電位が印加されるグランド配線に接続され、ドレインが第3の電流源に接続されたNチャネル型のトランジスタと、を含み、
前記Nチャネル型のトランジスタのドレインに生じる電圧が前記出力電圧として前記判定回路に入力される
付記1又は付記2に記載の電池監視装置。
【0037】
(付記4)
前記判定回路には、前記複数のトランジスタの前記出力電圧が同時に入力される
付記1から付記3のいずれか1つに記載の電池監視装置。
【0038】
(付記5)
前記判定回路は、前記複数の接続ラインのうち断線が生じているものを示す情報を出力する
付記1から付記4のいずれか1つに記載の電池監視装置。
【符号の説明】
【0039】
10 電池監視装置
21 内部配線
22 電源配線
23 グランド配線
24 トランジスタ
25、26、27 電流源
30 判定回路
40 電池セル
50 接続ライン