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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143057
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20241003BHJP
   B65H 5/38 20060101ALI20241003BHJP
   B26D 1/20 20060101ALI20241003BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20241003BHJP
   B26D 7/22 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41J11/70
B65H5/38
B26D1/20 A
B26D7/06 Z
B26D7/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055537
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】辻村 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 真誠
【テーマコード(参考)】
2C058
3C021
3C027
3F101
【Fターム(参考)】
2C058AB04
2C058AB16
2C058AC07
2C058AD01
2C058AE02
2C058AE04
2C058AE09
2C058AF04
2C058AF06
2C058AF12
2C058AF17
2C058AF18
2C058AF20
2C058AF23
2C058AF36
2C058AF43
2C058AF51
2C058LA02
2C058LA13
2C058LA39
2C058LB06
2C058LB17
2C058LB28
2C058LB36
3C021HA08
3C027SS02
3C027SS03
3F101FA01
3F101FB00
3F101FC12
3F101LA01
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】ジャムによる手間を抑制する。
【解決手段】プリンタは、搬送経路Tにおいて用紙を切断する2つのカッター60,70を含むカッターユニット6と、搬送経路Tを挟む一対の経路部材81,82と、を含む。一対の経路部材81,82は、搬送経路Tにおけるカッターユニット6による切断位置に対して搬送方向Aの下流側の部分を画定している。経路部材81は上記部分に対して給送方向Sの上流側に位置し、経路部材82は上記部分に対して給送方向Sの下流側に位置する。経路部材81の、搬送経路Tにおける一対の経路部材81,82が画定する部分に対する鋭角側の角度α1は、経路部材82の上記部分に対する鋭角側の角度α2よりも小さい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状媒体を収容可能なトレイと、
前記トレイに収容されたシート状媒体を搬送経路に沿って搬送方向に搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送されるシート状媒体に画像を記録する記録部と、
前記搬送経路においてシート状媒体を切断する1又は複数のカッターを含むカッターユニットと、を備え、
前記搬送機構は、
前記トレイに収容されたシート状媒体を前記搬送経路に向けて給送方向に給送する給送機構と、
前記搬送経路を挟む一対の経路部材と、を含み、
前記一対の経路部材は、前記搬送経路における前記カッターユニットによる切断位置に対して前記搬送方向の下流側の部分を画定するものであって、前記部分に対して前記給送方向の上流側に位置する第1経路部材と、前記部分に対して前記給送方向の下流側に位置する第2経路部材と、を有し、
前記第1経路部材の前記部分に対する鋭角側の角度は、前記第2経路部材の前記部分に対する鋭角側の角度よりも小さいことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記トレイは、シート状媒体がロール状に巻回されたロール体を収容可能であり、
前記搬送機構は、前記トレイに収容された前記ロール体から巻き解かれたシート状媒体を前記搬送経路に沿って搬送し、
前記第1経路部材は、前記部分に対し、前記ロール体を構成するシート状媒体の巻回方向の下流側に位置することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記トレイは、複数のシート状媒体を積層した状態で収容可能であり、
前記給送機構は、前記トレイに収容された複数のシート状媒体のうち最上層のシート状媒体を給送することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記部分は、前記1又は複数のカッターの少なくともいずれかと直交することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記搬送機構は、前記トレイにおける前記給送方向の下流端を構成しかつ前記搬送経路を画定する壁を有し、
前記部分は、前記搬送経路における前記壁が画定する部分と平行であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記搬送機構は、前記搬送経路における前記一対の経路部材が画定する部分に対して前記搬送方向の下流側に配置され、2つのローラで構成されるローラ対を含み、
前記部分は、前記搬送経路における前記2つのローラが画定する部分と平行であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記1又は複数のカッターは、前記搬送経路を挟む第1カッター及
び第2カッターを含み、
前記第1カッターは前記搬送経路に対して前記第1経路部材と同じ側に配置され、前記第2カッターは前記搬送経路に対して前記第2経路部材と同じ側に配置され、
前記第1カッターの前記搬送方向の下流端と、前記第1経路部材の前記搬送方向の上流端とは、前記搬送経路に沿ったシート状媒体と直交する方向に互いに重なっていることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記第1経路部材における搬送経路と対向する面と当該面に当たるシート状媒体の先端とがなす鋭角側の角度は、30°以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記第2経路部材における搬送経路と対向する面と当該面に当たるシート状媒体の先端とがなす鋭角側の角度は、30°以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状媒体を切断するカッターを備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙、布、ラベル等の長尺のシート状媒体を搬送経路に沿って搬送しつつ画像を記録する画像記録装置が知られている。かかる画像記録装置には、シート状媒体を切断するカッターを備えたものがある。例えば特許文献1には、画像形成部(記録部)に対して搬送方向の下流側に、カッターを含むシート切断装置が配置された構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-86235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カッターの周辺でシート状媒体のジャムが生じると、ジャム処理の際にユーザがカッターで手指を負傷する可能性があるため、慎重な操作が求められ、ジャムによる手間が大きくなる。特許文献1では、このような問題が考慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、ジャムによる手間を抑制できる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像記録装置は、シート状媒体を収容可能なトレイと、前記トレイに収容されたシート状媒体を搬送経路に沿って搬送方向に搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送されるシート状媒体に画像を記録する記録部と、前記搬送経路においてシート状媒体を切断する1又は複数のカッターを含むカッターユニットと、を備え、前記搬送機構は、前記トレイに収容されたシート状媒体を前記搬送経路に向けて給送方向に給送する給送機構と、前記搬送経路を挟む一対の経路部材と、を含み、前記一対の経路部材は、前記搬送経路における前記カッターユニットによる切断位置に対して前記搬送方向の下流側の部分を画定するものであって、前記部分に対して前記給送方向の上流側に位置する第1経路部材と、前記部分に対して前記給送方向の下流側に位置する第2経路部材と、を有し、前記第1経路部材の前記部分に対する鋭角側の角度は、前記第2経路部材の前記部分に対する鋭角側の角度よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、ロール体から巻き解かれたシート状媒体が搬送機構によって搬送される場合、シート状媒体の先端が第1経路部材に接触し易い。この場合において、第1経路部材の角度が小さいことで、第1経路部材における搬送経路と対向する面と当該面に当たるカールしたシート状媒体の先端とがなす鋭角側の角度を所定値以下にすることができ、ジャムを防止できる。したがって、ジャムが生じ難いため、ジャムによる手間を抑制できる。また、例えば、複数のシート状媒体のうち最上層のシート状媒体が給送機構によって給送される場合、シート状媒体の先端が第2経路部材に接触し易い。この場合において、第2経路部材の角度が大きいことで、一対の経路部材の入口部分の経路幅が大きく、シート状媒体の先端を一対の経路部材の間へと誘い込み易い。したがって、シート状媒体を適切に案内できるため、ジャムが生じ難く、ジャムによる手間を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの斜視図である。
図2】プリンタの内部構造を示す概略側面図である。
図3】プリンタにおいて給紙トレイ内にカット紙が収容された状態を示す図2に対応する概略側面図である。
図4】プリンタに含まれるカッターユニット及び走査機構を示す斜視図である。
図5】カッターユニット及び一対の経路部材を示す部分拡大図である。
図6】ロール紙から巻き解かれた用紙の先端が経路部材に当たる状況を示す模式図である。
図7】カットの先端が経路部材に当たる状況を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<プリンタの全体構成>
本発明の一実施形態に係るプリンタ1(画像記録装置)は、図1に示すように、筐体1aと、筐体1aに対して着脱可能な給紙トレイ10と、排紙トレイ90とを備えている。
【0010】
プリンタ1は、さらに、図2に示すように、搬送機構3と、ヘッド5と、カッターユニット6と、走査機構4と、制御部100とを備えている。搬送機構3のうち後述のローラ51,52を除く要素と、ヘッド5と、カッターユニット6と、走査機構4と、制御部100とは、筐体1aに支持されている。ローラ51,52は、給紙トレイ10に支持されている。
【0011】
搬送機構3は、用紙Pを搬送経路Tに沿って搬送方向に搬送するように構成されており、ローラ51,52と、ローラ13及びアーム14と、案内部材16と、分離部材3fと、一対の経路部材81,82と、ローラ対3a~3cと、一対のガイド部材3gと、上記各ローラを駆動するための搬送モータ3x(図4参照)とを含む。
【0012】
搬送機構3のうち、ローラ51,52、ローラ13及びアーム14は、給紙トレイ10に収容された用紙Pを搬送経路Tに向けて給送可能な給送機構2を構成する。
【0013】
搬送経路Tは、給紙トレイ10から一対のガイド部材3gの間を通り、ヘッド5の下方を通って排紙トレイ90へと向かう経路である。搬送経路Tは、ヘッド5に対して搬送方向の上流側に、U字状部を有する。U字状部に、分離部材3f、カッターユニット6、走査機構4、一対の経路部材81,82、ローラ対3a及び一対のガイド部材3gが配置されている。カッターユニット6、走査機構4、一対の経路部材81,82及びローラ対3aは、U字状部の底部に配置されている。カッターユニット6、走査機構4及び一対の経路部材81,82は、分離部材3fに対して搬送方向の下流側かつローラ対3aに対して搬送方向の上流側に配置されている。
【0014】
給紙トレイ10は、本発明の「トレイ」に該当し、ロール紙R(図2参照)を収容可能なロール紙収容部11と、複数のカット紙Pc(図3参照)を上下方向に積層した状態で収容可能なカット紙収容部12とを含む。カット紙収容部12に収容されるカット紙Pcは、給紙トレイ10の底板18に沿って配置された支持板19の上面に支持される。
【0015】
給紙トレイ10において、ロール紙Rを使用する場合はカット紙収容部12からカット紙Pcが取り除かれ(図2参照)、カット紙Pcを使用する場合はロール紙収容部11からロール紙Rが取り除かれる(図3参照)。カット紙収容部12は、ロール紙収容部11の後方の空間である。
【0016】
用紙Pは、ロール紙Rから巻き解かれた用紙、及び、カット紙Pcを総称したものであり、本発明の「シート状媒体」に該当する。カット紙Pcは、ロール紙Rを構成する用紙よりも搬送経路Tに沿った長さが短い用紙をいう。
【0017】
ロール紙Rは、円筒状の芯部材Rcの外周面に長尺の用紙Pがロール状に巻回されたものである。ロール紙Rは、その回転軸Rx(芯部材Rcの中心軸)が左右方向に沿った状態で、ロール紙収容部11に収容される。
【0018】
ロール紙収容部11の底部に、ローラ51,52が配置されている。ローラ51,52は、左右方向に沿った軸を中心として回転可能である。ロール紙Rは、ロール紙収容部11に収容されたとき、その下側部分の外周面がローラ51,52に支持される。ロール紙Rをセットする際には、ロール紙Rを手動で図2の矢印方向Qに回転させ、ロール紙Rから用紙Pを巻き解く。そして用紙Pを支持板19の下面と底板18の上面との隙間に通し、用紙Pの先端をローラ13とコロ15との間に挟持させる。この状態で、制御部100の制御により搬送モータ3x(図4参照)が駆動し、ローラ51,52,13が回転することで、ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pが後方(給送方向S)に給送される。
【0019】
ローラ13は、アーム14の一端14aに支持されており、左右方向に沿った軸13xを中心として回転可能である。アーム14の他端14bは、左右方向に沿った軸14xを介して、筐体1aに支持されている。アーム14は、他端14bを支点として、軸14xを中心として回動可能である(図2及び図3参照)。
【0020】
給紙トレイ10が筐体1aに装着された状態において、カット紙収容部12にカット紙Pcが収容されていないとき、ローラ13は、支持板19の上面に接触する(図2参照)。給紙トレイ10が筐体1aに装着された状態において、カット紙収容部12にカット紙Pcが収容されているとき、ローラ13は、カット紙収容部12に収容されたカット紙Pcのうち最上層のカット紙Pcと接触する(図3参照)。このとき、制御部100の制御により搬送モータ3x(図4参照)が駆動し、ローラ13が回転することで、カット紙Pcが後方(給送方向S)に給送される。
【0021】
給紙トレイ10からローラ13により給送された用紙P(ロール紙収容部11に収容されたロール紙Rから巻き解かれた用紙P、又は、カット紙収容部12に収容されたカット紙Pc)は、分離部材3fと接触し、分離部材3fに沿って移動して、ローラ対3aへと案内される。
【0022】
分離部材3f(本発明の「壁」に該当する。)は、給紙トレイ10における給送方向Sの下流端を構成する部材であり、搬送経路Tを画定している。
【0023】
案内部材16は、屈曲した形状であり、左右方向に沿った回動軸16x(本発明の「第1回動軸」に該当する。)が設けられた一端と、長孔16yが設けられた他端とを有する。長孔16yには、アーム14の一端14a近傍に形成された凸部14yが挿入されている。案内部材16は、図2及び図3に示すように、アーム14の回動に伴い、凸部14yが長孔16yに沿って移動することにより、回動軸16xを中心として回動する。回動軸16xは、搬送経路Tにおいて給紙トレイ10とカッターユニット6との間に設けられている。
【0024】
分離部材3fは、ローラ13に対して後方に配置され、上下方向及び前後方向の双方と交差する斜め方向に延びている。分離部材3fの表面には、搬送経路Tに沿って繰り返す細かい凹凸が形成されている。当該凹凸により、重送(複数のカット紙Pcが重なった状態で搬送される現象)が抑制される。即ち、分離部材3fは、ローラ13と接触するカット紙Pcとそれ以外のカット紙Pcとを分離する機能を有する。
【0025】
ヘッド5(本発明の「記録部」に該当する。)は、下面に形成された複数のノズル(図示略)と、ドライバIC(図示略)とを含む。搬送機構3によって搬送された用紙Pがヘッド5の下面と対向する位置を通過するときに、制御部100の制御によりドライバICが駆動されることで、ノズルからインクが吐出され、用紙Pにインクが着弾し、用紙Pに画像が記録される。なお、ヘッド5は、位置が固定された状態でノズルからインクを吐出するライン式、及び、左右方向に移動しつつノズルからインクを吐出するシリアル式のいずれでもよい。
【0026】
カッターユニット6は、搬送経路Tにおける分離部材3fとローラ対3aとの間において、ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pを切断するように構成されており、搬送経路Tを挟むように配置されたカッター60(本発明の「第2カッター」に該当する。)及びカッター70(本発明の「第1カッター」に該当する。)と、カッター60を保持するホルダ61とを含む。ホルダ61は、キャリッジ9に着脱可能に取り付けられている。キャリッジ9は、走査機構4により左右方向に往復動可能である。左右方向は、搬送経路Tに沿った用紙Pと平行でかつ搬送方向A(図2及び図3参照:カッターユニット6近傍における搬送方向)と交差する。
【0027】
走査機構4は、図4に示すように、左右方向に延びる一対のガイドレール4x,4yと、左右方向に互いに離隔した一対のプーリ4a(図4には一対のプーリ4aの一方のみ示されている。)と、一対のプーリ4aに巻回されかつキャリッジ9が固定されたベルト4bと、切断モータ6xとを含む。ガイドレール4yは、ガイドレール4xの前方にあり、若干の隙間を介してガイドレール4xから離隔している。当該隙間に、搬送経路T(図2及び図3参照)が形成されている。
【0028】
ガイドレール4x,4yは、図4に示すように、一対のサイドフレーム1sにネジ等を介して固定されている。一対のサイドフレーム1sは、筐体1aの一部であり、金属等からなる。一対のサイドフレーム1sは、左右方向に互いに離隔し、ガイドレール4x,4yの左端及び右端を支持している。
【0029】
一対のプーリ4a、ベルト4b及び切断モータ6xは、ガイドレール4xに取り付けられている。ガイドレール4xは、ベルト4bに固定されたキャリッジ9、及び、キャリッジ9に装着されたホルダ61及びカッター60を支持している。
【0030】
ガイドレール4yは、カッター70を支持している。カッター70は、図5に示すように、L字状であり、ガイドレール4yの下面を覆う部分71と、ガイドレール4yにおける搬送経路Tを画定する側面を覆う部分72とを有する。カッター70の部分72は、搬送経路Tに沿って延びている。カッター70は、部分72の搬送方向Aの下流側の端部に、刃70aを有する。
【0031】
カッター70が固定されているのに対し、カッター60は回転する。カッター60は、円盤状であり、その周縁に刃60aを有する。用紙Pを切断する際、カッター60の刃60aは、カッター70の刃70aに対して搬送方向Aの下流側において、搬送経路Tに沿った用紙Pと交差する方向に延び、カッター70の刃70aと搬送方向Aに重なっている。
【0032】
制御部100の制御により切断モータ6x(図4参照)が駆動されると、ベルト4bが左右方向に走行し、キャリッジ9及びホルダ61が、搬送経路T外の着脱位置Xから、搬送経路T内へと移動される。またこのとき、切断モータ6xの駆動により、カッター60が回転する。ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pは、固定されたカッター70と、左右方向に移動しながら回転するカッター60とにより、用紙Pの幅方向に切断される。
【0033】
着脱位置Xは、ガイドレール4x,4yの左端にあり、上記のようにキャリッジ9の移動のホームポジションであると共に、ホルダ61をキャリッジ9に対して着脱するための位置でもある。
【0034】
一対の経路部材81,82は、図5に示すように、搬送経路Tを挟むように配置されており、搬送経路Tにおけるカッターユニット6による切断位置に対して搬送方向Aの下流側の部分(カッターユニット6による切断位置と後述の2つのローラ31,32の接点との間の部分)を画定している。切断位置は、カッター60,70の刃60a,70a同士が重なる部分であり、搬送経路Tに対してカッター60が交差する位置である。経路部材81(本発明の「第1経路部材」に該当する。)は、搬送経路Tにおける一対の経路部材81,82が画定する部分(即ち、一対の経路部材81,82で挟まれた部分)に対し、前方であって、給送方向Sの上流側、かつ、ロール紙Rを構成する用紙Pの巻回方向(図2に示す矢印方向Q)の下流側に位置する。巻回方向は、ロール紙Rが形成されるときに用紙Pが回転軸Rx周りに巻回される方向であり、ロール紙Rから用紙Pが巻き解かれるときに回転軸Rx周りにロール紙Rが回転する方向でもある。経路部材82(本発明の「第2経路部材」に該当する。)は、搬送経路Tにおける一対の経路部材81,82が画定する部分(即ち、一対の経路部材81,82で挟まれた部分)に対し、後方であって、給送方向S(図3参照)の下流側に位置する。
【0035】
図5に示すように、経路部材81の、搬送経路Tにおける一対の経路部材81,82が画定する部分(即ち、一対の経路部材81,82で挟まれた部分)に対する鋭角側の角度α1は、経路部材82の上記部分に対する鋭角側の角度α2よりも小さい。
【0036】
上記部分(搬送経路Tにおける一対の経路部材81,82が画定する部分)は、図5に示すように、カッター60と直交する。また、上記部分は、図2及び図3に示すように、搬送経路Tにおける分離部材3fが画定する部分と平行であり、かつ、搬送経路Tにおける後述の2つのローラ31,32が画定する部分と平行である。角度α1,α2は、経路部材81,82における搬送経路Tと対向する面と、上記部分とがなす角度である。
【0037】
また、経路部材81における搬送経路Tと対向する面と、ロール紙Rから巻き解かれて経路部材81に当たる用紙Pの先端とがなす鋭角側の角度θ1(図6参照)、及び、経路部材82における搬送経路Tと対向する面と、経路部材82に当たる用紙Pの先端とがなす鋭角側の角度θ2(図7参照)は、それぞれ、30°以下となるように設計されている。
【0038】
図5に示すように、カッター70は搬送経路Tに対して経路部材81と同じ側(前方)に配置され、カッター60は搬送経路Tに対して経路部材82と同じ側(後方)に配置されている。なお、カッター60は、搬送経路Tに対して後方に配置された部分と前方に配置された部分とを有する。カッター70の搬送方向Aの下流端(刃70aを含む部分)と、経路部材81の搬送方向Aの上流端とは、方向U(搬送経路Tに沿った用紙Pと直交する方向)に、互いに重なっている。
【0039】
ローラ対3a(本発明の「ローラ対」に該当する。)は、図5に示すように、カッターユニット6に対して搬送方向Aの下流側に配置されており、2つのローラ31,32で構成される。2つのローラ31,32は、それぞれ左右方向に沿った回転軸31x,32xを中心として回転可能である。経路部材81,82は、それぞれ、回転軸31x,32xを支持する部分を有する。
【0040】
以上に述べたとおり、本実施形態によれば、経路部材81の角度α1が経路部材82の角度α2よりも小さい(図5参照)。例えば、ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pが搬送機構3によって搬送される場合、用紙Pの先端が経路部材81に接触し易い(図6参照)。この場合において、経路部材81の角度α1が小さいことで、経路部材81における搬送経路Tと対向する面と当該面に当たるカールした用紙Pの先端とがなす鋭角側の角度θ1を所定値以下にすることができ、ジャムを防止できる。したがって、ジャムが生じ難いため、ジャムによる手間を抑制できる。また、例えば、複数のカット紙Pcのうち最上層のカット紙Pcが給送機構2によって給送される場合、カット紙Pcの先端が経路部材82に接触し易い(図7参照)。この場合において、経路部材82の角度α2が大きいことで、一対の経路部材81,82の入口部分の経路幅が大きく、カット紙Pcの先端を一対の経路部材81,82の間へと誘い込み易い。したがって、カット紙Pcを適切に案内できるため、ジャムが生じ難く、ジャムによる手間を抑制できる。
【0041】
経路部材81は、搬送経路Tにおける一対の経路部材81,82が画定する部分(即ち、一対の経路部材81,82で挟まれた部分)に対し、ロール紙Rを構成する用紙Pの巻回方向(図2に示す矢印方向Q)の下流側に位置する。この場合、ロール紙Rから巻き解かれた用紙Pの先端が経路部材81に接触し易いが(図6参照)、上記のとおり、角度α1が小さいことで、角度θ1を所定値以下にすることができ、ジャムを防止できる。
【0042】
経路部材82は、搬送経路Tにおける一対の経路部材81,82が画定する部分(即ち、一対の経路部材81,82で挟まれた部分)に対し、給送方向S(図3参照)の下流側に位置する。この場合、カット紙収容部12から給送されたカット紙Pcの先端が経路部材82に接触し易いが(図7参照)、上記のとおり、角度α2が大きいことで、一対の経路部材81,82の入口部分の経路幅が大きく、カット紙Pcの先端を一対の経路部材81,82の間へと誘い込み易い。
【0043】
カッター70の搬送方向Aの下流端(刃70aを含む部分)と、経路部材81の搬送方向Aの上流端とは、方向U(搬送経路Tに沿った用紙Pと直交する方向)に、互いに重なっている。仮に、カッター70の搬送方向Aの下流端と、経路部材81の搬送方向Aの上流端とが、方向Uに互いに重ならない場合、これらの間に間隙が生じ、当該間隙に用紙Pの先端が入り込み、ジャムが生じ得る。特に、用紙Pの先端がカールしている場合、当該間隙に先端が入り込み易く、ジャムが生じ易い。これに対し、本実施形態では、上記間隙が生じないため、ジャムが生じ難い。
【0044】
経路部材81における搬送経路Tと対向する面と、ロール紙Rから巻き解かれて経路部材81に当たる用紙Pの先端とがなす鋭角側の角度θ1(図6参照)は、30°以下である。この場合、経路部材81と用紙Pとの間の摩擦係数によらず、用紙Pが経路部材81に引っ掛からず、用紙Pをスムーズに搬送できる。
【0045】
経路部材82における搬送経路Tと対向する面と、経路部材82に当たる用紙Pの先端とがなす鋭角側の角度θ2(図7参照)は、30°以下である。この場合、経路部材82と用紙Pとの間の摩擦係数によらず、用紙Pが経路部材82に引っ掛からず、用紙Pをスムーズに搬送できる。
【0046】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0047】
搬送経路における一対の経路部材が画定する部分は、カッターと直交するという要件、搬送経路における壁が画定する部分と平行であるという要件、及び、搬送経路におけ2つのローラが画定する部分と平行であるという要件の、全てを満たすものに限定されず、上記要件の少なくともいずれかを満たすものであってよい。
【0048】
カッターユニットに含まれるカッターは、上述の実施形態では円盤状で回転するカッター60と固定されたカッター70とで構成されるが、これに限定されず、共に円盤状で回転する一対のカッターで構成されてもよい。また、カッターユニットに含まれるカッターの数は、2つに限定されず、1又は3以上であってもよい。
【0049】
上述の実施形態では、カッターユニットに含まれるカッターの1つ(カッター60)が走査機構により移動するが、これに限定されず、例えばカッターユニットに含まれる全てのカッター(例えば共に円盤状で回転する一対のカッター)が走査機構により移動してもよい。
【0050】
カッターユニットは、複数のカッターを含まず、1つのカッターを含んでもよい。
【0051】
シート状媒体は、紙に限定されず、布やプラスチックフィルムであってもよい。即ち、シート状媒体は、シート状である限り、任意の材料で構成されてよい。
【0052】
記録部は、インク以外の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)を吐出してもよい。また、記録部は、液体吐出方式に限定されず、レーザー方式、熱転写方式等であってもよい。
【0053】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 プリンタ(画像記録装置)
2 給送機構
3 搬送機構
3a ローラ対
3f 分離部材(壁)
5 ヘッド(記録部)
6 カッターユニット
10 給紙トレイ(トレイ)
31,32 ローラ
60 カッター(第2カッター)
70 カッター(第1カッター)
81 経路部材(第1経路部材)
82 経路部材(第2経路部材)
A 搬送方向
P 用紙(シート状媒体)
R ロール紙(ロール体)
S 給送方向
T 搬送経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7