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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143059
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】リーダーテープ及び転写箔ロール
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/28 20060101AFI20241003BHJP
   B65H 19/28 20060101ALI20241003BHJP
   B65H 75/26 20060101ALI20241003BHJP
   B44C 1/17 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65H75/28
B65H19/28 Z
B65H75/26
B44C1/17 N
B44C1/17 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055540
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】大島 佑介
【テーマコード(参考)】
3B005
3F058
3F064
【Fターム(参考)】
3B005EA12
3B005EB03
3B005FB21
3B005FE04
3B005FE12
3B005FE39
3B005FG04X
3F058AA03
3F058AB01
3F058BA02
3F058BB01
3F058CA05
3F058CA06
3F058DB03
3F058DB05
3F058HA08
3F058HB02
3F058HB07
3F064AA03
3F064CB05
3F064FA01
(57)【要約】
【課題】転写箔ロールにおいてリーダーテープが緩んだり、蛇腹状に折り返されたりする不具合を抑制できるリーダーテープを提供する。
【解決手段】リーダーテープ4は、コアと、コアに巻き付けられるテープ状の転写箔3と、を接続するリーダーテープ4であって、第一面4aと、第一面4aと反対側に向く第二面4bと、を有する。第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数が0.6以上であり、第二面4bに対する第一面4aの動摩擦係数が0.21以上である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、前記コアに巻き付けられるテープ状の転写箔と、を接続するリーダーテープであって、
第一面と、前記第一面と反対側に向く第二面と、を有し、
前記第二面に対する前記第一面の静止摩擦係数が0.6以上であり、
前記第二面に対する前記第一面の動摩擦係数が0.21以上であるリーダーテープ。
【請求項2】
前記第一面のSsk(スキューネス)が、1.0以上であり、
前記第一面のSku(クルトシス)が、10以上である請求項1に記載のリーダーテープ。
【請求項3】
前記第二面をなすテープ基材層と、前記テープ基材層に重ねて形成され、前記第一面をなす追加層と、を有する請求項1又は請求項2に記載のリーダーテープ。
【請求項4】
コアと、前記コアに巻き付けられるテープ状の転写箔と、前記コアと前記転写箔とを接続する請求項1又は請求項2に記載のリーダーテープと、を備え、
前記リーダーテープと前記転写箔とが、前記コアに対して順番に巻き付けられた転写箔ロール。
【請求項5】
前記コアに対する前記リーダーテープ及び前記転写箔の巻き張力が、0.2N/mm以上0.32N/mm以下である請求項4に記載の転写箔ロール。
【請求項6】
前記リーダーテープが、前記第二面をなすテープ基材層と、前記テープ基材層に重なり、前記第一面をなす追加層と、を有し、
前記転写箔が、箔基材層と、前記箔基材層の一方側の面に順次重なる剥離層、レリーフ層、反射層及び接着層と、を有し、
前記追加層が、前記接着層と同じ材料によって構成される請求項4に記載の転写箔ロール。
【請求項7】
前記転写箔は、前記箔基材層の他方側の面に重なるバックコート層をさらに有する請求項6に記載の転写箔ロール。
【請求項8】
前記バックコート層は、芳香族化合物を含むバインダー樹脂と、脂肪族化合物を主成分とした補助粒子との複合体であり、
前記接着層は、常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有し、前記接着層の厚みを規定する樹脂成分と、前記樹脂成分により形成された層の厚みよりも大きい粒径を有し、一部が前記樹脂成分から突出するスペーサー粒子と、を含有し、
前記補助粒子が前記バインダー樹脂から突出する高さは、前記スペーサー粒子が前記樹脂成分から突出する突出高さより低く、
前記バックコート層の表面は、動摩擦係数が0.30以下、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上である請求項7に記載の転写箔ロール。
【請求項9】
前記バックコート層の前記補助粒子は、前記接着層の融点またはガラス転移点よりも高い融点を有する界面活性剤を含有する請求項8に記載の転写箔ロール。
【請求項10】
前記バックコート層は、酢酸セルロースまたはポリアミドイミドの前記バインダー樹脂と、アマイドワックスを主成分とする前記補助粒子と、を含む請求項8に記載の転写箔ロール。
【請求項11】
前記バックコート層は、酢酸セルロースまたはポリアミドイミドの前記バインダー樹脂と、フッ素系樹脂を主成分とする前記補助粒子と、を含む請求項8に記載の転写箔ロール。
【請求項12】
前記コアが紙管である請求項4に記載の転写箔ロール。
【請求項13】
前記リーダーテープ及び前記転写箔は、前記コアの軸方向にずらしながら前記コアに巻き付けられている請求項4に記載の転写箔ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーダーテープ及び転写箔ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
パスポートや査証用ステッカー、あるいは、カード類といった個人認証に係わる情報記録媒体においては、従来、色々なセキュリティ手法が提案されている。例えば、パスポートにおいては、いわゆるICAO(International Civil Aviation Organization)の規定によると、目視および光学文字識別方式の両方で読めなければならないとされている。この種の個人認識情報の入った画像表示体としては、画像情報に基づいて形成された画像パターンをポリ塩化ビニル等のカード基材上に備えたもの、あるいは、上記画像パターンに加えてホログラムや回折格子あるいは多層干渉を用いた光学的薄膜(光学設計によりカラーシフト等の効果を得られる)を用いることによる画像に代表される、いわゆるOVD(Optical Variable Device)画像を具備するもの等が知られている。
【0003】
OVDを物品に貼着するための手段として、OVDを含む転写箔を転写機において転写する方法がある。転写機には、円柱状あるいは円筒状のコアにテープ状の転写箔を巻き付けた転写箔ロールから転写箔を順次繰り出し、貼付部において転写箔を多数の物品に転写して貼り付けるものがある。
【0004】
転写箔ロールには、転写機における設置スペースの制約を考慮して転写箔ロールの径寸法が小さくなるように、転写箔をボビン形状に巻いたボビン巻き(トラバース巻き)の転写箔ロールがある。ボビン巻きの転写箔ロールでは、テープ状の転写箔をコアの軸方向にずらしながらコアに巻いている。
【0005】
セキュリティ用途で用いられる転写箔では、その員数管理が重要となる。すなわち、コアに巻き付けられた転写箔全てを物品に貼着する必要がある。このため、セキュリティ用途の転写箔ロールでは、テープ状の転写箔全てがコアから離れた位置(転写機の貼付部)まで到達するように、コアと転写箔とをリーダーテープによって接続している。
【0006】
特許文献1には、糸、フィルム、紙、布等を巻き付けるボビンの外表面に、ズレ防止加工を施した溝付きボビンが開示されている。特許文献1の構成では、ズレ防止加工によって、糸、フィルム、紙、布等とボビンの外表面との間にズレが発生することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-197179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年では転写機における転写箔の転写速度が向上しており、これに伴って転写箔が転写箔ロールから繰り出される速度も速くなってきている。このため、ボビン巻きの転写箔ロールにおける転写箔の繰り出しの開始時及び停止時に生じる転写箔ロールの回転の加速度も大きくなる。当該回転の大きな加減速に伴い、転写箔ロールにおいては、リーダーテープが緩んだり、蛇腹状に折り返されたりする。リーダーテープが緩むと、転写箔ロールを転写機から取り外してコアの軸方向を鉛直方向に向けた際に、転写箔がコアから滑り落ちる(ロール状の転写箔が崩れる)、という不具合が生じる。また、リーダーテープが蛇腹状に折り返されると、ロール状に巻かれた転写箔の部分に想定以上の力が作用し、重なる転写箔同士が付着するブロッキングという不具合が生じる。
転写機の貼付部に転写箔を間欠的に供給するアップダウン方式の転写を採用する転写機では、転写箔ロールにおける転写箔の繰り出しが間欠的に行われるため、すなわち、転写箔ロールの回転と停止が頻繁に行われるため、上記した不具合が特に生じやすい。
【0009】
転写ロールにおいてリーダーテープが緩まないように、また、リーダーテープが蛇腹状に折り返されないようにするためには、コアに対するリーダーテープ及び転写箔の巻き張力を強くすることが考えられる。しかしながら、ボビン巻きの転写箔ロールにおいてリーダーテープ及び転写箔の巻き張力を強くすると、重なる転写箔同士が付着するブロッキングが生じてしまう。
【0010】
なお、特許文献1の構成を参酌して、コアにズレ防止加工を施したとしても、リーダーテープが緩んだり、蛇腹状に折り返されたりする不具合を軽減することは難しい。
【0011】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、転写箔ロールにおいてリーダーテープが緩んだり、蛇腹状に折り返されたりする不具合を抑制できるリーダーテープ及び転写箔ロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、コアと、前記コアに巻き付けられるテープ状の転写箔と、を接続するリーダーテープであって、第一面と、前記第一面と反対側に向く第二面と、を有するリーダーテープである。前記第二面に対する前記第一面の静止摩擦係数が0.6以上であり、前記第二面に対する前記第一面の動摩擦係数が0.21以上である。
【0013】
本発明の一態様は、コアと、前記コアに巻き付けられるテープ状の転写箔と、前記コアと前記転写箔とを接続する前記リーダーテープと、を備える転写箔ロールである。前記リーダーテープと前記転写箔とが、前記コアに対して順番に巻き付けられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検転写箔ロールにおいてリーダーテープが緩んだり、蛇腹状に折り返されたりする不具合を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る転写箔ロールを模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る転写箔ロールにおいて、リーダーテープ及び転写箔をコアに巻き付ける前の状態を模式的に示す図である。
図3図2のリーダーテープ及び転写箔の層構造を示す断面図である。
図4】サンプルフィルムの静止摩擦係数及び動摩擦係数の測定方法を説明するための図である。
図5】実験例1~7の転写箔ロールについて、リーダーテープの緩み及び折り返し、並びに、転写箔のブロッキングの評価を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1図4を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1図2に示すように、本実施形態の転写箔ロール1は、コア2と、転写箔3と、リーダーテープ4と、を備える。
【0017】
コア2は、軸方向から見て円形となる外周面を有する。図2に例示するコア2は、円筒状であるが、例えば円柱状であってもよい。本実施形態のコア2は紙管である。
【0018】
転写箔3は、コア2に巻き付けられるように、一方向に延びるテープ状に形成されている。転写箔3は、ホットスタンプなど用いて転写熱圧を加えることにより印刷体等の被転写体に転写される。
【0019】
転写箔3の具体的な構成は特に限定されない。転写箔3は例えば既知のものであってよい。図3に例示する転写箔3は、箔基材層31と、箔基材層31の一方側の面に順次重なる剥離層32、レリーフ層33、反射層34及び接着層35と、を有する。剥離層32、レリーフ層33及び反射層34は、OVD部30を構成する。
【0020】
箔基材層31は、転写箔3が被転写体に転写されるまでOVD部30(剥離層32、レリーフ層33及び反射層34)を保護する。
箔基材層31は、単層または多層のプラスチックフィルムとすることができる。プラスチックフィルムは、押出法、溶液流延法、カレンダー法により製造できる。押出法としては、インフレーション法、Tダイ法を適用できる。また、プラスチックフィルムは、延伸、無延伸のフィルムとすることができる。プラスチックフィルムの材料は、熱可塑樹脂、溶解性樹脂とすることができる。熱可塑樹脂としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)などを用いることができる。なお、箔基材層31は、用途や目的に応じて、例えば紙や合成紙、プラスチック複層紙や樹脂含浸紙等とすることもできる。
【0021】
剥離層32は、レリーフ層33に対して密着し、箔基材層31に対して剥離可能な程度に支持される。剥離層32は、転写箔3が被転写体に熱転写された際に、箔基材層31から剥がれる。剥離層32は、転写後において最表面に露出し、外的損傷からレリーフ層33及び反射層34を保護する。
剥離層32の材質としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸系樹脂の単体、およびこれら樹脂の共重合体等を例示できる。
【0022】
レリーフ層33は、反射層34と接する側の表面に微細な凹凸構造331を有する。微細な凹凸構造331は、凹部のみ含む構造、凸部のみ含む構造、あるいは、凹部及び凸部の両方を含む構造であってよい。凹凸構造331は、回折、光反射抑制、等方性または異方性の光散乱、屈折、偏光・波長選択性の反射、透過、光反射抑制などの所望の光学的性質をOVD部30に発揮させる。凹凸構造331の具体例として、モスアイ構造や深い格子構造等を例示できる。
レリーフ層33の材質としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、およびこれら樹脂の共重合体等を例示できる。
【0023】
反射層34は、レリーフ層33上に蒸着等によって形成される。反射層34の材質としては、アルミナやシリカ等の金属酸化物を例示できる。
【0024】
接着層35は、加熱されることで軟化する特性を有していればよく、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリカを含んでよい。
また、接着層35は、例えば樹脂成分とスペーサー粒子とを含有してもよい。接着層35の樹脂成分は、常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有し、接着層35の厚みを規定する。接着層35のスペーサー粒子は、樹脂成分により形成された層の厚みよりも大きい粒径を有する。一部のスペーサー粒子は、樹脂成分から突出する。
【0025】
図3に例示する転写箔3は、箔基材層31の他方側の面に重なるバックコート層36をさらに有する。
バックコート層36の表面は、動摩擦係数が0.30以下であり、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上である。発明者らの検討では、このような物性のバックコート層36は、熱転写装置において、4m/秒程度の高速で移動させても、摩耗による粉塵がほとんど発生しないことが分かった。動摩擦係数が0.30以下であることは、高速移動により生じる摩擦の量が少なくなることに寄与すると考えられる。連続荷重式引掻き強度が9.5g以上であることは、硬度が高いことにより摩耗しにくくなることに寄与すると考えられる。
【0026】
バックコート層36は、バインダー樹脂361と補助粒子362との複合材料(複合体)であってよい。バインダー樹脂361は、バックコート層36に耐熱性や硬度を付与できる。
バインダー樹脂361は、芳香族化合物を含有してよい。芳香族化合物は、酢酸セルロース、または、ポリアミドイミドまたはこの混合や共重合であってもよい。酢酸セルロースは、ガラス転移温度が150℃以上、800℃以下の範囲であり、融点が230℃以上であってよい。ポリアミドイミドは、分子量が5000~30000の範囲であってよい。
【0027】
補助粒子362は、樹脂ビーズであってもよい。樹脂ビーズは、脂肪族化合物を主成分としてもよい。脂肪族化合物は、界面活性剤または、フッ素樹脂またはこの混合樹脂であってもよい。また、脂肪族化合物は、アミンやフッ素で変性した化合物であってもよい。これにより、補助粒子362の滑り性や耐熱性を向上できる。脂肪族化合物を主成分とした樹脂ビーズの補助粒子362は、ワックス粒子である。
【0028】
補助粒子362は、異なる種類の樹脂により形成された複数の種類の粒子を含んでいてもよい。また、補助粒子362はサイズ(粒径)の異なる樹脂ビーズを含んでいてもよい。すなわち、補助粒子362は、平均粒径の異なる複数の種類の樹脂ビーズを含んでいてもよい。さらには、補助粒子362は、サイズが同等で種類の異なる樹脂、サイズが異なり種類が同じ樹脂、またはサイズと樹脂の種類との双方が異なる粒子を含んでいてもよい。サイズが同等で種類の異なる樹脂で形成された粒子を含むことで、必要とされる静摩擦係数と動摩擦係数の双方を得やすくできる。種類が同じ樹脂でサイズが異なる粒子を含むことで、滑り性を調整することができる。サイズと樹脂の種類との双方が異なる樹脂ビーズ(粒子)を含むことで、適切な静摩擦係数と動摩擦係数を得ることができる。
脂肪族化合物を主成分とした樹脂ビーズによりバックコート層36の表面の滑り性を向上させる。言い換えれば、バックコート層36と、転写箔3を搬送するときにバックコート層36に接するガイドとの滑り性を向上させる。
【0029】
界面活性剤は、アマイドワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックスであってもよい。つまり、補助粒子362は、例えばアマイドワックスを主成分として構成されてよい。アマイドワックスの融点は、70℃以上、130℃以下の範囲であってよい。アマイドワックスを主成分とする補助粒子362は、硬度が高く、バインダー樹脂361と化学結合を形成する。その結果、バックコート層36内に位置することにより、バックコート層36の剛性を高め、摩耗を抑制する。バインダー樹脂361がポリアミドイミドであると、化学結合がより強固になり、その効果が高まる。
【0030】
界面活性剤の融点は、転写箔3の熱転写温度より高くてもよい、すなわち接着層35(例えば接着層35の樹脂成分)の融点またはガラス転移点(Tg)よりも高くてよい。この場合、転写箔3の転写時にバックコート層36に接触するホットスタンプに界面活性剤が付着しにくく、メンテナンス頻度を低下できる。
【0031】
補助粒子362は、例えばフッ素系樹脂を主成分として構成されてもよい。フッ素系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であってもよい。PTFEの融点は、300℃以上、800℃以下の範囲であり、分子量が1000000(100万)以上であってよい。樹脂ビーズのガラス転移点(Tg)が熱転写温度より高い、すなわち接着層35における樹脂成分の融点またはTgより高いと、ホットスタンプに樹脂ビーズが付着しにくく、メンテナンス頻度を低下できる。
フッ素系樹脂を主成分とする補助粒子362の硬度は高い。その結果、補助粒子362がバックコート層36内に位置することにより、バックコート層36の剛性を高め、摩耗を抑制することができる。また、フッ素系樹脂を主成分とした補助粒子362の表面張力は低いため、補助粒子362の一部をバックコート層36の表面に突出させることにより、バックコート層36にすべり性を付与し、摩擦の増加を抑制する。
【0032】
以上説明したバックコート層36は、芳香族化合物のバインダー樹脂361と脂肪族化合物を主成分としたワックス粒子や樹脂ビーズである補助粒子362の複合体とできる。
【0033】
バックコート層36の表面(ホットスタンプに接触する面)における補助粒子362の突出高さは、接着層35の表面におけるスペーサー粒子の突出高さよりも低くてよい。ここで、補助粒子362の突出高さとは、バインダー樹脂361により形成された層から補助粒子362が突出する高さと定義できる。これにより、転写箔3がロール状に巻かれた場合、巻き状態により発生する積層された転写箔3同士のブロッキングを抑制又は防止することができる。
【0034】
図2に示すように、リーダーテープ4は、転写箔3と同様に、一方向に延びるテープ状に形成されている。リーダーテープ4は、コア2と転写箔3とを接続する。リーダーテープ4の長手方向の第一端部は、例えば固定部5によってコア2の外周面に固定される。リーダーテープ4の第二端部は、例えば接続部6によって転写箔3の長手方向の端部に接続される。固定部5や接続部6は、例えば接着剤や接着テープなどであってよい。
リーダーテープ4の幅寸法は、転写箔3の幅寸法と同等であることが好ましい。また、リーダーテープ4と転写箔3の接続においては、幅方向におけるリーダーテープ4の両端を転写箔3の両端に合わせることが好ましい。
【0035】
図3に示すように、リーダーテープ4は、第一面4aと、当該第一面4aと反対側に向く第二面4bと、を有する。リーダーテープ4の第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数は、0.6以上である。また、第二面4bに対する第一面4aの動摩擦係数は、0.21以上である。
【0036】
さらに、リーダーテープ4の第一面4aのSsk(スキューネス)は、1.0以上である。また、第一面4aのSku(クルトシス)は、10以上である。
【0037】
本実施形態のリーダーテープ4は、テープ基材層41と、テープ基材層41に重ねて形成された追加層42と、を有する。テープ基材層41は、リーダーテープ4の第二面4bをなす。追加層42は、リーダーテープ4の第一面4aをなす。
【0038】
テープ基材層41は、例えば、前述した転写箔3の箔基材層31と同じであってよい。すなわち、テープ基材層41は、箔基材層31と同様のプラスチックフィルム、例えばPETフィルム、PENフィルム、PPフィルムなどであってよい。
【0039】
追加層42は、リーダーテープ4の第一面4aが前述した特性を有するように形成されている。追加層42は、前述した転写箔3の接着層35と同じ材料によって構成されてよい。すなわち、追加層42は、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリカを含んでよい。
【0040】
追加層42は、例えば、リーダーテープ4の第一面4aの動摩擦係数を調整することを目的として、シリカなどのフィラーを含んでよい。追加層42におけるフィラーの粒子径は、例えば1.0μm以上であってよい。追加層42を主に構成する樹脂(例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂)に、粒子径1.0μm以上のフィラーを添加することで、リーダーテープ4の第一面4aの動摩擦係数を下げることができる。すなわち、追加層42を構成する樹脂に対する粒子径1.0μm以上のフィラーの添加量が増加すると、リーダーテープ4の第一面4aの動摩擦係数が下がる。
なお、粒子径が1.0μmよりも小さいナノシリカを追加層42の樹脂に添加しても、リーダーテープ4の第一面4aの動摩擦係数は下がらない。このため、本願において、ナノシリカは追加層42のフィラーに含まれない。
【0041】
追加層42に含まれるフィラーの量は、追加層42を主に構成する樹脂に対する質量比で、例えば0.05以上0.6以下であってよい。追加層42において樹脂に対するフィラーの質量比が0.05以上であることで、ブロッキングの発生を抑制することができる。また、樹脂に対するフィラーの質量比が0.6以下であることで、追加層42を形成するためのインキをテープ基材層41に塗工することができる。
【0042】
リーダーテープ4の第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数及び動摩擦係数の測定方法としては、例えば、ASTM D1894に準拠した測定方法を採用できる。
当該測定方法では、はじめに図4に示すように、テープ基材層41(リーダーテープ4の第二面4b)に相当するベースフィルム100と、追加層42(リーダーテープ4の第一面4a)に相当するサンプルフィルム200と、を用意する。平面視したベースフィルム100及びサンプルフィルム200のサイズは、63.5cm角とする。次いで、ベースフィルム100にサンプルフィルム200を重ねて、サンプルフィルム200をベースフィルム100に対してこれらの接触面に沿う方向(例えば図4において矢印D1方向)に150mm/minの速度で動かす。これにより、ベースフィルム100に対するサンプルフィルム200の静止摩擦係数及び動摩擦係数を測定する。
【0043】
図1に示す転写箔ロール1では、図2に示すようにリーダーテープ4によってコア2と転写箔3とを接続した状態で、リーダーテープ4と転写箔3とがコア2に対して順番に巻き付けられている。本実施形態では、リーダーテープ4の第一面4a及び転写箔3の接着層35がコア2(外周面)側に向くように、リーダーテープ4及び転写箔3がコア2に対して巻き付けられる。
コア2に対するリーダーテープ4及び転写箔3の巻き張力は、0.2N/mm以上0.32N/mm以下である。当該巻き張力の大きさは、例えば、リーダーテープ4の第二面4bに対する第一面4aの摩擦係数(静止摩擦係数、動摩擦係数)に応じて適宜設定されてよい。例えば、リーダーテープ4の第一面4aの摩擦係数が小さくなる程、巻き張力を大きく設定してよい。
【0044】
また、図1の転写箔ロール1において、リーダーテープ4及び転写箔3は、ボビン形状に巻き付けられている。すなわち、リーダーテープ4及び転写箔3は、その幅方向の端部同士が重なるように、コア2の軸方向にずらしながらコア2に巻き付けられている。また、リーダーテープ4、転写箔3は、軸方向におけるコア2の両端の間で往復しながら、コア2に巻き付けられる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のリーダーテープ4を備える転写箔ロール1では、リーダーテープ4の第一面4aがコア2側に向くようにリーダーテープ4及び転写箔3がコア2に巻き付けられる。このため、リーダーテープ4の第一面4aがコア2に接触する。また、リーダーテープ4がコア2に対して複数回巻かれることで、リーダーテープ4同士が重なる。そして、リーダーテープ4の第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数が0.6以上であり、第二面4bに対する第一面4aの動摩擦係数が0.21以上となっている。このため、リーダーテープ4の第一面4aは、コア2やリーダーテープ4の第二面4bに対して滑り難い。これにより、転写箔ロール1における転写箔3の繰り出しの開始時及び停止時に生じる転写箔ロール1の回転の加速度が大きくても、転写箔ロール1においてリーダーテープ4が緩んだり、蛇腹状に折り返されたりする不具合を効果的に抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態のリーダーテープ4では、第一面4aのSsk(スキューネス)が、1.0以上であり、第一面4aのSku(クルトシス)が、10以上である。このため、リーダーテープ4の第一面4aは、コア2やリーダーテープ4の第二面4bに対して滑り難い。これにより、転写箔ロール1における転写箔3の繰り出しの開始時及び停止時に生じる転写箔ロール1の回転の加速度が大きくても、転写箔ロール1においてリーダーテープ4が緩んだり、蛇腹状に折り返されたりする不具合を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態のリーダーテープ4は、第二面4bをなすテープ基材層41と、テープ基材層41に重ねて形成され、第一面4aをなす追加層42と、を有する。このため、リーダーテープ4が単層である場合と比較して、リーダーテープ4の第一面4aの特性(第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数及び動摩擦係数、並びに第一面4aのSsk及びSku)を、簡単かつ適切に設定することができる。
【0048】
また、本実施形態の転写箔ロール1では、コア2に対するリーダーテープ4及び転写箔3の巻き張力が0.2N/mm以上0.32N/mm以下である。リーダーテープ4及び転写箔3の巻き張力が0.2N/mm以上であることで、転写箔ロール1における転写箔3の繰り出しの開始時及び停止時に生じる転写箔ロール1の回転の加速度が大きくても、転写箔ロール1においてリーダーテープ4が緩んだり、蛇腹状に折り返されたりする不具合を抑制することができる。また、リーダーテープ4及び転写箔3の巻き張力が0.32N/mm以下であることで、ブロッキング(転写箔ロール1において重なる転写箔3同士が付着する現象)が発生することを防ぐことができる。
【0049】
また、本実施形態の転写箔ロール1において、リーダーテープ4の追加層42が、転写箔3の接着層35と同じ材料によって構成される場合には、転写箔ロール1の製造に際して、リーダーテープ4の製造に際してテープ基材層41に追加層42を重ねて形成する工程、及び、転写箔3の製造に際して反射層34に接着層35を重ねて形成する工程を、同じ装置で実施することができる。これにより、リーダーテープ4の追加層42が転写箔3の接着層35と異なる材料によって構成される場合と比較して、リーダーテープ4を安価にかつ効率よく製造することができる。
【0050】
また、本実施形態の転写箔ロール1において、リーダーテープ4のテープ基材層41が、転写箔3の箔基材層31と同じ材料によって構成される場合には、テープ基材層41の形成工程、及び、箔基材層31の形成工程を、同じ装置で実施することができる。これにより、リーダーテープ4をさらに安価かつ効率よく製造することができる。
【0051】
また、本実施形態の転写箔ロール1では、コア2が紙管であるため、転写箔ロール1の取り扱い性の向上を図ることができる。例えば、コア2が紙管である場合には、転写箔ロール1を転写機の回転軸に取り付ける際に、紙管が回転軸に嵌まるように紙管の内周面を変形させて転写箔ロール1を回転軸に取り付けることができる。
また、紙管は適度な表面粗さを有するため、リーダーテープ4が紙管であるコア2の外周面に対して滑ることを効果的に抑制できる。
【0052】
また、本実施形態の転写箔ロール1において、転写箔3のバックコート層36の表面は、動摩擦係数が0.30以下であり、かつ連続荷重式引掻き強度が9.5g以上である。このような物性を有するバックコート層36を備えることにより、高速な熱転写を良好に実行できる。
【0053】
また、本実施形態の転写箔ロール1において、転写箔3が、酢酸セルロースまたはポリアミドイミドのバインダー樹脂361とアマイドワックスを主成分とする補助粒子362とを有するバックコート層36を備える場合には、高速熱転写時も転写装置との摩擦や摩耗が押さえられる。その結果、高速な熱転写を良好に実行できる。
【0054】
また、本実施形態の転写箔ロール1において、転写箔3が、酢酸セルロースまたはポリアミドイミドのバインダー樹脂361とフッ素系樹脂を主成分とする補助粒子362とを有するバックコート層36を備える場合には、高速熱転写時も転写装置との摩擦や摩耗が押さえられる。その結果、高速な熱転写を良好に実行できる。
さらに、フッ素系樹脂を主成分とする補助粒子362は、炭素とフッ素との強靭な結合により、高い耐熱性を有する。したがって、補助粒子362がバックコート層36の表面上に露出することで、補助粒子362が潰れず熱転写時におけるホットスタンプとバインダー樹脂361との接触が低減される。その結果、熱転写時のホットスタンプの汚染を防止できる。
【0055】
(実験例)
以下、上記した実施形態のリーダーテープ4及び転写箔ロール1について、実験例1~7を示してさらに説明する。本発明の技術的範囲は、以下に示す実験例1~7の具体的内容により何ら限定されるものではない。
【0056】
実験例1~6の転写箔ロールの作成方法は、以下の通りである。
まず、図3に示すように、箔基材層31の一方の面に、剥離層32、レリーフ層33、反射層34及び接着層35を順次積層したテープ状の転写箔3を用意する。転写箔3は、既知の方法で作成した。
また、テープ基材層41の一方の面に、乾燥後の膜厚(ドライ膜厚)が4~5μmとなるように追加層形成用インキを塗布乾燥することで、追加層42を形成する。これにより、リーダーテープ4を作成する。追加層42の形成方法は、転写箔3における接着層35の形成方法と同じである。
【0057】
次いで、図2に示すように、コア2の外周面にリーダーテープ4の第一端部を固定すると共に、リーダーテープ4の第二端部を転写箔3の端部に接続する。その後、リーダーテープ4の第一面4a及び転写箔3の接着層35がコア2側に向くように、リーダーテープ4及び転写箔3をコア2に対してボビン形状に巻き付ける(図1参照)。以上により、実験例1~6の転写箔ロールを作成した。
実験例7の転写箔ロールは、リーダーテープがテープ基材層のみによって構成されることを除いて、実験例1~6の転写箔ロールと同様に作成される。
【0058】
図5は、実験例1~7の転写箔ロールのうちリーダーテープの第一面4a(コア2側の面)のSsk(スキューネス)及びSku(クルトシス)、リーダーテープ及び転写箔3の巻き張力、及び、試験による評価結果を示している。
【0059】
(実験例1)
まず、実験例1におけるリーダーテープ4のテープ基材層41及び追加層42の材料について示す。「部」は、特にことわりのない限り、質量部を意味する。
・テープ基材層41
PETフィルム(厚さ38μm)
・追加層形成用インキ
アクリル樹脂 49部
ポリエステル樹脂 1部
シリカ(平均粒子径8.0μm) 1.5部
シリカ(平均粒子径14.0μm) 1部
ナノシリカ(平均粒子径10乃至15nm) 32部
メチルエチルケトン 12部
トルエン 2部
【0060】
実験例1におけるリーダーテープ4では、上記した追加層形成用インキにより追加層42を形成することで、リーダーテープ4の第一面4aのSsk(スキューネス)が3.0となり、第一面4aのSku(クルトシス)が30となっている。
実験例1におけるリーダーテープ4では、リーダーテープ4の第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数が0.973~1.015であり、第二面4bに対する第一面4aの動摩擦係数が0.240~0.295となっている。
実験例1の転写箔ロールでは、コア2に対するリーダーテープ4及び転写箔3の巻き張力を0.17N/mmとした。
【0061】
(実験例2)
実験例2の転写箔ロールでは、コア2に対するリーダーテープ4及び転写箔3の巻き張力を0.21N/mmとした。
リーダーテープ4の各層の材料、リーダーテープ4の第一面4aのSsk(スキューネス)及びSku(クルトシス)、並びに、リーダーテープ4の第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数及び動摩擦係数は、実験例1と同じである。
【0062】
(実験例3)
実験例3の転写箔ロールでは、コア2に対するリーダーテープ4及び転写箔3の巻き張力を0.25N/mmとした。
リーダーテープ4の各層の材料、リーダーテープ4の第一面4aのSsk(スキューネス)及びSku(クルトシス)、並びに、リーダーテープ4の第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数及び動摩擦係数は、実験例1と同じである。
【0063】
(実験例4)
実験例4の転写箔ロールでは、コア2に対するリーダーテープ4及び転写箔3の巻き張力を0.33N/mmとした。
リーダーテープ4の各層の材料、リーダーテープ4の第一面4aのSsk(スキューネス)及びSku(クルトシス)、並びに、リーダーテープ4の第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数及び動摩擦係数は、実験例1と同じである。
【0064】
(実験例5)
実験例5におけるリーダーテープ4のテープ基材層41は、実験例1と同じである。以下、実験例5における追加層42の材料について示す。
・追加層形成用インキ
アクリル樹脂 37部
ポリエステル樹脂 1部
シリカ(平均粒子径8.0μm) 1部
ナノシリカ(平均粒子径10乃至15nm) 50部
メチルエチルケトン 9.5部
トルエン 1.5部
【0065】
実験例5におけるリーダーテープ4では、上記した追加層形成用インキにより追加層42を形成することで、リーダーテープ4の第一面4aのSsk(スキューネス)が1.0となり、第一面4aのSku(クルトシス)が10となっている。
実験例5におけるリーダーテープ4では、リーダーテープ4の第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数が1.37であり、第二面4bに対する第一面4aの動摩擦係数が0.59となっている。
実験例5の転写箔ロールでは、コア2に対するリーダーテープ4及び転写箔3の巻き張力を、実験例2と同様の0.21N/mmとした。
【0066】
(実験例6)
実験例6の転写箔ロールでは、コア2に対するリーダーテープ4及び転写箔3の巻き張力を、実験例3と同様の0.25N/mmとした。
リーダーテープ4の各層の材料、並びに、リーダーテープ4の第一面4aのSsk(スキューネス)及びSku(クルトシス)は、並びに、リーダーテープ4の第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数及び動摩擦係数は、実験例5と同じである。
【0067】
(実験例7)
実験例7の転写箔ロールにおけるリーダーテープは、実験例1と同様のリード基材層のみ、すなわちPETフィルム(厚さ38μm)のみによって構成されている。
実験例7におけるリーダーテープでは、リーダーテープの第一面4aのSsk(スキューネス)が-0.6となり、第一面4aのSku(クルトシス)が3となっている。
実験例7におけるリーダーテープでは、リーダーテープの第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数が0.578~0.589であり、第二面4bに対する第一面4aの動摩擦係数が0.196~0.202となっている。
実験例7の転写箔ロールでは、コア2に対するリーダーテープ及び転写箔3の巻き張力を、実験例3,6と同様の0.25N/mmとした。
【0068】
(実験方法)
上記した実験例1~7の各転写箔ロールを所定の駆動軸に取り付け、転写箔ロールの回転と急停止とを5回繰り返して実施した。転写箔ロールの回転速度は、転写箔3の繰り出し速度が60m/minと同等となるように設定した。
【0069】
(リーダーテープの緩みの評価)
上記した実験した後の実験例1~7の転写箔ロールにおいて、コア2の軸方向を鉛直方向に向けた際に、転写箔3がコア2から滑り落ちる場合を×(不具合あり:リーダーテープの緩みあり)、転写箔3がコア2から滑り落ちない場合を○(不具合なし:リーダーテープの緩みなし)とした。
【0070】
(リーダーテープの折り返しの評価)
また、上記した実験した後の実験例1~7の転写箔ロールにおいて、リーダーテープに蛇腹状の折り返しが発生している場合を×(不具合あり)、蛇腹状の折り返しが発生していない場合を○(不具合なし)とした。
【0071】
(ブロッキングの評価)
また、上記した実験した後の実験例1~7の転写箔ロールにおいて、ブロッキングが発生している場合を×(不具合あり)、ブロッキングが発生していない場合を○(不具合なし)とした。
【0072】
図5に示すように、実験例1,7の転写箔ロールでは、ブロッキングが「○」であったが、リーダーテープの緩み及びリーダーテープの折り返しがいずれも「×」であった。実験例1の転写箔ロールでは、巻き張力が0.17N/mmと小さいために、リーダーテープの緩み及びリーダーテープの折り返しが発生していた、と考えられる。実験例7の転写箔ロールでは、リーダーテープの第二面4bに対する第一面4aの静止摩擦係数が0.578~0.589であり、動摩擦係数が0.196~0.202と小さいため、また、リーダーテープの第一面4aのSsk(スキューネス)が-0.6と小さく、第一面4aのSku(クルトシス)が3と小さいため、リーダーテープの緩み及びリーダーテープの折り返しが発生していた、と考えられる。
【0073】
実験例4の転写箔ロールでは、リーダーテープの緩み及びリーダーテープの折り返しがいずれも「○」であったが、ブロッキングが「×」であった。これは、コア2に対するリーダーテープ及び転写箔3の巻き張力が0.33N/mmと大きいことに起因する、と考えられる。
【0074】
一方、実験例2,3,5,6の転写箔ロールでは、リーダーテープの緩み、リーダーテープの折り返し及びブロッキングがいずれも「○」であった。すなわち、実験例2,3,5,6の転写箔ロールでは、いずれも、リーダーテープが緩んだり、蛇腹状に折り返されたりする不具合が生じず、また、ブロッキングの不具合が生じないことを確認できた。
【0075】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0076】
本発明において、リーダーテープ4は、上記実施形態のような複数層に限らず、例えば単層であってもよい。
【0077】
本発明において、リーダーテープ4及び転写箔3は、例えばコア2の軸方向にずらさずにコア2に巻き付けられてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 転写箔ロール
2 コア
3 転写箔
4 リーダーテープ
4a 第一面
4b 第二面
31 箔基材層
32 剥離層
33 レリーフ層
34 反射層
35 接着層
41 テープ基材層
42 追加層
図1
図2
図3
図4
図5