(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143068
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】剥離検知ラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/10 20060101AFI20241003BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G09F3/10 J
G09F3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055552
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100158481
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】網野 由美子
(72)【発明者】
【氏名】川田 智史
(57)【要約】 (修正有)
【課題】様々な環境下及び用途で好適に使用し得る剥離検知ラベルが求められている。
【解決手段】支持体1と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層2と、少なくとも中間層3及び粘着剤層4を有する粘着性積層体10とをこの順で有する積層体からなる剥離検知ラベル101であって、前記支持体が、紙基材層を少なくとも1層有し、前記剥離検知ラベルのJISK5600-4-1:1999に準拠して測定した隠ぺい率が、75.0%以下である、剥離検知ラベル。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、少なくとも中間層(C)及び粘着剤層(Z)を有する粘着性積層体とをこの順で有する積層体からなる剥離検知ラベルであって、
前記支持体が、紙基材層を少なくとも1層有し、
前記剥離検知ラベルのJIS K5600-4-1:1999に準拠して測定した隠ぺい率が、75.0%以下である、剥離検知ラベル。
【請求項2】
前記支持体の23℃での破断強度が、30~500MPaである、請求項1に記載の剥離検知ラベル。
【請求項3】
前記支持体の23℃での引張弾性率が、50MPa未満もしくは1000MPa超である、請求項1又は2に記載の剥離検知ラベル。
【請求項4】
前記支持体の厚さが、10~150μmである、請求項1又は2に記載の剥離検知ラベル。
【請求項5】
前記支持体のJIS P8121-1:2012に準拠して測定した叩解度が、20mL以上である、請求項1又は2に記載の剥離検知ラベル。
【請求項6】
前記剥離検知ラベルのヘイズが、40%以上である、請求項1又は2に記載の剥離検知ラベル。
【請求項7】
前記剥離検知ラベルの全光線透過率(Tt)が、30%以上である、請求項1又は2に記載の剥離検知ラベル。
【請求項8】
前記剥離検知ラベルの全光線透過率(Tt)と拡散透過率(Td)との差(|Td-Tt|)が、0.10~30.0%である、請求項1又は2に記載の剥離検知ラベル。
【請求項9】
前記支持体の坪量が、20~120g/m2である、請求項1又は2に記載の剥離検知ラベル。
【請求項10】
前記剥離検知ラベルの粘着剤層(Z)を被着体に貼付後、当該被着体から剥離する際に、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じることにより、視覚的に前記剥離検知ラベルの剥離の有無が検知可能となる、請求項1又は2に記載の剥離検知ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離検知ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
安全性や高いセキュリティ性が求められる用途において、一度開封されたかどうかを確認する目的で剥離検知ラベルが用いられている。例えば、医薬品や食品等のパッケージ、薬品瓶や燃料タンクといった危険物等の充填容器、封書、化粧箱等には、不正開封等を防止する目的で、パスポート等の身分証明書の証明写真の不正使用等を防止する目的等で、剥離検知ラベルが用いられている。
例えば、特許文献1には、厚さ寸法が10μm以上40μm以下のポリスチレンフィルムと、その一面に積層されたJIS Z 0237に規定の接着強度が80℃で15N/25mm以上の耐熱性粘着剤層とから成ることを特徴とする改ざん防止ラベル又はシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、剥離検知ラベルには、環境への影響を低減するため、プラスチック材料を用いない要望が高まりつつある。
このような状況下、例えば、環境への影響を低減しつつも、視覚的に剥離の有無を確認し易い剥離検知ラベルが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、紙基材層を少なくとも1層有する支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、少なくとも中間層(C)及び粘着剤層(Z)を有する粘着性積層体とをこの順で有する積層体からなり、隠ぺい率を所定の範囲に調整した、剥離検知ラベルを提供する。
具体的な本発明の態様としては、下記[1]~[9]のとおりである。
[1]支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、少なくとも中間層(C)及び粘着剤層(Z)を有する粘着性積層体とをこの順で有する積層体からなる剥離検知ラベルであって、
前記支持体が、紙基材層を少なくとも1層有し、
前記剥離検知ラベルのJIS K5600-4-1:1999に準拠して測定した隠ぺい率が、75.0%以下である、剥離検知ラベル。
[2]前記支持体の23℃での破断強度が、30~500MPaである、上記[1]に記載の剥離検知ラベル。
[3]前記支持体の23℃での引張弾性率が、50MPa未満もしくは1000MPa超である、上記[1]又は[2]に記載の剥離検知ラベル。
[4]前記支持体の厚さが、10~150μmである、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の剥離検知ラベル。
[5]前記支持体のJIS P8121-1:2012に準拠して測定した叩解度が、20mL以上である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の剥離検知ラベル。
[6]前記剥離検知ラベルのヘイズが、40%以上である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の剥離検知ラベル。
[7]前記剥離検知ラベルの全光線透過率(Tt)が、30%以上である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の剥離検知ラベル。
[8]前記剥離検知ラベルの全光線透過率(Tt)と拡散透過率(Td)との差(|Td-Tt|)が、0.10~30.0%である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の剥離検知ラベル。
[9]前記支持体の坪量が、20~120g/m2である、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の剥離検知ラベル。
[10]前記剥離検知ラベルの粘着剤層(Z)を被着体に貼付後、当該被着体から剥離する際に、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じることにより、視覚的に前記剥離検知ラベルの剥離の有無が検知可能となる、上記[1]~[9]のいずれか一項に記載の剥離検知ラベル。
【発明の効果】
【0006】
本発明の好適な一態様の剥離検知ラベルは、環境への影響を低減しつつも、視覚的に剥離の有無を確認し易い剥離検知ラベルとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の剥離検知ラベルの構成の一例を示す、剥離検知ラベル101の断面模式図である。
【
図2】本発明の剥離検知ラベルの構成の一例を示す、剥離検知ラベル102の断面模式図である。
【
図3】本発明の剥離検知ラベルの構成の一例を示す、剥離検知ラベル103の断面模式図である。
【
図4】本発明の剥離検知ラベルの構成の一例である剥離検知ラベル102を、被着体40から剥離する途中の状況を示す断面模式図である。本発明の一態様の剥離検知ラベルの構成の一例を示した、シートの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、対象となる樹脂が、「粘着性樹脂」又は「非粘着性樹脂」のどちらに属するかの判断は、次の手順(1)~(4)に基づいて行う。
・手順(1):対象となる樹脂のみから形成した厚さ20μmの樹脂層を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に設けた粘着シートを作製し、当該粘着シートを縦300mm×横25mmの大きさに切断した試験片を作製する。
・手順(2):23℃、相対湿度50%の環境下で、上記(1)の試験片の樹脂層の表出している側の表面を、ステンレス板(SUS304 360番研磨)に貼付し、同環境下で24時間静置する。
・手順(3):静置後、23℃、相対湿度50%の環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度300mm/分にて、粘着力を測定する。
・手順(4):上記(3)で測定した粘着力が0.1N/25mm以上であれば、対象となる樹脂は「粘着性樹脂」と判断する。一方、測定した粘着力が0.1N/25mm未満であれば、対象となる樹脂は「非粘着性樹脂」と判断する。
【0009】
本明細書において、「有効成分」とは、対象となる組成物に含まれる成分のうち、希釈溶媒を除いた成分を指す。
本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」と「メタクリレート」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
【0010】
本明細書において、質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
本明細書において、各層の厚さは、JIS K6783:1994、JIS Z1702:1994、JIS Z1709:1995のいずれかに準拠した装置を用いて測定した値を意味し、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
また、粘着性積層体を構成する各層の厚さは、前述の粘着剤層積層体の総厚と同じ方法で測定してもよく、また、例えば、実施例に記載の方法により測定することができ、粘着性積層体を厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察して、各層の厚さの比をそれぞれ測定し、前述の方法で測定した粘着性積層体の総厚から算出してもよい。
【0011】
また、本明細書に記載の数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。同様に、例えば、「好ましくは10以上、より好ましくは30以上であり、そして、好ましくは90以下、より好ましくは60以下である」という記載からも、好適範囲として、「10以上60以下」を選択することもでき、また、単に、「60以下」という範囲を選択することもできる。なお、本明細書中、数値を「~」でつないで、含有量等の数値範囲を表す場合、「X~Y」という記載は「X以上(X又はX超)Y以下(Y又はY未満)」を意味する。
【0012】
〔剥離検知ラベルの構成〕
本発明の一態様の剥離検知ラベルは、支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、少なくとも中間層(C)及び粘着剤層(Z)を有する粘着性積層体とをこの順で有する積層体からなる剥離検知ラベルである。
以下に、本発明の実施態様に係る剥離検知ラベルの好ましい例を、
図1~
図4を用いて説明するが、本発明の剥離検知ラベルは、本発明の効果が発現する限り、以下の例に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の剥離検知ラベルの構成の一例を示す、剥離検知ラベル101の断面模式図である。
例えば、本発明の一態様として示される剥離検知ラベルは、
図1に示す剥離検知ラベル101のように、支持体1と、パターン層2と、粘着性積層体10とをこの順で積層したものが挙げられる。
図1に示す粘着性積層体10は、パターン層2側から、中間層(C)(以下、「層(C)」ともいう。)3及び粘着剤層(Z)(以下、「層(Z)」ともいう。)4をこの順で積層したものである。
図1に示す剥離検知ラベル101のような態様である場合、層(C)3が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1a及びパターン層2と接する態様であってもよく、層(C)3が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1a及びパターン層2の支持体1側と反対側の表面2aと接する態様であることが好ましく、
図1に示す剥離検知ラベル101のように、層(C)3が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1aと接し、かつパターン層2の支持体1の当該表面1aと接する面以外の全ての面を被覆する態様であることがより好ましく、粘着性積層体10中、層(C)3及び層(Z)4はこの順で直接積層していることが更に好ましい。
ここで、前述の「直接積層」とは、例えば、
図1に示す剥離検知ラベル101の場合、層(C)3と層(Z)4との間に、他の層を有さずに、2層が直接接触している構成を指す。
後述するように、本発明の一態様である剥離検知ラベルは、被着体から剥離検知ラベルを剥離する際に、支持体及び中間層(C)に引張応力が働くことで、パターン層と当該パターン層が隣接する層(好ましくは支持体)との界面が剥離して、剥離検知ラベルの検知が可能となるものである。そして、当該剥離検知ラベルは被着体への糊残りが生じない剥離検知ラベルである。
したがって、中間層(C)は、剥離検知ラベルを被着体から剥離する際に、パターン層と当該パターン層が隣接する層(好ましくは支持体)との界面が剥離する時点では、層(C)と支持体との界面に剥離を生じずに支持体に追従することが可能であり、同時に、層(C)と層(Z)との界面でも剥離を生じずに層(Z)を保持しながら被着体から剥離することによって、被着体への糊残りを抑制するという役割を有する層である。
【0014】
図2は、本発明の剥離検知ラベルの構成の好適な一例を示す、剥離検知ラベル102の断面模式図である。
例えば、本発明の好適な一例として示される剥離検知ラベルは、
図2に示す剥離検知ラベル102のように、支持体1と、パターン層2と、粘着性積層体11とをこの順で積層したものが挙げられる。
図2に示す粘着性積層体11は、パターン層2側から、被覆層(X)(以下、「層(X)」ともいう。)5と、基材層(Y)(以下、「層(Y)」ともいう。)6と、層(Z)4とをこの順で積層したものである。
図2に示す剥離検知ラベル102のような態様である場合、層(X)5が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1a及びパターン層2と接する態様であってもよく、層(X)5が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1a及びパターン層2の支持体1側と反対側の表面2aと接する態様であることが好ましく、
図2に示す剥離検知ラベル102のように、層(X)5が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1aと接し、かつパターン層2の支持体1の当該表面1aと接する面以外の全ての面を被覆する態様であることがより好ましく、粘着性積層体11中、層(X)5、層(Y)6及び層(Z)4はこの順で直接積層していることが更に好ましい。
ここで、前述のとおり、
図2に示す剥離検知ラベル102の場合、「直接積層」とは、層(X)5と層(Y)6との間に、他の層を有さずに、2層が直接接触しており、層(Y)6と層(Z)4との間にも、他の層を有さずに、2層が直接接触している構成を指す。すなわち、層(X)5と層(Y)6並びに層(Y)6と層(Z)4との間に、他の層を有さずに、3層が直接接触している積層状態を指す。
【0015】
図3は、本発明の剥離検知ラベルの構成の好適な一例を示す、剥離検知ラベル103の断面模式図である。
例えば、本発明の好適な一例として示される剥離検知ラベルは、
図3に示す剥離検知ラベル103のように、支持体1と、パターン層2と、粘着性積層体12とをこの順で積層したものが挙げられる。
図3に示す粘着性積層体12は、パターン層2側から、第1被覆層(X1)(以下、「層(X1)」ともいう。)7及び第2被覆層(X2)(以下、「層(X2)」ともいう。)8から構成される被覆層(X)5と、基材層(Y)6と、粘着剤層(Z)4とをこの順で積層したものである。
なお、層(X)5中、層(X)5を構成する層(X1)7及び層(X2)8については、それぞれ、支持体側に位置する層から順に層(X1)7、層(X2)8の順で存在する。
図3に示す剥離検知ラベル103のような態様である場合、層(X)5が有する層(X1)7が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1a及びパターン層2と接する態様であってもよく、層(X1)7が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1a及びパターン層2の支持体1側と反対側の表面2aと接する態様であることが好ましく、
図3に示す剥離検知ラベル103のように、層(X1)7が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1aと接し、かつパターン層2の支持体1の当該表面1aと接する面以外の全ての面を被覆する態様であることがより好ましく、粘着性積層体12中、層(X1)7、層(X2)8、層(Y)6及び層(Z)4がこの順で直接積層していることが更に好ましい。
【0016】
図1~
図3に示す態様の剥離検知ラベル101、102、103は、いずれも、層(Z)4の貼付面が、それぞれ、粘着性積層体の貼付面10a、11a、12aとなっており、当該貼付面を介して被着体に貼付される。
なお、貼付面10a、11a、12aには、さらに剥離材を積層した構成としてもよい。
また、本発明の別の態様の剥離検知ラベルとしては、層(Z)上に、さらに層(Z)とは異なる形成材料である組成物から形成した粘着剤層(W)を積層した構成としてもよい。粘着剤層(W)は単層であってもよく、2種以上の複層であってもよい。
【0017】
図4は、
図2に示した剥離検知ラベル102を、被着体40に貼付した後、被着体40から剥離する途中の状況、すなわち、剥離検知ラベル102を剥離する状況を示す断面模式図である。
本発明の好適な一態様である剥離検知ラベルは、当該剥離検知ラベルの剥離時に、前記支持体と前記パターン層との間、及び/又は、前記パターン層と中間層(C)との間で界面剥離を生じることで、視覚的に当該剥離検知ラベルの剥離有無の検知が可能になるものである。
ここで、本発明の剥離検知ラベルは、
図4に示すように、剥離検知ラベル102を被着体40から剥離する際、支持体1とパターン層2との間で界面剥離が生じて空隙50が生じることでパターンが顕在化し、剥離検知ラベル102を被着体40から剥離したか否かについて、視覚的に検知可能となるラベルであることが好ましい。
【0018】
すなわち、本発明の一態様の剥離検知ラベルは、下記要件(1)の態様を満たすことが好ましい。
・要件(1):前記剥離検知ラベルの粘着剤層(Z)を被着体に貼付後、当該被着体から剥離する際に、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じることにより、視覚的に前記剥離検知ラベルの被着体からの剥離有無が検知可能となる。
【0019】
本発明の一態様の剥離検知ラベルが、要件(1)を満たす場合、次のような観点からも好ましい。例えば、前記支持体について後述するように、前記支持体のパターン層側の面が梨地処理されている場合、当該支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じて剥離部分に空隙が生じた場合、当該空隙内に露出した梨地面上で光が乱反射し、当該剥離箇所が剥離前後で透明から半透明又は不透明に変化し、マット調のパターンを形成することができる。それによって、剥離検知ラベルの剥離を検知する際の視認性が更に向上する。
【0020】
なお、上記の要件(1)に記載の「被着体」とは、前記剥離検知ラベルの一特性、すなわち要件(1)を満たすか否かを評価する際に使用される被着体を指すものであって、当該評価方法を説明するために示しているに過ぎない。これは、例えば、任意のラベルの「粘着力」を評価する際に、当該粘着力を測定する目的で用いられる当該任意のラベルを添付する対象物や、任意の物質をデジタル顕微鏡で観察する際に用いられるプレパラートを調製するためのガラスプレート等を表したものと同様のものと言える。したがって、要件(1)中に記載される「被着体」とは、本発明の剥離検知ラベルを構成する一部分(部材)ではない。また、本発明の剥離検知ラベルの貼付対象となる被着体を特定のものに限定するための規定でもない。
また、本発明において、「視覚的に検知可能」とは、剥離検知ラベルの剥離前後の変化を人間による目視で確認できることをいう。
【0021】
ところで、剥離検知ラベルにおいて、界面剥離に起因する変化が視覚的に認識可能なラベルとするために、プラスチック材料は必要な材料であった。
しかしながら、近年、環境への影響を低減する観点から、プラスチック材料の削減が求められており、剥離検知ラベルに対してもプラスチック材料を使用しないことが要望として高まりつつある。
そのような要望に対応すべく、本発明の一態様の剥離検知ラベルでは、環境への環境への影響を低減するために、紙基材層を少なくとも1層有する支持体を用いると共に、視覚的に剥離の有無を確認し易い剥離検知ラベルとするために、剥離検知ラベルのJIS K5600-4-1:1999に準拠して測定した隠ぺい率を75.0%以下に調整している。
つまり、本発明の一態様の剥離検知ラベルは、前記隠ぺい率を75.0%以下に調整しているため、貼付後に剥離して、前記支持体と前記パターン層との間、及び/又は、前記パターン層と層(C)との間で界面剥離を生じた際に、視覚的に剥離有無の検知が可能なものとなり得る。
【0022】
また、本発明の一態様の剥離検知ラベルは、被着体に貼付した状態で、支持体側からの目視での観察によって、少なくとも前記界面剥離に起因する変化が視覚的に認識可能であることが好ましい。このような剥離検知ラベルであれば、触れることなく支持体側からの目視での観察だけで剥離の有無を確認することができるため、作業性の点で優れている。
このような特性を有する剥離検知ラベルとするためには、前記隠ぺい率が低いほど好ましい。
上記観点から、本発明の一態様の剥離検知ラベルにおいて、前記隠ぺい率は、好ましくは70.0%以下、より好ましくは60.0%以下、より好ましくは50.0%以下、更に好ましくは45.0%以下、更に好ましくは40.0%以下、より更に好ましくは35.0%以下、特に好ましくは30.0%以下であり、また、1.0%以上、3.0%以上、5.0%以上、7.0%以上、又は10.0%以上としてもよい。
本明細書において、剥離検知ラベルの隠ぺい率は、JIS K5600-4-1:1999に準拠して測定した値を意味する。また、剥離検知ラベルが剥離材を有する場合には、当該剥離材を除去して測定した値であり、具体的な測定方法は、後述の実施例に記載のとおりである。
【0023】
本発明の一態様の剥離検知ラベルの全光線透過率(Tt)は、剥離の有無を視覚的により確認し易くし、作業性により優れた剥離検知ラベルとする観点から、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上であり、さらに支持体側からの目視での観察によって、剥離の有無を容易に確認し得る剥離検知ラベルとする観点から、より好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、より更に好ましくは75%以上、特に好ましくは80%以上であり、また、100%未満、95%以下、90%以下、85%以下、又は83%以下としてもよい。
【0024】
本発明の一態様の剥離検知ラベルの拡散透過率(Td)は、剥離の有無を視覚的により確認し易くし、作業性により優れた剥離検知ラベルとする観点から、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上であり、さらに支持体側からの目視での観察によって、剥離の有無を容易に確認し得る剥離検知ラベルとする観点から、より好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上、更に好ましくは50%以上、より更に好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上であり、また、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、又は70%以下としてもよい。
【0025】
本発明の一態様の剥離検知ラベルのヘイズは、剥離の有無を視覚的により確認し易くし、作業性により優れた剥離検知ラベルとする観点から、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上、より更に好ましくは65%以上、特に好ましくは70%以上であり、また、100%未満、99%以下、又は98%以下としてもよい。
【0026】
本発明の一態様の剥離検知ラベルの全光線透過率(Tt)と拡散透過率(Td)との差(|Tt-Td|)は、剥離の有無を視覚的により確認し易くし、作業性により優れた剥離検知ラベルとする観点から、好ましくは0.10%以上、より好ましくは0.15%以上、より好ましくは0.30%以上、更に好ましくは0.50%以上、更に好ましくは1.00%以上、より更に好ましくは1.50%以上、特に好ましくは2.00%以上であり、また、好ましくは30.0%以下、より好ましくは27.0%以下、更に好ましくは25.0%以下、より更に好ましくは23.0%以下、特に好ましくは21.0%以下である。
【0027】
本明細書において、剥離検知ラベルの全光線透過率(Tt)及び拡散透過率(Td)は、JIS K7361-1:1997に準拠して測定した値である。ヘイズは、当該方法で測定した全光線透過率(Tt)及び拡散透過率(Td)の値を用いて、下記式から算出した値である。
・ヘイズ(%)=拡散透過率(Td)/全光線透過率(Tt)×100
なお、剥離検知ラベルが剥離材を有する場合には、当該剥離材を除去して上記方法に準拠して測定する。具体的な測定方法は、後述の実施例に記載のとおりである。
【0028】
本発明の一態様の剥離検知ラベルの粘着力は、好ましくは0.3N/25mm以上、より好ましくは0.5N/25mm以上、より好ましくは1.0N/25mm以上、更に好ましくは2.0N/25mm以上、より更に好ましくは3.0N/25mm以上、特に好ましくは4.0N/25mm以上であり、また、剥離時に剥離性が良好な剥離検知ラベルとする観点から、好ましくは30N/25mm以下、より好ましくは25N/25mm以下、更に好ましくは22N/25mm以下、より更に好ましくは20N/25mm以下、特に好ましくは16N/25mm以下である。
剥離検知ラベルの粘着力は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0029】
本発明の一態様の剥離検知ラベルの厚さは、好ましくは5~400μm、より好ましくは10~250μm、更に好ましくは20~200μm、より更に好ましくは30~150μm、より更に好ましくは40~130μm、より更に好ましくは55~120μmである。ここで、当該剥離検知ラベルが、前述のとおり、更に剥離材を積層する態様である場合、当該剥離検知ラベルの厚さとは、当該剥離材を除いた剥離検知ラベルの総厚を指す。
当該剥離検知ラベルの厚さは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0030】
以下、本発明の一態様の剥離検知ラベルの各構成について説明する。
なお、本明細書の以下の各層の記載において、各層に関する事項(各層含まれる成分の種類及びその含有量、各層の物性又は性状、各層の層構成、各層の機能等)は、以下の記載事項だけでなく、国際公開第2020/203344号に記載の事項も参照して取り入れることができる。
【0031】
<支持体>
本発明の一態様の剥離検知ラベルが有する支持体は、紙基材層を少なくとも1層有する。
本発明の一態様の剥離検知ラベルは、紙基材層を少なくとも1層有する支持体を用いているため、環境への影響を低減した剥離検知ラベルとすることができる。
紙基材層を構成する紙材としては、剥離検知ラベルの隠ぺい率を上述の範囲に調整したものであれば、特に制限は無い。
【0032】
本発明の一態様で用いる支持体は、1層の紙基材層から構成されていてもよく、2層以上の紙基材層から構成されていてもよい。
なお、本発明の一態様で用いる支持体は、紙基材層の片面もしくは両面に、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を含む樹脂層を有するラミネート紙であってもよいが、環境への影響を低減する観点から、樹脂層の厚さは薄いほど好ましく、樹脂層を有しないことがより好ましい。
本発明の一態様で用いる支持体が、1層以上の紙基材層と共に樹脂層を有する場合、紙基材層の総厚に対する樹脂層の厚さの比[樹脂層/紙基材層]は、好ましくは0~0.20、より好ましくは0~0.10、より好ましくは0~0.05、更に好ましくは0~0.01、より更に好ましくは0~0.001、特に好ましくは0~0.0001である。
【0033】
本発明の一態様で用いる支持体は、1層以上の紙基材からのみ構成されていることが好ましい。このような支持体を有する剥離検知ラベルは、被着体に貼付後で剥離前の状態において、あらゆる方向から観察してもパターンが確認され難く、剥離検知ラベルと気付かれ難いという利点を有する。
【0034】
環境への影響を低減する観点、及び、被着体に貼付後で剥離前の状態において、あらゆる方向から観察してもパターンが確認され難い剥離検知ラベルとする観点から、本発明の一態様で用いる支持体は、23℃での引張弾性率が50MPa以上1000MPa以下の樹脂フィルムを有しないことが好ましい。
【0035】
本発明の一態様で用いる支持体の23℃での破断強度は、使用時の破れを抑制し、作業性が良好な剥離検知ラベルとする観点から、好ましくは30MPa以上、より好ましくは50MPa以上、より好ましくは60MPa以上、更に好ましくは70MPa以上、更に好ましくは75MPa以上、より更に好ましくは85MPa以上、より更に好ましくは100MPa以上、特に好ましくは120MPa以上であり、また裁断加工等の加工が容易な剥離検知ラベルとする観点から、好ましくは500MPa以下、より好ましくは400MPa以下、より好ましくは300MPa以下、更に好ましくは250MPa以下、より更に好ましくは200MPa以下、特に好ましくは150MPa以下である。
【0036】
本発明の一態様で用いる支持体の23℃での引張弾性率は、好ましくは1000MPa超、より好ましくは2000MPa以上、より好ましくは2700MPa以上、より好ましくは3700MPa以上、更に好ましくは4200MPa以上、更に好ましくは4400MPa以上、より更に好ましくは4700MPa以上、より更に好ましくは5200MPa以上、より更に好ましくは5700MPa以上、特に好ましくは6000MPa以上であり、また、20000MPa以下、17000MPa以下、15000MPa以下、12000MPa以下、又は10000MPa以下としてもよい。
また、本発明の別の一態様で用いる支持体の23℃での引張弾性率は、50MPa未満、40MPa以下、又は30MPa以下としてもよく、また、1MPa以上、5MPa以上、又は10MPa以上としてもよい。
【0037】
本明細書において、支持体の23℃での破断強度及び引張弾性率は、後述の実施例の方法に基づいて測定した値を意味する。
【0038】
本発明の一態様で用いる支持体の厚さは、形状を保持し易く、被着体に貼付時及び被着体から剥離する際の作業性が良好な剥離検知ラベルとする観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、更に好ましくは20μm以上、より更に好ましくは25μm以上、特に好ましくは27μm以上であり、また、被着体に貼付した際に、経時で剥がれてしまうという弊害を抑制した剥離検知ラベルとする観点から、好ましくは150μm以下、より好ましくは130μm以下、更に好ましくは110μm以下、より更に好ましくは100μm以下、特に好ましくは90μm以下である。
【0039】
本発明の一態様で用いる支持体のJIS P8121-1:2012に準拠して測定した叩解度は、剥離後のパターン発現性が良好な剥離検知ラベルとする観点から、好ましくは20mL以上、より好ましくは30mL以上、更に好ましくは50mL以上、より更に好ましくは60mL以上、特に好ましくは70mL以上であり、また、上限の制限は特に無いが、例えば、110mL以下である。
なお、本明細書において、叩解度は、JIS P8121-1:2012のショッパー・リーグラ法に準拠して測定された値を意味する。
【0040】
本発明の一態様で用いる支持体の坪量は、剥離検知ラベルの隠ぺい率を上述の範囲に調整すると共に、支持体に適度な弾力を与え、剥離時のパターン発現性を良好な剥離検知ラベルとする観点から、好ましくは20g/m2以上、より好ましくは25g/m2以上、更に好ましくは30g/m2以上、より更に好ましくは32g/m2以上、特に好ましくは35g/m2以上であり、また、好ましくは120g/m2以下、より好ましくは110g/m2以下、更に好ましくは100g/m2以下、より更に好ましくは90g/m2以下、特に好ましくは80g/m2以下である。
なお、本明細書において、坪量は、JIS P8124:2011に準拠して測定された値を意味する。
【0041】
本発明の一態様で用いる支持体の隠ぺい率は、好ましくは75.0%以下、より好ましくは70.0%以下、より好ましくは60.0%以下、より好ましくは50.0%以下、更に好ましくは45.0%以下、更に好ましくは40.0%以下、より更に好ましくは35.0%以下、特に好ましくは30.0%以下であり、また、1.0%以上、3.0%以上、5.0%以上、7.0%以上、又は10.0%以上としてもよい。
【0042】
<パターン層>
本発明の剥離検知ラベルが有するパターン層は、剥離検知ラベルの剥離時に、当該剥離検知ラベルが剥離された事を視覚的に検知可能とするために必要となる層である。
当該パターン層としては、剥離検知ラベル中で前記要件(1)を満たす材料から形成される層であることが好ましい。
また、当該パターン層としては、剥離検知ラベルの剥離前にはパターンが潜在化していることが好ましいため、透明性を有する層であることが好ましい。透明性を有するパターン層とすることで、剥離検知ラベルの剥離前後の変化がより明確になること、また、剥離検知ラベルを被着体に貼付している状態においては、剥離検知ラベルを通して被着体表面の文字や図柄といった情報を確認することも可能となる、もしくは、剥離検知ラベル自体が透明となりラベルを目立たなくできるといった観点からも好ましい。
【0043】
パターン層は、パターン層形成用樹脂を含むパターン層形成用組成物から形成された層であることが好ましい。
パターン層形成用樹脂としては、本発明の効果が発現する限り、特に限定されないが、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂;ウレタン系樹脂;アクリルウレタン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂;エポキシ系樹脂;等が挙げられる。
これらのパターン層形成用樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いるパターン層形成用樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、アクリル系樹脂及びアクリルウレタン系樹脂から選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、アクリル系樹脂を含むことが更に好ましい。
【0044】
また、層(C)が粘着力を有する層として前記要件(1)を満たし易い剥離検知ラベルとする場合には、パターン層は、層(C)の粘着力より低い粘着力となるような樹脂を含むことが好ましい。そのため、パターン層形成用樹脂は、非粘着性樹脂を含むことが好ましい。なお、層(C)の粘着力とは、パターン層に最も近い側に位置する層(X1)の粘着力を指す。
【0045】
また、剥離検知ラベルの剥離時に、前記支持体と前記パターン層との間での界面剥離がより生じ易くなり、前記要件(1)を満たし易くなる観点から、前記パターン層と前記支持体との接着力が、層(C)(例えば、層(C)が層(X)及び層(Y)を含む層である場合は、層(X)を指し、そして、層(X)が複数の層から形成される場合は、パターン層と接する層(X1)を指す。)と当該支持体との接着力よりも低いことが好ましく、前記パターン層と前記支持体との接着力が、当該層(C)と当該支持体との接着力よりも低く、かつ当該パターン層と当該層(C)との接着力よりも低いことがより好ましい。このような態様であれば、例えば、前記支持体と前記パターン層との間の界面以外の界面での剥離が、より効果的に防止され、要件(1)を満たすために好ましい。
【0046】
パターン層形成用樹脂の含有量は、パターン層の全質量(100質量%)又はパターン層形成用組成物の全量(100質量%)に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下である。
【0047】
また、前記パターン層は、前記支持体の表面の一部に形成される。前記パターン層が、前記支持体の表面の全面に形成された場合、前記支持体と当該パターン層との界面の全面で剥離が生じてしまい、被着体への糊残りが生じてしまう。
ここで、前記「支持体の表面の一部に形成される」とは、剥離検知ラベルが実際に貼付されている状態のサイズ、又は使用するために所定のサイズに抜き加工された後の剥離検知ラベルにおいて、前記支持体のパターン層が形成されている表面上の面積100%に対して、パターン層が形成されている面積が、通常100%未満、好ましくは1~99%、より好ましくは2~95%、より好ましくは3~90%、更に好ましくは5~80%、更に好ましくは8~70%、より更に好ましくは10~60%であり、特に好ましくは12~45%である。
【0048】
前記パターン層の形成方法は、前記支持体上に、パターン層を形成できる方法であれば、特に限定されない。例えば、前記樹脂と溶剤とを含有するインキを用いて、一般的な印刷方法、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等により形成することができる。
また、形成されるパターンの形状等も、剥離検知ラベルの剥離の有無が検知可能であれば特に限定されず、幾何学的なパターン又は図柄であってもよく、文字パターンであってもよい。
なお、当該パターンとは、必ずしも一定の規則性に基づいて「配置」されたものに限らず、不規則(ランダム)な形状のものも含むものとする。例えば、前記印刷方法を用いて特定の規則的形状を印刷するに限らず、単に、パターン層用原料を支持体上にスプレーする等、不規則(ランダム)な形状となるように処理した場合に、一部の箇所において、ランダムにラベルの色調や光透過性が変化して視覚的に認識できるような場合であっても、当該支持体上に形成されたパターン層用原料から形成されている箇所は、パターン層に含まれる。
ただし、より確実かつ明確に剥離検知ラベルの剥離の有無を検知する観点、また、どのラベルサイズに加工した場合でも、そのサイズに適したパターン層を形成することができる観点等の製造上、製品品質上の観点からも、一定以上の面積で前記支持体とパターン層との界面が存在していることが好ましいため、所定の規則的なパターンを形成することが好ましい。
【0049】
また、前述のとおり、パターン層自体で所定のパターンを形成することが可能であるため、前記パターン層が透明性を有する層である場合、前記のパターンを隠し文字等の隠しパターンとして形成することができる。ここで、「隠しパターン」とは、剥離検知ラベルの剥離前には、形成されたパターンが透明であるため、潜在化していて視覚的には検知できず、当該剥離検知ラベルの剥離後に当該パターンが顕在化することで視覚的に検知できるようになるパターンを指す。
【0050】
また、前記要件(1)を満たす場合、本発明で用いられるパターン層は、パターン層自体が支持体から界面剥離するため、例えば、パターン層として剥離層と印刷層といったようにそれぞれの機能を分離した層を設ける必要がなくなるといった利点がある。
そして、前述した剥離検知ラベルの構成とすることで、支持体とパターン層との間で界面剥離を生じさせることができ、一方でその他の箇所での界面剥離を効果的に抑制することができる。そのため、パターン層自体で文字のような比較的入り組んだ形状のパターンを形成した場合でも、剥離検知ラベルを剥離する際に、そのパターンを視覚的に検知できる程度に表示させることが可能になるため、前記要件(1)を満たす剥離検知ラベルの構成とすることが好ましい。
【0051】
前記パターン層の厚さは、後述する粘着性積層体の厚さ未満であればよく、また、層(C)の厚さ未満であることが好ましい。具体的なパターン層の厚さは、好ましくは0.05~16μm、より好ましくは0.1~12μm、更に好ましくは0.5~8μmである。
【0052】
前記パターン層が形成された側の前記支持体の表面、及び中間層(C)が形成された側の前記パターン層の表面が、酸化法を用いて表面改質処理されてなる表面であることが好ましい。当該態様であると、前記支持体と層(C)との界面密着性及び前記パターン層と層(C)との界面密着性が向上し、これらの界面で界面剥離が生じることをより効果的に防止できる。そして、界面剥離がパターン層と層(C)との界面ではなく、支持体とパターン層との界面が存在する箇所で生じ易くなるために好ましい。すなわち、前記要件(1)を満たし易くなるため好ましい。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、クロム酸酸化法(湿式)、熱風処理法、紫外線処理法、オゾン処理法、紫外線-オゾン処理法等が挙げられる。
【0053】
<粘着性積層体>
本発明の剥離検知ラベルが有する前記粘着性積層体は、少なくとも中間層(C)及び粘着剤層(Z)を有するが、前記パターン層側から少なくとも層(C)及び層(Z)をこの順で有することが好ましく、前記パターン層側から少なくとも層(C)及び層(Z)をこの順で直接積層した積層体であることがより好ましい。
【0054】
<<中間層(C)>>
中間層(C)は、単層であっても、2層以上の層からなる複層であってもよい。
本発明の一態様の剥離検知ラベルにおいて、中間層(C)は、少なくとも被覆層(X)及び基材層(Y)を含み、基材層(Y)が粘着剤層(Z)に接する表面を有する積層体であることが好ましい。
【0055】
〔被覆層(X)〕
前記被覆層(X)は、前記支持体及びパターン層に接する表面と基材層(Y)に接する表面とを有する層である。当該層(X)は、単層であっても、2層以上の層からなる積層体であってもよい。
例えば、被覆層(X)が、第1被覆層(X1)及び第2被覆層(X2)を有する積層体(L2)である場合、第1被覆層(X1)が前記支持体の表面及び前記パターン層と接する層であり、第2被覆層(X2)が基材層(Y)と接する層であることが好ましい。
また、層(X)を構成する各層は、それぞれ、樹脂を含む樹脂組成物から形成される樹脂層であることが好ましい。すなわち、層(X)は樹脂層から構成される層であることが好ましい。
【0056】
層(X)は、層(X)の前記支持体及び前記パターン層に接する表面又は層(Y)に接する表面の少なくとも一方の面が粘着性を有することが好ましい。そのため、層(X)が、少なくとも粘着剤層(XA)(以下、(以下、「層(XA)」ともいう。)を有することが好ましい。
層(XA)は、粘着性樹脂を含む組成物(x)から形成された層であることが好ましく、粘着性樹脂を含む組成物(x)からなる塗膜(x’)を乾燥させて形成された層であることがより好ましい。
ここで、本明細書において、「塗膜」とは、公知の塗布方法によって、形成材料である組成物から形成された膜であって、当該膜中に含まれる溶媒等の揮発成分の残存率が、塗布前の当該組成物中に含まれる揮発成分の全量100質量%に対して、10~100質量%となる状態のものを指す。
つまり、本明細書において、塗膜には、溶媒等の揮発成分が一定量含まれている。
【0057】
また、層(X)中、層(Y)と接する層が層(XA)であることが好ましい。このような態様とすることで、層(X)と層(Y)との界面密着性が向上し、剥離検知ラベルの剥離時、剥離検知ラベルが変形する過程で生じる引張応力に対して粘着性積層体中で層(X)と層(Y)との界面が剥離しにくくなるため、糊残りの発生を抑制する効果の向上に寄与し得ると考えられる。
【0058】
また、支持体側から第1番目の層である層(X1)が層(XA)である場合、前記パターン層と、層(XA)とが、互いに同種の樹脂を含有することが好ましく、例えば、前記パターン層がアクリル系樹脂から形成されている層である場合、粘着剤層(XA)もアクリル系樹脂であることが好ましい。
【0059】
粘着剤層(XA)の形成材料である組成物(x)は、粘着性樹脂を含む組成物である。
なお、本発明の一態様において、組成物(x)に含まれる粘着性樹脂以外の成分は、本発明の剥離検知ラベルの使用用途に応じて、適宜調整可能である。
例えば、本発明の一態様において、粘着力を所望の範囲に調整する観点から、粘着性樹脂を含む組成物(x)は、粘着性樹脂に、更に粘着付与剤及び架橋剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよく、これら以外にも、希釈溶媒及び一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよい。
【0060】
前記粘着性樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1万~200万、より好ましくは2万~150万、更に好ましくは3万~120万である。
組成物(x)に含まれる粘着性樹脂としては、例えば、後述する層(XA)の粘着力を満たすアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの中では、好ましくはアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましくはアクリル系樹脂である。
これらの粘着性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの粘着性樹脂が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
また、層(Y)と接する層が層(XA)である場合、層(XA)と層(Y)との界面密着性をより向上させる観点から、これらの粘着性樹脂は、重合性官能基を有さない紫外線非硬化型粘着性樹脂であることが好ましい。
【0061】
層(XA)を形成する組成物(x)中の粘着性樹脂の含有量は、組成物(x)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは30~99.99質量%、より好ましくは40~99.95質量%、更に好ましくは50~99.90質量%、より更に好ましくは55~99.80質量%、より更に好ましくは60~99.50質量%である。
【0062】
〔基材層(Y)〕
前記基材層(Y)は、剥離検知ラベルについて、被着体への糊残り防止とより優れたパターン発現性とを両立する観点から、23℃での引張貯蔵弾性率E’(以下、「弾性率E’」ともいう。)が10MPa以上800MPa以下である層であることが好ましい。
また、被着体への糊残り防止とより優れたパターン発現性とを両立する観点から、層(Y)の弾性率E’は、より好ましくは15MPa以上、更に好ましくは18MPa以上、より更に好ましくは50MPa以上、より更に好ましくは100MPa以上、より更に好ましくは200MPa以上であり、そして、より好ましくは700MPa以下、更に好ましくは600MPa以下、より更に好ましくは500MPa以下、より更に好ましくは400MPa以下、より更に好ましくは300MPa以下である。
また、より優れたパターン発現性を得る観点から、層(Y)としては、前記支持体の弾性率E’よりも高い弾性率E’を有する層であることが好ましい。
当該層(Y)の弾性率E’の値は、当該値が100MPaを超える場合、引張法により測定される23℃での引張貯蔵弾性率E’の値を意味する。そして、引張法により測定される値が100MPa以下である場合、ねじりせん断法により測定された23℃でのせん断貯蔵弾性率G’から換算される23℃での引張貯蔵弾性率E’の値を意味する。具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、層(Y)の弾性率E’の値は、例えば、後述する層(Y)を形成する樹脂、架橋剤、触媒、添加剤等の各成分の種類の選択並びにそれらの含有量を調整することによっても調整することができる。
【0063】
層(Y)は、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物(y)から形成された層であることが好ましく、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を乾燥させて形成された層であることがより好ましい。
層(Y)が、組成物(y)からなる塗膜(y’)を乾燥して形成された層である場合、無延伸のフィルム状物又はシート状物となるため、例えば、溶融押出成型等の方法によって得られたプラスチックフィルム又はシートで構成された層(Y)と比べて、柔軟性が格段に優れる。
そのため、層(Y)が、組成物(y)からなる塗膜(y’)を乾燥して形成された層である場合、前記剥離検知ラベルを剥離する際に、層(Y)がパターン発現に必要な変形をより生じ易くなり、かつ、剥離検知ラベル内に生じる引張応力がより大きい場合にも粘着性積層体が破断しにくくなるため、より優れたパターン発現性と糊残り防止性とを両立させ易くなるものと考えられる。
ここで、「無延伸のフィルム状物又はシート状物」とは、前述した本明細書中の「無延伸フィルム」の説明中、「フィルム」を「フィルム状物又はシート状物」に変更すること以外は同義である。
【0064】
層(Y)の形成材料である組成物(y)に含まれる、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)、並びに、各種添加剤の詳細は、国際公開第2020/203344号に記載を参照することができる。
【0065】
<<粘着剤層(Z)>>
前記粘着剤層(Z)は、粘着性樹脂を含む組成物(z)から形成された層であることが好ましく、粘着性樹脂を含む組成物(z)からなる塗膜(z’)を乾燥させて形成された層であることがより好ましい。
粘着剤層(Z)の形成材料である組成物(z)は、粘着性樹脂を含むものであり、当該粘着性樹脂としては、前述した組成物(x)に係る粘着性樹脂として説明したものと同様のものを使用することができ、その好適な態様及び組成(含有量)も同様である。
ただし、層(Z)を形成する粘着性樹脂の好適例であるアクリル系樹脂に係るモノマー(a1’)としては、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上がより好ましく、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上が更に好ましい。同様に、粘着剤層(Z)を形成する粘着性樹脂の好適例であるアクリル系樹脂に係るモノマー(a2’)としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸を共に含有することがより好ましい。同様に粘着剤層(Z)を形成する粘着性樹脂の好適例であるアクリル系樹脂に係るモノマー(a3’)としては、酢酸ビニルが好ましい。なお、粘着剤層(Z)を形成する粘着性樹脂の好適例であるアクリル系樹脂については、モノマー(a3’)に由来の構成単位(a3)を有していてもよく、有していなくてもよい。
【0066】
なお、本発明の一態様において、組成物(z)に含まれる粘着性樹脂以外の成分は、本発明の剥離検知ラベルの使用用途に応じて、適宜調整可能である。
例えば、本発明の一態様において、粘着力を所望の範囲に調整する観点から、組成物(z)は、更に粘着付与剤及び架橋剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよく、これら以外にも、希釈溶媒及び一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよい。
前記粘着付与剤、架橋剤、希釈溶媒及び一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤についても、前述した組成物(x)に係る説明箇所で説明したものと同様のものを使用することができ、その好適な態様及び含有量も同様である。
ただし、本発明の好適な一態様において、後述するように層(XA)の粘着力が、層(Z)の粘着力以上の場合が好ましく、層(XA)の粘着力が、層(Z)の粘着力より大きい場合がより好ましい。
【0067】
前記剥離検知ラベルは、更に、前記支持体及び/又は前述した各層から選ばれる少なくとも一つの層が、着色剤を含んでもよい。「前述した各層から選ばれる少なくとも一つの層が、着色剤を含む場合」とは、例えば、層(C)が積層体である場合、層(C)を構成する各層から選ばれる少なくとも一層が着色剤を含む場合も指し、層(X)、層(Y)、層(Z)についても、同様である。
前記支持体及び/又は前述した各層から選ばれる少なくとも一つの層が、視認性及び隠蔽性を考慮した適切な着色剤を含有する場合、剥離検知パターンの視認性が更に向上し、前記剥離検知ラベルの剥離有無の検知がより容易となる。また、同様の観点から、前記支持体及び/又は前述した各層から選ばれる少なくとも一つの層が、着色剤を含有する場合、前述した各層から選ばれる少なくとも一つの層が、着色剤を含有することがより好ましい。
【0068】
前記粘着性積層体の厚さ(粘着性積層体の総厚)としては、好ましくは2~100μm、より好ましくは4~80μm、更に好ましくは5~50μm、より更に好ましくは10~40μm、より更に好ましくは15~35μmである。
【0069】
層(X)の厚さ(Xt)は、好ましくは0.5~50.0μm、より好ましくは1.0~30.0μm、更に好ましくは2.0~20.0μm、より更に好ましくは3.0~15.0μm、より更に好ましくは4.0~12.0μmである。
【0070】
層(X)が積層体(Lm)である場合、層(X1)の厚さ(X1t)に対する層(Xm)の厚さ(Xmt)の比〔(X1t)/(Xmt)〕は、好ましくは1/100~200/100、より好ましくは2/100~150/100、更に好ましくは3/100~100/100、より更に好ましくは5/100~50/100、より更に好ましくは8/100~20/100である。
例えば、積層体(Ln)が2層からなる積層体(L2)である場合、層(X1)の厚さ(X1t)に対する層(X2)の厚さ(X2t)の比〔(X1t)/(X2t)〕は、好ましくは1/100~200/100、より好ましくは2/100~150/100、更に好ましくは3/100~100/100、より更に好ましくは5/100~50/100、より更に好ましくは8/100~20/100である。
【0071】
層(Y)の厚さ(Yt)は、好ましくは0.5~50.0μmである。層(Y)の厚さ(Yt)を0.5μm以上とすることで、剥離検知ラベルを剥がす際に、層(Y)が破断しにくくなるため、より優れたパターン発現性と糊残り防止性とを両立させ易くなるものと考えられる。また、層(Y)の厚さ(Yt)を50.0μm以下とすることで、剥離検知ラベルを剥がす際の剥離角度が小さくなり、支持体とパターン層の間を剥がそうとする応力がパターン層側に伝わりやすくなり、パターン発現性がより良好となる。このような観点から、層(Y)の厚さ(Yt)は、より好ましくは1.0~30.0μm、更に好ましくは2.0~20.0μm、より更に好ましくは2.5~15.0μm、より更に好ましくは3.0~12.0μm、より更に好ましくは3.0~9.0μmである。
【0072】
前記剥離検知ラベルにおいて、層(Y)の厚さ(Yt)に対する層(X)の厚さ(Xt)の比〔(Xt)/(Yt)〕は、好ましくは20/100~500/100、より好ましくは80/100~400/100、更に好ましくは180/100~300/100である。
前記剥離検知ラベルにおいて、層(Y)の厚さ(Yt)に対する層(Z)の厚さ(Zt)の比〔(Zt)/(Yt)〕は、好ましくは10/100~500/100、より好ましくは100/100~400/100、更に好ましくは200/100~300/100である。
また、前記剥離検知ラベルが、前述した他の粘着剤層(Wr)(rは1以上の整数)を有する場合、これらの層の厚さは、それぞれ独立に、本発明の効果が発現する限り、特に限定されない。
【0073】
<剥離材>
前述のとおり、本発明の一態様の剥離検知ラベルは、取扱性の観点から、例えば、
図1~3に示すような態様であれば、粘着性積層体の貼付面10a、11a、12a上に、更に剥離材を有する構成であってもよい。また、
図1~3の態様のいずれの場合でも、更に、支持体1の粘着性積層体とは反対側の表面に、更に剥離材を設けた、2枚の剥離材で挟持された態様であってもよい。2枚の剥離材を用いる場合、各剥離材は、互いに同一でも異なっていてもよい。
剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
【0074】
〔剥離検知ラベルの製造方法〕
本発明の一態様の剥離検知ラベルの製造方法としては、特に制限はなく、例えば、国際公開第2020/203344号に記載の方法が挙げられる。
ただし、剥離検知ラベルの各層の形成工程において、紫外線を照射して層を硬化させる工程がある場合、当該工程の後に、紫外線吸収層を形成する工程を行うことが好ましい。
【0075】
〔剥離検知ラベルの使用〕
本発明の一態様の剥離検知ラベルは、環境への影響を低減しつつも、視覚的に剥離の有無を確認し易い剥離検知ラベルとすることができ、セキュリティ性が求められる各種用途に好適に使用し得る。
さらに、本発明の一態様の剥離検知ラベルは、被着体に糊残りを生じないため、剥離が必要な時に剥離検知ラベルを剥離した際、被着体に糊残りが生じることが望ましくない用途であって、かつ、剥離検知が必要とされる用途に好適に用いることができる。
【0076】
本発明の一態様の剥離検知ラベルの具体的な用途としては、例えば、自動車部品、電気・電子部品、精密機械部品等の表示内容の改ざん防止用;物品の託送又は梱包における不当な物品の梱包や開封防止用;医薬品、化粧品、食料品等の内容物のバージン性を保証するための封印用ラベル;各種乗用車、航空機、電車、船舶等の乗り物が備える各種開閉口の不当な開閉の防止用(例えば、運搬物搬入口や燃料タンク等への不当な異物混入防止用);パスポート等の各種証明書や製品証明等の識別若しくは証明用ラベルの剥離有無又は改ざん有無の防止用;各種乗用車、航空機、電車、船舶等の乗り物への不当な侵入の防止や各種建造物への不当な侵入の防止といったセキュリティ対策用;等の用途が想定される。
また、本発明の一態様の剥離検知ラベルは、剥離前はあらゆる方向から観察してもパターンが確認できず、通常のラベルと同様の外観を有するものであるため、剥離検知ラベルであることが認識されないことが望まれる用途にも好適に使用し得る。
【0077】
これらの用途における対象物(被着体)に対して、前記剥離検知ラベルを貼付して使用することができ、当該被着体から剥離する際に、前述のとおり、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じることにより、視覚的に前記剥離検知ラベルの被着体からの剥離有無が検知可能となる。
【実施例0078】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。各例中の部及び%は、特に断りのない限り、質量基準である。
また、各物性値については、以下に示す方法で測定した値である。
【0079】
(1)質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL-L」、「TSK gel G2500HXL」、「TSK gel G2000HXL」及び「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/分
(2)各層の厚さ
株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG-02J」、標準規格:JIS K6783:1994、JIS Z1702:1994、JIS Z1709:1995に準拠)を用いて測定した。
【0080】
(3)支持体の破断強度および引張弾性率
測定対象となる支持体を、幅10mm×長さ80mmの短冊形状に切断したものを試験片とし、万能引張試験機(株式会社島津製作所製、製品名「オートグラフ」)を用いて、23℃、相対湿度50%の環境下で、チャック間距離50mm、引張速度200mm/minの条件で、引張試験を実施し、23℃での破断強度および引張弾性率(ともに単位:MPa)を測定した。
(4)支持体の叩解度
JIS P8121-1:2012のショッパー・リーグラ法に準拠して測定した。
(5)支持体の坪量
JIS P8124:2011に準拠して測定した。
【0081】
製造例1
(組成物(x-a)の調製)
粘着性樹脂である、アクリル系共重合体(1)(n-ブチルアクリレート(BA)/メチルメタクリレート(MMA)/酢酸ビニル(VAc)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)=80.0/10.0/9.0/1.0(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:100万、希釈溶媒:酢酸エチル、固形分濃度:45質量%)100質量部(固形分比)に、粘着付与剤として、水素化ロジン系樹脂(荒川化学工業株式会社製、製品名「KE-359」、軟化点:94~104℃)25質量部(固形分比)、及び、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤(三井化学株式会社製、製品名「タケネート(登録商標)D-110N」)1.62質量部(固形分比)を配合して混合し、更に、トルエンで希釈して、均一に撹拌し、固形分濃度(有効成分濃度)40質量%の組成物(x-a)を調製した。
【0082】
製造例2
(組成物(y)の調製)
(1)直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の合成
窒素雰囲気下の反応容器内に、Mw=1,000のポリカーボネートジオール100質量部(固形分比)に対して、イソホロンジイソシアネートを、ポリカーボネートジオールの水酸基とイソホロンジイソシアネートのイソシアネート基との当量比が1/1となるように配合し、更にトルエン160質量部を加え、窒素雰囲気下にて、混合物を撹拌しながら、イソシアネート基濃度が理論量に到達するまで、80℃で6時間以上反応させた。
次いで、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)1.44質量部(固形分比)をトルエン30質量部に希釈した溶液を添加して、両末端のイソシアネート基が消滅するまで、更に80℃で6時間反応させ、質量平均分子量(Mw)2.9万の直鎖ウレタンプレポリマー(UY)を得た。
(2)アクリルウレタン系樹脂(II)の合成
窒素雰囲気下の反応容器内に、上記(1)で得た直鎖ウレタンプレポリマー(UY)100質量部(固形分比)、メチルメタクリレート(MMA)117質量部(固形分比)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)5.1質量部(固形分比)、1-チオグリセロール1.1質量部(固形分比)、及びトルエン50質量部を加え、撹拌しながら、105℃まで昇温した。
そして、前記反応容器内に、更にラジカル開始剤(株式会社日本ファインケム製、製品名「ABN-E」)2.2質量部(固形分比)をトルエン210質量部で希釈した溶液を、105℃に維持したまま4時間かけて滴下した。
前記溶液の滴下終了後、105℃で6時間反応させ、Mw=10.5万のアクリルウレタン系樹脂(II)の溶液を得た。
(3)組成物(y)の調製
非粘着性樹脂(y1)である、上記(2)で得たアクリルウレタン系樹脂(II)の溶液100質量部(固形分比)に、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、製品名「コロネート(登録商標)HL」)6.3質量部(固形分比)、及び、触媒として、ジオクチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)1.4質量部(固形分比)を配合して混合した。更に、該混合物をトルエンにて希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(y)を調製した。
【0083】
製造例3
(組成物(z)の調製)
粘着性樹脂である、アクリル系共重合体(2)(n-ブチルアクリレート(BA)/2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)/アクリル酸(AAc)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)=47.0/47.0/5.5/0.5(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、Mw:55万、希釈溶媒:酢酸エチル、固形分濃度:40質量%)100質量部(固形分比)に、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、製品名「コロネート(登録商標)L」)2質量部(固形分比)を配合して、これらを混合し、更に、トルエンで希釈して、均一に撹拌し、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(z)を調製した。
【0084】
製造例4
(積層体(M2)の作製)
剥離シート(リンテック株式会社製、製品名「SP-8LKアオ」、厚さ:88μm、グラシン紙をポリオレフィン被覆し、シリコーン剥離処理を施したもの)の剥離剤層の表面上に、多層ダイコーター(幅:250mm)を用いて、製造例3で調製した組成物(z)からなる塗膜(z’)、塗膜(z’)上に製造例2で調製した組成物(y)からなる塗膜(y’)、及び塗膜(y’)上に製造例1で調製した組成物(x-a)からなる塗膜(x-a’)を、剥離シート側からこの順で同時に塗布した。
そして、形成した3層の塗膜を、乾燥温度125℃で60秒間、同時に乾燥させて、剥離シート側から、粘着剤層(Z)、基材層(Y)、及び第2被覆層(X2)をこの順で直接積層した積層体(M2)を作製した。
なお、粘着剤層(Z)の厚さは13μm、基材層(Y)の厚さは5μm、第2被覆層(X2)の厚さは10μmであった。
【0085】
実施例1~3、比較例1、参考例1~2
(1)使用した支持体について
使用した支持体の詳細は以下のとおりである。
・紙基材(1):特殊機能紙(製品名「SUKEKAKE」、リンテック株式会社製)、坪量=77g/m2、隠ぺい率=71.8%、破断強度(23℃)=77.66MPa、引張弾性率(23℃)=4422.1MPa、叩解度=30mL、厚さ=90μm。
・紙基材(2):封筒洋紙(製品名「クリアーウィンドウCoC」、リンテック株式会社製)、坪量=35g/m2、隠ぺい率=17.3%、破断強度(23℃)=132.94MPa、引張弾性率(23℃)=9960.2MPa、叩解度=90mL以上、厚さ=28μm。
・紙基材(3):トレーシングペーパー、坪量=40g/m2、隠ぺい率=28.6%、破断強度(23℃)=122.84MPa、引張弾性率(23℃)=6654.77MPa、叩解度=90mL以上、厚さ=47μm。
・紙基材(4):上質紙、坪量=55g/m2、隠ぺい率=83.4%、破断強度(23℃)=99.65MPa、引張弾性率(23℃)=4167.9MPa、叩解度=30mL、厚さ=70μm。
・樹脂フィルム(1):ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製)の一方の表面にエンボス処理を施して梨地表面とした樹脂フィルム、隠ぺい率=13.8%、破断強度(23℃)=162.35MPa、引張弾性率(23℃)=3637.1MPa、厚さ=38μm。
・樹脂フィルム(2):エチレン-メタクリル酸共重合体フィルム(リケンテクノス株式会社製、メタクリル酸含有量:9質量%)の一方の表面にエンボス処理を施して梨地表面とした樹脂フィルム、隠ぺい率=4.2%、破断強度(23℃)=25.4MPa、引張弾性率(23℃)=164.1MPa、厚さ=80μm。
【0086】
(2)パターン層の形成
表1に示す種類の支持体の一方の表面上に(参考例1~2では梨地表面上に)、アクリル系樹脂(主モノマーがメチルメタクリレートであるアクリル系重合体)を含む樹脂溶液で、「VOID」の文字パターンをグラビア印刷し、乾燥して、厚さ5μmのパターン層を形成した。なお、パターン層が形成された側の支持体の表面の面積100%に対する、パターン層が占める面積割合は38%とした。
【0087】
(3)積層体(M1)の作製
次に、パターン層が形成された側の支持体側の全面に、紫外線硬化型インキ(株式会社T&K TOKA製、製品名「UV161紅S」)をグラビア印刷してインキの塗膜を形成し、高圧水銀ランプで紫外線を照射して塗膜を硬化させて、厚さ1μmの第1被覆層(X1)を形成し、積層体(M1)を作製した。
【0088】
(4)剥離検知ラベルの作製
上記(3)で作製した、積層体(M1)の第1被覆層(X1)の表出している表面と、製造例4で作製した積層体(M2)の第2被覆層(X2)の表出している表面とを貼合するようにラミネートした。
このようにして、支持体、パターン層、第1被覆層(X1)、第2被覆層(X2)、基材層(Y)、粘着剤層(Z)、及び剥離シートをこの順で直接積層してなる剥離検知ラベルを得た。
【0089】
作製した剥離検知ラベルの剥離シートを除去し、表出した粘着剤層(Z)の粘着表面を、ガラス板(エヌ・エス・ジー・プレシジョン社製、製品名「コーニングガラス イーグルXG」、150mm×70mm×2mm)に貼付して、ガラス板付き剥離検知ラベルを作製した。このガラス板付き剥離検知ラベルを用いて、下記の物性値を以下の方法で測定した。これらの結果は表1に示すとおりであった。
【0090】
[剥離検知ラベルの隠ぺい率]
上記のガラス板付き剥離検知ラベルに対して、JIS K5600-4-1:1999に準拠して、隠ぺい率を測定した。
【0091】
[剥離検知ラベルの全光線透過率(Tt)、拡散透過率(Td)、ヘイズ]
上記のガラス板付き剥離検知ラベルに対して、JIS K7361-1:1997に準拠して、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、製品名「NDH-5000」)を用いて、全光線透過率(Tt)及び拡散透過率(Td)を測定した。
また、ヘイズは、測定した全光線透過率(Tt)及び拡散透過率(Td)の値を用いて下記式から算出した。
・ヘイズ(%)=Td/Tt×100
【0092】
また、以下の方法に基づき、剥離検知ラベルの粘着力及び保持力を測定すると共に、剥離検知ラベルのパターン発現性と糊残りの有無の評価を行った。これらの結果は表1に示すとおりであった。
【0093】
[剥離検知ラベルの粘着力]
作製した剥離検知ラベルを、長さ(MD方向)200mm×幅(TD方向)25mmの大きさに裁断したものを試験片とした。23℃、相対湿度50%の環境下で、当該試験片の剥離シートを除去し、表出した粘着剤層(Z)の粘着表面を、被着体であるステンレス板(SUS304鋼番、360番研磨)に、2kgゴムロールを用いて当該ゴムロールを1往復させて圧着させ、同じ環境下で24時間静置した。
24時間静置後、JIS Z0237:2000に準拠して、引張速度300mm/分で、90°引き剥がし法により、試験片を被着体から剥離し、剥離検知ラベルの粘着力を測定した。
【0094】
[剥離検知ラベルの保持力]
作製した剥離検知ラベルを、縦(MD方向)100mm×横(TD方向)25mmの大きさに裁断したものを試験片とした。23℃、相対湿度50%の環境下で、当該試験片の剥離シートを除去し、表出した粘着剤層(Z)の粘着表面を、被着体であるステンレス板(SUS304鋼番、360番研磨)に、貼付面が縦(MD方向)25mm×横(TD方向)25mmとなるように、2kgのゴムロールを用いて当該ゴムロールを5往復させて圧着させ、同じ環境下で20分間静置した。
20分間静置後、温度40℃の恒温層内に移し、1kgの重りを剥離検知ラベルに垂直方向に荷重がかかるよう取り付けて、試験片がずれ落ちて被着体から完全に剥がれ落ちるまでの経過時間(秒)を測定した。当該経過時間が長いほど、保持力に優れた剥離検知ラベルであるといえる。なお、70000秒経過後も試験片が被着体から剥がれ落ちない場合は、試験を終了した。この場合、表1の保持力の欄には「70000NC」と記載した。
【0095】
[剥離前のパターン判別性の評価]
上記粘着力の測定前の試験片を、支持体側から目視で観察し、以下の基準に基づいて、剥離前のパターン判別性を評価した。
・A:パターン層の「VOID」の文字は、あらゆる方向から観察しても確認できなかった。
・B:パターン層の「VOID」の文字は、正面視すると確認できないが、斜め方向から観察すると確認できた。
・C:パターン層の「VOID」の文字は、正面視すると確認できた。
【0096】
[剥離後のパターン発現性の評価]
上記粘着力の測定後の被着体から剥離した試験片を、支持体側及び粘着剤層(Z)側の双方から目視で観察し、以下の基準に基づいてパターン発現性を評価した。
・A:パターン層の「VOID」の文字が、支持体側及び粘着剤層(Z)側のいずれの観察においても確認できた。
・B:パターン層の「VOID」の文字が、支持体側からの観察においては確認できなかったが、粘着剤層(Z)側からの観察においては確認できた。
・C:パターン層の「VOID」の文字が、支持体側及び粘着剤層(Z)側のいずれの観察においても確認できなかった。
【0097】
[被着体の糊残りの有無の評価]
上記粘着力の測定後の試験片を剥離した後の被着体の表面を目視で観察し、以下の基準に基づいて糊残りの有無を評価した。
・A:被着体の表面に糊残り(転着)は確認されなかった。
・F:被着体の表面に糊残り(転着)が確認された。
【0098】
【0099】
表1より、実施例1~3で作製した剥離検知ラベルは、剥離後のパターン発現性は良好であり、また、被着体の糊残りも確認されず、参考例1~2の樹脂フィルムを用いた剥離検知ラベルと同等の性能を有することが確認された。また、実施例1~3の剥離検知ラベルは、剥離前はあらゆる方向から観察してもパターンが確認できず、通常のラベルと同様の外観を有する結果となった。
一方で、比較例1で作製した剥離検知ラベルは、剥離後にパターンの確認ができず、剥離検知に問題を有する結果となった。