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特開2024-143074室外機及び当該室外機を備える空気調和機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143074
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】室外機及び当該室外機を備える空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/16 20110101AFI20241003BHJP
【FI】
F24F1/16
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055563
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小澤 元彦
(72)【発明者】
【氏名】成塚 大輔
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA05
3L054BB02
(57)【要約】
【課題】スペーサの位置ずれが生ずることによる熱交換器と底板との接触を防止し、もって異種金属接触腐食の発生を抑制する室外機及び当該室外機を備える空気調和機を提供する。
【解決手段】金属で形成される熱交換器13と、熱交換器13とは異なる金属で形成される底板41と、熱交換器13と底板41との間に配置され、絶縁材料で形成されるスペーサ50と、を備え、底板41は、スペーサ50が固定される固定部60を有し、スペーサ50は、固定部60を挟持する装着部52を有し、スペーサ50を底板41の角部41eに配置するにあたって固定部60は、底板41の角部41eを挟むいずれかの一辺に設けられ、装着部52が固定部60に装着されることで、底板41においてスペーサ50の熱交換器13が収容される空間側への移動が規制される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属で形成される熱交換器と、
前記熱交換器とは異なる金属で形成される底板と、
前記熱交換器と前記底板との間に配置され、絶縁材料で形成されるスペーサと、を備え、
前記底板は、前記スペーサが固定される固定部を有し、
前記スペーサは、前記固定部を挟持する装着部を有し、
前記スペーサを前記底板に配置するに当たって、前記装着部が前記固定部に装着されることで、前記底板において前記スペーサの前記熱交換器が収容される空間側への移動が規制されることを特徴とする室外機。
【請求項2】
前記底板は、前記空間に面する第1の面と前記第1の面の反対側の面である第2の面とを有し、前記装着部は、前記固定部における前記第1の面及び前記第2の面を挟み込んで装着されることを特徴とする請求項1に記載の室外機。
【請求項3】
前記装着部は、前記固定部を覆うように、前記第1の面及び前記第2の面の両面から前記固定部を挟み込む形状を備えていることを特徴とする請求項2に記載の室外機。
【請求項4】
前記装着部は、
前記固定部における第1の面に沿うように形成された基部と、
前記基部と対向する位置に配置され前記固定部における第2の面に沿うように形成された対向部と、
前記基部の一端と前記対向部の一端とをつなぐアーム部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の室外機。
【請求項5】
前記アーム部は、少なくとも2つ備えられ、2つの前記アーム部の間に第1の空隙部を有することを特徴とする請求項4に記載の室外機。
【請求項6】
前記基部の下方に第2の空隙部を有することを特徴とする請求項4に記載の室外機。
【請求項7】
前記装着部は、
前記アーム部の外側に、前記基部から前記固定部における前記第1の面に向かって凸状に形成される第1のリブと、
前記対向部の一端に、前記対向部から前記固定部における前記第2の面に向かって凸状に形成される第2のリブと、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の室外機。
【請求項8】
前記第1のリブと前記第2のリブとの対向方向での間隔の寸法は、前記固定部の厚さの寸法より小さいことを特徴とする請求項7に記載の室外機。
【請求項9】
前記固定部に装着された際において前記底板の前記第1の面と接する前記第1のリブにおける接触部の位置と、前記底板の前記第2の面と接する前記第2のリブにおける接触部の位置とは、前記第1の面及び前記第2の面に直交する方向において等しいことを特徴とする請求項7に記載の室外機。
【請求項10】
前記底板の周縁部には立上部が形成され、前記固定部は、前記立上部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の室外機。
【請求項11】
前記固定部は、引掛部を有し、
前記固定部に前記スペーサが装着された際に、前記引掛部にアーム部が配置されることを特徴とする請求項10に記載の室外機。
【請求項12】
前記引掛部は、前記スペーサの前記アーム部の数に応じて形成され、前記固定部は、複数の前記引掛部の間に形成され前記スペーサの第1の空隙部に挿入される凸部を備えることを特徴とする請求項11に記載の室外機。
【請求項13】
前記第2のリブの下方には、前記対向部から前記基部に向けて前記第2のリブより突き出し寸法が大きな爪部が形成され、
前記固定部には、前記爪部が嵌合する嵌合孔が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の室外機。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の室外機と、
室内に設置され、前記室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、
を備える空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、室外機及び当該室外機を備える空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
室外機の筐体内部に配置される室外熱交換器については、例えば、アルミニウム或いはアルミニウム合金で形成されている場合がある。一方、室外機の筐体、特に、室外熱交換器が載置される底板については、例えば鉄製とされる場合がある。
【0003】
このように室外熱交換器と底板とが異なる金属で構成され、互いに接している場合において、両者の間に、例えば、雨水や凝縮水等の水が介在すると、両者の電位差によって異種金属接触腐食が発生する場合がある。異種金属接触腐食が発生すると、イオン化傾向が高い金属(アルミニウムと鉄の場合はアルミニウム)が腐食する。
【0004】
そのため、異種金属接触腐食の発生を防止するために、底板と室外熱交換器との間に絶縁材料で形成されたスペーサを配置する例がある(以下の特許文献1参照)。すなわち、底板に配置された絶縁材料で形成されたスペーサの上に室外熱交換器を載置することにより、室外熱交換器の自重や外部から室外機に加わる振動等により室外熱交換器と底板が接触することを防ぎ、且つ、両者の絶縁性を確保することで室外機の筐体内部に水が存在する場合であっても異種金属接触腐食が発生することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-084995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1におけるスペーサは、互いに平行とはならない面を備え、これらの面を底板の角部に突き当てて配置することで、底板に対するスペーサの位置が決められる。そのため、スペーサが底板に突き当たる方向である、室外機の内側から外側に向いた方向に対しては、スペーサは底板によって規制されて移動することはない。
【0007】
しかしながら、特許文献1では室外機の外側から内側に向いた方向に対してのスペーサの動きは規制されていないため、室外機の組立時にスペーサが本来あるべき位置から内側にずれた状態で室外熱交換器と底板の間に配置される可能性がある。このように本来の位置から内側にずれた状態でスペーサが配置されていると、室外機を運搬する際や運転時において、その振動によりスペーサが室外熱交換器と底板の間から抜けてしまう恐れがある。室外熱交換器と底板の間からスペーサが抜けると、室外熱交換器の自重や外部から室外機に加わる振動等により室外熱交換器と底板が接触する可能性があり、その状態で両者の間に水が介在すると、異種金属接触腐食が発生する恐れがある。
【0008】
本発明は、スペーサの位置ずれが生ずることによる熱交換器と底板との接触を防止し、もって異種金属接触腐食の発生を抑制する室外機及び当該室外機を備える空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る室外機は、金属で形成される熱交換器と、熱交換器とは異なる金属で形成される底板と、熱交換器と底板との間に配置され、絶縁材料で形成されるスペーサと、を備え、底板は、スペーサが固定される固定部を有し、スペーサは、固定部を挟持する装着部を有し、スペーサを底板に配置するに当たって、装着部が固定部に装着されることで、底板においてスペーサの熱交換器が収容される空間側への移動が規制される。
【0010】
本発明の一態様に係る空気調和機は、金属で形成される熱交換器と、熱交換器とは異なる金属で形成される底板と、熱交換器と底板との間に配置され、絶縁材料で形成されるスペーサと、を備え、底板は、スペーサが固定される固定部を有し、スペーサは、固定部を挟持する装着部を有し、スペーサを底板に配置するに当たって、装着部が固定部に装着されることで、底板においてスペーサの熱交換器が収容される空間側への移動が規制される室外機と、室内に設置され、室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スペーサの位置ずれが生ずることによる熱交換器と底板との接触を防止し、もって異種金属接触腐食の発生を抑制する室外機及び当該室外機を備える空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る空気調和機の冷媒回路図である。
図2】本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機の外観斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機の内部において、底板に室外熱交換器が載置された状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機の内部において、底板に室外熱交換器が載置された状態で、底板と室外熱交換器との間に配置されるスペーサを示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る空気調和機の室外機の内部において、底板にスペーサを配置した状態を示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係るスペーサの平面図である。
図7】本発明の実施の形態に係るスペーサの斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係るスペーサの斜視図であって、図7に示す斜視図とは異なる向きから示した斜視図である。
図9】本発明の実施の形態に係るスペーサの側面図である。
図10】本発明の実施の形態に係るスペーサの別の態様を示す側面図である。
図11】本発明の実施の形態に係る底板の一部であって、スペーサが配置される角部周辺を拡大して示す拡大斜視図である。
図12】本発明の実施の形態に係るスペーサを底板に固定した状態を示す拡大斜視図である。
図13】本発明の実施の形態に係るスペーサを底板に固定した状態を示す拡大斜視図であって、図12に示す斜視図とは異なる向きから示した斜視図である。
図14】本発明の実施の形態に係るスペーサを底板に固定した状態を示す拡大斜視図であって、スペーサの側面から見た状態を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態に係る空気調和機を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和機1の冷媒回路図である。また図2は、本発明の実施の形態に係る空気調和機1の室外機11の外観斜視図である。
【0014】
図1を用いて空気調和機1について説明する。空気調和機1は暖房運転及び冷房運転が可能であり、室内に配置される室内機5と屋外に設置される室外機11とが冷媒配管3を介して接続されている冷媒回路2を備えている。
【0015】
室外機11は、室外熱交換器13と、室外熱交換器13に外気を送風するための室外送風機16と、圧縮機12と、アキュムレータ19と、四方弁15と、室外機側膨張弁14とを備えている。室外送風機16はファンモータによって駆動する。室内機5は、室内熱交換器7と、室内熱交換器7に室内の空気を送風するための送風機9とを備えている。
【0016】
冷媒回路2は、圧縮機12と、四方弁15と、室外熱交換器13と、室外機側膨張弁14と、室内熱交換器7と、アキュムレータ19とが冷媒配管3で接続されて構成されている。四方弁15と室外熱交換器13とに接続する冷媒配管3はガス側冷媒配管18となり、室外熱交換器13と室外機側膨張弁14とを接続する冷媒配管3は液側冷媒配管17となる。
【0017】
本発明の実施の形態において、室外熱交換器13は、第1熱交換部21の一端側に設けられる第1ヘッダとしての液側ヘッダ23と、第2熱交換部22の一端側に設けられる第1ヘッダとしてのガス側ヘッダ24と、他端側に設けられる第2ヘッダとしての折り返しヘッダ25とを有している。
【0018】
また、本発明の実施の形態における室外熱交換器13は上側から見てL字状に形成され、L字の長手部分が筐体背面に臨む位置に配置され、L字の短手部分が筐体の側面に臨む位置に配置されている。さらに本発明の実施の形態に係る室外熱交換器13は、例えば、アルミニウム或いはアルミニウム合金で形成されている。
【0019】
図1において、実線で示す矢印は冷房運転の場合の冷媒配管3における冷媒の流れを示し、破線で示す矢印は暖房運転の場合の冷媒配管3における冷媒の流れを示す。冷房運転の場合は、圧縮機12で圧縮されて高温高圧のガス相状態となった冷媒は四方弁15及びガス側冷媒配管18を介して室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13に流入した高温高圧のガス相状態の冷媒は、室外熱交換器13を流れる間に室外送風機16によって送風された外気と熱交換することによって凝縮し液相状態の冷媒となり室外熱交換器13から流出する。室外熱交換器13から流出した液相状態の冷媒は液側冷媒配管17を介して室外機側膨張弁14を通過する際に減圧され気液二相状態となる。減圧され気液二相状態となった冷媒は室内熱交換器7に流入し、室内熱交換器7を流れる間に送風機9によって送風された室内の空気と熱交換して蒸発しガス相状態の冷媒となり室内熱交換器7から流出する。室内熱交換器7から流出したガス相状態の冷媒はアキュムレータ19を介して圧縮機12に戻って圧縮され再び高温高圧のガス相状態となる。
【0020】
暖房運転の場合は、冷媒は四方弁15によって冷房運転と逆の流れとなる。暖房運転時において、圧縮機12で圧縮されて高温高圧のガス相状態となった冷媒は室内熱交換器7に流入する。室内熱交換器7に流入した高温高圧のガス相状態の冷媒は、室内熱交換器7を流れる間に送風機9によって送風された室内の空気と熱交換することによって放熱され液相状態の冷媒となり室内熱交換器7から流出する。室内熱交換器7を通過する高温高圧の冷媒と熱交換をした室内の空気は暖められる。室内熱交換器7を通過した液相状態の冷媒は、室外機側膨張弁14を通過する際に減圧され気液二相状態となる。減圧され気液二相状態となった冷媒は液側冷媒配管17を介して室外熱交換器13に流入する。室外熱交換器13を流れる冷媒は、室外熱交換器13を流れる間に室外送風機16によって送風された外気と熱交換して蒸発しガス状態の冷媒となる。室外熱交換器13から流出したガス状態の冷媒は、ガス側冷媒配管18、アキュムレータ19を介して圧縮機12に戻って圧縮され高温高圧のガス相状態となる。
【0021】
次に図2に基づいて、本発明の実施形態における室外機11について説明する。なお、図2に示す室外機11のように、室外機11を水平面上に設置したときの鉛直方向(図面において上下方向)をZ方向とし、図2に示す室外機11を後述する正面板42から見た場合における左右方向をX方向と表す。また、Z方向、X方向の両方向に直交する方向をY方向(前後方向)と表す。
【0022】
また以下においては、図2の矢印で示すようにZ方向の上下を適宜Z方向上側、或いは、Z方向下側とし、X方向の左右をX方向左側、X方向右側と表す。また、Z方向とX方向とに直交するY方向については、図面正面側をY方向前面側とし、反対側をY方向背面側と表す。なお、図2以下の各図においても同様である。
【0023】
さらに以下において説明する室外機については、図2に示す形状を有する室外機11を例に挙げる。但し室外機11については、図2等に示すような形状の他、筐体6の内部に取り付けられる各種機器の大きさや個数によってその形状(縦横比)を自由に設定することができる。
【0024】
室外機11は箱型の筐体6を備えている。筐体6は、Z方向上側に位置する天板40と、圧縮機12や室外熱交換器13などを載置し、鉄で形成されている底板41と、Y方向前面側に位置する正面板42と、正面板42の反対側であるY方向背面側に位置する背面板43と、正面板42のX方向左側に位置する左側面板44と、正面板42のX方向右側に位置する右側面板45の6面を有する。背面板43と左側面板44には図示しない吸込口が形成される。L字状の室外熱交換器13は背面板43と左側面板44に形成された吸込口に面するように配置されている。
【0025】
室外送風機16の回転によって吸込口から取り込まれた外気は、筐体6のY方向背面側、或いは、X方向左側に示される矢印の向きに室外熱交換器13に流入する。筐体6の正面板42には吹出口46が形成され、吹出口46にはファンガード47が取り付けられている。室外送風機16の回転によって吹出口46からは室外熱交換器13で冷媒と熱交換した空気が、図2の矢印に示すように筐体6の前側に吹き出す。
【0026】
次に図3を用いて、室外機11の内部について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る空気調和機1の室外機11の内部において、底板41に室外熱交換器13が載置された状態を示す斜視図である。図3に示す斜視図では、図2で示す底板41以外の筐体6を構成する部材や当該筐体6の内部に配置されている各機器の描画が省略され、描画されているのは底板41に取り付けられている室外熱交換器13及び底板41と室外熱交換器13との間に配置されるスペーサ50のみである。
【0027】
室外熱交換器13はL字状に形成されており、室外熱交換器13のL字の長手部分の端部とL字の短手部分の端部とが、各々底板に図示しない固定具を用いて連結される。一方、L字の長手部分と短手部分がつながる箇所(以下、この部分を適宜「折り曲げ部13a」と表す)は底板41とは連結されていない。但し、室外熱交換器13の折り曲げ部13aと底板41との間には後述するスペーサ50が配置されている。つまり、室外熱交換器13の折り曲げ部13aは、底板41に装着されるスペーサ50の上に載置されているだけである。
【0028】
上述したように、本発明の実施の形態における室外熱交換器13は、アルミニウム等で形成されており、一方底板41は鉄製である。このように室外熱交換器13と底板41とは異種の金属で形成されており、両者が接触した状態で両者の間に雨水や凝縮水等の水が介在すると、異種金属接触腐食が生ずる可能性がある。
【0029】
そこで室外熱交換器13と底板41との間にスペーサ50を配置することで、例えば、室外熱交換器13が自重でZ方向下側に移動し、或いは、室外機11が振動あるいは落下による衝撃が与えられた際に底板41に何らかの力が加わりZ方向上側に底板41が移動する等により両者が接触しないようにしている。従って、スペーサ50は室外熱交換器13と底板41との接触を防止するともに、両者の間の距離を確保する役割を果たしている。
【0030】
さらにスペーサ50は室外熱交換器13と底板41との両者に接触することから、電気を通す性質を有していると、結局、異種金属接触腐食が発生してしまう。そこで、スペーサ50は、絶縁材料で形成されている。なお、絶縁材料であれば、例えば、樹脂やゴム等、様々な素材を採用し得る。
【0031】
底板41と熱交換器13との間にスペーサ50が配置された状態を示したのが図4である。図4は、本発明の実施の形態に係る空気調和機1の室外機11の内部において、底板41に室外熱交換器13が載置された状態で、底板41と室外熱交換器13との間に配置されるスペーサ50を示す斜視図である。
【0032】
図4には、図3では室外熱交換器13に隠れて見えないスペーサ50が破線で描画されている。後述するように、本発明の実施の形態におけるスペーサ50は、装着部52が底板41の固定部に装着されることで、底板41に固定される。そして、当該スペーサ50のZ方向上側に室外熱交換器13が載置される。スペーサ50の上に室外熱交換器13が載置されることで、スペーサ50は底板41と熱交換器13との間に配置される。
【0033】
図5では、図3図4において示した室外熱交換器13の描画を省略し、空気調和機1の室外機11の内部において、底板41にスペーサ50のみが装着された状態を示している。
【0034】
図5に示すように、この底面41aの周縁部をZ方向上側に立ち上げて立上部41bが形成される。立上部41bが形成されることで、底板41は全体として上方(Z方向上側)が開放された箱状となる。室外熱交換器13等の各機器は、底面41aにおける立上部41bで囲まれた空間に収容される。
【0035】
なお、以下においては、立上部41bにおいて室外熱交換器13等の各機器が収容される空間に面する側を「第1の面F1」と表す。一方、この第1の面F1の反対側の面を「第2の面F2」と表す。つまり、立上部41bの筐体6の内側を向く面が第1の面F1であり、筐体6の外側を向く面が第2の面F2である。なお、本発明の実施の形態のように底板41に立上部41bが形成されていない場合であっても、室外熱交換器13が収容される空間に面するのが第1の面F1であり、その反対側が第2の面F2に該当する。この場合は、室外熱交換器13等が載置される面が第1の面F1となり、その裏面つまりは設置面に臨む面が第2の面F2となる。
【0036】
図5では、室外熱交換器13が描画されていないことから、図3においてはその一部しか見えていなかった底板41に装着されているスペーサ50の全体が示されている。上述したように、スペーサ50は、室外熱交換器13と底板41との間に配置されて両者の間に異種金属接触腐食が生じないように、両者の間の距離と絶縁性とを確保する役割がある。従って、本発明の実施の形態におけるスペーサ50は、底板41のZ方向上側であって、筐体6の内側に配置される。
【0037】
底板41の底面41aは、平面に形成されているのではなく、例えば、室外熱交換器13の上部から下部へと滴る凝縮水についてはより低い所に集まるように、また、凝縮水と接触させたくない室外熱交換器13のような機器については、より高いところに設置できるように、凹凸を付けて形成されている。
【0038】
図5に示すように、本発明の実施の形態におけるスペーサ50は、室外機11を正面から見た場合に、X方向左側であって、Y方向背面側の底板41の角部に配置されている。上述したようにスペーサ50は、室外熱交換器13の折り曲げ部13aの下面に接触して室外熱交換器13を支持することから、このような位置に配置されている。
【0039】
(スペーサ50)
スペーサ50について、図6ないし図10を用いて詳細に説明する。図6は、本発明の実施の形態に係るスペーサ50の平面図である。なお図6には、理解の手助けのために、底板41のY方向背面側の長辺41c、及び、X方向左側の短辺41dについて、それぞれその一部を破線で示している。従って、図6における破線は便宜上示しているに過ぎず、スペーサ50を底板41に固定した状態を示すものではない。また同様に、理解の便宜上、スペーサ50に載置される室外熱交換器13(折り曲げ部13a)について一点鎖線で示している。
【0040】
スペーサ50は、後述する装着部52が底板41の固定部60に装着されることによって底板41に固定される。すなわち、スペーサ50を底板41に固定するに当たって、後述するスペーサ50の装着部52が底板41の固定部60を挟持するように固定部60に装着される。このようにスペーサ50が底板41に取り付けられることで、底板41においてスペーサ50の室外熱交換器13が収容される空間側、つまりは底板41における立上部41bで囲まれる空間への移動が規制される。
【0041】
図6に示すように、本発明の実施の形態におけるスペーサ50は変形六角形であり、第1の辺50aないし第6の辺50fを備えている。スペーサ50の6つの辺のうち、第1の辺50aは、底板41のY方向背面側の長辺41cと対向し、互いに平行となるように配置される。また、第2の辺50bは、底板41のX方向左側の短辺41dと対向し、互いに平行となるように配置される。
【0042】
従って、第1の辺50aと第2の辺50bとの間に位置する第3の辺50cは、底板41のY方向背面側の長辺41cとX方向左側の短辺41dとが接することで形成される角部41eに対向した位置に配置される。なお、第1の辺50aないし第3の辺50cについては、図6に示すように、いずれも長辺41cや短辺41dとは接していない。
【0043】
また、第1の辺50aないし第3の辺50cがこのような位置に配置されることから、第1の辺50aと平行な第4の辺50d、第2の辺50bと平行な第5の辺50e、第3の辺50cと平行な第6の辺50fは、第1の辺50aないし第3の辺50cよりも筐体6の内側、すなわち、室外熱交換器13が収容される空間側に位置する。
【0044】
スペーサ50の第1の辺50aないし第6の辺50fに囲まれる載置面51は、室外熱交換器13を底板41に組み付ける際に、図4において破線で示すように、或いは、図6に一点鎖線で示すように、室外熱交換器13の折り曲げ部13aが載置される領域である。そのため、当該載置面51は、当該載置面51が接触する底板41の底面41aと概ね平行である。このように、スペーサ50は室外熱交換器13と底板41の間に配置されて、室外熱交換器13と底板41とが接しないようにしている。
【0045】
スペーサ50の第1の辺50aには、装着部52が設けられている。装着部52は、スペーサ50が底板41に固定される際に、図11を用いて後に詳細に説明する底板41の固定部60に装着される部分である。装着部52が当該固定部60を挟持することによって、スペーサ50が底板41に装着される。
【0046】
なお、以下スペーサ50の詳細については、図7、及び、図8も用いて説明する。図7は、本発明の実施の形態に係るスペーサ50の外観斜視図である。また図8は、本発明の実施の形態に係るスペーサ50の図7とは異なる向きから示した外観斜視図である。
【0047】
装着部52は、第1の辺50aにおいて載置面51から連続してZ方向上側に立ち上がり、装着部52を固定部60に装着した状態で立上部41bにおける第1の面F1に沿うように形成された基部52aを備える。また、基部52aと対向する位置に配置され、装着部52を固定部60に装着した状態で立上部41bにおける第2の面F2に沿うように形成された対向部52bと、基部52aの一端と対向部52bの一端とをつなぐアーム部52cと、を備える。
【0048】
基部52aは、上述したように、載置面51から立上部41bにおける第1の面F1に沿うように立ち上がる。また装着部52が形成されるスペーサ50の第1の辺50aは、Y方向背面側の長辺41cとは接していないことから、スペーサ50が底板41に固定された際には、基部52aは第1の面F1と対向する。
【0049】
図7図8に示すように、基部52aに対向する位置には、対向部52bが配置されている。そして、スペーサ50が底板41に固定された際には、Y方向背面側の長辺41cが基部52aと対向部52bとの間に配置されることになるため、当該対向部52bは立上部41bにおける第2の面F2に対向する。
【0050】
2つのアーム部52cは、このような基部52aと対向部52bとを、基部52aの一端52aaと対向部52bの一端52baでつなぐ。具体的には、アーム部52cは、基部52aから、図6ないし図8に示すように、載置面51から見て外側、すなわち、底板41において室外熱交換器13が収容される空間の外側に向けてアーチを描くように伸び、対向部52bの一端52baにつながる。
【0051】
スペーサ50を底板41に固定すると、底板41の立上部41aのうちの長辺41cにおける固定部60が基部52aと対向部52bの間に入り、アーム部52cは長辺41c(立上部41b)を乗り越えるように配置される。基部52aと対向部52bとはアーム部52cによってつながれているため、基部52aは第1の面F1と対向し対向部52bは第2の面F2と対向することで、基部52a及び対向部52bが固定部60を両面から挟み込む。
【0052】
本発明の実施の形態のアーム部52cは、図6ないし図8に示されているように、底板41のY方向背面側の長辺41cに沿って距離を空けて2つ形成されている。このように2つのアーム部52c,52cが形成されていることから、これら2つのアーム部52c,52cの間には、第1の空隙部52dが形成される。また、基部52aの下方には、載置面51と基部52aとを貫通するように矩形状の第2の空隙部52eが形成されている。
【0053】
後述するように、第1の面F1に接する基部52aの第1のリブ52fと、第2の面F2に接する対向部52bの第2のリブ52gとの間隔寸法は、固定部60における長辺41cの板厚寸法よりも小さくされている。このため、装着部52を固定部60に装着する際は、アーム部52c,52cが変形して基部52aと対向部52bとが押し広げられる。なお、装着部52には、第1の空隙部52d、及び、第2の空隙部52eが形成されていることで装着部52全体が弾性変形しやすくなっているため、基部52aと対向部52bとが押し広げられやすくなっている。
【0054】
また、アーム部52c,52cを対向部52b側に開くと、基部52aの一端52aaは対向部52b側に引っ張られ、基部52aの載置面51側が外側に向けて変形する。そのため、基部52aにおいて載置面51から連続する部分も変形する。このとき当該部分に第2の空隙部52eが形成されているので、より少ない力で装着部52の基部52aを変形させやすくなる。
【0055】
このように第1の空隙部52d、第2の空隙部52eが設けられていることから、装着部52を固定部60に装着し易くなり、スペーサ50全体を容易に底板41に固定することができるようになる。
【0056】
なお、本発明の実施の形態におけるスペーサ50では、第2の空隙部52eは第1の空隙部52dの下方に形成されているが、基部52aの下方に形成されていれば、必ずしも第2の空隙部52eの形成位置が第1の空隙部52dの下方でなくても良い。また、第2の空隙部52eが複数設けられていても良い。
【0057】
また、第2の空隙部52eは基部52aの下部から対置面51にかけて形成されていることから、載置面51に載置された室外熱交換器13において発生した凝縮水を、スペーサ50に滞留させずに底板41に排水することができる。
【0058】
なお、本発明の実施の形態におけるスペーサ50では、第2の空隙部52eのような孔を、上述した基部52aの下部だけではなく、第2の辺50bや第3の辺50cの下部にも設けている。これにより、室外熱交換器13において発生した凝縮水の排水性をより高めている。
【0059】
装着部52は、各アーム部52cの外側に、基部52aから立上部41bにおける第1の面F1に向かって凸状に形成される2つの第1のリブ52f,52fを備えている。すなわち、アーム部52c,52cにおける第1の空隙部52dが設けられている側とはそれぞれの反対側である外側に、第1のリブ52fが形成されている。
【0060】
つまり、図6に示すように、スペーサ50の第1の辺50aにおいて、底板41の角部41eから見て第1のリブ52f、アーム部52c、第1の空隙部52d、アーム部52c、第1のリブ52fの順に配置されており、アーム部52c,52cは、2つの第1のリブ52f,52fに挟まれて配置されている。
【0061】
第1のリブ52fは、図6ないし図9に示すように、基部52aから立上部41bにおける第1の面F1に向かって凸状で断面が略三角形状に形成されており、Y方向背面側に向けて突出する。また第1のリブ52fには、装着部52を固定部60に装着した際に固定部の第1の面F1に接する接触部分52faが設けられている。このような第1のリブ52fは、Z方向上側の第1の面F1への接触部分52faよりも載置面51に近いZ方向下側の方が第1の面F1側への突出量が小さい。そしてZ方向下側から接触部分52faに向けて徐々に突出量が増加するように傾斜している。
【0062】
また、第1のリブ52fは、基部52aと同様に載置面51から立上部41bにおける第1の面F1に沿うように立ち上がり、Z方向上側に向かうにつれてY方向背面側に突出する。第1のリブ52fはこのような形状に形成されていることから、スペーサ50が固定部60に固定された際に、第1のリブ52fが固定部60における第1の面F1に接触して、第1のリブ52fと次に説明する第2のリブ52gとで固定部60を挟み込む。
【0063】
図8に示すように、装着部52の対向部52bの一端52baに、対向部52bから立上部41bにおける第2の面F2に向かって凸となる断面が略四角形状の第2のリブ52gが形成されており、第2のリブ52gはY方向前面側に向けて突出する。また、第2のリブ52gには、装着部52を固定部60に装着した際に固定部の第2の面F2に接する接触部分52gaが設けられている。そして当該第2の面F2への接触部分52gaのY方向前面側への突出量は、後述する爪部52hの突出量よりも小さい。
【0064】
すなわち、第2のリブ52gは、図6図9に示すように直方体形状に形成されており、対向部52bからY方向前面側に突出していることから、スペーサ50が固定部60に固定された際に、第2のリブ52gが固定部60における第2の面F2に接触して、第1のリブ52fとともに固定部60を挟み込む。なお、本発明の実施の形態においては、第2のリブ52gは対向部52bの1箇所にのみ設けられているが、複数設けられていても良い。
【0065】
ここで第1のリブ52fと第2のリブ52gとのY方向における前後方向の位置関係について説明する。図9は、本発明の実施の形態に係るスペーサ50をX方向右側から見た側面図である。図9において図面左側が、スペーサ50が底板41に装着された場合における、底板41の長辺41cの内側(室外熱交換器13等が収容される空間側)に該当し、図面右側が底板41の長辺41cの外側に該当する。
【0066】
なお、図9ではX方向右側からスペーサ50を見ていることから、最も手前に角部41eから最も遠い第1のリブ52fが見えており、図9では第1のリブ52fから図面の奥に向かう順(角部41eに近づく順)にアーム部52c、第2のリブ52g(対向部52b)が見えている。
【0067】
装着部52が固定部60に装着されると、第1のリブ52fは底板41の長辺41cにおける第1の面F1と接し、第2のリブ52gは底板41の長辺41cにおける第2の面F2と接する。図9は、装着部52が固定部60に装着される前のスペーサ50単体で見た場合を図9を示しているのであるが、スペーサ50における第1のリブ52fの第1の面F1への接触部分52faの位置と、第2のリブ52gにおける第2の面F2への接触部分52gaの位置とは、図9に示すY方向、すなわち第1の面F1及び第2の面F2に直交する方向において等しい。
【0068】
すなわち、図9のY方向において、第1のリブ52fの第1の面F1への接触部分52faの位置と第2のリブ52gの第2の面F2への接触部分52gaの位置は揃っている。図9では一点鎖線がZ方向に描画されているが、この一点鎖線の位置で第1のリブ52fの第1の面F1への接触部分52faの位置と第2のリブ52gの第2の面F2への接触部分52gaの位置が揃っている。つまり、第1のリブ52fと第2のリブ52gとの図9Y方向での間隔の寸法は0である。
【0069】
本発明の実施の形態におけるスペーサ50の装着部52における第1のリブ52fと第2のリブ52gとの関係は上記のようになっているため、固定部60の板厚寸法より小さい。このため、装着部52を固定部60に装着した際に、第1のリブ52fと第2のリブ52gとで固定部60を挟み込んだ際に強固に固定部60を挟み込むことができる。
【0070】
上述したように、装着部52を固定部60に装着するに当たっては、アーム部52cを基部52aと対向部52bとが広がるように変形する。そのため装着部52が固定部60に装着された後は、変形したアーム部52cが元に戻る力(復元力)が働く。この復元力によって第1のリブ52fが第1の面F1を、第2のリブ52gが第2の面F2を、互いに対向する向きに押すことになる。この働きによって装着部52は固定部60を強固に挟み込むことができる。
【0071】
さらに、図9に示す第1のリブ52fと第2のリブ52gとのY方向での間隔の寸法は、マイナス寸法であっても良い。すなわち、図9のスペーサ50の側面図に示した第1のリブ52fの第1の面F1への接触部分52faの位置と、第2のリブ52gにおける第2の面F2への接触部分52fgの位置とがZ方向に重複する位置関係である。
【0072】
このような位置関係を図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態に係るスペーサ50の別の態様を示す側面図である。図10に示すスペーサ50において、第1のリブ52f’のY方向背面側への突出量、及び、第2のリブ52g’のY方向前面側への突出量が、図9に示すスペーサ50における第1のリブ52fのY方向背面側への突出量、及び、第2のリブ52gのY方向前面側への突出量とは異なり、いずれもより大きな突出量となっている。
【0073】
ここで、図10でも図9においてZ方向に一点鎖線で描画していた線をそのまま描画している。つまり、当該一点鎖線で示す位置は、図9において第1のリブ52fの第1の面F1への接触部分52faの位置と第2のリブ52gの第2の面F2への接触部分52gaの位置が揃う位置である。図10を見ると、第1のリブ52f’のY方向背面側への突出は当該一点鎖線を越えてよりY方向背面側へと突出している。同様に、第2のリブ52g’のY方向前面側への突出は当該一点鎖線を越えてよりY方向前面側へと突出している。
【0074】
そのため、第1のリブ52f’の第1の面F1への接触部分52f’aの位置と第2のリブ52g’の第2の面F2への接触部分52g’aの位置は、当該一点鎖線上で揃っていない。つまり、第1のリブ52f’と第2のリブ52g’との、図10におけるY方向での間隔の寸法は、マイナス寸法である。そのため、図10において、第1のリブ52f’の第1の面F1への接触部分52f’aの位置と第2のリブ52g’の第2の面F2への接触部分52g’aの位置とが重複する。
【0075】
このように、第1のリブ52fと第2のリブ52gとがY方向で重複することによって、第1のリブ52fと第2のリブ52gとの対向方向での間隔の寸法がゼロの場合よりもより一層強固に固定部60を挟み込むことができる。
【0076】
なお、ここまで説明した第1のリブ52fと第2のリブ52gとの位置関係については、あくまでもスペーサ50が底板41に固定される前の、スペーサ50における位置関係である。スペーサ50が底板41に固定されると、第1のリブ52f,52fと第2のリブ52gとで固定部60を挟持することになるため、第1のリブ52fと第2のリブ52gとの対向方向での間隔の寸法は、少なくとも立上部41bにおける板厚分離れることになる。
【0077】
なお、第1のリブ52fが第1の面F1に接触し、第2のリブ52gが第2の面F2に接触して立上部41bにおける長辺41cを挟持することからすれば、図9図10で示すY方向における間隔寸法は、上述したような0以下の場合のみならず、長辺41cの板厚より小さければ、0より大きな間隔寸法であっても良い。
【0078】
さらに図6図9に示されているように、装着部52において、第2のリブ52gの下方には、対向部52bから基部52aに向けて第2のリブ52gより突き出し寸法が大きな爪部52hが形成されている。当該爪部52hは、図9の正面視(X方向)で略三角形状に形成され、かつ、Y方向前面側、すなわち、底板41における室外熱交換器13等が収容される空間側に向けて突出する。より具体的には、爪部52hの先端部52haが第2のリブ52gよりも突き出している。
【0079】
このように爪部52hと、第2のリブ52gとが突出する向きは同じであるが、特に図9に明らかなように、先端部52haの突出量は第2のリブ52gよりも大きい。このように形成されていることから、後述する固定部60に形成されている嵌合孔63に爪部52hの先端部52haが嵌め合わせられる。
【0080】
一旦爪部52hが嵌合孔63に嵌め合わせられると、爪部52hのZ方向上側の部分が嵌合孔63を貫通して底板41における室外熱交換器13等の収容空間側に向けて突出する。従って、装着部52が固定部60に装着されると、爪部52hのZ方向上側の部分が嵌合孔63に接触するため、スペーサ50のZ方向上側への移動が規制される。
【0081】
なお上述したように、本発明の実施の形態における室外熱交換器13は、アルミニウム等で形成されており、一方底板41は鉄製である。このように室外熱交換器13と底板41とは異種の金属で形成されており、両者が接触した状態で両者の間に雨水や凝縮水等の水が介在すると、異種金属接触腐食が生ずる可能性がある。
【0082】
そこで室外熱交換器13と底板41との間にスペーサ50を配置することで、例えば、室外熱交換器13が自重でZ方向下側に移動し、或いは、室外機11が振動あるいは落下による衝撃が与えられた際に底板41に何らかの力が加わりZ方向上側に底板41が移動する等により両者が接触しないようにしている。従って、スペーサ50は室外熱交換器13と底板41との接触を防止する。
【0083】
さらにスペーサ50は室外熱交換器13と底板41との両者に接触することから、電気を通す性質を有していると、結局異種金属接触腐食が発生してしまう。そこで、スペーサ50は、絶縁材料で形成されている。なお、絶縁材料であれば、例えば、樹脂やゴム等、様々な素材を採用し得る。
【0084】
(底板41)
次に、これまで説明したスペーサ50が装着される底板41の固定部60について説明する。図11は、本発明の実施の形態に係る底板41の一部であって、スペーサ50が配置される角部41e周辺を拡大して示す拡大斜視図である。
【0085】
底板41には、スペーサ50の装着部52が装着される固定部60が形成されている。当該固定部60は、図11にも明らかなように、立上部41bの長辺41cに設けられている。当該固定部60にスペーサ50の装着部52が装着されることによりスペーサ50が底板41に固定される。
【0086】
固定部60は、2つの引掛部61を有している。これら引掛部61は、固定部60に装着部52が装着された際に、2つのアーム部52cが配置される。引掛部61は、スペーサ50のアーム部52cの数に応じて形成される。
【0087】
図11に示すように、2つの引掛部61は、底板41の長辺41cにおいてX方向に沿ってアーム部52cの間隔寸法に応じた寸法だけ離して形成されている。そして、2つの引掛部61の間には、Z方向上側に向けて引掛部61よりZ方向上側に突出する凸部62が形成されている。
【0088】
なお、2つの引掛部61は、長辺41cの上端からZ方向下側に窪むように形成されている。これは、上述したように引掛部61にはアーム部52cが配置されるが、アーム部52cが引掛部61に配置された際に、後述するように、装着部52、ひいては、スペーサ50が底板41の長辺41cに沿ってX方向に移動することを規制することができるからである。
【0089】
従って、2つの引掛部61のZ方向における高さは、上述したスペーサ50の移動を規制することできればよく、例えば、アーム部52cのZ方向上側において最も高い部分と底板41のY方向背面側の長辺41cの上端との位置が揃うのは、その一例である。
【0090】
装着部52を固定部60に装着するときに、アーム部52cが引掛部61に配置されるとともに、固定部60の凸部62がスペーサ50の第1の空隙部52dに挿入される。
【0091】
なお、当該凸部62は2つの引掛部61が形成されることによって設けられるが、引掛部61によってスペーサ50のX方向への移動を規制することができるのであれば、凸部62については設けられずとも良い。従って凸部62のZ方向上側の端部の位置(高さ)は、長辺41cのZ方向上側の位置(高さ)と必ずしも揃っている必要はない。但し、凸部62が設けられ、装着部52の第1の空隙部52dに挿入されることによって、より一層スペーサ50のX方向への移動を規制することができる。
【0092】
凸部62の下方には、嵌合孔63が形成されている。当該嵌合孔63には、スペーサ50の装着部52が底板41の固定部60に装着された際に、装着部52の爪部52hが嵌め合わせられる。上述したように、爪部52hは、第2のリブ52gよりも底板41における室外熱交換器13等が収容される空間側に向けて突出している。そして嵌合孔63は固定部60において立上部41bの長辺41cを貫通するように形成されていることから、嵌合孔63には爪部52hが貫通して嵌め合わされる。
【0093】
すなわち、装着部52を固定部60に装着する際には、例えば、装着部52を固定部60のZ方向上側からZ方向下側に向けて移動させる。そして、嵌合孔63の部分に爪部52hが到達すると、爪部52hは、図8に示すY方向背面側からY方向前面側へと移動する。爪部52hが嵌合孔63に嵌め合わせられることにより、作業者が底板41にスペーサ50が適切に装着されたことを把握することができるとともに、スペーサ50のZ方向上側への移動を規制することができる。
【0094】
なお、図11に示すように、嵌合孔63は概ね正方形となる矩形状に形成されている。但し、必ずしもこのような形状ではなく、嵌合孔63は、爪部52hを嵌め合わせることができる形状であれば良い。
【0095】
(スペーサ50の底板41への固定)
次にこれまで説明してきた装着部52と固定部60について、装着部52が固定部60に装着された状態を図12ないし図14を用いて説明する。図12は、本発明の実施の形態に係るスペーサ50を底板41に固定した状態を示す拡大斜視図である。図13は、本発明の実施の形態に係るスペーサ50を底板41に固定した状態を示す拡大斜視図であって、図12に示す斜視図とは異なる向きから示した斜視図である。また、図14は、本発明の実施の形態に係るスペーサ50を底板41に固定した状態を示す拡大斜視図であって、スペーサ50のX方向右側から見た状態を示す拡大斜視図である。
【0096】
なお、図12ないし図14において説明の便宜上、Y方向における底板41の内側から外側に向く方向を「矢印A」で示し、Y方向における底板41の外側から内側に向く方向を「矢印B」と示す。
【0097】
スペーサ50が底板41に固定される場合、まず装着部52の第1のリブ52f、第2のリブ52gが、固定部60が設けられている長辺41cのZ方向上端に干渉する(接触する)。そしてそのまま装着部52がZ方向下側に移動するように固定部60に押し込まれると、第1のリブ52fの接触部分52faが第1の面F1へ接触する。また、第2のリブ52gの接触部分52gaが第2の面F2へと接触する。
【0098】
このときアーム部52cが弾性変形することで対向部52bが矢印Aの方向に移動する。このようにアーム部52cが容易に移動可能なのは、第1の空隙部52dが設けられていることによってより弾性変形し易くなっているからである。
【0099】
またこのとき、基部52aは全く動かないのではなく、第2の空隙部52eが基部52aの下方に形成されていることから、基部52aの一端52aa側が対向部52b側へ、基部52aが載置面51から連続する基部52aの下部は室外熱交換器13が収容される空間側へと移動する。基部52aが容易に移動可能なのは、第2の空隙部52eが設けられていることによって弾性変形し易くなっているからである。
【0100】
このようにアーム部52cは、例えば、図12ないし図14に示す矢印A、及び、矢印Bの方向に押し広げられる。すなわち、基部52aと対向部52bとが互いに離れる方向に広げられる。アーム部52cが押し広げられるのは、上述したように元々第1のリブ52fと第2のリブ52gとの間の間隔寸法は、長辺41cの板厚よりも小さいからであり、このような位置関係にある第1のリブ52fと第2のリブ52gとが長辺41cの第1の面F1と第2の面F2へとそれぞれ乗り上げるからである。
【0101】
この状態でZ方向上側から下側に向けてスペーサ50のアーム部52cが引掛部61に接するまで装着部52をZ方向下方に押し込む。このとき、長辺41cが基部52aと対向部52bとの間に進入する。
【0102】
例えば、図9に示されているように、第1のリブ52fは、Z方向上側の第1の面F1への接触部分52faよりも載置面51に近いZ方向下側の方が第1の面F1側への突出量が小さい。そしてZ方向下側から接触部分52faに向けて徐々に突出量が増加するように傾斜している。そのため、装着部52がZ方向上側からZ方向下側に移動する際に、Y方向背面側の長辺41cに引っ掛かることなくスムーズに装着部52をZ方向下側に移動させることができる。
【0103】
爪部52hについても、図9に示すように、Y方向前面側に第2のリブ52gより突き出す先端部52haを有するとともにX方向で見て略三角形状とされており、固定部60に装着部52を装着する際には先端部52haと爪部52hの下端を結ぶ斜面が固定部60の長辺41cに当たる。従って、当該爪部52hがY方向背面側の長辺41cに引っ掛かることなくスムーズに装着部52をZ方向下側に移動させることができる。
【0104】
第1のリブ52fは前述したように略三角形状であり、装着部52を固定部60に装着する際の装着部52の進入が先となる部分の方が突出量が小さく、進入が後となる部分の方が突出量が大きく、両者の間は傾斜によって徐々にその突出量が増える。また、第2のリブ52gは前述したように略四角形状であり、固定部60に臨む端面が第2の面F2に接触する。そのため、装着部52を固定部60に装着する際は、第2のリブ52gの端面が固定部60の第2の面F2に沿いつつ、第1のリブ52fにおける接触部分52fa下方の傾斜部によって装着部52が下方に押し込めるため、装着部52を固定部60にスムーズに装着することができる。
【0105】
アーム部52cが引掛部61に当たるまで装着部52を固定部60に押し込み、かつ、爪部52hが嵌合孔63に嵌まった状態となり、装着部52が固定部60に装着された状態になると、2つのアーム部52c,52cは、固定部60の引掛部61,61に配置される。また、2つの引掛部61,61の間に形成される凸部62は、X方向に並んで配置されている2つのアーム部52c,52cの間に形成される第1の空隙部52dに嵌まる。
【0106】
また、装着部52の爪部52hは、上述したように対向部52bからY方向前面側(矢印Bの方向)に突出している。装着部52が固定部60に装着される際、装着部52が固定部60に押し込まれて爪部52hが嵌合孔63の位置に到達すると、この爪部52hが固定部60の嵌合孔63に矢印Bの方向に挿入される。図14では爪部52hが嵌合孔63を貫通している状態が示されている。
【0107】
特に爪部52hの突出量は第2のリブ52gの突出量よりも大きなことから、装着部52を固定部60に装着する際には、例えば、爪部52hが第2の面F2に接触しながらZ方向下側に装着部52が移動する。そして、嵌合孔63の部分に爪部52hが到達すると、爪部52hは矢印Bの方向へと移動する。
【0108】
底板41にスペーサ50を装着する作業者は、それまで爪部52hが嵌合孔63に嵌め合わせられる際、それまで第2の面F2に爪部52hが接触しながら移動していることに伴う抵抗を感じていたところ、爪部52hが嵌合孔63の部分まで到達すると、その抵抗がなくなり、爪部52hが嵌合孔63に嵌め合わせられたことを感じることができる。このような部品が予定されていた場所に嵌まる感触を得ることで、作業者は底板41にスペーサ50が適切に装着されたことを把握することができる。
【0109】
また、図14に示すように、爪部52hが嵌合孔63に嵌まると、爪部52hのZ方向上側の部分が嵌合孔63を貫通して底板41における室外熱交換器13等を収容する空間側に向けて突出する。従って、上述したように、スペーサ50のZ方向上側への移動が規制される。
【0110】
このように、装着部52が固定部60においてZ方向上側からZ方向下側に移動している間は、爪部52hは第2の面F2に接触すると考えられる。一方で、第2のリブ52gについては、爪部52hよりも第2の面F2側への突出量が小さいことから、装着部52が移動している間は第2の面F2に接触することはない。第2のリブ52gは最終的に、装着部52が固定部60に装着されて、爪部52hが嵌合孔63に挿入された時に、第2の面F2に接触する。
【0111】
装着部52が固定部60に装着されると、弾性変形により元々の位置よりもその間隔が開いていた基部52aと対向部52bとが元々の位置へと戻ろうとする。但し、基部52aと対向部52bとの間には、底板41の固定部60が挟まっている。従って、底板41の立上部41bの板厚分、元々の位置へとは戻れない。
【0112】
このとき、基部52aと対向部52bとが元々の位置に戻ろうとする力が固定部60に対して掛かる。すなわち、第1のリブ52f,52fは、固定部60における第1の面F1に接触し、矢印Aの方向に第1のリブ52fを介して基部52aを押しつける力が働く。また第2のリブ52gについては、固定部60における第2の面F2に接触し、矢印Bの方向に対向部52bを第2のリブ52gを介して押しつける力が働く。そのため、装着部52が固定部60を挟み込んで、Y方向背面側(矢印Aの方向)、Y方向前面側(矢印Bの方向)という、互いに対向する向きに力が掛かることになる。
【0113】
また上述したように、スペーサ50が底板41の固定部60に装着された際に、アーム部52cは引掛部61に配置される。そして、引掛部61は図11を用いて説明した通り、底板41の長辺41cの上端からZ方向下側に窪むように形成されている。従って、引掛部61における当該長辺41cのX方向の両端(図11において符号61a,61aで示す一端)はZ方向上側に立ち上がるように形成されている。また、凸部62を形成する引掛部61の他端61b,61bも同様にZ方向上側に立ち上がるように形成されている。
【0114】
そのため、引掛部61にアーム部52cが配置されると、アーム部52cのX方向外側には引掛部61の一端61a,61aがZ方向上側に向けて立ち上がっている。従って、アーム部52cは、Y方向背面側の長辺41cにおけるX方向への移動が規制される。
【0115】
また、本発明の実施の形態におけるスペーサ50では、装着部52が固定部60に装着されると、引掛部61の他端61b,61bによって形成される凸部62が2つのアーム部52c,52cの間に形成される第1の空隙部52dに挿入される。従って、当該引掛部61の他端61b,61bによってもアーム部52cは、長辺41cにおけるX方向への移動が規制される。
【0116】
なお、以上に説明した本実施形態における装着部52は2つのアーム部52cを備える場合を説明したが、これに限られるものではなく、アーム部は1つであってもよいし、3つ以上備えられていてもよい。アーム部が1つである場合は、装着部52を固定部60に装着する際に、アーム部を2つ設ける場合と比べてアーム部が弾性変形しにくいことに起因して、装着部52が固定部60に装着された後は基部52aの第1のリブ52fと対向部52bの第2のリブ52gによってより強固に固定部60を挟みつけることができる。また、アーム部を3つ以上設ければ、アーム部を2つ設ける場合と比べてアーム部が弾性変形しやすくなり、装着部52を固定部60に装着する作業が行いやすくなる。なお、アーム部が1つである場合は、第1の空隙部52dが設けられないため本発明の実施の形態で説明した固定部60の凸部62は不要であり、また、アーム部が3つ以上ある場合は、第1の空隙部52dが2つ以上設けられるため凸部62を2つ以上設ければよい。
【0117】
以上説明したように、装着部52が固定部60に装着されることにより、スペーサ50のX方向、Y方向、及び、Z方向への移動が規制される。従って、特にスペーサ50の載置面51に室外熱交換器13の折り曲げ部13aが載置される前であって、スペーサ50が底板41に取り付けられただけの状態において、図12図13の大きな矢印に示すような底板41の内側に向けてスペーサ50が移動することを防止することができる。
【0118】
そして底板41においてスペーサ50の室外熱交換器13が収容される空間側への移動が規制されることによって、スペーサ50に室外熱交換器13が載置されたとしてもスペーサ50が室外熱交換器13と底板41との間から抜けてしまうことを防止することができる。そのため、異種の金属で形成されている室外熱交換器13と底板41とが接触して異種金属接触腐食が発生することを回避することができる。
【0119】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、本発明の一例を示したものである。実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、上記実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
【0120】
例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよく、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0121】
例えば、本発明の実施の形態におけるスペーサ50は、変形六角形の形状であるが、室外熱交換器と底板との間に配置された際に、これまで説明してきたような機能を果たすことができれば、その形状はどのような形状であっても良い。
【0122】
また本発明の実施の形態におけるスペーサは、底板のY方向背面側の長辺に固定するように、装着部がスペーサの第1の辺に形成されていた。但し装着部の位置はこのような位置に限定されるものではなく、例えば、装着部がスペーサの第2の辺に形成され、底板のX方向左側の短辺に形成される固定部に装着されるようにされていても良い。
【0123】
なおこのように、スペーサにおける装着部の位置は第1の辺、或いは、第2の辺のいずれに設けられていても良いが、設けられる装着部はスペーサにおいて1箇所である。これは、例えば、第1の辺、及び、第2の辺の2箇所に装着部を設けた場合、スペーサ、或いは、底板の加工のバラツキを許容しにくくなるからである。
【0124】
またこれまでは、異種金属接触腐食が生じる例として、底板41が鉄で形成されており、室外熱交換器13がアルミニウム、或いは、アルミニウム合金で形成されている例を挙げて説明した。但し、底板41を構成する金属と室外熱交換器13を構成する金属とが異なり、異種金属接触腐食が生じる可能性のある組み合わせとなる場合には、これまで説明した内容が当てはまる。
【0125】
すなわち、スペーサの複数箇所に装着部を設けた場合、固定部に装着できない、或いは、無理矢理装着した場合に、例えばスペーサに局所的な力が掛かって、例えば室外機を運搬中にスペーサが破損してしまう可能性が考えられるからである。
【0126】
なお、本発明の実施の形態において説明した技術については、以下のような構成を採用することもできる。
(1)金属で形成される熱交換器と、
前記熱交換器とは異なる金属で形成される底板と、
前記熱交換器と前記底板との間に配置され、絶縁材料で形成されるスペーサと、を備え、
前記底板は、前記スペーサが固定される固定部を有し、
前記スペーサは、前記固定部を挟持する装着部を有し、
前記スペーサを前記底板に配置するに当たって、前記装着部が前記固定部に装着されることで、前記底板において前記スペーサの前記熱交換器が収容される空間側への移動が規制されることを特徴とする室外機。
(2)前記底板は、前記空間に面する第1の面と前記第1の面の反対側の面である第2の面とを有し、前記装着部は、前記固定部における前記第1の面及び前記第2の面を挟み込んで装着されることを特徴とする上記(1)に記載の室外機。
(3)前記装着部は、前記固定部を覆うように、前記第1の面及び前記第2の面の両面から前記固定部を挟み込む形状を備えていることを特徴とする上記(2)に記載の室外機。
(4)前記装着部は、
前記固定部における前記第1の面に沿うように形成された基部と、
前記基部と対向する位置に配置され前記固定部における前記第2の面に沿うように形成された対向部と、
前記基部の一端と前記対向部の一端とをつなぐアーム部と、
を備えることを特徴とする上記(2)または(3)に記載の室外機。
(5)前記アーム部は、少なくとも2つ備えられ、2つの前記アーム部の間に第1の空隙部を有することを特徴とする上記(4)に記載の室外機。
(6)前記基部の下方に第2の空隙部を有することを特徴とする上記(4)または(5)に記載の室外機。
(7)前記装着部は、
前記アーム部の外側に、前記基部から前記固定部における前記第1の面に向かって凸状に形成される第1のリブと、
前記対向部の一端に、前記対向部から前記固定部における前記第2の面に向かって凸状に形成される第2のリブと、
を備えることを特徴とする上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の室外機。
(8)前記第1のリブと前記第2のリブとの対向方向での間隔の寸法は、前記固定部の厚さの寸法より小さいことを特徴とする上記(7)に記載の室外機。
(9)前記固定部に装着された際において前記底板の前記第1の面と接する前記第1のリブにおける接触部の位置と、前記底板の前記第2の面と接する前記第2のリブにおける接触部の位置とは、前記第1の面及び前記第2の面を貫通する方向に直交する方向において等しいことを特徴とする上記(7)に記載の室外機。
(10)前記底板の周縁部には立上部が形成され、前記固定部は、前記立上部に設けられることを特徴とする上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の室外機。
(11)前記固定部は、引掛部を有し、前記固定部に前記スペーサが装着された際に、前記引掛部に前記アーム部が配置されることを特徴とする上記(6)ないし(10)のいずれかに記載の室外機。
(12)前記引掛部は、前記スペーサの前記アーム部の数に応じて形成され、前記固定部は、複数の前記引掛部の間に形成され前記スペーサの前記第1の空隙部に挿入される凸部を備えることを特徴とする上記(11)に記載の室外機。
(13)前記第2のリブの下方には、前記対向部から前記基部に向けて前記第2のリブより突き出し寸法が大きな爪部が形成され、
前記固定部には、前記爪部が嵌合する嵌合孔が形成されていることを特徴とする上記(7)ないし(12)のいずれかに記載の室外機。
(14)上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の室外機と、
室内に設置され、前記室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、
を備える空気調和機。
【符号の説明】
【0127】
1…空気調和機、2…冷媒配管3…冷媒配管、5…室内機、6…筐体、7…室内熱交換器、9…送風機、11…室外機、12…圧縮機、13…室外熱交換器、14…室外機側膨張弁、15…四方弁、16…室外送風機、17…液側冷媒配管、18…ガス側冷媒配管、19…アキュムレータ、20…熱交換部、21…第1熱交換部、22…第2熱交換部、23…液側ヘッダ、24…ガス側ヘッダ、25…折り返しヘッダ、40…天板、41…底板、41a…底面、41b…立上部、41c…Y方向背面側の長辺、41d…X方向左側の短辺、41e…角部、42…正面板、43…背面板、44…左側面板、45…右側面板、46…吹出口、47…ファンガード、50…スペーサ、51…載置面、52…装着部、52a…基部、52aa…基部の一端部、52b…対向部、52ba…対向部の一端部、52c…アーム部、52d…第1の空隙部、52e…第2の空隙部、52f…第1のリブ、52g…第2のリブ、52h…爪部、60…固定部、61…引掛部、62…凸部、63…嵌合孔、A…方向、B…方向、F1…第1の面、F2…第2の面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属で形成される熱交換器と、
前記熱交換器とは異なる金属で形成される底板と、
前記熱交換器と前記底板との間に配置され、絶縁材料で形成されるスペーサと、を備え、
前記底板は、前記スペーサが固定される固定部を有し、
前記スペーサは、前記固定部を挟持する装着部を有し、
前記スペーサを前記底板の角部に配置するにあたって前記固定部は、前記底板の前記角部を挟むいずれかの一辺に設けられ、前記装着部が前記固定部に装着されることで、前記底板において前記スペーサの前記熱交換器が収容される空間側への移動が規制されることを特徴とする室外機。
【請求項2】
前記底板は、前記空間に面する第1の面と前記第1の面の反対側の面である第2の面とを有し、前記装着部は、前記固定部における前記第1の面及び前記第2の面を挟み込んで装着されることを特徴とする請求項1に記載の室外機。
【請求項3】
前記装着部は、前記固定部を覆うように、前記第1の面及び前記第2の面の両面から前記固定部を挟み込む形状を備えていることを特徴とする請求項2に記載の室外機。
【請求項4】
前記装着部は、
前記固定部における第1の面に沿うように形成された基部と、
前記基部と対向する位置に配置され前記固定部における第2の面に沿うように形成された対向部と、
前記基部の一端と前記対向部の一端とをつなぐアーム部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の室外機。
【請求項5】
前記アーム部は、少なくとも2つ備えられ、2つの前記アーム部の間に第1の空隙部を有することを特徴とする請求項4に記載の室外機。
【請求項6】
前記基部の下方に第2の空隙部を有することを特徴とする請求項4に記載の室外機。
【請求項7】
前記装着部は、
前記アーム部の外側に、前記基部から前記固定部における前記第1の面に向かって凸状に形成される第1のリブと、
前記対向部の一端に、前記対向部から前記固定部における前記第2の面に向かって凸状に形成される第2のリブと、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の室外機。
【請求項8】
前記第1のリブと前記第2のリブとの対向方向での間隔の寸法は、前記固定部の厚さの寸法より小さいことを特徴とする請求項7に記載の室外機。
【請求項9】
前記固定部に装着された際において前記底板の前記第1の面と接する前記第1のリブにおける接触部の位置と、前記底板の前記第2の面と接する前記第2のリブにおける接触部の位置とは、前記第1の面及び前記第2の面に直交する方向において等しいことを特徴とする請求項7に記載の室外機。
【請求項10】
前記底板の周縁部には立上部が形成され、前記固定部は、前記立上部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の室外機。
【請求項11】
前記固定部は、引掛部を有し、
前記固定部に前記スペーサが装着された際に、前記引掛部にアーム部が配置されることを特徴とする請求項10に記載の室外機。
【請求項12】
前記引掛部は、前記スペーサの前記アーム部の数に応じて形成され、前記固定部は、複数の前記引掛部の間に形成され前記スペーサの第1の空隙部に挿入される凸部を備えることを特徴とする請求項11に記載の室外機。
【請求項13】
前記第2のリブの下方には、前記対向部から前記基部に向けて前記第2のリブより突き出し寸法が大きな爪部が形成され、
前記固定部には、前記爪部が嵌合する嵌合孔が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の室外機。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の室外機と、
室内に設置され、前記室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、
を備える空気調和機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一態様に係る室外機は、金属で形成される熱交換器と、熱交換器とは異なる金属で形成される底板と、熱交換器と底板との間に配置され、絶縁材料で形成されるスペーサと、を備え、底板は、スペーサが固定される固定部を有し、スペーサは、固定部を挟持する装着部を有し、スペーサを底板の角部に配置するにあたって固定部は、底板の角部を挟むいずれかの一辺に設けられ、装着部が固定部に装着されることで、底板においてスペーサの熱交換器が収容される空間側への移動が規制される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の一態様に係る空気調和機は、金属で形成される熱交換器と、熱交換器とは異なる金属で形成される底板と、熱交換器と底板との間に配置され、絶縁材料で形成されるスペーサと、を備え、底板は、スペーサが固定される固定部を有し、スペーサは、固定部を挟持する装着部を有し、スペーサを底板の角部に配置するにあたって固定部は、底板の角部を挟むいずれかの一辺に設けられ、装着部が固定部に装着されることで、底板においてスペーサの熱交換器が収容される空間側への移動が規制される室外機と、室内に設置され、室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、を備える。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
スペーサ50は、後述する装着部52が底板41の固定部60に装着されることによって底板41に固定される。すなわち、スペーサ50を底板41に固定するにあたって、後述するスペーサ50の装着部52が底板41の固定部60を挟持するように固定部60に装着される。このようにスペーサ50が底板41に取り付けられることで、底板41においてスペーサ50の室外熱交換器13が収容される空間側、つまりは底板41における立上部41bで囲まれる空間への移動が規制される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
上述したように、装着部52を固定部60に装着するにあたっては、アーム部52cを基部52aと対向部52bとが広がるように変形する。そのため装着部52が固定部60に装着された後は、変形したアーム部52cが元に戻る力(復元力)が働く。この復元力によって第1のリブ52fが第1の面F1を、第2のリブ52gが第2の面F2を、互いに対向する向きに押すことになる。この働きによって装着部52は固定部60を強固に挟み込むことができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0126
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0126】
なお、本発明の実施の形態において説明した技術については、以下のような構成を採用することもできる。
(1)金属で形成される熱交換器と、
前記熱交換器とは異なる金属で形成される底板と、
前記熱交換器と前記底板との間に配置され、絶縁材料で形成されるスペーサと、を備え、
前記底板は、前記スペーサが固定される固定部を有し、
前記スペーサは、前記固定部を挟持する装着部を有し、
前記スペーサを前記底板の角部に配置するにあたって前記固定部は、前記底板の前記角部を挟むいずれかの一辺に設けられ、前記装着部が前記固定部に装着されることで、前記底板において前記スペーサの前記熱交換器が収容される空間側への移動が規制されることを特徴とする室外機。
(2)前記底板は、前記空間に面する第1の面と前記第1の面の反対側の面である第2の面とを有し、前記装着部は、前記固定部における前記第1の面及び前記第2の面を挟み込んで装着されることを特徴とする上記(1)に記載の室外機。
(3)前記装着部は、前記固定部を覆うように、前記第1の面及び前記第2の面の両面から前記固定部を挟み込む形状を備えていることを特徴とする上記(2)に記載の室外機。(4)前記装着部は、
前記固定部における前記第1の面に沿うように形成された基部と、
前記基部と対向する位置に配置され前記固定部における前記第2の面に沿うように形成された対向部と、
前記基部の一端と前記対向部の一端とをつなぐアーム部と、
を備えることを特徴とする上記(2)または(3)に記載の室外機。
(5)前記アーム部は、少なくとも2つ備えられ、2つの前記アーム部の間に第1の空隙部を有することを特徴とする上記(4)に記載の室外機。
(6)前記基部の下方に第2の空隙部を有することを特徴とする上記(4)または(5)に記載の室外機。
(7)前記装着部は、
前記アーム部の外側に、前記基部から前記固定部における前記第1の面に向かって凸状に形成される第1のリブと、
前記対向部の一端に、前記対向部から前記固定部における前記第2の面に向かって凸状
に形成される第2のリブと、
を備えることを特徴とする上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の室外機。
(8)前記第1のリブと前記第2のリブとの対向方向での間隔の寸法は、前記固定部の厚さの寸法より小さいことを特徴とする上記(7)に記載の室外機。
(9)前記固定部に装着された際において前記底板の前記第1の面と接する前記第1のリブにおける接触部の位置と、前記底板の前記第2の面と接する前記第2のリブにおける接触部の位置とは、前記第1の面及び前記第2の面を貫通する方向に直交する方向において等しいことを特徴とする上記(7)に記載の室外機。
(10)前記底板の周縁部には立上部が形成され、前記固定部は、前記立上部に設けられることを特徴とする上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の室外機。
(11)前記固定部は、引掛部を有し、前記固定部に前記スペーサが装着された際に、前記引掛部に前記アーム部が配置されることを特徴とする上記(6)ないし(10)のいずれかに記載の室外機。
(12)前記引掛部は、前記スペーサの前記アーム部の数に応じて形成され、前記固定部は、複数の前記引掛部の間に形成され前記スペーサの前記第1の空隙部に挿入される凸部を備えることを特徴とする上記(11)に記載の室外機。
(13)前記第2のリブの下方には、前記対向部から前記基部に向けて前記第2のリブより突き出し寸法が大きな爪部が形成され、
前記固定部には、前記爪部が嵌合する嵌合孔が形成されていることを特徴とする上記(7)ないし(12)のいずれかに記載の室外機。
(14)上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の室外機と、
室内に設置され、前記室外機との間で冷凍回路を構成する室内機と、
を備える空気調和機。