(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143084
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】制御弁及び建設機械
(51)【国際特許分類】
F15B 11/024 20060101AFI20241003BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F15B11/024 C
E02F9/22 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055579
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】福井 聡馬
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003AB05
2D003BA01
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB02
3H089AA33
3H089BB13
3H089BB14
3H089CC01
3H089DA03
3H089DB43
3H089FF02
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】
【課題】アクチュエータの飛び出しと遅延とを防ぐことができる制御弁及び建設機械を提供する。
【解決手段】実施形態の油圧制御弁2は、油圧ポンプ5から吐出された作動油をアームシリンダ25に供給流路7を経て供給し、アームシリンダ25から押し出された作動油をタンク9にタンク流路8を経て戻すように作動油を制御する。油圧制御弁2は、油圧ポンプ5から吐出された作動油の第1圧力と、アームシリンダ25から押し出された作動油の第2圧力との圧力差において、第1圧力が第2圧力より低い場合に、アームシリンダ25から押し出された全ての作動油を供給流路7に戻す再生弁30を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路及び第2流路に連結され、スプールの移動に伴って、ポンプから吐出された作動流体を、前記第1流路を経てアクチュエータに供給するとともに、前記アクチュエータから押し出された前記作動流体を、前記第2流路を経てタンクに戻すように前記作動流体を制御する制御弁であって、
前記ポンプから吐出された前記作動流体の圧力を第1圧力とし、前記アクチュエータから押し出された前記作動流体の圧力を第2圧力としたとき、
前記第1圧力が前記第2圧力より低い場合に、前記アクチュエータから押し出された全ての前記作動流体を前記第1流路に戻す再生弁を備える、
制御弁。
【請求項2】
前記再生弁は、前記スプールが所定の方向に最大移動したフルストロークの状態のときに、前記アクチュエータから押し出された前記作動流体を、前記第1流路と前記第2流路とに戻す位置に配置されている、
請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
車体と、
前記車体に設けられ、作動流体を吐出するポンプと、
前記車体に設けられ、前記作動流体によって駆動するアクチュエータと、
前記ポンプと前記アクチュエータとを連結する第1流路と、
タンクと前記アクチュエータとを連結する第2流路と、
前記第1流路及び前記第2流路の途中に設けられた制御弁と、
を備え、
前記制御弁は、スプールの移動に伴って、前記ポンプから吐出された前記作動流体を、前記第1流路を経て前記アクチュエータに供給するとともに、前記アクチュエータから押し出された前記作動流体を、前記第2流路を経て前記タンクに戻すように前記作動流体を制御し、
前記制御弁は、前記ポンプから吐出された前記作動流体の圧力を第1圧力とし、前記アクチュエータから押し出された前記作動流体の圧力を第2圧力としたとき、前記第1圧力が前記第2圧力より低い場合に、前記アクチュエータから押し出された全ての前記作動流体を前記第1流路に戻す再生弁を備える、
建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御弁及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械のなかには、アームにバケットを備え、アームをアクチュエータで作動させてバケットで掘削作業等を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
この種の建設機械では、例えばバケットを地面の上方位置から自重を利用して下降させる際に、バケット(すなわち、アーム)の作動を滑らかにするために以下の方法が知られている。すなわち、メーターアウト絞り面積を変えてアクチュエータから押し出される作動油の圧力を制御する方法が知られている。アクチュエータから押し出されてタンクに戻る作動油の圧力を制御することにより、アクチュエータの作動を滑らかに調整することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばアームに取り付けられたバケットの重量が重い場合、タンクに戻る作動油の圧力が高圧になり、メーターアウト絞りを流れる作動油の流量が多くなってしまう。このため、アクチュエータが飛び出すような急激な作動をする可能性があった。
この対策として、メーターアウト絞り面積を小さくすることが考えられる。しかしながら、メーターアウト絞り面積を小さくすると、タンクに戻る作動油の圧力が高圧の場合に圧力が下がるのに時間がかかる。このため、アーム用の操作レバーを操作した際に、アクチュエータの作動に遅延が発生する可能性があった。
【0005】
本発明は、アクチュエータの飛び出しと遅延とを防ぐことができる制御弁及び建設機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る制御弁は、第1流路及び第2流路に連結され、スプールの移動に伴って、ポンプから吐出された作動流体を、前記第1流路を経てアクチュエータに供給するとともに、前記アクチュエータから押し出された前記作動流体を、前記第2流路を経てタンクに戻すように前記作動流体を制御する制御弁であって、前記ポンプから吐出された前記作動流体の圧力を第1圧力とし、前記アクチュエータから押し出された前記作動流体の圧力を第2圧力としたとき、前記第1圧力が前記第2圧力より低い場合に、前記アクチュエータから押し出された全ての前記作動流体を前記第1流路に戻す再生弁を備える。
【0007】
例えばアタッチメントを地面の上方位置から自重を利用して下降させる等の作動の場合、制御弁のスプールがフルストローク域の手前側の中間域に配置される。スプールが中間域に配置された状態のとき、アクチュエータの重量が重い場合、アクチュエータから押し出された作動流体の第2圧力が比較的高く保たれる。一方、ポンプから吐出された作動流体の第1圧力が比較的低く保たれる。このため、第1圧力と第2圧力との圧力差が比較的小さく抑えられる。
【0008】
この状態では、第1圧力が第2圧力より低い場合に、アクチュエータから押し出された全ての作動流体を再生弁により第1流路に戻すことができる。第2圧力と第1圧力との圧力差は比較的小さく抑えられている。これにより、アクチュエータから押し出された作動流体を第1流路に戻す量(すなわち、再生量)を適量に抑えることができる。したがって、第2圧力と第1圧力との圧力差を好適に保つことが可能になり、アクチュエータの飛び出し(すなわち、急激な作動)を防ぐことができる。
【0009】
アクチュエータから押し出された作動流体の適量を第1流路に戻す(再生する)ことにより、アクチュエータから押し出された作動流体の第2圧力を好適に下げることができる。このため、操作レバーの操作に対応させて第2圧力を迅速に下げることができる。よって、操作レバーの操作に対するアクチュエータの遅延を防ぐことができる。
【0010】
上記構成において、前記再生弁は、前記スプールが所定の方向に最大移動したフルストロークの状態のときに、前記アクチュエータから押し出された前記作動流体を、前記第1流路と前記第2流路とに戻す位置に配置されていてもよい。
【0011】
本発明の他の態様に係る建設機械は、車体と、前記車体に設けられ、作動流体を吐出するポンプと、前記車体に設けられ、前記作動流体によって駆動するアクチュエータと、前記ポンプと前記アクチュエータとを連結する第1流路と、タンクと前記アクチュエータとを連結する第2流路と、前記第1流路及び前記第2流路の途中に設けられた制御弁と、を備え、前記制御弁は、スプールの移動に伴って、前記ポンプから吐出された前記作動流体を、前記第1流路を経て前記アクチュエータに供給するとともに、前記アクチュエータから押し出された前記作動流体を、前記第2流路を経て前記タンクに戻すように前記作動流体を制御し、前記制御弁は、前記ポンプから吐出された前記作動流体の圧力を第1圧力とし、前記アクチュエータから押し出された前記作動流体の圧力を第2圧力としたとき、前記第1圧力が前記第2圧力より低い場合に、前記アクチュエータから押し出された全ての前記作動流体を前記第1流路に戻す再生弁を備える。
【0012】
このように構成することで、車体に設けられた制御弁により、第2圧力と第1圧力との圧力差を好適に保つことが可能になる。これにより、アクチュエータの飛び出しを防ぐことができる建設機械を提供できる。
また、操作レバーの操作に対応させて第2圧力を迅速に下げることができる。これにより、操作レバーの操作に対するアクチュエータの遅延を防ぐことができる建設機械を提供できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アクチュエータの飛び出しと遅延とを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態における建設機械の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態における駆動装置の油圧回路図である。
【
図3】本発明の実施形態のアームシリンダ回路においてバケットを地面の上方位置から下降させる状態を示す回路図である。
【
図4】本発明の実施形態のアームシリンダ回路においてバケットで掘削作業等を行う状態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態に係る制御弁及び建設機械を図面に基づいて説明する。
【0016】
<建設機械>
図1は、実施形態における建設機械の概略構成図である。
図1に示すように、建設機械100は、例えば油圧ショベル等である。建設機械100は、旋回体(請求項における車体の一例)101と、旋回体101の下部に設けられた走行体(請求項における車体の一例)102と、これら旋回体101や走行体102を駆動するための駆動装置1と、を備える。駆動装置1は、例えば旋回体101に設けられている。
【0017】
旋回体101は、走行体102に対して旋回する。旋回体101は、キャブ103と、キャブ103に一端が連結されたブーム104と、ブーム104の他端に一端が連結されたアーム105と、アーム105の他端に連結されたバケット106と、を備える。キャブ103は、旋回体101に搭乗する操作者を支持する。ブーム104は、旋回体101の本体に対して揺動する。アーム105は、ブーム104に対して揺動する。バケット106は、アーム105に対して揺動する。すなわち、ブーム104、アーム105、及びバケット106は、建設機械100の作業装置を構成する。
【0018】
<駆動装置>
図2は、実施形態における駆動装置1の油圧回路図である。
図1、
図2に示すように、駆動装置1は、旋回体101や走行体102を駆動させるための各アクチュエータ21~26と、各アクチュエータ21~26の駆動源となる作動油(請求項における作動流体の一例)を吐出する油圧ポンプ5と、各アクチュエータ21~26と油圧ポンプ5とを連結する供給流路(請求項における第1流路の一例)7と、各アクチュエータ21~26とタンク9とを連結するタンク流路(請求項における第2流路の一例)8と、供給流路7及びタンク流路8の途中に設けられた油圧制御弁(請求項における制御弁の一例)2と、を備える。
【0019】
油圧制御弁2は、例えば、走行用のスプール11,12と、旋回用のスプール13と、ブーム用のスプール14と、アーム用のスプール15と、バケット用のスプール16と、を備える。駆動装置1は、油圧ポンプ5から吐出された作動油が供給流路7及び各スプール11~16を経て各アクチュエータ21~26のポートに供給される。油圧制御弁2は、走行用のスプール11,12、旋回用のスプール13、ブーム用のスプール16、アーム用のスプール15、バケット用のスプール16により作動油を制御する。
【0020】
各アクチュエータ21~26は、旋回体101や走行体102を駆動させるための各部の総称である。すなわち、各アクチュエータ21~26は、走行用の油圧モータ21,22と、旋回用の油圧モータ23と、ブーム用の油圧シリンダ24と、アーム用の油圧シリンダ(請求項におけるアクチュエータの一例)25と、バケット用の油圧シリンダ26と、により構成されている。
【0021】
走行用のスプール11,12は、油圧ポンプ5と走行用の油圧モータ21,22との途中に設けられている。走行用のスプール11,12を操作することにより、走行体102の走行を制御する。旋回用のスプール13は、油圧ポンプ5と旋回用の油圧モータ23との途中に設けられている。旋回用のスプール13を操作することにより、旋回体101の旋回を制御する。
【0022】
ブーム用のスプール14は、油圧ポンプ5とブーム用の油圧シリンダ24との途中に設けられている。ブーム用のスプール14を操作することにより、ブーム104の揺動を制御する。アーム用のスプール15は、油圧ポンプ5とアーム用の油圧シリンダ(請求項におけるアクチュエータの一例)25との途中に設けられている。アーム用のスプール15を操作することにより、アーム105の揺動を制御する。バケット用のスプール16は、油圧ポンプ5とバケット用の油圧シリンダ26との途中に設けられている。バケット用のスプール16を操作することにより、バケット106の揺動を制御する。
【0023】
次に、アーム用のスプール15及びアーム用の油圧シリンダ25を制御する回路3について説明する。以下、アーム用のスプール15及びアーム用の油圧シリンダ25を制御する回路3を「アームシリンダ回路3」ということがある。アーム用のスプール15を「アームスプール15」、アーム用の油圧シリンダ25を「アームシリンダ25」ということがある。アームシリンダ25のうち、シリンダヘッド側のポートPo1を「ヘッドポートPo1」、シリンダロッド側のポートPo2を「ロッドポートPo2」ということがある。
【0024】
<アームシリンダ回路>
アームシリンダ回路3は、アームスプール15と、供給流路7及びタンク流路8を介してアームスプール15に連結されたアームシリンダ25と、を備えている。アームスプール15は、図示しない弁体の内部に軸線方向に移動可能に設けられている。アームスプール15は、中立領域P1と、上昇領域P2と、下降領域P3と、を備えている。
アームスプール15が中立領域P1に配置されることにより、油圧ポンプ5から吐出された作動油がアームスプール15を経てタンク9に戻される。アームシリンダ25のヘッドポートPo1及びロッドポートPo2はアームスプール15により閉じられる。よって、アーム105が静止状態に保たれる。
【0025】
アームスプール15が上昇領域P2に配置されることにより、油圧ポンプ5から吐出された作動油がアームスプール15を経てアームシリンダ25のロッドポートPo2に供給される。また、アームシリンダ25のヘッドポートPo1から押し出された作動油がアームスプール15を経てタンク9に戻される。よって、アームシリンダ25が収縮してアーム105が上昇する。
【0026】
アームスプール15が下降領域P3に配置されることにより、油圧ポンプ5から吐出された作動油が供給流路7及びアームスプール15等を経てアームシリンダ25のヘッドポートPo1に供給される。また、アームシリンダ25のロッドポートPo2から押し出された作動油がアームスプール15及びタンク流路(請求項における第2流路の一例)8等を経てタンク9に戻される。このため、アームシリンダ25が伸長してアーム105が下降する。
【0027】
ここで、バケット106の下降やバケット106による掘削作業等を円滑に制御するためにアームスプール15には再生弁30が内蔵されている。以下、アームスプール15及び再生弁30を
図1、
図3、
図4に基づいて詳しく説明する。
図3は、実施形態のアームシリンダ回路3において、バケット106を地面の上方位置から下降させる状態を示す回路図である。
【0028】
図1、
図3に示すように、アームスプール15は、図示しないバルブ本体の内部に軸線方向へ移動可能に収納されている。アームスプール15は、操作者が図示しない操作レバーを操作することにより、アーム105を下降させる下降領域P3に移動される。
アーム105の下降領域P3は、中間域P3aと、フルストローク域P3bと、を有する。中間域P3aは、中立領域P1とフルストローク域P3bとの間に位置する。中間域P3aは、例えばバケット106を地面の上方位置から自重を利用して下降させる等の作動の場合にアームスプール15が配置される領域である。
【0029】
図3では、操作レバーの操作によりアームスプール15が中間域P3aに配置されている。フルストローク域P3bは、例えば、バケット106で掘削作業等を行う作動の場合にアームスプール15が最大移動して配置される領域である。以下、アームスプール15がフルストローク域P3bに配置された状態を、「フルストロークの状態」ということがある。
【0030】
アームスプール15の内部には、再生弁30が軸線方向に移動可能に収納されている。再生弁30は、油圧ポンプ5から吐出された作動油の第1圧力(請求項における第1圧力の一例)、アームシリンダ25から押し出された作動油の第2圧力(請求項における第2圧力の一例)、及びスプリング32の押付力により、軸線方向に移動可能である。
【0031】
第1圧力は、油圧ポンプ5から吐出されて供給流路7を流れる作動油の圧力である。第2圧力は、アームシリンダ25のロッドポートPo2から押し出された作動油の圧力である。
図3では、アームスプール15が中間域P3aに配置された状態のとき、再生弁30がロッドポートPo2から押し出された作動油の第2圧力により第1再生位置P4に配置されている。
【0032】
図4は、実施形態のアームシリンダ回路3において、バケット106で掘削作業等を行う状態を示す回路図である。
図1、
図4に示すように、アームスプール15は、操作者が図示しない操作レバーを操作することによりフルストローク域P3bに配置されている。アームスプール15がフルストローク域P3bに配置された状態のとき、再生弁30が供給流路7を流れる作動油の第1圧力とスプリング32の押付力とにより第2再生位置P5に配置されている。
【0033】
<アームシリンダ回路の作動>
次に、バケット106を下降する作動と、バケット106により掘削作業等を行う作動を
図1、
図3、
図4に基づいて説明する。
まず、バケット106を地面の上方位置から自重を利用して下降させる等の作動を
図1、
図3に基づいて説明する。
図1、
図3に示すように、操作レバー(不図示)を操作してアームスプール15を下降領域P3の中間域P3aに配置する。油圧ポンプ5から吐出された作動油がアームスプール15を経てアームシリンダ25のヘッドポートPo1からアームシリンダ25の内部に供給される。アームシリンダ25のピストン25aが移動することより、アームシリンダ25のロッドポートPo2から作動油が押し出され、アームシリンダ25が伸長する。
【0034】
ここで、アーム105の他端には重量が重いバケット106が連結されている。このため、アームスプール15を中間域P3aに移動した状態のとき、油圧ポンプ5から吐出された作動油の第1圧力に比べてヘッドポートPo1から押し出された作動油の第2圧力が高くなる。さらに、第2圧力と第1圧力との圧力差が一定値以上高くなる。この状態のとき、第2圧力により再生弁30が第1再生位置P4に配置される。
【0035】
再生弁30が第1再生位置P4に配置されることにより、ヘッドポートPo1から押し出された作動油がアームスプール15及び再生弁30を経て供給流路7に戻る(再生する)。この状態では、アーム105の他端に連結されたバケット106を地面の上方位置から自重を利用してアーム105とともに下降させることができる。
【0036】
次に、バケット106で掘削作業等を行う作動を
図1、
図4に基づいて説明する。
図1、
図4に示すように、図示しない操作レバーを操作してアームスプール15を下降領域P3のフルストローク域P3bに配置する。油圧ポンプ5から吐出された作動油がアームスプール15を経てアームシリンダ25のヘッドポートPo1からアームシリンダ25の内部に供給される。アームシリンダ25のピストン25aが移動することより、アームシリンダ25のロッドポートPo2から作動油が押し出され、アームシリンダ25が伸長する。
【0037】
アーム105とともにバケット106が下降して、バケット106により掘削作業等が行われる。バケット106により掘削作業等を行うことにより、バケット106(すなわち、アーム105)に被掘削部から大きな負荷が作用される。このため、アームスプール15をフルストローク域P3bに配置した状態では、油圧ポンプ5から吐出された作動油の第1圧力がロッドポートPo2から押し出された作動油の第2圧力に比べて高くなる。さらに、第1圧力と第2圧力との圧力差が一定値以上高くなる。この状態のとき、第1圧力とスプリング32の押付力とにより再生弁30が第2再生位置P5に配置される。
【0038】
再生弁30が第2再生位置P5に配置されることにより、ロッドポートPo2から押し出された作動油をアームスプール15及び再生弁30を経て供給流路7とタンク流路8との両方に戻す(再生する)。この状態では、アーム105の他端に連結されたバケット106で掘削作業等を行うことができる。
【0039】
以上説明したように、実施形態における油圧制御弁2は、再生弁30を備えたアームシリンダ回路3を有する。アームシリンダ回路3では、
図1、
図3に示すように、例えばバケット106を地面の上方位置から自重を利用して下降させる等の作動の場合、アームスプール15が下降領域P3の中間域P3aに配置される。アームスプール15が中間域P3aに配置された状態のとき、バケット106の重量が重い場合、アームシリンダ25のロッドポートPo2から押し出された作動油の第2圧力が比較的高く保たれる。一方、油圧ポンプ5から吐出された作動油の第1圧力が比較的低く保たれる。このため、第1圧力と第2圧力との圧力差が比較的小さく抑えられる。
【0040】
この状態では、第1圧力が第2圧力より低く、第2圧力と第1圧力との圧力差が一定値以上高い場合に、アームシリンダ25のロッドポートPo2から押し出された全ての作動油を再生弁30により供給流路7に戻すことができる。また、第2圧力と第1圧力との圧力差は比較的小さく抑えられている。これにより、アームシリンダ25のロッドポートPo2から押し出された作動油を供給流路7に戻す量(すなわち、再生量)を適量に抑えることができる。したがって、第2圧力と第1圧力との圧力差を好適に保つことが可能になり、アームシリンダ25におけるピストンロッド25bの飛び出し(すなわち、急激な作動)を防ぐことができる。
【0041】
また、アームシリンダ25のロッドポートPo2から押し出された作動油の適量を供給流路7に戻す(再生する)ことにより、アームシリンダ25のロッドポートPo2から押し出された作動油の第2圧力を好適に下げることができる。このため、図示しない操作レバーの操作に対応させて第2圧力を迅速に下げることができる。これにより、操作レバーの操作に対するアームシリンダ25の遅延を防ぐことができる。
【0042】
ここで、
図1、
図4に示すように、バケット106で掘削作業等を行う作動の場合、アームスプール15が下降領域P3のフルストローク域P3bに配置され、フルストロークの状態に保たれる。アームスプール15がフルストローク域P3bに配置された状態のとき、バケット106による掘削作業等によりアーム105に大きな負荷が作用する。このため、油圧ポンプ5から吐出された作動油の第1圧力が高くなる。
【0043】
この状態では、アームシリンダ25のロッドポートPo2から押し出された作動油を再生弁30により供給流路7とタンク流路8との両方に戻すことができる。
このため、アームシリンダ25のロッドポートPo2から押し出された作動油の第2圧力を好適に下げることができる。これにより、アームシリンダ25の作動を第2圧力によって妨げないようにできる。したがって、アームシリンダ25を円滑に作動させることができる。
【0044】
実施形態における建設機械100では、旋回体101に油圧制御弁2を設けた。このため、第2圧力と第1圧力との圧力差を油圧制御弁2により好適に保つことが可能になる。これにより、アームシリンダ25におけるピストンロッド25bの飛び出しを防ぐことができる建設機械100を提供できる。
また、図示しない操作レバーの操作に対応させて第2圧力を迅速に下げることができる。これにより、操作レバーの操作に対するアームシリンダ25の遅延を防ぐことができる建設機械100を提供できる。
【0045】
本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0046】
例えば、上述の実施形態では、建設機械100として、ブーム104、アーム105、及びバケット106の作業装置を備えた油圧ショベルを例に説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、ブーム104、アーム105、及びバケット106以外の他の作業装置を備えた建設機械等に本発明を適用してもよい。
【0047】
上述の実施形態では、アーム105を制御するアームシリンダ回路3に本発明を適用して、アタッチメントとしてのバケット106をアーム105で作動させる例について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、その他の例として、例えば他のアタッチメントを作動させる回路に本発明を適用してもよい。
上述の実施形態では、作動流体として作動油を例示した。しかしながらこれに限られるものではなく、作動油以外の作動流体に本発明を適用してもよい。作動流体は液体に限られるものではなく、気体でもよい。
【0048】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
【0049】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0050】
1…駆動装置、2…油圧制御弁(制御弁)、3…アームシリンダ回路、5…油圧ポンプ(ポンプ)、7…供給流路(第1流路)、8…タンク流路(第2流路)、9…タンク、15…アームスプール(スプール)、25…アームシリンダ(アーム用の油圧シリンダ、アクチュエータ)、30…再生弁、100…建設機械、101…旋回体(車体)、102…走行体(車体)