(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143086
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】情報読取システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G06K7/10 136
G06K7/10 224
G06K7/10 244
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055581
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】堀井 正勝
(72)【発明者】
【氏名】井川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 裕之
(57)【要約】
【課題】無線タグの読取精度を向上できる情報読取システムを提供する。
【解決手段】情報読取システム100は、載置面121A上の読取領域123の本群110A~110Dに付されたRFIDタグ106A~106Eから情報ID1~ID4を読み取る無線タグ読取装置1と、無線タグ読取装置1と載置面121Aとの間、かつ、平面視において無線タグ読取装置1のうちアンテナ部11の領域に配置され、電波を吸収する電波吸収性能を有する電波吸収体108と、を備える。電波吸収体108には、電波吸収体108の読取領域123側とアンテナ部11側とを貫通するように、平面視においてアンテナ部11のうち少なくとも中心C側の一部と重畳する位置に電波通過部109が設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象の物品が載置される載置面と、
前記載置面側が読取可能となるように前記載置面に露出せずに設置され、前記載置面上の読取領域の前記物品に付された無線タグから情報を読み取る無線タグ読取装置と、
前記無線タグ読取装置と前記載置面との間、かつ、平面視において前記無線タグ読取装置のうちアンテナ部の領域に配置され、電波を吸収する電波吸収性能を有する電波吸収体と、
を備え、
前記電波吸収体には、前記電波吸収体の前記読取領域側と前記アンテナ部側とを貫通するように、平面視において前記アンテナ部のうち少なくとも中心側の一部と重畳する位置に電波通過部が設けられている、
情報読取システム。
【請求項2】
前記電波吸収体は、少なくとも前記電波通過部の内壁の全体に前記電波吸収性能を有する、
請求項1に記載の情報読取システム。
【請求項3】
前記アンテナ部は平面視において四角形状であり、
前記電波通過部は、平面視において前記読取領域と重畳する位置に、前記読取領域に応じた角孔状で形成される、
請求項1に記載の情報読取システム。
【請求項4】
前記無線タグ読取装置及び前記電波吸収体を収容し、外部から前記無線タグ読取装置への電波の進入を遮蔽する電波遮蔽性を有する収容部を備える、
請求項1に記載の情報読取システム。
【請求項5】
前記載置面は、読取台の天板の上面であり、
前記収容部は前記天板の下面側に設置され、
前記収容部は上部開口を有し、前記上部開口から前記無線タグ読取装置及び前記電波吸収体を内部に収容し、
前記収容部は、前記上部開口を塞ぐ蓋を有し、
前記蓋は前記電波遮蔽性を有し、
前記蓋は、前記読取領域と対向する位置に開口を有する、
請求項4に記載の情報読取システム。
【請求項6】
前記載置面のうち前記読取領域を除く部分に、外部から前記無線タグ読取装置への電波の進入を遮蔽する電波シールド材が設置される、
請求項1に記載の情報読取システム。
【請求項7】
前記無線タグ読取装置は、
前記読取領域に載置されている前記無線タグから情報を読み取る前記アンテナ部と、
前記アンテナ部の動作を制御する読取制御部と、を備え、
前記アンテナ部及び前記読取制御部は、単一の筐体に収容され、
前記アンテナ部は複数のアンテナを有し、
前記複数のアンテナは、前記アンテナ部の中心側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置される、
請求項1に記載の情報読取システム。
【請求項8】
前記複数のアンテナは、前記アンテナ部の中心まわりの周方向に沿って配置され、かつ、前記中心側の前記アンテナ部の上面との距離が、前記アンテナ部の遠心側より大きくなるように傾斜して設置される、
請求項7に記載の情報読取システム。
【請求項9】
前記アンテナ部は平面視において正方形状に形成され、
前記複数のアンテナは、前記アンテナ部内に各アンテナを並列配置可能な大きさの正方形状で形成される、
請求項7に記載の情報読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどの無線タグを用いて物品の管理を行う技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、セルフレジのレジカウンタ上にRFIDリーダを設置し、RFIDタグが付加された商品をRFIDリーダ上に置くことにより当該商品のタグ情報を読み取って精算処理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1などに記載の従来の無線タグからの情報読取システムでは、RFIDリーダがカウンタ上に設置されるため、RFIDリーダ上に置いたもの以外のタグ情報を読み取る虞がある。
【0006】
本開示は、無線タグの読取精度を向上できる情報読取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の一観点に係る情報読取システムは、読取対象の物品が載置される載置面と、前記載置面側が読取可能となるように前記載置面に露出せずに設置され、前記載置面上の読取領域の前記物品に付された無線タグから情報を読み取る無線タグ読取装置と、前記無線タグ読取装置と前記載置面との間、かつ、平面視において前記無線タグ読取装置のうちアンテナ部の領域に配置され、電波を吸収する電波吸収性能を有する電波吸収体と、を備え、前記電波吸収体には、前記電波吸収体の前記読取領域側と前記アンテナ部側とを貫通するように、平面視において前記アンテナ部のうち少なくとも中心側の一部と重畳する位置に電波通過部が設けられている。
【0008】
この態様によれば、無線タグ読取装置と読取領域との間に、電波通過部が設けられる電波吸収体を配置することにより、無線タグ読取装置のタグ情報の読取可能範囲を載置面上の読取領域の範囲に絞り込むことを容易にできる。この結果、この態様の情報読取システムは、読取領域上にある読取対象の無線タグの読取精度を向上できる。
【0009】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取システムでは、前記電波吸収体は、少なくとも前記電波通過部の内壁の全体に前記電波吸収性能を有する構成でもよい。
【0010】
この態様によれば、電波吸収体は、例えば電波通過部の内壁の全体に該当する部分のみを電波吸収性能を有する材料で形成すれば、アンテナ部から中心に対して外側に広がる方向に出力された電波を内壁で吸収する、という電波吸収体の所望の効果を奏することができる。さらに、電波通過部の内壁の全体に該当する部分以外には、電波吸収性能を有する材料を用いる制約が無いので、内壁に該当しない部分に電波吸収性能を有する材料より安価な材料を用いれば、電波吸収体の製造コストを低減できる。
【0011】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取システムでは、前記アンテナ部は平面視において四角形状であり、前記電波通過部は、平面視において前記読取領域と重畳する位置に、前記読取領域に応じた角孔状で形成される構成でもよい。
【0012】
この態様によれば、アンテナ部から出力される電波のうち載置面上に到達する電波を読取領域の範囲に確実に絞り込むことが可能となるので、読取対象の無線タグの読取精度をさらに向上できる。また、読取領域と電波通過部の形状が略同一であると、電波通過部の断面積が読取領域の面積より小さい場合と比較して、載置面のうち読取領域内に進出できる電波を漏れなく載置面上に到達させることができるので、無線タグの読取を効率良く行うことができる。
【0013】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取システムは、前記無線タグ読取装置及び前記電波吸収体を収容し、外部から前記無線タグ読取装置への電波の進入を遮蔽する電波遮蔽性を有する収容部を備える構成でもよい。
【0014】
この態様によれば、無線タグ読取装置により無線タグから読み取られるタグ情報にノイズが含まれることを抑制できるので、読取対象の無線タグの読取精度をさらに向上できる。
【0015】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取システムでは、前記載置面は、読取台の天板の上面であり、前記収容部は前記天板の下面側に設置され、前記収容部は上部開口を有し、前記上部開口から前記無線タグ読取装置及び前記電波吸収体を内部に収容し、前記収容部は、前記上部開口を塞ぐ蓋を有し、前記蓋は前記電波遮蔽性を有し、前記蓋は、前記読取領域と対向する位置に開口を有する構成でもよい。
【0016】
この態様によれば、収容部の内部への電波の進入の抑制と、無線タグ読取装置のアンテナ部から出力される電波の読取領域の範囲内への誘導と、をさらに促進できる。
【0017】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取システムでは、前記載置面のうち前記読取領域を除く部分に前記電波シールド材が設置される構成でもよい。
【0018】
この態様によれば、載置面上において、読取領域を除く部分から読取装置への電波の進入をさらに防止できるので、読取対象のタグ読取の精度をさらに向上できる。
【0019】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取システムでは、前記無線タグ読取装置は、前記読取領域に載置されている前記無線タグから情報を読み取る前記アンテナ部と、前記アンテナ部の動作を制御する読取制御部と、を備え、前記アンテナ部及び前記読取制御部は、単一の筐体に収容され、前記アンテナ部は複数のアンテナを有し、前記複数のアンテナは、前記アンテナ部の中心側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置される構成でもよい。
【0020】
この態様によれば、複数のアンテナを、アンテナ部の中心側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置する構成、すなわち、複数のアンテナの指向性をアンテナ部の中心側にずらす構成をとる。この構成によって、アンテナ部の中心を含む中央部分のアンテナ利得の低減を抑制することが可能となるので、従来より小型のアンテナを用いても、アンテナ部の中央部のアンテナ利得を従来と同等にできる。したがって、所望の読取性能を実現するために適用するアンテナを小型化できる。さらに、アンテナ部の中心を含む中央部分のアンテナ利得を相対的に高くできるので、アンテナ部の上面の全体に亘ってアンテナ利得をより均一化でき、アンテナ部11の上面上における無線タグの読取性能を向上できる。この結果、無線タグの読取性能を向上でき、かつ装置の小型化が図れる。
【0021】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取システムでは、前記複数のアンテナは、前記アンテナ部の中心まわりの周方向に沿って配置され、かつ、前記中心側の前記アンテナ部の上面との距離が、前記アンテナ部の遠心側より大きくなるように傾斜して設置される構成でもよい。
【0022】
この態様によれば、各アンテナの電波受信方向をアンテナ部の中心の方向へ傾斜するように配置することが可能となるので、複数のアンテナの電波放射範囲が、アンテナ部の中心側でより確実に重なるように配置することができ、無線タグのより一層の読取性能の向上と、装置のより一層の小型化が図れる。
【0023】
本発明の実施形態の他の観点に係る情報読取システムでは、前記アンテナ部は平面視において正方形状に形成され、前記複数のアンテナは、前記アンテナ部内に各アンテナを並列配置可能な大きさの正方形状で形成される構成でもよい。
【0024】
この態様によれば、アンテナ部の読取可能範囲がアンテナ部の上面の全体に亘るように設定しやすくできる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、無線タグの読取精度を向上できる情報読取システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る情報読取システムの全体構成を示す斜視図
【
図2】実施形態に係る無線タグ読取装置の設置構造を示す分解斜視図
【
図4】
図3に示す無線タグ読取装置を上側から視た平面図
【
図8】電波吸収体と無線タグ読取装置のアンテナ部との位置関係を示す平面図
【
図10】第1変形例に係る電波吸収体とアンテナ部との位置関係を示す平面図
【
図11】第2変形例に係る電波吸収体とアンテナ部との位置関係を示す平面図
【
図12】第3変形例に係る無線タグ読取装置及び収容部を示す斜視図
【
図16】発報制御及びタグ情報読取制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0028】
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。X方向は、情報読取システム100の読取台102の天板121の矩形状の一方の対辺(
図1の例では長辺)の方向であり、例えばシステムの利用者から視た前後方向である。Y方向は、情報読取システム100の読取台102の天板121の矩形状の他方の対辺(
図1の例では短辺)の方向であり、例えばシステムの利用者から視た左右方向である。また、以下では説明の便宜上、Z正方向側を上側、Z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0029】
<情報読取システム100の構造>
図1、
図2を参照して、実施形態に係る情報読取システム100の構造について説明する。
【0030】
図1は、実施形態に係る情報読取システム100の全体構成を示す斜視図である。情報読取システム100は、無線タグが貼付される被測定物(物品)が所定位置に載置された状態で、これらの無線タグから情報を読み取る装置である。本実施形態では、無線タグの一例としてRFID(Radio Frequency Identification)タグ106を挙げ、無線タグ読取装置1によってRFIDタグ106から情報を読み取る構成を例示する。
【0031】
また、本実施形態の情報読取システム100は、書籍や雑誌などの本110の任意の位置にRFIDタグ106が貼付され、これらのRFIDタグ106の情報を読み取る構成を例示する。RFIDタグ106は、貼付されている本110(物品)に関する情報IDが記録されている。RFIDタグ106は、ICチップとICチップに電気的に接続されるアンテナとを備え、ICチップ内に情報IDを記録することができる。
【0032】
図1の例のように、読取対象の物品が本110である場合には、RFIDタグ106に記録される情報IDの内容としては、例えば各タグが貼付される本110の題名、著者名、発行年などの情報を含むことができる。また、本110が図書館などの施設で利用される場合には、本110の貸出履歴や返却履歴の情報なども含むことができる。または、RFIDタグ106に記録される情報IDは該当タグの識別情報のみとしてもよい。この場合、情報読取システム100は、RFIDタグ106から読み取った識別情報に基づいて、データベース等に記録されている本110に関する情報を抽出して取得することができる。RFIDタグ106は、ICタグ、RF-IDタグ、RFタグと呼ばれることもある。また、読取対象の物品が本110である場合には、RFIDタグ106を本110自体に貼付する構成以外にも、例えば本110の中に差し込まれるしおりやスリップ(書店などで抜く細長く折れた紙)にRFIDタグ106を貼付する構成でもよい。すなわち、読取対象の本110に、しおり等を介してRFIDタグ106が差し込まれる構成でもよい。本実施形態では、RFIDタグ106を読取対象の物品に付加されている状態を表す「貼付」とは、RFIDタグ106が物品自体に直接貼付される構成以外にも、物品に差し込み、挿入、または係止される別の要素に貼付されて、読取対象の物品に間接的に貼付される構成も含む。
【0033】
なお、RFIDタグ106が貼付される物品は、
図1に例示する本110に限られない。特に本実施形態の情報読取システム100で読取対象とする物品は、主に保管時に垂直方向や水平方向に積層配置される物品であり、複数の物品に個別に貼付されている複数のRFIDタグ106から纏めて情報IDを読み取るケースがある物品であるのが好ましい。このような物品としては、例えばトレーディングカードなどのカード類、クリアファイルやノートなどの文房具類、菓子などの食品類、新聞、チケット、切符、または、採血管や薬品などの医療用品、などが挙げられる。
【0034】
本実施形態では、
図1に示すように、情報読取システム100の一例として、RFIDタグ106A~106Dが貼付された複数の本110A~110Dが平積みされている状態において、各本110A、110B、110C、110Dに貼付されている複数のRFIDタグ106A、106B、106C、106Dから纏めて情報ID1、ID2、ID3、ID4を読み取る適用例を例示して説明する。なお、以下の説明では、複数の本110A~110Dを纏めて「本110」と表記したり、複数のRFIDタグ106A~106Dを纏めて「RFIDタグ106」と表記したり、複数の情報ID1~ID4を纏めて「情報ID」と表記する場合がある。
【0035】
図1に示すように、情報読取システム100は、読取台102と、無線タグ読取装置1と、制御装置104と、タッチパネル105と、入口センサ133と、出口センサ134と、バーコードリーダ128と、パトライト(登録商標)127と、を備える。
【0036】
読取台102は、読取対象の物品が載置される台であって、
図1の例では矩形状の天板121と、天板の矩形の4つの角部にそれぞれ設けられる4本の脚部122とを有する。天板121の上面121Aが、読取対象の物品を置く載置面として用いられる。以下の説明では「載置面121A」とも表記する場合がある。
【0037】
無線タグ読取装置1は、載置面121A上のRFIDタグ106A~106Dから情報ID1~ID4を読み取る読取装置の一例である。無線タグ読取装置1は、載置面121A側が読取範囲となるように、載置面121Aに露出せずに設置される。
図1の例では、無線タグ読取装置1は、読取台102の天板121の下面121B側に設置されている。なお、無線タグ読取装置1を載置面121Aに露出せずに設置する構成は
図1の例に限られない。例えば天板121の上面121Aに凹部を設け、この凹部に無線タグ読取装置1を挿入し、凹部の上部開口または無線タグ読取装置1の上面をカバーで覆う構成などでもよい。
【0038】
図1に示すように、載置面121A上において、Z方向から視た平面視において、無線タグ読取装置1と重畳する所定領域が、読み取り対象物からタグ情報を読み取ることができる読取領域123となる。この読取領域123の範囲内に読取対象の物品である複数の本110A~110Dが置かれると、無線タグ読取装置1は、これらの本110A~110Dにそれぞれ貼付されるRFIDタグ106A~106Dから情報ID1~ID4を取得することができる。一方、
図1に示すように、読取領域123以外の場所に置かれている本110E、110F、110G、110Hについては、無線タグ読取装置1は各本に貼付されているRFIDタグ106E、106F、106G、106Hから情報を読み取ることはできない。
【0039】
読取領域123は、無線タグ読取装置1のうちアンテナ部11(
図3など参照)の直上の位置に配置され、外形がアンテナ部11のものと略同一であり、面積も略同一であるのが好ましい。ただし、読取領域123の大きさは無線タグ読取装置1のアンテナ部11より大きくてもよいし、小さくてもよい。
図1では、
図3以降に具体的な構造を示す無線タグ読取装置1を模式的に直方体形状で図示しているが、本実施形態では、無線タグ読取装置1のアンテナ部11の平面視の形状が矩形状であるので、読取領域123も矩形状に形成される。
【0040】
また、システムの利用者に読取領域123の位置を視認できるように、載置面121A上の読取領域123が他の部分と区別できるようにするのが好ましい。例えば、載置面121A上の読取領域123の外縁部分に線を描いてもよいし、読取領域123の色を他の部分と異ならせてもよい。
【0041】
入口センサ133は、物品としての本110が読取領域123に進入したことを検知する進入検知装置の一例である。出口センサ134は、物品としての本110が読取領域123から退出したことを検知する退出検知装置の一例である。
【0042】
図1の例では、読取台102の天板121に対して、読取領域123からY負方向側の位置に進入台125が配置され、Y正方向側の位置に退出台126が配置されている。進入台125及び退出台126は、少なくとも天板121と同様に読取対象の本110を載置できる載置面を有するものであればよい。例えば、読取台102と同様に車輪によって移動可能な机状のものや、車輪を有しない机状のもの、台車、など任意のものを適用できる。また、進入台125及び退出台126は、本110を載置する載置面が読取台102の載置面121Aと面一となる高さに配置されるのが好ましい。これにより
図1に矢印M1で示す進入台125から読取台102への本110の移動と、矢印M2で示す読取台102から退出台126への本110の移動と、をスムーズに行うことができる。
【0043】
つまり
図1の例では、Y方向に沿って進入台125、読取台102の読取領域123、退出台126の順で配置され、矢印M1、M2で示す進入台125側から退出台126側への方向が本110の搬送方向となる。また、
図1の例では、作業員が手動で、進入台125に載置された本110を矢印M1の方向に沿って読取台102の読取領域123まで移動させ、さらに読取領域123を通過させてタグ読取が済んだ本110を矢印M2の方向に沿って退出台126まで本110を移動させる。
【0044】
そして、入口センサ133と出口センサ134は、本110の搬送方向のうち読取領域123より上流側及び下流側に配置される。入口センサ133及び出口センサ134には、例えば赤外線センサやカメラなどの任意の検知装置を適用できる。
【0045】
入口センサ133は、例えば読取台102の天板121の上面121Aのうち読取領域123に対してX負方向側かつY負方向側の任意の位置(
図1では天板121の同方向の角部)に設置される。さらに入口センサ133は、
図1に点線矢印S1で示すように、X正方向側が検知範囲となるように設置される。これらの構成により、入口センサ133は、進入台125から読取台102の天板121との境界部分を通過する本110を検知することができ、この結果、本110が読取領域123に進入したことを検知することができる。
【0046】
出口センサ134は、例えば読取台102の天板121の上面121Aのうち読取領域123に対してX負方向側かつY正方向側の任意の位置(
図1では天板121の同方向の角部)に設置される。さらに出口センサ134は、
図1に点線矢印S2で示すように、X正方向側が検知範囲となるように設置される。これらの構成により、出口センサ134は、読取台102の天板121から退出台126との境界部分を通過する本110を検知することができ、この結果、
図1に点線の箱体で示すように、本110が読取領域123から退出したことを検知することができる。
【0047】
バーコードリーダ128は、読取領域123に載置された本110に記載されるバーコード129からISBNを読み取る装置の一例である。
【0048】
パトライト127は、無線タグ読取装置1によるRFIDタグ106の読み取りエラーの発生を報知する報知部の一例である。また、パトライト127は、情報読取システム100の動作状態を報知する機能も有する。
【0049】
制御装置104は、無線タグ読取装置1、タッチパネル105、入口センサ133、出口センサ134、バーコードリーダ128、及びパトライト127と無線または有線により通信可能に接続され、これらの各装置の動作を制御する。
【0050】
特に本実施形態では、制御装置104は、入口センサ133により本110が検知されたときに無線タグ読取装置1からの電波Wの発報を開始させる。また、制御装置104は、出口センサ134により本110が検知されたときに無線タグ読取装置1からの電波Wの発報を停止させる。制御装置104による無線タグ読取装置1の発報制御については
図14~
図16を参照して後述する。なお、本実施形態で用いる「発報」とは、電波Wを出力することを意味し、発出や放射とも同意である。
【0051】
タッチパネル105は、タグ情報読取制御に係る情報の表示する表示装置である。また、タッチパネル105は、利用者からの操作入力を受け付ける入力装置としても機能する。タッチパネル105は、例えば
図1に示すように、読取台102の載置面121A上において、利用者からみて読取領域123より奥側(X負方向側)に設置される。また、タッチパネル105は、読取領域123の前にいる利用者が操作や閲覧をしやすいように、画面が読取領域123側を向くように設置される。これにより、情報読取システム100の利用者は、読取領域123の前にいながら、タッチパネル105を操作したり、タッチパネル105に表示される情報をみながら、タグ情報読取操作を行うことができる。
【0052】
なお、
図1の例では、制御装置104は読取台102と離れた位置に配置される構成を例示しているが、制御装置104が、読取台102に一体的に設置される構成でもよい。また、タッチパネル105の代わりに、例えばディスプレイなどの表示装置と、マウスやキーボードなどの入力装置とを用いる構成でもよい。
【0053】
また、読取台102は、少なくとも載置面121Aがあって、載置面121A側が読取範囲となるように無線タグ読取装置1が載置面121Aに露出せずに設置される構成であればよく、読取台102の形状は
図1に例示するものに限られない。例えば
図1に示すように脚部122の下端に移動用の車輪を設けない構成でもよいし、天板121の形状が矩形状以外の形状でもよい。また、
図1の例では、読取領域123は、載置面121A上の前方側(X正方向側)に配置されているが、読取領域123の位置も任意に設定してよい。
【0054】
図2は、実施形態に係る無線タグ読取装置1の設置構造を示す分解斜視図である。
【0055】
上述のように、本実施形態では、無線タグ読取装置1は、載置面121A側が読取範囲となるように、読取台102の天板121の下面121B側に設置されている。この設置構造の具体例として、例えば
図2に示すように、無線タグ読取装置1は、箱状の収容部107に収容されて、収容部107を介して天板121の下面121Bに取り付けられる。
【0056】
収容部107は、箱体107Aと、一対のフランジ107B、107Cとを有する。箱体107Aは、平面視において略矩形状に形成され、上端に開口部を有し、下端に底板を有する。
【0057】
無線タグ読取装置1は、例えば箱体107Aの底板上に設置され、読取範囲が天板121上の読取領域123を包含するよう配置される。本実施形態では、無線タグ読取装置1は、平板状に形成され、Z方向の平面視において略矩形状に形成される。このため、箱体107Aが無線タグ読取装置1を収容できるように、箱体107Aの底板の大きさは少なくとも無線タグ読取装置1のフットプリントより大きく形成され、箱体107Aの上部開口から底板までの深さは無線タグ読取装置1のZ方向の厚さより大きく形成される必要がある。また、
図2などでは図示を省略しているが、箱体107Aには、無線タグ読取装置1に接続される配線を外部に引き出すための配線穴が設けられている。
【0058】
一対のフランジ107B、107Cは、箱体107Aの上端開口の外縁から水平方向に延在して形成される。フランジ107B、107CにはZ方向に貫通するよう複数の孔が設けられる。収容部107は、各フランジ107B、107Cの上面を天板121の下面121Bと当接させ、各フランジ107B、107Cの孔を利用してネジ締結などによって天板121に取り付けることができる。
【0059】
なお、
図2の例では、一対のフランジ107B、107Cが箱体107Aに対してX方向の両側、すなわち天板121の前後方向にそれぞれ設けられる構成を例示したが、少なくとも無線タグ読取装置1を収容する箱体107Aを、フランジを用いて天板121の下面121Bに取り付けることができればよく、フランジの配置は
図2の例に限られない。例えば、一対のフランジが箱体107Aに対してY方向の両側、すなわち天板121の左右方向に設けられる構成でもよいし、矩形状の箱体107Aの4つの側面のそれぞれにフランジを設けてもよいし、箱体107Aの上部開口の外側の全体に亘ってフランジを設ける構成でもよい。
【0060】
収容部107は電波遮蔽性を有し、これにより外部からの電波の進入を遮蔽して、箱体107Aの内部に収容される無線タグ読取装置1のタグ読取性能への影響を抑制できるよう構成されている。このような電波遮蔽性を有するためには、収容部107全体または箱体107Aを含む一部を例えば金属など電波遮蔽性を有する材料で形成する構成や、箱体107Aの内壁全体に電波シールド材を貼付する構成などが挙げられる。電波シールド材の材料としては、例えば金属繊維が編み込まれた布などを用いることができる。
【0061】
なお、
図2の例では収容部107の箱体107Aは平面視において略矩形状に形成される構成を例示しているが、この構成の理由は本実施形態では無線タグ読取装置1が平面視において略矩形状であるためである。箱体107Aを無線タグ読取装置1と同一形状とすることによって、無線タグ読取装置1を箱体107Aに収容する際に無線タグ読取装置1の位置決めを容易にできる。したがって、箱体107Aの形状は略矩形状に限られず、例えば無線タグ読取装置1の形状に応じて任意の形状で形成してもよい。
【0062】
無線タグ読取装置1は、収容部107に収容されている状態において、Y正方向側にアンテナ部11を有する。アンテナ部11は、無線タグ読取装置1のうちRFIDタグ106から情報IDを読み取る要素である。アンテナ部11の構成の詳細については
図3~
図7を参照して後述するが、
図2の例ではアンテナ部11は平面視において正方形状に形成される。また、無線タグ読取装置1は、アンテナ部11の読取範囲が天板121上の読取領域123を包含するように配置される。
【0063】
そして、特に本実施形態では、無線タグ読取装置1のアンテナ部11と、天板121の下面121Bとの間には、電波吸収体108が設置されている。電波吸収体108は、XY平面と平行な上端面108aと下端面108bとを有し、収容部107が天板121に取り付けられた状態において、上端面108aが天板121の下面121Bと当接し、下端面108bがアンテナ部11の上面と当接するようにZ方向の厚さが設定されて形成されるのが好ましい。また、上端面108aと下端面108bとを繋ぐ側面108cが、Z方向に沿って立設されるのが好ましい。
【0064】
電波吸収体108の上端面108a及び下端面108bの外形の形状は、無線タグ読取装置1のアンテナ部11と略同一に形成され、本実施形態では正方形状である。また、電波吸収体108の下端面108bの正方形状の各辺がアンテナ部11の正方形状の各辺に沿って配置され、下端面108bがアンテナ部11の外縁を囲むように配置される。
【0065】
電波吸収体108は、電波のエネルギーを熱に変換することで吸収する。電波吸収体108には、誘電損失タイプや磁性損失タイプなどの周知の素材を適用できる。誘電損失タイプは、例えば発泡ポリスチレン等の発泡性樹脂を基材として、カーボン等の導電性材料を含浸させたものである。磁性損失タイプとしては例えばフェライトタイルが挙げられる。本実施形態では、電波吸収体108として、カーボン混入発泡ウレタン吸収体の素材をシート化した材料を適用する。
【0066】
また、電波吸収体108の平面視における正方形状の中央部には電波通過部109が設けられる。電波通過部109は、上端面108aから下端面108bまで貫通するよう形成され、これにより上端面108a側と下端面108b側との間で電波通過部109の範囲内で電波を通過させることができる。
【0067】
本実施形態では、電波通過部109は正方形状の角孔である。電波通過部109は、電波吸収体108の外形の正方形の各辺と平行に、かつ各辺から等距離ずつ中心側に正方形応の角孔の各辺が配置されるよう形成される。つまり、電波通過部109の内壁109aは、電波吸収体108の側面108cと平行に配置されている。
【0068】
電波通過部109の上端面108aの開口部分の形状は、読取領域123と略同一に形成され、平面視において、電波通過部109の内壁109aの矩形状の各辺が読取領域123の矩形状の各辺に沿って配置され、電波通過部109の内壁109aが読取領域123の外縁を囲むように配置される。
【0069】
<無線タグ読取装置1の外部構成>
図3は、実施形態に係る無線タグ読取装置1の斜視図である。
図4は、
図3に示す無線タグ読取装置1を上側から視た平面図である。
【0070】
なお、
図4中に図示されている点線や二点鎖線は、装置の内部構造を説明するために便宜上追記したものであり、装置表面の模様ではない。
図4中の点線は、装置の内部要素を示し、二点鎖線は断面線を示す。
【0071】
図3に示すように、無線タグ読取装置1は、その外観が単一の筐体2で構成されている。筐体2は、上下方向の寸法が相対的に薄い略直方体形状で形成されている。すなわち、
図3、
図4に示すように、筐体2は、無線タグ読取装置1が机などの作業面上に設置された使用時に、鉛直上方(Z正方向)を向く上面2Aと、鉛直下方(Z負方向)を向く下面2Bと、前方(X正方向)を向く前面2Cと、後方(X負方向)を向く背面2Dと、正面から視たときの幅方向右方向(Y正方向)を向くアンテナ部側側面2Eと、正面から視たときの幅方向左方向(Y負方向)を向く読取制御部側面2Fと、を有する。
【0072】
無線タグ読取装置1は、無線タグが貼付される被測定物が所定位置に載置された状態で、これらの無線タグから情報を読み取る装置である。本実施形態では、無線タグの一例としてRFID(Radio Frequency Identification)タグ106を挙げ、複数のRFIDアンテナ3A~3DによってRFIDタグ106から情報を読み取る構成を例示する。
【0073】
図3、
図4に示すように、無線タグ読取装置1は、電波吸収体108が載置される所定位置として、筐体2の上面2Aに載置面23を備える。載置面23は、無線タグ読取装置1の使用時に水平面となるような平面で形成されるのが好ましい。載置面23の平面視の形状は、電波吸収体108の形状に合わせて任意の形状で形成されればよく、本実施形態では電波吸収体108の外形に合わせて正方形状に形成されている。また、
図3、
図4に示すように、本実施形態では、載置面23は、一方の対辺がX方向と平行となり、他方の対辺がY方向と平行となるよう形成される。なお、本実施形態で用いる「正方形」とは、略正方形を含み、隣接する2辺の長さが若干異なる場合、あるいは隣接する角が正確な直角でない場合等を含む。
【0074】
図3、
図4に示すように、無線タグ読取装置1は、アンテナ部11と読取制御部12とを備える。アンテナ部11は、RFIDタグ106から情報を読み取る。読取制御部12は、アンテナ部11の動作を制御する。特に本実施形態では、アンテナ部11及び読取制御部12は、単一の筐体2に収容される。
図3、
図4に示すように、本実施形態では、アンテナ部11と読取制御部12とは正面から視たときの左右方向(Y方向)に隣接して並列配置されており、右側(Y正方向側)にアンテナ部11が配置され、左側(Y負方向側)に読取制御部12が配置されている。
【0075】
また、
図3、
図4に示すように、筐体2のうちアンテナ部11と読取制御部12との境界部分には、X方向に沿って段差面24が形成されている。筐体2の上面2Aは、読取制御部12のほうがアンテナ部11より上方(Z正方向)に突出するように形成されている。また、アンテナ部11の上面全体は載置面23となっている。すなわち、上面2Aに形成される段差面24は、載置面23の方向(Y正方向)を向くように形成されており、正方形状の載置面23のY負方向側の一辺に沿って形成されている。
【0076】
また、筐体2の上面2Aには、アンテナ部11の背面側(X負方向側)の端部、すなわち、正方形状の載置面23のX負方向側の一辺に沿って、載置面23から上方に立設し、かつ、Y方向に沿って延在する筋状の凸部25が設けられている。
【0077】
これらの段差面24と凸部25は、「載置面23の外縁部の少なくとも一部に設けられる、載置面23から突出して形成され、載置面23に載置される電波吸収体108と当接可能な位置決め部」として機能する。より詳細には、位置決め部は、載置面23が正方形状の場合には、載置面23の少なくとも二辺に沿って設けられるのが好ましい。本実施形態では、位置決め部としての段差面24と凸部25は、正方形状の載置面23の四辺のうち、隣接するX負方向側の一辺と、Y負方向側の一辺の二辺に沿って設けられている。
【0078】
本実施形態では、このような位置決め部としての段差面24と凸部25を設けることによって、電波吸収体108を載置面23上に載置する際には、電波吸収体108の正方形状の外形の二辺が段差面24と凸部25とに突き当たるようにすれば、載置面23と電波吸収体108との相対的な位置関係を容易に一定にできる。すなわち、後述するアンテナ部11の各アンテナ3A~3Dと電波吸収体108との相対的な位置関係が一定化するように正確かつ容易に位置決めできる。したがって、無線タグ読取装置1の使用時に、電波吸収体108の設置を容易にできると共に、RFIDタグ106の読取性能も安定化できる。
【0079】
また、従来の無線タグ読取システムでは、無線タグとの情報の読み書きを行うアンテナ部と、アンテナ部の動作を制御するリーダライタとが別装置で構成されていたので、装置接続用などの付属品が多い、システム全体の設置面積が大きいなどの問題がある。これに対して本実施形態では、アンテナ部11と読取制御部12とを、単一の筐体2に収容する構成をとるので、この構成により従来システムの上記の問題を解決でき、装置の小型化を図ることができる。このように、本実施形態の無線タグ読取装置1は、装置の小型化を図れ、かつ、被測定物の設置を容易にできる。
【0080】
また、本実施形態では、位置決め部としての段差面24と凸部25は、矩形状の載置面23の二辺に沿って設けられる。なお、本実施形態で用いる「矩形」とは、略矩形を含み、対辺の長さが若干異なる場合、あるいは隣接する角が正確な直角でない場合等を含む。
【0081】
この構成により、電波吸収体108を載置面23上に載置する際には、電波吸収体108の正方形状の外形の二辺が段差面24と凸部25とに突き当たるようにすれば、載置面23と電波吸収体108との相対的な位置関係をより確実に、かつ、容易に一定にできる。
【0082】
また、本実施形態では、位置決め部のうち載置面23の一辺に該当する部分は、筐体2のうちアンテナ部11と読取制御部12との境界部分に形成される段差面24である。この構成により、アンテナ部11と読取制御部12とを一体化するために生じた段差面24を位置決め部として流用できるので、位置決め専用の要素を筐体2の表面に追加形成する手間を省け、筐体2の形状を簡略化でき、製作容易性を向上できる。
【0083】
筐体2の背面2Dのうち、読取制御部12の部分には、ケーブル接続部(図示せず)が設けられる。ケーブル接続部は、例えばUSBケーブルを接続可能であり、読取制御部12の内部の制御基板5と、USBケーブルを介して制御装置104やPCなどの外部機器とを通信可能に接続することができる。
【0084】
<無線タグ読取装置1の内部構成>
図5は、
図3に示す無線タグ読取装置1の分解斜視図である。
図6は、
図4中のA-A断面図である。すなわち、
図6は、正方形状の載置面23の対角線に沿ったアンテナ部11の断面図である。
図7は、
図4中のB-B断面図である。すなわち、
図7は、正方形状の載置面23のY方向の辺の延在方向に沿った断面図であり、かつ、読取制御部12の内部の制御基板5を通過する断面線に沿った断面図である。
【0085】
図5に示すように、筐体2は、上カバー21と下カバー22とを有する。上カバー21は、載置面23、段差面24、凸部25などが設けられる上面2Aを含む部分である。下カバー22は、下面2Bを含む部分である。上カバー21と下カバー22とは、例えば上カバー21の外形枠の下端部と、下カバー22の外形枠の上端部とが篏合して一体的に組み立てられて、さらにネジ締結などにより連結固定されて、筐体2を形成することができる。
【0086】
筐体2の内部には、4つのRFIDアンテナ3A~3Dと、遮蔽プレート4と、制御基板5とが内蔵される。
【0087】
RFIDアンテナ3A~3Dは、載置面23より上方のRFIDタグ106から情報を読み取る。なお、RFIDタグ106とRFIDアンテナ3A~3Dとの間の通信は、通信距離を考慮すると短距離通信に適するHF帯を用いるのが好ましいが、タグのICチップの小型化に有利なUHF帯を用いてもよい。また、RFIDタグ106は、RFIDアンテナ3A~3Dから放射された電波により駆動するパッシブタグでもよいし、内部電源により駆動して通信するアクティブタグでもよい。
【0088】
上述のように、本実施形態では、アンテナ部11の上面である載置面23は平面視において正方形状に形成される。このため、RFIDアンテナ3A~3Dも、載置面23に対して各アンテナ3A~3Dをアンテナ部11内に並列配置可能な大きさの正方形状で形成される。また、各RFIDアンテナ3A~3Dは、載置面23の中心Cまわりの周方向に沿って配置される。
【0089】
ここで、4つのRFIDアンテナ3A~3Dの配置について
図4を参照してさらに説明する。
図4に示すように、載置面23の中心Cを通り、Y軸、X軸にそれぞれ平行なA1軸、A2軸を設定する。このとき、載置面23は、A1軸及びA2軸を含む二次元平面となり、A1軸及びA2軸により第1~第4象限の4つの領域に区分できる。このとき、RFIDアンテナ3Aが第1象限に配置され、RFIDアンテナ3Bが第2象限に配置され、RFIDアンテナ3Cが第3象限に配置され、RFIDアンテナ3Dが第4象限に配置されるのが好ましい。また、各RFIDアンテナ3A~3Dは、中心C側のA1軸及びA2軸と、遠心側の載置面23の外形の正方形状の各辺と略等距離に配置されるのが好ましい。また、各RFIDアンテナ3A~3Dの読取可能範囲は、少なくとも各アンテナが配置される各象限の領域を含むように設定されるのが好ましい。
【0090】
これらの構成により、アンテナ部11の読取可能範囲が載置面23(すなわちアンテナ部11の上面)の全体に亘るように設定しやすくできる。なお、本実施形態で用いる「正方形状」とは、必ずしも四辺の長さが同一の正方形であることには限定されず、上述の載置面23の4つの象限の区分や、各アンテナの各象限への配置などの条件を満たすことができる範囲で、一方の対辺と他方の対辺の長さに差異がある形状まで含むものとする。
【0091】
また、本実施形態ではアンテナ部11が4個のRFIDアンテナ3A~3Dを有する構成を例示しているが、載置面23の全体に亘ってRFIDタグ106から情報を読み取ることが可能であればよく、RFIDアンテナの個数は例えば3個以下でも5個以上でもよい。例えば載置面23の形状や大きさと、各アンテナの読取可能範囲との関係などに応じて任意の複数個であってよい。
【0092】
筐体2の上カバー21のうち載置面23の裏面の部分21Aには、複数のアンテナ3A~3Dと同数の複数組(本実施形態では4組)の篏合部26A、26Bが設けられる。各組の篏合部26A、26Bは、4つのRFIDアンテナ3A~3Dのそれぞれの、載置面23の中心C側と、載置面23の正方形の各角部側(遠心側)の対角を篏合して固定する。
図6のA-A断面図では、4組の篏合部26A、26Bのうち、2つのアンテナ3B、3Dを固定する2組の篏合部26A、26Bが図示されている。また、
図7のB-B断面図では、4組の篏合部26A、26Bのうち、2つのアンテナ3C、3Dを固定する2組の篏合部26A、26Bが図示されている。
【0093】
図6、
図7に示すように、一方の篏合部26Aが載置面23の中心C側に配置され、他方の篏合部26Bが載置面23の遠心側に配置されている。各篏合部26A、26Bは、裏面21AからZ負方向側に突出して形成される。各篏合部26A、26Bの形状は、Z方向から視たときに略L字状であり、篏合される各アンテナ3A~3Dの対角部分を篏合可能な形状で形成されている。
【0094】
そして特に本実施形態では、RFIDアンテナ3A~3Dは、載置面23の中心C側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置される。
図6では4つのRFIDアンテナのうち載置面23の対角線方向に配置される2つのRFIDアンテナ3B、3Dを図示している。
図6の例を参照すると、各RFIDアンテナ3B、3Dは、各アンテナ3B、3Dの主面の法線方向に指向性を有し、各アンテナ3B、3Dから法線方向に沿った上方に、電波を受信可能な方向13B、13Dを有する。そして、本実施形態では、各RFIDアンテナ3B、3Dは、これらの電波受信方向13B、13Dが載置面23の中心Cの方向へ傾斜するように配置されている。
【0095】
なお、
図6には図示されていない他の2つのRFIDアンテナ3A、3Cについても同様である。また、各RFIDアンテナ3A~3Dの電波受信方向の、載置面23の中心軸Cに対する傾斜角度は、例えば2度である。
【0096】
このようにRFIDアンテナを配置するための構成として、本実施形態では、各RFIDアンテナ3A~3Dは、載置面23の中心C側の載置面23との距離が、載置面23の遠心側より大きくなるように傾斜して設置される。具体的には、
図6に示すように、上述の複数組の篏合部26A、26Bには、設置される各アンテナ3A~3Dの主面の中央側、かつ、載置面23と反対側(Z負方向側)に突出する段差部27A、27Bがそれぞれ設けられる。そして、中心C側の篏合部26Aに設けられる段差部27Aの裏面21Aからの高さが、遠心側の篏合部26Bに設けられる段差部27Bの裏面21Aからの高さより大きくなるよう形成される。なお、
図6には図示されていない他の2つのRFIDアンテナ3A、3Cについても、段差部27A、27Bの構成は同様である。
【0097】
このような段差部27A、27Bを設けることにより、篏合部26A、26BにRFIDアンテナを篏合したときには、各篏合部26A、26Bにおいて、RFIDアンテナ3A~3Dの中心C側の角部が段差部27Aと当接し、遠心側の角部が段差部27Bと当接する。これにより、RFIDアンテナ3A~3Dの主面の法線方向が載置面23の中心C側へ傾斜するように、RFIDアンテナ3A~3Dは篏合部26A、26Bに篏合された状態となる。
【0098】
図6には、2つのRFIDアンテナ3B、3Dが傾斜して設置されている状態が示される。この結果、各RFIDアンテナ3A~3Dは、これらの電波受信方向(
図6の13B、13D)を載置面23の中心Cの方向へ傾斜するようにより確実に配置することができ、載置面23の中心C側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように、より確実に配置することができる。
【0099】
ここで、本実施形態に対する比較例として、所定方向に指向性を有する複数のRFIDアンテナを、本実施形態とは異なり載置面23と平行な同一平面上に配置して、指向性を同一方向とした場合を考える。
【0100】
一般に、RFIDアンテナとは、RFIDタグを効率良く読み取れるように電波を一定の方向に集束させる仕組みで作製される。このようなRFIDアンテナの読取性能を示す指標としてアンテナ利得が用いられる場合が多い。アンテナ利得とは、電波を一方向に集束させた時と収束させなかった時の効率性の差を表しており、電波を受信する場合の効率性を数値化したものである。アンテナ利得の数値(dB)は、数値が高いほど性能が良いことを意味し、電波をキャッチしやすくなる。
【0101】
また、一般的なRFIDアンテナは、各アンテナの中心付近のアンテナ利得が外側より外周側より高くなり、アンテナの主面全体にわたってアンテナ利得にムラがある場合が多い。このため、比較例の場合、載置面23上では各アンテナの中央部のアンテナ利得が相対的に高くなり、複数のアンテナ同士の中間の位置となる載置面23の中央部のアンテナ利得は相対的に低くなると考えられる。したがって、比較例の場合、載置面23の中央部の受信感度が、各アンテナの中央部と比較して相対的に悪いと考えられる。
【0102】
また、載置面23において被測定物が載置される場所は載置面23の中央部である場合が多いと考えられる。このため、比較例においてアンテナ部11の受信感度を高めようとすると、複数のRFIDアンテナを大型化して、各アンテナの出力を高めて、載置面23の中央部のアンテナ利得を相対的に高くする必要がある。つまり、比較例では所望の読取性能を担保するために装置全体の体格を大型化することになる。
【0103】
これに対して本実施形態では、複数のRFIDアンテナ3A~3Dを、アンテナ部11の載置面23の中心C側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置する構成、すなわち、複数のRFIDアンテナ3A~3Dの指向性をアンテナ部11の載置面23の中心C側にずらす構成をとる。この構成によって、アンテナ部11の載置面23の中心Cを含む中央部分のアンテナ利得の低減を抑制することが可能となるので、比較例よりも小型のアンテナを用いても、アンテナ部11の載置面23の中央部のアンテナ利得を比較例と同等にできる。したがって、所望の読取性能を実現するために適用するRFIDアンテナ3A~3Dを小型化できる。
【0104】
さらに、載置面23の中心Cを含む中央部分のアンテナ利得を相対的に高くできるので、アンテナ部11の載置面23の全体に亘ってアンテナ利得をより均一化でき、載置面23(すなわちアンテナ部11の上面)上におけるRFIDタグ106の読取性能を向上できる。この結果、本実施形態の無線タグ読取装置1は、RFIDタグ106の読取性能を向上でき、かつ装置の小型化が図れる。
【0105】
また、本実施形態では、複数のRFIDアンテナ3A~3Dは、アンテナ部11の載置面23の中心Cまわりの周方向に沿って配置され、かつ、中心C側の載置面23(すなわちアンテナ部11の上面)との距離が、アンテナ部11の載置面23の遠心側の距離より大きくなるように傾斜して設置される。この構成により、各RFIDアンテナ3A~3Dの電波受信方向をアンテナ部11の載置面23の中心Cの方向へ傾斜するように配置することが可能となるので、複数のRFIDアンテナ3A~3Dの電波放射範囲が、アンテナ部11の載置面23の中心C側でより確実に重なるように配置することができ、RFIDタグ106のより一層の読取性能の向上と、装置のより一層の小型化が図れる。
【0106】
図5、
図7に示すように、遮蔽プレート4(遮蔽部)は、アンテナ部11と読取制御部12との間に設けられ、複数のRFIDアンテナ3A~3Dから放射される電波が読取制御部12の制御基板5に伝わるのを遮蔽する。なお、遮蔽プレート4は、例えば金属板製であるが、電波遮蔽性能を有するものであれば金属以外の材質で形成してもよい。
【0107】
制御基板5は、読取制御部12の主要部であり、アンテナ部11の動作を制御する。
【0108】
遮蔽プレート4は、アンテナ部11に配置される第1部分41と、読取制御部12に配置される第2部分42と、アンテナ部11と読取制御部12との境界部分に配置される第3部分43とを有する。
【0109】
第1部分41は、複数のアンテナ3A~3Dを挟んで載置面23と反対側(Z負方向側)にて、複数のアンテナ3A~3Dの全体を覆うよう配置される。第2部分42は、制御基板5より載置面23側にて制御基板5の全体を覆うよう配置される。第3部分43は、第1部分41と第2部分42とを連結する。
【0110】
さらに、第1部分41及び第2部分42は載置面23と平行に配置される。第1部分41の載置面23との距離が、第2部分42より大きくなるよう配置される。これにより、第1部分41及び第2部分42のZ方向の位置に格差が生じるため、第3部分43が、第1部分41と第2部分42に対して直角に配置される。なお、本実施形態で用いる「直角」とは、略直角を含み、正確な直角でない場合等を含む。
【0111】
このような遮蔽プレート4を設けることにより、アンテナ部11の各RFIDアンテナ3A~3Dと、読取制御部12の制御基板5とが、板状の遮蔽プレート4に対して上側と下側に区分して配置される。これにより、アンテナ部11のRFIDアンテナ3A~3Dから放射される電波が読取制御部12の制御基板5に伝わるのを良好に遮蔽することができる。
【0112】
また、遮蔽プレート4を第1部分41、第2部分42、第3部分43を有する構成とし、第1部分41のZ方向の位置を第2部分42の位置より下方に配置する構成とする。この構成により、RFIDアンテナ3A~3Dをより下方に配置でき、かつ、制御基板5をより上方に配置することができるので、RFIDアンテナ3A~3Dと制御基板5のZ方向の位置が重畳するように配置することが可能となる。これにより、電波遮蔽性能を維持しつつ、筐体2の高さ方向(Z方向)の寸法を縮小することが可能となり、無線タグ読取装置1をさらに小型化できる。
【0113】
なお、RFIDアンテナ3A~3Dを載置面23の中心C側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置することが可能であれば、RFIDアンテナ3A~3Dの設置構造は上記の
図6、
図7に例示したものに限られない。例えば、遮蔽プレート4の上面に篏合部26A、26Bや段差部27A、27Bと同様の要素を設けて、遮蔽プレート4にRFIDアンテナ3A~3Dを固定する構成や、篏合部26A、26Bや段差部27A、27Bを設けずに、上カバー21の裏面21Aに傾斜面を設け、RFIDアンテナ3A~3Dの主面がこの傾斜面上に載置するようにテープなど貼り付ける構成や、RFIDアンテナ3A~3Dの一対の主面を平行配置せずに一方を他方に対して傾斜させる形状として、傾斜するほうの主面を上カバー21の裏面21Aや遮蔽プレート4の上面に接着する構成、などが挙げられる。また、載置面23が正方形状以外の形状である場合には、少なくとも各アンテナが載置面の中心側に傾斜するように、例えば対辺を篏合するなど、アンテナの一対の対角以外を篏合固定する構成でもよい。
【0114】
<電波吸収体108の配置と効果>
次に
図8及び
図9を参照して、本実施形態に係る電波吸収体108の配置と効果について説明する。
図8は、電波吸収体108と、無線タグ読取装置1のアンテナ部11との位置関係を示す平面図である。
【0115】
図8に示すように、電波吸収体108は、側面108c、すなわちZ方向の平面視における正方形状の各辺が、無線タグ読取装置1のアンテナ部11の正方形状の各辺に沿って配置される。このため、電波吸収体108の電波通過部109は、電波吸収体108の中央部にあるので、電波通過部109の正方形状の角孔の各辺は、無線タグ読取装置1のアンテナ部11の正方形状の各辺と平行に、かつ各辺から等距離ずつ中心側に配置される。この結果、電波通過部109の範囲内には、アンテナ部11の中心Cと、アンテナ部11に内蔵される4つのRFIDアンテナ3A~3Dのそれぞれの中心C側の一部と、が含まれる。
【0116】
図9は、読取台102の無線タグ読取装置1付近の断面図である。
図9に示すように、無線タグ読取装置1のアンテナ部11から上方に出力された電波W1は、電波通過部109の範囲内で上方の読取領域123の方向に進む。つまり電波W1は電波通過部109の内壁109aに接触せずに読取領域123に到達できる。一方、アンテナ部11から中心Cに対して外側に広がる方向に出力された電波W2は、このままでは載置面121A上の読取領域123より外側の位置に到達してしまう。本実施形態では、このような電波W2を電波通過部109の内壁109a、すなわち電波吸収体108によって吸収することによって、このような電波W2が載置面121A上に進出することを防止できる。これにより、アンテナ部11から出力される電波W1を効率良く読取領域123の範囲内に出力させることができる。
【0117】
このように、本実施形態に係る情報読取システム100は、読取対象の物品である本群110A~110Dが載置される載置面121Aと、載置面121A側が読取可能となるように載置面121Aに露出せずに設置され、載置面121A上の読取領域123の本群110A~110Dに付されたRFIDタグ106A~106Eから情報ID1~ID4を読み取る無線タグ読取装置1と、無線タグ読取装置1と載置面121Aとの間、かつ、Z方向の平面視において無線タグ読取装置1のうちアンテナ部11の領域に配置され、電波を吸収する電波吸収性能を有する電波吸収体108と、を備える。電波吸収体108には、電波吸収体108の読取領域123側とアンテナ部11側とを貫通するように、平面視においてアンテナ部11のうち少なくとも中心C側の一部と重畳する位置に電波通過部109が設けられている。
【0118】
この構成により、
図9を参照して説明したように、無線タグ読取装置1のアンテナ部11から中心Cに対して外側に広がる方向に出力された電波W2は、載置面121A上に到達する前に電波通過部109の内壁109aに突き当たるので、電波吸収体108の電波吸収性能によって載置面121A上に進出することが抑制される。これにより、載置面121Aのうち読取領域123外にあるRFIDタグ106から誤って情報IDを読み取ることを抑制できる。一方、無線タグ読取装置1のアンテナ部11から上方に出力された電波W1は、電波通過部109の内壁109aに阻害されずに電波通過部109を通過できるので、載置面121Aのうち読取領域123内に進出できる。このように、無線タグ読取装置1と読取領域123との間に、電波通過部109が設けられる電波吸収体108を配置することにより、無線タグ読取装置1のタグ情報の読取可能範囲を載置面121A上の読取領域123の範囲に絞り込むことを容易にできる。この結果、本実施形態の情報読取システム100は、読取領域123上にある読取対象のRFIDタグ106の読取精度を向上できる。
【0119】
また、本実施形態に係る情報読取システム100では、電波吸収体108は、少なくとも電波通過部109の内壁109aの全体に電波吸収性能を有する。この構成により、電波吸収体108は、例えば電波通過部109の内壁109aの全体に該当する部分のみを電波吸収性能を有する材料で形成すれば、アンテナ部11から中心Cに対して外側に広がる方向に出力された電波W2を内壁109aで吸収する、という電波吸収体108の所望の効果を奏することができる。さらに、電波通過部109の内壁109aの全体に該当する部分以外には、電波吸収性能を有する材料を用いる制約が無いので、内壁109aに該当しない部分に電波吸収性能を有する材料より安価な材料を用いれば、電波吸収体108の製造コストを低減できる。
【0120】
なお、電波吸収体108の全体が電波吸収性能を有する材料で一体的に形成される構成でもよい。この構成により、市販の電波吸収材を切断加工するだけで、電波通過部109を有する電波吸収体108を簡易に作製できるので、製造容易性を向上できる。
【0121】
また、本実施形態に係る情報読取システム100では、アンテナ部11は平面視において四角形状であり、電波通過部109は、平面視において読取領域123と重畳する位置に、読取領域123に応じた角孔状で形成されるのが好ましい。この構成により、アンテナ部11から出力される電波のうち載置面121A上に到達する電波を読取領域123の範囲に確実に絞り込むことが可能となるので、読取対象のRFIDタグ106の読取精度をさらに向上できる。また、読取領域123と電波通過部109の形状が略同一であると、電波通過部109の断面積が読取領域123の面積より小さい場合と比較して、載置面121Aのうち読取領域123内に進出できる電波を漏れなく載置面121A上に到達させることができるので、RFIDタグ106の読取を効率良く行うことができる。
【0122】
また、本実施形態に係る情報読取システム100では、無線タグ読取装置1及び電波吸収体108を収容し、外部から無線タグ読取装置1への電波の進入を遮蔽する電波遮蔽性を有する収容部107を備えるのが好ましい。この構成により、無線タグ読取装置1によりRFIDタグ106から読み取られるタグ情報IDにノイズが含まれることを抑制できるので、読取対象のRFIDタグ106の読取精度をさらに向上できる。
【0123】
図10は、第1変形例に係る電波吸収体108Aと、無線タグ読取装置1のアンテナ部11との位置関係を示す平面図である。
【0124】
本実施形態では、電波吸収体108に設ける電波通過部109を正方形状の角孔としたが、電波通過部109は、少なくともアンテナ部11の中心C側の一部分から出力された電波を読取領域123側に通過させることができればよく、角孔以外の形状でもよい。例えば
図10に示す第1変形例のように、正方形状の電波吸収体108Aの中央部に丸孔の電波通過部109Aを設ける構成でもよい。電波通過部109Aの領域には、アンテナ部11の中心Cと、アンテナ部11に内蔵される4つのRFIDアンテナ3A~3Dのそれぞれの中心C側の一部と、が含まれる。
【0125】
第1変形例の電波通過部109Aでも、
図9に示したような、アンテナ部11から中心Cに対して外側に広がる方向に出力された電波W2は、電波通過部109Aの丸孔の内壁、すなわち電波吸収体108Aによって吸収することができる。これにより、第1変形例の構成でも、このような電波W2が載置面121A上に進出することを防止できる。
【0126】
図11は、第2変形例に係る電波吸収体108Bと、無線タグ読取装置1のアンテナ部11との位置関係を示す平面図である。
【0127】
図11に示す第2変形例のように、正方形状の電波吸収体108Bにおいて、中心Cの外周側に同心円状の複数のスリット状の電波通過部109Bを設ける構成でもよい。電波通過部109Bは、
図11に示すように、4つのRFIDアンテナ3A~3Dがそれぞれ配置されるA1―A2座標の第1~第4象限において、中心Cから円弧状の3つのスリットが同心円状に形成されている。これらのスリットは、4つのRFIDアンテナ3A~3Dのうち中心C側の部分の直上に配置される。電波通過部109Bの領域には、アンテナ部11に内蔵される4つのRFIDアンテナ3A~3Dのそれぞれの中心C側の一部が含まれる。
【0128】
第2変形例の電波通過部109Bでも、
図9に示したような、アンテナ部11から中心Cに対して外側に広がる方向に出力された電波W2は、電波通過部109Bのスリットの内壁、すなわち電波吸収体108Bによって吸収することができる。これにより、第2変形例の構成でも、このような電波W2が載置面121A上に進出することを防止できる。
【0129】
図12は、第3変形例に係る無線タグ読取装置1及び収容部107を示す斜視図である。
図12に示すように、収容部107の箱体107Aの上部開口を蓋107Dで覆う構成としてもよい。蓋107Dの材料も、収容部107の他の各部と同様に、例えば金属など電波遮蔽性を有する材料で形成される。
【0130】
また、蓋107Dの中央部には開口107Eが設けられる。なお、
図12では図示を省略しているが、蓋107Dと無線タグ読取装置1との間には、上記実施形態と同様に電波吸収体108が配置されている。開口107Eの形状は、
図2、
図8に示したような、電波吸収体108に設けられる角孔状の電波通過部109と略同一の形状で重畳配置される。また、開口107Eは、平面視において載置面121Aの読取領域123と対向する位置に設けられる。
【0131】
第3変形例では、無線タグ読取装置1のアンテナ部11と天板121の下面121Bとの間に電波吸収体108が配置される上に、さらに、電波吸収体108の上端面108aと天板121の下面121Bに、電波遮蔽性を有する蓋107Dが配置される。この構成により、収容部107の内部への電波の進入の抑制と、無線タグ読取装置1のアンテナ部11から出力される電波の読取領域123の範囲内への誘導と、をさらに促進できる。
【0132】
なお、本実施形態では、電波吸収体108の全体が電波吸収性能を有する材料で形成される構成を例示したが、基体を例えば樹脂など電波吸収性能の無い材料で形成して、電波通過部109の内壁109a全体に電波吸収性能を有するシート材料などを貼付する構成など、少なくとも電波通過部109の内壁109aの全体に電波吸収性能を有する構成でもよい。この構成の場合、電波吸収体108の基体の部分は、無線タグ読取装置1と読取領域123との間に配置されるスペーサとして機能することができる。
【0133】
また、本実施形態では、電波通過部109の内壁109aが水平方向(X方向、Y方向など)を向き、延在方向がZ方向と平行となるよう形成される構成を例示したが、内壁109aは少なくともアンテナ部11から中心Cに対して外側に広がる方向に出力された電波W2を吸収できればよい。このため、電波通過部109は、内壁109aの延在方向がZ方向に対して傾斜するよう形成してもよい。つまり、電波通過部109は、上端部側が下端部側に対して広がる、または、下端部側が上端部側に対して広がるよう形成してもよい。
【0134】
図13は、第4変形例に係る読取台102の天板121の斜視図である。
図13は、天板121を下面121B側から視た斜視図である。天板121の読取領域123を除く部分に電波シールド材107Fを設置してもよい。例えば
図13に示すように、天板121の下面121Bの全体に電波シールド材107Fを貼り付けて、読取領域123の部分のみくり抜く構成とすることができる。または、天板121全体を電波シールド材107Fと同様の電波遮蔽性を有する材料で形成し、読取領域123の部分のみ電波遮蔽性の無い別の材料で形成する構成でもよいし、
図13とは逆に、天板の上面121Aに電波シールド材107Fを貼り付ける構成でもよい。
【0135】
電波シールド材107Fの材料としては、例えば板金、金属網、発泡金属、金属繊維が編み込まれた布、などを用いることができる。
【0136】
このように、第4変形例では、載置面121Aのうち読取領域123を除く部分に電波シールド材107Fが設置される。この構成により、載置面121A上において、読取領域123を除く部分から下方の無線タグ読取装置1への電波の進入をさらに防止できるので、読取対象のタグ読取の精度をさらに向上できる。
【0137】
また、天板121と無線タグ読取装置1とを備えるブロックは、読取台102から取り外し可能である構成としてもよい。これにより、既存のテーブル等の天板部分を置き換えることができ、既製品を利用して本実施形態の情報読取システム100を利用することが可能となるので、システムの汎用性を向上できる。
【0138】
<発報制御>
図14~
図16を参照して、情報読取システム100により実施される発報制御の一例を説明する。
【0139】
本実施形態では、
図1を参照して説明したように、複数の本110を読取領域123に載置して、各本110に貼付されている複数のRFIDタグ106から纏めて情報の読み取りを行う。そして特に本実施形態では、載置面121A上の読取領域123への読取対象の本110の進入及び退出に応じて、無線タグ読取装置1の電波Wの発報の開始及び停止を行う発報制御を行う。
【0140】
図14は、発報制御に係る制御装置104の機能ブロック図である。
図14に示すように、情報読取システム100の制御装置104は、上述の発報制御に関する機能と、発報制御の前提となるタグ情報読取制御に関する機能として、発報制御部141と、タグ読取制御部142と、情報記録部143と、物品情報記憶部144と、を有する。
【0141】
発報制御部141は、無線タグ読取装置1の電波Wの発報動作を制御する。発報制御部141は、タッチパネル105、入口センサ133、出口センサ134と通信可能に接続され、これらの各要素から指令や情報が入力される。発報制御部141は、無線タグ読取装置1と通信可能に接続され、無線タグ読取装置1に電波発報動作の開始指令や停止指令を出力する。また、発報制御部141は、パトライト127とも通信可能に接続され、無線タグ読取装置1の電波発報動作状態に応じた動作指令をパトライト127に出力する。
【0142】
タグ読取制御部142は、無線タグ読取装置1による本110のRFIDタグ106からの情報の読み取り動作を制御する。タグ読取制御部142には、無線タグ読取装置1と通信可能に接続され、無線タグ読取装置1がRFIDタグ106から読み取った情報が入力される。また、タグ読取制御部142には、発報制御部141から無線タグ読取装置1の電波発報動作状態の情報が入力される。タグ読取制御部142は、タッチパネル105と通信可能に接続され、無線タグ読取装置1により取得されたタグ情報の読み取りに関する情報を出力する。また、タグ読取制御部142は、パトライト127と通信可能に接続され、タグ情報の読み取り状態に応じた動作指令を出力する。
【0143】
情報記録部143は、タグ読取制御部142から無線タグ読取装置1により取得されたタグ情報が入力される。また、情報記録部143は、バーコードリーダ128と通信可能に接続され、読取対象であり、タグ情報が読み取られた本110のバーコード129からバーコードリーダ128により読み取られたISBNの情報が入力される。
【0144】
物品情報記憶部144は、情報記録部143により取得された本110のタグ情報とISBNの情報とを関連付けて、一組のデータセットとして記録する。物品情報記憶部144に記録されている情報は、利用者などが閲覧したり外部に出力したりすることができる。
【0145】
図15は、制御装置104のハードウェア構成図である。
図15に示すように、制御装置104は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)1041、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)1042およびROM(Read Only Memory)1043、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置1044、ディスプレイ等の出力装置1045、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール1046、補助記憶装置1047、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。
図14を参照して説明した制御装置104の各機能は、CPU1041、RAM1042等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU1041の制御のもとで通信モジュール1046、入力装置1044、出力装置1045を動作させるとともに、RAM1042や補助記憶装置1047におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0146】
図16は、発報制御及びタグ情報読取制御のフローチャートである。以下、
図16を参照して、情報読取システム100により実施される発報制御の手順について説明する。
【0147】
ステップS01では、システム利用者によって、タッチパネル105を介してRFIDタグ106の読取開始操作が入力される。読取開始の操作指令は発報制御部141など制御装置104の各要素に入力される。発報制御部141は、例えば読取開始の操作指令の入力に応じて、パトライト127を点灯させることができる。このときのパトライト127の点灯色は、後述するステップS09の緑色や、ステップS12の赤色とは異なる色とし、システムが正常に読取開始操作を受け付けている状態であることを利用者が視認できる色であるのが好ましい。また、システム利用者は、読取開始操作の後に、読取対象の本110を進入台125から読取台102の読取領域123に移動する。
【0148】
ステップS02では、発報制御部141により、入口センサ133がONに遷移したか否か、すなわち読取対象の本110が入口センサ133の検知範囲を通過し、読取領域123に進入した状態に遷移したか否か、が判定される。発報制御部141は、入口センサ133から入力される検知信号を監視して、OFF(本110の検知範囲の通過前)からONへの遷移を検出できる。入口センサ133がOFF状態の間は(ステップS02のNo)本ステップで待機し、入口センサ133がONに遷移したことを検知したとき(ステップS02のYes)にはステップS03に進む。
【0149】
ステップS03では、発報制御部141により、本110の読取領域123への進入検知に応じて、パトライト127が消灯される。
【0150】
ステップS04では、発報制御部141により、本110の読取領域123への進入検知に応じて、無線タグ読取装置1に制御指令が出力され、無線タグ読取装置1から電波Wの発報が開始される。これにより読取領域123上を通過する本110のRFIDタグ106からのタグ情報IDの読み取りが可能な状態となる。また、発報制御部141は、無線タグ読取装置1による電波Wの発報開始の旨の情報をタグ読取制御部142に出力することができる。
【0151】
ステップS05では、タグ読取制御部142により、無線タグ読取装置1から入力される、無線タグ読取装置1がRFIDタグ106から読み取ったタグ情報IDを利用して、読取領域123上にある複数の本110にそれぞれ付加されるRFIDタグ106がカウントされる。なお、本実施形態では、読取対象は積層された複数の本110の組であり、各組の本110の数の情報は予め制御装置104が取得している。タグ読取制御部142は、例えば新しいRFIDタグ106のタグ情報IDを取得するたびに、現在読取領域123上にある複数の本110の組のRFIDタグ106の読取数を1つずつ増やして、読み取り数を計数する。
【0152】
ステップS06では、発報制御部141により、出口センサ134がONに遷移したか否か、すなわち読取対象の本110が出口センサ134の検知範囲を通過し、読取領域123から退出した状態に遷移したか否か、が判定される。発報制御部141は、出口センサ134から入力される検知信号を監視して、OFF(本110の検知範囲の通過前)からONへの遷移を検出できる。出口センサ134がOFF状態の間は(ステップS06のNo)ステップS05に戻りRFIDタグ106のカウントを繰り返す。
【0153】
一方、出口センサ134がONに遷移したことを検知したとき(ステップS06のYes)にはステップS07に進む。また、発報制御部141は、無線タグ読取装置1による電波Wの発報開始の旨の情報をタグ読取制御部142に出力することができる。出口センサ134がONに遷移し、読取対象の本110が読取領域123から退出した状態に遷移した旨の情報をタグ読取制御部142に出力することができる。
【0154】
ステップS07では、タグ読取制御部142により、ステップS05にてカウントしたRFIDタグ106の読取数が、予め取得している所定の読取数と一致するか否かが判定される。読取数が一致する場合(ステップS07のYes)には、下記のステップS08~S10の処理が実施される。
【0155】
ステップS08では、ステップS07にて読取数が一致すると判定されたので、タグ読取制御部142により、所定の読取数と一致するRFIDタグ106を読み取った旨の情報がタッチパネル105に出力され、タッチパネル105に例えば「読取数OK」などの情報が表示される。
【0156】
ステップS09では、タグ読取制御部142により、読取数一致の判定結果に応じて、パトライト127が例えば緑色に点灯される。緑色の点灯で、正常動作(全数読み取り成功)を作業者に簡便に報知できる。
【0157】
ステップS10では、情報記録部143により、タグ読取制御部142から情報記録部143に入力された本110のRFIDタグ106のタグ情報ID(例えばEPCやTID)と、タグ情報IDが読み取られた本110のバーコード129からバーコードリーダ128により読み取られたISBNの情報とを紐づけて、一組のデータセットとして物品情報記憶部144に記録される。ステップS10の処理が完了するとステップS13に進む。また、ステップS08~S10の処理が完了した旨の情報が発報制御部141に出力される。
【0158】
本実施形態では、制御装置104は、外部サーバ(図示せず)と通信可能である。制御装置104は、ステップS10にて各情報の紐づけを行った後に、外部サーバへISBN及びタグ情報をセットで出力する。外部サーバにて、制御装置104から出力された情報に基づき、書籍(本110)のトレサビリティ(流通管理)を行う。
【0159】
一方、ステップS07にて、ステップS05にてカウントしたRFIDタグ106の読取数が、予め取得している所定の読取数と不一致の場合(ステップS07のNo)には、下記のステップS11~S12の処理が実施される。
【0160】
ステップS11では、ステップS07にて読取数が不一致と判定されたので、タグ読取制御部142により、所定の読取数と一致しないRFIDタグ106を読み取った旨の情報がタッチパネル105に出力され、タッチパネル105に例えば「読取数エラー」などの情報が表示される。
【0161】
ステップS12では、タグ読取制御部142により、読取数不一致の判定結果に応じて、パトライト127が例えば赤色に点灯される。赤色の点灯で、異常動作(全数読み取り失敗)を作業者に簡便に報知できる。なお、ステップS09と本ステップS12の点灯色は、システム利用者がRFIDタグ106の読取数が所定の読取数と一致した状態、及び、不一致の状態、であることを区別できればよく、緑色及び赤色以外の色でもよい。ステップS12の処理が完了するとステップS13に進む。また、ステップS11~S12の処理が完了した旨の情報が発報制御部141に出力される。
【0162】
ステップS13では、発報制御部141により、本110の読取領域123からの退出検知、及び、ステップS08~S10の処理またはステップS11~S12の処理の完了、に応じて、無線タグ読取装置1に制御指令が出力され、無線タグ読取装置1から電波Wの発報が停止される。
【0163】
なお、ステップS11~S12の処理に遷移した場合には、システム利用者は、例えば読取数エラーが出た本110を、再度進入台125側から読取領域123へ進入させてタグ読取を再度行わせて同様のエラーが発生するかを再度確認することができる。読取数エラーが複数回発生した場合には、例えば各本110に付加されているRFIDタグ106に何らかの異常があるかを個別に確認するなどの作業を行うことができる。なお、このような読取数エラーは、例えば、現在タグ情報読取が行われているRFIDタグ106のいずれかに何らかの異常が発生していることや、無線タグ読取装置1からの電波Wが一部のRFIDタグ106に到達しなかったことや、一部のRFIDタグ106から出力された情報IDを無線タグ読取装置1が受信できなかったこと、などの原因により発生し得る。
【0164】
ステップS14では、制御装置104により、システム利用者によって、タッチパネル105を介してRFIDタグ106の読取停止操作が入力されたか否かが判定される。
【0165】
読取停止操作が入力されていない場合(ステップS14のNo)には、ステップS02に戻り、次の読取対象の本110の組が読取領域123に搬入されるまで待機する。また、読取対象の本110の組が読取領域123に進入、退出されるたびに、制御装置104は無線タグ読取装置1による電波Wの発報の開始、停止を行う。つまり、制御装置104は、読取領域123に読取対象の本110がある状態、または読取領域123に進入直前から退出直後の期間、に限定して、無線タグ読取装置1による電波Wの発報を実施させる。
【0166】
一方、読取停止操作が入力された場合(ステップS14のYes)には本制御フローを終了する。
【0167】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0168】
100 情報読取システム
1 無線タグ読取装置
2 筐体
3A~3D RFIDアンテナ
11 アンテナ部
12 読取制御部
C アンテナ部の中心
102 読取台
121 天板
121A 上面、載置面
121B 下面
123 読取領域
106 RFIDタグ(無線タグ)
107 収容部
107D 蓋
107E 開口
107F 電波シールド材
108、108A、108B 電波吸収体
109、109A、109B 電波通過部
109a 内壁
110 本(物品)