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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143092
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】トレイ保持機構
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G01N35/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055587
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511155187
【氏名又は名称】株式会社サイフューズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嵯峨山 功幸
(72)【発明者】
【氏名】田口 俊文
(72)【発明者】
【氏名】溶田 涼
(72)【発明者】
【氏名】橋本 知明
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CA01
2G058CC02
2G058CD24
2G058ED02
2G058ED35
(57)【要約】
【課題】小型化を図りつつトレイを適切に保持することができるトレイ保持機構を提供すること。
【解決手段】ベースプレート20と、互いに離れた位置でそれぞれベースプレート20に取り付けられる2つの固定プレート30と、2つの固定プレート30に対応して2箇所に設けられると共に、ベースプレート20における固定プレート30の取付け面21の位置から固定プレート30が位置する側の反対側に向かって切り欠かれた切欠部23と固定プレート30とにより設けられ、トレイ100の厚み方向における両側から固定プレート30とベースプレート20とでトレイ100の長さ方向における両側の端部101をそれぞれ挟み込むことによりトレイ100を保持する保持部40と、2箇所の保持部40にそれぞれ配置され、保持部40で保持するトレイ100に対して厚み方向の付勢力を付与する挟持部材50と、を備える。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
互いに離れた位置でそれぞれ前記ベースプレートに取り付けられる2つの固定プレートと、
2つの前記固定プレートに対応して2箇所に設けられると共に、前記ベースプレートにおける前記固定プレートの取付け面の位置から前記固定プレートが位置する側の反対側に向かって切り欠かれた切欠部と前記固定プレートとにより設けられ、トレイの厚み方向における両側から前記固定プレートと前記ベースプレートとで前記トレイの長さ方向における両側の端部をそれぞれ挟み込むことにより前記トレイを保持する保持部と、
2箇所の前記保持部にそれぞれ配置され、前記保持部で保持する前記トレイに対して前記厚み方向の付勢力を付与する挟持部材と、
を備えるトレイ保持機構。
【請求項2】
前記保持部は、前記トレイの前記厚み方向と前記長さ方向との双方に直交する前記トレイの幅方向における一方側に開口部を有し、他方側に前記トレイが当接する当接部を有する請求項1に記載のトレイ保持機構。
【請求項3】
前記挟持部材は、
前記ベースプレートの前記取付け面と前記固定プレートとに挟まれて前記固定プレートと前記ベースプレートとにより支持される支持部と、
前記支持部と一体に設けられる共に前記保持部に配置され、前記トレイに対して付勢力を付与する付勢部と、
を有する請求項1または2に記載のトレイ保持機構。
【請求項4】
前記支持部は、前記付勢部に連結される軸部を有し、
前記付勢部は、前記軸部が捩じれることにより前記軸部を中心として回動可能になっていると共に、前記軸部が捩じれた際の前記軸部の弾性力により前記トレイに対して付勢力を付与する請求項3に記載のトレイ保持機構。
【請求項5】
前記軸部は、前記トレイの前記長さ方向に延在する請求項4に記載のトレイ保持機構。
【請求項6】
前記付勢部は、前記付勢部を前記トレイの前記厚み方向に見た場合において、前記トレイの前記厚み方向と前記長さ方向との双方に直交する前記トレイの幅方向に延びる請求項5に記載のトレイ保持機構。
【請求項7】
前記付勢部は、前記軸部の位置から前記トレイの前記幅方向に延びつつ、前記切欠部が位置する側に向かって凸となって屈曲する屈曲部を有する請求項6に記載のトレイ保持機構。
【請求項8】
1つの前記挟持部材は、前記付勢部と前記軸部をそれぞれ複数有する請求項5に記載のトレイ保持機構。
【請求項9】
1つの前記保持部には、複数の前記挟持部材が配置され、
1つの前記固定プレートと前記ベースプレートの前記取付け面とには、それぞれの前記挟持部材が有する前記支持部が挟まれる請求項5に記載のトレイ保持機構。
【請求項10】
前記固定プレートは、前記支持部が入り込む溝部を有する請求項3に記載のトレイ保持機構。
【請求項11】
前記固定プレートは、前記トレイに当接した前記付勢部が入り込む逃げ部を有する請求項3に記載のトレイ保持機構。
【請求項12】
前記固定プレートは、前記トレイに当接した前記付勢部の端部が入り込む貫通孔を有する請求項3に記載のトレイ保持機構。
【請求項13】
前記ベースプレートは、
それぞれ前記固定プレートが取り付けられる2つのベース部材と、
前記長さ方向において2つの前記ベース部材同士の間に位置し、前記長さ方向における両端に前記ベース部材が取り付けられる連結部材と、
を有する請求項1または2に記載のトレイ保持機構。
【請求項14】
前記ベース部材は、取付けボルトによって前記連結部材に取り付けられ、
前記取付けボルトは、手動にて前記取付けボルトを回転させる手回し部を有する請求項13に記載のトレイ保持機構。
【請求項15】
前記ベース部材を前記連結部材に取り付ける部分には、前記ベース部材を前記連結部材に取り付ける際における位置決めを行う位置決めピンと、前記位置決めピンが入り込む挿入孔とが形成される請求項13に記載のトレイ保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トレイ保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
トレイ等の任意の部材を保持する機構として、例えば、特許文献1に記載された保持ユニットは、負圧吸引によりワークを吸着して保持することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-56394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、負圧吸引によりワークを吸着する場合、エアー用の配管やチューブ等が必要になるため、保持ユニットが大きくなり易くなる。ここで、例えば再生医療の分野等では、細胞のような微細な対象物を載置したトレイを保持機構で保持することがある。このように微細な対象物を載置するトレイは、トレイ自体の大きさも比較的小さく、重さも軽いものになるため、負圧吸引によってトレイを保持する構成にする場合、保持対象となるトレイに対して、保持機構が相対的に大型化し易くなる。
【0005】
一方で、保持機構の小型化を図って、吸引の出力を弱めてエアー用のチューブ等を細くした場合、吸引力が低下するため保持力が低下し、トレイを適切に保持し難くなることが考えられる。これらのため、微細な対象物を載置するトレイを保持する保持機構では、トレイに対して保持機構が大きくなり過ぎることなく、適切な保持力でトレイを保持するのは困難なものとなっていた。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化を図りつつトレイを適切に保持することができるトレイ保持機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のトレイ保持機構は、ベースプレートと、互いに離れた位置でそれぞれ前記ベースプレートに取り付けられる2つの固定プレートと、2つの前記固定プレートに対応して2箇所に設けられると共に、前記ベースプレートにおける前記固定プレートの取付け面の位置から前記固定プレートが位置する側の反対側に向かって切り欠かれた切欠部と前記固定プレートとにより設けられ、トレイの厚み方向における両側から前記固定プレートと前記ベースプレートとで前記トレイの長さ方向における両側の端部をそれぞれ挟み込むことにより前記トレイを保持する保持部と、2箇所の前記保持部にそれぞれ配置され、前記保持部で保持する前記トレイに対して前記厚み方向の付勢力を付与する挟持部材と、を備える。
【0008】
この構成によれば、ベースプレートと固定プレートとにより形成する、トレイを保持する保持部に挟持部材を配置するため、トレイ保持機構は、負圧吸引によってワークを吸着する場合に用いるような、エアー用の配管やチューブ等を用いることなくトレイを保持することができる。このため、トレイ保持機構の大型化を抑え、トレイ保持機構の小型化を図ることができる。また、トレイ保持機構は、挟持部材からトレイに対して付勢力を付与することによって、保持部でトレイを保持する状態を維持するため、細胞等の微細な対象物を載置する比較的軽量なトレイを、適切な力で保持することができる。この結果、トレイ保持機構の小型化を図りつつ、トレイ保持機構によってトレイを適切に保持することができる。
【0009】
望ましい形態として、前記保持部は、前記トレイの前記厚み方向と前記長さ方向との双方に直交する前記トレイの幅方向における一方側に開口部を有し、他方側に前記トレイが当接する当接部を有する。
【0010】
この構成によれば、保持部の内側には開口部からトレイを入り込ませることができる。また、トレイの幅方向における開口部の反対側には、当接部が位置しているため、保持部の内側にトレイを開口部から入り込ませる際に、トレイを幅方向に移動させ過ぎることを当接部によって抑制することができる。この結果、トレイを適切に保持することができる。
【0011】
望ましい形態として、前記挟持部材は、前記ベースプレートの前記取付け面と前記固定プレートとに挟まれて前記固定プレートと前記ベースプレートとにより支持される支持部と、前記支持部と一体に設けられる共に前記保持部に配置され、前記トレイに対して付勢力を付与する付勢部と、を有する。
【0012】
この構成によれば、挟持部材は支持部と付勢部とを有しているため、トレイに付勢力を付与する挟持部材を、容易に配置することができる。この結果、小型化を図りつつトレイを適切に保持することができる。
【0013】
望ましい形態として、前記支持部は、前記付勢部に連結される軸部を有し、前記付勢部は、前記軸部が捩じれることにより前記軸部を中心として回動可能になっていると共に、前記軸部が捩じれた際の前記軸部の弾性力により前記トレイに対して付勢力を付与する。
【0014】
この構成によれば、挟持部材の付勢部は、軸部が捩じれた際の軸部の弾性力によりトレイに対して付勢力を付与することができるため、トレイに対して付勢力を付与する挟持部材を、容易に設けることができる。この結果、小型化を図りつつトレイを適切に保持することができる。
【0015】
望ましい形態として、前記軸部は、前記トレイの前記長さ方向に延在する。
【0016】
この構成によれば、挟持部材が有する軸部はトレイの長さ方向に延在するため、軸部を中心として回動する付勢部の回動の方向を、保持部の内側にトレイを入り込ませる際のトレイの移動方向に合わせることができる。これにより、保持部の内側で保持するトレイに対して、容易に付勢力を付与することができる。この結果、小型化を図りつつトレイを適切に保持することができる。
【0017】
望ましい形態として、前記付勢部は、前記付勢部を前記トレイの前記厚み方向に見た場合において、前記トレイの前記厚み方向と前記長さ方向との双方に直交する前記トレイの幅方向に延びる。
【0018】
この構成によれば、トレイの厚み方向に見た場合における付勢部の延在方向を、保持部の内側にトレイを入り込ませる際のトレイの移動方向に合わせることができる。これにより、保持部の内側で保持するトレイに対して、付勢部によって容易に付勢力を付与することができる。この結果、小型化を図りつつトレイを適切に保持することができる。
【0019】
望ましい形態として、前記付勢部は、前記軸部の位置から前記トレイの前記幅方向に延びつつ、前記切欠部が位置する側に向かって凸となって屈曲する屈曲部を有する。
【0020】
この構成によれば、挟持部材の付勢部は屈曲部を有するため、付勢部はトレイに対する接触面積を抑えつつ、トレイに対して付勢力を付与することができる。これにより、保持部に対してトレイを入り込ませたり、保持部からトレイを取り出したりする際における摩擦抵抗を抑えつつ、挟持部材によってトレイに対して付勢力を付与することができる。この結果、保持部に対するトレイの出し入れの容易性を確保しつつ、トレイを適切に保持することができる。
【0021】
望ましい形態として、1つの前記挟持部材は、前記付勢部と前記軸部をそれぞれ複数有する。
【0022】
この構成によれば、挟持部材は付勢部と軸部をそれぞれ複数有するため、トレイに対して複数の位置から付勢力を付与することができる。これにより、トレイを保持するための部材の数を抑えつつ、1つの挟持部材からトレイに対して複数の位置に付与される付勢力により、トレイを安定して保持することができる。この結果、小型化を図りつつトレイを適切に保持することができる。
【0023】
望ましい形態として、1つの前記保持部には、複数の前記挟持部材が配置され、1つの前記固定プレートと前記ベースプレートの前記取付け面とには、それぞれの前記挟持部材が有する前記支持部が挟まれる。
【0024】
この構成によれば、1つの保持部に複数の挟持部材を配置することにより、それぞれの挟持部材の形状を簡素化することができる。これにより、挟持部材の製造を行う際に、各挟持部材を容易に形成することができ、トレイ保持機構の製造コストを抑えることができる。
【0025】
望ましい形態として、前記固定プレートは、前記支持部が入り込む溝部を有する。
【0026】
この構成によれば、固定プレートは溝部を有するため、ベースプレートの取付け面と固定プレートとで挟持部材の支持部を挟みこんで挟持部材を支持する際に、安定して支持することができる。これにより、保持部に配置する挟持部材を、挟持部材を支持するための部品点数の増加を抑えつつ、容易に安定して支持することができる。この結果、小型化を図りつつトレイを適切に保持することができる。
【0027】
望ましい形態として、前記固定プレートは、前記トレイに当接した前記付勢部が入り込む逃げ部を有する。
【0028】
この構成によれば、固定プレートは逃げ部を有するため、保持部にトレイを入り込ませる際に、トレイに当接した付勢部がトレイの移動を阻害することを抑制することができる。この結果、保持部に対してトレイを入り込ませる際の容易性を確保しつつ、トレイを適切に保持することができる。
【0029】
望ましい形態として、前記固定プレートは、前記トレイに当接した前記付勢部の端部が入り込む貫通孔を有する。
【0030】
この構成によれば、固定プレートは、付勢部の端部が入り込む貫通孔を有しているため、付勢部における屈曲部から端部までの間の部分の長さを長くすることができる。このため、保持部にトレイを入り込ませる際に、トレイが挟持部材の端部に当接することを抑制することができる。これにより、トレイが挟持部材の端部に当接することに起因して、付勢部が上側に押し上げられなくなることを抑制でき、付勢部は、保持部に入り込んだトレイによって上側に押し上げられることにより、付勢部からトレイに対して付勢力を付与することができる。この結果、保持部に対してトレイを入り込ませる際の容易性を確保しつつ、トレイを適切に保持することができる。
【0031】
望ましい形態として、前記ベースプレートは、それぞれ前記固定プレートが取り付けられる2つのベース部材と、前記長さ方向において2つの前記ベース部材同士の間に位置し、前記長さ方向における両端に前記ベース部材が取り付けられる連結部材と、を有する。
【0032】
この構成によれば、ベースプレートは、固定プレートが取り付けられる2つのベース部材と、ベース部材が取り付けられる連結部材とを有するため、連結部材に対してベース部材を着脱することができる。このため、トレイ保持機構の清掃を行う際に、連結部材からベース部材を取り外して清掃を行うことにより、細部にアクセスして細部の清掃も容易に行うことができる。この結果、トレイ保持機構の清掃時に簡単に清掃を行うことができる。
【0033】
望ましい形態として、前記ベース部材は、取付けボルトによって前記連結部材に取り付けられ、前記取付けボルトは、手動にて前記取付けボルトを回転させる手回し部を有する。
【0034】
この構成によれば、ベース部材は、手回し部を有する取付けボルトによって連結部材に取り付けられるため、連結部材に対するベース部材の着脱を行う際に、作業者が手動で取付けボルトを回転させることにより容易に着脱することができる。これにより、トレイ保持機構の清掃を行う際に、容易にベース部材を連結部材から取り外して清掃し、清掃後には連結部材に対してベース部材を容易に取り付けることができる。この結果、トレイ保持機構の清掃を簡単に行うことができる。
【0035】
望ましい形態として、前記ベース部材を前記連結部材に取り付ける部分には、前記ベース部材を前記連結部材に取り付ける際における位置決めを行う位置決めピンと、前記位置決めピンが入り込む挿入孔とが形成される。
【0036】
この構成によれば、ベース部材を連結部材に取り付ける部分には、位置決めピンと挿入孔とが形成されるため、連結部材にベース部材を取り付ける際に、位置決めピンによって位置決めを行いながら取り付けることができる。これにより、連結部材にベース部材を取り付ける際における作業性を向上させることができ、トレイ保持機構の清掃を行う際における作業性を向上させることができる。この結果、トレイ保持機構の清掃を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
本開示に係るトレイ保持機構は、小型化を図りつつトレイを適切に保持することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、第1実施形態に係るトレイ保持機構が適用される分注装置の斜視図である。
図2図2は、図1に示す分注装置の別の方向から視た斜視図である。
図3図3は、図1に示す分注装置の正面図である。
図4図4は、図1に示す分注装置の平面図である。
図5図5は、第1実施形態に係るトレイ保持機構の斜視図である。
図6図6は、図5に示すトレイ保持機構を斜め上側から見た分解斜視図である。
図7図7は、図5に示すトレイ保持機構を斜め下側から見た分解斜視図である。
図8図8は、図6に示す挟持部材の平面図である。
図9図9は、図8のB-B矢視図である。
図10図10は、図8に示す挟持部材の斜視図である。
図11図11は、図9に示す固定プレートを上下方向における下側から固定プレートを見た固定プレートの平面図である。
図12図12は、図5のA-A断面図である。
図13図13は、保持部に対する挟持部材の配置状態を示す説明図であり、固定プレートを取り除いて切欠部と挟持部材との位置関係を示した斜視図である。
図14図14は、トレイ保持機構でトレイを保持する際の説明図である。
図15図15は、第1付勢部がトレイに接触した状態を示す説明図である。
図16図16は、第2付勢部がトレイに接触した状態を示す説明図である。
図17図17は、第2実施形態に係るトレイ保持機構の斜視図である。
図18図18は、図17に示すトレイ保持機構が有するベースプレートの連結部材とベース部材とを取り外した状態を示す説明図である。
図19図19は、図18に示すトレイ保持機構の分解斜視図である。
図20図20は、第2実施形態に係るトレイ保持機構でトレイを保持する際の説明図である。
図21図21は、第1実施形態に係るトレイ保持機構の変形例であり、第1挟持部材の平面図である。
図22図22は、図21のD-D矢視図である。
図23図23は、第1実施形態に係るトレイ保持機構の変形例であり、第2挟持部材の平面図である。
図24図24は、図23のE-E矢視図である。
図25図25は、第1実施形態に係るトレイ保持機構の変形例であり、固定プレートに挟持部材を形成するための切込みを入れた状態を示す固定プレートの斜視図である。
図26図26は、図25に示す固定プレートを用いて挟持部材を形成したトレイ保持機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本開示につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0040】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るトレイ保持機構10が適用される分注装置200の斜視図である。図2は、図1に示す分注装置200の別の方向から視た斜視図である。図3は、図1に示す分注装置200の正面図である。図4は、図1に示す分注装置200の平面図である。なお、図4では、分注装置200の上部の構成要素を一部省略して示している。また、第1実施形態において、水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と交差する他方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと交差する鉛直方向をZ軸方向とする。
【0041】
第1実施形態に係る分注装置200は、細胞塊が入れられたウェルプレート300からトレイ100(容器)へ分注する装置である。図1から図4までに示すように、分注装置200は、基台210と、分注部212と、分注機240と、プレート収納部214と、を備える。また、分注装置200は、プレート搬送機構270を備える。
【0042】
基台210は、分注装置200の最下部に位置し、分注装置200の各構成要素を支持する。基台210からは、支柱216及び支柱218がそれぞれ立設する。支柱216は、基台210のX軸方向の一方の端部側(図3及び図4に示す右方)から立設し、基台210の後述のトレイ搬送用Y軸アクチュエータ234を支持する。支柱218は、Y軸方向の一方の端部側(図3に示す奥、図4に示す上方)から立設し、後述の分注機用X軸アクチュエータ244を支持する。
【0043】
分注部212は、分注機240が、細胞塊が入れられたウェルプレート300から細胞塊を吸引するとともに、吸引した細胞塊をトレイ100へ分注するエリアを示す。分注部212は、プレート収納部214に対してX軸方向に隣接した位置に配置される。第1実施形態に係る分注装置200は、分注部212が図3及び図4に示す右方側に位置し、プレート収納部214が図3及び図4に示す左方側に位置する。分注部212は、基台210に固定される低床部220上に配置される。低床部220の上面は、プレート収納部214が配置される後述の高床部250の下面より下方に位置する。
【0044】
低床部220は、分注部212において、第一位置222と、第二位置224と、を含む。第一位置222は、分注時において分注機240によって細胞塊が回収される対象のウェルプレート300が配置される位置である。第一位置222は、プレート収納部214に対してX軸方向に隣接する。第二位置224は、分注時において分注機240が第一位置222のウェルプレート300から回収された細胞塊を分注する対象のトレイ100を配置する位置である。また、低床部220には、トレイ保管部226と、ピペットチップ保管部228と、ピペットチップ離脱部230と、が配置される。
【0045】
トレイ保管部226には、分注前のトレイ100及び分注後のトレイ100がそれぞれ積層される。第1実施形態のトレイ保管部226は、第二位置224に対してY軸方向にオフセットした位置に設けられる。第1実施形態の分注装置200において、分注前のトレイ100は、予め使用者によってトレイ保管部226に載置される。また、分注後のトレイ100は、一連の分注動作が終了した後、使用者によってトレイ保管部226から回収される。
【0046】
トレイ保管部226に積層された分注前のトレイ100は、トレイ把持装置232が有するグリッパー80によって把持され、トレイ搬送用Y軸アクチュエータ234及びトレイ搬送用Z軸アクチュエータ236によって第二位置224まで搬送される。第二位置224には、第1実施形態に係るトレイ保持機構10が位置することができ、第二位置224に搬送されたトレイ100は、トレイ保持機構10によって保持される。つまり、トレイ保持機構10は、分注装置200とは異なる装置と、分注装置200との間でX軸方向に移動可能になっており、トレイ100は、トレイ保持機構10が第二位置224に位置している時に第二位置224まで搬送される。また、第二位置224において分注された後のトレイ100は、トレイ把持装置232が有するグリッパー80によって把持され、トレイ搬送用Y軸アクチュエータ234及びトレイ搬送用Z軸アクチュエータ236によってトレイ保管部226まで搬送される。
【0047】
トレイ把持装置232は、第二位置224のトレイ保持機構10によって保持されたトレイ100、及びトレイ保管部226に積層されたトレイ100の把持及び解除が可能である。トレイ把持装置232は、トレイ搬送用Z軸アクチュエータ236に支持され、トレイ搬送用Z軸アクチュエータ236によってZ軸方向に移動可能である。また、トレイ把持装置232は、トレイ搬送用Z軸アクチュエータ236を介してトレイ搬送用Y軸アクチュエータ234に支持され、トレイ搬送用Y軸アクチュエータ234によってY軸方向に移動可能である。
【0048】
トレイ把持装置232が有するグリッパー80は、X軸方向に延び、Y軸方向に並ぶ一対が設けられている。トレイ把持装置232は、一対のグリッパー80を互いに接近する方向及び離隔する方向に移動させることで、トレイ100の水平姿勢を維持した状態で側方からの把持及び解除が可能である。トレイ把持装置232は、トレイ100を把持した状態で、第二位置224とトレイ保管部226との間で移動させる。
【0049】
トレイ搬送用Y軸アクチュエータ234は、基台210から立設する支柱216に支持される。トレイ搬送用Y軸アクチュエータ234は、トレイ搬送用Z軸アクチュエータ236をY軸方向に移動させる。トレイ搬送用Y軸アクチュエータ234は、例えば、支柱216に固定される固定部と、固定部に対してY軸方向に移動可能な可動部と、可動部を固定部に対してY軸方向に移動させる駆動機構と、を有する。
【0050】
トレイ搬送用Z軸アクチュエータ236は、トレイ搬送用Y軸アクチュエータ234に支持される。トレイ搬送用Z軸アクチュエータ236は、トレイ把持装置232をZ軸方向に移動させる。トレイ搬送用Z軸アクチュエータ236は、例えば、トレイ搬送用Y軸アクチュエータ234の可動部に固定される固定部と、固定部に対してZ軸方向に移動可能な可動部と、可動部を固定部に対してZ軸方向に移動させる駆動機構と、を有する。
【0051】
ピペットチップ保管部228には、分注機240に装着するためのピペットチップ205が配置される。第1実施形態に係る分注装置200において、使用前のピペットチップ205は、使用者によってピペットチップ保管部228に載置される。この際、ピペットチップ205は、分注機240のノズル242の数及び配置に対応して整列した状態で立設するよう所定の保持治具に保持された状態で、ピペットチップ保管部228に載置される。ピペットチップ保管部228に整列して載置されたピペットチップ205は、分注機240本体がピペットチップ205の上方から下降し、上端部がノズル242に嵌合することで分注機240に装着される。
【0052】
ピペットチップ離脱部230では、ピペットチップ205を分注機240から離脱させる。ピペットチップ離脱部230は、例えば、分注機240に装着されたピペットチップ205の数及び先端部の形状に対応する溝部を有する。
【0053】
分注機240は、第一位置222に配置されたウェルプレート300から細胞塊を回収し、第二位置224に配置されたトレイ100へ分注する。分注機240は、複数のノズル242を下部に備えるとともに、ポンプ装置及び配管系を内蔵する筐体を含む。複数のノズル242は、第1実施形態において、8つのノズル242を含む。すなわち、第1実施形態の分注機240は、8連に形成される。各々のノズル242は、一方の端部(上端側)が配管系を介してポンプ装置と接続し、他方の端部(下端側)に、ピペットチップ205が装着される。
【0054】
分注機240は、ノズル242に装着したピペットチップ205が、第一位置222、第二位置224、ピペットチップ保管部228、及びピペットチップ離脱部230を含む分注部212で移動可能であるように、X軸、Y軸及びZ軸の3軸方向に移動可能である。分注機240は、分注機用X軸アクチュエータ244、分注機用Y軸アクチュエータ246、及び分注機用Z軸アクチュエータ248によって搬送される。
【0055】
分注機用X軸アクチュエータ244は、基台210から立設した支柱218に支持される。分注機用X軸アクチュエータ244は、分注機用Y軸アクチュエータ246をX軸方向に移動させる。分注機用X軸アクチュエータ244は、例えば、支柱218に固定される固定部と、固定部に対してX軸方向に移動可能な可動部と、可動部を固定部に対してX軸方向に移動させる駆動機構と、を有する。
【0056】
分注機用Y軸アクチュエータ246は、分注機用X軸アクチュエータ244に支持される。分注機用Y軸アクチュエータ246は、分注機用Z軸アクチュエータ248をY軸方向に移動させる。分注機用Y軸アクチュエータ246は、例えば、分注機用X軸アクチュエータ244の可動部に固定される固定部と、固定部に対してY軸方向に移動可能な可動部と、可動部を固定部に対してY軸方向に移動させる駆動機構と、を有する。
【0057】
分注機用Z軸アクチュエータ248は、分注機用Y軸アクチュエータ246に支持される。分注機用Z軸アクチュエータ248は、分注機240をZ軸方向に移動させる。分注機用Z軸アクチュエータ248は、例えば、分注機用Y軸アクチュエータ246の可動部に固定される固定部と、固定部に対してZ軸方向に移動可能な可動部と、可動部を固定部に対してZ軸方向に移動させる駆動機構と、を有する。可動部には、分注機240の筐体が固定される。
【0058】
プレート収納部214は、細胞塊が入れられたウェルプレート300及び分注後の使用済みとなったウェルプレート300が収納されるエリアを示す。プレート収納部214は、分注部212に対してX軸方向に隣接した位置に配置される。プレート収納部214は、基台210に固定される高床部250上に配置される。高床部250の下面は、分注部212が配置される低床部220の上面より上方に位置する。低床部220の高床部250側の端縁と、高床部250の低床部220側の端縁との間には、ウェルプレート300が、低床部220の上面側と高床部250の下面側との間でX軸方向に移動可能な高さ方向(Z軸方向)の間隙を有する。
【0059】
高床部250は、Z軸方向に貫通する第一開口252及び第二開口254を有する。第一開口252と第二開口254とは、X軸方向に並んで形成される。第一開口252及び第二開口254は、ウェルプレート300の外形より大きい。より詳しくは、第一開口252及び第二開口254は、ウェルプレート300が、水平姿勢を維持した状態、かつ平面視において分注部212の第一位置222に配置される角度(第1実施形態では、長手方向がY軸方向に向く姿勢)を維持した状態で、Z軸方向に通り抜け可能であるように形成される。
【0060】
高床部250の上面側には、第一収納部256と、第二収納部258と、扉部材260と、が設けられる。
【0061】
第一収納部256は、第一開口252を下面に有し、分注前のウェルプレート300を積層して収納するストッカーである。第一収納部256は、X軸方向に対向する側壁によって囲まれて形成される。第1実施形態の第一収納部256は、分注部212の第一位置222に対してX軸方向に隣接して配置される。第二収納部258は、第二開口254を下面に有し、分注後のウェルプレート300を積層して収納するストッカーである。第1実施形態の第二収納部258は、X軸方向に対向する側壁によって囲まれて形成される。第1実施形態の第二収納部258は、第一収納部256に対して分注部212とは反対側のX軸方向に隣接して配置される。
【0062】
扉部材260は、第一収納部256及び第二収納部258を閉じている状態において、第一収納部256及び第二収納部258のそれぞれに収納されたウェルプレート300の量が外部から確認可能な窓261を有する。窓261は、第1実施形態において、垂直方向に延びるスリット状である。窓261は、貫通孔であってもよいし、ガラス等の透明な部材で形成されてもよい。
【0063】
扉部材260は、第一収納部256の分注部212側の端部における垂直な回動軸回りに回動可能であるように、第一収納部256の分注部212側の側壁に対して蝶番262を介して支持される。なお、第1実施形態では、第一収納部256が分注部212側に配置されるが、第二収納部258が分注部212側に配置されてもよく、この場合、扉部材260は、第二収納部258の分注部212側の端部における垂直な回動軸回りに開閉可能に設けられる。
【0064】
プレート搬送機構270は、第一収納部256の最下層のウェルプレート300を分注部212の第一位置222まで搬送するとともに、当該ウェルプレート300を第二収納部258の最下層に収納させる。
【0065】
次に、第二位置224に配置されるトレイ保持機構10について説明する。図5は、第1実施形態に係るトレイ保持機構10の斜視図である。第1実施形態に係るトレイ保持機構10は、トレイ保持機構10で保持するトレイ100の長さ方向がX軸方向となり、トレイ100の長さ方向に直交するトレイ100の幅方向がY軸方向となり、トレイ100の長さ方向と幅方向との双方に直交するトレイ100の厚み方向がZ軸方向となる向きで配置される。このため、以下の説明では、X軸方向をトレイ保持機構10における長さ方向Xとして説明し、Y軸方向をトレイ保持機構10における幅方向Yとして説明し、Z軸方向をトレイ保持機構10における上下方向Zとして説明する。
【0066】
トレイ保持機構10は、図5に示すように、ベースプレート20と、固定プレート30と、挟持部材50とを有している。ベースプレート20は、略長方形の枠状の形状で形成されており、固定プレート30は、略長方形の板状の形状で形成されている。ベースプレート20は、長方形の枠状における長手方向がトレイ保持機構10における長さ方向Xとなり、長方形の枠状における短手方向がトレイ保持機構10における幅方向Yとなる向きで配置される。
【0067】
ベースプレート20には、2つの固定プレート30が取り付けられており、2つの固定プレート30は、互いに離れた位置でそれぞれベースプレート20に取り付けられている。固定プレート30は、固定プレート30の形状である長方形の長手方向が幅方向Yとなり、長方形の短手方向が長さ方向Xとなる向きでベースプレート20に取り付けられている。2つの固定プレート30は、ベースプレート20における長さ方向Xの両端付近の位置で、ベースプレート20における上下方向Zの両面のうち互いに同じ側の面にそれぞれ取り付けられている。具体的には、2つの固定プレート30は、ベースプレート20に対していずれも上下方向Zにおける上側の面に取り付けられている。
【0068】
ベースプレート20における固定プレート30が取り付けられている部分には、ベースプレート20と固定プレート30とにより形成される保持部40が設けられている。保持部40は、2つの固定プレート30に対応して、長さ方向Xに互いに離れた2箇所に設けられている。保持部40は、固定プレート30におけるベースプレート20に取り付けられる側の面と、ベースプレート20とにより形成され、幅方向Yに延びる溝状の形状で形成されている。保持部40は、2つの固定プレート30に対応して2つが設けられており、2つの固定プレート30に対応する2つの保持部40は、ベースプレート20の長さ方向Xにおいて互いに他方の固定プレート30が位置する側の部分に形成されている。
【0069】
つまり、2箇所の保持部40は、長さ方向Xにおいて互い他方の保持部40が位置する側の反対側が溝底側となり、長さ方向Xにおいて互い他方の保持部40が位置する側が溝の開口側となって幅方向Yに延びる、溝状の形状でそれぞれ形成されている。溝状の形状で形成される保持部40は、トレイ100(図14参照)を溝状の保持部40に差し込むことにより、トレイ100を保持することが可能になっている。
【0070】
挟持部材50は、ベースプレート20と2つの固定プレート30とにより形成される2箇所の保持部40にそれぞれ配置されている。
【0071】
図6は、図5に示すトレイ保持機構10を斜め上側から見た分解斜視図である。図7は、図5に示すトレイ保持機構10を斜め下側から見た分解斜視図である。ベースプレート20における固定プレート30が取り付けられている部分には、取付け面21が形成されている。取付け面21は、ベースプレート20に取り付けられる2つの固定プレート30に対応して、ベースプレート20における長さ方向Xの両端付近の2箇所に形成されている。取付け面21は、上下方向Zに直交する平面状に形成されており、各取付け面21には、固定プレート30を取付け面21に取り付ける際に用いる取付けねじ35が螺合するねじ孔22が形成されている。
【0072】
固定プレート30には、取付け面21に形成されるねじ孔22に対応する位置にねじ挿通孔34が形成されている。固定プレート30は、ねじ挿通孔34を挿通した取付けねじ35を、取付け面21に形成されるねじ孔22に螺合させることにより、ベースプレート20の取付け面21に取り付けられる。第1実施形態では、各固定プレート30は、2本の取付けねじ35によって取り付けられるため、各固定プレート30にはねじ挿通孔34が2つ形成されており、各取付け面21にはねじ孔22が2つ形成されている。
【0073】
ベースプレート20には、取付け面21に隣接する切欠部23が形成されている。切欠部23は、2箇所の取付け面21における、長さ方向Xにおいて互い他方の取付け面21が位置する側の部分に、取付け面21に隣接して形成されている。2箇所の切欠部23はそれぞれ、取付け面21の位置から、上下方向Zにおいて取付け面21に取り付けられる固定プレート30が位置する側の反対側に向かって切り欠かれている。即ち、切欠部23は、上下方向Zにおける取付け面21が形成されている位置から、上下方向Zにおける下側に向かって切り欠かれている。このため、取付け面21と切欠部23とは、段差となって形成されている。切欠部23は、取付け面21に固定プレート30が取り付けられた際に、固定プレート30と共に保持部40を構成する。換言すると、保持部40は、ベースプレート20に形成される切欠部23と固定プレート30とにより設けられている。
【0074】
挟持部材50は、2つの固定プレート30に対応して2つが設けられている。2つの挟持部材50は、それぞれ支持部51と付勢部54とを有している。支持部51は、ベースプレート20の取付け面21と固定プレート30とに挟まれて、固定プレート30とベースプレート20とにより支持される部分になっている。付勢部54は、支持部51と一体に設けられる共に保持部40に配置され、トレイ100(図14参照)に対して付勢力を付与する部分になっている。
【0075】
図8は、図6に示す挟持部材50の平面図である。図9は、図8のB-B矢視図である。図10は、図8に示す挟持部材50の斜視図である。図8は、図6に示す2つの挟持部材50のうち、図面上で右側に図示されている挟持部材50を、上下方向Zにおける上側から見た平面図である。図6において左側に図示されている挟持部材50は、図8で図示する挟持部材50に対して左右対称となって形成されている。
【0076】
挟持部材50は、金属材料からなる線材がからなる、いわゆる線ばねになっている。挟持部材50は、例えば、硬鋼線やピアノ線が用いられる金属ばねになっている。線ばねである挟持部材50は、1つの挟持部材50が付勢部54を複数有している。第1実施形態では、各挟持部材50は、付勢部54として、それぞれ第1付勢部54aと第2付勢部54bとの2つ有している。また、挟持部材50が有する支持部51は、固定部52と軸部53とを有している。
【0077】
このうち、軸部53は、付勢部54に連結される部分になっており、付勢部54に対応して複数が設けられている。第1実施形態では、1つの挟持部材50が2つの付勢部54を有しているため、軸部53も付勢部54に対応して、第1軸部53aと第2軸部53bとの2つが設けられている。2つの軸部53は、それぞれ長さ方向Xに延在しており、幅方向Yにおいて離れた位置に配置されている。即ち、2つの軸部53のうち一方の軸部53は、幅方向Yにおける挟持部材50の一方の端部寄りの位置に配置され、他方の軸部53は、幅方向Yにおける挟持部材50の他方の端部寄りの位置に配置されている。
【0078】
一方、支持部51が有する固定部52は、幅方向Yに延在しており、2つの軸部53における、長さ方向Xにおいて同じ側の端部に、固定部52の両端がそれぞれ連結されている。即ち、2つの軸部53は、幅方向Yに延在する固定部52を介して連結されている。
【0079】
付勢部54に連結される2つの付勢部54は、それぞれ異なる軸部53における、長さ方向Xにおいて固定部52が連結される側の端部の反対側の端部に連結されている。つまり、2つの付勢部54は、それぞれ異なる軸部53における、長さ方向Xにおいて同じ側の端部に連結されている。具体的には、2つの付勢部54のうち第1付勢部52aは、第1軸部53aの端部に連結され、第2付勢部52bは、第2軸部53bの端部に連結されている。
【0080】
軸部53に連結される2つの付勢部54は、付勢部54を上下方向Zに見た場合において、それぞれ幅方向Yに延びている。具体的には、2つの付勢部54は、付勢部54を上下方向Zに見た場合において、それぞれ自己の付勢部54が連結される軸部53の位置から、幅方向Yにおいて他方の軸部53が位置する側に向かって幅方向Yに延びている。つまり、第1付勢部54aは、上下方向Zに見た場合に、第1軸部53aの位置から第2軸部53bが位置する側に向かって幅方向Yに延びている。同様に、第2付勢部54bは、上下方向Zに見た場合に、第2軸部53bの位置から第1軸部53aが位置する側に向かって幅方向Yに延びている。
【0081】
また、2つの付勢部54は、長さ方向Xにおける位置が僅かに異なる位置に配置されており、即ち、第1付勢部54aと第2付勢部54bとは、長さ方向Xにおいて僅かにずれて配置されている。このため、上下方向Zに見た場合においてそれぞれ幅方向Yに延びる2つの付勢部54は、互いに干渉することなく、長さ方向Xに並んで幅方向Yに延びている。
【0082】
このように、上下方向Zに見た場合に幅方向Yに延びる付勢部54は、軸部53の位置からトレイ100の幅方向Yに延びつつ、上下方向Zに向かって凸となって屈曲する屈曲部55を有している。
【0083】
付勢部54が有する屈曲部55は、挟持部材50の支持部51がベースプレート20の取付け面21と固定プレート30とに挟まれた状態において、切欠部23(図6参照)が位置する側に向かって凸となって屈曲して形成されている。つまり、付勢部54は、軸部53の位置から幅方向Yに延びつつ、切欠部23が位置する側、即ち、上下方向Zにおける下側に向かって凸となって屈曲する屈曲部55を有している。具体的には、挟持部材50の支持部51がベースプレート20の取付け面21と固定プレート30とに挟まれた状態において、付勢部54は、軸部53の位置から幅方向Yに延びつつ上下方向Zにおける下側に向かい、屈曲部55の位置で屈曲することにより、幅方向Yに延びつつ上下方向Zにおける上側に向って形成される。
【0084】
屈曲部55は、第1付勢部54aと第2付勢部54bとの双方がそれぞれ有しており、第1付勢部54aは屈曲部55として第1屈曲部55aを有し、第2付勢部54bは屈曲部55として第2屈曲部55bを有している。付勢部54が有するこれらの屈曲部55は、幅方向Yにおける位置が、他方の付勢部54が連結される軸部53の位置の近傍の位置に配置される。即ち、第1付勢部54aが有する第1屈曲部55aは、幅方向Yにおける位置が、第2付勢部54bが連結される第2軸部53bの位置の近傍の位置に配置されており、上下方向Zにおいて第2軸部53bの下側付近に位置している。同様に、第2付勢部54bが有する第2屈曲部55bは、幅方向Yにおける位置が、第1付勢部54aが連結される第1軸部53aの位置の近傍の位置に配置されており、上下方向Zにおいて第1軸部53aの下側付近に位置している。
【0085】
これらのように、それぞれ屈曲部55が形成される第1付勢部54aと第2付勢部54bでは、屈曲部55の位置から、付勢部54の延在方向における端部56までの長さが異なっている。第1実施形態では、第2付勢部54bよりも第1付勢部54aの方が、屈曲部55の位置から、付勢部54の延在方向における端部56までの長さが長くなっている。つまり、第1付勢部54aにおける第1屈曲部55aの位置から、第1付勢部54aの端部56である第1端部56aまでの長さは、第2付勢部54bにおける第2屈曲部55bの位置から、第2付勢部54bの端部56である第2端部56bまでの長さよりも長くなっている。
【0086】
第1端部56aは、第1屈曲部55aに対して幅方向Yにおいて第2屈曲部55bが位置する側の反対側に位置しており、第2端部56bは、第2屈曲部55bに対して幅方向Yにおいて第1屈曲部55aが位置する側の反対側に位置している。このため、第1付勢部54aにおける第1屈曲部55aと第1端部56aとの間の部分は、第1屈曲部55aから第1端部56aが位置する側に向かって、幅方向Yにおいて第2屈曲部55bが位置する側の反対側に延びつつ、上下方向Zにおける上側に向かう方向に傾斜している。同様に、第2付勢部54bにおける第2屈曲部55bと第2端部56bとの間の部分は、第2屈曲部55bから第2端部56bが位置する側に向かって、幅方向Yにおいて第1屈曲部55aが位置する側の反対側に延びつつ、上下方向Zにおける上側に向かう方向に傾斜している。
【0087】
第1付勢部54aは、このように第1屈曲部55aと第1端部56aとの間で幅方向Yと上下方向Zとに対して傾斜している部分の長さが、第2付勢部54bにおける、第2屈曲部55bと第2端部56bとの間で幅方向Yと上下方向Zとに対して傾斜している部分の長さよりも長くなっている。このため、第1付勢部54aの第1端部56aは、第2付勢部54bの第2端部56bよりも、上下方向Zにおける位置が上側に位置している。
【0088】
このように形成される付勢部54は、付勢部54が連結される軸部53が捩じれることにより、軸部53を中心として回動可能になっている。付勢部54は、保持部40でトレイ100を保持する際に、軸部53が捩じれた際の軸部53の弾性力により、トレイ100に対して付勢力を付与することが可能になっている。
【0089】
図11は、図9に示す固定プレート30を上下方向Zにおける下側から固定プレート30を見た固定プレート30の平面図である。図11は、図9に示す2つの固定プレート30のうち、図面上で右側に図示されている固定プレート30を、上下方向Zにおける下側から見た平面図である。図9において左側に図示されている固定プレート30は、図11で図示する固定プレート30に対して左右対称となって形成されている。
【0090】
ベースプレート20の取付け面21とによって挟持部材50の支持部51を挟み込む固定プレート30は、固定プレート30の表面から凹んで形成される、溝部31と逃げ部32とを有している。溝部31は、挟持部材50の支持部51が入り込む溝になっている。このため、溝部31は、挟持部材50の支持部51における固定部52が入り込む部分である固定部用溝部31aと、支持部51における軸部53が入り込む部分である軸部用溝部31bとを有している。溝部31が有する、これらの固定部用溝部31aと軸部用溝部31bとは、挟持部材50の支持部51が有する固定部52と軸部53とに対応する形状で形成されている。
【0091】
詳しくは、固定部用溝部31aは、支持部51の固定部52と同様に、幅方向Yに延びる溝部31になっている。軸部用溝部31bは、支持部51の軸部53と同様に、長さ方向Xに延びる溝部31になっている。また、軸部用溝部31bは、支持部51の軸部53と同様に2つが、支持部51の2つの軸部53の間隔と同じ間隔で幅方向Yに離れて形成されている。固定部用溝部31aは、2つの軸部用溝部31bにおける、長さ方向Xにおいて同じ側の端部に、固定部用溝部31aの両端がそれぞれ連結されている。即ち、2つの軸部用溝部31bは、幅方向Yに延在する固定部用溝部31aを介して連結されている。
【0092】
また、固定プレート30に形成される逃げ部32は、保持部40でトレイ100を保持した際に、トレイ100に当接した挟持部材50の付勢部54が入り込む部分になっている。つまり、逃げ部32は、保持部40で保持するトレイ100に付勢部54が当接し、軸部53が捩じれて軸部53を中心として付勢部54が上下方向Zにおける上側の方向に向かって回動した際に、回動した付勢部54が入り込む部分になっている。
【0093】
固定プレート30に形成される逃げ部32は、挟持部材50の付勢部54とは異なり、第1付勢部54aが入り込む部分と第2付勢部54bが入り込む部分とが、一体に形成されている。挟持部材50の付勢部54が入り込む逃げ部32の深さは、挟持部材50の支持部51が入り込む溝部31の深さと同じ深さになっている。
【0094】
さらに、固定プレート30は、保持部40でトレイ100を保持した際に、トレイ100に当接した挟持部材50の付勢部54の端部56が入り込む貫通孔33を有している。貫通孔33は、固定プレート30の厚み方向、即ち、上下方向Zに固定プレート30を貫通する孔になっている。貫通孔33は、幅方向Yにおける逃げ部32の端部付近に形成されている。
【0095】
また、貫通孔33は、挟持部材50の付勢部54が有する2つの付勢部54の端部56の双方に対しては形成されておらず、挟持部材50の付勢部54が有する2つの付勢部54のうち、一方の付勢部54の端部56に対して形成されている。具体的には、貫通孔33は、挟持部材50が有する2つの付勢部54のうち、屈曲部55の位置から付勢部54の端部56までの長さが長い、第1付勢部54aの端部56である第1端部56aに対して形成されており、第1端部56aが入り込む孔になっている。
【0096】
図12は、図5のA-A断面図である。図13は、保持部40に対する挟持部材50の配置状態を示す説明図であり、固定プレート30を取り除いて切欠部23と挟持部材50との位置関係を示した斜視図である。これらのように形成される固定プレート30は、ベースプレート20の取付け面21との間に挟持部材50の支持部51を挟んで取付け面21に取り付けることにより、ベースプレート20に形成される切欠部23とによって保持部40を形成する。その際に、挟持部材50は、付勢部54が固定プレート30の逃げ部32が位置する側の向きにし、支持部51の固定部52を、固定プレート30の溝部31における固定部用溝部31aに入り込ませ、支持部51の軸部53を、固定プレート30の溝部31における軸部用溝部31bに入り込ませる。
【0097】
この状態で、取付けねじ35を用いて固定プレート30をベースプレート20の取付け面21に取り付けることにより、固定プレート30とベースプレート20の切欠部23とで保持部40を形成すると共に、挟持部材50の付勢部54を保持部40に位置させる。即ち、挟持部材50は、屈曲部55が下側に向かって凸となる向きで付勢部54をベースプレート20の切欠部23に位置させ、支持部51をベースプレート20の取付け面21上に位置させる。
【0098】
ベースプレート20の切欠部23と固定プレート30とにより形成される保持部40は、幅方向Yにおける一方側に開口部41を有し、他方側にトレイ100(図16参照)が当接する当接部42を有している。つまり、保持部40の幅方向Yにおける一方側は、幅方向Yに開口しており、保持部40の幅方向Yにおける他方側は、幅方向Yに閉塞しており、このように閉塞している部分が、当接部42として設けられている。保持部40の開口部41と当接部42は、ベースプレート20に形成される切欠部23が、幅方向Yにおける一端側が幅方向Yに開口し、幅方向Yにおける他端側が幅方向Yに閉塞する形状で形成されることにより、開口部41と当接部42は形成されている。
【0099】
保持部40は、このように幅方向Yにおける一方側に開口部41を有し、他方側に当接部42を有しているが、付勢部54を保持部40に位置させる挟持部材50は、第1屈曲部55aが開口部41寄りに位置し、第2屈曲部55bが当接部42寄りに位置する向きで配置する。つまり、挟持部材50は、第1端部56a(図15参照)が保持部40の開口部41寄りに位置し、第2端部56bが保持部40の当接部42寄りに位置する向きで配置される。また、挟持部材50は、付勢部54を保持部40に位置させて配置した際には、第2端部56bは保持部40内に位置し、上下方向Zにおける位置が第2端部56bに対して相対的に上側に位置する第1屈曲部55aは、固定プレート30に形成される逃げ部32(図12参照)に入り込んだ状態で配置される。
【0100】
また、ベースプレート20には、長さ方向Xにおける両端付近に取付け面21が形成され、固定プレート30は、ベースプレート20における2箇所の取付け面21にそれぞれ取り付けられる。このため、ベースプレート20の切欠部23と固定プレート30とにより形成される保持部40も、2つの固定プレート30と2箇所の切欠部23によって、長さ方向Xに離れた2箇所に形成される。このように2箇所に形成される保持部40は、幅方向Yにおける開口部41が位置する側と当接部42側とが、互い同じ側になっている。
【0101】
また、挟持部材50は、2箇所のベースプレート20の取付け面21と固定プレート30とに対応して、挟持部材50も2箇所に配置される。その際に、2箇所の挟持部材50の幅方向Yにおける向きは、互いに同じ向きとなって配置される。つまり、2箇所の挟持部材50は、いずれも幅方向Yにおける開口部41寄りに第1屈曲部55aが位置し、当接部42寄りに第2屈曲部55bが位置する向きで配置される。つまり、固定プレート30や保持部40、挟持部材50は、長さ方向Xにおける2箇所の固定プレート30同士の中央の位置を中心として、線対称となって設けられている。
【0102】
次に、第1実施形態に係るトレイ保持機構10の作用について説明する。図14は、トレイ保持機構10でトレイ100を保持する際の説明図である。トレイ保持機構10を有する分注装置200は、例えば、再生医療の分野等において用いられるものであるため、トレイ保持機構10は、細胞塊を入り込ませるための凹部105が複数形成されたトレイ100を保持することが可能になっている。トレイ100の凹部105には、ウェルプレート300から分注された細胞塊が入れられる。トレイ保持機構10で保持するトレイ100は、略長方形の板状の形状で形成され、板状の一方側の面に、表面から凹んだ凹部105が複数形成されている。トレイ保持機構10は、トレイ100に形成される凹部105の開口側が上下方向Zにおける上側に位置し、トレイ100の形状である長方形の長手方向が長さ方向Xとなる向きで、トレイ100を保持する。
【0103】
トレイ保持機構10でトレイ100を保持したり、トレイ保持機構10で保持しているトレイ100をトレイ保持機構10から取り外したりする際には、トレイ把持装置232(図2等参照)が有するグリッパー80を用いる。グリッパー80は、幅方向Yに離隔する一対が設けられており、一対のグリッパー80は、それぞれトレイ100に係合する爪部81を有している。一対のグリッパー80は、爪部81がトレイ100の短手方向における両側からトレイ100に係合することにより、トレイ100を保持することが可能になっている。トレイ把持装置232は、一対のグリッパー80の幅方向Yにおける距離を変化させることが可能になっており、幅方向Yにおける距離を変化させることにより、トレイ100を保持したり、トレイ100の保持を解除したりすることができる。このようにグリッパー80によってトレイ100の保持が可能なトレイ把持装置232は、グリッパー80でトレイ100を保持した状態で、トレイ100を長さ方向X、幅方向Y、上下方向Zの任意の方向に移動させることができる。
【0104】
トレイ保持機構10でトレイ100を保持する際には、グリッパー80でトレイ100を保持し、トレイ100をグリッパー80によって、トレイ保持機構10に形成される保持部40の開口部41から、トレイ100を保持部40に入り込ませる。トレイ保持機構10の保持部40には、トレイ100の長手方向における端部101を入り込ませる。
【0105】
トレイ保持機構10は、トレイ100を保持する際には、長さ方向Xに離れた2箇所の保持部40のそれぞれに、このようにトレイ100の長手方向における端部101を入り込ませることによって、保持部40でトレイ100を保持する。つまり、トレイ保持機構10の保持部40は、トレイ100の厚み方向における両側から保持部40を形成する固定プレート30とベースプレート20とで、トレイ100の長さ方向における両側の端部101をそれぞれ挟み込むことにより、トレイ100を保持する。保持部40に配置される挟持部材50は、保持部40で保持するトレイ100に対して、トレイ100の厚み方向の付勢力を付与することが可能になっている。
【0106】
図15は、第1付勢部54aがトレイ100に接触した状態を示す説明図である。保持部40に配置される挟持部材50は、第1付勢部54aが有する第1屈曲部55aが、第2付勢部54bが有する第2屈曲部55bよりも保持部40の開口部41寄りに位置している。このため、保持部40の開口部41から保持部40の内側に入り込んだトレイ100は、まず、挟持部材50が有する第1付勢部54aの第1屈曲部55a付近に接触する。
【0107】
詳しくは、挟持部材50の第1付勢部54aは、幅方向Yにおける保持部40の開口部41寄りに第1端部56aが位置し、第1端部56aは、固定プレート30の逃げ部32に入り込んだ状態になっている。このため、トレイ100を開口部41から保持部40の内側に入り込ませた際には、トレイ100は挟持部材50の第1付勢部54aにおける第1屈曲部55aと第1端部56aとの間の部分に接触する。第1付勢部54aは、このようにトレイ100を開口部41から保持部40の内側に入り込ませる際に、保持部40におけるトレイ100が挿入される側に位置するため、第1屈曲部55aから第1端部56aまでの長さが、第2付勢部54bの第2屈曲部55bから第2端部56bまでの長さよりも長くなっている。これにより、挟持部材50は、開口部41から保持部40の内側にトレイ100を入り込ませた際に、第1付勢部54aにおける第1屈曲部55aと第1端部56aとの間の部分にトレイ100を接触させることができる。
【0108】
保持部40の内側に入り込ませたトレイ100は、第1付勢部54aの第1屈曲部55aと第1端部56aとの間の部分に接触した状態で、さらに保持部40の当接部42が位置する側に幅方向Yに移動させる。これにより、挟持部材50の第1付勢部54aは、トレイ100から第1付勢部54aに付与される力により、第1屈曲部55aがトレイ100の上面に乗り上げる方向に、第1軸部53a(図8参照)を中心として回動する。
【0109】
つまり、トレイ100から第1付勢部54aに付与される力は、第1付勢部54aに対しては第1付勢部54aを上側に押し退ける方向の力として働き、第1付勢部54aは、この力により第1軸部53aが捩じれて、第1軸部53aを中心として回動する。これにより、第1付勢部54aは、第1屈曲部55aや第1端部56aが上側に移動する方向に第1軸部53aを中心として回動し、第1付勢部54aは上側に押し上げられて第1屈曲部55aが、図15に示すようにトレイ100の上側の面に接触した状態になる。
【0110】
その際に、第1付勢部54aの端部56である第1端部56aは、固定プレート30に形成される貫通孔33に入り込む。これにより、第1端部56aが第2端部56bよりも上側に位置する第1付勢部54aは、第1端部56aが固定プレート30に接触することなく、第1軸部53aが捩じれながら第1軸部53aを中心として第1屈曲部55aが上側に移動する方向に回動することができる。
【0111】
第1付勢部54aは、このように第1軸部53aが捩じれることにより第1軸部53aを中心として回動し、第1屈曲部55aがトレイ100の上側の面に接触した状態では、第1付勢部54aには、捩じれた第1軸部53aの反力が発生する。これにより、第1付勢部54aは、第1軸部53aの反力により、トレイ100に接触する第1屈曲部55aからトレイ100に対して、上下方向Zにおける下側方向の付勢力を付与する。
【0112】
図16は、第2付勢部54bがトレイ100に接触した状態を示す説明図である。保持部40の内側で第1付勢部54aの第1屈曲部55aが上面に接触したトレイ100は、第1屈曲部55aが接触している状態で、グリッパー80によって保持部40の当接部42が位置する側に幅方向Yに移動させる。これにより、トレイ100は、挟持部材50における、幅方向Yにおける位置が第1屈曲部55aよりも保持部40の当接部42寄りに位置する、第2付勢部54bの第2屈曲部55b付近に接触する。
【0113】
詳しくは、挟持部材50の第2付勢部54bにおける、第2屈曲部55bよりも保持部40の開口部41寄りの部分は、第2軸部53b(図8参照)に向かって延びて第2軸部53bに接続されているため、トレイ100が第2付勢部54bに接触する際には、第2付勢部54bにおける第2屈曲部55bと第2軸部53bとの間の部分に接触する。
【0114】
保持部40の内側で第2付勢部54bに接触したトレイ100は、第2付勢部54bにおける第2屈曲部55bと第2軸部53bとの間の部分に接触した状態で、さらに保持部40の当接部42が位置する側に幅方向Yに移動させる。これにより、挟持部材50の第2付勢部54bは、トレイ100から第2付勢部54bに付与される力により、第2屈曲部55bがトレイ100の上面に乗り上げる方向に、第2軸部53bを中心として回動する。
【0115】
つまり、トレイ100から第2付勢部54bに付与される力は、第2付勢部54bに対しては第2屈曲部55bを上側に押し退ける方向の力として働き、第2付勢部54bは、この力により第2軸部53bが捩じれて、第2軸部53bを中心として回動する。これにより、第2付勢部54bは、第2屈曲部55bや第2端部56bが上側に移動する方向に第2軸部53bを中心として回動し、第2付勢部54bは上側に押し上げられて第2屈曲部55bが、図16に示すようにトレイ100の上側の面に接触した状態になる。
【0116】
第2付勢部54bは、このように第2軸部53bが捩じれることにより第2軸部53bを中心として回動し、第2屈曲部55bがトレイ100の上側の面に接触した状態では、第2付勢部54bには、捩じれた第2軸部53bの反力が発生する。これにより、第2付勢部54bは、第2軸部53bの反力により、トレイ100に接触する第2屈曲部55bからトレイ100に対して、上下方向Zにおける下側方向の付勢力を付与する。
【0117】
また、このように第2付勢部54bが回動して第2屈曲部55bがトレイ100の上側の面に接触した状態では、第2付勢部54bの端部56である第2端部56bは、固定プレート30に形成される逃げ部32に接触する。これにより、第2端部56bは、それ以上は上側には移動することが出来なくなるため、第2付勢部54bは、第2端部56bの上側への移動が規制された状態で、第2軸部53bを中心として回動することにより、第2屈曲部55bの角度が大きくなる方向に弾性変形する。
【0118】
このため、第2付勢部54bには、角度が大きくなる方向に弾性変形した第2屈曲部55bが、元の形状に戻ろうとする力が発生する。第2付勢部54bは、このように弾性変形した第2屈曲部55bが元の形状に戻ろうとする力によっても、第2屈曲部55bからトレイ100に対して、上下方向Zにおける下側方向の付勢力を付与する。挟持部材50によって付勢力が付与されるトレイ100は、当接部42が位置する側に向かってグリッパー80で幅方向Yに移動させ、トレイ100が保持部40の当接部42に当接する位置、または当接部42の近傍の位置に位置したら、グリッパー80による保持を解除する。
【0119】
これにより、トレイ100は、長さ方向Xにおける両側の端部101付近が保持部40の内側に入り込み、トレイ100の厚み方向における両側から固定プレート30とベースプレート20とで両側の端部101付近がそれぞれ挟み込まれた状態で、保持部40によって保持される。また、トレイ保持機構10の2箇所に形成される保持部40は、長さ方向Xにおいて互い他方の保持部40が位置する側の反対側が溝底側となる溝状の形状で形成されるため、保持部40によって保持されるトレイ100は、長さ方向Xにおける移動が規制される。
【0120】
さらに、トレイ100が保持部40によって保持される状態では、トレイ100には、挟持部材50の第1付勢部54aと第2付勢部54bとから、下側方向の付勢力が付与される。即ち、トレイ100は、トレイ100の上側の面に接触する挟持部材50と、保持部40を形成するベースプレート20の切欠部23とにより、トレイ100の厚み方向に挟持される。これにより、トレイ100は、保持部40の内側で、長さ方向Xと上下方向Zの移動が規制され、挟持部材50からの付勢力によって幅方向Yの移動が抑えられた状態で保持される。
【0121】
分注装置200は、トレイ保持機構10によってトレイ100を保持した状態で、トレイ100に形成される凹部105に細胞塊を入れて細胞塊に対して所定の処理等を行った後、トレイ保持機構10からトレイ100を取り外してトレイ保管部226(図1等参照)に移動させる。
【0122】
トレイ保持機構10からのトレイ100の取り外しは、トレイ保持機構10でトレイ100を保持する場合と同様に、グリッパー80によってトレイ100を保持し、トレイ100を保持したグリッパー80を移動させることにより行う。具体的には、トレイ保持機構10の保持部40で保持しているトレイ100をグリッパー80によって保持し、グリッパー80を幅方向Yに移動させることにより、保持部40で保持しているトレイ100を、幅方向Yにおいて開口部41が位置する側に移動させる。保持部40で保持しているトレイ100をグリッパー80によって保持する際には、長さ方向Xにおける固定プレート30同士の間の部分で、トレイ100における保持部40の外に出ている部分を保持する。
【0123】
保持部40で保持しているトレイ100は、挟持部材50によって上下方向Zにおける下側方向への付勢力が付与されているが、付勢力による挟持部材50とトレイ100との摩擦力を上回る力でトレイ100を移動させることにより、トレイ100は幅方向Yに移動させることができる。このため、保持部40の内側に位置し、保持部40で保持しているトレイ100は、グリッパー80によって幅方向Yに移動させることにより、開口部41から保持部40の外側に移動させることができる。保持部40の外側に移動させたトレイ100は、グリッパー80によってトレイ保管部226に移動させてトレイ保管部226に積層する。トレイ100を移動させたトレイ保持機構10では、トレイ保管部226に積層されている別のトレイ100をグリッパー80によって保持部40の内側に入り込ませることにより、別のトレイ100を保持部40で再び保持する。
【0124】
以上のように、第1実施形態に係るトレイ保持機構10では、ベースプレート20と固定プレート30とによって、トレイ100の端部101を挟み込むことによりトレイ100を保持する保持部40を形成し、保持部40には、保持部40で保持するトレイ100に対して厚み方向の付勢力を付与する挟持部材50を配置している。これにより、トレイ保持機構10は、負圧吸引によってワークを吸着する場合に用いるような、エアー用の配管やチューブ等を用いることなくトレイ100を保持することができるため、トレイ保持機構10の大型化を抑え、トレイ保持機構10の小型化を図ることができる。また、トレイ保持機構10は、挟持部材50からトレイ100に対して付勢力を付与することによって、保持部40でトレイ100を保持する状態を維持するため、細胞等の微細な対象物を載置する比較的軽量なトレイ100を、適切な力で保持することができる。この結果、第1実施形態に係るトレイ保持機構10は、小型化を図りつつトレイ100を適切に保持することができる。
【0125】
また、保持部40は、幅方向Yにおける一方側に開口部41を有し、他方側にトレイ100が当接する当接部42を有しているため、保持部40の内側には開口部41からトレイ100を入り込ませることができる。また、幅方向Yにおける開口部41の反対側には、当接部42が位置しているため、保持部40の内側にトレイ100を開口部41から入り込ませる際に、トレイ100を幅方向Yに移動させ過ぎることを当接部42によって抑制することができる。この結果、トレイ100を適切に保持することができる。
【0126】
また、挟持部材50は、固定プレート30とベースプレート20とにより支持される支持部51と、支持部51と一体に設けられてトレイ100に対して付勢力を付与する付勢部54とを有しているため、トレイ100に付勢力を付与する挟持部材50を、容易に配置することができる。この結果、小型化を図りつつトレイ100を適切に保持することができる。
【0127】
また、挟持部材50の付勢部54は、支持部51が有する軸部53に連結されると共に、軸部53が捩じれることにより軸部53を中心として回動可能になっており、軸部53が捩じれた際の軸部53の弾性力により、トレイ100に対して付勢力を付与することができる。これにより、トレイ100に対して付勢力を付与する挟持部材50を、容易に設けることができる。この結果、小型化を図りつつトレイ100を適切に保持することができる。
【0128】
また、挟持部材50が有する軸部53は、トレイ100の長さ方向Xに延在するため、軸部53を中心として回動する付勢部54の回動の方向を、保持部40の内側にトレイ100を入り込ませる際のトレイ100の移動方向に合わせることができる。これにより、保持部40の内側で保持するトレイ100に対して、容易に付勢力を付与することができる。この結果、小型化を図りつつトレイ100を適切に保持することができる。
【0129】
また、挟持部材50が有する付勢部54は、付勢部54をトレイ100の厚み方向、即ち、上下方向Zに見た場合において、トレイ100の幅方向Yに延びるため、上下方向Zに見た場合における付勢部54の延在方向を、保持部40の内側にトレイ100を入り込ませる際のトレイ100の移動方向に合わせることができる。これにより、保持部40の内側で保持するトレイ100に対して、付勢部54によって容易に付勢力を付与することができる。この結果、小型化を図りつつトレイ100を適切に保持することができる。
【0130】
また、挟持部材50が有する付勢部54は、ベースプレート20に形成される切欠部23が位置する側に向かって凸となって屈曲する屈曲部55を有するため、トレイ100に対する接触面積を抑えつつ、トレイ100に対して付勢力を付与することができる。これにより、保持部40に対してトレイ100を入り込ませたり、保持部40からトレイ100を取り出したりする際における摩擦抵抗を抑えつつ、挟持部材50によってトレイ100に対して付勢力を付与することができる。この結果、保持部40に対するトレイ100の出し入れの容易性を確保しつつ、トレイ100を適切に保持することができる。
【0131】
また、1つの挟持部材50は、付勢部54と軸部53をそれぞれ複数有するため、トレイ100に対して複数の位置から付勢力を付与することができる。これにより、トレイ100を保持するための部材の数を抑えつつ、1つの挟持部材50からトレイ100に対して複数の位置に付与される付勢力により、トレイ100を安定して保持することができる。この結果、小型化を図りつつトレイ100を適切に保持することができる。
【0132】
また、挟持部材50は、トレイ100に対して上側から付勢力を付与するが、挟持部材50は、開口部41側に位置する第1付勢部54aの第1屈曲部55aから第1端部56aまでの長さが、第2付勢部54bの第2屈曲部55bから第2端部56bまでの長さよりも長くなっている。このため、挟持部材50は、保持部40の内側にトレイ100を入り込ませる際に、第1付勢部54aの第1屈曲部55aと第1端部56aとの間の部分にトレイ100が接触し易くなるようにすることができる。これにより、挟持部材50は、保持部40の開口部41からトレイ100を保持部40の内側に入り込ませる際に、第1付勢部54aの第1屈曲部55aと第1端部56aとの間の部分にトレイ100を接触させることにより、第1軸部53aを中心として第1付勢部54aを上側に向けて回動させ易くすることができる。この結果、トレイ100を開口部41から保持部40の内側に入り込ませる際に、トレイ100を挟持部材50の下側に入れ易くすることができ、保持部40の内側へのトレイ100の入れ易さを確保しつつ、挟持部材50からトレイ100に対して付勢力を付与することができる。
【0133】
また、固定プレート30は、支持部51が入り込む溝部31を有しているため、ベースプレート20の取付け面21と固定プレート30とで挟持部材50の支持部51を挟みこんで挟持部材50を支持する際に、安定して支持することができる。これにより、保持部40に配置する挟持部材50を、挟持部材50を支持するための部品点数の増加を抑えつつ、容易に安定して支持することができる。この結果、小型化を図りつつトレイ100を適切に保持することができる。
【0134】
また、固定プレート30は、トレイ100に当接した付勢部54が入り込む逃げ部32を有するため、保持部40にトレイ100を入り込ませる際に、トレイ100に当接した付勢部54がトレイ100の移動を阻害することを抑制することができる。この結果、保持部40に対してトレイ100を入り込ませる際の容易性を確保しつつ、トレイ100を適切に保持することができる。
【0135】
また、固定プレート30は、トレイ100に当接した付勢部54の端部56が入り込む貫通孔33を有しているため、付勢部54における屈曲部55から端部56までの間の部分の長さを長くすることができる。このため、保持部40にトレイ100を入り込ませる際に、トレイ100が挟持部材50の端部56に当接することを抑制することができる。これにより、トレイ100が挟持部材50の端部56に当接することに起因して、付勢部54が上側に押し上げられなくなることを抑制でき、付勢部54は、保持部40に入り込んだトレイ100によって上側に押し上げられることにより、付勢部54からトレイ100に対して付勢力を付与することができる。この結果、保持部40に対してトレイ100を入り込ませる際の容易性を確保しつつ、トレイ100を適切に保持することができる。
【0136】
[第2実施形態]
次いで、第2実施形態に係るトレイ保持機構10について説明する。第1実施形態と同一の構成部位には、同一符号を付けて説明を省略する。以下、第1実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0137】
図17は、第2実施形態に係るトレイ保持機構10の斜視図である。第2実施形態においても、トレイ保持機構10は、ベースプレート20と、固定プレート30と、挟持部材50とを有している。固定プレート30は2つが設けられており、2つの固定プレート30は互いに長さ方向Xに離れた位置で、それぞれベースプレート20に取り付けられている。ベースプレート20における固定プレート30が取り付けられている部分には保持部40が形成されており、挟持部材50は保持部40に配置されている。
【0138】
図18は、図17に示すトレイ保持機構10が有するベースプレート20の連結部材28とベース部材25とを取り外した状態を示す説明図である。図19は、図18に示すトレイ保持機構10の分解斜視図である。ベースプレート20は、それぞれ固定プレート30が取り付けられる2つのベース部材25と、長さ方向Xにおいて2つのベース部材25同士の間に位置し、長さ方向Xにおける両端にベース部材25が取り付けられる連結部材28とを有している。
【0139】
連結部材28の長さ方向Xにおける両端に取り付けられる2つのベース部材25は、それぞれベースプレート20における、固定プレート30が取り付けられる部分になっている。2つのベース部材25は、それぞれ取付け面21と切欠部23とを有している。このため、第2実施形態では、ベース部材25が有する取付け面21に、取付けねじ35によって固定プレート30を取り付けることにより、ベース部材25の切欠部23と固定プレート30とによって保持部40を形成することが可能になっている。挟持部材50は、このようにベース部材25の切欠部23と固定プレート30とによって形成される保持部40に配置される。
【0140】
これらのベース部材25と、固定プレート30と、保持部40に配置される挟持部材50とは、取付けねじ35によって固定プレート30をベース部材25に取り付けることによって一体にすることにより、特殊形状ばねユニット60として用いられる。
【0141】
長さ方向Xにおける両端にベース部材25が取り付けられる連結部材28は、略長方形の板状の形状で形成されている。第2実施形態では、連結部材28には、板の厚み方向、つまり、上下方向Zに貫通する孔が形成されている。即ち、第2実施形態では、連結部材28は、略長方形の枠状の形状で形成されている。
【0142】
ベース部材25は、取付けボルト61によって連結部材28に取り付けることが可能になっている。詳しくは、ベース部材25には、連結部材28に対して連結される部分である連結部26が形成されている。連結部26は、ベース部材25における、上下方向Zにおいて取付け面21が位置する側の反対側に形成されている。連結部26には、長さ方向Xにおける連結部材28の端部に当接する当接部27が設けられている。当接部27は、ベース部材25における、上下方向Zにおいて取付け面21が位置する側の反対側に向かって突出して形成されている。
【0143】
ベース部材25を連結部材28に取り付ける部分には、ベース部材25を連結部材28に取り付ける際における位置決めを行う位置決めピン65と、位置決めピン65が入り込む挿入孔(図示省略)とが形成されている。第2実施形態では、位置決めピン65は連結部材28に設けられている。連結部材28に設けられる位置決めピン65は、長さ方向Xにおける連結部材28の両側の端部に配置されており、連結部材28の端部から、長さ方向Xに延びて形成されている。
【0144】
ベース部材25には、連結部材28の端部に当接する当接部27における位置決めピン65に対応する位置に、位置決めピン65が入り込む挿入孔(図示省略)が形成されている。連結部材28にベース部材25に取り付ける際には、連結部材28の端部に形成される位置決めピン65を、ベース部材25の当接部27に形成される挿入孔に入り込ませて取り付ける。
【0145】
ベース部材25を連結部材28に取り付ける際には、連結部26に形成されて上下方向Zにおいて取付け面21が位置する側の反対側に向かって突出して形成される当接部27が、長さ方向Xにおける連結部材28の端部に当接する。このため、ベース部材25が、連結部材28に取り付けられる際には、ベース部材25における切欠部23が形成される部分は、連結部材28の厚み方向、つまり、上下方向Zにおいて、連結部材28に対して重なって配置される。
【0146】
取付けボルト61は、ベース部材25に設けられる当接部27における、長さ方向Xにおいて連結部材28に当接する面の反対側の面から当接部27を長さ方向Xに貫通して配置される。第2実施形態では、取付けボルト61は、1つのベース部材25につき2つの取付けボルト61が幅方向Yに並んで配置されている。
【0147】
連結部材28における長さ方向Xにおける端部には、ベース部材25の当接部27を貫通する取付けボルト61に対応する位置に、取付けボルト61が螺合するねじ孔29が形成されている。このため、取付けボルト61は、ベース部材25の当接部27を長さ方向Xに貫通した状態で連結部材28に形成されるねじ孔29に螺合することにより、連結部材28に向けてベース部材25を長さ方向Xに押し付ける方向の付勢力をベース部材25に対して付与することができる。これにより、取付けボルト61は、ベース部材25を連結部材28に取り付けることができる。即ち、取付けボルト61は、特殊形状ばねユニット60を連結部材28に取り付けることができる。
【0148】
ベース部材25を連結部材28に取り付ける取付けボルト61は、手動にて取付けボルト61を回転させる手回し部62を有している。手回し部62は、取付けボルト61における、いわゆる頭の位置に形成されており、ボルトのサイズに対する通常の頭の大きさよりも径が大きい略円板状の形状で形成されている。手回し部62の外周面には、ローレット加工が施されており、取付けボルト61は、作業者が手回し部62を掴んで手で回すことにより、工具を用いることなく締めたり緩めたりすることが可能になっている。
【0149】
これらのように構成される第2実施形態に係るトレイ保持機構10では、ベースプレート20は、連結部材28と2つのベース部材25とを有しており、ベース部材25は、ベース部材25との間に挟持部材50を挟んで固定プレート30取り付けることにより、特殊形状ばねユニット60を構成している。換言すると、第2実施形態に係るトレイ保持機構10は、連結部材28と、2つの特殊形状ばねユニット60とを有している。特殊形状ばねユニット60は、取付けボルト61によって、長さ方向Xにおける連結部材28の両側の端部に着脱自在に取り付けられる。
【0150】
図20は、第2実施形態に係るトレイ保持機構10でトレイ100を保持する際の説明図である。第2実施形態においても、トレイ保持機構10は保持部40を有しており、保持部40には挟持部材50が配置されているため、トレイ保持機構10はトレイ100を保持することができる。トレイ保持機構10でトレイ100を保持したり、トレイ保持機構10で保持しているトレイ100をトレイ保持機構10から取り外したりする際には、実施形態1と同様に、グリッパー80を用いる。即ち、グリッパー80でトレイ100を保持しながら、トレイ保持機構10の保持部40にトレイ100を入り込ませたり、保持部40で保持しているトレイ100をグリッパー80で保持しながら保持部40から取り出したりする。
【0151】
トレイ保持機構10の保持部40でトレイ100を保持する際には、保持部40に配置される挟持部材50によって、トレイ100に対して上下方向Zにおける下側方向への付勢力を付与する。これにより、トレイ100は、挟持部材50からの付勢力によって移動が抑えられた状態で、トレイ保持機構10の保持部40で保持される。
【0152】
また、第2実施形態に係るトレイ保持機構10は、トレイ100を保持する保持部40を有する特殊形状ばねユニット60を、取付けボルト61によって連結部材28に対して着脱することが可能になっている。取付けボルト61は、手回し部62を有しているため、連結部材28に対して特殊形状ばねユニット60を着脱する際には、工具を用いることなく、作業者が手回し部62を掴んで取付けボルト61手動で回転させることにより、容易に着脱することができる。
【0153】
第2実施形態に係るトレイ保持機構10では、このように連結部材28に対して特殊形状ばねユニット60の着脱が可能なため、例えば、トレイ保持機構10の清掃時に特殊形状ばねユニット60を連結部材28から取り外すことにより、容易に清掃を行うことができる。つまり、トレイ保持機構10の清掃を行う際に、特殊形状ばねユニット60を連結部材28から取り外すことにより、保持部40に対してアクセスし易くなるため、トレイ100を保持する保持部40の清掃を容易に行うことができる。
【0154】
連結部材28から取り外された特殊形状ばねユニット60を連結部材28に取り付ける際には、連結部材28に設けられる位置決めピン65を、ベース部材25の当接部27における位置決めピン65に対応する位置に形成される挿入孔に入り込ませる。これにより、連結部材28に対してベース部材25の位置合わせを行いながら取り付けることができ、連結部材28に対して特殊形状ばねユニット60を容易に取り付けることができる。
【0155】
以上のように、第2実施形態に係るトレイ保持機構10では、ベースプレート20は、固定プレート30が取り付けられる2つのベース部材25と、ベース部材25が取り付けられる連結部材28とを有するため、連結部材28に対してベース部材25を着脱することができる。このため、トレイ保持機構10の清掃を行う際に、連結部材28からベース部材25を取り外して清掃を行うことにより、細部にアクセスして細部の清掃も容易に行うことができる。この結果、第2実施形態に係るトレイ保持機構10は、トレイ保持機構10の清掃時に簡単に清掃を行うことができる。
【0156】
また、ベース部材25は、手回し部62を有する取付けボルト61によって連結部材28に取り付けられるため、連結部材28に対するベース部材25の着脱を行う際に、作業者が手動で取付けボルト61を回転させることにより容易に着脱することができる。これにより、トレイ保持機構10の清掃を行う際に、容易にベース部材25を連結部材28から取り外して清掃し、清掃後には連結部材28に対してベース部材25を容易に取り付けることができる。この結果、トレイ保持機構10の清掃を簡単に行うことができる。
【0157】
また、ベース部材25を連結部材28に取り付ける部分には、位置決めピン65と挿入孔とが形成されるため、連結部材28にベース部材25を取り付ける際に、位置決めピン65によって位置決めを行いながら取り付けることができる。これにより、連結部材28にベース部材25を取り付ける際における作業性を向上させることができ、トレイ保持機構10の清掃を行う際における作業性を向上させることができる。この結果、トレイ保持機構10の清掃を簡単に行うことができる。
【0158】
[変形例]
なお、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、挟持部材50は、第1付勢部54aと第2付勢部54bとは、一体となって構成されているが、第1付勢部54aと第2付勢部54bとは、一体でなくてもよい。図21は、第1実施形態に係るトレイ保持機構10の変形例であり、第1挟持部材50aの平面図である。図22は、図21のD-D矢視図である。図23は、第1実施形態に係るトレイ保持機構10の変形例であり、第2挟持部材50bの平面図である。図24は、図23のE-E矢視図である。挟持部材50は、例えば、図21図24に示すように、第1付勢部54aを有する第1挟持部材50aと、第2付勢部54bを有する第2挟持部材50bとに分かれていてもよい。つまり、図21図24に示す挟持部材50は、図8に示す挟持部材50における、第1軸部53aと第2軸部53bとを接続する固定部52を分断し、挟持部材50を、第1付勢部54a側の部分である第1挟持部材50aと、第2付勢部54b側の部分である第2挟持部材50bとに分割した形態で形成されている。
【0159】
分割された複数の挟持部材50である第1挟持部材50aと第2挟持部材50bとは、1つの保持部40に配置される。なお、図21図24は、図8に示す挟持部材50と同様に、トレイ保持機構10が有する2箇所の挟持部材50のうち、一方の保持部40に配置される挟持部材50を図示したものになっており、他方の保持部40に配置される挟持部材50は、図21図24で図示する挟持部材50に対して左右対称となって形成される。
【0160】
第1挟持部材50aと第2挟持部材50bとが1つの保持部40に配置される際には、1つの固定プレート30とベースプレート20の取付け面21とには、第1挟持部材50aと第2挟持部材50bとのそれぞれの挟持部材50が有する支持部51が挟まれる。即ち、固定プレート30には、上述した第1実施形態と同様に、溝部31と逃げ部32と貫通孔33とが形成されている(図11参照)。第1挟持部材50aと第2挟持部材50bとを1つの保持部40に配置される際には、第1挟持部材50aと第2挟持部材50bとのそれぞれの支持部51の固定部52を、固定プレート30に形成される溝部31の固定部用溝部31aに入り込ませる。
【0161】
つまり、第1挟持部材50aの固定部52と第2挟持部材50bの固定部52とは、直線状に並べて固定プレート30の固定部用溝部31aに入り込ませる。また、第1挟持部材50aが有する第1軸部53aと第2挟持部材50bが有する第2軸部53bは、それぞれ固定プレート30に形成される溝部31の軸部用溝部31bに入り込ませる。第1挟持部材50aと第2挟持部材50bを保持部40に配置する際には、このように第1挟持部材50aの支持部51と第2挟持部材50bの支持部51とを、固定プレート30に形成される溝部31に入り込ませて、第1挟持部材50aの第1付勢部54aと第2挟持部材50bの第2付勢部54bとを保持部40に配置する。
【0162】
挟持部材50を、第1挟持部材50aと第2挟持部材50bとに分割した場合でも、第1挟持部材50aと第2挟持部材50bとのそれぞれの固定部52を固定プレート30の固定部用溝部31aに入り込ませることにより、第1挟持部材50aの第1付勢部54aや第2挟持部材50bの第2付勢部54bを、第1軸部53aや第2軸部53bを中心として回動させることができる。これにより、トレイ保持機構10は、保持部40にトレイ100を入り込ませた際に、第1挟持部材50aの第1付勢部54aや第2挟持部材50bの第2付勢部54bからトレイ100に対して、付勢力を付与することができる。従って、細胞等の微細な対象物を載置する比較的軽量なトレイ100を、適切な力で保持することができ、小型化を図りつつトレイ100を適切に保持することができる。
【0163】
また、挟持部材50を、第1挟持部材50aと第2挟持部材50bとに分割した形状にすることにより、第1挟持部材50aと第2挟持部材50bとのそれぞれの形状を簡素化することができる。これにより、挟持部材50の製造を行う際に、第1挟持部材50aや第2挟持部材50bを容易に形成することができ、トレイ保持機構10の製造コストを抑えることができる。
【0164】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、挟持部材50は独立した部材として形成されているが、挟持部材50は、固定プレート30と一体に形成されていてもよい。図25は、第1実施形態に係るトレイ保持機構10の変形例であり、固定プレート30に挟持部材50を形成するための切込み38を入れた状態を示す固定プレート30の斜視図である。図26は、図25に示す固定プレート30を用いて挟持部材50を形成したトレイ保持機構10の斜視図である。挟持部材50を固定プレート30と一体に形成する際には、例えば、図25に示すように固定プレート30に切込み38を形成し、切込み38により区画する部分を折り曲げることにより、挟持部材50を形成する。切込み38は、固定プレート30における、長さ方向Xにおいてベースプレート20によって保持部40を形成する側寄りの部分に形成する。切込み38は、例えば、図25に示すように、幅方向Yにおける両端を除いて幅方向Yに長く延びる切込み38と、幅方向Yに延びる切込み38における中央付近の位置から固定プレート30の長さ方向Xにおける端部に向かって延びる短い切込み38とを形成する。
【0165】
挟持部材50は、固定プレート30における、長さ方向Xに延びる短い切込み38の幅方向Yにおける両側に位置する部分を、固定プレート30の厚み方向、即ち、上下方向Zに折り曲げることにより形成する。つまり、挟持部材50は、図26に示すように、固定プレート30における、長さ方向Xに延びる短い切込み38の幅方向Yにおける両側に位置する部分を、それぞれ上下方向Zにおける下側に向かって凸となるように屈曲させ、下側に向かって凸となる屈曲部55を形成することにより形成する。このように、固定プレート30の一部を折り曲げることにより形成する挟持部材50は、弾性変形をすることができる。これにより、1つの固定プレート30には、固定プレート30と一体となった2つの挟持部材50を形成することができる。
【0166】
固定プレート30と一体に形成された挟持部材50は、固定プレート30をベースプレート20に取り付けた際には、保持部40に配置される。これにより、トレイ保持機構10は、保持部40にトレイ100を入り込ませた際に、固定プレート30の一部が折り曲げられることにより形成された挟持部材50が弾性変形することにより、挟持部材50からトレイ100に対して付勢力を付与することができる。従って、細胞等の微細な対象物を載置する比較的軽量なトレイ100を、適切な力で保持することができ、小型化を図りつつトレイ100を適切に保持することができる。
【0167】
また、挟持部材50を、固定プレート30に切込み38を入れて固定プレート30の一部を折り曲げ、固定プレート30と一体で形成することにより、挟持部材50を設ける際における部品点数を削減することができる。これにより、挟持部材50を有するトレイ保持機構10の製造を行う際に、挟持部材50を製造する工程や組み立てる工程を簡素化することができ、トレイ保持機構10の製造コストを抑えることができる。
【0168】
また、上述した第2実施形態では、連結部材28に位置決めピン65が配置され、位置決めピン65が入り込む挿入孔はベース部材25に形成されているが、位置決めピン65はベース部材25に配置され、連結部材28に挿入孔が形成されていてもよい。位置決めピン65と、位置決めピン65が入り込む挿入孔は、ベース部材25を連結部材28に取り付ける部分に設けられていれば、位置決めピン65と挿入孔とが、ベース部材25と連結部材28とに対して配置される側は問わない。位置決めピン65と挿入孔とは、配置される側に関わらず、ベース部材25を連結部材28に取り付ける部分に設けられることにより、ベース部材25を連結部材28に取り付ける際における位置決めを行うことができ、ベース部材25を連結部材28に取り付ける際における作業性を向上させることができる。
【0169】
また、第1実施形態及び第2実施形態に係るトレイ保持機構10は、耐熱性が高い材料によって構成されるのが好ましい。トレイ保持機構10は、耐熱性が高い材料によって構成されることにより、オートクレーブにて滅菌することが可能となり、清掃性を向上させることができる。
【0170】
以上、本開示の好適な実施形態を説明したが、本開示は上記の実施形態に記載されたものに限定されない。実施形態や変形例として説明した構成は、適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0171】
10 トレイ保持機構
20 ベースプレート
21 取付け面
22 ねじ孔
23 切欠部
30 固定プレート
31 溝部
31a 固定部用溝部
31b 軸部用溝部
32 逃げ部
33 貫通孔
38 切込み
40 保持部
41 開口部
42 当接部
50 挟持部材
50a 第1挟持部材
50b 第2挟持部材
51 支持部
52 固定部
53 軸部
53a 第1軸部
53b 第2軸部
54 付勢部
54a 第1付勢部
54b 第2付勢部
55 屈曲部
55a 第1屈曲部
55b 第2屈曲部
56 端部
56a 第1端部
56b 第2端部
80 グリッパー
100 トレイ
101 端部
200 分注装置
210 基台
212 分注部
214 プレート収納部
220 低床部
222 第一位置
224 第二位置
226 トレイ保管部
228 ピペットチップ保管部
230 ピペットチップ離脱部
232 トレイ把持装置
240 分注機
242 ノズル
250 高床部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図26