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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143093
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 11/13 20200101AFI20241003BHJP
   B62K 11/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B62J11/13
B62K11/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055588
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池長 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】松田 佑子
(72)【発明者】
【氏名】柴田 司真
(72)【発明者】
【氏名】竹中 伸享
【テーマコード(参考)】
3D011
【Fターム(参考)】
3D011AF04
3D011AH01
3D011AK02
3D011AK14
(57)【要約】
【課題】後方に向けて左右に分岐するメインフレームを備えた構成で、ブレーキケーブル等の配策部材を、外観に過度に露出し難くし、かつ、周囲部品を制約せずに配置しやすくすること。
【解決手段】後方に向けて左右に分岐するメインフレーム(51)と、操向ハンドル(21)から車両後方に向けて延びる配索部材(61,71)と、を有する鞍乗り型車両(10)において、車両上面視で、前記配索部材(61,71)が、前記メインフレーム(51)の左右に分岐する分岐フレーム部(51b)の間に配索される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方に向けて左右に分岐するメインフレーム(51)と、操向ハンドル(21)から車両後方に向けて延びる配索部材(61,71)と、を有する鞍乗り型車両において、
車両上面視で、前記配索部材(61,71)が、前記メインフレーム(51)の左右に分岐する分岐フレーム部(51b)の間に配索される、
鞍乗り型車両。
【請求項2】
車両上面視で、左右の前記分岐フレーム部(51b)の間にスロットルボディ(81)が配置され、
車両上面視で、前記配索部材は、前記分岐フレーム部(51b)と前記スロットルボディ(81)の間を通る、
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記配索部材(61,71)は、前記メインフレーム(51)の上方を通る第一の配索部材(61)と、前記メインフレーム(51)の下方を通る第二の配索部材(71)と、を有する、
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記第一の配索部材(61)は、スロットルケーブルであり、第二の配索部材(71)は、ブレーキケーブルである、
請求項3に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記配策部材(61,71)は、スロットルケーブルとブレーキケーブルであり、
前記スロットルボディ(81)は、スロットルボディ本体(81a)と、前記スロットルケーブル(61)が接続されるスロットルリール(81b)とを有し、
車両上面視で、前記スロットルボディ本体(81a)と前記スロットルリール(81b)との間を、前記ブレーキケーブル(71)が通る、
請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記配索部材(61,71)は、前輪ブレーキ用の操作子と後輪ブレーキ(92)との間の動力伝達部材の一部を構成するブレーキケーブルを含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の鞍乗り型車両には、後方に向けて左右に分岐するメインフレームを備えたフレーム構造のものがある(例えば特許文献1)。また、鞍乗り型車両には、操向ハンドルから車両後方に向けて延びるブレーキケーブルを備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-125976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、後方に向けて左右に分岐するメインフレームは、左右に分岐する部分(分岐フレーム部と言う)が左右に張り出し、分岐フレーム部の一部が外観に露出する。そのため、従来と同様に、メインフレームに沿わせてブレーキケーブルを配策しようとすると、ブレーキケーブルの外側に外装カバーを配置する場合は車幅方向の幅が大きくなったり、分岐フレーム部に沿わせたブレーキケーブルが外観に過度に露出しやすくなる。
一方、ブレーキケーブルの外観への過度の露出を抑えようとすると、ブレーキケーブルの配策スペースを確保する必要がある。分岐フレーム部の周囲には、燃料タンクや外装部品等が存在するので、ブレーキケーブルの配策スペースを確保しようとすると周囲部品の配置や形状が制約されるおそれが生じる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、後方に向けて左右に分岐するメインフレームを備えた構成で、ブレーキケーブル等の配策部材を、外観に過度に露出し難くし、かつ、周囲部品を制約せずに配置しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後方に向けて左右に分岐するメインフレームと、操向ハンドルから車両後方に向けて延びる配索部材と、を有する鞍乗り型車両において、車両上面視で、前記配索部材が、前記メインフレームの左右に分岐する分岐フレーム部の間に配索される、鞍乗り型車両を提供する。
【発明の効果】
【0006】
後方に向けて左右に分岐するメインフレームを備えた構成で、ブレーキケーブル等の配策部材を外観に過度に露出し難くし、かつ、周囲部品を制約せずに配置しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図2】フロントフレームを周辺構成と共に示す側面図である。
図3】車両上面視でフロントフレームを周辺構成と共に示す図である。
図4】スロットルボディを周辺構成と共に車両上方から示す図である。
図5】スロットルボディを車両右上方から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダ部24とを備える。シリンダ部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
[フロントフレーム19について]
図2は、フロントフレーム19を周辺構成と共に示す側面図である。
フロントフレーム19は、後方に向けて左右に分岐するメインフレーム51を有する。メインフレーム51は、ヘッドパイプ18から車幅中央を後方に延びるセンターフレーム部51aと、センターフレーム部51aの後部から左右に分岐して後下がりに延びる左右の分岐フレーム部51bとを備える。
センターフレーム部51aの下方、かつ、左右の分岐フレーム部51bの前方には、パワーユニット12が支持される。パワーユニット12は、クランクケース23の前上部にシリンダ部24を有し、4サイクル単気筒の内燃機関である。
【0016】
センターフレーム部51aには、上方から燃料タンク29が配置され、この燃料タンク29によってセンターフレーム部51aの上方及び左右側方が覆われる。したがって、燃料タンク29によってセンターフレーム部51aの殆どが外観に露出しない。
左右の分岐フレーム部51bは、車幅方向外側に張り出し、燃料タンク29の下方で外観に露出する。
【0017】
ここで、燃料タンク29は、左右の分岐フレーム部51bを含むフロントフレーム19の周囲に配置される部品の一つである。また、燃料タンク29の左右には、フロントサイドカバー等の車体カバーが装着される場合があり、燃料タンク29そのものをタンクカバーからなる車体カバーで覆う場合もある。これらの車体カバーについても、フロントフレーム19の周囲に配置される部品である。
このように、フロントフレーム19の周囲には、燃料タンク29や車体カバーが存在する。上述したように、本構成では、左右の分岐フレーム部51bが外観に露出するので、仮に、ハンドル21(以下、操向ハンドル21と表記する)から車両後方に向けて延びるブレーキケーブル等の配策部材を分岐フレーム部51bに沿わせて配策すると、配策部材が外観に過度に露出するおそれや、配策部材の外観への露出を抑えるように、燃料タンク29や車体カバーからなる周囲部品の配置や形状を変更する必要が生じる。
【0018】
そこで、本構成では、図3に示すように、車両上面視で、メインフレーム51の左右の分岐フレーム部51bの間に空くスペースを利用して、スロットルケーブル61及びブレーキケーブル71からなる配策部材に配策することによって、これらケーブル61,71を、外観に過度に露出し難くし、かつ、周囲部品の配置や形状を制約しないようにしている。
配策構造の詳細を説明する前に、フロントフレーム19以外のフレーム構造、及び、フレーム周辺の部品配置構造について説明する。
【0019】
図1及び図3に示すように、リアフレーム20は、左右の分岐フレーム部51bから後方に延びる左右のシートレール部20aと、左右のシートレール部20aよりも下方で、左右の分岐フレーム部51bから後上方に延びる左右のサブフレーム部20bとを備える。左右のサブフレーム部20bの後端は、左右の分岐フレーム部51bに連結される。
シートレール部20aは、シート17の下方を前後方向に延在し、シート17を支持する。また、シートレール部20aは、燃料タンク29の後部下方に位置する。なお、図2中の符号29pは、燃料タンク29の後部内に収容される燃料ポンプである。
【0020】
図2に示すように、左右の分岐フレーム部51bは、パワーユニット12よりも上方を後方に延びた後に、パワーユニット12の後方で後下がりに延びている。そのため、左右の分岐フレーム部51bの前方かつ下方に、パワーユニット12のシリンダ部24が位置する。
シリンダ部24の背面には、スロットルボディ81が接続されている。スロットルボディ81は、左右の分岐フレーム部51bの間を通って、図3に示す上面視で、左右の分岐フレーム部51bの間、かつ、左右のシートレール部20a及び左右のサブフレーム部20bの間に位置する。
【0021】
図3に示すように、スロットルボディ81の後部にはコネクティングチューブ82が接続され、このコネクティングチューブ82の後部にエアクリーナボックス83が接続される。
エアクリーナボックス83は、左右のサブフレーム部20bの間に空くスペースのうち左右一方側(本実施形態では左側)に寄せて配置され、左右一方側に空くスペースには、バッテリ84が配置される。バッテリ84は、鞍乗り型車両10の各部に供給する電力を蓄える部品である。
【0022】
なお、図1図3に示すように、スロットルボディ81は、車両上面視、及び車両側面視のいずれにおいても、シリンダ部24の後方、かつ、左右の分岐フレーム部51bの間に空くスペース内に位置する。つまり、左右の分岐フレーム部51bの間に空くスペースを利用してスロットルボディ81を配置している。
左右の分岐フレーム部51bの後方は、左右のシートレール部20a及び左右のサブフレーム部20bで囲まれるので、これらフレーム部20a,20bで囲まれる空間内にスロットルボディ81が配置される。
【0023】
エアクリーナボックス83、バッテリ84及びコネクティングチューブ82は、左右の分岐フレーム部51bよりも後方に空くスペースを利用して配置される。より具体的には、エアクリーナボックス83、バッテリ84及びコネクティングチューブ82は、左右の分岐フレーム部51bよりも後方、左右のシートレール部20aよりも下方、かつ、左右のサブフレーム部20bの前方に空くスペースを利用して配置される。これにより、これらフレーム部51b,20a,20bの間に空くスペースを利用して吸気系部品やバッテリ84を配置でき、かつ、これらを車体フレーム11で囲うことができる。
【0024】
このようにして、スロットルボディ81を含む吸気系部品やバッテリ84が車両前後中央に集約して配置される。そのため、いわゆるマスの集中化や鞍乗り型車両10の小型化に有利であり、かつ、これら部品を車体フレーム11で保護できる。
【0025】
図4は、スロットルボディ81を周辺構成と共に車両上方から示す図である。図5は、スロットルボディ81を車両右上方から示す斜視図である。
図4に示すように、スロットルボディ81は、スロットルボディ本体81aと、スロットルケーブル61が接続されるスロットルリール81bとを備える。スロットルボディ81は、吸気通路の一部を構成する筒形状を有し、この筒形状の延びる方向に対し、直交する方向(本実施形態では車幅方向)に離れた一端側にスロットルリール81bを備えている。
【0026】
スロットルリール81bは、スロットルボディ本体81a内のスロットル弁を回動させる部材である。スロットルリール81bには、ハンドル21(以下、操行ハンドル21と言う)の左右一端側(本実施形態では右側)に設けられたスロットルから延びる2本のスロットルケーブル61が連結される。
スロットルケーブル61は、スロットル操作に応じてスロットル弁を開き側に作動するケーブルと、スロットル操作に応じてスロットル弁を閉じ側に作動するケーブルとからなる。
【0027】
スロットルケーブル61は、図1等に示すように、ヘッドパイプ8の前方を下方に延びた後に(図1参照)、ヘッドパイプ8の左右一方側(本実施形態では右側)を通ってセンターフレーム部51aに沿うように後方に延び(図2及び図3参照)、左右一方の分岐フレーム部51b(本実施形態では右側の分岐フレーム部51b)を上方から前後方向に跨いた後(図3図5参照)、スロットルケーブル61に連結される(図5参照)。
【0028】
この鞍乗り型車両10は、前後輪連動ブレーキシステム(Combined Brake System CBS)を備えている。
図1に示すように、鞍乗り型車両10は、前輪13を制動する前輪ブレーキ91と、後輪15を制動する後輪ブレーキ92とを備える。前輪ブレーキ91は、前輪ブレーキ力伝達部材として機能する前輪ブレーキケーブル91aを介してブレーキレバーに接続される。ブレーキレバーは、操行ハンドル21の左右一端側(本実施形態では右側)に設けられている。ブレーキレバーが乗員によって操作されると、前輪ブレーキ91が作動する。なお、本説明において、乗員は主に運転者である。
【0029】
本構成では、前輪ブレーキ91に、油圧式ブレーキの一種であるディスクブレーキが採用される。油圧式ブレーキの場合、ブレーキ操作に応じた油圧を発生するマスターシリンダを有し、前輪ブレーキケーブル91aには油圧ホースが使用される。なお、前輪ブレーキ91は、ディスクブレーキに限定されず、ディスクブレーキ以外のブレーキ装置でもよい。
【0030】
後輪ブレーキ92は、前輪ブレーキ力伝達部材として機能するブレーキロッド92aを介して、乗員が右足で操作するブレーキペダル92pに接続される。そのため、ブレーキペダル92pが操作されると、後輪ブレーキ92が作動する。
本構成では、後輪ブレーキ92に、機械式ブレーキの一種であるドラムブレーキが採用される。なお、後輪ブレーキ92は、ドラムブレーキに限定されず、ドラムブレーキ以外のブレーキ装置でもよい。
【0031】
ブレーキペダル92pの後部には、ブレーキロッド92aが接続される接続部92vと、イコライザ92wとが設けられる。ブレーキペダル92pは、後輪ブレーキ92を作動させる側の反対側に付勢され、ブレーキペダル92pが操作されることでブレーキロッド92aを介して後輪ブレーキ92が作動するとともに、イコライザ92wが回動する。
【0032】
イコライザ92wには、前輪ブレーキ91用の操作子であるブレーキレバーにつながるブレーキケーブル71が接続される。ブレーキケーブル71は、ブレーキレバーの操作に応じてイコライザ92wを回動させることによって、後輪ブレーキ92を作動させる。これにより、ブレーキレバーの操作に応じて、前輪ブレーキ91と後輪ブレーキ92とが連動して作動する。
このように、ブレーキケーブル71は、前輪ブレーキ用の操作子であるブレーキレバーと、後輪ブレーキ92との間の動力伝達部材の一部を構成するケーブルであるので、メインフレーム51の前部から後方へと配策する必要がある。なお、ブレーキケーブル71は、「前後輪連動ブレーキシステム用(CBS用)のブレーキケーブル」と言うこともできる。
【0033】
なお、前輪ブレーキ91の制動力と後輪ブレーキ92の制動力の比率等はイコライザ92wの形状調整等によって適宜に設定可能である。また、前後輪連動ブレーキシステムの各部の構成は適宜に変更してもよい。また、本構成のブレーキケーブル71は、アウターケーブル内にインナーワイヤを有するワイヤ式であるが、公知の他のケーブルを適宜に使用してもよい。
【0034】
[ブレーキケーブル71等の配策について]
ブレーキケーブル71は、図1図3に示すように、ヘッドパイプ18の前方を下方に延びた後に、ヘッドパイプ18の右側を通ってセンターフレーム部51aに沿うように後方に延び、左右一方の分岐フレーム部51b(本構成では右側の分岐フレーム部51b)を下方から前後方向に跨ぐ(図5参照)。その後、ブレーキケーブル71は、左右の分岐フレーム部51bの間を通って後方かつ下方に延出し、イコライザ92wに連結される(図2参照)。
【0035】
図1及び図2に示すように、センターフレーム部51aの左右一方側(本構成では右側)には、ブレーキケーブル71及びスロットルケーブル61をガイドするケーブルガイドC1,C2が設けられる。これらケーブルガイドC1,C2は、ヘッドパイプ18とセンターフレーム部51aとの間を架橋する補強プレート19pに取り付けられ、前後方向に間隔を空けて各ケーブル71,61をガイドする。
これらケーブルガイドC1,C2は、各ケーブル71,61の上下及び左右への移動範囲を適宜に規制することによって、各ケーブル71,61をセンターフレーム部51aに沿うように支持する。これによって、各ケーブル71,61が、センターフレーム部51aと燃料タンク29との間に空くスペースを利用して配策され、燃料タンク29によって外観に露出しない。
【0036】
図5に示すように、左右一方(本構成では右側)の分岐フレーム部51bには、ブレーキケーブル71を保持するケーブル保持部C3が設けられる。このケーブル保持部C3は、分岐フレーム部51b間を通過する前のブレーキケーブル71を、車両側面視で分岐フレーム部51bよりも下方、かつ、シリンダ部24よりも上方に保持する。
ここで、図5に示すように、スロットルケーブル61は、ケーブル保持部C3の上方にて分岐フレーム部51bを上方から前後方向に跨ぐように配策される。そのため、スロットルケーブル61が分岐フレーム部51bよりも下方に移動することがなく、スロットルケーブル61が、分岐フレーム部51bよりも下方のブレーキケーブル71に接触する事態が回避される。
【0037】
また、ブレーキケーブル71は左右の分岐フレーム部51bの下方を通る。これにより、特に図2に示すように、ブレーキケーブル71が後下がりとなるように配策される。そのため、ブレーキケーブル71に付着した雨水やブレーキケーブル71内の水分を後下方に流すことができる。
なお、ケーブル保持部C3は、ブレーキケーブル71が後下がりとなる状態を妨げないようにブレーキケーブル71を保持する。
【0038】
また、図2に示すように、ブレーキケーブル71は、シートレール部20aの下方、かつ、スロットルボディ81及びバッテリ84の上方に空くスペースを通って後方に延出する。その後、バッテリ84の後方で下方に緩やかに屈曲してイコライザ92wにつながる。
本構成では、図3に示すように、車両上面視で、ブレーキケーブル71及びスロットルケーブル61が左右の分岐フレーム部51bの間に配索されるので、メインフレーム51の二股になる部分の間に空くスペースを利用して各ケーブル71,61を配策でき、また、各ケーブル71,61を車幅中心寄りに配置でき、各ケーブル71,61を外観に露出し難い位置に配置できる。
【0039】
より具体的には、本構成では、図3に示すように、車両上面視で、ブレーキケーブル71は、スロットルケーブル61の下方を、スロットルケーブル61と同様に前後方向に直線状に延出し、ブレーキケーブル71の少なくとも一部がスロットルケーブル61と上下方向に重なる。そのため、各ケーブル71,61の配置に必要な車幅方向のスペースをコンパクト化できる。
なお、上記したように、スロットルケーブル61が分岐フレーム部51bの上方を通り、ブレーキケーブル71が分岐フレーム部51bの下方を通るので、これらケーブル71,61が車両上面視で上下方向に重なってもこれらケーブルが互いに接触する事態を効果的に抑制できる。
【0040】
図4に示すように、スロットルボディ81は、車両上面視で、左右の分岐フレーム部51bの間に配置され、ブレーキケーブル71は、車両上面視で、スロットルボディ本体81aとスロットルリール81bとの間を通るように配策される。これにより、左右の分岐フレーム部51bの間において、スロットルボディ本体81aとスロットルリール81bとの間に空くスペースを有効利用して、ブレーキケーブル71を、スロットルボディ本体81a及びスロットルリール81bから離間させて配置できる。仮に、車体振動等でブレーキケーブル71等が振動しても、ブレーキケーブル71がスロットルボディ81に接触する事態を抑制できる。
【0041】
また、図2及び図3に示すように、ブレーキケーブル71は、シートレール部20aの下方かつバッテリ84の上方の上方に空くスペースを通って後方に延出し、かつ、リアフレーム20のうちの最も車幅方向外側に位置するサブフレーム部20bよりも車幅方向内側を通る。これにより、サブフレーム部20bとバッテリ84との間に空くスペースを有効利用してブレーキケーブル71を車幅方向外側に張り出さないように配置できる。
【0042】
また、ブレーキケーブル71の下流部分は、図3に示すように、車両右寄りに配置される。ここで、ブレーキケーブル71が接続されるイコライザ92wは、車幅方向右側に寄せて配置される。これにより、イコライザ92wにつながるブレーキケーブル71の長さを抑えることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態では、車両上面視で、ブレーキケーブル71及びスロットルケーブル61が、メインフレーム51の左右に分岐する分岐フレーム部51bの間に配索されるので、メインフレーム51の二股になる部分の間に空くスペースを利用して、外観に露出しないように各ケーブル71,61を配置できる。そのため、各ケーブル71,61を配置するための専用スペースを別途設ける必要がなく、燃料タンク29や車体カバー等の周囲部品の配置や形状を制約しない。これにより、各ケーブル61,72からなる配策部材を、外観に過度に露出し難くし、かつ、周囲部品を制約せずに配置しやすくなる。
【0044】
また、車両上面視で、左右の分岐フレーム部51bの間にスロットルボディ81が配置され、車両上面視で、ブレーキケーブル71及びスロットルケーブル61は、分岐フレーム部51bとスロットルボディ81の間を通る。この構成によれば、分岐フレーム部51bとスロットルボディ81間のスペースを有効利用して各ケーブル71,61を配策できる。
【0045】
また、スロットルケーブル61は、メインフレーム51の上方を通り、ブレーキケーブル71は、メインフレーム51の下方を通る。この構成によれば、各ケーブル61,72の組み付けがし易くなり、例えば誤組を抑制できる。また、各ケーブル61,71を上下に離間させて配策し易くなり、特にブレーキケーブル71については、後下がりとなるように配策し易くなる。これにより、ブレーキケーブル71に付着した雨水やブレーキケーブル71内の水分を排出し易くなる。
【0046】
さらに、スロットルボディ81は、スロットルボディ本体81aと、スロットルケーブル61が接続されるスロットルリール81bとを有し、車両上面視で、スロットルボディ本体81aとスロットルリール81bとの間を、ブレーキケーブル71が通る。この構成によれば、左右の分岐フレーム部51bの間において、スロットルボディ本体81aとスロットルリール81bとの間に空くスペースを有効利用して、ブレーキケーブル71を、スロットルボディ本体81a及びスロットルリール81bから離間させて配置できる。
したがって、スロットルリール81bと分岐フレーム部51bとの間などに、ブレーキケーブル71を配置するための余分なスペースを設ける必要がなく、スロットルボディ81の配置等が制約される事態を抑制できる。
【0047】
また、ブレーキケーブル71は、前輪ブレーキ用の操作子であるブレーキレバーと後輪ブレーキ92との間の動力伝達部材の一部を構成するケーブルであるので、メインフレーム51の前部から後方へと配策する必要がある前後連動ブレーキ用のブレーキケーブル71を、外観に過度に露出し難くし、かつ、周囲部品を制約せずに配置しやすくなる。そのため、前後連動ブレーキシステムを備えない鞍乗り型車両に、前後連動ブレーキシステムを追加する場合でも、前後連動ブレーキシステムのブレーキケーブルを容易に配置しやすくなる。
【0048】
上述の実施形態は本発明の一態様を示すものであり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、細部等の構成は適宜に変更してもよい。
また、上述の実施形態では、ブレーキケーブル71及びスロットルケーブル61が、左右の分岐フレーム部51bの間に配索される場合を例示したが、ブレーキケーブル71及びスロットルケーブル61の一方、或いは、これらケーブル71,61とは別の配策部材を、左右の分岐フレーム部51bの間に配索されるようにしてもよい。この場合も、配策部材を、外観に過度に露出し難くし、かつ、周囲部品を制約せずに配置しやすくなる、といった各種の効果を得ることができる。
【0049】
また、ブレーキケーブル71が前後連動ブレーキ用のブレーキケーブルの場合を説明したが、前後連動ブレーキ用のブレーキケーブルでなくてもよい。
また、本発明を、図1に示す自動二輪車に適用する場合を説明したが、これに限定されず、後方に向けて左右に分岐するメインフレームを備える任意の鞍乗り型車両に本発明を広く適用可能である。なお、鞍乗り型車両は、二輪車両に限定されず、三輪車両、及び四輪車両等でもよい。また、鞍乗り型車両は、電動車両でもよい。
【0050】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0051】
(構成1)後方に向けて左右に分岐するメインフレームと、操向ハンドルから車両後方に向けて延びる配索部材と、を有する鞍乗り型車両において、車両上面視で、前記配索部材が、前記メインフレームの左右に分岐する分岐フレーム部の間に配索される、鞍乗り型車両。
この構成によれば、配策部材を、外観に過度に露出し難くし、かつ、周囲部品を制約せずに配置しやすくなる。
【0052】
(構成2)車両上面視で、左右の前記分岐フレーム部の間にスロットルボディが配置され、車両上面視で、前記配索部材は、前記分岐フレーム部と前記スロットルボディの間を通る、構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、メインフレームとスロットルボディ間のスペースを有効利用して配策部材を配策できる。
【0053】
(構成3)前記配索部材は、前記メインフレームの上方を通る第一の配索部材と、前記メインフレームの下方を通る第二の配索部材と、を有する、構成1又は2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、第一及び第二の配索部材の組み付けがし易くなる。
【0054】
(構成4)前記第一の配索部材は、スロットルケーブルであり、第二の配索部材は、ブレーキケーブルである、構成3に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ブレーキケーブルを後下がりとなるように配策し易くなり、ブレーキケーブルに付着した雨水やブレーキケーブル内の水分の排出を促し易くなる。
【0055】
(構成5)前記配策部材は、スロットルケーブルとブレーキケーブルであり、前記スロットルボディは、スロットルボディ本体と、前記スロットルケーブルが接続されるスロットルリールとを有し、車両上面視で、前記スロットルボディ本体と前記スロットルリールとの間を、前記ブレーキケーブルが通る、構成2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、スロットルリールと分岐フレーム部との間などに、ブレーキケーブルを配置するための余分なスペースを設ける必要が無くなる。
【0056】
(構成6)前記配索部材は、前輪ブレーキ用の操作子と後輪ブレーキとの間の動力伝達部材の一部を構成するブレーキケーブルを含む、構成1から5のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、メインフレームの前部から後方へと配策する必要がある前後連動ブレーキシステム用等のブレーキケーブルを備える場合に、そのブレーキケーブルを、外観に過度に露出し難くし、かつ、周囲部品を制約せずに配置しやすくなる。
【符号の説明】
【0057】
10 鞍乗り型車両
11 車体フレーム
12 パワーユニット
16 スイングアーム
18 ヘッドパイプ18
19 フロントフレーム
20 リアフレーム
21 操行ハンドル
29 燃料タンク
51 メインフレーム、
51a センターフレーム部
51b 分岐フレーム部
61 スロットルケーブル
71 ブレーキケーブル
81 スロットルボディ
81a スロットルボディ本体
81b スロットルリール
図1
図2
図3
図4
図5