(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143104
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20241003BHJP
H01J 65/00 20060101ALI20241003BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61L2/10
H01J65/00
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055607
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳生 英昭
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
【Fターム(参考)】
4C058BB06
4C058DD16
4C058KK02
4C058KK23
4C058KK28
4C180AA07
4C180AA10
4C180DD03
4C180HH01
4C180HH17
4C180KK04
(57)【要約】
【課題】紫外線の取り出し効率が高い紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】紫外線照射装置は、筐体と、前記筐体の側面に設けられた光取り出し面と、前記筐体内に収容された直管状の発光管と、前記発光管の管軸に平行な第一方向に関して互いに離間して配置された、前記発光管に電圧を印加する第一電極及び第二電極と、を有するエキシマランプと、前記発光管の中央部側に面し、前記第一方向に進行する成分を有する紫外線を反射する第一反射面を有し、前記エキシマランプが発する紫外線の少なくとも一部を反射する反射部材と、を備え、前記反射部材の前記第一反射面は、前記第一方向に関して、前記発光管の前記第一電極側の第一端の近傍に位置する第一基準点と、前記第一端とは反対側に位置する第二端の近傍に位置する第二基準点との間に配置される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の側面に設けられた光取り出し面と、
前記筐体内に収容された直管状の発光管と、前記発光管の管軸に平行な第一方向に関して互いに離間して配置された、前記発光管に電圧を印加する第一電極及び第二電極と、を有するエキシマランプと、
前記発光管の中央部側に面し、前記第一方向に進行する成分を有する紫外線を反射する第一反射面を有し、前記エキシマランプが発する紫外線の少なくとも一部を反射する反射部材と、を備え、
前記反射部材の前記第一反射面は、前記第一方向に関して、前記発光管の前記第一電極側の第一端の近傍に位置する第一基準点と、前記第一端とは反対側に位置する第二端の近傍に位置する第二基準点との間に配置されたことを特徴とする、紫外線照射装置。
【請求項2】
前記第一反射面は、前記第一電極と前記第一基準点との間、又は前記第二電極と前記第二基準点との間に配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記反射部材は前記第一反射面を複数有し、複数の前記第一反射面は前記第一方向に関して互いに向かい合うことを特徴とする、請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記第一反射面は前記光取り出し面に対して傾斜して、前記第一反射面に入射された前記紫外線を前記光取り出し面側に反射することを特徴とする、請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記反射部材は、前記発光管の中央部側に面し、前記光取り出し面に平行な平面上で前記第一方向に直交する第二方向に進行する成分を有する紫外線を反射する第二反射面を備えることを特徴とする、請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記反射部材は前記第二反射面を複数有し、複数の前記第二反射面は前記第二方向に関して互いに向かい合うことを特徴とする、請求項5に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記第二反射面は前記光取り出し面に対して傾斜して、前記第二反射面に入射された前記紫外線を前記光取り出し面側に反射することを特徴とする、請求項5に記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記第一反射面は、前記光取り出し面に直交する第三方向に関して、前記発光管と前記光取り出し面の間に位置することを特徴とする、請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記反射部材は、前記第一方向に見た時に、前記発光管から前記光取り出し面に平行な平面上で前記第一方向に直交する第二方向に外れた位置にある前記第一反射面を含むことを特徴とする、請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記反射部材は、絶縁性材料で構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
前記反射部材はポリテトラフルオロエチレンで構成されたことを特徴とする、請求項9に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線を照射することで、例えば空間中に存在する菌又はウイルスを不活化する技術が知られている。ここで、「不活化」とは、菌を死滅させる又はウイルスの感染力や毒性を失わせることを包括する概念である。近年、COVID-19に代表される感染症の蔓延とも相まって、衛生管理に対する関心が著しく高まっており、より効率的な菌又はウイルスの不活化処理が求められている。そこで、本出願人は、例えば上記の不活化などの用途に利用できる紫外線照射装置を提案している(下記、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紫外線照射装置は、上記特許文献1に記載されているような、紫外線を出射するエキシマランプなどの光源が筐体内に配置されてなる構成が知られている。
図15は、特許文献1に係る紫外線照射装置100において、筐体2の本体ケーシング部2aと蓋部2bとを分解して示した斜視図である。
図15では、エキシマランプの発光管3の管軸方向をX方向とし、X方向に直交する平面をYZ平面とする、X-Y-Z座標系が併記されている。エキシマランプから出射された紫外線は、筐体2に設けられた光取り出し面10から筐体2外部に取り出され、照射対象の空間又は物に対して照射される。
【0005】
図15に示す構成のエキシマランプは、発光管3の壁面に接触するように配置された一対の電極ブロック(11,12)に電圧が印加されることによって、発光管3から紫外線を出射する。この際、紫外線はあらゆる方向に向かって進行するため、エキシマランプから出射した紫外線には、筐体2に設けられた光取り出し面10に直接進行しない紫外線が含まれる。照射対象の空間等に効率的に紫外線を照射する観点からは、エキシマランプが出射した紫外線の総量に対して、より多くの紫外線が光取り出し面10から取り出されることが好ましい。
【0006】
特許文献1は、光取り出し面10に配置された光学フィルタ21の特性に鑑みて、光学フィルタ21に対する紫外線の入射角を減少させることを提案している。より詳細には、エキシマランプの発光管3が載置された電極(11,12)に、光取り出し面10に対して傾斜するテーパ面(11b,12b)を設ける構成である。これにより、当該テーパ面に入射された紫外線は、光取り出し面10に向かって反射されて、小さい入射角で光取り出し面10に入射することができる。
【0007】
つまり、
図15に係る構成において、発光管3から出射され、テーパ面(11b,12b)に入射した紫外線は、光取り出し面10から筐体2の外部に取り出される。しかし、前述の通り、発光管3からは、あらゆる方向に紫外線が出射されるため、発光管3の管軸方向(X方向)に進行する成分を有する紫外線も存在する。そこで、本発明者は、従来の紫外線照射装置では、紫外線の取り出し効率をさらに向上させる余地が存在することに気が付いた。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、紫外線の取り出し効率が高い紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明に係る紫外線照射装置は、
筐体と、
前記筐体の側面に設けられた光取り出し面と、
前記筐体内に収容された直管状の発光管と、前記発光管の管軸に平行な第一方向に関して互いに離間して配置された、前記発光管に電圧を印加する第一電極及び第二電極と、を有するエキシマランプと、
前記発光管の中央部側に面し、前記第一方向に進行する成分を有する紫外線を反射する第一反射面を有し、前記エキシマランプが発する紫外線の少なくとも一部を反射する反射部材と、を備え、
前記反射部材の前記第一反射面は、前記第一方向に関して、前記発光管の前記第一電極側の第一端の近傍に位置する第一基準点と、前記第一端とは反対側に位置する第二端の近傍に位置する第二基準点との間に配置されたことを特徴とする。
【0010】
ここで、「近傍」とは、第一方向に関し、発光管の端部(前記第一端又は前記第二端)から、外側に向かって所定の距離だけ離間した位置を意味する。なお、所定の距離とは、当該端部と当該端部に近い側の電極との第一方向に関する離間距離の半分に相当する距離を意味する。
【0011】
前述の通り、エキシマランプから出射した紫外線には、筐体に設けられた光取り出し面に直接進行しない紫外線が含まれる。具体的には、発光管から第一方向に進行する成分を有する紫外線が挙げられる。発光管から第一方向に進行する紫外線は、光取り出し面側ではなく、筐体の内壁面に到達する可能性が高い。このように筐体の内壁面に到達した紫外線は、筐体の内壁面によって吸収されることで、光取り出し面からはほとんど取り出されない。
【0012】
これに対し、上記構成によれば、エキシマランプから出射され、第一方向に進行する成分を有する紫外線が、第一反射面によって反射される。第一反射面によって反射された紫外線は、第一方向に関して、発光管の中央部側に反射される。つまり、反射部材によって、反射面に入射した紫外線の進行方向が変更されることで、筐体の内壁面に向かって進行する紫外線の少なくとも一部が光取り出し面側へと反射されることになり、光取り出し面から取り出される紫外線が増加する。これにより、紫外線照射装置の紫外線の取り出し効率が高められる。
【0013】
また、第一反射面が、前記第一基準点及び前記第二基準点の間に配置されることで、第一反射面が発光管から遠い位置に位置する場合よりも、より多くの紫外線を反射することができる。
【0014】
前記第一反射面は、前記第一電極と前記第一基準点との間、又は前記第二電極と前記第二基準点との間に配置されても構わない。
【0015】
前述の通り、エキシマランプでは、一対の電極に対する電圧の印加に起因して紫外線が発生する。より詳細には、当該電圧の印加によって、発光管内に放電プラズマが発生して発光ガスの原子又は分子が励起されてエキシマ状態となり、これが基底状態に戻る際に紫外線が発せられる。放電プラズマは第一電極及び第二電極の間で発生するため、紫外線は、主に、発光管内の一対の電極に挟まれた空間において発生する。したがって、発光管の中央部、特に一対の電極に挟まれた空間から出射される紫外線を反射するために、第一反射面は、上記の通り、一対の電極よりも発光管の中央部とは反対側に配置されることが好ましい。
【0016】
前記反射部材は前記第一反射面を複数有し、複数の前記第一反射面は前記第一方向に関して互いに向かい合っても構わない。
【0017】
第一方向に進行する成分を有する紫外線には、発光管の第一端側に進行する紫外線と、その反対側の第二端側に進行する紫外線とが含まれる。上記構成によれば、両者の紫外線を反射することで、より多くの紫外線を取り出すことができる。
【0018】
前記第一反射面は前記光取り出し面に対して傾斜して、前記第一反射面に入射された前記紫外線を前記光取り出し面側に反射しても構わない。
【0019】
一般的に、反射面に入射した紫外線は、全てが反射されることなく、少なからず反射面で吸収される。これに鑑みると、紫外線照射装置は、エキシマランプから出射されて、光取り出し面とは異なる方向に向かって進行する紫外線が、少ない反射回数で光取り出し面に向かうように構成されることが好ましい。これに対し、第一反射面が光取り出し面に対して傾斜することで、第一反射面に入射された紫外線は光取り出し面側に反射される。このため、上記構成は、第一反射面で反射された紫外線が光取り出し面に向かいやすくなり、好適である。
【0020】
前記反射部材は、前記発光管の中央部側に面し、光取り出し面に平行な平面上で前記第一方向に直交する第二方向に進行する成分を有する紫外線を反射する第二反射面を備えても構わない。
【0021】
前述の通り、紫外線は発光管からあらゆる方向に出射される。上記構成によれば、第二反射面によって、前記第二方向に進行する成分を有する紫外線の一部が反射されて、紫外線の進行方向が変更されることで、例えば筐体の内壁面に向かって進行する紫外線の少なくとも一部が光取り出し面側へと反射される。これにより、光取り出し面から取り出される紫外線が増加し、紫外線の取り出し効率が高められる。
【0022】
前記反射部材は前記第二反射面を複数有し、複数の前記第二反射面は前記第二方向に関して互いに向かい合っても構わない。
【0023】
また、前記第二反射面は前記光取り出し面に対して傾斜して、前記第二反射面に入射された前記紫外線を前記光取り出し面側に反射しても構わない。
【0024】
前記第一反射面は、前記光取り出し面に直交する第三方向に関して、前記発光管と前記光取り出し面の間に位置しても構わない。
【0025】
前記第三方向に関してエキシマランプと光取り出し面の間の位置で、紫外線が筐体の内壁等に入射して吸収されることを抑制する観点から、前記第一反射面が、上記構成に係る位置に配置されることが好ましい。なお、第二反射面についても同様である。
【0026】
前記反射部材は、前記第一方向に見た時に、前記発光管から前記光取り出し面に平行な平面上で前記第一方向に直交する第二方向に外れた位置にある前記第一反射面を含んでも構わない。
【0027】
発光管から、光取り出し面に対する角度が小さい状態で出射された紫外線は、筐体の内壁に向かいやすく、筐体内から取り出されにくい。これに対し、上記構成によれば、第一方向に見た時に発光管から第二方向に外れた位置において、第一方向に進行する成分を有しつつ、光取り出し面に対する角度が小さい状態で進行する紫外線を反射できる。これにより、光取り出し面側に反射される紫外線が増加する結果、より多くの紫外線が光取り出し面から取り出される。
【0028】
前記反射部材は、絶縁性材料で構成されても構わない。
【0029】
前述の通り、電極には高周波の高電圧が印加される。このため、反射部材が導電性を示す場合、反射部材と電極間で意図しない放電経路が形成される懸念がある。また、移動などの衝撃で反射部材の位置がずれた際に両者が接触して短絡する懸念もある。これらの懸念に鑑みると、反射部材は絶縁性材料で構成されることが好ましい。
【0030】
前記反射部材はポリテトラフルオロエチレンで構成されても構わない。
【0031】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、カッティング等の加工が容易という特徴があり、任意の形状で反射部材を構成できる。また、PTFEは絶縁性を示す観点からも、反射部材として好適な材料である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、紫外線の取り出し効率が高い紫外線照射装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】紫外線照射装置の一実施形態の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図2A】
図1から紫外線照射装置の筐体の本体ケーシング部と蓋部とを分解した斜視図である。
【
図2B】
図2Aに係る本体ケーシング部から、反射部材を分解した斜視図である。
【
図3】電極ブロックの構造を模式的に示す斜視図である。
【
図4】+Z方向から見た際の反射部材の構造を模式的に示す平面図である。
【
図5A】Y方向に見た時の、筐体内における反射部材の配置の態様を模式的に示す断面図である。
【
図5B】X方向に見た時の、筐体内における反射部材の配置の態様を模式的に示す断面図である。
【
図7】第二実施形態に係る紫外線照射装置の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図7から紫外線照射装置の筐体の本体ケーシング部と蓋部とを分解した斜視図である。
【
図9】紫外線照射装置が備える電極ブロックと発光管と反射部材の構造を模式的に示す斜視図である。
【
図10】
図9に係る電極ブロックと反射部材4を分解した斜視図である。
【
図11】Z方向に見た時の、筐体内における反射部材の配置の態様を模式的に示す断面図である。
【
図12】Y方向に見た時の、筐体内における反射部材の配置の態様を模式的に示す断面図である。
【
図13】第二実施形態に係る反射部材の別構成例を示す斜視図である。
【
図14A】第二実施形態に係る反射部材のさらに別の構成例を示す断面図である。
【
図14B】反射部材の別構成例を示す、紫外線照射装置の斜視図である。
【
図15】特許文献1に係る紫外線照射装置100の構造を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[第一実施形態]
本発明に係る紫外線照射装置の第一実施形態につき、適宜図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致していない。また、各図面間においても、寸法比は必ずしも一致していない。
【0035】
以下の各図では、前述した
図15と同様に、エキシマランプの発光管3の管軸方向をX方向とし、X方向に直交する平面をYZ平面とした、X-Y-Z座標系を参照して説明される。より詳細には、光取り出し面10に平行な平面上でX方向に対して直交する方向をY方向とし、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。X方向が「第一方向」に対応し、Y方向が「第二方向」に対応し、Z方向が「第三方向」に対応する。
【0036】
また、以下の説明では、方向を表現する際に正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。また、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。
【0037】
また、以下の図において、
図15を参照して上述したのと同一の要素については、同一の符号を付して、その説明が適宜簡略化される。
【0038】
図1は、本発明に係る紫外線照射装置の一実施形態の外観を模式的に示す斜視図である。また、
図2Aは、
図1の紫外線照射装置1の筐体2の本体ケーシング部2aと蓋部2bとを分解した斜視図である。
図2Bは、
図2Aに係る本体ケーシング部2aから、後述する反射部材4を分解した斜視図である。
【0039】
図1に示すように、紫外線照射装置1は、側面に光取り出し面10が形成された筐体2を備える。また、
図2A及び
図2Bに示すように、筐体2は、本体ケーシング部2aと蓋部2bとを備え、エキシマランプの発光管3と、電極ブロック(11,12)と、反射部材4を収容する。
図2A及び
図2Bでは、理解を容易にする観点から、発光管3に実線によるハッチングが施されている。
【0040】
本実施形態におけるエキシマランプの発光管3は石英ガラス等の誘電体で形成され、発光管3にはクリプトンガス及び塩素ガスを含む発光ガスが封入される。本実施形態において、発光管3は直管状を呈する。一例として、本実施形態では、X方向に係る発光管3の全長は70mmである。なお、筐体2内に収容される発光管3の本数は、本発明において限定されない。
【0041】
電極ブロック11及び電極ブロック12は、X方向に互いに離間して配置され、各発光管3に対して給電するための電極を構成する。
図3は、電極ブロック(11,12)の構造を模式的に示す斜視図である。
図3に示すように、電極ブロック11は、エキシマランプの発光管3が載置される載置領域11aと(
図2Bも参照)、発光管3に対してY方向に離れた位置に形成され、XY平面に対して傾斜したテーパ面11bとを有して構成される。同様に、電極ブロック12は、載置領域12aとテーパ面12bとを有する。テーパ面(11b,12b)の効果については、
図5Bを参照して後述される。本実施形態では、電極ブロック11が、「第一電極」に対応し、電極ブロック12が「第二電極」に対応する。
【0042】
電極ブロック(11,12)は、導電性の材料からなり、好ましくは、紫外線L1に対する反射性を示す材料からなる。一例として、電極ブロック(11,12)は、共に、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属材料で構成される。
【0043】
一例として、本実施形態では、電極ブロック(11,12)の離間距離は6mmである。
【0044】
電極ブロック(11,12)に対して高周波の高電圧が印加されることで、発光管3から紫外線L1が得られる。光取り出し面10は、発光管3内で発せられた紫外線L1を筐体2の外部に取り出すために、石英ガラス等のガラス材料で構成される。なお、光取り出し面10は、開口で構成されても構わない。
【0045】
前述の通り、発光管3は、発光ガスとしてクリプトンガス及び塩素ガスを含む。このため、発光管3から、主たる発光波長が200nm~240nmの範囲に属する紫外線L1が得られる。ここで、「主たる発光波長」とは、発光スペクトルにおいて、最も高い光強度(ピーク強度)に対して40%以上の光強度を示す波長帯域をいう。
【0046】
波長200nm~240nmの範囲に属する紫外線は、タンパク質の吸収係数が高く、大部分が人の皮膚表面(例えば角質層)で吸収される。このため、上記波長範囲に属する紫外線は、皮膚内部まで浸透し難く、人体に対する影響が極めて低いという特徴がある。
【0047】
なお、主たる発光波長が200nm~240nmの範囲に属する紫外線を発するエキシマランプにおいても、ごくわずかながら、人体に影響を及ぼすおそれのある波長帯(波長240nm~300nm)の紫外線が出射され得る。これに鑑みて、本実施形態では、波長240nm~300nmの範囲に属する紫外線の透過を抑制する光学フィルタ21が光取り出し面10に配置されている(
図2A参照)。
【0048】
ここで、「光学フィルタが光取り出し面に配置される」とは、光取り出し面に対して光学フィルタが一体化されて配置される場合の他、光学フィルタが光取り出し面に対してZ方向に数mm~十数mm程度離間した位置に配置される場合を含む。また、「透過を抑制する」とは、光学フィルタを通過した紫外線のうち、波長200nm~240nmの波長範囲内の紫外線の光強度に対して、波長240~300nmの範囲内の紫外線の光強度の比率を低下させることを指す。光学フィルタ21は、一例として、シリカ(SiO2)の薄膜層とハフニア(HfO2)の薄膜層とが積層された誘電体多層膜から構成される。
【0049】
反射部材4は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から構成され、紫外線L1に対して反射性を示す反射面(4x,4y)を有する。反射部材4は、本体ケーシング部2aの+Z側に配置される(
図2B参照)。
【0050】
図4は、+Z方向から見た際の反射部材4の構造を模式的に示す平面図である。
図4に示すように、反射部材4は、X方向に関して互いに向かい合って配置された2つの反射面4xと、Y方向に関して互いに向かい合って配置された2つの反射面4yを有する。本実施形態において、反射面4xが「第一反射面」に対応し、反射面4yが「第二反射面」に対応する。
【0051】
図5A及び
図5Bは、筐体2内における、反射部材4の配置の態様を模式的に示す断面図である。
図5AはY方向に見た時の図面であり、
図5BはX方向に見た時の図面である。
図5A及び
図5Bに示すように、反射面(4x,4y)は、Z方向に関して発光管3と光取り出し面10の間に配置され、発光管3の中央部側に面する。また、本実施形態では、反射面(4x,4y)は光取り出し面10に対して傾斜する。反射部材4は、本体ケーシング部2aと電極ブロック(11,12)に挟持されており、反射面(4x,4y)は、電極ブロック(11,12)に当接している(
図2Aも参照)。
【0052】
より詳細には、反射面4xは、電極ブロック(11,12)及び発光管3に対して当接する(
図5A参照)。一方で、本実施形態では、反射面4yは電極ブロック(11,12)に当接するが、反射面4yが電極ブロック(11,12)及び発光管3に対して当接するものとされても構わない(
図5B参照)。なお、本発明において、反射部材4の設置方法は限定されず、反射面(4x,4y)が電極ブロック(11,12)又は発光管3に対して当接するか否かは任意である。
【0053】
また、反射面4xは、X方向に関して第一基準点P1と第二基準点P2の間に位置する(
図5A参照)。第一基準点P1は、発光管3の-X側の第一端5aから、-X方向に距離d1離間した位置にある仮想点である。距離d1は、第一端5aと電極ブロック11の離間距離d2の半分の距離に相当する。また、第二基準点P2は、発光管3の+X側の第二端5bから、+X方向に距離d3離間した位置にある仮想点である。距離d3は、第二端5bと電極ブロック12の離間距離d4の半分の距離に相当する。
【0054】
なお、一例として、本実施形態では、離間距離d2及び離間距離d4は共に17mmとされる。なお、離間距離d2と離間距離d4は異なっていても構わない。
【0055】
本実施形態では、-X側の反射面4xは、X方向に関して第一端5aと電極ブロック11との間に位置し、+X側の反射面4xは、X方向に関して第二端5bと電極ブロック12との間に位置する。前述したように、紫外線L1は、主に、一対の電極ブロック(11,12)の間で発生するため、-X側を例にとると、反射面4xが、第一端5a及び電極ブロック11の間に配置されることが好ましい。
【0056】
反射部材4は、例えばシート状の部材から構成される。
図4を参照しながら、反射部材4の作製手順の一例を説明する。まず、紫外線L1に対して反射性を示す材料からなる、略矩形状のシートを準備する。そして、カッティング等の加工によって、当該シートの中央部から、典型的には矩形状の領域31を切り抜いて、フレーム状を呈するシートを得る。次に、切り込み部30を形成する。そして、反射面(4x,4y)に対応する領域を-Z側に折り曲げることによって、反射部材4を構成することができる。
【0057】
反射部材4は、前述の通りポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂材料の微粒子からなるシート材で構成できる。特にPTFEはカッティング、折り曲げなどの加工が容易であり、好適である。また、反射部材4は、任意のシート材に対して、紫外線L1を反射する反射膜を形成することで構成されても構わない。当該反射膜は、例えば上記フッ素系樹脂材料のコーティング膜である。この場合、反射膜が反射面(4x,4y)を形成する。
【0058】
なお、PTFEは、紫外線L1に対して拡散反射性を示す。拡散反射性を示す反射面(4x,4y)で反射された拡散光の少なくとも一部は、光取り出し面10に向かうように進行すると考えられるため、光取り出し面10からの紫外線L1の取り出し効率が高まることが期待できる。つまり、反射面(4x,4y)が拡散反射性を示すことで、光取り出し面10又は発光管3に対する反射面(4x,4y)の位置合わせが僅かにずれたとしても、光取り出し面10からの紫外線L1の取り出し効率が良くなる。言い換えれば、反射面(4x,4y)が拡散反射性を示すことで、光取り出し面10又は発光管3に対する反射面(4x,4y)の位置合わせが簡便になるという効果が得られる。
【0059】
反射面(4x,4y)で紫外線L1を拡散反射する観点から、反射部材4は、シリコーン樹脂で構成されても構わないし、反射膜としてシリカ又はアルミナ等を含んで構成されたセラミック膜を有するものとしても構わない。また、反射面(4y,4z)に対して凹凸加工を施すことにより、拡散反射性を示す反射面を構成しても構わない。
【0060】
なお、反射面(4x,4y)は、紫外線L1を正反射するものとされてもよい。一例として、反射部材4は、例えばアルミニウム等の金属からなるシート材でも構成できる。しかし、電極ブロック(11,12)と反射部材間での放電経路の形成を抑制する観点からは、反射部材4は、絶縁性を有することが好ましい。この観点から、例えば、任意の絶縁性のシート材に、屈折率の異なる誘電体膜を交互に積層して、紫外線L1を反射する誘電体多層膜を構成しても構わない。この場合、当該誘電体多層膜が反射面(4x,4y)を形成する。
【0061】
以下、
図5A及び
図5Bを参照しつつ、発光管3が発する紫外線の進行の態様について説明する。
【0062】
反射面4xが、第一基準点P1と第二基準点P2との間に配置されることで、X方向に進行する成分を有し、光取り出し面10に直接進行しない紫外線L1が、反射面4xで反射される(
図5A参照)。これにより、光取り出し面10側に進行する紫外線L1が増加し、光取り出し面10からの紫外線L1の取り出し効率が向上する。また、+X方向及び-X方向のそれぞれに進行する紫外線L1を反射する観点から、
図5Aに示すように、複数の反射面4xが、互いに向かい合って配置されることが好ましい。
【0063】
さらに、反射面4xが光取り出し面10に対して傾斜されることで、反射面4xで反射された紫外線L1において、光取り出し面10に向かって進行する紫外線L1を増加することができる。なお、光学フィルタ21が誘電体多層膜から構成される場合、入射角が大きくなると紫外線の透過率が低下する入射角依存性を示す。このため、光学フィルタ21に対する紫外線の入射角を小さくする観点から、反射面4xが光取り出し面10に対して傾斜することが好ましい。
【0064】
また、反射面4xが、Z方向に関して発光管3と光取り出し面10の間に配置されることにより、発光管3よりも+Z側で、筐体2の内壁に向かって進行する紫外線L1を反射面4xで反射することができる。
【0065】
図5Bに示すように、反射面4yによって、Y方向に進行する成分を有する紫外線L1が反射される。これにより、光取り出し面10からの紫外線L1の取り出し効率が向上する。複数の反射面4yが、互いに向かい合って配置される点、光取り出し面10に対して傾斜する点、及び発光管3よりも+Z側に配置される点については、反射面4xについて述べたのと同様の議論が可能である。
【0066】
前述した通り、電極ブロック(11,12)は、光取り出し面10に対して傾斜するテーパ面(11b,12b)を有する。
図5Bに示すように、電極ブロック11が、テーパ面11bを有することで、発光管3から出射されて、テーパ面11bに入射した紫外線L2が、光取り出し面10側に反射される。電極ブロック12が有するテーパ面12bについても同様の議論が可能である。この場合、テーパ面(11b,12b)が反射面4yを構成し、電極ブロック(11,12)が反射部材4を兼ねる。
【0067】
[検証]
上述した構成に係る紫外線照射装置1において、筐体2から取り出される紫外線L1の放射照度の検証を行ったので、以下において説明する。
【0068】
(実施例1)
本検証では、実施例1として上記第一実施形態の構成が採用された。
【0069】
紫外線L1の放射照度は、ウシオ電機社製の紫外線積算光量計(UIT-250)と、波長222nmの光で校正済のウシオ電機社製のセパレート型受光器(VUV-S172)とを含んで構成された照度計を用いて測定された。また、放射照度の測定位置は、光取り出し面10から+Z側に50mm離間した位置で行われた。
【0070】
(比較例1)
比較例1として、反射部材4を配置しない場合の紫外線L1の放射照度が検証された。比較例1の条件は、筐体2内から反射部材4が取り除かれた点を除き、実施例1と同様である。
【0071】
[検証結果]
本検証で得られた放射照度の対比結果を下記表1に示す。表1では、比較例1を基準とした、放射照度の相対値が示されている。
【0072】
【0073】
表1に示すように、反射部材4が配置されることによって(実施例1)、光取り出し面10から取り出される紫外線の放射照度が、反射部材4が無い場合(比較例1)の約1.2倍となった。
【0074】
[考察]
上記の結果は、反射部材4が配置され、反射面(4x,4y)で紫外線L1が反射されることによって、光取り出し面10側に向かって進行する紫外線L1が増加したためと考えられる。つまり、反射部材4を配置することで、光取り出し面10からの紫外線L1の取り出し効率が高められたことが理解できる。
【0075】
つまり、上記第一実施形態に係る構成によれば、紫外線の取り出し効率が高い紫外線照射装置を実現できる。
【0076】
なお、上記第一実施形態においては、反射面(4x,4y)は、光取り出し面10に対して傾斜するものとされた。しかし、本発明はこれに限定されず、反射面(4x,4y)は光取り出し面10に対して垂直に配置されても構わない。反射面(4x,4y)が、光取り出し面10に対して傾斜しない場合でも、紫外線L1が反射面(4x,4y)で反射されることで、発光管3から出射された紫外線に対して、例えば筐体2の内壁等に吸収される紫外線の割合が減少するため、光取り出し面10からの紫外線の取り出し効率が高められることが理解できる。
【0077】
また、上記においては、反射部材4は、複数の反射面4xを有するものとされたが、反射面4xは一枚であっても構わない。仮に、反射面4xが、発光管3の+X側にのみ配置された場合でも、当該反射面4xで紫外線L1が反射されて、光取り出し面10側に進行する紫外線が増加する結果、紫外線照射装置の紫外線の取り出し効率が高められると推察される。
【0078】
同様に、反射面4yは一枚であっても構わない。また、反射部材4が反射面4yを備えるか否かは任意である
【0079】
さらに、上記においては、反射面(4x,4y)が、フレーム状を呈する一体の反射部材4から構成されるものとして説明した。しかし、例えば
図6に示すように、反射面(4x,4y)は、分離された複数のシート部材から構成されても構わない。
図6は、反射部材4の別構成例を示す平面図である。上記の検証結果に基づけば、反射部材4が分離された複数の部材から構成された場合でも、紫外線の取り出し効率が高められると推察される。
【0080】
本願出願日の時点では、ACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists:米国産業衛生専門家会議)等によって、人体に対する1日(8時間)あたりの紫外線の照射量に関して、推奨の許容限界値(TLV:Threshold Limit Value)が定められている。しかし、昨今では、人体に対する紫外線照射の影響が明らかになるに連れて、人体に対する照射の影響が低い、例えば200nm~240nmの波長範囲の紫外線については、TLVが緩和されてきている。
【0081】
TLVが緩和されることで、より高い出力での紫外線の照射が行われると想定されるため、TLVの緩和に伴って、より高出力の紫外線照射装置が求められると考えられる。これに対し、上記第一実施形態では、波長200nm~240nmの範囲に属し、人体に対する影響が低い紫外線を出射しつつ、筐体2からの紫外線の取り出し効率が高められている。つまり、上記第一実施形態を参照して述べた構成によれば、TLVの緩和に伴う紫外線照射装置の高出力化の要求にも応えることができる。
【0082】
[第二実施形態]
以下、本発明に係る紫外線照射装置の第二実施形態について、
図7~
図10を参照しながら、第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0083】
図7は、第二実施形態に係る紫外線照射装置1の外観を模式的に示す斜視図である。
図8は、
図7から紫外線照射装置1の筐体2の本体ケーシング部2aと蓋部2bとを分解した斜視図である。また、
図9は、紫外線照射装置1が備える電極ブロック(11,12)と発光管3と反射部材4の構造を模式的に示す斜視図であり、
図10は、
図9に係る電極ブロック(11,12)と反射部材4を分解した斜視図である。
【0084】
本実施形態に係る紫外線照射装置は、
図9及び
図10に示すように、本体ケーシング部2aに対して、反射部材4、電極ブロック(11,12)、エキシマランプの発光管3の順で各部材を配置されて構成される。本実施形態では、筐体2内にエキシマランプの発光管3が1本収容される。なお、第一実施形態と異なり、電極ブロック(11,12)にテーパ面(11b,12b)は形成されていない。
【0085】
図11及び
図12は、筐体2内における、反射部材4の配置の態様を模式的に示す断面図である。
図11はY方向に見た時の図面であり、
図12はX方向に見た時の図面である。
図11に示すように、反射部材4はY方向に見た際にコの字状を呈する一の部材からなる。このため、反射部材4は、発光管3の中央部側に面し、X方向に関して互いに向かい合う反射面4xと、発光管3の-Z側に位置する反射面4zを有する。
【0086】
前述の通り、紫外線L1は電極ブロック(11,12)の間で発生するため、反射面4xを電極ブロック(11,12)に近づけて配置することが好ましい。しかし、-X側を例に説明すると、発光管3の第一端5aは、電極ブロック11より-X側に位置し、発光管3の一部が電極ブロック11から-X側に突出して配置されている。したがって、例えば反射面4xが矩形状を呈する場合、反射面4xを電極ブロック11に近づけることが困難となる。これに鑑みて、本実施形態では、
図12に示すように、反射部材4は発光管3との干渉を避ける切り欠き部32を有する。具体的には、反射面4xはX方向に見た時にU字状を呈するものとされ、発光管3からY方向に外れた位置に配置されている。これにより、発光管3と反射面4xの配置の干渉を防ぐことができ、反射面4xを電極ブロック11に近づけて、第一端5aと電極ブロック11との間に配置できる。+X側の反射面4xについても同様である。なお、上記では反射面4xはU字状としたが、切り欠き部32が発光管3を挿し込む用の穴とされて、反射面4xがO字状を呈するものとされても構わない。
【0087】
反射部材4は、
図4を参照して前述したのと同様に、例えばPTFEからなるシート状の部材を加工することで構成できる。シート状の部材を加工することで、上記の通り、発光管3及び電極ブロック(11,12)の配置に合わせた形状を容易に構成できる。
【0088】
図11に示すように、反射面4xは、X方向に進行する成分を有する紫外線L1を反射する。これにより、光取り出し面10側に進行する紫外線L1が増加し、光取り出し面10からの紫外線L1の取り出し効率が向上する。
【0089】
また、前述の通り、反射面4xは、X方向に見た時に発光管3からY方向に外れた位置に含んで配置されている。このため、反射面4xは、
図11及び
図12に示すように、X方向に進行する成分を有しつつ、XY平面に対する角度が小さい状態で進行する紫外線La1を反射することができる。このように、本実施形態によれば、X方向に見た時に発光管3からY方向に外れた位置においても紫外線La1を反射できる。
【0090】
また、反射面4zは、発光管3から出射されて、-Z側に進行した紫外線Lb1を、光取り出し面10側に反射する(
図11参照)。これにより、-Z側に進行した紫外線Lb1を光取り出し面側に反射できる。
【0091】
上記の通り、第二実施形態に係る紫外線照射装置1では、反射部材4が、X方向に進行する成分を有する紫外線L1に加え、Y方向に対する角度が小さい紫外線La1、及び-Z側に進行した紫外線Lb1を反射する構成である。このため、光取り出し面10側に進行する紫外線が増加され、光取り出し面10からの紫外線の取り出し効率がより高められる。
【0092】
また、
図13は、第二実施形態に係る反射部材4の別構成例を示す斜視図である。
図13に示すように、反射部材4は、Y方向に関して互いに向かい合う反射面4yをさらに備えるものとされても構わない。
【0093】
さらに、
図14Aは、第二実施形態に係る反射部材4のさらに別の構成例を示す断面図である。
図14Aに示すように、反射面4xは、反射面4xの-Z側のXY平面に対して傾斜しても構わない。この構成によれば、紫外線L1が、反射面4xで反射されて-Z側に進行する場合でも、反射面4zが当該紫外線を光取り出し面側に反射するため、好適である。
【0094】
[変形例]
以下、本発明に係る紫外線照射装置の変形例について説明する。
【0095】
〈1〉 上記においては、反射面4xは、X方向に関して発光管3の第一端5a及び5bの間に配置されるものとして説明したが、反射面4xは、第一基準点P1と第二基準点P2との間において、発光管3の外側に配置されても構わない。
【0096】
〈2〉 また、上記において、反射部材4はシート状を呈する部材を加工して構成されるものとして説明したが、本発明において、反射部材4の形状は限定されない。
図14Bは、
図2Aに倣って、反射部材4の別構成例を示す紫外線照射装置1の斜視図である。例えば、
図14Bに示すように、フレーム状を呈し、光取り出し面10に対して傾斜するテーパ面を有するブロック材が反射部材4として筐体2内に配置されても構わない。当該テーパ面が反射面(4x,4y)に対応する。反射部材4は、図示しないネジ等の任意の部材で固定可能である。なお、反射部材4の構成材料については前述したのと同様である。
【0097】
〈3〉 上記においては、人に対する影響が低い、主たる発光波長が200nm~240nmの範囲に属する紫外線について言及した。しかし、紫外線照射装置が、物体、又は人の存在が想定されない空間に対して紫外線を照射する場合も想定される。つまり、エキシマランプが出射する紫外線の波長は限定されない。
【0098】
例えば、発光管3に封入される発光ガス種を選択することで、紫外線のピーク波長を異ならせることができる。一例として、発光ガスとピーク波長の組み合わせは、KrCl(222nm)、KrBr(207nm)、XeCl(308nm)、XeBr(283nm)である。
【0099】
〈4〉 上記実施形態において、光学フィルタ21は任意の構成である。
【0100】
〈5〉 上述した紫外線照射装置1が備える構成は、あくまで一例であり、本発明は、図示された各構成に限定されない。
【符号の説明】
【0101】
1,100 : 紫外線照射装置
2 : 筐体
2a : 本体ケーシング部
2b : 蓋部
3 : 発光管
4 : 反射部材
4x,4y,4z : 反射面
5a : 第一端
5b : 第二端
10 : 光取り出し面
11,12 : 電極ブロック
11a,12a : 載置領域
11b,12b : テーパ面
21 : 光学フィルタ
30 : 切り込み部
31 : 領域
32 : 切り欠き部
P1 : 第一基準点
P2 : 第二基準点