(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143110
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】樹脂組成物、成形体、電線被覆材、建築材料および金属複合材料
(51)【国際特許分類】
C08L 23/04 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
C08L23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055616
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000174862
【氏名又は名称】三井・ダウポリケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】礒川 素朗
(72)【発明者】
【氏名】西村 圭司
(72)【発明者】
【氏名】久木田 佳那
(72)【発明者】
【氏名】大木 和幸
(72)【発明者】
【氏名】清水 貴広
(72)【発明者】
【氏名】山本 貞樹
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB052
4J002BB081
4J002GF00
4J002GJ01
(57)【要約】
【課題】従来の化石燃料から得られる樹脂のみを使用して製造する樹脂組成物と同等の金属接着性を有しつつ、環境配慮性が向上した樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)と、エチレン系重合体(B)(ただし、前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)に該当するものを除く)と、を含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物全体のASTM D6866に準拠して測定されるバイオマス度が0質量%を超えて100質量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)と、
エチレン系重合体(B)(ただし、前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)に該当するものを除く)と、
を含む樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物全体のASTM D6866に準拠して測定されるバイオマス度が0質量%を超えて100質量%以下である樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂組成物の樹脂成分の全体を100質量%としたとき、
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の含有量が1質量%以上99質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記樹脂組成物の樹脂成分の全体を100質量%としたとき、
前記エチレン系重合体(B)の含有量が1質量%以上99質量%以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の全体を100質量%としたとき、前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量が、1質量%以上49質量%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記エチレン系重合体(B)が、低密度ポリエチレンを含む請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記エチレン系重合体(B)がバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマスエチレン系重合体を含む、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)と、前記エチレン系重合体(B)との合計含有量が、前記樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、2質量%以上100質量%以下である、請求項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)がバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマスエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体を含む、請求項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の前記不飽和カルボン酸がアクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項10】
JIS K 7210:1999に準拠し、190℃、2160g荷重の条件で測定される、メルトマスフローレート(MFR)が、0.1g/10分以上300g/10分以下である、請求項1~9のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項11】
下記<プレスシートの作製>および<積層体の作製>に従って得られる樹脂組成物のプレスシートと、銅板、チタン板または亜鉛メッキ板との積層体における、下記<接着性の評価>に従って測定される、銅板、チタン板または亜鉛メッキ板に対する接着性が、70N/15mm以上である、請求項1~10のいずれかに記載の樹脂組成物。
<プレスシートの作製>
前記樹脂組成物を、160℃、4分加熱し、その間ガス抜きを5回行った後、160℃、4分、9.8MPa(100kg/cm2)条件にてプレス成型し、次いで20℃、3分、14.7MPa(150kg/cm2)の条件でプレス成型し、厚み1.0mmのプレスシートを作製する。
<積層体の作製>
前記プレスシートを、厚み1.0mmの銅板、厚み1.0mmのチタン板、または厚み1.0mmの溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板にそれぞれ積層し、真空加熱貼合機を用いて、温度180℃、圧力0MPa(ゲージ圧力)、シール時間2分条件で貼り合わせた後、温度180℃、圧力0.5MPa(ゲージ圧力)、シール時間6分の条件で貼り合わせ、積層体を得た後、大気中に静置し、自然冷却によって徐冷する。
<接着性の評価>
前記積層体から長さ75mm、15mm幅で切り出したものを試験片とし、23℃、50%RHの環境下に1日保管したものについて、JIS K 7161-1:2014に準拠して、引張試験機を用いて、試験片の前記厚み1.0mmの銅板、厚み1.0mmのチタン板、または厚み1.0mmの溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板から試験片の前記プレスシートを、引張速度100mm/minで、180°剥離したときの接着強度(N/15mm)を求める。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られる、成形体。
【請求項13】
請求項1~11のいずれかに記載の樹脂組成物または請求項12に記載の成形体を含む電線被覆材。
【請求項14】
請求項1~11のいずれかに記載の樹脂組成物または請求項12に記載の成形体を含む建築材料。
【請求項15】
請求項1~11のいずれかに記載の樹脂組成物または請求項12に記載の成形体を含む金属複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、成形体、電線被覆材、建築材料および金属複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、金属・ガラス接着性、透明性、機械的強度、柔軟性、伸びおよび復元性などに優れていることから、自動車内外装材、壁紙・床材などの建築材料、雑貨等のフィルム、シート用途をはじめ、種々の用途に使用されている。このような分野に用いられるエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体を含む樹脂に関する文献としては、特許文献1~2のものが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、(1)基体層の少なくとも片面に、(I)エチレン成分を50~95重量%含有した、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-不飽和グリシジル単量体共重合体、エチレン-不飽和ジカルボン酸無水物-(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体、から選ばれた1又は2以上のエチレン共重合体10~95重量%および、(II)融点が110℃以上の結晶性ポリオレフィン5~90重量%を配合した樹脂組成物からなる蒸着用の層を有することを特徴とする金属蒸着用積層フィルムが記載されている。当該金属蒸着用積層フィルムは、ポリオレフィンフィルムの本来有する光沢等の特徴を損なうことなく、金属蒸着膜の密着力を大巾に改良したポリオレフィン系組成物よりなる金属蒸着用の層(以下蒸着層という。)を有する積層フィルムを提供できることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、紙質基材、樹脂層及び絵柄模様層を有する発泡壁紙であって、(1)樹脂層は、樹脂成分として、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-不飽和カルボン酸共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、(2)絵柄模様層は、ウレタン系樹脂エマルションを含有する水性インキにより形成され、且つ、前記樹脂層上に形成されている、ことを特徴とする発泡壁紙が記載されている。当該発泡壁紙は、絵柄模様層の密着性及び表面ラビング特性が良好な発泡壁紙を提供できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2-39931号公報
【特許文献2】特開2007-196590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、このような自動車内外装材、建築材料、フィルム、シート用途のエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体を含む樹脂としては、化石燃料由来の樹脂が一般的である。しかしながら、化石燃料である石油は、その枯渇が危ぶまれるとともに、製品の製造工程および製品となった後の廃棄過程等において多くの二酸化炭素を排出するため、地球温暖化への影響が懸念されている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の化石燃料から得られる樹脂のみを使用して製造する樹脂組成物と同等の金属接着性を有しつつ、環境配慮性が向上した樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)と、エチレン系重合体(B)(ただし、上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)に該当するものを除く)とを含む樹脂組成物において、各成分の少なくとも一部に、バイオマス由来の原料を使用して製造した成分を用いることによって、従来の化石燃料由来の原料のみを使用して製造した樹脂組成物と同等の金属接着性を有しながら、環境配慮性が向上した樹脂組成物が得られることを見出した。
【0009】
本発明は、以下の樹脂組成物、成形体、電線被覆材、建築材料および金属複合材料を提供する。
【0010】
[1]
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)と、
エチレン系重合体(B)(ただし、前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)に該当するものを除く)と、
を含む樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物全体のASTM D6866に準拠して測定されるバイオマス度が0質量%を超えて100質量%以下である樹脂組成物。
[2]
前記樹脂組成物の樹脂成分の全体を100質量%としたとき、
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の含有量が1質量%以上99質量%以下である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記樹脂組成物の樹脂成分の全体を100質量%としたとき、
前記エチレン系重合体(B)の含有量が1質量%以上99質量%以下である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の全体を100質量%としたとき、前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)中の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量が、1質量%以上49質量%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]
前記エチレン系重合体(B)が、低密度ポリエチレンを含む[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]
前記エチレン系重合体(B)がバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマスエチレン系重合体を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)と、前記エチレン系重合体(B)との合計含有量が、前記樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、2質量%以上100質量%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)がバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマスエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体を含む、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9]
前記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の前記不飽和カルボン酸がアクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10]
JIS K 7210:1999に準拠し、190℃、2160g荷重の条件で測定される、メルトマスフローレート(MFR)が、0.1g/10分以上300g/10分以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11]
下記<プレスシートの作製>および<積層体の作製>に従って得られる樹脂組成物のプレスシートと、銅板、チタン板または亜鉛メッキ板との積層体における、下記<接着性の評価>に従って測定される、銅板、チタン板または亜鉛メッキ板に対する接着性が、70N/15mm以上である、[1]~[10]のいずれかに記載の樹脂組成物。
<プレスシートの作製>
前記樹脂組成物を、160℃、4分加熱し、その間ガス抜きを5回行った後、160℃、4分、9.8MPa(100kg/cm2)条件にてプレス成型し、次いで20℃、3分、14.7MPa(150kg/cm2)の条件でプレス成型し、厚み1.0mmのプレスシートを作製する。
<積層体の作製>
前記プレスシートを、厚み1.0mmの銅板、厚み1.0mmのチタン板、または厚み1.0mmの溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板にそれぞれ積層し、真空加熱貼合機を用いて、温度180℃、圧力0MPa(ゲージ圧力)、シール時間2分条件で貼り合わせた後、温度180℃、圧力0.5MPa(ゲージ圧力)、シール時間6分の条件で貼り合わせ、積層体を得た後、大気中に静置し、自然冷却によって徐冷する。
<接着性の評価>
前記積層体から長さ75mm、15mm幅で切り出したものを試験片とし、23℃、50%RHの環境下に1日保管したものについて、JIS K 7161-1:2014に準拠して、引張試験機を用いて、試験片の前記厚み1.0mmの銅板、厚み1.0mmのチタン板、または厚み1.0mmの溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板から試験片の前記プレスシートを、引張速度100mm/minで、180°剥離したときの接着強度(N/15mm)を求める。
[12]
[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られる、成形体。
[13]
[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物または[12]に記載の成形体を含む電線被覆材。
[14]
[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物または[12]に記載の成形体を含む建築材料。
[15]
[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂組成物または[12]に記載の成形体を含む金属複合材料。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、化石燃料由来の樹脂のみを使用して製造された従来の樹脂組成物と同等の金属接着性を有しつつ、環境配慮性が向上した樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書では、数値範囲を示す「A~B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
また、本実施形態において、金属接着性とは、銅板、チタン板または亜鉛メッキ板に、本実施形態の樹脂組成物のプレスシートを貼り合わせて作製した積層体における、銅板、チタン板または亜鉛メッキ板と本実施形態の樹脂組成物のプレスシートとの層間接着強度のことを表す。
【0013】
1.樹脂組成物
本実施形態に係る樹脂組成物は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)と、エチレン系重合体(B)(ただし、上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)に該当するものを除く)と、を含み、樹脂組成物全体の、ASTM D6866に準拠して測定されるバイオマス度が0質量%を超えて100質量%以下である。
【0014】
本実施形態に係る樹脂組成物によれば、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)と、エチレン系重合体(B)とを含みつつ、各成分の少なくとも一部に、バイオマス由来の原料を使用して製造した成分を用いることで、化石燃料由来の原料のみを使用して製造された従来の樹脂組成物と同等の金属接着性を有しつつ、環境配慮性が向上した樹脂組成物を提供することができる。
【0015】
本実施形態に係る樹脂組成物において、樹脂組成物の樹脂成分の全体を100質量%としたとき、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の含有量は、金属接着性をより向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、耐熱性をより良好とする観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
【0016】
本実施形態に係る樹脂組成物において、樹脂組成物の樹脂成分の全体を100質量%としたとき、エチレン系重合体(B)の含有量は、金属接着性および耐熱性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、金属接着性をより向上させる観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
【0017】
本実施形態に係る樹脂組成物において、樹脂組成物の樹脂成分の全体を100質量%としたとき、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)と、エチレン系重合体(B)との合計含有量は、金属接着性をより向上させる観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)と、エチレン系重合体(B)との合計含有量の上限について制限はないが、例えば、100質量%以下である。
【0018】
<エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)>
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)は、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体である。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいが、押出ラミネート加工適性を考慮すると2元ランダム共重合体、3元ランダム共重合体、2元ランダム共重合体のグラフト共重合体あるいは3元ランダム共重合体のグラフト共重合体を使用するのが好ましく、より好ましくは2元ランダム共重合体または3元ランダム共重合体である。
【0019】
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)における不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2-エチルアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、およびマレイン酸モノエチル等からなる群から選択される少なくとも一種を用いることができる。
これらの中でも、上記不飽和カルボン酸は、得られる成形体の柔軟性をより向上させる観点から、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0020】
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)は、少なくともエチレンと不飽和カルボン酸とが共重合した共重合体であり、さらに第3の共重合成分が共重合した3元以上の多元共重合体であってもよい。
第3の共重合成分としては、例えば、不飽和カルボン酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、不飽和炭化水素(例えば、プロピレン、ブテン、1,3-ブタジエン、ペンテン、1,3-ペンタジエン、1-ヘキセン等)、ビニル硫酸やビニル硝酸等の酸化物、ハロゲン化合物(例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル等)、ビニル基含有1,2級アミン化合物、一酸化炭素、二酸化硫黄等が挙げられる。
これらの中でも、第3の共重合成分としては、柔軟性をより向上させる観点から、不飽和カルボン酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル部位の好ましい炭素数は1以上4以下)がより好ましい。
なお、これら他の共重合成分は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)は、好ましくはバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体を含む。
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)のバイオマス度は、環境配慮性をより向上させる観点から、0質量%を超えることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、またエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)のバイオマス度の上限に制限は無いが、好ましくは100質量%以下である。
バイオマス由来のエチレンの製造方法およびバイオマス度については後述する。
【0022】
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)中の、エチレンに由来する構成単位の含有量は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の全体を100質量%としたとき、耐熱性および機械的強度等をより向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、透明性をより向上させる観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは96質量%以下、更に好ましくは93質量%以下、更に好ましくは90質量%以下である。
【0023】
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)中の、不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の全体を100質量%としたとき、得られる成形体の柔軟性をより向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、加工適性および耐熱性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは49質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下より好ましくは20質量%以下である。
【0024】
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)中の、エチレンおよび不飽和カルボン酸以外のモノマーに由来する構成単位の含有量は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の全体を100質量%としたとき、耐熱性をより良好とする観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)中の、エチレンおよび不飽和カルボン酸以外のモノマーに由来する構成単位の含有量の下限に制限はないが、0質量%以上であってもよく、1質量%以上であってもよく、5質量%以上であってもよく、8質量%以上であってもよい。
【0025】
ここで、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)中のエチレンに由来する構成単位の含有量、不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量およびエチレンおよび不飽和カルボン以外のモノマーに由来する構成単位の含有量は、例えば、フーリエ変換赤外吸収分光法(FT-IR)により測定することができる。
【0026】
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は、各重合成分を高温、高圧下でラジカル重合させることによって得ることができる。
また、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体は市販されているものを用いてもよい。
【0027】
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の、JIS K 7112:1999に準拠して測定される密度は、機械的強度をより良好とする観点から、好ましくは900kg/m3以上であり、より好ましくは920kg/m3以上、更に好ましくは930kg/m3以上であり、また押出ラミネート加工適性および柔軟性をより良好とする観点から、好ましくは980kg/m3以下、より好ましくは960kg/m3以下、更に好ましくは950kg/m3以下である。
【0028】
エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点は、耐熱性をより良好とする観点から、好ましくは70℃以上であり、より好ましくは80℃以上であり、金属接着性をより向上させる観点から、好ましくは130℃以下であり、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
また、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)のJIS K 7210:1999、190℃、2160g荷重の条件で測定されるメルトマスフローレート(MFR)は、成形性および加工安定性をより向上させる観点から、好ましくは0.01g/10分以上、より好ましくは0.1g/10分以上、更に好ましくは1g/10分以上、更に好ましくは5g/10分以上、更に好ましくは10g/10分以上、更に好ましくは20g/10分以上であり、そして、耐熱性や機械的強度等をより向上させる観点から、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは80g/10分以下、更に好ましくは60g/10分以下、更に好ましくは50g/10分以下、更に好ましくは40g/10分以下である。
【0029】
<エチレン系重合体(B)>
エチレン系重合体(B)は、ポリエチレンまたはエチレンと極性モノマーとの共重合体である。ただし、エチレン系重合体(B)には、上記エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)に該当するものは含まれない。金属接着性をより向上させる観点から、エチレン系重合体(B)は好ましくはポリエチレンを含む。
【0030】
エチレン系重合体(B)としては、得られる成形体の機械的強度をより向上させる観点から、好ましくはポリエチレンを含み、より好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)からなる群から選択される少なくとも一種を含み、更に好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
また、エチレン系重合体(B)は、高圧法、中圧法または低圧法によって製造される。高圧法によって製造されることが好ましい。
これらエチレン系重合体(B)は、単一の重合体であっても、二種以上のエチレン系重合体の混合物であってもよい。
【0031】
エチレンと極性モノマーとの共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0032】
エチレン系重合体(B)は、好ましくはバイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるバイオマスエチレン系重合体を含む。
エチレン系重合体(B)のバイオマス度は、環境配慮性をより向上させる観点から、0質量%を超えることが好ましく、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更に好ましくは93質量%以上であり、またエチレン系重合体(B)のバイオマス度の上限に制限は無いが、好ましくは100質量%以下である。
バイオマス由来のエチレンの製造方法およびバイオマス度については後述する。
【0033】
エチレン系重合体(B)の、JIS K 7112:1999に準拠して測定される密度は、機械的強度をより向上させる観点から、好ましくは900kg/m3を超え、より好ましくは905kg/m3以上、更に好ましくは910kg/m3以上、更に好ましくは915kg/m3以上であり、また金属接着性および柔軟性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは940kg/m3以下、より好ましくは930kg/m3以下、更に好ましくは925kg/m3以下、更に好ましくは920kg/m3以下であり、すなわち、低密度ポリエチレンの範囲に入るものが好ましい。
【0034】
また、エチレン系重合体(B)のJIS K 7210:1999、190℃、2160g荷重の条件で測定されるメルトマスフローレート(MFR)は、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)と混合し、成型できる限り制限されないが、好ましくは0.01g/10分以上であり、より好ましくは0.1g/10分以上、更に好ましくは1g/10分以上、更に好ましくは3g/10分以上、更に好ましくは5g/10分以上であり、そして、好ましくは100g/10分以下であり、より好ましくは70g/10分以下、更に好ましくは50g/10分以下、更に好ましくは30g/10分以下、更に好ましくは10g/10分以下である。
【0035】
<バイオマス由来エチレン>
本実施形態に係るバイオマス由来エチレンの製造方法は制限されず、公知の方法を用いることができる。以下にバイオマス由来エチレンの製造方法の例を挙げる。
【0036】
「バイオマス」とは、主に動植物に由来する有機物である資源を指し、化石燃料を除いたものをいう。
バイオマス由来のエチレンの製造方法は、例えば、植物原料を微生物により発酵させてバイオマス由来のエタノール(バイオエタノール)を生産し、脱水して製造する方法と、植物油廃棄物や残渣油を原料に製造されるバイオマスナフサから抽出する方法がある。
前者の原料としては、非可食原料と可食原料とがある。非可食原料としては、例えば、パルプ、ケナフ、稲わら等のセルロース系作物、古紙、製紙残渣、木材、木炭、堆肥、天然ゴム、綿花、工場煙道ガス、廃ガス等が例示できる。可食原料としては、例えば、サトウキビ、おから、トウモロコシ、イモ類、小麦、米等の炭水化物系作物、そば、および大豆等が例示できる。前者の原料として、これらからなる群から選択される1種または2種以上を用いることができる。
後者の原料としては、各種廃棄物や未利用の資源、資源作物等を用いることができる。具体的には、菜種油、大豆油等の油脂、ユーカリ油等の精油、植物油粕等を用いることができる。
原料からプラスチック製品が廃棄されるまでのライフサイクルにおける二酸化炭素発生量を削減する観点から、バイオマスナフサから抽出されたエチレンを用いることが好ましい。
【0037】
バイオマスナフサからのエチレンの抽出は、化石燃料由来のナフサからの抽出と同様に、加熱、分解、蒸留、精製といった公知の方法を用いることができる。
【0038】
バイオエタノールの製造方法は制限されず、例えば、サトウキビやトウモロコシ等の可食原料であるバイオマス原料に、酵母に代表されるエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させて、糖を発酵させることで、エタノールを生産させた後、エタノールを精製して得ることができる。エタノールの精製は、蒸留、膜分離、抽出等の従来公知の方法を用いることができる。
また、非可食原料をバイオマス原料として使用する製造方法としては、例えば、古紙や製紙残渣等のごみ資源である非可食原料を燃焼させて発生する合成ガス(一酸化炭素や水素を主成分とするガス)、工場等から排出される煙道ガスや廃ガスを炭素源とし、微生物に発酵させることにより、エタノールを得ることができる。
【0039】
上記のように得られたエタノールを脱水反応することにより、バイオマス由来エチレンを得ることができる。脱水反応には、触媒の種類、加熱温度、圧力等の条件が求められるが、従来公知の方法を用いることができる。
【0040】
このようにして得られるバイオマスエチレンの製造工程において、エタノール発酵工程や脱水工程中に、高級アルコールや高級アルケン不純物が生成され得る。このため、エタノールの脱水の前、または脱水後に、こうした副生物を取り除くことができる。
【0041】
<バイオマス度>
本実施形態に係る樹脂組成物において、樹脂組成物全体の、ASTM D6866に準拠して測定されるバイオマス度は、環境配慮性を向上させる観点から、0質量%を超え、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、また樹脂組成物全体のバイオマス度の上限に制限は無いが、100質量%以下であり、90質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよい。
ASTM D6866においては、バイオマス由来の放射性炭素(14C)濃度を測定することにより、バイオマス度を算出する。化石燃料由来の炭素は放射性炭素(14C)が一定の値を示すため、バイオマス由来炭素との区別が可能である。
例えばポリエチレンにおいて、バイオマス度が0質量%を超えて100質量%未満である場合、バイオマス由来のエチレンと化石燃料由来のエチレンの双方を含むといえる。
【0042】
本実施形態において、バイオマス由来のエチレンを含むエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)およびバイオマス由来のエチレンを含むエチレン系重合体(B)の重合方法は制限されず、化石燃料由来エチレンを原料とした場合と同様の従来公知の方法を用いることができる。
【0043】
<その他の成分>
本実施形態に係る樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、シリカ、タルクなどの無機充填剤、酸化防止剤、耐候安定剤、波長変換材、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤および顔料等からなる群から選択される一種または二種以上が挙げられる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲でエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)およびエチレン系重合体(B)以外の樹脂を配合することもできる。
【0044】
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)、エチレン系重合体(B)および任意の添加剤を、同時にまたは連続的に混合することによって調製することができ、その混合順序に制限はない。調製方法としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、各種ニーダーなどを用いて溶融混合するのが好ましい。
【0045】
以下、本実施形態に係る樹脂組成物の物性について説明する。
【0046】
本実施形態に係る樹脂組成物において、JIS K 7210:1999に準拠し、190℃、2160g荷重の条件で測定される、メルトマスフローレート(MFR)は、成形性および加工適性をより向上させる観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは1.0g/10分以上、更に好ましくは3.0g/10分以上、更に好ましくは5.0g/10分以上、更に好ましくは10.0g/10分以上、更に好ましくは13.0g/10分以上であり、そして好ましくは300g/10分以下、より好ましくは200g/10分以下、更に好ましくは100g/10分以下、更に好ましくは50g/10分以下、更に好ましくは30g/10分以下である。
【0047】
本実施形態に係る樹脂組成物において、JIS K 7112:1999に準拠して測定される密度は、金属接着性および加工適性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは910kg/m3以上、より好ましくは915kg/m3以上、更に好ましくは920kg/m3以上、更に好ましくは925kg/m3以上であり、加工適性をより向上させる観点から、好ましくは950kg/m3以下、より好ましくは945kg/m3以下、更に好ましくは940kg/m3以下である。
【0048】
本実施形態に係る樹脂組成物において、融点は、耐熱性をより良好とする観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上、更に好ましくは80℃以上、更に好ましくは85℃以上であり、柔軟性および加工適性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは130℃以下であり、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下、更に好ましくは100℃以下である。融点は、例えば、示唆走査熱量計(DSC)等によって測定される。
【0049】
本実施形態に係る樹脂組成物において、凝固点は、金属接着性、加工適性および耐熱性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは68℃以上であり、そして好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。凝固点は、例えば、示唆走査熱量計(DSC)等によって測定される。
【0050】
本実施形態に係る樹脂組成物において、融解潜熱量は、金属接着性、加工適性および耐熱性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは60J/g以上、より好ましくは65J/g以上、更に好ましくは70J/g以上、更に好ましくは75J/g以上であり、そして好ましくは130J/g以下、より好ましくは120J/g以下、更に好ましくは110J/g以下である。融解潜熱量は、例えば、示唆走査熱量計(DSC)等によって測定される。
【0051】
本実施形態に係る樹脂組成物において、JIS K 7161-1:2014に準拠して測定される破断点応力は、靭性等の機械的強度をより向上させる観点から、好ましくは8MPa以上、より好ましくは10MPa以上、更に好ましくは13MPa以上である。
本実施形態に係る樹脂組成物において、JIS K 7161-1:2014に準拠して測定される破断点応力の上限に制限は無いが、例えば30MPa以下であってもよく、また、25MPa以下であってもよい。
【0052】
本実施形態に係る樹脂組成物において、JIS K 7161-2:2014に準拠して測定される破断点伸びは、柔軟性をより向上させる観点から、好ましくは450%以上、より好ましくは480%以上、更に好ましくは500%以上、更に好ましくは520%以上であり、機械的強度および耐熱性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは750%以下、より好ましくは730%以下、更に好ましくは700%以下、更に好ましくは680%以下である。
【0053】
本実施形態に係る樹脂組成物の破断点応力(JIS K 7161-1:2014準拠)および破断点伸び(JIS K 7161-2:2014準拠)は、引張試験機を用いて測定される。測定は、本実施形態の樹脂組成物の厚み3mmのプレスシートを上記JIS規格に準拠したダンベル型に切り出して試験片とし、チャック間距離:90mm、引張速度:50mm/min、23℃、相対湿度50%RHの条件で、引っ張ることにより測定できる。破断点伸びは、引張試験における、試験片の決められた標点間での破断直前の伸びを表している。また、破断点応力は、引張試験における破断の際に破断点の引張力を試験片の初期断面積で除した値である。
【0054】
本実施形態に係る樹脂組成物において、JIS K 7106:1995に準拠して測定される、23℃における曲げ剛性率は、耐熱性および機械的特性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは30MPa以上、より好ましくは35MPa以上、更に好ましくは40MPa以上、更に好ましくは45MPa以上であり、柔軟性、追従性、加工適性、取り扱い性の性能バランスをより向上させる観点から好ましくは150MPa以下、より好ましくは140MPa以下、更に好ましくは130MPa以下、更に好ましくは120MPa以下である。
【0055】
本実施形態に係る樹脂組成物において、JIS K 7215:1986に準拠して測定される、ショアA硬度は、成形性および耐熱性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは70以上、より好ましくは75以上、更に好ましくは80以上、更に好ましくは85以上であり、成形性および柔軟性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは120以下、より好ましくは110以下、更に好ましくは100以下である。
【0056】
本実施形態に係る樹脂組成物において、JIS K 7215:1986に準拠して測定される、ショアD硬度は、耐熱性をより良好とする観点から、好ましくは30以上、より好ましくは35以上、更に好ましくは40以上であり、柔軟性および加工適性をより向上させる観点から、好ましくは70以下、より好ましくは65以下、更に好ましくは60以下である。
【0057】
なお、ショアA硬度およびショアD硬度は、JIS K 7215:1986に準拠して、タイプDデュロメータを用いて測定される。
【0058】
本実施形態に係る樹脂組成物において、JIS K 7206:2016に準拠して測定されるビカット軟化点は、耐熱性、柔軟性、加工適性および取り扱い性の性能バランスをより向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
【0059】
ビカット軟化点は、下記のように測定される。
本実施形態に係る樹脂組成物を用いて、JIS K 7206:2016に準拠して、熱変形試験装置を用いて、樹脂組成物の厚み3mmのプレスシートから得られる試験片の上部中央に針状圧子治具を試験片に接触するように設置し、10Nの荷重をかけながら、伝熱媒体であるシリコンオイルを20℃から昇温速度50℃/hで温度上昇させ、針状圧子が試験片の表面から1mm侵入したときの伝熱媒体の温度を計測する。
【0060】
本実施形態に係る樹脂組成物の銅板に対する接着性は、好ましくは70N/15mm以上、より好ましくは75N/15mm以上、更に好ましくは80N/15mm以上、更に好ましくは85N/15mm以上、更に好ましくは90N/15mm以上である。
本実施形態に係る樹脂組成物の銅板に対する接着性の上限に制限は無いが、例えば130N/15mm以下であってもよく、120N/15mm以下であってもよい。
【0061】
本実施形態に係る樹脂組成物のチタン板に対する接着性は、好ましくは70N/15mm以上、より好ましくは75N/15mm以上、更に好ましくは80N/15mm以上、更に好ましくは85N/15mm以上、更に好ましくは90N/15mm以上である。
本実施形態に係る樹脂組成物のチタン板に対する接着性の上限に制限は無いが、例えば150N/15mm以下であってもよく、140N/15mm以下であってもよい。
【0062】
本実施形態に係る樹脂組成物の亜鉛メッキ板に対する接着性は、好ましくは70N/15mm以上、より好ましくは75N/15mm以上、更に好ましくは80N/15mm以上、更に好ましくは85N/15mm以上、更に好ましくは90N/15mm以上、更に好ましくは100N/15mm以上である。
本実施形態に係る樹脂組成物の亜鉛メッキ板に対する接着性の上限に制限は無いが、例えば180N/15mm以下であってもよく、170N/15mm以下であってもよい。
【0063】
本実施形態に係る樹脂組成物の、銅板、チタン板または亜鉛メッキ板に対する接着性は、下記の通り測定されるものである。
(プレスシートの作製)
本実施形態の樹脂組成物を、160℃、4分加熱し、その間ガス抜きを5回行った後、160℃、4分、9.8MPa(100kg/cm2)条件にてプレス成型し、次いで20℃、3分、14.7MPa(150kg/cm2)の条件でプレス成型し、厚み1.0mmのプレスシートを作製する。
(積層体の作製)
得られたプレスシートを、厚み1.0mmの銅板、厚み1.0mmのチタン板、または厚み1.0mmの溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板にそれぞれ積層し、真空加熱貼合機を用いて、温度180℃、圧力0MPa(ゲージ圧力)、シール時間2分条件で貼り合わせた後、温度180℃、圧力0.5MPa(ゲージ圧力)、シール時間6分の条件で貼り合わせ、積層体を得る。得られた積層体を大気中に静置し、自然冷却によって徐冷する。金属板は、それぞれ処理を行わずに製品をそのまま用いる。
(接着性の評価)
次いで、得られた積層体から長さ75mm、15mm幅で切り出したものを試験片とする。得られた試験片を23℃、50%RHの環境下に1日保管する。JIS K 7161-1:2014に準拠して、引張試験機を用いて、試験片の前記厚み1.0mmの銅板、厚み1.0mmのチタン板、または厚み1.0mmの溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板から試験片のプレスシートを、引張速度100mm/minで、180°剥離したときの接着強度(N/15mm)を求める。
【0064】
2.成形体
本実施形態の成形体は、本実施形態の樹脂組成物を成形して得られる。成形方法としては制限されず、押出成形、射出成形、圧縮成形、中空成形等の公知の成形方法を用いることができ、シート形状、フィルム形状、板形状、それ以外の立体形状等の各種形状に成形することにより得ることができる。
また、本実施形態の成形体は、本実施形態の樹脂組成物のみからなるものであってもよいし、本実施形態の樹脂組成物と他の成分とからなるものであってもよい。
また、本実施形態の成形体は、部材の一部であってもよいし全部であってもよい。
【0065】
また、本実施形態の成形体は、本発明の効果を損なわない範囲内において、その表面にフレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、無機または有機化合物によるハードコート処理、帯電防止処理、反射防止処理、電磁遮蔽処理等をおこなってもよい。これらの処理は、成形体の表面に蒸着、スパッタリング、ディッピング、熱転写等により行うことができる。
【0066】
本実施形態の成形体は特に制限されないが、例えば、光学材料、電気・電子機器の内装または外装部品、電子部品用トレイ、自動車用材料、各種機械部品、住宅・建築用材料、管、チューブ、玩具、日用雑貨等の幅広い分野で用いることができる。
【0067】
3.電線被覆材
本実施形態の電線被覆材は、本実施形態の樹脂組成物または本実施形態の成形体を含む。本実施形態の電線被覆材は、導体である電線の表面を保護するための材料である。
電線被覆材は、絶縁性、難燃性および放熱性の性能バランスをより向上させる観点から、フィラー、難燃剤等を含んでいてもよい。
また、本実施形態の電線被覆材は、従来公知の電線被覆材に含まれる成分を含んでいてもよい。
また、導体の外周に直接、電線被覆材が被覆されていてもよいし、導体と電線被覆材との間に、他の中間部材、例えば、シールド導体や他の絶縁体などが介在されていてもよい。
【0068】
導体の材質や導体径は特に制限されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。また、電線被覆材の厚さについても、特に制限はなく、導体径などを考慮して適宜定めることができる。
【0069】
電線被覆材の製造方法としては、バンバリミキサー、加圧ニーダー、ロールなどの従来公知の混練機を用いて溶融混練した本実施形態に係る樹脂組成物を、従来公知の押出成形機などを用いて導体の外周に押出被覆するなどして製造することができる。
【0070】
4.建築材料
本実施形態の建築材料は、本実施形態の樹脂組成物または本実施形態の成形体を含む。
本実施形態の建築材料は、建築材料としては制限されず、例えば、本実施形態の樹脂組成物または本実施形態の成形体によりフィルム、チューブ・ホース、テープ、シート等を成形し、それらを、例えば、床材、壁紙、手摺、窓、間仕切り、ドア等に用いることができる。
【0071】
5.金属複合材料
本実施形態の金属複合材料は、本実施形態の樹脂組成物または本実施形態の成形体を含む。
本実施形態の金属複合材料は、金属材料と、本実施形態の樹脂組成物を含む樹脂材料と、金属結合基を有する炭素材料とを備えるものである。炭素材料は、金属材料と樹脂材料との界面に存在して接合材料として機能するものである。
本実施形態の金属複合材料の製造方法は特に制限されないが、金属材料の表面に金属結合基を有する炭素材料を固定化し、次いで炭素材料が固定化された金属材料表面に溶融状態の樹脂を接触させて金属材料と樹脂材料とを接合させることにより製造できる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例0073】
以下、本実施形態を、実施例等を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら制限されるものではない。
【0074】
[材料]
各成分は、以下のものを用いた。メルトフローレート(MFR)は、JIS K 7210:1999に準拠して、190℃、2160g荷重の条件で測定した。密度は、JIS K 7112:1999に準拠して測定した。バイオマス度は、ASTM D6866に準拠して測定した。融点は、示唆走査熱量計(DSC)によって測定した。
【0075】
<エチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)>
・エチレン・メタクリル酸共重合体1(エチレンに由来する構成単位の含有量:85質量%、メタクリル酸に由来する構成単位の含有量:15質量%、MFR(190℃、2160g荷重):25g/10分、密度:940kg/m3、融点:93℃、バイオマス度:0質量%)
・エチレン・メタクリル酸共重合体2(エチレンに由来する構成単位の含有量:80質量%、メタクリル酸に由来する構成単位の含有量:10質量%、アクリル酸イソブチルに由来する構成単位の含有量:10質量%、MFR(190℃、2160g荷重):36g/10分、密度:940kg/m3、融点:86℃、バイオマス度:0質量%)
【0076】
<エチレン系重合体(B)>
・低密度ポリエチレン1:低密度ポリエチレン(ブラスケム社製、SBC818、MFR(190℃、2160g荷重):8.3g/10分、密度:918kg/m3、バイオマス度:95%)
・低密度ポリエチレン2:低密度ポリエチレン(三井・ダウポリケミカル社製、MFR(190℃、2160g荷重):7.2g/10分、密度:918kg/m3、バイオマス度:0%)
【0077】
[実施例1~6および比較例1~6]
<樹脂組成物(P)の作製>
表1に示す配合割合で各材料を予め混合し、スクリュー径30mmφの二軸押出機に投入し、下記の押出条件ないし溶融混練条件で溶融混練し、造粒して樹脂組成物(P)のペレットを作製した。
【0078】
上記二軸押出機における押出条件ないし溶融混練条件は、次の通りである。
・スクリュー有効長L/D:35
・押出機設定温度(℃):C1(110)、C2(160)、C3(180)、C4(180)、C5(180)、H(180)、D(180)
・スクリュー回転数:200rpm
・スクリーンメッシュ:60/120/60
・押出量:15kg/h
【0079】
[樹脂組成物(P)のバイオマス度]
各例で得られた樹脂組成物(P)のバイオマス度(質量%)について、原料として使用した低密度ポリエチレン1のバイオマス度ならびに樹脂組成物(P)の全体を100質量%とした場合の低密度ポリエチレン1の含有量から計算により求めた。
【0080】
[樹脂組成物(P)の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量]
各例で得られた樹脂組成物(P)の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量(質量%)について、原料として使用したエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の不飽和カルボン酸に由来する構成単位の含有量ならびに樹脂組成物(P)の全体を100質量%とした場合のエチレン・不飽和カルボン酸系共重合体(A)の含有量から計算により求めた。
【0081】
[樹脂組成物(P)のMFR]
各例で得られた樹脂組成物(P)のMFR(g/10分)について、JIS K 7210:1999に準拠して、190℃、2160g荷重条件にて測定した。
【0082】
[樹脂組成物(P)の密度]
各例で得られた樹脂組成物(P)の密度(kg/cm3)について、JIS K 7112:1999に準拠して測定した。
【0083】
[樹脂組成物(P)の融点、凝固点および融解潜熱量]
各例で得られた樹脂組成物(P)の融点(℃)、凝固点(℃)および融解潜熱量(J/g)について、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。
【0084】
<プレスシート作製>
各例で得られた樹脂組成物(P)を、160℃、4分加熱し、その間ガス抜きを5回行った後、160℃、4分、9.8MPa(100kg/cm2)条件にてプレス成型し、次いで20℃、3分、14.7MPa(150kg/cm2)の条件でプレス成型し、厚み3mm及び1.0mmのプレスシートを作製した。
【0085】
得られたプレスシートについて、破断点応力、破断点伸び、曲げ剛性率、ショアA硬度、ショアD硬度、ビカット軟化点および金属接着性を下記の方法に基づいて評価した。
【0086】
[破断点応力および破断点伸び]
各例で得られた厚み3mmのプレスシートについて、破断点応力(JIS K 7161-1:2014準拠)および破断点伸び(JIS K 7161-2:2014準拠)を、引張試験機を用いて測定した。プレスシートをJIS規格に準拠したダンベル試験片に切り出し、チャック間距離:90mm、引張速度:50mm/min、23℃、相対湿度50%RHの条件で、引っ張ることにより測定した。破断点伸びは、引張試験における、試験片の決められた標点間での破断直前の伸びを表している。また、破断点応力は、引張試験における破断の際に破断点の引張力を試験片の初期断面積で除した値である。
【0087】
[曲げ剛性率]
各例で得られた厚み3mmのプレスシートについて、JIS K 7106:1995に準拠して、曲げ剛性率(MPa)を測定した。プレスシートを長さ100mm、幅20mm、厚さ3mmの大きさに切り出して試験片とし、東洋精機製作所製自動読取り型「オルゼン式スティフネステスター」を用いて、23℃条件にて測定した。
【0088】
[ショアA硬度およびショアD硬度]
各例で得られた厚み3mmのプレスシートについて、JIS K 7215:1986に準拠して、ショアA硬度およびショアD硬度を測定した。プレスシートを長さ100mm、幅20mm、厚さ3mmの大きさに切り出して試験片とし、上記試験片を2枚重ね、タイプDデュロメータを用い、23℃条件にて測定した。
【0089】
[ビカット軟化点]
各例で得られた厚み3mmのプレスシートのビカット軟化点(℃)について、JIS K 7206:2016に準拠して測定した。熱変形試験装置を用いて、プレスシート上部中央に針状圧子治具をプレスシートに接触するように設置し、10Nの荷重をかけながら、伝熱媒体であるシリコンオイルを20℃から昇温速度50℃/hで温度上昇させ、針状圧子が試験片の表面から1mm侵入したときの伝熱媒体の温度を計測した。
【0090】
<金属板への接着性評価>
各例で得られた厚み1.0mmのプレスシートを、銅板(スタンダードテストピース社製 C1020P(1/2H)、厚み:1.0mm)、チタン板(スタンダードテストピース社製 TP340、厚み:1.0mm)または溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板(日新製鋼社製、ZAM(登録商標)MSM-CC-ZC90、厚み:1.0mm)に積層し、真空加熱貼合機(NPC社製二重真空槽貼合機、LM-50×50S)を用いて、温度180℃、圧力0MPa(ゲージ圧力)、シール時間2分、そして温度180℃、圧力0.5MPa(ゲージ圧力)、シール時間6分の条件で、貼り合わせて積層体を作製した。得られた積層体を大気中に静置し、自然冷却によって徐冷した。金属板は、それぞれ処理を行わずに製品をそのまま用いた。
【0091】
次いで、得られた積層体から長さ75mm、15mm幅で切り出したものを試験片とした。得られた試験片を23℃、50%RHの環境下に1日保管した。JIS K 7161-1:2014に準拠して、引張試験機(株式会社島津製作所社製、EZ-SX,100N)を用いて、試験片の上記厚み1.0mmの銅板、厚み1.0mmのチタン板、または厚み1.0mmの溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板から試験片のプレスシートを、引張速度100mm/minで180°剥離したときの接着強度(N/15mm)を求めた。
【0092】
銅板、チタン板または亜鉛めっき板に対する接着性を、それぞれ以下の基準で評価した。得られた結果を表1に示す。
(基準)
A(良好):接着強度が70N/15mm以上
B(不良):接着強度が70N/15mm未満
【0093】
【0094】
表1から明らかなように、実施例1の樹脂組成物(P)は、バイオマス由来の原料が含まれているにも関わらず、銅板接着性、チタン板接着性および亜鉛メッキ板接着性が、いずれも化石燃料由来の原料のみを使用した樹脂組成物(P)(比較例1)と同等の性能を有していた。
また、実施例1の樹脂組成物(P)は、MFR、密度、融点、凝固点、融解潜熱量、破断点応力、破断点伸び、曲げ剛性率、ショアA硬度、ショアD硬度およびビカット軟化点が、いずれも化石燃料由来の原料のみを使用した樹脂組成物(P)(比較例1)と同等であった。
実施例2と比較例2との比較、実施例3と比較例3との比較、実施例4と比較例4との比較、実施例5と比較例5との比較、実施例6と比較例6との比較においても、同様であった。