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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143114
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20241003BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L21/60 321E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055620
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石山 祐介
(57)【要約】
【課題】絶縁層の電気的絶縁性を確保しつつ、電極を回路パターンに超音波接合する際に、回路パターンに対する電極の位置ずれを抑制することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、絶縁基板10と、電極20とを備える。絶縁基板10は、第1主面11aを含む絶縁層11と、回路パターン12とを含む。回路パターン12は、第1主面11a上に配置されており、かつ、部分14を含む。電極20は、部分14に接合されている部分21を含む。部分14と部分21との接合は、超音波接合である。部分14及び部分21の一方は、部分14及び部分21の他方に嵌合している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を含む絶縁層と、前記第1主面上に配置されており、かつ、第1部分を含む回路パターンとを含む絶縁基板と、
前記第1部分に接合されている第2部分を含む電極とを備え、
前記第1部分と前記第2部分との接合は、超音波接合であり、
前記第1部分及び前記第2部分の一方は、前記第1部分及び前記第2部分の他方に嵌合している、半導体装置。
【請求項2】
前記第1部分に凹部が設けられており、
前記第2部分は前記凹部に嵌合している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1主面の平面視において、前記凹部の段差は、前記超音波接合のために印加される超音波の振動方向に垂直な方向に延在している、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記凹部の上段面に固定されている金属ブロックをさらに備え、
前記第1主面の平面視において、前記金属ブロックは、前記凹部の段差に沿って配置されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記凹部の上段面に固定されているワイヤをさらに備え、
前記第1主面の平面視において、前記ワイヤは、前記凹部の段差に沿って配置されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1部分に突起が設けられており、
前記第2部分に凹部が設けられており、
前記突起は前記凹部に嵌合している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記突起は前記第1部分に一体に形成されている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1部分は、前記絶縁層上に配置されている導電パターンと、前記導電パターンに固定されている金属ブロックとを含み、
前記金属ブロックは前記突起である、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1主面の平面視において、前記凹部の段差は、前記超音波接合のために印加される超音波の振動方向に垂直な方向に延在している、請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記絶縁層は、前記第1主面とは反対側の第2主面を含み、
前記絶縁基板は、前記第2主面上に配置されている放熱板を含む、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
絶縁基板と電極とを準備することを備え、前記絶縁基板は、絶縁層と、前記絶縁層上に配置されており、かつ、第1部分を含む回路パターンとを含み、前記電極は、第2部分を含み、
前記第1部分及び前記第2部分の一方を、前記第1部分及び前記第2部分の他方に嵌合させることと、
前記第1部分と前記第2部分とを超音波接合することとを備える、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022-37739号公報(特許文献1)は、積層基板と、接続端子とを備える半導体装置を開示している。積層基板は、絶縁板と、絶縁板の裏面に積層された放熱板とを含む。絶縁板に、接続端子を位置決めする凹部が設けられている。接続端子を絶縁板に超音波接合する際に、接続端子は凹部によって位置決めされて、絶縁板に対する接続端子の位置ずれが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-37739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された半導体装置では、凹部において絶縁板の厚さが減少するため、絶縁板の絶縁性能が低下する。本開示は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、絶縁層の電気的絶縁性を確保しつつ、電極を回路パターンに超音波接合する際に、回路パターンに対する電極の位置ずれを抑制することができる半導体装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の半導体装置は、半導体装置は、絶縁基板と、電極とを備える。絶縁基板は、第1主面を含む絶縁層と、回路パターンとを含む。回路パターンは、第1主面上に配置されており、かつ、第1部分を含む。電極は、第1部分に接合されている第2部分を含む。第1部分と第2部分との接合は、超音波接合である。第1部分及び第2部分の一方は、第1部分及び第2部分の他方に嵌合している。
【0006】
本開示の半導体装置の製造方法は、絶縁基板と電極とを準備することを備える。絶縁基板は、絶縁層と、回路パターンとを含む。回路パターンは、絶縁層上に配置されており、かつ、第1部分を含む。電極は、第2部分を含む。本実施の形態の半導体装置の製造方法は、第1部分及び第2部分の一方を、第1部分及び第2部分の他方に嵌合させることと、第1部分と第2部分とを超音波接合することとを備える。
【発明の効果】
【0007】
そのため、回路パターンの第1部分と電極の第2部分との超音波接合の際に、回路パターンに対する電極の移動が規制されて、回路パターンに対する電極の位置ずれが抑制される。また、回路パターンに対する電極の位置ずれを抑制するために絶縁層の一部の厚さを減少させないため、絶縁層の電気的絶縁性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の概略部分拡大平面図である。
図2】実施の形態1に係る半導体装置の、図1に示されるII方向からの概略部分拡大正面図である。
図3】実施の形態1に係る半導体装置の、図1に示されるIII方向からの概略部分拡大側面図である。
図4】実施の形態1に係る半導体装置の、図1に示される断面線IV-IVにおける概略部分拡大断面図である。
図5】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法のフローチャートを示す図である。
図6】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の超音波接合工程を示す概略部分拡大断面図である。
図7】実施の形態2に係る半導体装置の概略部分拡大平面図である。
図8】実施の形態2に係る半導体装置の、図7に示される断面線VIII-VIIIにおける概略部分拡大断面図である。
図9】実施の形態2の変形例に係る半導体装置の概略部分拡大断面図である。
図10】実施の形態3に係る半導体装置の概略部分拡大平面図である。
図11】実施の形態3に係る半導体装置の、図10に示される断面線XI-XIにおける概略部分拡大断面図である。
図12】実施の形態3の変形例に係る半導体装置の概略部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0010】
実施の形態1.
【0011】
図1から図4を参照して、実施の形態1の半導体装置1を説明する。半導体装置1は、絶縁基板10と、電極20と、絶縁基板10上に載置されている半導体素子(図示せず)とを備える。半導体素子は、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)または絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)のようなパワー半導体素子である。半導体装置1は、例えば、パワー半導体装置である。
【0012】
絶縁基板10は、絶縁層11と、回路パターン12と、放熱板13とを含む。
【0013】
絶縁層11は、第1主面11aと、第1主面11aとは反対側の第2主面11bとを含む。第1主面11a及び第2主面11bは、各々、x方向とx方向に垂直なy方向とに延在している。第1主面11aの法線方向及び第2主面11bの法線方向は、各々、x方向及びy方向に垂直なz方向である。絶縁層11は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)もしくは窒化ケイ素(Si)のようなセラミック、または、エポキシ樹脂のような絶縁樹脂で形成されている。樹脂製の絶縁層11に、シリカ、アルミナもしくは窒化ホウ素(BN)のようなフィラーが分散されてもよい。
【0014】
回路パターン12は、絶縁層11の第1主面11a上に配置されている。回路パターン12は、例えば、絶縁層11にロウ付けされている。回路パターン12は、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)のような金属で形成されている。回路パターン12は、部分14と、部分19とを含む。部分19は、部分14から離間されており、かつ、部分14から電気的に絶縁されている。部分14,19は、各々、導電パターンである。
【0015】
放熱板13は、絶縁層11の第2主面11b上に配置されている。放熱板13は、例えば、CuまたはAlのような金属で形成されている。放熱板13は、半導体装置1において発生した熱を半導体装置1の外部へ放散させる。
【0016】
電極20は、Cuのような金属で形成されている。電極20は、部分21を含む。部分21は、例えば、電極20の端部である。電極20の部分21は、回路パターン12の部分14に超音波接合されている。
【0017】
回路パターン12の部分14及び電極20の部分21の一方は、回路パターン12の部分14及び電極20の部分21の他方に、嵌合している。本実施の形態では、回路パターン12の部分14に、凹部15が設けられている。凹部15は、例えば、薬液によるエッチング等によって、形成される。電極20の部分21は、凹部15に嵌合している。
【0018】
凹部15は、段差16と、下段面17と、上段面18とを含む。段差16は、下段面17と上段面18とに接続されている。図1及び図4に示されるように、絶縁層11の第1主面11aの平面視において、一対の段差16は、部分21の両側面に対向している。電極20の部分21は、凹部15の下段面17に超音波接合されている。図6に示されるように、絶縁層11の第1主面11aの平面視において、凹部15の段差16は、回路パターン12の部分14と電極の部分21との超音波接合のために印加される超音波の振動方向(y方向)に垂直な方向(例えば、z方向)に延在している。本明細書において、超音波の振動方向に垂直な方向は、超音波の振動方向に対して75°以上105°以下の角度をなす方向を意味する。
【0019】
図5及び図6を参照して、本実施の形態の半導体装置1の製造方法を説明する。
【0020】
本実施の形態の半導体装置1の製造方法は、絶縁基板10と電極20とを準備することを備える(ステップS1)。絶縁基板10は、絶縁層11と、回路パターン12とを含む。回路パターン12は、部分14,19を含む。部分14に、凹部15が設けられている。電極20は、部分21を含む。
【0021】
本実施の形態の半導体装置1の製造方法は、回路パターン12の部分14及び電極20の部分21の一方を、回路パターン12の部分14及び電極20の部分21の他方に嵌合させること(ステップS2)を備える。本実施の形態では、電極20の部分21を回路パターン12の部分14に設けられている凹部15に嵌合させる。
【0022】
本実施の形態の半導体装置1の製造方法は、回路パターン12の部分14と電極20の部分21とを超音波接合すること(ステップS3)とを備える。電極20の部分21は、回路パターン12の部分14に超音波接合される。具体的には、電極20の部分21は、凹部15の下段面17に超音波接合される。電極20の部分21が回路パターン12の部分14に設けられた凹部15に嵌合している。一対の段差16は、部分21の両側面に対向しており、電極20の移動を規制する。そのため、超音波接合工程(ステップS3)の間、回路パターン12に対する電極20の移動が規制されて、回路パターン12に対する電極20の位置ずれが抑制される。また、回路パターン12に対する電極20の位置ずれを抑制するために絶縁層11の一部の厚さを減少させないため、絶縁層11の電気的絶縁性が確保される。
【0023】
本実施の形態の半導体装置1及びその製造方法の効果を説明する。
【0024】
本実施の形態の半導体装置1は、絶縁基板10と、電極20とを備える。絶縁基板10は、絶縁層11と、回路パターン12とを含む。絶縁層11は、第1主面11aを含む。回路パターン12は、絶縁層11の第1主面11a上に配置されており、かつ、第1部分(部分14)を含む。電極20は、回路パターン12の第1部分に接合されている第2部分(部分21)を含む。回路パターン12の第1部分と電極20の第2部分との接合は、超音波接合である。回路パターン12の第1部分及び電極20の第2部分の一方は、回路パターン12の第1部分及び電極20の第2部分の他方に嵌合している。
【0025】
そのため、回路パターン12の第1部分(部分14)と電極20の第2部分(部分21)との超音波接合の際に、回路パターン12に対する電極20の移動が規制されて、回路パターン12に対する電極20の位置ずれが抑制される。また、回路パターン12に対する電極20の位置ずれを抑制するために絶縁層11の一部の厚さを減少させないため、絶縁層11の電気的絶縁性が確保される。
【0026】
本実施の形態の半導体装置1では、第1部分(部分14)に凹部15が設けられている。第2部分(部分21)は、凹部15に嵌合している。
【0027】
そのため、回路パターン12に対する電極20の位置ずれが抑制されるとともに、絶縁層11の電気的絶縁性が確保される。
【0028】
本実施の形態の半導体装置1では、絶縁層11の第1主面11aの平面視において、凹部15の段差16は、回路パターン12の第1部分(部分14)と電極の第2部分(部分21)との超音波接合のために印加される超音波の振動方向に垂直な方向に延在している。
【0029】
回路パターン12に対する電極20の位置ずれは、回路パターン12の第1部分(部分14)と電極20の第2部分(部分21)との超音波接合のために印加される超音波の振動方向に生じやすい。しかし、凹部15の段差16は、超音波の振動方向に垂直な方向に延在している。そのため、段差16は、電極20の移動を規制する。回路パターン12に対する電極20の位置ずれは、凹部15の段差16によってより確実に抑制される。
【0030】
本実施の形態の半導体装置1では、絶縁層11は、第1主面11aとは反対側の第2主面11bを含む。絶縁基板10は、絶縁層11の第2主面11b上に配置されている放熱板13を含む。
【0031】
そのため、半導体装置1で発生した熱が、放熱板13を通して、半導体装置1の外部に効率的に放散される。
【0032】
本実施の形態の半導体装置1の製造方法は、絶縁基板10と電極20とを準備することを備える(ステップS1)。絶縁基板10は、絶縁層11と、回路パターン12とを含む。回路パターン12は、絶縁層11上に配置されており、かつ、第1部分(部分14)を含む。電極20は、第2部分(部分21)を含む。本実施の形態の半導体装置1の製造方法は、回路パターン12の第1部分及び電極20の第2部分の一方を、回路パターン12の第1部分及び電極20の第2部分の他方に嵌合させることと(ステップS2)、回路パターン12の第1部分と電極20の第2部分とを超音波接合すること(ステップS3)とを備える。
【0033】
そのため、回路パターン12の第1部分(部分14)と電極20の第2部分(部分21)とを超音波接合する工程(ステップS3)において、回路パターン12に対する電極20の移動が規制されて、回路パターン12に対する電極20の位置ずれが抑制される。また、回路パターン12に対する電極20の位置ずれを抑制するために絶縁層11の一部の厚さを減少させないため、絶縁層11の電気的絶縁性が確保される。
【0034】
実施の形態2.
【0035】
図7及び図8を参照して、実施の形態2に係る半導体装置1を説明する。本実施の形態の半導体装置1は、実施の形態1の半導体装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0036】
本実施の形態の半導体装置1は、金属ブロック30を備える。金属ブロック30は、例えば、CuまたはAlのような金属で形成されている。金属ブロック30は、はんだまたは銀ペーストのような接合部材31を用いて、凹部15の上段面18に固定されている。絶縁層11の第1主面11aの平面視において、金属ブロック30は、凹部15の段差16に沿って配置されている。
【0037】
図9を参照して、本実施の形態の変形例の半導体装置1は、ワイヤ33をさらに備える。ワイヤ33は、例えば、CuまたはAlのような金属で形成されている。ワイヤ33は、凹部15の上段面18に固定されている。例えば、ワイヤ33は、凹部15の上段面18に超音波接合されている。絶縁層11の第1主面11aの平面視において、ワイヤ33は、凹部15の段差16に沿って配置されている。
【0038】
本実施の形態の半導体装置1は、実施の形態1の半導体装置1の効果に加えて、以下の効果を説明する。
【0039】
本実施の形態の半導体装置1は、凹部15の上段面18に固定されている金属ブロック30をさらに備える。絶縁層11の第1主面11aの平面視において、金属ブロック30は、凹部15の段差16に沿って配置されている。
【0040】
回路パターン12の第1部分(部分14)と電極20の第2部分(部分21)との超音波接合の際に、凹部15に加えて金属ブロック30も、回路パターン12に対する電極20の移動を規制する。凹部15の段差16が小さくても、回路パターン12の第1部分と電極20の第2部分との超音波接合の際に、回路パターン12に対する電極20の位置ずれが抑制される。
【0041】
本実施の形態の半導体装置1は、凹部15の上段面18に固定されているワイヤ33をさらに備える。絶縁層11の第1主面11aの平面視において、ワイヤ33は、凹部15の段差16に沿って配置されている。
【0042】
回路パターン12の第1部分(部分14)と電極20の第2部分(部分21)との超音波接合の際に、凹部15に加えてワイヤ33も、回路パターン12に対する電極20の移動を規制する。凹部15の段差16が小さくても、回路パターン12の第1部分と電極20の第2部分との超音波接合の際に、回路パターン12に対する電極20の位置ずれが抑制される。
【0043】
実施の形態3.
【0044】
図10及び図11を参照して、実施の形態3に係る半導体装置1を説明する。本実施の形態の半導体装置1は、実施の形態1の半導体装置1と同様の構成を備えるが、主に以下の点で異なる。
【0045】
回路パターン12の部分14に突起35が設けられている。突起35は、回路パターン12の部分14に一体に形成されている。突起35は、例えば、薬液によるエッチング等によって、形成される。電極20の部分21に、凹部22が設けられている。凹部22は、例えば、金型によるプレス等によって、形成される。突起35は、凹部22に嵌合している。
【0046】
凹部22は、段差23と、下段面24と、上段面25とを含む。段差23は、下段面24と上段面25とに接続されている。絶縁層11の第1主面11aの平面視において、一対の段差23は、突起35の両側面に対向している。突起35は、凹部22の下段面24に超音波接合されている。絶縁層11の第1主面11aの平面視において、凹部22の段差23は、回路パターン12の部分14と電極の部分21との超音波接合のために印加される超音波の振動方向(y方向)に垂直な方向(例えば、x方向)に延在している。
【0047】
本実施の形態の半導体装置1の製造方法は、図5及び図6に示される実施の形態1の半導体装置1の製造方法と同様であるが、以下の点で実施の形態1の半導体装置1の製造方法と異なっている。
【0048】
本実施の形態の半導体装置1の製造方法では、ステップS1の工程において、絶縁基板10と電極20とを準備する。絶縁基板10は、絶縁層11と、回路パターン12とを含む。回路パターン12は、部分14,19を含む。回路パターン12の部分14に突起35が設けられている。電極20は、部分21を含む。電極20の部分21に、凹部22が設けられている。
【0049】
本実施の形態の半導体装置1の製造方法では、ステップS2の工程において、回路パターン12の部分14に設けられている突起35を、電極20の部分21に設けられている凹部22に嵌合させる。
【0050】
本実施の形態の半導体装置1の製造方法では、ステップS3の工程において、回路パターン12の部分14に設けられている突起35は、電極20の部分21に設けられている凹部22に超音波接合される。具体的には、突起35は、凹部22の下段面24に超音波接合される。突起35は凹部22に嵌合している。一対の段差23は、突起35の両側面に対向しており、電極20の移動を規制する。そのため、超音波接合工程(ステップS3)の間、回路パターン12に対する電極20の移動が規制されて、回路パターン12に対する電極20の位置ずれが抑制される。また、回路パターン12に対する電極20の位置ずれを抑制するために、絶縁層11の一部の厚さを減少させないため、絶縁層11の電気的絶縁性が確保される。
【0051】
図12を参照して、本実施の形態の変形例の半導体装置1では、回路パターン12の部分14は、絶縁層11上に配置されている導電パターン14aと、金属ブロック30とを含む。導電パターン14aは、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)のような金属で形成されている。金属ブロック30は、はんだまたは銀ペーストのような接合部材31を用いて、導電パターン14aに固定されている。金属ブロック30は、例えば、CuまたはAlのような金属で形成されている。金属ブロック30は、突起35である。
【0052】
本実施の形態の半導体装置1は、実施の形態1の半導体装置1の効果に加えて、以下の効果を説明する。
【0053】
本実施の形態の半導体装置1では、回路パターン12の第1部分(部分14)に突起35が設けられている。電極の第2部分(部分21)に、凹部22が設けられている。突起35は、凹部22に嵌合している。
【0054】
そのため、回路パターン12に対する電極20の位置ずれが抑制されるとともに、絶縁層11の電気的絶縁性が確保される。
【0055】
本実施の形態の半導体装置1では、突起35は、回路パターン12の第1部分(部分14)に一体に形成されている。
【0056】
そのため、回路パターン12に対する電極20の位置ずれが抑制されるとともに、絶縁層11の電気的絶縁性が確保される。
【0057】
本実施の形態の半導体装置1では、回路パターン12の第1部分(部分14)は、絶縁層11上に配置されている導電パターン14aと、導電パターン14aに固定されている金属ブロック30とを含む。金属ブロック30は、突起35である。
【0058】
そのため、回路パターン12に対する電極20の位置ずれが抑制されるとともに、絶縁層11の電気的絶縁性が確保される。
【0059】
本実施の形態の半導体装置1では、絶縁層11の第1主面11aの平面視において、凹部22の段差23は、回路パターン12の第1部分(部分14)と電極の第2部分(部分21)との超音波接合のために印加される超音波の振動方向に垂直な方向に延在している。
【0060】
回路パターン12に対する電極20の位置ずれは、回路パターン12の第1部分(部分14)と電極20の第2部分(部分21)との超音波接合のために印加される超音波の振動方向に生じやすい。しかし、凹部22の段差23は、超音波の振動方向に垂直な方向に延在している。そのため、凹部22の段差23は、電極20の移動を規制する。回路パターン12に対する電極20の位置ずれは、凹部22の段差23によってより確実に抑制される。
【0061】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
第1主面を含む絶縁層と、前記第1主面上に配置されており、かつ、第1部分を含む回路パターンとを含む絶縁基板と、
前記第1部分に接合されている第2部分を含む電極とを備え、
前記第1部分と前記第2部分との接合は、超音波接合であり、
前記第1部分及び前記第2部分の一方は、前記第1部分及び前記第2部分の他方に嵌合している、半導体装置。
(付記2)
前記第1部分に凹部が設けられており、
前記第2部分は前記凹部に嵌合している、付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記第1主面の平面視において、前記凹部の段差は、前記超音波接合のために印加される超音波の振動方向に垂直な方向に延在している、付記2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記凹部の上段面に固定されている金属ブロックをさらに備え、
前記第1主面の平面視において、前記金属ブロックは、前記凹部の段差に沿って配置されている、付記2に記載の半導体装置。
(付記5)
前記凹部の上段面に固定されているワイヤをさらに備え、
前記第1主面の平面視において、前記ワイヤは、前記凹部の段差に沿って配置されている、付記2に記載の半導体装置。
(付記6)
前記第1部分に突起が設けられており、
前記第2部分に凹部が設けられており、
前記突起は前記凹部に嵌合している、付記1に記載の半導体装置。
(付記7)
前記突起は前記第1部分に一体に形成されている、付記6に記載の半導体装置。
(付記8)
前記第1部分は、前記絶縁層上に配置されている導電パターンと、前記導電パターンに固定されている金属ブロックとを含み、
前記金属ブロックは前記突起である、付記6に記載の半導体装置。
(付記9)
前記第1主面の平面視において、前記凹部の段差は、前記超音波接合のために印加される超音波の振動方向に垂直な方向に延在している、付記6から付記8のいずれかに記載の半導体装置。
(付記10)
前記絶縁層は、前記第1主面とは反対側の第2主面を含み、
前記絶縁基板は、前記第2主面上に配置されている放熱板を含む、付記1から付記9のいずれかに記載の半導体装置。
(付記11)
絶縁基板と電極とを準備することを備え、前記絶縁基板は、絶縁層と、前記絶縁層上に配置されており、かつ、第1部分を含む回路パターンとを含み、前記電極は、第2部分を含み、
前記第1部分及び前記第2部分の一方を、前記第1部分及び前記第2部分の他方に嵌合させることと、
前記第1部分と前記第2部分とを超音波接合することとを備える、半導体装置の製造方法。
【0062】
今回開示された実施の形態1-3及びそれらの変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態1-3及びそれらの変形例の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0063】
1 半導体装置、10 絶縁基板、11 絶縁層、11a 第1主面、11b 第2主面、12 回路パターン、13 放熱板、14,19,21 部分、14a 導電パターン、15,22 凹部、16,23 段差、17,24 下段面、18,25 上段面、20 電極、30 金属ブロック、31 接合部材、33 ワイヤ、35 突起。
図1
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