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特開2024-143138遠隔作業割当装置、遠隔運用システム、遠隔作業割当方法及び遠隔作業割当プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143138
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】遠隔作業割当装置、遠隔運用システム、遠隔作業割当方法及び遠隔作業割当プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20241003BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06Q10/0631
B66F9/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055652
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183222
【氏名又は名称】住友ナコ フォ-クリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】日南 敦史
【テーマコード(参考)】
3F333
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333FA40
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】荷役車両の遠隔操縦を好適に導入する。
【解決手段】管理サーバ30の制御部36は、荷役車両20を使用する荷役作業に関する作業依頼情報を取得し、作業依頼情報に基づいて、荷役車両20を遠隔操縦するオペレータPに関するオペレータ条件を設定し、オペレータ条件に基づいて、少なくとも1人のオペレータPの中から荷役作業を担当するオペレータPの割り当てを行う。これにより、作業依頼情報に基づいて、顧客とオペレータPの双方の要望を好適にマッチングできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役車両を使用する荷役作業に関する作業情報を取得する取得部と、
前記作業情報に基づいて、前記荷役車両を遠隔操縦するオペレータに関するオペレータ条件を設定する設定部と、
前記オペレータ条件に基づいて、少なくとも1人のオペレータの中から前記荷役作業を担当するオペレータの割り当てを行う割当部と、
を備える遠隔作業割当装置。
【請求項2】
前記設定部は、
前記オペレータに関するオペレータ情報に基づいて、前記オペレータの時間単価を設定し、
前記オペレータの時間単価を含む前記オペレータ条件を設定する、
請求項1に記載の遠隔作業割当装置。
【請求項3】
前記設定部は、
前記オペレータに関するオペレータ情報に基づいて、前記オペレータの操縦技能レベルを設定し、
前記操縦技能レベルを含む前記オペレータ条件を設定する、
請求項1に記載の遠隔作業割当装置。
【請求項4】
前記荷役車両は、自動運転と、遠隔操縦による手動運転とが、切り替え可能に構成されている、
請求項1に記載の遠隔作業割当装置。
【請求項5】
前記割当部は、複数の荷役車両の遠隔操縦に1人のオペレータを割り当てる、
請求項4に記載の遠隔作業割当装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の遠隔作業割当装置と、
少なくとも1台の前記荷役車両と、
前記オペレータの操作に基づいて、前記荷役車両を遠隔から操縦する遠隔操縦装置と、
を備える遠隔運用システム。
【請求項7】
制御部が、
荷役車両を使用する荷役作業に関する作業情報を取得する取得工程と、
前記作業情報に基づいて、前記荷役車両を遠隔操縦するオペレータに関するオペレータ条件を設定する設定工程と、
前記オペレータ条件に基づいて、少なくとも1人のオペレータの中から前記荷役作業を担当するオペレータの割り当てを行う割当工程と、
を実行する遠隔作業割当方法。
【請求項8】
コンピュータを、
荷役車両を使用する荷役作業に関する作業情報を取得する取得部、
前記作業情報に基づいて、前記荷役車両を遠隔操縦するオペレータに関するオペレータ条件を設定する設定部、
前記オペレータ条件に基づいて、少なくとも1人のオペレータの中から前記荷役作業を担当するオペレータの割り当てを行う割当部、
として機能させる遠隔作業割当プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔作業割当装置、遠隔運用システム、遠隔作業割当方法及び遠隔作業割当プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、荷役作業を行うフォークリフト等の荷役車両では、自動(無人)運転化が進んでいる。
例えば特許文献1に記載の技術では、操作者がサポートすることにより、荷役作業の一部を自動化している。具体的には、フォークリフトが自動運転で行う第1作業が、操作者が手作業で行う第2作業の実施段階まで進行した場合に、自動運転動作を一時的に停止させて操作者の指示を受け付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-195195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、サポートする人間(操作者)が作業現場に常時張り付く必要がある。そのため、操作者が遠隔から荷役車両を操縦する遠隔操縦を好適に導入することが難しい。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、荷役車両の遠隔操縦を好適に導入することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る遠隔作業割当装置は、
荷役車両を使用する荷役作業に関する作業情報を取得する取得部と、
前記作業情報に基づいて、前記荷役車両を遠隔操縦するオペレータに関するオペレータ条件を設定する設定部と、
前記オペレータ条件に基づいて、少なくとも1人のオペレータの中から前記荷役作業を担当するオペレータの割り当てを行う割当部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、荷役車両の遠隔操縦を好適に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る遠隔運用システムの概念図である。
図2】実施形態に係る遠隔運用システムの概略の制御構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係るオペレータ割当処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
[遠隔運用システムの全体構成]
図1は、本実施形態に係る遠隔運用システム1の概念図であり、図2は、遠隔運用システム1の概略の制御構成を示すブロック図である。
図1に示すように、遠隔運用システム1は、オペレータPが遠隔操縦する荷役車両20による、所定の作業エリア(例えば倉庫)Wにおける荷役作業(荷の積卸し、運搬、積付け、ピッキング、仕分け、荷揃え等の作業及びこれに付随する作業)を運用するものである。さらに、遠隔運用システム1は、作業エリアWを管理・運営する事業者(顧客)からの作業依頼に基づいて、作業エリアWでの荷役作業に対するオペレータPの割り当てを行う。
具体的に、遠隔運用システム1は、少なくとも1台の荷役車両20と、管理サーバ30と、少なくとも1台の遠隔操縦装置40とを含む。
【0011】
[荷役車両の構成]
図2に示すように、荷役車両20は、荷の搬送、荷の昇降及び荷の受渡し等が可能であり、かつ遠隔操縦が可能な車両であり、例えば作業エリアWにおいて軌条等を用いずに路上を走行できるフォークリフト等である。本実施形態の荷役車両20は、プログラムパターンによる自動運転と、オペレータP(遠隔操縦者)による手動操作とが切り替え可能になっている。荷役車両20は、特に限定はされないが、事業者が保有する車両である。
具体的に、荷役車両20は、駆動部21、通信部23、位置計測装置24、カメラ25、制御部26、記憶部27を備える。
【0012】
駆動部21は、荷役車両20の各種駆動源である走行モータ、操舵モータ及び荷役モータ(いずれも図示省略)を含む。走行モータは、車輪のうちの駆動輪を駆動する。操舵モータは、車輪のうちの操舵輪を回転(操舵動作)させる。荷役モータは、荷を保持する保持部(例えばフォーク)に昇降や傾倒等の各動作を行わせる駆動源である。
通信部23は、所定の無線通信規格に基づき、所定の通信ネットワークNWを通じて管理サーバ30及び各遠隔操縦装置40等との間で各種情報を送受信する通信デバイスである。通信ネットワークNWには、例えば、基地局を末端とする移動体通信網、上空の通信衛星を利用する衛星通信網、WiFiやブルートゥース(登録商標)等のプロトコルに準拠する近距離通信網、インターネット通信網等を含んでもよい。
【0013】
位置計測装置24は、荷役車両20自身の位置を計測するものである。位置計測装置24の具体構成は特に限定されず、例えば、GNSS(衛星測位システム)を利用するものでもよい。あるいは、走行方向を計測するセンサ(慣性計測装置等)と走行距離センサとを用い、微少時間に走行した方向と距離とを逐次積算して位置を計測するものでもよいし、作業エリアの各所に配置されたリフレクタ(マーカ)を光学センサ等で検出して、予め設定されているリフレクタの配置情報と照合することで荷役車両20の位置を計測するもの等でもよい。また、周辺環境から自己位置を推定するナチュラルフィーチャーナビゲーション(NFN)技術を利用してもよい。NFNは、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)誘導式とも呼ばれ、外界センサ(カメラやレーザセンサ等)と内界センサ(エンコーダやジャイロスコープ等)を併用して自己位置推定を行う。
【0014】
カメラ25は、荷役車両20の周囲の所定範囲(例えば全周360°)の画像を取得する。
なお、カメラ25は、荷役車両20の周囲の状況をオペレータPに伝える画像(または画像に類するもの)を取得できるものであればよい。この画像は、例えば荷役車両20の車体角部など、走行時や旋回時に最も外縁に位置する部分を主に撮影したものであってもよい。また、カメラ25は、距離を含む三次元撮影(計測)が可能なセンサ(例えば三次元LiDAR(LASER Imaging Detection and Ranging))であってもよい。その他、カメラ25の位置や数量等についても特に限定されない。また、カメラ25とは別に、例えば2つのフォークの中央に配置されてパレット(フォークポケット)へのフォーク挿入時に当該挿入箇所を撮影するものなど、荷役作業における要部に使用される他のカメラを搭載してもよい。
【0015】
制御部26は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、荷役車両20各部の動作を制御する。例えば自動運転時には、制御部26は、地図データ上に予め設定された走行経路に沿って、位置計測装置24による自己位置を参照しながら、駆動部21(操舵部含む)等を制御して、目的地に向かって荷役車両20を自律走行させる。目的地の設定は、例えばサーバ(管理サーバ30でもよい)からの指示でも、作業員等による車体への直接入力でもよい。
記憶部27は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部26の作業領域としても機能する。
【0016】
また、荷役車両20は、上記構成のほか、遠隔操縦を支援する各種構成及び機能を備えるのが好ましい。例えば、荷役車両20は、パレットのフォークポケットを検知するセンサや、周囲物体との接触の危険を検知して停止する機能等を備えるのが好ましい。
【0017】
[管理サーバの構成]
管理サーバ30は、遠隔運用システム1を中央制御するものであり、本発明に係る遠隔作業割当装置の一例に相当する。
具体的に、管理サーバ30は、入力部31、表示部32、通信部33、制御部36、記憶部37を備える。
【0018】
このうち、入力部31は、操作者が管理サーバ30を動作させるための各種操作を行う操作手段であり、例えばマウスやキーボード等を含む。
表示部32は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイである。表示部32は、制御部36から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。
通信部33は、所定の無線通信規格に基づき、所定の通信ネットワークNWを通じて各荷役車両20、各遠隔操縦装置40及びオペレータPの情報端末50等との間で各種情報を送受信する通信デバイスである。
【0019】
制御部36は、例えばCPU等により構成され、管理サーバ30各部の動作を制御する。具体的に、制御部36は、入力部31の操作内容等に基づいて、記憶部37に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
記憶部37は、例えばRAMやROM等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部36の作業領域としても機能する。本実施形態の記憶部37は、後述のオペレータ情報が予め記憶されたオペレータ情報格納領域37aを有している。
【0020】
[遠隔操縦装置の構成]
遠隔操縦装置40は、荷役車両20の遠隔操縦が可能な装置である。
具体的に、遠隔操縦装置40は、入力部41、表示部42、遠隔操縦部43、通信部44、制御部46、記憶部47を備える。
【0021】
このうち、入力部41は、操作者(オペレータP)が遠隔操縦装置40を動作させるための各種操作を行う操作手段であり、例えばマウスやキーボード等を含む。
表示部42は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイである。表示部42は、制御部46から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。本実施形態の表示部42には、例えば荷役車両20のカメラ25で撮影された画像(映像)が表示されたり、荷役車両20の現在位置が地図表示されたりする。
【0022】
遠隔操縦部43は、オペレータPが荷役車両20を遠隔操縦するための操作手段である。遠隔操縦部43は、例えばハンドル、ジョイスティック等を含み、これらの操作内容に応じた操作信号を制御部46に出力する。なお、表示部42及び遠隔操縦部43の少なくとも一方には、オペレータPによる現場環境の知覚を支援するVR(virtual reality)装置やAR(Augmented Reality)技術等を含んでもよい。
通信部44は、所定の無線通信規格に基づき、所定の通信ネットワークNWを通じて管理サーバ30及び各荷役車両20等との間で各種情報を送受信する通信デバイスである。通信部44は、荷役車両20の通信部23との間で、低遅延での双方向のリアルタイムストリーミング通信が可能となっている。
【0023】
制御部46は、例えばCPU等により構成され、遠隔操縦装置40各部の動作を制御する。
記憶部47は、例えばRAMやROM等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部46の作業領域としても機能する。
【0024】
[オペレータの割り当て]
続いて、顧客の荷役作業に遠隔操縦のオペレータPを割り当てるオペレータ割当処理について説明する。
図3は、オペレータ割当処理の流れを示すフローチャートである。
オペレータ割当処理は、顧客(事業者)からの荷役作業依頼に対し、その内容に応じて、荷役車両20を遠隔操縦するオペレータPを適切に割り当てる処理である。オペレータ割当処理は、例えば管理サーバ30でのユーザ操作に基づいて、制御部36が記憶部37から該当するプログラムを読み出して展開することで実行される。
【0025】
図3に示すように、オペレータ割当処理が実行されると、まず管理サーバ30の制御部36は、顧客の依頼内容の情報である「作業依頼情報」を取得する(ステップS1)。
「作業依頼情報」は、顧客が求める荷役作業の内容に関する情報であって、本発明に係る作業情報の一例であり、例えば以下の情報を含む。
・業務種類
・業務量(荷の個数、搬送距離、揚高等)
・期間・時間帯
・使用機種
・許容時間単価
「業務種類」は、例えば、一般パレット搬送(はみ出さない荷物)、ローラクランプ作業、段積み作業等、難易度の異なる様々な荷役作業を含む。自動運転と組み合わせた遠隔操縦を含んでもよい。
「使用機種」は、作業に使用する荷役車両の機種及びその仕様に関する情報であり、例えば、リーチ車又はカウンター車といった車両種別のほか、許容荷重、サイドシフトの有無等の情報を含む。
このステップでは、制御部36は、作業依頼情報を、ユーザによる入力操作、又は顧客の情報端末からの送信等により取得し、記憶部37に記憶する。
なお、作業依頼情報は、上記に加え、荷役車両台数(又はオペレータ人数)、他の労働条件(現場環境、福利厚生等)、事業者情報等を含んでもよい。また、作業依頼情報は、選択可能な複数を含んでいてもよい。例えば、短時間(短期間)かつ高い時間単価の作業依頼と、より長時間(長期間)かつ低い時間単価の作業依頼とを同時に含んでもよい。この場合、複数の作業依頼に優先度が付されていてもよい。
【0026】
なお、本実施形態の荷役作業では、自動運転と遠隔操縦を組み合わせて荷役車両20が運用される。具体的には、荷の積取り及び積下ろし、並びに機体の一時停止状態からの復帰時等、比較的に高い操縦技術が必要な場合にのみ、荷役車両20はオペレータPにより遠隔操縦され、それ以外の状況では自動運転される。より詳しくは、荷役車両20の制御部26は、上述した遠隔操縦の状況となった場合に、その旨を遠隔操縦装置40への通信によりオペレータPに報知し、荷役車両20の制御権を遠隔操縦装置40に移譲する。オペレータPは、遠隔操縦装置40により荷役車両20を遠隔操縦し、必要な作業が終了したらその旨を入力する。荷役車両20の制御部26は、遠隔操縦装置40から当該入力を受信したら、荷役車両20の制御を自動運転に復帰させる。
また、本実施形態の荷役作業では、1人のオペレータPに対して複数台の荷役車両20の遠隔操縦が割り当てられる。
【0027】
次に、制御部36は、管理サーバ30に登録されている各オペレータPに関する「オペレータ情報」を取得する(ステップS2)。
「オペレータ情報」は、荷役車両20を遠隔操縦するオペレータPに関する情報であり、記憶部37のオペレータ情報格納領域37aに予め記憶されている。「オペレータ情報」は、オペレータPごとに例えば以下の情報を含む。
・対応可能業務種類
・就業可能時間帯
・対応機種(操縦可能な荷役車両の機種)
・スキルレベル
「スキルレベル」は、オペレータPの操縦技能レベルを定量化したパラメータであり、経験や実績を表す数値(例えば、業務種類及び機種ごとの経験年数、単位時間当たりに操作できる荷役車両20の台数、後述する単位時間当たり作業量等)の情報を含む。スキルレベルは、当該数値のいずれか1つによって代表させてもよいし、これらの数値に基づいて算出されるパラメータであってもよい。本実施形態のスキルレベルは、各業務種類及び機種における単位時開当たりの作業量(運搬できる荷の個数)を指す。スキルレベルの設定は、例えば実際の(又はバーチャル空間の)遠隔操縦練習場にて試験等を行ったうえで、数値化(あるいはさらにライセンス化)するのが好ましい。
なお、オペレータ情報格納領域37aには、上記オペレータ情報のほか、各オペレータPについて、個人を特定する情報(例えば氏名や連絡先等)、遠隔操縦の訓練記録、作業に必要な資格に関する情報(例えば、自動車運転免許証やフォークリフト運転技能講習修了証の番号)等が記憶されている。
また、顧客が、「業務量」を示さずに「時間帯」での成り行き出来高でオペレータPを募集したい場合等には、「スキルレベル」を直接に条件設定できることとしてもよい。
【0028】
次に、制御部36は、ステップS2で取得したオペレータ情報に基づいて、各オペレータPの時間単価を設定する(ステップS3)。
具体的に、制御部36は、例えば「業務種類」、「時間帯」、「機種」、「単位時間当たり作業量」等に基づいて、時間単価を算出する。「業務種類」は作業難度の高い方が、「時間帯」は夜間の方が、「機種」は操縦難度が高い方が、「単位時間当たり作業量」は多い方が、時間単価が高くなる。これら「業務種類」、「時間帯」、「機種」、「単位時間当たり作業量」は、オペレータ情報(「対応可能業務種類」、「就業可能時間帯」、「対応機種」、「スキルレベル」)に含まれる。
また、制御部36は、例えば作業実施日までの時間的余裕が少ない等の事情に応じて、顧客の「許容時間単価」を超えない範囲で「時間単価」を上下させてもよい。
なお、時間単価は、予め設定(算出)され、各オペレータPに対応付けてオペレータ情報格納領域37aに格納されていてもよい。また、設定された時間単価の額は、オペレータP本人の確認・了解を得てもよい。
【0029】
次に、制御部36は、作業依頼情報、オペレータ情報及び時間単価に基づいて、作業依頼を担当できるオペレータPを抽出する(ステップS4)。
ここでは、制御部36は、作業依頼情報、オペレータ情報及び時間単価に基づいて、オペレータPに関するオペレータ条件を設定する。そして、制御部36は、当該オペレータ条件に基づいて、少なくとも1人のオペレータPの中から荷役作業を担当するオペレータPの割り当てを行う。
具体的に、制御部36は、以下のオペレータ条件(ア)~(エ)を全て満たすオペレータPを抽出する。
(ア)「時間帯」≦「就業可能時間帯」
(イ)「業務種類」≦「対応可能業務種類」
(ウ)「使用機種」≦「対応機種」
(エ)「業務量」/「時間帯」≦「単位時間当たり作業量」
オペレータ条件(ア)~(エ)の不等式は、左辺が作業依頼情報、右辺がオペレータ情報であり、作業依頼情報がオペレータ情報に含まれるか否かを表す。なお、オペレータ条件は、少なくとも作業依頼情報に基づくものであれば上記(ア)~(エ)に限定されず、例えばオペレータPの時間単価が顧客の許容時間単価以下であること等を含んでもよい。
【0030】
次に、制御部36は、ステップS4で抽出したオペレータPに依頼内容を提示し、当該オペレータPの了承(承諾)を得る(ステップS5)。
具体的に、制御部36は、オペレータPの情報端末(パソコン、携帯端末等)50に連絡し、条件に合致する作業依頼があったこととその内容を伝えて、当該作業を担当するか否かの返答を要求する。制御部36は、当該作業を担当することのオペレータPの了承をもって、ステップS3で設定した当該オペレータPの時間単価を確定させる。オペレータPの了承を得られなかった場合には、他のオペレータPに打診する。
【0031】
なお、条件を満たすオペレータPの人数が必要数を上回る場合、顧客にとってより望ましい条件の人(例えば、よりスキルレベルの高い人、より時間単価の安い人等)を選択するのが好ましい。ステップS4のオペレータPの抽出ではオペレータPに優先度を設定しておき、ステップS5では優先度の高い順に連絡していってもよい。
また、必要数のオペレータPの了承を得られなかった場合、制御部36は、「許容時間単価」を超える新たな「時間単価」を設定してオペレータPに提示(又は募集)してもよい。この場合、制御部36は、新たな「時間単価」に対してオペレータPの了承を得たら、当該新たな「時間単価」(又は期間総額)を顧客に提示して了承を得ればよい。
【0032】
次に、制御部36は、必要なオペレータPを確保できたことを顧客(の情報端末)に報告する(ステップS6)。
このとき、制御部36は、必要に応じて、オペレータPの情報等を顧客に送信し、了承を得てもよい。
そして、制御部36は、オペレータ割当処理を終了させる。
【0033】
なお、割り当て済のオペレータPが作業をキャンセルしたり、規定の作業を時間内に終えなかったりした場合、制御部36は、その内容に応じたペナルティ額を自動計算し、運営者にプールしてもよい。
また、オペレータPのキャンセルが余裕期間の短い直前のものだった場合、制御部36は、受託済の「時間単価」よりも高い「臨時時間単価」を設定し、条件の合う他のオペレータPに提示してもよい。「臨時時間単価」と受託済の「時間単価」の差額は運営者に負担させればよい。
【0034】
このように、遠隔運用システム1では、従来と異なり、顧客とオペレータPの双方の要望を好適にマッチングできる。
すなわち、従来の遠隔による荷役業務サービスでは、利点として以下の3点が挙げられる。
1.作業現場の任意性(位置、数量等)
2.作業時間の任意性
3.操作者の任意性(人数等)
しかしながら、これらの利点はトレードオフの関係にあった。例えば、荷役作業では朝トラックが来た際に荷を下ろすが、その後は出荷まで特に作業がない、といった繁閑が存在する。これに対し、遠隔の操作者はこれらの空間的制約に捉われないはずであるが、任意時間の業務のために、操作者が待機するなどの効率低下が考えられる。
この点、本実施形態によれば、複数の作業現場と複数のオペレータPを動的に采配することにより、従来に比べてリソースを最適化できる。
【0035】
また、作業実施日には、制御部36は、顧客の了承の元で、荷役車両20と遠隔操縦装置40の間の通信状態の監視と、作業進捗の管理とを行うのが好ましい。この場合、制御部36は、所定時間内に作業が完了しないことが判明した場合に、補充のオペレータPを雇う等してもよい。具体的に、制御部36は、上述のキャンセル時と同様に、「臨時時間単価」にて補充のオペレータPを募集し、作業現場に空きの荷役車両20があれば当該機体により追加で作業させてもよい。
また、オペレータPが何らかの事情により業務を途中で中断したい場合、オペレータPがその旨を遠隔操縦装置40から入力すると、制御部36が、上述のキャンセル時と同様に、「臨時時間単価」を設定して条件の合う他のオペレータPを探してもよい。
【0036】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、荷役作業に関する作業依頼情報(作業情報)に基づいて、荷役車両20を遠隔操縦するオペレータPに関するオペレータ条件が設定され、当該オペレータ条件に基づいて、荷役作業を担当するオペレータPが割り当てられる。
これにより、作業依頼情報に基づいて、顧客とオペレータPの双方の要望を好適にマッチングでき、不特定多数のオペレータPが任意時間の作業に好適に就業できる。ひいては、複数の作業現場と複数のオペレータPを動的に采配し、リソースを最適化できる。したがって、荷役車両20の遠隔操縦を好適に導入できる。
【0037】
また本実施形態によれば、オペレータ情報に基づいてオペレータPの時間単価が設定され、当該時間単価を含むオペレータ条件に基づいて、荷役作業を担当するオペレータPが割り当てられる。
これにより、好適なオペレータコストで、顧客とオペレータPの双方の要望をマッチングできる。
【0038】
また本実施形態によれば、オペレータ情報に基づいてオペレータPのスキルレベル(操縦技能レベル)が設定され、当該スキルレベルを含むオペレータ条件に基づいて、荷役作業を担当するオペレータPが割り当てられる。
これにより、所望のスキルレベルを有するオペレータPを好適に割り当てることができる。
【0039】
また本実施形態によれば、荷役車両20は、自動運転と、遠隔操縦による手動運転とが切り替え可能に構成された、いわゆる半自動機である。
そのため、例えば比較的に難易度の高い作業のみをオペレータPに遠隔操縦させ、それ以外の作業は自動運転させる等することにより、好適に遠隔操縦を導入できる。
またこの場合、遠隔操縦の必要な状況が限定的であるため、複数台の荷役車両20であっても1人のオペレータPで好適に操縦できる。
【0040】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態(変形例含む)に限られない。
例えば、作業エリアWでは、複数の荷役車両20が管理装置により一元的に制御されていてもよい。この場合、遠隔操縦装置40及び管理サーバ30からの情報は、当該管理装置を介して各荷役車両20に送信されてもよいし、各荷役車両20に直接送信されてもよい。また、当該管理装置は管理サーバ30であってもよい。
【0041】
また、オペレータPによる荷役作業の選択は、オペレータPから管理サーバ30へのアクセスにより行われてもよい。
具体的には、例えば管理サーバ30が運営する専用サイトにおいて、登録者のみが作業依頼を閲覧可能にしておく。そして、オペレータPが情報端末50から当該専用サイトにアクセスして自身の希望に合致する作業依頼を検索し、当該作業依頼を選択(承認)することとしてもよい。
【0042】
また、管理サーバ30の運営者と、作業依頼する顧客(作業エリアWの事業主)とは、同一人であってもよい。
また、遠隔操縦装置40は、管理サーバ30の運営者又はオペレータPに所有・管理されるものであってもよいし、管理サーバ30の運営者等がオペレータPに貸与するもの等であってもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、荷役車両20が、自動運転と、遠隔操縦による手動運転とが切り替え可能な、いわゆる半自動機であることとしたが、本発明に係る荷役車両は、遠隔操縦による手動運転が可能であれば特に限定されない。
また、本発明に係る荷役車両は、フォークリフトに限定されず、荷役作業を行う荷役搬送機器(産業車両)を広く含む。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 遠隔運用システム
20 荷役車両
30 管理サーバ(遠隔作業割当装置)
36 制御部(取得部、設定部、割当部)
37 記憶部
37a オペレータ情報格納領域
40 遠隔操縦装置
43 遠隔操縦部
46 制御部
NW 通信ネットワーク
P オペレータ
W 作業エリア
図1
図2
図3