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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143158
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ロボット制御システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055686
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】吉川 泰三
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS28
3C707BS10
3C707BS26
3C707ES03
3C707HS27
3C707JS07
3C707JU14
3C707KS21
3C707KT01
3C707KT02
3C707KT04
3C707KT11
3C707KT15
3C707KV01
3C707KV08
3C707KW01
3C707KW03
3C707KX08
3C707LU06
3C707LV19
(57)【要約】
【課題】操作者がカメラを観ながらロボットと手先を精度良く操作することができるロボット制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】ロボット制御システムは、地面にロボットが接していない空間でロボットを制御するロボット制御システムであって、ロボット本体と、ロボット本体による操作状況を撮影可能なカメラと、ロボット本体のθz周りの回転中心がカメラのパン軸中心の回転となるようロボット本体のθzとZ軸を連動制御する制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面にロボットが接していない空間で前記ロボットを制御するロボット制御システムであって、
ロボット本体と、
前記ロボット本体による操作状況を撮影可能なカメラと、
前記ロボット本体のθz周りの回転中心が前記カメラのパン軸中心の回転となるように前記ロボット本体のθzとZ軸を連動制御する制御部と、
を備えるロボット制御システム。
【請求項2】
前記ロボット本体にはエンドエフェクタが接続され、
前記カメラのパン軸が前記エンドエフェクタの作業中心を向く制御を行うパン軸制御部、
さらに備える請求項1に記載のロボット制御システム。
【請求項3】
前記パン軸制御部は、
前記ロボット本体がθz方向に回転する際、前記カメラのパン軸中心を前記ロボット本体の回転方向と逆方向に回転させるように制御する、
請求項2に記載のロボット制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水中を移動しながら作業を行う装置がある。このような装置は、スラスタ、撮影用のカメラ等を備えている(例えば特許文献1参照)。また、図12のように、操縦は、例えば船上から行い、例えば操縦室にいる操作者と、水中で作業を行う装置と、装置を制御する制御装置とを接続するケーブルを操作するテザーマンとの間で情報交換を行いつつ行われる。操縦室の操作者は、画像表示装置に表示される画像を見ながら、カメラ画像基準でコントローラを操作して操作入力を決定し、テザーマンは甲板上から船基準でロボットの進行方向を操作者に教示している。図12は、従来技術における船上での作業例を示す図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5806568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、船の向きは潮の流れで常に動いているため、例えば5分前は船頭に対して時計3時方向が、海中の作業空間では対象物に正面の方向であったのに、今は横方向になっているといった事象が起こり得る。また、水中で作業を行う装置のカメラから目標物を一度見失ってしまうと、操作者は、水中で作業を行う装置の進行方向の入力判断が難しくなる。このため、従来技術では、操作者は高度な操縦技術(空間把握能力)が要求されるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、操作者がカメラを観ながらロボットと手先を精度良く操作することができるロボット制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るロボット制御システムは、地面にロボットが接していない空間で前記ロボットを制御するロボット制御システムであって、ロボット本体と、前記ロボット本体による操作状況を撮影可能なカメラと、前記ロボット本体のθz周りの回転中心が前記カメラのパン軸中心の回転となるように前記ロボット本体のθzとZ軸を連動制御する制御部と、を備えるロボット制御システムである。
【0007】
(2)(1)のロボット制御システムにおいて、前記ロボット本体にはエンドエフェクタが接続され、前記カメラのパン軸が前記エンドエフェクタの作業中心を向く制御を行うパン軸制御部、さらに備えるようにしてもよい。
【0008】
(3)(1)または(2)のロボット制御システムにおいて、前記パン軸制御部は、前記ロボット本体がθz方向に回転する際、前記カメラのパン軸中心を前記ロボット本体の回転方向と逆方向に回転させるように制御するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
(1)~(3)によれば、操作者がカメラを観ながらロボットと手先を精度良く操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るロボット制御システムを上から見た外観例と概略構成例を示す図である。
図2】実施形態に係るロボット制御システムを横から見た外観例を示す図である。
図3】実施形態に係るロボット制御システムの構成例を示す図である。
図4】ロボット本体の原点を回転中心に回転させた場合の撮影範囲がズレる例を示す図である。
図5】操作者の視野を考慮したロボット本体の制御方法を説明するための図である。
図6】操作者の視野を考慮したロボット本体の制御方法を説明するための図である。
図7】実施形態に係るロボット制御システムの処理手順のフローチャートである。
図8】ロボット本体の前後の移動(x軸方向)指令を決定する拘束を説明するための図である。
図9】ロボット本体の左右の移動(y軸方向)指令を決定する拘束を説明するための図である。
図10】ロボット本体の上下の移動(z軸方向)指令を決定する拘束を説明するための図である。
図11】ロボット本体の回転移動(z軸回転)指令を決定する拘束を説明するための図である。
図12】従来技術における船上での作業例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0012】
(ロボット制御システムの外観例)
まず、ロボット制御システム1の外観例と概略構成例を説明する。なお、以下の各例では、ロボットの例として、水中で作業を行う水中ロボットまたは水中ドローンの例を説明するが、ロボットの作業空間はこれに限らない。ロボットの作業空間は、ロボット本体101が地面等に接していない空間、例えば空中や宇宙空間等であってもよい。また、実施形態において、ロボット本体を「ロボット」ともいう。
【0013】
図1は、本実施形態に係るロボット制御システムを上から見た外観例と概略構成例を示す図である。図2は、本実施形態に係るロボット制御システムを横から見た外観例を示す図である。
ロボット制御システム1は、例えば、ロボット本体101と、カメラ107と、スラスタ111を備える。なお、ロボット制御システム1は、ロボット本体101に接続されるアーム102(102L、102R)を備えていてもよく、アーム102を1つまたは3つ以上備えていてもよい。
アーム原点Pa(Pal、Par)は、アーム102がロボット本体101に接続される点付近に設定する。アーム原点は、アーム102の肩側の任意の箇所であってもよい。
符号Xh(Xhl、Xhr)は、アームの先端部の位置(アーム先端位置)を示している。
符号Pcは、カメラ107のパン軸(θz軸)である。なお、カメラ107は、単眼であっても複眼であってもよい。
【0014】
図1図2のように、アーム102は、いくつかのリンクが接続され、関節を備える。またアームの先端には、例えば、指部を備えるエンドエフェクタを備えている。
なお、図1図2に示した外観は一例であり、これに限らない。また、アームの取り付け位置は、先端に限らず左右等であってもよい。
【0015】
(ロボット制御システムの構成例)
図3は、本実施形態に係るロボット制御システムの構成例を示す図である。図3のように、ロボット制御システム1は、例えば、ロボット制御装置100と、操作部200を備える。
【0016】
ロボット制御装置100は、例えば、ロボット本体101と、カメラ107と、カメラ駆動部108と、カメラセンサ109と、照明110と、スラスタ111と、スラスタ駆動部112と、制御部113と、記憶部114と、通信部116と、センサ117と、パン軸制御部118を備える。なお、ロボット制御装置100は、アーム102と、エンドエフェクタ103と、駆動部104と、アームセンサ105を備えていてもよい。
【0017】
操作部200は、例えば、入力部201と、画像表示部202と、通信部203を備える。
【0018】
操作部200は、例えば船上で操作者が使用する。なお、操作部200とロボット制御装置100とは、例えば互いに有線で接続されている。
入力部201は、操作者がロボット本体101やアーム102に対する操作指令を、入力する装置である。入力部201は、例えば、ハンドル、ジョイスティック、タッチパネルセンサ等である。
画像表示部202は、カメラ107が撮影した画像や、ロボット本体101やアーム102の状態等をロボット制御装置100から取得して表示する。
通信部203は、ロボット制御装置100と情報の送受信を行う。
【0019】
ロボット本体101は、図1において、例えばアーム102以外の部分である。ロボット本体101に、例えば、アーム102と、エンドエフェクタ103と、駆動部104と、設定部106と、カメラ107と、カメラ駆動部108と、カメラセンサ109と、照明110と、スラスタ111と、スラスタ駆動部112と、制御部113と、記憶部114と、通信部116と、センサ117が取り付けられている。なお、ロボット本体及び各機能部への電源供給は、ロボット制御装置100が電源を備えていてもよく、例えば船上からケーブルで電源を供給するようにしてもよい。
【0020】
アーム102は、例えば図1のように関節を備える。アームの先端には、例えばエンドエフェクタ103が取り付けられている。関節それぞれには、例えばアクチュエータとエンコーダ(アームセンサ105)が取り付けられている。なお、アーム102は、ロボット本体101の前方に取り付けられていてもよく、左右に取り付けられていてもよい。
【0021】
エンドエフェクタ103は、少なくとも2つの指部を備える。エンドエフェクタ103は、3つ以上の指部を備えていてもよく、グリッパー等であってもよい。また、エンドエフェクタ103の指先には、アームセンサ105(例えば6軸センサ、触覚センサ等)が取り付けられていてもよい。
【0022】
駆動部104は、制御指令に基づいてアーム102とエンドエフェクタ103を駆動する。駆動部104は、例えば、アクチュエータと駆動回路を備える。
【0023】
アームセンサ105は、例えば、アーム102とエンドエフェクタ103の関節に取り付けられているエンコーダ、手先に取り付けられている6軸センサや触覚センサ等である。
【0024】
カメラ107は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子による撮影装置、またはCCD(Charge Coupled Device)撮像素子による撮影装置である。なお、カメラ107は、深度情報Dも得られるRGB(赤緑青)Dカメラであってもよい。
【0025】
パン軸制御部118は、カメラ107のパン軸がエンドエフェクタ103の作業中心を向くように制御を行う。
【0026】
カメラ駆動部108は、パン軸制御部118の制御に応じて、カメラ107を例えばパン軸方向に傾けさせる。カメラ駆動部108は、例えば、アクチュエータと駆動回路を備える。
【0027】
カメラセンサ109は、カメラ107のパン軸の傾きを検出する。
【0028】
照明110は、制御指令に含まれる照明制御指示に基づいて、照明のオン状態とオフ状態、照明の照度、照明の傾き等を変更可能な装置である。
【0029】
スラスタ111は、推進力を発生させる装置であり、例えばプロペラとモータ等である。
【0030】
スラスタ駆動部112は、制御指令に含まれるスラスタ制御指示に基づいて、スラスタ111を駆動する。スラスタ駆動部112は、例えば駆動回路を備える。
【0031】
制御部113は、制御指令に基づいて、例えば、ロボット本体101、アーム102、カメラ107、スラスタ111等の動作を制御する。なお、制御部113は、ロボット本体101のθz周りの回転中心がカメラ107のPan軸(θz軸)中心の回転となるようにロボット本体101のθzとZ軸を連動制御する。
【0032】
記憶部114は、ロボット制御装置100の制御に必要なプログラム、閾値、所定値、数式等を記憶する。記憶部114は、例えばロボット本体101やアーム102の三次元モデルを記憶する。
【0033】
通信部116は、操作部200と情報の送受信を行う。
【0034】
センサ117は、例えば、DVL(Doppler Velocity Log)センサ、Internal pressure(内圧)センサ、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)、磁気センサ等である。
【0035】
(センサの役割)
本実施形態では、以下のセンサによって、各情報を取得し、取得した情報に基づいてロボット本体101の位置と姿勢を推定する。なお、航行状態に応じて、以下のようにセンサを使い分ける。
・定高度航行(海底面からの高さを一定にする航行)のためのセンサとして、DVLセンサを用いる。検出値はz軸方向(高さ方向、深さ方向)の情報である。
・定深度航行(水面からの深度を一定にする航行)のためのセンサとして、Internal pressure(圧力)センサを用いる。検出値はz軸方向(高さ方向、深さ方向)の情報である。
・方向維持機能のセンサとして磁気センサ、DVLセンサを用いる。対象はz軸方向の回転θzである。この場合は、地磁気センサによって北からの回転を検出する。
・位置維持機能のためのセンサとして、慣性計測装置とDVLセンサを用いる。対象はx軸方向とy軸方向の情報である。この場合は、慣性計測装置の積分値を、例えば10Hz程度で積分してドリフト分を補正する。
・姿勢の位置を検出するセンサとして、慣性計測装置とDVLセンサを用いる。対象はx軸方向の回転θxとy軸方向の回転θyである。
【0036】
(制御方法)
作者が船上で画像表示部202で見ているカメラ107で撮影された画像は、カメラ座標系である。このため、操作者は、カメラ座標系で手先を動かすことになる。
ロボット本体101にカメラ107が取り付けられているため、図4のように、アームの移動に応じて、ロボット本体101の原点g601を回転中心に回転させると撮影範囲が符号g602から符号g603のようにズレる。なお、四角g604は、回転前のロボット本体101の外観の姿勢である。四角g605は、回転後のロボット本体101の外観の姿勢である。図4は、ロボット本体の原点を回転中心に回転させた場合の撮影範囲がズレる例を示す図である。
【0037】
このため、本実施形態では、カメラ座標系で操作を行っている操作者の視野を考慮して、ロボット本体101の制御を以下のように行う。操作者からの制御指令によって例えばアーム102が動作し、それに伴ってロボット本体101を以下のような条件に応じて拘束モデルを用いて制御する。そして、ロボット制御システム1は、ロボット本体101を回転させる場合に、カメラ107のパン軸も制御する。
【0038】
(第1の例)
図5図6は、操作者の視野を考慮したロボット本体の制御方法を説明するための図である。第1の例では、制御部113は、ロボット本体101のθz周りの回転中心をカメラ107のパン軸中心の回転となるようにする。図5図6において、符号G31は、カメラ107による撮影範囲例である。
この場合、制御部113は、θz+Z(制御指令値のZ軸成分)が連動して動作するようにロボット本体101を制御する。これにより、操作者が画像表示部202上で見ている画像が、ロボット本体101の回転によってズレないので、ロボットやアーム等を見失うことなく作業指示を行いやすくなる。これにより、ロボット本体101の無駄なθz方向の回転を抑制することができる。
【0039】
(第2の例)
制御部113は、カメラ107のパン軸またはカメラ107の視点中心(例えば光軸)が、アーム102の作業中心に向くように、カメラ107のパン軸を制御する。これにより、ロボット本体101のθz方向の回転を抑制することができる。
なお、第1の例と第2の例は、両方行うようにしてもよい。
【0040】
(処理手順)
次に、ロボット制御システムの処理手順例を説明する。図7は、本実施形態に係るロボット制御システムの処理手順のフローチャートである。
【0041】
(ステップS1)制御部113は、カメラ107が撮影した画像を取得する。
【0042】
(ステップS2)制御部113は、取得した画像を用いて、画像表示部202に提供する画像を生成する。例えば、カメラ107のレンズが魚眼レンズの場合、撮影された画像から作業領域を切り出し、さらに周知の画像処理によって魚眼レンズによる歪みを補正する。
【0043】
(ステップS3)制御部113は、センサ117が検出した検出値、アームセンサ105の検出値、およびカメラセンサ109が検出した検出値を取得する。
【0044】
(ステップS4)制御部113は、カメラ座標系での制御指令を取得する。
【0045】
(ステップS5)制御部113は、θz+Z(制御指令値のZ軸成分)が連動して動作するようにロボット本体101を制御する。
【0046】
(ステップS6)制御部113は、カメラ107のパン軸またはカメラ107の視点中心(例えば光軸)が、アーム102の作業中心に向くように、カメラ107のパン軸を制御する。
【0047】
ロボット制御システム1は、ステップS1~S6の処理を作業終了まで繰り返す。
なお、ステップS5、S6の処理は同時に行うようにしてもよい。また、これらの処理は、ロボットの移動時から、アーム102やエンドエフェクタ103を用いた操作に切り替わった後に行うようにしてもよい。
【0048】
以上のように、本実施形態では、ロボット本体101がθz方向に回転する際、カメラ107のパン軸中心も追従するようにロボット本体101の回転方向と逆方向に回転させるようにした。例えば、ロボット本体101が反時計回りに回転する場合は、カメラ107のパン軸を時計回りに回転させる。または、ロボット本体101が時計回りに回転する場合は、カメラ107のパン軸を反¥時計回りに回転させる。
【0049】
以上の処理によって、本実施形態によれば、操作者が作業操作中にカメラ107の画角から対象物を見失うリスクを軽減できるので、操作者がカメラを観ながらロボットと手先を精度良く操作することができる。
【0050】
(処理適用例)
上述した仮想絶対座標系を用いて、例えば以下のように処理を行う。この例では、操作者は、カメラ座標でエンドエフェクタ103に対して制御指示を行う。水中灯での作業の場合、アーム102やエンドエフェクタ103が残土、左右、上下等に移動すると、ロボット本体101が影響を受けるため、アーム102等の移動に応じて、ロボット本体101の制御を制御部113が以下のように拘束して行う。
なお、以下のような処理において、制御部113は、アーム102がロボット本体101に接続される点近傍に設定されるアーム原点と、アームの先端であるアーム先端部の位置をそれぞれ取得する。そして制御部113は、アーム原点とアーム先端部の間に設定される拘束モデルを定義し、アーム原点とアーム先端部の距離の変化に応じて発生する拘束力を拘束モデルから算出し、拘束力の値から前記ロボット本体の位置指令を算出する。
【0051】
camera→ROVは、カメラ座標系からロボット座標系への同時変換行列である。
ROV→VIRTUALは、ロボット座標系から仮想絶対座標系への同時変換行列である。
VIRTUAL→GLOBALは、仮想絶対座標系からグローバル座標系への同時変換行列である。
なお、ロボット座標系からカメラ座標系への変換は、PAN軸、TILT軸、ROLE軸があってもよい。
なお、これらの変換行列は、例えばシミュレーションによって予め求めて記憶部114に記憶させておく。
【0052】
仮想座標系でのロボットの位置姿勢の変化は、上述した変換行列を用いると次式(1)となる。
【0053】
【数1】
【0054】
ロボット座標系でのロボットの位置姿勢の指令の変化は、上述した変換行列を用いると次式(2)となる。
【数2】
【0055】
仮想絶対座標系でのロボットの位置姿勢の変化は、次式(3)で表せる。
【0056】
【数3】
【0057】
仮想絶対座標系での手先の位置姿勢の変化は、次式(4)で表せる。
【0058】
【数4】
【0059】
グローバル座標系での手先の位置姿勢の変化は、次式(5)で表せる。
【0060】
【数5】
【0061】
グローバル座標系でのロボットの位置姿勢の指令の変化は、次式(6)で表せる。
【0062】
【数6】
【0063】
(1)第1の拘束条件(アーム102を前後に伸び縮みさせた場合のロボット本体101の前後の移動(x軸方向)指令を決定する拘束)
次に、ロボット本体101の前後の移動(x軸方向)指令を決定する拘束について、さらに説明する。図8は、ロボット本体の前後の移動(x軸方向)指令を決定する拘束を説明するための図である。
この場合は、アーム102の原点と手先との間に拘束モデルを設定する。なお、拘束モデルは、例えば筋肉モデルまたはポテンシャル法によるモデルである。
【0064】
符号g100、g120の図は、アーム102をロボット本体101に近づけ縮めた状態を示している。符号g110、g130の図は、アーム102をロボット本体101から遠ざけて伸ばした状態を示している。
符号g122は、アーム102が縮んだ状態g121のx軸方向の拘束力を抽出した結果を示す。符号132は、アーム102が伸びた状態g131のx軸方向の拘束力を抽出した結果を示す。
【0065】
符号g122、g132、さらに不感帯g141を用いて、第1の拘束条件であるx軸方向の拘束力は、符号g140のように表される。なお、不感帯では、ロボット本体101が動かないとする。なお、曲線の部分g142とg143が、拘束力が働く領域である。曲線の理由は、筋肉モデルの場合、バネとダンパーで表せるため直線的に動作できないためであるのと、曲線の方が動作を自然にできるあるためである。また、拘束力が曲線の理由は、入力部201が例えばゲームコントローラのようにボタンやジョイスティックで構成されるため、拘束力を挑戦としてしまうと、わずかな操作でも急激な動作をしてしまうためでもある。
【0066】
これにより、例えば以下のように制御される。
I.右アーム102Rが伸展、左アーム102Lが不感帯の状態;ロボット本体101が前進
II.右アーム102Rが不感帯、左アーム102Lが伸展の状態;ロボット本体101が前進
III.左右のアーム102が伸展の状態;ロボット本体101が前進大
IV.右アーム102Rが収縮、左アーム102Lが不感帯の状態;ロボット本体101が後進
V.右アーム102Rが不感帯、左アーム102Lが収縮;ロボット本体101が後進
VI.左右のアーム102が収縮;ロボット本体101が後進大
【0067】
(2)第2の拘束条件(ロボット本体101を左右の移動(y軸方向)指令を決定する拘束)
次に、ロボット本体101の左右の移動(y軸方向)指令を決定する拘束について、さらに説明する。図9は、ロボット本体の左右の移動(y軸方向)指令を決定する拘束を説明するための図である。
この場合は、アーム102の原点と手先位置との間に拘束モデルを設定する。
【0068】
符号g200の図は、アーム102を左側に移動させた状態を示している。符号g21の図は、アーム102を右側に移動させた状態を示している。
符号g202は、アーム102が左に移動した状態g201のy軸方向の拘束力を抽出した結果を示す。符号g212は、アーム102が右に移動した状態g211のy軸方向の拘束力を抽出した結果を示す。
【0069】
符号g202、g212、不感帯g221を用いて、第2の拘束条件であるx軸方向の拘束力は、符号g220のように表される。なお、不感帯では、ロボット本体101が動かないとする。
【0070】
これにより、例えば以下のように制御される。
I.右アーム102Rが右に移動、左アーム102Lが不感帯の状態;ロボット本体101が右に移動
II.右アーム102Rが不感帯、左アーム102Lが左に移動の状態;ロボット本体101が左に移動
III.左右アーム102が肩の間の状態;ロボット本体101がy軸方向で停止
IV. 右アーム102Rが右に移動、左アーム102Lが左に移動の状態;左右の拘束力の大小に応じてロボット本体101の左右いずれかの移動が決まる
【0071】
(3)第3の拘束条件(ロボット本体101を上下の移動(z軸方向)指令を決定する拘束)
次に、ロボット本体101の上下の移動(z軸方向)指令を決定する拘束について、さらに説明する。図10は、ロボット本体の上下の移動(z軸方向)指令を決定する拘束を説明するための図である。
この場合は、アーム102の原点と手先位置との間に拘束モデルを設定する。
【0072】
符号g300の図は、アーム102を上側に移動させた状態を示している。符号g310の図は、アーム102を下側に移動させた状態を示している。
符号g302は、アーム102が上側に移動した状態g301のz軸方向の拘束力を抽出した結果を示す。符号g312は、アーム102が下側に移動した状態g311のz軸方向の拘束力を抽出した結果を示す。
【0073】
符号g302、g312、不感帯g321を用いて、第3の拘束条件であるz軸方向の拘束力は、符号g320のように表される。なお、不感帯では、ロボット本体101が動かないとする。
【0074】
なお、制御部113は、ロボット本体101への指令を、左右の拘束力を足してコンプライアンス制御で変化分を指令とする。
【0075】
これにより、例えば以下のように制御される。
I.右アーム102Rが上に移動、左アーム102Lが不感帯の状態;ロボット本体101が上方向に移動
II.右アーム102Rが不感帯、左アーム102Lが上に移動の状態;ロボット本体101が上方向に移動
III.左右アーム102が上に移動の状態;ロボット本体101が上方向に移動大
IV.左右アーム102が不感帯の状態;ロボット本体101が静止
V.右アーム102Rが下、左アーム102Lが不感帯の状態;ロボット本体101が下方向に移動
VI.右アーム102Rが不感帯、左アーム102Lが下の状態;ロボット本体101が下方向に移動
VII.左右アーム102が下の状態;ロボット本体101が下方向に移動大
【0076】
(4)第4の拘束条件(ロボット本体101の回転(θZ)指令を決定する拘束状態である。)
次に、ロボット本体101の回転移動(z軸回転)指令を決定する拘束について、さらに説明する。図11は、ロボット本体の回転移動(z軸回転)指令を決定する拘束を説明するための図である。
【0077】
符号g400の図は、アーム102を回転移動させた状態を示している。
符号g401は、アーム102が一番短い状態を表し、符号g402は、アーム102が一番長い状態(伸ばしきった状態)を表している。
【0078】
符号g401、g402、不感帯g411を用いて、第4の拘束条件である回転方向の拘束力は、符号g410のように表される。ここで、不感帯の開始位置をXcont_minとし、不感帯の終了位置をXcont_maxとする。
【0079】
これにより、例えば以下のように制御される。
I.右アーム102Rが伸展、左アーム102Lが収縮の状態;ロボット本体101が反時計回りに回転
II.右アーム102Rが収縮、左アーム102Lが伸展の状態;ロボット本体101が時計回りに回転
【0080】
なお、以下はオプション扱いであってもよい。
III.右アーム102Rが伸展、左アーム102Lが不感帯の状態;ロボット本体101が反時計回りに回転
IV.右アーム102Rが不感帯、左アーム102Lが伸展の状態;ロボット本体101が時計回りに回転
【0081】
なお、本発明におけるロボット制御装置100の機能の全てまたは一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりロボット制御装置100が行う処理の全てまたは一部を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0082】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0083】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0084】
1…ロボット制御システム、100…ロボット制御装置、200…操作部、101…ロボット本体、102,102L,102R…アーム、103…エンドエフェクタ、104…駆動部、105…アームセンサ、106…設定部、107…カメラ、108…カメラ駆動部、109…カメラセンサ、110…照明、111…スラスタ、112…スラスタ駆動部、113…制御部、114…記憶部、116…通信部、117…センサ、118…パン軸制御部、201…入力部、202…画像表示部、203…通信部
図1
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