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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143159
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】梁部材の取付構造及び土砂捕捉柵
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
E02B7/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055687
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】國領 ひろし
(57)【要約】
【課題】渓流に設置した場合においても耐久性と剛性に優れ、かつ効果的なエネルギー吸収に優れた梁部材の取付構造及び土砂捕捉柵を提供する。
【解決手段】渓流に設けられる複数の支柱と、前記複数の支柱の上流側に支持される梁部材とを備え、前記梁部材は、下流側の主平面が前記支柱における上流側の取付面に当接する取り付け板が設けられることを特徴とする梁部材の取付構造により、渓流に設置した場合においても耐久性と剛性に優れ、かつ効果的なエネルギー吸収に優れた梁部材の取付構造及び土砂捕捉柵を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
渓流に設けられる複数の支柱と、前記複数の支柱の上流側に支持される梁部材とを備え、
前記梁部材は、下流側の主平面が前記支柱における上流側の取付面に当接する取り付け板が設けられること
を特徴とする梁部材の取付構造。
【請求項2】
前記梁部材は、前記支柱の上流側に着脱自在に取り付けられること
を特徴とする請求項1に記載の梁部材の取付け構造
【請求項3】
前記梁部材の下流側の側面と前記取り付け板の上流側の主平面とを接合する接合部をさらに備えること
を特徴とする請求項2に記載の梁部材の取付構造。
【請求項4】
前記接合部の上流側の端面は、前記梁部材の下流側の側面に沿うように形成されること
を特徴とする請求項3に記載の梁部材の取付構造。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の梁部材の取付構造を用いること
を特徴とする土砂捕捉柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的小規模な渓流に設けられる土砂捕捉柵の梁部材の取付構造及び土砂捕捉柵に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的小規模な渓流に流れる土砂及び石礫が宅地や道路及び鉄道に流入することを防ぐための捕捉柵が必要とされている。土砂及び石礫を捕捉するための捕捉柵として、例えば下記に示す特許文献1及び特許文献2が公開されている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2では、0次谷又は1次谷に設けられる透過性の防護柵において、梁部材に設けられた保持具によって柱部材に取り付けられる梁部材の取付け構造が開示されている。保持具は、底板と保持板とからなり、底板は柱部材にボルト等で固定する。保持板は底板から上流側に向かって立設され、溶接などにより固定されている。また、保持板には梁部材を挿通する孔が形成されており、孔の位置で梁部材を保持板に溶接することにより、梁部材は柱部材に保持されている。また、梁部材の固定は、溶接による固定に限定されず、例えばボルト等を用いてもよいことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-141568号公報
【特許文献2】特開2022-39651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の開示技術の梁部材の取付構造では、梁部材の上流側に保持板やボルト等の接合部材が露出していることから、渓流を流れる土砂及び石礫が接合部材に衝突してしまうため接合部材が損傷し、梁部材の取付構造及び土砂捕捉柵の耐久性が低くなるという問題点があった。また、梁部材の周囲を囲むように保持板と溶接で固定されているため、へこみ変形が抑制されるのでエネルギー吸収が抑制されるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、剛性が高く、渓流に設置した場合においても耐久性に優れ、かつ効果的なエネルギー吸収に優れた梁部材の取付構造及び土砂捕捉柵を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る梁部材の取付構造は、渓流に設けられる複数の支柱と、前記複数の支柱の上流側に支持される梁部材とを備え、前記梁部材は、下流側の主平面が前記支柱における上流側の取付面に当接する取り付け板が設けられることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る梁部材の取付け構造は、第1発明において、前記梁部材は、前記支柱の上流側に着脱自在に取り付けられることを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る梁部材の取付構造は、第2発明において、前記梁部材の下流側の側面と前記取り付け板の上流側の主平面とを接合する接合部をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る梁部材の取付構造は、第3発明において、前記接合部の上流側の端面は、前記梁部材の下流側の側面に沿うように形成されることを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る土砂捕捉柵は、第1発明~第4発明の何れかに記載の梁部材の取付構造を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明~第5発明によれば、梁部材は、下流側の主平面が支柱における上流側の取付面に当接する取り付け板が設けられる。このため、ボルト等の支柱と梁部材との接合部材が梁部材と支柱の間に設けることができる。これにより、接合部材が梁部材の上流側に露出することがなく、土砂および石礫の衝突を抑えることができるため、剛性が高く、より耐久性に優れた梁部材の取付構造を施工することが可能となる。また、へこみ変形によるエネルギー吸収を妨げないことから効率的なエネルギー吸収が可能となる。
【0013】
特に、第2発明によれば、礫等を捕捉する梁部材が支柱の上流側に保護するように着脱自在に取り付けられていることから、礫衝突時においても支柱は損傷せず、梁部材等の捕捉部材が損傷を受けた場合においても、梁部材等の捕捉部材が容易に交換でき、施設の維持管理にも優れた土砂捕捉柵を設置することが可能となる。
【0014】
特に、第3発明によれば、梁部材の下流側の側面と取り付け板の上流側の主平面とを接合する接合部をさらに備える。これにより、接合部が上流側に露出することがなく、梁部材と取り付け板との接合の耐久性が上がる。また、梁部材の上流側を接合部で拘束しないため効率的なエネルギー吸収が可能となる。
【0015】
特に、第4発明によれば、接合部の上流側の端面は、梁部材の下流側の側面に沿うように形成される。これにより、梁部材の下流側の側面と接合部の上流側の端面とが当接可能となるため、梁部材と接合部の接合の剛性が上がる。
【0016】
特に、第5発明によれば、土砂捕捉柵は、梁部材の取付構造を用いる。これにより、渓流に設けられた場合であっても、剛性が高く、耐久性に優れ、かつ効率的なエネルギー吸収に優れた土砂捕捉柵を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態における土砂捕捉柵の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態における斜材を下流側に設けた場合の土砂捕捉柵の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態における斜材を上流側に設けた場合の土砂捕捉柵の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態における傾斜した支柱からなる土砂捕捉柵の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態における斜材を下流側に設けた場合の土砂捕捉柵の側面の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態における支柱の一部を示す図である。
図7図7(a)は、実施形態における梁部材の一端部を示す図である。図7(b)は、実施形態における梁部材の一端部の俯瞰図である。
図8図8(a)は、実施形態における梁部材の側面を示す図である。図8(b)は、実施形態における梁部材に予めボルトを取り付けた場合の側面を示す図である。
図9図9(a)は、実施形態における接合部の形状がくり抜き型の場合の梁部材の一端部を示す図である。図9(b)は、実施形態における接合部の形状がくり抜き型の場合の梁部材の側面を示す図である。
図10図10(a)は、実施形態における支柱と梁部材との接合部分の一例を示す図である。図10(b)は、実施形態における支柱と梁部材との接合部分の平面を示す図である。
図11図11(a)は、実施形態における支柱と接合部の形状がくり抜き型の場合の梁部材との接合部分の一例を示す図である。図11(b)は、実施形態における支柱と接合部の形状がくり抜き型の場合の梁部材との接合部分の平面を示す図である。
図12図12は、実施形態における土砂捕捉柵の設置工程を示す図である。
図13図13(a)は、実施形態における土砂捕捉柵の設置工程の支柱と梁部材とを接合する工程を示す図である。図13(b)は、実施形態における土砂捕捉柵の設置工程の支柱と梁部材との接合後を示す図である。
図14図14(a)は、実施形態における土砂捕捉柵の設置工程の支柱と接合部の形状がくり抜き型の場合の梁部材とを接合する工程を示す図である。図14(b)は、実施形態における土砂捕捉柵の設置工程の支柱と接合部の形状がくり抜き型の場合の梁部材との接合後を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態における土砂捕捉柵1の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
土砂捕捉柵1について、図1図9を用いて説明する。図1は、実施形態における土砂捕捉柵1の一例を示す図である。図2は、実施形態における鉛直方向に立設された支柱2の下流側に斜材(傾斜支柱)4を設けた場合の土砂捕捉柵1の一例を示す図である。図3は、実施形態における鉛直方向に立設された支柱2の上流側に斜材(傾斜支柱)4を設けた場合の土砂捕捉柵1の一例を示す図である。図4は、実施形態における上方に向かうにつれて下流側に傾斜するように斜設される上流側支柱2と、上方に向かうにつれて上流側に傾斜するように斜設される下流側の斜材(傾斜支柱)4とからなる土砂捕捉柵1の一例を示す図である。図5は、鉛直方向に立設された支柱の下流側に斜材(傾斜支柱)4を設けた場合の土砂捕捉柵1の側面の一例を示す図である。図6は、実施形態における支柱2の一部を示す図である。図7(a)は、実施形態における梁部材3の一端部を示す図である。図7(b)は、実施形態における梁部材3の一端部の俯瞰図である。図8(a)は、実施形態における梁部材3の側面を示す図である。図8(b)は、実施形態における梁部材3に予めボルト32を取り付けた場合の側面を示す図である。図9(a)は、実施形態における接合部34の形状がくり抜き型の場合の梁部材3の一端部を示す図である。図9(b)は、実施形態における接合部34の形状がくり抜き型の場合の梁部材3の側面を示す図である。
【0020】
土砂捕捉柵1は、例えば図1に示すように、土砂及び石礫を捕捉するための渓流に設けられる柵である。土砂捕捉柵1は、例えば複数の支柱2と、複数の支柱2における上流側に支持される梁部材3とを備える。また、土砂捕捉柵1は、複数の支柱2の間に梁部材3と図示しない金網やグレーチング、又はパンチングメタル等とをどちらも備えてもよい。また、渓流は、例えば谷出口であってもよい。また、渓流は、例えば1次谷又は0次谷であってもよい。1次谷は、開口幅より奥行きが深くなる谷であり、例えば小規模な渓流である。0次谷は、例えば常時表流水の無い谷である。また、渓流は、宅地が谷出口まで迫った地域や山沿いの道路及び鉄道付近のものであってもよい。
【0021】
また、土砂捕捉柵1は、図2に示すように、土砂捕捉柵1は、例えば鉛直方向に立設された支柱2の下流側に斜設されると共に下方に延びる斜材(傾斜支柱)4とをさらに備えてもよい。また、土砂捕捉柵1は、図3に示すように、例えば鉛直方向zに立設される複数の支柱2と、支柱2における上流側に斜設されると共に下方に延びる斜材(傾斜支柱)4と、複数の支柱2又は斜材(傾斜支柱)4の何れかの上流側に支持される梁部材3とを備えてもよい。また、土砂捕捉柵1は、図4に示すように、例えば上方に向かうにつれて下流側に傾斜して斜設される上流側支柱2と、上方に向かうにつれて上流側に傾斜するように斜設される斜材(傾斜支柱)4と、上流側支柱2の上流側に支持される梁部材3とを備えてもよい。
【0022】
支柱2は、図5に示すように、例えば鉛直方向zに立設される柱であるが、この限りではなく、任意の方向に立設されてもよい。支柱2は、例えば基礎コンクリート(現場打ち)5に埋め込まれ、設けられるがこの限りではない。支柱2は、図示しないが例えばアンカー材により、支柱2の下端2bが基礎コンクリート(現場打ち)5に固定されてもよい。支柱2は、例えばウェブ24と、ウェブ24の両端の一対のフランジ25a、25bとにより構成されるH形鋼である。また、支柱2は、渓流の流れる方向xに対して上流側のフランジ25aと下流側のフランジ25bとがウェブ24の両端に設けられる。支柱2は、H形鋼であることが好ましいが、この限りではなく、円形鋼管、角形鋼管、CT鋼、溝形鋼等を用いてもよい。支柱2は、支柱2間の間隔bが2.0m~3.0m以下となるように複数並設されてもよい。支柱2は、例えば支柱2と基礎コンクリート(現場打ち)5の上面から天端までの高さhが、1.0m~5.0mとなるように設けられてもよい。また、例えば支柱2が角形鋼管である場合、渓流の流れる方向xに対して上流側のプレートをフランジ25aとしてもよい。また、支柱2は、図6に示すように、例えば渓流の上流側のフランジ25aにボルト孔21が設けられてもよい。また、支柱2のフランジ25aの上流側の面を取付面2aとする。取付面2aは、フランジ25aの上流側の面に限らず、支柱2の上流側の側面であればよい。また、取付面2aは、平面であることが好ましいが、これに限らず、例えば湾曲していてもよい。
【0023】
斜材(傾斜支柱)4は、図2図5に示すように例えば支柱2の下流側のフランジ25bに斜設され、渓流の流れる方向xの重力方向zの下方に延びる部材である。また、斜材(傾斜支柱)4は、図3に示すように支柱2の上流側のフランジ25aに斜設され、渓流の流れる方向xと逆の方向の略鉛直方向zの下方に延びる鋼材であってもよい。斜材(傾斜支柱)4は、例えばウェブ43と、ウェブ43の両端の一対のフランジ44a、44bとにより構成されるH形鋼である。また、斜材(傾斜支柱)4は、渓流の流れる方向xに対して上流側のフランジ44aと下流側のフランジ44bとがウェブ43の両端に設けられる。また、斜材(傾斜支柱)4は、フランジ44aの上流側の面である取付面4cが設けられる。また、斜材(傾斜支柱)4は、支柱2と同じサイズであってもよいが、この限りではなく、任意のサイズのものを用いてもよい。斜材(傾斜支柱)4は、H形鋼であることが好ましいが、この限りではなく、円形鋼管、角形鋼管、CT鋼、溝形鋼等を用いてもよい。また、斜材(傾斜支柱)4は、基礎コンクリート(現場打ち)5に埋め込まれ、固定されてもよい。また、斜材(傾斜支柱)4は、図示しないがアンカー材等により基礎コンクリート(現場打ち)5に固定されてもよい。また、斜材(傾斜支柱)4は、ボルト41と、これを螺着するナット42等により、支柱2の下流側又は上流側に接合されてもよい。また、斜材(傾斜支柱)4は,あらかじめ支柱2に溶接接合されてもよい。
【0024】
梁部材3は、図7(a)に示すように、渓流の土砂及び石礫を捕捉するための梁である。梁部材3は、例えば円形鋼管、角形鋼管、CT鋼管、溝形鋼、L形鋼等を用いてもよい。梁部材3は、例えば鋼管直径が100mm以上、鋼管板厚が8mm以上となるものを用いてよい。また、梁部材3は、間隔aが最小で0.1mとなるように図2に示す支柱2の上流側に複数並設されてもよい。
【0025】
梁部材3は、図7(b)に示すように、渓流の下流側に接合部34を介して、ボルト孔35が穿設される取り付け板31が設けられる。取り付け板31の下流側の主平面を当接面31aとする。また、梁部材3は、例えば図8(b)に示すように、下流側の側面3aと取り付け板31の上流側の主平面31bとの間にボルト32等の接続部材が露出するように予め取り付けられていてもよい。接合部34は、梁部材3と取り付け板31との接合部分であり、例えば梁部材3の下流側の側面3aと取り付け板31の上流側の主平面31bとに溶接される。接合部34は、鉛直方向zと方向xとに垂直な方向yに沿って梁部材3の下流側の側面3aに溶接されると共に取り付け板31の上流側の主平面31bに溶接されることで梁部材3と取り付け板31とを接合してもよい。また、接合部34は、鉛直方向zの位置が異なるように複数設けられてもよい。また、接合部34の上流側の端面34aは、梁部材3の下流側の側面3aの方向yに沿うように形成されてもよい。また、接合部34の上流側の端面34aは、梁部材3の形状が円形鋼管の場合、梁部材3の下流側の側面3aの方向yに沿うように湾曲するように形成されてもよい。かかる場合、接合部34のxz平面における断面図の上流側の端面34aの曲率は、梁部材3のxz平面における断面図における下流側の側面3aの曲率と同じであってもよい。また、図示しないが取り付け板31は複数に分割され設けられてもよい。また、取り付け板31と接合部34は溶接されることなく、例えば山形鋼等のように一体に形成されてもよい。
【0026】
接合部34は、例えば図9(a)及び図9(b)に示すような、接合部34の上流側の端面34aが、梁部材3の下流側の側面3aの方向zに沿うように形成されるくり抜き型であってもよい。接合部34は、梁部材3の鉛直方向zに沿って下流側の側面3aに溶接されると共に取り付け板31の上流側の主平面31bに溶接されることで梁部材3と取り付け板31とを接合されてもよい。また、接合部34は、方向yの位置が異なるように複数設けられてもよい。また、接合部34は、これに限らず、任意の形状であってもよい。また、梁部材3と取り付け板31とは、任意の方法で梁部材3に接合されてもよい。
【0027】
次に、支柱2と梁部材3との取付構造について図10図11を用いて説明する。図10(a)は、実施形態における支柱2と梁部材3との接合部分の一例を示す図である。図10(b)は、実施形態における支柱2と梁部材3との接合部分の平面を示す図であり、図10(a)の平面を示す図である。図11(a)は、実施形態における支柱2と接合部34の形状がくり抜き型の場合の梁部材3との接合部分の一例を示す図である。図11(b)は、実施形態における支柱2と接合部34の形状がくり抜き型の場合の梁部材3との接合部分の平面を示す図であり、図11(a)の平面を示す図である。土砂捕捉柵1は、図10(a)に示すように、梁部材3の下流側に設けられた取り付け板31を介して、支柱2と梁部材3とが接合されている。土砂捕捉柵1は、図10(b)に示すように、支柱2の渓流の上流側の取付面2aと、梁部材3の当接面31aとを当接させ、ボルト32と、これを螺着するナット22等によりフランジ25aと取り付け板31とが接合されることにより、支柱2の上流側に梁部材3が支持される。また、接合部34の形状がくり抜き型の場合にであっても、図11(a)及び図11(b)に示すように、同様に支柱2の上流側の取付面2aと、梁部材3の当接面31aとを当接させ、接合されることにより、支柱2の上流側に梁部材3が支持される。また、支柱2と梁部材3とは、例えば支柱2に取り付けられると共に梁部材3を嵌合する図示しないU字ボルトにより、接合されてもよい。また、支柱2と梁部材3とは、例えば支柱2に取り付けられると共に梁部材3が貫通可能な孔を有する図示しない保持具により、接合されてもよい。また、支柱2と梁部材3とは、任意の方法により接合されてもよい。
【0028】
また、図3に示すような斜材(傾斜支柱)4が支柱2の上流側に斜設され、斜材(傾斜支柱)4と梁部材3とが接合される場合においても同様に、土砂捕捉柵1は、図3に示すように、斜材(傾斜支柱)4の上流側のフランジ44aの取付面4cと、梁部材3の当接面31aとを当接させ、ボルト32と、これを螺着するナット22等によりフランジ44aと取り付け板31とが接合されることにより、斜材(傾斜支柱)4の上流側に梁部材3が支持される。また、斜材(傾斜支柱)4と梁部材3とは、支柱2と梁部材3との接合方法と同様に、任意の方法により接合されてもよい。
【0029】
次に、実施形態における土砂捕捉柵1の設置工程について図12図14を用いて説明する。
【0030】
図12は、実施形態における土砂捕捉柵1の設置工程を示す図である。図13(a)は、実施形態における土砂捕捉柵1の設置工程の支柱2と梁部材3とを接合する工程を示す図である。図13(b)は、実施形態における土砂捕捉柵1の設置工程の支柱2と梁部材3との接合後を示す図である。図14(a)は、実施形態における土砂捕捉柵1の設置工程の支柱2と接合部34の形状がくり抜き型の場合の梁部材3とを接合する工程を示す図である。図14(b)は、実施形態における土砂捕捉柵1の設置工程の支柱2と接合部34の形状がくり抜き型の場合の梁部材3との接合後を示す図である。まず、S1において、複数の支柱2を鉛直方向zに立設する。支柱2は、例えば基礎コンクリート(現場打ち)5に設けられてもよい。かかる場合、図示しないがアンカー材を用いて支柱2の下端2bを基礎コンクリート(現場打ち)5に固定してもよいが、この限りではなく、支柱2の一部が基礎コンクリート(現場打ち)5に埋め込まれるように設けられてもよい。また、複数の支柱2は、等間隔に並設されてもよいが、この限りではなく、任意の間隔で並設されてもよい。
【0031】
次に、S2において、支柱2に斜材(傾斜支柱)4を下流側に接合する。また、斜材(傾斜支柱)4と支柱2とを基礎コンクリート(現場打ち)5に埋め込み、固定してもよい。また、斜材(傾斜支柱)4は、支柱2の下流側のフランジ25bに接合されてもよい。斜材(傾斜支柱)4は、渓流の流れる方向xの鉛直方向zの下方に延びるように設けられる。
【0032】
また、S2において、図3に示すように、支柱2に斜材(傾斜支柱)4を上流側に接合してもよい。また、斜材(傾斜支柱)4と支柱2とを基礎コンクリート(現場打ち)5に埋め込み、固定してもよい。また、斜材(傾斜支柱)4は、支柱2の上流側のフランジ25aに接合されてもよい。斜材(傾斜支柱)4は、渓流の流れる方向xの反対の方向の鉛直方向zの下方に延びるように設けられる。これにより、渓流の流れる方向xに働く力対する抵抗力fが働き、土砂捕捉柵1の耐力が向上する。
【0033】
次に、S3において、図13(a)及び図13(b)に示すように、梁部材3を支柱2の上流側に設ける。かかる場合、梁部材3は、支柱2における上流側の取付面2aに対して当接面31aを当接し、接合することにより、支柱2に支持される。また、任意の数の梁部材3を支柱2に支持させてもよい。また、接合部34の形状がくり抜き型の場合においても同様に、図14(a)及び図14(b)に示すように、梁部材3は、支柱2における上流側の取付面2aに対して当接面31aを当接し、接合することにより、支柱2に支持される。
【0034】
また、S3において、S2で支柱2に斜材(傾斜支柱)4を上流側に接合した場合、梁部材3は、図3に示す斜材(傾斜支柱)4における上流側の取付面4cに対して当接面31aを当接し、接合することにより、斜材(傾斜支柱)4に支持されてもよい。
【0035】
上述した工程により、実施形態における土砂捕捉柵1の設置が完了する。また、土砂捕捉柵1の設置は、上述した方法に限らず、任意の方法で設置してもよい。また、土砂捕捉柵1は、予め組み立てられたものを、渓流に設置してもよい。
【0036】
以上、本発明の実施形態に係る土砂捕捉柵1について説明をした。本発明の実施形態に係る土砂捕捉柵1は、梁部材3が支柱2における上流側の取付面2aに当接する当接面31aが渓流の下流側に設けられる。これにより、取付面2aと当接面31aとを当接し、接合することにより、梁部材3が支持され、渓流の上流側にボルトやプレート等の接合部材が露出することがなくなるため、剛性が高く、より耐久性に優れた土砂捕捉柵1を設置することが可能となる。また、へこみ変形によるエネルギー吸収を妨げないことから効率的なエネルギー吸収が可能となる。
【0037】
また、本発明の実施形態に係る土砂捕捉柵1は、支柱2及び斜材(傾斜支柱)4がアンカー材により固定されてもよい。これにより、土砂捕捉柵1は、基礎コンクリート(現場打ち)5等の土台が無い場合でも、例えば図示しないコンクリートブロック等に設置することが可能となり、より低コストで設置することができる。
【0038】
また、本発明の実施形態に係る土砂捕捉柵1は、梁部材3が支柱2の上流側に設けられる。これにより、支柱2へ礫が直撃することを防ぐことが可能となる。
【0039】
また、本発明の実施形態に係る土砂捕捉柵1は、間隔aが最小で0.1mとなる複数の梁部材3が支柱2の上流側に設けられる。このため、礫の最小径が0.15m程度であっても、礫を捕捉することが可能となる。
【0040】
また、本発明の実施形態に係る土砂捕捉柵1は、支柱2と梁部材3とがボルト32と、これを螺着するナット22により接合される。これにより、梁部材3が損傷した場合であっても、容易に梁部材3を交換することが可能となる。
【0041】
また、本発明の実施形態に係る土砂捕捉柵1は、接合部34の上流側の端面34aが、梁部材3の下流側の側面3aに沿うように形成される。これにより、接合部34の上流側の端面34aと梁部材3の下流側の側面3aとを当接させ、接合することが可能となるため、接合部34と梁部材3との接合の剛性が上がる。
【0042】
また、本発明の実施形態に係る土砂捕捉柵1は、梁部材3が、下流側の側面3aと取り付け板31の上流側の主平面31bとの間にボルト32等の接続部材が設けられる。これにより、梁部材3の上流側にボルトやプレート等の接合部材が露出することがなくなるため、より耐久性に優れた土砂捕捉柵1を設置することが可能となる。
【0043】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 土砂捕捉柵
2 支柱
2a 取付面
2b 下端
3 梁部材
3a 側面
4 斜材(傾斜支柱)
4a 下端
4c 取付面
5 基礎コンクリート(現場打ち)
21 ボルト孔
22 ナット
24 ウェブ
25 フランジ
25a 上流側のフランジ
25b 下流側のフランジ
31 取り付け板
31a 当接面
31b 主平面
32 ボルト
34 接合部
34a 端面
35 ボルト孔
41 ボルト
42 ナット
43 ウェブ
44 フランジ
44a 上流側のフランジ
44b 下流側のフランジ
図1
図2
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