(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143181
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055714
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】坂本 泰一
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 俊祐
(72)【発明者】
【氏名】エン トマ
(72)【発明者】
【氏名】エラスラン カーン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB14
4C601BB24
4C601DD14
4C601DD15
4C601EE11
4C601FE04
4C601KK02
(57)【要約】
【課題】超音波画像の読影を支援する情報処理方法等を提供すること。
【解決手段】情報処理方法は、超音波画像60を取得し、超音波画像60を入力した場合に、生体組織領域75と非生体組織領域70とに分類した第1分類データ61を出力するモデル51に前記超音波画像60を入力して、前記モデル51から出力された第1分類データ61を取得し、前記第1分類データ61のうち、前記非生体組織領域70について、領域分割の手法を用いて複数の領域に分類した第2分類データ62を取得し、前記第2分類データ62を構成する前記複数の領域を、前記超音波画像60の撮影に用いたセンサに最も近い第1内腔領域71と、前記超音波画像の外縁と接触している非内腔領域74と、前記第1内腔領域71および前記非内腔領域74のいずれにも分類されない第2内腔領域72と、に再分類した第3分類データ63を出力する処理をコンピュータが実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像を取得し、
超音波画像を入力した場合に、生体組織領域と非生体組織領域とに分類した第1分類データを出力するモデルに前記超音波画像を入力して、前記モデルから出力された第1分類データを取得し、
前記第1分類データのうち、前記非生体組織領域について、領域分割の手法を用いて複数の領域に分類した第2分類データを取得し、
前記第2分類データを構成する前記複数の領域を、前記超音波画像の撮影に用いたセンサに最も近い第1内腔領域と、前記超音波画像の外縁と接触している非内腔領域と、前記第1内腔領域および前記非内腔領域のいずれにも分類されない第2内腔領域と、に再分類した第3分類データを出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記モデルは、前記超音波画像を入力した場合に、前記第1分類データを出力する学習済モデルである
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記学習済モデルは、前記超音波画像を入力した場合に、前記非生体組織領域が仮内腔領域および仮非内腔領域に分類された前記第1分類データを出力する
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記超音波画像は、管腔器官の内側に挿入された画像取得用カテーテルを用いて取得された画像であり、
前記学習済モデルは、前記超音波画像を生体組織領域、前記画像取得用カテーテルが挿入された仮第1内腔領域、前記画像取得用カテーテルが挿入されていない仮第2内腔領域、およびその他の領域に分類する
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記第3分類データは、前記超音波画像を構成する各画素に分類を示すタグを付与したデータであり、
前記タグは、前記超音波画像のうち、前記第1内腔領域を示すタグと、前記第2内腔領域を示すタグと、前記画像取得用カテーテルから遠い側の縁に接する領域を示すタグと、生体組織領域を示すタグとを含む
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記第1分類データにおいて、矛盾が認められない場合に、前記第2分類データの取得をスキップし、前記第1分類データを前記第3分類データとして出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記領域分割の手法は、
前記第1分類データのうち、前記生体組織領域を膨張させ、
膨張させた前記生体組織領域により互いに分離した前記非生体組織領域にそれぞれタグを付与し、
それぞれの前記非生体組織領域を、膨張させる前の前記生体組織領域、または、他のタグが付与された非生体組織領域に接するまで膨張させることにより、
前記第1分類データの非生体組織領域を、前記タグごとに分かれた複数の領域に分割する手法である
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【請求項8】
超音波画像を取得し、
超音波画像を入力した場合に、生体組織領域と非生体組織領域とに分類した第1分類データを出力するモデルに前記超音波画像を入力して、前記モデルから出力された第1分類データを取得し、
前記第1分類データのうち、前記非生体組織領域について、領域分割の手法を用いて複数の領域に分類した第2分類データを取得し、
前記第2分類データを構成する前記複数の領域を、前記超音波画像の撮影に用いたセンサに最も近い第1内腔領域と、前記超音波画像の外縁と接触している非内腔領域と、前記第1内腔領域および前記非内腔領域のいずれにも分類されない第2内腔領域と、に再分類した第3分類データを出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項9】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
超音波画像を取得し、
超音波画像を入力した場合に、生体組織領域と非生体組織領域とに分類した第1分類データを出力するモデルに前記超音波画像を入力して、前記モデルから出力された第1分類データを取得し、
前記第1分類データのうち、前記非生体組織領域について、領域分割の手法を用いて複数の領域に分類した第2分類データを取得し、
前記第2分類データを構成する前記複数の領域を、前記超音波画像の撮影に用いたセンサに最も近い第1内腔領域と、前記超音波画像の外縁と接触している非内腔領域と、前記第1内腔領域および前記非内腔領域のいずれにも分類されない第2内腔領域と、に再分類した第3分類データを出力する
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラムおよび情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用超音波画像を解析して、画像中の各部分に描出されている組織を分類するセグメンテーション処理を行なえる超音波診断装置が提案されている。組織の分類には、学習済モデルを利用できる。分類結果をたとえばカラーマップで表示することにより、超音波画像の読影を支援できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、たとえば心腔内領域のように複雑な構造の場所では、正確な分類結果を得られない場合がある。誤った分類結果を表示した場合には、超音波画像の読影を支援できない。
【0005】
一つの側面では、超音波画像の読影を支援する情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(1)
超音波画像を取得し、
超音波画像を入力した場合に、生体組織領域と非生体組織領域とに分類した第1分類データを出力するモデルに前記超音波画像を入力して、前記モデルから出力された第1分類データを取得し、
前記第1分類データのうち、前記非生体組織領域について、領域分割の手法を用いて複数の領域に分類した第2分類データを取得し、
前記第2分類データを構成する前記複数の領域を、前記超音波画像の撮影に用いたセンサに最も近い第1内腔領域と、前記超音波画像の外縁と接触している非内腔領域と、前記第1内腔領域および前記非内腔領域のいずれにも分類されない第2内腔領域と、に再分類した第3分類データを出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法である。
【0007】
ここで、本発明の実施形態は、
(2)上記(1)に記載の情報処理方法は、
前記モデルは、前記超音波画像を入力した場合に、前記第1分類データを出力する学習済モデルであることが好ましい。
【0008】
(3)上記(2)に記載の情報処理方法は、
前記学習済モデルは、前記超音波画像を入力した場合に、前記非生体組織領域が仮内腔領域および仮非内腔領域に分類された前記第1分類データを出力することが好ましい。
【0009】
(4)上記(2)または(3)に記載の情報処理方法は、
前記超音波画像は、管腔器官の内側に挿入された画像取得用カテーテルを用いて取得された画像であり、
前記学習済モデルは、前記超音波画像を生体組織領域、前記画像取得用カテーテルが挿入された仮第1内腔領域、前記画像取得用カテーテルが挿入されていない仮第2内腔領域、およびその他の領域に分類することが好ましい。
【0010】
(5)上記(4)に記載の情報処理方法は、
前記第3分類データは、前記超音波画像を構成する各画素に分類を示すタグを付与したデータであり、
前記タグは、前記超音波画像のうち、前記第1内腔領域を示すタグと、前記第2内腔領域を示すタグと、前記画像取得用カテーテルから遠い側の縁に接する領域を示すタグと、生体組織領域を示すタグとを含むことが好ましい。
【0011】
(6)上記(1)に記載の情報処理方法は、
前記第1分類データにおいて、矛盾が認められない場合に、前記第2分類データの取得をスキップし、前記第1分類データを前記第3分類データとして出力することが好ましい。
【0012】
(7)上記(1)から(6)のいずれかに記載の情報処理方法は、
前記領域分割の手法は、
前記第1分類データのうち、前記生体組織領域を膨張させ、
膨張させた前記生体組織領域により互いに分離した前記非生体組織領域にそれぞれタグを付与し、
それぞれの前記非生体組織領域を、膨張させる前の前記生体組織領域、または、他のタグが付与された非生体組織領域に接するまで膨張させることにより、
前記第1分類データの非生体組織領域を、前記タグごとに分かれた複数の領域に分割する手法であることが好ましい。
【0013】
(8)プログラムは、
超音波画像を取得し、
超音波画像を入力した場合に、生体組織領域と非生体組織領域とに分類した第1分類データを出力するモデルに前記超音波画像を入力して、前記モデルから出力された第1分類データを取得し、
前記第1分類データのうち、前記非生体組織領域について、領域分割の手法を用いて複数の領域に分類した第2分類データを取得し、
前記第2分類データを構成する前記複数の領域を、前記超音波画像の撮影に用いたセンサに最も近い第1内腔領域と、前記超音波画像の外縁と接触している非内腔領域と、前記第1内腔領域および前記非内腔領域のいずれにも分類されない第2内腔領域と、に再分類した第3分類データを出力する
処理をコンピュータに実行させることが好ましい。
【0014】
(9)制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部は、
超音波画像を取得し、
超音波画像を入力した場合に、生体組織領域と非生体組織領域とに分類した第1分類データを出力するモデルに前記超音波画像を入力して、前記モデルから出力された第1分類データを取得し、
前記第1分類データのうち、前記非生体組織領域について、領域分割の手法を用いて複数の領域に分類した第2分類データを取得し、
前記第2分類データを構成する前記複数の領域を、前記超音波画像の撮影に用いたセンサに最も近い第1内腔領域と、前記超音波画像の外縁と接触している非内腔領域と、前記第1内腔領域および前記非内腔領域のいずれにも分類されない第2内腔領域と、に再分類した第3分類データを出力する情報処理装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
一つの側面では、超音波画像の読影を支援する情報処理方法等を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】情報処理システムの構成を説明する説明図である。
【
図4】第1分類データから第3分類データを作成する処理を説明する説明図である。
【
図5】第1分類データから第3分類データを作成する処理を説明する説明図である。
【
図6】第1分類データから第3分類データを作成する処理を説明する説明図である。
【
図7】第1分類データから第3分類データを作成する処理を説明する説明図である。
【
図8】プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図9】領域分離データ作成のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図10】タグ付与のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図11】変形例1の第1分類データから第3分類データを生成する処理を説明する説明図である。
【
図12】変形例1のタグ付与のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図13】変形例2の第1分類データから第3分類データを生成する処理を説明する説明図である。
【
図14】変形例2のタグ付与のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図15】変形例3の第1分類データから第3分類データを生成する処理を説明する説明図である。
【
図16】実施の形態2の情報処理システムの構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態1]
図1は、分類処理の概要を説明する説明図である。ラジアル走査型の画像取得用カテーテル32(
図2参照)を用いて、心房または心室等の内側から撮影されたRT(Radius-Theta)形式の超音波画像60に対して分類処理を行なう場合を例にして説明する。
【0018】
画像取得用カテーテル32は、シース321(
図2参照)の内部で回転するセンサ36(
図2参照)を備える。センサ36は、超音波トランスデューサである。センサ36が回転しながら超音波を送受信することにより、シース321を中心とする放射線状に走査線が生成される。
【0019】
図1に示すRT形式の超音波画像60は、センサ36が一回転する間に作成された走査線を互いに平行に並べて生成した画像である。それぞれの走査線は、水平に配置されている。超音波画像60の横方向は、画像取得用カテーテル32からの距離を示す。超音波画像60の左端は、画像取得用カテーテル32を示す。超音波画像60の縦方向は、走査角度を示す。
【0020】
第1分類データ61は、超音波画像60を構成する各画素について、描出されている被写体ごとに分類したタグを付与したデータである。各画素ごとの代わりに、たとえば縦2画素、横2画素の4画素ごとにタグが付与されてもよい。制御部21(
図2参照)は、後述する分類モデル51(
図2参照)に超音波画像60を入力することにより、分類モデル51から出力される第1分類データ61を取得する。
【0021】
第1分類データ61は、各画素を付与されたタグに基づいて色分けした画像を用いることにより、直感的に理解しやすく表示できる。第1分類データ61において太い右下がりのハッチングは、画像取得用カテーテル32が挿入されている腔を形成する生体組織領域75であると分類された部分を示す。以後の説明では、生体組織領域75であると分類されていない部分を、非生体組織領域70と記載する。
【0022】
細い左下がりのハッチングは、画像取得用カテーテル32の先端部分が挿入されている管腔器官の内部であると分類された仮第1内腔領域81を示す。画像取得用カテーテル32が血管等の循環器の内腔に挿入されている場合には、仮第1内腔領域81は血流領域に対応する。細い右下がりのハッチングは第1腔以外の管腔器官の内側領域であると分類された仮第2内腔領域82を示す。仮第1内腔領域81と仮第2内腔領域82とを区別する必要がない場合には、仮内腔領域83と記載する。太い左下がりのハッチングは、非生体組織領域70のうち仮内腔領域83ではない領域であると分類された仮非内腔領域84を示す。分類の詳細については後述する。
【0023】
第1分類データ61のうち、四角い破線枠で囲んだ部分においては、仮第2内腔領域82と仮非内腔領域84とが複雑に入り乱れている。仮第2内腔領域82は、本来であれば生体組織領域75により囲まれて、仮非内腔領域84および仮第1内腔領域81とは分離した領域である。たとえば、薄い生体組織領域75が超音波画像60に描出されない場合がある。しかしながら、破線枠で囲んだように、仮第2内腔領域82と仮非内腔領域84との間に長く複雑な形状の境界線が形成されている状態は、観察対象である生体の形状とは矛盾している。
【0024】
破線枠内は、実際の形状を反映したものではなく、分類モデル51による誤分類に起因している。心臓領域のような複雑な形状を有する部位では、たとえば超音波画像60に含まれるアーティファクトおよびノイズ等の影響により、誤分類が偶発的に発生する可能性がある。
【0025】
制御部21は、第1分類データ61のうち非生体組織領域70に対して後述する領域分割を行ない、第1分類データ61に比べて領域間の境界線が短い第2分類データ62を作成する。制御部21は、所定のルールに基づいてそれぞれの領域を第1内腔領域71と第2内腔領域72とを含む内腔領域73と、非内腔領域74とに分類する。以上により、第1分類データ61の誤分類を正しく修正した第3分類データ63が作成される。
【0026】
図2は、情報処理システム10の構成を説明する説明図である。情報処理システム10は、情報処理装置20および超音波診断装置30を備える。超音波診断装置30には、前述の画像取得用カテーテル32に加えて、リニア型プローブ33、コンベックス型プローブ34、および図示を省略するセクタ型プローブ等の様々なプローブ39を接続できる。
【0027】
画像取得用カテーテル32は、MDU(Motor Driving Unit)328を介して超音波診断装置30に接続される。MDU328は、シャフト323の先端に取り付けられたセンサ36を、シース321の内部で回転させる。
【0028】
MDU328は、シース321の内部でセンサ36およびシャフト323を回転させながら、さらにセンサ36を進退させることにより、三次元走査を実現してもよい。センサ36の進退操作には、画像取得用カテーテル32全体を進退させる操作と、シース321の内部でセンサ36を進退させる操作との両方を含む。進退操作は、MDU328により所定の速度で自動的に行なわれても、ユーザにより手動で行なわれても良い。
【0029】
なお、画像取得用カテーテル32は機械的に回転を行なう機械走査方式に限定しない。複数のセンサ36を環状に配置した、電子ラジアル走査型の画像取得用カテーテル32であってもよい。電子ラジアル走査型の画像取得用カテーテル32は、MDU328を介さずに超音波診断装置30に接続して使用される。
【0030】
リニア型プローブ33は、直線状に配列された複数のセンサ36を先端に有する。コンベックス型プローブ34は、凸面状に配列された複数のセンサ36を先端に有する。センサ36から超音波を放射し、生体内で反射した超音波をセンサ36で受信して超音波画像60を生成する処理については、従来から行われているため、超音波診断装置30の構成および動作の詳細については説明を省略する。
【0031】
超音波診断装置30は、たとえば画像取得用カテーテル32専用機であってもよい。プローブ39は、経食道エコープローブまたは超音波内視鏡であってもよい。
【0032】
情報処理装置20は、制御部21、主記憶装置22、補助記憶装置23、通信部24、表示部25、入力部26およびバスを備える。情報処理装置20と超音波診断装置30とは、有線または無線で接続されている。
【0033】
制御部21は、本実施の形態のプログラムを実行する演算制御装置である。制御部21には、一または複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)またはマルチコアCPU等が使用される。制御部21は、バスを介して情報処理装置20を構成するハードウェア各部と接続されている。
【0034】
主記憶装置22は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置22には、制御部21が行なう処理の途中で必要な情報および制御部21で実行中のプログラムが一時的に保存される。
【0035】
補助記憶装置23は、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクまたは磁気テープ等の記憶装置である。補助記憶装置23には、分類モデル51、制御部21に実行させるプログラム、およびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。通信部24は、情報処理装置20とネットワークとの間の通信を行なうインターフェースである。
【0036】
表示部25は、たとえば液晶表示パネルまたは有機EL(electro-luminescence)パネル等である。入力部26は、キーボードおよびマウスである。表示部25と入力部26が積層されて、タッチパネルを構成していてもよい。
【0037】
情報処理装置20は、汎用のパソコン、タブレット、スマートフォン、大型計算機、大型計算機上で動作する仮想マシン、または、量子コンピュータである。情報処理装置20は、分散処理を行なう複数のパソコン、または大型計算機等のハードウェアにより構成されても良い。情報処理装置20は、クラウドコンピューティングシステムにより構成されても良い。情報処理装置20は、連携して動作する複数のパソコン、または大型計算機等のハードウェアにより構成されてもよい。
【0038】
情報処理装置20と超音波診断装置30とは一体に構成されており、制御部21が超音波診断装置30の動作を制御してもよい。情報処理装置20と超音波診断装置30とは直接接続されていなくてもよい。たとえば超音波診断装置30から図示を省略するネットワークドライブに超音波画像60がアップロードされ、制御部21がネットワークドライブから超音波画像60を取得してもよい。超音波画像60は、超音波診断装置30内の図示を省略する記憶装置に保存されており、ユーザがUSB(Universal Serial Bus)メモリ等を介して、超音波画像60を情報処理装置20に読み込ませてもよい。
【0039】
分類モデル51は、超音波画像60の入力を受け付けて、超音波画像60を構成する各画素についてタグを付与した第1分類データ61を出力する学習済モデルである。分類モデル51は、たとえば超音波画像60と、専門家が手作業で超音波画像60の各部位を分類した正解データとを組み合わせた訓練データを使用して機械学習により生成された、セマンテックセグメンテーションモデルである。
【0040】
分類モデル51は、セマンテックセグメンテーションモデルから出力されたデータに対して、ルールベースの処理を追加で行なうことにより作成した第1分類データ61を出力するモデルであってもよい。分類モデル51は、超音波画像60を構成する各画素の輝度値およびスペックルパターンの性状等に基づいて、ルールベースで各画素を分類した第1分類データ61を出力するモデルであってもよい。
【0041】
いずれの場合であっても、生体組織領域75と、非生体組織領域70との区別は比較的高い正解率で分類可能である。しかしながら
図1に例示したように、非生体組織領域70を構成する仮第1内腔領域81、仮第2内腔領域82および仮非内腔領域84との間では、
図1に例示したように偶発的な誤分類が生じる場合がある。したがって、以下の説明においては、仮第1内腔領域81、仮第2内腔領域82および仮非内腔領域84を示すタグを、第1仮タグと記載する。
【0042】
図3は、走査方式を説明する説明図である。まず、ラジアル走査方式について説明する。画像取得用カテーテル32は、前述のとおりシース321の内部でセンサ36が回転しながら超音波を送受信して、ラジアル走査を実現する。
図3に矢印で示すように、シース321を中心とする放射線状に走査線が生成される。
【0043】
ラジアル走査方式では、
図1を使用して説明したRT方式に加えて、XY形式の超音波画像60も使用される。まず、RT形式の超音波画像60について説明する。前述の通り、RT形式の超音波画像60は、センサ36が一回転する間に作成された走査線を互いに平行に並べて生成した画像である。
【0044】
図3に示すRT形式の超音波画像60では、それぞれの走査線は水平に配置されている。超音波画像60の外形形状は長方形である。以下の説明では、超音波画像60の右辺、すなわち画像取得用カテーテル32から遠い側の辺を外縁601と記載する。超音波画像60の上辺および下辺、すなわち走査線に平行な辺を側縁602と記載する。超音波画像60の左辺、すなわち画像取得用カテーテル32側の辺を内縁603と記載する。上側の側縁602に対応する走査線と、下側の側縁602に対応する走査線とは、隣接する走査線である。すなわち、RT形式の画像においては、上下の側縁602の情報は連続している。
【0045】
次に、XY形式の超音波画像60について説明する。XY形式は、それぞれの走査線を放射状に並べて補間することにより生成した画像である。XY形式の超音波画像60は、センサ36の位置で画像取得用カテーテル32に対して垂直に被写体を切断した断層像を示す。
【0046】
XY形式の超音波画像60の外形形状は円形である。以下の説明では、超音波画像60の外周部を外縁601と記載し、超音波画像60の中心部の小円を内縁603と記載する。中心部の小円は、たとえばセンサ36で発生するリンギングノイズ等の影響を避けるために表示される、白色または黒色の円形である。XY形式の超音波画像60は、側縁602を有さない。
【0047】
医師が診断を行なう際には、被写体の実際の形状を描出できるXY形式が適している。分類モデル51の入出力およびデータ処理には、補間を行なっていないRT形式が適している。RT形式とXY形式との間の画像変換方法は公知であるため、説明を省略する。
図1を使用して説明した、第1分類データ61、第2分類データ62および第3分類データ63も、RT形式からXY形式に変換可能である。
【0048】
リニア走査方式について説明する。リニア走査方式では、リニア型プローブ33の先端に直線状に配列された複数のセンサ36を用いて、
図3に矢印で示すように複数の走査線が平行に形成される。超音波画像60の外形形状は長方形であり、リニア型プローブ33の先端部から走査線の方向に延びる平面により被写体を切断した断層像を示す。
【0049】
以下の説明では、超音波画像60の下辺、すなわち画像取得用カテーテル32から遠い側の辺を外縁601と記載する。超音波画像60の上辺、すなわち画像取得用カテーテル32に近い側の辺を内縁603と記載する。超音波画像60の左右の辺、すなわち走査線に平行な辺を側縁602と記載する。
【0050】
コンベックス走査方式について説明する。コンベックス走査方式では、コンベックス型プローブ34の先端に直線状に配列された複数のセンサ36を用いて、
図3に矢印で示すようにコンベックス型プローブ34の表面に対して略垂直な複数の走査線が形成される。超音波画像60の外形形状は扇形であり、リニア型プローブ33の先端部から走査線の方向に延びる平面により被写体を切断した断層像を示す。
【0051】
以下の説明では、扇型の外周側の辺、すなわち画像取得用カテーテル32から遠い側の辺を外縁601と記載する。扇形の内周側の辺、すなわち画像取得用カテーテル32に近い側の辺を内縁603と記載する。超音波画像60の左右の辺、すなわち走査線に平行な辺を側縁602と記載する。
【0052】
図4から
図7は、第1分類データ61から第3分類データ63を作成する処理を説明する説明図である。前述の通り、制御部21は超音波画像60を分類モデル51に入力して、超音波画像60を構成する各画素が、生体組織領域75、仮第1内腔領域81、仮第2内腔領域82および仮非内腔領域84の4種類に分類された第1分類データ61を取得する。前述のとおり、生体組織領域75は比較的高い正解率で分類可能である。
【0053】
制御部21は、仮第1内腔領域81、仮第2内腔領域82および仮非内腔領域84に対応する第1仮タグを、非生体組織領域70に対応するタグに変更して、超音波画像60を非生体組織領域70と生体組織領域75との二つの領域に分けた生体組織領域データ65を作成する。
図4においては、非生体組織領域70をハッチングの無い領域で示す。
【0054】
制御部21は、生体組織領域データ65のうち、生体組織領域75に対して膨張処理を行ない、超音波画像60を膨張生体組織領域751とそれ以外の領域である周辺領域701とに分けた膨張生体組織領域データ66を作成する。膨張処理は、公知の膨張フィルタにより実現できる。
図4においては、膨張生体組織領域751を太い右下がりのハッチングで、周辺領域701をハッチングの無い領域でそれぞれ示す。
【0055】
制御部21は、生体組織領域データ65と膨張生体組織領域データ66とを合成して、領域分離データ67を作成する。領域分離データ67は、超音波画像60に描出されている領域を生体組織領域75と、分離領域76と周辺領域701とに分けたデータである。領域分離データ67における生体組織領域75は、生体組織領域データ65における生体組織領域75と同一の領域である。周辺領域701は膨張生体組織領域データ66において周辺領域701である領域である。
【0056】
分離領域76は、生体組織領域75でも周辺領域701でもない領域である。すなわち分離領域76は、膨張生体組織領域751から生体組織領域75を除いた領域である。
図4においては、分離領域76を黒塗りで示す。領域分離データ67においては、生体組織領域75と周辺領域701とが、太い分離領域76により明確に分離されている。さらに周辺領域701は、分離領域76により複数の領域に分割されている。
【0057】
図5の上側の図に移動して説明を続ける。制御部21は、分離領域76により分割されたそれぞれの周辺領域701に対して、第2仮タグを付与する。
図5においては第1タグ領域871、第2タグ領域872、第3タグ領域873、第4タグ領域874、第5タグ領域875および第6タグ領域876の6種類の仮タグが付与されている。以下の説明では、第1タグ領域871から第6タグ領域876をまとめて仮タグ領域と記載する場合がある。
【0058】
図5の下側の図に移動して説明を続ける。制御部21は、それぞれの仮タグ領域について、生体組織領域75または他の仮タグ領域に接触するまで膨張処理を行なう。膨張処理が終了した状態の領域分離データ67を、
図5の下側に示す。内側に仮タグ領域を含まずに、孤立していた3個の分離領域76が残っている。
【0059】
以上に説明した、
図4に示した生体組織領域データ65から、
図5に示した領域分離データ67を得る手順には、Watershed法が利用されている。Watershed法は、非生体組織領域70を複数の領域に分割する領域分割の手法の例示である。領域分割には、たとえば分割・統合法、二値化、Active contour法、Meanshift法、GraphCuts法、Region Growing法等の任意の領域分割手法が利用されてもよい。
【0060】
図6の上側の図に移動して説明を続ける。制御部21は、残っている分離領域76に対して、それぞれ新たな仮タグを付与して、第7タグ領域877、第8タグ領域878および第9タグ領域879にする。以上により、
図1の下から2番目に示した第2分類データ62が完成する。
【0061】
図6の下側の図に移動して説明を続ける。制御部21は、仮タグ領域のうち
図3を使用して説明した外縁601に接している部分の第2仮タグ同士を揃える。具体的には、
図6の上側の図において、第2タグ領域872、第3タグ領域873、第9タグ領域879および第2タグ領域872に付与されている第2仮タグを、すべて第2タグ領域872の第2仮タグに変更する。なお、仮に内縁603に接している仮タグ領域が複数ある場合には、制御部21はそれらの領域の第2仮タグ同士も揃える。
【0062】
図7の上側の図に移動して説明を続ける。制御部21は、上下の側縁602の同じ位置に接する仮タグ領域同士の第2仮タグ同士を揃える。具体的には、下側の側縁602のうち、第5タグ領域875が接している位置は、上側の側縁602においては第2タグ領域872が接している。したがって制御部21は、第5タグ領域875に付与されている第2仮タグを第2タグ領域872の第2仮タグに変更する。
【0063】
同様に、上側の側縁602のうち、第8タグ領域878に接している位置は、下側の側縁602においては第7タグ領域877に接している。したがって制御部21は、第8タグ領域878に付与されている第2仮タグを第7タグ領域877の第2仮タグに変更する。以上により、第2分類データ62の作成が完了する。
【0064】
図7の下側の図に移動して説明を続ける。制御部21は、内縁603に接している第1タグ領域871の第2仮タグを、第1内腔領域71のタグに変更する。すなわち制御部21は、センサ36に最も近い仮タグ領域を、第1内腔領域71に変更する。
【0065】
制御部21は、外縁601に接している第2タグ領域872の第2仮タグを、非内腔領域74のタグに変更する。制御部21は、外縁601にも内縁603にも接していない第6タグ領域876および第7タグ領域877の仮タグを、第2内腔領域72のタグに変更する。以上により、
図1の一番下に示した第3分類データ63が完成する。
【0066】
図8は、プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。超音波診断装置30は、超音波画像60を生成し(ステップS601)、情報処理装置20に送信する処理を繰り返す(ステップS602)。超音波診断装置30の動作については公知であるため、詳細については説明を省略する。
【0067】
制御部21は、超音波診断装置30から超音波画像60を受信する(ステップS501)。制御部21は、超音波画像60を分類モデル51に入力して、分類モデル51から出力される第1分類データ61を取得する(ステップS502)。制御部21は、第1分類データ61に矛盾があるか否かを判定する(ステップS503)。
【0068】
たとえば、
図1中の第1分類データ61に例示したように、仮第2内腔領域82と仮非内腔領域84との間の境界線は矛盾である。同様に、仮第1内腔領域81と仮第2内腔領域82との境界線、および、仮第1内腔領域81と仮非内腔領域84との境界線のように、生体組織領域75を介さずに領域同士が接触する境界線も矛盾である。制御部21は、このような境界線の合計長さが所定の閾値よりも長い場合に、第1分類データ61に矛盾があると判定する。
【0069】
制御部21は、分類モデル51から第1分類データ61とともに信頼度を取得し、信頼度が所定の閾値よりも低い場合にステップS503において矛盾があると判定してもよい。情報処理システム10は、分類モデル51に加えて第1分類データ61の入力を受け付けて矛盾があるか否かを出力するように学習した矛盾判定モデルを有してもよい。
【0070】
矛盾があると判定した場合(ステップS503でYES)、制御部21は領域分離データ作成のサブルーチンを起動する(ステップS504)。領域分離データ作成のサブルーチンは、第1分類データ61に基づいて生体組織領域75と周辺領域701とが分離領域76により分離された領域分離データ67を作成するサブルーチンである。領域分離データ作成のサブルーチンの処理の流れは後述する。
【0071】
制御部21は、分離領域76により分離された周辺領域701のそれぞれに第2仮タグを付与する(ステップS505)。制御部21は、それぞれの仮タグ領域について、生体組織領域75または他の仮タグ領域に接触するまで膨張処理を行なう(ステップS506)。制御部21は残存している分離領域76のそれぞれに第2仮タグを付与する(ステップS507)。以上により、第2分類データ62の作成が終了する。
【0072】
制御部21は、タグ付与のサブルーチンを起動する(ステップS508)。タグ付与のサブルーチンは、第2仮タグに基づいてそれぞれの領域にたとえば第1内腔領域71、第2内腔領域72および非内腔領域74のタグを付与する再分類の処理により、第3分類データ63を作成するサブルーチンである。タグ付与のサブルーチンの処理の流れは後述する。
【0073】
第1分類データ61に矛盾がないと判定した場合(ステップS503でNO)、制御部21は、仮第1内腔領域81のタグを第1内腔領域71のタグに、仮第2内腔領域82のタグを第2内腔領域72のタグに、仮非内腔領域84のタグを非内腔領域74のタグにそれぞれ変換する(ステップS509)。以上により第1分類データ61が第3分類データ63に変換される。
【0074】
ステップS508またはステップS509の終了後、制御部21は第3分類データ63を表示部25に出力する(ステップS510)。制御部21は、第3分類データ63を主記憶装置22、補助記憶装置23または外部の大容量記憶装置等に記憶してもよい。
【0075】
制御部21は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS511)。たとえば、ユーザが超音波診断装置30の動作を停止させた場合、制御部21は処理を終了すると判定する。処理を終了しないと判定した場合(ステップS511でNO)、制御部21はステップS501に戻る。処理を終了すると判定した場合(ステップS511でYES)、制御部21は処理を終了する。
【0076】
図9は、領域分離データ作成のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。領域分離データ作成のサブルーチンは、第1分類データ61に基づいて生体組織領域75と周辺領域701とが分離領域76により分離された領域分離データ67を作成するサブルーチンである。
【0077】
制御部21は、仮第1内腔領域81、仮第2内腔領域82および仮非内腔領域84に対応する第1仮タグを、非生体組織領域70に対応するタグに変更して、超音波画像60を非生体組織領域70と生体組織領域75との二つの領域に分けた生体組織領域データ65を作成する(ステップS521)。
【0078】
制御部21は、生体組織領域データ65のうち、生体組織領域75に対して膨張処理を行ない、超音波画像60を膨張生体組織領域751とそれ以外の領域である周辺領域701とに分けた膨張生体組織領域データ66を作成する(ステップS522)。
【0079】
制御部21は、画素の位置を一つ選択する(ステップS523)。制御部21は、生体組織領域データ65と膨張生体組織領域データ66との両方において、選択した位置に生体組織領域75のタグが付与されているか否かを判定する(ステップS524)。両方に生体組織領域75のタグが付与されていると判定した場合(ステップS524でYES)、制御部21はステップS523で選択した位置に生体組織領域75のタグを付与する(ステップS525)。
【0080】
両方には生体組織領域75のタグが付与されていないと判定した場合(ステップS524でNO)、制御部21は、生体組織領域データ65と膨張生体組織領域データ66との両方において、選択した位置に非生体組織領域70のタグが付与されているか否かを判定する(ステップS526)。両方に非生体組織領域70のタグが付与されていると判定した場合(ステップS526でYES)、制御部21はステップS523で選択した位置に非生体組織領域70のタグを付与する(ステップS527)。
【0081】
両方には非生体組織領域70のタグが付与されていないと判定した場合(ステップS526でNO)、制御部21は、ステップS523で選択した位置に分離領域76のタグを付与する(ステップS528)。ステップS525、ステップS527またはステップS528の終了後、制御部21はすべての画素の位置の処理を終了したか否かを判定する(ステップS529)。
【0082】
終了していないと判定した場合(ステップS529でNO)、制御部21はステップS523に戻る。終了したと判定した場合(ステップS529でYES)、制御部21は処理を終了する。
【0083】
図10は、タグ付与のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。タグ付与のサブルーチンは、第2仮タグに基づいてそれぞれの領域にたとえば第1内腔領域71、第2内腔領域72および非内腔領域74のタグを付与する再分類の処理により、第3分類データ63を作成するサブルーチンである。
【0084】
なお、タグ付与のサブルーチンは、超音波画像60の形式により異なる。
図10を使用して、画像取得用カテーテル32を使用して生成されたRT形式の超音波画像60に対するタグ付与のサブルーチンの処理を説明する。他の形式の超音波画像60用のサブルーチンについては、後述する。
【0085】
制御部21は、第2分類データ62から仮タグが付与されている領域を一つ選択する(ステップS531)。制御部21は、選択した領域が
図3を使用して説明した内縁603に接触しているか否かを判定する(ステップS532)。内縁603に接触していると判定した場合(ステップS532でYES)、制御部21は処理中の領域に含まれる画素のタグを仮タグのタグから第1内腔領域71のタグに変更する(ステップS533)。
【0086】
内縁603に接触していないと判定した場合(ステップS532でNO)、制御部21は、選択した領域が
図3を使用して説明した外縁601に接触しているか否かを判定する(ステップS534)。外縁601に接触していると判定した場合(ステップS534でYES)、制御部21は処理中の領域に含まれる画素に非内腔領域74のタグを付与する(ステップS535)。
【0087】
ステップS533の終了後、ステップS535の終了後、または、外縁601に接触していないと判定した場合(ステップS534でNO)、制御部21は、仮タグが付与された領域の処理を終了したか否かを判定する(ステップS536)。終了していないと判定した場合(ステップS536でNO)、制御部21はステップS531に戻る。
【0088】
終了していると判定した場合(ステップS536でYES)、制御部21は、仮タグが付与されている領域を一つ選択する(ステップS537)。ここで選択される領域は、ステップS531で選択された際に外縁601にも内縁603にも接触していないため、ステップS533でもステップS535でも処理されなかった領域である。
【0089】
制御部21は、ステップS537で選択した領域が側縁602に接触しているか否かを判定する(ステップS538)。接触していると判定した場合(ステップS538でYES)、制御部21は、処理中の領域の連続先、すなわち反対側の側縁602の対応する位置に接触する領域が、仮タグが付与されている領域であるか否かを判定する(ステップS539)。側縁602に接触していないと判定した場合(ステップS538でNO)、または、連続先に仮タグが付与されていると判定した場合(ステップS539でYES)、制御部21は処理中の領域に含まれる画素に第2内腔領域72のタグを付与する(ステップS540)。
【0090】
連続先は仮タグが付与されていない領域であると判定した場合(ステップS539でNO)、制御部21は、処理中の領域に含まれる画素に連続先の領域と同一のタグを付与する(ステップS541)。制御部21は、仮タグが付与されている領域の処理が終了したか否かを判定する(ステップS542)。終了していないと判定した場合(ステップS542でNO)、制御部21はステップS537に戻る。終了したと判定した場合(ステップS542でYES)、制御部21は処理を終了する。
【0091】
本実施の形態によると、分類モデル51による誤分類を訂正できる情報処理システム10を提供できる。ステップS510で出力された第3分類データ63は、たとえば三次元画像の構築に利用できる。第1分類データ61に含まれていた誤分類が解消しているため、ユーザが観察対象部位の三次元構造を把握しやすい三次元画像を表示できる。
【0092】
図8を使用して説明したステップS503において、制御部21は第1分類データ61に矛盾があるか否かを判定し、矛盾がない場合には領域分割処理をスキップするため、超音波診断装置30から出力される超音波画像60をリアルタイムで処理できる。
【0093】
なお、制御部21は超音波診断装置30で生成された超音波画像60をリアルタイムで処理する代わりに、大容量記憶装置に記憶された超音波画像60を処理してもよい。過去に実施された超音波検査のデータに対して処理を行なう情報処理システム10を提供できる。
【0094】
[変形例1]
本変形例は、画像取得用カテーテル32を使用して生成されたXY形式の超音波画像60を処理する情報処理システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0095】
本変形例においては、分類モデル51はXY形式の超音波画像60の入力を受け付けて、超音波画像60を構成する各画素が、生体組織領域75、仮第1内腔領域81、仮第2内腔領域82および仮非内腔領域84の4種類に分類されたXY形式の第1分類データ61を出力する。
【0096】
図11は、変形例1の第1分類データ61から第3分類データ63を生成する処理を説明する説明図である。制御部21は、XY形式の超音波画像60をXY形式用の分類モデル51に入力して、第1分類データ61を取得する。
【0097】
第1分類データ61において太い右下がりのハッチングは、画像取得用カテーテル32が挿入されている腔を形成する生体組織領域75であると分類された部分を示す。細い左下がりのハッチングは、仮第1内腔領域81を示す。細い右下がりのハッチングは仮第2内腔領域82を示す。太い左下がりのハッチングは、仮非内腔領域84を示す。
【0098】
制御部21は、仮第1内腔領域81、仮第2内腔領域82および仮非内腔領域84に対応する第1仮タグを、非生体組織領域70に対応するタグに変更して、超音波画像60を非生体組織領域70と生体組織領域75との二つの領域に分けた生体組織領域データ65を作成する。
図11においては、非生体組織領域70をハッチングの無い領域で示す。
【0099】
制御部21は、生体組織領域データ65のうち、生体組織領域75に対して膨張処理を行ない、超音波画像60を膨張生体組織領域751とそれ以外の領域である周辺領域701とに分けた膨張生体組織領域データ66を作成する。膨張処理は、公知の膨張フィルタにより実現できる。
図11においては、膨張生体組織領域751を太い右下がりのハッチングで、周辺領域701をハッチングの無い領域でそれぞれ示す。
【0100】
制御部21は、生体組織領域データ65と膨張生体組織領域データ66とを合成して、領域分離データ67を作成する。なお、
図11においては生体組織領域75と分離領域76との境界の図示を省略して、膨張生体組織領域751を示す。
【0101】
制御部21は、膨張生体組織領域751により分割されたそれぞれの周辺領域701に対して、第2仮タグを付与する。
図11においては第1タグ領域871、第2タグ領域872、第3タグ領域873、第4タグ領域874、第5タグ領域875、第6タグ領域876、第7タグ領域877および第8タグ領域878の8種類の仮タグが付与されている。
【0102】
制御部21は、それぞれの仮タグ領域について、生体組織領域75または他の仮タグ領域に接触するまで膨張処理を行なう。膨張処理が終了した状態の領域分離データ67を、
図11の左下に示す。第3タグ領域873と第7タグ領域877とが接触している。第3タグ領域873と第8タグ領域878とも接触している。以上により、非生体組織領域70を複数の仮タグ領域に分割する領域分割が終了する。
【0103】
制御部21は、外縁601に接している領域の第2仮タグを、非内腔領域74のタグに変更する。具体的には制御部21は、第2タグ領域872、第3タグ領域873、第4タグ領域874、第5タグ領域875および第6タグ領域876の仮タグを、非内腔領域74のタグに変更する。
【0104】
制御部21は、内縁603に接している第1タグ領域871の仮タグを、第1内腔領域71のタグに変更する。制御部21は、残りの領域、すなわち第7タグ領域877および第8タグ領域878の仮タグを第2内腔領域72のタグに変更する。以上により第3分類データ63が完成する。
【0105】
図12は、変形例1のタグ付与のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
図12のサブルーチンは、第1分類データ61がXY形式である場合に、
図10を使用して説明したサブルーチンの代わりに使用される。
【0106】
制御部21は、第2分類データ62から仮タグが付与されている領域を一つ選択する(ステップS551)。制御部21は、選択した領域が
図3を使用して説明した内縁603に接触しているか否かを判定する(ステップS552)。内縁603に接触していると判定した場合(ステップS552でYES)、制御部21は処理中の領域に含まれる画素のタグを仮タグのタグから第1内腔領域71のタグに変更する(ステップS553)。
【0107】
内縁603に接触していないと判定した場合(ステップS552でNO)、制御部21は、選択した領域が
図3を使用して説明した外縁601に接触しているか否かを判定する(ステップS554)。外縁601に接触していると判定した場合(ステップS554でYES)、制御部21は処理中の領域に含まれる画素に非内腔領域74のタグを付与する(ステップS555)。
【0108】
外縁601に接触していないと判定した場合(ステップS554でNO)、制御部21は処理中の領域に含まれる画素に第2内腔領域72のタグを付与する(ステップS556)。制御部21は、仮タグが付与された領域の処理を終了したか否かを判定する(ステップS557)。終了していないと判定した場合(ステップS557でNO)、制御部21はステップS551に戻る。終了したと判定した場合(ステップS557でYES)、制御部21は処理を終了する。
【0109】
以上に説明したとおり、XY形式では側縁602を跨いだ領域の処理が発生しないため、第1分類データ61に基づいて第3分類データ63を作成する処理がRT形式に比べて容易である。制御部21は、RT形式の超音波画像60に基づいてRT形式の第1分類データ61を取得した後、XY形式に座標変換してから第3分類データ63を作成してもよい。
【0110】
[変形例2]
本変形例は、リニア型プローブ33を使用して生成された超音波画像60を処理する情報処理システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。医師等は、リニア型プローブ33を体表に接触させた状態で、断層像を観察する。
【0111】
本変形例においては、分類モデル51はリニア走査形式の超音波画像60の入力を受け付けて、超音波画像60を構成する各画素が、生体組織領域75、接触領域78、仮内腔領域83および仮非内腔領域84の4種類に分類された第1分類データ61を出力する。
【0112】
図13は、変形例2の第1分類データ61から第3分類データ63を生成する処理を説明する説明図である。第1分類データ61において太い右下がりのハッチングは、生体組織領域75であると分類された部分を示す。細い右下がりのハッチングは、管腔器官の内側領域であると分類された仮内腔領域83を示す。
【0113】
細い縦線のハッチングは後述する接触領域78を示す。接触領域78は、皮膚に塗布された超音波ゼリー、リニア型プローブ33の表面に設けられた音響レンズとセンサ36との間で発生する多重エコー、および皮膚組織等が描出された領域である。リニア型プローブ33を使用する場合も、生体組織領域75は比較的高い正解率で分類可能であるため、リニア型プローブ33の表面と生体組織領域75との間に挟まれる接触領域78も比較的高い正解率で分類可能である。
【0114】
太い左下がりのハッチングは、生体組織領域75、接触領域78および仮内腔領域83のいずれでもないと分類された仮非内腔領域84を示す。右下の部分で仮内腔領域83と仮非内腔領域84との境界線が発生しており、矛盾がある。以後に説明する処理により、この矛盾が解消される。
【0115】
制御部21は、仮内腔領域83および仮非内腔領域84に対応する第1仮タグを、非生体組織領域70に対応するタグに変更して、超音波画像60を非生体組織領域70と生体組織領域75と接触領域78と三つの領域に分けた生体組織領域データ65を作成する。
図13においては、非生体組織領域70をハッチングの無い領域で示す。
【0116】
制御部21は、生体組織領域75に対して膨張処理を行ない、超音波画像60を膨張生体組織領域751と、接触領域78と、それ以外の領域である周辺領域701とに分けた膨張生体組織領域データ66を作成する。なお制御部21は、接触領域78との境界線においては生体組織領域75を膨張させない。
図13においては、膨張生体組織領域751を太い右下がりのハッチングで、接触領域78を細い縦線のハッチングで、周辺領域701をハッチングの無い領域でそれぞれ示す。
【0117】
制御部21は、生体組織領域データ65と膨張生体組織領域データ66とを合成して、領域分離データ67を作成する。なお、
図13においては生体組織領域75と分離領域76との境界の図示を省略して、膨張生体組織領域751を示す。
【0118】
制御部21は、膨張生体組織領域751により分割されたそれぞれの周辺領域701に対して、第2仮タグを付与する。
図13においては第1タグ領域871、第2タグ領域872および第3タグ領域873の3種類の仮タグが付与されている。
【0119】
制御部21は、それぞれの仮タグ領域について、生体組織領域75または他の仮タグ領域に接触するまで膨張処理を行なう。膨張処理が終了した状態の領域分離データ67を、
図11の左下に示す。第2タグ領域872と第3タグ領域873とが接触している。以上により、非生体組織領域70を複数の仮タグ領域に分割する領域分割が終了する。
【0120】
制御部21は、外縁601に接している領域の第2仮タグを、非内腔領域74のタグに変更する。具体的には制御部21は、第1タグ領域871の仮タグを、非内腔領域74のタグに変更する。
【0121】
制御部21は、外縁601に接していない第2タグ領域872および第3タグ領域873の仮タグを、内腔領域73のタグに変更する。以上により第3分類データ63が完成する。
【0122】
なお制御部21は、外縁601に接していない仮タグ領域のうち、リニア型プローブ33に最も近い仮タグ領域を第1内腔領域71のタグに、それ以外の仮タグ領域を第2内腔領域72のタグに変更してもよい。
【0123】
図14は、変形例2のタグ付与のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
図14のサブルーチンは、リニア型プローブ33を使用して撮影した超音波画像60を処理する場合に、
図10を使用して説明したサブルーチンの代わりに使用される。
【0124】
制御部21は、第2分類データ62から仮タグが付与されている領域を一つ選択する(ステップS561)。制御部21は、選択した領域が
図3を使用して説明した外縁601に接触しているか否かを判定する(ステップS562)。外縁601に接触していると判定した場合(ステップS562でYES)、制御部21は処理中の領域に含まれる画素のタグを仮タグのタグから非内腔領域74のタグに変更する(ステップS563)。
【0125】
外縁601に接触していないと判定した場合(ステップS562でNO)、制御部21は、処理中の領域に含まれる画素に内腔領域73のタグを付与する(ステップS564)。制御部21は、仮タグが付与された領域の処理を終了したか否かを判定する(ステップS565)。終了していないと判定した場合(ステップS565でNO)、制御部21はステップS561に戻る。終了したと判定した場合(ステップS565でYES)、制御部21は処理を終了する。
【0126】
なお、コンベックス型プローブ34またはセクタ型プローブ等を使用して撮影された超音波画像60についても、
図13および
図14を使用して説明した処理と同様の処理により、第3分類データ63を作成できる。
【0127】
[変形例3]
本変形例は、コンベックス型プローブ34を使用して生成された超音波画像60を処理する情報処理システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。医師等は、コンベックス型プローブ34を体表に接触させた状態で、断層像を観察する。本変形例では、体表に近い部分にある管腔器官の縦断面が断層像に描出されている場合を例にして説明する。
【0128】
本変形例においては、分類モデル51はコンベックス走査形式の超音波画像60の入力を受け付けて、超音波画像60を構成する各画素が、生体組織領域75、接触領域78、仮第1内腔領域81、仮第2内腔領域82および仮非内腔領域84の5種類に分類された第1分類データ61を出力する。
【0129】
図15は、変形例3の第1分類データ61から第3分類データ63を生成する処理を説明する説明図である。第1分類データ61において太い右下がりのハッチングは、生体組織領域75であると分類された部分を示す。細い縦線のハッチングは、接触領域78であると分類された部分を示す。接触領域78は、皮膚に塗布された超音波ゼリー、コンベックス型プローブ34の表面に設けられた音響レンズとセンサ36との間で発生する多重エコー、皮膚組織およびコンベックス型プローブ34の表面に近接する管腔器官壁等が描出された領域である。
【0130】
細い左下がりのハッチングは、コンベックス型プローブ34に最も近い管腔器官の内側域であると分類された仮第1内腔領域81を示す。細い右下がりのハッチングは仮第1内腔領域81以外の管腔器官の内側領域であると分類された仮第2内腔領域82を示す。仮第1内腔領域81と仮第2内腔領域82とを区別する必要がない場合には、仮内腔領域83と記載する。太い左下がりのハッチングは、非生体組織領域70のうち仮内腔領域83ではない領域であると分類された仮非内腔領域84を示す。
【0131】
中央右側の部分においては、仮第2内腔領域82と仮非内腔領域84とが直接接触する境界線が長く延びており、矛盾がある。以後に説明する処理により、この矛盾が解消される。
【0132】
コンベックス型プローブ34を使用する場合も、生体組織領域75は比較的高い正解率で分類可能であるため、コンベックス型プローブ34の表面と生体組織領域75との間に挟まれる接触領域78も比較的高い正解率で分類可能である。
【0133】
制御部21は、仮第1内腔領域81、仮第2内腔領域82および仮非内腔領域84に対応する第1仮タグを、非生体組織領域70に対応するタグに変更して、超音波画像60を非生体組織領域70と生体組織領域75と接触領域78と三つの領域に分けた生体組織領域データ65を作成する。
図15においては、非生体組織領域70をハッチングの無い領域で示す。
【0134】
制御部21は、生体組織領域75に対して膨張処理を行ない、超音波画像60を膨張生体組織領域751と、接触領域78と、それ以外の領域である周辺領域701とに分けた膨張生体組織領域データ66を作成する。なお制御部21は、コンベックス型プローブ34に最も近い非生体組織領域70との境界線においては生体組織領域75を膨張させない。
図15においては、膨張生体組織領域751を太い右下がりのハッチングで、接触領域78を細い縦線のハッチングで、周辺領域701をハッチングの無い領域でそれぞれ示す。
【0135】
制御部21は、生体組織領域データ65と膨張生体組織領域データ66とを合成して、領域分離データ67を作成する。なお、
図15においては生体組織領域75と分離領域76との境界の図示を省略して、膨張生体組織領域751を示す。
【0136】
制御部21は、膨張生体組織領域751により分割されたそれぞれの周辺領域701に対して、第2仮タグを付与する。
図15においては第1タグ領域871、第2タグ領域872、第3タグ領域873および第4タグ領域874および第5タグ領域875の5種類の仮タグが付与されている。
【0137】
制御部21は、それぞれの仮タグ領域について、生体組織領域75または他の仮タグ領域に接触するまで膨張処理を行なう。膨張処理が終了した状態の領域分離データ67については、図示を省略する。以上により、非生体組織領域70を複数の仮タグ領域に分割する領域分割が終了する。
【0138】
制御部21は、内縁603に最も近い領域の第2仮タグを、第1内腔領域71のタグに変更する。具体的には制御部21は、第1タグ領域871の仮タグを第1内腔領域71のタグに変更する。
【0139】
制御部21は、外縁601に接している領域の第2仮タグを、非内腔領域74のタグに変更する。具体的には制御部21は、第2タグ領域872の仮タグを、非内腔領域74のタグに変更する。
【0140】
制御部21は、残りの第2仮タグを第2内腔領域72のタグに変更する。具体的には制御部21は、第3タグ領域873、第4タグ領域874および第5タグ領域875の仮タグを、第2内腔領域72のタグに変更する。以上により第3分類データ63が完成する。
【0141】
本変形例の処理は、たとえば
図12を使用して説明したプログラムにより本変形例の処理を実現できる。本変形例の処理は、たとえば
図14を使用して説明したプログラムにより、非生体組織領域70を内腔領域73と非内腔領域74とに分けた後に、最も外縁601に近い内腔領域73を第1内腔領域71にそれ以外の内腔領域73を第2内腔領域72に変更することによっても実現できる。
【0142】
なお制御部21は、第1分類データ61から生体組織領域データ65を作成する際に、仮第1内腔領域81に含まれる画素については非生体組織領域70のタグの代わりに第1内腔領域71のタグに変更してもよい。生体組織領域75および接触領域78に関しては分類モデル51が高い正解率で分類できるため、両者の間に位置する仮第1内腔領域81についても正解率が高いと期待できるためである。
【0143】
[実施の形態2]
本実施の形態は、汎用のコンピュータ90と、プログラム97とを組み合わせて動作させることにより、情報処理システム10を実現する形態に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0144】
図16は、実施の形態2の情報処理システム10の構成を説明する説明図である。コンピュータ90は、前述の制御部21、主記憶装置22、補助記憶装置23、通信部24、表示部25、入力部26およびバスに加えて読取部29を備える。
【0145】
プログラム97は、可搬型記録媒体96に記録されている。制御部21は、読取部29を介してプログラム97を読み込み、補助記憶装置23に保存する。また制御部21は、コンピュータ90内に実装されたフラッシュメモリ等の半導体メモリ98に記憶されたプログラム97を読出してもよい。さらに、制御部21は、通信部24および図示しないネットワークを介して接続される図示しない他のサーバコンピュータからプログラム97をダウンロードして補助記憶装置23に保存してもよい。
【0146】
プログラム97は、コンピュータ90の制御プログラムとしてインストールされ、主記憶装置22にロードして実行される。以上により、実施の形態1で説明した情報処理装置20が実現される。本実施の形態のプログラム97は、プログラム製品の例示である。
【0147】
コンピュータプログラムは、単一のコンピュータ上で、または一つのサイトにおいて配置されるか、もしくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0148】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0149】
特許請求の範囲に記載した独立請求項および従属請求項は、引用形式に関わらずあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0150】
10 情報処理システム
20 情報処理装置
21 制御部
22 主記憶装置
23 補助記憶装置
24 通信部
25 表示部
26 入力部
29 読取部
30 超音波診断装置
32 画像取得用カテーテル
321 シース
323 シャフト
328 MDU
33 リニア型プローブ
34 コンベックス型プローブ
36 センサ
39 プローブ
51 分類モデル(学習済モデル、モデル)
60 超音波画像
601 外縁
602 側縁
603 内縁
61 第1分類データ
62 第2分類データ
63 第3分類データ
65 生体組織領域データ
66 膨張生体組織領域データ
67 領域分離データ
70 非生体組織領域
701 周辺領域
71 第1内腔領域
72 第2内腔領域
73 内腔領域
74 非内腔領域
75 生体組織領域
751 膨張生体組織領域
76 分離領域
78 接触領域
81 仮第1内腔領域
82 仮第2内腔領域
83 仮内腔領域
84 仮非内腔領域
871 第1タグ領域
872 第2タグ領域
873 第3タグ領域
874 第4タグ領域
875 第5タグ領域
876 第6タグ領域
877 第7タグ領域
878 第8タグ領域
879 第9タグ領域
90 コンピュータ
96 可搬型記録媒体
97 プログラム
98 半導体メモリ