(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143189
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】駆動制御装置、およびプログラム、並びに表示システム
(51)【国際特許分類】
G09G 3/32 20160101AFI20241003BHJP
G09G 3/00 20060101ALI20241003BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241003BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20241003BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/00 J
G09G3/20 670C
G09G3/20 622D
G09G3/20 611Z
H01L33/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055726
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 健吾
(72)【発明者】
【氏名】高宮 功治
(72)【発明者】
【氏名】江間 弘知
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 修磨
(72)【発明者】
【氏名】山下 美穂
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
5F241
【Fターム(参考)】
5C080AA07
5C080BB05
5C080CC06
5C080CC07
5C080DD12
5C080FF02
5C080HH14
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080JJ07
5C080KK25
5C380AA03
5C380AB05
5C380AB40
5C380AC04
5C380BA08
5C380CB31
5C380CE01
5C380CF43
5F241BB07
5F241BB18
5F241FF01
(57)【要約】
【課題】パッシブマトリクス駆動方式のLED表示装置において異音の発生を抑制できるようにする。
【解決手段】1フレーム内において、スキャンブランキング期間の間隔に対して均等の間隔になるように消灯期間となる仮想スキャンブランキング期間を設定する。これによりリップル電圧の発生回数を増やして、可聴帯域を超える異音が発生するようにすることで、異音と知覚させないようにする。パッシブマトリクス駆動方式のLED表示装置に適用することができる。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED(Light Emitting Diode)アレイを構成するLEDの発光を制御する発光制御部を備え、
前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、所定周波数よりも高くなるように制御する
駆動制御装置。
【請求項2】
前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、人間の可聴帯域となる周波数よりも高くなるように制御する
請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記発光制御部は、前記LEDアレイを構成するLEDの発光をスキャンライン単位で制御するパッシブマトリクス駆動方式で制御する
請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
前記発光制御部は、入力信号のフレームレートに基づいて、前記LEDが消灯する期間の周波数が、人間の可聴帯域となる周波数よりも高くなるように制御する
請求項2に記載の駆動制御装置。
【請求項5】
前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、前記人間の可聴帯域となる周波数よりも高い、前記フレームレートの逓倍となるスキャン周波数に制御する
請求項4に記載の駆動制御装置。
【請求項6】
前記LEDが消灯する期間は、前記フレームレートの逓倍となるスキャン周波数に基づいた、直前のスキャンの最終行が表示された後から、次のスキャンの先頭行が表示されるまでの第1の期間、および、連続する前記第1の期間の間で等間隔に設定される第2の期間である
請求項5に記載の駆動制御装置。
【請求項7】
前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の長さを、前記入力信号が示す時間よりも短時間になるように制御する
請求項6に記載の駆動制御装置。
【請求項8】
前記入力信号が示す時間は、前記入力信号のブランキング期間に対応する
請求項7に記載の駆動制御装置。
【請求項9】
前記発光制御部は、装置を構成する基板上に設けられたコンデンサに印加される電圧を変化させるように、前記LEDが消灯する期間の長さを制御する
請求項7に記載の駆動制御装置。
【請求項10】
前記発光制御部は、前記コンデンサに印加される電圧が三分の一以下になるように、前記LEDが消灯する期間の長さを制御する
請求項9に記載の駆動制御装置。
【請求項11】
前記発光制御部は、装置を構成する基板上に設けられたコンデンサの静電容量またはインピーダンスに応じて前記LEDが消灯する期間の長さを制御する
請求項7に記載の駆動制御装置。
【請求項12】
前記コンデンサは、MLCC(Multilayer Ceramic Capacitors)である
請求項11に記載の駆動制御装置。
【請求項13】
前記発光制御部は、装置を構成する前記基板上に設けられた前記コンデンサに関する情報を取得し、取得した前記コンデンサに関する情報に基づいて前記LEDが消灯する期間の長さを制御する
請求項12に記載の駆動制御装置。
【請求項14】
前記発光制御部は、前記スキャン周波数、および、装置を構成する基板の硬度に基づいて、前記LEDが消灯する期間の周波数が、人間の可聴帯域となる周波数よりも高くなるように制御する
請求項5に記載の駆動制御装置。
【請求項15】
前記発光制御部は、前記スキャン周波数、前記基板の硬度、および前記LEDの輝度に基づいて、前記LEDが消灯する期間の周波数が、人間の可聴帯域となる周波数よりも高くなるように制御する
請求項14に記載の駆動制御装置。
【請求項16】
前記発光制御部は、前記LEDの輝度が高い程、前記LEDが消灯する期間の周波数を高く制御する
請求項15に記載の駆動制御装置。
【請求項17】
前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数を、前記人間の可聴帯域の上限よりも高く、前記人間の非可聴帯域の下限よりも低く制御する
請求項15に記載の駆動制御装置。
【請求項18】
前記発光制御部は、前記スキャン周波数に基づいて、前記スキャン周波数を逓倍した上で、前記LEDが消灯する期間の周波数が、前記人間の可聴帯域となる周波数よりも高くなるように制御する
請求項5に記載の駆動制御装置。
【請求項19】
LED(Light Emitting Diode)アレイを構成するLEDの発光を制御する発光制御部としてコンピュータを機能させ、
前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、所定周波数よりも高くなるように制御する
プログラム。
【請求項20】
アレイ状に配置されたLED(Light Emitting Diode)と、前記LEDの駆動を制御する駆動制御装置とを有する表示ユニットからなる表示部と、
映像信号の入力を受け付け、前記映像信号に所定の信号処理を施して、前記表示ユニットに分配する分配部とを備え、
前記駆動制御装置は、
前記LEDの発光を制御する発光制御部を備え、
前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、所定周波数よりも高くなるように制御する
表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動制御装置、およびプログラム、並びに表示システムの情報処理方法に関し、特に、直視型LED(Light Emitting Diode)ディスプレイにおいて発生する異音を低コストで抑制できるようにした駆動制御装置、およびプログラム、並びに表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(Light Emitting Diode)を用いた直視型のディスプレイ市場が拡大している。
【0003】
この中でタイリング式では、LEDを搭載した基板(LED Module基板:以下、Module基板とも称する)を用いるが、このModule基板や内在する電源システムにおいて「ジー」や「ピー」と言った異音が発生することがある。
【0004】
この現象は、主に電源ラインのバイパスコンデンサとして搭載したMLCC(Multilayer Ceramic Capacitors)の発音や、電源システムで使用するコイル、基板配線の電磁振動などが特定の周期で振動することで発生するものである。
【0005】
従来、MLCCの発音(異音の発生)については、低歪MLCC(低発音品)の採用や、タンタルコンデンサなどの固体コンデンサなどへの置き換え搭載で対策してきた。
【0006】
コイル類は含浸処理などで振動に抑制を行っていることが一般的である。基板配線の電磁振動は配線レイアウトで平行配線を減らす等の対策が一般的である。
【0007】
また、バイパスコンデンサを複数に設けて、相互に逆相の振動を発生させることで、振動音の発生を抑制する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、現実に逆相の振動を発生させる機構は非常に複雑な構成となる。
【0010】
また、逆相の振動を発生させる機構が構成できても、装置構成が2倍になってしまう。特に、バイパスコンデンサ等の部品は使用数が多く、個々の単価は安くてもセット全体としては大きなコストアップとなってしまう。
【0011】
さらに、タンタルコンデンサはショートモードで故障するため、多数個の使用は製品品質を低下させる恐れがある。
【0012】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、特に、直視型LED(Light Emitting Diode)ディスプレイにおいて発生する異音を低コストで抑制できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の第1の側面の駆動制御装置およびプログラムは、LED(Light Emitting Diode)アレイを構成するLEDの発光を制御する発光制御部を備え、前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、所定周波数よりも高くなるように制御する駆動制御装置およびプログラムである。
【0014】
本開示の第1の側面においては、LED(Light Emitting Diode)アレイを構成するLEDの発光が制御され、前記LEDが消灯する期間の周波数が、所定周波数よりも高くなるように制御される。
【0015】
本開示の第2の側面の表示システムは、アレイ状に配置されたLED(Light Emitting Diode)と、前記LEDの駆動を制御する駆動制御装置とを有する表示ユニットからなる表示部と、映像信号の入力を受け付け、前記映像信号に所定の信号処理を施して、前記表示ユニットに分配する分配部とを備え、前記駆動制御装置は、前記LEDの発光を制御する発光制御部を備え、前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、所定周波数よりも高くなるように制御する表示システムである。
【0016】
本開示の第2の側面においては、アレイ状に配置されたLED(Light Emitting Diode)LEDの駆動を制御する駆動制御装置が設けられた表示ユニットと、映像信号の入力を受け付け、前記映像信号に所定の信号処理が施されて、前記表示ユニットに分配され、前記駆動制御装置により、前記LEDの発光が制御され、前記LEDが消灯する期間の周波数が、所定周波数よりも高くなるように制御される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の表示システムの構成例を説明する図である。
【
図2】
図1のビデオウォールコントローラおよび表示ユニットの構成例を説明する図である。
【
図7】基板の回路構成を説明する簡易回路図である。
【
図9】従来のブランキング期間を説明するタイミングチャートである。
【
図10】本開示のブランキング期間を説明するタイミングチャートである。
【
図11】LEDアレイにおける行単位の発光タイミングを説明するタイミングチャートである。
【
図12】LEDアレイにおける行単位の発光タイミングを説明するタイミングチャートである。
【
図13】ブランキング期間の設定方法を説明する図である。
【
図14】ブランキング期間を短く設定した場合の効果を説明する図である。
【
図15】表示処理を説明するフローチャートである。
【
図16】ドライバ制御処理を説明するフローチャートである。
【
図17】スキャンブランキング期間を短く設定することで異音の発生を抑制する第1の応用例を説明する図である。
【
図18】第1の応用例におけるドライバ制御処理を説明するフローチャートである。
【
図19】スキャン周波数を向上させることで、リップル周波数(リップルの発生する周波数)を高くして、発生する異音を認識され難くする例を説明するタイミングチャートである。
【
図20】本開示の第2の応用例として、仮想スキャンブランキング期間を設定し、スキャン周波数を抑えつつ、リップル周波数を高くして、発生する異音を認識され難くする例を説明するタイミングチャートである。
【
図21】
図20における仮想スキャンブランキング期間の設定例の詳細を説明する図である。
【
図22】第2の応用例における表示処理を説明するフローチャートである。
【
図23】第2の応用例におけるドライバ制御処理を説明するフローチャートである。
【
図24】汎用のコンピュータの構成例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.表示システムの構成例
2.ビデオウォールコントローラおよび表示ユニットの詳細な構成
3.LEDアレイの構成例
4.リップル電圧
5.異音の発生原理
6.ブランキング期間
7.ブランキング期間の長さの設定
8.表示処理
9.表示ユニットによるドライバ制御処理
10.第1の応用例
11.第1の応用例における表示ユニットによるドライバ制御処理
12.第2の応用例
13.第2の応用例における表示処理
14.第2の応用例における表示ユニットによるドライバ制御処理
15.ソフトウェアにより実行させる例
【0020】
<<1.表示システムの構成例>>
本開示は、特に、直視型LED(Light Emitting Diode)ディスプレイにおいて発生する異音を低コストで抑制できるようにするものである。
【0021】
図1は、本開示の技術を適用した表示システムの構成例を示している。
【0022】
図1の表示システム11は、複数の表示ユニットがタイル状に配置されることで構成される大型のディスプレイにビデオコンテンツを表示するものである。
【0023】
より詳細には、表示システム11は、PC(パーソナルコンピュータ)30、ビデオサーバ31、ビデオウォールコントローラ32、およびビデオウォール33より構成される。
【0024】
PC(パーソナルコンピュータ)30は、一般的な汎用のコンピュータであり、ユーザの操作入力を受け付けて、操作内容に応じたコマンドをビデオウォールコントローラ32に対して供給する。
【0025】
ビデオサーバ31は、例えば、サーバコンピュータなどからなり、ビデオコンテンツ等の映像信号のデータをビデオウォールコントローラ32に供給する。
【0026】
ビデオウォールコントローラ32は、PC30より供給されるコマンドに応じて動作し、ビデオコンテンツの映像信号からなるデータを、ビデオウォール33を構成する表示ユニット51-1乃至51-nに分配して表示させる。
【0027】
尚、表示ユニット51-1乃至51-nを個々に区別する必要がない場合、単に、表示ユニット51と称する。
【0028】
ビデオウォール33は、
図1の右上部で示されるように、LEDからなる画素がアレイ状に配置された表示ユニット51-1乃至51-nがタイル状に配置されたものであり、個々の表示ユニット51により表示される画像がタイル状に組み合わされることによりビデオウォール33の全体として1枚の画像が表示される。
【0029】
ビデオウォールコントローラ32は、ビデオサーバ31より供給されるビデオコンテンツの映像信号からなるデータに所定の信号処理を施して、表示ユニット51-1乃至51-nの配置に応じて分配して供給し、表示ユニット51-1乃至51-nの個々の表示を制御し、ビデオウォール33が全体として1枚の画像を表示するように制御する。
【0030】
尚、ビデオウォールコントローラ32とビデオウォール33とは、一体とした構成であってもよく、これらが一体となったディスプレイ装置(情報処理システム)であってもよい。
【0031】
<<2.ビデオウォールコントローラおよび表示ユニットの詳細な構成>>
次に、
図2を参照して、ビデオウォールコントローラ32および表示ユニット51の詳細な構成例について説明する。
【0032】
ビデオウォールコントローラ32は、LAN(Local Area Network)端子71、HDMI(High Definition Multimedia Interface)(登録商標)端子72、DP(Display Port)端子73、DVI(Digital Visual Interface)端子74、ネットワークIF(Interface)75、MPU(Micro Processor Unit)76、信号入力IF77、信号処理部78、DRAM(Dynamic Random Access Memory)79、信号分配部80、および出力IF81-1乃至81-nを備えている。
【0033】
LAN(Local Area Network)端子71は、例えば、LANケーブルなどの接続端子であり、ユーザにより操作され、操作内容に応じた制御コマンド等をビデオウォールコントローラ32に供給する、パーソナルコンピュータ(PC)30とのLANを介した通信を実現し、ネットワークIF75を介して、入力された制御コマンド等をMPU76に供給する。
【0034】
尚、LAN端子71は、有線のLANケーブルが物理的に接続される構成でもよいし、無線通信により実現される、いわゆる無線LANにより接続される構成でもよい。
【0035】
MPU76は、LAN端子71、およびネットワークIF75を介して、PC30より供給される制御コマンドの入力を受け付けて、受け付けた制御コマンドに応じた制御信号を信号処理部78に供給する。
【0036】
HDMI端子72、DP端子73、およびDVI端子74は、いずれも映像信号からなるデータの入力端子であり、ビデオサーバ31として機能する、例えば、サーバコンピュータと接続され、信号入力IF77を介して、信号処理部78に映像信号からなるデータを供給する。
【0037】
尚、
図2においては、ビデオサーバ31とHDMI端子72とが接続される例が示されているが、HDMI端子72、DP端子73、およびDVI端子74はいずれも規格が異なるのみであり、基本的には同様の機能を備えたものであるので、必要に応じて、そのいずれかが選択されて接続される。
【0038】
信号処理部78は、MPU76より供給される制御信号に基づいて、信号入力IF77を介して供給される映像信号からなるデータの色温度、コントラスト、ブライトネス等を調整して、信号分配部80に供給する。この際、信号処理部78は、必要に応じて、接続されたDRAM79を用いて、映像信号からなるデータを展開して、制御信号に基づいた信号処理を実行し、信号処理結果を信号分配部80に供給する。また、信号処理部78は、映像信号が供給される表示ユニット51の信号処理部112に対して表示に係る情報として、例えば、フレームレート等の各種の情報を制御信号として供給する。
【0039】
信号分配部80は、信号処理部78より供給される、信号処理がなされた映像信号からなるデータを分配して、出力IF81-1乃至81-nを介して、表示ユニット51-1乃至51-nに対して個別に分配して伝送する。
【0040】
表示ユニット51は、ドライバ制御部91、およびLEDブロック92を備えている。
【0041】
ドライバ制御部91は、LEDブロック92を構成する複数のLEDドライバ121-1乃至121-Nに対して、LEDアレイ122-1乃至122-Nを構成するLEDの発光を制御する映像信号からなるデータを供給する。
【0042】
より詳細には、ドライバ制御部91は、信号入力IF111、信号処理部112、DRAM113、出力IF114-1乃至114-Nを備えている。
【0043】
信号入力IF111は、ビデオウォールコントローラ32より供給される映像信号のデータの入力を受け付けて信号処理部112に供給する。
【0044】
信号処理部112は、信号入力IF111より供給される映像信号のデータに基づいて、表示ユニット51毎の色や輝度の補正を施して、LEDアレイ122-1乃至122-Nを構成する各LEDの発光強度を設定するためのデータを生成し、出力IF114-1乃至114-Nを介して、LEDブロック92のLEDドライバ121-1乃至121-Nに対して分配して供給する。
【0045】
より詳細には、映像信号のデータには、一般的な規格で規定されるブランキング期間の長さなどの情報も含まれている。このため、信号処理部112は、映像データ信号に含まれるブランキング期間の長さなどの情報を考慮して、LEDの行数(Scan line数)、1フレーム内において繰り返し発光する回数(巡回数)、およびLEDアレイ122-1乃至122-Nを構成する各LEDの発光強度を設定するためのデータを生成し、出力IF114-1乃至114-Nを介して、LEDブロック92のLEDドライバ121-1乃至121-Nに対して分配して供給する。
【0046】
LEDブロック92は、LEDドライバ121-1乃至121-N、LEDアレイ122-1乃至122-N、およびROM(Read Only Memory)123を備えている。
【0047】
LEDドライバ121-1乃至121-Nは、ドライバ制御部91より供給される映像信号からなる、LED141の発光強度を設定するデータに基づいて、対応するLEDアレイ122-1乃至122-Nを構成するアレイ状に配置されたLEDの発光をPWM(Pulse Width Modulation)制御する。
【0048】
ROM123は、LEDブロック92を構成する基板153(
図4)に搭載されるMLCC等のコンデンサの種別(容量)や数などからなる基板搭載情報が記憶されており、通電時に信号処理部112が、ROM123より基板搭載情報を読み出すことで映像信号の処理を設定する。より具体的には、信号処理部112は、通電時にROM123より読み出した基板搭載情報に基づいて、一般的な規格で規定されるブランキング期間よりも短いブランキング期間の長さを設定する。ブランキング期間の設定については、詳細を後述する。
【0049】
<<3.LEDアレイの構成例>>
次に、
図3を参照して、LEDアレイ122の構成例について説明する。
図3は、パッシブマトリクス駆動型LED駆動結線におけるLEDアレイ122の構成例を示している。したがって、LEDアレイ122のLED141については、パッシブマトリクス駆動方式で発光が制御される。
【0050】
図3のLEDアレイ122においては、Common Cathode型のLED141がアレイ状に配置されており、それぞれのLED141が縦方向に配線されたSig line(輝度制御配線)と、横方向に配線されたScan line(行選択配線)とに接続されている。
【0051】
図3のLEDアレイ122においては、Scan line1が所定の固定電位に設定されることでONにされると、Sig lineよりLEDに電流が供給され発光動作となる。尚、所定の固定電位としてはGND=0V電位が一般的だが、この限りではない。
【0052】
<<4.リップル電圧>>
次に、
図4乃至
図7を参照して、異音を発生させる原因となるリップル電圧について説明する。そこで、まず、表示ユニット51-1乃至51-nへと電力を供給するための電源構成について説明する。
【0053】
図4は、表示ユニット51-1乃至51-nへと電力を供給するための電源構成の概要を示したものである。
【0054】
図4の電源構成は、AC(Alternating Current)電源入力を受け付けて後段に電力を供給するAC電源装置151、ビデオウォールコントローラ32を構成する各種回路や配線等が配設される基板/配線(配線が形成された基板)152、およびビデオウォール33を構成する表示ユニット51-1乃至51-nのそれぞれを構成する各種回路や配線等が配設される基板/配線(配線が形成された基板)153-1乃至153-nより構成される。
【0055】
また、AC電源装置151と、基板152とは、配線161を介して電気的に結線されており、基板152と、基板153-1乃至153-nのそれぞれとは、配線162-1乃至162-nを介して電気的に結線されている。
【0056】
AC電源装置151,基板152,153、および配線161,162-1乃至162-nは、
図5で示されるように、それぞれ内部にインピーダンスZ151,Z152,Z153、およびインピーダンスZ161,Z162を有している。
【0057】
このため、
図6で示されるように、AC電源装置151が、無負荷時に電圧V0のAC電源入力を受け付けると仮定した場合、AC電源装置151の出力電圧は、電圧V0に対して、内部電流を電流I1とすれば、インピーダンスZ151に対応する電圧ΔV151(=Z151×I1(図中では、Z151・I1と表記されており、以降においても同様である))だけ電圧降下が発生する。
【0058】
また、配線161においても同様に、内部電流を電流I2とすれば、インピーダンスZ161に対応する電圧Δ161(=Z161×I1)だけ電圧降下が発生する。
【0059】
さらに、基板152においても同様に、内部電流を電流I3とすれば、インピーダンスZ152に対応する電圧Δ152(=Z152×I3)だけ電圧降下が発生する。
【0060】
また、配線162においても同様に、内部電流を電流I4とすれば、インピーダンスZ162に対応する電圧Δ162(=Z162×I4)だけ電圧降下が発生する。
【0061】
さらに、基板153においても同様に、内部電流を電流I5とすれば、インピーダンスZ153に対応する電圧Δ153(=Z153×I5)だけ電圧降下が発生する。
【0062】
結果として、AC電源装置151より供給される電源の電圧V0に対して、基板153に印可される電圧Vxとの差分となる、AC電源装置151、基板152,153および配線161,162の全ての電圧ΔV(=ΔV151+ΔV161+ΔV152+ΔV162+ΔV153)だけ電圧降下が生じる。
【0063】
また、基板153に形成される回路構成を簡易的な回路図で表現すると、
図7で示されるように、基板153上に設けられたLEDドライバ121とMLCC等の静電容量Cとは並列接続された回路とみなすことができる。
【0064】
このため、LED141が発光している場合、LEDドライバ121とMLCCに電流が流された、すなわち、負荷が掛けられた状態となり、電源電圧V1に対して電圧ΔVだけ、電圧降下が生じた電圧VxがLEDドライバ121に印可される。
【0065】
これに対して、LED141が消灯している場合、LEDドライバ121とMLCCの電流が低減されることになり、無負荷状態となるので、電圧ΔVに対応する電圧降下は生じない状態となり、電圧V1がLEDドライバ121に掛かることになる。
【0066】
すなわち、LED141の発光状態に応じ電圧ΔVの電圧降下の発生の有無により、LEDドライバ121とMLCCへの印可電圧が、電圧V0とVxとに変化する。ここで、負荷状態の電圧Vxから一時的に無負荷状態になったときに、電圧V0に変化することで、見かけ上矩形波のように見える電圧降下した分の電圧ΔVがリップル電圧ΔVである。このリップル電圧ΔVが、異音を発生させる原因となる。尚、リップル電圧ΔVに起因する異音の発生原理については後述する。
【0067】
<<5.異音の発生原理>>
次に、リップル電圧ΔVに起因する異音の発生原理について説明するに当たり、基板153に搭載されるMLCCによる電圧歪みについて説明する。尚、ここでは、基板153を例にして説明するものとするが、基板152についても同様である。
【0068】
図8は、基板153上に、半田や接着剤などからなる接続部172により接続されたMLCC171に対して、電圧が印可されるときに生じる歪みを説明するための、側面断面図である。
【0069】
MLCC171は、図中の上下方向にセラミック素材の強誘電体が積層された構成とされており、電圧が印可されると、図中の矢印D1で示される、上下方向となる電界印可方向に対して、平行な方向(図中の上下方向)の矢印D2で示されるように、膨張すると共に、図中の左右方向の矢印D0で示されるように、図中の電界印可方向である矢印D1に対して垂直方向に収縮する。
【0070】
これに伴って、点線の矢印D3で示されるように、基板153上でMLCC171を固定する接続部172を介して、基板153がMLCC171の側面部に引き寄せられる。
【0071】
この結果、矢印D4で示されるように、基板153は、MLCC171と接合された部位を中心として、図中において下側に凸となるような形状に歪む(たわむ)。
【0072】
すなわち、
図8で示されるように、リップル電圧ΔVが発生すると、MLCC171に電圧が印可されて、基板153は、
図8で示されるようにたわみ(歪み)、リップル電圧ΔVが解消すると、MCLL171への電圧の印可がなくなり、基板153は、平坦な状態に戻り、歪みが解消される。
【0073】
このように基板153が、リップル電圧ΔVの発生の有無により歪んだり、平坦な状態になったりして変化することで、基板153より異音が発生する。
【0074】
<<6.ブランキング期間>>
一方、表示装置に画像を表示させるための規格においては、従来のブラウン管表示機器時代に策定された規格においても対応するため、表示画像は、フレーム単位で所定の周波数で表示されるように規定されている。
【0075】
この規定によれば、フレーム間、すなわち、直前のフレームの最終行が表示されてから、次のフレームの先頭行が表示されるまでの間、画像が表示されない状態となるブランキング期間が設定されている。
【0076】
すなわち、
図9の上段のLED発光タイミングの波形で示されるように、LEDドライバ121は、フレーム単位で画像が表示されるLED141の発光期間である、時刻t0乃至t1,t2乃至t3,t4乃至t5等においては、LED141を発光させるための電流が流れる。
【0077】
一方、フレーム間であるブランキング期間Tblksとなる時刻t1乃至t2,t3乃至t4,t5乃至t6等においては、LED141は消灯した状態となるため、発光させるための電流の流れが実質的にほぼゼロの状態となる。
【0078】
このため、MLCC171に印可される電圧は、
図9の下段の電源電圧の波形で示されるように、LED141を発光させるための電流の有無に対応して変化することになるので、ブランキング期間Tblksにおいては、矩形波で示されるようなリップル電圧ΔVが発生することになる。
【0079】
結果として、ブランキング期間Tblksにおいて、リップル電圧ΔVが発生する間隔で、MLCC171の印可電圧が変化することになり、これに合わせて、基板153の歪みが発生し、これに起因して異音が発生することになる。
【0080】
そこで、本開示においては、
図10で示されるように、ブランキング期間Tblksをより短いブランキング期間Tblkm(<Tblks)とすることにより、発生するリップル電圧を低減して電圧ΔV’(<ΔV)とすることにより、MLCC171に掛かる印可電圧を低減して、基板153の歪みを抑制し、これに起因する異音の発生を抑制する。
【0081】
ここで、
図11,
図12を参照して、ブランキング期間についてより詳細に説明する。
図11は、左部が、
図3を参照して説明したLEDドライバ121とLEDアレイ122の構成図であり、右部が、LEDアレイ122を構成するLEDの行単位(Scan line単位)での発光のタイミングを表している。
【0082】
すなわち、
図11の右部の斜め下方向の矢印で示されるように、LEDドライバ121は、各フレームについて、行単位で上から下方向に、すなわち、Scan line 1からScan line Nまで順次発光させる処理を繰り返す。
【0083】
尚、
図11の右部における斜め下方向の矢印が貫く方形部分が、フレームF1,F2,・・・における各行の発光タイミングであり、行単位で時系列にLEDが発光していることが表されている。
【0084】
例えば、フレームF1のScan line Nの発光タイミングが終了すると、斜め上方向の矢印で示されるように、最下段の行であるScan line Nから、次のフレームF2の最上段であるScan line 1に発光する行の位置が変化する。このタイミングにおいて、ブランキング期間Tblkが設定される。
【0085】
このときの、各フレームにおけるLEDドライバ121とMLCC171に流れる電流の波形が、
図12の最上段と中段とで示されるような波形で表現される。尚、
図12の最上段が従来のブランキング期間Tblksを説明するための電流の波形であり、
図12の中段が本開示のブランキング期間Tblkmを説明する電流の波形である。
【0086】
ここで、フレームF1,F2,・・・のそれぞれにおいては、
図12の最下段で示されるように、細かい矩形状の波形が、各Scan line単位での発光時間を、各矩形状の波形の間が、Scan line間の切り替え時間を、フレームF1,F2との間の、波形が存在しないタイミングが、ブランキング期間Tblks,Tblkmをそれぞれ表している。
【0087】
すなわち、
図12の最下段においては、時刻t101乃至t102,t103乃至t104,t105乃至t106の期間が行単位での発光時間であり、時刻t102乃至t103,t104乃至t105の期間が行単位の切り替え時間である。
【0088】
上述したように、リップル電圧ΔVは、このブランキング期間Tblksにおいて、電流が略ゼロの状態になることに起因して発生する。
【0089】
そこで、本開示においては、
図12の中段で示されるように、ブランキング期間Tblksをブランキング期間Tblkm(<Tblks)にしてより短くすることにより、リップル電圧が大きく上昇するまでの間に、次のフレームの発光を開始するようにして、発生するリップル電圧ΔVを小さくすることで、異音の発生を抑制する。
【0090】
<<7.ブランキング期間の長さの設定>>
次に、リップル電圧ΔVを小さくするための、ブランキング期間の長さの設定について説明する。
【0091】
従来のブランキング期間Tblksは、
図13の最上段で示されるように、指数関数的にリップル電圧が電圧Vrまで上昇する上昇期間T1、電圧Vrのまま定常状態となる点線で示される定常期間、および線形的に電圧が降下する降下期間T2が存在し、全体として1フレームの発光期間に対して、概ね5乃至8%の期間とされて設定されていた。
【0092】
リップル電圧を低減させるためには、ブランキング期間Tblksを短くする必要があるが、例えば、
図13の中段で示されるように、定常期間をなくして、ブランキング期間Tblks’としても、リップル電圧Vrの大きさには変化が生じないため、異音の発生は抑制できない。ただし、ブランキング期間Tblks’のように、定常期間が短くなると、発生する異音の周波数が変化するため、音域は変化する。
【0093】
リップル電圧Vrをより小さなリップル電圧Vr’とするには、例えば、
図13の下段の上昇期間T1’で示されるように、リップル電圧Vrまで上昇する前のタイミングで、降下期間T2’が開始されるように、すなわち、次のフレームの発光が素早く開始されるような短いブランキング期間Tblkmとする必要がある。
【0094】
ここで、リップル電圧の上昇期間の変化と降下期間の変化とのそれぞれについて考える。
【0095】
上述した上昇期間におけるリップル電圧の上昇電圧Vruは、例えば、以下の式(1)で表現することができる。
【0096】
Vru=Vr(1-e(-T1’/τ))
・・・(1)
【0097】
ここで、Vruは、
図13の上段で示される上昇期間T1におけるリップル電圧であり、Vrは、定常状態におけるリップル電圧の最大値であり、T1’は、上昇期間の長さである。
【0098】
また、τは、MLCC171のインピーダンスZの主成分となる直流抵抗成分Rと静電容量Cとからなる定数(=R・C)である。
【0099】
さらに、降下期間におけるリップル電圧Vrdは、例えば、以下の式(2)で表現することができる。
【0100】
Vrd=I・T2’/C
・・・(2)
【0101】
ここで、Iは、LEDを流れる電流値であり、T2’は、降下期間の長さであり、Cは、MLCC171の静電容量である。
【0102】
リップル電圧の最大値を従来の電圧Vrから1/nだけ低減したVr/nにするとき、上昇期間T1’と降下期間T2’とは、それぞれ以下の式(3),式(4)のように求められることになる。
【0103】
Vru=Vr/n=Vr(1-e(-T1’/τ))
1/n=1-e(-T1’/τ)
T1’=-τ・ln(1-1/n)
・・・(3)
【0104】
Vrd=Vr/n=I・T2’/C
T2’=Vr・C/(n・I)
・・・(4)
【0105】
したがって、従来のリップル電圧の最高値となる電圧Vrから1/nに低減した電圧Vr/nにするときのブランキング期間Tblkmは、以下の式(5)のように設定することができる。
【0106】
Tblkm=T1’+T2’
=-τ・ln(1-1/n)+Vr・C/(n・I)
=-R・C・ln(1-1/n)+Vr・C/(n・I)
=C(-R・ln(1-1/n)+Vr/(n・I))
・・・(5)
【0107】
表示ユニット51におけるドライバ制御部91の信号処理部112は、上述したように起動時にROM123の搭載基板情報を読み出し、読み出した搭載基板情報に基づいて、このようにブランキング期間Tblkmを、設定し、LEDをPWM制御するために使用する、図示せぬクロックを制御して、LEDの発光タイミングを制御することで、ブランキング期間Tblkmを実現する。
【0108】
尚、ブランキング期間Tblkmの設定に当たっては、上述した式(5)に含まれるパラメータとしてnを設定し、どの程度までリップル電圧を低減させるのかを特定させる。
【0109】
また、ブランキング期間を最短に設定することにより、MLCC171の静電容量Cを最小に設定することが可能となるので、異音の発生を抑制すると共に、MLCC171の低容量化によるコストの低減を図ることが可能となる。
【0110】
さらに、MLCC171の静電容量Cを大きくすることで、異音の発生を抑制しつつ、ブランキング期間Tblkmをより長く設定することも可能となる。
【0111】
尚、例えば、MLCC171のインピーダンスR=40mΩ、静電容量C=2400uF、定常状態のリップル電圧Vr=200mV、n=3、および電流I=4.7Aの場合、式(5)に代入すると、ブランキング期間Tblkmは、73uSとなる。
【0112】
この場合、フレームレートが60Hzであるときには、ブランキング期間Tblkmが、1フレーム当たりの時間に対して0.43%程度となり、フレームレートが120Hzであるときには、0.86%程度となる。
【0113】
すなわち、ブランキング期間Tblkmは、上述した式(5)を適用し、1フレーム当たりの時間に対して、MLCC171のインピーダンスRや静電容量Cに基づいて、所定値より小さく設定することで、異音の発生を抑制することができる。
【0114】
より具体的には、MLCC171に歪を発生させる力(基板153を加振する力)Fは一般に、以下の式(6)で表される。
【0115】
F=d・ΔV(N:ニュートン)
・・・(6)
【0116】
ここで、dは、MLCC171が個々に持つ定数である圧電歪定数であり、ΔVは、与えられた電界の強さ、すなわち、リップル電圧ΔVである。
【0117】
上述したように、MLCC171に歪を発生させる力Fが基板153を加振することで異音が発生される。この発生される異音の放射パワーW(w)は、音響工学において、基板153の面積、基板153の振動速度、媒質となる基板153の密度、および音の伝搬速度に基づいて、以下の式(7)で表される関係を満たす。
【0118】
W∝S・(Δv平均)2・ρc(w:ワット)
・・・(7)
【0119】
ここで、Sは、基板153の面積であり、Δv平均は、基板153の振動速度であり、ρは、媒質となる基板153の密度であり、cは、音の伝搬速度である。
【0120】
また、基板153の振動速度△v平均は、MLCC171に歪を発生させる力(基板153を加振する力)Fに比例するため、以下の式(8)の関係が満たされることになる。
【0121】
Δv平均∝F
・・・(8)
【0122】
ここでニュートン力学において、MLCC171に歪を発生させる力(基板153を加振する力)Fは、質量と加速度との積(F=m・a(m:質量、a:加速度))で表されるので、MLCC171に歪を発生させる力(基板153を加振する力)Fが大きいほど、加速度aも大きくなる。結果として、以下の(9)の関係が成立する。
【0123】
W∝S・(F平均)2・ρc=S・(d・ΔV平均)2・ρc(w:ワット)
・・・(9)
【0124】
このように、音の大きさを表す異音の放射パワーW(w)は、リップル電圧ΔVの2乗に比例する。
【0125】
これらのことから、上述した式(5)におけるnが、3に設定される場合、リップル電圧ΔVの最高値となる電圧Vrが1/3(=1/n:n=3)となり、これにより、音の大きさを表す異音の放射パワーW(w)は、1/9(=(1/3)2)となる。
【0126】
すなわち、式(5)において、nが3以上に設定されるように、ブランキング期間が設定されることにより、音の大きさを表す異音の放射パワーW(w)を、1/9≒1/10程度以下にすることが可能となり、人間の聴感上で静かになったと感じさせるようにすることができる。
【0127】
ただし、
図12の最下段で示される時刻t102乃至t103,t104乃至t105で示されるScanlineの切り替え時間については、制御限界があるため、式(5)で設定されるブランキング期間Tblkmは、Scanlineの切り替え時間に係る制御限界よりも短く設定することはできない。
【0128】
ブランキング期間が従来のように規格に沿った長さである場合、例えば、
図14の左部における点線で囲まれた部位で示されるように、ブランキング期間において、LEDを流れる電流の減少に伴って、リップル電圧が発生することになる。
【0129】
これに対して、本開示の手法を用いてブランキング期間を短く設定することで、
図14の右部の波形で示されるように、LEDを流れる電流の減少が抑制され、これに伴って、リップル電圧の発生が抑制される。
【0130】
結果として、MLCC171の膨張や収縮に伴った基板153の歪みがなくなり、異音の発生が抑制される。
【0131】
尚、
図14は、上から電流、電源入力電圧、LEDドライバ121の印可電圧、および接地電位の波形を示している。
【0132】
また、例えば、基板153に複数の表示ユニット51が搭載されるような場合、複数の表示ユニット51の動作を完全同期させるようなことが考えられる。このように複数の表示ユニット51が同期して動作することで、動きのある高精細画像を、より高精度に表示することが可能になる。また、高精細画像を高精度に表示することが可能となるので、高精度な再撮なども実現することが可能となる。
【0133】
一方で、複数の表示ユニット51の動作を完全同期させると、従来の規定に従ってブランキング期間が設定されることにより、より大きなリップル電圧ΔVが発生し、これに伴ってより大きな異音が発生する。
【0134】
しかしながら、複数の表示ユニット51の動作を完全同期させるようなときでも、上述したように、ブランキング期間を短縮してリップル電圧ΔVの発生を抑制することで、リップル電圧ΔVの発生を抑制することは可能なので、本開示の技術によれば、高精細画像を高精度に表示させるようなときにおいて発生する、より大きな異音の発生をも抑制することが可能となる。
【0135】
尚、
図11においては、時系列に各フレームについてScan line1乃至Nが1回ずつ表示されて、フレームF1,F2,・・・と順次表示されるフレームが進むように記載されているが、現実の処理においては、同一フレームのScan line1乃至Nが順次表示される処理が複数回、巡回的に繰り返されている。映像信号においては、これらの巡回数やScan line数であるNを特定する情報や、一般的な規格で規定されるブランキング期間の情報などが含まれており、信号処理部112は、これらの情報を含む映像情報と、ROM123に記憶されている基板153の基板搭載情報を加味した上で、一般的な規格で規定されるブランキング期間よりも短時間のブランキング期間を設定する。
【0136】
また、以上においては、LED141が、水平方向に並ぶ行単位の構成をScanLineとして設定し、上から下方向に行単位(Scanline単位)で順次発光させることでLEDディスプレイ全体として画像を表示する例について説明してきたが、行単位(Scanline単位)で下方向から上方向に順次発光させるようにしてもよい。
【0137】
また、LED141が、垂直方向に並ぶ列単位の構成をScanLineとして設定し、水平方向に列単位(Scanline単位)で右から左方向、または、左から右方向に順次発光させるようにして画像を表示するようにしてもよい。すなわち、ScanLine単位を構成するLED141は、水平方向に並ぶ行を単位とした構成でもよいし、垂直方向に並ぶ列を単位とした構成でもよい。
【0138】
<<8.表示処理>>
次に、
図15のフローチャートを参照して、
図1の表示システム11による表示処理について説明する。
【0139】
ステップS11において、信号処理部78は、HDMI端子72、DP端子73、およびDVI端子74のいずれか、および信号入力IF77を介して、ビデオサーバ31より供給されるコンテンツデータ等からなる映像信号の入力を受け付ける。
【0140】
ステップS12において、信号処理部78は、入力を受け付けた映像信号のビデオフォーマットを変換する。
【0141】
ステップS13において、信号処理部78は、MPU76より供給されるPC30の操作内容に応じて供給される制御信号の入力を受け付けて、色温度、コントラスト、および明るさなどの信号処理を実行する。
【0142】
ステップS14において、信号処理部78は、信号処理がなされた映像信号を、ビデオウォール33の表示ユニット51-1乃至51-nに割り付けて分配する。
【0143】
ステップS15において、信号処理部78は、分配した映像信号を、対応する表示ユニット51-1乃至51-nのそれぞれに伝送して出力する。
【0144】
以上の一連の処理により、ビデオサーバ31から読み出された映像信号に信号処理がなされて、ビデオウォール33を構成する表示ユニット51-1乃至51-nのそれぞれに対して分配して、伝送されることにより、表示ユニット51-1乃至51-nにより個々の映像が表示されることになるので、ビデオウォール33が全体としてビデオコンテンツの映像を表示することが可能となる。
【0145】
<<9.表示ユニットによるドライバ制御処理>>
次に、
図16のフローチャートを参照して、表示ユニット51によるドライバ制御処理について説明する。
【0146】
ステップS31において、表示ユニット51のドライバ制御部91における信号処理部112は、ビデオウォールコントローラ32より分配して供給された、映像信号の入力を、行単位で信号入力IF111を介して受け付ける。
【0147】
ステップS32において、信号処理部112は、ブランキング期間であるか否かを判定する。すなわち、信号処理部112は、信号入力IF111を介して受け付けた行単位の映像信号が、新たなフレームの最上段の先頭行の映像信号であるか否かに基づいて、ブランキング期間に入るタイミングであるのか否かを判定する。
【0148】
ステップS32において、ブランキング期間であるとみなされた場合、処理は、ステップS33に進む。
【0149】
ステップS33において、信号処理部112は、ブランキング期間の長さとして設定された時間だけ処理を停止する。ただし、ここで設定されるブランキング期間の長さは、上述したリップル電圧ΔVの上昇を抑制し、MLCC171の膨張および収縮に伴った基板153の歪みに起因する異音の発生を抑制可能な長さである。すなわち、ここで設定されるブランキング期間の長さは、信号入力IF111を介して受け付けた、入力信号となる映像信号に含まれるブランキング期間、すなわち、一般的な規格で規定されるブランキング期間の長さよりも短い時間に設定される。
【0150】
尚、ステップS32において、ブランキング期間ではないとみなされた場合、ステップS33の処理はスキップされる。
【0151】
ステップS34において、信号処理部112は、表示ユニット51として分配されてきた行単位の映像信号に対して、表示ユニット51のそれぞれに対応した色や輝度補正などを施すビデオ信号処理を実行する。
【0152】
ステップS35において、信号処理部112は、ビデオ信号処理が施された行単位の映像信号を、LEDブロック92におけるLEDドライバ121-1乃至121-Nに割り付けて、対応する出力IF114-1乃至114-Nを介して伝送する。
【0153】
ステップS36において、LEDブロック92におけるLEDドライバ121-1乃至121-Nは、行単位の映像信号に基づいてLED駆動制御処理を実行し、それぞれのLEDアレイ122-1乃至122-NにおいてPWM制御により、適切な輝度により行単位で映像を表示する。
【0154】
以上の処理により、ビデオウォール33を構成する表示ユニット51のそれぞれにおいて、適切な輝度調整がなされて、LEDブロック92に出力されて、順次行単位で映像を表示させることが可能となる。
【0155】
また、この際、入力された映像信号が新たなフレームの先頭行に対応するものである場合には、上述した式(5)により設定される、従来の規格で規定されるブランキング期間の長さよりも短い時間に設定されたブランキング期間だけ処理を停止させる。
【0156】
これにより、ブランキング期間におけるLEDが消灯状態となる時間が、従来の規格で規定されるブランキング期間に比べて短縮されることになるので、リップル電圧ΔVの発生を抑制することが可能となる。
【0157】
結果として、MLCC171へのリップル電圧ΔVの印可が抑制されるので、リップル電圧ΔVがMLCC171に印可されることで生じるMLCC171の膨張や収縮に伴った基板152,153の歪みの発生が抑制されて、異音の発生を抑制することが可能となる。
【0158】
また、上述した式(5)を用いたブランキング時間は、MLCC171の静電容量Cに比例して設定されるので、MLCC171を低容量化することで、ブランキング時間を短くすることができる。これにより、異音の発生を抑制しつつ、さらに、コストの低減を図ることが可能となる。
【0159】
<<10.第1の応用例>>
以上においては、ブランキング期間におけるLEDが消灯状態となる時間を、従来の規格で規定されるブランキング期間に比べて短縮させることで、リップル電圧ΔVの発生を抑制して、異音の発生を抑制させる例について説明してきた。
【0160】
ところで、スキャンラインを単位としたスキャンは、1フレーム中に複数回繰り返されるが、最後のスキャンラインから最初のスキャンラインに戻る際にも、上述したブランキング期間と比較して小さなブランキング期間が存在する。
【0161】
すなわち、例えば、スキャンラインがスキャンラインL1乃至L16からなる16本であり、1フレームにおいて32回繰り返される場合、
図17で示されるように、スキャンラインL1乃至L16を単位とするスキャンが32回繰り返される。
【0162】
このとき、スキャンラインL16から、次の回のスキャンに進むため、スキャンラインL1へと変化する際にも、
図17において、Tscanblkで示されるブランキング期間が発生する。
【0163】
以降において、このスキャンラインを単位とした各回のスキャンにおける最後のスキャンラインから最初のスキャンラインに戻る際に発生するブランキング期間を、スキャンブランキング期間Tscanblkと称する。
【0164】
従って、このスキャンブランキング期間Tscanblkにおいても、リップル電圧ΔVが発生する。
【0165】
そこで、このスキャンブランキング期間Tscanblkを、上述したブランキング期間と同様に短縮させるようにすることで、リップル電圧ΔVの発生を抑制して、異音の発生を抑制させるようにしてもよい。
【0166】
この場合、信号処理部112は、ブランキング期間、または、スキャンブランキング期間であるか否かを判定する。そして、ブランキング期間、または、スキャンブランキング期間に入るタイミングであるとき、ブランキング期間の長さとして設定された時間だけ処理が停止される。
【0167】
<<11.第1の応用例における表示ユニットによるドライバ制御処理>>
次に、
図18のフローチャートを参照して、第1の応用例における表示ユニット51によるドライバ制御処理について説明する。尚、
図18のステップS51,S53乃至S56の処理は、
図16のステップS31,S33乃至S36の処理と同一であるので、その説明は省略する。
【0168】
ステップS51においてビデオウォールコントローラ32より分配して供給された、映像信号の入力が、行単位で信号入力IF111を介して受け付けられる。
【0169】
ステップS52において、信号処理部112は、ブランキング期間、または、スキャンブランキング期間であるか否かを判定する。
【0170】
ステップS52において、ブランキング期間、または、スキャンブランキング期間であるとみなされた場合、処理は、ステップS53に進む。
【0171】
ステップS53において、信号処理部112は、ブランキング期間の長さとして設定された時間だけ処理を停止する。
【0172】
尚、ステップS52において、ブランキング期間、および、スキャンブランキング期間のいずれでもないとみなされた場合、ステップS53の処理はスキップされる。
【0173】
そして、ステップS54乃至S56において、分配されてきた行単位の映像信号に対して、表示ユニット51のそれぞれに対応した色や輝度補正などを施すビデオ信号処理が実行され、LEDブロック92におけるLEDドライバ121-1乃至121-Nに割り付けられて伝送され、行単位の映像信号に基づいてLED駆動制御処理が実行され、PWM制御により、適切な輝度により行単位で映像が表示される。
【0174】
以上の処理により、ブランキング期間、および、スキャンブランキング期間のいずれかの期間である場合には、上述した式(5)により設定される、従来の規格で規定されるブランキング期間の長さよりも短い時間に設定された時間だけ処理が停止される。
【0175】
これにより、ブランキング期間、およびスキャンブランキング期間におけるLEDが消灯状態となる時間が、従来の規格で規定されるブランキング期間に比べて短縮されることになるので、リップル電圧ΔVの発生を抑制することが可能となる。
【0176】
結果として、MLCC171へのリップル電圧ΔVの印可が抑制されるので、リップル電圧ΔVがMLCC171に印可されることで生じるMLCC171の膨張や収縮に伴った基板152,153の歪みの発生が抑制されて、異音の発生を抑制することが可能となる。
【0177】
<<12.第2の応用例>>
以上においては、ブランキング期間に加えて、スキャンブランキング期間におけるLEDが消灯状態となる時間も、従来の規格で規定されるブランキング期間に比べて短縮させることで、リップル電圧ΔVの発生を抑制して、異音の発生を抑制させる例について説明してきた。
【0178】
しかしながら、フレームレートと合わせてスキャン周波数を高く設定することで、発生する異音を可聴帯域外とすることで、異音は発生していても人間には異音として認識され難くするようにしてもよい。
【0179】
図17を参照して説明したように、フレームレートが60Hzである場合、1フレーム当たり32回のスキャンがなされるとき、1秒間当たりのスキャン回数である、スキャン周波数は、1920Hz(=32×60)となる。また、この場合、リップル電圧ΔVは、1秒間当たり、1920回発生することになるので、1920Hz(=32×60)の周波数からなる異音が発生されることになる。
【0180】
例えば、フレームレートが60Hzである場合、32回のスキャンがなされるときのスキャンの様子を
図19の最上段で示されるように表現するものとする。
【0181】
尚、
図19の最上段においては、図中上から順に1行目から16行目までのスキャンラインL1乃至L16(図中では、左側の列の番号1乃至16で表現されている)が設定され、図中右方向で表現される時刻方向に対して、格子状の模様が付されたタイミングにおいてスキャンがなされ、16行のスキャンがなされる毎に、スキャンブランキング期間Tscanblk、すなわち、リップル電圧ΔV’が発生している様子が示されている。尚、スキャンブランキング期間Tscanblkにおける、リップル電圧ΔV’は、上述したブランキング期間におけるリップル電圧ΔVと同一ではないが類似した略同一の電圧であるので、「’」を付している。
【0182】
ただし、
図19は、32行のスキャンラインに係るスキャンとブランキング期間のタイミングを、視覚的に理解し易くするため、16行のスキャンラインで表現したものであり、
図19の最上段で示されるタイミングチャートに基づいて、発生する異音は1920Hzであるものとする。
【0183】
尚、以降において、異音の原因となる、スキャンブランキング期間Tscanblkにおいて発生するリップル電圧ΔVが発生する1秒あたりの回数は、リップル周波数とも称する。
【0184】
例えば、1920Hzのスキャン周波数を、2倍の3840Hzとした場合、
図19の中段で示されるように、スキャンブランキング期間Tscanblk、すなわち、リップル電圧ΔV’の発生回数は、
図19の最上段で示される場合に対して2倍となる。したがって、この場合、リップル周波数は、3840Hzとなり、より高周波の異音が発生することになる。
【0185】
さらに、例えば、1920Hzのスキャン周波数を、4倍の7680Hzとした場合、
図19の中段で示されるように、スキャンブランキング期間Tscanblk、すなわち、リップル電圧ΔV’の発生回数は、
図19の最上段で示される場合に対して4倍となる。したがって、この場合、リップル周波数は、7680Hzとなり、さらに高周波の異音が発生することになる。
【0186】
異音は、1回のスキャン毎にも発生しているため、このようにスキャン周波数を高めることで、スキャンライン毎の1回のスキャン時間が短くなることで、異音の放射パワーは低減されるので、異音を低減させる効果は生じる。
【0187】
ところが、人間の可聴帯域は、1920Hz乃至7680Hzの範囲を含んでおり、
図19を参照して説明した制御では、可聴帯域の異音が発生されることになる。
【0188】
このため、スキャン周波数をさらに高めて、リップル周波数を高くすることにより、可聴帯域の上限に近い10kHzを超えるような異音を発生させることが考えられる。
【0189】
すなわち、例えば、1920Hzのスキャン周波数の8倍にすれば、10kHzを超えた異音、すなわち、可聴帯域ではあるが、聴力感度の下がった領域の異音となり、人間の聴覚では知覚し難くなるので、異音としては認識されないので、実質的に、異音の抑制を実現することができる。
【0190】
しかしながら、スキャン周波数には、LEDドライバ121におけるPWM(Pulse Width Modulation)制御限界や、その他のICの動作限界など、ハードウェアで実現できる限界があり、スキャン周波数を4倍にすることは可能であるが、構成が高価なものとなるため、安価な構成で異音を抑制する上では、リップル周波数が3840Hzを超える制御は現実的ではない。
【0191】
そこで、本開示においては、
図20で示されるように、1フレームのスキャン区間において、仮想的なブランキング期間を設定し、スキャン周波数を高めることなく、リップル周波数のみを高くすることで、ハードウェアに対する負担を抑制しながら、人間には知覚され難い異音にすることで、実質的な異音の抑制を実現する。
【0192】
図20においては、最上段、および中段は、
図19と同様である。
図20の最下段においては、スキャン周波数である1920Hzを、現実的な制御が可能な2倍程度とした上で、1回のスキャン区間毎に1つの仮想的なスキャンブランキング期間(以下、仮想スキャンブランキング期間と称する)VTscanblkが設定されている。
【0193】
すなわち、
図20の最下段で示されるように、1回のスキャンのうち、全スキャンラインの半分のスキャンが終了したタイミングで仮想スキャンブランキング期間VTscanblkが設定されることにより、ブランキング期間Tblkと、仮想スキャンブランキング期間VTscanblkとが等間隔で設定されている。
【0194】
スキャンブランキング期間Tscanblkと、仮想スキャンブランキング期間VTvscanblkとは、より詳細には、
図21で示されるような関係となる。
【0195】
すなわち、スキャンラインL1乃至L16のスキャンが1回でなされる場合、スキャンラインL1乃至L8が終了したタイミングで、仮想スキャンブランキング期間VTvscanblkが設定される。そして、スキャンラインL9乃至L16が終了した時点で、ブランキング期間Tblkが設定される。
【0196】
これにより、実質的にスキャン周波数を1920Hzの8倍にしたときと同様のリップル周波数とすることができる。リップル周波数が7680Hzを超えると、基板153で振動の一部が吸収されて、異音の放射パワーが低減されるので、異音の発生を低減させる効果が生じる。また、リップル周波数が可聴帯域の上限に近い10kHzに近づくため、異音として知覚され難くなる。いずれにおいても、結果として、実質的に異音の低減を実現することが可能となる。さらに、仮想スキャンブランキング期間VTscanvblkを付加するようにして、例えば、リップル周波数を10kHz以上にすると、異音を低減させる効果をさらに高めることが可能となる。
【0197】
尚、
図20の最下段においては、1回のスキャンにおける全スキャンラインの半分のスキャンが終了したタイミングで仮想スキャンブランキング期間VTscanblkが設定される例について説明しているが、ブランキング期間と仮想スキャンブランキング期間とが等間隔に設定されれば、仮想スキャンブランキング期間VTscanvblkは、これ以上設定されてもよい。
【0198】
例えば、1回のスキャンにおける全スキャンラインが12ラインである場合、最初の1/3のスキャンラインとなる4ライン目のスキャンが終了したタイミングと、その次の1/3のスキャンラインとなる8ライン目のスキャンが終了したタイミングのそれぞれで、合計2つの仮想スキャンブランキング期間VTscanblkが設定されるようにしてもよい。
【0199】
すなわち、スキャンブランキング期間Tscanblkと、仮想スキャンブランキング期間VTscanblkとが等間隔で設定されれば、これ以上の数の仮想スキャンブランキング期間VTscanblkが設定されてもよい。
【0200】
また、
図20の最下段で示されるように、スキャンラインの半分のスキャンが終了したタイミングで仮想スキャンブランキング期間VTscanblkが設定される場合は、リップル周波数は、フレームレートの2倍の周波数となる。
【0201】
さらに、上述したように、1回のスキャンライン数が12ラインであるような場合、スキャンラインの最初の1/3である4ライン目のスキャンが終了したタイミングと、その次の1/3である8ライン目のスキャンが終了したタイミングのそれぞれで、合計2つの仮想スキャンブランキング期間VTcanblkが設定されるとき、リップル周波数は、スキャン周波数の3倍の周波数となる。
【0202】
これにより、リップル周波数は、1フレーム中に設定される仮想スキャンブランキング期間の数をnとするとき、実質的にフレームレートの逓倍((n+1)倍)に設定することが可能となる。
【0203】
ただし、人間の可聴帯域は、20kHz以上の領域には存在しない上、仮想スキャンブランキング期間VTscanblkが増えすぎると、発光時間が短くなり、照度が低下してしまう。
【0204】
そこで、仮想スキャンブランキング期間VTscanblkは、ブランキング期間Tblkおよびスキャンブランキング期間Tscanblkと併せて設定されるリップル周波数が、人間の可聴帯域の上限に至らない上限近傍の範囲から異音として完全に知覚不可となる帯域(非可聴帯域)の下限値までの範囲で設定されるものとし、例えば、10kHzを超える程度を上限とすることが望ましい。
【0205】
尚、人間の可聴帯域の上限に至らない、可聴帯域の上限近傍を範囲として含むのは、可聴帯域の上限に近づけるだけでも、聴覚的に異音として知覚され難くはなる上、消灯時間を確保しつつ、実質的に、異音を低減させる効果が得られるからである。
【0206】
また、上述したように異音の発生源は、リップル電圧ΔVの変化に伴って生じる基板153のたわみであるが、リップル電圧ΔVの変化は、輝度に応じたものであり、また、基板153の振動は基板153の材質(硬度)にも影響されるものとなる。
【0207】
すなわち、輝度に応じて流通する電流値や電圧値が変化するので、結果として、リップル電圧ΔVは輝度に応じて変化することになる。
【0208】
このため、表示ユニット51のドライバ制御部91における信号処理部112は、ビデオウォールコントローラ32より制御信号として供給されるフレームレートと、映像信号における輝度と、予めDRAM113に格納される基板153の材質(硬度)の情報とに応じて、仮想スキャンブランキング期間VTscanblkを設定する。
【0209】
例えば、輝度が所定値よりも高い場合、リップル電圧ΔVは大きくなるので、信号処理部112は、リップル周波数が所定値よりも高くなるように、仮想スキャンブランキング期間を設定するようにしてもよい。
【0210】
ただし、上述したようにリップル周波数が高くなりすぎると消灯期間が長くなり、照度の低下を招くため、例えば、輝度が所定値よりも高い場合には、上述した上限となるリップル周波数となるように仮想スキャンブランキング期間が設定されるようにしてもよい。一方、輝度が所定値よりも高くない場合には、上限値よりも低いリップル周波数となるように仮想スキャンブランキング期間が設定されるようにしてもよい。
【0211】
また、
図18の最下段においては、
図20の最上段のスキャン周波数を2倍にした後、1回のスキャン毎に1つの仮想スキャンブランキング期間が設定されるようにすることで、実質的に、最上段のスキャン周波数の4倍のリップル周波数を実現している。しかしながら、
図20の最上段のスキャン周波数のまま、1回のスキャン毎に3つの仮想スキャンブランキング期間が設定されるようにすることで、実質的に、最上段のスキャン周波数の4倍のリップル周波数を実現するようにしてもよい。
【0212】
スキャン周波数を逓倍せずに仮想スキャンブランキング期間を設定して、リップル周波数を高めることにより、PWM制御に係るハードウェアへの負担は小さくなるが、1スキャンライン毎のスキャン時間は短くなるので、異音は発生し易い状態となり、スキャン周波数を逓倍した場合と比較すると異音の低減の効果は低下する。
【0213】
すなわち、仮想スキャンブランキング期間を設定して、リップル周波数を高める際、スキャン周波数を逓倍した上での処理とするか否かについては、PWM制御に係るハードウェアへの負担と、異音の低減に係る効果の程度とのトレードオフとなる。
【0214】
尚、今現在の技術においては、
図20の最上段を参照して説明したリップル周波数が1920Hzの処理は一般的なものであり、また、スキャン周波数を2倍にして、リップル周波数を3840Hzにして処理することは低コストで実現可能な技術であるため、
図20の中段で示されるまでの処理は低コストで実現可能な技術と言える。
【0215】
しかしながら、これ以上スキャン周波数を上げた処理を実現するには、PWM制御に係るハードウェアが高コスト化する。このため、今現在の技術においては、一般的な1920Hzのリップル周波数となる構成に対して、スキャン周波数を2倍にした後、スキャン周波数に対して逓倍のリップル周波数となるように仮想スキャンブランキング期間を設定して、異音を低減させる手法が、異音の低減の程度と、コストパフォーマンスとに優れた手法と言える。
【0216】
信号処理部112は、スキャンブランキング期間Tscanblk、および仮想スキャンブランキング期間VTscanblkにおいては、ブランキング期間Tblkにおける場合と同様に処理を停止させる。
【0217】
尚、スキャンブランキング期間Tscanblk、および、仮想スキャンブランキング期間VTscanblkの長さは、ブランキング期間と同様に設定されるようにしてもよい。
【0218】
ただし、
図20を参照して説明した処理は、現実に異音の発生を抑制する処理ではないため、スキャンブランキング期間の周波数に対して逓倍のリップル周波数となるように、仮想スキャンブランキング期間が設定されていれば、ブランキング期間、スキャンブランキング期間および仮想スキャンブランキング期間のそれぞれの長さについては、従来の長さであっても、異音として認識され難くなるので、実質的に異音を低減させる効果を得ることは可能である。
【0219】
しかしながら、ブランキング期間の長さ同様に、スキャンブランキング期間、および仮想スキャンブランキング期間についても、より短い期間とすることで、リップル電圧ΔVの変動は小さくできる分、振動を抑えられて、異音の発生そのものが抑制されるので、異音の低減に係る効果は、より高いものとすることができる。
【0220】
また、第2の応用例においては、異音の発生そのものを抑制するではなく、発生する異音を、異音として知覚し難くしている。このため、例えば、LEDバックライトなどの他の機器などで、MLCCや配線等を有する基板が、所定周期で発生するリップル電圧ΔVに起因する振動で生じる異音についても、リップル周波数が可聴帯域を超えるように、ブランキング期間、スキャンブランキング期間、および仮想スキャンブランキング期間のようなLEDの消灯期間が設定されるようにすることで異音として知覚され難くすることができる。
【0221】
<<13.第2の応用例における表示処理>>
次に、
図22のフローチャートを参照して、
図1の表示システム11による第2の応用例における表示処理について説明する。尚、
図22のフローチャートにおけるステップS71乃至S73、およびステップS75,S76の処理は、
図15のフローチャートにおけるステップS11乃至S13、およびステップS15,S16の処理と同様であるので、その説明は省略する。
【0222】
すなわち、ステップS71乃至S73において、映像信号の入力が受け付けられ、ビデオフォーマットが変換され、MPU76より供給されるPC30の操作内容に応じて供給される制御信号の入力を受け付けて、色温度、コントラスト、および明るさなどの信号処理が実行される。
【0223】
ステップS74において、信号処理部78は、信号処理がなされた映像信号のフレームレートの情報を制御信号として表示ユニット51のドライバ制御部91における信号処理部112に供給する。
【0224】
その後、ステップS75,S76において、信号処理がなされた映像信号が、ビデオウォール33の表示ユニット51-1乃至51-nに割り付けて分配されて、それぞれに伝送される。
【0225】
以上の一連の処理により、ビデオサーバ31から読み出された映像信号に信号処理がなされて、ビデオウォール33を構成する表示ユニット51-1乃至51-nのそれぞれに対して分配して、伝送され、さらに、フレームレートが表示ユニット51に供給される。
【0226】
これにより、表示ユニット51-1乃至51-nにより個々の映像が表示されることになるので、ビデオウォール33が全体としてビデオコンテンツの映像を表示することが可能となる。また、表示ユニット51のそれぞれにおいては、フレームレートに基づいて、仮想スキャンブランキング期間VTscanblkを設定することが可能となり、異音を抑制することが可能となる。
【0227】
<<14.第2の応用例における表示ユニットによるドライバ制御処理>>
次に、
図23のフローチャートを参照して、表示ユニット51によるドライバ制御処理の応用例について説明する。尚、
図23におけるステップS91,S95乃至98の処理は、
図16のフローチャートにおけるステップS33乃至S36の処理と同様であるので、適宜省略する。
【0228】
すなわち、ステップS91において、ビデオウォールコントローラ32より分配して供給された、映像信号の入力が、行単位で信号入力IF111を介して受け付けられる。
【0229】
ステップS92において、信号処理部112は、ビデオウォールコントローラ32より制御信号として供給されたフレームレートの情報を受信する。
【0230】
ステップS93において、信号処理部112は、映像信号に基づいた輝度、DRAM113に予め格納されている基板153の材質(硬度)の情報、およびフレームレートの情報に基づいて、異音として認識され難い所定の周波数よりも高いリップル周波数となるように仮想スキャンブランキング期間VTscanblkを設定する。
【0231】
すなわち、信号処理部112は、映像信号に基づいた輝度、基板153の材質(硬度)の情報、およびフレームレートの情報に基づいて、スキャンブランキング期間の周波数に対して逓倍となる、異音として認識され難い所定の周波数よりも高い(可聴帯域よりも高い)リップル周波数が実現されるように、ブランキング期間、スキャンブランキング期間、および仮想スキャンブランキング期間を、それぞれの長さと併せて設定する。
【0232】
ステップS94において、信号処理部112は、ブランキング期間、スキャンブランキング期間、または、仮想スキャンブランキング期間であるか否かを判定する。すなわち、信号処理部112は、ブランキング期間に入るタイミング、スキャンブランキング期間、および、仮想スキャンブランキング期間のいずれかの期間に入るタイミングであるのか否かを判定する。
【0233】
ステップS94において、ブランキング期間、スキャンブランキング期間、および、仮想スキャンブランキング期間のいずれかの期間であるとみなされた場合、処理は、ステップS95に進む。
【0234】
ステップS95において、信号処理部112は、ブランキング期間、スキャンブランキング期間、および、仮想スキャンブランキング期間の長さとして設定された時間だけ処理を停止する。
【0235】
尚、ステップS94において、ブランキング期間、スキャンブランキング期間、および、仮想スキャンブランキング期間のいずれでもないとみなされた場合、ステップS95の処理はスキップされる。
【0236】
そして、ステップS96乃至S98において、表示ユニット51のそれぞれに対応した色や輝度補正などを施すビデオ信号処理が実行され、LEDブロック92におけるLEDドライバ121-1乃至121-Nに割り付けられて、対応する出力IF114-1乃至114-Nを介して伝送され、行単位の映像信号に基づいてLED駆動制御処理が実行され、PWM制御により、適切な輝度により行単位で映像が表示される。
【0237】
従来の規格で規定されるブランキング期間の長さよりも短い時間に設定されたブランキング期間、スキャンブランキング期間、および仮想スキャンブランキング期間において、処理が停止されるので、LEDが消灯状態となる時間が短縮されることになるので、リップル電圧ΔVの発生が抑制される。
【0238】
また、ブランキング期間およびスキャンブランキング期間に加えて、仮想スキャンブランキング期間が設定されることにより、スキャン周波数を上げることなく、リップル周波数を高めることが可能となるので、発生する異音を可聴帯域外とすることで、異音として認識され難くすることができ、実質的な異音の低減を図ることが可能となる。
【0239】
これにより、ブランキング期間、スキャンブランキング期間、および仮想スキャンブランキング期間の時間を短くすることで異音の発生を抑制しつつ、仮想スキャンブランキング期間を設定することで、スキャン周波数を上げることなくリップル周波数を高めることで、発生する異音を、異音として認識し難いものとすることができる。
【0240】
結果として、低コストで異音抑制効果を図ることが可能となる。
【0241】
<<15.ソフトウェアにより実行させる例>>
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
【0242】
図24は、汎用のコンピュータの構成例を示している。このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)1001を内蔵している。CPU1001にはバス1004を介して、入出力インタフェース1005が接続されている。バス1004には、ROM(Read Only Memory)1002およびRAM(Random Access Memory)1003が接続されている。
【0243】
入出力インタフェース1005には、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスよりなる入力部1006、処理操作画面や処理結果の画像を表示デバイスに出力する出力部1007、プログラムや各種データを格納するハードディスクドライブなどよりなる記憶部1008、LAN(Local Area Network)アダプタなどよりなり、インターネットに代表されるネットワークを介した通信処理を実行する通信部1009が接続されている。また、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブル記憶媒体1011に対してデータを読み書きするドライブ1010が接続されている。
【0244】
CPU1001は、ROM1002に記憶されているプログラム、または磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体1011ら読み出されて記憶部1008にインストールされ、記憶部1008からRAM1003にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM1003にはまた、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0245】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU1001が、例えば、記憶部1008に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0246】
コンピュータ(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記憶媒体1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0247】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブル記憶媒体1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インタフェース1005を介して、記憶部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記憶部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記憶部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0248】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0249】
尚、
図24におけるCPU1001が、信号処理部112の機能を実現させる。
【0250】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0251】
なお、本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0252】
例えば、本開示は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0253】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0254】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0255】
尚、本開示は、以下のような構成も取ることができる。
<1> LED(Light Emitting Diode)アレイを構成するLEDの発光を制御する発光制御部を備え、
前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、所定周波数よりも高くなるように制御する
駆動制御装置。
<2> 前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、人間の可聴帯域となる周波数よりも高くなるように制御する
<1>に記載の駆動制御装置。
<3> 前記発光制御部は、前記LEDアレイを構成するLEDの発光をスキャンライン単位で制御するパッシブマトリクス駆動方式で制御する
<1>に記載の駆動制御装置。
<4> 前記発光制御部は、入力信号のフレームレートに基づいて、前記LEDが消灯する期間の周波数が、人間の可聴帯域となる周波数よりも高くなるように制御する
<2>に記載の駆動制御装置。
<5> 前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、前記人間の可聴帯域となる周波数よりも高い、前記フレームレートの逓倍となるスキャン周波数に制御する
<4>に記載の駆動制御装置。
<6> 前記LEDが消灯する期間は、前記フレームレートの逓倍となるスキャン周波数に基づいた、直前のスキャンの最終行が表示された後から、次のスキャンの先頭行が表示されるまでの第1の期間、および、連続する前記第1の期間の間で等間隔に設定される第2の期間である
<5>に記載の駆動制御装置。
<7> 前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の長さを、前記入力信号が示す時間よりも短時間になるように制御する
<6>に記載の駆動制御装置。
<8> 前記入力信号が示す時間は、前記入力信号のブランキング期間に対応する
<7>に記載の駆動制御装置。
<9> 前記発光制御部は、装置を構成する基板上に設けられたコンデンサに印加される電圧を変化させるように、前記LEDが消灯する期間の長さを制御する
<7>に記載の駆動制御装置。
<10> 前記発光制御部は、前記コンデンサに印加される電圧が三分の一以下になるように、前記LEDが消灯する期間の長さを制御する
<9>に記載の駆動制御装置。
<11> 前記発光制御部は、装置を構成する基板上に設けられたコンデンサの静電容量またはインピーダンスに応じて前記LEDが消灯する期間の長さを制御する
<7>に記載の駆動制御装置。
<12> 前記コンデンサは、MLCC(Multilayer Ceramic Capacitors)である
<11>に記載の駆動制御装置。
<13> 前記発光制御部は、装置を構成する前記基板上に設けられた前記コンデンサに関する情報を取得し、取得した前記コンデンサに関する情報に基づいて前記LEDが消灯する期間の長さを制御する
<12>に記載の駆動制御装置。
<14> 前記発光制御部は、前記スキャン周波数、および、装置を構成する基板の硬度に基づいて、前記LEDが消灯する期間の周波数が、人間の可聴帯域となる周波数よりも高くなるように制御する
<5>に記載の駆動制御装置。
<15> 前記発光制御部は、前記スキャン周波数、前記基板の硬度、および前記LEDの輝度に基づいて、前記LEDが消灯する期間の周波数が、人間の可聴帯域となる周波数よりも高くなるように制御する
<14>に記載の駆動制御装置。
<16> 前記発光制御部は、前記LEDの輝度が高い程、前記LEDが消灯する期間の周波数を高く制御する
<15>に記載の駆動制御装置。
<17> 前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数を、前記人間の可聴帯域の上限よりも高く、前記人間の非可聴帯域の下限よりも低く制御する
<15>に記載の駆動制御装置。
<18> 前記発光制御部は、前記スキャン周波数に基づいて、前記スキャン周波数を逓倍した上で、前記LEDが消灯する期間の周波数が、前記人間の可聴帯域となる周波数よりも高くなるように制御する
<5>に記載の駆動制御装置。
<19> LED(Light Emitting Diode)アレイを構成するLEDの発光を制御する発光制御部としてコンピュータを機能させ、
前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、所定周波数よりも高くなるように制御する
プログラム。
<20> アレイ状に配置されたLED(Light Emitting Diode)と、前記LEDの駆動を制御する駆動制御装置とを有する表示ユニットからなる表示部と、
映像信号の入力を受け付け、前記映像信号に所定の信号処理を施して、前記表示ユニットに分配する分配部とを備え、
前記駆動制御装置は、
前記LEDの発光を制御する発光制御部を備え、
前記発光制御部は、前記LEDが消灯する期間の周波数が、所定周波数よりも高くなるように制御する
表示システム。
【符号の説明】
【0256】
11 表示システム, 30 PC, 31 ビデオサーバ, 32 ビデオウォールコントローラ, 33 ビデオウォール, 51,51-1乃至51-n 表示ユニット, 78 信号処理部, 91 ドライバ制御部, 92 ドライバブロック, 112 信号処理部, 121,121-1乃至121-N 駆動回路, 122 画素アレイ, 151 AC電源装置, 152,153 基板/配線, 161,162 配線, 171 MLCC, 172 接続部