(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143191
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】パンツ型使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/551 20060101AFI20241003BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20241003BHJP
A61F 13/58 20060101ALI20241003BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20241003BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61F13/551 100
A61F13/49 410
A61F13/58
A61F13/51
A61F13/49 311Z
A61F13/49 312Z
A61F13/56 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055728
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏 成顕
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA11
3B200BA12
3B200BA13
3B200BA16
3B200BB09
3B200BB11
3B200BB20
3B200CA03
3B200DA01
3B200DA21
3B200DA28
3B200DE02
3B200DE07
3B200DE08
3B200DE09
3B200DE16
(57)【要約】
【課題】後処理テープの摘み部を容易に摘まむことができるパンツ型使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】幅方向Wに伸縮可能な外装体20の非肌側に設けられた後処理テープ30を有する紙パンツ1において、後処理テープ30は、ウエスト開口部4に向かって展開可能に折り畳まれた状態で外装体20に固定されたテープ本体31と、テープ本体31の他端部に設けられた摘み部32と、を有し、テープ本体31は、折り畳まれた状態での剛性が、摘み部32の基端32aに近い位置よりも第1折返し位置31aに近い位置の方が低く、外装体20は、幅方向Wの伸縮応力が、摘み部32の基端32aが重複した領域に近い位置よりも、第1折返し位置31aが重複した領域に近い位置の方が高い。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側から背側に対応する長手方向に延びると共に体液を吸収する吸収部材と、
前記吸収部材の前記長手方向の両端部を装着時に衣服に近い非肌側から覆うと共に、前記長手方向に直交する幅方向に沿って伸縮可能な外装体と、を備え、
前記着用者の胴を取り囲み且つ上端にウエスト開口部が形成されたウエスト部と、前記着用者の股下を覆い且つ一対の足周り開口部が形成された股下部と、を有するパンツ型使い捨ておむつであって、
前記外装体の前記非肌側には、前記ウエスト開口部に向かって展開可能に折り畳まれた状態で一端部が前記外装体に固定された帯状のテープ本体と、前記テープ本体の他端部に設けられた摘み部と、を有する後処理テープが設けられ、
前記テープ本体は、折り畳まれた状態での剛性が、前記摘み部の基端に近い位置よりも、前記ウエスト開口部側の先端に近い位置の方が低く、
前記外装体は、前記幅方向の伸縮応力が、前記摘み部の基端が重複する領域に近い位置よりも、前記ウエスト開口部側の先端が重複する領域に近い位置の方が高い
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
請求項1に記載されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、
前記外装体は、前記摘み部の基端が重複する領域に前記伸縮応力を有していない
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、
前記テープ本体は、前記摘み部の基端と前記ウエスト開口部側の先端との間に剛性変化位置が設定され、
前記剛性変化位置から前記ウエスト開口部側の先端までの間に、前記テープ本体の剛性を低下させる低剛性部が形成されている
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
請求項3に記載されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、
前記低剛性部は、前記長手方向に延びるスリットによって構成されている
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項5】
請求項4に記載されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、
前記スリットは、前記テープ本体の前記幅方向の中央部に形成されている
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項6】
請求項4に記載されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、
前記スリットは、前記幅方向に所定の間隔をあけて複数形成されている
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項7】
請求項4に記載されたパンツ型使い捨ておむつにおいて、
前記スリットは、前記テープ本体の前記ウエスト開口部側の先端を破断しない
ことを特徴とするパンツ型使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、体液を吸収する吸収部材の非肌側に取り付けられた外装体を備え、外装体の幅方向の両側部が接合されてウエスト開口部が形成されたウエスト部と、一対の足周り開口部が形成された股下部と、を有するパンツ型使い捨ておむつにおいて、外装体の非肌側に、使用後のおむつを丸めた状態で保持するために用いられる後処理テープが設けられたものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
後処理テープは、ウエスト開口部に向かって展開可能に折り畳まれた状態で、一端部が外装体に固定されたテープ本体と、テープ本体の他端部に設けられた摘み部と、を有している。そして、着用者や介助者等の使用者は、パンツ型使い捨ておむつを廃棄する際、摘み部を摘まんで後処理テープを引っ張り、折り畳まれた状態のテープ本体を展開することで、テープ本体の外装体に固定されていない部分を伸長させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-194256号公報
【特許文献2】実用新案登録第3229304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、後処理テープのテープ本体や摘み部は、プラスチック製のシート材によって構成されている。そして、テープ本体が折り畳まれた状態において、摘み部の面は、外装体やテープ本体の面と平行に延び、しかも厚さ方向に近接している。そのため、摘み部と外装体との間には、隙間がほとんど生じておらず、使用者の爪や指先が摘み部の内側(肌側)に入りにくくなっていた。そのため、摘み部が摘まみにくいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、後処理テープの摘み部を容易に摘まむことができるパンツ型使い捨ておむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、着用者の腹側から背側に対応する長手方向に延びると共に体液を吸収する吸収部材と、前記吸収部材の前記長手方向の両端部を装着時に衣服に近い非肌側から覆うと共に、前記長手方向に直交する幅方向に沿って伸縮可能な外装体と、を備え、前記着用者の胴を取り囲み且つ上端にウエスト開口部が形成されたウエスト部と、前記着用者の股下を覆い且つ一対の足周り開口部が形成された股下部と、を有するパンツ型使い捨ておむつであって、前記外装体の前記非肌側には、前記ウエスト開口部に向かって展開可能に折り畳まれた状態で一端部が前記外装体に固定された帯状のテープ本体と、前記テープ本体の他端部に設けられた摘み部と、を有する後処理テープが設けられ、前記テープ本体は、折り畳まれた状態での剛性が、前記摘み部の基端に近い位置よりも、前記ウエスト開口部側の先端に近い位置の方が低く、前記外装体は、前記幅方向の伸縮応力が、前記摘み部の基端が重複する領域に近い位置よりも、前記ウエスト開口部側の先端が重複する領域に近い位置の方が高い構成とした。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明のパンツ型使い捨ておむつでは、後処理テープの摘み部を容易に摘まむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1のパンツ型使い捨ておむつを非肌側から見たときの展開図である。
【
図2】実施例1のパンツ型使い捨ておむつの外観図である。
【
図5】実施例1のテープ本体の折り畳み状態での剛性の大きさを示す説明図である。
【
図6】実施例1の外装体の幅方向に沿った伸縮応力の大きさを示す説明図である。
【
図7A】実施例1のパンツ型使い捨ておむつにおいて、シャーリング伸縮材が収縮したときの要部拡大図である。
【
図7B】実施例1のパンツ型使い捨ておむつにおいて、シャーリング伸縮材が収縮したときの要部断面図である。
【
図8】第1変形例の後処理テープを示す平面図である。
【
図9】第2変形例の後処理テープを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によるパンツ型使い捨ておむつを実施するための形態は、図面に示す実施例1に基づいて以下の通り説明される。なお、以下の説明では、着用者の腹側から背側に対応する方向が「長手方向L」とされ、長手方向Lに直交する方向が「幅方向W」とされる。また、長手方向L及び幅方向Wの双方に直交する方向が「厚さ方向H」とされる。さらに、厚さ方向Hにおいて、装着時に着用者の身体に近い方が「肌側」とされ、装着時に衣服に近い方が「非肌側」とされる。
【0011】
(実施例1)
実施例1のパンツ型使い捨ておむつ(以下、「紙パンツ1」という)は、
図1に示されたように、吸収部材10と、外装体20と、後処理テープ30と、を備えている。
【0012】
吸収部材10は、
図1に示されたように、厚さ方向Hから見た平面視において、長手方向Lに延びる長方形状を呈している。吸収部材10は、紙パンツ1の着用時に着用者の肌に接し、尿等の体液を吸収する。吸収部材10は、例えば吸収性ポリマー粒子やパルプ繊維を含む吸収体と、吸収体を挟み込むトップシート及びバックシートと、等を有している。
【0013】
なお、トップシートは、吸収体の肌側に配置されるシート材であり、体液を透過可能である。また、バックシートは、吸収体の非肌側に配置されるシート材であり、体液の透過を遮断する。
【0014】
外装体20は、吸収部材10の少なくとも長手方向Lの両端部を非肌側から覆い、吸収部材10が接合されるシート材である。実施例1の外装体20は、着用者の腹側から背側まで一体に延びている。また、外装体20は、長手方向Lの両端部において、それぞれ吸収部材10よりも幅方向Wの外方に延在し、長手方向Lの中間部が幅方向Wに沿って括れている。そして、外装体20は、長手方向Lの一端部(背側)における幅方向Wの両側部21a、21bと、長手方向Lの他端部(腹側)における幅方向Wの両側部22a、22bが溶着等でそれぞれ接合される。
【0015】
これにより、紙パンツ1は、
図2に示されたように、着用者の胴を取り囲むウエスト部2と、着用者の股下を覆う股下部3とを有するパンツ型となる。そして、ウエスト部2の上端に、着用者の胴を通すためのウエスト開口部4が形成され、股下部3の幅方向Wの両側に、着用者の足を通すための一対の足周り開口部5が形成される。
【0016】
また、外装体20は、
図4に示されたように、内側シート材23a及び外側シート材23bと、これらの間に設けられたシャーリング伸縮材24と、足周り伸縮材25(
図1参照)と、を有している。
【0017】
内側シート材23a及び外側シート材23bは、それぞれ液体を透過させない特性である液不透過性を有している。なお、内側シート材23a及び外側シート材23bは、個別のシート材によって構成されてもよいし、共通の一枚のシート材によって構成されてもよい。内側シート材23a及び外側シート材23bが一枚のシート材によって構成される場合は、例えば一枚のシート材を折り返し、内側シート材23a及び外側シート材23bとされる。
【0018】
シャーリング伸縮材24は、幅方向Wに沿って伸縮可能な伸縮部材であり、外装体20を幅方向Wに沿って伸縮させる。すなわち、シャーリング伸縮材24は、所定の伸張状態で内側シート材23a及び外側シート材23bの間に固定され、収縮して自然長に戻ることで、内側シート材23a及び外側シート材23bを一体的に収縮する。これにより、外装体20は、シャーリング伸縮材24によって幅方向Wに沿った伸縮応力が付与される。なお、「伸縮応力」とは、部材を同じ距離まで伸ばすときの強度であり、伸縮応力が高いとは、部材を同じ距離まで伸ばすために必要な応力が大きいことをいう。そして、外装体20の幅方向Wに沿った伸縮応力の大きさは、シャーリング伸縮材24の伸縮応力の大きさに依存して決まる。
【0019】
さらに、実施例1では、シャーリング伸縮材24は、外装体20のうち、少なくともウエスト部2を形成する領域に設けられている(
図1参照)。そして、シャーリング伸縮材24が伸縮することで外装体20は伸縮し、ウエスト部2が着用者の胴周りにフィットする。なお、シャーリング伸縮材24は、例えば長手方向Lに並列され、幅方向Wに沿って伸縮する複数の糸ゴム等の細長状の弾性材によって構成される。しかしながら、シャーリング伸縮材24は、糸ゴム等の細長状の弾性材の他、帯状、網状、フィルム状等の弾性材を用いることができる。
【0020】
足周り伸縮材25は、伸張方向に沿って伸縮可能な糸状又は帯状の伸縮部材であり、足周り開口部5に沿って配置されている。足周り伸縮材25は、シャーリング伸縮材24と同様に、所定の伸張状態で内側シート材23a及び外側シート材23bの間に固定され、収縮して自然長に戻ることで、内側シート材23a及び外側シート材23bを一体的に収縮させる。足周り伸縮材25が伸縮することで外装体20は伸縮し、足周り開口部5が着用者の足周りにフィットする。なお、足周り伸縮材25は、ここでは、複数の糸ゴムによって構成されている。
【0021】
後処理テープ30は、使用後の紙パンツ1を廃棄する際、長手方向Lに丸められた紙パンツ1に巻き付けられ、紙パンツ1を丸めた状態に保持するために使用されるテープ部材である。後処理テープ30は、外装体20の長手方向Lの他端部(背側)の非肌側に設けられ、幅方向Wの中央部に配置されている。
【0022】
そして、後処理テープ30は、
図3及び
図4に示されたように、テープ本体31と、摘み部32と、を有している。
【0023】
テープ本体31は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、PET等の合成樹脂製のシート材によって構成された帯状のテープ部材である。テープ本体31は、外装体20の内側シート材23a及び外側シート材23bよりも硬い剛性を有している。
【0024】
また、テープ本体31には、長手方向の所定の位置に、第1折返し位置31aと、第2折返し位置31bと、が設定されている。ここで、テープ本体31の長手方向の一端31cから第1折返し位置31aまでの間が固定領域33aとなる。また、第1折返し位置31aと第2折返し位置31bの間が中央領域33bとなる。さらに、第2折返し位置31bからテープ本体31の長手方向の他端31dまでの間が係止領域33cとなる。
【0025】
そして、テープ本体31は、紙パンツ1の長手方向Lと、テープ本体31自身の長手方向とが一致した状態(
図1参照)で、
図4に示されたように、長手方向の一端31cが腹側(股下部3側)に向けられ、固定領域33aの肌側面が第1接着剤34aを介して外装体20に固定されている。なお、第1接着剤34aは、外装体20に対して固定領域33aを剥離不可能に接着する程度の接着力を有している。
【0026】
さらに、テープ本体31は、第1折返し位置31aにおいて股下部3に向かって非肌側に折り返されて、中央領域33bが固定領域33aの非肌側面に重ねられる。続いて、テープ本体31は、第2折返し位置31bにおいてウエスト開口部4に向かって肌側に折り返されて、係止領域33cが中央領域33bの非肌側面に重ねられ、三つ折りにされている。また、中央領域33bは、第1弱接着剤35aを介して固定領域33aに剥離及び再貼着可能に接着されている。さらに、係止領域33cは、第2弱接着剤35bを介して中央領域33bに剥離及び再貼着可能に接着されている。
【0027】
すなわち、テープ本体31は、ウエスト開口部4に向かって長手方向Lに沿って展開可能に折り畳まれる。そして、テープ本体31は、折り畳まれた状態で、一端部(固定領域33a)が外装体20に固定される。また、係止領域33cは、テープ本体31が引っ張られて展開した後、外装体20に接着可能である。
【0028】
さらに、テープ本体31は、三つ折り状態で外装体20に固定されているため、第1折返し位置31aが、折り畳まれた状態のテープ本体31のウエスト開口部4側の先端となる。また、第2折返し位置31bが、折り畳まれた状態のテープ本体31の股下部3側の先端となる。
【0029】
摘み部32は、テープ本体31の他端部(係止領域33c)に設けられ、テープ本体31が展開される際に、着用者や介助者等の使用者によって摘ままれる部分である。摘み部32は、実施例1では、テープ本体31よりも視認性の良い摘みテープ(実施例1では着色が施されているテープ部材)が、テープ本体31の係止領域33cの肌側面に第2接着剤34bを介して固定されることで構成されている。ここで、第2接着剤34bは、係止領域33cに対して摘み部32を剥離不可能に接着する程度の接着力を有している。
【0030】
また、実施例1の摘み部32は、
図3及び
図4に示されたように、先端32b(摘みテープのウエスト開口部4側の一端)が、平面視で、第1折返し位置31aよりも股下部3側に引っ込んでいる。そのため、
図4に示されたように、摘み部32は、中央領域33bの非肌側に重なると共に、基端部32cが係止領域33cと中央領域33bの間に挟まれている。なお、摘み部32の肌側面には接着剤が塗布されておらず、中央領域33bに対して接着されていない。また、摘み部32を構成する摘みテープの材質は、テープ本体31と同一の素材でも良いし、異なる素材によって形成されてもよい。
【0031】
そして、実施例1の紙パンツ1では、テープ本体31は、折り畳まれた状態で、摘み部32の基端32a(摘みテープの股下部3側の一端)と第1折返し位置31aとの間の領域が「摘み領域X1」とされ、摘み部32の基端32aと第2折返し位置31b(長手方向の一端31c)との間の領域が「貼り付け領域X2」とされる。
【0032】
そして、実施例1の紙パンツ1では、折り畳まれた状態でのテープ本体31の剛性が、摘み部32の基端32aに近い位置よりも、ウエスト開口部4側の先端である第1折返し位置31aに近い位置の方が低くなっている。
【0033】
すなわち、実施例1の紙パンツ1では、
図3及び
図4に示されたように、摘み領域X1の長手方向Lの中間部に剛性変化位置αが設定されている。そして、第1折返し位置31aから剛性変化位置αまでの間に、テープ本体31の剛性を低下させる低剛性部として、スリット36が形成されている。
【0034】
なお、実施例1では、剛性変化位置αは、テープ本体31の長手方向の他端31dと、摘み部32の先端32bとの間に設定されている。しかしながら、剛性変化位置αは、摘み部32の基端32aとテープ本体31の長手方向の他端31dとの間に設定されてもよいし、摘み部32の先端32bと第1折返し位置31aとの間に設定されてもよい。つまり、剛性変化位置αは、摘み領域X1の長手方向Lの中間部であれば、任意の位置に設定することが可能である。
【0035】
また、スリット36は、テープ本体31に形成された長手方向Lに沿って延びる線状の切り込みである。ここで、スリット36は、テープ本体31をカッターによって所定の幅で切断することで形成され、テープ本体31は、剛性変化位置αから第1折返し位置31aに至るまで連続して切断されている。なお、スリット36は、例えば、直線上に連続的にエンボス加工してテープ本体31を破断することで形成されてもよい。また、スリット36は、ここでは、テープ本体31の幅方向Wの中央部に形成されている(
図3参照)。
【0036】
これにより、テープ本体31は、摘み領域X1のうち、第1折返し位置31a及びその近傍部分の幅方向Wの中央部が、スリット36を起点にして容易に屈曲可能である。このため、テープ本体31の剛性は、
図5に示されたように、摘み部32の基端32aから剛性変化位置αまでの部分よりも、剛性変化位置αから第1折返し位置31aまでの部分の方が低くなる。すなわち、テープ本体31は、摘み領域X1において、摘み部32の基端32a側よりも、第1折返し位置31a側の方が、折り畳まれた状態での剛性が低くなっている。
【0037】
なお、実施例1のテープ本体31の貼り付け領域X2では、テープ本体31の剛性は全域にわたってほぼ一定であり、摘み領域X1における摘み部32の基端32aに近い位置とほぼ同等である。しかしながら、固定領域33aと中央領域33bと係止領域33cとが重なって接着された部分と、係止領域33cが接着されていない部分とでは、僅かに剛性差が生じている。すなわち、
図5には示されていないが、固定領域33aと中央領域33bと係止領域33cとが重なって接着された部分の方が、係止領域33cが接着されていない部分よりも、テープ本体31の剛性が僅かに高くなる。
【0038】
また、摘み部32の基端32aから剛性変化位置αまでのテープ本体31の剛性についても、貼り付け領域X2におけるテープ本体31の剛性とほぼ同じである。しかしながら、摘み部32を構成する摘みテープがテープ本体31に接着された部分は、他の部分よりも僅かに剛性が高い。つまり、
図5には示されていないが、テープ本体31の剛性は、摘み部32の基端32aからテープ本体31の長手方向の他端31dまでの部分が、他の部分よりも僅かに高くなる。
【0039】
さらに、実施例の紙パンツ1では、
図6に示されたように、外装体20の幅方向Wの伸縮応力が、テープ本体31の摘み領域X1が重複する領域(以下、「摘み領域重複部分Y」という)において、摘み部32の基端32aが重複する領域に近い位置よりも、第1折返し位置31aが重複する領域に近い位置の方が高くなっている。
【0040】
具体的には、
図3及び
図4に示されたように、外装体20は、テープ本体31の剛性変化位置αから第1折返し位置31aまでの部分が重複する領域の少なくとも一部、及び、テープ本体31の第1折返し位置31aが重複する位置からウエスト開口部4までの間に、所定の間隔L1をあけて、シャーリング伸縮材24が配置されている。なお、シャーリング伸縮材24は、テープ本体31に形成されたスリット36が重複する領域に配置されていればよい。また、間隔L1は、ここでは一定の長さに設定されている。しかしながら、間隔L1は、任意の幅に設定可能であり、例えばウエスト開口部4に近い位置では間隔L1を狭くする等、部分的に変更してもよい。
【0041】
また、外装体20は、テープ本体31の貼り付け領域X2が重複する領域の少なくとも一部、及び、テープ本体31の貼り付け領域X2が重複する領域よりも股下部3側の所定範囲に、所定の間隔L2をあけて、シャーリング伸縮材24が配置されている。なお、間隔L2は、ここでは間隔L1よりも長い(広い)一定の長さに設定されている。しかしながら、間隔L2は、任意の幅に設定可能であり、間隔L1と同じであったり、間隔L1よりも狭かったりしてもよく、部分的に変更してもよい。
【0042】
このように、外装体20は、後処理テープ30が重複する領域のうち、少なくとも、貼り付け領域X2が重複する領域の一部と、剛性変化位置αから第1折返し位置31aまでの部分が重複する領域の一部に、幅方向Wの伸縮応力が作用する。つまり、外装体20の摘み領域重複部分Yには、摘み部32の基端32aに近い部分に対し、第1折返し位置31aに近い部分の方が、伸縮応力が高くなる伸縮応力差がついている。このため、外装体20の伸縮応力は、
図6に示されたように、摘み部32の基端32aが重複する領域に近い位置よりも、ウエスト開口部4側の先端である第1折返し位置31aが重複する領域に近い位置の方が高くなる。
【0043】
また、実施例1の紙パンツ1では、外装体20は、テープ本体31の摘み部32の基端32aから剛性変化位置αまでの部分が重複する領域に、シャーリング伸縮材24が配置されていない。このため、外装体20は、摘み部32の基端32aが重複する領域には、伸縮応力を有しておらず、外装体20に作用する伸縮応力はゼロになる。
【0044】
実施例1の紙パンツ1の作用は以下の通りに説明される。
【0045】
実施例1の紙パンツ1は、使用後に外装体20を外側にして丸められ、引っ張られて展開した後処理テープ30が巻き付けられてから廃棄される。このとき、後処理テープ30は、テープ本体31の係止領域33cに塗布された第2弱接着剤35bが外装体20に貼り付き、紙パンツ1を丸められた状態に維持する。
【0046】
ここで、実施例1の紙パンツ1では、テープ本体31のうち、摘み部32の基端32aから第1折返し位置31aまでの間の摘み領域X1において、テープ本体31の剛性が、摘み部32の基端32aに近い位置よりも、第1折返し位置31aに近い位置の方が低くなっている。
【0047】
さらに、実施例1の紙パンツ1では、外装体20のうち、摘み領域X1が重複する摘み領域重複部分Yにおいて、幅方向Wの伸縮応力が、摘み部32の基端32aが重複する領域に近い位置よりも、第1折返し位置31aが重複する領域に近い位置の方が高くなっている。
【0048】
この結果、テープ本体31は、比較的剛性の低い第1折返し位置31aに近い部分が、外装体20の伸縮応力が比較的高い領域に配置され、比較的剛性の高い摘み部32の基端32aに近い部分が、外装体20の伸縮応力が比較的低い領域に配置される。
【0049】
これにより、シャーリング伸縮材24が縮んで自然長状態になったとき、外装体20の摘み領域重複部分Yは、摘み部32の基端32aが重複した部分よりも、第1折返し位置31aが重複した部分の方が大きく収縮する。一方、テープ本体31の摘み領域X1は、摘み部32の基端32aに近い位置よりも、第1折返し位置31aに近い位置の方のテープ本体31の剛性が低く、容易に変形する。このため、
図7A及び
図7Bに示されたように、外装体20が収縮したとき、テープ本体31は、第1折返し位置31aが幅方向Wに大きく折れ曲がって非肌側に隆起し、摘み部32の基端32aは、幅方向Wへの折れ曲がりが少なく、非肌側への隆起が抑制される。
【0050】
これに対し、摘み部32の基端部32cでは、摘み部32を構成する摘みテープがテープ本体31に接着されて一体となり、摘みテープのうち、テープ本体31の長手方向の他端31dから突出した部分はテープ本体31に接着されていない。そのため、実施例1の紙パンツ1は、摘みテープとテープ本体31とが一体になった摘み部32の基端32aに近い位置では、テープ本体31の折れ曲がりを少なくし、摘みテープがテープ本体31に接着されていない第1折返し位置31aに近い位置では、テープ本体31を大きく曲げることができる(
図7A参照)。これにより、実施例1の紙パンツ1は、シャーリング伸縮材24が縮んだ際、テープ本体31の形状と摘み部32の形状とを異ならせることができる。
【0051】
そのため、実施例1の紙パンツ1は、
図7Bに示されたように、摘み部32の基端部32cがテープ本体31に追従して屈曲することを防止しつつ、テープ本体31の第1折返し位置31aを折り曲げ、テープ本体31に対して摘み部32の先端32bを非肌側に浮き上がらせることができる。これにより、テープ本体31と摘み部32との間に隙間が生じ、実施例1の紙パンツ1では、使用者は後処理テープ30の摘み部32を容易に摘まむことができる。
【0052】
なお、紙パンツ1の着用時には、シャーリング伸縮材24が伸長され、外装体20がほぼ平坦な状態に延びる。そのため、テープ本体31は、幅方向Wに折れ曲がらず、摘み部32の先端32bとテープ本体31との間に隙間が生じることはない。このため、紙パンツ1は、着用時に摘み部32が衣服に引っ掛かったりする等の違和感を生じさせない。
【0053】
また、実施例1の紙パンツ1では、外装体20の摘み領域重複部分Yのうち、摘み部32の基端32aが重複する領域にはシャーリング伸縮材24が配置されておらず、伸縮応力を有していない。これにより、実施例1の紙パンツ1は、シャーリング伸縮材24が縮んでいるときでも、外装体20は、摘み部32の基端32aが重複している部分が収縮しない(
図7B参照)。
【0054】
このため、実施例1の紙パンツ1は、摘み部32の基端部32cの折れ曲がりを抑制でき、摘み部32は、テープ本体31の折れ曲がりにさらに追従しにくくなる。これにより、摘み部32の先端32bは、テープ本体31から非肌側にさらに浮き上がりやすくなる。この結果、実施例1の紙パンツ1では、使用者は後処理テープ30の摘み部32をさらに容易に摘まむことができる。
【0055】
また、実施例1の紙パンツ1では、摘み領域X1の長手方向Lの中間部に剛性変化位置αが設定され、テープ本体31のうち、第1折返し位置31aから剛性変化位置αまでの間に、テープ本体31の剛性を低下させる低剛性部としてスリット36が形成されている。
【0056】
これにより、実施例1のテープ本体31は、スリット36を起点にして、幅方向Wに容易に屈曲することができる。このため、実施例1の紙パンツ1は、テープ本体31の第1折返し位置31aに近い部分を非肌側に容易に隆起させることができる。
【0057】
特に、実施例1の紙パンツ1では、スリット36がテープ本体31の幅方向Wの中央部に形成されている。そのため、実施例1の紙パンツ1は、テープ本体31の幅方向Wの中央部を屈曲させ、摘み部32の幅方向Wの中央部を非肌側に押し上げて隙間を生じさせることができる。これにより、実施例1の紙パンツ1は、摘み部32を摘まみやすくできる。
【0058】
以上、本発明のパンツ型使い捨ておむつを実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0059】
実施例1の紙パンツ1では、テープ本体31の剛性を低下させる低剛性部としてスリット36が形成された例が示された。しかしながら、低剛性部はスリット36に限らない。例えば、剛性を低下させたい部分のテープ本体31の厚さを、剛性を高くさせたい部分のテープ本体31の厚さよりも薄くする等して樹脂量に差をつけることで低剛性部としてもよい。また、例えば、テープ本体31に形成された多数の微細孔によって低剛性部を構成してもよい。
【0060】
また、実施例1の紙パンツ1では、低剛性部であるスリット36がテープ本体31の幅方向Wの中央部に形成された例が示された。しかしながら、スリット36を形成する位置やスリット36の数は、実施例1に示されたものに限らない。すなわち、
図8に示された第1変形例の後処理テープ40のように、テープ本体41の第1折返し位置41aから剛性変化位置αまでの間に、幅方向Wに所定の間隔をあけて配置された複数のスリット46が形成されてもよい。
【0061】
第1変形例の後処理テープ40は、スリット46の数が複数であることで、テープ本体41の第1折返し位置41aに近い部分と、テープ本体41の貼り付け領域X2等の部分との摩擦係数の差を大きくできる。そのため、第1変形例の後処理テープ40は、使用者が後処理テープ40を指先で触ったときの触感に分かりやすい違いを与えることができる。これにより、使用者は、摘み領域X1の位置を触感で認識しやすくなり、例えば暗所等であっても摘み部42を容易に摘まむことができる。
【0062】
また、第1変形例の後処理テープ40では、スリット46の形成位置が、テープ本体41に対して幅方向Wにずれた場合であっても、テープ本体41の剛性を低下させることができる。そのため、第1変形例の後処理テープ40は、スリット46の位置がずれても、摘み部42を摘まみやすくでき、製造上、テープ本体41とスリット46との位置合わせを容易にすることができる。
【0063】
また、実施例1の紙パンツ1では、スリット36が剛性変化位置αから第1折返し位置31aまで延びて、テープ本体31の第1折返し位置31aが破断された例が示された。
【0064】
しかしながら、
図9に示された第2変形例の後処理テープ50のように、スリット56は、剛性変化位置αから第1折返し位置51aに至るまで形成されなくてもよい。つまり、スリット56は、テープ本体51の第1折返し位置51aを破断しなくてもよい。これにより、第2変形例の後処理テープ50では、テープ本体51のウエスト開口部4側の先端である第1折返し位置51aから、破れや予期しない変形が生じることを抑制できる。
【0065】
また、実施例1の紙パンツ1では、摘み領域X1の長手方向Lの中間部に剛性変化位置αが設定され、剛性変化位置αから第1折返し位置31aまで延びるスリット36が形成されている。これにより、実施例1では、テープ本体31の剛性は、剛性変化位置αを境に段階的に変化している(
図5参照)。しかしながら、テープ本体31の剛性は、摘み部32の基端32aに近い位置よりも第1折返し位置31aに近い位置の方が低くなればよい。そのため、例えば、低剛性部を多数の微細孔によって構成すると共に、摘み領域X1の全域に微細孔を形成する。そして、第1折返し位置31aに近づくにつれて微細孔の数を増やすことで、テープ本体31の剛性を徐々に低くしてもよい。
【0066】
また、実施例1の紙パンツ1では、外装体20が、摘み部32の基端32aが重複する領域に伸縮応力を有していない例が示された。しかしながら、外装体20の伸縮応力は、摘み部32の基端32aが重複する領域に近い位置よりも、第1折返し位置31aが重複する領域に近い位置の方が高ければよい。そのため、外装体20のうち、摘み部32の基端32aが重複する領域が、幅方向Wの伸縮応力を有していてもよい。
【0067】
また、外装体20の伸縮応力は、シャーリング伸縮材24の配置の有無によって大きさを異ならせるだけでなく、シャーリング伸縮材24の配置間隔を異ならせたり、シャーリング伸縮材24の太さや、伸張率等を異ならせたりすることで、摘み部32の基端32aに近い位置よりも第1折返し位置31aに近い位置の方の伸縮応力を高くしてもよい。
【0068】
また、実施例1の紙パンツ1では、摘み部32が、テープ本体31に摘みテープを貼り付けることで形成された例が示された。しかしながら、テープ本体31と摘み部32とは一体であってもよく、例えば、テープ本体31の係止領域33cの先端部を中央領域33bに接着せずに摘み部32としてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 紙パンツ(パンツ型使い捨ておむつ)
3 股下部
4 ウエスト開口部
10 吸収部材
20 外装体
30 後処理テープ
31 テープ本体
31a 第1折返し位置(テープ本体のウエスト開口部側の先端)
32 摘み部
32a 基端
33 スリット(低剛性部)
α 剛性変化位置
L 長手方向
W 幅方向