(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143196
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】部分剥離ラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/02 20060101AFI20241003BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G09F3/02 N
G09F3/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055737
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】関 圭輔
(57)【要約】
【課題】簡便に製造でき、上面に段差の生じにくい部分剥離ラベルを提供する。
【解決手段】部分剥離ラベル1は、シート状の基材10と、基材上に設けられた粘着層20と、剥離層32を有し、剥離層を粘着層に接触させて粘着層を覆うセパレータ30とを備える。基材は、宛名部2と、ハーフカットHcにより宛名部2と区切られた店舗控3とを有する。店舗控3とセパレータとの剥離力量は、宛名部2とセパレータとの剥離力量よりも大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基材と、
前記基材上に設けられた粘着層と、
剥離層を有し、前記剥離層を前記粘着層に接触させて前記粘着層を覆うセパレータと、
を備え、
前記基材は、
第一領域と、
ハーフカットにより前記第一領域と区切られた第二領域と、を有し、
前記第二領域と前記セパレータとの剥離力量が、前記第一領域と前記セパレータとの剥離力量よりも大きい、
部分剥離ラベル。
【請求項2】
前記第二領域と前記セパレータとの剥離力量は、前記第一領域と前記セパレータとの剥離力量の3倍以上である、
請求項1に記載の部分剥離ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分剥離ラベル、より詳しくは、簡便に製造できる部分剥離ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
下側に位置する第一のラベルの上面に第二のラベルが剥離可能に取り付けられた多層ラベルが知られている。
特許文献1に、このような多層ラベルの一例が開示されている。
【0003】
図8に、特許文献1に記載の多層ラベルの構成を示す。
図8に示すように、下側ラベル101の上面であって、上側ラベル102が貼り付けられる部位には、上側のラベルを剥離可能とするために、剥離層103を設ける必要がある。下側ラベル101の基材105が一般的な紙で形成される場合、剥離層103を設けないと、上側ラベル102が剥がせなくなったり、剥がせても上側ラベルの粘着層104に下側ラベルの基材105が付着して、上側ラベル102を他の物品に貼り付けられなくなったりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の多層ラベルは、完成した下側ラベルに印刷等により剥離層を形成し、さらに別途作製した上側ラベルを貼り付けて製造するため、製造工程が煩雑である。
また、2枚のラベルが重なる構造であるため、厚くなりがちであり、上側ラベルの大きさや位置によっては、生じた段差によって積み重ねた状態が不安定になるという問題もある。
【0006】
発明者は、より簡便に製造でき、上面に段差の生じにくい部分剥離ラベルを実現し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、簡便に製造でき、上面に段差の生じにくい部分剥離ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シート状の基材と、基材上に設けられた粘着層と、剥離層を有し、前記剥離層を前記粘着層に接触させて前記粘着層を覆うセパレータとを備える部分剥離ラベルである。
基材は、第一領域と、ハーフカットにより第一領域と区切られた第二領域とを有する。
第二領域とセパレータとの剥離力量は、第一領域とセパレータとの剥離力量よりも大きい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡便に製造でき、上面に段差の生じにくい部分剥離ラベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る部分剥離ラベルを示す平面図である。
【
図3】同部分剥離ラベルの製造手順の一過程を示す図である。
【
図4】同部分剥離ラベルの製造手順の一過程を示す図である。
【
図5】同部分剥離ラベルの製造手順の一過程を示す図である。
【
図6】同部分剥離ラベルの製造手順の一過程を示す図である。
【
図7】同部分剥離ラベルの製造手順の一過程を示す図である。
【
図8】従来の多層ラベルの構図を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について、
図1から
図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る部分剥離ラベル1を示す平面図である。本実施形態に係る部分剥離ラベルは、宛名部(第一領域)2と、店舗控(第二領域)3と、お客様控4とを有する配送伝票である。利用者は宛名部2に配送先を記入して配送料とともに店員に渡す。店員は、印刷された領収印欄5に店舗印を押し、ミシン目6に沿ってお客様控4を切り離して利用者に渡した後、宛名部2を剥離して配送物に貼り付ける。宛名部2が貼り付けられた配送物は配送業者に引き取られ、宛名部2に記載された住所に配送される。
【0012】
図2は、
図1のI-I線における断面図である。部分剥離ラベル1は、シート状の基材10と、粘着層20と、セパレータ30とを有する1枚のラベル原反から作製されている。
【0013】
基材10は、各種の紙で構成できる。基材10の第一面10aには粘着層20が形成されている。部分剥離ラベル1の上面となる第二面10bには、宛名部2、店舗控3、およびお客様控4に対応した内容の印刷層11が形成されている。
【0014】
宛名部2と店舗控3との境界には、セパレータ30より上の部分のみを貫通するハーフカットHcが施されている。すなわち、宛名部2と店舗控3とは、ハーフカットHcにより区切られている。
図2には表れていないが、店舗控3とお客様控4との境界に設けられたミシン目6は、部分剥離ラベル1の全層を貫通している。
【0015】
セパレータ30は、基材31と、基材31の第一面31aに設けられた剥離層32とを有する。剥離層32は、シリコーンを含む剥離剤で形成されており、粘着層20が貼りついた後も、ほとんど抵抗なく剥がすことができる。しかし、詳細は後述するが、店舗控3およびお客様控4の下方に位置する粘着層20は、セパレータ30から容易にはがれなくなっている。
本実施形態において、基材31の第二面31bには印刷層33が設けられているが、これは必須ではなく、無地であってもよい。
【0016】
上記構成を有する部分剥離ラベルの製造手順の一例について説明する。
まず、基材10、粘着層20、およびセパレータ30を有するラベル原反を準備し、
図3に示すように、印刷層11および33を形成する。
【0017】
次に、
図4に示すようにセパレータ30を剥がす。
さらに、
図5に示すように、店舗控3およびお客様控4の下方に位置する粘着層20を糊殺しインキ41で覆う。この工程は、印刷により行うと簡便である。
糊殺しインキ41としては、シリコーンと、重合開始剤とを含むものを用いる。
【0018】
続いて、セパレータ30を再び取り付け、
図6に示すように、セパレータ30側からラベル原反に紫外線Uvを照射する。これにより、紫外線Uvの一部がセパレータを透過して糊殺しインキ41に到達する。すると、店舗控3およびお客様控4の下方に位置する粘着層20とが強固に接合し、剥離に必要な力量(剥離力量)が著しく増加して剥がれにくくなる。
発明者が見いだしたこの現象のメカニズムは完全には明らかになっていない。発明者は、紫外線Uvと糊殺しインキ41に含まれる重合開始剤とにより、糊殺しインキ41に含まれるシリコーンとセパレータの剥離層32に含まれるシリコーンの一部とが架橋して化学的に結合することが関与していると推測している。このことを踏まえ、
図6では、糊殺しインキ41と剥離層32とが一体になった結合層42として示している。
一方、紫外線Uvは粘着層20には影響を与えないため、宛名部2の下方に位置する粘着層とセパレータ30との剥離力量は変化せず、ほとんど抵抗なく剥がせる状態が維持される。
【0019】
最後に、ハーフカットHcおよびミシン目6(不図示)を形成すると、
図7に示すように、部分剥離ラベル1が完成する。
完成した部分剥離ラベル1においては、宛名部2の剥離力量が10~30g/50mm程度であるのに対し、店舗控3およびお客様控4の剥離力量はその3~15倍程度となっている。その結果、店舗控3およびお客様控4が利用者の通常の剥離動作でセパレータ30から剥がれることはまずなく、実質的に宛名部2のみ剥がすことができる構成となっている。
【0020】
以上説明したように、本実施形態に係る部分剥離ラベル1は、ラベル原反の上面に剥離層を形成する必要がなく、宛名部2の印刷を店舗控3およびお客様控4と同時に行うことができるため、簡便に製造できる。
【0021】
また、別途作製したラベルを重ねて貼る必要がないため、概ねラベル原反と同一の外観のまま完成し、ラベルの上面に大きな段差が生じない。したがって、多数積み重ねても不安定になることはなく、物が段差にぶつかる等により意図せずはがれてしまったりすることもない。
【0022】
本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0023】
例えば、実施形態に係る部分剥離ラベル1は、それ自体を物品に貼り付けることはできない構成であったが、セパレータの下面に粘着層を設け、さらに別のセパレータで覆った二重構造のセパレータを用いると、最下層のセパレータを剥がすことにより、部分剥離ラベル自体を所望の物品に貼り付け可能とすることができる。これにより、特許文献1に記載のような、薬剤管理用多層ラベルとしても使用することができる。
【0024】
本発明の部分剥離ラベルにおいては、剥離可能な第一領域を規定するハーフカットは必須であるが、実施形態で設けられていたミシン目は必須ではなく、部分剥離ラベルの用途や使用態様等に応じて省略することもできる。
【0025】
本発明の部分剥離ラベルにおいては、剥離可能な第一領域が複数設けられてもよい。例えば上記実施形態において、宛名部2がハーフカットにより複数に分割されたりしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 部分剥離ラベル
2 宛名部(第一領域)
3 店舗控(第二領域)
10 基材
20 粘着層
30 セパレータ
32 剥離層
Hc ハーフカット