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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143198
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】配管固定構造体
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/06 20060101AFI20241003BHJP
   F16L 3/08 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F16L3/06 Z
F16L3/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055740
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】株式会社PILLAR
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】林 哲也
(72)【発明者】
【氏名】長峰 洋一
(72)【発明者】
【氏名】林 圭介
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AC22
3H023AD36
3H023AE08
(57)【要約】
【課題】捻じれが生じた配管であっても、伸縮に支障することなく固定できる配管固定構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】略平板状の支持部材2における上面に対して、略円筒状の配管3を固定する配管3配管締結構造1に、配管3の外周面に沿って湾曲した湾曲部61、及び湾曲部61の両端から延設した一対の脚部62を一体形成した略U字状のUボルト6と、支持部材2と配管3との間に配置され、配管3を滑り支持する支持台座51とを備え、支持台座51は配管3の外径に応じて湾曲し、摩擦係数の低いスライドシート512を有し、支持部材2における上面に対して直交する高さ方向Hに沿った回転軸を中心として支持部材2に対して支持台座51を回転する回転機構53を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平板状の支持部材における一方の面に対して、略円筒状の配管を固定する配管固定構造体であって、
前記配管の外周面に沿って湾曲した湾曲部、及び該湾曲部の両端から延設した一対の脚部を一体形成した略U字状のU字状部材と、
前記支持部材と前記配管との間に配置され、前記配管を滑り支持する支持台座とを備え、前記支持台座は前記配管の外径に応じて湾曲し、摩擦係数の低い湾曲滑り部を有し、
前記支持部材における前記一方の面に対して直交する直交方向に沿った回転軸を中心として前記支持部材に対して前記支持台座を回転する回転機構を設けた
配管固定構造体。
【請求項2】
前記支持台座を前記支持部材に取り付けるベース部材を設け、
前記ベース部材は、前記支持台座に固定する回転プレートと、前記支持部材に取り付ける支持プレートとを備え、
前記回転機構は、
前記回転プレートと前記支持プレートとの一方に備え、他方に向って突出する回転凸部と、
前記回転プレートと前記支持プレートとの他方に備え、前記回転凸部が回転自在に嵌まり込む回転凹部とを備えた
請求項1に記載の配管固定構造体。
【請求項3】
前記回転凸部は、前記回転プレートに設けるとともに、円柱状に形成し、
前記回転凹部を前記支持プレートに設けた
請求項2に記載の配管固定構造体。
【請求項4】
前記回転プレートに、前記脚部が挿通する挿通孔を設け、
前記挿通孔は、回転方向に沿う長孔で形成した
請求項2に記載の配管固定構造体。
【請求項5】
前記支持台座における前記配管と対向する対向面側に装着した摩擦係数の低い合成樹脂製の滑り部材を設けた
請求項1乃至請求項4のうちいずれかに記載の配管固定構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、タンカーやプラントなどにおいて、流体が流通する配管を、構造躯体や壁面に固定するような配管固定構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントや船舶、あるいは工場などにおいて、ガスや油などの流体を流通させる配管が、構造躯体や壁面などに数多く配設されている。このような配管は、例えば特許文献1に記載するように、建物の構造躯体などの支持部材に対して、滑りパットを介して配管を配置し、配管の外径に応じたUボルトなどの配管固定構造体を用いて固定されている。
上述のUボルトは、湾曲部と、湾曲部の両端部から下方に向って延びる脚部とを備え、脚部に設けたネジ部に螺合するナットで、支持部材を挟み込んで固定している。
【0003】
最近では、支持部材と配管との間に配置されている、摩擦係数の小さい滑りパットが、配管の外径に応じた湾曲形状で形成されたものがある。このように、前記配管の径に応じて湾曲した滑りパットは、配管との接触面積が増大するため、熱によって配管が管軸方向に伸縮しても、滑りパットと滑らかに摺動し、伸縮に伴って作用する負荷を低減することができる。
【0004】
ところで、支持部材に配管を配管固定構造体で固定する際に、配管に捻じれが生じる、つまり、平面視方向において、所定の方向に対して、配管が斜めに向くことがあった。しかしながら、前記配管の径に応じて湾曲した滑りパットは、所定の方向に向く配管に合わせて配置されているため、配管が斜めに向くと配管固定構造体で配管を固定できない、あるいは固定できても、配管の伸縮に伴う摺動に支障するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5-92586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑み、捻じれが生じた配管であっても、伸縮に支障することなく固定できる配管固定構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、略平板状の支持部材における一方の面に対して、略円筒状の配管を固定する配管固定構造体であって、前記配管の外周面に沿って湾曲した湾曲部、及び該湾曲部の両端から延設した一対の脚部を一体形成した略U字状のU字状部材と、前記支持部材と前記配管との間に配置され、前記配管を滑り支持する支持台座とを備え、前記支持台座は前記配管の外径に応じて湾曲し、摩擦係数の低い湾曲滑り部を有し、前記支持部材における前記一方の面に対して直交する直交方向に沿った回転軸を中心として前記支持部材に対して前記支持台座を回転する回転機構を設けたことを特徴とする。
【0008】
この発明により、捻じれが生じた配管であっても、伸縮に支障することなく固定することができる。
詳述すると、前記配管の外径に応じて湾曲し、摩擦係数の低い湾曲滑り部を有し、前記支持部材と前記配管との間に配置され、前記配管を滑り支持する支持台座を、回転機構が、前記支持部材における前記一方の面に対して直交する直交方向に沿った回転軸を中心として回転するため、配管の捻じれに対して前記支持台座を回転させることができる。したがって、熱による前記配管の伸縮に支障することなく、支持部材に前記配管を固定することができる。
【0009】
この発明の態様として、前記支持台座を前記支持部材に取り付けるベース部材を設け、前記ベース部材は、前記支持台座に固定する回転プレートと、前記支持部材に取り付ける支持プレートとを備え、前記回転機構は、前記回転プレートと前記支持プレートとの一方に備え、他方に向って突出する回転凸部と、前記回転プレートと前記支持プレートとの他方に備え、前記回転凸部が回転自在に嵌まり込む回転凹部とを備えてもよい。
【0010】
この発明により、前記支持部材に加工を施すことなく、捻じれが生じた配管であっても、伸縮に支障することなく固定することができる。
詳述すると、前記支持台座を前記支持部材に取り付けるベース部材に、前記支持台座に固定する回転プレートと、前記支持部材に取り付ける支持プレートとを備え、前記回転プレートと前記支持プレートとの一方に備え、他方に向って突出する回転凸部と、前記回転プレートと前記支持プレートとの他方に備え、前記回転凸部が回転自在に嵌まり込む回転凹部とで前記回転機構を構成する。そのため、前記支持部材に取り付ける支持プレートに対して、前記支持台座に固定する回転プレートを回転させることができる。したがって、配管の捻じれに対して前記支持台座を回転させることができ、熱による前記配管の伸縮に支障することなく、支持部材に前記配管を固定することができる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記回転凸部は、前記回転プレートに設けるとともに、円柱状に形成し、前記回転凹部を前記支持プレートに設けてもよい。
この発明により、前記支持部材に取り付ける支持プレートに設けた前記回転凹部に、前記支持台座に固定する回転プレートに設けた円柱状の前記回転凸部を嵌入することで前記回転機構を構成でき、回転機構を備えたベース部材を容易に組付けることができる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記回転プレートに、前記脚部が挿通する挿通孔を設け、前記挿通孔は、回転方向に沿う長孔で形成してもよい。
この発明により、前記支持部材に対して取付けたU字状部材の前記脚部が前記支持台座の回転に支障することなく、配管の捻じれに対して前記支持台座を回転させることができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記支持台座における前記配管と対向する対向面側に装着した摩擦係数の低い合成樹脂製の滑り部材を設けてもよい。
この発明により、前記支持部材に固定された前記配管が熱によっても伸縮しても、伸縮に伴って作用する負荷を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、捻じれが生じた配管であっても、伸縮に支障することなく固定できる配管固定構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】配管締結構造における幅方向に沿った断面を示す断面図。
図2】分解状態の配管締結構造における幅方向に沿った断面を示す断面図。
図3】台座部と支持部材の説明図。
図4】配管締結構造の平面図による説明図。
図5】別の実施形態の台座部と支持部材の説明図。
図6】別の実施形態の配管締結構造の平面図による説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
なお、図1は配管締結構造1における幅方向Wに沿った断面の断面図(以下において幅方向断面図という)を示し、図2は分解状態の配管締結構造1の幅方向断面図を示し、図3は台座部5と支持プレート522と支持部材の説明図を示し、図4は配管締結構造1の平面図による説明図を示している。
【0017】
詳しくは、図2は、Uボルト6、締結ナット7(7a,7b)、滑り部材9の正面図を示し、支持部材2、配管3、台座部5及びワッシャ8(8a,8b)の幅方向断面図を示している。図3(a)は台座部5の平面図を示し、図3(b)は台座部5における回転プレート521の底面図を示し、図3(c)は支持プレート522の平面図を示している。
【0018】
また、図1中において、左右方向を幅方向Wとし、上下方向を高さ方向Hとしている。さらに、図1中において上側を上方Huとし、下側を下方Hdとしている。また、図3中において、上下方向を奥行き方向Dとしている。
【0019】
配管締結構造1は、図1及び図2に示すように、略平板状の支持部材2、支持部材2の上面側に配置した配管3、及び奥行き方向Dに所定の間隔を隔てて複数配置するとともに、支持部材2に対して配管3を締結する締結構造体4で構成している。
【0020】
支持部材2は、図1及び図2に示すように、高さ方向Hに所定の厚みを有する略平板状であって、例えば、船舶の甲板などとする。この支持部材2には、図1及び図2に示すように、幅方向Wにおいて、配管3の外径よりも僅かに大きい間隔を隔てた位置で、上下方向に開口した貫通孔(図示省略)を2つ形成している。この貫通孔は、後述するUボルト6の呼び径より大きい直径で開口形成している。
なお、奥行き方向Dに連続する支持部材2に対して、奥行き方向Dに所定間隔を隔てて貫通孔を設けてもよいし、貫通孔を設けた支持部材2を奥行き方向Dに所定間隔を隔てて複数設けてもよい。
【0021】
配管3は、図1に示すように、奥行き方向Dを軸方向として、所定の内外径を有する略真円筒状の鋼管であって、例えば、マイナス167度からマイナス169度に冷却された液化天然ガスを流通可能に構成している。
【0022】
締結構造体4は、図1及び図2に示すように、支持部材2の上面に載置される台座部5と、台座部5に載置した配管3を固定する略U字状のUボルト6と、支持部材2に対してUボルト6を締結する締結ナット7(7a,7b)と、締結ナット7とともに用いるワッシャ8(8a,8b)と、Uボルト6と配管3との間に配置する滑り部材9とを備えている。
【0023】
台座部5は、図1及び図2に示すように、支持台座51と、ベース部材52と、回転機構53とを備えている。
支持台座51は、配管3の外面に沿う湾曲状の湾曲支持部511と、湾曲支持部511の上面に配置され、配管3が直接載置されるスライドシート512と、湾曲支持部511の幅方向Wの両側を後述するベース部材52の回転プレート521から支持する支持壁513とを備えている。
【0024】
湾曲支持部511は、高さ方向Hに所定の厚みを有するとともに、奥行き方向Dより幅方向Wに長く、平面視略矩形の配管3の外面に沿う下向きに凸な湾曲板状である。
スライドシート512は、湾曲支持部511に貼付可能な幅方向Wの長さを有する平面視略矩形のシート状に形成している。このスライドシート512は、自己潤滑性と、配管3と対向する低摩擦係数の平滑面(図示省略)とを有するシート状部材であって、例えば、圧縮強度の高い充填剤入りPTFE材で構成している。
【0025】
支持壁513は、高さ方向Hに沿って延設され、後述する回転プレート521と湾曲支持部511の底面を高さ方向Hに連結するように配置されている。
ベース部材52は、支持台座51に固定する回転プレート521と、支持部材2に取り付ける支持プレート522とを備えている。
【0026】
回転プレート521及び支持プレート522はともに、後述するUボルト6の幅方向Wの長さより幅方向Wの長さが長い平面視長方形状の板材である。
なお、回転プレート521の幅方向Wの両側には、Uボルト6における脚部62同士の幅方向Wの間隔に対応する間隔で設けられ、高さ方向Hに貫通する長方形貫通孔523を設けている。また、回転プレート521の底面には、下方側Hdに向かって突出する円柱状の回転凸部524を設けている。
【0027】
脚部62を挿通する長方形貫通孔523は、図3(a),(b)に示すように、脚部62の径より幅広で且つ奥行き方向Dに長い底面視長方形状の長孔である。長方形貫通孔523の幅方向Wの幅は、回転プレート521が回転する際、挿通される脚部62と干渉しないよう幅広に設定されている。
【0028】
回転凸部524は、図3(b)に示すように、回転プレート521の底面において底面視中央に配置され、支持プレート522の厚みよりわずかに低い円柱状に形成されている。
【0029】
なお、支持プレート522の幅方向Wの両側には、Uボルト6における脚部62同士の幅方向Wの間隔に対応する間隔で設けられ、高さ方向Hに貫通する貫通孔525を設けている。また、支持プレート522の平面視中央には、回転凸部524が挿入される回転孔526を設けている。
【0030】
Uボルト6の脚部62を挿通する貫通孔525は、図3(c)に示すように、脚部62の径より幅広な長孔である。
回転凸部524を挿通する回転孔526は、回転凸部524よりわずかに大径な平面視円形の貫通孔である。
【0031】
なお、湾曲支持部511、支持壁513、回転プレート521及び支持プレート522は所定の厚みのSS材、あるいはSUS材で構成し、湾曲支持部511、支持壁513、回転プレート521及び回転凸部524は溶接等によって一体化している。
【0032】
このように各要素が構成された台座部5は、湾曲支持部511の上面にスライドシート512を貼り付け、湾曲支持部511及び支持壁513が一体化された回転プレート521と支持プレート522とを高さ方向Hに積層する。
このとき、回転プレート521の底面より下方側Hdに突出する回転凸部524を支持プレート522の回転孔526に挿入し、回転プレート521と支持プレート522とでベース部材52を構成する。
【0033】
このように、回転凸部524が回転孔526に挿入されたベース部材52では、回転プレート521の長方形貫通孔523と支持プレート522の貫通孔525とが高さ方向Hに連通するとともに、支持プレート522に対して回転プレート521が平面視中央を中心として、回転可能に構成される。
【0034】
このようにして、ベース部材52において、回転プレート521の底面に備えた回転凸部524と、支持プレート522の平面視中央に設けた回転孔526とで、支持プレート522に対して回転プレート521が平面視中央を中心として回転する回転機構53を構成することができる。
【0035】
Uボルト6は、図1及び図2に示すように、下方側が開口した略半円状の湾曲部61と、湾曲部61の両端から下方側Hdに向かって延びる脚部62とを備え、湾曲部61と脚部62とで逆U字状に形成している。
なお、Uボルト6は、SS材、あるいはSUS材の丸鋼材で形成している。
【0036】
湾曲部61は、配管3の外径よりわずかに大きな径で形成され、径内側に後述する滑り部材9を備えている。
湾曲部61の端部より下方側Hdに延びる脚部62は、配管3の半径より長く直線状に形成し、下方側Hdの端部から上方側Huに向かって所定の長さ分らせん状のネジ山が形成されたネジ部63を構成している。
【0037】
締結ナット7は、脚部62におけるネジ部63と螺合するナットであり、支持部材2より上方側Huに配置する上ナット7aと、支持部材2より下方側Hdに配置する下ナット7bとを設け、上ナット7aと下ナット7bとで、ベース部材52及び後述するワッシャ8を介して、支持部材2を高さ方向Hの両側から挟み込むように構成している。
【0038】
ワッシャ8は、締結ナット7とともに脚部62を挿通し、締結ナット7による締結力を支持部材2や台座部5に伝達するものであり、上方側Huに配置する上ワッシャ8aと、支持部材2より下方側Hdに配置する下ワッシャ8bとを備えている。
【0039】
上ワッシャ8aは、回転プレート521の上面と上ナット7aとの間に配置され、平面視円環状で、回転プレート521の長方形貫通孔523の幅に応じて設定された所定の内径及び所定の厚みを有している。
下ワッシャ8bは、支持部材2の底面と下ナット7bとの間に配置され、平面視円環状の板状で形成している。
【0040】
滑り部材9は、図1及び図2(b)に示すように、湾曲部61の径内側に沿って嵌合可能な長さと、Uボルト6の径より長い奥行き方向Dの長さで形成している。
滑り部材9は、自己潤滑性、及び可撓性と、配管3と対向する低摩擦係数の平滑面(図示省略)とを有する柱状部材であって、例えば、圧縮強度の高い充填剤入りPTFE材で構成している。
【0041】
このように各要素を構成した締結構造体4は、支持部材2の上面に載置された台座部5における支持台座51のスライドシート512上に載置した配管3に対して逆U字状のUボルト6を配置する。このとき、脚部62のネジ部63は、回転プレート521の長方形貫通孔523と、支持プレート522の貫通孔525と、支持部材2の貫通孔に挿通される。そして、回転プレート521の上面には、上ワッシャ8aを介して上ナット7aが配置され、上ナット7aはネジ部63に螺合する。また、支持部材2の下方側Hdには、下ワッシャ8bを介して下ナット7bが配置され、下ナット7bはネジ部63に螺合する。したがって、上ナット7aと下ナット7bとで、高さ方向Hの両側から支持部材2及びベース部材52を挟み込んで固定し、配管締結構造1を構成することができる。
【0042】
このとき、台座部5における湾曲支持部511及びスライドシート512は、配管3の外面に沿って湾曲しており、配管3の軸方向L(図4参照)に対して平面視方向において直交するように配置される。
【0043】
しかしながら、図4(b)に示すように、支持部材2の向き、つまり幅方向W(図4において左右方向)に対して直交する奥行き方向Dに対して、配管3の軸方向Lが交差する方向に向く場合がある。
【0044】
このように、軸方向Lが奥行き方向Dに交差する向きである配管3を配管締結構造1に固定する際には、ベース部材52の回転プレート521が軸方向Lに対して直交する向きとなるように、回転機構53によって支持プレート522に対して回転プレート521を回転させる。
【0045】
なお、配管3の外径に沿って湾曲する湾曲支持部511及びスライドシート512を有する支持台座51は回転プレート521に固定されているため、軸方向Lが奥行き方向Dに交差する向きである配管3に対して湾曲支持部511及びスライドシート512が軸方向Lに直交する向きとなる。
【0046】
また、支持プレート522に対して回転機構53によって回転プレート521は回転するものの、Uボルト6及びネジ部63に螺合する締結ナット7及びワッシャ8は回転しない。しかしながら、ネジ部63が挿通される回転プレート521の長方形貫通孔523は幅方向Wに長い長孔である。そのため、支持プレート522に対する回転プレート521の回転に、回転しないUボルト6等が支障することがなく、支持台座51及び回転プレート521は、配管3の向きに沿って回転機構53により回転することができる。
【0047】
このように、略平板状の支持部材2における上面に対して、略円筒状の配管3を固定する配管締結構造1は、配管3の外周面に沿って湾曲した湾曲部61、及び湾曲部61の両端から延設した一対の脚部62を一体形成した略U字状のUボルト6と、支持部材2と配管3との間に配置され、配管3を滑り支持する支持台座51とを備え、支持台座51は配管3の外径に応じて湾曲し、摩擦係数の低いスライドシート512を有し、支持部材2における上面に対して直交する高さ方向Hに沿った回転軸を中心として支持部材2に対して支持台座51を回転する回転機構53を設けているため、捻じれが生じた配管3であっても、伸縮に支障することなく固定することができる。
【0048】
詳述すると、配管3の外径に応じて湾曲し、摩擦係数の低いスライドシート512を備えた湾曲支持部511を有し、支持部材2と配管3との間に配置され、配管3を滑り支持する支持台座51を、回転機構53が、支持部材2における上面に対して直交する高さ方向Hに沿った回転軸を中心として回転するため、配管3の捻じれに対して支持台座51を回転させることができる。したがって、熱による配管3の伸縮に支障することなく、支持部材2に配管3を固定することができる。
【0049】
また、支持台座51を支持部材2に取り付けるベース部材52を設け、ベース部材52は、支持台座51に固定する回転プレート521と、支持部材2に取り付ける支持プレート522とを備え、回転機構53は、回転プレート521に備え、支持プレート522に向って突出する回転凸部524と、支持プレート522に備え、回転凸部524が回転自在に嵌まり込む回転孔526とを備えているため、支持部材2に加工を施すことなく、捻じれが生じた配管3であっても、伸縮に支障することなく固定することができる。
【0050】
詳述すると、支持台座51を支持部材2に取り付けるベース部材52に、支持台座51に固定する回転プレート521と、支持部材2に取り付ける支持プレート522とを備え、支持プレート522に向って突出する回転凸部524を回転プレート521に備え、回転凸部524が回転自在に嵌まり込む回転孔526を支持プレート522に備え、回転凸部524と回転孔526とで回転機構53を構成する。そのため、支持部材2に取り付ける支持プレート522に対して、支持台座51に固定する回転プレート521を回転させることができる。
したがって、配管3の捻じれに対して支持台座51を回転させることができ、熱による配管3の伸縮に支障することなく、支持部材2に配管3を固定することができる。
【0051】
また、回転凸部524は、回転プレート521に設けるとともに、円柱状に形成し、回転孔526を支持プレート522に設けているため、支持部材2に取り付ける支持プレート522に設けた回転孔526に、支持台座51に固定する回転プレート521に設けた円柱状の回転凸部524を嵌入することで回転機構53を構成でき、回転機構53を備えたベース部材52を容易に組付けることができる。
【0052】
また、回転プレート521に、脚部62が挿通する長方形貫通孔523を設け、長方形貫通孔523は、回転方向(奥行き方向D)に沿う長孔で形成しているため、支持部材2に対して取付けたUボルト6の脚部62が支持台座51の回転に支障することなく、配管3の捻じれに対して支持台座51を回転させることができる。
【0053】
また、支持台座51における配管3と対向する対向面側に装着した摩擦係数の低い合成樹脂製のスライドシート512を設けているため、支持部材2に固定された配管3が熱によっても伸縮しても、伸縮に伴って作用する負荷を低減することができる。
【0054】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の支持部材は支持部材2に対応し、
以下同様に、
支持部材は支持部材2に対応し、
一方の面は上面に対応し、
配管は配管3に対応し、
配管固定構造体は配管締結構造1に対応し、
湾曲部は湾曲部61に対応し、
脚部は脚部62に対応し、
U字状部材はUボルト6に対応し、
支持台座は支持台座51に対応し、
湾曲滑り部は湾曲支持部511に対応し、
直交方向は高さ方向Hに対応し、
回転機構は回転機構53に対応し、
ベース部材はベース部材52に対応し、
回転プレートは回転プレート521に対応し、
支持プレートは支持プレート522に対応し、
回転凸部は回転凸部524に対応し、
回転凹部は回転孔526に対応し、
挿通孔は長方形貫通孔523に対応し、
滑り部材はスライドシート512に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0055】
例えば、上述のベース部材52では、回転プレート521の底面に下方側Hdに突出する回転凸部524を設け、支持プレート522の平面視中央に回転孔526を設けたが、支持プレート522の上面に上方側Huに突出する回転凸部524を設け、回転プレート521の平面視中央に回転孔526を設けてもよい。
また、上述の長方形貫通孔523は、長辺が直線状の長方形状の長孔としたが、長辺の両方または一方を、回転プレート521の回転中心(=回転凸部524の中心)までの長さを半径とする円弧としてもよい。
【0056】
また、上述の配管締結構造1では、支持台座51及び回転プレート521は、支持部材2及び支持プレート522に対して回転機構53によって回転可能に構成しているため、支持部材2及び支持プレート522に固定されたUボルト6に対しても支持台座51及び回転プレート521は相対回転する構成であった。これに対し、図5及び図6に示すように、支持部材2及び支持プレート522に設け、Uボルト6のネジ部63が挿通する貫通孔525を奥行き方向Dに長い長方形状に形成し、回転プレート521の長方形貫通孔523を丸孔に構成し、支持部材2及び支持プレート522に対して、支持台座51及び回転プレート521とともにUボルト6も回転するように構成してもよい。なお、図5(a)は別の実施形態の台座部5の平面図を示し、図5(b)は台座部5における回転プレート521の底面図を示し、図5(c)は支持プレート522の平面図を示し、図6は別の実施形態の配管締結構造1の平面図による説明図を示している。
【符号の説明】
【0057】
1…配管締結構造
2…支持部材
3…配管
6…Uボルト
51…支持台座
52…ベース部材
53…回転機構
61…湾曲部
62…脚部
511…湾曲支持部
512…スライドシート
521…回転プレート
522…支持プレート
523…長方形貫通孔
524…回転凸部
526…回転孔
H…高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6