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特開2024-143209予測モデル生成方法、予測方法、予測モデル生成装置、予測装置、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143209
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】予測モデル生成方法、予測方法、予測モデル生成装置、予測装置、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055757
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】牟田口 実咲
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲典
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】計算負荷の低減および予測精度の向上の点で有利な売電量の予測技術を提供する。
【解決手段】売電量を予測するために用いる予測モデルを生成する予測モデル生成方法であって、少なくとも気温および日射量を含む地域毎の気象観測情報を取得し、少なくとも発電所の設置件数および発電容量を含む地域毎の学習用発電所情報と、地域毎の売電量情報と、を取得し、気象観測情報と、学習用発電所情報と、売電量情報とを用いて、予測モデルを生成することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
売電量を予測するために用いる予測モデルを生成する予測モデル生成方法であって、
少なくとも気温および日射量を含む地域毎の気象観測情報を取得し、
少なくとも発電所の設置件数および発電容量を含む地域毎の学習用発電所情報と、地域毎の売電量情報と、を取得し、
前記気象観測情報と、前記学習用発電所情報と、前記売電量情報とを用いて、前記予測モデルを生成することを特徴とする予測モデル生成方法。
【請求項2】
前記予測モデルを、決定木を含むアルゴリズムを用いて生成することを特徴とする請求項1に記載の予測モデル生成方法。
【請求項3】
前記気象観測情報と、前記学習用発電所情報と、前記売電量情報と、を地域毎に紐づけた教師データを作成し、
前記教師データを用いて、前記予測モデルを生成することを特徴とする請求項1に記載の予測モデル生成方法。
【請求項4】
請求項1に記載の予測モデル生成方法によって生成された前記予測モデルを用いて前記売電量を予測する方法であって、
少なくとも予測対象地域の気温および日射量を含む気象予測情報を取得し、
少なくとも前記予測対象地域における前記発電所の設置件数および発電容量を含む予測用発電所情報を取得し、
前記気象予測情報および前記予測用発電所情報から、前記予測モデルを用いて、前記予測対象地域における前記売電量の予測値を算出することを特徴とする予測方法。
【請求項5】
前記予測対象地域は、前記学習用発電所情報が取得された地域とは一致しない地域であることを特徴とする請求項4に記載の予測方法。
【請求項6】
前記予測対象地域は、市区町村群単位の地域であることを特徴とする請求項4に記載の予測方法。
【請求項7】
複数の前記予測対象地域における前記予測値を合算して、一般送配電事業者の供給区域における前記売電量の予測値を算出し、
前記供給区域毎の前記売電量の前記予測値をクライアント装置へ送信することをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の予測方法。
【請求項8】
売電量を予測するために用いる予測モデルを生成する予測モデル生成装置であって、
少なくとも気温および日射量を含む地域毎の気象観測情報を取得する第1取得部と、
少なくとも発電所の設置件数および発電容量を含む地域毎の学習用発電所情報と、地域毎の売電量情報と、を取得する第2取得部と、
前記気象観測情報と、前記学習用発電所情報と、前記売電量情報とを用いて、前記予測モデルを生成する生成部と、を有することを特徴とする予測モデル生成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の予測モデル生成装置によって生成された前記予測モデルを用いて発電所の売電量を予測する予測装置であって、
少なくとも予測対象地域の気温および日射量を含む気象予測情報を取得する第3取得部と、
少なくとも前記予測対象地域における前記発電所の設置件数および発電容量を含む予測用発電所情報を取得する第4取得部と、
前記気象予測情報および前記予測用発電所情報から、前記予測モデルを用いて、前記予測対象地域における前記売電量の予測値を算出する予測部と、を有することを特徴とする予測装置。
【請求項10】
請求項1に記載の予測モデル生成方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項4に記載の予測方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項1に記載の予測モデル生成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項13】
請求項4に記載の予測方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、売電量を予測するために用いる予測モデルを生成する予測モデル生成方法、および予測モデルを用いて売電量を予測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池等により自家発電を行う電力需要家等が増えてきている。このような自家発電を行う電力需要家では、自家発電による電力量が消費電力量よりも上回る場合に、余剰電力を売電することができる。発電用の燃料不足や、気候の急な変動により電力不足が度々問題となる昨今においては、このような発電所から供給される売電量を高精度に予測することが求められている。
【0003】
特許文献1には、発電力及び蓄電量の合計値から消費電力量を差し引いた値を余剰電力量として求めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-27780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の方法で余剰電力量、すなわち売電量を求める場合、発電所単体に適用する場合には問題ないが、複数の発電所を含むグループ単位で売電量を求める場合には、誤差が大きくなってしまう。また、発電所毎に売電量を求めると計算負荷が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、計算負荷の低減および予測精度の向上の点で有利な売電量の予測技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての予測モデル生成方法は、売電量を予測するために用いる予測モデルを生成する予測モデル生成方法であって、少なくとも気温および日射量を含む地域毎の気象観測情報を取得し、少なくとも発電所の設置件数および発電容量を含む地域毎の学習用発電所情報と、地域毎の売電量情報と、を取得し、前記気象観測情報と、前記学習用発電所情報と、前記売電量情報とを用いて、前記予測モデルを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、計算負荷の低減および予測精度の向上の点で有利な売電量の予測技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る予測システム1の構成を示す構成図である。
図2】予測モデル生成装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る予測モデル105の生成処理を示すフロー図である。
図4】S404で作成される教師データの一例を示す図である。
図5】実施形態に係る予測対象地域における売電量の予測値の算出処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。更に、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<実施形態>
図1は、本実施形態に係る予測システム1の構成を示す構成図である。予測システム1は、予測モデル生成装置100と、予測装置200と、クライアント装置300と、を含む。予測システム1は、予測モデル生成装置100で生成された予測モデル105を用いて、太陽光パネル等の太陽電池が設置された高圧および低圧発電所(以降、単に発電所という)による売電量を予測するシステムである。予測モデル生成装置100と予測装置200、予測装置200とクライアント装置300はそれぞれ、ネットワーク400を介して通信可能に接続されている。ネットワーク400は、例えば、インターネットやWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、WiFiなどの無線基地局、プロバイダ装置、専用回線などを含む。なお、本実施形態では、予測モデル生成装置100と予測装置200が別体の装置である例を説明するが、予測装置200が予測モデル生成装置100の機能を有していてもよい。
【0012】
まず、予測モデル生成装置100について説明する。予測モデル生成装置100は、予測装置200における発電所による売電量の予測に用いる予測モデル105を生成する。予測モデル生成装置100は、第1取得部101と、第2取得部102と、モデル生成部103と、第1通信部104を備える。
【0013】
第1取得部101は、学習用発電所データベース(学習用発電所DB)110から学習用発電所情報111および売電量情報112を取得する。学習用発電所情報111には、少なくとも地域毎の発電所の設置件数およびその発電容量が含まれる。学習用発電所情報111には、発電所の設置場所の情報も含まれうる。設置場所の情報としては、例えば、住所、郵便番号、緯度経度を用いることができる。また、学習用発電所情報111には、太陽光パネルの設置向き、設置角度、型式、および設置年数が含まれていてもよい。また、太陽光パネルが建物の屋根や屋上等に設置されている場合にはその建物種別、および用途が含まれていてもよい。さらに、太陽光パネルが一般家庭に設置されている場合には、その家族構成が含まれていてもよい。売電量情報112は、学習用発電所情報111に含まれる発電所における売電量の実績値を含む。売電量の実績値は、例えば、発電所に設置されたセンサによって取得された数値を用いることが好ましいが、発電量から消費電力量を差し引いた値を用いてもよい。第1取得部101は、取得した学習用発電所情報111と売電量情報112を用いて、地域毎の統計データを作成する。
【0014】
第2取得部102は、気象観測データベース(気象観測DB)120から気象観測情報121を取得する。気象観測情報121には、少なくとも地域毎の気温および日射量の観測値が含まれる。気温および日射量の観測値は、例えば、所定の時間毎に観測された値であってよい。気象観測DB120は、気象情報プロバイダが提供するものであってもよい。また、気象観測DB120は、地域毎の観測地点に設置された温度センサおよび日射センサからの観測データを格納したデータベースであってもよいし、衛星観測データを用いて算出された日射量を格納したデータベースであってもよい。第2取得部102が、気象観測情報121を取得できればよく、気象観測DB120に格納されている気象観測情報121の観測方法および、気象観測情報121の取得方法については限定されるものではない。すなわち、第2取得部102が、気象観測DB120ではなく、温度センサおよび日射センサ等から直接、気象観測情報121を取得してもよい。また、気象観測情報121に、晴れ、雨、曇りなどの天気の情報が含まれていてもよい。
【0015】
モデル生成部103は、機械学習のアルゴリズムを用いて、第1取得部101によって作成された統計データと、第2取得部102によって取得された気象観測情報121から、予測モデルを生成する。
【0016】
第1通信部104は、例えば、ネットワーク400を介して他の機器等の外部からデータまたは指示を受信し、予測モデル生成装置100で生成したデータや指示を他の機器へ送信しうる。具体的には、第1通信部104は、モデル生成部103で生成された予測モデル105を予測装置200などの外部装置に送信する。
【0017】
次に、予測装置200について説明する。予測装置200は、予測モデル生成装置100によって生成された予測モデル105を用いて予測対象地域における売電量の予測値を算出し、予測売電データ205としてクライアント装置300に送信する。予測装置200は、第3取得部201と、第4取得部202と、予測部203と、第2通信部204を備える。
【0018】
第3取得部201は、予測用発電所データベース(予測用発電所DB)210から予測用発電所情報211を取得する。予測用発電所情報211には、少なくとも地域毎の発電所の設置件数およびその発電容量が含まれる。予測用発電所情報211には、発電所の設置場所の情報も含まれうる。設置場所の情報としては、例えば、住所、郵便番号、緯度経度を用いることができる。また、学習用発電所情報111と同様に、予測用発電所情報211には、太陽光パネルの設置向き、設置角度、型式、および設置年数が含まれていてもよい。また、太陽光パネルが建物の屋根や屋上等に設置されている場合にはその建物種別、および用途が含まれていてもよい。さらに、太陽光パネルが一般家庭に設置されている場合には、その家族構成が含まれていてもよい。第3取得部201は、取得した予測用発電所情報211を用いて、地域毎の統計データを作成する。
【0019】
第4取得部202は、気象予測データベース(気象予測DB)220から気象予測情報221を取得する。気象予測情報221には、少なくとも地域毎の気温および日射量の予測値が含まれる。気象予測DB220は、気象情報プロバイダが提供するものであってもよい。気象予測DB220は、気象予測情報221を格納していればよく、格納されている気象予測情報221の予測方法については限定されるものではない。また、気象予測情報221に、晴れ、雨、曇りなどの天気の情報が含まれていてもよい。
【0020】
予測部203は、予測モデル生成装置100によって生成された予測モデル105を用いて、第3取得部201によって作成された統計データと、第4取得部202によって取得された気象予測情報221から、予測対象地域における売電量の予測値を算出し、予測売電データ205を作成する。
【0021】
第2通信部204は、例えば、ネットワーク400を介して他の機器等の外部からデータまたは指示を受信し、予測装置200で生成したデータや指示を他の機器へ送信しうる。具体的には、第2通信部204は、予測モデル生成装置100から予測モデル105を取得し、予測部203で算出された売電量の予測値をクライアント装置300などの外部装置に送信する。
【0022】
クライアント装置300は、ユーザからの指示に基づいて、予測装置200によって算出された予測対象地域における売電量の予測値を表示するコンピュータである。クライアント装置300は、例えば、PC(Personal Computer)、タブレットPC、スマートフォン等である。クライアント装置300は、ユーザからの操作入力を受け付けるタッチパネルやキーボード、マウス等の入力装置を含む。また、クライアント装置300は、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等の表示装置も含む。表示装置は、予測装置200によって算出された予測対象地域における売電量の予測値を表示する。また、クライアント装置300は、プログラム等を実行するための制御部としてのCPUを含む。
【0023】
次に、図2を用いて、予測システム1のハードウェア構成について説明する。図2は、予測モデル生成装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。予測モデル生成装置100は、記憶部131、RAM132、ROM133、CPU134、および第1通信部104を備える。
【0024】
記憶部131は、後述のCPU134によって実行されるプログラム、および、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。また、記憶部131は、処理に用いる各種データや、作成された予測モデル等を記憶しうる。
【0025】
CPU134は、ROM133又は記憶部131に格納されたプログラムに基づいて動作し、予測モデル生成装置100の各部の制御を行う。ROM133は、予測モデル生成装置100の起動時にCPU134によって実行されるブートプログラムや、予測モデル生成装置100のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。CPU134は、例えば、RAM132上にロードされたプログラムを実行することにより、後述するフローを実現する。なお、CPU134が、これらのプログラムを他の装置から、例えば、ネットワークを介して取得して、実行してもよい。
【0026】
第1通信部104は、例えば、ネットワークを介して他の機器等の外部からデータまたは指示を受信してCPU134へ送り、CPU134が生成したデータや指示を他の機器へ送信しうる。
【0027】
なお、予測モデル生成装置100は、入力装置140および表示装置150と接続されていてもよい。入力装置140は、例えば、ユーザからの操作入力を受け付けるタッチパネルやキーボード、マウス等である。表示装置150は、例えば、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等である。
【0028】
予測装置200およびクライアント装置300の夫々も図2と同様の構成を備えているが詳細な説明は省略する。
【0029】
次に、図3を用いて、実施形態に係る予測モデル105の生成処理の全体の流れについて説明する。図3は、実施形態に係る予測モデル105の生成処理を示すフロー図である。このフローチャートで示す各動作(ステップ)は、予測モデル生成装置100のCPU134の制御によって実行されうる。
【0030】
S401では、第1取得部101は、学習用発電所DB110から学習用発電所情報111および売電量情報112を取得する。
【0031】
S402では、第1取得部101は、取得した学習用発電所情報111と売電量情報112を用いて、地域毎の統計データを作成する。具体的には、所定の地域グループ単位で、発電所の設置件数、発電容量、および売電量の実績値をそれぞれ合算し、統計データを作成する。言い換えると、所定の地域グループ単位での、発電所の設置件数の合計、発電容量の合計、および売電量の実績値の合計を求め、統計データを作成する。統計データには、平均値・中央値・最頻値などの代表値や、売電量を発電容量または設置件数で除した値を用いることもできる。なお、本実施形態では、一例として、基礎自治体のグループ単位で、言い換えると、市区町村群のグループ単位で、統計データを作成する。そして、第1取得部101は、作成した統計データをモデル生成部103に送信する。
【0032】
S403では、第2取得部102は、気象観測DB120から気象観測情報121を取得する。第2取得部102は、取得した気象観測情報121をモデル生成部103に送信する。
【0033】
S404では、モデル生成部103は、第1取得部101によって作成された統計データと、第2取得部102によって取得された気象観測情報121を用いて、予測モデル105を作成するための教師データを作成する。具体的には、例えば、住所、郵便番号、緯度経度の情報に基づいて、気象観測情報121と統計データを地域毎紐づけて、教師データを作成する。ここでは、一例として、緯度経度を用いて、気象観測情報121と統計データを紐づける。
【0034】
図4は、S404で作成される教師データの一例を示す図である。本図において、「売った電力量」は、売電量の実績値を示している。「Panel容量」は発電容量、「件数」は発電所の設置件数を示している。「倍率」は、教師データのデータ量を増やすために乗算された数である。また、「緯度」、「経度」は、「気温」および「日射量」の計測地点を示している。この「緯度」、「経度」の情報を用いて、気象観測情報121と統計データの紐づけを行う。「送配電」は、管轄の送配電事業者を示している。
【0035】
図3に戻り、S405では、モデル生成部103は、機械学習のアルゴリズムを用いて、予測モデル105を作成する。ここで、使用するアルゴリズムとしては、例えば、決定木(Decision Tree)を含むアルゴリズム、またはk近傍法アルゴリズムを用いる。なお、決定木のアンサンブルモデルを用いると予測精度が向上するため、好ましい。また、決定木のアンサンブルモデルの中でもExtra Trees RegressorまたはRandom Forest Regressorを用いることが好ましい。Extra Trees Regressorを用いるとより予測精度を高めることができるためさらに好ましい。そして、モデル生成部103は、作成した予測モデル105を第1通信部104に送信する
【0036】
S406では、第1通信部104は、モデル生成部103から取得した予測モデル105を予測装置200に送信する。そして、予測モデル生成装置100は予測モデル105の作成処理を終了する。
【0037】
次に、図5を用いて、実施形態に係る予測対象地域における売電量の予測処理、言い換えると、予測対象地域における売電量の予測値の算出処理の全体の流れについて説明する。図5は、実施形態に係る予測対象地域における売電量の予測値の算出処理を示すフロー図である。このフローチャートで示す各動作は、予測装置200のCPUの制御によって実行されうる。
【0038】
S501では、第2通信部204は、予測モデル生成装置100から予測モデル105を取得する。そして、第2通信部204は、クライアント装置300から予測売電データ205の要求指示があったか否かを確認する。クライアント装置300からの指示があった場合(Yes)には、処理をS502に進める。
【0039】
S502では、第3取得部201は、予測用発電所DB210から予測対象地域における予測用発電所情報211を取得する。ここで、予測対象地域とは、売電量の予測値を算出したい地域である。予測対象地域は、学習用発電所情報111に含まれない地域であってもよい。また、予測対象地域は、学習用発電所情報111が取得された地域と異なる地域であってもよい。ここで異なる地域とは、予測対象地域と学習用発電所情報111が取得された地域の一部が重複しているなど、予測対象地域と学習用発電所情報111が取得された地域は完全に一致していない地域を含む。すなわち、言い換えると、予測対象地域は、学習用発電所情報111が取得された地域と一致しない地域であってもよい。本実施形態の売電量の予測値の算出処理によれば、教師データに含まれていない地域の売電量であっても、高精度に予測値を算出することが可能である。
【0040】
S503では、第3取得部201は、取得した予測用発電所情報211を用いて、地域毎の統計データを作成する。具体的には、所定の地域グループ単位で、発電所の設置件数、発電容量をそれぞれ合算し、統計データを作成する。言い換えると、所定の地域グループ単位での、発電所の設置件数の合計、発電容量の合計を求め、統計データを作成する。なお、本実施形態では、一例として、基礎自治体のグループ単位で、言い換えると、市区町村群のグループ単位で、統計データを作成する。そして、第3取得部201は、作成した統計データを予測部203に送信する。
【0041】
S504では、第4取得部202は、気象予測DB220から気象予測情報221を取得する。第4取得部202は、取得した気象予測情報221を予測部203に送信する。
【0042】
S505では、予測部203は、第3取得部201によって作成された統計データと、第4取得部202によって取得された気象予測情報221を用いて、予測対象地域における売電量の予測値を算出するためのデータを作成する。具体的には、例えば、住所、郵便番号、緯度経度の情報に基づいて、気象予測情報221と統計データを紐づける。なお、ここでは、一例として、緯度経度を用いて、気象予測情報221と統計データを紐づける。
【0043】
S506では、予測部203は、予測モデル生成装置100によって生成された予測モデル105を用いて、S505で作成されたデータから予測対象地域における売電量の予測値を算出する。具体的には、予測部203は、所定の地域グループ単位で売電量の予測値を算出する。本実施形態では、一例として、基礎自治体のグループ単位で、言い換えると、市区町村群のグループ単位で売電量の予測値が算出される。所定の地域グループ単位で売電量の予測値を算出することで、発電所1件毎に予測値を算出する場合と比較して、計算負荷を少なくすることが可能となる。
【0044】
S507では、予測部203は、クライアント装置300に送信するための予測売電データ205を作成する。具体的には、予測部203は、所定の地域グループ単位で算出された売電量の予測値に対して合算処理を行い、一般送配電事業者の供給区域単位での売電量の予測値を求める。言い換えると、予測部203は、一般送配電事業者の供給区域に含まれる複数の所定の地域グループにおける売電量の予測値を合算し、一般送配電事業者の供給区域毎の売電量の予測値を求め、予測売電データ205を作成する。このような合算処理を行うことにより、予測用発電所情報211に太陽光パネルの設置向き、設置角度、型式、および設置年数などの、設置件数およびその発電容量以外の情報が含まれていない場合であっても、誤差を軽減することが可能となる。その結果、予測精度を向上させることができる。そして、予測部203は、作成した予測売電データ205を第2通信部204に送信する。
【0045】
S508では、第2通信部204は、予測部203から取得した予測売電データ205をクライアント装置300に送信する。そして、予測装置200は売電量の予測値の算出処理を終了する。その後、クライアント装置300の表示画面に一般送配電事業者の供給区域毎の売電量の予測値が表示される。
【0046】
以上の通り、本実施形態によれば、発電所の売電量の予測において、計算負荷を軽減させつつ、予測精度を向上させることができる。
【0047】
<その他の実施形態>
以上、本願の実施形態をいくつかの図面に基づいて詳細に説明したが、上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【0048】
予測モデル生成装置100および予測装置200における処理をコンピュータによって実現する場合、これらの装置の各部が有すべき機能の処理内容はプログラムに基づいて実行される。上述の処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。また、各部の処理は、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより構成することにしてもよい。
【0049】
上述の実施形態において、学習用発電所DB110および気象観測DB120は、予測モデル生成装置100の外部装置としたが、予測モデル生成装置100が学習用発電所DB110および/または気象観測DB120の機能を備えていてもよい。また、予測用発電所DB210および気象予測DB220についても同様に、予測装置200が予測用発電所DB210および/または気象予測DB220の機能を備えていてもよい。
【0050】
学習用発電所情報111に、太陽光パネルの設置向き、設置角度、型式、設置年数、太陽光パネルが設置される建物の種別、および建物の用途、並びに、太陽光パネルが設置される建物に住んでいる住民の家族構成の何れかまたは全てが含まれている場合、それを考慮した予測モデル105を生成することができる。このように生成された予測モデルを用い、同様の情報を含む予測用発電所情報211に基づいて予測対象地域における売電量の予測値を行う場合、予測精度をより向上させることができる。
【0051】
また、上述のS506で算出した所定の地域グループ単位で売電量の予測値を予測売電データ205として、クライアント装置300に送信し、表示させてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 予測システム
100 予測モデル生成装置
101 第1取得部
102 第2取得部
103 モデル生成部
104 第1通信部
200 予測装置
201 第3取得部
202 第4取得部
203 予測部
204 第2通信部
300 クライアント装置
図1
図2
図3
図4
図5