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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143216
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】空気浄化システム及び空気浄化方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20241003BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20241003BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20241003BHJP
   F24F 110/50 20180101ALN20241003BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/77
F24F11/64
F24F110:50
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055768
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】梅本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】平谷 瑞希
(72)【発明者】
【氏名】高田 雅紀
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BF01
3L260AA01
3L260AA02
3L260AB15
3L260BA09
3L260CA17
3L260CA28
3L260CB53
3L260EA08
3L260EA13
3L260FA07
3L260FC03
(57)【要約】
【課題】 異なる容積の複数の空間の空気を略均一に浄化することが可能な空気浄化システムを提供する。
【解決手段】 空気浄化システム1である。この空気浄化システム1は、空気を浄化するためのフィルター10と、第1の空気循環装置11と、第2の空気循環装置12と、制御装置13とを含む。第1の空気循環装置11は、フィルター10を経由した浄化空気Apを、複数の室2のうちの1又は複数の室2からなる第1空間5に循環させるための第1ファン27及び第1ダクト手段28を備えている。第2の空気循環装置12は、浄化空気Apを、第1空間5に含まれる室2を除いた1又は複数の室2からなる第2空間6に循環させるための第2ファン31及び第2ダクト手段32を備えている。制御装置13は、第1空間5と第2空間6との換気回数が略同一となるように、第1ファン27の風量及び第2ファン31の風量を調整するための風量調整部を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の室を有する建物内の空気を浄化するためのシステムであって、
空気を浄化するためのフィルターと、
第1の空気循環装置と、
第2の空気循環装置と、
制御装置とを含み、
前記第1の空気循環装置は、前記フィルターを経由した浄化空気を、複数の室のうちの1又は複数の室からなる第1空間に循環させるための第1ファン及び第1ダクト手段を備えており、
前記第2の空気循環装置は、前記浄化空気を、前記第1空間に含まれる室を除いた1又は複数の室からなる第2空間に循環させるための第2ファン及び第2ダクト手段を備えており、
前記制御装置は、前記第1空間と前記第2空間との換気回数が略同一となるように、前記第1ファンの風量及び前記第2ファンの風量を調整するための風量調整部を含む、
空気浄化システム。
【請求項2】
前記風量調整部は、前記第1空間に含まれる室の合計容積である第1容積と、前記第2空間に含まれる室の合計容積である第2容積とに基づいて、前記第1ファンの風量及び前記第2ファンの風量を制御する、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項3】
前記風量調整部は、前記第1容積が前記第2容積よりも大きい場合、前記第1ファンの風量を前記第2ファンの風量よりも大きくし、
前記第2容積が前記第1容積よりも大きい場合、前記第2ファンの風量を前記第1ファンの風量よりも大きくする、請求項2に記載の空気浄化システム。
【請求項4】
前記第1ダクト手段は、前記浄化空気を分岐させて前記第1空間に供給する複数の第1分岐ダクトを含み、
前記複数の第1分岐ダクトの合計数は、前記第1空間に含まれる室の合計容積である第1容積の大きさに応じて設定され、
前記第2ダクト手段は、前記浄化空気を分岐させて前記第2空間に供給する複数の第2分岐ダクトを含み、
前記複数の第2分岐ダクトの合計数は、前記第2空間に含まれる室の合計容積である第2容積の大きさに応じて設定され、
前記風量調整部は、前記複数の第1分岐ダクトの合計数と、前記複数の第2分岐ダクトの合計数とに基づいて、前記第1ファンの風量及び前記第2ファンの風量を制御する、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項5】
前記風量調整部は、前記複数の第1分岐ダクトの合計数が前記複数の第2分岐ダクトの合計数よりも大きい場合、前記第1ファンの風量を前記第2ファンの風量よりも大きくし、
前記複数の第2分岐ダクトの合計数が前記複数の第1分岐ダクトの合計数よりも大きい場合、前記第2ファンの風量を前記第1ファンの風量よりも大きくする、請求項4に記載の空気浄化システム。
【請求項6】
前記第1空間は、複数の室を含み、
前記第1ダクト手段は、前記浄化空気を分岐させて、前記第1空間に含まれる複数の室に供給する複数の第1分岐ダクトを含み、
前記各第1分岐ダクトは、前記浄化空気の供給量を調節する第1ダンパーをそれぞれ具え、
前記制御装置は、前記第1空間に含まれる複数の室のうち、容積が相対的に大きい室への前記浄化空気の供給量が大きくなるように、前記第1ダンパーを制御するための第1ダンパー調整部を含む、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項7】
前記第2空間は、複数の室を含み、
前記第2ダクト手段は、前記浄化空気を分岐させて、前記第2空間に含まれる複数の室に供給する複数の第2分岐ダクトを含み、
前記各第2分岐ダクトは、前記浄化空気の供給量を調節する第2ダンパーをそれぞれ具え、
前記制御装置は、前記第2空間に含まれる複数の室のうち、容積が相対的に大きい室への前記浄化空気の供給量が大きくなるように、前記第2ダンパーを制御するための第2ダンパー調整部を含む、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項8】
前記複数の室の空気質を測定するための空気質測定手段をさらに具え、
前記制御装置は、前記空気質測定手段の測定情報を受け取って、全ての室の空気質が、予め定められた基準を満たすまで、前記第1の空気循環装置、及び/又は、前記第2の空気循環装置を運転させる運転調整部を含む、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項9】
前記第1ファン、及び/又は、前記第2ファンは、風量が互いに異なる複数のモードに基づいて運転可能であり、
前記運転調整部は、前記複数のモード毎に、全ての室の空気質が前記基準を満たすまでに必要な浄化時間と、前記第1ファン、及び/又は、前記第2ファンを前記浄化時間で運転したときの消費電力とを計算し、
前記複数のモードのうち、前記浄化時間が予め定められた時間以内であり、かつ、前記消費電力が最小となるモードに基づいて、前記第1ファン、及び/又は、前記第2ファンの運転を制御する、請求項8に記載の空気浄化システム。
【請求項10】
複数の室を有する建物内の空気を、空気浄化システムを用いて浄化するための方法であって、
前記空気浄化システムは、空気を浄化するためのフィルターと、第1の空気循環装置と、第2の空気循環装置とを含み、
前記第1の空気循環装置は、前記フィルターを経由した浄化空気を、複数の室のうちの1又は複数の室からなる第1空間に循環させるための第1ファン及び第1ダクト手段を備えており、
前記第2の空気循環装置は、前記浄化空気を、前記第1空間に含まれる室を除いた1又は複数の室からなる第2空間に循環させるための第2ファン及び第2ダクト手段を備えており、
前記方法は、前記第1空間と前記第2空間との換気回数が略同一となるように、前記第1ファンの風量及び前記第2ファンの風量を調整するための風量調整工程を含む、
空気浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化システム及び空気浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、建物の内部の複数の空間を空調するための空調ユニットが記載されている。この空調ユニットでは、フィルターで浄化された空気が、建物内の複数の空間に供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-039610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、複数の空間は、建物の間取りや天井の高さ等によって、それらの容積がそれぞれ異なる。これらの空間に、フィルターで浄化された空気が一律に供給されると、その浄化された空気によって各空間が換気されるまでの時間(浄化時間)に差が生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、異なる容積の複数の空間の空気を略均一に浄化することが可能な空気浄化システムを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の室を有する建物内の空気を浄化するためのシステムであって、空気を浄化するためのフィルターと、第1の空気循環装置と、第2の空気循環装置と、制御装置とを含み、前記第1の空気循環装置は、前記フィルターを経由した浄化空気を、複数の室のうちの1又は複数の室からなる第1空間に循環させるための第1ファン及び第1ダクト手段を備えており、前記第2の空気循環装置は、前記浄化空気を、前記第1空間に含まれる室を除いた1又は複数の室からなる第2空間に循環させるための第2ファン及び第2ダクト手段を備えており、前記制御装置は、前記第1空間と前記第2空間との換気回数が略同一となるように、前記第1ファンの風量及び前記第2ファンの風量を調整するための風量調整部を含む、空気浄化システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気浄化システムは、上記の構成を採用することにより、異なる容積の複数の空間の空気を、略均一に浄化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】空気浄化システムが設置された建物を概念的に示した断面図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3】本実施形態の制御装置のブロック図である。
図4】本実施形態の空気浄化方法の処理手順を示すフローチャートである。
図5】本実施形態の運転調整工程の処理手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の他の実施形態の運転調整工程の処理手順を示すフローチャートである。
図7】室内汚染物質濃度と経過時間との関係を示すグラフである。
図8】複数のモード毎に、第1空間の空気質が基準を満たすまでに必要な浄化時間と、第1ファンを浄化時間で運転させたときの消費電力とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0010】
[建物]
図1は、空気浄化システム1が設置された建物Bを概念的に示した断面図である。建物Bは、例えば、住宅やビル等である場合が例示される。
【0011】
建物Bは、複数の室2を有している。複数の室2は、例えば、居室又は非居室(例えば、浴室など)として構成される。これらの複数の室2は、例えば、扉3等で区画されており、扉3に形成された隙間4を介して、空気Aiが流通している。
【0012】
本実施形態の複数の室2は、第1空間5と、第2空間6との何れかに区分(グループ化)されている。第1空間5は、1又は複数の室2で構成される。第2空間6は、第1空間5に含まれる室2を除いた1又は複数の室2で構成される。なお、複数の室2は、これらの第1空間5及び第2空間6に区分される態様に限定されるわけではなく、例えば、第3空間(図示省略)等に区分されてもよい。この場合、第3空間は、第1空間5及び第2空間6に含まれる室2を除いた1又は複数の室2で構成される。
【0013】
本実施形態の第1空間5は、建物Bの1階に形成された1又は複数の室2で構成されている。一方、本実施形態の第2空間6は、建物Bの2階に形成された1又は複数の室2で構成されている。なお、第1空間5及び第2空間6は、このような態様に限定されるわけではない。例えば、建物Bが平屋(1階建て)である場合は、1階に形成された1又は複数の室2が、第1空間5又は第2空間6の何れかに区分されてもよい。
【0014】
本実施形態の第1空間5には、1階に設けられた第1室2a及び第2室2bが含まれる。これらの第1室2a及び第2室2bのうち、第1室2aの容積が相対的に大きくなっている。一方、本実施形態の第2空間6には、2階に設けられた第3室2c及び第4室2dが含まれる。これらの第3室2c及び第4室2dのうち、第3室2cの容積が相対的に大きくなっている。これらの第1室2a~第4室2dは、容積が互いに異なっているが、例えば、一部の室2の容積が互いに同一となっていてもよい。これらの容積は、例えば、床面積と天井の高さとの積で計算されうる。
【0015】
本実施形態において、第1空間5に含まれる室2(本例では、第1室2a及び第2室2b)の合計容積である第1容積C1と、第2空間6に含まれる室2(本例では、第3室2c及び第4室2d)の合計容積である第2容積C2とが異なっている。さらに、第1容積C1が、第2容積C2よりも大きく設定されている。なお、第1容積C1と、第2容積C2との大小関係は、建物Bの間取り等に応じて、適宜設定されうる。
【0016】
[空気浄化システム]
本実施形態の空気浄化システム1は、フィルター10と、第1の空気循環装置11と、第2の空気循環装置12と、制御装置13とを含んで構成されている。さらに、本実施形態の空気浄化システム1には、空気質測定手段14がさらに含まれている。
【0017】
[フィルター]
フィルター10は、空気を浄化するためのものである。本実施形態のフィルター10は、例えば、上記の特許文献1と同様に、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルター、光触媒フィルター、活性炭脱臭フィルター、又は、電気集塵フィルター等から選択され、これらが単独、又は、組み合わせて配置されうる。本実施形態のフィルター10は、チャンバー15内に配置(収容)されている。
【0018】
[チャンバー]
本実施形態のチャンバー15は、その内部に空間(スペース)を有する箱状に形成されている。このチャンバー15は、例えば、上記の特許文献1のユニット本体と同様に形成されうる。
【0019】
図2は、図1の部分拡大図である。図1及び図2に示されるように、本実施形態のチャンバー15は、建物Bの2階のホール16に隣接して設けられた収納空間17に配されているが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、1階のホール16に設けられた収納空間(図示省略)に、チャンバー15が配されていてもよい。図2に示されるように、収納空間17とホール16とは、間仕切り壁18で区画されている。この間仕切り壁18には、ホール16と収納空間17との間で空気Aiの行き来が可能とされた隙間19が設けられている。さらに、チャンバー15には、収納空間17とチャンバー15との間で空気Aiの行き来が可能とされた隙間20が設けられている。これらの隙間19、20により、チャンバー15には、図1に示した第1空間5及び第2空間6を循環した空気Aiが供給される。
【0020】
本実施形態のチャンバー15には、外気Ao(床下空気Au)を供給するための外気供給ダクト21が接続されている。図1に示されるように、外気供給ダクト21の一端は、外気Aoが供給される床下空間22に接続され、外気供給ダクト21の他端は、チャンバー15に接続されている。このような外気供給ダクト21により、チャンバー15と、床下空間22とを連通させることができる。
【0021】
外気供給ダクト21には、外気供給ファン23が設けられていてもよい。本実施形態の外気供給ファン23は、外気Ao(床下空気Au)を、外気供給ダクト21を介して、チャンバー15に圧送するためのものである。これらの外気供給ダクト21及び外気供給ファン23により、チャンバー15には、床下空気Au(外気Ao)が取り込まれる。本明細書において、「ファン」は、空気を圧送するための機械である。したがって、ファンは、空気を圧送可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0022】
[空気調和機]
図2に示されるように、本実施形態のチャンバー15内には、空気調和機24が設けられている。この空気調和機24は、例えば、一般的な家庭用のセパレート型エアコンで構成されており、室内機25と、建物Bの外部に設置された室外機(図示省略)とをセットとして含んでいる。
【0023】
室内機25は、吸込口25iと吹出口25oとを有している。吸込口25iは、空気(本例では、循環した空気Aiと外気Aoとの混合気)を、室内機25の内部に設けられた熱交換器(図示省略)に取り込むためのものである。一方、吹出口25oは、熱交換器で空調された空気(空調空気)Acを吐出するためのものである。
【0024】
本実施形態では、チャンバー15内において、吹出口25oから吐出された空気(空調空気Ac)の下流側に、上述のフィルター10が配置されている。これにより、空調空気Ac(循環した空気Aiと外気Aoとの混合気)を、フィルター10に経由させて浄化させた浄化空気Apが生成されうる。
【0025】
[第1の空気循環装置]
図1に示されるように、第1の空気循環装置11は、フィルター10を経由した浄化空気Apを、第1空間5に循環させるためのものである。本実施形態の第1の空気循環装置11は、第1ファン27及び第1ダクト手段28を備えている。
【0026】
[第1ファン]
第1ファン27は、浄化空気Apを、第1ダクト手段28を介して、第1空間5に供給(圧送)するためのものである。本実施形態の第1ファン27は、チャンバー15内において、浄化空気Ap(フィルター10)の下流側に配置されており、第1ダクト手段28から第1空間5に向かう空気流を生成している。これにより、第1ファン27は、浄化空気Apを、第1ダクト手段28を介して、第1空間5に供給することが可能となる。
【0027】
本実施形態の第1ファン27は、風量が互いに異なる複数のモードに基づいて運転可能とされている。これにより、第1ファン27は、第1空間5への浄化空気Apの供給量を調節することが可能となる。このような複数のモードに基づく第1ファン27の運転の切り替えは、制御装置13によって行われうる。
【0028】
各モードの風量は、例えば、第1空間5に含まれる室2の合計容積である第1容積C1や、空気浄化システム1に求められる浄化性能等に応じて、適宜設定されうる。本実施形態の複数のモードは、第1モード~第4モードが含まれている。
【0029】
第1モード~第4モードのうち、第1モードの風量が最も大きく設定され、第4モードの風量が最も小さく設定されうる。したがって、第1モードの消費電力量が最も大であり、第4モードの電力量が最も小である。各モードの風量の一例は、次のとおりである。なお、第1モード~第4モードの風量の大小関係が維持されていれば、これらの風量に限定されるわけでない。また、第1モード~第4モードとは異なる他のモードがさらに含まれていてもよい。
第1モード:800m3/h
第2モード:640m3/h
第3モード:480m3/h
第4モード:170m3/h
【0030】
[第1ダクト手段]
第1ダクト手段28は、浄化空気Apを、第1空間5に供給(案内)するためのものである。図2に示されるように、本実施形態の第1ダクト手段28は、第1主ダクト28aと、複数の第1分岐ダクト28bとを含んで構成されている。第1主ダクト28a及び複数の第1分岐ダクト28bは、例えば、筒状に形成されたダクトによって形成されている。本実施形態において、第1主ダクト28aと、複数の第1分岐ダクト28bとの間には、第1分岐チャンバー29が設けられている。
【0031】
本実施形態の第1主ダクト28aは、浄化空気Apを、第1分岐チャンバー29に供給するためのである。第1主ダクト28aの一端は、チャンバー15内において、浄化空気Ap(フィルター10)の下流側に配置されている。一方、第1主ダクト28aの他端は、第1分岐チャンバー29に接続されている。このような第1主ダクト28aにより、チャンバー15と、第1分岐チャンバー29との間が連通され、フィルター10を経由した浄化空気Apが、第1主ダクト28aを介して、第1分岐チャンバー29に供給されうる。
【0032】
第1主ダクト28aの一端には、第1ファン27が設けられている。これにより、浄化空気Apが、第1主ダクト28aを経由して、第1分岐チャンバー29に圧送(供給)されうる。なお、第1ファン27が第1分岐チャンバー29に直接接続される場合には、第1主ダクト28aが省略されてもよい。
【0033】
本実施形態の複数の第1分岐ダクト28bは、浄化空気Apを分岐させて、図1に示した第1空間5(本例では、第1室2a及び第2室2b)に供給するためのものである。複数の第1分岐ダクト28bの一端のそれぞれは、第1分岐チャンバー29に接続されている。一方、複数の第1分岐ダクト28bの他端のそれぞれは、図1に示した第1空間5に含まれる室2(第1室2a又は第2室2b)に接続されている。これらの複数の第1分岐ダクト28bにより、第1分岐チャンバー29と第1空間5とが連通され、第1分岐チャンバー29に供給された浄化空気Apが、複数の第1分岐ダクト28bで分岐されて、第1空間5(第1室2a及び第2室2b)に供給されうる。
【0034】
第1分岐ダクト28bの合計数は、図1に示した第1空間5の第1容積C1の大きさに応じて設定されるのが好ましい。これにより、浄化空気Apが第1空間5に満遍なく供給されうる。
【0035】
本実施形態において、第1空間5に含まれる第1室2a及び第2室2bのうち、第1室2aの容積が相対的に大きくなっている。このような第1室2aには、第2室2bに比べて、より多くの第1分岐ダクト28bが接続されるのが好ましい。これにより、容積が相対的に大きい第1室2aに、より多くの浄化空気Apが満遍なく供給されうる。
【0036】
各第1分岐ダクト28bには、浄化空気Apの供給量を調節する第1ダンパー30がそれぞれ具えられていてもよい。このような第1ダンパー30により、第1分岐ダクト28bごとに、浄化空気Apの供給量が調節されうる。本実施形態の第1ダンパー30には、開度(開口面積)の大きさに応じて、浄化空気Apの供給量が調節可能なVAVダンパーが採用されるが、特に限定されるわけではなく、他の種類のダンパーが採用されてもよい。
【0037】
第1空間5(第1室2a及び第2室2b)に供給された浄化空気Apの少なくとも一部は、第1空間5を循環した空気(リターン空気)Aiとして、例えば、扉3に形成された隙間4、1階と2階との間に設けられた階段(図示省略)、図2に示したホール16の隙間19及びチャンバー15の隙間20を介して、チャンバー15に供給される。これにより、第1の空気循環装置11は、浄化空気Apを、第1空間5に循環させることが可能となる。
【0038】
[第2の空気循環装置]
図1に示されるように、第2の空気循環装置12は、フィルター10を経由した浄化空気Apを、第2空間6に循環させるためのものである。本実施形態の第2の空気循環装置12は、第2ファン31及び第2ダクト手段32を備えている。
【0039】
[第2ファン]
第2ファン31は、浄化空気Apを、第2ダクト手段32を介して、第2空間6に供給(圧送)するためのものである。本実施形態の第2ファン31は、第1ファン27と同様に、チャンバー15内において、浄化空気Ap(フィルター10)の下流側に配置されており、第2ダクト手段32から第2空間6に向かう空気流を生成している。これにより、第2ファン31は、浄化空気Apを、第2ダクト手段32を介して、第2空間6に供給することが可能となる。
【0040】
本実施形態の第2ファン31は、第1ファン27と同様に、風量が互いに異なる複数のモードに基づいて運転可能とされており、第2空間6への浄化空気Apの供給量が調節されうる。このような複数のモードに基づく第2ファン31の運転の切り替えは、制御装置13によって行われうる。
【0041】
各モードの風量は、例えば、第2空間6に含まれる室2の合計容積である第2容積C2や、空気浄化システム1に求められる浄化性能等に応じて、適宜設定されうる。本実施形態の複数のモードは、第1ファン27と同様に、第1モード~第4モードが含まれている。これらの第1モード~第4モードの各風量は、上述のとおりである。
【0042】
[第2ダクト手段]
第2ダクト手段32は、浄化空気Apを、第2空間6に供給(案内)するためのものである。図2に示されるように、本実施形態の第2ダクト手段32は、第2主ダクト32aと、複数の第2分岐ダクト32bとを含んで構成されている。第2主ダクト32a及び複数の第2分岐ダクト32bは、例えば、筒状に形成されたダクトによって形成されている。本実施形態において、第2主ダクト32aと、複数の第2分岐ダクト32bとの間には、第2分岐チャンバー33が設けられている。
【0043】
本実施形態の第2主ダクト32aは、浄化空気Apを、第2分岐チャンバー33に供給するためのである。第2主ダクト32aの一端は、チャンバー15内において、浄化空気Ap(フィルター10)の下流側に配置されている。一方、第2主ダクト32aの他端は、第2分岐チャンバー33に接続されている。このような第2主ダクト32aにより、チャンバー15と、第2分岐チャンバー33との間が連通され、フィルター10を経由した浄化空気Apが、第2主ダクト32aを介して、第2分岐チャンバー33に供給されうる。
【0044】
第2主ダクト32aの一端には、第2ファン31が設けられている。これにより、浄化空気Apが、第2主ダクト32aを経由して、第2分岐チャンバー33に圧送(供給)されうる。なお、第2ファン31が第2分岐チャンバー33に直接接続される場合には、第2主ダクト32aが省略されてもよい。
【0045】
本実施形態の複数の第2分岐ダクト32bは、浄化空気Apを分岐させて、図1に示した第2空間6(本例では、第3室2c及び第4室2d)に供給するためのものである。複数の第2分岐ダクト32bの一端のそれぞれは、第2分岐チャンバー33に接続されている。一方、複数の第2分岐ダクト32bの他端のそれぞれは、第2空間6に含まれる室2(第3室2c又は第4室2d)に接続されている。これらの複数の第2分岐ダクト32bにより、第2分岐チャンバー33と第2空間6とが連通され、第2分岐チャンバー33に供給された浄化空気Apが、複数の第2分岐ダクト32bで分岐されて、第2空間6(第3室2c及び第4室2d)に供給されうる。
【0046】
第2分岐ダクト32bの合計数は、図1に示した第2空間6の第2容積C2の大きさに応じて設定されるのが好ましい。これにより、浄化空気Apが第2空間6に満遍なく供給されうる。
【0047】
上述したように、本実施形態では、第1空間5の第1容積C1が、第2空間6の第2容積C2よりも大きく設定されている。このため、第2分岐ダクト32bの合計数よりも、第1分岐ダクト28bの合計数が多く設定される。
【0048】
本実施形態において、第2空間6に含まれる第3室2c及び第4室2dのうち、第3室2cの容積が相対的に大きくなっている。このような第3室2cには、第4室2dに比べて、より多くの第2分岐ダクト32bが接続されるのが好ましい。これにより、容積が相対的に大きい第3室2cに、より多くの浄化空気Apが満遍なく供給されうる。
【0049】
各第2分岐ダクト32bには、浄化空気Apの供給量を調節する第2ダンパー34がそれぞれ具えられていてもよい。このような第2ダンパー34により、第2分岐ダクト32bごとに、浄化空気Apの供給量が調節されうる。本実施形態の第2ダンパー34には、第1ダンパー30と同様のダンパー(本例では、VAVダンパー)が採用されうる。
【0050】
第2空間6(第3室2c及び第4室2d)に供給された浄化空気Apの少なくとも一部は、第2空間6を循環した空気(リターン空気)Aiとして、例えば、扉3に形成された隙間4、図2に示したホール16の隙間19及びチャンバー15の隙間20を介して、チャンバー15に供給される。これにより、第2の空気循環装置12は、浄化空気Apを、第2空間6に循環させることが可能となる。
【0051】
[空気質測定手段]
図1に示されるように、空気質測定手段14は、複数の室2の空気質を測定するためのものである。本実施形態では、建物B内の全ての室2(第1室2a~第4室2d)に、空気質測定手段14がそれぞれ設けられているが、一部の室2のみに、空気質測定手段14が設けられてもよい。空気質測定手段14には、例えば、CO2濃度、湿度、及び、粉塵量(例えば、花粉、PM2.5及び埃などの量)を検出可能な既知の空気質センサーが採用されうる。
【0052】
[制御装置]
本実施形態の制御装置13は、第1ファン27の風量W1や、第2ファン31の風量W2等を調整するためのものである。制御装置13は、コンピュータによって構成され、例えば、間仕切り壁等に配置されている。図3は、本実施形態の制御装置13のブロック図である。
【0053】
制御装置13は、例えば、演算装置41と、後述の空気浄化方法の処理手順(プログラム)等を記憶するための記憶装置42と、記憶装置42から処理手順等を読み込むための作業用メモリ43とを含んで構成されている。制御装置13(演算装置41)には、入力装置44及び出力装置45が接続されている。
【0054】
[入力装置]
本実施形態の入力装置44は、制御装置13の筐体(図1に示す)に設けられた操作ボタンやタッチパネル等によって構成されている。この入力装置44により、例えば、ユーザー(居住者)等によって入力された情報(データ)が、演算装置41(制御装置13)に送信されうる。また、入力装置44に入力される情報には、例えば、空気浄化運転の開始及び停止や、空気調和機24の空調運転(暖房運転又は冷房運転)の開始及び停止等が含まれる。
【0055】
[出力装置]
本実施形態の出力装置45は、制御装置13の筐体(図1に示す)に設けられたディスプレイとして構成されている。出力装置45は、演算装置41(制御装置13)からのデータを受信することで、例えば、空気浄化システム1の運転状況等を表示することが可能とされている。
【0056】
[演算装置]
本実施形態の演算装置41は、例えば、CPU(中央演算装置)で構成される。本実施形態の演算装置41は、図1に示した第1ファン27及び第2ファン31と通信可能に接続されている。これにより、演算装置41は、第1ファン27及び第2ファン31の運転を制御することができ、例えば、複数のモードのうち、何れかのモードの風量で浄化空気Apが供給されうる。
【0057】
演算装置41は、図1に示した第1ダンパー30及び第2ダンパー34と通信可能に接続されている。これにより、演算装置41は、第1ダンパー30及び第2ダンパー34による浄化空気Apの供給量を制御することが可能となる。
【0058】
演算装置41は、図1に示した空気質測定手段14と通信可能に接続されている。これにより、演算装置41は、空気質測定手段14によって測定された各室2の空気質の測定情報(測定データ)を受け取ることが可能となる。また、演算装置41には、図1に示した空気調和機24が接続されていてもよい。
【0059】
[記憶装置]
本実施形態の記憶装置42は、例えば、不揮発性の情報記憶装置である。記憶装置42には、データ部46及びプログラム部47が含まれる。
【0060】
[データ部]
本実施形態のデータ部46は、例えば、演算装置41の処理に必要なデータや、演算装置41の計算結果等を記憶するためのものである。本実施形態のデータ部46には、容積入力部46Aと、基準入力部46Bと、測定情報入力部46Cと、浄化時間入力部46Dと、消費電力入力部46Eとが含まれる。なお、データ部46は、このような態様に限定されるわけではなく、必要に応じて、他のデータを記憶させるための入力部(図示省略)が含まれてもよいし、これらの一部が省略されてもよい。
【0061】
容積入力部46Aには、図1に示した第1空間5に含まれる室2の合計容積である第1容積C1と、第2空間6に含まれる室2の合計容積である第2容積C2とが記憶されている。さらに、容積入力部46Aには、複数の室2(第1室2a~第4室2d)の容積がそれぞれ記憶されている。
【0062】
基準入力部46Bには、図1に示した全ての室2が満たすべき空気質の基準が記憶されている。この基準は、図1に示した空気質測定手段14で測定される測定情報(例えば、CO2濃度、湿度及び粉塵量)ごとに設定されうる。これらの基準は、例えば、建物B(室2)に求められる空気質に応じて、予め入力されている。
【0063】
測定情報入力部46Cには、演算装置41によって受け取られた空気質測定手段14の測定情報が記憶される。浄化時間入力部46D及び消費電力入力部46Eに記憶されるデータは、後述の空気浄化方法で計算された結果が入力される。
【0064】
[プログラム部]
プログラム部47は、演算装置41(制御装置13)に、後述の空気浄化方法を実行させるためのプログラム(コンピュータプログラム)である。このプログラム部(プログラム)47が、演算装置41によって実行されることにより、制御装置13を、特定の手段として機能させることができる。
【0065】
本実施形態のプログラム部47には、風量調整部47Aと、第1ダンパー調整部47Bと、第2ダンパー調整部47Cと、運転調整部47Dとが含まれる。これらのプログラム部47の機能は、後述の空気浄化方法の各工程で説明される。また、プログラム部47は、このような態様に限定されるわけではなく、必要に応じて、その他のプログラム(図示省略)が含まれてもよいし、これらの一部が省略されてもよい。
【0066】
[全館空調運転]
本実施形態では、空気浄化方法の実施に先立ち、図1に示した空気調和機24、第1ファン27及び第2ファン31の運転が開始されており、建物B内の空気Aiを循環させながら、複数の室2の換気及び空調を行う全館空調運転が実施されている。この全館空調運転では、第1ファン27の風量W1及び第2ファン31の風量W2が、建物Bに必要な換気回数に基づいて設定され、同一の風量(例えば、風量が最も小さい第4モードの風量)に設定される。したがって、第1空間5及び第2空間6には、浄化空気Apが一律に供給される。
【0067】
この全館空調運転では、複数の室2に浄化空気Apが供給されるため、建物B内の空気を、ある程度浄化することができる。しかしながら、全館空調運転では、容積が異なる第1空間5及び第2空間6に、浄化空気Apが一律に(同一の供給量で)供給されるため、浄化空気Apによって第1空間5及び第2空間6が換気されるまでの時間(浄化時間)に差が生じ、第1空間5及び第2空間6を略均一に浄化することが困難である。
【0068】
[空気浄化方法(第1実施形態)]
本実施形態では、以下に説明される空気浄化方法が実施される(全館空調運転から空気浄化運転に切り替えられる)ことで、容積が異なる第1空間5及び第2空間6の空気を略均一に浄化させている。この空気浄化方法(空気浄化運転)は、例えば、建物Bの居住者が、制御装置13(図3に示す入力装置44)に入力(例えば、図示しない空気浄化ボタンを押下)した指示情報や、空気質測定手段14の測定情報等を受け取った制御装置13によって開始されうる。図4は、本実施形態の空気浄化方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0069】
[風量調整工程]
本実施形態の空気浄化方法では、先ず、図1に示した第1空間5と第2空間6との換気回数(回/h)が略同一となるように、第1ファン27の風量W1及び第2ファン31の風量W2が調整される(風量調整工程S1)。ここで「第1空間5と第2空間6との換気回数が略同一」とは、第1空間5の換気回数N1と、第2空間6の換気回数N2との比N1/N2が、0.5~1.5の範囲、好ましくは0.9~1.1の範囲を意味している。
【0070】
本実施形態の風量調整工程S1では、先ず、図3に示した容積入力部46Aに記憶されている第1空間5の第1容積C1及び第2空間6の第2容積C2と、プログラム部47に含まれる風量調整部47Aが、作業用メモリ43に読み込まれる。風量調整部47Aは、第1空間5と第2空間6との換気回数が略同一となるように、第1ファン27の風量W1及び第2ファン31の風量W2を調整するためのプログラムである。この風量調整部47Aが、演算装置41によって実行されることで、制御装置13を、第1ファン27の風量W1及び第2ファン31の風量W2を調整するための手段として機能させることができる。
【0071】
本実施形態の風量調整工程S1では、第1容積C1と第2容積C2とに基づいて、図1に示した第1ファン27の風量W1及び第2ファン31の風量W2が制御される。この第1容積C1及び第2容積C2は、第1空間5の換気回数及び第2空間6の換気回数と相関がある。したがって、これらの第1容積C1及び第2容積C2に基づいて、第1ファン27の風量W1及び第2ファン31の風量W2が制御されることで、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とが略同一とされうる。
【0072】
風量調整工程S1では、第1容積C1が第2容積C2よりも大きい場合に、第1ファン27の風量W1が、第2ファン31の風量W2よりも大きくされる。これにより、第2空間6に比べて、容積が相対的に大きい第1空間5に、多くの浄化空気Apが供給されるため、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とを略同一にすることが可能となる。
【0073】
第1ファン27及び第2ファン31の各風量は、第1ファン27の風量W1が、第2ファン31の風量W2よりも大であれば、適宜設定されうる。例えば、上述の複数のモードのうち、風量が最も大きい第1モードに基づいて、第1ファン27が運転され、第1モードよりも風量が小さい第2モードに基づいて、第2ファン31が運転されてもよい。これにより、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とを略同一にしつつ、第1空間5及び第2空間6に、多くの浄化空気Apが供給されるため、第1空間5及び第2空間6の空気を迅速に浄化することが可能となる。
【0074】
また、第1ファン27及び第2ファン31が上記のモード以外の風量に調整可能(可変速ファン)である場合には、第1容積C1と第2容積C2との比C1/C2と、第1ファン27の風量W1と第2ファン31の風量W2との比W1/W2とが同一となるように、各風量W1、W2が調整されてもよい。これにより、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とを、より同一に近づけることが可能となる。
【0075】
一方、風量調整工程S1では、第2容積C2が第1容積C1よりも大きい場合に、第2ファン31の風量W2が、第1ファン27の風量W1よりも大きくされる。これにより、第1空間5に比べて、容積が相対的に大きい第2空間6に、多くの浄化空気Apが供給されるため、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とを略同一にすることが可能となる。
【0076】
第1ファン27及び第2ファン31の各風量は、第2ファン31の風量W2が、第1ファン27の風量W1よりも大であれば、適宜設定されうる。例えば、第1モードに基づいて第2ファン31が運転され、第2モードに基づいて第1ファン27が運転されてもよい。これにより、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とを略同一にしつつ、第1空間5及び第2空間6の空気を迅速に浄化することが可能となる。
【0077】
また、第1ファン27及び第2ファン31が上記のモード以外の風量に調整可能(可変量ファン)である場合には、第2容積C2と第1容積C1との比C2/C1と、第2ファン31の風量W2と第1ファン27の風量W1との比W2/W1とが同一となるように、各風量W1、W2が調整されてもよい。これにより、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とを、より同一に近づけることが可能となる。
【0078】
このように、本実施形態の空気浄化方法(風量調整部47A)では、第1空間5の換気回数と第2空間6の換気回数とが略同一となるように、第1ファン27の風量W1及び第2ファン31の風量W2が調整される。これにより、第1空間5の第1容積C1と第2空間6の第2容積C2とが互いに異なる場合であっても、第1空間5の空気及び第2空間6の空気が、浄化空気Apで略均一に入れ替えられる(換気される)。したがって、第1空間5の空気及び第2空間6の空気が、略均一に浄化されうる。
【0079】
第1空間5(第1空間5に含まれる室2)に供給された浄化空気Apの一部は、第1空間5を循環した空気(リターン空気)Aiとして、チャンバー15に供給される。一方、第2空間6(第2空間6に含まれる室2)に供給された浄化空気Apの一部は、第2空間6を循環した空気(リターン空気)Aiとして、チャンバー15に供給される。このように、本実施形態の風量調整工程S1(第1の空気循環装置11及び第2の空気循環装置12)では、第1空間5及び第2空間6に独立して、浄化空気Apを循環させることができるため、第1空間5及び第2空間6のそれぞれが効率よく浄化されうる。
【0080】
[第1ダンパー調整工程]
次に、本実施形態の空気浄化方法では、図1に示した第1ダンパー30が制御される(第1ダンパー調整工程S2)。第1ダンパー調整工程S2では、第1空間5に含まれる複数の室2のうち、容積が相対的に大きい室2への浄化空気Apの供給量が大きくなるように、第1ダンパー30が制御される。
【0081】
本実施形態の第1ダンパー調整工程S2では、先ず、図3に示した容積入力部46Aに記憶されている第1空間5の室2(本例では、第1室2a及び第2室2b)の容積が、作業用メモリ43に読み込まれる。さらに、プログラム部47に含まれる第1ダンパー調整部47Bが、作業用メモリ43に読み込まれる。この第1ダンパー調整部47Bは、第1空間5に含まれる複数の室2のうち、容積が相対的に大きい室2への浄化空気Apの供給量が大きくなるように、第1ダンパー30を制御するためのプログラムである。このような第1ダンパー調整部47Bが、演算装置41によって実行されることで、制御装置13を、第1ダンパー30を制御するための手段として機能させることができる。
【0082】
本実施形態では、図1に示した第1空間5に含まれる複数の室2のうち、容積が相対的に大きい室2(本例では、第1室2a)に接続された第1分岐ダクト28bの第1ダンパー30の開度D1が、他の第1ダンパー30に比べて、大きな開度に設定される。これにより、第1ダンパー調整工程S2では、容積が相対的に大きい室2(第1室2a)に、多くの浄化空気Apが供給されうる。一方、容積が相対的に小さい室2(本例では、第2室2b)に接続された第1分岐ダクト28bの第1ダンパー30の開度D2が小さく設定されるため、浄化空気Apの供給量が小さくなる。
【0083】
このように、本実施形態の第1ダンパー調整工程S2では、第1空間5に含まれる複数の室2(本例では、第1室2a及び第2室2b)の容積w1、w2に基づいて、第1ダンパー30の開度D1、D2がそれぞれ調整される。これにより、第1空間5に含まれる複数の室2の容積w1、w2が互いに異なる場合であっても、これらの室2の換気回数が略同一となる。したがって、第1ダンパー調整工程S2では、第1空間5に含まれる複数の室2の空気が、略均一に浄化されうる。
【0084】
第1ダンパー調整工程S2では、第1室2aの容積w1と第2室2bの容積w2との比w1/w2と、第1室2aの第1ダンパー30の開度D1と第2室2bの第1ダンパー30の開度D2との比D1/D2とが同一となるように、各開度D1、D2が調整されてもよい。これにより、第1室2aの換気回数と、第2室2bの換気回数とを、より同一に近づけることが可能となる。また、第1室2aと第2室2bとにそれぞれ接続される第1分岐ダクト28bの本数が互いに異なっている場合には、第1分岐ダクト28bの本数の違いによる浄化空気Apの供給量の差異を踏まえた上で、各開度D1、D2が調整されてもよい。
【0085】
[第2ダンパー調整工程]
次に、本実施形態の空気浄化方法では、図1に示した第2ダンパー34が制御される(第2ダンパー調整工程S3)。第2ダンパー調整工程S3では、第2空間6に含まれる複数の室2のうち、容積が相対的に大きい室2への浄化空気Apの供給量が大きくなるように、第2ダンパー34が制御される。
【0086】
本実施形態の第2ダンパー調整工程S3では、先ず、図3に示した容積入力部46Aに記憶されている第2空間6の室2(本例では、第3室2c及び第4室2d)の容積が、作業用メモリ43に読み込まれる。さらに、プログラム部47に含まれる第2ダンパー調整部47Cが、作業用メモリ43に読み込まれる。この第2ダンパー調整部47Cは、第2空間6に含まれる複数の室2のうち、容積が相対的に大きい室2への浄化空気Apの供給量が大きくなるように、第2ダンパー34を制御するためのプログラムである。このような第2ダンパー調整部47Cが、演算装置41によって実行されることで、制御装置13を、第2ダンパー34を制御するための手段として機能させることができる。
【0087】
本実施形態では、図1に示した第2空間6に含まれる複数の室2のうち、容積が相対的に大きい室2(本例では、第3室2c)に接続された第2分岐ダクト32bの第2ダンパー34の開度D3が、他の第2ダンパー34に比べて、大きな開度に設定される。これにより、第2ダンパー調整工程S3では、容積が相対的に大きい室2(第3室2c)に、多くの浄化空気Apが供給されうる。一方、容積が相対的に小さい室2(本例では、第4室2d)に接続された第2分岐ダクト32bの第2ダンパー34の開度D4が小さく設定されるため、浄化空気Apの供給量が小さくなる。
【0088】
このように、本実施形態の第2ダンパー調整工程S3では、第2空間6に含まれる複数の室2(本例では、第3室2c及び第4室2d)の容積w3、w4に基づいて、第2ダンパー34の開度D3、D4が調整される。これにより、第2空間6に含まれる複数の室2の容積が互いに異なる場合であっても、これらの室2の換気回数が略同一となり、第2空間6に含まれる複数の室2の空気が、略均一に浄化されうる。
【0089】
第2ダンパー調整工程S3では、第3室2cの容積w3と第4室2dの容積w4との比w3/w4と、第3室2cの第2ダンパー34の開度D3と第4室2dの第2ダンパー34の開度D4との比D3/D4とが同一となるように、各開度D3、D4が調整されてもよい。これにより、第3室2cの換気回数と、第4室2dの換気回数とを、より同一に近づけることが可能となる。
【0090】
このように、本実施形態の空気浄化方法では、上述の風量調整工程S1において、第1空間5と第2空間6との換気回数が略同一となるように、第1ファン27の風量W1及び第2ファン31の風量W2が調整される。さらに、第1ダンパー調整工程S2において、第1空間5に含まれる複数の室2(第1室2a及び第2室2b)の容積w1、w2に基づいて、第1ダンパー30の開度D1、D2(浄化空気Apの供給量)が調整される。さらに、第2ダンパー調整工程S3において、第2空間6に含まれる複数の室2(第3室2c及び第4室2d)の容積w3、w4に基づいて、第2ダンパー34の開度D3、D4(浄化空気Apの供給量)が調整される。これにより、本実施形態の空気浄化方法は、全ての室2(第1室2a~第4室2d)の容積w1~w4が互いに異なる場合であっても、それらの換気回数が略同一となる。したがって、空気浄化方法では、建物B内の複数の室2の空気が、略均一に浄化することが可能となる。
【0091】
[運転調整工程]
次に、本実施形態の空気浄化方法では、全ての室2の空気質が、予め定められた基準を満たすまで、第1の空気循環装置11、及び/又は、第2の空気循環装置12を運転(空気浄化運転)させる(運転調整工程S4)。本実施形態では、空気質測定手段14の測定情報を、制御装置13が受け取って、全ての室2の空気質が、予め定められた基準を満たすか否かが判断される。
【0092】
本実施形態の運転調整工程S4では、先ず、図3に示したデータ部46に含まれる基準入力部46Bに記憶されている空気質の基準、及び、プログラム部47に含まれる運転調整部47Dが、作業用メモリ43に読み込まれる。この運転調整部47Dは、全ての室2の空気質が、予め定められた基準を満たすまで、第1の空気循環装置11、及び/又は、第2の空気循環装置12を運転させるためのプログラムである。このような運転調整部47Dが、演算装置41によって実行されることで、制御装置13を、空気質が基準を満たすまで、第1の空気循環装置11、及び/又は、第2の空気循環装置12を運転させるための手段として機能させることができる。図5は、本実施形態の運転調整工程S4の処理手順を示すフローチャートである。
【0093】
[測定情報を受け取る]
本実施形態の運転調整工程S4では、先ず、図1に示した全ての室2の空気質の測定情報が受け取られる(工程S41)。本実施形態では、各室2にそれぞれ設けられた空気質測定手段14の測定情報が、演算装置41によって受け取られる。これらの測定情報は、図3に示した測定情報入力部46Cに記憶される。
【0094】
[全ての室の空気質が基準を満たすかを判断]
次に、本実施形態の運転調整工程S4では、図1に示した全ての室2の空気質が、予め定められた基準を満たすか否かが判断される(工程S42)。工程S42において、全ての室2の空気質が基準を満たすと判断された場合(工程S42で「Yes」)、全ての室2の空気質が良好な状態になっている。このため、図5に示した運転調整工程S4、及び、図4に示した空気浄化方法(図1及び図2に示した第1の空気循環装置11及び第2の空気循環装置12による空気浄化運転)の一連の処理が終了し、上述の全館空調運転が再度実施される。
【0095】
一方、工程S42において、全ての室2のうち、少なくとも1つの室2の空気質が基準を満たしていないと判断された場合(工程S42で「No」)、工程S41及び工程S42が再度実施される。これにより、全ての室2の空気質が基準を満たすまで、第1の空気循環装置11及び第2の空気循環装置12による空気浄化運転が継続されうる。したがって、空気浄化方法は、全ての室2の空気質を良好な状態にすることが可能となる。
【0096】
運転調整工程S4では、全ての室2のうち、第1空間5に含まれる全ての室2の空気質が基準を満たした場合には、第1の空気循環装置11による空気浄化運転を終了させてもよい。一方、全ての室2のうち、第2空間6に含まれる全ての室2の空気質が基準を満たした場合には、第2の空気循環装置12による空気浄化運転を終了させてもよい。このように、第1空間5の空気質及び第2空間6の空気質をそれぞれ判定し、第1の空気循環装置11による空気浄化運転、及び、第2の空気循環装置12による空気浄化運転が個別に停止されうる。これにより、第1ファン27及び第2ファン31の消費電力が必要以上に増加するのが抑制されうる。
【0097】
[空気浄化方法(第2実施形態)]
これまでの実施形態では、運転調整工程S4において、単に、全ての室2の空気質が基準を満たすまで、第1の空気循環装置11、及び/又は、第2の空気循環装置12を運転させたが、このような態様に限定されない。図6は、本発明の他の実施形態の運転調整工程S4の処理手順を示すフローチャートである。この実施形態の運転調整工程S4では、これまでの実施形態と同様に、図3に示したプログラム部47に含まれる運転調整部47Dが、演算装置41によって実行される。
【0098】
[運転調整工程]
[浄化時間及び消費電力を計算]
この実施形態の運転調整工程S4では、先ず、複数のモード毎に、図1に示した全ての室2の空気質が基準を満たすまでに必要な浄化時間と、第1ファン27及び/又は第2ファン31を浄化時間で運転したときの消費電力とが計算される(工程S43)。
【0099】
本実施形態の工程S43では、先ず、下記の式(1)に基づいて、複数のモード(例えば、第1モード~第4モード)毎に、第1空間5に含まれる全ての室2の空気質が基準を満たすまでに必要な浄化時間が計算される。
【0100】
【数1】
ここで、
V:室内気積(m3
0:初期の室内汚染物質濃度(μg/m3
e:室内汚染物質濃度(μg/m3
Q:換気量(m3/min)
t:経過時間(min)
【0101】
上記の式(1)では、第1空間5に供給される浄化空気Apに室内汚染物質が含まれていないと仮定して、空気質が基準を満たすまでに必要な浄化時間が計算される。
【0102】
上記の式(1)の室内気積Vには、第1空間5に含まれる全ての室2(第1室2a及び第2室2b)の合計容積である第1容積C1が代入される。
【0103】
上記の式(1)の初期の室内汚染物質濃度C0には、工程S43の実施時において、第1空間5に含まれる室2の空気質の測定情報(例えば、粉塵量)の合計値が代入される。各室2の空気質の測定情報は、空気質測定手段14で取得され、図3に示した測定情報入力部46Cに記憶される。
【0104】
上記の式(1)の室内汚染物質濃度Cには、第1空間5に含まれる室2(第1室2a及び第2室2b)の空気質の基準(例えば、粉塵量の基準値)の合計値が代入される。
【0105】
上記の式(1)の換気量Qに、第1ファン27の各モード(第1モード~第4モード)の風量がそれぞれ代入される。これにより、複数のモード毎に、第1空間5に含まれる全ての室2の空気質が基準を満たすまでに必要な浄化時間として、上記の式(1)の経過時間tが計算されうる。
【0106】
図7は、室内汚染物質濃度Cと経過時間tとの関係を示すグラフである。このグラフは、上記の式(1)の室内汚染物質濃度C及び経過時間tを変数とすることで求められる。このグラフから、空気質の基準T1に基づいて、複数のモード毎に、第1空間5に含まれる全ての室2の空気質が基準を満たすまでに必要な浄化時間が求められてもよい。図7では、第1モードの浄化時間t1、第2モードの浄化時間t2、及び、第3モードの浄化時間t3が代表して示されている。複数のモード毎の浄化時間は、図3に示した浄化時間入力部46Dに記憶される。
【0107】
次に、本実施形態の工程S43では、図1に示した第1空間5に含まれる全ての室2の空気質が基準を満たすまでに必要な浄化時間(例えば、図7に示したt1、t2及びt3)で、第1ファン27を運転させたときの消費電力が、複数のモード毎に計算される。本実施形態では、複数のモードごとに、第1ファン27の1時間あたりの消費電力(Wh)に、浄化時間(上記の式(1)の経過時間t(min)を時間(h)に変換した値)が乗じられる。これにより、複数のモードごとに、第1空間5に含まれる全ての室2の空気質が基準を満たすまでに必要な第1ファン27の消費電力が計算されうる。複数のモードの消費電力は、図3に示した消費電力入力部46Eに記憶される。
【0108】
次に、本実施形態の工程S43では、複数のモード毎に、第2空間6に含まれる全ての室2(第3室2c及び第4室2d)の空気質が基準を満たすまでに必要な浄化時間と、第2ファン31を浄化時間で運転したときの消費電力とが計算される。これらの浄化時間及び消費電力は、上述の第1空間5(第1ファン27)と同様の手順で実施される。複数のモード毎の浄化時間は、図3に示した浄化時間入力部46Dに記憶され、複数のモードの消費電力は、図3に示した消費電力入力部46Eに記憶される。
【0109】
[浄化時間及び消費電力に基づいて運転を制御]
次に、この実施形態の運転調整工程S4では、複数のモードのうち、浄化時間が予め定められた時間以内であり、かつ、消費電力が最小となるモードに基づいて、第1ファン27、及び/又は、第2ファン31の運転が制御される(工程S44)。予め定められた時間は、建物B(各室2)に求められる空気質に応じて適宜設定され、例えば、10~60分(本例では、30分)に設定される。
【0110】
この実施形態の工程S44では、先ず、第1ファン27の運転が制御される。この実施形態では、複数のモード毎に計算された第1空間5の空気質が基準を満たすまでに必要な浄化時間と、第1ファン27を浄化時間で運転させたときの消費電力とに基づいて、第1ファンの運転が制御される。図8は、複数のモード毎に、第1空間5の空気質が基準を満たすまでに必要な浄化時間と、第1ファン27を浄化時間で運転させたときの消費電力とを示す図である。
【0111】
図8において、複数のモード(第1モード~第4モード)のうち、浄化時間が予め定められた時間(30分)以内となるモードは、第1モード及び第2モードである。これらの第1モード及び第2モードのうち、消費電力が最小となるモードは、第2モードである。この場合、第1ファン27は、第2モードの風量に基づいて運転される。
【0112】
次に、この実施形態の工程S44では、第2ファン31の運転が制御される。この実施形態では、第1ファン27の運転の制御と同様に、複数のモード毎に計算された第2空間6の空気質が基準を満たすまでに必要な浄化時間と、第2ファン31を浄化時間で運転させたときの消費電力とに基づいて、第2ファンの運転が制御される。
【0113】
このように、この実施形態では、複数のモードのうち、浄化時間が予め定められた時間以内であり、かつ、消費電力が最小となるモードに基づいて、第1ファン27及び第2ファン31の運転が制御される。これにより、予め定められた時間内に、全ての室の空気質が基準を満たしつつ、第1ファン27及び第2ファン31の消費電力を抑えることができる。さらに、第1空間5及び第2空間6の空気質に応じて、第1ファン27及び第2ファン31が独立して制御されるため、消費電力を最小限に抑えることが可能となる。
【0114】
図6に示されるように、この実施形態の運転調整工程S4では、これまでの実施形態の運転調整工程S4と同様に、全ての室2の空気質の測定情報を受け取る工程S41、及び、全ての室2の空気質が基準を満たすか否かを判断する工程S42が実施される。そして、工程S42において、全ての室2の空気質が基準を満たすと判断されるまで、工程S41及び工程S42が再度実施される。これにより、この実施形態の運転調整工程S4では、第1ファン27及び第2ファン31の消費電力を抑えつつ、全ての室2の空気質を良好な状態にすることが可能となる。
【0115】
[空気浄化方法(第3実施形態)]
これまでの実施形態では、図4に示した風量調整工程S1において、図1に示した第1空間5の第1容積C1と、第2空間6の第2容積C2とに基づいて、第1ファン27の風量W1及び第2ファン31の風量W2が制御されたが、このような態様に限定されない。
【0116】
上述したように、複数の第1分岐ダクト28bの合計数が、第1空間5の第1容積C1の大きさに応じて設定され、複数の第2分岐ダクト32bの合計数が、第2空間6の第2容積C2の大きさに応じて設定される。さらに、第1容積C1及び第2容積C2は、第1空間5の換気回数及び第2空間6の換気回数と相関がある。したがって、複数の第1分岐ダクト28bの合計数及び複数の第2分岐ダクト32bの合計数は、第1空間5の換気回数及び第2空間6の換気回数と相関がある。
【0117】
このような観点より、この実施形態の風量調整工程S1では、複数の第1分岐ダクト28bの合計数と、複数の第2分岐ダクト32bの合計数とに基づいて、第1ファン27の風量W1及び第2ファン31の風量W2が制御される。これにより、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とが略同一とされる。
【0118】
風量調整工程S1では、複数の第1分岐ダクト28bの合計数が複数の第2分岐ダクト32bの合計数よりも大きい場合、第1ファン27の風量W1が、第2ファン31の風量W2よりも大きくされる。これにより、第2空間6に比べて、容積が相対的に大きい第1空間5に、多くの浄化空気Apが供給されるため、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とを略同一にすることが可能となる。
【0119】
また、上述の全館空調運転のように、第1ファン27及び第2ファン31の風量が同一であり、かつ、複数の第1分岐ダクトの合計数が複数の第2分岐ダクト32bの合計数よりも大きい場合には、各第1分岐ダクト28bからの浄化空気Apの供給量が、各第2分岐ダクト32bからの浄化空気Apの供給量に比べて小さくなる傾向がある。一方、この実施形態の風量調整工程S1では、第1ファン27の風量W1が、第2ファン31の風量W2よりも大きくされることで、各第1分岐ダクト28bからの浄化空気Apの供給量と、各第2分岐ダクト32bからの浄化空気Apの供給量とを均一に近づけることができる。これにより、第1空間5及び第2空間6を、効率よく浄化することが可能となる。
【0120】
第1ファン27及び第2ファン31の各風量は、第1ファン27の風量W1が、第2ファン31の風量W2よりも大であれば、適宜設定されうる。これまでの実施形態と同様に、風量が最も大きい第1モードに基づいて、第1ファン27が運転され、第1モードよりも風量が小さい第2モードに基づいて、第2ファン31が運転されてもよい。これにより、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とを略同一にしつつ、第1空間5及び第2空間6の空気を迅速に浄化することが可能となる。
【0121】
一方、風量調整工程S1では、複数の第2分岐ダクト32bの合計数が複数の第1分岐ダクト28bの合計数よりも大きい場合、第2ファン31の風量W2が、第1ファン27の風量W1よりも大きくされる。これにより、第1空間5に比べて、容積が相対的に大きい第2空間6に、多くの浄化空気Apが供給されるため、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とを略同一にすることが可能となる。
【0122】
第1ファン27及び第2ファン31の各風量は、第2ファン31の風量W2が、第1ファン27の風量W1よりも大であれば、適宜設定されうる。これまでの実施形態と同様に、第1モードに基づいて第2ファン31が運転され、第2モードに基づいて第1ファン27が運転されてもよい。これにより、第1空間5の換気回数と、第2空間6の換気回数とを略同一にしつつ、第1空間5及び第2空間6の空気を迅速に浄化することが可能となる。また、第2ファン31の風量W2が、第1ファン27の風量W1よりも大きくされることで、各第1分岐ダクト28bからそれぞれ供給される浄化空気Apと、各第2分岐ダクト32bからそれぞれ供給される浄化空気Apとを均一に近づけることが可能となる。
【0123】
このように、この実施形態の空気浄化方法(風量調整部47A)では、これまでの実施形態と同様に、第1空間5の換気回数と第2空間6の換気回数とが略同一となるように、第1ファン27の風量W1及び第2ファン31の風量W2が調整される。これにより、第1空間5の第1容積C1と第2空間6の第2容積C2とが互いに異なる場合であっても、第1空間5の空気及び第2空間6の空気が、浄化空気Apで略均一に入れ替えられる(換気される)。したがって、第1空間5の空気及び第2空間6の空気が、略均一に浄化されうる。
【0124】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0125】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0126】
[本発明1]
複数の室を有する建物内の空気を浄化するためのシステムであって、
空気を浄化するためのフィルターと、
第1の空気循環装置と、
第2の空気循環装置と、
制御装置とを含み、
前記第1の空気循環装置は、前記フィルターを経由した浄化空気を、複数の室のうちの1又は複数の室からなる第1空間に循環させるための第1ファン及び第1ダクト手段を備えており、
前記第2の空気循環装置は、前記浄化空気を、前記第1空間に含まれる室を除いた1又は複数の室からなる第2空間に循環させるための第2ファン及び第2ダクト手段を備えており、
前記制御装置は、前記第1空間と前記第2空間との換気回数が略同一となるように、前記第1ファンの風量及び前記第2ファンの風量を調整するための風量調整部を含む、
空気浄化システム。
[本発明2]
前記風量調整部は、前記第1空間に含まれる室の合計容積である第1容積と、前記第2空間に含まれる室の合計容積である第2容積とに基づいて、前記第1ファンの風量及び前記第2ファンの風量を制御する、本発明1に記載の空気浄化システム。
[本発明3]
前記風量調整部は、前記第1容積が前記第2容積よりも大きい場合、前記第1ファンの風量を前記第2ファンの風量よりも大きくし、
前記第2容積が前記第1容積よりも大きい場合、前記第2ファンの風量を前記第1ファンの風量よりも大きくする、本発明2に記載の空気浄化システム。
[本発明4]
前記第1ダクト手段は、前記浄化空気を分岐させて前記第1空間に供給する複数の第1分岐ダクトを含み、
前記複数の第1分岐ダクトの合計数は、前記第1空間に含まれる室の合計容積である第1容積の大きさに応じて設定され、
前記第2ダクト手段は、前記浄化空気を分岐させて前記第2空間に供給する複数の第2分岐ダクトを含み、
前記複数の第2分岐ダクトの合計数は、前記第2空間に含まれる室の合計容積である第2容積の大きさに応じて設定され、
前記風量調整部は、前記複数の第1分岐ダクトの合計数と、前記複数の第2分岐ダクトの合計数とに基づいて、前記第1ファンの風量及び前記第2ファンの風量を制御する、本発明1に記載の空気浄化システム。
[本発明5]
前記風量調整部は、前記複数の第1分岐ダクトの合計数が前記複数の第2分岐ダクトの合計数よりも大きい場合、前記第1ファンの風量を前記第2ファンの風量よりも大きくし、
前記複数の第2分岐ダクトの合計数が前記複数の第1分岐ダクトの合計数よりも大きい場合、前記第2ファンの風量を前記第1ファンの風量よりも大きくする、本発明4に記載の空気浄化システム。
[本発明6]
前記第1空間は、複数の室を含み、
前記第1ダクト手段は、前記浄化空気を分岐させて、前記第1空間に含まれる複数の室に供給する複数の第1分岐ダクトを含み、
前記各第1分岐ダクトは、前記浄化空気の供給量を調節する第1ダンパーをそれぞれ具え、
前記制御装置は、前記第1空間に含まれる複数の室のうち、容積が相対的に大きい室への前記浄化空気の供給量が大きくなるように、前記第1ダンパーを制御するための第1ダンパー調整部を含む、本発明1ないし5のいずれかに記載の空気浄化システム。
[本発明7]
前記第2空間は、複数の室を含み、
前記第2ダクト手段は、前記浄化空気を分岐させて、前記第2空間に含まれる複数の室に供給する複数の第2分岐ダクトを含み、
前記各第2分岐ダクトは、前記浄化空気の供給量を調節する第2ダンパーをそれぞれ具え、
前記制御装置は、前記第2空間に含まれる複数の室のうち、容積が相対的に大きい室への前記浄化空気の供給量が大きくなるように、前記第2ダンパーを制御するための第2ダンパー調整部を含む、本発明1ないし6のいずれかに記載の空気浄化システム。
[本発明8]
前記複数の室の空気質を測定するための空気質測定手段をさらに具え、
前記制御装置は、前記空気質測定手段の測定情報を受け取って、全ての室の空気質が、予め定められた基準を満たすまで、前記第1の空気循環装置、及び/又は、前記第2の空気循環装置を運転させる運転調整部を含む、本発明1ないし7のいずれかに記載の空気浄化システム。
[本発明9]
前記第1ファン、及び/又は、前記第2ファンは、風量が互いに異なる複数のモードに基づいて運転可能であり、
前記運転調整部は、前記複数のモード毎に、全ての室の空気質が前記基準を満たすまでに必要な浄化時間と、前記第1ファン、及び/又は、前記第2ファンを前記浄化時間で運転したときの消費電力とを計算し、
前記複数のモードのうち、前記浄化時間が予め定められた時間以内であり、かつ、前記消費電力が最小となるモードに基づいて、前記第1ファン、及び/又は、前記第2ファンの運転を制御する、本発明8に記載の空気浄化システム。
[本発明10]
複数の室を有する建物内の空気を、空気浄化システムを用いて浄化するための方法であって、
前記空気浄化システムは、空気を浄化するためのフィルターと、第1の空気循環装置と、第2の空気循環装置とを含み、
前記第1の空気循環装置は、前記フィルターを経由した浄化空気を、複数の室のうちの1又は複数の室からなる第1空間に循環させるための第1ファン及び第1ダクト手段を備えており、
前記第2の空気循環装置は、前記浄化空気を、前記第1空間に含まれる室を除いた1又は複数の室からなる第2空間に循環させるための第2ファン及び第2ダクト手段を備えており、
前記方法は、前記第1空間と前記第2空間との換気回数が略同一となるように、前記第1ファンの風量及び前記第2ファンの風量を調整するための風量調整工程を含む、
空気浄化方法。
【符号の説明】
【0127】
1 空気浄化システム
2 室
5 第1空間
6 第2空間
10 フィルター
11 第1の空気循環装置
12 第2の空気循環装置
13 制御装置
27 第1ファン
28 第1ダクト手段
31 第2ファン
32 第2ダクト手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8