(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143227
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】車両制御装置及び車両制御システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241003BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241003BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G06T7/00 650Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055792
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣島 靖久
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5L096BA04
5L096GA08
(57)【要約】
【課題】同じ経路を周回走行する自動運転車両における車両制御装置の演算負荷を抑制することができる車両用制御装置を提供する。
【解決手段】同一の走行地点における、基準となる第1動画像情報と、予め定められた経路を周回走行する車両に搭載された撮像装置が車両の周辺を撮像した第2動画像情報と、の差分を比較する比較部と、差分に基づいて、車両の周辺に存在する物標を抽出する抽出部と、物標が回避対象であるかを判断する判断部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の走行地点における、基準となる第1動画像情報と、予め定められた経路を周回走行する車両に搭載された撮像装置が前記車両の周辺を撮像した動画像を含む第2動画像情報と、の差分を比較する比較部と、
前記差分に基づいて、前記車両の周辺に存在する物標を抽出する抽出部と、
前記物標が回避対象であるかを判断する判断部と、
を備える、車両制御装置。
【請求項2】
前記第1動画像情報は、過去における、前記車両が前記経路を周回走行した際に、前記撮像装置が撮像した動画像を含む、動画像情報であり、
前記第2動画像情報は、現在における、前記車両が前記経路を周回走行した際に、前記撮像装置が撮像した動画像を含む、動画像情報である、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記比較部が比較した差分から、抽出された物標を差分情報として生成する生成部と、を備え、
前記判断部は、前記差分情報が回避対象であるかを判断する、
請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記判断部が、前記物標が回避対象ではないと判断した場合、前記第2動画像情報を前記第1動画像情報として記憶する記憶部と、
を備える、請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項5】
予め定められた経路を周回走行する車両に搭載された撮像装置と、
同一の走行地点における、基準となる第1動画像情報と、前記撮像装置が前記車両の周辺を撮像した第2動画像情報と、の差分を比較する比較部と、
前記差分に基づいて、前記車両の周辺に存在する物標を抽出する抽出部と、
前記物標が回避対象であるかを判断する判断部と、
を備える、車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置及び車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、同じ経路を周回走行する自動運転車両が存在する。自動運転車両は、対向車、路駐車、歩行者等、回避制御すべき対象物を的確に検出する必要がある。
【0003】
回避対象物を検出センサとして、例えば、車載に搭載されたカメラを用いる場合、カメラが撮像した撮像画像に含まれる全ての物標を回避対象物であるかを判定している。この場合、撮像全範囲を画像検索する必要があり、周辺認識コンピュータに演算能力は高いが高価なプロセッサを搭載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同じ走行経路を周回走行する場合においても、例えば、随時撮像全範囲を画像検索する等、車両制御装置の演算負荷をかける懸念が生じ得る。また、複雑な交通環境では演算負荷が高くなりすぎて、検出遅れが生じてしまう懸念が生じ得るため、更なる改善する余地がある。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、同じ経路を周回走行する自動運転車両における車両制御装置の演算負荷を抑制することができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両制御装置は、同一の走行地点における、基準となる第1動画像情報と、予め定められた経路を周回走行する車両に搭載された撮像装置が車両の周辺を撮像した第2動画像情報と、の差分を比較する比較部と、差分に基づいて、車両の周辺に存在する物標を抽出する抽出部と、物標が回避対象であるかを判断する判断部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、車両制御装置は、例えば、撮像装置が撮像した動画像のうち、回避対象ではない物標は取り除いたうえで、取り除かれず残された物標に対して、回避対象を特定することになる。その結果、車両制御装置は、車両制御装置の演算処理は少なくなり、演算負荷を抑制することができる。そのため、車両制御装置は、従来よりも、演算処理能力が低い安価なプロセッサでシステムを構築することができる。
【0009】
また、第1動画像情報は、過去における、車両が経路を周回走行した際に、撮像装置が撮像した動画像情報であり、第2動画像情報は、現在における、車両が経路を周回走行した際に、撮像装置が撮像した動画像情報であっても良い。これにより、例えば、車両制御装置は、直前を含む過去と、現在の動画像情報と、を比較することで、回避対象ではない物標は取り除くことができる。
【0010】
さらに、車両制御装置は、比較部が比較した差分から、抽出された物標を差分情報として生成する生成部と、を備え、判断部は、差分画像を回避対象であるかを判断しても良い。これにより、車両制御装置は、差分情報に対して、回避対象であるかを判断するため、車両制御装置の演算処理は少なくなり、演算負荷を抑制することができる。
【0011】
また、車両制御装置は、判断部が、物標が回避対象ではないと判断した場合、第2動画像情報を第1動画像情報として記憶する記憶部と、を備えても良い。これにより、例えば、車両制御装置は、予め定められた経路の周辺に変化が発生した状況においても、基準となる第1動画情報を随時記録し、更新することで、物標を抽出するスピードを向上することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、同じ経路を周回走行する自動運転車両における車両制御装置の演算負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両の電気的構成を含む車両制御システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両の運転制御ECUの機能的なブロック構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る車両に搭載されたカメラが撮像した動画像の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、基準となる第1動画像情報の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、抽出する物標の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る車両の運転制御ECUの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの及びいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更及び組み合わせを行うことができる。
【0015】
(車両の電気的構成)
図1は、実施形態に係る車両の電気的構成を含む車両制御システムの一例を示す図である。
図1を参照しながら、本実施形態に係る車両1の電気的構成を含む車両制御システムについて説明する。
【0016】
図1に示すように、車両1は、各部を制御するための複数の複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)を備えている。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラユニット)を備えており、当該マイコンは、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリと、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリを内蔵している。
【0017】
具体的には、車両1は、
図1に示すように、駆動ECU11、操舵ECU12、ブレーキECU13、表示ECU14、ボディECU15、運転制御ECU31及びカメラECU32を備えている。各ECUは、バスライン19を介して、互いに通信可能となるように接続されている。バスライン19は、例えば、イーサネット(登録商標)やGVIF(Gigabit Video InterFace)(登録商標)等の通信プロトコルに基づく通信を実現する。なお、イーサネット(登録商標)やGVIF(登録商標)に限定されるものではなく、その他の通信プロトコルが適用されてもよい。
【0018】
また、車両1は、駆動装置21、舵角センサ221、操舵装置222、制動装置23、機能スイッチ24、ヘッドランプ25、測位信号受信部35、車速センサ36、表示装置37及びスピーカ38を備えている。さらに、車両1は、運転支援機能を実現するために用いられるセンサとして、第1単眼カメラ421、第2単眼カメラ422、第3単眼カメラ423及び第4単眼カメラ424を備えている。運転支援機能は、例えば、予め定められた経路を周回走行するための機能である。なお、運転支援機能は、これに限定されない。
【0019】
駆動ECU11は、入力されるアクセルペダル信号等に基づいて、車両1の駆動装置21を制御するECUである。駆動装置21は、駆動ECU11に接続されており、駆動源として、エンジンまたはモータのうち少なくともいずれかを備えている。また、駆動装置21は、例えば、エンジンのスロットル開度に対して電子制御を行うことにより、吸入空気量を調整してエンジンの出力を制御する電子スロットルを含む。また、駆動装置21は、必要に応じて、駆動源からの駆動力を変速して出力する変速機を備える。
【0020】
操舵ECU12は、舵角センサ221からの検出信号を入力し、車両1の操舵装置222を制御するECUである。舵角センサ221は、操舵ECU12に接続されており、ステアリングホイールの角度を検出するセンサである。操舵装置222は、操舵ECU12に接続されており、電動モータのトルクをステアリング機構に伝達する電動パワーステアリング装置である。ステアリング機構は、例えば、ラックアンドピニオン式のステアリングギヤを含み、電動モータのトルクによりラック軸が車幅方向に移動すると、当該ラック軸の移動に伴って左右の操向輪が左右に転舵するように構成されている。
【0021】
ブレーキECU13は、車両1の制動装置23を制御するECUである。制動装置23は、ブレーキECU13に接続されており、油圧式または電動式の制動装置である。例えば、制動装置23が油圧式である場合、制動装置23は、ブレーキアクチュエータを備え、当該ブレーキアクチュエータの機能により各車輪に設けられたブレーキのホイールシリンダに油圧を分配し、その油圧により各ブレーキから駆動輪を含む車輪に制動力を付与する。また、ブレーキECU13は、
図1に示すように、車速センサ36が接続されている。
【0022】
表示ECU14は、車両1のメータパネルの各部を制御するECUである。メータパネルは、車速及びエンジン回転数を表示する計器類と、各種の情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示器と、を含む。また、表示ECU14は、例えば、各種の運転支援機能を有効または無効にするための機能スイッチ24が接続されている。なお、運転支援機能によっては、その性質上、機能スイッチ24による切り替えによらずに、常時有効とされる機能があってもよい。また、表示ECU14は、
図1に示すように、表示装置37及びスピーカ38が接続されている。
【0023】
ボディECU15は、車両1のイグニッションスイッチがオフの状態でも動作の必要がある左右の各ウィンカ及びドアロックモータ等を制御するECUである。
図1においては、ヘッドランプ25が、ボディECU15に接続されており、ボディECU15の指令に従って、点灯動作を行う。
【0024】
運転制御ECU31は、運転支援機能の制御の中枢となるECUであり、車両制御装置の一例である。運転制御ECU31は、カメラECU32により集約された各種センサの検出信号に基づく物標の検知結果を照合し、各種の運転支援機能を実行する。また、運転制御ECU31は、メモリ411を備えている。また、運転制御ECU31は、
図1に示すように、測位信号受信部35が接続されている。
【0025】
メモリ411は、運転制御ECU31で用いる高精度地図データ等を記憶しているフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。高精度地図は、高精度三次元地図であり、高精度地図データには、例えば、道路の幅及び勾配等の情報や、区画線、路肩の線、交差点、踏切、停止線、横断歩道、標識等の地物の情報が含まれる。
【0026】
カメラECU32は、第1単眼カメラ421、第2単眼カメラ422、第3単眼カメラ423及び第4単眼カメラ424が接続され、各カメラ撮像された画像信号を受信して処理することにより画像データを生成するECUである。カメラECU32は、各カメラから受信した画像信号について処理を行った動画像データを運転制御ECU31に送信する。
【0027】
第1単眼カメラ421、第2単眼カメラ422、第3単眼カメラ423及び第4単眼カメラ424は、各カメラの撮像範囲において、車両1の周辺に存在する、例えば、前方の車両、二輪車、歩行者及び建物等の物標を認識する撮像装置である。第1単眼カメラ421、第2単眼カメラ422、第3単眼カメラ423及び第4単眼カメラ424は、車両1の前方、後方、右側方及び左側方の撮像範囲の静止画を所定のフレームレートで連続して撮像可能なカメラセンサである。
【0028】
以下、第1単眼カメラ421、第2単眼カメラ422、第3単眼カメラ423及び第4単眼カメラ424を総称して、カメラともいう。なお、
図1に示したカメラセンサの個数、種類及び配置位置についてはこれに限定されるものではない。例えば、撮像装置は、ステレオカメラであっても良い。
【0029】
測位信号受信部35は、GNSS(Global Navigation Satellite System)に基づき、測位衛星から測位信号を受信する受信装置である。測位信号受信部35は、例えば、USB規格の通信ケーブルを介して、運転制御ECU31と通信可能に接続されており、受信した測位信号を運転制御ECU31に出力する。運転制御ECU31は、測位信号受信部35から受信した測位信号に基づいて、車両1が存在する地点を検出する。なお、GNSSの一例として、例えばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等が挙げられる。
【0030】
車速センサ36は、例えば車両1の車輪の付近に設置され、当該車輪の回転速度または回転数を示す車速パルスを生成するセンサである。車速センサ36は、ブレーキECU13と通信可能に接続されており、生成した車速パルスをブレーキECU13に出力する。ブレーキECU13は、車速センサ36から受信した車速パルスをカウントすることによって車両1の車速を求める。
【0031】
表示装置37は、車両1の車室内のダッシュボード等に設置された、物体の認識情報等を表示するLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)、またはOELD(Organic Electro-Luminescent Display:有機ELディスプレイ)等の表示装置である。表示装置37は、表示ECU14と通信可能に接続されている。
【0032】
スピーカ38は、車両1の車室内に設置された、音及び音声を出力する音響装置である。スピーカ38は、表示ECU14と通信可能に接続されている。
【0033】
なお、
図1に示した車両1の電気的構成は一例を示すものであり、
図1に示した構成要素を全て含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。また、
図1に示される各種ECUは、それぞれ独立したハードウェアとなっていることに限られず、いずれかを集約されたECUとして構成されてもよい。例えば、運転制御ECU31とカメラECU32とが集約された1つのECUとして構成され、当該ECUが、運転制御ECU31及びカメラECU32の双方の機能を有するものとしてもよい。
【0034】
(車両の運転制御ECUの機能的なブロック構成)
次に、
図2を用いて、本実施形態に係る車両1の運転制御ECU31の機能的なブロック構成について説明する。
図2は、実施形態に係る車両1の運転制御ECU31の機能的なブロック構成の一例を示す図である。
【0035】
図2に示すように、運転制御ECU31は、記憶部311、位置推定部312、認識部313、周辺情報統合部314、比較部315、抽出部316、生成部317、判断部318及び車両制御部319を備える。
【0036】
記憶部311は、運転支援機能に関する情報を記憶する。また、記憶部311は、予め定められた経路を周回走行する周回走行情報を記憶する。さらに、記憶部311は、予め定められた経路に対応する高精度地図を記憶する。記憶部311は、基準となる第1動画像情報を記憶する。また、記憶部311は、同一の走行地点における、周辺情報統合部314が生成した第2動画像情報を、基準となる第1動画像情報として記憶(更新)する。第1動画像情報及び第2動画像情報に関する説明について、後述する。
【0037】
記憶部311は、
図1に示すメモリ411によって実現される。なお、記憶部311は、外部のHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって実現されてもよい。
【0038】
位置推定部312は、測位信号受信部35から車両1の現在の位置情報を取得する。また、位置推定部312は、高精度地図のデータである高精度地図データ、測位信号受信部35が受信した測位信号に基づく自己位置と、をマッチングさせて、車両1の位置(自己位置)を推定する。
【0039】
認識部313は、カメラECU32から撮像された動画像データを取得する。また、認識部313は、カメラにより撮影された動画像データから、車両1の周囲に存在する他の車両や歩行者等の物標を認識する。以下、動画像データは、動画像ともいう。
【0040】
ここで、認識部313が認識する物標について、
図3を用いて説明する。
図3は、車両1に搭載されたカメラが撮像した動画像の一例を示す模式図である。
図3に示す動画像には、車両1の周辺に存在する物標として、道路の脇に存在する木401、車両1の前方に存在する建物402、車両1の前方を走行する前方車両601、車両1の前方に存在する歩行者602及び車両1に対して対向して走行する対向車両603がある。
【0041】
例えば、認識部313は、
図3に示す動画像内に存在する物標として、木401、建物402、前方車両601、歩行者602及び対向車両603を認識する。
【0042】
図2に戻る。周辺情報統合部314は、位置推定部312による自己位置の推定結果と、認識部313による物標の認識結果と、高精度地図データが入力される。周辺情報統合部314は、高精度地図上に車両1や車両1以外の車両及び歩行者等の物標を配置した周辺情報統合地図データを作成する。そして、周辺情報統合部43は、地図情報や物体の認識情報を車両1の車内に配設されたディスプレイなどのHMI(Human Machine Interface:ヒューマンマシンインターフェース)デバイス等の表示装置37に出力する。
【0043】
また、周辺情報統合部314は、位置推定部312が取得した現在の位置情報と、認識部313が取得した動画像と、を統合し、現在における、車両1が経路を周回走行した際に、カメラが撮像した動画像を含む、第2動画像情報を生成する。なお、
図3に示す動画像は、周辺情報統合部314が生成した、第2動画像情報の一例でもある。
【0044】
比較部315は、車両1が直前の周回走行において、車両1の周辺に存在する物標を回避する回避走行をしていない場合、同一の走行地点における、基準となる第1動画像情報と、予め定められた経路を周回走行する車両1に搭載されたカメラが車両1の周辺を撮像した動画像を含む第2動画像情報と、の差分を比較する。
【0045】
ここで、基準となる第1動画像情報について、
図4を用いて説明する。
図4は、基準となる第1動画像情報の一例を示す模式図である。
図4に示す基準となる第1動画像情報には、道路の脇に存在する木401、車両1の前方に存在する建物402がある。基準となる第1動画像情報は、予め定められた経路のうち、車両1が周回走行する際に、車両1の周辺に存在する物標を含む動画像情報である。
【0046】
また、基準となる第1動画像情報は、過去における、車両1が経路を周回走行した際に、カメラが撮像した動画像情報である。比較部315は、過去における、基準となる第1動画像情報(
図4参照)と、周辺情報統合部314が生成した、現在における、第2動画像情報(
図3参照)と、の差分を比較する。
【0047】
図2に戻る。抽出部316は、比較部315が比較した差分に基づいて、車両1の周辺に存在する物標を抽出する。ここで、抽出部316が抽出する物標について、
図5を用いて説明する。
図5は、抽出する物標の一例を示す模式図である。
図5に示す物標は、前方車両601、歩行者602及び対向車両603がある。
【0048】
例えば、
図5に示すように、抽出部316は、比較部315が比較した、過去における、基準となる第1動画像情報(
図4参照)と、現在における、第2動画像情報(
図3参照)と、の差分に基づいて、車両1の周辺に存在する物標として、前方車両601、歩行者602及び対向車両603を抽出する。
【0049】
図2に戻る。生成部317は、抽出部316が抽出した物標を差分情報として生成する。例えば、生成部317は、
図5に示すように、抽出部316が抽出した物標である、前方車両601、歩行者602及び対向車両603を差分情報として生成する。
【0050】
図2に戻る。判断部318は、直前の周回走行において、車両1は物標を回避する回避走行したかを判断する。直前の周回走行とは、現在を基点として、過去における周回走行を意味している。また、判断部318は、物標が回避対象であるかを判断する。例えば、判断部318は、抽出部316が抽出した物標が回避対象であるかを判断する。また、例えば、判断部318は、生成部317が生成した差分情報が回避対象であるかを判断する。
【0051】
車両制御部319は、運転支援機能を実行して、車両1が予め定められた経路を走行するように、駆動ECU11、操舵ECU12及びブレーキECU13等に指令を出力し、車両1の走行を制御する。また、車両制御部319は、判断部318が物標、或いは、差分情報が回避対象であると判定した場合、運転支援機能を実行して、物標を回避走行するように、駆動ECU11、操舵ECU12及びブレーキECU13等に指令を出力し、車両1の走行を制御する。
【0052】
(車両の運転制御ECUの動作の流れ)
図6は、実施形態に係る車両1の運転制御ECU31の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図6を参照しながら、本実施形態に係る車両1の運転制御ECU31の動作の流れについて説明する。また、本処理は、運転制御ECU31は、予め定められた経路を周回走行し、基準となる第1動画像情報を記憶(取得)している状態から開始するものとする。
【0053】
位置推定部312は、測位信号受信部35から車両1の現在の位置情報を取得する(ステップS71)。続いて、認識部313は、カメラECU32から撮像された動画像データを取得する(ステップS72)。続いて、周辺情報統合部314は、位置推定部312が取得した現在の位置情報と、認識部313が取得した動画像と、を統合し、第2動画像情報を生成する(ステップS73)。
【0054】
続いて、判断部318は、直前の周回走行において、車両1は物標を回避する回避走行したかを判断する(ステップS74)。ここで、判断部318は、直前の周回走行において、車両1は物標を回避する回避走行したと判断する(ステップS74:Yes)と、ステップS77へ進む。他方で、判断部318は、直前の周回走行において、車両1は物標を回避する回避走行していないと判断する(ステップS74:No)と、ステップS75へ進む。
【0055】
ステップS75において、比較部315は、同一の走行地点における、基準となる第1動画像情報と、周辺情報統合部314が生成した第2動画像情報と、の差分を比較する(ステップS75)。続いて、生成部317は、抽出部316により、比較部315が比較した差分から、抽出された物標を差分情報として生成する(ステップS76)。
【0056】
ステップS77において、抽出部316は、第2動画像情報から、車両1の周辺に存在する物標を抽出する(ステップS77)。ステップS78において、判断部318は、車両1の周辺に存在する物標が回避対象であるかを判断する(ステップS78)。ここで、判断部318は、車両1の周辺に存在する物標が回避対象ではないと判断する(ステップS78:No)、ステップS80へ進む。他方で、判断部318は、車両1の周辺に存在する物標が回避対象であると判断する(ステップS78:Yes)、ステップS79へ進む。
【0057】
ステップS79において、車両制御部319は、運転支援機能を実行して、物標を回避走行するように、駆動ECU11、操舵ECU12及びブレーキECU13等に指令を出力し、車両1の走行を制御する。(ステップS79)。ステップS80において、車両制御部319は、運転支援機能を実行して、車両1が予め定められた経路をそのまま走行するように、駆動ECU11、操舵ECU12及びブレーキECU13等に指令を出力し、車両1の走行を制御する(ステップS80)。
【0058】
続いて、記憶部311は、同一の走行地点における、周辺情報統合部314が生成した第2動画像情報を、基準となる第1動画像情報として記憶(更新)する(ステップS81)。ステップS79或いはステップS81が終了すると、運転制御ECU31は、ステップS71へ戻り、車両1が予め定められた経路を走行している間、処理は継続される。
【0059】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態に係る車両1の運転制御ECU31では、同一の走行地点における、基準となる第1動画像情報と、予め定められた経路を周回走行する車両1に搭載された撮像装置が車両1の周辺を撮像した動画像を含む第2動画像情報と、の差分を比較し、差分に基づいて、車両1の周辺に存在する物標を抽出し、物標が回避対象であるかを判断する。
【0060】
これにより、運転制御ECU31は、撮像装置が撮像した動画像のうち、回避対象ではない物標は取り除いたうえで、取り除かれず残された物標に対して、回避対象を特定することになる。その結果、運転制御ECU31は、運転制御ECU31の演算処理は少なくなり、演算負荷を抑制することができる。そのため、運転制御ECU31は、従来よりも、演算処理能力が低い安価なプロセッサでシステムを構築することができる。
【0061】
また、第1動画像情報は、過去における、車両1が経路を周回走行した際に、撮像装置が撮像した動画像を含む、動画像情報であり、第2動画像情報は、現在における、車両1が経路を周回走行した際に、撮像装置が撮像した動画像を含む、動画像情報である。これにより、例えば、運転制御ECU31は、直前を含む過去と、現在の動画像情報と、を比較することで、回避対象ではない物標は取り除くことができる。
【0062】
さらに、運転制御ECU31は、比較した差分から、抽出された物標を差分情報として生成し、差分情報が回避対象であるかを判断する。これにより、運転制御ECU31は、差分情報に対して、回避対象であるかを判断するため、運転制御ECU31の演算処理は少なくなり、演算負荷を抑制することができる。
【0063】
また、運転制御ECU31は、物標が回避対象ではないと判断した場合、第2動画像情報を第1動画像情報として記憶(更新)する。これにより、例えば、運転制御ECU31は、予め定められた経路の周辺に変化が発生した状況においても、基準となる第1動画情報を随時記録し、更新することで、物標を抽出するスピードを向上することができる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 車両
31 運転制御ECU
32 カメラECU
311 記憶部
312 位置推定部
313 認識部
314 周辺情報統合部
315 比較部
316 抽出部
317 生成部
318 判断部
319 車両制御部
411 メモリ
421 第1単眼カメラ
422 第2単眼カメラ
423 第3単眼カメラ
424 第4単眼カメラ