(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014323
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240125BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240125BHJP
G03G 21/20 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G21/00 370
G03G21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117055
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 哲哉
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033BA25
2H033BA27
2H033BA30
2H033BB18
2H033BB28
2H033BE00
2H033CA04
2H033CA17
2H033CA27
2H033CA44
2H270LA25
2H270LA72
2H270LA81
2H270LB01
2H270LD14
2H270LD15
2H270MA35
2H270MB46
2H270MH15
2H270PA07
2H270ZC04
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】幅の狭い記録用紙に続いてより幅の広い記録用紙の定着を行うと、端部においてホットオフセットやコールドオフセットが発生する場合がった。この場合、オフセットを解消するための時間を設ける必要があり、印刷効率の低下を招いていた。
【解決手段】定着ベルト51と、B5及びA4の記録用紙3の通過領域内に配置される中央抵抗体52aと、A4の記録用紙3aが、通過する領域と通過しない領域とが混在する領域に配置される端部抵抗体52bとを有する定着部16と、中央抵抗体52aの領域の温度を検知する温度センサ61と、印字率判断部162と幅狭/幅広切り替え判断部161とを備えてヒータ52の温度を制御する温度制御部(160,67,23)とを有し、B5の後にA4の記録用紙を印刷するとき、B5の記録用紙3bの定着中に、端部抵抗体52bに供給する電力の比率を変える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイズの異なる記録媒体を印刷可能な画像形成装置において、
回転部材と、該回転部材の長手方向において、第1の記録媒体及び該第1の記録媒体より幅広の第2の記録媒体の通過領域内に配置されるメイン加熱体と、前記第2の記録媒体が、通過する領域と通過しない領域とが混在する領域に配置されるサブ加熱体と、前記回転部材の外周面と接触する加圧部材とを有し、前記回転部材と前記加圧部材との間に形成されるニップ部で、トナー像が転写された前記第1の記録媒体又は前記第2の記録媒体を挟持して通紙し、前記トナー像を加熱定着する定着部と、
前記回転部材の、前記メイン加熱体に対向する領域の温度を検知する温度検知手段と、
前記トナー像の印字率を求める印字率判断部と、前記長手方向において、印刷する記録媒体の幅を判断する幅狭/幅広判断部とを備え、前記温度検知手段が検知する温度に基づいて、前記メイン加熱体及び前記サブ加熱体に供給する電力のオン、オフを制御する温度制御部と
を有し、
前記温度制御部は、前記第1の記録媒体の後に前記第2の記録媒体を印刷するとき、前記第2の記録媒体の定着条件を満たすように、前記第1の記録媒体の定着中に、前記メイン加熱体に供給する電力に対する前記サブ加熱体に供給する電力の比率を変えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記メイン加熱体は、前記長手方向において、中央部に配置される中央抵抗体であり、前記サブ加熱体は、前記中央抵抗体の両端部に隣接して配置される一対の端部抵抗体であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記比率をra、前記中央抵抗体に対するオンデューティをDm[%]、印刷する記録媒体のサイズに基づいて設定された用紙サイズ係数をα(1≧α)、補正係数をβ[%]としたとき、前記比率raを次式
ra=(Dm×α+β)/Dm
で求め、前記補正係数βが、前記第1の記録媒体の定着中に変わることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補正係数βは、定着する前記第1の記録媒体の枚数が増加するのに応じて段階的に減少することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補正係数βは、前記第1の記録媒体に対する印刷データの各データ領域の印字率によって変化し、前記印字率が増加するのに応じて段階的に減少することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着条件は、前記第2の記録媒体の通過領域に対応する前記回転部材の温度が所定の温度範囲内に収まっていることであることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置における定着装置の構成と温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、加熱ローラ内部に長手方向において、複数に分割されたヒータを備え、印刷画像領域に応じて対応するヒータを温度制御するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-13069号公報(第7頁、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
幅の狭い記録用紙の定着に適した温度制御を続けた後、より幅の広い記録用紙の定着を行うと、幅の狭い記録用紙の非通紙領域における温度上昇や温度低下のため、端部においてホットオフセットやコールドオフセットが発生する場合がった。またこれらを防止するためには、用紙幅の幅狭/幅広切替のタイミングで、これ等のオフセットを解消するための時間を設ける必要があり、印刷効率の低下を招いていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による画像形成装置は、サイズの異なる記録媒体を印刷可能な画像形成装置であって、
回転部材と、該回転部材の長手方向において、第1の記録媒体及び該第1の記録媒体より幅広の第2の記録媒体の通過領域内に配置されるメイン加熱体と、前記第2の記録媒体が、通過する領域と通過しない領域とが混在する領域に配置されるサブ加熱体と、前記回転部材の外周面と接触する加圧部材とを有し、前記回転部材と前記加圧部材との間に形成されるニップ部で、トナー像が転写された前記第1の記録媒体又は前記第2の記録媒体を挟持して通紙し、前記トナー像を加熱定着する定着部と、
前記回転部材の、前記メイン加熱体に対向する領域の温度を検知する温度検知手段と、
前記トナー像の印字率を求める印字率判断部と、前記長手方向において、印刷する記録媒体の幅を判断する幅狭/幅広判断部とを備え、前記温度検知手段が検知する温度に基づいて、前記メイン加熱体及び前記サブ加熱体に供給する電力のオン、オフを制御する温度制御部とを有し、
前記温度制御部は、前記第1の記録媒体の後に前記第2の記録媒体を印刷するとき、前記第2の記録媒体の定着条件を満たすように、前記第1の記録媒体の定着中に、前記メイン加熱体に供給する電力に対する前記サブ加熱体に供給する電力の比率を変えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、幅の狭い記録媒体の定着に適した温度制御を続けた後、より幅の広い記録媒体の印刷を行った場合でも、幅の狭い記録用紙の定着が終了した段階で、通紙領域の定着温度をより幅の広い記録媒体に適した範囲に収めることが可能となり、課題を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に基づく実施の形態1の画像形成装置としてのカラープリンタの要部構成を示す要部構成図である。
【
図2】定着部の内部構成の概略説明図であり、(a)は、定着部を記録用紙の搬入側からみた定着ベルト及び加圧ローラと、これを温度制御する制御回路と、サイズの異なる記録用紙の通過領域の関係を示す説明図であり、(b)は、ヒータの平面図である。
【
図3】定着部を加圧ローラの回転軸方向からみた要部構成図である。
【
図4】カラープリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【
図5】各サイズの記録用紙を定着する時の、定着ベルトの表面の長手方向(Y方向)の温度分布イメージ図である。
【
図6】記録用紙が定着部を通過する際の、温度センサの温度推移を示す説明図であり、(a)は、定着部の長手方向(Y方向)における、ヒータの中央抵抗体及び一対の端部抵抗体の配置領域と、B5の記録用紙及びA4の記録用紙の各通過領域の位置関係を示し、(b)は、各記録用紙が定着部のニップ部を通過する際の温度推移グラブである。
【
図7】トナー濃度の低い記録用紙が定着部を通過する際の、温度センサの温度推移及びオンデューティを示す説明図であり、(a)は、定着部の長手方向(Y方向)における、ヒータの中央抵抗体及び一対の端部抵抗体の配置領域と、B5の記録用紙及びA4の記録用紙の各通過領域の位置関係を示し、(b)は、各記録用紙が定着部のニップ部を通過する際の各領域の温度推移グラブを示し、(c)は、各用紙が定着部のニップ部を通過する際のヒータのオンデューティを示す。
【
図8】トナー濃度の濃い記録用紙が定着部を通過する際の、温度センサの温度推移及びオンデューティを示す説明図であり、(a)は、定着部の長手方向(Y方向)における、ヒータの中央抵抗体及び一対の端部抵抗体の配置領域と、B5の記録用紙及びA4の記録用紙の各通過領域の位置関係を示し、(b)は、各記録用紙が定着部のニップ部を通過する際の各領域の温度推移グラブを示し、(c)は、各用紙が定着部のニップ部を通過する際のヒータの同オンデューティを示す。
【
図9】本発明においてトナー濃度の低い記録用紙が定着部を通過する際の、温度センサの温度推移及びオンデューティを示す説明図であり、(a)は、定着部の長手方向(Y方向)における、ヒータの中央抵抗体及び一対の端部抵抗体の配置領域と、B5の記録用紙及びA4の記録用紙の各通過領域の位置関係を示し、(b)は、各記録用紙が定着部のニップ部を通過する際の各領域の温度推移グラブを示し、(c)は、各用紙が定着部のニップ部を通過する際のヒータのオンデューティを示す。
【
図10】本発明においてトナー濃度の濃い記録用紙が定着部を通過する際の、温度センサの温度推移及びオンデューティを示す説明図であり、(a)は、定着部の長手方向(Y方向)における、ヒータの中央抵抗体及び一対の端部抵抗体の配置領域と、B5の記録用紙及びA4の記録用紙の各通過領域の位置関係を示し、(b)は、各記録用紙が定着部のニップ部を通過する際の各領域の温度推移グラブを示し、(c)は、各用紙が定着部のニップ部を通過する際のヒータのオンデューティを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明に基づく実施の形態1の画像形成装置としてのカラープリンタ1の要部構成を示す要部構成図である。同図に示すように、カラープリンタ1は、本体部1aとトップカバー部1bとから構成される。
【0009】
本体部1a内には、記録用紙格納部4、給紙ローラ5、走行系センサ6、第1レジストローラ7、走行系センサ8、第2レジストローラ9、走行系センサ10、イエロー(Y)用の画像形成ユニット2Y、マゼンタ(M)用の画像形成ユニット2M、シアン(C)用の画像形成ユニット2C、ブラック(K)用の画像形成ユニット2K、定着部16、走行系センサ17、及び排出スタッカ部18が、記録媒体としての記録用紙3の搬送経路の上流側から順に配置されている。
【0010】
尚、ここでの記録媒体としては、後述するように記録用紙格納部4aに収容された幅広サイズ(ここではA4)の記録用紙3aと、増設用の記録用紙格納部4bに収容された幅狭サイズ(ここではB5)の記録用紙3bとがあるが、特に区別する必要がないときには記録用紙3と称す場合がある。また記録用紙格納部4a及び増設用の記録用紙格納部4b、給紙ローラ5a及び給紙ローラ5bについても、特に区別する必要がない場合には、それぞれ記録用紙格納部4及び給紙ローラ5と称す場合がある。
【0011】
各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2K(特に区別する必要のない場合には画像形成ユニット2と称す場合がある)と対向する位置には、転写ローラ15Y,15M,15C,15K(特に区別する必要のない場合には転写ローラ15と称す場合がある)が配置されている。4つの転写ローラ15と画像形成ユニット2が各々対向して配置された搬送経路には、この間において記録用紙3を搬送する搬送ベルト11を有する搬送ベルトユニット28が備えられている。
【0012】
カラープリンタ1によって印刷される記録用紙3は、記録用紙格納部4によって複数枚積層された状態で格納される。給紙ローラ5は、記録用紙格納部4から記録用紙3を1枚ずつ給紙し、第1レジストローラ7及び第2レジストローラ9は、記録用紙格納部4から給紙ローラ5により給紙された記録用紙3を搬送ベルトユニット28まで搬送する。
【0013】
記録用紙3の搬送経路において、第1レジストローラ7及び第2レジストローラ9の直前に設置された走行系センサ6及び走行系センサ8は、記録用紙3が到達したことを検出して各レジストローラの動作タイミングを得、第2レジストローラ9の後段に配置された走行系センサ10は、到達した記録用紙3を検出することにより、この記録用紙3への画像形成のタイミングを検知する。
【0014】
画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、それぞれ対応する感光体ドラム14Y,14M,14C,14K(特に区別する必要のない場合には感光体ドラム14と称す場合がある)、及び現像剤収容部としての各トナーカートリッジ13Y,13M,13C,13K(特に区別する必要のない場合にはトナーカートリッジ13と称す場合がある)を備えている。
【0015】
各感光体ドラム14は、色毎に、静電気力によりドラム表面に印刷データに応じた静電潜像を形成可能な感光体ドラムであり、静電潜像が対応する色のトナーなどの現像剤により現像化され、記録用紙3へ転写するトナー像を保持する。
【0016】
画像形成ユニット2及びトナーカートリッジ13は、それぞれ交換部品として交換が必要なため、画像形成ユニット2はカラープリンタ1本体に対して、トナーカートリッジ13は画像形成ユニット2本体に対してそれぞれ着脱自在に構成されている。
【0017】
各転写ローラ15Y,15M,15C,15Kは、搬送ベルト11を介して、それぞれ感光体ドラム14K,14Y,14M,14Cと対峙して配設され、各感光体ドラム14K,14Y,14M,14Cの外周面に形成された各色のトナー像を、搬送ベルト11によって搬送される記録用紙3の画像形成面に順次重ねて転写する。感光体ドラム14及び転写ローラ15は、本体部1a内に配置された高圧制御部180(
図4参照)により高電圧が印加され、これにより静電気的に帯電/現像/転写といった電子写真プロセスを可能とする。
【0018】
定着部16は、記録用紙3上に形成されたトナー像を熱と圧力により定着させる。記録用紙3の搬送経路において、この定着部16の後段に配置される走行系センサ17は、トナー画像が定着した記録用紙3を検知することにより、この記録用紙3が、最終的に排出スタッカ部18に排出されたことを検知可能とする。
【0019】
上記した各走行系センサ6,8,10,17は、ケーブルを介して後述するプロセス制御部150(
図4参照)に接続されている。また、各ローラ(給紙ローラ5、第1レジストローラ7、第2レジストローラ9、感光体ドラム14、転写ローラ15及び定着部16)は、図示しないアクチュエータによりメカ的に駆動され、記録用紙3を搬送経路の下流方向へ搬送することを可能としている。
【0020】
一方トップカバー部1bには、LEDヘッド24Y,24M,24C,24K(特に区別する必要のない場合にはLEDヘッド24とする)及び表示部20が配置されている。
【0021】
LEDヘッド24Y,24M,24C,24Kは、それぞれ各画像形成ユニット2の感光体ドラム14K,14Y,14M,14Cに対向可能に配置され、受信される印刷データに応じて光を照射する露光部であり、トップカバー部1bの開閉を妨げないように変位可能に支持されている。LEDヘッド24は、トップカバー部1bが閉じられると、感光体ドラム14の表面に近接して露光可能となり、ケーブルを介して、カラープリンタ1の本体部1aに接続される。
【0022】
表示部20は、液晶表示パネル及びスイッチ等により構成されるプリント基板であり、カラープリンタ1の状態表示及びユーザによる入力操作を可能とする。液品表示パネルは、例えば24文字×2行のキャラクタ(文字)を表示するものとする。
【0023】
濃度センサ22は、濃度補正等の印字品位保持動作をする為に、搬送ベルト11上に作成される特殊なパターンを読み取る光学式センサである。低圧制御部23(
図4参照)は、商用のAC電源をDC電源に変換するAC-DC電源である。図示しない各基板に3.3V、5V、24V等のDC電源を供給する。また、後述するように定着部16のヒータ52(
図2参照)にトライアック65,66を介して交流公称電圧67(AC100V)を供給する。
【0024】
またカラープリンタ1には、上段に記録用紙格納部4aが、下段に増設用の記録用紙格納部4bが着脱可能に備えられている。ここでは、上段の記録用紙格納部4aが第2の記録媒体としてのA4の記録用紙3aを収容し、下段に増設用の記録用紙格納部4bが第1の記録媒体としてのB5の記録用紙3bを収容し、印刷要求に応じて択一的にA4の記録用紙3a又はB5の記録用紙3bを用紙搬送経路に送り込む。また各段に装着された記録用紙格納部4は図示しないカセット検出部によって検出され、各記録用紙格納部4が収容する用紙サイズ情報が、後述するプロセス制御部150(
図4参照)に送信されるものとする。
【0025】
尚、
図1中のX、Y、Zの各方向は、記録用紙3が画像形成ユニット2Y、2M、2C、2Kを通過する際の搬送方向をX方向とし、感光体ドラム14Y、14M、14C、14Kの回転軸方向をY方向とし、これら両軸と直交する方向をZ方向としている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各方向が示される場合、これらの方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のXYZ方向は、各図の描写部分が、
図1に示すカラープリンタ1を構成する際の配置方向を示している。またここでは、Z方向が略鉛直方向となるように配置されるものとする。
【0026】
図2は、定着部16の内部構成の概略説明図であり、同図(a)は、定着部16を記録用紙3の搬入側からみた定着ベルト51及び加圧ローラ53と、これを温度制御する制御回路と、サイズの異なる記録用紙3の通過領域の関係を示す説明図であり、同図(b)は、ヒータ52の平面図であり、
図3は、定着部16を加圧ローラ53の回転軸方向からみた要部構成図である。
【0027】
これ等の図に示すように、定着部16は、定着ベルト51、ヒータ52、加圧ローラ53、温度センサ61,62,63、熱拡散部材54、及び図示しないヒータホルダ及び固定支持部材から構成される。
【0028】
回転部材、ベルト部材又は定着回転部材としての定着ベルト51は、無端状の帯状部材であり、内部より図示しない固定支持部材により支持されている。定着ベルト51は、内側より基材、ゴム層、離型層が設けられた構成であり、例えば、基材はポリイミド、ゴム層はシリコンゴム、離型層はフッ素系樹脂PFA等の材質である。
【0029】
定着ベルト51の内側に配置された加熱源としてのヒータ52は、定着ベルト51の長手方向(Y方向)延在する長方形状の基体52fと、基体52f上に形成される加熱体としての抵抗体とによって構成されている。抵抗体は、中央部のメイン加熱体としての中央抵抗体52aとその両端に隣接して配置された2つのサブ加熱体としての端部抵抗体52bに分割されている。
【0030】
中央抵抗体52aは、幅狭サイズ(ここではA5の記録用紙3cの横置きサイズ)の記録媒体をサポートできる幅であり、抵抗体25aと2つの端部抵抗体52bは、合わせて幅広サイズ(ここではA4の記録用紙3aの横置きサイズ)の記録媒体をサポートできる幅としている。中央抵抗体52aと端部抵抗体52bは、後述するように、オン/オフ制御されるトライアック65,66により、交流公称電圧67から電力がそれぞれ独立に供給されて発熱する。交流公称電圧67はAC入力電圧であり、ここではAC100Vである。
【0031】
加圧部材又は加圧回転部材としての加圧ローラ53は、金属材料から成る円筒状の部材周面をゴム弾性層で覆った構成を備え、定着ベルト51に対向して配設されてこれとニップ部16a(
図6参照)を形成している。ゴム弾性層の材質は、例えばシリコンゴム等である。また加圧ローラ53は、
図3に示す矢印方向に回転駆動され、これによって圧接する定着ベルト51を矢印方向に回転移動し、ニップ部で挟持する記録用紙3をX方向に搬送する。
【0032】
熱拡散部材54は、定着ベルト51の長手方向(Y方向)、及び幅方向(X方向)に温度を均一に拡散する目的で、ヒータ52と定着ベルト51の間に配設される。熱拡散部材54の材質は、例えば熱伝導率が高いアルミニウム等である。
【0033】
温度検知手段としての温度センサ61は非接触式の温度検知センサである。中央部の通紙領域に設置され、定着ベルト51の表面温度を検知する。温度センサ62,63は接触式サーミスタであり、非通紙領域(記録用紙3が通過しない領域)の両端部に設置され、加圧ローラ53の表面温度を検知する。
【0034】
交流公称電圧67の一端側端子は、中央抵抗体52a及び2つの端部抵抗体52bの、各一方の端部に接続された端子52cに接続され、交流公称電圧67の他端側端子は、トライアック65及び66の各可動端子に接続され、トライアック65の固定端子は2つの端部抵抗体52bの各他方の端部に接続された端子52eに接続され、トライアック66の固定端子は中央抵抗体52aの他方の端部に接続された端子52dに接続されている。
【0035】
トライアック65及び66は、ヒータ52の電力制御に用いられる半導体スイッチング素子であり、後述するように、温度センサ61の検知結果に基づいて定着ベルト51の温度が最適となるように、定着制御部160(
図4)によってオン/オフ制御される。
【0036】
図4は、カラープリンタ1の制御系の構成を示すブロック図である。同図において、上位装置としてのPC100は、PC表示部101やPC入力部102を有し、印刷データを作成し、作成した印刷データを、USB、LAN等のI/Fを介してカラープリンタ1に送信する。また、PC100は、前記I/Fを介してカラープリンタ1より出された指示を受信する。
【0037】
PC表示部101は、図示せぬアプリケーションで作成される印刷画像を表示し、カラープリンタ1から出された指示を表示させるための液晶ディスプレイ等である。PC入力部102は、図示せぬアプリケーション等を介して印刷データの画像を作成し、カラープリンタ1より出された指示に対する応答を入力するためのキーボード、マウス等である。
【0038】
中央制御部110は、CPU111、ROM112、RAM113を備え、これらの構成要素は内部バスにて接続されている。CPU111は、ROM112に記憶されている印刷処理プログラムに従って、RAM113、プロセス制御部150を制御する。ROM112は、印刷処理プログラムを記憶するために領域であり、カラープリンタ1の電源が切れてもデータを保持可能な不揮発性メモリである。RAM113は、PC100から入力された印刷データを記憶し、カラープリンタ1の電源が切られるとデータが消去される揮発性メモリである。
【0039】
プロセス制御部150は、走行系センサ6,8,10,17からなる走行系センサ群192から記録用紙3の位置情報を入力し、高圧制御部180、露光制御部185、モータ制御部170及び定着制御部160を有し、記録用紙3の搬送や帯電・現像・転写・定着等の印刷プロセスを適正に制御する。高圧制御部180及び露光制御部185は、記録用紙3にトナー画像を転写するために、各種ローラに印加する電圧、及び露光手段による露光を適正に制御する。
【0040】
即ち、帯電電圧制御部184は、感光体ドラム14の表面を適正電圧に帯電するための帯電ローラ33に帯電電圧を印加し、露光制御部185は、露光手段としてのLEDヘッド24により、受信される印刷データに応じて帯電され感光体ドラム14の表面に光を照射して静電潜像を形成し、現像電圧制御部183は、現像ローラ32によって静電潜像を現像化(トナー像)するための現像電圧を現像ローラ32に印加し、供給電圧制御部182は、供給ローラ31によって現像ローラ32にトナーを供給するために供給電圧を供給ローラ31印加し、転写制御部181は、転写ローラ15によって、感光体ドラム14の表面に形成されたトナー現像を記録用紙3に転写するために転写電圧を転写ローラ15に印加する。
【0041】
定着制御部160は、定着ベルト51の表面温度を適切にするための制御部である。温度センサ61の検出結果に基づいて低圧制御部23のトライアック65,66等をオン/オフ制御することにより交流公称電圧67からヒータ52に電力を供給し、定着ベルト51の表面温度を所定の温度に制御する。後述するように、設定温度、オンデューティ補正パラメータなどのテーブルを保持し、そのパラメータによって定着制御を行うトライアック65,66は、オン時に固定端子と可動端子が導通する。尚、定着制御部160、交流公称電圧67、及び低圧制御部23が温度制御部に相当する。
【0042】
幅狭/幅広判断部としての幅狭/幅広切替え判断部161は、オンデューティ補正パラメータを保持し、用紙幅が異なるサイズの印刷ジョブが連続して印刷する場合に、幅狭から幅広への切替え時の定着制御、及び幅狭印刷の枚数計測を行い、更に切替え時の用紙幅情報をモータ制御部170に送信する。
【0043】
印字率判断部162は、ヒータ52の発熱セルのオンデューティ補正パラメータを保持し、RAM113に展開された印刷データの情報から各データ領域の印字率を判断し、判断結果に基づいて、各発熱セルのオンデューティを決定する。
【0044】
モータ制御部170は、カラープリンタ1内に配設されたメインモータ191を制御し、回転駆動する。具体的には、画像形成ユニット2、定着部16、第1レジストローラ7、及び第2レジストローラ9を駆動する。更に幅狭/幅広切替え判断部161からの用紙幅情報に基づいて、A4の記録用紙3aを収容する記録用紙格納部4aの給紙ローラ5a及びB5の記録用紙3bを収容する増設用の記録用紙格納部4bの給紙ローラ5bの何れかを選択し、選択された方の記録用紙3を送り出す。
【0045】
以上の構成において、先ずカラープリンタ1が実行する基本的な印刷動作について
図1~
図4を参照しながら説明する。
【0046】
カラープリンタ1は、上位装置としてのPC100からの印刷指示を受けると、制御プログラムに基づいて中央制御部110により各動作が制御され、印刷動作を実行する。まず、メインモータ191等の各アクチュエータが制御され、給紙ローラ5、第1レジストローラ7、第2レジストローラ9がメカ駆動することにより、記録用紙3が記録用紙格納部4からカラープリンタ内部へと搬送される。第1レジストローラ7及び第2レジストローラ9の駆動タイミングは、搬送される記録用紙3の位置が、走行系センサ6,8の走行系センサにより検知されることで決定される。
【0047】
走行系センサ10で記録用紙3の先端が検知されると、印刷プロセス動作が開始される。これにより高圧制御部180が制御されて、感光体ドラム14の帯電、現像に必要な電圧が画像形成ユニット2の帯電ローラ33、現像ローラ32等に印加される。感光体ドラム14のドラム表面は、帯電ローラ33によって均一に帯電され、更にPC100からの印刷データ信号に応じた記録光がLEDヘッド24より照射され、露光される。露光された感光体ドラム14のドラム表面上には、印刷データが静電潜像として形成されていく。このとき、感光体ドラム14及び転写ローラ15は、各アクチュエータにより記録用紙3を下流方向(矢印X方向)へ搬送する方向に駆動されている。
【0048】
感光体ドラム14のドラム表面上に形成された静電潜像は、現像ローラ32により、トナーカートリッジ13から供給されたトナーによって現像され、感光体ドラム14のドラム表面上にトナー像が形成される。転写ローラ15には、転写制御部181から所望の条件に応じた転写電圧が印加され、この転写ローラ15により、感光体ドラム14に形成されたトナー像が、搬送されてくる記録用紙3の表面に転写される。印刷データがカラー画像データであれば、(Y)、(M)、(C)、(K)の各色に対応する画像形成ユニット2と転写ローラ15によって各色のプロセス動作が実行され、記録用紙3の表面上に各色のトナー像が順次重ねて転写され、カラー画像が形成される。
【0049】
画像が形成された記録用紙3は、定着部16まで搬送され、熱と圧力により定着される。定着部16は、ヒータ52を備えた定着ベルト51と加圧ローラ53とを有し、温度センサ61により定着温度が検知され、後述するように適切な定着温度で定着が行われるように温度制御される。上記印刷プロセスを経た記録用紙3は、走行系センサ17を通過し、排出スタッカ部18に排出される。
【0050】
次に、定着部16による定着動作について説明するが、先ず本発明を実施する前の問題点について説明する。
【0051】
<非通紙温度上昇について>
図5は、各サイズの記録用紙3を定着する時の定着ベルト51の表面の長手方向(Y方向)の温度分布イメージ図である。同図において、温度分布81は、A5の記録用紙3c(横置き)を印刷したときの温度分布であり、温度分布82は、A4の記録用紙3a(横置き)を印刷したときの温度分布であり、温度分布83は、B5の記録用紙3b(横置き)を印刷したときの温度分布である。
【0052】
定着部16は、記録用紙3上に形成されたトナー像を熱と圧力により定着させる。定着ベルト51の表面温度は、長手方向の中央部に配置された非接触式の温度センサ61で表面温度を検知され、定着制御部160により低圧制御部23からヒータ52に供給される電力を、トライアック65,66を介してオン/オフ駆動することにより所定の設定温度に制御される。所定の温度とは各媒体により決められた設定温度である。
【0053】
ヒータ52は、中央部の中央抵抗体52aと両端部の端部抵抗体52bとに分割されており、交流公称電圧(100V)67とトライアック65,66を介して接続されている。
図2に示すように、トライアック66は中央抵抗体52aに接続され、トライアック65は2つの端部抵抗体52bに接続されており、中央と端部とが夫々独立に制御可能となっている。
【0054】
中央抵抗体52aと各端部抵抗体52bとの分割位置は、ターゲットにする記録用紙3のサイズにより決められており、ここでは
図2、
図5に示すように、中央抵抗体52aの長さがA5の記録用紙3c(横置き)のサイズ幅となるようにし、2つの端部抵抗体52bと合わせた最大長さでA4の記録用紙3a(横置き)のサイズ幅をサポートできるようにしている。中央抵抗体52aは、定着ベルト51が設定温度となるようにオンデューティで駆動されるが、2つの端部抵抗体52bは、中央抵抗体52aのオンデューティを基準に、記録用紙3のサイズにより異なる係数を乗じたオンデューティで駆動されるようにしている。
【0055】
即ち、2つの端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]は、中央抵抗体52aの実際のオンデューティをDm[%]、用紙サイズによる用紙サイズ係数をαとすると、下式で決定される。
Ds=Dm×α ・・・(1)
尚、ここでのオンデューティDm[%]、Ds[%]は、所定時間当たりの各抵抗体への電圧の印可時間比率を表している。
【0056】
表1に示すように、例えば、A4サイズのときの用紙サイズ係数はα1、B5サイズのときの用紙サイズ係数はα2、A5サイズのときの用紙サイズ係数はα3であり、その関係は1≧α1>α2>α3である。
【表1】
【0057】
図5の各温度分布81,82,83に示すように、ヒータ52の、中央抵抗体52aと各端部抵抗体52bとを分割して独立制御することにより、A5の記録用紙3c(横置き)のサイズ以下の記録用紙3を印刷するときの非通紙領域の温度上昇を抑えることができる。しかしながら、A4の記録用紙3a(横置き)のサイズより小さく、且つ中央抵抗体52aの長さより大きいサイズ幅の記録用紙3、例えばB5の記録用紙3b(横置き)の場合は、用紙幅に対して端部抵抗体52bが露出する部分が多くなるので非通紙領域の温度上昇が大きくなる。尚、以後の説明では、記録用紙3は、横置き状態で印刷されるものとする。
【0058】
<設定温度について>
図6は、記録用紙3が定着部16を通過する際の、温度センサ61の温度推移を示す説明図であり、同図(a)は、定着部16の長手方向(Y方向)における、ヒータ52の中央抵抗体52a及び一対の端部抵抗体52bの配置領域と、B5の記録用紙3b及びA4の記録用紙3aの各通過領域の位置関係を示し、同図(b)は、各記録用紙が定着部16のニップ部16aを通過する際の温度推移グラブである。
【0059】
図6(b)での時間軸における時刻は、B5の記録用紙3b又はA4の記録用紙3aが定着部16のニップ部16aを通過する時刻を示している。従って、同図(a)に示すニップ部16aは、時間経過に従って相対的に右に移動する。例えば時刻t01では、B5の記録用紙3bの先端部がニップ部16aに至ったことを示し、時刻t03では、A4の記録用紙3aの先端部がニップ部16aに至ったことを示す。
【0060】
図6(b)に示すように、設定温度Tfは、定着に必要な良好温度範囲内に収まるように決められている。表2は、用紙の種類毎の、良好温度範囲の上限温度及び下限温度、設定温度、及びその時の印刷速度の数値例を示している。
【表2】
【0061】
良好温度範囲とは、それ以上の温度になるとホットオフセット等の印字不良が発生する上限温度Tu(ここでは180℃)と、それ以下の温度になると定着不良等の印字不良が発生する下限温度Tl(ここでは150℃)とで定められる温度範囲である。この良好温度範囲は印刷速度が異なる場合は各記録用紙毎に異なり、設定温度Tfは、オーバーシュート、温度ドロップ等が発生しても良好温度範囲内に収まるように実験的に決められている。
【0062】
ここでは、印刷する記録用紙3として、同程度の厚さの、A4の記録用紙3a及びB5の記録用紙3bとし、各記録用紙とも、同印刷速度(35ppm)、上限180℃/下限150℃、設定温度165℃としている。本実施の形態でのカラープリンタ1では、サポートする最大印刷サイズをA4横置きサイズ、最大印刷速度を35ppmとし、更に用紙幅を切り替えながらの印刷を可能とし、B5サイズのような幅狭媒体も印刷速度35ppmで十数枚程度は印刷できる仕様としている。
【0063】
尚、
図6(b)の温度推移グラフでは、時刻t03でB5の記録用紙3bの後端部が、また時刻t04でA4の記録用紙3aの後端部が、それぞれニップ部16aを通過し、印刷を終了する制御としてヒータ52をオフにしたため、次第に良好温度範囲よりも下に温度が下がっている。
【0064】
このような場合、B5サイズのような幅狭用紙からA4サイズのような幅広用紙への切り替え印刷を行う場合の問題点について考察する。
【0065】
<トナー濃度が低い場合の幅狭から幅広への切替え>
図7は、記録用紙3が定着部16を通過する際の、温度センサ61の温度推移及びオンデューティを示す説明図であり、同図(a)は、定着部16の長手方向(Y方向)における、ヒータ52の中央抵抗体52a及び一対の端部抵抗体52bの配置領域と、B5の記録用紙3b及びA4の記録用紙3aの各通過領域の位置関係を示し、同図(b)は、各記録用紙が定着部16のニップ部16aを通過する際の各領域の温度推移グラブを示し、同図(c)は、各用紙が定着部16のニップ部16aを通過する際のヒータ52のオンデューティを示す。
【0066】
図7(b)、(c)での時間軸における時刻は、B5の記録用紙3b又はA4の記録用紙3aが定着部16のニップ部16aを通過する時刻を示している。従って、同図(a)に示すニップ部16aは、時間経過に従って相対的に右に移動する。例えば時刻t1では、B5の記録用紙3bの先端部がニップ部16aに至ったことを示し、時刻t2では、数枚後のB5の記録用紙3bの後端部がニップ部16aに至ったことを示し、時刻t3では、A4の記録用紙3aの先端部がニップ部16aに至ったことを示す。
【0067】
図7を参照しながら幅狭用紙から幅広用紙への切替え時の問題、即ち複数枚のB5の記録用紙3bでのトナー濃度の低い印刷の後に、複数枚のA4の記録用紙3aサイズの印刷を行うときの問題について説明する。同図(b)において、黒実線は領域A(中央抵抗体52aのB5、A4とも通過する領域)の温度推移、即ち温度センサ61の検知温度である。点線は領域B(端部抵抗体52bのB5、A4とも通過する領域)の温度推移であり、二点鎖線は領域C(端部抵抗体52bのB5は通過しないがA4は通過する領域)の温度推移である。同図(c)には、中央抵抗体52a及び端部抵抗体52bのオンデューティを示し、更に端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]には、そのタイミングで使用される用紙サイズ係数をα1、α2、α3で示している。
【0068】
尚、領域B及び領域Cの温度は、考察のために、温度センサ61と同じ条件で各領域に配置した試験用の温度センサで検知したもので、これ等の温度センサはカラープリンタ1に元々備えられているものではない。
【0069】
時刻t0にB5の記録用紙3bの印刷ジョブを受信し、室温から設定温度165℃に向けて温度を上げていく。B5の記録用紙3bを印刷するために端部抵抗体52bの用紙サイズ係数はα2となり、領域Aの中央抵抗体52aのオンデューティDm[%]よりも低くなるため、領域Aが最も温度が高くなる。このとき領域Cよりも領域Bのほうが温度が高いのは、領域Aからの伝熱で領域Bの温度が領域Cよりも高くなるためである。
【0070】
温度センサ61で検知する温度が印刷可能温度(設定温度から-5℃ぐらい)となるとB5の記録用紙3bの通紙が開始され、時刻t1で定着部16のニップ部16aにB5の記録用紙3bが到達する。B5の記録用紙3bが通過する領域A、Bは、記録用紙3による温度ドロップが発生するが、設定温度を維持するように制御される。この時、B5の記録用紙3bには文字などの低トナー濃度のものを印刷しているものとする。領域CにはB5の記録用紙3bが通過しないが、端部抵抗体52bは、B5サイズに対応した用紙サイズ係数α2で制御されているので、温度は上昇していく。
【0071】
時刻t2で複数枚のB5の記録用紙3bの印刷は終了するが、次のA4の記録用紙3aの印刷ジョブを受信しているので、同設定温度165℃で、可能である最短の待ち時間T1後の時刻t3で、通紙が開始されたA4の記録用紙3aが定着部16のニップ部16aに到達する。領域A、Bは設定温度になるように維持され、領域CもA4サイズが通過する領域なので徐々に設定温度近辺に落ち着く。
【0072】
しかしながら、B5の記録用紙3bの複数枚の印刷が終了する時刻t2の時点で、B5の記録用紙3bが通過しない領域Cの温度が良好温度範囲の上限温度Tuを超え、A4の記録用紙3aの定着が開始される時刻t3の時点でも上限温度Tuを超えたままとなっている。
【0073】
従がって、B5の記録用紙3bからA4の記録用紙3aへの切替え時に、A4サイズの通紙領域となる領域Cの温度が良好温度範囲の上限温度Tuを超えないようにするためには、切替え時の待ち時間T1を十分に確保する必要がある。ここで印刷時間の短縮のため等の理由により待ち時間T1を十分に確保しないと、領域Cの温度が上限温度Tu(ここでは180℃)を超えたままとなり、A4の記録用紙3aの一部領域にホットオフセット等の印字不良が発生しやすくなる。
【0074】
尚、時刻t1後の印刷が1枚のB5の記録用紙3bのみで、その後すぐにA4の記録用紙3aの印刷要求が来た場合、領域Cの温度の温度上昇が鈍いため、逆に領域Cの温度が下限温度Tl(ここでは150℃)に至らず、温度不足によるコールドオフセット等の印字不良が発生しやすくなる。
【0075】
<トナー濃度が濃い場合の幅狭から幅広への切替え>
図8は、記録用紙3が定着部16を通過する際の、温度センサ61の温度推移及びオンデューティを示す説明図であり、同図(a)は、定着部16の長手方向(Y方向)における、ヒータ52の中央抵抗体52a及び一対の端部抵抗体52bの配置領域と、B5の記録用紙3b及びA4の記録用紙3aの各通過領域の位置関係を示し、同図(b)は、各記録用紙が定着部16のニップ部16aを通過する際の各領域の温度推移グラブを示し、同図(c)は、各用紙が定着部16のニップ部16aを通過する際のヒータ52の同オンデューティを示す。
【0076】
図8を参照しながら、幅狭用紙でトナー濃度(印字率200%)の印刷を行う場合の幅狭用紙から幅広用紙への切替え時の問題を説明する。尚、
図8(b)、(c)での時間軸と同図(a)でのニップ部16aの位置関係、同図(b)における各線と同図(a)の印刷領域の関係、及び同図(c)のオンデューティ及び用紙サイズ係数の表示方法は、
図7の場合と同様なので、ここでの説明は省略する。
【0077】
時刻t0時にB5の記録用紙3bの印刷ジョブを受信し、室温から設定温度165℃に向けて温度を上げていく。B5の記録用紙3bを印刷するために端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]の用紙サイズ係数はα2となり、領域Aの中央抵抗体52aのオンデューティDm[%]よりも低くなるため、領域Aが最も温度が高くなる。このとき領域Cよりも領域Bのほうが温度が高いのは、領域Aからの伝熱で領域Bの温度は領域Cよりも高くなるためである。
【0078】
温度センサ61で検知する温度が印刷可能温度(設定温度から-5℃ぐらい)となるとB5の記録用紙3bの通紙が開始され、時刻t1で定着部16のニップ部16aにB5の記録用紙3bが到達する。B5の記録用紙3bが通過する領域A、Bは、記録用紙3による温度ドロップが発生するが、設定温度を維持するように制御される。
【0079】
この時、B5の記録用紙3bには印字率200%のトナー濃度で、例えば青色などが記録媒体幅全域に印刷されていると、領域Aの中央抵抗体52aのオンデューティDm[%]は低トナー濃度のものより増え、これに伴って端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]も低トナー濃度のものより増える。これは印字率が高くなったため、設定温度を維持するために必要なエネルギーが増えたためである。B5の記録用紙3bが通過しない領域Cは、オンデューティDs[%]が増えた端部抵抗体52bにより、低トナー濃度時よりもさらに温度が上昇していく。
【0080】
時刻t2で複数枚のB5の記録用紙3bの印刷は終了するが、次のA4の記録用紙3aの印刷ショブを受信しているので、同設定温度165℃で、可能である最短の待ち時間T1後の時刻t3で、通紙が開始されたA4の記録用紙3aが定着部16のニップ部16aに到達する。領域A、Bは設定温度になるように維持され、領域CもA4サイズが通過する領域なので徐々に設定温度近辺に落ち着く。
【0081】
しかしながら、B5の記録用紙3bの複数枚の印刷が終了する時刻t2の時点で、B5の記録用紙3bが通過しない領域Cの温度が低トナー濃度時よりも更に良好温度範囲の上限温度Tuを超え、A4の記録用紙3aの定着が開始される時刻t3の時点でも上限温度Tuを超えたままとなっている。
【0082】
従がって、B5の記録用紙3bからA4の記録用紙3aへの切替え時に、A4サイズの通紙領域となる領域Cの温度が良好温度範囲の上限温度Tuを超えないようにするためには、切替え時の待ち時間T1を、低トナー濃度時よりも更に十分に確保する必要がある。ここで印刷時間の短縮のため等の理由により待ち時間T1を十分に確保しないと、領域Cの温度が上限温度Tu(ここでは180℃)を超えたままとなり、A4の記録用紙3aの一部領域に、B5サイズ低トナー濃度印刷の場合よりも強力なホットオフセット等の印字不良が発生しやすくなる。
【0083】
次に、上記の問題点を解決するための、本発明によるカラープリンタ1の印刷動作について、
図9、
図10を参照しながら以下に説明する。
【0084】
<トナー濃度が低い場合の幅狭から幅広への切替え>
図9は、記録用紙3が定着部16を通過する際の、温度センサ61の温度推移及びオンデューティを示す説明図であり、同図(a)は、定着部16の長手方向(Y方向)における、ヒータ52の中央抵抗体52a及び一対の端部抵抗体52bの配置領域と、B5の記録用紙3b及びA4の記録用紙3aの各通過領域の位置関係を示し、同図(b)は、各記録用紙が定着部16のニップ部16aを通過する際の各領域の温度推移グラブを示し、同図(c)は、各用紙が定着部16のニップ部16aを通過する際のヒータ52のオンデューティを示す。
【0085】
図9を参照しながら、本発明によるカラープリンタ1で、幅狭用紙でトナー濃度の低い印刷を行う場合の幅狭用紙から幅広用紙への切替え時の印刷動作を説明する。尚、
図9(b)、(c)での時間軸と同図(a)でのニップ部16aの位置関係、同図(b)における各線と同図(a)の印刷領域の関係、及び同図(c)のオンデューティの表示方法は、
図7の場合と同様なので、ここでの説明は省略する。但し、ここでは端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]には、そのタイミングで使用される用紙サイズ係数α1、α2、α3に加え、後述する補正係数β[%]も示している。
【0086】
端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]は、中央抵抗体52aの実際のオンデューティをDm[%]、用紙サイズによる用紙サイズ係数をα、補正係数をβ[%]とすると、下式によって算出する。
Ds=Dm×α+β ・・・(2)
ここで、中央抵抗体52aに供給する電力に対する端部抵抗体52bに供給する電力の比率をraとすると
ra=(Dm×α+β)/Dm ・・・(3)
となる。
【0087】
表3は、種々の条件に応じて設定される端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]の補正係数β[%]の数値例を示している。
【表3】
同表に示すように、補正係数β[%]は、幅狭用紙(ここではB5の記録用紙3b)の印刷時の印刷枚数、トナー濃度(以下、印字率と称す)に応じて適した数値が予め設定され、上式(2)に代入することによって、幅狭から幅広への用紙サイズ切替えを行った場合でも、定着部16の各領域A、B,Cでの温度が良好温度範囲内に収まるように端部抵抗体52bのオンデューティを調整するものである。
【0088】
図9を参照しながら、複数枚のB5の記録用紙3bの低印字率印刷の後に複数枚のA4の記録用紙3aの印刷を行うときの動作について説明する。同図(b)において、黒実線は領域A(中央抵抗体52aのB5、A4とも通過する領域)の温度推移、即ち温度センサ61の検知温度である。点線は領域B(端部抵抗体52bのB5、A4とも通過する領域)の温度推移であり、二点鎖線は領域C(端部抵抗体52bのB5は通過しないがA4は通過する領域)の温度推移である。同図(c)には、中央抵抗体52a及び端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]を示し、更に端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]には、そのタイミングで使用される用紙サイズ係数α1、α2、α3及び補正係数βを示している。
【0089】
時刻t0にB5の記録用紙3bの印刷ジョブを受信し、室温から設定温度165℃に向けて温度を上げていく。その際、上式(2)において、用紙サイズ係数αはB5サイズを印刷するためにα2となり、補正係数βは表3に示すように、ウォームアップ(表3ではWupと記載)の箇所に記載する+10%とする。これにより領域B,Cの温度もその分余計に上昇する(
図7(b)比較参照)。尚、ここでは、B5サイズ印刷用のウォームアップ中に上昇させたが、A4サイズが印刷される直前でもよい。また、B5印刷を繰り返した結果、領域Cの温度がA4サイズ印刷前に良好温度範囲内に収まっているとされる場合にはこの上昇は不要である。
【0090】
温度センサ61で検知する温度が印刷可能温度(設定温度から-5℃ぐらい)となるとB5の記録用紙3bの通紙が開始され、時刻t1で定着部16のニップ部16aにB5の記録用紙3bが到達する。B5の記録用紙3bが通過する領域A、Bは、記録用紙3による温度ドロップが発生するが、設定温度を維持するように制御される。この時、B5の記録用紙3bには文字などの印字率20%以下の印刷が行われるものとする。
【0091】
領域CにはB5の記録用紙3bが通過しないが、端部抵抗体52bが、上式(2)においてB5サイズに対応した用紙サイズ係数α2及び補正係数β(+10%)で算出されたオンデューティDs[%]で制御されるので、温度は上昇していく(
図7(b)比較参照)。
【0092】
時刻t11において、1枚目のB5の記録用紙3bの印刷が終了し、次の印刷もB5の記録用紙3b(2枚目)で印字率が20%以下であった場合は、表3に示すように補正係数βの値を+10%から+5%に変更する。このように、時刻t11からB5の記録用紙3bの印刷が終わるまで、B5の記録用紙3bの印刷枚数及びその時の印字率に応じて表3に示す補正係数βの数値を選択し、上式(2)により端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]を演算し続けるので、オンデューティDs[%]は、同図(c)に示すように階段状に減っていく。
【0093】
時刻t2で複数枚のB5の記録用紙3bの印刷は終了するが、B5の記録用紙3bの印刷中に端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]を調整し、領域Cも定着良好範囲内に収まるように制御していたため(
図7(b)比較参照)、可能である最短の待ち時間T1後の時刻t3で、通紙が開始されたA4の記録用紙3aが定着部16のニップ部16aに到達しても、領域A、B、Cは定着良好温度範囲内に収まる様に継続維持される。
【0094】
以上のようにB5サイズの記録用紙3bからA4サイズの記録用紙3aへの切替え時に、A4サイズの通紙領域である領域Cの温度が良好温度範囲の上限を超えないように制御できるため、最小の待ち時間T1でもA4の記録用紙3aにホットオフセット等の印字不良が発生するのを防止できる。また時刻t1後の印刷が1枚のB5の記録用紙3bのみで、その後すぐにA4の記録用紙3aの印刷要求が来た場合でも、領域Cの温度が速やかに下限温度Tl以上に達するため、温度不足によるコールドオフセットも防ぐことができる。
【0095】
<トナー濃度が濃い場合の幅狭から幅広への切替え>
図10は、記録用紙3が定着部16を通過する際の、温度センサ61の温度推移及びオンデューティを示す説明図であり、同図(a)は、定着部16の長手方向(Y方向)における、ヒータ52の中央抵抗体52a及び一対の端部抵抗体52bの配置領域と、B5の記録用紙3b及びA4の記録用紙3aの各通過領域の位置関係を示し、同図(b)は、各記録用紙が定着部16のニップ部16aを通過する際の各領域の温度推移グラブを示し、同図(c)は、各用紙が定着部16のニップ部16aを通過する際のヒータ52のオンデューティを示す。
【0096】
図10を参照しながら、本発明によるカラープリンタ1で、トナー濃度の濃い印字率の高い印刷を行う場合の幅狭用紙から幅広用紙への切替え時の印刷動作を説明する。尚、
図9(b)、(c)での時間軸と同図(a)でのニップ部16aの位置関係、同図(b)における各線と同図(a)の印刷領域の関係、及び同図(c)のオンデューティの表示方法は、
図7の場合と同様なので、ここでの説明は省略する。但し、ここでは端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]には、そのタイミングで使用される用紙サイズ係数α1、α2、α3に加え、補正係数β[%]も示している。
【0097】
ここでも、端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]は、上式(2)によって算出され、幅狭から幅広へのサイズ切替えを行った場合でも、定着部16の各領域A、B,Cでの温度が良好温度範囲内に収まるように調整される。
【0098】
図10を参照しながら、複数枚のB5の記録用紙3bの高印字率印刷の後に複数枚のA4の記録用紙3aの印刷を行うときの動作について説明する。同図(b)において、黒実線は領域A(中央抵抗体52aのB5、A4とも通過する領域)の温度推移、即ち温度センサ61の検知温度である。点線は領域B(端部抵抗体52bのB5、A4とも通過する領域)の温度推移であり、二点鎖線は領域C(端部抵抗体52bのB5は通過しないがA4は通過する領域)の温度推移である。同図(c)には、中央抵抗体52a及び端部抵抗体52bのオンデューティを示し、更に端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]には、そのタイミングで使用される用紙サイズ係数α1、α2、α3及び補正係数βを示している。
【0099】
時刻t0にB5の記録用紙3bの印刷ジョブを受信し、室温から設定温度165℃に向けて温度を上げていく。その際、上式(2)において、用紙サイズ係数αはB5サイズを印刷するためにα2となり、補正係数βは表3に示すように、ウォームアップ(表3ではWupと記載)の箇所に記載する+10%とする。これにより領域B,Cの温度もその分余計に上昇する(
図8(b)比較参照)。尚、ここでは、B5サイズ印刷用のウォームアップ中に上昇させたが、A4サイズが印刷される直前でもよい。
【0100】
温度センサ61で検知する温度が印刷可能温度(設定温度から-5℃ぐらい)となるとB5の記録用紙3bの通紙が開始され、時刻t1で定着部16のニップ部16aにB5の記録用紙3bが到達する。B5の記録用紙3bが通過する領域A、Bは、記録用紙3による温度ドロップが発生するが、設定温度を維持するように制御される。この時、B5の記録用紙3bには青色などの印字率100%以上の印刷が行われるものとする。
【0101】
この時、B5の記録用紙3bに印字率100%以上の印刷が行われていると、領域Aの中央抵抗体52aのオンデューティDm[%]は低印字率の印刷時より増え、これに伴って端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]も低トナー濃度のものより増える。これは印字率が高くなったため、設定温度を維持するために必要なエネルギーが増えたためである。
【0102】
領域CにはB5の記録用紙3bが通過しないが、端部抵抗体52bが、上式(2)においてB5サイズに対応した用紙サイズ係数α2及び補正係数β(+10%)で算出されたオンデューティDs[%]で制御されるので、温度は上昇していく(
図8(b)比較参照)。
【0103】
時刻t11において、1枚目のB5の記録用紙3bの印刷が終了し、次の印刷もB5の記録用紙3b(2枚目)で印字率が100%以上であった場合は、表3に示すように補正係数βの値を+10%から0.0%に変更する。このように、時刻t11からB5の記録用紙3bの印刷が終わるまで、B5の記録用紙3bの印刷枚数及びその時の印字率に応じて表3に示す補正係数βの数値を選択し、上式(2)により端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]を演算し続けるので、オンデューティDs[%]は、同図(c)に示すように階段状に減っていく。
【0104】
時刻t2で複数枚のB5の記録用紙3bの印刷は終了するが、B5の記録用紙3bの印刷中に端部抵抗体52bのオンデューティDs[%]を調整し、領域Cも定着良好範囲内に収まるように制御していたため(
図8(b)比較参照)、可能である最短の待ち時間T1後の時刻t3で、通紙が開始されたA4の記録用紙3aが定着部16のニップ部16aに到達しても、領域A、B、Cは定着良好範囲内になるように継続維持される。
【0105】
以上のようにB5の記録用紙3bからA4の記録用紙3aへの切替え時に、A4サイズの通紙領域である領域Cの温度が良好温度範囲の上限を超えないように制御できるため、最小の待ち時間でもA4の記録用紙3aにホットオフセット等の印字不良が発生するのを防止できる。
【0106】
以上のようにB5サイズからA4サイズへの切替え時に、A4通紙領域である領域Cの温度がA4サイズの良好範囲の上限を超えないように制御できるため、最小の待ち時間T1でもA4サイズの端部にホットオフセットなく印刷が可能となる。また、時刻t1後の印刷が1枚のB5の記録用紙3bのみで、その後すぐにA4の記録用紙3aの印刷要求が来た場合でも、領域Cの温度が速やかに下限温度Tl以上に達するため、温度不足によるコールドオフセットも防ぐことができる。
【0107】
尚、本実施の形態では、ヒータ52において、抵抗体を、中央抵抗体52aと、その両端部に隣接して配置した1対の端部抵抗体52bとで構成したが、これに限定されるものではなく、通紙領域の端部を基準に各サイズの記録媒体を通紙するものにおいては、中央抵抗体52aに相当するメイン抵抗体と端部抵抗体52bに相当するサブ抵抗体とによって構成してもよいなど、種々の態様を取り得るものである。
【0108】
以上のように、実施の形態のカラープリンタ1によれば、幅狭の記録用紙を複数枚印刷(定着)した後、幅広の記録用紙を印刷(定着)する場合においても、幅狭の記録用紙の定着が終了する段階で、次の幅広の記録用紙の定着に適した定着温度にすることができるため、幅狭/幅広切替え時に余計な時間間隔を設ける必要がなく、印刷効率の低下を防止できる。
【0109】
また、前記した特許請求の範囲、及び実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」といった言葉を使用したが、これらは便宜上であって、画像形成装置を配置する状態における絶対的な位置関係を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0110】
上記した実施の形態では、本発明を、カラープリンタとしての画像形成装置に採用した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、定着器を備える、複写機、ファクシミリ、MFP等の画像処理装置にも利用可能である。またカラープリンタについて説明したが、モノクロプリンタであってもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 カラープリンタ、 1a 本体部、 1b トップカバー部、 2 画像形成ユニット、 3 記録用紙、 3a A4の記録用紙、 3b B5の記録用紙、 3c A5の記録用紙、 4 記録用紙格納部、 4b 増設用の記録用紙格納部、 5 給紙ローラ、 6 走行系センサ、 7 第1レジストローラ、 8 走行系センサ、 9 第2レジストローラ、 10 走行系センサ、 11 転写ベルト、 13 トナーカートリッジ、 14 感光体ドラム、 15 転写ローラ、 16 定着部、 16a ニップ部、 17 走行系センサ、 18 排出スタッカ部、 19 高圧電源、 20 表示部、 22 濃度センサ、 23 低圧制御部、 24 LEDヘッド、 28 搬送ベルトユニット、 31 供給ローラ、 32 現像ローラ、 33 帯電ローラ、 51 定着ベルト、 52 ヒータ、 52a 中央抵抗体、 52b 端部抵抗体、 52c 端子、 52d 端子、 52e 端子、 52f 基体、 53 加圧ローラ、 54 熱拡散部材、 61 温度センサ、 62 温度センサ、 63 温度センサ、 65 トライアック、 66 トライアック、 67 交流公称電圧、 100 PC、 101 PC表示部、 102 PC入力部、 110 中央制御部、 111 CPU、 112 ROM、 113 RAM、 150 プロセス制御部、 160 定着制御部、 161 幅狭/幅広切替え判断部、 162 印字率判断部、 170 モータ制御部、 180 高圧制御部、 181 転写制御部、 182 供給電圧制御部、 183 現像電圧制御部、 184 帯電電圧制御部、 185 露光制御部、 191 メインモータ、 192 走行系センサ群。