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特開2024-143232充放電制御装置および充放電制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143232
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】充放電制御装置および充放電制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20241003BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241003BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241003BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02J7/35 J
H02J7/00 P
H02J7/02 F
H02J7/00 B
H02J7/00 302C
G06F1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055800
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】毛利 勇太
(72)【発明者】
【氏名】田中 和人
【テーマコード(参考)】
5B011
5G503
【Fターム(参考)】
5B011DA06
5B011DA11
5B011DC06
5B011EA10
5B011FF04
5B011GG02
5B011GG14
5B011KK01
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB05
5G503BB06
5G503CA08
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】電力の有効活用と二次電池の寿命低下の抑制との両立を図ることができる充放電制御装置を提供する。
【解決手段】充放電制御装置10は、車両Vに搭載されている二次電池21の充電量を示す充電情報を取得する情報取得部12と、その充電情報によって示される充電量が第1閾値よりも多いか否かを判定する判定処理部13と、その充電量が第1閾値よりも多いと判定される場合に、グリッドコンピューティングに参加することにより、二次電池21の電力を用いたグリッド処理を実行するグリッド処理実行部14とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されている二次電池の充電量を示す充電情報を取得する情報取得部と、
前記充電情報によって示される前記充電量が第1閾値よりも多いか否かを判定する判定処理部と、
前記充電量が前記第1閾値よりも多いと判定される場合に、グリッドコンピューティングに参加することにより、前記二次電池の電力を用いたグリッド処理を実行するグリッド処理実行部と、
を備える充放電制御装置。
【請求項2】
前記判定処理部は、さらに、
前記充電情報によって示される前記充電量が、前記第1閾値よりも小さい第2閾値よりも少ないか否かを判定し、
前記グリッド処理実行部は、さらに、
前記充電量が前記第2閾値よりも少ないと判定される場合に、前記グリッド処理を停止する、
請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項3】
前記充放電制御装置は、さらに、
前記二次電池を充電する太陽光発電装置を備える、
請求項2に記載の充放電制御装置。
【請求項4】
前記充放電制御装置は、さらに、
前記太陽光発電装置の発電電力が、前記グリッド処理に要する電力よりも大きいか否かを判定し、大きいと判定する場合には、前記車両に搭載されている補助二次電池の充電を、前記太陽光発電装置の発電電力を用いて実行する補助電池制御部を備える、
請求項3に記載の充放電制御装置。
【請求項5】
前記充放電制御装置は、さらに、
前記車両の走行中に、前記太陽光発電装置の発電電力が、前記車両の走行に用いられる電力よりも大きいか否かを判定し、大きいと判定する場合には、前記車両に搭載されている補助二次電池の充電を、前記太陽光発電装置の発電電力を用いて実行する補助電池制御部を備える、
請求項3に記載の充放電制御装置。
【請求項6】
前記充放電制御装置は、さらに、
ユーザによる入力操作に応じて前記第1閾値および前記第2閾値を受け付ける入力部を備える、
請求項2に記載の充放電制御装置。
【請求項7】
前記充放電制御装置は、さらに、
ユーザによる入力操作に応じて、前記車両に搭載されている補助二次電池の充電に対する第1優先度と、前記グリッド処理に対する第2優先度とを受け付ける入力部と、
前記補助二次電池の充電を、前記太陽光発電装置の発電電力を用いて実行する補助電池制御部とを備え、
前記補助電池制御部および前記グリッド処理実行部は、
前記第1優先度と前記第2優先度との比較結果に応じて、
前記補助二次電池の充電および前記グリッド処理が開始される順番を変更する、
請求項3に記載の充放電制御装置。
【請求項8】
コンピュータが二次電池の充放電を制御する充放電制御方法であって、
車両に搭載されている前記二次電池の充電量を示す充電情報を取得し、
前記充電情報によって示される前記充電量が第1閾値よりも多いか否かを判定し、
前記充電量が前記第1閾値よりも多いと判定される場合に、グリッドコンピューティングに参加することにより、前記二次電池の電力を用いたグリッド処理を実行する、
充放電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池の充電および放電を制御する充放電制御装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のEV(Electric Vehicle)化が推し進められている。EVなどの車両には、二次電池と、二次電池の充電および放電を制御する充放電制御装置とが搭載される。また、従来、計算資源を有効に活用可能なEVが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1のEVは、充電状態にあるときに、グリッドコンピューティングに参加することによって、計算資源を有効に活用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-161925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のEVでは、充電された電力を有効に活用することができても、二次電池の寿命が短くなってしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、電力の有効活用と二次電池の寿命低下の抑制との両立を図ることができる充放電制御装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る充放電制御装置は、車両に搭載されている二次電池の充電量を示す充電情報を取得する情報取得部と、前記充電情報によって示される前記充電量が第1閾値よりも多いか否かを判定する判定処理部と、前記充電量が前記第1閾値よりも多いと判定される場合に、グリッドコンピューティングに参加することにより、前記二次電池の電力を用いたグリッド処理を実行するグリッド処理実行部と、を備える。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の充放電制御装置は、電力の有効活用と二次電池の寿命低下の抑制との両立を図ることができる。
【0009】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施の形態並びに明細書および図面に記載された構成によってそれぞれ提供されるが、その利点および効果を得るために必ずしも全ての構成が提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態におけるシステムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施の形態における充放電制御装置が搭載された車両の構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施の形態における充放電制御装置による基本的な処理動作の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態における充放電制御装置によって制御される二次電池の充電量の時間経過に伴う変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した特許文献1のEVに関し、以下の問題が生じることを見いだした。
【0012】
近年、車両のEV化が推し進められ、リチウムイオン電池などの二次電池の充電を行うために、太陽光発電装置がEVに取り付けられる場合がある。一方、EV化によって、リチウムイオン電池の劣化の影響が、今後ますます大きな問題になると想定される。
【0013】
リチウムイオン電池の寿命低下を抑える対策としては、リチウムイオン電池が過充電および過放電にならないように、リチウムイオン電池の充放電を制御することが考えられる。つまり、充電量の上限値および下限値を設定し、リチウムイオン電池の充電量が、上限値から下限値までの範囲内に収まるように、リチウムイオン電池の充電および放電を制御することによって、リチウムイオン電池の過充電および過放電を未然に防ぐことができる。
【0014】
しかし、EVにおけるリチウムイオン電池の放電は、EVの走行中の電力の消費に限られ、EVが停車しているときには、リチウムイオン電池に太陽光発電装置からの発電電力が供給されても、そのリチウムイオン電池の放電を実施することができない。なお、Vehicle to Home方式であれば、EVが停車していてもリチウムイオン電池の放電を実施することが可能であるが、そのような実施は特殊な環境に限られる。したがって、リチウムイオン電池が過充電になりやすく、太陽光発電装置の発電電力が無駄になる可能性がある。
【0015】
また、太陽光発電装置の発電電力によってリチウムイオン電池の充電量が上限値に達すると、リチウムイオン電池が過充電になることを防ぐために、ニッケル水素電池などの予備バッテリーに、太陽光発電装置の発電電力が供給される場合もあり得る。つまり、予備バッテリーが充電される。しかし、そのような場合でも、予備バッテリーの容量は少ないため、予備バッテリーが満充電になった後には、本来であれば活用できる発電電力が無駄になってしまう。
【0016】
上記特許文献1のEVは、充電状態である場合に、充電された電力を用いてグリッドコンピューティングに参加する。その結果、EVが停車していても、グリッドコンピューティングへの参加によってリチウムイオン電池の放電を実施することができる。また、上記特許文献1のEVが太陽光発電装置を搭載していれば、太陽光発電装置の発電電力を有効に活用することができる。しかし、EVでは、リチウムイオン電池の過充電および過放電に対する効果的な対策が行われていないため、二次電池の寿命が短くなってしまう可能性がある。
【0017】
このような問題を解決するために、本開示の第1態様に係る充放電制御装置は、車両に搭載されている二次電池の充電量を示す充電情報を取得する情報取得部と、前記充電情報によって示される前記充電量が第1閾値よりも多いか否かを判定する判定処理部と、前記充電量が前記第1閾値よりも多いと判定される場合に、グリッドコンピューティングに参加することにより、前記二次電池の電力を用いたグリッド処理を実行するグリッド処理実行部と、を備える。
【0018】
これにより、例えばリチウムイオン電池などの二次電池に電力が供給されることによって二次電池の充電量が第1閾値を超える場合には、グリッド処理が実行されるため、その充電量の増加を抑制することができる。その結果、車両が停車していても、二次電池の過充電を抑制することができ、二次電池の寿命低下を抑制することができる。さらに、二次電池に供給される電力はグリッド処理に利用されるため、電力の有効活用を図ることができる。したがって、電力の有効活用と二次電池の寿命低下の抑制との両立を図ることができる。
【0019】
また、第1態様に従属する第2態様に係る充放電制御装置では、前記判定処理部は、さらに、前記充電情報によって示される前記充電量が、前記第1閾値よりも小さい第2閾値よりも少ないか否かを判定し、前記グリッド処理実行部は、さらに、前記充電量が前記第2閾値よりも少ないと判定される場合に、前記グリッド処理を停止してもよい。
【0020】
これにより、二次電池の電力がグリッド処理に使用されることによって二次電池の充電量が第2閾値を下回る場合には、グリッド処理が停止されるため、二次電池の充電量の減少を抑制することができる。その結果、二次電池の過放電を抑制することができる。したがって、二次電池の寿命低下の抑制をさらに図ることができる。
【0021】
また、第1態様または第2態様に従属する第3態様に係る充放電制御装置は、さらに、前記二次電池を充電する太陽光発電装置を備えてもよい。
【0022】
これにより、太陽光によって得られる電力を、走行だけでなく、グリッド処理にも活用することができる。その結果、電力のさらなる有効活用を図ることができる。
【0023】
また、第3態様に従属する第4態様に係る充放電制御装置は、さらに、前記太陽光発電装置の発電電力が、前記グリッド処理に要する電力よりも大きいか否かを判定し、大きいと判定する場合には、前記車両に搭載されている補助二次電池の充電を、前記太陽光発電装置の発電電力を用いて実行する補助電池制御部を備えてもよい。
【0024】
これにより、グリッド処理に要する電力よりも発電電力が大きい場合には、補助二次電池の充電が行われるため、二次電池の充電量の増加をさらに抑制することができる。例えば、二次電池の充電量が第1閾値を超えてグリッド処理が実行されても、発電電力が大きいときには、二次電池の充電量を下げることが難しい場合がある。しかし、第4態様では、発電電力が大きい場合には、補助二次電池の充電が行われるため、二次電池の充電量を容易に下げることができる。その結果、電力の有効活用と二次電池の寿命低下の抑制との両立をより効果的に図ることができる。
【0025】
また、第3態様に従属する第5態様に係る充放電制御装置は、さらに、前記車両の走行中に、前記太陽光発電装置の発電電力が、前記車両の走行に用いられる電力よりも大きいか否かを判定し、大きいと判定する場合には、前記車両に搭載されている補助二次電池の充電を、前記太陽光発電装置の発電電力を用いて実行する補助電池制御部を備えてもよい。
【0026】
これにより、車両の走行に用いられる電力よりも発電電力が大きい場合には、補助二次電池の充電が行われるため、二次電池の充電量の増加をさらに抑制することができる。例えば、車両の走行中に発電電力が大きいときには、二次電池の電力が車両の走行に消費電力として用いられても、二次電池が過充電になる可能性がある。しかし、第5態様では、発電電力が大きい場合には、補助二次電池の充電が行われるため、二次電池の充電量を下げることができる。その結果、電力の有効活用と二次電池の寿命低下の抑制との両立をより効果的に図ることができる。
【0027】
また、第2態様~第5態様の何れかの態様に従属する第6態様に係る充放電制御装置は、さらに、ユーザによる入力操作に応じて前記第1閾値および前記第2閾値を受け付ける入力部を備えてもよい。
【0028】
これにより、第1閾値および第2閾値を所望の値に設定することができる。例えば、ユーザは、車両が長時間走行するような遠出の予定がある場合には、電池寿命よりも長時間走行が優先されるように、第1閾値を100%に設定することができる。
【0029】
また、第3態様~第6態様の何れかの態様に従属する第7態様に係る充放電制御装置は、さらに、ユーザによる入力操作に応じて、前記車両に搭載されている補助二次電池の充電に対する第1優先度と、前記グリッド処理に対する第2優先度とを受け付ける入力部と、前記補助二次電池の充電を、前記太陽光発電装置の発電電力を用いて実行する補助電池制御部とを備え、前記補助電池制御部および前記グリッド処理実行部は、前記第1優先度と前記第2優先度との比較結果に応じて、前記補助二次電池の充電および前記グリッド処理が開始される順番を変更してもよい。
【0030】
これにより、ユーザの希望に応じて、補助二次電池の充電をグリッド処理よりも優先して実行することができ、逆に、グリッド処理を補助二次電池の充電よりも優先して実行することができる。その結果、ユーザの利便性を高めることができる。
【0031】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0032】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0033】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0034】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態におけるシステムの構成例を示す図である。
【0035】
システム1は、例えば、インターネットなどの通信ネットワークNを介して互いに通信可能に接続される、複数の車両Vと、管理サーバ100と、複数の処理装置200とを備える。システム1で用いられる無線通信方式は、3G(3rd Generation)通信方式、LTE(Long Term Evolution)通信方式、5G(5th Generation)通信方式、6G(6th Generation)通信方式などであってもよく、Wi-Fi(登録商標)などであってもよい。
【0036】
管理サーバ100は、例えば、通信ネットワークNを介したグリッドコンピューティングを管理するサーバである。複数の処理装置200のそれぞれは、グリッドコンピューティングに参加し、管理サーバ100からの指示に応じたグリッド処理を実行する。なお、グリッド処理の具体的な内容は特に限定されるものではない。
【0037】
複数の車両Vのそれぞれは、例えばEVであるが、これに限定されるものではない。例えば、車両Vは、HV(Hybrid Vehicle)、PHEV/PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、いわゆるガソリン車、FCV(Fuel Cell Vehicle)などであってもよい。また、車両Vは、太陽光発電装置である太陽光パネル11を備える。太陽光パネル11による発電によって得られる電力(以下、発電電力とも呼ばれる)は、車両Vに搭載されている二次電池の充電に使用される。
【0038】
このような本実施の形態における車両Vは、二次電池の充電量に応じて、グリッドコンピューティングに参加する。グリッドコンピューティングに車両Vが参加することによって、車両Vの計算資源を有効に活用することができるとともに、発電電力を有効に活用することができる。
【0039】
図2は、本実施の形態における充放電制御装置が搭載された車両Vの構成の一例を示す図である。
【0040】
車両Vは、充放電制御装置10と、二次電池21と、補助二次電池22と、走行負荷23とを備える。
【0041】
走行負荷23は、車両Vの走行時に電力を消費する設備であって、例えば、車両Vの車輪を回動させるためのモータであってもよく、エアコンなどであってもよい。
【0042】
二次電池21は、走行負荷23などに電力を供給するリチウムイオン電池などである。なお、二次電池21の種類は特に限定されるものではない。補助二次電池22は、例えば二次電池21よりも小さい容量を有する例えばニッケル水素電池などである。なお、補助二次電池22の種類は特に限定されるものではない。補助二次電池22は、走行負荷23に電力を供給してもよく、車両Vに搭載されている走行負荷23以外の負荷に対して電力を供給してもよい。また、補助二次電池22は、モバイルバッテリーであってもよい。あるいは、補助二次電池22は、車両Vに搭載されておらず、他の車両に搭載されている二次電池であってもよい。
【0043】
充放電制御装置10は、二次電池21および補助二次電池22のそれぞれの充電および放電を制御する装置である。このような充放電制御装置10は、太陽光パネル11と、情報取得部12と、判定処理部13と、グリッド処理実行部14と、補助電池制御部15と、入力部16とを備える。
【0044】
太陽光パネル11は、光を電気に変換し、変換によって得られる電力である発電電力を供給する太陽光発電装置であって、例えば車両Vの屋根に取り付けられている。本実施の形態における太陽光パネル11は、太陽光パネル11の発電電力によって二次電池21を充電し、補助電池制御部15による制御に応じて補助二次電池22を充電する。
【0045】
情報取得部12は、車両Vに搭載されている二次電池21の充電量を示す充電情報を二次電池21から取得する。また、情報取得部12は、走行負荷23の消費電力を示す消費電力情報を走行負荷23から取得する。なお、二次電池21の充電量は、例えば0~100%の数値で表現される。さらに、情報取得部12は、取得された充電情報および消費電力情報を判定処理部13に出力する。
【0046】
判定処理部13は、情報取得部12から充電情報を取得すると、充電情報によって示される充電量が第1閾値よりも多いか否かを判定する。なお、第1閾値は、例えば百分率で表記され、具体的な一例では60%であるが、その数値に限定されることはない。第1閾値は、百分率で表記される過充電の充電量よりも小さければどのような数値であってもよい。さらに、判定処理部13は、充電情報によって示される充電量が、第1閾値よりも小さい第2閾値よりも少ないか否かを判定する。なお、第2閾値は、例えば百分率で表記され、具体的な一例では40%であるが、その数値に限定されることはない。第2閾値は、百分率で表記される過放電の充電量よりも大きく、かつ、第1閾値よりも小さければどのような数値であってもよい。判定処理部13は、それらの判定結果を示す判定結果情報をグリッド処理実行部14に出力する。なお、判定処理部13は、充電情報によって示される充電量が第1閾値よりも多いか否かを判定し、充電情報によって示される充電量が第1閾値よりも多いと判定される場合にのみ、判定結果を示す判定結果情報を出力してもよい。同様に、判定処理部13は、充電情報によって示される充電量が第2閾値よりも少ないか否かを判定し、充電情報によって示される充電量が第2閾値よりも少ないと判定される場合にのみ、判定結果を示す判定結果情報を出力してもよい。
【0047】
グリッド処理実行部14は、判定結果情報を判定処理部13から取得すると、判定結果情報に応じて、グリッド処理の実行または停止を行う。例えば、二次電池21の充電量が第1閾値よりも多いことが判定結果情報に示されている場合、すなわち、二次電池21の充電量が第1閾値よりも多いと判定処理部13によって判定される場合、グリッド処理実行部14は、グリッドコンピューティングに参加する。これにより、グリッド処理実行部14は、二次電池21の電力を用いたグリッド処理を実行する。なお、グリッド処理実行部14は、通信機能を備える。そして、グリッド処理を実行するときには、グリッド処理実行部14は、通信機能を用いることによって、管理サーバ100および複数の処理装置200のうちの少なくとも1つと通信ネットワークNを介して通信する。さらに、グリッド処理実行部14は、二次電池21の充電量が第2閾値よりも少ないことが判定結果情報に示されている場合、すなわち、二次電池21の充電量が第2閾値よりも少ないと判定処理部13によって判定される場合、グリッド処理実行部14は、グリッド処理を停止する。
【0048】
補助電池制御部15は、情報取得部12から判定処理部13を介して走行負荷23の消費電力情報を取得し、グリッド電力情報をグリッド処理実行部14から取得する。グリッド電力情報は、グリッド処理実行部14によるグリッド処理に要する電力を示す。そして、補助電池制御部15は、走行負荷23の消費電力情報およびグリッド電力情報と、太陽光パネル11の発電電力とに基づいて、補助二次電池22の充電を行う。
【0049】
入力部16は、車両Vの搭乗者であるユーザによる入力操作を受け付け、入力操作に応じた操作信号を出力する。このような入力部16は、車両Vのインスツルメントパネルまたはダッシュボードなどに取り付けられてもよい。具体的な一例では、入力部16は、ユーザによる入力操作に応じて第1閾値および第2閾値を受け付ける。そして、入力部16は、受け付けられた第1閾値および第2閾値を示す操作信号を判定処理部13に出力する。判定処理部13は、操作信号によって示されている第1閾値および第2閾値を例えばメモリなどの記録媒体に格納する。判定処理部13は、充電量と第1閾値または第2閾値との比較を行うときには、メモリに格納されている第1閾値または第2閾値を読み出して充電量と第1閾値または第2閾値との比較に用いる。また、判定処理部13は、操作信号を取得したときに、メモリに第1閾値および第2閾値が既に格納されている場合には、それらの既に格納されている第1閾値および第2閾値を、操作信号によって示されている新たな第1閾値および第2閾値に書き換える。なお、入力部16は、物理的な操作ボタンを有するデバイスであってもよく、タッチセンサ、タッチパッドなどであってもよい。あるいは、入力部16は、音声による入力操作を受け付けるマイクなどであってもよい。
【0050】
また、本実施の形態における情報取得部12、判定処理部13、グリッド処理実行部14、および補助電池制御部15の全てまたは一部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが、記録媒体に格納されたコンピュータプログラム(すなわちソフトウェアプログラム)を読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0051】
図3は、本実施の形態における充放電制御装置10による基本的な処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0052】
まず、判定処理部13は、情報取得部12から充電情報を取得し、充電情報によって示される二次電池21の充電量を確認する(ステップS1)。そして、判定処理部13は、二次電池21の充電量が第1閾値よりも多いか否かを判定する(ステップS2)。ここで、判定処理部13は、充電量が第1閾値以下であると判定すると(ステップS2のNo)、ステップS1からの処理を繰り返し実行する。一方、充電量が第1閾値よりも多いと判定されると(ステップS2のYes)、グリッド処理実行部14は、グリッドコンピューティングへの参加が可能であることを示す参加可能信号を管理サーバ100に送信する(ステップS3)。そして、グリッド処理実行部14は、管理サーバ100および複数の処理装置200のうちの少なくとも1つからの指示に応じて、グリッド処理を実行する(ステップS4)。
【0053】
具体的には、ステップS4では、グリッド処理実行部14は、まず、ステップS3で送信した参加可能信号に対して、参加指示信号を受信したか否かを判定する。ここで、グリッド処理実行部14は、参加可能信号を送信してから予め定められた時間が経過するまでの間に、管理サーバ100から参加指示信号を受信しなかった場合、グリッド処理を実行しなくてもよい。あるいは、グリッド処理実行部14は、管理サーバ100から参加不要信号を受信した場合には、参加指示信号を受信しなかったと判定して、グリッド処理を実行しなくてもよい。一方、グリッド処理実行部14は、管理サーバ100から参加指示信号を受信したと判定すると、グリッド処理を実行する。このとき、グリッド処理実行部14は、参加指示信号に含まれる識別信号によって識別される処理装置200を特定する。そして、グリッド処理実行部14は、特定された処理装置200に対して、グリッド処理実行部14の計算資源または処理能力に関する情報であるリソース情報を送信してもよい。リソース情報は、具体的には、グリッド処理実行部14が使用可能なCPUおよびメモリなどの能力または仕様などを示す。処理装置200は、リソース情報を受信すると、受信したリソース情報に応じたグリッド処理を決定し、グリッド処理の実行をグリッド処理実行部14に指示する。グリッド処理実行部14は、処理装置200からの指示に応じてグリッド処理を実行し、実行結果を処理装置200に送信する。実行結果は、レポートとして処理装置200に送信されてもよい。
【0054】
なお、参加可能信号にリソース情報が予め含まれていてもよく、リソース情報は情報取得部12によって取得されてもよい。また、リソース情報には、二次電池21の充電情報が含まれていてもよく、二次電池21が充電されている状態であるか否かを示す充電状態情報が含まれていてもよい。また、グリッド処理実行部14は、管理サーバ100から、グリッド処理にかかる予想処理量を示す情報を受信し、グリッド処理にかかる予想処理量を示す情報と二次電池21の充電情報とを考慮して、グリッドコンピューティングに参加するか否かを判定してもよい。
【0055】
次に、判定処理部13は、情報取得部12から充電情報を取得し、充電情報によって示される二次電池21の充電量が第2閾値よりも少ないか否かを判定する(ステップS5)。ここで、充電量が第2閾値以上であると判定されると(ステップS5のNo)、グリッド処理実行部14は、ステップS4の処理を繰り返し実行する(ステップS4)。すなわち、グリッド処理実行部14は、グリッド処理を継続して実行する。一方、ステップS5において、充電量が第2閾値よりも少ないと判定されると(ステップS5のYes)、グリッド処理実行部14は、グリッド処理を終了する(ステップS6)。例えば、グリッド処理実行部14は、通信ネットワークNを介して、グリッド処理の停止を管理サーバ100に要求することによって、グリッド処理を終了する。
【0056】
図4は、充放電制御装置10によって制御される二次電池21の充電量の時間経過に伴う変化の一例を示す図である。なお、図4は、図3に示すフローチャートにしたがって充放電制御装置10が処理動作を行った場合の充電量の変化の一例を示す。
【0057】
例えば、時刻T0において、車両Vは太陽光を受けながら停車している。このとき、二次電池21の充電量は第2閾値未満である。しかし、太陽光パネル11による発電によって、発電電力が二次電池21に供給され、二次電池21の充電が行われる。その結果、二次電池21の充電量は時刻T0から時間経過とともに増加する。そして、時刻T1において充電量は第1閾値(例えば60%)を超える。このとき、判定処理部13は、充電量が第1閾値よりも多いと判定し、判定結果を示す判定結果情報をグリッド処理実行部14に出力する。
【0058】
グリッド処理実行部14は、判定結果情報に応じて、グリッド処理を実行する。グリッド処理を実行した結果、発電電力がグリッド処理に利用されるため、二次電池21の充電量は時刻T1から減少し始める。つまり、第1閾値は、過充電の充電量よりも小さい値であるため、二次電池21の過充電を未然に防ぐことができる。そして、二次電池21の充電量は減少し続け、時刻T2において、二次電池21の充電量は第2閾値(例えば40%)を下回る。このとき、判定処理部13は、充電量が第2閾値よりも少ないと判定し、判定結果を示す判定結果情報をグリッド処理実行部14に出力する。
【0059】
グリッド処理実行部14は、判定処理部13の判定結果情報に応じて、グリッド処理を停止する。その結果、発電電力がグリッド処理に利用されずに二次電池21に供給されるため、二次電池21の充電量は時刻T2から増加し始める。つまり、第2閾値は、過放電の充電量よりも大きい値であるため、二次電池21の過放電を未然に防ぐことができる。そして、二次電池21の充電量は上昇し続け、時刻T3において、二次電池21の充電量は再び第1閾値を超える。このとき、判定処理部13は、充電量が第1閾値よりも多いと判定し、判定結果を示す判定結果情報をグリッド処理実行部14に出力する。
【0060】
これにより、車両Vが停車しているために、二次電池21から走行負荷23に電力が供給されず、太陽光パネル11による二次電池21の充電が継続して行われる場合であっても、二次電池21の充電量を第1閾値以下かつ第2閾値以上の範囲内に収めることができる。その結果、二次電池21が過充電および過放電になり難くすることができ、二次電池21の寿命低下を抑制することができる。また、太陽光パネル11の発電電力は、無駄にされることなく、グリッド処理に利用されるため、電力の有効活用を図ることができる。
【0061】
このように本実施の形態における充放電制御装置10は、車両Vに搭載されている二次電池21の充電量を示す充電情報を取得する情報取得部12と、二次電池21の充電量を示す充電情報によって示される充電量が第1閾値よりも多いか否かを判定する判定処理部13と、二次電池21の充電量が第1閾値よりも多いと判定される場合に、グリッドコンピューティングに参加することにより、二次電池21の電力を用いたグリッド処理を実行するグリッド処理実行部14とを備える。
【0062】
これにより、二次電池21に電力が供給されることによって二次電池21の充電量が第1閾値を超える場合には、グリッド処理が実行されるため、二次電池21の充電量の増加を抑制することができる。その結果、車両Vが停車していても、二次電池21の過充電を抑制することができ、二次電池21の寿命低下を抑制することができる。さらに、二次電池21に供給される電力はグリッド処理に利用されるため、電力の有効活用を図ることができる。したがって、電力の有効活用と二次電池21の寿命低下の抑制との両立を図ることができる。
【0063】
また、本実施の形態では、判定処理部13は、充電情報によって示される充電量が、第1閾値よりも小さい第2閾値よりも少ないか否かを判定する。そして、グリッド処理実行部14は、充電情報によって示される充電量が第2閾値よりも少ないと判定される場合に、グリッド処理を停止する。
【0064】
これにより、二次電池21の電力がグリッド処理に使用されることによって二次電池21の充電量が第2閾値を下回る場合には、グリッド処理が停止されるため、その充電量の減少を抑制することができる。その結果、二次電池21の過放電を抑制することができる。したがって、二次電池21の寿命低下の抑制をさらに図ることができる。
【0065】
また、本実施の形態では、充放電制御装置10は、二次電池21を充電する太陽光パネル11を備える。
【0066】
これにより、太陽光によって得られる電力、すなわち発電電力を、走行負荷23だけでなく、グリッド処理にも活用することができる。その結果、電力の無駄を抑えて、電力のさらなる有効活用を図ることができる。
【0067】
また、本実施の形態では、ユーザによる入力操作に応じて第1閾値および第2閾値を受け付ける入力部16を備える。
【0068】
これにより、第1閾値および第2閾値を所望の値に設定することができる。例えば、ユーザは、車両Vが長時間走行するような遠出の予定がある場合には、電池寿命よりも長時間走行が優先されるように、第1閾値を100%に設定することができる。なお、入力部16は、処理モードを受け付けてもよい。処理モードには、電池寿命優先モードと、電力消費優先モードとがある。電池寿命優先モードでは、二次電池21を充電により劣化させないために、二次電池21が過充電とされない充電量を示す値が第1閾値として設定される。例えば、60%が第1閾値として設定される。電力消費優先モードでは、二次電池21を長時間使用できるように、二次電池21の充電による劣化は考慮せずに、二次電池21が過充電とされる充電量を示す値が第1閾値として設定される。例えば、100%が第1閾値として設定される。なお、処理モードによって、第1閾値だけでなく、第2閾値も設定されてもよい。したがって、処理モードが受け付けられる場合には、第1閾値および第2閾値が受け付けられる場合よりも、ユーザは第1閾値および第2閾値を簡単に所望の値に設定することができ、操作性を高めることができる。
【0069】
ここで、充放電制御装置10は、判定処理部13または補助電池制御部15を用いた種々の処理を行ってもよい。
【0070】
具体的な一例では、充放電制御装置10は、判定処理部13により太陽光パネル11が発電を行いつつ、グリッド処理を実行している時に、グリッド処理が開始されてから所定期間以上、二次電池21の充電量が第1閾値よりも多い状態が継続する場合には、太陽光パネル11の発電量がグリッド処理による電力消費量より大きいと判断して、車両Vに搭載されている補助二次電池22の充電を、太陽光パネル11の発電電力を用いて実行する。
【0071】
別の一例では、補助電池制御部15は、太陽光パネル11の発電電力が、グリッド処理に要する電力よりも大きいか否かを判定する。例えば、補助電池制御部15は、グリッド処理実行部14からグリッド電力情報を取得する。そのグリッド電力情報は、グリッド処理に要する電力を示している。そして、補助電池制御部15は、太陽光パネル11の発電電力が、グリッド電力情報によって示される電力よりも大きいか否かを判定する。補助電池制御部15は、発電電力が大きいと判定する場合には、車両Vに搭載されている補助二次電池22の充電を、太陽光パネル11の発電電力を用いて実行する。なお、補助二次電池22は、モバイルバッテリーであってもよく、車両Vの隣に停車している他の車両に搭載されている二次電池であってもよい。
【0072】
これにより、グリッド処理に要する電力よりも発電電力が大きい場合には、補助二次電池22の充電が行われるため、二次電池21の充電量の増加をさらに抑制することができる。例えば、二次電池21の充電量が第1閾値を超えてグリッド処理が実行されても、発電電力が大きいときには、二次電池21の充電量を下げることが難しい場合がある。しかし、このように、発電電力が大きい場合には、補助二次電池22の充電が行われるため、二次電池21の充電量を容易に下げることができる。その結果、電力の有効活用と二次電池21の寿命低下の抑制との両立をより効果的に図ることができる。
【0073】
また、補助電池制御部15は、車両Vの走行中に、太陽光パネル11の発電電力が、車両Vの走行に用いられる電力よりも大きいか否かを判定する。例えば、補助電池制御部15は、情報取得部12から判定処理部13を介して消費電力情報を取得する。その消費電力情報は、走行負荷23の消費電力、すなわち車両Vの走行に用いられる電力を示している。そして、補助電池制御部15は、太陽光パネル11の発電電力が、消費電力情報によって示される消費電力よりも大きいか否かを判定する。補助電池制御部15は、発電電力が大きいと判定する場合には、車両Vに搭載されている補助二次電池22の充電を、太陽光パネル11の発電電力を用いて実行する。太陽光パネル11の発電電力が、車両Vの走行に用いられる電力よりも大きいか否かの判定は、判定処理部13にて走行負荷23が電力消費している状況で二次電池21の充電量が増加しているか否かで判断することもできる。
【0074】
これにより、二次電池21から供給されて車両Vの走行に用いられる電力よりも発電電力が大きい場合には、補助二次電池22の充電が行われるため、二次電池21の充電量の増加をさらに抑制することができる。例えば、車両Vの走行中に発電電力が大きいときには、二次電池21の電力が走行負荷23に消費電力として用いられても、二次電池21が過充電になる可能性がある。しかし、上述の例では、発電電力が大きい場合には、補助二次電池22の充電が行われるため、二次電池21の充電量を下げることができる。その結果、電力の有効活用と二次電池21の寿命低下の抑制との両立をより効果的に図ることができる。
【0075】
ここで、補助二次電池22の充電と、グリッド処理とのそれぞれに対して優先度が設定されてもよい。この場合、入力部16は、ユーザによる入力操作に応じて、補助二次電池22の充電に対する第1優先度と、グリッド処理に対する第2優先度とを受け付ける。そして、補助電池制御部15およびグリッド処理実行部14は、第1優先度と第2優先度との比較結果に応じて、補助二次電池22の充電およびグリッド処理が開始される順番を変更してもよい。
【0076】
例えば、第1優先度が第2優先度よりも高い場合には、補助二次電池22の充電が、グリッド処理よりも先に(すなわち優先的に)開始される。具体的には、補助電池制御部15は、二次電池21の充電量が第1閾値よりも多いと判定処理部13によって判定されると、太陽光パネル11の発電電力を用いて補助二次電池22の充電を開始する。そして、グリッド処理実行部14は、二次電池21の充電量が第1閾値よりも多いと判定処理部13によって判定され、かつ、補助電池制御部15による充電によって補助二次電池22の充電量が所定の値に達した後に、グリッド処理を開始する。所定の値は、補助二次電池22が満充電となる充電量であってもよく、補助二次電池22が満充電となる充電量よりも小さい値であってもよい。
【0077】
逆に、第2優先度が第1優先度よりも高い場合には、グリッド処理が、補助二次電池22の充電よりも先に(すなわち優先的に)開始される。具体的には、補助電池制御部15は、グリッド処理が開始されてから所定期間以上、二次電池21の充電量が第3閾値よりも多い状態が継続するときに、太陽光パネル11の発電電力を用いて補助二次電池22の充電を実行する。第3閾値は、第1閾値であってもよく、その他の値であってもよい。つまり、グリッド処理でも二次電池21の充電量が十分に低下しない場合に、補助二次電池22の充電が開始される。
【0078】
これにより、ユーザの希望に応じて、補助二次電池22の充電をグリッド処理よりも優先して実行することができ、逆に、グリッド処理を補助二次電池22の充電よりも優先して実行することができる。その結果、ユーザの利便性を高めることができる。
【0079】
以上、本開示の充放電制御装置10および充放電制御方法について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも本開示に含まれてもよい。
【0080】
例えば、上記実施の形態では、第1閾値、第2閾値、および充電量は、百分率によって示されるが、他の物理量によって示されてもよい。例えば、これらの値または量は、AhまたはWhで表記されてもよい。
【0081】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記実施の形態の充放電制御装置10などを実現するソフトウェアは、図3に示すフローチャートの各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムである。
【0082】
なお、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0083】
(1)上記の少なくとも1つの装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、上記の少なくとも1つの装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0084】
(2)上記の少なくとも1つの装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0085】
(3)上記の少なくとも1つの装置を構成する構成要素の一部または全部は、その装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0086】
(4)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0087】
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であるとしてもよい。
【0088】
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0089】
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本開示の充放電制御装置は、例えば、車両の二次電池の充電および放電を制御する装置またはシステムなどに適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 充放電制御装置
11 太陽光パネル(太陽光発電装置)
12 情報取得部
13 判定処理部
14 グリッド処理実行部
15 補助電池制御部
16 入力部
21 二次電池
22 補助二次電池
23 走行負荷
100 管理サーバ
200 処理装置
N 通信ネットワーク
V 車両
図1
図2
図3
図4