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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143249
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20241003BHJP
   G09G 5/26 20060101ALI20241003BHJP
   G09G 5/24 20060101ALI20241003BHJP
   G09G 5/22 20060101ALI20241003BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20241003BHJP
   G09G 5/373 20060101ALI20241003BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20241003BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20241003BHJP
   G06F 40/103 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/00 510A
G09G5/00 510H
G09G5/00 550B
G09G5/00 530M
G09G5/26 650B
G09G5/26 630B
G09G5/00 555D
G09G5/26 G
G09G5/24 630F
G09G5/22 630G
G09G5/22 630Z
G09G5/10 B
G09G5/00 530T
G09G5/26 630C
G09G5/26 650C
G09G5/373 100
G09G5/373 200
B60K35/00 Z
G06F3/01 510
G06F40/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055826
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】598041566
【氏名又は名称】学校法人北里研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 慶幸
(72)【発明者】
【氏名】川守田 拓志
【テーマコード(参考)】
3D344
5B109
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
3D344AA22
3D344AA27
3D344AB01
3D344AD01
3D344AD13
5B109RA06
5C182AA02
5C182AB08
5C182AB15
5C182AB26
5C182AC02
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5C182AC35
5C182AC43
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5C182BA25
5C182BA29
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5C182BC26
5C182CA01
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5C182FA33
5C182FA61
5C182FA64
5C182FA68
5E555AA26
5E555AA71
5E555BA23
5E555BA24
5E555BB23
5E555BB24
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5E555CC25
5E555DB41
5E555DC25
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】自発光型の表示パネルにおいてユーザの特性に合わせた表示の見やすさを確保しつつ、低消費電力化が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載される表示装置であって、自発光型のディスプレイ20と、ディスプレイ20における画像表示の制御を行う制御部12と、ディスプレイ20ユーザの少なくとも年齢を含む特性であるユーザ特性を入力するユーザ特性入力部12cと、を備える。制御部12は、ユーザ特性、ディスプレイ20が搭載される環境の照度、ユーザがディスプレイに視線を向けてから視線を外すまでの時間の平均、の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、ディスプレイの表示画像に含まれる文字のサイズを小さく変化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される表示装置であって、
自発光型のディスプレイ(20)と、
前記ディスプレイにおける画像表示の制御を行う制御部(12)と、
前記車両の乗員のうち前記ディスプレイを使用するユーザの少なくとも年齢を含む特性であるユーザ特性を入力するユーザ特性入力部(12c)と、を備え、
前記ディスプレイが搭載される環境の照度を環境照度とし、前記ユーザが前記ディスプレイの表示面に視線を向けてから前記表示面から視線を外すまでの時間を視認時間として、
前記制御部は、前記視認時間の平均、前記ユーザ特性および前記環境照度の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、前記ディスプレイの表示画像に含まれる文字のサイズを小さく変化させる、表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザ特性および前記環境照度が所定の条件を満たす場合に、前記文字のサイズを小さく変化させる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記視認時間の平均が所定以上である場合に、前記文字のサイズを大きく変化させる制御も実行する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記視認時間の平均および前記環境照度が所定の条件を満たす場合に、前記文字のサイズを小さく変化させる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ユーザが所有する携帯端末(50)と通信可能な通信部(11)をさらに有し、
前記ユーザ特性入力部は、前記携帯端末から前記通信部を介して前記ユーザ特性を取得する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ディスプレイの輝度を前記ユーザ特性に応じた値に変更する制御を実行する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記文字のサイズが所定以上である場合、前記表示画像のうち文字部分について文字数が少なくなる表示形式に変更する制御を実行する、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記文字のサイズが所定以上である場合、前記表示画像に含まれる前記文字を中抜き表示に変更する制御を実行する、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記文字のサイズが所定以上である場合、前記表示画像の全体の表示を変更し、前記表示画像に含まれる文字数を少なくなる制御を実行する、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記文字のサイズを小さくする文字縮小制御を実行する場合、前記文字縮小制御において前記文字を縮小した比率分だけ前記表示画像のうち文字部分以外の部分も縮小する制御を実行する、請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記文字数を少なくする制御を実行する場合、前記表示画像のうちアナログ表示されている部分をデジタル表示に変更する、請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光型の表示パネルを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の表示装置のように、有機発光ダイオード(OLED)のような自発光型の表示パネルと、その表示制御を行う制御部とを備えるものが知られている。この表示装置は、車載用表示装置あって、ステアリングの位置調整の際に、表示パネルのメータ表示がステアリングホイールに遮られないように、当該位置調整に連動してメータ表示の位置を変更する表示制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6-24892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の自発光型の表示装置は、例えば車載用途などの所定の用途においては、ユーザの特性(例えば年齢や視力など)に応じた表示の見やすさの確保、および低消費電力化のニーズが存在する。特許文献1に記載の表示装置は、表示画像の見易さを緩和できるものの、ユーザの特性に合わせた表示の見やすさについては改善の余地があり、画像の表示位置の変更だけでは低消費電力化に対応できない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、自発光型の表示パネルを備える表示装置において、ユーザの特性に合わせた表示の見やすさの確保、および低消費電力化を両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の表示装置は、車両に搭載される表示装置であって、自発光型のディスプレイ(20)と、ディスプレイにおける画像表示の制御を行う制御部(10)と、車両の乗員のうちディスプレイを使用する乗員の少なくとも年齢を含む特性であるユーザ特性を入力するユーザ特性入力部(12c)と、を備え、ディスプレイが搭載される環境の照度を環境照度とし、ユーザがディスプレイの表示面に視線を向けてから表示面から視線を外すまでの時間を視認時間として、制御部は、視認時間の平均、ユーザ特性および環境照度の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、ディスプレイの表示画像に含まれる文字のサイズを小さく変化させる。
【0007】
この表示装置は、自発光型のディスプレイの表示制御を行う制御部と、当該ディスプレイを使用するユーザの少なくとも年齢を含むユーザ特性のデータを入力するユーザ特性入力部とを備える。そして、制御部は、ディスプレイが搭載される環境の照度、ユーザがディスプレイに視線を向けてから外すまでの時間である視認時間の平均、およびユーザ特性の少なくとも1つに基づいて、ディスプレイの表示画像に含まれる文字サイズを小さく変化させる。これにより、ディスプレイの表示画像の文字サイズをユーザにとって見易く、かつ消費電力を増大させないサイズに調整することができ、ユーザの特性に合わせた表示の見やすさの確保、および低消費電力化を両立可能な表示装置となる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の表示システムを示すブロック図である。
図2】ディスプレイの表示制御における処理を示すフローチャートである。
図3】第1の文字サイズの決定処理を示すフローチャートである。
図4】第2の文字サイズの決定処理を示すフローチャートである。
図5図4の文字サイズの決定処理に用いられるデータテーブルの一例を示す図である。
図6】第1実施形態の表示システムの第1変形例を示すブロック図である。
図7】第1実施形態の表示システムの第2変形例を示すブロック図である。
図8】第2実施形態の表示システムを示すブロック図である。
図9】第2実施形態におけるディスプレイの表示制御における処理を示すフローチャートである。
図10】第2実施形態における文字サイズの決定処理に用いられるデータテーブルの一例を示す図である。
図11】第3実施形態の表示システムを示すブロック図である。
図12】第3実施形態におけるディスプレイの表示制御における処理を示すフローチャートである。
図13】表示画像の文字サイズと平均視認時間との関係の一例を示す図である。
図14】第3実施形態の表示システムの変形例を示すブロック図である。
図15】第3実施形態の変形例におけるディスプレイの表示制御における処理を示すフローチャートである。
図16】環境照度別の平均視認時間および規格時間に基づく文字サイズの変更処理を説明するための説明図である。
図17】文字サイズが大きく変更された場合に実行される表示制御の一例を説明するための説明図である。
図18】文字サイズが大きく変更された場合に実行される表示制御の他の一例を説明するための説明図である。
図19】文字サイズが大きく変更された場合に実行される表示制御の他の一例を説明するための説明図である。
図20】文字サイズが大きく変更された場合に実行される表示制御の他の一例を説明するための説明図である。
図21】文字サイズが小さく変更された場合に実行される表示制御の一例を説明するための説明図である。
図22】文字サイズのデータテーブルの更新を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態の表示装置が適用された表示システムについて説明する。本実施形態では、表示システムが自動車などの車両に搭載された車載用表示システムとされる場合を代表例として説明するが、勿論、他の用途にも適用されうる。以下、本表示システムが搭載される車両を「自車両」と称する。
【0012】
〔基本構成〕
本実施形態の表示システムは、例えば、図1に示すように、描画用コントローラ10と、ディスプレイ20と、車載機器30と、車内LAN40とを有した構成とされている。表示システムは、例えば、描画用コントローラ10に、車載機器30から直接あるいは車内LAN40を介して各種信号が入力され、これらの各種信号に基づいてディスプレイ20の表示制御が実行される構成となっている。なお、LANとはLocal Area Networkの略称であり、車内LAN40は、車載用通信バスとも称されうる。
【0013】
描画用コントローラ10は、ディスプレイ20による画像表示を制御する表示装置に相当するものであり、各種車載機器30から伝えられる各種信号に基づいてディスプレイ20での画像表示を制御する。描画用コントローラ10は、例えば、ディスプレイ20とは直接的に接続配線を介して接続され、各種車載機器30の一部または全部とは車内LAN40を通じて接続されている。なお、この描画用コントローラ10の詳細構成については後述する。
【0014】
ディスプレイ20は、例えば、OLEDなどの自発光素子で構成された複数の画素群を有する自発光型のディスプレイであり、描画用コントローラ10からの映像出力信号に対応する画像表示を行う。ディスプレイ20は、画像表示を行う表示領域を構成している自発光素子ごと、すなわち画素ごとに、駆動電圧を可変して印加することで、輝度レベルの調整が可能な構成となっている。
【0015】
なお、本明細書では、ディスプレイ20がOLEDディスプレイである場合を代表例として説明するが、OLEDディスプレイ等の自発光型のディスプレイについては公知であるため、ディスプレイ自体の詳細な説明については省略する。また、自発光素子としては、OLEDを代表例として説明するが、これに限定されるものではなく、無機EL(エレクトロルミネッセンス)やマイクロLEDなどの他の自発光素子であっても構わない。また、OLEDディスプレイは、有機ELディスプレイとも称されうる。
【0016】
車載機器30は、例えば、映像信号を描画用コントローラ10に入力するための機器や車両情報を描画用コントローラ10に入力するための機器などの複数の機器を有した構成となっている。本明細書では、車載機器30として、ナビゲーション装置31、マルチメディア32、空調装置(以下、「エアコン」という)33、車両ECU34を備える場合を代表例として説明する。ECUとは、Electronic Control Unitの略称である。なお、上記の車載機器30の構成は、あくまで一例であり、その一部または全部がここで示した機器以外のものであっていても良い。
【0017】
ナビゲーション装置31は、地図データベースに記憶してある地図情報に基づいて、自車両の現在位置や地図の映像などを示す映像信号を描画用コントローラ10に入力する。また、ナビゲーション装置31は、ユーザの操作に基づいて、例えば目的地設定を行うための映像や、車両周辺もしくは目的地周辺の施設や店舗情報に関する映像などを示す映像信号を描画用コントローラ10に入力する。さらに、ナビゲーション装置31は、例えば、公知のGPSにより車両の緯度、経度、現在時刻、車両が向いている方位に関する情報を取得し、これらの情報を描画用コントローラ10に入力している。なお、GPSとは、Global Positioning Systemの略称である。
【0018】
マルチメディア32は、文字や画像、動画、音声など、様々な種類・形式のメディアを組み合わせされて複合的に扱うことができるものである。メディアは、情報の記録、伝達、保管などを行う装置、媒体であり、車両においてはテレビ放送局、動画サイトなどの表示画像とする映像の提供媒体、もしくは、動画などを記録したUSBメモリ等の記録媒体等が該当する。USBとは、Universal Serial Busの略称である。マルチメディア32は、それらメディアからの映像信号を無線通信もしくはUSBケーブルなどの通信バスを通じて描画用コントローラ10に入力する。
【0019】
エアコン33は、車両における空調制御を行うものであり、その制御部に相当するエアコンECUからのエアコン制御に関する各種情報を描画用コントローラ10に入力する。例えば、エアコン33のモード選択に応じた制御信号が描画用コントローラ10に入力される。
【0020】
車両ECU34は、各種車両に関する情報を取得し、その情報を描画用コントローラ10に入力する。例えば、車両ECU34は、車両の傾斜角度、つまり坂道などによる車両の傾きなどの車両状態を示す情報を描画用コントローラ10に入力している。なお、上記したように、本実施形態では、ナビゲーション装置31から緯度および経度、現在時刻、車両が向いている方位の情報を描画用コントローラ10に入力しているが、車両ECU34でこれらの情報を扱っている場合もある。その場合には、これらの情報を車両ECU34から描画用コントローラ10に入力しても良い。
【0021】
以上が、表示システムの基本的な構成である。
【0022】
〔描画用コントローラ〕
続いて、描画用コントローラ10の詳細構成について説明する。
【0023】
上記したように、描画用コントローラ10は、ディスプレイ20による画像表示を制御するものであり、それを実現するための機能部として、通信部11および制御部12を有した構成とされている。
【0024】
通信部11は、車内LAN40を通じて車載機器30からの情報を取得する部分である。車載機器30から車内LAN40に伝えられている信号や情報については、通信部11にて取得される。図1では、ナビゲーション装置31やマルチメディア32について、情報や映像信号を描画用コントローラ10に対して直接入力できる取得経路と、通信部11を通じて入力できる取得経路を示した。このように、車載機器30からの情報や映像信号の取得経路については任意であり、情報や映像信号が描画用コントローラ10に直接入力されても良いし、車内LAN40からこの通信部11を通じて入力されても良い。
【0025】
制御部12は、例えば、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータによって構成されている。CPUとはCentral Processing Unitの略称であり、ROMとはRead Only Memoryの略称であり、RAMとはRandom Access Memoryの略称であり、I/OとはInput/Outputの略称である。制御部12は、例えば、記憶部12dに記憶されている各種プログラムを読み出して実行することで、車載機器30から伝えられる映像信号や情報に基づいてディスプレイ20での表示画像の映像出力を行う。制御部12は、例えば、描画部12a、映像入力/結合部12b、ユーザ特性入力部12c、記憶部12d、映像出力部12eおよび輝度制御部12fを有した構成とされている。
【0026】
描画部12aは、例えば、通信部11が取得した、エアコン33から伝えられるエアコン制御に関する各種情報や、車両ECU34から伝えられる各種車両に関する情報などを入力し、その情報をディスプレイ20に描画するための画像データを生成する。描画部12aが生成した画像データは、映像入力/結合部12bに出力される。
【0027】
映像入力/結合部12bは、車載機器30から直接もしくは車内LAN40を通じて映像信号が入力され、その映像信号が示す画像データを生成し、映像出力部12eに出力する。また、映像入力/結合部12bは、描画部12aで描画された画像データがある場合、それを入力して映像信号が示す画像データと結合し、結合後の画像データを映像出力部12eに出力する。
【0028】
ユーザ特性入力部12cは、自車両の乗員のうちディスプレイ20を使用するユーザ、例えば、運転席もしくは助手席に着座する乗員の少なくとも年齢を含む特性に関する情報を入力する。以下、説明の便宜上、ユーザの少なくとも年齢を含む特性を「ユーザ特性」と称し、ユーザ特性に関する情報を「ユーザ特性情報」と称する。ユーザ特性は、ディスプレイ20の表示画像のうち文字部分等がユーザにとって見易い状態であるか否かの判定やそのサイズを決定する処理に用いられる特性であり、例えば、当該ユーザの年齢、視力や自車両に着座した状態における眼の位置などが挙げられる。ユーザ特性入力部12cによるユーザ特性情報の取得等の詳細については後述する。
【0029】
記憶部12dは、制御部12で実行する各種プログラムや車載機器30から伝えられるデータあるいは予め入力されるデータ等の各種データなどを記憶しており、制御部12におけるプログラムの読み出しやデータの書き込みが可能となっている。なお、ここでは、記憶部12dが制御部12内のROM等の非遷移有形記録媒体である例について説明したが、制御部12から独立した外部記憶装置が記憶部12dとして用いられても良い。
【0030】
映像出力部12eは、映像入力/結合部12bから伝えられる画像データをディスプレイ20で表示させるべく、映像出力信号を出力する。
【0031】
輝度制御部12fは、例えば、映像入力/結合部12bから入力される画像データに対応して、ディスプレイ20を構成する画素群の輝度値の調整および調整した輝度値の信号出力を行う。輝度制御部12fは、例えば、輝度値を調整した後、輝度値の制御信号をディスプレイ20に出力する。
【0032】
以上が、描画用コントローラ10の基本的な構成である。
【0033】
〔ユーザ特性に合わせた表示制御〕
次に、本表示システムで実行される表示制御について説明する。
【0034】
制御部12は、例えば、自車両のイグニッションがオン状態になる、あるいはディスプレイ20がオン状態になるなどの所定の開始条件を満たした場合に、図2に示す表示制御を開始する。
【0035】
ステップS110では、例えば、ユーザ特性入力部12cから描画部12aにユーザ特性情報が入力される。ユーザ特性入力部12cが入力するユーザ特性情報は、例えば、ユーザによって自身の年齢や視力などの特性データを予め入力され、記録されたものである。ユーザ特性データは、例えば、記憶部12dなどの記録媒体に格納されており、本ステップでは、例えば、ユーザ特性入力部12cが記憶部12dに格納されたユーザ特性データを読み込んで取得し、取得したデータをユーザ特性情報として描画部12aに入力する。
【0036】
続く、ステップS120では、例えば、描画部12aは、取得したユーザ特性情報に基づいて、ディスプレイ20に表示される画像に含まれる文字等のサイズを決定する。
【0037】
以下、説明の簡便化のため、ディスプレイ20に表示される画像に含まれる文字等のサイズを単に「文字サイズ」と称する。また、ここでいう「文字等」とは、文字のほか、数字や記号等を含むテキスト情報をいう。また、「文字サイズ」とは、ディスプレイ20の表示画面における上記のテキスト情報の表示サイズを指し、「フォントサイズ」とも称されうる。
【0038】
文字サイズの決定は、例えば図3に示すように、ステップS121において、予め設定され、記憶部12d等に格納された文字サイズの標準値を読み込み、決定されてもよい。以下、ステップS121で決定される標準値の文字サイズを便宜的に「標準文字サイズ」と称する。
【0039】
また、文字サイズの決定は、例えば図4に示すように、ステップS122にて、ユーザ特性に対応して文字サイズが複数設定されたデータテーブルを読み込んだ後、ステップS123にて取得したユーザ特性と当該データテーブルとにより決定されてもよい。以下、ユーザ特性に対応して文字サイズが複数設定されたデータテーブルを便宜上「文字サイズテーブル」と称する。
【0040】
後者の方法による文字サイズ決定の場合、ステップS122にて読み込まれる文字サイズテーブルは、例えば図5に示すように、ユーザ特性に年齢を用いたものであり、年齢の区分とこれに応じた文字サイズが設定されたものである。例えば、文字サイズテーブルは、年齢の区分として「50歳以上」、「30歳~49歳」、「30歳未満」の3つが設定され、これらの区分に対応する文字サイズがそれぞれ設定されている。文字サイズテーブルは、例えば、ディスプレイ20の表示面の縦方向における寸法で文字サイズが規定され、「50歳以上」では6mm、「30歳~49歳」では5mm、「30歳未満」では4mmといった具合に設定されている。つまり、文字サイズテーブルは、年齢に応じて見易さを確保できる文字のサイズが設定されている。
【0041】
なお、文字サイズテーブルにおける年齢の区分およびこれに対応する文字サイズは、上記の例に限定されるものではなく、区分の数、その年齢幅や対応する文字サイズ等については適宜設定されうる。また、文字サイズテーブルは、ユーザ特性として年齢のほか、視力に応じた文字サイズが設定されてもよい。文字サイズテーブルは、例えば、年齢や視力等の各区分に属する多数の人に文字部分の表示が見易いか否かについて官能評価を行い、各区分の母数に対して「見易い」と判定した人数の割合が所定以上となる文字サイズを記録するといった方法により作成されうる。
【0042】
そして、ステップS123では、例えば、描画部12aは、文字サイズテーブルのうちステップS110で取得したユーザ特性に合致する文字サイズが選択され、文字サイズを決定する処理を行う。
【0043】
なお、文字サイズ決定の処理前においては、ディスプレイ20には、例えば、一般的なユーザ全般(例えば20歳以上の全年齢層など)をカバーする文字サイズの画像が表示されている。言い換えると、この段階では、年齢が所定以下あるいは視力が所定以上のユーザにとっては、ディスプレイ20の表示画像は、必要以上に見易い大きさの文字サイズとなっており、文字サイズを縮小する余地が残った状況となっている。そして、上記した標準文字サイズまたは文字サイズテーブルを用いた文字サイズの決定のいずれの場合も、文字サイズの設定値は、ユーザが見易さを確保できるサイズのうち最小もしくはこれに近い文字サイズとされる。これにより、ユーザの特性に合わせた表示画像の見易さを確保しつつ、表示画像のうち背景部分よりも輝度値が高い文字部分が画像内において占める割合を略最小にすることができ、低消費電力化の効果も得られる。
【0044】
続くステップS130では、ディスプレイ20に映像の仮表示を行う。具体的には、例えば、描画用コントローラ10は、ステップS120で決定した文字サイズとされた画像をディスプレイ20に表示させる。以下、説明の簡便化のため、ステップS120で決定した文字サイズを便宜上「仮決定サイズ」と称する。
【0045】
ステップS140では、例えば、描画用コントローラ10は、仮決定サイズで良いか否かの確認を求めるメッセージ画像をディスプレイ20に表示させ、ユーザに入力を求める。ステップS140で肯定判定の場合、すなわち、例えばユーザが仮決定サイズで良いと判断し、その旨の入力に基づく信号が通信部11に入力された場合には、制御部12は、処理をステップS150に進める。一方、ステップS140で否定判定の場合、すなわち、例えば仮決定サイズが不可である旨の入力信号が通信部11に入力された場合には、制御部12は、処理をステップS160に進める。
【0046】
ステップS150では、例えば、制御部12は、文字サイズを仮決定サイズで確定させ、文字を仮決定サイズで設定された画像をディスプレイ20に表示させる制御を実行する。
【0047】
ステップS160では、例えば、描画用コントローラ10は、仮決定サイズに変更する前の文字サイズ(以下、便宜上「変更前サイズ」という)で良いか否かの確認を求めるメッセージ画像をディスプレイ20に表示させ、ユーザに入力を求める。ステップS160で肯定判定の場合、すなわち、例えばユーザが変更前サイズで良い旨の入力を行い、当該入力に基づく信号が通信部11に入力された場合には、制御部12は、処理をステップS170に進める。一方、ステップS160で否定判定の場合、すなわち、例えば変更前サイズが不可である旨の入力信号が通信部11に入力された場合には、制御部12は、処理をステップS180に進める。
【0048】
ステップS170では、例えば、制御部12は、文字サイズを変更前サイズで確定させ、文字が変更前サイズで設定された画像をディスプレイ20に表示させる制御を実行する。
【0049】
ステップS180では、例えば、描画用コントローラ10は、文字サイズの選択を求めるメッセージ画像をディスプレイ20に表示させ、ユーザに入力を求める。制御部12は、例えば、ステップS180においてユーザが文字サイズの入力を行い、その入力信号が通信部11に入力されたとき、処理をステップS190に進める。
【0050】
ステップS190では、例えば、制御部12は、ステップS180でユーザが設定したサイズで文字サイズを確定させ、当該文字サイズで設定された画像をディスプレイ20に表示させる制御を実行する。
【0051】
本表示システムは、上記のステップS150、S170、S190のいずれかを実行し、文字サイズの決定処理を終了する。
【0052】
本実施形態の表示システムは、ユーザ特性入力部12cが自発光型のディスプレイ20のユーザの年齢を含むユーザ特性を取得し、制御部12がこのユーザ特性に応じて、表示画像の文字サイズを決定する。そして、この文字サイズは、ユーザ特性に対応して、当該ユーザにとって見易さを確保できるサイズのうち略最小のサイズとなっている。そのため、本表示システムは、ユーザ特性に応じて文字サイズを小さく変更する制御を行うこととなり、ユーザの特性に合わせた表示画像の見易さを確保しつつも、表示画像のうち背景部分よりも輝度値が高い文字等の占める割合を略最小とする。したがって、本表示システムは、ユーザの画像の見易さ確保と低消費電力化とを両立することができる。
【0053】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の表示システムは、例えば図6に示すように、車載機器30としてユーザ識別部35を有し、ユーザ識別部35を通じて制御部12にユーザ特性の情報が入力される構成であってもよい。ユーザ識別部35は、例えば、ユーザが直接入力操作を行うスイッチ素子とされる。具体的には、ユーザ識別部35は、例えば、ユーザの体格や好み等に応じたシートポジションなどが予め登録・記憶され、当該ユーザが座席に着座した際に入力操作が行われるユーザ識別スイッチとされる。この場合、ユーザ識別部35は、登録された情報に基づいて特定のユーザに応じたシート等の姿勢を調整に用いられるものであるため、ユーザの識別にも使用可能であるといえる。なお、ユーザ識別部35は、シートポジション以外に、ユーザに応じてその姿勢や位置が変更されうる車載部品・機器(例えば、ミラーやディスプレイなど)の姿勢等を調整するために用いられるスイッチ素子であってもよい。
【0054】
第1実施形態の表示システムは、例えば図7に示すように、自車両に乗車するユーザが所有するスマートフォンやキーレスエントリー等の携帯端末50からユーザ特性のデータが制御部12に入力される構成であってもよい。この場合、例えば、携帯端末50に予めユーザ特性データあるいはこれに紐付けされたIDが入力・記録されており、表示システムは、通信部11が携帯端末50と通信を行い、携帯端末50からユーザ特性データを取得する。
【0055】
上記したように、本表示システムにおけるユーザ特性の取得手段については、任意であり、ユーザが本表示システムに直接入力を行う方式であってもよいし、車載機器30や携帯端末50などを通じて間接的にユーザ特性データが入力される方式であってもよい。
【0056】
本変形例によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる表示システムとなる。
【0057】
(第2実施形態)
第2実施形態の表示システムについて説明する。
【0058】
本実施形態の表示システムは、例えば図8に示すように、ディスプレイ20が搭載される環境の照度情報を取得するセンサ部60を有し、制御部12が当該照度情報に基づいて文字サイズの決定を行う制御を実行する点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0059】
センサ部60は、ディスプレイ20への日射量を検出するためのものであり、例えば、ディスプレイ20の区画される領域ごとの日射量を検出する。センサ部60は、例えば、第1照度センサ61および第2照度センサ62の2つの照度センサによって構成されるが、センサ部60を構成する照度センサについては1つであってもよいし、3つ以上であってもよく、その数に関しては任意である。照度センサは、例えば、センサ部60が2つの照度センサ61、62で構成される場合、ディスプレイ20の表示面を照度センサの数と同数の2つの領域に分割して得られる各領域の近傍に1つずつ配置され、近傍の1つの領域に関連付けされる。そして、照度センサ61、62は、一方がディスプレイ20の第1の領域における照度に応じた信号を出力し、他方が残りの第2の領域における照度に応じた信号を出力する。このように、センサ部60は、ディスプレイ20が搭載された環境の照度である環境照度を検出し、その検出結果を示す検出信号を描画用コントローラ10に伝達する。
【0060】
なお、センサ部60が複数の照度センサ61、62により構成される場合、照度センサ61、62の配置や表示領域の対応領域については任意であり、上記した例に限定されるものではなく、適宜変更されうる。また、センサ部60が1つの照度センサのみで構成される場合についても、ディスプレイ20に対する照度センサの配置については任意である。
【0061】
ディスプレイ20は、本実施形態では、例えば、照度センサ61、62からの検出信号に基づいて、各領域について環境照度に応じて異なる輝度レベルに調整することが可能となっている。ディスプレイ20において区画された各領域は、輝度制御における便宜上のものであり、外見上その境界が視認されるものではない。また、ディスプレイ20における複数の区画領域は、すべて同じ面積とされていても良いし、一部または全部が異なる面積とされていても良い。
【0062】
制御部12は、本実施形態では、センサ部60から照度情報を取得する照度取得部12gを有し、環境照度に応じたディスプレイ20の輝度値の制御や環境照度を加味したユーザ特性に応じた文字サイズの決定処理を実行する。
【0063】
照度取得部12gは、センサ部60を構成する照度センサ61、62からの出力信号が入力され、ディスプレイ20が設置された環境照度のデータを取得する。照度取得部12gは、例えば、環境照度に応じた電気信号を照度情報として描画部12aおよび輝度制御部12fに出力する。照度取得部12gが取得した環境照度のデータは、ユーザ特性に応じた文字サイズの決定およびディスプレイ20における輝度値の決定に用いられる。
【0064】
次に、本実施形態の表示システムにおける文字サイズの決定処理について、図9を参照して説明する。ここでは、上記第1実施形態における処理と相違する内容について主に説明する。
【0065】
本表示システムは、例えば、ステップS110のユーザ特性の取得後に、ステップS210においてセンサ部60から環境照度の情報を取得する。具体的には、本ステップでは、例えば、照度取得部12gは、センサ部60を構成する照度センサ61、62からの照度信号が入力され、環境照度の情報を取得する。照度取得部12gが取得した環境照度の情報は、例えば、描画部12aに出力され、次の文字サイズの決定処理に用いられる。
【0066】
続くステップS220では、例えば、制御部12は、文字サイズテーブルを読み込み、ステップS110にて取得したユーザ特性およびステップS210で取得した環境照度に対応する文字サイズを選択・決定を行う。文字サイズテーブルは、本実施形態では、例えば図10に示すように、ユーザの年齢区分ごとに、環境照度の区分が設定され、年齢および環境照度に応じた文字サイズが設定されている。例えば、環境照度の区分は、「20000lx(ルクス)以上」、「200~19999lx」、「200lx未満」といった具合に設定されるが、区分の数、照度値やその範囲等については適宜変更されうる。ステップS220では、例えば、ユーザの年齢が35歳、環境照度が5000lxである場合には、この条件に合致する「5mm」の文字サイズが選択・決定される。以降の処理については、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる表示システムとなる。また、制御部12は、センサ部60からディスプレイ20の環境照度の情報を取得し、環境照度に応じたディスプレイ20の画素群の輝度値の制御を実行するため、周囲の明るさを考慮した表示画像の見易さを確保できる効果も得られる。さらに、環境照度に対応したユーザ特性データを使用して文字サイズの決定を行うため、表示画像の見易さ確保の精度がより向上する効果も得られる。
【0068】
(第3実施形態)
第3実施形態の表示システムについて説明する。
【0069】
本実施形態の表示システムは、例えば図11に示すように、ディスプレイ20を使用するユーザの視線を検知する視線検知部70を有し、制御部12がユーザの視線情報を用いて文字サイズの決定を行う制御を実行する点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0070】
視線検知部70は、ディスプレイ20のユーザの眼を含む所定空間を撮像し、公知の画像認証技術によりユーザの視線の検知・算出を行う撮像装置であり、例えば、株式会社デンソー製のドライバーステータスモニター(登録商標)とされる。視線検知部70は、自車両の運転席あるいは助手席の前方に搭載され、ユーザの眼を撮像し、撮像対象のユーザの視線情報を取得する。視線検知部70は、例えば図11に示すように、制御部12の視認時間算出部12hに検知した視線情報を出力するが、車内LAN40を介して制御部12に視線情報を出力する構成であってもよい。視線検知部70は、ユーザの視線方向を検知できるものであればよく、他の公知の撮像装置が用いられてもよい。なお、ここでいう「視線情報」とは、主に、視線検知部70の撮像対象のユーザの視線方向についての情報をいい、その視線方向を維持した時間の算出や当該ユーザにとっての文字表示の見易さの判定に用いられる。
【0071】
制御部12は、本実施形態では、視線検知部70から視線情報を取得し、ユーザがディスプレイ20を視認する時間を算出する視認時間算出部12hを有する。そして、制御部12は、後述する平均視認時間をユーザ特性として用い、平均視認時間に基づいて文字サイズの調整を行う。
【0072】
視認時間算出部12hは、取得した視線情報に基づいて、ユーザがディスプレイ20を視認する時間である視認時間Tおよびその平均値である平均視認時間Tを算出する。ここで「視認時間T」とは、ユーザがディスプレイ20の表示面に視線を向けてからその視線を外すまでに要する時間をいう。言い換えると、視認時間Tは、ユーザが一回の目視によりディスプレイ20の表示画像を認識するのに要する時間ともいえる。例えば、視認時間算出部12hは、ユーザの視線情報、時刻情報およびディスプレイ20の自車両における位置情報に基づいて、ユーザがディスプレイ20の視認時間Tを都度算出する。算出された都度の視認時間Tは、例えば、記憶部12dに個別に記録され、平均視認時間Tの算出に用いられる。
【0073】
次に、本実施形態の表示システムにおける文字サイズの決定処理について、図12図13を参照して説明する。
【0074】
制御部12は、例えば、上記第1実施形態と同様に、所定の開始条件を満たした場合に図12を示す処理を開始する。ステップS310では、例えば、視認時間算出部12hは、視線検知部70から撮像されたユーザの視線情報を取得する。
【0075】
ステップS320では、視認時間算出部12hは、例えば、ステップS310で取得した視線情報、ディスプレイ20の自車両における位置座標および時刻情報に基づき、ユーザの視認時間Tを算出し、視認時間Tを記憶部12dに出力する。そして、出力された視認時間Tは、算出された都度に記憶部12dに蓄積され、平均視認時間Tの算出に用いられる。
【0076】
ステップS330では、制御部12は、平均視認時間Tが算出されたか否かの判定を行い、肯定判定の場合には処理をステップS340に進め、否定判定の場合には処理をステップS310に戻す。
【0077】
ここで、「平均視認時間Tが算出された」とは、例えば、平均視認時間Tの算出が完了し、かつ、視認時間Tの蓄積回数が所定以上である、あるいは視認時間Tの合計が所定以上である、との条件を満たすことをいう。つまり、ステップS330は、ユーザがディスプレイ20の表示面を所定以上の回数または時間の目視を行い、表示画像の文字部分が見易いか否かを判定するのに十分な情報が得られた否かを判定する工程である。なお、限定するものではないが、例えば、「視認時間Tの蓄積回数」については数十~100回以上で所定以上と設定されうるし、「視認時間Tの合計」については数分~10分以上で所定以上と設定されうる。
【0078】
ステップS340では、例えば、制御部12は、平均視認時間Tをユーザ特性として記憶部12dに格納させて保存する処理を行う。この平均視認時間Tは、以降のステップにおける各種判定に用いられる。
【0079】
ステップS350では、例えば、制御部12は、平均視認時間Tが最大規格時間Tmaxよりも大きいか否かを判定し、肯定判定の場合には処理をステップS352に進め、否定判定の場合には処理をステップS354に進める。
【0080】
ここで、「最大規格時間Tmax」とは、人が目視でディスプレイ20の表示画像を認識するために要する時間であって、最大と想定される時間という。最大規格時間Tmaxとしては、例えば、自動車工業技術会がナビゲーション画像等を表示する表示装置について定めた「画像表示装置ガイドライン」に記載の1回の応答が長いか否かの目安である1.5秒が設定されうるが、これに限定されない。
【0081】
ステップS352では、例えば、制御部12は、表示画像の文字サイズを現状よりも大きいサイズに変更する制御を実行する。ステップS350において肯定判定である場合、すなわちT>Tmaxを満たす場合には、ユーザが1回の応答に要する時間が長く、表示画像が見づらい状況であると想定されるためである。
【0082】
例えば、制御部12は、図13に示すように、文字サイズ別にユーザの平均視認時間Tを蓄積する。この場合において最大規格時間Tmaxが1.5秒で設定されているとき、文字サイズが6mm、5mm、4mmでは平均視認時間Tがそれぞれ1.3秒、1.5秒、1.7秒であり、当該ユーザにとって文字サイズ4mmは見づらいと想定される。そこで、例えば、制御部12は、ステップS352では、文字サイズを4mmから5mmに変更するといった具合に、1段階大きな文字サイズに変更するが、その変更度合いについて任意である。
【0083】
ステップS354では、例えば、制御部12は、平均視認時間Tが最小規格時間Tminよりも小さいか否かを判定し、肯定判定の場合には処理をステップS356に進め、否定判定の場合には処理をステップS358に進める。
【0084】
ここで、「最小規格時間Tmin」とは、人が目視でディスプレイ20の表示画像を認識するために要する時間であって、最小と想定される時間という。最小規格時間Tminとしては、例えば、最大規格時間Tmaxよりも短い1.0秒が設定されうるが、これに限定されない。
【0085】
ステップS356では、例えば、制御部12は、表示画像の文字サイズを現状よりも小さいサイズに変更する制御を実行する。ステップS350にて否定判定であるため、表示画像が見易い状況であって、かつステップS354にて肯定判定、すなわちT<Tminを満たすことから、ユーザが1回の応答に要する時間が短く、文字サイズを小さくする余地があると想定されるためである。例えば、制御部12は、ステップS356では、ステップS354時点での文字サイズが5mmであった場合、文字サイズを4mmに変更するといった具合に、1段階小さな文字サイズに変更するが、その変更度合いについて任意である。
【0086】
ステップS358では、例えば、制御部12は、ステップS354時点における文字サイズを維持し、その文字サイズで決定する処理を行う。
【0087】
ステップS360では、例えば、描画部12aは、ステップS352、S356、S358のいずれかで決定された文字サイズの画像を描画する。そして、制御部12は、映像入力/結合部12b、映像出力部12eを通じて、ディスプレイ20に上記の処理で決定した文字サイズの画像を表示させる。
【0088】
本実施形態の表示システムは、上記したように、ユーザの視線情報に基づいて算出した平均視認時間Tを用いることにより、ユーザが見易く、かつ文字サイズを略最小となるディスプレイ20の表示制御を実行する。そのため、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様に、ユーザにとっての表示画像の見易さ確保および低消費電力化を両立できる表示システムとなる。また、平均視認時間Tに基づいた判定処理を実行するため、ユーザの表示画像の認識度合いについての実態を把握でき、文字サイズの変更の精度がより向上する効果も得られる。
【0089】
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態の表示システムは、例えば図14に示すように、視線検知部70に加えて、センサ部60を備え、平均視認時間Tに環境照度を加味して文字サイズの決定を実行してもよい。この場合、制御部12は、視認時間算出部12hに加えて、照度取得部12gを有した構成とされる。
【0090】
本変形例では、例えば、描画用コントローラ10は、図15に示す制御フローを実行する。以下、上記第3実施形態との相違部分について主に説明する。
【0091】
本変形例の表示システムは、例えば、最初に、ステップS110としてユーザ特性の取得を実行する。
【0092】
続くステップS315では、例えば、制御部12は、センサ部60から入力される照度信号に基づいて、ディスプレイ20の環境照度の情報を取得する。
【0093】
その後、上記と同様に、視線情報の取得、視認時間Tの算出・蓄積、および平均視認時間Tに基づく判定処理を実行し、ステップS345にて、制御部12は、平均視認時間T、環境照度をユーザ特性として記憶部12dに格納して保存する。具体的には、本変形例では、例えば図16に示すように、ユーザが見易い文字サイズが環境照度の区分に対応するそれぞれ設定されており、この環境照度の区分ごとに平均視認時間Tが算出され、ユーザ特性として保存される。ステップS345で保存されたユーザ特性は、続くステップS350での判定処理に用いられる。
【0094】
ステップS350では、制御部12は、上記第3実施形態と同様に、平均視認時間Tおよび最大規格時間Tmaxに基づく判定処理を行う。そして、ステップS350にて肯定判定がなされた場合において、例えば、環境照度200lx未満であって、保存された平均視認時間Tが1.7秒であり、最大規格時間Tmaxが1.5秒で設定されているとする。この場合、ステップS352では、制御部12は、ステップS350時点での文字サイズ(図16の例では4mm)を平均視認時間Tが1.5秒以下となるサイズまで大きく変更(図16の例では5mm)する処理を実行する。これにより、本変形例では、平均視認時間Tに加えて、環境照度に基づいてユーザにとって見易く、かつ略最小の文字サイズに制御された画像がディスプレイ20に表示される。
【0095】
本変形例によっても、上記第3実施形態と同様の効果が得られることに加えて、環境照度に基づいて文字サイズの表示制御を実行するため、文字サイズの変更の精度がさらに向上した表示システムとなる。
【0096】
(他の実施形態)
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらの一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0097】
(1)例えば、描画用コントローラ10は、上記各実施形態において、ユーザ特性に応じて文字サイズを変更する場合であって、その頻度が高いときには、図17に示すように、文字サイズの確認処理を省略してもよい。例えば、表示システムは、上記第1実施形態の場合には、ステップS120における文字サイズ決定が終了した後、処理をステップS150の変更後の文字サイズによる画像表示に進めてもよい。これにより、ユーザが都度の文字サイズの確認作業をしなくて済み、文字サイズ決定の煩わしさが低減された表示システムとなる。
【0098】
(2)描画用コントローラ10は、上記各実施形態において、ユーザが文字サイズを大きくする変更する操作を行った場合、例えば図18に示すように、自車両の走行速度等の目盛表示を粗くし、文字数を減らす処理を行ってもよい。例えば、文字サイズを大きくする操作前に、表示画像のメータ部分が10km/h単位で走行速度の数値を表示している場合には、描画用コントローラ10は、当該操作後にメータ部分を20km/h単位での数値表示に変更する制御を実行する。これにより、ユーザ操作により文字サイズが大きくなった場合であっても、表示画像中の文字数が減少することで、表示画像中において文字等の占める面積が減ることとなる。その結果、ディスプレイ20において背景部分よりも輝度値が高い領域が減少するため、ユーザにとっての表示画像の見易さを確保しつつも、低消費電力を維持することができる。
【0099】
(3)描画用コントローラ10は、上記各実施形態において、ユーザが文字サイズを大きくする変更する操作を行った場合、例えば図19に示すように、文字等を中抜き表示に変更する表示制御を実行してもよい。ここでいう「中抜き表示」とは、例えば、文字等の輪郭部分のみを輝度値が高い白色等で表示し、輪郭部分に囲まれた領域を輝度値が低い背景色あるいは黒色での表示とする表示方法をいう。これにより、ユーザ操作により文字サイズが大きくなった場合であっても、表示画像のうち文字等の占める部分において高い輝度値の領域比率が相対的に減少するため、ユーザにとっての表示画像の見易さの確保、および低消費電力化を両立することができる。
【0100】
(4)描画用コントローラ10は、上記各実施形態において、ユーザが文字サイズを大きくする変更する操作を行った場合、例えば図20に示すように、メータ等のアナログ表示されている部分をデジタル表示に変更する制御を実行してもよい。例えば、描画用コントローラ10は、メータの目盛や走行速度を指し示す指針やその変動等を連続的に変化する情報を図示したアナログ表示の部分を、走行速度の数値および単位といった結果のみを表示するデジタル表示に変更してもよい。これにより、ユーザ操作により文字サイズが大きくなった場合であっても、背景部分よりも輝度値が高い文字等の占める割合がユーザ操作前よりも減少するため、表示画像の見易さ確保と低消費電力とが両立した表示システムとなる。
【0101】
(5)描画用コントローラ10は、上記各実施形態において、ユーザ特性に応じて文字サイズを小さく変更する処理を実行する場合、例えば図21に示すように、文字部分以外のグラフィック部分のサイズも縮小する処理を実行してもよい。この場合、例えば、文字部分以外のグラフィック部分は、文字サイズの縮小比率と同じ比率で縮小されてもよいし、異なる比率で縮小されてもよい。
【0102】
(6)描画用コントローラ10は、上記第3実施形態において、例えば図22に示すように、自車両の外に配置されている外部装置80にて演算され、ユーザにとって見易い文字サイズに再設定されたユーザ特性を取得し、記憶部12dのユーザ特性を更新してもよい。外部装置80は、例えば、通信部11からユーザ特性(特に文字サイズと平均視認時間T)のデータを取得する外部サーバから当該データを読み込み、演算処理を行う演算装置である。外部装置80は、例えば、蓄積したユーザ特性のデータに基づき、公知の統計的手法や人工知能(AI)を用いて、平均視認時間Tが所定以下となるように文字サイズを再設定し、ユーザ特性のデータを変更する。そして、例えば、描画用コントローラ10は、外部装置80がユーザ特性のデータが変更したとき、通信部11を介して変更されたユーザ特性のデータをダウンロードし、記憶部12dに格納されたユーザ特性のデータを更新する。これにより、ユーザ特性のデータが随時更新され、文字サイズの変更の精度をより向上させることができる表示システムとなる。
【0103】
(7)描画用コントローラ10は、例えば、上記第3実施形態において、平均視認時間Tが所定よりも短い場合にはユーザの眼の調子が良いと判定し、文字サイズを小さくする旨の提案メッセージをディスプレイ20に表示させる表示制御を実行してもよい。逆に、描画用コントローラ10は、例えば、平均視認時間Tが所定よりも長い場合にはユーザの眼の調子が悪いと判定し、文字サイズを大きくする旨の提案メッセージをディスプレイ20に表示させる表示制御を実行してもよい。これにより、ユーザの調子に合わせて表示画像の文字サイズを変更し、ユーザのその日の調子に応じた表示制御も可能となる。
【0104】
(8)描画用コントローラ10は、例えば、上記各実施形態において、自車両が手動運転と自動運転との切り替えが可能である場合であって、自動運転モードであるときには、さらに文字サイズが小さく設定された文字サイズテーブルを用いる構成であってもよい。
【0105】
(9)描画用コントローラ10は、例えば、上記各実施形態にて、ユーザが文字サイズを所定のサイズで固定した場合、文字サイズを変更しない代わりに、当該文字部分の輝度値を下げる制御を実行してもよい。
【0106】
(10)本開示に記載の制御部12及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部12及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部12及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0107】
(本発明の特徴)
[観点1]
車両に搭載される表示装置であって、
自発光型のディスプレイ(20)と、
前記ディスプレイにおける画像表示の制御を行う制御部(12)と、
前記車両の乗員のうち前記ディスプレイを使用する乗員の少なくとも年齢を含む特性であるユーザ特性を入力するユーザ特性入力部(12c)と、を備え、
前記ディスプレイが搭載される環境の照度を環境照度とし、前記ユーザが前記ディスプレイの表示面に視線を向けてから前記表示面から視線を外すまでの時間を視認時間として、
前記制御部は、前記視認時間の平均、前記ユーザ特性および前記環境照度の少なくとも1つが所定の条件を満たす場合、前記ディスプレイの表示画像に含まれる文字のサイズを小さく変化させる、表示装置。
[観点2]
前記制御部は、前記ユーザ特性および前記環境照度が所定の条件を満たす場合に、前記文字のサイズを小さく変化させる、観点1に記載の表示装置。
[観点3]
前記制御部は、前記視認時間の平均が所定以上である場合に、前記文字のサイズを大きく変化させる制御も実行する、観点1に記載の表示装置。
[観点4]
前記制御部は、前記視認時間の平均および前記環境照度が所定の条件を満たす場合に、前記文字のサイズを小さく変化させる、観点1に記載の表示装置。
[観点5]
前記ユーザが所有する携帯端末(70)と通信可能な通信部(11)をさらに有し、
前記ユーザ特性入力部は、前記携帯端末から前記通信部を介して前記ユーザ特性を取得する、観点1ないし4のいずれか1つに記載の表示装置。
[観点6]
前記制御部は、前記ディスプレイの輝度を前記ユーザ特性に応じた値に変更する制御を実行する、観点1ないし5のいずれか1つに記載の表示装置。
[観点7]
前記制御部は、前記文字のサイズが所定以上である場合、前記画像のうち前記文字部分について文字数が少なくなる表示形式に変更する制御を実行する、観点1ないし6のいずれか1つに記載の表示装置。
[観点8]
前記制御部は、前記文字のサイズが所定以上である場合、前記画像に含まれる文字を中抜き表示に変更する制御を実行する、観点1ないし7のいずれか1つに記載の表示装置。
[観点9]
前記制御部は、前記文字のサイズが所定以上である場合、前記画像全体の表示を変更し、前記画像に含まれる文字数を少なくなる制御を実行する、観点1ないし8のいずれか1つに記載の表示装置。
[観点10]
前記制御部は、前記文字のサイズを小さくする文字縮小制御を実行する場合、前記文字縮小制御において前記文字を縮小した比率分だけ前記画像全体を縮小する制御を実行する、観点9に記載の表示装置。
[観点11]
前記制御部は、前記文字数を少なくする制御を実行する場合、前記画像のうちアナログ表示されている部分をデジタル表示に変更する、観点9に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0108】
11 通信部
12 制御部
12c ユーザ特性入力部
20 ディスプレイ
50 携帯端末
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