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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014325
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】足温器
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/03 20060101AFI20240125BHJP
   A43B 7/02 20220101ALI20240125BHJP
   A43B 3/35 20220101ALI20240125BHJP
【FI】
A61F7/08 332L
A43B7/02
A43B3/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117063
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】久保田 秀和
(72)【発明者】
【氏名】井原 真理子
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050DA15
4F050GA30
(57)【要約】
【課題】ヒータの通電状態と非通電状態とを容易に切り換えることができる足温器を提供することを目的とする。
【解決手段】足温器10は、履物20の靴底21に配設された履物側接点24と、台30の履物配置部32の載置領域X(所定位置)に配設された台側接点31とを当接させることで、履物側接点24と台側接点31とが電気的に接続される。これにより、履物20に配設されるヒータ29及び台30に配設される台側ヒータ35が通電され発熱される。一方、履物側接点24と台側接点31との当接が解除されると、電気的に非接続となり、ヒータ29及び台側ヒータ35の通電が解除される。電気的な接続と非接続とを容易に切り替えることができ、その結果、ヒータ29及び台側ヒータ35の通電状態と非通電状態とを容易に切り換えることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物と、その履物が所定位置に配置される台とを備える足温器であって、
前記履物は、通電されることで発熱するヒータと、そのヒータに電気的に接続される履物側接点とを備え、
前記台は、前記所定位置に配置された前記履物の前記履物側接点に当接されて前記履物側接点に電気的に接続される台側接点を備えることを特徴とする足温器。
【請求項2】
前記履物側接点または前記台側接点の一方が導電性の磁石により構成され、
前記履物側接点または前記台側接点の他方が前記磁石に吸着可能に構成されることを特徴とする請求項1記載の足温器。
【請求項3】
前記台側接点が前記磁石により構成され、
前記履物側接点が強磁性体により構成されることを特徴とする請求項2記載の足温器。
【請求項4】
前記履物は、前記履物側接点を前記履物の外面に対して内側へ退避した位置に弾性的に維持する弾性体を備え、
前記磁石の吸着力により前記弾性体が弾性変形することによって前記履物側接点が前記台側接点に当接可能に構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の足温器。
【請求項5】
前記履物は、使用者の足裏を支える靴底を備え、
前記靴底の長手方向前方の第1領域と前記靴底の長手方向後方の第2領域とには、前記ヒータが配設され、前記靴底の長手方向において前記第1領域および前記第2領域の間となる第3領域には、前記ヒータが配設されないことを特徴とする請求項1記載の足温器。
【請求項6】
前記ヒータは、前記靴底の外縁のうち、前記第1領域および前記第2領域と重なる外縁に配設されることを特徴とする請求項5記載の足温器。
【請求項7】
前記履物は、使用者の足裏を支える靴底と、その靴底の外縁に接続されると共に前記履物のうち前記靴底よりも上方の部分を構成するアッパーとを備え、
前記アッパーには、前記ヒータが配設され、前記靴底には、前記ヒータが配設されないことを特徴とする請求項1記載の足温器。
【請求項8】
前記台は、前記台側接点に電気的に接続されると共に通電されることで発熱する台側ヒータを備え、
前記台側ヒータは、前記所定位置に配置された前記履物の前記靴底に対応する位置に配設されることを特徴とする請求項7記載の足温器。
【請求項9】
前記台は、前記所定位置に配置された前記履物の側面に対向する規制部を備えることを特徴とする請求項1記載の足温器。
【請求項10】
前記台は、設置面に設置される設置部と、前記所定位置および前記規制部が形成される履物配置部と、前記設置面に略平行な軸を中心とした揺動が可能となるように前記設置部に前記履物配置部を連結する連結部とを備えることを特徴とする請求項9記載の足温器。
【請求項11】
前記台は、前記台側接点を開閉可能に覆う蓋と、前記所定位置に配置された前記履物により押下されるスイッチと、そのスイッチ及び前記蓋を連動させる連動機構とを備え、
前記連動機構は、前記スイッチが押下されると前記蓋を開き、前記スイッチの押下が解除されると前記蓋を閉じるように構成されることを特徴とする請求項1記載の足温器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は足温器に関し、特に、ヒータの通電状態と非通電状態とを容易に切り換えることができる足温器に関する。
【背景技術】
【0002】
履物に内蔵したヒータを通電させて発熱させる長靴型の足温器が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-178289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、外部電源に一端が接続された電源コードの他端を履物に接続し、外部電源から電源コードを介して供給される電気によりヒータを通電させる構成であるため、離席する際には、電源コードの他端を履物から手で抜き取る必要があった。また、席に戻った際には、電源コードの他端を履物に手で差し込む必要があった。そのため、ヒータの通電状態と非通電状態との切り換えが煩雑であるという問題点があった。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、ヒータの通電状態と非通電状態とを容易に切り換えることができる足温器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の足温器は、履物と、その履物が所定位置に配置される台とを備える足温器であって、前記履物は、通電されることで発熱するヒータと、そのヒータに電気的に接続される履物側接点とを備え、前記台は、前記所定位置に配置された前記履物の前記履物側接点に当接されて前記履物側接点に電気的に接続される台側接点を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の足温器によれば、履物は、通電されることで発熱するヒータと、そのヒータに電気的に接続される履物側接点とを備え、台は、所定位置に配置された履物の履物側接点に当接されて履物側接点に電気的に接続される台側接点を備えるので、履物が台の所定位置に配置されると、履物側接点に台側接点が当接され電気的に接続され、電源から台側接点、台側接点から履物側接点、履物側接点からヒータに電流が流れる。その結果、ヒータが通電状態とされて発熱される。一方、履物が台の所定位置から離されると、履物側接点と台側接点とが電気的に非接続とされ、ヒータが非通電状態とされて発熱しなくなる。よって、履物を台の所定位置に配置したり、離したりするだけで、ヒータの通電状態と非通電状態とを容易に切り換えることができる。
【0008】
請求項2記載の足温器によれば、履物側接点または台側接点の一方が導電性の磁石により構成され、履物側接点または台側接点の他方が磁石に吸着可能に構成されるので、請求項1記載の足温器の奏する効果に加え、以下の効果を奏する。履物が台の所定位置に配置された際に、履物側接点に台側接点を当接させ易くできる。履物側接点に台側接点が当接されるときの接触感を使用者に感取させて、接点同士が当接したことを確認させ易くできる。使用者が足の位置を少し動かしたとしても履物側接点と台側接点とを離れ難くさせ、電気的な接続を維持させ易くできる。
【0009】
また、磁石の吸着力の作用する位置まで履物を台に近づければ、履物側接点または台側接点の一方の吸着力によって他方が吸着されて履物が所定位置まで案内されるので、磁石の吸着力が作用する範囲内において、履物側接点および台側接点のクリアランス管理を容易にできる。
【0010】
請求項3記載の足温器によれば、請求項2記載の足温器の奏する効果に加え、台側接点が磁石により構成され、履物側接点が強磁性体により構成されるので、履物側接点に金属等の異物を吸着させ難くできる。
【0011】
請求項4記載の足温器によれば、請求項2又は3に記載の足温器の奏する効果に加え、履物は、履物側接点を履物の外面に対して内側へ退避した位置に弾性的に維持する弾性体を備え、磁石の吸着力により弾性体が弾性変形することによって履物側接点が台側接点に当接可能に構成されるので、台側接点との当接を解除した履物側接点を周囲の物品に当たり難くできる。
【0012】
請求項5記載の足温器によれば、請求項1記載の足温器の奏する効果に加え、靴底の長手方向前方の第1領域と靴底の長手方向後方の第2領域とには、ヒータが配設され、靴底の長手方向において第1領域および第2領域の間となる第3領域には、ヒータが配設されないので、使用者が歩行するときに屈曲などの変位が入力され易い領域にヒータが配設されることを回避できる。よって、ヒータの発熱によって温めることができる領域を確保しつつ、靴底におけるヒータが断線に至る繰り返しの屈曲負荷を受けることを低減できる。
【0013】
請求項6記載の足温器によれば、請求項5記載の足温器の奏する効果に加え、ヒータは、靴底の外縁のうち、第1領域および第2領域と重なる外縁に配設されるので、使用者が歩行するときに使用者の足裏で踏まれ易い領域にヒータが配設されることを回避できる。よって、ヒータが断線に至る繰り返しの屈曲負荷を受けることを低減できる。
【0014】
請求項7記載の足温器によれば、請求項1記載の足温器の奏する効果に加え、履物は、使用者の足裏を支える靴底と、その靴底の外縁に接続されると共に履物のうち靴底よりも上方の部分を構成するアッパーとを備え、アッパーには、ヒータが配設され、靴底には、ヒータが配設されないので、ヒータの発熱によって温めることができる領域を確保しつつ、ヒータが断線に至る繰り返しの屈曲負荷を受けることを低減できる。
【0015】
請求項8記載の足温器によれば、請求項7記載の足温器の奏する効果に加え、台は、台側接点に電気的に接続されると共に通電されることで発熱する台側ヒータを備え、台側ヒータは、所定位置に配置された履物の靴底に対応する位置に配設されるので、靴底にヒータを配設しなくても台側ヒータの発熱によって靴底を温めることができる。よって、ヒータが断線に至る繰り返しの屈曲負荷を受けることを低減することと、靴底を温めることとの両立を図ることができる。
【0016】
請求項9記載の足温器によれば、請求項1記載の足温器の奏する効果に加え、台は、所定位置に配置された履物の側面に対向する規制部を備えるので、履物を台の所定位置に配置する際に規制部により案内できると共に、所定位置に配置された履物の水平方向への移動を規制部により規制できる。よって、履物を台の所定位置に配置する際に、履物側接点に台側接点を当接させ易くできる。履物側接点に台側接点を当接させた後は、履物側接点と台側接点とを離れ難くできる。
【0017】
請求項10記載の足温器によれば、請求項9記載の足温器の奏する効果に加え、台は、設置面に設置される設置部と、所定位置および規制部が形成される履物配置部と、設置面に略平行な軸を中心とした揺動が可能となるように設置部に履物配置部を連結する連結部とを備えるので、設置面に対する履物配置部の傾斜角度を調整することができる。よって、規制部により履物側接点に台側接点が電気的に接続された状態を維持したまま、使用者の足の姿勢を調整できる。
【0018】
請求項11記載の足温器によれば、請求項1記載の足温器の奏する効果に加え、台は、台側接点を開閉可能に覆う蓋を備えるので、履物が台の所定位置に配置されていないときに導電性の異物が台側接点に接触してショートが起きることを防ぐことができる。
【0019】
台は、所定位置に配置された履物により押下されるスイッチと、そのスイッチ及び蓋を連動させる連動機構とを備え、連動機構は、スイッチが押下されると蓋を開き、スイッチの押下が解除されると蓋を閉じるように構成されるので、履物を台の所定位置に配置したり、離したりするだけで、蓋を開閉できる。よって、蓋の開閉の動作を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態における足温器の模式的な斜視図である。
図2】履物の模式的な断面図である。
図3】履物の模式的な展開図である。
図4】(a)は台の模式的な上面図であり、(b)は図4(a)のIVb-IVb線における台の模式的な断面図である。
図5】(a)は図4(a)のVa-Va線における台の模式的な断面図であり、(b)は図5(a)における履物が配置された台の模式的な断面図である。
図6】(a)は台側接点の上面図であり、(b)は図6(a)のVIb-VIb線における台側接点の断面図である。
図7】履物が配置された台の模式的な断面図である。
図8】(a)は第2実施形態における台の模式的な上面図であり、(b)は図8(a)のVIIIb-VIIIb線における履物が配置された台の模式的な断面図である。
図9】(a)は第3実施形態における履物の模式的な断面図であり、(b)はシリンダの模式的な上面図であり、(c)は図9(b)のIXc-IXc線におけるシリンダの模式的な断面図である。
図10】(a)は着脱部材の模式的な上面図であり、(b)は図10(a)のXb-Xb線における着脱部材の模式的な断面図であり、(c)は図10(a)のXc-Xc線における着脱部材の模式的な断面図である。
図11】(a)は台の模式的な上面図であり、(b)は図11(a)のXIb-XIb線における台の模式的な断面図である。
図12】(a)は台側着脱部材の模式的な上面図であり、(b)は図12(a)のXIIb-XIIb線における台側着脱部材の模式的な断面図であり、(c)は図12(b)の矢印XIIc方向視における台側着脱部材の模式的な側面図である。
図13】履物が配置された台の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は第1実施形態における足温器10の模式的な斜視図である。各図面の矢印U,D,F,B,L,R方向はそれぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向、右方向を示す。
【0022】
足温器10は、例えば、デスクワークなどで座っている人の足が冷えることを防止するために用いられるものである。足温器10は、使用者が足に履く履物20と、その履物20が載置領域X(所定位置)に配置される台30とを備える。図1では、片方の履物20が破線で図示されている。
【0023】
足温器10は、履物20を台30の載置領域Xに配置すると、履物20に配設された履物側接点24(後述する)と台30に配設された台側接点31とが当接して、履物20及び台30が電気的に接続される。また、使用者が離席する際は、履物20を載置領域Xから離して履物側接点24及び台側接点31の当接を解除することで、履物20及び台30の電気的な接続も解除される。よって、履物20を台30の載置領域Xに配置したり、離したりするだけで、履物20及び台30の電気的な接続状態と、非接続状態とを容易に切り換えることができる。
【0024】
図2及び図3を参照して、履物20について説明する。図2は履物20の2つの履物側接点24を通り、地面gに直交する断面で切断した履物20の模式的な断面図である。図3は履物20の模式的な展開図である。図2は履物20が重力以外の荷重が作用しない状態で図示されている。さらに、図2では、履物20が靴底21の下面を地面gに対向させた姿勢(以下「設置姿勢」と称す)で置かれている。
【0025】
履物20は、使用者が履物20を履いたときに使用者の足裏を支える靴底21と、使用者の足の甲およびかかとから膝近くまでを覆うアッパー22とを備える長靴状に形成される。アッパー22は、靴底21の外縁23(図3参照)に接続されると共に履物20のうちの靴底21よりも上方の部分を構成する。
【0026】
アッパー22は、使用者の足先から甲を覆う甲部22aと、使用者のかかと及び足首から膝近くまでを覆う胴体部22bとを備える。
【0027】
本実施形態では、アッパー22の甲部22a及び胴体部22bにはヒータ29が内蔵され、靴底21にはヒータが内蔵されない。ヒータ29は、銅線で構成され、通電されることによって発熱する。
【0028】
靴底21を長手方向の3つの領域に分けて定義する。靴底21の長手方向前方の領域を第1領域21aと、靴底21の長手方向後方の領域を第2領域21bと、第1領域21aと第2領域21bとの間の領域を第3領域21cと、それぞれ定義する。本実施形態では、第1領域21a、第3領域21c及び第2領域21bの長手方向の長さの比は2:3:1の関係となるように設定される。
【0029】
第3領域21cは、金属製のプレートにより構成される2つの履物側接点24が靴底21の下面から露出するように配設される。金属製のプレートには、導電性の強磁性体の材料が用いられる。なお、金属製のプレートの表面にメッキを施して履物側接点24を構成しても良い。
【0030】
本実施形態では、第3領域21cは、履物20が設置姿勢で置かれ、履物20に重力以外の荷重が作用しない状態において、地面gと離隔している離隔部を含む。離隔部は、靴底21の短手方向の一方側(左右一対の履物20の側面が向かい合う側)の外縁23(図3参照)に沿って長手方向に延びる部分である。離隔部は、履物20を履いた使用者の足の土踏まずに対応する位置に設けられる。
【0031】
本実施形態では、離隔部の長手方向の距離は、第3領域21cの長手方向の距離と同じである。離隔部には、2つの履物側接点24が離隔部の長手方向に離隔して配設される。本実施形態では、2つの履物側接点24が離隔する距離は、離隔部の長手方向距離の4分の1以上の距離に設定される。
【0032】
靴底21は、成形型によって発泡ウレタン成形されるウレタン製の部材である。靴底21の履物側接点24は、靴底21が発泡ウレタン成形される際に、ウレタン製の靴底21に固着され一体とされる。
【0033】
履物側接点24(金属製のプレート)には、靴底21の上方側に樹脂製のクリップ25が固着される。クリップ25は、靴底21に貫通形成された貫通孔の内部に固着される。クリップ25には、ハーネス28が配設される。ハーネス28は、ヒータ29に電気的に接続されるワイヤ28aと、履物側接点24から上方に延びるワイヤ27にワイヤ28aを電気的に接続するためのコネクタ28bとを備える。ワイヤ27は、履物側接点24に電気的に接続される。
【0034】
図3の履物20の展開図において、履物20を組付けた時に、甲部22aの外縁26a及び胴体部22bの外縁26dは靴底21の外縁23に接続され、甲部22aの外縁26bは胴体部22bの外縁26cに接続され、胴体部22bの左右の外縁26eは互いに接続される部分である。なお、外縁26eの接続部分には、使用者が履物20の着脱をし易いようにファスナーが設けられる。
【0035】
図3に示すように、甲部22aのヒータ29は、つま先側(図下側)から足首側(図上側)に向かいながら、左右の端に向かって蛇行するように配置される。胴体部22bのヒータ29は、足首側(図下側)から膝側(図上側)に向かいながら、左右の端に向かって蛇行するように配置される。
【0036】
甲部22aのヒータ29は、一端がハーネス28を介して胴体部22bのヒータ29の一端に接続され、他端がハーネス28を介して一方の履物側接点24に接続される。胴体部22bのヒータ29は、他端がハーネス28を介して他方の履物側接点24に接続される。
【0037】
次に、図4から図6を参照して、台30について説明する。図4(a)は台30の模式的な上面図であり、図4(b)は図4(a)のIVb-IVb線における台30の模式的な断面図である。図5(a)は図4(a)のVa-Va線における台30の模式的な断面図であり、図5(b)は図5(a)における履物20が配置された台30の模式的な断面図である。図6(a)は台側接点31の上面図であり、図6(b)は図6(a)のVIb-VIb線における台側接点31の断面図である。図4(a)では、蓋41の図示が省略されている。
【0038】
図4に示すように、台30は、上面視で横長の長方形であって、載置領域Xが形成される履物配置部32と、地面gなどの設置面Gに設置される合成樹脂製の設置部33とを備える。履物配置部32は、主にウレタンから構成される上部32aと、その上部32aを下側から支持すると共に上部32aに接合される合成樹脂製の下部32bとを備える。載置領域Xは、上部32aの上面に形成される。
【0039】
履物配置部32は、電源コードを介して外部の電源から電気が供給される受電部34を側面に備える。外部の電源は、家庭用の交流100V電源や工場用の交流200V電源が用いられる。外部の電源から電気が供給された受電部34は、交流を直流12Vに変換して各部(ヒータ29や台側ヒータ35等)へ供給する。
【0040】
外部の電源をPC等とし、その外部の電源と受電部34とを繋ぐ電源コードをUSBケーブルとしても良い。USBケーブルから受電部34へは直流5Vで約2Aの電気が供給される。この電圧や電流を受電部34で変換して各部へ供給しても良く、変換せずに各部へ供給しても良い。また、受電部34に蓄電池を内蔵し、電源コードを外した状態で受電部34から各部へ電気を供給可能にしても良い。
【0041】
上部32aには、載置領域Xのうちの2つの履物側接点24と対応する位置に2つの台側接点31が配設される。台側接点31は、導電性の磁石から構成され、ネオジム磁石などの永久磁石が好適に用いられる。本実施形態では、台側接点31(磁石)の吸着力は15-20Nに設定される。
【0042】
上部32aには、載置領域Xに台側ヒータ35が内蔵される。台側ヒータ35は、載置領域Xの長手方向に向かいながら、載置領域Xの短手方向の左右の端に向かって蛇行するように配置される。台側ヒータ35は、一端がハーネス36を介して受電部34に電気的に接続され、他端がハーネス36を介して2つの台側接点のうちの一方の台側接点31に接続される。受電部34は、ハーネス36を介して他方の台側接点31に接続される。
【0043】
上部32aは、2つの台側接点31と2つの履物側接点24とが当接されると点灯するランプ44を備える。ランプ44の点灯、消灯によってヒータ29及び台側ヒータ35への通電の有無を目視で確認できる。
【0044】
図6を参照して、台側接点31を説明する。台側接点31は、円柱状の部材である。台側接点31は、合成樹脂製のクリップ37に嵌装される。
【0045】
クリップ37は、上面視略正方形の平板状のベース37aと、ベース37aの上面から上方に延び台側接点31の上面を保持する一対の第1保持部37bと、ベース37aの上面から上方に延び台側接点31の外面を保持する第2保持部37c1と、台側接点31の外面を保持する第3保持部37c2とを備える。
【0046】
第1保持部37b、第2保持部37c1及び第3保持部37c2は、上面視において、それぞれ位相を略90度異ならせて台側接点31の周囲に配置される。第1保持部37bは、第2保持部37c1よりも上方に長く延びる。ベース37aには、板厚方向に貫通する孔37dが4隅のそれぞれに形成される。
【0047】
第3保持部37c2は、弾性変形可能な舌片状部分として形成される。即ち、ベース37aには、上面視略コ字状のスリットsが開口され、そのスリットsの内側に形成される上面視略矩形の舌片状部分が第3保持部37c2とされる。
【0048】
第3保持部37c2は、先端側を台側接点31の外面に対向させると共に、基端側から先端側へ向けて上昇傾斜して形成される。第3保持部37c2の先端側は、ベース37aの上面よりも上方に位置される。
【0049】
クリップ37に台側接点31が嵌装された状態において、第3保持部37c2の先端側を押し下げ、台側接点31を第2保持部37c1から離隔する方向へスライドさせることで、台側接点31をベース37aから取り外すことができる。
【0050】
一方、台側接点31の下面で第3保持部37c2の先端側を押し下げつつ、台側接点31を、その台側接点31の下面が第3保持部37c2を越える位置までスライドさせることで、第3保持部37c2の先端側を初期位置(ベース37aの上面よりも上方となる位置)に復帰させ、クリップ37に台側接点31を取り付けることができる。
【0051】
図5及び図6を参照して説明する。上部32aは、成形型によって発泡ウレタン成形されたウレタンUから主に構成される。上部32aのウレタンUの硬さは、履物20の靴底21よりも比較的柔らかく設定される。さらに、上部32aのウレタンUの硬さは台側接点31及びクリップ37よりも柔らかい。成形型にはクリップ37及び台側ヒータ35が所定の位置に配置され、上部32aのウレタンUが発泡ウレタン成形される際に、成形型に配置される各部材がウレタンUと一体とされる。クリップ37及び台側ヒータ35が一体となったウレタンUには、連動機構(図示しない)、蓋41及びスイッチ42を備えるユニットが装着される。その後、一体となったウレタンUに表皮38が被せられる。表皮38には、蓋41、クリップ37及び台側接点31が配置される部分に孔が開けられ、蓋41、クリップ37及び台側接点31が表皮38から露出する。
【0052】
クリップ37は、発泡ウレタン成形の際に、上部32aのウレタンUが孔37dに充填されることによって、ウレタンUと一体とされる。クリップ37のみがウレタンUと一体とされ、台側接点31はウレタンUと一体とされないので、台側接点31が破損しても、台側接点31のみを交換すれば良い。よって、台側接点31の交換を容易にできる。
【0053】
図4及び図5に示すように、上部32aには、上部32aの上面から下方に向かって凹む凹部が形成される。凹部は、凹みの底である底部と、底部の外縁から上方に立設する壁状の規制部39とを備える。そのため、規制部39は、載置領域Xに配置された履物20の側面に対向する。底部の形状は、靴底21の下面の立体形状に対応する形状に形成される。規制部39は、底部の外縁の周方向に沿って全周に亘って無端状に形成される。本実施形態では、底部が載置領域Xに該当する。
【0054】
台30は、設置面Gに略平行な軸を中心とした揺動が可能となるように設置部33に履物配置部32を連結する連結部40を備える。連結部40は、軸を中心とした揺動によって、設置面G(図4参照)に対する履物配置部32の傾斜角度を調整することができる。
【0055】
本実施形態では、連結部40は、履物配置部32及び設置部33の上面視長方形の一端側を互いに連結する。履物配置部32及び設置部33の上面視長方形の一端側には、履物20のうちの使用者のかかと側に対応する部分が配置される。よって、連結部40によって、かかと側(一端側)を中心にして、つま先側(他端側)が上昇するように履物配置部32を傾斜させることができる(図7参照)。
【0056】
図5に示すように、上部32aには、台側接点31を開閉可能に覆う蓋41と、連動機構と、蓋41を開閉動作させるスイッチ42と、蓋41の外形よりも内形が大きく形成される収容部43とが設けられる。蓋41及びスイッチ42は、連動機構により連動される。スイッチ42は、載置領域X内の前方に配置され、載置領域Xから上方に突出する。
【0057】
連動機構は、スイッチ42が押下されると蓋41が台側接点31を開放する位置に移動するように構成される。このとき、蓋41は、回転軸Aを中心に円弧状に回転移動して収容部43の内側の空間に収容される。
【0058】
さらに、連動機構には、スイッチ42が押下される方向とは反対方向に反力が作用するばねが接続される。スイッチ42の押下が解除されると、ばねの反力によって、蓋41が台側接点31を閉塞する位置に移動する(戻る)。
【0059】
よって、台30は、履物20が載置領域Xに配置されていない状態において、台側接点31を閉塞する位置に蓋41が存在するので、導電性の異物が上部32aに付着しても、台側接点31に接触しないようにできる。よって、導電性の異物が2つの台側接点31に同時に接することによるショートを防止できる。
【0060】
なお、蓋41、スイッチ42及び連動機構は、スイッチ42を靴底21により押下する際に靴底21と蓋41とが干渉しないように、スイッチ42の上下方向のストローク量と蓋41の変位軌跡とが設定される。
【0061】
即ち、スイッチ42の先端に靴底21が触れた状態では、靴底21と蓋41との間に所定の間隔が形成されており、靴底21によりスイッチ42が押下されると、靴底21の下方の空間を利用して、蓋41が収容部43に向けて変位(回転)される。その後、靴底21によりスイッチ42が所定位置まで押下されると、蓋41が収容部43に収容される。この状態では、靴底21は載置領域Xに到達しておらず、スイッチ42が所定位置から更に押下されると、靴底21が載置領域Xに到達される。
【0062】
上部32aには、台側ヒータ35及びハーネス36の間に図示されないサーモスタットが配設される。サーモスタットは、温度が一定以上になった場合に台側ヒータ35及びハーネス36への通電を解除する。従って、仮に、導電性の異物が2つの台側接点31に同時に接してショートが発生したとしても、一定の温度以上まで上昇させないようにでき、台30が温度上昇により発火することを防止できる。
【0063】
次いで、図7を参照して、足温器10の使用方法について説明する。図7は履物20が載置領域Xに配置された台30の模式的な断面図である。
【0064】
台30を設置面Gに設置する。台30の載置領域Xに履物20を配置すると、2つの履物側接点24と2つの台側接点31とが当接する。これにより、電源から受電部34、受電部34からハーネス36を介して台側ヒータ35、台側ヒータ35からハーネス36を介して台側接点31、台側接点31から履物側接点24、履物側接点24からワイヤ27及びハーネス28を介してヒータ29、ヒータ29からハーネス28を介して履物側接点24、履物側接点24から台側接点31、台側接点31からハーネス36を介して受電部34という通電経路に沿って電流が流れる。このように通電されたヒータ29及び台側ヒータ35が発熱するため、使用者の足を温めることができる。
【0065】
足温器10は、台側接点31及び履物側接点24の当接によって、ヒータ29及び台側ヒータ35が通電状態とされ、台側接点31及び履物側接点24の当接を解除させることによって、ヒータ29及び台側ヒータ35が非通電状態とされる。接点同士の当接および解除のためには、使用者が離席したり、席に戻ったりする際に、履物20を載置領域Xに置いたり、履物20を載置領域Xから離すだけで良い。よって、ヒータ29及び台側ヒータ35の通電状態と非通電状態とを容易に切り換えることができる。
【0066】
さらに、水濡れによる故障の可能性が想定される受電部34やランプ44、サーモスタット等は台30に搭載されているが、履物20に搭載された電気機器(主にヒータ29)は水濡れに比較的強い。よって、履物20を容易に洗濯することができる。なお、履物側接点24からコネクタ28bまでの各部材の隙間に水が浸入すると、その水が乾き難い可能性がある。そのため、履物20を洗濯可能とする場合、念のために履物側接点24からコネクタ28bまでを水密構造とすることが好ましい。
【0067】
足温器10は、台30の履物配置部32(上部32a)に規制部39が形成されるので、履物20を載置領域Xに位置決めすることができる。さらに、履物20が載置領域Xに配置された後も、規制部39によって履物20の履物配置部32の上面と平行方向への移動が規制されるので、履物20の位置ずれを抑制することできる。よって、履物側接点24と台側接点31とを安定して当接させることができる。
【0068】
足温器10は、ヒータ29及び台側ヒータ35を通電させるためには、2つの履物側接点24を2つの台側接点31に当接させる必要がある。しかし、台30は使用者の足元の設置面Gに設置され、載置領域Xの位置を目視確認せずに履物20を台30に置くことが想定される。
【0069】
本発明の足温器10によれば、規制部39によって履物20を載置領域Xに位置決めすることができるので、載置領域Xの位置を目視確認しなくとも、接点同士の位置を合わせ、2つの履物側接点24と2つの台側接点31とを当接できる。よって、載置領域Xに履物20を配置させる際の載置領域Xの位置の目視確認を不要にできる。
【0070】
足温器10は、連結部40によって設置面Gに対する履物配置部32(載置領域X)の傾斜角度を調整することができるので、履物20を載置領域Xに配置する使用者の足の角度姿勢の自由度を向上できる。よって、使用者が足温器10を快適に使用できる。
【0071】
さらに、履物側接点24を使用者の足の角度姿勢に合わせて台側接点31に当接させ易くできるので、ヒータ29及び台側ヒータ35の通電状態を維持し易くできる。また、靴底21の下面を使用者の足の角度姿勢に合わせて載置領域Xの上面に当接させ易くできるので、載置領域Xに配設される台側ヒータ35によって靴底21を温め易くできる。
【0072】
足温器10は、台30の上部32aのウレタンUの硬さが、履物20の靴底21のウレタンの硬さよりも比較的柔らかく設定されるので、靴底21を台30の上部32aに当接させると靴底21よりも上部32aが変形し易い。よって、上部32aのウレタンUの硬さが靴底21のウレタンの硬さよりも硬い場合よりも、履物20を載置領域Xに配置させたときに使用者に上部32aの柔らかさを感取させ、使用者の足を疲れ難くできる。
【0073】
ここで、載置領域Xが形成される上部32aがウレタンUで構成されるので、2つの履物側接点24の離隔する距離が離隔部の長手方向に短い場合、靴底21の下面を載置領域Xに対して傾くように履物20を配置しても、2つの履物側接点24が2つの台側接点31に当接されることがある。載置領域X(凹部の底部)は、靴底21の下面の形状に対応する形状に形成されるから、台側ヒータ35で靴底21の下面を温めるためには、載置領域Xに略平行な姿勢で靴底21の下面を当接させる必要がある。しかし、この場合、靴底21の下面が載置領域Xに略平行とならず、靴底21の下面を載置領域Xに当接させる面積を小さくするので、台側ヒータ35が靴底21の下面を温める面積を小さくする。
【0074】
これに対して、本発明の足温器10によれば、2つの履物側接点24の離隔する距離が離隔部の長手方向距離の4分の1以上の距離に設定される。靴底21の下面を載置領域Xに略平行とさせて、靴底21の下面を載置領域Xに当接させる面積を大きくできるので、台側ヒータ35が靴底21の下面を温める面積を大きくできる。2つの履物側接点24は、離隔部の長手方向の先端と長手方向の後端に配置されることが好ましい。台側ヒータ35が靴底21の下面を温める面積をより大きくできるからである。
【0075】
足温器10は、スイッチ42が履物配置部32の載置領域X内に配置され、載置領域Xから上方に突出するので、載置領域Xに履物20を配置すれば、スイッチ42が履物20の靴底21によって押下される。よって、スイッチ42を載置領域X内に配置しない場合と比べて、スイッチ42を押下させるためだけに行う使用者の動作を不要にできる。
【0076】
足温器10は、スイッチ42を靴底21により押下する際に靴底21と蓋41とが干渉しないように、スイッチ42の上下方向のストローク量と蓋41の変位軌跡とが設定されるので、履物側接点24及び靴底21が蓋41に当接することによる履物側接点24及び蓋41の破損を抑制できる。
【0077】
足温器10は、履物側接点24が金属製のプレートから構成され、台側接点31が磁石から構成されるので、磁石の磁力によって履物側接点24を台側接点31に吸着できる。よって、履物20が載置領域Xに配置された際に、履物側接点24に台側接点31を当接させ易くできる。また、履物側接点24に台側接点31が当接されるときの接触感を使用者に感取させて、接点同士が当接したことを確認させ易くできる。さらに、使用者が足の位置を少し動かしたとしても履物側接点24と台側接点31とを離れ難くさせ、電気的な接続を維持させ易くできる。
【0078】
ここで、例えば、接点以外の部分を互いに吸着させて、履物側接点および台側接点の接点同士を当接させる場合、接点以外の部分が互いに吸着されて当接した状態において、履物側接点および台側接点の間に隙間がない状態とする必要がある。一方、履物側接点および台側接点を隙間がない状態からさらに互いに近づけると、接点同士が互いに押圧されて破損し易くなる。従って、履物側接点および台側接点の接点同士のクリアランス(当接する部分の距離)の管理が難しい。
【0079】
これに対して、本実施形態では、台側接点31自体が磁石から構成され、履物側接点24自体が強磁性体から構成されるので、履物側接点24及び台側接点31を吸着させて接点同士を確実に当接させることができる。よって、接点同士のクリアランス(当接する部分の距離)の管理を容易にできる。
【0080】
また、重力以外の荷重が履物20に作用しない図2の状態において、履物側接点24は、その周囲の靴底21の下面と略面一であり、より詳細には靴底21の下面に対して若干上方(内側)に退避している。この履物側接点24が退避した状態は、ウレタン製の靴底21(弾性体)によって弾性的に維持されている。これにより、履物20を使用者が履いた状態でも履物側接点24を靴底21の下面から突出し難くできるため、台側接点31との当接を解除した履物側接点24を周囲の物品に当たり難くできる。その結果、例えば履物側接点24のメッキを剥がれ難くできる。
【0081】
なお、履物側接点24が上方へ退避した状態から、磁石である台側接点31の吸着力が履物側接点24に作用すると、図7に示す通り履物側接点24の周囲の靴底21が弾性変形して靴底21の下面から履物側接点24が突出する。これにより、履物側接点24が台側接点31に当接する。その当接を解除することで、弾性回復により履物側接点24が再び靴底21の下面から突出し難くなる。
【0082】
図8を参照して、第2実施形態における足温器110について説明する。図8(a)は第2実施形態における台130の模式的な上面図であり、図8(b)は図8(a)のVIIIb-VIIIb線における履物120が配置された台130の模式的な断面図である。図8(a)では、台側ヒータ135の図示が省略されている。
【0083】
第1実施形態では、台側ヒータ35は、台30の上部32aの載置領域Xのみに配設されたが、第2実施形態では、台側ヒータ135は、台130の履物配置部132(上部133)のうちの履物120が配置される載置領域Xに加え、立設部133b及び甲部対向部133cにも配設される。なお、第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0084】
第2実施形態では、履物120は、アッパー122の胴体部122bのうちの使用者の足首から上方の部分に対応する部分にはヒータ129が内蔵されるが、靴底21、甲部122a及び胴体部122bのうちの使用者の足首より下方の部分に対応する部分にはヒータが内蔵されない。
【0085】
上部133は、載置領域Xが形成される底部133aと、底部133aの外縁から上方に立設する立設部133bと、載置領域Xの長手方向前方側の立設部133bの上部に形成されると共に載置領域Xの長手方向前方側から長手方向後方側に向かって突出する甲部対向部133cとを備える。立設部133bは、載置領域Xに配置された履物120の側面を囲う部分であり、甲部対向部133cは、載置領域Xに配置された履物120の甲部122aを覆うように対向する部分である。底部133a、立設部133b及び甲部対向部133cには、台側ヒータ135が配設される。
【0086】
第2実施形態の足温器110によれば、第1実施形態の足温器10の奏する効果に加え、台130の底部133a、立設部133b及び甲部対向部133cに台側ヒータ135が配設され、履物120の甲部122a及び胴体部122bの使用者の足首よりも下方の部分に対応する部分にヒータ129が配設されないので、使用者の足を温めつつ、ヒータ129が断線に至る繰り返しの屈曲負荷を受けることを低減できる。
【0087】
図9から図13を参照して、第3実施形態における足温器210について説明する。まず図9(a)を参照して、足温器210の履物220について説明する。図9(a)は第3実施形態における履物220の模式的な断面図である。
【0088】
第1実施形態では、靴底21にクリップ25を介して履物側接点24が固着されている。第3実施形態の履物220は、この第1実施形態のクリップ25を出没機構250に置換したものである。なお、第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0089】
履物220の靴底221の下面に形成された貫通孔の内部には、出没機構250が装着される。出没機構250は、靴底221の下面から履物側接点24を出没させるための機構である。出没機構250は、シリンダ251と、着脱部材252と、ピストン253と、ワイヤ254と、フランジ255と、弾性体256とを備え、主に合成樹脂から構成される。
【0090】
図9(b)はシリンダ251の模式的な上面図であり、図9(c)は図9(b)のIXc-IXc線におけるシリンダ251の模式的な断面図である。
【0091】
シリンダ251は、軸Cを中心とした円筒状の部材であり、軸方向の第1端251a及び第2端251bがそれぞれ開口している。シリンダ251は、軸方向の全長に亘って外径が一定である。シリンダ251には、第1端251a側の内周面を全周に亘って径方向内側へ張り出させた円環状の段差部251cが形成されている。シリンダ251は、段差部251cよりも第2端251b側において、軸方向の全長に亘って内径が一定である。
【0092】
図9(a)に示すように、シリンダ251の第2端251bを靴底221の下面に向けた状態で、靴底221の貫通孔の内部にシリンダ251の外周面が固着される。この固着した状態で、シリンダ251の第2端251bは靴底221の下面から上方へ離れた位置にある。また、本実施形態では、シリンダ251が靴底221に接着剤で固着される。但し、第1実施形態においてクリップ37をウレタンUと一体にしたように、ウレタン製の靴底221の成形時にシリンダ251を靴底221に埋め込んで一体化しても良い。
【0093】
着脱部材252は、このシリンダ251に着脱可能に取り付けられる部材である。図10(a)は着脱部材252の模式的な上面図であり、図10(b)は図10(a)のXb-Xb線における着脱部材252の模式的な断面図であり、図10(c)は図10(a)のXc-Xc線における着脱部材252の模式的な断面図である。
【0094】
着脱部材252は、軸Cを中心とした円柱状の部材であり、軸方向の第1端252a及び第2端252bを有する。着脱部材252の中央には、第1端252a及び第2端252bにそれぞれ開口する孔252cが軸Cに沿って形成されている。着脱部材252の第1端252aには、溝252d及び一対の係合部252eが形成されている。溝252dは、孔252cを囲むように設けた円環状の凹みである。
【0095】
一対の係合部252eは、軸Cに関して対称に配置され、溝252dよりも径方向外側の第1端252aから軸方向に突出する。係合部252eの先端からは、径方向外側へ爪252fが張り出す。また、爪252fの先端面(上面)は、径方向内側から外側へ向かって下降傾斜する。
【0096】
図9(a)に戻って説明する。着脱部材252の外径は、シリンダ251の内径と略同一である。シリンダ251の第2端251bに着脱部材252を係合部252eから挿入することで、スナップフィットによってシリンダ251に着脱部材252が取り付けられる。
【0097】
具体的に、この挿入時にはまず、係合部252eの爪252fがシリンダ251の段差部251cに当たると、爪252fの下降傾斜によって係合部252eが径方向内側に弾性変形する。そのまま挿入を進めると、爪252fがシリンダ251の第1端251aを越え、着脱部材252の第1端252aが段差部251cに当たる。この爪252fと第1端252aとで段差部251cを挟むことにより、シリンダ251に着脱部材252が取り付けられる。この状態から、係合部252eを径方向内側に弾性変形させて爪252fの引っ掛かりを解除することで、シリンダ251から着脱部材252を容易に取り外すことができる。
【0098】
ピストン253は、軸Cを中心とした円柱状の部材であり、外径がシリンダ251の内径と略同一である。ピストン253は、着脱部材252の第2端252b側でシリンダ251内を軸方向に往復移動可能に構成され、シリンダ251の内周面に対し摺動する。ピストン253には、着脱部材252とは反対側の面に履物側接点24が固着される。
【0099】
履物側接点24から延びるワイヤ254がコネクタ28bに接続されることで、履物側接点24と履物220のヒータ29(図13参照)とが電気的に接続される。また、コネクタ28bに接続されるワイヤ254は、ピストン253の径方向中央に設けた孔と、着脱部材252の孔252cとを通る。
【0100】
コネクタ28b近傍のワイヤ254には、径方向外側へ張り出す円板状のフランジ255が固着される。このフランジ255と着脱部材252との間で弾性体256が圧縮される。弾性体256は、ワイヤ254を囲む圧縮コイルばねから構成され、着脱部材252の溝252dに嵌まることで位置決めされる。
【0101】
この弾性体256の弾性力によって、フランジ255が着脱部材252から離れる方向へ荷重を受け、そのフランジ255にワイヤ254を介して連結されたピストン253が着脱部材252の第2端252bに押し当てられる。これにより、ピストン253に固着された履物側接点24が靴底221の下面から上方(内側)へ退避し、その退避した状態が弾性体256によって弾性的に維持される。
【0102】
後述する磁石の吸着力によって弾性体256が弾性(圧縮)変形すると、ピストン253がシリンダ251内を下方へ移動し、靴底221の下面から履物側接点24が突出する。この吸着力が作用しなくなると、弾性体256の弾性回復によりピストン253がシリンダ251内を上方へ移動し、再び履物側接点24が靴底221の下面から上方へ退避する。
【0103】
この退避した状態では、使用者が履物220を履いたまま移動した場合などにおいて、履物側接点24を周囲の物品に当たり難くできる。その結果、例えば履物側接点24のメッキを剥がれ難くできる。加えて、使用者の指の油分などが履物側接点24に付着し難いため、履物側接点24の接触不良を低減できる。
【0104】
また、繰り返し軸方向に往復運動するピストン253がシリンダ251から抜けないように、シリンダ251やワイヤ254等の各部寸法が設定されている。これにより、往復運動するピストン253及び履物側接点24は、靴底221に擦れ難くなるので、その擦れに起因した靴底221の摩耗を低減できる。
【0105】
コネクタ28bからワイヤ254を外し、着脱部材252をシリンダ251から外すことによって、着脱部材252、ピストン253、履物側接点24、ワイヤ254、フランジ255及び弾性体256からなるユニットを履物220から容易に取り外すことができる。これにより、メッキが剥がれた履物側接点24の交換や、繰り返しの往復運動で摩耗した部品の交換などを容易にできる。さらに、そのユニットを取り外すことで履物220の洗濯を容易にできる。
【0106】
図13は履物220が載置領域Xに配置された台230の模式的な断面図である。靴底221は、履物220を履いた使用者の足の土踏まずに対応する部位(第1実施形態における離隔部の位置)が他部と比べて厚く形成されている。この厚い部位に出没機構250及び履物側接点24が装着される。これにより、出没機構250による履物側接点24の往復運動のストロークを確保し易くできる。加えて、土踏まずに対応する部位には使用者の体重が加わり難いため、履物220を履いた使用者に出没機構250の存在を感じさせ難くできる。
【0107】
次に図11を参照して足温器210の台230について説明する。図11(a)は台230の模式的な上面図であり、図11(b)は図11(a)のXIb-XIb線における台230の模式的な断面図である。第3実施形態の台230は、第1実施形態の台30のクリップ37を異物吸着防止機構260に置換し、第1実施形態の蓋41、スイッチ42及びそれらの連動機構を省略したものである。
【0108】
異物吸着防止機構260は、導電性の異物211が同時に2つの台側接点31に接することを低減するためのものでもある。異物吸着防止機構260は、フレーム261と、コネクタ262と、板ばね263と、台側着脱部材264とを備える。
【0109】
フレーム261は、上面が開口した直方体状の箱であり、合成樹脂により構成される。フレーム261は、下面を構成する矩形状の底壁261aと、底壁261aの相対する2辺からそれぞれ立ち上がる一対の側壁261bと、底壁261aの残りの2辺からそれぞれ立ち上がる一対の側壁261cとを備える。フレーム261の側面を構成する計4枚の側壁261b,261cは互いに連結される。
【0110】
フレーム261は、開口した上面が外部に露出するように上部32aのウレタンUに埋め込まれる。即ちフレーム261は、第1実施形態のクリップ37と同様に、ウレタンUの発泡ウレタン成形の際にウレタンUと一体にされる。但し、発泡ウレタン成形済のウレタンUにフレーム261を接着剤などで後付けしても良い。
【0111】
フレーム261の上面の開口部分であって4枚の側壁261b,261cの上端面は、内側へ向かうにつれて下降傾斜する。さらに、一対の側壁261bには、上端面よりも下方であって上部32aから露出した部分を板厚方向に貫通する係合孔261dが形成されている。各々の係合孔261dは、一対の側壁261cの対向方向(矢印L-R方向)の中央に配置される。
【0112】
底壁261aの中央には、矩形状に凹んだ矩形凹部261eが形成される。この矩形凹部261eの中央で、台側ヒータ35(図13参照)に繋がるハーネス36が底壁261aを貫通する。底壁261a(矩形凹部261eの底面)よりも上方へ延びたハーネス36の端部にコネクタ262が接続される。このコネクタ262は、円板状の部材であり、履物側接点24と同様な金属製のプレートにより構成される。コネクタ262は、矩形凹部261e内に収容され、矩形凹部261eの底面に接着剤などで固着される。
【0113】
板ばね263は、互いに平行な上下2枚の板材の端縁同士を1枚の板材で斜めに繋いで左右方向視においてZ字状に形成された部材である。板ばね263は、この板材同士の角度を変えることで上下方向に弾性変形可能である。板ばね263は、導電性の金属から構成され、コネクタ262の上に重ねられてコネクタ262に電気的に接続される。板ばね263の下側の板材が矩形凹部261e内に収容されることで、フレーム261に対し板ばね263が位置決めされる。
【0114】
台側着脱部材264は、この板ばね263を圧縮しつつフレーム261の内部に嵌め込まれる合成樹脂製の箱であり、フレーム261と同様に上面が開口した直方体状に形成される。
【0115】
図12(a)は台側着脱部材264の模式的な上面図であり、図12(b)は図12(a)のXIIb-XIIb線における台側着脱部材264の模式的な断面図であり、図12(c)は図12(b)の矢印XIIc方向視における台側着脱部材264の模式的な側面図である。
【0116】
台側着脱部材264は、下面を構成する矩形状の底壁264aと、底壁264aの相対する2辺からそれぞれ立ち上がる一対の側壁264bと、底壁264aの残りの2辺からそれぞれ立ち上がる一対の側壁264cとを備える。台側着脱部材264の側面を構成する計4枚の側壁264b,264cは互いに連結される。
【0117】
底壁264aの中央には、板厚方向に貫通する矩形状の孔264dが形成されている。この孔264dは、板ばね263を挿入可能な寸法に設定されている。側壁264cは一枚板から構成される。
【0118】
各々の側壁264bは、一対の側壁264cの対向方向の中央で互いに間隔を空けて2分割される。その分割された側壁264bの間には、側壁264bと同じ高さの突出片264eが底壁264aから上方へ突出する。一対の突出片264eの先端には、互いから離れる方向へ向かって張り出す爪264fが形成されている。この爪264fの下面は、内側へ向かうにつれて下降傾斜する。
【0119】
また、爪264fが張り出した分と略同じだけ、一対の側壁264bの内面に対し突出片264eが外側へオフセットした位置にある。これにより、一対の突出片264eを内側へ弾性変形させて爪264fを側壁264bの外面から張り出さないようにできる。
【0120】
図11に戻って説明する。台側着脱部材264の内部には、磁石からなる台側接点31が収容されて接着剤などにより固着される。なお、台側着脱部材264の側壁264b,264cの上端面よりも上方へ台側接点31が突出しないように各寸法が設定される。
【0121】
台側接点31が収容された台側着脱部材264を底壁264aからフレーム261の上面の開口に挿入することで、スナップフィットによってフレーム261に台側着脱部材264が取り付けられる。具体的に、この挿入時にはまず、フレーム261の側壁261bの先端面と、台側着脱部材264の爪264fの下面とが当たると、それらの下降傾斜によって突出片264eが内側に弾性変形する。そのまま挿入を進めると、爪264fが側壁261bの係合孔261dに嵌まり、突出片264eの弾性変形が元に戻る。
【0122】
爪264fを係合孔261dに嵌めた状態では、台側着脱部材264の孔264dに板ばね263が入り込み、その板ばね263が台側接点31の下面に当接する。これにより、コネクタ262と台側接点31とが板ばね263を介して電気的に接続する。さらにこの状態で、コネクタ262と台側接点31との間で板ばね263が弾性(圧縮)変形する。板ばね263の弾性反力によって台側接点31及び台側着脱部材264が上方へ移動しようとするが、爪264fが係合孔261dの上側に当たってその移動が規制される。
【0123】
このように台側接点31及び台側着脱部材264をフレーム261に取り付けた状態から、一対の爪264fを内側へ押して係合孔261dから外すと、板ばね263の弾性反力によって台側接点31及び台側着脱部材264がフレーム261から抜ける。よって、フレーム261から台側接点31及び台側着脱部材264を板ばね263により抜き易くでき、台側接点31の交換を容易にできる。なお、爪264fを係合孔261dから外した後、使用者が持った金属棒に台側接点31を吸着させて台側接点31及び台側着脱部材264を抜いても良い。
【0124】
ここで、コネクタ262を台側接点31に直接接続し(吸着させ)、板ばね263の代わりに弾性体256(図9参照)のような圧縮コイルばねをコネクタ262と底壁261aとの間に挟んでも良い。
【0125】
但し、圧縮コイルばねと比べて板ばね263の方が弾性反力を大きくし易い。そのため、圧縮コイルばねを用いる場合と比べて板ばね263を用いる方が、フレーム261内で台側接点31を動き難くでき、コネクタ262から台側接点31までの電気的な接続を安定化できる。加えて、板ばね263の大きな弾性反力によって台側接点31及び台側着脱部材264をフレーム261から抜き易くできる。
【0126】
さらに、板ばね263自身がコネクタ262と台側接点31とを電気的に接続する導電体であり、板ばね263の弾性反力によって板ばね263がコネクタ262及び台側接点31にそれぞれ密着する。これにより、板ばね263を介したコネクタ262と台側接点31との電気的な接続をより安定化できる。
【0127】
板ばね263は、強磁性体から構成されることが好ましい。この場合、磁石である台側接点31に板ばね263が吸着され、台側接点31によって磁化された板ばね263にコネクタ262が吸着する。その結果、コネクタ262及び台側接点31のそれぞれに板ばね263をより密着させ易くでき、それらの電気的な接続を更に安定化できる。
【0128】
但し、板ばね263を強磁性体以外から構成しても良い。この場合には、フレーム261から台側接点31及び台側着脱部材264を抜くとき、板ばね263と台側接点31やコネクタ262との当接を解除し易くできる。よって、フレーム261から台側接点31等を取り外し易くできる。
【0129】
また、フレーム261に台側着脱部材264を取り付けた状態では、図11(a)の上面視における台側接点31の四方を取り囲むフレーム261の側壁261b,261cが、図11(b)に示す通り台側接点31に対し上方へ突出している。これにより、2つの台側接点31が隣り合う場合であっても、導電性の異物211が2つの台側接点31に同時に接することを低減でき、その異物211によるショートを生じ難くできる。
【0130】
さらに、側壁261b,261cに対し奥まった位置に台側接点31が有るため、異物211以外の物品を台側接点31に当たり難くできる。よって、例えば使用者の指の油分などが台側接点31に付着し難いため、台側接点31の接触不良を低減できる。
【0131】
次に図13を参照して足温器210の使用方法について説明する。なお、図13では、履物側接点24及び台側接点31が1つずつ図示されているが、実際には第1実施形態と同様に前後方向(図13の紙面垂直方向)に履物側接点24及び台側接点31が2つずつ並んでいる。
【0132】
まず、台230の載置領域Xに履物20を配置し、2つの台側接点31と2つの履物側接点24とをそれぞれ近づける。磁石である台側接点31の吸着力が履物側接点24に作用すると、弾性体256が圧縮変形し、靴底221の下面から上方へ退避していた履物側接点24が出没機構250によってその下面から突出する。
【0133】
これにより、台側接点31を取り囲む側壁261b,261cの内側へ履物側接点24が入り込み、その側壁261b,261cに対し奥まった位置の2つの台側接点31に2つの履物側接点24をそれぞれ当接させることができる。その結果、電源からヒータ29及び台側ヒータ35までの通電経路が形成され、ヒータ29及び台側ヒータ35が発熱して使用者の足を温めることができる。
【0134】
側壁261b,261cの内側へ履物側接点24が入り込むときには、側壁261b,261cの先端面の下降傾斜や、履物側接点24の外周縁に設けた面取りによって、履物側接点24を台側接点31へ案内し易くできる。これにより、台側接点31と履物側接点24とを面接触させ易くでき、それらの接触面積に応じた電気抵抗を低減できる。
【0135】
本実施形態では、靴底221の下面からの2つの履物側接点24の突出量が各々の出没機構250によって個別に調整される。これにより、載置領域Xに対し靴底221の下面が前後方向に傾いても、前後方向に離れた2つの履物側接点24の両方を2つの台側接点31に当接させ易くできる。
【0136】
出没機構250の弾性体256は、圧縮コイルばねから構成されているので、弾性力を小さく設定し易い。この弾性力を小さくすることで、台側接点31と履物側接点24との吸着力が弱くても、それらを当接させ易くできる。さらに、弾性体256を構成する圧縮コイルばねは、圧縮変形可能な量を調整し易いので、靴底221の下面から上方への履物側接点24の退避量を容易に大きくしたり、靴底221の下面から下方への履物側接点24の突出量を容易に大きくしたりできる。
【0137】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0138】
本実施形態では、履物20,120,220が長靴状である場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。履物20,120,220が革靴、運動靴、安全靴、スリッパ、パンプス、ハイヒールのように、胴体部22b,122bのうちの使用者の足首よりも上の部分に対応する部分をなくした形状であっても良い。また、履物20,120,220の靴底21,221がウレタン製である場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。ウレタン以外の発泡合成樹脂や布、革、合成ゴムで靴底21,221を構成しても良く、それらの素材を組み合わせて靴底21,221を構成しても良い。
【0139】
同様に、アッパー22を発泡合成樹脂や布、革、合成ゴムで構成しても良く、それらの素材を組み合わせてアッパー22を構成しても良い。アッパー22は、別々に成形した甲部22aと胴体部22bとを後から接続する場合に限らず、甲部22aと胴体部22bとを一体成形しても良い。この場合、各々に設けたヒータ29を電気的に接続するワイヤ28aを不要にできる。さらに、アッパー22の一部または全部と、靴底21,221とを一体成形しても良い。
【0140】
本実施形態では、靴底21の第3領域21cが離隔部を含む場合について説明したが必ずしもこれに限られない。第3領域21cは、履物20,120が設置姿勢で置かれ、履物20,120に重力以外の荷重が作用しない状態において、第3領域21cの下面全体が地面gと接するものであっても良い。また、靴底221に離隔部を設けても良い。
【0141】
本実施形態では、履物20,120,220の左右ごとの履物側接点24の数が2つである場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。履物20,120,220の左右ごとの履物側接点24の数が3つ以上であっても良い。この場合、3つ以上の履物側接点24が3つ以上の台側接点31に当接しないとヒータ29,129及び台側ヒータ35,135に通電しないように設定すれば、履物側接点24の数が2つである場合よりも、靴底21,221の下面が載置領域Xに対して浮いている面積を少なくすることができる。よって、靴底21,221の下面を台側ヒータ35,135が配設される載置領域Xに当接させる面積を大きくして、靴底21,221を台側ヒータ35,135によって温め易くできる。
【0142】
本実施形態では、1つのクリップ25に1つの履物側接点24が配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。1つのクリップに2つの履物側接点24が配置されても良い。この場合、例えば、2つの履物側接点24同士の位置精度を向上させることや、靴底21を成形型によって成形する際に、成形型に配置する部品点数を少なくすることができる。同様に、1つの出没機構250に1つの履物側接点24が配置される場合に限らず、1つの出没機構に2つの履物側接点24を配置しても良い。
【0143】
本実施形態では、2つの履物側接点24が離隔部の長手方向にできるだけ離隔して配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。2つの履物側接点24が近くに配置されても良い。この場合、2つの履物側接点24と2つの台側接点31とを当接させる際に、靴底21が載置領域Xに対して略平行とする必要がある部分を少なくできるので、足の一部を台30,130,230から浮かせたり、接触させたりして、足の姿勢の自由度を向上できる。よって、使用者の足の疲れを軽減できる。
【0144】
本実施形態では、履物側接点24が導電性の金属製のプレートから構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。履物側接点24及び台側接点31が導電性の磁石から構成されるものであっても良い。この場合、履物側接点24は、靴底21,221の第3領域21cのうち、特に使用者の体重が履物20,120,220にかかった場合であっても地面gと離隔する部分に配設されることが好ましい。また、台側接点31が導電性の金属製のプレートで構成されるものであっても良い。履物側接点24及び台側接点31の両方が導電性の金属製のプレートで構成されるものであっても良い。また、履物側接点24が導電性の磁石から構成され、台側接点31が導電性の金属製のプレートから構成されても良い。
【0145】
本実施形態では、第1領域21a、第3領域21c及び第2領域21bの長手方向の長さの比が2:3:1の関係となるように設定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。第1領域21a、第3領域21c及び第2領域21bの長手方向の長さの比が2:1:2から1:5:1の範囲内の関係となるように設定されても良い。この場合、第1領域21aと第2領域21bとの長手方向の長さの比が異なるものであっても良い。いずれの場合であっても、第1領域21a、第3領域21c及び第2領域21bの長手方向の長さの比は、第3領域21cの長手方向の長さが第1領域21aや第2領域21bの長手方向の長さよりも長くなるように設定されることが好ましい。第3領域21cの離隔部の領域を長手方向に長くできるので、2つの履物側接点24が長手方向に離隔する距離を長くして、靴底21,221の下面を載置領域Xに当接させ易くできる。
【0146】
本実施形態では、ヒータ29,129が靴底21,221に配設されない場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。ヒータ29,129が靴底21,221の第1領域21a及び第2領域21bに配設され、第3領域21cには配設されないものであっても良い。さらに、靴底21,221の外縁23のうち、第1領域21a及び第2領域21bと重なる外縁23にヒータ29,129が配設され、靴底21,221の他の部分(第3領域21c及び靴底21,221の下面)にはヒータ29,129が配設されないものであっても良い。
【0147】
この場合、第3領域21cには、使用者の各指の付け根の関節が位置する部分と対応する部分が含まれる。従って、第3領域21cには、使用者が歩く際に、各指の付け根の関節が曲がることによって屈曲されて変形し易い部分が含まれる。よって、使用者が歩くときに屈曲して変形し易い第3領域21cや靴底21,221の下面(靴底21,221のうちの外縁23よりも内側の部分)にはヒータ29,129が配設されないので、ヒータ29,129が断線に至る繰り返しの屈曲負荷を受けることを低減できる。
【0148】
さらに、ヒータ29,129を靴底21,221に配設した場合、そのヒータ29,129に対応する位置における台30,130,230の台側ヒータ35,135を省略しても良い。なお、靴底21,221のヒータ29,129に対応する位置の台側ヒータ35,135を省略せず、それらの両方を発熱させても良い。
【0149】
本実施形態では、規制部39が上部32aの上面から凹む凹部の一部(凹部のうちの底部の外縁から上方に立接する部分)である場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。規制部が上部32aの上面から突出するものであっても良い。この場合、規制部に囲まれる内側の部分が載置領域Xに該当し、規制部39が凹部の一部である場合と同様の効果を奏することができる。さらに、規制部は、履物20,120,220の側面を囲むように周方向に互いが離れて複数形成されるものであっても良い。
【0150】
本実施形態では、スイッチ42が載置領域Xのうちの前方に配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。スイッチ42が載置領域Xのうちの蓋41の近くに配置されたり、載置領域Xのうちの後方や中央に配置されても良い。
【0151】
この場合、載置領域Xのうちの蓋41の近くにスイッチ42が配置されることが好ましい。載置領域Xに略平行でない状態(傾いた状態)で靴底21が置かれても、靴底21の傾きによって生じる蓋41及びスイッチ42の位置における靴底21の下面の高さの差(靴底21を載置領域Xに略平行に置いた状態と比較した高さの差)を小さくできる。スイッチ42の上下方向のストロークを確保できるので、靴底21及び履物側接点24を蓋41に当接させ難くできる。よって、履物側接点24及び蓋41が破損することを抑制できる。
【0152】
本実施形態では、左右1組の履物20,120,220について台30,130,230が1つである場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。台を左右の履物20,120,220の一足ごとに対応するように左右1つずつ設けても良い。左右1つずつの台を設置面Gに自由に配置できるので、一方の足(履物)の位置によらずに、他方の足の位置を自由に配置できる。よって、使用者が長時間使用しても疲れ難くできる。この場合、お互いの台を電気的に接続させて受電部34を1つにすることが好ましい。外部電源と受電部34とを接続するための電源コードを複数設けなくても良いからである。
【0153】
本実施形態では、出没機構250によって履物側接点24が靴底221の下面から出没する場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。出没機構によって台側接点31が台230の載置領域Xから出没するように構成しても良い。この場合、履物側接点24を靴底221の下面から上方へ常時退避させておくことで、台側接点31との当接を解除した履物側接点24を周囲の物品に当たり難くできる。さらに、台側接点31を出没させる出没機構を、第1実施形態におけるスイッチ42の代わりとし、台側接点31の出没に連動させて蓋41を開閉しても良い。
【0154】
本実施形態では、上面視における台側接点31の四方を取り囲むフレーム261の側壁261b,261cが台側接点31に対し上方へ突出している場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。上面視において隣り合った2つの台側接点31の間に、台側接点31に対し上方へ突出する(台側接点31よりも高い)1枚の側壁が有れば良い。例えば具体的に、図11(a)における右側の異物吸着防止機構260を第1実施形態のクリップ37に変更し、左側の異物吸着防止機構260における右側の側壁261bのみが台側接点31よりも高ければ良い。この場合でも、導電性の異物211が2つの台側接点31に同時に接することを低減できる。
【0155】
さらに側壁261b,261cが無くても、載置領域X(ウレタンUや表皮38)に対して台側接点31を奥まった位置に配置することで、導電性の異物211が2つの台側接点31に同時に接することを低減できる。
【0156】
本実施形態では、履物側接点24が靴底21,221の下面に露出し、台側接点31が台30,130,230の上部32aの上面(載置領域X)に露出する場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。靴底21,221の側面やアッパー22,122の外面に履物側接点24を露出させ、台30,130,230の規制部39に台側接点31を露出させても良い。この場合、出没機構250によって履物側接点24や台側接点31を、それらが露出する面に対し出没させても良い。また、例えば靴底21,221の側面やアッパー22,122の外面に出没機構250を装着し、その出没機構250で履物側接点24を上下に移動させても良い。
【0157】
靴底21,221の下面に履物側接点24を設ける場合、履物20,120,220を履いた使用者の足の土踏まずに対応する部位に限らず、例えば靴底21,221のつま先側やかかと側に履物側接点24を設けても良い。この場合、履物側接点24の周囲における靴底21,221を高剛性化または肉厚化して、履物側接点24に使用者の体重を加わり難くすることが好ましい。
【0158】
本実施形態では、ピストン253の外径がシリンダ251の内径と略同一である場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、シリンダ251の軸Cに対しピストン253を傾けることができる程度に、シリンダ251の内径よりもピストン253の外径を小さくしても良い。シリンダ251に対しピストン253を傾けた場合、靴底221の下面と、ピストン253に固着された履物側接点24の下面とが非平行になる。よって、台側接点31の上面と略平行な載置領域Xに対し、靴底221の下面を略平行に維持しなくても、台側接点31と履物側接点24とを面接触させ易くでき、それらの接触面積に応じた電気抵抗を低減できる。
【符号の説明】
【0159】
10,110,210 足温器
20,120,220 履物
21,221 靴底
21a 第1領域
21b 第2領域
21c 第3領域
22,122 アッパー
23 外縁
24 履物側接点
29,129 ヒータ
30,130,230 台
31 台側接点
32,132 履物配置部
33 設置部
35,135 台側ヒータ
39 規制部
40 連結部
41 蓋
42 スイッチ
256 弾性体
G 設置面
X 載置領域(所定位置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13