(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143262
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】フレーム付きマスク、梱包体、及び、有機デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/04 20060101AFI20241003BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20241003BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241003BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20241003BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H10K50/10
H10K59/10
H10K71/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055843
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】穂刈 久実子
(72)【発明者】
【氏名】小幡 勝也
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康子
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107FF15
3K107GG28
3K107GG33
4K029AA06
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA62
4K029BB03
4K029BC07
4K029BD01
4K029CA01
4K029DB06
4K029DB17
4K029HA02
4K029HA03
4K029HA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シリコン基板を用いたマスクにおいて、その外縁近傍まで開口を形成しても外縁部が破損することを抑制できる、フレーム付きマスクを提供する。
【解決手段】フレーム付きマスク15は、第1層30と第2層とフレーム60と接続層とを含んでいる。第1層30は第1開口31を含んでいる。第2層は、平面視において第1開口31に重なる複数の第2開口41を含んでいる。フレーム60は、第1層30の外側領域35に接続し、平面視において第1層30の外縁303の外側まで広がっている。接続層は、第1層30とフレーム60との間に配置され、第1層30とフレーム60とを接続している。第1層30は、シリコンを含む。接続層は接着剤を含む。第1層30上及び/またはフレーム60上に吸着層80が配置されている。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面から前記第2面へ貫通する少なくとも1つの第1開口と、外縁と、平面視において前記外縁と前記第1開口との間に位置する外側領域と、を含む第1層と、
前記第2面に対向する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、前記第3面から前記第4面へ貫通し、平面視において前記第1開口に重なる複数の第2開口と、を含む第2層と、
前記第1層の前記外縁に及び/または前記外側領域の前記第1面に接続するフレームであって、その一部が平面視において前記第1層の前記外縁の外側まで広がっているフレームと、
前記第1層と前記フレームとの間に配置され、前記第1層と前記フレームとを接続する接続層と、
を含み、
前記第1層は、シリコンを含み、
前記接続層は、接着剤を含み、
前記第1層上及び/または前記フレーム上に吸着層が配置されている、フレーム付きマスク。
【請求項2】
前記吸着層は、前記接続層の下方に又は平面視において前記接続層と前記第1開口との間に配置された第1吸着層を含む、請求項1に記載のフレーム付きマスク。
【請求項3】
平面視において、前記第1吸着層は前記フレームと重ならない位置に配置されており、
前記第1吸着層の厚みが前記接続層の厚みより大きい、請求項2に記載のフレーム付きマスク。
【請求項4】
前記第1吸着層は、前記第1層と前記フレームとの間に配置されている、請求項2に記載のフレーム付きマスク。
【請求項5】
前記フレームは、前記第4面と同じ側を向く第5面と、前記第5面の反対側に位置する第6面と、前記第5面から前記第6面へ貫通し、平面視において前記第1開口に重なる第3開口と、を含み、
前記接続層及び前記第1吸着層は、前記第3開口の縁に沿って周状に配置されている、請求項2に記載のフレーム付きマスク。
【請求項6】
前記吸着層は、前記接続層の上方に又は前記接続層に対して前記第1開口の側とは反対の側に配置された第2吸着層を含む、請求項1に記載のフレーム付きマスク。
【請求項7】
平面視において、前記第2吸着層は前記第1層と重ならない位置に配置されており、
前記第2吸着層の厚みが前記接続層の厚みより大きい、請求項6に記載のフレーム付きマスク。
【請求項8】
前記第2吸着層は、前記第1層と前記フレームとの間に配置されている、請求項6に記載のフレーム付きマスク。
【請求項9】
前記フレームは、前記第4面と同じ側を向く第5面と、前記第5面の反対側に位置する第6面と、前記第5面から前記第6面へ貫通し、平面視において前記第1開口に重なる第3開口と、を含み、
前記接続層及び前記第2吸着層は、前記第1層の外縁に沿って周状に配置されている、請求項6に記載のフレーム付きマスク。
【請求項10】
前記第1層は、複数の第1開口と、隣り合う前記第1開口の間に位置する内側領域とを有し、
前記吸着層は、前記内側領域に配置された第3吸着層を含む、請求項1に記載のフレーム付きマスク。
【請求項11】
前記吸着層は、前記第1層の前記第1開口に面する第1壁面上に配置された第4吸着層を含む、請求項1に記載のフレーム付きマスク。
【請求項12】
前記吸着層は吸湿性を有している、請求項1に記載のフレーム付きマスク。
【請求項13】
前記吸着層は磁性材料を含む、請求項1に記載のフレーム付きマスク。
【請求項14】
前記接着剤は樹脂を含む、請求項1に記載のフレーム付きマスク。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のフレーム付きマスクと、
前記フレーム付きマスクを収容する容器と、
を含む梱包体。
【請求項16】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のフレーム付きマスクを用いる蒸着法によって基板上に有機層を形成する工程を含む、有機デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、フレーム付きマスク、梱包体、及び、有機デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
精密なパターンを形成するための方法として、蒸着法が知られている。蒸着法においては、まず、開口が形成されたマスクを基板に組み合わせる。続いて、マスクの開口を介して蒸着材料を基板に付着される。これにより、マスクの開口のパターンに対応したパターンで、蒸着材料を含む蒸着層を基板上に形成できる。蒸着法は、例えば、有機EL表示装置の画素を形成する方法として用いられている。
【0003】
例えば特許文献1は、フレームと、張力が加えられた状態でフレームに接合されているマスクと、を備えるマスク装置を用いる形態を開示している。フレーム及びマスクは、ニッケルを含む鉄合金によって構成されている。
【0004】
一方、例えば特許文献2は、マスクが熱によって変形することを抑制するため、シリコン基板によってマスクを構成することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-49889号公報
【特許文献2】特開2009-062565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリコン基板を用いたマスクは、その外縁近傍まで開口を形成すると、外縁部が破損しやすくなり、マスクの取り扱いが困難になる。その一方で、マスクの外縁近傍まで開口を形成することで、一枚のマスクで基板のより広い範囲に蒸着層を形成可能とすることが求められている。
【0007】
本開示の実施形態は、このような課題を効果的に解決し得るマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態によるマスクは、フレーム付きマスクであって、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面から前記第2面へ貫通する少なくとも1つの第1開口と、外縁と、平面視において前記外縁と前記第1開口との間に位置する外側領域と、を含む第1層を含んでいてよい。また、フレーム付きマスクは、前記第2面に対向する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、前記第3面から前記第4面へ貫通し、平面視において前記第1開口に重なる複数の第2開口と、を含む第2層を含んでいてよい。また、フレーム付きマスクは、前記第1層の前記外縁に及び/または前記外側領域の前記第1面に接続するフレームであって、その一部が平面視において前記第1層の前記外縁の外側まで広がっているフレームを含んでいてよい。また、フレーム付きマスクは、前記第1層と前記フレームとの間に配置され、前記第1層と前記フレームとを接続する接続層を含んでいてよい。前記第1層は、シリコンを含んでいてよい。前記接続層は、接着剤を含んでいてよい。前記第1層上及び/または前記フレーム上に吸着層が配置されていてよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の実施形態によれば、シリコンを含むマスクを取り扱うときにマスクが破損することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】フレーム付きマスクを備えた蒸着装置の一例を示す図である。
【
図3A】入射面の側から見た場合のフレーム付きマスクの一例を示す平面図である。
【
図3B】入射面の側から見た場合のフレーム付きマスクの一変形例を示す平面図である。
【
図3C】入射面の側から見た場合のフレーム付きマスクの一変形例を示す平面図である。
【
図4】出射面の側から見た場合のフレーム付きマスクの一例を示す平面図である。
【
図5A】
図3Aのフレーム付きマスクのV-V線に沿った断面図である。
【
図5B】
図5Aに示す断面の二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
【
図6】
図5Bに示す断面の二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
【
図7】一実施の形態によるフレーム付きマスクの製造方法の一例を示す断面図である。
【
図8】一実施の形態によるフレーム付きマスクの製造方法の一例を示す断面図である。
【
図9】一実施の形態によるフレーム付きマスクの製造方法の一例を示す断面図である。
【
図10】一実施の形態によるフレーム付きマスクの製造方法の一例を示す断面図である。
【
図11】一実施の形態によるフレーム付きマスクの製造方法の一例を示す断面図である。
【
図12】一実施の形態によるフレーム付きマスクの製造方法の一例を示す断面図である。
【
図13】一実施の形態によるフレーム付きマスクの製造方法の一例を示す断面図である。
【
図14】一実施の形態によるフレーム付きマスクの製造方法の一例を示す断面図である。
【
図15】一実施の形態によるフレーム付きマスクの製造方法の一例を示す断面図である。
【
図16】
図6に対応する図であって、フレーム付きマスクの一変形例を示す断面図である。
【
図17】
図6に対応する図であって、フレーム付きマスクの一変形例を示す断面図である。
【
図18】
図5Bに対応する図であって、フレーム付きマスクの一変形例を示す断面図である。
【
図19】
図5Bに対応する図であって、フレーム付きマスクの一変形例を示す断面図である。
【
図20】一実施の形態によるフレーム付きマスクを含む梱包体を示す断面図である。
【
図21】有機デバイスを備える装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」、「シート」、「フィルム」などの、ある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
【0012】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待してもよい程度の範囲を含めて解釈する。
【0013】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
【0014】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、要素Aの面が要素Bの面に「対向する」という状態は、要素Aの面が要素Bの面に接している場合だけでなく、要素Aの面と要素Bの面の間に要素Cが位置している場合も含む。すなわち、「対向する」という用語は、2つの面の向きを表す用語である。
【0015】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0016】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、本明細書の一実施形態は、矛盾の生じない範囲で、その他の例と組み合わせられ得る。また、その他の例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。
【0017】
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して2つ以上のステップ又はプロセスを開示する場合に、開示されているステップ又はプロセスの間に、開示されていないその他のステップ又はプロセスが実施されてもよい。また、開示されているステップ又はプロセスの順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
【0018】
本明細書の一実施形態においては、マスクが、有機EL表示装置を製造する際に有機層又は電極を基板上に形成するために用いられる例について説明する。ただし、マスクの用途が特に限定されることはなく、種々の用途に用いられるマスクに対し、本実施形態を適用することができる。例えば、仮想現実いわゆるVRや拡張現実いわゆるARを表現するための画像や映像を表示又は投影するための装置の電極を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。また、液晶表示装置の電極などの、有機EL表示装置以外の表示装置の電極を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。また、圧力センサの電極などの、表示装置以外の有機デバイスの電極を形成するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。
【0019】
本開示の第1の態様は、フレーム付きマスクであって、
第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、前記第1面から前記第2面へ貫通する少なくとも1つの第1開口と、外縁と、平面視において前記外縁と前記第1開口との間に位置する外側領域と、を含む第1層と、
前記第2面に対向する第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、前記第3面から前記第4面へ貫通し、平面視において前記第1開口に重なる複数の第2開口と、を含む第2層と、
前記第1層の前記外縁に及び/または前記外側領域の前記第1面に接続するフレームであって、その一部が平面視において前記第1層の前記外縁の外側まで広がっているフレームと、
前記第1層と前記フレームとの間に配置され、前記第1層と前記フレームとを接続する接続層と、
を含み、
前記第1層は、シリコンを含み、
前記接続層は、接着剤を含み、
前記第1層上及び/または前記フレーム上に吸着層が配置されている、フレーム付きマスクである。
【0020】
上述した第1の態様に従う第2の態様によるフレーム付きマスクにおいて、前記吸着層は、前記接続層の下方に又は平面視において前記接続層と前記第1開口との間に配置された第1吸着層を含んでいてもよい。
【0021】
上述した第2の態様に従う第3の態様によるフレーム付きマスクにおいて、平面視において前記第1吸着層は前記フレームと重ならない位置に配置されていてもよく、前記第1吸着層の厚みが前記接続層の厚みより大きくてもよい。
【0022】
上述した第2の態様に従う第4の態様によるフレーム付きマスクにおいて、前記第1吸着層は、前記第1層と前記フレームとの間に配置されていてもよい。
【0023】
上述した第1の態様から上述した第4の態様のいずれかに従う第5の態様によるフレーム付きマスクにおいて、前記フレームは、前記第4面と同じ側を向く第5面と、前記第5面の反対側に位置する第6面と、前記第5面から前記第6面へ貫通し、平面視において前記第1開口に重なる第3開口と、を含んでいてもよく、前記接続層及び前記第1吸着層は、前記第3開口の縁に沿って周状に配置されていてもよい。
【0024】
上述した第1の態様から上述した第5の態様のいずれかに従う第6の態様によるフレーム付きマスクにおいて、前記吸着層は、前記接続層の上方に又は前記接続層に対して前記第1開口の側とは反対の側に配置された第2吸着層を含んでいてもよい。
【0025】
上述した第1の態様から上述した第6の態様のいずれかに従う第7の態様によるフレーム付きマスクにおいて、平面視において前記第2吸着層は前記第1層と重ならない位置に配置されていてもよく、前記第2吸着層の厚みが前記接続層の厚みより大きくてもよい。
【0026】
上述した第6の態様に従う第8の態様によるフレーム付きマスクにおいて、前記第2吸着層は、前記第1層と前記フレームとの間に配置されていてもよい。
【0027】
上述した第6の態様から上述した第8の態様のいずれかに従う第9の態様によるフレーム付きマスクにおいて、前記フレームは、前記第4面と同じ側を向く第5面と、前記第5面の反対側に位置する第6面と、前記第5面から前記第6面へ貫通し、平面視において前記第1開口に重なる第3開口と、を含んでいてもよく、前記接続層及び前記第2吸着層は、前記第1層の外縁に沿って周状に配置されていてもよい。
【0028】
上述した第1の態様から上述した第9の態様のいずれかに従う第10の態様によるフレーム付きマスクにおいて、前記第1層は、複数の第1開口と、隣り合う前記第1開口の間に位置する内側領域とを有していてもよく、前記吸着層は、前記内側領域に配置された第3吸着層を含んでいてもよい。
【0029】
上述した第1の態様から上述した第10の態様のいずれかに従う第11の態様によるフレーム付きマスクにおいて、前記吸着層は、前記第1層の前記第1開口に面する第1壁面上に配置された第4吸着層を含んでいてもよい。
【0030】
上述した第1の態様から上述した第11の態様のいずれかに従う第12の態様によるフレーム付きマスクにおいて、前記吸着層は吸湿性を有していてもよい。
【0031】
上述した第1の態様から上述した第12の態様のいずれかに従う第13の態様によるフレーム付きマスクにおいて、前記吸着層は磁性材料を含んでいてもよい。
【0032】
上述した第1の態様から上述した第13の態様のいずれかに従う第14の態様によるフレーム付きマスクにおいて、前記接着剤は樹脂を含んでいてもよい。
【0033】
本開示の第15の態様は、梱包体であって、
上述した第1の態様から上述した第14の態様のいずれかのフレーム付きマスクと、
前記フレーム付きマスクを収容する容器と、を含む梱包体である。
【0034】
本開示の第16の態様は、有機デバイスの製造方法であって、
上述した第1の態様から上述した第14の態様のいずれかのフレーム付きマスクを用いる蒸着法によって基板上に有機層を形成する工程を含む、有機デバイスの製造方法である。
【0035】
図1乃至
図15を参照して、一実施の形態について説明する。まず、マスクを用いることにより形成される有機層を備える有機デバイス100について説明する。
図1は、有機デバイス100の一例を示す断面図である。
【0036】
有機デバイス100は、基板110と、基板110の面内方向に沿って並ぶ複数の素子115と、を含む。基板110は、第1面111及び第1面111の反対側に位置する第2面112を含む。素子115は、第1面111に位置している。素子115は、例えば画素である。基板110は、2以上の種類の素子115を含んでいてもよい。例えば、基板110は、第1素子115A及び第2素子115Bを含んでいてもよい。図示はしないが、基板110は、第3素子を含んでいてもよい。第1素子115A、第2素子115B及び第3素子は、例えば、赤色画素、青色画素及び緑色画素である。
【0037】
素子115は、第1電極120と、第1電極120上に位置する有機層130と、有機層130上に位置する第2電極140と、を有していてもよい。
【0038】
有機デバイス100は、平面視において隣り合う2つの第1電極120の間に位置する絶縁層160を備えていてもよい。絶縁層160は、例えばポリイミドを含んでいる。絶縁層160は、第1電極120の端部に重なっていてもよい。「平面視」とは、基板110などの板状の部材の面の法線方向に沿って対象を見ることを意味する。
【0039】
基板110は、絶縁性を有する部材であってもよい。基板110の材料としては、例えば、シリコン、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のないリジッド材、あるいは、樹脂フィルム、光学用樹脂板、薄ガラス等の可撓性を有するフレキシブル材等を用いることができる。基板110は、半導体製造で用いられるシリコンウエハと同様の平面形状を有していてもよい。この場合、半導体製造工程を実施する装置を用いて基板110を処理できる。例えば、半導体製造工程を実施する装置を用いて基板110に第1電極120、絶縁層160などを形成できる。
【0040】
素子115は、第1電極120と第2電極140との間に電圧が印加されることにより、又は、第1電極120と第2電極140との間に電流が流れることにより、何らかの機能を実現するよう構成されている。例えば、素子115が、有機EL表示装置の画素である場合、素子115は、映像を構成する光を放出できる。
【0041】
第1電極120は、導電性を有する材料を含む。例えば、第1電極120は、金属、導電性を有する金属酸化物や、その他の導電性を有する無機材料などを含む。第1電極120は、インジウム・スズ酸化物などの、透明性及び導電性を有する金属酸化物を含んでいてもよい。
【0042】
有機層130は、有機材料を含む。有機層130が通電されると、有機層130は、何らかの機能を発揮できる。通電とは、有機層130に電圧が印加されること、又は有機層130に電流が流れることを意味する。有機層130としては、通電により光を放出する発光層、通電により光の透過率や屈折率が変化する層などを用いることができる。有機層130は、有機半導体材料を含んでいてもよい。
【0043】
図1に示すように、有機層130は、第1有機層130A及び第2有機層130Bを含んでいてもよい。第1有機層130Aは、第1素子115Aに含まれる。第2有機層130Bは、第2素子115Bに含まれる。図示はしないが、有機層130は、第3素子に含まれる第3有機層を含んでいてもよい。第1有機層130A、第2有機層130B及び第3有機層は、例えば、赤色発光層、青色発光層及び緑色発光層である。
【0044】
第1電極120と第2電極140との間に電圧を印加すると、両者の間に位置する有機層130が駆動される。有機層130が発光層である場合、有機層130から光が放出され、光が第2電極140側又は第1電極120側から外部へ取り出される。
【0045】
有機層130は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを更に含んでいてもよい。
【0046】
第2電極140は、金属などの、導電性を有する材料を含んでいてもよい。第2電極140の材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、錫、クロム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロム、炭素等及びこれらの合金を用いることができる。
図1に示すように、第2電極140は、平面視において隣り合う2つの有機層130に跨るように広がっていてもよい。
【0047】
次に、有機層130を蒸着法によって基板110に形成する方法について説明する。
図2は、蒸着装置10を示す図である。蒸着装置10は、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する。
【0048】
図2に示すように、蒸着装置10は、その内部に、蒸着源6、ヒータ8、及びフレーム付きマスク15を備えていてもよい。蒸着装置10は、蒸着装置10の内部を真空雰囲気にするための排気手段を更に備えていてもよい。蒸着源6は、例えばるつぼである。蒸着源6は、有機材料、金属材料などの蒸着材料7を収容する。ヒータ8は、蒸着源6を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料7を蒸発させる。
【0049】
なお、本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、フレーム付きマスク15及びフレーム付きマスク15を構成する要素に対して用いる「上方」及び「下方」の用語は、フレーム付きマスク15が蒸着装置10に設置された状態を基準とした「上方」及び「下方」を意味する。より具体的には、「下方」とは、フレーム付きマスク15が蒸着装置10に設置された状態で、フレーム付きマスク15及びフレーム付きマスク15を構成する要素の、蒸着源6の側を向く側を意味する。また、「上方」とは、フレーム付きマスク15が蒸着装置10に設置された状態で、フレーム付きマスク15及びフレーム付きマスク15を構成する要素の、基板110の側を向く側を意味する。
【0050】
フレーム付きマスク15は、マスク20と、マスク20に取り付けられたフレーム60と、を含む。マスク20は、入射面201、出射面202及び第2開口41を含む。出射面202は、入射面201の反対側に位置する。フレーム付きマスク15は、マスクホルダ9に支持されている。フレーム付きマスク15は、入射面201が蒸着源6と対向し、出射面202が基板110の第1面111と対向するように、配置されている。出射面202からマスク20に入った蒸着材料7の一部は、第2開口41を通過して出射面202から出る。出射面202から出た蒸着材料7は、基板110の第1面111に付着する。マスク20の出射面202は、基板110の第1面111に接していてもよい。
【0051】
図2に示すように、蒸着装置10は、基板110の第2面112側に配置されている磁石5を備えていてもよい。マスク20が金属材料を含む場合、磁石5は、磁力によってマスク20を基板110に向けて引き寄せることができる。これにより、マスク20と基板110との間の隙間を低減したり、隙間をなくしたりすることができる。このことにより、蒸着工程においてシャドウが発生することを抑制できる。本願において、シャドウとは、第2開口41の壁面の近傍に形成される有機層130の厚みが、第2開口41の中心に形成される有機層130の厚みよりも小さくなる現象である。シャドウは、蒸着材料7がマスク20の壁面に付着すること、蒸着材料7がマスク20と基板110との間の隙間に入り込むこと、などに起因して生じる。
【0052】
次に、フレーム付きマスク15について、詳述する。
図3Aは、入射面201の側から見た場合のフレーム付きマスク15の一例を示す平面図である。
図4は、出射面202の側から見た場合のフレーム付きマスク15の一例を示す平面図である。
図5Aは、
図3Aのフレーム付きマスク15のV-V線に沿った断面図である。
図5Bは、
図5Aの断面の二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
【0053】
まず、マスク20について詳細に説明する。
図5Aに示すように、マスク20は、入射面201から出射面202に向かって順に並ぶ第1層30及び第2層40を備える。第1層30は、シリコン又はシリコン化合物を含む。シリコン化合物は、例えばシリコンカーバイド(SiC)である。第2層40は、例えば、樹脂材料を含む。
図5Aに示すように、マスク20は、さらに中間層50を備えていてもよい。中間層50は、第1層30と第2層40との間に配置されている。以下、各層について説明する。
【0054】
第1層30は、第1面301、第2面302、第1開口31及び第1壁面32を含む。第1面301は、入射面201を構成していてもよい。第2面302は、第1面301の反対側に位置している。
【0055】
第1開口31は、第1層30を、第1面301から第2面302へ貫通している。
図3Aに示すように、第1層30は、複数の第1開口31を含んでいてもよい。複数の第1開口31は、第1方向D1及び第2方向D2に並んでいてもよい。第2方向D2は、第1方向D1に直交していてもよい。
【0056】
第1開口31は、有機EL表示装置の1つの画面に対応していてもよい。
図3Aに示すマスク20は、複数の画面に対応する有機層のパターンを同時に基板110に形成できる。
図3Aに示すように、第1開口31は、平面視において矩形の輪郭を有していてもよい。
【0057】
図3B及び
図3Cはそれぞれ、マスク20のその他の例を示す平面図である。
図3Bに示すように、第1開口31の輪郭の角部は曲線を含んでいてもよい。
図3Cに示すように、第1開口31の輪郭は八角形であってもよい。
図3B及び
図3Cに示す例によれば、第1開口31の輪郭に応力が加わる場合に、応力が角部に集中することを抑制できる。このため、第1層30が破損することを抑制できる。
【0058】
第1壁面32は、第1開口31に面する第1層30の面である。
図3Aに示す例において、第1壁面32は、第1面301の法線方向に沿って広がっている。
【0059】
図3Aに示すように、第1開口31が形成されていない第1層30の領域は、外側領域35及び内側領域36に区画されてもよい。内側領域36は、平面視において隣り合う2つの第1開口31の間に位置する領域である。外側領域35は、平面視において、第1層30の外縁303と第1開口31との間に位置する領域である。
図3Aに示すように、内側領域36は、第1方向D1及び第2方向D2に延びていてもよい。
【0060】
図3A及び
図4に示すように、第1層30は、アライメントマーク39を含んでいてもよい。アライメントマーク39は、例えば第2面302に形成されている。アライメントマーク39は、第1面301に形成されていてもよい。アライメントマーク39は、例えば、マスク20に対する基板110の相対的な位置を調整するために利用される。基板110が可視光を透過させる性質を有する場合、基板110を介しアライメントマーク39を視認できる。
【0061】
図3A及び
図4に示すように、アライメントマーク39は、平面視において円形の輪郭を有していてもよい。図示はしないが、アライメントマーク39は、矩形や十字形など、円形以外の輪郭を有していてもよい。アライメントマーク39は、外側領域35に位置していてもよく、内側領域36に位置していてもよい。アライメントマーク39は、第1層30以外の層に形成されていてもよい。また、後述するように、マスク20にはアライメントマーク39は形成されずに、フレーム60にアライメントマークが形成されてもよい。
【0062】
第1層30は、上述のようにシリコン又はシリコン化合物を含む。第1層30は、例えば、シリコンウエハを加工することによって作製される。
図3Aに示すように、第1層30の外縁303は、直線状の部分を含んでいてもよい。直線状の部分は、オリエンテーションフラットとも称される。図示はしないが、外縁303には切り欠きが形成されていてもよい。切り欠きは、ノッチとも称される。オリエンテーションフラット及びノッチは、シリコンウエハの結晶方位を表す。
【0063】
平面視における第1層30の最大の寸法S1は、例えば、100mm以上でもよく、150mm以上でもよく、200mm以上でもよい。寸法S1は、例えば、300mm以下でもよく、400mm以下でもよく、500mm以下でもよい。寸法S1の範囲は、100mm、150mm及び200mmからなる第1グループ、及び/又は、300mm、400mm及び500mmからなる第2グループによって定められてもよい。寸法S1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。寸法S1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。寸法S1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。寸法S1は、例えば、100mm以上500mm以下でもよく、100mm以上400mm以下でもよく、100mm以上300mm以下でもよく、100mm以上200mm以下でもよく、100mm以上150mm以下でもよく、150mm以上500mm以下でもよく、150mm以上400mm以下でもよく、150mm以上300mm以下でもよく、150mm以上200mm以下でもよく、200mm以上500mm以下でもよく、200mm以上400mm以下でもよく、200mm以上300mm以下でもよく、300mm以上500mm以下でもよく、300mm以上400mm以下でもよく、400mm以上500mm以下でもよい。
【0064】
第1開口31が並ぶ方向における第1開口31の寸法S2は、例えば、5mm以上でもよく、10mm以上でもよく、20mm以上でもよい。寸法S2は、例えば、30mm以下でもよく、50mm以下でもよく、100mm以下でもよい。寸法S2の範囲は、5mm、10mm及び20mmからなる第1グループ、及び/又は、30mm、50mm及び100mmからなる第2グループによって定められてもよい。寸法S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。寸法S2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。寸法S2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。寸法S2は、例えば、5mm以上100mm以下でもよく、5mm以上50mm以下でもよく、5mm以上30mm以下でもよく、5mm以上20mm以下でもよく、5mm以上10mm以下でもよく、10mm以上100mm以下でもよく、10mm以上50mm以下でもよく、10mm以上30mm以下でもよく、10mm以上20mm以下でもよく、20mm以上100mm以下でもよく、20mm以上50mm以下でもよく、20mm以上30mm以下でもよく、30mm以上100mm以下でもよく、30mm以上50mm以下でもよく、50mm以上100mm以下でもよい。
【0065】
第1開口31が並ぶ方向における2つの第1開口31の間の間隔S3は、例えば、0.1mm以上でもよく、0.5mm以上でもよく、1.0mm以上でもよい。間隔S3は、例えば、10mm以下でもよく、15mm以下でもよく、20mm以下でもよい。間隔S3の範囲は、0.1mm、0.5mm及び1.0mmからなる第1グループ、及び/又は、10mm、15mm及び20mmからなる第2グループによって定められてもよい。間隔S3の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。間隔S3の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。間隔S3の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。間隔S3は、例えば、0.1mm以上20mm以下でもよく、0.1mm以上15mm以下でもよく、0.1mm以上10mm以下でもよく、0.1mm以上1.0mm以下でもよく、0.1mm以上0.5mm以下でもよく、0.5mm以上20mm以下でもよく、0.5mm以上15mm以下でもよく、0.5mm以上10mm以下でもよく、0.5mm以上1.0mm以下でもよく、1.0mm以上20mm以下でもよく、1.0mm以上15mm以下でもよく、1.0mm以上10mm以下でもよく、10mm以上20mm以下でもよく、10mm以上15mm以下でもよく、15mm以上20mm以下でもよい。
【0066】
第1層30の厚みは、外側領域35の最大の厚みT1として定義される。厚みT1は、例えば、50μm以上でもよく、100μm以上でもよく、200μm以上でもよい。厚みT1は、例えば、600μm以下でもよく、800μm以下でもよく、1000μm以下でもよい。厚みT1の範囲は、50μm、100μm及び200μmからなる第1グループ、及び/又は、600μm、800μm及び1000μmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みT1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みT1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT1は、例えば、50μm以上1000μm以下でもよく、50μm以上800μm以下でもよく、50μm以上600μm以下でもよく、50μm以上200μm以下でもよく、50μm以上100μm以下でもよく、100μm以上1000μm以下でもよく、100μm以上800μm以下でもよく、100μm以上600μm以下でもよく、100μm以上200μm以下でもよく、200μm以上1000μm以下でもよく、200μm以上800μm以下でもよく、200μm以上600μm以下でもよく、600μm以上1000μm以下でもよく、600μm以上800μm以下でもよく、800μm以上1000μm以下でもよい。
【0067】
次に、第2層40について説明する。第2層40は、第3面401、第4面402、及び複数の第2開口41を含む。第3面401は、第1層30の第2面302に対向している。第4面402は、第3面401の反対側に位置している。
【0068】
第2開口41は、第2層40を、第3面401から第4面402へ貫通している。1つの第2開口41が、1つの有機層130に対応している。規則的に並ぶ複数の第2開口41の一群が、有機EL表示装置の1つの画面に対応している。
図3A及び
図4に示すように、規則的に並ぶ複数の第2開口41の一群が、平面視において1つの第1開口31に重なっていてもよい。第2開口41の複数の群が、シリコンウエハなどの1枚の部材を加工することによって形成された第1層30によって支持されている。
【0069】
第2層40は、周縁領域43及び有効領域44に区画されてもよい。周縁領域43は、平面視において第1層30に重なる領域である。有効領域44は、規則的に並ぶ複数の第2開口41の一群が分布している領域である。
【0070】
図5Cは、有効領域44の一例を示す断面図である。第2層40は、第2開口41に面する第2壁面42を含む。
図5Cに示すように、第2壁面42は、第3面401に向かうにつれて第2開口41の中心から離れるように広がるテーパ面42aを含んでいてもよい。第2壁面42がテーパ面42aを含むことにより、第2壁面42の近傍においてシャドウが生じることを抑制できる。
【0071】
図5Cにおいて、符号S8は、第2開口41が並ぶ方向におけるテーパ面42aの幅を表す。幅S8は、例えば、0.2μm以上でもよく、0.5μm以上でもよく、1.0μm以上でもよい。幅S8は、例えば、10μm以下でもよく、20μm以下でもよく、25μm以下でもよい。幅S8の範囲は、0.2μm、0.5μm及び1.0μmからなる第1グループ、及び/又は、10μm、20μm及び25μmからなる第2グループによって定められてもよい。幅S8の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。幅S8の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。幅S8の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。幅S8は、例えば、0.2μm以上25μm以下でもよく、0.2μm以上20μm以下でもよく、0.2μm以上10μm以下でもよく、0.2μm以上1.0μm以下でもよく、0.2μm以上0.5μm以下でもよく、0.5μm以上25μm以下でもよく、0.5μm以上20μm以下でもよく、0.5μm以上10μm以下でもよく、0.5μm以上1.0μm以下でもよく、1.0μm以上25μm以下でもよく、1.0μm以上20μm以下でもよく、1.0μm以上10μm以下でもよく、10μm以上25μm以下でもよく、10μm以上20μm以下でもよく、20μm以上25μm以下でもよい。
【0072】
図5Cにおいて、符号θ1は、第2壁面42と第4面402とが成す角度を表す。角度θ1は、例えば、50°以上でもよく、55°以上でもよく、60°以上でもよい。角度θ1は、例えば、80°以下でもよく、85°以下でもよく、90°未満でもよい。角度θ1の範囲は、50°、55°及び60°からなる第1グループ、及び/又は、80°、85°及び90°からなる第2グループによって定められてもよい。角度θ1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。角度θ1の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。角度θ1の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。角度θ1は、例えば、50°以上90°未満でもよく、50°以上85°以下でもよく、50°以上80°以下でもよく、50°以上60°以下でもよく、50°以上55°以下でもよく、55°以上90°未満でもよく、55°以上85°以下でもよく、55°以上80°以下でもよく、55°以上60°以下でもよく、60°以上90°未満でもよく、60°以上85°以下でもよく、60°以上80°以下でもよく、80°以上90°未満でもよく、80°以上85°以下でもよく、85°以上90°未満でもよい。
【0073】
第2層40は、樹脂材料を含んでいてよい。樹脂材料は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン-メタクリル酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セロファン、アイオノマー樹脂等である。第2層40は、単一の樹脂層によって構成されていてもよく、複数の樹脂層を含んでいてもよい。
【0074】
第2層40の厚みは、第1層30の厚みT1よりも小さい。第2層40の厚みは、例えば、0.5μm以上でもよく、1.0μm以上でもよく、2.0μm以上でもよい。第2層40の厚みは、例えば、5μm以下でもよく、10μm以下でもよく、25μm以下でもよい。第2層40の厚みの範囲は、0.5μm、1.0μm及び2.0μmからなる第1グループ、及び/又は、5μm、10μm及び25μmからなる第2グループによって定められてもよい。第2層40の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第2層40の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2層40の厚みの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2層40の厚みは、例えば、0.5μm以上25μm以下でもよく、0.5μm以上10μm以下でもよく、0.5μm以上5μm以下でもよく、0.5μm以上2.0μm以下でもよく、0.5μm以上1.0μm以下でもよく、1.0μm以上25μm以下でもよく、1.0μm以上10μm以下でもよく、1.0μm以上5μm以下でもよく、1.0μm以上2.0μm以下でもよく、2.0μm以上25μm以下でもよく、2.0μm以上10μm以下でもよく、2.0μm以上5μm以下でもよく、5μm以上25μm以下でもよく、5μm以上10μm以下でもよく、10μm以上25μm以下でもよい。第2層40の厚みが25μm以下であることにより、シャドウの発生を抑制できる。第2層40の厚みが0.5μm以上であることにより、ピンホール等の欠陥や変形等が第2層40に生じることを抑制できる。
【0075】
平面視における第2開口41の寸法S4は、例えば、1μm以上でもよく、2μm以上でもよく、3μm以上でもよい。寸法S4は、例えば、5μm以下でもよく、10μm以下でもよく、25μm以下でもよい。寸法S4の範囲は、1μm、2μm及び3μmからなる第1グループ、及び/又は、5μm、10μm及び25μmからなる第2グループによって定められてもよい。寸法S4の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。寸法S4の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。寸法S4の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。寸法S4は、例えば、1μm以上25μm以下でもよく、1μm以上10μm以下でもよく、1μm以上5μm以下でもよく、1μm以上3μm以下でもよく、1μm以上2μm以下でもよく、2μm以上25μm以下でもよく、2μm以上10μm以下でもよく、2μm以上5μm以下でもよく、2μm以上3μm以下でもよく、3μm以上25μm以下でもよく、3μm以上10μm以下でもよく、3μm以上5μm以下でもよく、5μm以上25μm以下でもよく、5μm以上10μm以下でもよく、10μm以上25μm以下でもよい。
【0076】
第2開口41が並ぶ方向における2つの第2開口41の間の間隔S5は、例えば、1μm以上でもよく、2μm以上でもよく、3μm以上でもよい。間隔S5は、例えば、5μm以下でもよく、10μm以下でもよく、25μm以下でもよい。間隔S5の範囲は、1μm、2μm及び3μmからなる第1グループ、及び/又は、5μm、10μm及び25μmからなる第2グループによって定められてもよい。間隔S5の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。間隔S5の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。間隔S5の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。間隔S5は、例えば、1μm以上25μm以下でもよく、1μm以上10μm以下でもよく、1μm以上5μm以下でもよく、1μm以上3μm以下でもよく、1μm以上2μm以下でもよく、2μm以上25μm以下でもよく、2μm以上10μm以下でもよく、2μm以上5μm以下でもよく、2μm以上3μm以下でもよく、3μm以上25μm以下でもよく、3μm以上10μm以下でもよく、3μm以上5μm以下でもよく、5μm以上25μm以下でもよく、5μm以上10μm以下でもよく、10μm以上25μm以下でもよい。
【0077】
平面視における第1壁面32と第2開口41との間の間隔S6は、間隔S5よりも大きくてもよい。これにより、第1壁面32に近接する第2開口41においてシャドウが生じることを抑制できる。
【0078】
第2層40は、アライメントマークを含んでいてもよい。第2層40のアライメントマークは、第1層30のアライメントマーク39とは別に形成されていてもよく、第1層30のアライメントマーク39の替わりに形成されていてもよい。
【0079】
次に、中間層50について説明する。中間層50は、第1層30又は第2層40に対する何らかの機能を果たす層を含む。例えば中間層50は、第1中間層51を含む。
図5Bに示す例において、第1中間層51は、第1層30と第2層40との間に位置している。
【0080】
第1中間層51は、エッチングによって第1層30を加工する工程において、エッチングをストップさせるストッパ層として機能してもよい。具体的には、第1中間層51は、第1層30をエッチングするエッチャントに対する耐性を有する。第1中間層51は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン又はチタン合金を含んでいてもよい。第1中間層51は、酸化シリコンなどの無機化合物を含んでいてもよい。
【0081】
第1中間層51がストッパ層である場合、第1中間層51の厚みは、第1層30を加工する工程において第2層40がエッチングされることを抑制できる限り特には限定されない。例えば、第1中間層51の厚みは、第2層40の厚みよりも小さくてもよく、第2層40の厚み以上でもよい。第1中間層51の厚みは、例えば、5nm以上でもよく、50nm以上でもよく、75nm以上でもよい。第1中間層51の厚みは、例えば、1μm以下でもよく、10μm以下でもよく、100μm以下でもよい。第1中間層51の厚みの範囲は、5nm、50nm及び75nmからなる第1グループ、及び/又は、1μm、10μm及び100μmからなる第2グループによって定められてもよい。第1中間層51の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第1中間層51の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1中間層51の厚みの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1中間層51の厚みは、例えば、5nm以上100μm以下でもよく、5nm以上10μm以下でもよく、5nm以上1μm以下でもよく、5nm以上75nm以下でもよく、5nm以上50nm以下でもよく、50nm以上100μm以下でもよく、50nm以上10μm以下でもよく、50nm以上1μm以下でもよく、50nm以上75nm以下でもよく、75nm以上100μm以下でもよく、75nm以上10μm以下でもよく、75nm以上1μm以下でもよく、1μm以上100μm以下でもよく、1μm以上10μm以下でもよく、10μm以上100μm以下でもよい。第1層30用のエッチャントに対する第1中間層51の耐性が高いほど、第1中間層51の厚みを小さくできる。第1中間層51の厚みが1μm以下であることが特に好ましい。
【0082】
中間層50は、第1層30と第2層40とを接合する機能を果たす層を含んでいてもよい。例えば第1中間層51は、接着剤を含む接合層であってもよい。接合層の厚みは、例えば、0.1μm以上でもよく、0.2μm以上でもよく、0.5μm以上でもよい。接合層の厚みは、例えば、1μm以下でもよく、2μm以下でもよく、3μm以下でもよい。接合層の厚みの範囲は、0.1μm、0.2μm及び0.5μmからなる第1グループ、及び/又は、1μm、2μm及び3μmからなる第2グループによって定められてもよい。接合層の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。接合層の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。接合層の厚みの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。接合層の厚みは、例えば、0.1μm以上3μm以下でもよく、0.1μm以上2μm以下でもよく、0.1μm以上1μm以下でもよく、0.1μm以上0.5μm以下でもよく、0.1μm以上0.2μm以下でもよく、0.2μm以上3μm以下でもよく、0.2μm以上2μm以下でもよく、0.2μm以上1μm以下でもよく、0.2μm以上0.5μm以下でもよく、0.5μm以上3μm以下でもよく、0.5μm以上2μm以下でもよく、0.5μm以上1μm以下でもよく、1μm以上3μm以下でもよく、1μm以上2μm以下でもよく、2μm以上3μm以下でもよい。
【0083】
好ましくは、中間層50は、平面視において第2開口41に重ならないよう位置している。これにより、中間層50に起因するシャドウが生じることを抑制できる。
【0084】
第1中間層51は、アライメントマークを含んでいてもよい。第1中間層51のアライメントマークは、第1層30又は第2層40のアライメントマークとは別に形成されていてもよく、第1層30又は第2層40のアライメントマークの替わりに形成されていてもよい。
【0085】
次に、フレーム60について詳細に説明する。フレーム60は、マスク20を取り扱う際、例えばマスク20を移動させる際、把持されることを目的として、マスク20に取り付けられる。
図3A等に示すように、マスク20には、その外縁近傍まで第2開口41が、したがって第1開口31が形成されている。マスク20を取り扱う際、例えばマスク20を移動させる際、第2層40の第2開口41の変形等を防止するため、第2開口41が形成されている領域よりも外側の領域を把持することが望まれるが、第1層30の外縁303の近傍まで第1開口31が形成されているため、外側領域35の広さは、マスク20を把持するには不十分である。また、第1層30の外縁303の近傍まで第1開口31が形成されているため、外側領域35は狭い。幅の狭い外側領域35は、第1層30がシリコンを含む場合、特に破損しやすい。このようなマスク20にフレーム60が取り付けられていることで、マスク20を取り扱う際、フレーム60を把持でき、第1層30が破損する虞も低減される。この結果、マスク20の取り扱いが容易になる。
【0086】
図3A乃至
図5Bから理解されるように、フレーム60は、第5面601および第6面602を含む。第5面601は、第4面402が向く側と同じ側を向く。第6面602は、第5面601の反対側に位置している。図示された例では、第5面601と第1面301とが対向している。なお、フレーム付きマスク15を蒸着装置10のマスクホルダ9で支持した状態で、第2層40が水平になるよう、フレーム60は第2層40と平行である。
【0087】
図5Aおよび
図5Bに示されているように、フレーム60は、外側領域35の第1面301に接続している。図示された例では、外側領域35の第1面301とフレーム60の第5面601との間に接続層70が配置されている。フレーム60は、接続層70を介して第1層30に接続している。平面視において、フレーム60は第1開口31と重なっていない。また、平面視において、フレーム60の少なくとも一部は、第1層30の外縁303の外側まで広がっている。これにより、フレーム60によって、マスク20を取り扱う際に把持するための領域が拡張される。
【0088】
フレーム60は、ガラス材料または金属材料を含む。ガラス材料は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等である。また、金属材料は、インバー材やSUS430、SUS304等のステンレスである。フレーム60がこれらの材料を含むことにより、フレーム60の剛性を第1層30よりも高くできる。フレーム60の材料は、フレーム付きマスク15を取り扱う作業者やロボットハンドの把持力を考慮して、フレーム60が必要な剛性を有するように決定されてよい。
【0089】
また、フレーム60の線熱膨張係数は、第1層30の線熱膨張係数と同程度であることが好ましい。これにより、フレーム付きマスク15が加熱された際の、フレーム60及び第1層30の伸び率を同程度にすることができる。この結果、第1層30が破損する虞が抑制される。具体的には、フレーム60の線熱膨張係数と第1層30の線熱膨張係数の差の絶対値が、15ppm/℃以下であり、10ppm/℃以下であってもよく、5.0ppm/℃以下であってもよい。
【0090】
図示された例では、フレーム60は、環状に形成されている。フレーム60は、平面視において第1層30の外縁303の外側を周状に延びる領域を有する。これにより、マスク20を取り扱う際に第1層30の外側領域35が破損する虞が、効果的に抑制される。より具体的には、フレーム60の中央には、フレーム60を第5面601から第6面602へ貫通する第3開口61が形成されている。図示された例では、第3開口61は、第1層30の外縁303と相似形である。第3開口61の最大寸法S9は、第1層30の外縁303の最大寸法S1よりも小さい。平面視において、第3開口61は、第1開口31に重なる。図示された例では、平面視において、第3開口61は、第1層30の内側領域36とも重なる。言い換えると、平面視において、第3開口61と全ての第1開口31とが重なる。
【0091】
フレーム60の外縁603の形状及び寸法は特に限定されない。フレーム60の外縁603の形状及び寸法S10は、フレーム付きマスク15を取り扱う作業者の手やロボットハンドの寸法や形状、蒸着装置10のマスクホルダ9の寸法や形状に基づいて決定されてよい。フレーム60の外縁603は、四角形状であってもよいし、他の多角形状であってもよい。フレーム60の外縁603の寸法S10は、例えば、100mm以上でもよく、150mm以上でもよく、200mm以上でもよい。寸法S10は、例えば、300mm以下でもよく、400mm以下でもよく、500mm以下でもよい。寸法S10の範囲は、100mm、150mm及び200mmからなる第1グループ、及び/又は、300mm、400mm及び500mmからなる第2グループによって定められてもよい。寸法S10の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。寸法S10の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。寸法S10の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。寸法S10は、例えば、100mm以上500mm以下でもよく、100mm以上400mm以下でもよく、100mm以上300mm以下でもよく、100mm以上200mm以下でもよく、100mm以上150mm以下でもよく、150mm以上500mm以下でもよく、150mm以上400mm以下でもよく、150mm以上300mm以下でもよく、150mm以上200mm以下でもよく、200mm以上500mm以下でもよく、200mm以上400mm以下でもよく、200mm以上300mm以下でもよく、300mm以上500mm以下でもよく、300mm以上400mm以下でもよく、400mm以上500mm以下でもよい。
【0092】
フレーム60の外縁603と第1層30の外縁303との距離S11も、フレーム付きマスク15を取り扱う作業者の手やロボットハンドの寸法や形状、蒸着装置10のマスクホルダ9の寸法や形状に基づいて決定されてよい。距離S11は、例えば、5mm以上でもよく、10mm以上でもよく、15mm以上でもよい。距離S11は、例えば、30mm以下でもよく、60mm以下でもよく、100mm以下でもよい。距離S11の範囲は、5mm、10mm及び15mmからなる第1グループ、及び/又は、30mm、60mm及び100mmからなる第2グループによって定められてもよい。距離S11の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。距離S11の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。距離S11の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。距離S11は、例えば、5mm以上100mm以下でもよく、5mm以上60mm以下でもよく、5mm以上30mm以下でもよく、5mm以上15mm以下でもよく、5mm以上10mm以下でもよく、10mm以上100mm以下でもよく、10mm以上60mm以下でもよく、10mm以上30mm以下でもよく、10mm以上15mm以下でもよく、15mm以上100mm以下でもよく、15mm以上60mm以下でもよく、15mm以上30mm以下でもよく、30mm以上100mm以下でもよく、30mm以上60mm以下でもよく、60mm以上100mm以下でもよい。
【0093】
フレーム60の厚みT2も特に限定されない。厚みT2も、フレーム付きマスク15を取り扱う作業者の手やロボットハンドの寸法や形状、蒸着装置10のマスクホルダ9の寸法や形状に基づいて決定されてよい。厚みT2は、例えば、500μm以上でもよく、2mm以上でもよく、5mm以上でもよい。厚みT2は、例えば、10mm以下でもよく、20mm以下でもよく、30mm以下でもよい。厚みT2の範囲は、500μm、2mm及び5mmからなる第1グループ、及び/又は、10mm、20mm及び30mmからなる第2グループによって定められてもよい。厚みT2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。厚みT2の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT2の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。厚みT2は、例えば、500μm以上30mm以下でもよく、500μm以上20mm以下でもよく、500μm以上10mm以下でもよく、500μm以上5mm以下でもよく、500μm以上2mm以下でもよく、2mm以上30mm以下でもよく、2mm以上20mm以下でもよく、2mm以上10mm以下でもよく、2mm以上5mm以下でもよく、5mm以上30mm以下でもよく、5mm以上20mm以下でもよく、5mm以上10mm以下でもよく、10mm以上30mm以下でもよく、10mm以上20mm以下でもよく、20mm以上30mm以下でもよい。
【0094】
フレーム60の外縁603の形状及び寸法並びにフレーム60の厚みT2を、フレーム付きマスク15を取り扱うロボットハンドの寸法や形状、蒸着装置10のマスクホルダ9の寸法や形状に基づいて決定することにより、フレーム付きマスク15の形状及び寸法を、既存のロボットハンドや既存の蒸着装置10に適した形状及び寸法にできる。言い換えると、マスク20の形状及び寸法を既存のロボットハンドや既存の蒸着装置10に適した形状及び寸法にする必要がなく、マスク20の設計の自由度が向上する。
【0095】
図示された例では、フレーム60の第5面601は、第2層40の第4面402よりも、第1層30の第1面301側に位置している。言い換えると、第2層40は、フレーム60の第5面601から突出している。これにより、基板110又は基板110上の構成要素にマスク20を通じて蒸着層を形成する際に、第2層40を基板110又は基板110上の構成要素に接触させることができる。
【0096】
フレーム60は、アライメントマークを含んでいてもよい。これにより、フレーム60をマスク20に取り付ける際に、マスク20をフレーム60に対して位置決めすることが容易である。また、フレーム60に形成されたアライメントマークは、マスク20に対する基板110の相対的な位置を調整するためにも利用可能である。
【0097】
図5A及び
図5Bに示す例では、フレーム60は、接続層70を介して第1層30に接続されている。
図6は、
図5Bの断面図の二点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
図6に示す例では、接続層70は、フレーム60の第5面601と第1層30の第1面301との間に配置されている。
【0098】
接続層70は、接着剤71を含み、接着、粘着あるいは溶着により、フレーム60を第1層30に対して固定する。接着剤71は、ガラス材料、金属材料又は樹脂材料を含んでよい。接着剤71は、ガラスフリット、ガラスペースト、半田ペースト、導電性ペースト、エポキシ樹脂、ポリイミド、アクリル樹脂等を含んでよい。蒸着装置10内で蒸着処理中に接着剤71からのアウトガスの発生を抑制する目的で、例えば、アレムコプロダクツ社製の高耐熱性エポキシ接着剤「アレムコボンド526N」や、協立化学産業株式会社製のUV硬化型接着剤「WORLDROCK(登録商標)5910(品番)」又は「WORLDROCK(登録商標)8723K9B(品番)」を、接着剤71として採用可能である。また、接着剤71として耐溶剤性の高い接着剤を使用することにより、蒸着処理に使用したフレーム付きマスク15を洗浄して蒸着材料を除去する際に、洗浄液に接触した接続層70が変形してフレーム60がマスク20から分離する、という虞を抑制することができる。この場合、例えば、スリーボンド社製の紫外線硬化型接着剤「ThreeBond(登録商標)3026E(製品名)」を、接着剤71として採用可能である。また、接着剤71としてフレーム60やマスク20から剥離可能な接着剤を用いることにより、フレーム60やマスク20を再利用することができる。この場合、例えば、セメダイン株式会社製の両面剥離型接着剤「BBX100(製品名)」や、積水フーラー株式会社製の可視光硬化型接着剤「クリアプレスト(登録商標)CP4374(製品名)」又は「クリアプレスト(登録商標)K40(製品名)」、日化精工株式会社製のシアノアクリレート系瞬間接着剤「スカイロック(登録商標)R-4」を、接着剤71として採用可能である。
【0099】
なお、接続層70が紫外線硬化型の接着剤71を含む場合、フレーム60は紫外線を透過可能な材料で形成されていることが好ましい。この場合、紫外線はフレーム60を透過して接続層70に入射でき、接着剤71を硬化できる。
【0100】
接続層70の厚みは、例えば、0.05μm以上でもよく、5μm以上でもよく、10μm以上でもよい。接続層70の厚みは、例えば、20μm以下でもよく、50μm以下でもよく、100μm以下でもよい。接続層70の厚みの範囲は、0.05μm、5μm及び10μmからなる第1グループ、及び/又は、20μm、50μm及び100μmからなる第2グループによって定められてもよい。接続層70の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。接続層70の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。接続層70の厚みの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。接続層70の厚みは、例えば、0.05μm以上100μm以下でもよく、0.05μm以上50μm以下でもよく、0.05μm以上20μm以下でもよく、0.05μm以上10μm以下でもよく、0.05μm以上5μm以下でもよく、5μm以上100μm以下でもよく、5μm以上50μm以下でもよく、5μm以上20μm以下でもよく、5μm以上10μm以下でもよく、10μm以上100μm以下でもよく、10μm以上50μm以下でもよく、10μm以上20μm以下でもよく、20μm以上100μm以下でもよく、20μm以上50μm以下でもよく、50μm以上100μm以下でもよい。
【0101】
図6に示すように、フレーム60と第1層30との間に、スペーサ75が配置されてもよい。
図6に示す例では、スペーサ75は、フレーム60の第5面601と第1層30の第1面301との間に配置されている。
【0102】
スペーサ75は、フレーム60と第1層30との間隔を均一にする目的で、フレーム60と第1層30との間に配置される。とりわけ、フレーム60の第5面601と第1層30の第1面301との間に接続層70及びスペーサ75が配置される場合、フレーム60を第1層30に対して押し付けるだけで、接続層70の厚みをスペーサ75の寸法に応じた均一な厚みにできる。フレーム60と第1層30との間隔を均一にすることにより、フレーム60と第2層40とを、容易に平行にできる。
【0103】
スペーサ75は、例えば球形のビーズである。スペーサ75の直径は、例えば、1μm以上でもよく、5μm以上でもよく、10μm以上でもよい。スペーサ75の直径は、例えば、20μm以下でもよく、50μm以下でもよく、100μm以下でもよい。スペーサ75の直径の範囲は、1μm、5μm及び10μmからなる第1グループ、及び/又は、20μm、50μm及び100μmからなる第2グループによって定められてもよい。スペーサ75の直径の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。スペーサ75の直径の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。スペーサ75の直径の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。スペーサ75の直径は、例えば、1μm以上100μm以下でもよく、1μm以上50μm以下でもよく、1μm以上20μm以下でもよく、1μm以上10μm以下でもよく、1μm以上5μm以下でもよく、5μm以上100μm以下でもよく、5μm以上50μm以下でもよく、5μm以上20μm以下でもよく、5μm以上10μm以下でもよく、10μm以上100μm以下でもよく、10μm以上50μm以下でもよく、10μm以上20μm以下でもよく、20μm以上100μm以下でもよく、20μm以上50μm以下でもよく、50μm以上100μm以下でもよい。
【0104】
スペーサ75を形成する材料は特に限定されない。スペーサ75は、例えばガラスやアクリル、ウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロチレン(PTFE)等の樹脂を含んでいてよい。
【0105】
スペーサ75は、接続層70に含まれていてよい。言い換えると、接続層70は、スペーサ75を含む材料で形成されてよい。これにより、接続層70の形成と同時にスペーサ75を配置できる。
【0106】
ところで、上述したフレーム付きマスク15を蒸着装置10内に設置し、基板110又は基板110上の構成要素にマスク20を通じて蒸着層を形成する際に、接続層70の接着剤71からアウトガスが発生する虞がある。アウトガスは、例えば水分や二酸化炭素、水素、有機物質等を含む。アウトガスは、蒸着層の形成に負の影響を与える虞がある。このような問題を考慮して、本実施の形態によるフレーム付きマスク15は、吸着層80を含んでいる。吸着層80は、第1層30上及び/またはフレーム60上に配置され、接着剤71から発生したアウトガスの少なくとも一部を吸着する目的で設けられる。これにより、アウトガスが蒸着層に与える影響を低減できる。
【0107】
吸着層80は、例えば吸湿性を有していてよい。吸着層80は、吸湿剤を含んでいてよい。吸着層80は、例えば、粉末活性炭や酸化カルシウムを含んでいてよい。吸着層80は、ペースト状の吸着剤を第1層30上及び/またはフレーム60に塗布することにより形成されてよい。あるいは、吸着層80は、フィルム状の吸着剤を第1層30及び/またはフレーム60上に貼付することにより形成されてもよい。この場合、吸着層80と第1層30及び/またはフレーム60との間に接着剤が配置されてもよい。
【0108】
吸着層80を形成するペースト状の吸着剤として、例えば、Alpha Advanced Materials社製の水分吸着剤である「HiCap2000(製品名)」を採用可能である。また、吸着層80を形成するフィルム状の吸着剤として、例えば、Alpha Advanced Materials社製の水分吸着剤である「H2-3000(製品名)」等を採用可能である。
【0109】
図示された例では、吸着層80は、第1吸着層81と第2吸着層82とを含む。図示された例では、第1吸着層81は、接続層70と第1開口31との間の領域において、第1層30の第1面301上に配置されている。また、図示された例では、第1吸着層81は、接続層70に対して第1開口31の側とは反対の側において、フレーム60の第5面601上に配置されている。
【0110】
第1吸着層81が上述した位置に配置されていることにより、フレーム付きマスク15を用いて蒸着装置10内で蒸着層を形成する際に、第1層30の第1面301の側において接続層70から第1開口31へ向かうアウトガスの少なくとも一部を、第1吸着層81に吸着できる。これにより、アウトガスが蒸着層に与える影響を低減できる。
【0111】
また、第2吸着層82が上述した位置に配置されていることにより、フレーム付きマスク15を用いて蒸着装置10内で蒸着層を形成する際に、フレーム60の第5面601の側において接続層70から流れ出すアウトガスの少なくとも一部を、第2吸着層82に吸着できる。これにより、アウトガスが蒸着層に与える影響を低減できる。
【0112】
図示された例において、第1吸着層81は、外側領域35に配置されている。また、第1吸着層81は、フレーム60の第3開口61の縁に沿って周状に配置されている。これにより、第1層30の第1面301の側において接続層70から第1開口31へ向かうアウトガスを、第1吸着層81に効果的に吸着できる。
【0113】
図示された例において、第2吸着層82は、第1層30の外縁303に沿って周状に配置されている。これにより、フレーム60の第5面601の側において接続層70から流れ出すアウトガスを、第2吸着層82によって効果的に吸着できる。
【0114】
図示された例において、第1吸着層81は、平面視においてフレーム60と重ならない位置に配置されている。言い換えると、図示された例において、第1吸着層81は、平面視においてフレーム60の第3開口61と重なる位置に配置されている。この場合、第1吸着層81の厚みを自由に設定可能である。したがって、第1吸着層81の厚みを大きくして、第1吸着層81の体積を大きくできる。第1吸着層81の体積が大きいほど、第1吸着層81はアウトガスを多く吸着できる。
【0115】
図示された例において、第1吸着層81の厚みは、接続層70の厚みよりも大きい。この場合、第1層30の第1面301の側において接続層70から第2開口41へ向かうアウトガスを、第1吸着層81に効果的に接触させることができ、第1吸着層81に効果的に吸着できる。
【0116】
また、図示された例において、第2吸着層82は、平面視において第1層30と重ならない位置に配置されている。言い換えると、図示された例において、第2吸着層82は、平面視において第1層30の外縁303の外側に配置されている。この場合、第2吸着層82の厚みを自由に設定可能である。したがって、第2吸着層82の厚みを大きくして、第2吸着層82の体積を大きくできる。第2吸着層82の体積が大きいほど、第2吸着層82はアウトガスを多く吸着できる。
【0117】
図示された例において、第2吸着層82の厚みは、接続層70の厚みよりも大きい。この場合、フレーム60の第5面601の側において接続層70から流れ出すアウトガスを、第2吸着層82に効果的に接触させることができ、第2吸着層82に効果的に吸着できる。
【0118】
もちろん、吸着層80の厚みは、接続層70の厚みと同じであってもよく、接続層70の厚みよりも小さくてもよい。吸着層80の厚みは、例えば、0.1μm以上でもよく、0.5μm以上でもよく、1μm以上でもよい。吸着層80の厚みは、例えば、10μm以下でもよく、50μm以下でもよく、100μm以下でもよい。吸着層80の厚みの範囲は、0.1μm、0.5μm及び1μmからなる第1グループ、及び/又は、10μm、50μm及び100μmからなる第2グループによって定められてもよい。吸着層80の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。吸着層80の厚みの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。吸着層80の厚みの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。吸着層80の厚みは、例えば、0.1μm以上100μm以下でもよく、0.1μm以上50μm以下でもよく、0.1μm以上10μm以下でもよく、0.1μm以上1μm以下でもよく、0.1μm以上0.5μm以下でもよく、0.5μm以上100μm以下でもよく、0.5μm以上50μm以下でもよく、0.5μm以上10μm以下でもよく、0.5μm以上1μm以下でもよく、1μm以上100μm以下でもよく、1μm以上50μm以下でもよく、1μm以上10μm以下でもよく、10μm以上100μm以下でもよく、10μm以上50μm以下でもよく、50μm以上100μm以下でもよい。
【0119】
吸着層80は、磁性材料を含んでいてもよい。この場合、蒸着装置10の磁石5は、磁力によってマスク20を基板110に向けて引き寄せることができる。吸着層80に含まれる磁性材料としては、例えば、鉄、鉄合金、ニッケル、コバルト等を採用可能である。
【0120】
各層の厚み、各構成要素の寸法、間隔などは、走査型電子顕微鏡を用いてマスク20の断面の画像を観察することによって測定できる。
【0121】
(フレーム付きマスクの製造方法)
次に、本実施の形態によるフレーム付きマスクの製造方法について、
図7乃至
図15を参照して説明する。最初に、マスク20の製造方法について説明する。まず、第1層30を準備する。第1層30として、シリコンウエハを用いてもよい。第1層30の第1面301及び第2面302は、鏡面状に研磨されていてもよい。第1面301及び第2面302の算術平均粗さRaは、1.5nm以下であってもよく、1.0nm以下であってもよい。第1面301及び第2面302の面方位は、(100)、(110)などであってもよい。
【0122】
続いて、
図7に示すように、第1層30の第2面302上に中間層50を形成する。中間層50は、例えば第1中間層51を含む。中間層50は、第2面302の全体に形成されてもよい。中間層50は、例えば、スパッタリング法などの真空成膜法によって形成されてもよい。
【0123】
続いて、
図8に示すように、中間層50上に第2層40を形成する。これによって、第1層30、中間層50及び第2層40を備える積層体22を得ることができる。第2層40は、中間層50の全体に形成されてもよい。第2層40は、樹脂材料を含む場合、例えば、スピンコート法などのコーティング法によって形成されてもよい。
【0124】
第2層40の材料を中間層50上にコーティングした後、第2層40を加熱する第2層加熱工程を実施してもよい。これにより、第2層40を固化させることができる。例えば、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を中間層50上にコーティングした後、第2層加熱工程を実施することにより、イミド化反応を生じさせることができる。これにより、ポリイミドを含む第2層40を形成できる。第2層加熱工程の温度は、例えば200℃以上であり、300℃以上であってもよい。第2層加熱工程の温度は、例えば500℃以下であり、400℃以下であってもよい。第2層加熱工程の時間は、例えば10分以上であり、20分以上であってもよい。第2層加熱工程の時間は、例えば200分以下であり、100分以下であってもよい。
【0125】
図示はしないが、第2層40を押圧する押圧工程を実施してもよい。例えば、第1層30とは別のシリコンウエハ、ガラスウエハなどの基板の面を第2層40に押し付けてもよい。基板の面が第2層40の第4面402よりも平坦である場合、押圧工程によって第4面402の平坦性を高めることができる。基板の面は、凹凸パターンを含んでいてもよい。この場合、押圧工程によって第4面402に凹凸パターンを付与できる。押圧工程は、第2層40を加熱する工程の前に実施されてもよい。
【0126】
図示はしないが、積層体22は、第2層40の第4面402上に位置する保護層を備えていてもよい。保護層は、例えば、第1中間層51の材料と同一の材料を含む。第4面402に保護層を形成することにより、後述する第1加工工程において第4面402がエッチングされることを抑制できる。保護層は、第1中間層51と同時に除去されてもよい。
【0127】
続いて、
図9に示すように、第1層30の第1面301上に部分的にレジスト層38を形成するレジスト形成工程を実施する。レジスト層38には、第1開口31に対向するレジスト開口381が形成されている。
【0128】
レジスト層38は、フォトレジストであってもよい。この場合、まず、第1面301上に液状のレジスト材をコーティングすることによって、第1面301上にレジスト層38を形成する。コーティングの後、レジスト層38を加熱する工程を実施してもよい。続いて、レジスト層38を露光及び現像するフォトリソグラフィ処理を実施する。これによって、レジスト層38にレジスト開口381を形成できる。
【0129】
図示はしないが、レジスト層38は、第1面301に部分的に形成されたシリコン酸化膜であってもよい。シリコン酸化膜は、例えば、第1面301に部分的に熱酸化処理などを実施することによって形成される。シリコン酸化膜は、中間層50及び第2層40を第1層30に積層する前に第1層30に形成されていてもよい。
【0130】
続いて、
図10に示すように、第1面301側から第1層30をエッチングすることによって、第1層30に第1開口31を形成する第1加工工程を実施する。第1加工工程におけるエッチングは、エッチングガスを用いたドライエッチングであってもよい。エッチングガスは、上述のエッチャントの一例である。中間層50がエッチャントに対する耐性を有するので、
図10に示すように、エッチングが第2層40まで進行することを抑制できる。
【0131】
エッチング工程が、深掘り反応性イオンエッチングである場合、例えば次のようにしてエッチング工程を実施する。すなわち、チャンバ内にエッチングガスを導入する。また、チャンバ内の空間に電圧を加えることにより、エッチングガスをプラズマ化する。プラズマ中のラジカル、イオンなどが、レジスト開口381を通って第1面301に衝突することによって、
図10に示すように、第1層30に第1開口31を形成できる。エッチングガスは、例えばSF
6ガスである。
【0132】
穴が中間層50に到達した後、レジスト層38を除去するレジスト除去工程を実施してもよい。例えば、レジスト処理液を第1面301に供給する。
レジスト層38がフォトレジストである場合、レジスト処理液は、例えばN-メチル-2-ピロリドンを含む。酸素プラズマをレジスト層38に照射することによってレジスト層38を除去してもよい。
レジスト層38がシリコン酸化膜である場合、レジスト処理液は、例えばフッ酸を含む。CF4ガスなどを用いるドライエッチングによってレジスト層38を除去してもよい。
【0133】
第1加工工程の後、中間層50を除去する中間層除去工程を実施してもよい。例えば、中間層50用のエッチャントを第1開口31に供給する。これにより、
図11に示すように、平面視において第1開口31に重なる中間層50を除去できる。中間層50のエッチングは、フッ素系ガスなどを用いるドライエッチングであってもよく、酸性のエッチング液を用いるウェットエッチングであってもよい。
【0134】
レジスト除去工程及び中間層除去工程の順序は特には限定されない。レジスト除去工程及び中間層除去工程は同時に実施されてもよい。
【0135】
続いて、第2層40に複数の第2開口41を形成する第2加工工程を実施する。例えば
図12に示すように、第2層40の第3面401にレーザLを照射する。これによって、第2層40に第2開口41を形成できる。レーザLとしては、波長248nmのKrFのエキシマレーザ、波長355nmのYAGレーザなどを使用できる。
【0136】
第2加工工程は、第2層40の第4面402に保護フィルム又は保護膜が形成されている状態で実施されてもよい。
保護フィルムは、第4面402に貼り付けられる部材である。保護フィルムは、例えば、樹脂フィルム及び接着層を含む。接着層が第4面402に接するよう、保護フィルムが第4面402に貼り付けられる。接着層は、粘着層であってもよく、吸着層であってもよい。
保護膜は、樹脂を含む液を第4面402上に塗布することにより形成される。塗布方法は、例えばバーコート法、スピンコート法、スプレーコート法などである。
保護フィルム又は保護膜は、第2加工工程が終了した後に除去されてもよい。
好ましくは、レーザに対する保護フィルム又は保護膜の反応性が、レーザに対する第2層40よりも低い。反応性とは、レーザによって保護フィルム又は保護膜若しくは第2層40が加工される速度である。
【0137】
第2加工工程においては、まず、第4面402がステージ面に対向するように積層体22をステージに載せる。続いて、積層体22に対する照射ヘッドの位置を調整する。位置を調整する工程においては、照射ヘッドを移動させてもよく、ステージを移動させてもよい。レーザの照射及び位置の調整を繰り返し実施することにより、第2層40に複数の第2開口41を形成できる。このようにして、マスク20を得ることができる。
【0138】
若しくは、複数の第2開口41のパターンに対応したレーザ用マスクを用いてもよい。この場合、レーザ用マスクと第2層40との間に集光レンズを設置してもよい。縮小投影光学系を用いたレーザ加工法によって、複数の第2開口41を形成できる。
【0139】
1つの第2開口41は、1回のレーザのショットによって形成されてもよい。
1つの第2開口41は、2回以上のレーザのショットによって形成されてもよい。この場合、1回のレーザのショットによって第2層40に形成される凹部の深さは、第2層40の厚みよりも小さい。
【0140】
レーザは、第2開口41の第2壁面42がテーパ面42aを含むように調整されてもよい。
例えば、第2開口41に対応するレーザの照射面積を、ショット毎に変更してもよい。例えば、第2加工工程は、第1照射面積を有するレーザを第3面401に照射する第1ショット工程と、第1照射面積よりも大きい第2照射面積を有するレーザを第3面401に照射する第2ショット工程と、を含んでいてもよい。第1照射面積は、第4面402における第2開口41の面積に対応していてもよい。第2照射面積は、第3面401における第2開口41の面積に対応していてもよい。第2加工工程は、3以上のショット工程を含んでいてもよい。各ショット工程におけるレーザの照射面積及び強度は、第2壁面42がテーパ面42aを含むように設定される。
例えば、レーザ用マスクの1つの透過部が、第1透過率を有する第1透過領域と、第1透過率よりも低い第2透過率を有する第2透過領域を含んでいてもよい。第1透過領域の輪郭は、第4面402における第2開口41の輪郭に対応していてもよい。第2透過領域は、平面視において第1透過領域を囲んでいてもよい。第2透過領域の輪郭は、第3面401における第2開口41の輪郭に対応していてもよい。1つの透過部は、3以上の透過領域を含んでいてもよい。各透過領域の形状及び透過率は、第2壁面42がテーパ面42aを含むように設定される。
【0141】
図示はしないが、レーザ以外の手段を用いて第2層40に第2開口41を形成してもよい。例えば、フォトリソグラフィ法によって第2層40に第2開口41を形成してもよい。この場合、第2層40は、感光性を有する樹脂材料を含む。
【0142】
次に、フレーム60の製造方法について説明する。まず、上述したガラス材料または金属材料を含む板状部材を準備し、これを切削加工して第3開口61を有するフレーム60を作製する。板状部材を切削加工するための切削工具としては、ドリル、バイト、フライス、エンドミルなどを利用できる。
【0143】
マスク20及びフレーム60を作製した後、フレーム60をマスク20に取り付ける取付工程を実施する。具体的には、
図13に示すように、マスク20の第1層30の第1面301上に、第1開口31の縁に沿って、第1吸着層81を周状に形成する。また、
図14に示すように、フレーム60の第5面601上に、第3開口61の縁に沿って、第2吸着層82を周状に形成する。第1吸着層81及び第2吸着層82は、ペースト状の吸着剤を第1層30またはフレーム60に塗布することにより、あるいは、フィルム状の吸着剤を第1層30またはフレーム60に貼付することにより、形成される。ペースト状の吸着剤は、ディスペンサを用いて塗布することができる。あるいは、ペースト状の吸着剤は、印刷法などの他の塗布方法により塗布されてよい。第1吸着層81及び/または第2吸着層82を形成した後、第1吸着層81及び/または第2吸着層82を加熱する吸着層加熱工程を実施してもよい。吸着層加熱工程の温度は、例えば140℃以上であり、150℃以上であってもよい。吸着層加熱工程の温度は、例えば210℃以下であり、200℃以下であってもよい。吸着層加熱工程の時間は、例えば10分以上であり、20分以上であってもよい。吸着層加熱工程の時間は、例えば150分以下であり、120分以下であってもよい。
【0144】
また、フレーム60の第6面602上に、第3開口61の縁に沿って接続層70を周状に形成する。接続層70は、スペーサ75を含んでいてよい。接続層70は、マスク20をフレーム60に接続する前に、加熱などにより軟化されてよい。
【0145】
次に、
図15に示すように、支持手段85を用いて、マスク20を第1層30の側から支持する。支持手段85は、第1層30の内側領域36を、第1面301の側から支持する。そして、フレーム60の第5面601と第1層30の第1面301とを対面させ、支持手段85を動かして、マスク20をフレーム60上の接続層70に接近させる。このとき、フレーム60のアライメントマークとマスク20のアライメントマークとを用いて、フレーム60に対するマスク20の位置決めを行う。マスク20に反りがある場合には、支持手段85に対向する押圧手段を用いて、反りを矯正しながらマスク20を接続層70に接近させる。
【0146】
次に、マスク20とフレーム60とを互いに対して押圧する押圧工程を実施する。これにより、接続層70が潰れ、接続層70の厚さが均一になる。具体的には、接続層70の厚さが、スペーサ75の寸法に応じた均一な厚さになる。これにより、第2層40とフレーム60とが平行になる。
【0147】
次に、接続層70を冷却などによって硬化させ、マスク20とフレーム60を互いに対して固定する。このようにして、フレーム付きマスク15を得ることができる。
【0148】
なお、吸着層80をマスク20に配置する工程は、中間層除去工程の後であって第2加工工程の前に行ってもよい。また、吸着層80をマスク20及び/またはフレーム60に配置する工程は、接続層70によってマスク20とフレーム60を互いに対して固定した後に行ってもよい。
【0149】
次に、フレーム付きマスク15を用いて有機デバイス100を製造する方法の一例について説明する。
【0150】
まず、第1電極120が形成されている基板110を準備する。基板110は、シリコンウエハであってもよい。第1電極120は、例えば、第1電極120を構成する導電層を真空成膜法などによって基板110に形成した後、フォトリソグラフィ法などによって導電層をパターニングすることによって形成されてもよい。導電層のパターニングは、半導体製造工程を実施する装置を用いて実施されてもよい。隣り合う2つの第1電極120の間に位置する絶縁層160が基板110に形成されていてもよい。
【0151】
続いて、第1有機層130A、第2有機層130Bなどを含む有機層130を第1電極120上に形成する。例えば、まず、第1のマスク20を含むフレーム付きマスク15を蒸着装置10内に設置し、第1のマスク20を用いる蒸着法によって第1有機層130Aを形成する。第1のマスク20は、第1有機層130Aに対応する第2開口41を備える。続いて、第2のマスク20を含むフレーム付きマスク15を蒸着装置10内に設置し、第2のマスク20を用いる蒸着法によって第2有機層130Bを形成する。第2のマスク20は、第2有機層130Bに対応する第2開口41を備える。続いて、第3のマスク20を含むフレーム付きマスク15を蒸着装置10内に設置し、第3のマスク20を用いる蒸着法によって第3有機層を形成する。第3のマスク20は、第3有機層に対応する第2開口41を備える。
【0152】
フレーム付きマスク15を蒸着装置10内に設置する際及び蒸着装置10から取り出す際、フレーム60を把持する。これにより、第1層30が破損したり第2層40が変形する虞が、抑制される。また、蒸着装置10内では、フレーム60がマスクホルダ9によって支持される。これにより、マスクホルダ9が第1層30の第1開口31や第2層40の第2開口41と干渉する虞が、抑制される。言い換えると、マスクホルダ9によって基板110への蒸着材料の付着が妨げられる虞が、抑制される。
【0153】
また、蒸着装置10内でマスク20を用いて有機層130を形成する際、接続層70から発生するアウトガスの少なくとも一部が、吸着層80に吸着される。これにより、アウトガスが有機層130の形成に及ぼす影響が低減される。
【0154】
続いて、有機層130上に第2電極140を形成する。例えば
図1に示すように、真空成膜法などによって第1面111の全体に第2電極140を形成してもよい。若しくは、図示はしないが、有機層130と同様に、マスク20を用いる蒸着法によって第2電極140を形成してもよい。この場合も、接続層70から発生するアウトガスの少なくとも一部が、吸着層80に吸着される。これにより、アウトガスが第2電極140の形成に及ぼす影響が低減される。
【0155】
第2電極140を形成した後、図示しない封止層などを第2電極140上に形成してもよい。このようにして、有機デバイス100を得ることができる。
【0156】
1つの基板110に複数の有機デバイス100が形成されてもよい。1つの有機デバイス100は、マスク20の1つの第1開口31に対応していてもよい。この場合、基板110を裁断する工程を実施してもよい。例えば、マスク20の内側領域36に対応する基板110の領域に沿って基板110を裁断する。これによって、複数の有機デバイス100を得ることができる。
【0157】
マスク20を用いる蒸着法によって有機層130、第2電極140などを形成する場合の、マスク20の効果について説明する。
【0158】
マスク20は、シリコン又はシリコン化合物を含む第1層30を備える。このため、基板110がシリコンを含む場合、基板110に生じる熱膨張とマスク20に生じる熱膨張との間に差が生じることを抑制できる。これにより、マスク20の熱膨張に起因して有機層130、第2電極140などの蒸着層の位置、形状などの精度が低下することを抑制できる。従って、高い素子密度を有する有機デバイス100を提供できる。
【0159】
マスク20は、複数の第2開口41を含む第2層40を備える。第1層30とは別に第2層40を設けることによって、第2層40の厚みを小さくできるので、蒸着工程においてシャドウが発生することを抑制できる。また、平面視における第1壁面32と第2開口41との間の間隔S6を適切に確保することにより、シャドウを抑制しながら第1層30の厚みを適切に確保できる。
【0160】
上述した一実施形態を様々に変更できる。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した一実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の一実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いる。重複する説明は省略する。また、上述した一実施形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略する場合もある。
【0161】
例えば、
図16に示すように、吸着層80は、第1層30とフレーム60との間に配置されてもよい。図示された例では、第1吸着層81は、接続層70と第1開口31との間の領域において、第1層30とフレーム60との間に配置されている。この場合、第1層30の第1面301の側において接続層70から第2開口41へ向かうアウトガスを、第1吸着層81に効果的に接触させることができ、第1吸着層81に効果的に吸着できる。また、図示された例では、第2吸着層82は、接続層70に対して第1開口31の側とは反対の側において、第1層30とフレーム60との間に配置されている。この場合、フレーム60の第5面601の側において接続層70から流れ出すアウトガスを、第2吸着層82に効果的に接触させることができ、第2吸着層82に効果的に吸着できる。
【0162】
図16に示す例では、第1吸着層81及び第2吸着層82は、第1層30及びフレーム60の両方に接触している。この場合、第1層30とフレーム60との間の空間が、第1吸着層81及び第2吸着層82によって封止される。このため、接続層70から発生するアウトガスが第1層30とフレーム60との間の上記空間の外へ流れ出すことを、抑制できる。
【0163】
また、
図17に示すように、フレーム60の内周部には、段差部65が設けられていてよい。段差部65は、第5面601から第6面602に向かう方向に窪む。段差部65は、フレーム60の内縁604から、外縁603に向かって広がる面651と、面651と第5面601とを接続する面652と、により形成されている。面651と第6面602との距離は、第5面601と第6面602との距離よりも小さい。この場合、段差部65に、より具体的には面651及び面652によって画成される空間に、第1層30の第1面301側の外縁303が収容されてよい。この場合、第1層30の外縁303は、フレーム60によって囲まれる。この結果、第1層30の外側領域35が破損する虞が、更に効果的に抑制される。
【0164】
フレーム60に段差部65が設けられている場合、
図17に示すように、接続層70は、フレーム60と外縁303との間に配置されてもよい。この場合、接続層70は、フレーム60と第1面301との間に配置されなくてもよい。フレーム60と第1面301との間に接続層70が配置されない場合、フレーム60と第2層40とを平行にするために接続層70の厚みを調整する必要がない。
【0165】
また、フレーム60に段差部65が設けられる場合、フレーム60の第5面601は、第4面402と面一であってもよい。この場合も、基板110又は基板110上の構成要素にマスク20を通じて蒸着層を形成する際に、第2層40を基板110又は基板110上の構成要素に接触させることができる。
【0166】
フレーム60に段差部65が設けられている場合、
図17に示すように、吸着層80は、平面視において、接続層70と重なる位置に配置されていてもよい。
図17に示す例では、第1吸着層81は、フレーム60と接続層70と第1層30の外縁303とによって囲まれた空間内において、接続層70の下方に配置されている。この場合、第1層30の第1面301の側において接続層70から第2開口41へ向かうアウトガスを、第1吸着層81に効果的に接触させることができ、第1吸着層81に効果的に吸着できる。また、
図17に示す例では、第2吸着層82は、フレーム60と接続層70と第1層30の外縁303とによって囲まれた空間内において、接続層70の上方に配置されている。この場合、フレーム60の第5面601の側において接続層70から流れ出すアウトガスを、第2吸着層82に効果的に接触させることができ、第2吸着層82に効果的に吸着できる。
【0167】
なお、上述したように、接続層70の下方とは、フレーム付きマスク15が蒸着装置10に設置された状態で、接続層70の、蒸着源6の側を向く側を意味する。また、上述したように、接続層70の上方とは、フレーム付きマスク15が蒸着装置10に設置された状態で、接続層70の、基板110の側を向く側を意味する。
【0168】
図17に示す例では、第1吸着層81及び第2吸着層82は、第1層30及びフレーム60の両方に接触している。この場合、第1層30とフレーム60との間の空間が、第1吸着層81及び第2吸着層82によって封止される。このため、接続層70から発生するアウトガスが第1層30とフレーム60との間の上記空間の外へ流れ出すことを、抑制できる。
【0169】
また、
図18に示すように、吸着層80は、第1層30の内側領域36において、第1面301上に配置された第3吸着層83を含んでもよい。この場合、第1開口31に向かうアウトガスを、第3吸着層83に効果的に吸着できる。
【0170】
また、
図19に示すように、吸着層80は、第1層30の第1開口31に面する第1壁面32上に配置された第4吸着層84を含んでもよい。この場合、第1開口31に向かうアウトガスを、第4吸着層84に効果的に吸着できる。
【0171】
なお、
図18及び
図19に示す例において、第3吸着層83または第4吸着層84が磁性材料を含む場合、蒸着装置10の磁石5は、磁力によってマスク20を、とりわけ第2層40を、基板110に向けて効果的に引き寄せることができる。
【0172】
また、マスク20は、第1層30と第2層40との間に、中間層50を含んでいなくてもよい。この場合、第1層30の第2面302と第2層40の第3面401とが、直接接続されていてもよい。
【0173】
また、フレーム付きマスク15が蒸着装置10での蒸着処理に使用される前に吸着層80が空気中の水分等を吸着することを防止するため、フレーム付きマスク15は、不活性雰囲気で保管されることが望ましい。
図20に、フレーム付きマスク15と、フレーム付きマスク15を収容する容器90と、を含む梱包体95を示す。容器90内は、不活性雰囲気である。例えば、容器90内に、アルゴンや窒素等の不活性ガスが充填されていてよい。フレーム付きマスク15がこのような容器90に収容されていることにより、吸着層80が空気中の水分等を吸着することが抑制される。
【0174】
図21は、有機デバイス100を備える装置200の一例を示す図である。装置200は、基板110と、有機層130とを含む。有機層130は、マスク20を用いる蒸着法によって形成された層である。装置200は、例えばスマートフォンである。装置200は、タブレット端末、ウエアラブル端末などであってもよい。ウエアラブル端末は、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイなどである。
【0175】
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0176】
10 蒸着装置
15 フレーム付きマスク
20 マスク
201 入射面
202 出射面
30 第1層
301 第1面
302 第2面
31 第1開口
32 第1壁面
40 第2層
401 第3面
402 第4面
41 第2開口
43 周縁領域
44 有効領域
50 中間層
51 第1中間層
60 フレーム
601 第5面
602 第6面
61 第3開口
65 段差部
70 接続層
75 スペーサ
80 吸着層
100 有機デバイス