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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143289
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電源回路及び車両
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/00 301B
H02J7/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055884
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 吉範
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA08
5G503FA14
5G503GA19
(57)【要約】
【課題】コネクタの規格で定められている端子と異なる端子に接地電力線が接続されている場合であっても、電力を供給可能とすること。
【解決手段】本開示の一実施例における電源回路は、複数の非接地電力線及び1つの接地電力線がそれぞれ接続されるスイッチと、前記スイッチの出力に接続される回路と、前記複数の非接地電力線と前記接地電力線との間の電圧を測定する測定部と、前記電圧に基づいて前記複数の非接地電力線及び前記接地電力線における接続誤りを検出し、前記接続誤りを検出した場合に、前記回路の入力が接続誤りのない状態と同じ入力となるよう前記スイッチを切り替える制御部と、を備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の非接地電力線及び1つの接地電力線がそれぞれ接続されるスイッチと、
前記スイッチの出力に接続される回路と、
前記複数の非接地電力線と前記接地電力線との間の電圧を測定する測定部と、
前記電圧に基づいて前記複数の非接地電力線及び前記接地電力線における接続誤りを検出し、前記接続誤りを検出した場合に、前記回路の入力が接続誤りのない状態と同じ入力となるよう前記スイッチを切り替える制御部と、
を備える電源回路。
【請求項2】
前記スイッチは、少なくともリレーまたは電子ヒューズの何れかを備える、
請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記制御部は、前記接続誤りがあることを報知する、
請求項1に記載の電源回路。
【請求項4】
請求項1に記載の電源回路を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路及び車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車およびプラグインハイブリッド自動車は、自宅又は市中の充電スタンドで充電を行うことができ、3相交流電源に接続して充電を行うことも多い(例えば、特許文献1-3を参照)。
【0003】
また、3相交流を用いた充電に際し、一部の地域においては、3本の非接地電力線(L1、L2、L3)の他に接地電力線(N)を使用した3相4線式の電力線が用いられている(例えば、特許文献4-5を参照)。接地電力線は、中性線とも呼ばれる。
【0004】
3相4線式を用いた充電スタンドの設置において、施工ミス等により3相交流電源側が、コネクタの規格で定められている端子と異なる端子に接地電力線が接続される場合がある。
【0005】
図6Aに、系統側と車両側をコネクタ120で接続した状態を示す。系統側において、非接地電力線L1は端子114に、非接地電力線L2は端子115に、非接地電力線L3は端子116に、接地電力線Nは端子117にそれぞれ接続されている。
【0006】
コネクタ120においては、端子114と端子110,端子115と端子111、端子116と端子112、端子117と端子113がそれぞれ接続されている。
【0007】
図6Aには正常な接続の場合の電圧も示されている。非接地電力線L1に接続される端子114、非接地電力線L2に接続される端子115、及び非接地電力線L3に接続される端子116にはそれぞれ230Vの電圧が入力される。接地電力線Nに接続される端子117には0Vの電圧(GND)が入力される。
【0008】
したがって、端子110と端子113の線間電圧V1(端子110の相電圧)、端子111と端子113の線間電圧V2(端子111の相電圧)、及び端子112と端子113の線間電圧V3(端子112の相電圧)はいずれも230Vである。
【0009】
図6Bは、系統側の非接地電力線L1と接地電力線Nが入れ替わって接続されている場合を示す。すなわち、端子114と端子117にかかる電圧が入れ替わっているので、非接地電力線L1に接続される端子117、非接地電力線L2に接続される端子115、及び非接地電力線L3に接続される端子116にはそれぞれ230Vの電圧が入力される。接地電力線Nに接続される端子114には0Vの電圧(GND)が入力される。
【0010】
したがって、端子110と端子113の線間電圧V1は230Vであるが、端子111と端子113の線間電圧V2及び端子112と端子113の線間電圧V3は、いずれも230Vのルート3倍の400Vとなる。
【0011】
図6Cは、系統側の非接地電力線L2と接地電力線Nが入れ替わって接続されている場合を示す。すなわち、端子115と端子117にかかる電圧が入れ替わっているので、非接地電力線L1に接続される端子114、非接地電力線L2に接続される端子117、及び非接地電力線L3に接続される端子116にはそれぞれ230Vの電圧が入力される。接地電力線Nに接続される端子115には0Vの電圧(GND)が入力される。
【0012】
したがって、端子111と端子113の線間電圧V2は230Vであるが、端子110と端子113の線間電圧V1及び端子112と端子113の線間電圧V3は、いずれも230Vのルート3倍の400Vとなる。
【0013】
図6Dは、系統側の非接地電力線L3と接地電力線Nが入れ替わって接続されている場合を示す。すなわち、端子116と端子117にかかる電圧が入れ替わっているので、非接地電力線L1に接続される端子114、非接地電力線L2に接続される端子115、及び非接地電力線L3に接続された端子117にはそれぞれ230Vの電圧が入力される。接地電力線Nに接続される端子116には0Vの電圧(GND)が入力される。
【0014】
したがって、端子112と端子113の線間電圧V3は230Vであるが、端子110と端子113の線間電圧V1及び端子111と端子113の線間電圧V2は、いずれも230Vのルート3倍の400Vとなる。
【0015】
なお、後述する図1A図1Bのように、力率改善回路130への接地電力線Nへの入力は1つでもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第2020/195060号
【特許文献2】特開2022-164539号公報
【特許文献3】特開2010-110109号公報
【特許文献4】特開2018-038191号公報
【特許文献5】特開2007-274825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
図6B図6Dに示すように、コネクタの規格で定められている端子と異なる端子に系統側の接地電力線が接続されている場合は、車両側の端子間の線間電圧が、規格に定められた電圧のルート3倍となる場合があり、最悪の場合は電源機器の破壊につながる恐れがある。
【0018】
このため、車両側の保護装置が作動するので、充電を行うことができない。施工ミス等が原因であるから、車両の使用者が対応することはできないので、充電を諦めるしかなく、車両の電池切れ(いわゆる電欠)を招くことになる。
【0019】
本開示は、コネクタの規格で定められている端子と異なる端子に接地電力線が接続されている場合であっても、電力を供給することができる電源回路及び当該電源回路を搭載した車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示の一実施例における電源回路は、複数の非接地電力線及び1つの接地電力線がそれぞれ接続されるスイッチと、前記スイッチの出力に接続される回路と、前記複数の非接地電力線と前記接地電力線との間の電圧を測定する測定部と、前記電圧に基づいて前記複数の非接地電力線及び前記接地電力線における接続誤りを検出し、前記接続誤りを検出した場合に、前記回路の入力が接続誤りのない状態と同じ入力となるよう前記スイッチを切り替える制御部と、を備える。
【0021】
また、本開示の一実施例における車両は、上記電源回路を備える。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、コネクタの規格で定められている端子と異なる端子に接地電力線が接続されている場合であっても、電力を供給することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】実施の形態1における電源回路の一例を示す回路図
図1B】実施の形態1における電源回路の別の一例を示す回路図
図2】各線間電圧とリレー及び電子ヒューズの設定を示す図
図3】従来の電力変換器を示す図
図4】従来の電力変換器において非接地電力線と接地電力線が入れ替わった場合を示す図
図5】本実施の形態の電力変換器の一例を示す回路図
図6A】系統側と車両側をコネクタで接続した従来の回路図
図6B】系統側と車両側をコネクタで接続した従来の回路図
図6C】系統側と車両側をコネクタで接続した従来の回路図
図6D】系統側と車両側をコネクタで接続した従来の回路図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は一例であり、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0025】
但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0026】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1について、図1A及び図2を参照しながら説明する。
【0027】
図1Aは、実施の形態1における電源回路の一例を示す回路図である。この電源回路は、例えば、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車などの車両に搭載され、充電用に用いられる。
【0028】
この電源回路では、非接地電力線L1、L2、L3はそれぞれ端子110~112に接続され、接地電力線Nは端子113に接続される。端子110~112は、それぞれリレー210、リレー211、リレー212の入力に接続される。接地電力線Nは、電子ヒューズ(eFuse)213~216に接続される。
【0029】
電子ヒューズ213~216は通電の遮断をMOSFETスイッチで行い、通常動作に復帰することができる保護回路である。リレー210~212及び電子ヒューズ213~216は、スイッチを構成している。
【0030】
リレー210のOFF側出力は、電子ヒューズ213の出力に接続され、力率改善回路130の入力P1に入力される。
【0031】
リレー211のOFF側出力は、電子ヒューズ214の出力に接続され、力率改善回路130の入力P3に入力される。
【0032】
リレー212のOFF側出力は、電子ヒューズ215の出力に接続され、力率改善回路130の入力P5に入力される。
【0033】
リレー210のON側、リレー211のON側、及びリレー212のON側は、互いに接続され、また、電子ヒューズ216の出力に接続されて、それぞれ力率改善回路130の入力P2、P4、P6に入力される。
【0034】
電力線が入れ替わる場合、3本の非接地電力線L1、L2、L3にはそれぞれ120度の位相差を有する電圧が供給されているので、非接地電力線L1、L2、L3同士が入れ替わっても接地電力線Nとの線間電圧は変化しないが、非接地電力線L1、L2、L3と接地電力線Nが入れ替わった場合には、線間電圧が、規格に定められた電圧のルート3倍となる。
【0035】
なお、電源回路では、図2に示したリレー210~212及び電子ヒューズ213~216を備えるスイッチ以外のスイッチを用いることもできる。例えば、電子ヒューズ213~216に代えて、1入力4出力のリレーを用いることもできる。リレー210に代えて2つの電子ヒューズを用いることもできる。
【0036】
測定部220は、非接地電力線L1、L2、L3と接地電力線Nとの間の電圧を測定する。測定信号を、二点鎖線で示す。
【0037】
制御部230は、測定部220が測定した電圧に基づいて、非接地電力線L1、L2、L3及び接地電力線Nにおける接続誤りを検出し、接続誤りを検出した場合に、接続誤りがない状態と同じ入力となるようスイッチ210~216を切り替える。以下、このスイッチの切り替えについて詳しく説明する。
【0038】
図2に、接地電力線Nと各非接地電力線L1、L2、L3の線間電圧(すなわち、相電圧)と、リレー210~212及び電子ヒューズ213~216の設定を示す。
【0039】
非接地電力線L1、L2、L3と接地電力線Nにかかる電圧が入れ替わっている場合の線間電圧は図2に記載される値(230Vまたは400V)となるので、線間電圧を測定部220により測定することで、接続が正常であるか、どの非接地電力線L1、L2、L3と接地電力線Nにかかる電圧が入れ替わっているかを判別することができる。
【0040】
制御部230は、測定部220の結果に応じて、図2のテーブルに従ってリレー210~212及び電子ヒューズ213~216の設定を行う。制御信号を一点鎖線で示す。
【0041】
具体的には、制御部230は、接地電力線Nと各非接地電力線L1、L2、L3の線間電圧がいずれも230Vの場合は正常であるから、リレー210~212をいずれもOFF、電子ヒューズ213~215をOpenとし、電子ヒューズ216をCloseとする。
【0042】
これにより、力率改善回路130の入力P1には非接地電力線L1の電圧230Vが、力率改善回路130の入力P3には非接地電力線L2の電圧230Vが、力率改善回路130の入力P5には非接地電力線L3の電圧230Vが、力率改善回路130の入力P2、P4、P6には接地電力線Nの電圧GNDがかかる。
【0043】
接地電力線Nと非接地電力線L1の線間電圧は230Vであるが、接地電力線Nと非接地電力線L2、接地電力線Nと非接地電力線L3の線間電圧がいずれも400Vの場合は、接地電力線Nと非接地電力線L1が入れ替わっている場合である。
【0044】
この場合、制御部230は、リレー210をON、リレー211及び212をいずれもOFF、電子ヒューズ214~216をOpenとし、電子ヒューズ213をCloseとする。
【0045】
これにより、力率改善回路130の入力P1には接地電力線Nの電圧(すなわち本来の非接地電力線L1の電圧)230Vが、力率改善回路130の入力P3にはL2の電圧230Vが、力率改善回路130の入力P5には非接地電力線L3の電圧230Vが、力率改善回路130の入力P2、P4、P6には非接地電力線L1の電圧GNDがかかる。
【0046】
その結果、接地電力線Nと非接地電力線L1が入れ替わっていた場合でも、力率改善回路130は通常動作を行うことができる。
【0047】
また、接地電力線Nと非接地電力線L2の線間電圧は230Vであるが、接地電力線Nと非接地電力線L1、接地電力線Nと非接地電力線L3の線間電圧がいずれも400Vの場合は、接地電力線Nと非接地電力線L2が入れ替わっている場合である。
【0048】
この場合、制御部230は、リレー211をON、リレー210及び212をいずれもOFF、電子ヒューズ213、215、216をOpenとし、電子ヒューズ214をCloseとする。
【0049】
これにより、力率改善回路130の入力P1には非接地電力線L1の電圧230Vが、力率改善回路130の入力P3には非接地電力線Nの電圧(すなわち本来の非接地電力線L2の電圧)230Vが、力率改善回路130の入力P5には非接地電力線L3の電圧230Vが、力率改善回路130の入力P2、P4、P6には非接地電力線L2の電圧GNDがかかる。
【0050】
その結果、接地電力線Nと非接地電力線L2が入れ替わっていた場合でも、力率改善回路130は通常動作を行うことができる。
【0051】
また、接地電力線NとL3の線間電圧は230Vであるが、接地電力線Nと非接地電力線L1、接地電力線Nと非接地電力線L2の線間電圧がいずれも400Vの場合は、接地電力線Nと非接地電力線L3が入れ替わっている場合である。
【0052】
この場合、制御部230は、リレー212をON、リレー210及び211をいずれもOFF、電子ヒューズ213、214、216をOpenとし、電子ヒューズ215をCloseとする。
【0053】
これにより、力率改善回路130の入力P1には非接地電力線L1の電圧230Vが、力率改善回路130の入力P3には非接地電力線L2の電圧230Vが、力率改善回路130の入力P5には接地電力線Nの電圧(すなわち本来の非接地電力線L3の電圧)230Vが、力率改善回路130の入力P2、P4、P6には非接地電力線L3の電圧GNDがかかる。
【0054】
その結果、接地電力線Nと非接地電力線L3が入れ替わっていた場合でも、力率改善回路130は通常動作を行うことができる。
【0055】
以上説明したように、制御部230が、図1Aに示した電源回路のリレー210~212及び電子ヒューズ213~216に図2に示した設定を行うことにより、非接地電力線L1、L2、L3にかかる電圧230Vと接地電力線Nにかかる電圧0Vが入れ替わっても、常に入力P1、P2、P3には非接地電力線L1、L2、L3にかかるべき電圧230Vが、入力P2、P4、P6には接地電力線Nにかかるべき電圧GNDがかかる。
【0056】
したがって、本開示によれば、施工ミス等によりコネクタの規格で定められている端子113と異なる端子110~112に接地電力線Nが接続されても、力率改善回路130は、規格どおりの電圧を受信することができる。
【0057】
なお、図1Aに代えて図1Bのように、力率改善回路130への接地電力線Nの入力をP6だけにしてもよい。
【0058】
<実施の形態2>
実施の形態1は、系統側の電力線が入れ替わっている場合、電力線を切り替えて力率改善回路130に正しい電圧が供給されるようにしたが、実施の形態2では、系統側の電力線が入れ替わっている場合、電力線は切り替えずにPWM制御において制御対象となる電力線を変更する。
【0059】
図3に、従来の電源回路の回路構成を示す。
【0060】
図3では、3相4線式の交流電源(系統)410の非接地電力線L1が端子P11に接続され、非接地電力線L2が端子P12に接続され、非接地電力線L3が端子P13に接続され、接地電力線Nが端子P14に接続される。また、端子P11、P12、P13、P14は、電源回路(車両)420の端子P1、端子P2、端子P3、端子Nにそれぞれ接続される。
【0061】
電源回路420は、端子P1、端子P2、端子P3、端子N、インダクタL1、インダクタL2、インダクタL3、電圧モニタ430、電流モニタ440、制御部450、PWM生成部460、n型MOSFET470~477で構成されるブリッジ回路、及び電解コンデンサ480を有する。
【0062】
電力変換器の端子P1、端子P2、端子P3は、それぞれインダクタL1、L2、L3の一方に接続されている。
【0063】
インダクタL1、L2、L3の他方は、それぞれ直列に接続されているn型MOSFET470~475の間に接続されている。電力変換器のN端子は、直列に接続されているn型MOSFET476、477の間に接続されている。
【0064】
電圧モニタ430は、端子P1の電圧、端子P2の電圧、及び端子P3の相電圧を、N端子の電位を基準として測定する。
【0065】
電流モニタ440は、インダクタL1、インダクタL2、及びインダクタL3に流れる電流を測定する。
【0066】
制御部450は、電圧モニタ430及び電流モニタ440の値に基づいてPWM生成回路460を制御する。
【0067】
具体的には、制御部450は、電圧モニタ430及び電流モニタ440の測定結果に基づいて、出力電圧が指定された電圧となり、また、力率が1に近づくPWM信号を生成するよう電流を制御する。この電流の制御は、制御部450が、PWM生成部460を制御することにより実現される。
【0068】
PWM生成部460は、n型MOSFET470~477で構成されるブリッジ回路を制御するPWM信号を生成する。
【0069】
図4に、図3の電源回路において、3相4線式の交流電源(系統)410の非接地電力線L1と接地電力線Nが入れ替わって、非接地電力線L1が端子P14に接続され、接地電力線Nが端子P11に接続された場合を示す。
【0070】
この場合、端子P2及び端子P3の相電圧は通常のルート3倍となる。例えば、端子P1の相電圧が230Vである場合、端子P2の相電圧は400V、端子P3の相電圧は400Vとなる。その結果、制御部450は、その値を異常値と判断して制御を停止してしまう。
【0071】
図5は、実施の形態2における電源回路の一例を示す回路図である。
【0072】
図5は、3相4線式の交流電源(系統)410の非接地電力線L1と接地電力線Nが入れ替わって、非接地電力線L1が端子P14に接続され、接地電力線Nが端子P11に接続された場合を示す。
【0073】
充電を行う場合、系統側の端子P11と電力変換器(車両)の端子P1、系統側の端子P12と電力変換器の端子P2、系統側の端子P13と電力変換器の端子P3、系統側の端子P14と電力変換器の端子Nがそれぞれ接続される。
【0074】
本実施の形態の電力変換器620は、端子P1、端子P2、端子P3、端子N、インダクタL1、インダクタL2、インダクタL3、電圧モニタ630、電流モニタ640、制御部450、PWM生成部660、n型MOSFET470~477で構成されるブリッジ回路、電解コンデンサ480、系統配線推定部670、相電圧変換部680、及び値スイッチ部690を有する。
【0075】
制御部450、n型MOSFET470~477、及び電解コンデンサ480は、図4に示したものと同じである。
【0076】
電圧モニタ630は、端子P1の電圧、端子P2の電圧、端子P3の電圧、及び端子Nの電圧を測定する。
【0077】
電流モニタ640は、インダクタL1、インダクタL2、インダクタL3、及びインダクタL4に流れる電流を測定する。
【0078】
系統配線推定部670は、電圧モニタ630の測定結果を基に、図2に示した線間電圧(相電圧)の情報に基づいて、どの配線とどの配線が入れ替わっているかを推定する。
【0079】
相電圧変換部680は、誤って接続された複数の非接地電力線L1、L2、L3の1つにおいて電圧モニタ630が測定した電圧値を接続誤りがない状態における相電圧の値に変換する。
【0080】
具体的には、相電圧変換部680は、系統配線推定部670の結果に基づいて、入れ替わっている電力線において測定された線間電圧の値(400Vの電圧値)をルート3で除算して、相電圧の値(230Vの電圧値)に変換する。
【0081】
値スイッチ部690は、相電圧変換部680により変換された相電圧の値及び接地電力線Nに対応する電圧値を接続誤りがない状態における電圧の測定値として制御部450に入力されるように入れ替える。
【0082】
例えば、端子P1と端子Nに接続されている系統側の電力線が入れ替わっていると系統配線推定部570が推定した場合、値スイッチ部690は、端子P1における測定値が制御部450において端子Nの測定値として入力されるように、かつ、端子Nにおける測定値が制御部450において端子P1の測定値として入力されるように値を入れ替える。例えば、値スイッチ部690は、端子Nの測定値と端子P1の測定値をスイッチによって入れ換える。
【0083】
制御部450は、図3に示した制御部450と同じである。上述のように、相電圧変換部680及び値スイッチ部690により、配線が入れ替わっていない場合と同じ電圧の測定値が制御部450に入力される。そのため、制御部450は、図3に示した従来の制御部450をそのまま用いることができる。
【0084】
PWM生成部660は、電圧モニタ630により測定された電圧に基づいて系統配線推定部670により非接地電力線L1、L2、L3の1つと接地電力線Nとの間で接続誤りがあると推定された場合に、接続誤りがない場合において非接地電力線L1、L2、L3の1つと接続されたスイッチングを行うn型MOSFET470~475に出力するPWM信号を生成し、当該信号の出力先を接地電力線Nに接続されたn型MOSFET476、477に切り替える。
【0085】
例えば、端子P1と端子Nに接続されている系統側の電力線が入れ替わっていると系統配線推定部670が推定した場合、PWM生成部660は、接続誤りがない場合にn型MOSFET470、471に対して出力するPWM信号を生成し、そのPWM信号の出力先をn型MOSFET470、471ではなくn型MOSFET476、477に切り替える。
【0086】
これにより、結果的にPWM生成部660は、端子P2、端子P3、端子Nに接続されているn型MOSFET472~477を制御するPWM信号を生成する。
【0087】
n型MOSFET470~477で制御された電圧は、電解コンデンサ480で平滑化されるので、電力線が入れ替わった影響は、後段の回路に影響しない。
【0088】
<変形例>
何れの実施の形態においても、図2に示した線間電圧(相電圧)の情報に基づいて系統側の電力線が入れ替わっていることが検出された場合に、そのことを音や光、画面表示などで報知してもよい。
【0089】
例えば、図1の回路においては制御手段230が、図6の構成においては系統配線推定部670が、報知してもよい。画面表示で行う報知の場合、入れ替わっている電力線の情報をディスプレイに表示してもよい。
【0090】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例又は修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態における各構成要素は任意に組み合わされてよい。
【0091】
(1)本開示の一実施例における電源回路は、複数の非接地電力線及び1つの接地電力線がそれぞれ接続されるスイッチと、前記スイッチの出力に接続される回路と、前記複数の非接地電力線と前記接地電力線との間の電圧を測定する測定部と、前記電圧に基づいて前記複数の非接地電力線及び前記接地電力線における接続誤りを検出し、前記接続誤りを検出した場合に、前記回路の入力が接続誤りのない状態と同じ入力となるよう前記スイッチを切り替える制御部と、を備える。
【0092】
(2)本開示の一実施例における電源回路は、(1)の電源回路において、前記スイッチは、少なくともリレーまたは電子ヒューズの何れかを備える。
【0093】
(3)本開示の一実施例における電源回路は、(1)の電源回路において、前記制御部は、前記接続誤りがあることを報知する。
【0094】
(4)本開示の一実施例における車両は、(1)の電源回路を備える。
【符号の説明】
【0095】
110~117 端子
120 コネクタ
130 力率改善回路
210~212 リレー
213~216 電子ヒューズ
220 測定部
230、450 制御部
410 3相交流電源(系統)
420、620 電源回路
430、630 電圧モニタ
440、640 電流モニタ
460、660 PWM生成部
470~477 n型MOSFET
480 電解コンデンサ
670 系統配線推定部
680 相電圧変換部
690 値スイッチ部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D