(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014329
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】空気冷却器におけるデフロスト運転方法
(51)【国際特許分類】
F25D 21/10 20060101AFI20240125BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20240125BHJP
F28G 1/16 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F25D21/10 B
F25B47/02 510B
F28G1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117069
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000235059
【氏名又は名称】八洋エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】金尾 章一
【テーマコード(参考)】
3L046
【Fターム(参考)】
3L046AA02
3L046CA16
3L046DA04
3L046KA04
3L046LA08
3L046MA04
3L046MA05
(57)【要約】
【課題】 デフロスト時、温水を散布して冷却コイルに付着した氷霜を除去することを前提としながら、冷凍倉庫内(冷凍空間内)での前記靄や霧の発生を防止するようにしたデフロスト運転方法の開発を技術課題とした。
【解決手段】 本発明は、まずケーシング2内を緩密閉状態とした後、散水工程においてクーラーユニット3の上方から温水を散布して冷却コイルに付着した氷霜を加熱融解するものであり、続く水切工程においてデフロスタ4からの散水を停止するとともに、適宜の時間、水切りを図るものであり、次いでミスト捕集工程において、冷却コイルに冷却媒体である炭酸ガスを流してケーシング2内を冷却し、ケーシング2内の水分を冷却コイルの表面に着氷させるものであり、その後、冷却再開工程において空気の取入口22と送出口23とを開放し、ファン24を作動させることにより、冷却空気を冷凍空間R内に送出することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の取入口と、冷却された空気の送出口と、送風用のファンとを具えて成る緩密閉可能なケーシングを外殻部材とし、
更に、当該ケーシング内に設けられるクーラーユニットと、
このクーラーユニットの上方に設けられ、クーラーユニットの冷却コイルに付着した氷霜を除去するデフロスタとを具えた空気冷却器におけるデフロスト運転方法であって、
前記クーラーユニットの冷却コイル内に流す冷却媒体は炭酸ガスであり、
また前記デフロスタに用いられるデフロスト媒体は温水であり、
デフロストを行うにあたっては、まずケーシング内を緩密閉状態とした後、散水工程において前記デフロスタによって前記クーラーユニットの上方から温水を散布して冷却コイルに付着した氷霜を加熱融解するとともに冷却コイルを洗浄するものであり、
続く水切工程においてデフロスタからの散水を停止するとともに、適宜の時間、冷却コイル周辺の水分の滴下を待つものであり、
その後、ミスト捕集工程において、冷却コイルに冷却媒体である炭酸ガスを流してケーシング内を冷却し、ケーシング内の水分を冷却コイルの表面に着氷させて捕捉するものであり、
次いで、冷却再開工程においてケーシング内の温度が所定の冷却温度であることを確認した後、空気の取入口と送出口とを開放し、ファンを作動させることによって、冷却された空気を所定の冷凍空間内に送出することを特徴とする空気冷却器におけるデフロスト運転方法。
【請求項2】
前記デフロスタによって冷却コイルに散水される温水の温度は、15℃~20℃であることを特徴とする請求項1記載の空気冷却器におけるデフロスト運転方法。
【請求項3】
前記取入口は、ケーシング内を緩密閉できるようにシフトされるダンパーを具え、このダンパー周辺を加熱して、ダンパー周辺に付着した氷霜を除去するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の空気冷却器におけるデフロスト運転方法。
【請求項4】
前記ダンパー周辺を加熱するにあたっては、冷却コイルに散布する温水の一部をダンパー周辺に向けて散布することによって、ダンパー周辺を加熱することを特徴とする請求項3記載の空気冷却器におけるデフロスト運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍された魚体等を保管する大型冷凍倉庫等に用いられる空気冷却器の運転方法に関するものであって、特に空気冷却器における冷却コイルに付着・成長した霜や氷塊等の氷霜を除去するデフロスト運転方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷凍された魚体等の冷凍対象物を保管する冷凍庫では、庫内温度を-50℃程度に保って冷凍対象物の冷凍保存を行っており、このような冷凍庫内を冷却するために空気冷却器が庫内に具えられている。この空気冷却器において、近時、高効率で且つ省エネ(省エネルギー)を達成したものとしては、冷凍サイクル内の一次冷媒としてアンモニア冷媒を用い、この一次冷凍サイクルの蒸発器内に、二次冷媒として炭酸ガスを循環させる二元冷凍サイクルが知られている(例えば特許文献1参照)。そして、この二元冷凍サイクルでは、炭酸ガスを循環させた空気冷却器を倉庫内に設置して、倉庫内の冷却が図られている。
【0003】
このような冷却運転の中で、倉庫内の空気中の水分が、空気冷却器の冷却コイルに付着し、霜状ないしは氷塊状となって成長すると、結果的に充分に空気の冷却がなされなくなる。このため適宜のタイミングでデフロスト作業が行われている。
このデフロスト作業は、要は冷却コイルに付着した氷霜を加熱融解させることによって、冷却コイルから氷霜を除去する作業であって、このための加熱手段は、温水散布による手法、電熱ヒータを用いる手法、更にはスチームを噴射する手法等が提案ないしは実施されている(例えば特許文献2・3参照)。
【0004】
このうち電熱ヒータを用いる手法、及びスチームを噴射する手法は、温水散布手法が多量の水を必要とすること等に鑑みて案出されたものであるが、その一方で電気的な配線や、スチーム供給経路を別途付設する必要が生じるなど、設備構成要素が増加することは否めない。このようなことから、少なくとも温水が比較的得やすい立地環境の冷凍倉庫では、シンプルな構成が達成できる温水散布が多く用いられている。
【0005】
しかしながら、この温水散布手法にあっては、以下のような問題が生じている。すなわち、温水散布手法では、冷却コイルが設置されたケーシング内を緩密閉して散水作業を行ってデフロストした後、温水の流下(滴下)を待つ水切作業を行っている。そして、その後、冷却コイル内に冷媒を流すとともに、ケーシングの空気取入口と送出口とを開放させて冷凍運転を再起動している。この際、前述の水切作業を行ったとしてもケーシング内において温水を散布することから、ケーシング内には水蒸気化した水分、ミスト状の水分等が多く存在し、この状態で運転を再開した場合には、これらケーシング内に浮遊存在している水分が一挙に冷凍倉庫内(冷凍空間内)に放出され、庫内の冷気により冷却されて靄状に広がり、これが濃い霧となって倉庫内に充満してしまう現象(いわゆるホワイトアウト)が発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第00/50822号公報
【特許文献2】特開2008-175468号公報
【特許文献3】特開平8-121940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような背景を考慮してなされたものであって、温水を散布して冷却コイルに付着した氷霜を除去することを前提としながら、冷凍倉庫内(冷凍空間内)での前記靄や霧の発生を防止することができるデフロスト運転方法の開発を技術課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち請求項1記載の空気冷却器におけるデフロスト運転方法は、
空気の取入口と、冷却された空気の送出口と、送風用のファンとを具えて成る緩密閉可能なケーシングを外殻部材とし、
更に、当該ケーシング内に設けられるクーラーユニットと、
このクーラーユニットの上方に設けられ、クーラーユニットの冷却コイルに付着した氷霜を除去するデフロスタとを具えた空気冷却器におけるデフロスト運転方法であって、
前記クーラーユニットの冷却コイル内に流す冷却媒体は炭酸ガスであり、
また前記デフロスタに用いられるデフロスト媒体は温水であり、
デフロストを行うにあたっては、まずケーシング内を緩密閉状態とした後、散水工程において前記デフロスタによって前記クーラーユニットの上方から温水を散布して冷却コイルに付着した氷霜を加熱融解するとともに冷却コイルを洗浄するものであり、
続く水切工程においてデフロスタからの散水を停止するとともに、適宜の時間、冷却コイル周辺の水分の滴下を待つものであり、
その後、ミスト捕集工程において、冷却コイルに冷却媒体である炭酸ガスを流してケーシング内を冷却し、ケーシング内の水分を冷却コイルの表面に着氷させて捕捉するものであり、
次いで、冷却再開工程においてケーシング内の温度が所定の冷却温度であることを確認した後、空気の取入口と送出口とを開放し、ファンを作動させることによって、冷却された空気を所定の冷凍空間内に送出することを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項2記載の空気冷却器におけるデフロスト運転方法は、前記請求項1記載の要件に加え、
前記デフロスタによって冷却コイルに散水される温水の温度は、15℃~20℃であることを特徴として成るものである。
【0010】
また請求項3記載の空気冷却器におけるデフロスト運転方法は、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記取入口は、ケーシング内を緩密閉できるようにシフトされるダンパーを具え、このダンパー周辺を加熱して、ダンパー周辺に付着した氷霜を除去するようにしたことを特徴として成るものである。
【0011】
また請求項4記載の空気冷却器におけるデフロスト運転方法は、前記請求項3記載の要件に加え、
前記ダンパー周辺を加熱するにあたっては、冷却コイルに散布する温水の一部をダンパー周辺に向けて散布することによって、ダンパー周辺を加熱することを特徴として成るものである。
そして、これら各請求項記載の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0012】
まず請求項1記載の発明によれば、ケーシング内を緩密閉状態とした後、温水散布によってデフロストし、その後、冷却コイルに冷却媒体である炭酸ガスを流してケーシング内を冷却するため、ケーシング内に分散・浮遊する水分を冷却コイル(コイルチューブやフィン)の表面に着氷させて捕捉することができる。従って、ケーシング内の水分を確実に除去することができ、その後、冷却を再開して冷凍空間内に冷却空気を送出しても冷凍空間に霧を発生させないものである。このためデフロスト後の冷却再開時において、冷凍空間内の視界を確保し(いわゆるホワイトアウトの防止)、そのままでは冷凍空間内に放出されてしまう湿気(水分)を極力抑えることができ、冷凍空間内の氷霜の発生も抑えることができ、ひいては冷凍空間の衛生状態を向上させることができる。
【0013】
また請求項2記載の発明によれば、デフロストの際、冷却コイルに散水される温水の温度が15℃~20℃であるため、氷霜を融解した水(温水)が、除霜途中で冷却コイルの表面に凍り付いてしまうことを防止することができ、確実に除霜作業を進めることができる。
【0014】
また請求項3記載の発明によれば、例えば取入口に設けられたダンパーにも氷霜が付着したとしても、これを確実に除霜することができる。
【0015】
また請求項4記載の発明によれば、冷却コイルに散布する温水の一部をダンパー周辺に散布することにより、ダンパーのデフロストを図るため、別途ダンパー用のデフロスタを用意する必要がなく、空気冷却器の性能を維持することができ、トータルでの設備費も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る空気冷却器を具えた冷凍倉庫等の冷凍空間を示す側面図(a)、並びに空気冷却器を拡大して示す側面図及び正面図(b)である。
【
図2】本発明に係る二元冷凍システムの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、以下の実施例に示すとおりであるが、これらの実施例に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例0018】
以下、本発明の空気冷却器におけるデフロスト運転方法に先立ち、本発明を実施し得る空気冷却器1の一例について説明する。
空気冷却器1は、例えば冷凍された魚体等の冷凍対象物を保管する大型冷凍倉庫等の冷凍空間Rに、冷却した空気を供給し、当該冷凍空間Rを所望の低温雰囲気、例えば-50℃程度に保つものであり、端的には冷凍空間Rを冷却するものである。
このような空気冷却器1は、一例として
図1に示すように、緩密閉可能なケーシング2を外殻部材とし、更に当該ケーシング2内に設けられるクーラーユニット3と、このクーラーユニット3の上方に設けられ、クーラーユニット3の冷却コイルに付着した氷霜を除去するデフロスタ4とを具えて成り、冷凍空間R内に設置される。
以下、空気冷却器1の各構成部材について説明する。
【0019】
ケーシング2は、ケーシング本体21と、このケーシング本体21内に空気を取り込むための取入口22と、クーラーユニット3によって冷却された空気を送り出す送出口23と、送風用のファン24とを具える。
そして取入口22と送出口23とは開放・閉鎖自在、つまりケーシング本体21の外部と適宜連通させ得るように構成されており、実質的には当該部位に設けられたダンパーがこの作用を担う。ここで取入口22のダンパーに221の符号を付し、送出口23のダンパーに231の符号を付すものである。
【0020】
なお、取入口22のダンパー221は、開閉操作及び開閉量の自由設定が積極的に行い得るように構成される。また送出口23のダンパー231は、自然状態(ファン24の非作動時)では自重によって扉状のダンパー本体が垂れ下がり、この下垂状態で送出口23を閉鎖するように構成される一方、ファン24を回転させた作動時には、ファン24の吸い込み作用によって、当該ダンパー本体(下端縁)が下垂状態から回動し、送出口23を開放するように構成される。
【0021】
因みに、本明細書に記載する「緩密閉」とは、このようなダンパー221・231によってケーシング2内を閉鎖状態に形成した状態や閉鎖状態に形成し得ることを指すものである。
またケーシング2内を閉鎖状態とするのは、クーラーユニット3をデフロストするときであり、ケーシング2内を開放したままクーラーユニット3をデフロストすると、除霜のために散水した水が、クーラーユニット3で冷やされ、更に冷凍空間R内に飛び散って霧(雪)のようになってしまうため、またホワイトアウトを防止するためにケーシング2内を閉鎖状態とするものである。
【0022】
また送出口23には一基のクーラーユニット3について複数(ここでは三基)の送風ダクト232が設けられ、例えばこのクーラーユニット3が冷凍空間Rの左右方向に一対設けられる。すなわち、送出口23としては、一棟の冷凍空間Rに対し、全部で六基の送出口23が幅方向に配設されることになる。
また、これら送風ダクト232は、各々、風向(吹出口の方向)が適宜変更できるように構成されており、これにより各送風ダクト232が、冷凍空間R内の所望位置に冷却空気を送り込むことができるように構成されている。
【0023】
次にクーラーユニット3について説明する。
クーラーユニット3は、上述したようにケーシング本体21内に設けられ、ケーシング本体21の取入口22から取り込んだ空気(外気)を冷却する作用を担う。もちろん、冷却した空気は、その後、前記送出口23(送風ダクト232)を経由して冷凍空間Rに送られ、当該空間を冷却する。
クーラーユニット3は、図示を省略する冷却コイルを複数具えて成り、冷媒を流すためのコイルチューブと、当該コイルチューブに取り付けられた複数のフィンとを具えて成る。ここでフィンは、適宜の間隔を設けて鉛直状に多数配設され、このフィンを貫通するように多数のコイルチューブが水平状に設けられ、効率的に熱交換(ここでは空気から熱を奪って空気を冷却すること)が行えるように構成されている。またデフロスト時には、クーラーユニット3に散布された温水(水)が、鉛直状に配置されたフィンの表面を伝い落ちるように構成されている。
なお、このようなコイルチューブとフィンとを組み合わせて成る冷却コイルは、複数基のセットでユニットとして設置されることが多い。
【0024】
次にデフロスタ4について説明する。
デフロスタ4は、クーラーユニット3の冷却コイルに付着した氷霜を除去するものであり、本発明では、デフロストに用いられる除霜媒体は水(温水)である。具体的にはクーラーユニット3の上方から温水を散布して、冷却コイルに付着した氷霜を加熱融解して除去するデフロスト手法である。なお、この温水によって、冷却コイルの洗浄も行うものである。
このためデフロスタ4は、一例として上記
図1に示すように、除霜用の温水をクーラーユニット3の上方まで送る散水配管41と、この散水配管41から温水をクーラーユニット3にシャワーリングする散水ノズル42と、除霜後の落下水を貯留するドレンパン43とを具えて成り、ドレンパン43には貯留した水を外部に排出するための排水管(図示略)が接続される。
なお除霜用の温水の温度は、15℃~20℃程度が好ましく、これはドレンパン43に落下する前に、水が冷却コイルのフィン表面等に凍り付いてしまうこと(いわゆる再着氷)を防ぐためである。
【0025】
また本発明では、冷却コイルに作用させる冷却媒体、すなわちコイルチューブ内に流す冷媒は炭酸ガスであり、以下、この冷凍システムの一例について説明する。すなわち本発明では、一例として
図2に示すような二元冷凍システムSを採用して、冷凍空間Rの冷却を行う。
この二元冷凍システムSは、図示のように高元側にアンモニアサイクルL1と、低元側に炭酸ガスサイクルL2とを組み合わせて成るものである。
アンモニアサイクルL1は、一例として圧縮機100と、凝縮器101と、受液器102と、膨張弁103と、低圧受液器104と、熱交換器105とを具えて成るものであって、実質的にこの熱交換器105によって、炭酸ガスサイクルL2内の炭酸ガス冷媒を冷却する。またこのアンモニアサイクルL1は、媒体が毒性のあるアンモニアであることから、封入量が極力少量にされると同時に、アンモニアサイクルL1を構成する部材が、一例として冷凍空間Rの外部である機械室等に設置され、目的の蒸発器109から隔離される。
【0026】
一方、炭酸ガスサイクルL2は、一例として上述した熱交換器105の他、受液器106と、電磁弁107と、流量調整弁108と、蒸発器109とを具えて成るものであって、このサイクル中、例えば蒸発器109のみを冷凍空間R内に設置し、ファン109aによって冷凍空間R内を冷却する。なお、上記蒸発器109が
図1中のクーラーユニット3に相当し、また上記ファン109aが
図1中のファン24に相当する。更に前記蒸発器109で目的の冷却を行うことから、熱交換器105(または受液器106)を蒸発器109よりも高い位置に設置し、これらの間に二酸化炭素媒体の液ヘッド差を形成するものである。
【0027】
次に、上記二元冷凍システムSによる冷却態様について説明する。
まずアンモニアサイクルL1では、圧縮機100によって圧縮された気体状のアンモニアガスが、凝縮器101を通るとき、冷却水や空気によって冷やされて液体となる。液体となったアンモニアは、膨張弁103によって必要な低温度に相当する飽和圧力まで膨張した後、熱交換器105で蒸発して気体となる。このとき、アンモニアは、炭酸ガスサイクルL2内の二酸化炭素から熱を奪い、これを液化する。また、熱交換器105で気体となったアンモニアガスは圧縮機100に送られる。
【0028】
一方、炭酸ガスサイクルL2では、熱交換器105によって冷やされて液化した液化炭酸ガスが、液ヘッド差を利用した自然循環現象によって下降し、受液器106、電磁弁107、流量調整弁108を通って、目的の冷却を行う蒸発器109に入り、ここで冷媒である二酸化炭素自体が温められて蒸発し、ガスとなって再び熱交換器105に戻って行く。
そして、このような二元冷凍システムSを利用することによって、極めて効率良く冷凍空間Rの冷却を行うことができるものである。
なお、このような二元冷凍システムSとしては、本出願人が既に開発及び特許取得に至っている特許第3458310号を利用することができる。
【0029】
本発明に係る空気冷却器1は、以上のような基本構造を有するものであり、以下、この空気冷却器1を適用した除霜態様について説明しながら、本発明のデフロスト運転方法(空気冷却器におけるデフロスト運転方法)について説明する。なお、デフロスト運転を行う際には、取入口22のダンパー221と、送出口23のダンパー231とを閉鎖してケーシング本体21を緩密閉状態とするものである。
(1)散水工程
まず散水工程を行うものであり、本工程は、デフロスタ4によって、クーラーユニット3の上方から、例えば15℃~20℃程度の温水、より詳細には、この温度が確保できている地下水を散布して、冷却コイルに付着した氷霜を加熱融解するとともに冷却コイルを洗浄する工程であり、実質的な除霜・洗浄工程と言える。
本工程で散布された温水は、冷却コイルに付着した氷霜を融解しながら落下して行き、下方に設けられたドレンパン43に貯留される。もちろん、温水は氷霜を融解することにより、自らの熱が奪われ、次第に冷やされて行くが、散布当初の水温が、15℃~20℃であるため、冷却コイルに触れたとき凍り付いてしまうことがないものである。また当該温度であるため、フィン表面などで氷霜を融解した水がドレンパン43に落下する前、つまりフィン表面上を伝い落ちる間に再着氷してしまうことも防止することができ、確実に冷却コイルの除霜が行えるものである。
なお、クーラーユニット3の上方から温水を散布する際には、この温水の一部を、特に取入口22のダンパー221の周辺にも散布することが好ましく、これにより当該ダンパー周辺を加熱し、ダンパー221に付着した氷霜も一挙に除去することができる。
【0030】
(2)水切工程
適宜の時間が経過したら、デフロスタ4からの散水(温水散布)を停止し、水切工程を行う。この水切工程は、適宜の時間、冷却コイル周辺の水分の滴下を待つ工程である。
【0031】
(3)ミスト捕集工程
その後、ミスト捕集工程においてケーシング2(ケーシング本体21)内に分散・浮遊する水分を捕集する。これは、上記デフロストの際、温水を掛けて除霜したことに伴い、ケーシング本体21内にミスト状水分等が分散・浮遊するため、これを回収するものである。
なお、ミスト捕集工程では、取入口22のダンパー221と、送出口23のダンパー231との閉鎖状態を維持してケーシング本体21を緩密閉状態としたまま、冷却コイルのコイルチューブ内に冷却媒体たる炭酸ガスを流してケーシング本体21内を冷却する。これによりケーシング本体21内のミスト状水分・水蒸気水分が冷却コイルの表面に付着し、ケーシング本体21内の水分を確実に且つ効率的に捕集することができる。
【0032】
(4)冷却再開工程
その後、冷凍空間Rに冷気(冷却した空気)を再び送り込む冷却再開工程を行う。この冷却再開工程では、ケーシング2内の温度が所定の冷却温度であることを確認した後、空気の取入口22と送出口23とを開放し、ファン24を作動させることによって、冷気を冷凍空間R内に放出するものである。
この際、上記ミスト捕集工程で除霜後のケーシング2内の水分が除去されているため、冷凍空間R内に霧を発生させてしまうことがなく、デフロスト後の冷却運転再開時において、冷凍空間R内の視界を確保することができる(いわゆるホワイトアウトの防止)。また、そのままでは冷凍空間内に放出されてしまう湿気(水分)を極力抑えることができるため、冷凍空間R内の氷霜の発生も低減することができ、ひいては冷凍空間Rの衛生状態の向上も図ることができる。
【0033】
〔他の実施例〕
本発明は以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
まず上述した基本の実施例は、上記
図1に示したように、冷凍空間R内の中二階(冷凍庫中二階)に空気冷却器1を設置するものであったが、空気冷却器1は、種々の場所に設置することができる。
具体的には、例えば空気冷却器1を冷凍空間Rの天井から吊るすような設置形態が可能であり、これは、いわゆる天吊り型と称される設置態様である。この場合、空気冷却器1からその下方(冷凍庫の床面付近)まで吹出ダクトによって接続することが可能であり、この吹出ダクトの下端部には、上方の空気冷却器1によって冷却された空気を、冷凍空間Rの床面方向に吹き出す吹出口が形成される。
また、その他にも、例えば空気冷却器1を冷凍庫の床面に設置することが可能である。その場合、空気冷却器1からその上方(冷凍庫の天井付近)まで吸込ダクトによって接続することが可能であり、この吸込ダクトの上端部には、冷凍対象物の冷却を終えた作用済空気を吸い込む吸込口が形成される。因みに、冷却した空気は、空気冷却器1から冷凍空間Rの床面付近に吹き出される。