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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143303
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20241003BHJP
   H01R 13/6461 20110101ALI20241003BHJP
【FI】
H01R13/46 A
H01R13/6461
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055906
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 貴則
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佳吾
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FB07
5E021FB10
5E021FC19
5E021FC20
5E087EE02
5E087EE11
5E087FF08
5E087FF13
5E087HH01
5E087LL03
5E087LL12
5E087MM05
5E087QQ01
5E087QQ04
5E087RR02
5E087RR12
5E087RR25
5E087RR26
5E087RR44
(57)【要約】
【課題】屈曲するハウジング内において、電線同士が近接することによる伝送特性の悪化を防止できる。
【解決手段】モジュール収容室(11,131)に収容される誘電体30は、第1キャビティ46と、第1キャビティ46よりも下方に位置する第2キャビティ31と、を有している。第1キャビティ46の後端から配索空間(12,132)内に導出された第1電線(90,180)は、第1屈曲部(91,181)を有し、第2キャビティ31の後端から配索空間(12,132)内に導出された第2電線(100,190)は、第1屈曲部(91,181)と同じ向きに屈曲した第2屈曲部(101,191)を有する。第1キャビティ46の後端は、第2キャビティ31の後端よりも後方に位置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール収容室と、前記モジュール収容室の後端部に連通する配索空間とが形成されたハウジングと、
後方から前記モジュール収容室に挿入される端子モジュールと、を備え、
前記端子モジュールは、第1電線と、前記第1電線に固着された第1端子金具と、第2電線と、前記第2電線に固着された第2端子金具と、前記モジュール収容室に収容される誘電体と、を有し、
前記誘電体は、前記第1端子金具が収容される第1キャビティと、前記第1キャビティよりも下方に位置し前記第2端子金具が収容される第2キャビティと、を有し、
前記第1キャビティの後端から前記配索空間内に導出された前記第1電線は、導出方向先方の部位が前記配索空間内で前記誘電体の前記モジュール収容室への挿入方向と交差する向きに屈曲した第1屈曲部を有し、
前記第2キャビティの後端から前記配索空間内に導出された前記第2電線は、前記第1屈曲部と同じ向きに屈曲した第2屈曲部を有し、
前記第1キャビティの前記後端が、前記第2キャビティの前記後端よりも後方に位置する、コネクタ。
【請求項2】
前記第2キャビティは、前記第1端子金具よりも、前後方向における長さが短い、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1電線は、前記配索空間内において前記第1屈曲部から下方に延びており、
前記第2電線は、前記配索空間内において前記第2屈曲部から、前記第1屈曲部と同じ向きに延びており、
前記配索空間において、前記第1電線と前記第2電線とが左右方向に間隔を空けて配索される請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記配索空間における前記モジュール収容室とは反対側の端部の開口を閉塞する弾性部材をさらに備え、
前記弾性部材は、前記第1電線が貫通する第1シール孔と、前記第2電線が貫通する第2シール孔を有し、
前記第1シール孔と前記第2シール孔とは、左右方向に間隔を空けて配置されている請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1電線は、前記配索空間内において前記第1屈曲部から側方に延びており、
前記第2電線は、前記配索空間内において前記第2屈曲部から、前記第1屈曲部と同じ向きに延びており、
前記配索空間において、前記第1電線と前記第2電線とが上下方向に間隔を空けて配索される請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記配索空間における前記モジュール収容室とは反対側の端部の開口を閉塞する弾性部材をさらに備え、
前記弾性部材は、前記第1電線が貫通する第1シール孔と、前記第2電線が貫通する第2シール孔を有し、
前記第1シール孔と前記第2シール孔とは、上下方向に間隔を空けて配置されている請求項5に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングと、ハウジングに収容される端子モジュールとを備えるコネクタの開示がある。端子モジュールは、複数の端子金具と、各端子金具に圧着された電線と、複数の端子金具を収容する複数の端子収容室を有する誘電体とを備えている。例えば、誘電体は、端子金具を収容する端子収容室(以下、キャビティともいう。)を上下2列に計4つ備えている。電線は、各キャビティの後端から、ハウジングが有する電線収容室(以下、配索空間ともいう。)内に引き出されるとともに、電線収容室内を端子挿入方向に沿って真っすぐ延びている。ハウジング内に形成される、端子金具と電線が挿通する空間は、一直線状を呈している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-140803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、コネクタの短尺化の需要に応えるため、例えば、ハウジングの内部で電線を屈曲させて配索するコネクタが開発されている。しかし、電線を限られた空間内で屈曲させると、例えば電線が電力線と信号線とを含む場合に、電力線と信号線とが近接し易くなるという懸念がある。電力線と信号線が接近すると伝送特性が悪化するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
モジュール収容室と、前記モジュール収容室の後端部に連通する配索空間とが形成されたハウジングと、
後方 から前記モジュール収容室に挿入される端子モジュールと、を備え、
前記端子モジュールは、第1電線と、前記第1電線に固着された第1端子金具と、第2電線と、前記第2電線に固着された第2端子金具と、前記モジュール収容室に収容される誘電体と、を有し、
前記誘電体は、前記第1端子金具が収容される第1キャビティと、前記第1キャビティよりも下方に位置し前記第2端子金具が収容される第2キャビティと、を有し、
前記第1キャビティの後端から前記配索空間内に導出された前記第1電線は、導出方向先方の部位が前記配索空間内で前記誘電体の前記モジュール収容室への挿入方向と交差する向きに 屈曲した第1屈曲部を有し、
前記第2キャビティの後端から前記配索空間内に導出された前記第2電線は、前記第1屈曲部と同じ向きに屈曲した第2屈曲部を有し、
前記第1キャビティの前記後端が、前記第2キャビティの前記後端よりも後方に位置する、コネクタ。
【発明の効果】
【0006】
本開示のコネクタは、屈曲して配索された電線同士の近接による伝送特性の悪化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1におけるコネクタの斜視図である。
図2図2は、実施形態1におけるコネクタの分解斜視図である。
図3図3は、実施形態1のコネクタ内部における第1電線と第2電線の配索を表す側断面図である。
図4図4は、実施形態1におけるコネクタの背断面図である。
図5図5は、実施形態1におけるゴム栓部分の平断面図である。
図6図6は、実施形態2におけるコネクタの斜視図である。
図7図7は、実施形態2におけるコネクタの分解斜視図である。
図8図8は、実施形態2のコネクタ内部における第1電線と第2電線の配索を表す底断面図である。
図9図9は、実施形態2におけるコネクタの背断面図である。
図10図10は、実施形態2におけるゴム栓部分の側断面図である。
図11図11は、実施形態1および実施形態2における、端子モジュールの一部切欠分解斜視図である。
図12図12は、実施形態1および実施形態2において、第1キャビティに第2端子金具を誤挿入した状態を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
【0009】
(1)本開示のコネクタは、モジュール収容室と、前記モジュール収容室の後端部に連通する配索空間とが形成されたハウジングと、後方から前記モジュール収容室に挿入される端子モジュールと、を備えている。前記端子モジュールは、第1電線と、前記第1電線に固着された第1端子金具と、第2電線と、前記第2電線に固着された第2端子金具と、前記モジュール収容室に収容される誘電体と、を有している。前記誘電体は、前記第1端子金具が収容される第1キャビティと、前記第1キャビティよりも下方に位置し前記第2端子金具が収容される第2キャビティと、を有している。前記第1キャビティの後端から前記配索空間内に導出された前記第1電線は、導出方向先方の部位が前記配索空間内で前記誘電体の前記モジュール収容室への挿入方向と交差する向きに屈曲した第1屈曲部を有している。前記第2キャビティの後端から前記配索空間内に導出された前記第2電線は、前記第1屈曲部と同じ向きに屈曲した第2屈曲部を有している。前記第1キャビティの前記後端が、前記第2キャビティの前記後端よりも後方に位置する。
【0010】
第1キャビティの後端は、第2キャビティの後端よりも後方に位置するため、配索空間内において、第1屈曲部を有する第1電線と第2屈曲部を有する第2電線とを容易に前後方向に間隔を空けて配索することができる。これにより、ハウジング内で第1電線と第2電線が近接することに起因する伝送特性の悪化を抑制できる。なお、本明細書において、「同じ向き」とは、完全に同じ方向を向く場合のみならず、完全に同じ方向でなくとも上記の作用効果を奏する範囲内であれば若干ずれた方向をも含む。
【0011】
(2)(1)に記載のコネクタにおいて、前記第2キャビティは、前記第1端子金具よりも、前後方向における長さが短いことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第2キャビティに第1端子金具を収容しようとした場合、第1端子金具の一部が第2キャビティからはみ出すため、第1端子金具が誤って第2キャビティに収容されることを防止できる。
【0013】
(3)(1)または(2)に記載のコネクタにおいて、前記第1電線は、前記配索空間内において前記第1屈曲部から下方に延びており、前記第2電線は、前記配索空間内において前記第2屈曲部から、前記第1屈曲部と同じ向きに延びており、前記配索空間において、前記第1電線と前記第2電線とが左右方向に間隔を空けて配索されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第1電線と第2電線とは、前後方向だけでなく、左右方向にも間隔を空けて配索される。第1電線と第2電線を左右方向に間隔を空けずに配索する場合に比べて、配索空間内で第1電線と第2電線の間隔を大きく確保できる。したがって、配索空間の前後方向の寸法を大きくしなくても、伝送特性の悪化を効果的に抑制できる。
【0015】
(4)(3)に記載のコネクタにおいて、前記配索空間における前記モジュール収容室とは反対側の端部の開口を閉塞する弾性部材をさらに備え、前記弾性部材は、前記第1電線が貫通する第1シール孔と、前記第2電線が貫通する第2シール孔を有し、前記第1シール孔と前記第2シール孔とは、左右方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第1電線と第2電線を弾性部材の第1シール孔と第2シール孔に挿通することによって、第1電線と第2電線が、配索空間において左右に離隔した位置関係に保持されるので、第1電線と第2電線が近接することに起因する伝送特性の悪化を防げる。
【0017】
(5)(1)または(2)に記載のコネクタにおいて、前記第1電線は、前記配索空間内において前記第1屈曲部から側方に延びており、前記第2電線は、前記配索空間内において前記第2屈曲部から、前記第1屈曲部と同じ向きに延びており、前記配索空間において、前記第1電線と前記第2電線とが上下方向に間隔を空けて配索されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1電線と第2電線とは、前後方向だけでなく、上下方向にも間隔を空けて配索される。第1電線と第2電線を上下方向に間隔を空けない場合に比べて、配索空間内で第1電線と第2電線の間隔を大きく確保できる。したがって、配索空間の前後方向の寸法を大きくしなくても、伝送特性の悪化を効果的に抑制できる。
【0019】
(6)(5)に記載のコネクタにおいて、前記配索空間における前記モジュール収容室とは反対側の端部の開口を閉塞する弾性部材をさらに備え、前記弾性部材は、前記第1電線が貫通する第1シール孔と、前記第2電線が貫通する第2シール孔を有し、前記第1シール孔と前記第2シール孔とは、上下方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、第1電線と第2電線を弾性部材の第1シール孔と第2シール孔に挿通することによって、第1電線と第2電線が、配索空間において上下方向に離隔した位置関係に保持されるので、第1電線と第2電線が近接することに起因する伝送特性の悪化を防げる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0022】
「前側」を「F」、「上側」を「U」、「右側」を「R」及びで表している。
前後方向については、ハウジング(10,130)が相手側コネクタ(図示省略)と嵌合する面側を前側とする。上下方向は、図5,及び図8を除く各図の上下方向を基準とする。左右方向は、図3図10及び図12を除く左右方向を基準とする。
【0023】
[実施形態1]
[コネクタ10]
図2に示すように、本実施形態1のコネクタ10は、ハウジング20と、端子モジュール30Aと、ハウジング20を背面側から閉塞する背面カバー60と、ハウジング20を下面から閉塞する下面カバー70と、弾性部材80(以下、ゴム栓ともいう。)と、第1電線90と、第2電線100と、前方シールリング110と、背面シールリング115と、フロントリテーナ120を備えている。
【0024】
ハウジング20は、側面からみてL字形状を呈している。ハウジング20は、モジュール収容室11と、モジュール収容室11の後端部に連通する配索空間12とを有する。モジュール収容室20は、ハウジング20内で、前後方向に延びている。配索空間12は、モジュール収容室11の後部から下方向に延びている。ハウジング20の外面は、前壁部13と側壁部14により覆われている。側壁部14の下方には、下面カバー70と嵌着する下方ロック受け部15が形成されている。側壁部14の中央部、及び上方には、背面カバー60と嵌着する上方ロック受け部16が形成されている。ハウジング20の上部前面に、前面開口部17が形成されている。ハウジング20の背面には、全領域に亘って、背面開口部18が形成されている。ハウジング20の下面には、下面開口部19が形成されている。
【0025】
図3に示すように、モジュール収容室11は、ハウジング20の上端部において前後方向に形成される内部空間である。モジュール収容室11には、後方から端子モジュール30Aが挿入される。モジュール収容室11の前端は、開口している。モジュール収容室11の前端部の上下内壁は、弾性変形可能な板状部21を有している。板状部21の前端部は、前方につれて狭くなるよう緩やかに傾斜している。板状部21は、後方からの押圧によって、外側に弾性変形可能となっている。板状部21の傾斜部の前端面21Sは、後述する端子モジュール30Aのロック部64と係止するための係止端面として機能する。板状部の傾斜部の前端面21Sは、端子モジュール30Aの収容方向に対して、垂直な面である。
【0026】
配索空間12は、ハウジング20内の後部において上下方向に形成された内部空間である。配索空間12内には、後述する第1電線90と、第2電線100の前端領域が収容される。配索空間12の前壁部13は、配索空間12を下方につれて前後方向に拡がるように傾斜したオーバーハング状の傾斜面23を有している。傾斜面23は、上下方向に対し垂直な規制面24Sと、前後方向に対し垂直な壁面22Sとで形成される凹み状の段部24を有している。上下方向に対し垂直な規制面24Sに、第2電線100のシースの端面25Sが当接している。段部24は、ハウジング20を上から視た平面視において、配索空間12の下端部における内壁間の前後方向中間位置に配置される。図4で示すように、配索空間12の前壁部13の上部左側に、後方へ延びる凸部26が形成される。凸部26は、後方からみて、矩形の右上部を切り欠かれ、台形をなしている。凸部26の縁部には、テーパが形成されている。配索空間12の上部右側に、経路規制部27が形成されている。経路規制部27は、前側に傾斜する誘導傾斜面28と誘導傾斜面28の左右側縁から後方に延びる一対の規制壁29により構成されている。
【0027】
図11に示すように、端子モジュール30Aは、第1電線90と、第1端子金具55Aと、第2電線100と、第2端子金具55Bと、誘電体30と、を有する。誘電体30は、例えば、下段誘電体35、中段誘電体45、誘電体カバー65を備えている。
【0028】
下段誘電体35は、誘電体30の下段部を形成し、第2端子金具55Bを収容する。下段誘電体35は、その前後方向における両端にわたって、第2端子金具55Bを収容する第2キャビティ31を備えている。第2キャビティ31は、下段底壁32と、下段底壁32の左右端部から上方に延びる下段内壁33によって形成される、前後方向に長い方形状の空間である。下段底壁32の前端部は、第2端子金具55Bの第2端子本体部38を収容する、上方からみて縦長矩形の第2係合凹部39を有している。第2係合凹部39の後部には、下段底壁32から上方に向かって段形状に隆起する第2突起部34が形成されている。第2突起部34によって、第2係合凹部の後端面39Sは、下段底壁32に対して垂直をなしている。第2キャビティ31は、下段誘電体35中に、左右対称となるよう2つ形成されている。下段誘電体35の第2キャビティ31の前端は、下段底壁32の前側縁から垂直に延びる矩形板状の挿通部42が形成されている。挿通部42には、相手側の雄端子(図示省略)を挿通させるための挿通孔43が4つ形成されている。下段誘電体35は、下段係合部40を有している。
【0029】
中段誘電体45は、誘電体30の中段部を形成し、第1端子金具55Aを収容する。中段誘電体45は、その前後方向における両端にわたって、第1端子金具55Aを収容する第1キャビティ46を有している。中段誘電体45は、後端部に、側方部52と、下方部53を備えている。
【0030】
第1キャビティ46は、中段底壁47と、中段底壁47の左右端部から上方に延びる中段側壁48によって形成される、前後方向に長い方形状の空間である。中段底壁47には、第1端子金具55Aの第1端子本体部57を収容するための、第1係合凹部49が形成されている。第1係合凹部49の前後両端部は、第1端子本体部57の第1位置決め突起54を収容するための、第1位置決め凹部44を有している。後端部側の第1位置決め凹部44の後方には、中段底壁47から上方に向かって段形状に隆起する第1突起部51が形成されている。第1係合凹部49の後端面49Sは、第1位置決め凹部44の底面に対して垂直をなしている。第1係合凹部49の後端面49Sの上下高さは、第2係合凹部の後端面39Sよりも高い。第1位置決め突起54の下端から、第1端子本体部57の上端面までの高さ寸法は、第2端子本体部38の前端部における下端面から上端面までの高さ寸法よりも大きい。第1係合凹部49の前後方向における長さ49Dは、第2係合凹部39の前後方向における長さ39Dよりも長い。第1キャビティ46は、中段誘電体45に、左右対称となるよう2つ形成されている。
【0031】
側方部52は、図4で示すように、後端部において、第1キャビティ46の外両側面を覆う部分である。第1キャビティ46の左側を覆う側方部52の下端部は、前側に傾斜するカバー傾斜面50を有している。下方部53は、図3で示すように、後端部において、第1キャビティ46を下側から支持する部分である。後方からみて、側方部52の下端は、下方部53の下端よりも下側に位置する。下方部53の後端における下側中央部分は、配索空間12において、第2電線100を、第1電線90よりも前方に配索させるため、上方に湾曲するように凹むカバー凹部59を形成している。図3で示すように、下方部53は、側方からみて後方に突出している。下方部53の後端は、側面からみて、円弧形状をなしている。図3で示すように、下方部53の前端面53Sの下端は、第2電線100の上端よりも下方に形成されている。側方部52の前端面52Sの下端は、第2電線100の上端よりも下方に形成されている。下方部53の後端は、第1キャビティ46の後端である。下段誘電体35と、中段誘電体45とを嵌着固定した状態において、第1キャビティ46の後端面46Sは、第2キャビティ31の後端面31Sよりも、後方に位置する。第1キャビティの後端面46Sと、第2キャビティの後端面31Sは、前後方向に間隔Dを空けて配置される。なお、第1キャビティ46の前端と、第2キャビティ31の前端とは、例えば、前後方向における位置が同じである。
【0032】
誘電体カバー65は、誘電体30の上段部を形成し、下段誘電体35と、中段誘電体45の両側面と上側を覆っている。誘電体カバー65の外側は、上面カバー部66と、側面カバー部67で形成され、前側を開口している。誘電体カバー65は、後側両側面の内側に、中段誘電体45と係合するための第1係合部(図示省略)を有し、前側両側面の内側に、下段誘電体35と係合するための第2係合部(図示省略)を有し、前側上面にモジュール収容室11内で、ハウジング20の板状部21と嵌着するためのロック部64を有している。
【0033】
第1端子金具55Aと第2端子金具55Bとの総称を、端子金具55とする。各端子金具55は、金属板材に曲げ加工等を施して成形された単一部品である。図11に示すように、各端子金具55は、全体として前後方向に細長い形状である。各端子金具55の後端側領域には環状の圧着部が形成されている。第1端子金具55Aの第1圧着部56Aに第1電線90の前端部を圧着することによって、第1端子金具55Aは、第1電線90に固着されている。第2端子金具55Bの第2圧着部56Bに第2電線100の前端部を圧着することによって、第2端子金具55Bは、第2電線に固着されている。第1端子金具55Aの前端領域には、角筒状の第1端子本体部57が形成されている。第2端子金具55Bの前端領域には、角筒状の第2端子本体部38が形成されている。各端子本体部57,38内には、弾性接触片(図示省略)が形成されている。相手コネクタが有する相手側の雄端子(図示省略)と各弾性接触片とが接触することにより、コネクタ10は、相手コネクタと電気的に接続する。
【0034】
第1端子金具55Aは、第1キャビティ46に収容される。第1端子金具55Aは、例えば、イーサネットに接続される端子である。イーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))はコンピュータネットワークの規格であり、LAN(Local Area Network)などにおいて使用される。第1端子本体部57は、例えば角筒状である。第1端子本体部57は、前後方向における両端の2か所において、下側へ突出した、第1位置決め突起54を有している。第1位置決め突起54は、第1キャビティ46の第1係合凹部49と係合する部位である。第1端子金具55Aは、第1圧着部56Aと第1端子本体部57の上端同士をつなぐ第1接続部58Aを有している。第1端子金具55Aは、第2端子金具55Bよりも、前後方向に長い。第1端子金具55Aの前後方向における長さは、第2キャビティ31よりも長い。第1端子本体部57の前後方向における長さは、第2係合凹部39の前後方向における長さ39Dよりも長い。
【0035】
第2端子金具55Bは、第2キャビティ31に収容される。第2端子金具55Bは、例えば、車載通信線に接続される端子である。第2端子本体部38は、例えば角筒状である。第2圧着部56Bは、例えば環状をなしている。第2端子金具55Bは、第2端子本体部38と、第2圧着部56Bの上端同士をつなぐ第2接続部58Bを有している。第2接続部58Bの前後方向における中間部は、他の部位に比べて上下方向の厚みを増している。
【0036】
第2接続部58Bは、第1接続部58Aよりも上下方向に厚みを有している。第2接続部58Bは、第1接続部58Aよりも前後方向における長さが短い。第2圧着部56Bは、第1圧着部56Aよりも前後方向における長さが短い。第1位置決め突起54の下方への突出寸法は、第2係合凹部の後端面39Sの上下寸法よりも長い。第2端子本体部38は、第1端子本体部57よりも、前後方向に短い。
【0037】
第1電線90は、中段誘電体45に形成される2つの第1キャビティ46から、1本ずつ延出している。第1端子金具55Aの後端から延びる第1電線90、すなわち第1キャビティ46の後端から延びる第1電線90は、配索空間12内に導出されている。図3に示すように、配索空間12内に導出された第1電線90は、導出方向の先方の部位が配索空間12内で誘電体30のモジュール収容室11への挿入方向と交差する向きに屈曲した第1屈曲部91を有している。なお、誘電体30のモジュール収容室11への挿入方向は、例えば、前方であり、当該挿入方向と交差する向きは、例えば下方である。例えば、第1電線90は、第1電線90を下方に屈曲させる第1屈曲部91を有している。なお、第1電線90における第1端子金具55Aの後端から第1屈曲部91までの部分は、例えば、前後方向に沿って延びている。第1電線90は、傾斜延部92を有している。傾斜延部92は、配索空間12の下側端部の内壁により形成される拡張された配策空間12Aにおける前後方向の中間位置に向かって斜め前下方向に延びる部分である。第1電線90は、傾斜延部92の下端に繋がった第1下方屈曲部93を有している。第1電線90のうち第1下方屈曲部93よりも下側の部位は、下方垂直に延びている。第1屈曲部91は、前後方向に対して鋭角をなして、下方に延びている。第1下方屈曲部93は、上下方向に対して鈍角をなして、下方に延びている。配索空間12において、各第1電線90は、第2電線100よりも右方向に配置されている。配索空間12において、第1電線90と、第2電線100とは、前後方向において間隔を開けて配索されている。
【0038】
第2電線100は、下段誘電体35に形成される2つの第2キャビティ31から、1本ずつ延出している。第2端子金具55Bの後端から延びる、すなわち第2キャビティ31の後端から延びる第2電線100は、配索空間12内に導出されている。第2電線100は、第1電線90と同じ下方向に屈曲する第2屈曲部101を有している。第2電線100における第2端子金具55Bの後端から第2屈曲部101までの部分は、例えば、前後方向に沿って延びている。第2電線100は、側面視において、第2屈曲部101から、下方向へ延出している。配索空間12内に導出された2本の第2電線100は、第2屈曲部101から、さらに下方に延びて、絶縁性のシース25に、外周を一括して被覆されて束ねられている。第2屈曲部101は、シース25に覆われることなく外部に露出している。2本の第2電線100は、第1電線90よりも右方向に配置されている。
【0039】
ハウジング20は、背面を閉塞する背面カバー60を備えている。背面カバー60は、縦長矩形の背面平板部61と、背面平板部61の左右両側面から前方に延びる板状の背面ロック爪62と、背面平板部61の中央部において、前方に延びる矩形の仕切り壁63を有している。背面カバー60は、背面ロック爪62を介してハウジング20と係合する。背面カバー60と、ハウジング20とが係合した状態において、背面平板部61は、ハウジング20の背面を閉塞する。背面カバー60と、ハウジング20とが、係合した状態において、仕切り壁63の前端は、シース25の側面と当接する。
【0040】
ハウジング20は、ハウジング20の下面を閉塞する下面カバー70を備えている。下面カバー70は、矩形の下面平板部71と、下面平板部71の左右両側から上方に延びる下面ロック爪72とを備えている。下面ロック爪72は、後述するハウジング20の下方ロック受け部15と係合する。下面カバー70は、下面平板部71から上方向に延びて、後述するゴム栓80と連結する、一対の連結棒73を有する。下面カバー70は、上方からみて右側に、2本の第2電線100を覆うシース25を挿通する第2誘導孔74を有している。下面カバー70は、第2誘導孔74よりも左側に、2本の第1電線90を挿通する一対の第1誘導孔75を有している。
【0041】
下面カバー70の上側に、ゴム栓80が配置されている。ゴム栓80は、一対の連結孔84を有している。下面カバー70は、一対の連結棒73を連結孔84に食い込ませることによって、下面カバー70と連結している。ゴム栓80は、上方からみて4隅をR形状とする矩形をなし、側面に波型の凹凸形状をなるリップ部81を有している。図5に示すように、ゴム栓80は、上方からみて、右側に第2電線100を覆うシース25を貫通する第2シール孔82を形成している。ゴム栓80は、第2シール孔82よりも左側に、2本の第1電線90を挿通させる一対の第1シール孔83を有している。
【0042】
ハウジング20のモジュール収容室11の外周には、相手側コネクタの嵌合部を液密状にシールする環状の前方シールリング110が嵌着されている。ハウジング20の背面側には、背面カバー60を液密状にシールする環状の背面シールリング115が嵌着されている。
【0043】
コネクタ10は、ハウジング20の板状部21と、端子モジュール30Aを側方から覆うフロントリテーナ120を有している。フロントリテーナ120は合成樹脂製であって、ハウジング20の前面を覆うとともに、端子モジュール30Aの前方への抜け出しを規制し、かつ、板状部21の撓み動作を規制する役割をはたす。
【0044】
フロントリテーナ120は、4隅をR形状とした矩形状の前面平板部121と、前面平板部121の周縁から、後方に延びるカバー周壁122とを有している。前面平板部121は、相手側の雄端子(図示省略)を挿通させるための開口123が4つ形成されている。4つの開口は、それぞれ、下段誘電体35の挿通孔43と連通している。
【0045】
<コネクタ10の作用効果>
コネクタ10の組み立ては以下の手順で行う。まず、下面カバー70の連結棒73を、ゴム栓80の連結孔に挿通させて、両者を連結させる。このとき、第1誘導孔75と、第1シール孔は、連通している。第2誘導孔と、第2シール孔は、連通している。次に、2本の第1電線90を、下側から第1誘導孔75と、第1シール孔83に挿通する。次に、2本の第2電線100を覆っているシース25を、第2誘導孔74と、第2シール孔82に挿通する。このとき、2本の第1電線90は、シース25の左側に配置されている。2本の第2電線100は、シース25に覆われた部分において、撚り合わされることによってツイストペア線を構成している。
【0046】
次に、第1端子金具55Aと第1電線90、ならびに、第2電線55Bと第2電線100を、それぞれ接続する。第1圧着部56Aに第1電線90の前端部を圧着することにより、第1端子金具55Aと第1電線90とを接続する。同様に、第2圧着部56Bに第2電線100の前端部を圧着することにより、第2端子金具55Bと第2電線100と接続する。
【0047】
次に、端子モジュール30Aを組み立てる。図11に示すように、下段誘電体35に形成された一対の第2キャビティ31に、第2端子金具55Bを上方から嵌着する。具体的には、第2キャビティ31の底面に形成された第2係合凹部39に、第2端子本体部38が収容される。第2係合凹部39の縦横の幅は、第2端子本体部38の縦横の幅と略同一であるため、第2端子本体部38は、前後左右方向の移動を規制される。
【0048】
さらに、第2端子金具55Bの装着された下段誘電体35の上から、中段誘電体45を装着する。具体的には、下段誘電体35の下段係合部40と、中段誘電体45の係合部(図示省略)とを嵌着する。次に、中段誘電体45に形成された一対の第1キャビティ46に、第1端子金具55Aを収容する。具体的には、第1キャビティ46の底面に形成された第1位置決め凹部44に、第1端子本体部57に形成された第1位置決め突起54が収容される。第1位置決め凹部44の縦横幅と、第1位置決め突起54の縦横幅が、略同一であるため、第1端子本体部57は、縦横への移動が規制される。次に、中段誘電体45の上側から誘電体カバー65を装着する。具体的に、誘電体カバー65は、第1係合部を介して、中段誘電体45に嵌着され、第2係合部を介して、下段誘電体35に嵌着される。これにより、第1端子金具55A及び第2端子金具55Bを保持した誘電体30が形成される。
【0049】
図12に示すように、端子モジュール30Aの組み立て時において、万が一、第2キャビティ31に、第1端子金具55Aを誤って挿入しようとした場合は、第2キャビティ31の前後方向における長さが、第1端子金具55Aの前後方向における長さよりも短く、第1端子金具55Aの後端が第2キャビティの後端面31Sからはみだすため、容易に誤組を検知できる。
【0050】
また、第2係合凹部39の前後方向における長さ39Dは、第1端子本体部57の前端から、第1端子本体部57の後端部に位置する第1位置決め突起54までの前後寸法よりも短い。よって、上記誤組をしようとした場合に、第1位置決め突起54の下面は、第2突起部34の上面と当接する。これにより、第1端子金具55Aの第1端子本体部57は、第2キャビティ31の第2係合凹部39に収容されることなく浮き上がるため、誤組を容易に検知できる。
【0051】
次に、図2に示すように、端子モジュール30Aをハウジング20に組み付ける。端子モジュール30Aは、例えば、下面開口部19から配索空間12に挿入される。その後、端子モジュール30Aの誘電体30を、ハウジング20の後方から、モジュール収容室11に挿入する。図3に示すように、誘電体30は、挿通部42の前端面によって板状部21の傾斜部を下側から押圧する。押圧された板状部21は上方に弾性変形する。誘電体カバー65のロック部64が、板状部21の傾斜部の前端面21Sを乗り越えると、板状部21は下側から押圧されなくなって、下方へ弾性変形して復元する。このとき、板状部21の傾斜部の前端面21Sと、ロック部の前端面64Sとが当接し、前後移動を規制された状態となる。このように、誘電体30は、モジュール収容室11に、移動を規制された状態で収容される。
【0052】
図3に示すように、誘電体30のモジュール収容室11への挿入時、シースの端面25Sは、ハウジング20の前壁部13の規制面24Sに当接して、上方への移動が規制される。また、図4に示すように、経路規制部27の規制壁29により、第2電線100の左右方向の移動が規制される。シース25は、配索空間12において前後における中間位置で、左右において右寄りの位置に配索される。2本の第2電線100を覆うシース25を、配索空間12内において、過度に前方に配置させると、シースの端面25Sから第2キャビティ31との間における第2電線100の配索長(撚り解き長さH)が長くなって、伝送特性が悪化する。本開示のコネクタ10では、平面視において、シース25が配索空間12の下側端部における前後方向中間位置に配置されている。これにより、シース25の端面25Sから第2キャビティ31の後端との間における第2電線100の撚り解き長さHが長くならないようにしているため、伝送特性の悪化を抑止できる。
【0053】
図3、4に示すように、モジュール収容室11に収容された誘電体30の第1キャビティの後端面46Sと、第2キャビティの後端面31Sとの間に、前後方向の間隔Dが空けられている。側方部52、及び下方部53によって、第2電線100が、第1電線90よりも後方に延出することが抑制される。これにより、第1キャビティ46の後方で屈曲して下方に延びる第1電線90と、第2キャビティ31の後方で屈曲して下方に延びる第2電線100との間に、前後方向の間隔が確保される。コネクタ10の伝送特性は、第1電線90と第2電線100とが前後方向に離隔することによって、良好に保たれる。側面視において、例えば、第1屈曲部91の曲率半径は、第2屈曲部の曲率半径よりも大きい。これにより、配索空間12内において、第1電線90と、第2電線100の間に前後方向の間隔を十分に確保できる。
【0054】
次に、ハウジング20に、前方シールリング110を装着する。前方シールリング110によって、ハウジング20は、相手側コネクタ(図示省略)の嵌合部と、液密状にシールされる。
【0055】
次に、ハウジング20に、前方からフロントリテーナ120を装着する。フロントリテーナ120は、板状部21の撓み動作を規制することで、端子金具55を二次的に抜け止めする。
【0056】
次に、下面カバー70を嵌着し、ハウジング20の下面開口部19を閉塞する。具体的には、下面カバー70の両側面に備える下面ロック爪72と、ハウジング20の下方ロック受け部15とが嵌着される。また、下面カバー70の嵌着によって、ゴム栓80のリップ部81がハウジング20の内壁に密着し、下側からの液体の侵入を防止する。ゴム栓80を挿通するシースの端面25Sは、配索空間12の規制面24Sと当接することにより、上下移動が規制される。
【0057】
第1キャビティ46の後端から導出する2本の第1電線90の傾斜延部92は、第1屈曲部91によって下方に延びつつ、斜め前方に湾曲され、配索空間12の下端部の前後方向における中間地点に向かって延びている。これにより、第1電線90を、第1屈曲部91によって下方垂直に延ばす場合と比較して、配索空間12が後方に大きくなることを防止できる。湾曲されて斜め前方に延びる第1電線90は、第1下方屈曲部93によって、シース25と左右に間隔を空けて並ぶ位置から、再び下方垂直に屈曲して延びている。第1電線90と、シース25とは、左右に間隔を空けて配置される。第1電線90と、第2電線100との間には、左右方向において一定の間隔が確保されている。コネクタ10は、第1電線90と第2電線100との上記左右方向の間隔により、伝送特性の悪化を防止している。
【0058】
次に、背面シールリング115を備えた、背面カバー60を装着する。背面カバー60の背面ロック爪62と、コネクタ10の上方ロック受け部16とが、係合する。係合箇所の外側に配置される背面シールリング115により、ハウジング20の背面側は、隙間なく閉塞され、防水機能を有する。仕切り壁63の前端は、シース25の後面と当接し、シース25の後方への移動を規制している。以上により、コネクタ10の組み付けが完了する。
【0059】
実施形態1のコネクタ10は、ハウジング20と、端子モジュール30Aとを備えている。ハウジング20には、モジュール収容室11と、モジュール収容室11の後端部に連通する配索空間12とが形成されている。端子モジュール30Aは、後方からモジュール収容室11に挿入される。端子モジュール30Aは、第1電線90と、第1電線90に固着された第1端子金具55Aと、第2電線100と、第2電線100に固着された第2端子金具55Bと、モジュール収容室11に収容される誘電体30と、を有する。誘電体30は、第1端子金具55Aが収容される第1キャビティ46と、第1キャビティ46よりも下方に位置し、第2端子金具55Bが収容される第2キャビティ31と、を有している。第1キャビティ46の後端から配策空間12内に導出された第1電線90は、導出方向先方の部位が配索空間12内で誘電体30のモジュール収容室11への挿入方向と交差する向きに屈曲した第1屈曲部91を有している。第2キャビティ31の後端から配策空間12内に導出された第2電線100は、第1屈曲部91と同じ向きに屈曲した第2屈曲部101を有している。第1キャビティ46の後端は、第2キャビティ31の後端よりも後方に位置する。
【0060】
第1キャビティ46の後端は、第2キャビティ31の後端よりも後方に位置するため、配策空間12内において、第1屈曲部91を有する第1電線90と第2屈曲部101を有する第2電線100とを容易に前後方向に間隔を空けて配索することができる。これにより、ハウジング20内で、第1電線90と第2電線100が近接することに起因する伝送特性の悪化を抑制できる。
【0061】
実施形態1の第2キャビティ31は、第1端子金具55Aよりも、前後方向における長さが短いことが好ましい。
【0062】
この構成によれば、第2キャビティ31に第1端子金具55Aを収容しようとした場合、第1端子金具55Aの一部が第2キャビティ31からはみ出すため、第1端子金具55Aが誤って第2キャビティ31に収容されることを防止できる。
【0063】
第1電線90は、配索空間12内において第1屈曲部91から下方に延びている。第2電線100は、配索空間12内において第2屈曲部101から、第1屈曲部91と同じ向きに延びている。配索空間12において、第1電線90と第2電線100とは、左右方向に間隔を空けて配索されていることが好ましい。
【0064】
この構成によれば、第1電線90と第2電線100とは、前後方向だけでなく、左右方向にも間隔を空けて配索される。第1電線90と第2電線100を左右方向に間隔を空けずに配索する場合に比べて、配索空間12内で第1電線90と第2電線100の間隔を大きく確保できる。したがって、配索空間12の前後方向の寸法を大きくしなくても、伝送特性の悪化を効果的に抑制できる。
【0065】
コネクタ10は、配索空間12におけるモジュール収容室11とは反対側の端部の開口を閉塞する弾性部材80をさらに備えている。弾性部材80は、第1電線90が貫通する第1シール孔83と、第2電線100が貫通する第2シール孔82を有している。第1シール孔83と第2シール孔82とが、左右方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。
【0066】
この構成によれば、第1電線90と第2電線100を弾性部材80の第1シール孔83と第2シール孔82に挿通することによって、第1電線90と第2電線100が、配索空間12において左右に離隔した位置関係に保持されるので、第1電線90と第2電線100が近接することに起因する伝送特性の悪化を防げる。
【0067】
[実施形態2]
本開示を具体化した実施形態2のコネクタ130を、図6-12を参照して説明する。実施形態2の説明において、上記実施形態1と同じ構成については、説明を省略し、実施形態1と同じ作用効果についても説明を省略する。
【0068】
[コネクタ130]
図7-9に示すように、本実施形態2のコネクタ130は、ハウジング150と、端子モジュール30Aと、ハウジング150を背面側から閉塞する背面カバー160と、ハウジング150を左側面から閉塞する左側面カバー170と、ゴム栓200と、前方シールリング215と、背面シールリング210と、フロントリテーナ220を備えている。ハウジング150は、上方からみてL字形状を呈している。ハウジング150内には、前後方向に延びるモジュール収容室131と、モジュール収容室131の後部から左方向に延びる配索空間132とが形成されている。ハウジング150の外面は、前壁部135と側壁部133により覆われている。ハウジング150の前面に、前面開口部134が形成されている。ハウジング150の背面には、全領域に亘って、背面開口部138が形成されている。ハウジング150の左側面には、左側面開口部139が形成されている。
【0069】
図8、9に示すように、配索空間132は、ハウジング150内の後部において左右方向に形成される内部空間である。配索空間132内には、後述する第1電線180と、第2電線190の前端領域が収容される。配索空間132の前壁部135は、配索空間132を左方につれて前後方向に拡がるように傾斜したオーバーハング状の傾斜面136を有している。傾斜面136は、左右方向に対し垂直な規制面137Sと、前後方向に対し垂直な壁面136Sとで形成される凹み形状の段部137を有している。傾斜面136を垂直に切り欠いた段部137が形成されている。段部137の、左右方向に対し、垂直な規制面137Sに、第2電線190のシース140の端面140Sが当接している。段部137は、ハウジング150を側方から見た側面視において、配索空間132の左側端部の内壁における前後方向中間位置に配置される。図9で示すように、配索空間132の下部右側に、経路規制部141が形成されている。経路規制部141は、左方にむかうにつれて前側に傾斜する誘導傾斜面142と誘導傾斜面142の左右側縁から後方に延びる一対の規制壁143により構成されている。
【0070】
実施形態2の端子モジュール30Aは、第1電線180と、第1端子金具195Aと、第2電線190と、第2端子金具195Bと、誘電体30と、を有する。
第1電線180は、第1端子金具195Aの第1圧着部196Aに固着され、配索空間132に延びている。図8に示すように、第1電線180は、第1電線180を左方向に屈曲させる第1屈曲部181を有している。なお、図7に示すように、第1電線180における第1端子金具195Aの後端から第1屈曲部181までの部分は、例えば、前後方向に沿って延びている。図8に示すように、第1電線180は、傾斜延部182を有している。傾斜延部182は、第1屈曲部181から、配索空間132の左側端部の内壁により形成される拡張された配策空間132Aにおける前後方向の幅の中間位置に向かって、斜め左前方向に延びる部分である。第1電線180は、第1側方屈曲部183を有している。第1側方屈曲部183は、傾斜延部182下端と繋がっている。第1電線180における第1側方屈曲部183より下側の部分は、左側方に垂直に延びている。第1電線180は、中段誘電体45に形成される2つの第1キャビティ46から、1本ずつ延出している。配索空間132において、各第1電線180は、第2電線190よりも上方向に配置されている。第1屈曲部181により、第1電線180は、垂直左方向より前側に延出するように屈曲している。
【0071】
第2電線190は、第2端子金具195Bの第2圧着部196Bに固着され、配索空間132に延びている。第2電線190は、第1電線180と同じ左方向に屈曲する第2屈曲部191を有している。なお、第2電線190における第2端子金具195Bの後端から第2屈曲部191までの部分は、例えば、前後方向に沿って延びている。第2電線190は、側面視において、第2屈曲部191から、下方からみて、ほぼ垂直左方向へ延出している。第2電線190は、下段誘電体35に形成される2つの第2キャビティ31から、1本ずつ延出している。配索空間132に導出された2本の第2電線190は、第2屈曲部191からさらに左方に延びて、絶縁性のシース140に、外周を一括して被覆されている。配索空間132において、2本の第2電線190は、第1電線180よりも下方向に配置されている。第1屈曲部181は、前後方向に対して鋭角をなすように、第1電線180を左方に屈曲している。第1側方屈曲部183は、左右方向に対して鈍角をなすように、第1電線180を左方に屈曲している。
【0072】
ハウジング150は、背面を閉塞する背面カバー160を備えている。背面カバー160は、横長矩形の背面平板部161と、背面平板部161の上下両側面から前方に延びる背面ロック爪162と、背面平板部161の中央部において、前方に延びる矩形の仕切り壁163を有している。背面カバー160は、背面ロック爪162を介してハウジング150と係合する。背面カバー160と、ハウジング150とが係合した状態において、背面平板部161は、ハウジング150の背面を閉塞する。背面カバー160と、ハウジング150とが係合した状態において、仕切り壁163の前端は、シース140の端面と当接する。
【0073】
ハウジング150は、ハウジング150の左側面を閉塞する左側面カバー170を備えている。左側面カバー170は、矩形の側面平板部171と、側面平板部171の上下両側から上方に延びる左側面ロック爪172とを備えている。左側面ロック爪172は、後述するハウジング150の左方ロック受け部144と係合する。左側面カバー170は、側面平板部171から右方向に延びて後述するゴム栓200と連結する、一対の連結棒173を有する。左側面カバー170の側方からみて下側には、第2電線190を覆うシース140を挿通する第2誘導孔174が形成されている。左側面カバー170における第2誘導孔174よりも上側の位置には、2本の第1電線180を挿通する一対の第1誘導孔175が形成されている。
【0074】
左側面カバー170の右側に、ゴム栓200が配置されている。ゴム栓200は、一対の連結孔204を有している。左側面カバー170は、一対の連結棒173を連結孔204に食い込ませることによって、左側面カバー170と連結している。図10に示すように、ゴム栓200は、側方からみて、下側に第2電線190を覆うシース140を貫通する第2シール孔201を形成している。ゴム栓200は、第2シール孔201よりも、上側に2本の第1電線180を貫通する一対の第1シール孔202を有している。
【0075】
<コネクタ130の作用効果>
コネクタ130の組み立ては以下の手順で行う。第1電線180、第2電線190を、シール孔(201,202)に挿通させる工程、端子金具(195A,195B)と電線(180,190)を圧着する工程、端子モジュール30Aを組み立てる工程、前方シールリング215を装着する工程、フロントリテーナ220を装着する工程、背面カバー160を取り付ける工程は、実施形態1と同様である。
【0076】
図7に示すように、組み立てられた端子モジュール30Aをハウジング150に組み付ける。詳しくは、端子モジュール30Aの誘電体30を、ハウジング150の後方から、モジュール収容室131に挿入する。誘電体30は、実施形態1と同様に、モジュール収容室131に、移動を規制された状態で収容される。図8に示すように、誘電体30がモジュール収容室131に収容された状態では、第1キャビティの後端面46Sと、第2キャビティの後端面31Sの間に、前後方向の間隔Dが形成される。これにより、第1キャビティ46の後方から屈曲して左方に延びる第1電線180と、第2キャビティ31の後方から屈曲して左方に延びる第2電線190との間に、前後方向の間隔Dが確保されるため、伝送特性の悪化を抑止できる。
【0077】
左側面カバー170を嵌着し、ハウジング150の左側面開口部139を閉塞する。具体的には、左側面カバー170の両側面に備える左側面ロック爪172と、ハウジングの左方ロック受け部144とが嵌着される。また、左側面カバー170の嵌着によって、ゴム栓のリップ部205がハウジング150の内壁に密着し、下側からの液体の侵入を防止する。
【0078】
図9に示すように、ゴム栓200を挿通するシースの端面140Sは、配索空間132の規制面137Sと当接することにより、右方への移動が規制される。2本の第2電線190を覆うシース140を、配索空間132内において、過度に前方に配置させると、シースの端面140Sから第2キャビティ31との間における第2電線190の配索長(撚り解き長さH)が長くなって、伝送特性が悪化する。本開示のコネクタ130では、シース140が、ハウジング150を側方から見たときに、配索空間132の左側端部における前後方向中間位置に配置されている。これにより、シースの端面140Sから第2キャビティ31の後端との間における第2電線190の配索長(撚り解き長さH)が長くならないため、伝送特性の悪化を抑止できる。
【0079】
図9に示すように、第2キャビティ31の後端から導出する2本の第2電線190は、配索空間132の左側下部に形成された経路規制部141により、第1電線180よりも下寄りの位置に規制される。誘電体30をモジュール収容室131へ挿入した直後の状態では、第2電線190は、中段誘電体45の側方部145後端より後方にとび出す。しかし、第2電線190を、経路規制部141側に引っ張ると、カバー傾斜面146によって、中段誘電体45の側方部145の後端よりも後方にとび出した第2電線190を、側方部145よりも前方且つ誘導傾斜面142よりも後方となる位置に容易に案内できる。そして、第2電線190を、前後方向において誘導傾斜面142と側方部145との間に位置規制することができる。また、側方部145は、第2電線190を後方から覆う庇状をなすことにより、第2電線190が後方にはみ出すことを防止している。これにより、第1キャビティ46の後端から導出する2本の第1電線180は、第2電線190に対して、前方向かつ、上方向に配置される。
【0080】
図8に示すように、モジュール収容室131に収容された誘電体30の第1キャビティの後端面46Sと、第2キャビティの後端面31Sとの間に、前後方向の間隔Dが空けられている。側方部145、及び下方部147によって、第2電線190が、第1電線180よりも後方に延出することが抑制される。これにより、第1キャビティ46の後方で屈曲して左方に延びる第1電線180と、第2キャビティ31の後方で屈曲して左方に延びる第2電線190との間に、前後方向の間隔が確保される。コネクタ130の伝送特性は、第1電線180と第2電線190とが前後方向に離隔することによって、良好に保たれる。平面視において、第1屈曲部181の曲率半径は、第2屈曲部191の曲率半径よりも大きい。これにより、配索空間132内において、第1電線180と、第2電線190の間に前後方向の間隔を十分に確保できる。
【0081】
図8に示すように、第1キャビティ46の後端から導出する2本の第1電線180の傾斜延部182は、第1屈曲部181により、前方に湾曲されつつ、左方に延びている。傾斜延部182は、第1屈曲部181から、配索空間132の左側端部の内壁により形成される拡張された配策空間132Aの前後方向の幅における中間位置に向かって延びている。これにより、第1電線180を、第1屈曲部181によって左方垂直に延ばす場合と比較して、配索空間132が後方に大きくなることを防止できる。
湾曲されて斜め前方に延びる第1電線180は、第1側方屈曲部183によって、シース140と上下に間隔を空けて並ぶ位置において屈曲している。更に、第1電線180は、第1側方屈曲部183からシース140と平行に左方に向かって前後方向に対して垂直に延びている。第1電線180と、シース140とは、上下方向に間隔を空けて配置される。第1電線180と、第2電線190との間には、上下方向おいて一定の間隔が確保されている。コネクタ130は、第1電線180と第2電線190との上記上下方向の間隔により伝送特性の悪化を防止している。
【0082】
次に、実施形態1と同様に、背面シールリング210を備えた、背面カバー160を装着し、コネクタ130の組み付けが完了する。
【0083】
実施形態2のコネクタ130は、ハウジング150と、端子モジュール30Aとを備えている。ハウジング150には、モジュール収容室131と、モジュール収容室131の後端部に連通する配索空間132とが形成されている。端子モジュール30Aは、後方からモジュール収容室131に挿入される。端子モジュール30Aは、第1電線180と、第1電線180に固着された第1端子金具195Aと、第2電線190と、第2電線1190に固着された第2端子金具195Bと、モジュール収容室131に収容される誘電体30と、を有する。誘電体30は、第1端子金具195Aが収容される第1キャビティ46と、第1キャビティ46よりも下方に位置し、第2端子金具195Bが収容される第2キャビティ31と、を有している。第1キャビティ46の後端から配索空間132内に導出された第1電線180は、導出方向先方の部位が配索空間132内で誘電体30のモジュール収容室131への挿入方向と交差する向きに屈曲した第1屈曲部181を有している。第2キャビティ31の後端から配索空間132内に導出された第2電線190は、第1屈曲部181と同じ向きに屈曲した第2屈曲部191を有している。第1キャビティ46の後端は、第2キャビティ31の後端よりも後方に位置する。
【0084】
実施形態2のコネクタ130において、第2キャビティ31は、第1端子金具195Aよりも、前後方向における長さが短いことが好ましい。
【0085】
実施形態2のコネクタ130において、第1電線180は、配索空間132内において第1屈曲部181から側方に延びている。第2電線190は、配索空間132内において第2屈曲部191から、第1屈曲部181と同じ向きに延びている。配索空間132において、第1電線180と第2電線190とは、上下方向に間隔を空けて配索されていることが好ましい。
【0086】
この構成によれば、第1電線180と第2電線190は、前後方向だけでなく、上下方向にも間隔を空けて配索される。第1電線180と第2電線190を上下方向に間隔を空けない場合に比べて、配索空間132内で第1電線180と第2電線190の間隔を大きく確保できる。したがって、配索空間132の前後方向の寸法を大きくしなくても、伝送特性の悪化を効果的に抑制できる。
【0087】
実施形態2のコネクタ130は、配索空間132におけるモジュール収容室131とは反対側の端部の開口を閉塞する弾性部材200をさらに備えてもよい。弾性部材200は、第1電線180が貫通する第1シール孔202と、第2電線190が貫通する第2シール孔201を有している。第1シール孔202と第2シール孔201とは、上下方向に間隔を空けて配置されていることが好ましい。
【0088】
この構成によれば、第1電線180と第2電線190を弾性部材の第1シール孔202と第2シール孔201に挿通することによって、第1電線180と第2電線190が、配索空間132において上下方向に離隔した位置関係に保持されるので、第1電線180と第2電線190が近接することに起因する伝送特性の悪化を防げる。
[他の実施形態]
(1)実施形態1および実施形態2では、の第2キャビティ31の後端から導出された第2電線(100,190)は、第1屈曲部(91,181)と同じ向きに屈曲した第2屈曲部(101,191)を有している。同じ向きとは、第2屈曲部から第2端子金具とは反対側に延出する第2電線の向きと、第1屈曲部から第1端子金具とは反対側に延出する第1電線の向きとを、上下左右方向について、同じとする意味である。第1屈曲部と、第2屈曲部は、曲率半径を完全に一致させる必要はない。
(2)実施形態2のハウジング150において、配索空間132は、モジュール収容室131の後方から右方へ延びる形態としてもよい。
(3)実施形態1および実施形態2では、ハウジング20、150は、モジュール収容室と配索空間をL字型に連通させているが、例えば、モジュール収容室に対して配索空間が斜めに屈曲するよう連通させてもよい。
(4)実施形態1および実施形態2の誘電体30は、下段誘電体35、中段誘電体45、誘電体カバー65により形成されているが、誘電体30は、単一の部品のみからなるものでもよい。
(5)実施形態1および実施形態2では、端子モジュール30Aは、計4つの端子金具を収容しているが、端子モジュールに収容する端子金具の数は、3つ以下でよく、5つ以上でもよい。
(6)実施形態1および実施形態2のコネクタ(10,130)は、弾性部材としてゴム栓(80,200)を備えている。コネクタに用いる弾性部材は、ゴム栓に限られず、例えば、合成樹脂を用いてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10,130…コネクタ
11,131…モジュール収容室
12,132…配索空間
12A,132A…拡張された配策空間
13,135…前壁部
14,133…側壁部
15…下方ロック受け部
16…上方ロック受け部
17,134…前面開口部
18…背面開口部
19…下面開口部
20,150…ハウジング
21…板状部
21S…傾斜部の前端面
22S,136S…壁面
23,136…傾斜面
24,137…段部
24S,137S…規制面
25,140
25S,140S…シースの端面
26…凸部
27,141…経路規制部
28,142…誘導傾斜面
29,143…規制壁
30A…端子モジュール
30…誘電体
31…第2キャビティ
31S…第2キャビティの後端面
32…下段底壁
33…下段内壁
34…第2突起部
35…下段誘電体
38…第2端子本体部
39…第2係合凹部
39D…第2係合凹部の前後方向における長さ
39S…第2係合凹部の後端面
40…下段係合部
42…挿通部
43…挿通孔
44…第1位置決め凹部
45…中段誘電体
46…第1キャビティ
46S…第1キャビティの後端面
47…中段底壁
48…中段側壁
49…第1係合凹部
49D…第1係合凹部の前後方向における長さ
49S…第1係合凹部の後端面
50,146…カバー傾斜面
51…第1突起部
52,145…側方部
52S…側方部の前端面
53,147…下方部
53S…下方部の前端面
54…第1位置決め突起
55…端子金具
55A,195A…第1端子金具
55B,195B…第2端子金具
56A,196A…第1圧着部
56B,196B…第2圧着部
57…第1端子本体部
58A…第1接続部
58B…第2接続部
59…カバー凹部
60,160…背面カバー
61,161…背面平板部
62,162…背面ロック爪
63,163…仕切り壁
64…ロック部
64S…ロック部の前端面
65…誘電体カバー
66…上面カバー部
67…側面カバー部
70…下面カバー
71…下面平板部
72…下面ロック爪
73,173…連結棒
74,174…第2誘導孔
75,175…第1誘導孔
80,200…ゴム栓(弾性部材)
81,205…リップ部
82,201…第2シール孔
83,202…第1シール孔
84,204…連結孔
90,180…第1電線
91,181…第1屈曲部
92,182…傾斜延部
93…第1下方屈曲部
100,190…第2電線
101,191…第2屈曲部
110,215…前方シールリング
115,210…背面シールリング
120,220…フロントリテーナ
121…前面平板部
122…カバー周壁
123…開口
138…背面開口部
139…左側面開口部
144…左方ロック受け部
170…左側面カバー
171…側面平板部
172…左側面ロック爪
183…第1側方屈曲部
D…間隔
H…撚り解き長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
「前側」を「F」、「上側」を「U」、「右側」を「R」及びで表している。
前後方向については、コネクタ(10,130)が相手側コネクタ(図示省略)と嵌合する面側を前側とする。上下方向は、図5,及び図8を除く各図の上下方向を基準とする。左右方向は、図3図10及び図12を除く左右方向を基準とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
ハウジング20は、側面からみてL字形状を呈している。ハウジング20は、モジュール収容室11と、モジュール収容室11の後端部に連通する配索空間12とを有する。モジュール収容室11は、ハウジング20内で、前後方向に延びている。配索空間12は、モジュール収容室11の後部から下方向に延びている。ハウジング20の外面は、前壁部13と側壁部14により覆われている。側壁部14の下方には、下面カバー70と嵌着する下方ロック受け部15が形成されている。側壁部14の中央部、及び上方には、背面カバー60と嵌着する上方ロック受け部16が形成されている。ハウジング20の上部前面に、前面開口部17が形成されている。ハウジング20の背面には、全領域に亘って、背面開口部18が形成されている。ハウジング20の下面には、下面開口部19が形成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図3に示すように、モジュール収容室11は、ハウジング20の上端部において前後方向に形成される内部空間である。モジュール収容室11には、後方から端子モジュール30Aが挿入される。モジュール収容室11の前端は、開口している。モジュール収容室11の前端部の上下内壁は、弾性変形可能な板状部21を有している。板状部21の前端部は、前方につれて狭くなるよう緩やかに傾斜している。板状部21は、後方からの押圧によって、外側に弾性変形可能となっている。板状部21の傾斜部の前端面21Sは、後述する端子モジュール30Aのロック部64と係止するための係止端面として機能する。板状部21の傾斜部の前端面21Sは、端子モジュール30Aの収容方向に対して、垂直な面である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
配索空間12は、ハウジング20内の後部において上下方向に形成された内部空間である。配索空間12内には、後述する第1電線90と、第2電線100の前端領域が収容される。配索空間12の前壁部13は、配索空間12を下方につれて前後方向に拡がるように傾斜したオーバーハング状の傾斜面23を有している。傾斜面23は、上下方向に対し垂直な規制面24Sと、前後方向に対し垂直な壁面22Sとで形成される凹み状の段部24を有している。上下方向に対し垂直な規制面24Sに、第2電線100のシース25の端面25Sが当接している。段部24は、ハウジング20を上から視た平面視において、配索空間12の下端部における内壁間の前後方向中間位置に配置される。図4で示すように、配索空間12の前壁部13の上部左側に、後方へ延びる凸部26が形成される。凸部26は、後方からみて、矩形の右上部を切り欠かれ、台形をなしている。凸部26の縁部には、テーパが形成されている。配索空間12の上部右側に、経路規制部27が形成されている。経路規制部27は、前側に傾斜する誘導傾斜面28と誘導傾斜面28の左右側縁から後方に延びる一対の規制壁29により構成されている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
下段誘電体35は、誘電体30の下段部を形成し、第2端子金具55Bを収容する。下段誘電体35は、その前後方向における両端にわたって、第2端子金具55Bを収容する第2キャビティ31を備えている。第2キャビティ31は、下段底壁32と、下段底壁32の左右端部から上方に延びる下段内壁33によって形成される、前後方向に長い方形状の空間である。下段底壁32の前端部は、第2端子金具55Bの第2端子本体部38を収容する、上方からみて縦長矩形の第2係合凹部39を有している。第2係合凹部39の後部には、下段底壁32から上方に向かって段形状に隆起する第2突起部34が形成されている。第2突起部34によって、第2係合凹部39の後端面39Sは、下段底壁32に対して垂直をなしている。第2キャビティ31は、下段誘電体35中に、左右対称となるよう2つ形成されている。下段誘電体35の第2キャビティ31の前端は、下段底壁32の前側縁から垂直に延びる矩形板状の挿通部42が形成されている。挿通部42には、相手側の雄端子(図示省略)を挿通させるための挿通孔43が4つ形成されている。下段誘電体35は、下段係合部40を有している。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
第1キャビティ46は、中段底壁47と、中段底壁47の左右端部から上方に延びる中段側壁48によって形成される、前後方向に長い方形状の空間である。中段底壁47には、第1端子金具55Aの第1端子本体部57を収容するための、第1係合凹部49が形成されている。第1係合凹部49の前後両端部は、第1端子本体部57の第1位置決め突起54を収容するための、第1位置決め凹部44を有している。後端部側の第1位置決め凹部44の後方には、中段底壁47から上方に向かって段形状に隆起する第1突起部51が形成されている。第1係合凹部49の後端面49Sは、第1位置決め凹部44の底面に対して垂直をなしている。第1係合凹部49の後端面49Sの上下高さは、第2係合凹部39の後端面39Sよりも高い。第1位置決め突起54の下端から、第1端子本体部57の上端面までの高さ寸法は、第2端子本体部38の前端部における下端面から上端面までの高さ寸法よりも大きい。第1係合凹部49の前後方向における長さ49Dは、第2係合凹部39の前後方向における長さ39Dよりも長い。第1キャビティ46は、中段誘電体45に、左右対称となるよう2つ形成されている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
側方部52は、図4で示すように、後端部において、第1キャビティ46の外両側面を覆う部分である。第1キャビティ46の左側を覆う側方部52の下端部は、前側に傾斜するカバー傾斜面50を有している。下方部53は、図3で示すように、後端部において、第1キャビティ46を下側から支持する部分である。後方からみて、側方部52の下端は、下方部53の下端よりも下側に位置する。下方部53の後端における下側中央部分は、配索空間12において、第2電線100を、第1電線90よりも前方に配索させるため、上方に湾曲するように凹むカバー凹部59を形成している。図3で示すように、下方部53は、側方からみて後方に突出している。下方部53の後端は、側面からみて、円弧形状をなしている。図3で示すように、下方部53の前端面53Sの下端は、第2電線100の上端よりも下方に形成されている。側方部52の前端面52Sの下端は、第2電線100の上端よりも下方に形成されている。下方部53の後端は、第1キャビティ46の後端である。下段誘電体35と、中段誘電体45とを嵌着固定した状態において、第1キャビティ46の後端面46Sは、第2キャビティ31の後端面31Sよりも、後方に位置する。第1キャビティ46の後端面46Sと、第2キャビティ31の後端面31Sは、前後方向に間隔Dを空けて配置される。なお、第1キャビティ46の前端と、第2キャビティ31の前端とは、例えば、前後方向における位置が同じである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
第2接続部58Bは、第1接続部58Aよりも上下方向に厚みを有している。第2接続部58Bは、第1接続部58Aよりも前後方向における長さが短い。第2圧着部56Bは、第1圧着部56Aよりも前後方向における長さが短い。第1位置決め突起54の下方への突出寸法は、第2係合凹部39の後端面39Sの上下寸法よりも長い。第2端子本体部38は、第1端子本体部57よりも、前後方向に短い。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
第1電線90は、中段誘電体45に形成される2つの第1キャビティ46から、1本ずつ延出している。第1端子金具55Aの後端から延びる第1電線90、すなわち第1キャビティ46の後端から延びる第1電線90は、配索空間12内に導出されている。図3に示すように、配索空間12内に導出された第1電線90は、導出方向の先方の部位が配索空間12内で誘電体30のモジュール収容室11への挿入方向と交差する向きに屈曲した第1屈曲部91を有している。なお、誘電体30のモジュール収容室11への挿入方向は、例えば、前方であり、当該挿入方向と交差する向きは、例えば下方である。例えば、第1電線90は、第1電線90を下方に屈曲させる第1屈曲部91を有している。なお、第1電線90における第1端子金具55Aの後端から第1屈曲部91までの部分は、例えば、前後方向に沿って延びている。第1電線90は、傾斜延部92を有している。傾斜延部92は、配索空間12の下側端部の内壁により形成される拡張された配策空間12Aにおける前後方向の中間位置に向かって斜め前下方向に延びる部分である。第1電線90は、傾斜延部92の下端に繋がった第1下方屈曲部93を有している。第1電線90のうち第1下方屈曲部93よりも下側の部位は、下方垂直に延びている。第1屈曲部91は、前後方向に対して鋭角をなして、下方に延びている。第1下方屈曲部93は、上下方向に対して鈍角をなして、下方に延びている。配索空間12において、各第1電線90は、第2電線100よりも左方向に配置されている。配索空間12において、第1電線90と、第2電線100とは、前後方向において間隔を開けて配索されている。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
下面カバー70の上側に、ゴム栓80が配置されている。ゴム栓80は、一対の連結孔84を有している。ゴム栓80は、一対の連結棒73を連結孔84に食い込ませることによって、下面カバー70と連結している。ゴム栓80は、上方からみて4隅をR形状とする矩形をなし、側面に波型の凹凸形状をなるリップ部81を有している。図5に示すように、ゴム栓80は、上方からみて、右側に第2電線100を覆うシース25を貫通する第2シール孔82を形成している。ゴム栓80は、第2シール孔82よりも左側に、2本の第1電線90を挿通させる一対の第1シール孔83を有している。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
<コネクタ10の作用効果>
コネクタ10の組み立ては以下の手順で行う。まず、下面カバー70の連結棒73を、ゴム栓80の連結孔84に挿通させて、両者を連結させる。このとき、第1誘導孔75と、第1シール孔83は、連通している。第2誘導孔74と、第2シール孔82は、連通している。次に、2本の第1電線90を、下側から第1誘導孔75と、第1シール孔83に挿通する。次に、2本の第2電線100を覆っているシース25を、第2誘導孔74と、第2シール孔82に挿通する。このとき、2本の第1電線90は、シース25の左側に配置されている。2本の第2電線100は、シース25に覆われた部分において、撚り合わされることによってツイストペア線を構成している。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
次に、第1端子金具55Aと第1電線90、ならびに、第2端子金具55Bと第2電線100を、それぞれ接続する。第1圧着部56Aに第1電線90の前端部を圧着することにより、第1端子金具55Aと第1電線90とを接続する。同様に、第2圧着部56Bに第2電線100の前端部を圧着することにより、第2端子金具55Bと第2電線100と接続する。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
図12に示すように、端子モジュール30Aの組み立て時において、万が一、第2キャビティ31に、第1端子金具55Aを誤って挿入しようとした場合は、第2キャビティ31の前後方向における長さが、第1端子金具55Aの前後方向における長さよりも短く、第1端子金具55Aの後端が第2キャビティ31の後端面31Sからはみだすため、容易に誤組を検知できる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
次に、図2に示すように、端子モジュール30Aをハウジング20に組み付ける。端子モジュール30Aは、例えば、下面開口部19から配索空間12に挿入される。その後、端子モジュール30Aの誘電体30を、ハウジング20の後方から、モジュール収容室11に挿入する。図3に示すように、誘電体30は、挿通部42の前端面によって板状部21の傾斜部を下側から押圧する。押圧された板状部21は上方に弾性変形する。誘電体カバー65のロック部64が、板状部21の傾斜部の前端面21Sを乗り越えると、板状部21は下側から押圧されなくなって、下方へ弾性変形して復元する。このとき、板状部21の傾斜部の前端面21Sと、ロック部64の前端面64Sとが当接し、前後移動を規制された状態となる。このように、誘電体30は、モジュール収容室11に、移動を規制された状態で収容される。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
図3、4に示すように、モジュール収容室11に収容された誘電体30の第1キャビティ46の後端面46Sと、第2キャビティ31の後端面31Sとの間に、前後方向の間隔Dが空けられている。側方部52、及び下方部53によって、第2電線100が、第1電線90よりも後方に延出することが抑制される。これにより、第1キャビティ46の後方で屈曲して下方に延びる第1電線90と、第2キャビティ31の後方で屈曲して下方に延びる第2電線100との間に、前後方向の間隔が確保される。コネクタ10の伝送特性は、第1電線90と第2電線100とが前後方向に離隔することによって、良好に保たれる。側面視において、例えば、第1屈曲部91の曲率半径は、第2屈曲部101の曲率半径よりも大きい。これにより、配索空間12内において、第1電線90と、第2電線100の間に前後方向の間隔を十分に確保できる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
次に、下面カバー70を嵌着し、ハウジング20の下面開口部19を閉塞する。具体的には、下面カバー70の両側面に備える下面ロック爪72と、ハウジング20の下方ロック受け部15とが嵌着される。また、下面カバー70の嵌着によって、ゴム栓80のリップ部81がハウジング20の内壁に密着し、下側からの液体の侵入を防止する。ゴム栓80を挿通するシース25の端面25Sは、配索空間12の規制面24Sと当接することにより、上下移動が規制される。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
第2電線190は、第2端子金具195Bの第2圧着部196Bに固着され、配索空間132に延びている。第2電線190は、第1電線180と同じ左方向に屈曲する第2屈曲部191を有している。なお、第2電線190における第2端子金具195Bの後端から第2屈曲部191までの部分は、例えば、前後方向に沿って延びている。第2電線190は、第2屈曲部191から、下方からみて、ほぼ垂直左方向へ延出している。第2電線190は、下段誘電体35に形成される2つの第2キャビティ31から、1本ずつ延出している。配索空間132に導出された2本の第2電線190は、第2屈曲部191からさらに左方に延びて、絶縁性のシース140に、外周を一括して被覆されている。配索空間132において、2本の第2電線190は、第1電線180よりも下方向に配置されている。第1屈曲部181は、前後方向に対して鋭角をなすように、第1電線180を左方に屈曲している。第1側方屈曲部183は、左右方向に対して鈍角をなすように、第1電線180を左方に屈曲している。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
ハウジング150は、背面を閉塞する背面カバー160を備えている。背面カバー160は、横長矩形の背面平板部161と、背面平板部161の上下両側面から前方に延びる背面ロック爪162と、背面平板部161の中央部において、前方に延びる矩形の仕切り壁163を有している。背面カバー160は、背面ロック爪162を介してハウジング150と係合する。背面カバー160と、ハウジング150とが係合した状態において、背面平板部161は、ハウジング150の背面を閉塞する。背面カバー160と、ハウジング150とが係合した状態において、仕切り壁163の前端は、シース140の後面と当接する。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
ハウジング150は、ハウジング150の左側面を閉塞する左側面カバー170を備えている。左側面カバー170は、矩形の側面平板部171と、側面平板部171の上下両側から右方に延びる左側面ロック爪172とを備えている。左側面ロック爪172は、後述するハウジング150の左方ロック受け部144と係合する。左側面カバー170は、側面平板部171から右方向に延びて後述するゴム栓200と連結する、一対の連結棒173を有する。左側面カバー170の側方からみて下側には、第2電線190を覆うシース140を挿通する第2誘導孔174が形成されている。左側面カバー170における第2誘導孔174よりも上側の位置には、2本の第1電線180を挿通する一対の第1誘導孔175が形成されている。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
左側面カバー170の右側に、ゴム栓200が配置されている。ゴム栓200は、一対の連結孔204を有している。左側面カバー170は、一対の連結棒173を連結孔204に食い込ませることによって、ゴム栓200と連結している。図10に示すように、ゴム栓200は、側方からみて、下側に第2電線190を覆うシース140を貫通する第2シール孔201を形成している。ゴム栓200は、第2シール孔201よりも、上側に2本の第1電線180を貫通する一対の第1シール孔202を有している。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
図7に示すように、組み立てられた端子モジュール30Aをハウジング150に組み付ける。詳しくは、端子モジュール30Aの誘電体30を、ハウジング150の後方から、モジュール収容室131に挿入する。誘電体30は、実施形態1と同様に、モジュール収容室131に、移動を規制された状態で収容される。図8に示すように、誘電体30がモジュール収容室131に収容された状態では、第1キャビティ46の後端面46Sと、第2キャビティ31の後端面31Sの間に、前後方向の間隔Dが形成される。これにより、第1キャビティ46の後方から屈曲して左方に延びる第1電線180と、第2キャビティ31の後方から屈曲して左方に延びる第2電線190との間に、前後方向の間隔Dが確保されるため、伝送特性の悪化を抑止できる。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
左側面カバー170を嵌着し、ハウジング150の左側面開口部139を閉塞する。具体的には、左側面カバー170の両側面に備える左側面ロック爪172と、ハウジングの左方ロック受け部144とが嵌着される。また、左側面カバー170の嵌着によって、ゴム栓200のリップ部205がハウジング150の内壁に密着し、左側からの液体の侵入を防止する。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
図9に示すように、ゴム栓200を挿通するシース140の端面140Sは、配索空間132の規制面137Sと当接することにより、右方への移動が規制される。2本の第2電線190を覆うシース140を、配索空間132内において、過度に前方に配置させると、シースの端面140Sから第2キャビティ31との間における第2電線190の配索長(撚り解き長さH)が長くなって、伝送特性が悪化する。本開示のコネクタ130では、シース140が、ハウジング150を側方から見たときに、配索空間132の左側端部における前後方向中間位置に配置されている。これにより、シース140の端面140Sから第2キャビティ31の後端との間における第2電線190の配索長(撚り解き長さH)が長くならないため、伝送特性の悪化を抑止できる。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
図8に示すように、モジュール収容室131に収容された誘電体30の第1キャビティ46の後端面46Sと、第2キャビティ31の後端面31Sとの間に、前後方向の間隔Dが空けられている。側方部145、及び下方部147によって、第2電線190が、第1電線180よりも後方に延出することが抑制される。これにより、第1キャビティ46の後方で屈曲して左方に延びる第1電線180と、第2キャビティ31の後方で屈曲して左方に延びる第2電線190との間に、前後方向の間隔が確保される。コネクタ130の伝送特性は、第1電線180と第2電線190とが前後方向に離隔することによって、良好に保たれる。平面視において、第1屈曲部181の曲率半径は、第2屈曲部191の曲率半径よりも大きい。これにより、配索空間132内において、第1電線180と、第2電線190の間に前後方向の間隔を十分に確保できる。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
この構成によれば、第1電線180と第2電線190を弾性部材200の第1シール孔202と第2シール孔201に挿通することによって、第1電線180と第2電線190が、配索空間132において上下方向に離隔した位置関係に保持されるので、第1電線180と第2電線190が近接することに起因する伝送特性の悪化を防げる。
[他の実施形態]
(1)実施形態1および実施形態2では、の第2キャビティ31の後端から導出された第2電線(100,190)は、第1屈曲部(91,181)と同じ向きに屈曲した第2屈曲部(101,191)を有している。同じ向きとは、第2屈曲部から第2端子金具とは反対側に延出する第2電線の向きと、第1屈曲部から第1端子金具とは反対側に延出する第1電線の向きとを、上下左右方向について、同じとする意味である。第1屈曲部と、第2屈曲部は、曲率半径を完全に一致させる必要はない。
(2)実施形態2のハウジング150において、配索空間132は、モジュール収容室131の後方から右方へ延びる形態としてもよい。
(3)実施形態1および実施形態2では、ハウジング20、150は、モジュール収容室と配索空間をL字型に連通させているが、例えば、モジュール収容室に対して配索空間が斜めに屈曲するよう連通させてもよい。
(4)実施形態1および実施形態2の誘電体30は、下段誘電体35、中段誘電体45、誘電体カバー65により形成されているが、誘電体30は、単一の部品のみからなるものでもよい。
(5)実施形態1および実施形態2では、端子モジュール30Aは、計4つの端子金具を収容しているが、端子モジュールに収容する端子金具の数は、3つ以下でよく、5つ以上でもよい。
(6)実施形態1および実施形態2のコネクタ(10,130)は、弾性部材としてゴム栓(80,200)を備えている。コネクタに用いる弾性部材は、ゴム栓に限られず、例えば、合成樹脂を用いてもよい。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
10,130…コネクタ
11,131…モジュール収容室
12,132…配索空間
12A,132A…拡張された配策空間
13,135…前壁部
14,133…側壁部
15…下方ロック受け部
16…上方ロック受け部
17,134…前面開口部
18…背面開口部
19…下面開口部
20,150…ハウジング
21…板状部
21S…傾斜部の前端面
22S,136S…壁面
23,136…傾斜面
24,137…段部
24S,137S…規制面
25,140…シース
25S,140S…シースの端面
26…凸部
27,141…経路規制部
28,142…誘導傾斜面
29,143…規制壁
30A…端子モジュール
30…誘電体
31…第2キャビティ
31S…第2キャビティの後端面
32…下段底壁
33…下段内壁
34…第2突起部
35…下段誘電体
38…第2端子本体部
39…第2係合凹部
39D…第2係合凹部の前後方向における長さ
39S…第2係合凹部の後端面
40…下段係合部
42…挿通部
43…挿通孔
44…第1位置決め凹部
45…中段誘電体
46…第1キャビティ
46S…第1キャビティの後端面
47…中段底壁
48…中段側壁
49…第1係合凹部
49D…第1係合凹部の前後方向における長さ
49S…第1係合凹部の後端面
50,146…カバー傾斜面
51…第1突起部
52,145…側方部
52S…側方部の前端面
53,147…下方部
53S…下方部の前端面
54…第1位置決め突起
55…端子金具
55A,195A…第1端子金具
55B,195B…第2端子金具
56A,196A…第1圧着部
56B,196B…第2圧着部
57…第1端子本体部
58A…第1接続部
58B…第2接続部
59…カバー凹部
60,160…背面カバー
61,161…背面平板部
62,162…背面ロック爪
63,163…仕切り壁
64…ロック部
64S…ロック部の前端面
65…誘電体カバー
66…上面カバー部
67…側面カバー部
70…下面カバー
71…下面平板部
72…下面ロック爪
73,173…連結棒
74,174…第2誘導孔
75,175…第1誘導孔
80,200…ゴム栓(弾性部材)
81,205…リップ部
82,201…第2シール孔
83,202…第1シール孔
84,204…連結孔
90,180…第1電線
91,181…第1屈曲部
92,182…傾斜延部
93…第1下方屈曲部
100,190…第2電線
101,191…第2屈曲部
110,215…前方シールリング
115,210…背面シールリング
120,220…フロントリテーナ
121…前面平板部
122…カバー周壁
123…開口
138…背面開口部
139…左側面開口部
144…左方ロック受け部
170…左側面カバー
171…側面平板部
172…左側面ロック爪
183…第1側方屈曲部
D…間隔
H…撚り解き長さ