(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143304
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電解めっき装置、給電ローラユニットおよび搬送ローラユニット
(51)【国際特許分類】
C25D 17/00 20060101AFI20241003BHJP
C25D 21/12 20060101ALI20241003BHJP
C25D 7/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C25D17/00 G
C25D21/12 E
C25D21/12 G
C25D7/06 C
C25D7/06 N
C25D7/06 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055907
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】メクテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】金子 匠
(72)【発明者】
【氏名】藤田 憲政
(72)【発明者】
【氏名】松田 文彦
(72)【発明者】
【氏名】豊島 良一
【テーマコード(参考)】
4K024
【Fターム(参考)】
4K024BB11
4K024CB03
4K024CB10
4K024CB24
4K024CB26
4K024EA02
(57)【要約】
【課題】被めっき物の製品領域の損傷を防ぎつつ、電解めっき処理を連続的に行う電解めっき装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る電解めっき装置1は、可撓性を有する長尺の被めっき物Mを搬送しつつ電解めっきを行う電解めっき装置1であって、被めっき物Mに給電するための給電ローラユニット20と、被めっき物Mをその長手方向に沿って搬送するための搬送ローラユニット30と、を備え、給電ローラユニット20は、被めっき物Mの製品領域Pに接触せず製品領域P以外の非製品領域NPに接触可能に互いに離間して配置された複数の給電ローラ21,22と、複数の給電ローラ21,22を接続し、複数の給電ローラ21,22とともに回転するシャフト24とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する長尺の被めっき物を搬送しつつ電解めっきを行う電解めっき装置であって、
前記被めっき物に給電するための給電ローラユニットと、
前記被めっき物をその長手方向に沿って搬送するための搬送ローラユニットと、
を備え、
前記給電ローラユニットは、前記被めっき物の製品領域に接触せず前記製品領域以外の非製品領域に接触可能に互いに離間して配置された複数の給電ローラと、前記複数の給電ローラを接続し、前記複数の給電ローラとともに回転するシャフトとを有する、電解めっき装置。
【請求項2】
前記非製品領域は、前記製品領域を挟むように配置された第1の非製品領域および第2の非製品領域を含み、
前記給電ローラユニットは、前記複数の給電ローラとして、前記第1の非製品領域に接触可能に配置された第1の給電ローラと、前記第2の非製品領域に接触可能に配置された第2の給電ローラとを有する、請求項1に記載の電解めっき装置。
【請求項3】
前記製品領域は、前記第1の非製品領域に隣接する第1の製品領域と、前記第2の非製品領域に隣接する第2の製品領域とを含み、
前記非製品領域は、前記第1の製品領域と前記第2の製品領域との間に配置された第3の非製品領域をさらに含み、
前記給電ローラユニットは、前記第1の給電ローラと前記第2の給電ローラの間に設けられ、前記第3の非製品領域に接触可能に配置された第3の給電ローラをさらに有する、請求項2に記載の電解めっき装置。
【請求項4】
前記給電ローラユニットは、前記複数の給電ローラの位置を、前記製品領域のレイアウトに応じて変更可能に構成されている、請求項1に記載の電解めっき装置。
【請求項5】
前記複数の給電ローラには中心軸に沿って貫通孔が設けられ、前記シャフトは前記複数の給電ローラの貫通孔に挿通されており、前記各給電ローラは前記非製品領域に接触可能に前記シャフトに固定されている、請求項1~4のいずれかに記載の電解めっき装置。
【請求項6】
前記各給電ローラは、前記シャフトが挿通される貫通孔が設けられた本体部と、前記本体部に設けられ、前記給電ローラに固定されるフランジ部とを有する固定部材により前記シャフトにねじ固定される、請求項5に記載の電解めっき装置。
【請求項7】
前記シャフトの外周面には雄ねじが形成され、前記各給電ローラの前記貫通孔には前記雄ねじと螺合する雌ねじが形成されており、前記各給電ローラは前記シャフトにねじ固定される、請求項5に記載の電解めっき装置。
【請求項8】
前記複数の給電ローラには中心軸に沿って貫通孔または凹部が設けられ、
前記シャフトは、複数の短尺シャフトを有し、
前記短尺シャフトは、一端が前記複数の給電ローラのうちの第1の給電ローラに固定され、他端が前記複数の給電ローラのうち前記第1の給電ローラと隣り合う第2の給電ローラに固定され、前記一端は前記第1の給電ローラの貫通孔または凹部に挿入され、前記他端は前記第2の給電ローラの貫通孔または凹部に挿入されている、請求項1~4のいずれかに記載の電解めっき装置。
【請求項9】
前記各給電ローラは、前記短尺シャフトが挿通される貫通孔が設けられた本体部と、前記本体部に設けられ、前記給電ローラに固定されるフランジ部とを有する固定部材により前記短尺シャフトにねじ固定される、請求項8に記載の電解めっき装置。
【請求項10】
前記短尺シャフトの外周面には雄ねじが形成され、前記各給電ローラの貫通孔または凹部には前記雄ねじと螺合する雌ねじが形成されており、前記各給電ローラは前記短尺シャフトにねじ固定される、請求項8に記載の電解めっき装置。
【請求項11】
前記搬送ローラユニットは、前記被めっき物の製品領域に接触せず前記製品領域以外の非製品領域に接触可能に互いに離間して配置された複数の搬送ローラと、前記複数の搬送ローラを接続し、前記複数の搬送ローラとともに回転するシャフトとを有する、請求項1~4のいずれかに記載の電解めっき装置。
【請求項12】
前記非製品領域は、前記製品領域を挟むように配置された第1の非製品領域および第2の非製品領域を含み、
前記搬送ローラユニットは、前記複数の搬送ローラとして、前記第1の非製品領域に接触可能に配置された第1の搬送ローラと、前記第2の非製品領域に接触可能に配置された第2の搬送ローラとを有する、請求項11に記載の電解めっき装置。
【請求項13】
前記搬送ローラユニットは、前記複数の搬送ローラの位置を、前記製品領域のレイアウトに応じて変更可能に構成されている、請求項11に記載の電解めっき装置。
【請求項14】
前記給電ローラと前記被めっき物との接触を保持するための接触保持機構をさらに備える、請求項1~4のいずれかに記載の電解めっき装置。
【請求項15】
前記接触保持機構は、前記複数の給電ローラのうち少なくとも1つの給電ローラの高さ位置を検出する位置検出部と、前記給電ローラの高さ位置に基づいて前記給電ローラユニットの高さを調整する位置調整部と、を有する、請求項14に記載の電解めっき装置。
【請求項16】
前記接触保持機構は、前記被めっき物によって前記給電ローラユニットに掛かる力を検出する力検出部と、前記給電ローラに掛かる力に基づいて前記給電ローラユニットの高さを調整する位置調整部と、を有する、請求項14に記載の電解めっき装置。
【請求項17】
前記被めっき物に電解めっきを行うための処理槽と、
前記被めっき物の搬送方向に沿って前記処理槽の前後に設けられた給電槽と、
を備える、請求項1~4のいずれかに記載の電解めっき装置。
【請求項18】
被めっき物に給電するための給電ローラユニットであって
前記被めっき物の製品領域に接触せず前記製品領域以外の非製品領域に接触可能に互いに離間して配置された導電性の複数の給電ローラと、前記複数の給電ローラを接続し、前記複数の給電ローラとともに回転するシャフトとを有する、給電ローラユニット。
【請求項19】
前記複数の給電ローラの位置を、前記製品領域のレイアウトに応じて変更可能に構成されている、請求項18に記載の給電ローラユニット。
【請求項20】
被めっき物をその長手方向に沿って搬送するための搬送ローラユニットであって、
前記被めっき物の製品領域に接触せず前記製品領域以外の非製品領域に接触可能に互いに離間して配置された複数の搬送ローラと、前記複数の搬送ローラを回転させるシャフトとを有する、搬送ローラユニット。
【請求項21】
前記複数の搬送ローラの位置を、前記製品領域のレイアウトに応じて変更可能に構成されている、請求項20に記載の搬送ローラユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解めっき装置、給電ローラユニットおよび搬送ローラユニットに関し、より詳しくは、ロールツーロール工程における電解めっき処理に用いられる電解めっき装置、ならびに当該電解めっき装置が備える給電ローラユニットおよび搬送ローラユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性プリント配線板(フレキシブルプリント配線板)は、屈曲可能なプリント基板であり、折り畳んだ状態で実装できることから小型電子機器などの基板として多く用いられている。可撓性プリント配線板の回路を形成する方法として、所望のパターンを有するめっきレジストの開口部に露出した銅箔をエッチングで除去することで配線を形成するサブトラクティブ法と、めっきレジストの開口部に露出したシード層に銅めっきを析出し、その後シード層を除去することで配線を形成するセミアディティブ法とが知られている。このうちセミアディティブ法は、めっきレジストの解像度に応じて配線の解像度を上げることができるため、微細な配線を形成するのに優れている。
【0003】
サブトラクティブ法およびセミアディティブ法のいずれの方法についても、ロールツーロール工程を用いて可撓性プリント配線板を連続的に製造することが可能である。ロールツーロール工程は、枚葉での生産と比べて高い生産性を有する。
【0004】
電解めっき処理をロールツーロール工程において行うために、特許文献1に記載されたような電解めっき装置が知られている。電解めっき装置は、絶縁フィルム上の銅に給電するための給電ローラ(カソードローラ)を給電槽内に備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、電解めっき装置は、電解めっき処理を行う対象である被めっき物に電流を流すための給電ローラを備える。給電ローラは、少なくとも被めっき物と接する部分は銅などの金属からなる。しかし、金属は剛性が高いため、被めっき物を搬送する際、給電ローラがめっきレジストに接触しめっきレジストを破壊するおそれがある。その結果、めっきレジストが破壊された部分にめっきが析出して、回路の配線間においてショート不良が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記技術的認識に基づいてなされたものであり、その目的の一つは、被めっき物の製品領域の損傷を防ぎつつ、電解めっき処理を連続的に行う電解めっき装置を提供することである。ただし、この目的に限られず、後述する各実施形態の構成による各効果に対応する目的を、本発明の目的の一つとしてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電解めっき装置は、
可撓性を有する長尺の被めっき物を搬送しつつ電解めっきを行う電解めっき装置であって、
前記被めっき物に給電するための給電ローラユニットと、
前記被めっき物をその長手方向に沿って搬送するための搬送ローラユニットと、
を備え、
前記給電ローラユニットは、前記被めっき物の製品領域に接触せず前記製品領域以外の非製品領域に接触可能に互いに離間して配置された複数の給電ローラと、前記複数の給電ローラを接続し、前記複数の給電ローラとともに回転するシャフトとを有することを特徴とする。
【0009】
また、前記電解めっき装置において、
前記非製品領域は、前記製品領域を挟むように配置された第1の非製品領域および第2の非製品領域を含み、
前記給電ローラユニットは、前記複数の給電ローラとして、前記第1の非製品領域に接触可能に配置された第1の給電ローラと、前記第2の非製品領域に接触可能に配置された第2の給電ローラとを有するようにしてもよい。
【0010】
また、前記電解めっき装置において、
前記製品領域は、前記第1の非製品領域に隣接する第1の製品領域と、前記第2の非製品領域に隣接する第2の製品領域とを含み、
前記非製品領域は、前記第1の製品領域と前記第2の製品領域との間に配置された第3の非製品領域をさらに含み、
前記給電ローラユニットは、前記第1の給電ローラと前記第2の給電ローラの間に設けられ、前記第3の非製品領域に接触可能に配置された第3の給電ローラをさらに有するようにしてもよい。
【0011】
また、前記電解めっき装置において、
前記給電ローラユニットは、前記複数の給電ローラの位置を、前記製品領域のレイアウトに応じて変更可能に構成されているようにしてもよい。
【0012】
また、前記電解めっき装置において、
前記複数の給電ローラには中心軸に沿って貫通孔が設けられ、前記シャフトは前記複数の給電ローラの貫通孔に挿通されており、前記各給電ローラは前記非製品領域に接触可能に前記シャフトに固定されているようにしてもよい。
【0013】
また、前記電解めっき装置において、
前記各給電ローラは、前記シャフトが挿通される貫通孔が設けられた本体部と、前記本体部に設けられ、前記給電ローラに固定されるフランジ部とを有する固定部材により前記シャフトにねじ固定されるようにしてもよい。
【0014】
また、前記電解めっき装置において、
前記シャフトの外周面には雄ねじが形成され、前記各給電ローラの前記貫通孔には前記雄ねじと螺合する雌ねじが形成されており、前記各給電ローラは前記シャフトにねじ固定されるようにしてもよい。
【0015】
また、前記電解めっき装置において、
前記複数の給電ローラには中心軸に沿って貫通孔または凹部が設けられ、
前記シャフトは、複数の短尺シャフトを有し、
前記短尺シャフトは、一端が前記複数の給電ローラのうちの第1の給電ローラに固定され、他端が前記複数の給電ローラのうち前記第1の給電ローラと隣り合う第2の給電ローラに固定され、前記一端は前記第1の給電ローラの貫通孔または凹部に挿入され、前記他端は前記第2の給電ローラの貫通孔または凹部に挿入されているようにしてもよい。
【0016】
また、前記電解めっき装置において、
前記各給電ローラは、前記短尺シャフトが挿通される貫通孔が設けられた本体部と、前記本体部に設けられ、前記給電ローラに固定されるフランジ部とを有する固定部材により前記短尺シャフトにねじ固定されるようにしてもよい。
【0017】
また、前記電解めっき装置において、
前記短尺シャフトの外周面には雄ねじが形成され、前記各給電ローラの貫通孔または凹部には前記雄ねじと螺合する雌ねじが形成されており、前記各給電ローラは前記短尺シャフトにねじ固定されるようにしてもよい。
【0018】
また、前記電解めっき装置において、
前記搬送ローラユニットは、前記被めっき物の製品領域に接触せず前記製品領域以外の非製品領域に接触可能に互いに離間して配置された複数の搬送ローラと、前記複数の搬送ローラを接続し、前記複数の搬送ローラとともに回転するシャフトとを有するようにしてもよい。
【0019】
また、前記電解めっき装置において、
前記非製品領域は、前記製品領域を挟むように配置された第1の非製品領域および第2の非製品領域を含み、
前記搬送ローラユニットは、前記複数の搬送ローラとして、前記第1の非製品領域に接触可能に配置された第1の搬送ローラと、前記第2の非製品領域に接触可能に配置された第2の搬送ローラとを有するようにしてもよい。
【0020】
また、前記電解めっき装置において、
前記搬送ローラユニットは、前記複数の搬送ローラの位置を、前記製品領域のレイアウトに応じて変更可能に構成されているようにしてもよい。
【0021】
また、前記電解めっき装置において、
前記給電ローラと前記被めっき物との接触を保持するための接触保持機構をさらに備えるようにしてもよい。
【0022】
また、前記電解めっき装置において、
前記接触保持機構は、前記複数の給電ローラのうち少なくとも1つの給電ローラの高さ位置を検出する位置検出部と、前記給電ローラの高さ位置に基づいて前記給電ローラユニットの高さを調整する位置調整部と、を有するようにしてもよい。
【0023】
また、前記電解めっき装置において、
前記接触保持機構は、前記被めっき物によって前記給電ローラユニットに掛かる力を検出する力検出部と、前記給電ローラに掛かる力に基づいて前記給電ローラユニットの高さを調整する位置調整部と、を有するようにしてもよい。
【0024】
また、前記電解めっき装置において、
前記被めっき物に電解めっきを行うための処理槽と、
前記被めっき物の搬送方向に沿って前記処理槽の前後に設けられた給電槽と、
を備えるようにしてもよい。
【0025】
本発明に係る給電ローラユニットは、
被めっき物に給電するための給電ローラユニットであって
前記被めっき物の製品領域に接触せず前記製品領域以外の非製品領域に接触可能に互いに離間して配置された導電性の複数の給電ローラと、前記複数の給電ローラを接続し、前記複数の給電ローラとともに回転するシャフトとを有することを特徴とする。
【0026】
また、前記給電ローラユニットにおいて、
前記複数の給電ローラの位置を、前記製品領域のレイアウトに応じて変更可能に構成されているようにしてもよい。
【0027】
本発明に係る搬送ローラユニットは、
被めっき物をその長手方向に沿って搬送するための搬送ローラユニットであって、
前記被めっき物の製品領域に接触せず前記製品領域以外の非製品領域に接触可能に互いに離間して配置された複数の搬送ローラと、前記複数の搬送ローラを回転させるシャフトとを有することを特徴とする。
【0028】
また、前記搬送ローラユニットにおいて、
前記複数の搬送ローラの位置を、前記製品領域のレイアウトに応じて変更可能に構成されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、被めっき物の製品領域の損傷を防ぎつつ、電解めっき処理を連続的に行う電解めっき装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】(a)は、第1の実施形態に係る電解めっき装置の平面図である。(b)は、第1の実施形態に係る電解めっき装置の縦断面図である。
【
図2】実施形態に係る被めっき物の製品領域および非製品領域について説明するための図である。
【
図3A】第1の実施形態に係る給電ローラユニットの斜視図である。
【
図3B】第1の実施形態に係る給電ローラユニットにおける、給電ローラとシャフトの結合部分の拡大図である。
【
図3C】第1の実施形態に係る給電ローラユニットにおける、シャフトの断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る搬送ローラユニットの斜視図である。
【
図5A】第1の実施形態の変形例1に係る給電ローラユニットの回転軸に沿った部分断面図である。
【
図5B】第1の実施形態の変形例2に係る給電ローラユニットの回転軸に沿った断面図である。
【
図5C】第1の実施形態の変形例3に係る給電ローラユニットの回転軸に沿った部分断面図である。
【
図6】第2の実施形態に係る給電ローラユニットおよび位置検出機構の斜視図である。
【
図7A】第2の実施形態に係る接触保持機構の模式図である。
【
図7B】第2の実施形態の変形例に係る接触保持機構の模式図である。
【
図8】実施形態に係る電解めっき装置における給電ローラユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図においては、同等の機能を有する構成要素に同一の符号を付している。また、各構成要素の縮尺比率は、図面上で認識可能な程度の大きさとするため、適宜に変えている。
【0032】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、たとえば、「円柱形状」、「平行」、「直交」、「等しい」等の用語や寸法、物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0033】
(第1の実施形態)
図1を参照して、第1の実施形態に係る電解めっき装置1について説明する。
図1(a)は、本実施形態に係る電解めっき装置1の平面図である。
図1(b)は、本実施形態に係る電解めっき装置1の縦断面図である。
【0034】
<電解めっき装置>
電解めっき装置1は、ロールツーロール工程における電解めっき処理に用いられる。電解めっき装置1は、可撓性を有する長尺の被めっき物Mを搬送しつつ、連続的に電解めっき処理を行う。本実施形態では、被めっき物Mは、フレキシブルプリント配線板の製造に用いる可撓性フィルムである。たとえば、被めっき物Mは、銅張積層板(本実施形態では両面銅張積層板)の銅箔の上に、所望の配線パターンに対応する開口が設けられためっきレジストが形成された可撓性フィルムである。後述のように、めっきレジストは製品領域に形成されている。非製品領域には、めっきレジストは形成されておらず、被めっき物Mの導電層が露出している。電解めっき装置1を用いることで、電解めっき処理をロールツーロール工程に組み込むことができ、生産性を向上させることができる。
【0035】
本実施形態に係る電解めっき装置1は、被めっき物Mを水平に搬送する水平搬送型の電解めっき装置である。以下、被めっき物Mを水平に搬送することを前提として説明するが、本明細書で示される各実施形態は、被めっき物Mを垂直または斜めに搬送するように変形可能である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態に係る電解めっき装置1は、処理槽11と、給電槽12と、ブスバー(バスバー)15と、モータ16と、ドライブシャフト17と、チェーンベルト18と、ギア19とを有する。
【0037】
処理槽11は、めっき液を貯蔵し、長手方向に搬送される被めっき物Mに対して電解めっき処理を行うように構成されている。本実施形態では、電解めっき処理として銅めっき処理を行う。なお、電解めっき処理として銅以外の金属めっき処理(たとえば、ニッケルめっき処理など)を行ってもよい。
【0038】
処理槽11には、めっき液槽B、搬送ローラユニット30および電極兼噴流パイプ14が設けられている。本実施形態では、搬送ローラユニット30および電極兼噴流パイプ14は、いずれも複数設けられている。なお、搬送ローラユニット30は、電解めっき装置1において少なくとも1つ設けられていればよく、処理槽11には設けられていなくてもよい。また、電極兼噴流パイプ14は、めっき液槽B内に少なくとも1つ設けられていればよい。
【0039】
めっき液槽Bは、めっき液を貯蔵するための槽である。
図1(b)に示すように、被めっき物Mは、めっき液槽Bを通過する。
【0040】
搬送ローラユニット30は、被めっき物Mを長手方向に沿って、
図1に示す搬送方向に搬送する。詳しくは後述するが、搬送ローラユニット30は、互いに離間して配置された複数の搬送ローラ31,32と、ソケット33と、搬送ローラ31,32およびソケット33を接続するシャフト34とを有する。シャフト34は、後述するモータ16の駆動力が、チェーンベルト18、ドライブシャフト17、およびギア19を介して伝わることによって回転駆動される。シャフト34の回転が搬送ローラ31,32を介して被めっき物Mに伝わることで、被めっき物Mが搬送される。
【0041】
電極兼噴流パイプ14は、めっき液槽Bに貯蔵されためっき液に浸漬するように設けられたパイプ状の電極である。本実施形態では、電極兼噴流パイプ14は図示しない電源装置に接続され、アノードとして機能する。また、電極兼噴流パイプ14は、めっき液槽Bにめっき液を供給するための孔(図示せず)を有する。めっき液が当該孔から噴出することで、めっき液槽Bに含まれるめっき液が攪拌され、電解めっき処理の安定化を図ることができる。
【0042】
給電槽12は、被めっき物Mに対して電解めっき処理を行うための電流を供給するように構成されている。本実施形態では、給電槽12は、被めっき物Mの搬送方向に沿って処理槽11の前後に設けられている。給電槽12が処理槽11の前後に設けられることにより、電解めっき処理の安定化を図ることができる。
【0043】
給電槽12には、給電ローラユニット20、搬送ローラユニット30および給電ローラ水洗スプレー13が設けられている。本実施形態では、給電ローラユニット20、搬送ローラユニット30および給電ローラ水洗スプレー13は、いずれも複数設けられている。なお、給電ローラユニット20は、1つの給電槽12において少なくとも1つ設けられていればよい。本実施形態では、被めっき物Mの両面に電解めっき処理を施すために、1つの給電槽12に2つの給電ローラユニット20が設けられている。
【0044】
給電ローラユニット20は、被めっき物Mを長手方向に沿って、
図1に示す搬送方向に搬送する。さらに、給電ローラユニット20は、被めっき物Mに対して電解めっき処理のための電流を給電する。本実施形態では、前述の電極兼噴流パイプ14がアノードとして機能するのに対し、給電ローラユニット20はカソードとして機能する。また、詳しくは後述するが、
図8に示すように、給電ローラユニット20は、互いに離間して配置された複数の給電ローラ(カソードローラ)21,22,23と、給電ローラ21,22,23を接続するシャフト24と、ロータリコネクタ25とを有する。
【0045】
図8に示すように、シャフト24は、導電性を有し、後述する支持部43によって回転自在に支持されている。また、シャフト24は、ロータリコネクタ25と接続されている。ロータリコネクタ25を介して図示しない電源装置からシャフト24に電流が供給される。
【0046】
シャフト24は、後述するモータ16の駆動力が、チェーンベルト18、ドライブシャフト17、およびギア19を介して伝わることによって回転駆動される。シャフト24の回転が給電ローラ21,22,23を介して被めっき物Mに伝わることで、被めっき物Mが搬送される。
【0047】
図1(b)に示すように、給電ローラユニット20は、被めっき物Mを上下両面から挟むように配置されている。これにより、被めっき物Mの両面に対して電解めっき処理を同時に行うことができる。なお、被めっき物Mの片面にのみ電解めっき処理を行う場合は、上下いずれかの給電ローラユニット20が設けられていればよい。
【0048】
また、被めっき物Mの上方に位置する給電ローラユニット20は、被めっき物Mを所定の力で圧迫するように設けられている。これにより、被めっき物Mと給電ローラユニット20との接触を確保することができ、電解めっき処理を安定的に行うことができる。なお、被めっき物Mの下方に位置する給電ローラユニット20が、被めっき物Mを所定の力で圧迫するように設けられてもよいし、あるいは上下両方から圧迫するように設けられてもよい。
【0049】
給電ローラ水洗スプレー13は、給電ローラユニット20の給電ローラ21,22,23を洗浄するためのスプレーである。給電ローラ水洗スプレー13は、次の理由によって設けられている。処理槽11のめっき液槽B内のめっき液は、処理槽11を通過した被めっき物Mによって給電槽12に持ち込まれ、各給電ローラに付着する。各給電ローラに付着しためっき液は、各給電ローラを劣化させる原因となる。そこで、給電ローラ水洗スプレー13によって各給電ローラを洗浄することにより、めっき液による各給電ローラの劣化を抑制することができる。
【0050】
本実施形態では、ブスバー15は、全体として導電性である。なお、ブスバー15の一部が非導電性であってもよい。また、ブスバー15は、電源装置に電気的に接続されている。電源装置から供給された電流は、ブスバー15、
図8に示すロータリコネクタ25、シャフト24、給電ローラ21,22,23の順に流れ、被めっき物Mに供給される。
【0051】
モータ16は、給電ローラユニット20および搬送ローラユニット30を駆動し、これらに被めっき物Mを搬送する駆動力を与える。より詳しくは、モータ16の駆動力は、チェーンベルト18を介してドライブシャフト17に伝わり、ドライブシャフト17を回転させる。ドライブシャフト17の回転は、各給電ローラユニット20および各搬送ローラユニット30の端部に設けられたギア19を介して、各給電ローラユニット20および各搬送ローラユニット30に伝わり、各給電ローラユニット20および各搬送ローラユニット30を回転させる。
【0052】
なお、各給電ローラユニット20および各搬送ローラユニット30を回転駆動する構成は、上記のものに限られない。たとえば、複数のモータを各給電ローラユニット20および各搬送ローラユニット30にそれぞれ設けてもよい。
【0053】
<被めっき物の製品領域および非製品領域>
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る被めっき物Mの製品領域および非製品領域について説明する。
図2は、本実施形態に係る被めっき物の製品領域および非製品領域について説明するための図である。
【0054】
図2に示すように、被めっき物Mは、製品領域Pおよび非製品領域NPを有する。製品領域Pは、被めっき物Mのうちめっきレジストが形成されている領域である。製品領域Pに形成されためっきレジストには配線パターンに対応する開口が形成されている。非製品領域NPは、被めっき物Mのうち製品領域P以外の領域である。被めっき物Mの導電層(銅箔等)は、非製品領域NPにおいて露出している。給電ローラユニット20の給電ローラ21,22,23は、当該導電層に接触することで、被めっき物Mに電流を供給する。
【0055】
本実施形態では、製品領域Pおよび非製品領域NPは、それぞれ複数の製品領域および非製品領域を含む。より詳しくは、
図2に示すように、製品領域Pは、製品領域P1および製品領域P2を含む。非製品領域NPは、非製品領域NP1、非製品領域NP2および非製品領域NP3を含む。
【0056】
製品領域P1,P2および非製品領域NP1,NP2,NP3は、被めっき物Mの幅方向に見て交互に配置されている。より詳しくは、非製品領域NP1および非製品領域NP2は、製品領域P1,P2を挟むように配置されている。ここで、製品領域P1は、非製品領域NP1に隣接し、製品領域P2は、非製品領域NP2に隣接する。また、製品領域P1と製品領域P2との間には、非製品領域NP3が配置されている。
【0057】
図2に示すように、本実施形態に係る電解めっき装置1において、給電ローラユニット20の給電ローラ21,22,23は、いずれも被めっき物Mの製品領域Pに接触せず、非製品領域NPに接触可能に配置されている。より詳しくは、給電ローラ21は、非製品領域NP1に接触可能に配置されている。給電ローラ22は、非製品領域NP2に接触可能に配置されている。給電ローラ23は、給電ローラ21と給電ローラ22の間に設けられ、非製品領域NP3に接触可能に配置されている。
【0058】
同様に、搬送ローラユニット30の有する搬送ローラ31,32は、いずれも被めっき物Mの製品領域Pに接触せず、非製品領域NPに接触可能に配置されている。より詳しくは、搬送ローラ31は、非製品領域NP1に接触可能に配置されている。搬送ローラ32は、非製品領域NP2に接触可能に配置されている。なお、後述するように、ソケット33は、搬送ローラ31,32と比べて小さい径を有するため、非製品領域NP3に接触しない。
【0059】
このように、給電ローラユニット20の給電ローラ21,22,23は、いずれも被めっき物Mの製品領域Pに接触しない。また、搬送ローラユニット30の有する搬送ローラ31,32は、いずれも被めっき物Mの製品領域Pに接触しない。これにより、被めっき物Mの製品領域Pの損傷を抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る給電ローラユニット20は、製品領域Pのレイアウト、すなわち製品領域Pおよび非製品領域NPの配置に応じて、給電ローラ21,22,23の位置を変更可能に構成されている。同様に、本実施形態に係る搬送ローラユニット30は、製品領域Pのレイアウトに応じて、搬送ローラ31,32の位置を変更可能に構成されている。
【0061】
以下、製品領域Pのレイアウトに応じて各ローラの位置を変更可能にするための構成について、
図3A~
図3Cおよび
図4を参照して、詳しく説明する。
【0062】
<給電ローラユニット>
図3Aは、本実施形態に係る給電ローラユニット20の斜視図である。
図3Aに示すように、給電ローラ21,22,23は円柱形状を有する。また、給電ローラ21,22,23には、円柱体の中心軸に沿って、貫通孔が設けられている。当該貫通孔にはシャフト24が挿通され、給電ローラ21,22,23は、シャフト24の所定の位置に固定されている。ここで、所定の位置とは、各給電ローラが被めっき物Mの非製品領域NPと接触するための位置である。
【0063】
本実施形態において、給電ローラ21,22の幅(
図3Aにおける横方向の長さ)は、給電ローラ23の幅よりも大きい。また、給電ローラ21,22,23は、互いに等しい直径(たとえば40mm)を有する。シャフト24は、給電ローラ21,22,23よりも小さい直径(たとえば20mm)を有する。
【0064】
給電ローラユニット20は、被めっき物Mに電流を供給するために、全体として導電性を有する必要がある。本実施形態では、給電ローラ21,22,23の材料は銅である。また、本実施形態では、シャフト24の材料はステンレススチールである。なお、給電ローラ21,22,23の材料は、上記のものに限られず、たとえばステンレススチールであってもよいが、給電ローラ21,22,23の材料は、高い導電性を有する金属(たとえば、銅)が好ましい。給電ローラ21,22,23の材料に高い導電性を有する金属を用いることにより、電解めっき処理を効率よく行うことができる。
【0065】
また、本実施形態では、給電ローラ21,22,23は、各給電ローラの両端に設けられた固定部材により、シャフト24の所定の位置にねじ固定されている。より詳しくは、給電ローラ21は、固定部材21aおよび固定部材21bにより、シャフト24の所定の位置にねじ固定されている。給電ローラ22は、固定部材22aおよび固定部材22bにより、シャフト24の所定の位置にねじ固定されている。給電ローラ23は、固定部材23aおよび固定部材23bにより、シャフト24の所定の位置にねじ固定されている。
【0066】
以下、固定部材によるねじ固定について、固定部材21bを例に用いて説明する。
図3Bは、本実施形態に係る給電ローラユニット20における、給電ローラ21とシャフト24の結合部分の拡大図である。
【0067】
図3Bに示すように、固定部材21bは、シャフト24が挿通される貫通孔が設けられた本体部と、当該本体部の外周面に設けられ、給電ローラ21にねじで固定されるフランジ部とを有する。セットねじ212aは、固定部材21bの本体部を、当該本体部の外周面からシャフト24が挿通される貫通孔まで貫通し、固定部材21bをシャフト24の所定の位置に固定する。本実施形態では、3本のセットねじ212aにより固定部材21bをシャフト24に固定している。
【0068】
同様に、セットねじ212bは、固定部材21bのフランジ部を貫通し、固定部材21bを給電ローラ21に固定する。このように、給電ローラ21は、固定部材21bにより、シャフト24の所定の位置にねじ固定されている。
【0069】
なお、固定部材21bの形状および構成は、
図3Bに示したものに限られない。たとえば、セットねじ212aおよびセットねじ212bの本数は、それぞれ任意である。また、セットねじ212bによるねじ固定に代えて、接着材などで固定部材21bを給電ローラ21に固定してもよい。
【0070】
他の固定部材21a,22a,22b,23a,23bによるねじ固定についても、
図3Bと同様である。
【0071】
図3Cは、本実施形態におけるシャフト24の断面図である。本実施形態では、
図3C(a)に示すように、シャフト24の断面は、真円を3つの弦241で切り落とした形状を有する。3つの弦241は、真円の中心点を中心に、互いに120度ずつ回転した位置にある。
【0072】
シャフト24の断面図を、
図3C(a)に示すものとすることで、固定部材の本体部を貫通するセットねじは、各弦241に垂直に当接する。これにより、給電ローラユニット20の回転方向に対する各給電ローラとシャフトとのねじ固定を、より確実にすることができる。
【0073】
なお、シャフト24の断面は、
図3C(b)に示すように、真円を互いに平行な2つの弦241で切り落とした形状であってもよいし、
図3C(c)に示すように、真円を1つの弦241で切り落とした形状であってもよい。また、真円の中心点から弦241までの距離は任意である。
【0074】
また、弦241は、シャフト24の全長に渡って設けられてもよいし、給電ローラ21,22,23を固定するために必要な位置にのみ設けられてもよい。
【0075】
このように、給電ローラ21,22,23をシャフト24にねじ固定することにより、被めっき物Mの製品領域Pのレイアウトに応じて、各給電ローラ21,22,23の位置を柔軟に変更することができる。具体的には、各固定部材のセットねじを緩め、給電ローラ21,22,23を移動した後、当該セットねじを締めることにより、給電ローラ21,22,23の位置を容易に変更することができる。
【0076】
<搬送ローラユニット>
次に、搬送ローラユニットについて詳しく説明する。
図4は、本実施形態に係る搬送ローラユニット30の斜視図である。
【0077】
図4に示すように、本実施形態に係る搬送ローラユニット30は、互いに離間して配置された複数の搬送ローラ31,32と、ソケット33と、搬送ローラ31,32およびソケット33を接続し、搬送ローラ31,32およびソケット33とともに回転するシャフト34とを有する。
【0078】
図4に示すように、搬送ローラ31,32は円柱形状を有する。搬送ローラ31,32には、円柱体の中心軸に沿って、貫通孔が設けられている。
【0079】
シャフト34は、2つの短尺シャフト34aおよび短尺シャフト34bに分かれている。短尺シャフト34aは、搬送ローラ31の貫通孔に挿通されており、短尺シャフト34bは、搬送ローラ32の貫通孔に挿通されている。短尺シャフト34aおよび短尺シャフト34bは、円柱形状を有するソケット33によって互いに連結されている。本実施形態では、ソケット33の両端には、短尺シャフト34aおよび短尺シャフト34bを差し込むための凹部が設けられている。なお、当該凹部に代えて、ソケット33には中心軸に沿って貫通孔が設けられてもよい。
【0080】
本実施形態では、搬送ローラ31,32の幅(
図4における横方向の長さ)は、ソケット33の幅よりも大きい。搬送ローラ31,32は、互いに等しい直径(たとえば20mm)を有する。また、搬送ローラ31,32の直径は、ソケット33の直径(たとえば15mm)、および短尺シャフト34a,34bの直径(たとえば10mm)よりも大きい。
【0081】
また、
図1に示すように、一部の搬送ローラユニット30は、めっき液槽B内のめっき液に浸漬するように設けられる。そのため、搬送ローラユニット30は、全体として非導電性であることが好ましい。本実施形態において、搬送ローラ31,32の材料はゴムである。また、本実施形態において、短尺シャフト34a,34bの材料はステンレススチールである。搬送ローラ31,32に弾力のある材料を用いることにより、搬送ローラ31,32に接触した被めっき物Mの損傷を抑えることができる。さらに、処理槽11内の搬送ローラ31,32については、めっき液による劣化を防ぐことができる。なお、搬送ローラ31,32の材料は、スポンジなどであってもよい。また、短尺シャフト34a,34bの材料は、プラスチックなどであってもよい。
【0082】
本実施形態では、搬送ローラ31,32の貫通孔の径は、短尺シャフト34a,34bの径に比べて、わずかに小さい。これにより、固定部材を必要とすることなく、搬送ローラ31,32をシャフト短尺34a,34bの所定の位置に配置することができ、かつ、被めっき物Mの製品領域Pのレイアウトに応じて、搬送ローラ31,32の位置を柔軟に変更することができる。なお、回転時における搬送ローラ31,32と短尺シャフト34a,34bとの間の滑りを抑制するために、搬送ローラ31,32の貫通孔および短尺シャフト34a,34bの断面形状を
図3Cに示すようなものとしてもよい。
【0083】
以上説明したように、第1の実施形態に係る電解めっき装置1によれば、給電ローラユニット20の有する給電ローラ21,22,23が、被めっき物Mの製品領域Pに接触せず、非製品領域NPに接触するように構成されている。これにより、被めっき物Mの製品領域Pの損傷を防ぎつつ、電解めっき処理を連続的に行うことができる。たとえば、製品領域Pに微細な配線パターンが存在する場合であっても、製品を歩留まり良く製造することができる。すなわち、微細な配線パターンを有するフレキシブルプリント配線板を歩留まり良く製造することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る電解めっき装置1は、搬送ローラユニット30の有する搬送ローラ31,32が、被めっき物の製品領域Pに接触せず、非製品領域NPに接触するように構成されている。これにより、被めっき物Mの製品領域Pの損傷をより防ぐことができる。
【0085】
また、本実施形態に係る電解めっき装置1は、被めっき物Mの製品領域Pのレイアウトに応じて、各給電ローラおよび各搬送ローラの位置を変更可能に構成されている。これにより、被めっき物Mの製品領域Pの位置の制限を緩和することができ、設計の自由度を向上させることができる。
【0086】
たとえば、非製品領域NP1の外側に製品領域Pが存在してもよい。また、非製品領域NP2の外側に製品領域Pが存在してもよい。このような場合、給電ローラ21および/または給電ローラ22は、給電ローラユニット20の軸方向に見て、相対的に内側に配置されることとなる。このように、本実施形態に係る電解めっき装置1は、製品領域Pが被めっき物Mに端部に存在する場合であっても、給電ローラが製品領域Pに接触しないようにすることができる。
【0087】
また、電解めっき装置においては、電解めっき処理を行うにつれて、処理槽から給電槽に持ち出されるめっき液によって給電ローラが劣化するとともに、被めっき物との機械的な接触により給電ローラが摩耗する。これにより、給電ローラの径が細くなり、給電ローラと被めっき物との接触を十分に確保することができなくなる。本実施形態に係る電解めっき装置1では、給電ローラユニット20が複数の給電ローラ21,22,23を有することにより、一部の給電ローラのみを交換することもできる。
【0088】
なお、以上の説明においては、被めっき物Mの非製品領域NPには、被めっき物Mの導電層が露出しているとしたが、これに限られず、非製品領域NPには、被めっき物Mのめっきレジストが存在してもよい。この場合、給電ローラユニット20の各給電ローラは、当該めっきレジストに接触しないように配置してもよい。
【0089】
なお、給電ローラ21,22,23の形状は、被めっき物Mと接触するためのローラ面が確保されていれば任意である。たとえば、給電ローラ23の幅は、給電ローラ21の幅より大きくてもよい。あるいは、給電ローラ21,22,23には、固定部材に代えて、後述の
図5Aに示す突起部が設けられてもよい。この場合、給電ローラ21,22,23は、突起部を貫通するセットねじにより、シャフト24の所定の位置にねじ固定されてもよい。また、給電ローラ21,22,23の径の大きさは任意である。さらに、非製品領域NP1,NP2,NP3の幅に応じて、給電ローラ21,22,23の幅を変更してもよい。
【0090】
同様に、搬送ローラ31,32の形状は、被めっき物Mと接触する面が確保されていれば任意である。たとえば、搬送ローラ31,32の幅は任意である。また、搬送ローラ31,32およびソケット33の径の大きさは任意である。あるいは、搬送ローラ31,32の径は、ソケット33の径と等しくてもよい。さらに、非製品領域NP1,NP2の幅に応じて、搬送ローラ31,32の幅を変更してもよい。
【0091】
なお、非製品領域NP3が存在せず、製品領域P1,P2が隣接している場合、給電ローラユニット20から給電ローラ23を取り外すことで対応することができる。また、製品領域Pおよび非製品領域NPが、さらに多くの部分に分かれている場合、給電ローラユニット20の有する給電ローラの数を増やすことで対応することができる。
【0092】
また、本実施形態では、給電ローラ21,22,23の全体が導体で形成されていることとしたが、これに限られず、給電ローラ21,22,23の一部は絶縁体で構成されていてもよい。たとえば、各給電ローラのローラ面のうち少なくとも一部、および貫通孔の内面のうち少なくとも一部が導体であり、当該ローラ面の導体部分と、貫通孔の内面の導体部分とが導通するように構成されていてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、シャフト24の全体が導体で形成されていることとしたが、これに限られず、シャフト24の一部は絶縁体で構成されていてもよい。たとえば、シャフト24は、絶縁体の表面に導電処理を施したものであってもよい。
【0094】
また、搬送ローラユニット30の構成は、
図4に示すものに限られない。たとえば、搬送ローラ31,32には、円柱体の中心軸に沿って、貫通孔が設けられ、1本のシャフトが搬送ローラ31,32の貫通孔を連通してもよい。この場合、ソケット33は設けられていなくてもよい。また、給電ローラユニット20のように、搬送ローラ31,32は、固定部材により、シャフト34にねじ固定されてもよい。
【0095】
また、ソケット33の代わりに、第3の搬送ローラが設けられてもよい。さらに、複数の第3の搬送ローラが設けられてもよい。いずれの場合についても、本実施形態に係る搬送ローラユニット30を利用することができる。具体的には、搬送ローラユニット30の搬送ローラ31,32の位置を変更することにより対応することができる。
【0096】
次に、本実施形態の給電ローラユニットに係る3つの変型例について説明する。
【0097】
(第1の実施形態の変形例1)
図5Aを参照して、第1の実施形態の変形例1について説明する。
図5Aは、本変形例に係る給電ローラユニット20Aの回転軸に沿った部分断面図である。本変形例は、給電ローラとシャフトが螺合し、給電ローラの位置を変更できるようにしたものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、同様の部分の説明は省略する。
【0098】
図5Aに示すように、本変形例に係る給電ローラユニット20Aは、給電ローラ21Aと、給電ローラ22Aと、給電ローラ23Aと、シャフト24Aとを有する。
【0099】
本変形例に係るシャフト24Aの外周面には、雄ねじが形成されている。なお、
図5Aにおいて、シャフト24Aは側面図で表されている。
【0100】
給電ローラ21A,22A,23Aは、円柱形状を有し、給電ローラ21A,22A,23Aには、円柱体の中心軸に沿って、貫通孔が設けられている。当該貫通孔には、シャフト24Aの外周面に形成された雄ねじと螺合する雌ねじが形成されている。
【0101】
また、各給電ローラの中心軸上の両端部には、突起部が設けられている。各給電ローラは、当該突起部を挿通するセットねじ(たとえば、イモねじ)によってシャフト24Aにねじ固定されている。より詳しくは、給電ローラ21Aは、突起部21cを貫通するセットねじ211および突起部21dを貫通するセットねじ212によって、シャフト24Aにねじ固定されている。給電ローラ22Aは、突起部22cを貫通するセットねじ221および突起部22dを貫通するセットねじ222によって、シャフト24Aにねじ固定されている。給電ローラ23Aは、突起部23cを貫通するセットねじ231および突起部23dを貫通するセットねじ232によって、シャフト24Aにねじ固定されている。なお、
図5Aにおいて、各セットねじは簡略化して表されている。
【0102】
なお、突起部は、各給電ローラ21A,22A,23Aの一方の端部にのみ設けられてもよい。また、給電ローラ21A,22A,23Aの貫通孔の雌ねじは、当該貫通孔の全部に渡って形成されていてもよいし、一部にのみ形成されてもよい。
【0103】
また、シャフト24Aの断面は、少なくともセットねじ211,212,221,222,231,232が当接する位置において、
図3Cに示すような形状であることが好ましい。これにより、セットねじによってシャフト24Aのねじ山が潰れることを防ぐことができる。
【0104】
また、シャフト24Aの外周面のねじは、シャフト24Aの全部に渡って形成されていてもよいし、一部にのみ形成されてもよい。
【0105】
このように、第1の実施形態の変形例1によれば、貫通孔に形成されたねじとシャフト24Aに形成されたねじが螺合することによって、給電ローラ21A,22A,23Aの位置を変更することができ、また、給電ローラの位置をより安定化することができる。また、前述の固定部材21a~23a,21b~23bが不要であるため、部品の数を減らすことができる。
【0106】
(第1の実施形態の変形例2)
図5Bを参照して、第1の実施形態の変形例2について説明する。
図5Bは、本変形例に係る給電ローラユニット20Bの回転軸に沿った断面図である。第1の実施形態に係る給電ローラユニット20および第1の実施形態の変形例1に係る給電ローラユニット20Aは、シャフトが1本のもので構成されていた。本変形例では、給電ローラユニットのシャフトは複数の短尺シャフトによって構成される。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、同様の部分の説明は省略する。
【0107】
図5Bに示すように、本変形例に係る給電ローラユニット20Bは、給電ローラ21Bと、給電ローラ22Bと、給電ローラ23Bと、シャフト24とを有する。
【0108】
給電ローラ21B,22B,23Bは円柱形状を有する。給電ローラ21B,22B,23Bの両端部(両側面)には、円柱体の中心軸に沿って、凹部が設けられている。より詳しくは、給電ローラ21Bの両端部には、凹部21eおよび凹部21fが設けられている。給電ローラ22Bの両端部には、凹部22eおよび凹部22fが設けられている。給電ローラ23Bの両端部には、凹部23eおよび凹部23fが設けられている。
【0109】
本変形例では、シャフト24は、複数の短尺シャフト24a,24b,24c,24dによって構成されている。短尺シャフト24aの一端は、給電ローラ21Bの凹部21eに挿入される。給電ローラ21Bは、固定部材21aにより、短尺シャフト24aにねじ固定されている。短尺シャフト24bの一端は、給電ローラ21Bの凹部21fに挿入される。給電ローラ21Bは、固定部材21bにより、短尺シャフト24bにねじ固定されている。また、短尺シャフト24bの他端は、給電ローラ23Bの凹部23eに挿入される。給電ローラ23Bは、固定部材23aにより、短尺シャフト24bにねじ固定されている。短尺シャフト24cの一端は、給電ローラ23Bの凹部23fに挿入される。給電ローラ23Bは、固定部材23bにより、短尺シャフト24cにねじ固定されている。また、短尺シャフト24cの他端は、給電ローラ22Bの凹部22eに挿入される。給電ローラ22Bは、固定部材22aにより、短尺シャフト24cにねじ固定されている。短尺シャフト24dの一端は、給電ローラ22Bの凹部22fに挿入される。給電ローラ22Bは、固定部材22bにより、短尺シャフト24dにねじ固定されている。
【0110】
このように各短尺シャフトの一端は、第1の給電ローラの凹部に挿入され、第1の給電ローラに固定される。各短尺シャフトの他端は、第1の給電ローラと隣り合う第2の給電ローラの凹部に挿入され、第2の給電ローラに固定される。
【0111】
本変形例では、各短尺シャフトが凹部に挿入される程度を変更することで、被めっき物Mの製品領域Pのレイアウトに応じて、各給電ローラ21B,22B,23Bの位置を柔軟に変更することができる。具体的には、各固定部材の本体部を貫通するセットねじを緩め、短尺シャフト24a~24dが凹部に挿入される程度を変更した後、当該セットねじを締めることにより、給電ローラ21B,22B,23Bの位置を容易に変更することができる。
【0112】
なお、各給電ローラ21B,22B,23Bには、上記の凹部の代わりに、円柱体の中心軸に沿って貫通孔が設けられてもよい。また、短尺シャフト24a,24b,24c,24dとして、異なる長さのものを複数用意してもよい。これにより、より柔軟に給電ローラの位置を変更することができる。
【0113】
(第1の実施形態の変形例3)
上述した第1の実施形態の変形例2は、第1の実施形態の変形例1の場合に対しても適用可能である。すなわち、第1の実施形態の変形例3に係る給電ローラユニット20Cは、各給電ローラに突起部を設け、それらを複数の短尺シャフトで連結する構成である。以下、第1の実施形態の変形例1および第1の実施形態の変形例2との相違点を中心に説明し、同様の部分の説明は省略する。
【0114】
図5Cは、本変形例に係る給電ローラユニット20Cの部分断面図である。
図5Cに示すように、本変形例に係る給電ローラユニット20Cは、給電ローラ21Cと、給電ローラ22Cと、給電ローラ23Cと、シャフト24Aとを有する。
【0115】
給電ローラ21A,22A,23Aの両端部(両側面)には、円柱体の中心軸に沿って突起部が設けられている。また、当該突起部には、雌ねじが側面に形成された凹部が設けられている。より詳しくは、給電ローラ21Cの両端部の各突起部には、凹部21gおよび凹部21hが設けられている。給電ローラ22Cの両端部の各突起部には、凹部22gおよび凹部22hが設けられている。給電ローラ23Cの両端部の各突起部には、凹部23gおよび凹部23hが設けられている。
【0116】
本変形例では、シャフト24Aは、複数の短尺シャフト24Aa,24Ab,24Ac,24Adによって構成されている。なお、
図5Cにおいて、短尺シャフト24Aa~24Adは側面図で表されている。短尺シャフト24Aa~24Adの外周面には、給電ローラの凹部の雌ねじと螺合する雄ねじが形成されている。なお、短尺シャフト24Aa~24Adの雄ねじは、各短尺シャフトの端部にのみ形成されてもよい。
【0117】
各給電ローラは、給電ローラの突起部を貫通するセットねじにより、各短尺シャフトにねじ固定される。各短尺シャフトの一端は、第1の給電ローラの凹部に挿入され、第1の給電ローラに固定される。各短尺シャフトの他端は、第1の給電ローラと隣り合う第2の給電ローラの凹部に挿入され、第2の給電ローラに固定される。
【0118】
より詳しくは、短尺シャフト24Aaの一端は、給電ローラ21Cの凹部21gに挿入される。給電ローラ21Cは、セットねじ211により、短尺シャフト24Aaにねじ固定されている。短尺シャフト24Abの一端は、給電ローラ21Cの凹部21hに挿入される。給電ローラ21Cは、セットねじ212により、短尺シャフト24Abにねじ固定されている。また、短尺シャフト24Abの他端は、給電ローラ23Cの凹部23gに挿入される。給電ローラ23Cは、セットねじ231により、短尺シャフト24Abにねじ固定されている。短尺シャフト24Acの一端は、給電ローラ23Cの凹部23hに挿入される。給電ローラ23Cは、セットねじ232により、短尺シャフト24Acにねじ固定されている。また、短尺シャフト24Acの他端は、給電ローラ22Cの凹部22gに挿入される。給電ローラ22Cは、セットねじ221により、短尺シャフト24Acにねじ固定されている。短尺シャフト24Adの一端は、給電ローラ22Cの凹部22hに挿入される。給電ローラ22Cは、セットねじ222により、短尺シャフト24Adにねじ固定されている。なお、
図5Cにおいて、各セットねじは簡略化して表されている。
【0119】
このように、第1の実施形態の変形例3によれば、各給電ローラの凹部または貫通孔に形成されたねじと各短尺シャフトに形成されたねじが螺合することによって、給電ローラ21C,22C,23Cの位置をより安定化することができる。
【0120】
本変形例では、各短尺シャフトが凹部に挿入される程度を変更することで、被めっき物Mの製品領域Pのレイアウトに応じて、各給電ローラ21C,22C,23Cの位置を柔軟に変更することができる。具体的には、各給電ローラの突起部を貫通するセットねじを緩め、短尺シャフト24Aa~24Adが挿入される程度を変更した後、当該セットねじを締めることにより、給電ローラ21C,22C,23Cの位置を容易に変更することができる。
【0121】
(第2の実施形態)
図6、
図7Aおよび
図8を参照して、第2の実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る給電ローラユニットおよび位置検出機構の斜視図である。
図7Aは、本実施形態に係る接触保持機構の模式図である。
図8は、実施形態に係る電解めっき装置1における給電ローラユニット20の斜視図である。
【0122】
第1の実施形態に係る電解めっき装置1において、電解めっき処理を行うにつれて、処理槽11から給電槽12に持ち出されるめっき液によって給電ローラユニット20の各給電ローラが劣化するとともに、被めっき物Mとの機械的な接触により各給電ローラが摩耗する。これにより、給電ローラの径が細くなり、給電ローラと被めっき物Mとの接触を十分に確保することができなくなる。その結果、めっき不良などの問題が生じる。
【0123】
そこで、
図6に示すように、本実施形態に係る電解めっき装置1は、給電ローラと被めっき物Mとの接触を保持するための接触保持機構40をさらに備える。
図6、
図7Aおよび
図8に示すように、接触保持機構40は、位置検出部41と、位置調整部42と、支持部43と、バネ44と、支持プレート45とを有する。なお、
図6では支持部43、バネ44および支持プレート45は省略している。また、
図7Aでは、位置検出部41は省略している。
図8では、位置検出部41および位置調整部42は省略している。
【0124】
位置検出部41は、複数の給電ローラ21,22,23のうち少なくとも1つの給電ローラのローラ面の高さ位置を検出する。位置検出部41は、たとえばレーザ変位計などのレーザセンサである。
【0125】
位置調整部42は、位置検出部41によって検出された当該給電ローラの高さ位置に基づいて、当該給電ローラと被めっき物Mとの接触が確保されるように給電ローラユニット20の高さを調整する。位置調整部42は、たとえばサーボ機構と、シリンダー本体42aおよびロッド42bを有するエアシリンダーとを備えている。なお、位置調整部42は、エアシリンダーに代えて、油圧シリンダーまたはバネを備えてもよい。位置調整部42は、図示しない制御部(たとえばコンピュータ、タブレットなど)に接続され、給電ローラユニット20の高さを自動で調整する。
【0126】
本実施形態では、
図6に示すように、位置調整部42は、給電ローラユニット20の両端部に設けられている。また、当該給電ローラユニット20は、
図1(b)において被めっき物Mの上方に位置する給電ローラユニット20である。なお、位置調整部42は、被めっき物Mの下方に位置する給電ローラユニット20に設けられてもよい。
【0127】
位置調整部42のロッド42bは、支持部43に当接する。なお、ロッド42bは、支持部43に接合されていてもよい。
【0128】
支持部43は、給電ローラユニット20のシャフト24を回転自在に支持する。
図7Aおよび
図8に示すように、本実施形態では、支持部43は内側にベアリングなどを有するロータリジョイントであり、シャフト24を回転自在に支持する。
【0129】
このように、位置調整部42は、ロッド42bを介して支持部43の位置を制御することにより、給電ローラユニット20の高さを調整する。また、支持部43を設ける代わりに、ロッド42bの他端がシャフト24を受容する形状を有し、ロッド42bがシャフト24を回転自在に支持してもよい。
【0130】
支持プレート45は、支持部43を挟んでロッド42bの反対側に配置され、支持部43を支持する。また、支持プレート45には、バネ44の一端が接続されている。バネ44は、たとえば金属バネおよび樹脂バネである。バネ44の他端は、支点Qに接続されている。支点Qは、たとえば給電槽12の枠、蓋および底面などに設けられる。
【0131】
このように、バネ44および支持プレート45を設けることにより、位置調整部42の移動が
図7における縦方向に制限され、支持部43の位置を安定させることができる。なお、支持部43の位置を安定させるための構成は、バネ44および支持プレート45に限られない。たとえば、バネ44の代わりに、第2の位置調整部としてエアシリンダーを設けてもよい。この場合、第2の位置調整部は、制御部により制御されてもよい。支持プレート45は省略してもよい。
【0132】
以上説明したように、第2の実施形態に係る電解めっき装置1によれば、給電ローラの径が細くなっても、給電ローラと被めっき物Mとの接触が確保されることにより、電解めっき処理を安定して行うことができる。
【0133】
なお、位置検出部41に代えて、給電ローラユニット20に掛かる力を検出する力検出部を設けてもよい。この場合、力検出部は、各給電ローラ21,22,23およびシャフト24のうち、少なくとも1つに掛かる力を検出する。力検出部は、たとえば位置調整部42またはバネ44の一端に設けられたロードセル、力覚センサ、秤などである。力覚センサを用いるときは、たとえば光学式、静電容量式、歪みゲージ式(電気抵抗式)、圧電式のものが利用可能である。
【0134】
なお、力検出部は、位置検出部41とともに用いてもよい。これにより、被めっき物Mの位置の検出精度を高めることができる。
【0135】
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態では、位置調整部として、エアシリンダーなどの直線運動によるものを用いている。これに限られず、位置調整部として、回転運動によるものを用いてもよい。
【0136】
図7Bは、第2の実施形態の変形例に係る接触保持機構40Aの模式図である。接触保持機構40Aは、エアシリンダーを有する位置調整部42に代えて、カムを有する位置調整部42Aを設けたものである。
【0137】
図7Bに示すように、位置調整部42Aは、図示しないステッピングモータに接続されたカムを有する。ステッピングモータは、図示しない制御部(たとえばコンピュータ、タブレットなど)に接続され、位置検出部41によって検出された給電ローラの高さ位置に基づいて、カムの回転量を自動で制御する。カムの回転量によって、給電ローラと被めっき物Mとの接触が確保されるように給電ローラユニット20の高さを自動で調整する。
【0138】
このように、第2の実施形態の変形例によれば、位置調整部42Aとしてカムを用いることにより、設計の自由度を高めることができる。
【0139】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0140】
1 電解めっき装置
11 処理槽
12 給電槽
13 給電ローラ水洗スプレー
14 電極兼噴流パイプ
15 ブスバー
16 モータ
17 ドライブシャフト
18 チェーンベルト
19 ギア
20,20A,20B,20C 給電ローラユニット
21~23,21A~23A,21B~23B,21C~23C 給電ローラ
21a~23a,21b~23b 固定部材
21c~23c,21d~23d 突起部
21e~23e,21f~23f,21g~23g,21h~23h 凹部
211,212,221,222,231,232,212a,212b セットネジ
24,24A シャフト
24a~24d,24Aa~24Ad 短尺シャフト
25 ロータリコネクタ
30 搬送ローラユニット
31,32 搬送ローラ
33 ソケット
34 シャフト
34a,34b 短尺シャフト
40 接触保持機構
41 位置検出部
42,42A 位置調整部
42a シリンダー本体
42b ロッド
43 支持部
44 バネ
45 支持プレート
M 被めっき物
P 製品領域
NP 非製品領域
Q 支点