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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143306
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】安全支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20241003BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 P
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055909
(22)【出願日】2023-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100208591
【弁理士】
【氏名又は名称】井後 智哉
(72)【発明者】
【氏名】松本 晋明
(72)【発明者】
【氏名】永田 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】二宮 和之
(72)【発明者】
【氏名】大和 信夫
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC14
5H181FF32
5H181LL08
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】工事区間における搬入出の安全を支援することが可能な技術を提供する。
【解決手段】安全支援システム1は、自動車専用道路の進行方向において、自動車専用道路の工事区間よりも上流に配置され、工事区間よりも上流に位置するそれぞれの監視範囲を有する複数の検知装置2と、複数の検知装置2からそれぞれの検知結果を取得する取得部31、及び検知結果のそれぞれを用いて、車両の検知に関する警告情報を生成する生成部34を有する統合制御盤3と、工事区間に配置され、統合制御盤3から取得した警告情報を出力する警告装置4と、を備える。工事区間の上流には、工事区間から見て視認できない区間である監視対象区間が形成されている。監視範囲の少なくとも一部は、監視対象区間と重複する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車専用道路の進行方向において、前記自動車専用道路の工事区間よりも上流に配置され、前記工事区間よりも上流に位置するそれぞれの監視範囲を有する複数の検知装置と、
前記複数の検知装置からそれぞれの検知結果を取得する取得部、及び前記検知結果のそれぞれを用いて、車両の検知に関する警告情報を生成する生成部を有する統合制御盤と、
前記工事区間に配置され、前記統合制御盤から取得した前記警告情報を出力する警告装置と、を備え、
前記工事区間の上流には、前記工事区間から見て視認できない区間である監視対象区間が形成されており、
前記監視範囲の少なくとも一部は、前記監視対象区間と重複する、
安全支援システム。
【請求項2】
前記検知結果のそれぞれは、時刻情報を含み、
前記統合制御盤は、前記検知結果のそれぞれを同時刻で統合する統合部を有し、
前記生成部は、統合した前記検知結果を用いて、前記警告情報を生成する、
請求項1に記載の安全支援システム。
【請求項3】
前記生成部は、前記監視範囲のそれぞれについて、車両が存在するか否かを示す存在情報を含む前記警告情報を生成する、
前記警告装置は、前記存在情報を出力する、
請求項1に記載の安全支援システム。
【請求項4】
前記統合制御盤は、前記監視範囲のそれぞれに車両が存在するか否かに応じて、前記工事区間に対する入退場の可否を判定した判定結果を生成する判定部を有し、
前記生成部は、前記判定結果を含む前記警告情報を生成し、
前記警告装置は、前記判定結果を出力する、
請求項1に記載の安全支援システム。
【請求項5】
前記複数の検知装置は、順序に従って、前記工事区間よりも上流に向かって配置されており、隣り合う検知装置について、下流側の検知装置の監視範囲の一部と上流側の検知装置の監視範囲の一部とが重複する、請求項1に記載の安全支援システム。
【請求項6】
前記監視対象区間は、前記工事区間よりも上流のカーブ又は勾配によって、前記工事区間から視認できない死角を含む、請求項1に記載の安全支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車専用道路の安全支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の交通状況を検知する技術が知られている。特許文献1には、車両の速度情報を基に、渋滞警報装置が設置された地点の渋滞及び渋滞解消を検知する技術が記載されている。特許文献2には、道路上の要注意場所の位置情報及び注意情報を、路側機から車両に伝達することにより、車両の運転手の支援を行うシステムが記載されている。特許文献3には、所定のフィールドにおける外界認識情報に基づいて自動運転の安全性を検証し、自動運転の車両を制御するシステムが記載されている。特許文献4には、工事現場における指定範囲内に人又は他の車両等が侵入した場合に警報するシステムが記載されている。特許文献5及び6には、レーザレーダを用いて、車両の挙動を検知する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-181309号公報
【特許文献2】特開2018-55286号公報
【特許文献3】特開2022-65804号公報
【特許文献4】特許第6417301号公報
【特許文献5】国際公開第2019/230122号
【特許文献6】国際公開第2019/230123号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車専用道路上で工事が行われる場合、工事区間が設けられる。工事区間には、搬入出を行う工事車両が出入りする。搬入出時には、走行中の一般車両と工事車両との衝突の危険性がある。工事区間では、交通誘導員の目視による工事車両の誘導が行われている。見通しが悪い地点では、見張り員が目視による監視を行い交通誘導員に連絡している。或いは、後尾警戒車の配置が行われている。目視での判断は、見落とし又は車両速度の判断ミスが発生する可能性がある。さらに、交通誘導員及び見張り員の人員の確保も困難である。
【0005】
本開示は、工事区間における搬入出の安全を支援することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る安全支援システムは、自動車専用道路の進行方向において、自動車専用道路の工事区間よりも上流に配置され、工事区間よりも上流に位置するそれぞれの監視範囲を有する複数の検知装置と、複数の検知装置からそれぞれの検知結果を取得する取得部、及び検知結果のそれぞれを用いて、車両の検知に関する警告情報を生成する生成部を有する統合制御盤と、工事区間に配置され、統合制御盤から取得した警告情報を出力する警告装置と、を備える。工事区間の上流には、工事区間から見て視認できない区間である監視対象区間が形成されている。監視範囲の少なくとも一部は、監視対象区間と重複する。
【0007】
本開示の一側面に係る安全支援システムでは、監視範囲の少なくとも一部が、自動車専用道路の工事区間から見て上流且つ視認できない監視対象区間と重複する。すなわち、複数の検知装置の少なくとも一つは、監視対象区間を監視する。複数の検知装置の検知結果のそれぞれを用いて警告情報が生成される。そして、工事区間において警告情報が出力される。すなわち、警告情報は、工事区間に搬入出する工事車両の運転手又は交通誘導員に提供される。このような構成によれば、運転手又は交通誘導員は、警告情報を用いて、工事車両の搬入出を行うことができる。これにより、入退場の可否の判断に係る人的ミスを防止することができる。その結果、工事車両を安全に支援することができる。また、監視対象区間に人員を配置する必要が無くなる。
【0008】
検知結果のそれぞれは、時刻情報を含んでもよい。統合制御盤は、検知結果のそれぞれを同時刻で統合する統合部を有してもよい。生成部は、統合した検知結果を用いて、警告情報を生成してもよい。この場合、同時刻で統合された検知結果を用いて警告情報が生成される。このような警告情報によれば、自動車専用道路の車両の走行状況を正確に把握することができる。その結果、工事車両をより安全に支援することができる。
【0009】
生成部は、監視範囲のそれぞれについて、車両が存在するか否かを示す存在情報を含む警告情報を生成してもよい。警告装置は、存在情報を出力してもよい。この場合、監視範囲のどこに車両が存在するか否かを示す存在情報が出力される。これにより、入退場の判断が容易になる。その結果、工事車両をより安全に支援することができる。
【0010】
統合制御盤は、監視範囲のそれぞれに車両が存在するか否かに応じて、工事区間に対する入退場の可否を判定した判定結果を生成する判定部を有してもよい。生成部は、判定結果を含む警告情報を生成してもよい。警告装置は、判定結果を出力してもよい。この場合、監視範囲のどこに車両が存在するか否かに応じて入退場の可否が判定され、その判定結果が出力される。これにより、入退場の可否の判断に係る人的ミスを防止することができる。その結果、工事車両をより安全に支援することができる。
【0011】
複数の検知装置は、順序に従って、工事区間よりも上流に向かって配置されており、隣り合う検知装置について、下流側の検知装置の監視範囲の一部と上流側の検知装置の監視範囲の一部とが重複してもよい。この場合、隣り合う検知装置の監視範囲が重複する。これにより、重複範囲の車両を安定して検知することができる。その結果、工事車両をより安全に支援することができる。
【0012】
監視対象区間は、工事区間よりも上流のカーブ又は勾配によって、工事区間から視認できない死角を含んでもよい。この場合、自動車専用道路の形状に応じて生じた死角を監視可能となる。これにより、監視対象区間の車両を安定して検知することができる。その結果、工事車両をより安全に支援することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、工事区間における搬入出の安全を支援することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、自動車専用道路の一例を示す概要図である。
図2図2は、安全支援システムの構成を例示するブロック図である。
図3図3は、安全支援システムの適用例を示す概要図である。
図4図4は、監視範囲の重複の一例を示す概要図である。
図5図5は、表示板の表示の一例を示す図である。
図6図6は、表示板の表示の別の例を示す図である。
図7図7は、安全支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、安全支援システムに関連するハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、自動車専用道路の一例を示す概要図である。自動車専用道路Wには、一時的な工事によって、工事区間Cが設けられている。工事区間Cは、例えば自動車専用道路Wの車線上に設けられた所定の領域である。工事区間Cとしては、例えば橋梁部が挙げられるがこれに限られない。
【0017】
自動車専用道路Wは、通行車線W1及び規制車線W2を備える。通行車線W1は、車両が走行可能な車線である。規制車線W2は、車両が走行不可能な車線である。規制車線W2は、自動車専用道路Wの進行方向Dにおいて、工事区間Cよりも上流且つ工事区間Cと同じ車線上に設けられる。通行車線W1及び規制車線W2は、工事区間Cの工事進捗に応じて切替可能である。
【0018】
工事区間Cには、搬入出を行う工事車両Tが出入りする。工事車両Tとしては、例えばトレーラ、トラック又はクレーン等の大型車両が挙げられるがこれらに限られない。例えば、工事区間Cは、搬入口C1及び搬出口C2を備える。搬入口C1は、工事区間Cの入口である。搬出口C2は、工事区間Cの出口である。搬入時の工事車両Tは、搬入口C1を介して、通行車線W1から工事区間Cに入る。搬出時の工事車両Tは、搬出口C2を介して、工事区間Cから通行車線W1に出る。工事車両Tとは異なる車両である一般車両Gは、通行車線W1のみを走行する。
【0019】
工事車両Tの搬入出時において、工事車両Tが低速で走行するのに対し、一般車両Gが高速に走行する。一例では、搬出時の工事車両Tが0[km/h]から加速するのに対し、一般車両Gが50[km/h]で走行する。工事車両Tが大型車両の場合、加速に時間がかかる。別の例では、搬入時の工事車両Tが搬入口C1に近付くにつれて減速するのに対し、一般車両Gが50[km/h]で走行する。本開示の安全支援システムは、工事車両Tの搬入出時における衝突を防止する情報を提供する。
【0020】
[システムの構成]
図2及び図3を参照して、実施形態に係る安全支援システム1の構成を説明する。図2は、安全支援システム1の構成を例示するブロック図である。図3は、安全支援システム1の適用例を示す概要図である。安全支援システム1は、複数の検知装置2と、統合制御盤3と、警告装置4とを備える。統合制御盤3は、有線又は無線によって、複数の検知装置2及び警告装置4とそれぞれ通信可能に接続されている。
【0021】
複数の検知装置2は、物体を検知する装置である。複数の検知装置2は、自動車専用道路Wの進行方向Dにおいて、自動車専用道路Wの工事区間Cよりも上流に配置される。すなわち、複数の検知装置2は、進行方向Dにおいて、工事区間Cの手前に配置される。複数の検知装置2は、工事区間Cよりも上流に位置するそれぞれの監視範囲Rを有する。複数の検知装置2は、監視範囲Rを監視し、検知結果を生成する。複数の検知装置2は、それぞれの検知結果を統合制御盤3に送信する。
【0022】
複数の検知装置2の台数は限定されない。例えば、安全支援システム1は、複数の検知装置2として5台の検知装置21,22,23,24及び25を備える。検知装置21~25は、この順序に従って、工事区間Cよりも上流に向かって配置されている。検知装置21~25は、所定の間隔(例えば約100[m]間隔)で配置されていてもよい。すなわち、検知装置21は、工事区間Cに最も近い位置に配置される。検知装置25は、工事区間Cから最も遠い位置に配置される。
【0023】
検知装置21は、レーザレーダ211及び制御盤212を有する。レーザレーダ211は、例えば専用ケーブルを介して制御盤212に接続されている。制御盤212は、例えば光ファイバケーブルを介して統合制御盤3に接続されている。レーザレーダ211及び制御盤212は、例えば自動車専用道路Wのガードレール外側に配置される。一例では、レーザレーダ211は、仮設柱Hの上部に取り付けられる。仮設柱Hは、自動車専用道路Wのガードレール外側且つ近傍において、地上に設けられた柱である。制御盤212は、仮設柱Hの上部又は下部に取り付けられてもよい。レーザレーダ211及び制御盤212の配置方法は、これらに限られない。
【0024】
レーザレーダ211は、点群情報を生成する装置である。レーザレーダ211は、例えばLiDAR(Light Detection And Ranging)センサである。レーザレーダ211は、監視範囲R1に向けてレーザ光を照射する。監視範囲R1は、レーザレーダ211がレーザ光を照射可能な範囲である。自動車専用道路Wを走行する車両は、監視範囲R1内に入る。レーザレーダ211は、レーザ光の反射光を受光して点群情報を生成する。点群情報は、監視範囲R1内の計測点情報の集合である。計測点情報は、時刻情報及び位置情報を含む。
【0025】
制御盤212は、レーザレーダ211の点群情報を用いて、監視範囲R1に車両が存在するか否かを示す検知結果x1を生成する。例えば、検知結果x1には、時刻情報及び車両が存在するか否かを示すフラグ等の情報が含まれていてもよい。例えば、検知結果x1は、時刻tにおいて監視範囲R1に車両が存在するか否かを示してもよい。制御盤212は、検知結果x1を統合制御盤3に送信する。
【0026】
検知装置22は、進行方向Dにおいて、検知装置21よりも上流に配置される。検知装置22は、検知装置21のレーザレーダ211及び制御盤212と同様のレーザレーダ221及び制御盤222を有する。レーザレーダ221は、監視範囲R2を有する。制御盤222は、レーザレーダ221の点群情報を用いて、監視範囲R2に車両が存在するか否かを示す検知結果x2を生成する。制御盤222は、検知結果x2を統合制御盤3に送信する。
【0027】
検知装置23は、進行方向Dにおいて、検知装置22よりも上流に配置される。検知装置23は、検知装置21のレーザレーダ211及び制御盤212と同様のレーザレーダ231及び制御盤232を有する。レーザレーダ231は、監視範囲R3を有する。制御盤232は、レーザレーダ231の点群情報を用いて、監視範囲R3に車両が存在するか否かを示す検知結果x3を生成する。制御盤232は、検知結果x3を統合制御盤3に送信する。
【0028】
検知装置24は、進行方向Dにおいて、検知装置23よりも上流に配置される。検知装置24は、検知装置21のレーザレーダ211及び制御盤212と同様のレーザレーダ241及び制御盤242を有する。レーザレーダ241は、監視範囲R4を有する。制御盤242は、レーザレーダ241の点群情報を用いて、監視範囲R4に車両が存在するか否かを示す検知結果x4を生成する。制御盤242は、検知結果x4を統合制御盤3に送信する。
【0029】
検知装置25は、進行方向Dにおいて、検知装置24よりも上流に配置される。検知装置25は、検知装置21のレーザレーダ211及び制御盤212と同様のレーザレーダ251及び制御盤252を有する。レーザレーダ251は、監視範囲R5を有する。制御盤252は、レーザレーダ251の点群情報を用いて、監視範囲R5に車両が存在するか否かを示す検知結果x5を生成する。制御盤252は、検知結果x5を統合制御盤3に送信する。
【0030】
工事区間Cの上流には、工事区間Cから見て視認できない区間である監視対象区間Fが形成されている。「視認できない区間」とは、ある地点から見たときに、遮蔽物によって一部又は全部が隠れた領域をいう。換言すると、監視対象区間Fは、工事区間Cから上流側の見通しが悪い区間である。監視対象区間Fは、工事区間Cの位置及び自動車専用道路Wの形状に応じて変化する。
【0031】
監視対象区間Fの見通しが悪化する要因としては、例えば自動車専用道路Wのカーブ又は勾配が挙げられるが、これらに限られない。例えば、ジャンクションでは自動車専用道路Wの形状が大きく変わるため、ジャンクション付近の見通しが悪化しやすい。一例では、進行方向Dにおいて、工事区間Cよりも上流のカーブ又は勾配によって、工事区間Cから視認できない死角が生じる。この場合、監視対象区間Fは、死角となる区間を含む。
【0032】
監視範囲Rの少なくとも一部は、監視対象区間Fと重複する。すなわち、複数の検知装置2の少なくとも一つは、監視対象区間Fを監視する。例えば、検知装置21~25の監視範囲R1~R5の少なくとも一つは、監視対象区間Fと重複している。監視範囲R1~R5の全てが、監視対象区間Fと重複していてもよい。監視対象区間Fは、複数の検知装置2の監視範囲Rを用いて定められてもよい。換言すると、監視対象区間Fは、複数の検知装置2によって監視される区間であってもよい。一例では、監視対象区間Fは、監視範囲R1~R5と一致してもよい。監視対象区間Fは、例えば工事区間Cから所定の距離における区間であってもよい。一例では、監視対象区間Fは、工事区間Cから100[m]以上の地点から1000[m]以内の区間であってもよい。監視対象区間Fは、工事区間Cから400~500[m]離間した区間であってもよい。
【0033】
統合制御盤3は、車両の検知に関する警告情報を生成するコンピュータ装置である。警告情報は、例えば複数の検知装置2における車両の検知有無、及び工事区間Cに対する入退場の可否を示す情報である。統合制御盤3は、機能要素として取得部31と、統合部32と、判定部33と、生成部34と、送信部35とを有する。
【0034】
取得部31は、複数の検知装置2からそれぞれの検知結果を取得する。例えば、取得部31は、検知装置21~25からそれぞれの検知結果x1~x5を取得する。取得部31は、複数の検知装置2のフレームレートの間隔ごとに検知結果のそれぞれを取得してもよい。
【0035】
統合部32は、検知結果のそれぞれを同時刻で統合する。例えば、検知結果x1~x5のそれぞれは、時刻情報を含む。統合部32は、検知結果x1~x5のそれぞれを同時刻で統合する。すなわち、統合部32は、検知結果x1~x5を同期させる。
【0036】
判定部33は、監視範囲Rのそれぞれに車両が存在するか否かに応じて、工事区間Cに対する入退場の可否を判定した判定結果を生成する。判定結果は、現在のタイミングであれば工事区間Cへの入場又は工事区間Cからの退場が可能であることを示す。例えば、判定部33は、検知結果x1~x5から、監視範囲R1~R5のそれぞれに車両が存在するか否かを抽出する。判定部33は、抽出結果の組合せを用いて、入退場の可否を判定してもよい。
【0037】
換言すると、判定部33は、衝突の可能性が低い場合に入退場が「可能」であると判定する。判定部33は、衝突の可能性が高い場合に入退場が「不可能」であると判定する。一例では、判定部33は、監視範囲R1~R5内に車両が存在しない場合に、工事区間Cに対する入退場が「可能」であると判定してもよい。別の例では、生成部34は、監視範囲R1~R5のいずれかに車両が存在する場合に、工事区間Cからの退場が「不可能」であると判定してもよい。さらに別の例では、生成部34は、監視範囲R1~R3のいずれかに車両が存在しない場合に、工事区間Cへの入場が「可能」であると判定してもよい。
【0038】
生成部34は、検知結果のそれぞれを用いて、警告情報を生成する。例えば、生成部34は、検知結果x1~x5を用いて、警告情報を生成する。生成部34は、統合した検知結果を用いて、警告情報を生成してもよい。生成部34は、監視範囲R1~R5のそれぞれについて、車両が存在するか否かを示す存在情報を含む警告情報を生成してもよい。生成部34は、判定結果を含む警告情報を生成してもよい。生成部34は、存在情報又は判定結果に応じたメッセージを含む警告情報を生成してもよい。
【0039】
送信部35は、警告情報を警告装置4に送信する。送信部35は、所定の時間間隔で警告情報を警告装置4に送信してもよい。
【0040】
警告装置4は、統合制御盤3から取得した警告情報を出力する装置である。警告装置4は、工事区間Cに配置される。「警告情報を出力する」とは、視覚、聴覚又は触覚を通じて警告情報を認知可能な状態にすることを含む。例えば、警告装置4は、表示装置上への表示、音、振動又はそれらの組合せ等によって、警告情報を出力する。警告装置4は、存在情報を出力してもよい。警告装置4は、判定結果を出力してもよい。
【0041】
警告装置4は、表示板制御盤41及び表示板42を有する。表示板制御盤41は、統合制御盤3から警告情報を取得する。表示板制御盤41は、表示板42に警告情報を表示させる。表示板42は、例えばディスプレイ又は電光掲示板であるが、これらに限られない。表示板42は、表示板制御盤41の制御に従って警告情報を表示する。表示板42は、例えば工事区間C又は工事区間Cの近傍に配置される。表示板制御盤41は、例えば工事区間C又は工事区間Cの近傍に配置されてもよいし、工事区間Cから離間した場所に配置されてもよい。例えば、表示板42は、交通誘導員10又は工事車両Tの運転手に警告情報を提供する。
【0042】
警告情報は、工事区間C内又は工事区間Cの近傍で出力されてもよい。警告情報は、工事区間Cの外部から工事区間Cに向けて出力されてもよい。一例では、工事区間Cから離間した位置に配置された表示板42が、工事区間Cに向けて警告情報を表示してもよい。
【0043】
複数の検知装置2の監視範囲Rは、重複してもよいし、重複していなくてもよい。図4は、監視範囲Rの重複の一例を示す概要図である。図4は、自動車専用道路Wがジャンクションを備える例を示している。検知装置21~25は、この順序に従って、進行方向Dにおける上流に向かって配置されている。監視範囲R1~R5の少なくとも一つは、ジャンクションの分岐部分であるランプ部を含んでもよい。監視範囲R1~R5の少なくとも一つは、分岐した車線の両方を含んでもよい。
【0044】
図4において、検知装置21の監視範囲R1と、検知装置22の監視範囲R2とが重複している。監視範囲R1及びR2の重複により、重複領域R12が形成されている。検知装置22の監視範囲R2と、検知装置23の監視範囲R3とが重複している。監視範囲R2及びR3の重複により、重複領域R23が形成されている。検知装置23の監視範囲R3と、検知装置24の監視範囲R4とが重複している。監視範囲R3及びR4の重複により、重複領域R34が形成されている。検知装置24の監視範囲R4と、検知装置25の監視範囲R5とが重複している。監視範囲R4及びR5の重複により、重複領域R45が形成されている。すなわち、隣り合う検知装置2について、下流側の検知装置2の監視範囲Rの一部と上流側の検知装置2の監視範囲Rの一部とが重複する。
【0045】
図5及び図6を参照して、表示板42の表示例を説明する。図5は、表示板42の表示の一例を示す図である。図6は、表示板42の表示の別の例を示す図である。図5に示される出力面P1及び図6に示される出力面P2は、表示板42に表示される。出力面P1及びP2は、出力面の要素としてメッセージ欄M、検知信号E1~E5、判定信号U1及びU2を備える。
【0046】
メッセージ欄Mは、警告情報に関するメッセージを表示する欄である。メッセージの内容は限られない。例えば、メッセージは、例えば工事車両Tの運転手又は交通誘導員に対して警告を促す文言であってもよい。メッセージは、存在情報又は判定結果に応じた文言であってもよい。例えば、メッセージは、車両の検知の状況を示す文言であってもよい。メッセージは、工事区間Cに対する入退場可否を示す文言であってもよい。メッセージは、検知された車両の位置、又は検知された車両の速度に応じた文言であってもよい。
【0047】
検知信号E1は、検知装置21に対応している。検知信号E1は、監視範囲R1における存在情報を表示する。例えば、検知信号E1は、存在情報を色分け又は点灯及び消灯によって示してもよい。例えば、検知信号E1は、監視範囲R1において車両を検知した場合に第1の色(例えば赤)で表示する。検知信号E1は、監視範囲R1において車両を検知しない場合に第2の色(例えば緑)で表示する。
【0048】
検知信号E2は、検知装置22に対応している。検知信号E2は、監視範囲R2における存在情報を表示する。例えば、検知信号E2は、存在情報を色分け又は点灯及び消灯によって示してもよい。例えば、検知信号E2は、監視範囲R2において車両を検知した場合に第1の色で表示する。検知信号E2は、監視範囲R2において車両を検知しない場合に第2の色で表示する。
【0049】
検知信号E3は、検知装置23に対応している。検知信号E3は、監視範囲R3における存在情報を表示する。例えば、検知信号E3は、存在情報を色分け又は点灯及び消灯によって示してもよい。例えば、検知信号E3は、監視範囲R3において車両を検知した場合に第1の色で表示する。検知信号E3は、監視範囲R3において車両を検知しない場合に第2の色で表示する。
【0050】
検知信号E4は、検知装置24に対応している。検知信号E4は、監視範囲R4における存在情報を表示する。例えば、検知信号E4は、存在情報を色分け又は点灯及び消灯によって示してもよい。例えば、検知信号E4は、監視範囲R4において車両を検知した場合に第1の色で表示する。検知信号E4は、監視範囲R4において車両を検知しない場合に第2の色で表示する。
【0051】
検知信号E5は、検知装置25に対応している。検知信号E5は、監視範囲R5における存在情報を表示する。例えば、検知信号E5は、存在情報を色分け又は点灯及び消灯によって示してもよい。例えば、検知信号E5は、監視範囲R5において車両を検知した場合に第1の色で表示する。検知信号E5は、監視範囲R5において車両を検知しない場合に第2の色で表示する。
【0052】
判定信号U1及びU2は、判定結果を表示する。判定信号U1及びU2は、例えば点灯及び消灯によって入退場の可否を示してもよい。一例では、工事区間Cに対する入退場が可能な場合、判定信号U1が点灯(例えば青色)し、判定信号U2が消灯してもよい。工事区間Cに対する入退場が不可能な場合、判定信号U1が消灯し、判定信号U2が点灯(例えば赤色)してもよい。
【0053】
図5に示される出力面P1において、メッセージ欄Mには、「車両接近中!」というメッセージM1が表示されている。出力面P1において、検知信号E3及びE4が第1の色で表示されている。この場合、監視範囲R3及び監視範囲R4において、車両が検知されていることを示す。出力面P1において、検知信号E1、E2及びE5が第2の色で表示されている。この場合、監視範囲R1、監視範囲R2及び監視範囲R5において、車両が検知されていないことを示す。出力面P1において、判定信号U1が消灯し、判定信号U2が点灯している。この場合、工事区間Cに対する入退場が「不可能」であることを示す。
【0054】
図6に示される出力面P2において、メッセージ欄Mには、「車両無し」というメッセージM2が表示されている。出力面P2において、検知信号E1~E5が第2の色で表示されている。この場合、監視範囲R1~R5において、車両が検知されていないことを示す。出力面P2において、判定信号U1が点灯し、判定信号U2が消灯している。この場合、工事区間Cに対する入退場が「可能」であることを示す。
【0055】
[安全支援システムの動作]
図7を参照しながら安全支援システム1による動作方法(安全支援方法)の一例について説明する。図7は、安全支援システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0056】
ステップS1において、複数の検知装置2は、各監視範囲Rを監視する。例えば、検知装置21のレーザレーダ211は、監視範囲R1を計測した点群情報を生成する。検知装置22のレーザレーダ221は、監視範囲R2を計測した点群情報を生成する。検知装置23のレーザレーダ231は、監視範囲R3を計測した点群情報を生成する。検知装置24のレーザレーダ241は、監視範囲R4を計測した点群情報を生成する。検知装置25のレーザレーダ251は、監視範囲R5を計測した点群情報を生成する。
【0057】
ステップS2において、複数の検知装置2は、各検知結果を生成する。例えば、検知装置21の制御盤212は、監視範囲R1の点群情報を用いて検知結果x1を生成する。検知装置22の制御盤222は、監視範囲R2の点群情報を用いて検知結果x2を生成する。検知装置23の制御盤232は、監視範囲R3の点群情報を用いて検知結果x3を生成する。検知装置24の制御盤242は、監視範囲R4の点群情報を用いて検知結果x4を生成する。検知装置25の制御盤252は、監視範囲R5の点群情報を用いて検知結果x5を生成する。
【0058】
ステップS3において、複数の検知装置2は、統合制御盤3に各検知結果を連携する。例えば、検知装置21の制御盤212は、検知結果x1を統合制御盤3に送信する。検知装置22の制御盤222は、検知結果x2を統合制御盤3に送信する。検知装置23の制御盤232は、検知結果x3を統合制御盤3に送信する。検知装置24の制御盤242は、検知結果x4を統合制御盤3に送信する。検知装置25の制御盤252は、検知結果x5を統合制御盤3に送信する。
【0059】
統合制御盤3は、複数の検知装置2から各検知結果を取得する。例えば、取得部31は、検知装置21~25からそれぞれの検知結果x1~x5を取得する。取得部31は、所定の時間間隔で生成された検知結果x1~x5を繰り返し取得してもよい。
【0060】
ステップS4において、統合制御盤3は、各検知結果を統合する。例えば、統合部32は、検知結果のそれぞれを同時刻で統合する。例えば、検知結果x1~x5のそれぞれは、時刻情報を含む。統合部32は、検知結果x1~x5のそれぞれを同時刻で統合する。すなわち、統合部32は、検知結果x1~x5を同期させる。
【0061】
ステップS5において、統合制御盤3は、判定結果を生成する。判定部33は、監視範囲Rのそれぞれに車両が存在するか否かに応じて、工事区間Cに対する入退場の可否を判定した判定結果を生成する。判定結果は、現在のタイミングであれば工事区間Cへの入場又は工事区間Cからの退場が可能であることを示す。例えば、判定部33は、検知結果x1~x5から、監視範囲R1~R5のそれぞれに車両が存在するか否かを抽出する。判定部33は、抽出結果の組合せを用いて、入退場の可否を判定してもよい。
【0062】
ステップS6において、統合制御盤3は、警告情報を生成する。例えば、生成部34は、検知結果のそれぞれを用いて、警告情報を生成する。例えば、生成部34は、検知結果x1~x5を用いて、警告情報を生成する。生成部34は、統合した検知結果を用いて、警告情報を生成してもよい。生成部34は、監視範囲R1~R5のそれぞれについて、車両が存在するか否かを示す存在情報を含む警告情報を生成してもよい。生成部34は、判定結果を含む警告情報を生成してもよい。生成部34は、存在情報又は判定結果に応じたメッセージを含む警告情報を生成してもよい。
【0063】
ステップS7において、統合制御盤3は、警告装置4に警告情報を連携する。例えば、送信部35は、警告情報を警告装置4に送信する。送信部35は、所定の時間間隔で警告情報を警告装置4に送信してもよい。警告装置4の表示板制御盤41は、統合制御盤3から警告情報を取得する。
【0064】
ステップS8において、警告装置4は、警告情報を出力する。例えば、表示板制御盤41は、表示板42に警告情報を表示させる。表示板42は、例えばディスプレイ又は電光掲示板であるが、これらに限られない。表示板42は、表示板制御盤41の制御に従って警告情報を表示する。
【0065】
[ハードウェア構成]
図8は、安全支援システム1に関連するハードウェア構成の一例を示す図である。図8は、統合制御盤3として機能するコンピュータ100を示す。コンピュータ100は、プロセッサ101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、通信制御部104と、入力装置105と、出力装置106とを有する。統合制御盤3は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された1又は複数のコンピュータ100によって構成される。
【0066】
統合制御盤3が複数のコンピュータ100によって構成される場合には、これらのコンピュータ100はローカルで接続されてもよいし、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されてもよい。この接続によって、論理的に1つの統合制御盤3が構築される。
【0067】
プロセッサ101は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムなどを実行するCPU(Central Processing Unit)である。主記憶部102は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)により構成される。補助記憶部103は、ハードディスク及びフラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。補助記憶部103は、一般的に主記憶部102よりも大量のデータを記憶する。通信制御部104は、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。統合制御盤3における他の装置との通信機能の少なくとも一部は、通信制御部104によって実現されてもよい。入力装置105は、キーボード、マウス、タッチパネル、及び、音声入力用マイクなどにより構成される。出力装置106は、ディスプレイ及びプリンタなどにより構成される。
【0068】
補助記憶部103は、予め、プログラム110(安全支援プログラム)及び処理に必要なデータを格納している。プログラム110は、統合制御盤3の各機能要素をコンピュータ100に実行させる。プログラム110によって、例えば、上述した安全支援方法に係る処理がコンピュータ100において実行される。例えば、プログラム110は、プロセッサ101又は主記憶部102によって読み込まれ、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、通信制御部104、入力装置105、及び出力装置106の少なくとも1つを動作させる。例えば、プログラム110は、主記憶部102及び補助記憶部103におけるデータの読み出し及び書き込みを行う。
【0069】
プログラム110は、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記憶媒体に記録された上で提供されてもよい。プログラム110は、データ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0070】
制御盤212,222,232,242,252及び表示板制御盤41は、統合制御盤3と同様にコンピュータ100により構成されてもよい。
【0071】
以上説明したように、本開示の一側面に係る安全支援システム1は、自動車専用道路Wの進行方向Dにおいて、自動車専用道路Wの工事区間Cよりも上流に配置され、工事区間Cよりも上流に位置するそれぞれの監視範囲Rを有する複数の検知装置2と、複数の検知装置2からそれぞれの検知結果を取得する取得部31、及び検知結果のそれぞれを用いて、車両の検知に関する警告情報を生成する生成部34を有する統合制御盤3と、工事区間Cに配置され、統合制御盤3から取得した警告情報を出力する警告装置4と、を備える。工事区間Cの上流には、工事区間Cから見て視認できない区間である監視対象区間Fが形成されている。監視範囲Rの少なくとも一部は、監視対象区間Fと重複する。
【0072】
本開示の一側面に係る安全支援システム1では、監視範囲Rの少なくとも一部が、自動車専用道路Wの工事区間Cから見て上流且つ視認できない監視対象区間Fと重複する。すなわち、複数の検知装置2の少なくとも一つは、監視対象区間Fを監視する。複数の検知装置2の検知結果のそれぞれを用いて警告情報が生成される。そして、工事区間Cにおいて警告情報が出力される。すなわち、警告情報は、工事区間Cに搬入出する工事車両Tの運転手又は交通誘導員10に提供される。このような構成によれば、運転手又は交通誘導員10は、警告情報を用いて、工事車両Tの搬入出を行うことができる。これにより、入退場の可否の判断に係る人的ミスを防止することができる。その結果、工事車両Tを安全に支援することができる。また、監視対象区間Fに人員を配置する必要が無くなる。
【0073】
検知結果のそれぞれは、時刻情報を含む。統合制御盤3は、検知結果のそれぞれを同時刻で統合する統合部32を有する。生成部34は、統合した検知結果を用いて、警告情報を生成する。この場合、同時刻で統合された検知結果を用いて警告情報が生成される。このような警告情報によれば、自動車専用道路Wの車両の走行状況を正確に把握することができる。その結果、工事車両Tをより安全に支援することができる。
【0074】
生成部34は、監視範囲Rのそれぞれについて、車両が存在するか否かを示す存在情報を含む警告情報を生成する。警告装置4は、存在情報を出力する。この場合、監視範囲Rのどこに車両が存在するか否かを示す存在情報が出力される。これにより、入退場の判断が容易になる。その結果、工事車両Tをより安全に支援することができる。
【0075】
統合制御盤3は、監視範囲Rのそれぞれに車両が存在するか否かに応じて、工事区間Cに対する入退場の可否を判定した判定結果を生成する判定部33を有する。生成部34は、判定結果を含む警告情報を生成する。警告装置4は、判定結果を出力する。この場合、監視範囲Rのどこに車両が存在するか否かに応じて入退場の可否が判定され、その判定結果が出力される。これにより、入退場の可否の判断に係る人的ミスを防止することができる。その結果、工事車両Tをより安全に支援することができる。
【0076】
複数の検知装置2は、順序に従って、工事区間Cよりも上流に向かって配置されており、隣り合う検知装置2について、下流側の検知装置2の監視範囲Rの一部と上流側の検知装置2の監視範囲Rの一部とが重複する。この場合、隣り合う検知装置2の監視範囲Rが重複する。これにより、重複範囲の車両を安定して検知することができる。その結果、工事車両Tをより安全に支援することができる。
【0077】
監視対象区間Fは、工事区間Cよりも上流のカーブ又は勾配によって、工事区間Cから視認できない死角を含む。この場合、自動車専用道路Wの形状に応じて生じた死角を監視可能となる。これにより、監視対象区間Fの車両を安定して検知することができる。その結果、工事車両Tをより安全に支援することができる。
【0078】
[変形例]
本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0079】
統合制御盤3は、複数の検知装置2から取得した各検知結果又は統合した検知結果を道路管制センターに送信してもよい。統合制御盤3は、複数の検知装置2の各監視範囲Rにおいて、事故又は装置の故障等を検知した場合に、事故又は装置の故障を示すアラート情報を道路管制センターに送信してもよい。道路管制センターは、アラート情報を事後の状況検証等に用いることができる。統合制御盤3は、道路管制センターからの指令を用いて、表示板制御盤41の表示制御を行ってもよい。
【0080】
警告装置4は、受信端末であってもよい。受信端末は、工事区間Cで作業を行う交通誘導員10が用いる端末である。受信端末は、無線通信により統合制御盤3から警告情報を受信する。受信端末は、音、振動又はそれらの組合せ等によって、警告情報を出力する。受信端末の種類及び構成は限定されない。例えば、受信端末は、レシーバ、ウェアラブル端末、スマートフォン又はタブレット端末等であってもよい。
【0081】
表示板42は、入場に関する判定結果及び退場に関する判定結果を切り替えて表示してもよいし、同時に表示してもよい。表示板42は、第1の表示板及び第2の表示板を有してもよい。第1の表示板は、入場に関する判定結果を表示するディスプレイであってもよい。第2の表示板は、退場に関する判定結果を表示するディスプレイであってもよい。
【0082】
[付記]
以下、本開示の要旨を示す。
[1]
自動車専用道路の進行方向において、前記自動車専用道路の工事区間よりも上流に配置され、前記工事区間よりも上流に位置するそれぞれの監視範囲を有する複数の検知装置と、
前記複数の検知装置からそれぞれの検知結果を取得する取得部、及び前記検知結果のそれぞれを用いて、車両の検知に関する警告情報を生成する生成部を有する統合制御盤と、
前記工事区間に配置され、前記統合制御盤から取得した前記警告情報を出力する警告装置と、を備え、
前記工事区間の上流には、前記工事区間から見て視認できない区間である監視対象区間が形成されており、
前記監視範囲の少なくとも一部は、前記監視対象区間と重複する、
安全支援システム。
[2]
前記検知結果のそれぞれは、時刻情報を含み、
前記統合制御盤は、前記検知結果のそれぞれを同時刻で統合する統合部を有し、
前記生成部は、統合した前記検知結果を用いて、前記警告情報を生成する、
[1]に記載の安全支援システム。
[3]
前記生成部は、前記監視範囲のそれぞれについて、車両が存在するか否かを示す存在情報を含む前記警告情報を生成する、
前記警告装置は、前記存在情報を出力する、
[1]又は[2]に記載の安全支援システム。
[4]
前記統合制御盤は、前記監視範囲のそれぞれに車両が存在するか否かに応じて、前記工事区間に対する入退場の可否を判定した判定結果を生成する判定部を有し、
前記生成部は、前記判定結果を含む前記警告情報を生成し、
前記警告装置は、前記判定結果を出力する、
[1]~[3]のいずれかに記載の安全支援システム。
[5]
前記複数の検知装置は、順序に従って、前記工事区間よりも上流に向かって配置されており、隣り合う検知装置について、下流側の検知装置の監視範囲の一部と上流側の検知装置の監視範囲の一部とが重複する、[1]~[4]のいずれかに記載の安全支援システム。
[6]
前記監視対象区間は、前記工事区間よりも上流のカーブ又は勾配によって、前記工事区間から視認できない死角を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の安全支援システム。
【符号の説明】
【0083】
1 安全支援システム
2,21,22,23,24,25 検知装置
3 統合制御盤
4 警告装置
31 取得部
32 統合部
33 判定部
34 生成部
35 送信部
41 表示板制御盤
42 表示板
211,221,231,241,251 レーザレーダ
212,222,232,242,252 制御盤
C 工事区間
D 進行方向
F 監視対象区間
G 一般車両
M メッセージ欄
R,R1,R2,R3,R4,R5 監視範囲
T 工事車両
W 自動車専用道路
C1 搬入口
C2 搬出口
E1,E2,E3,E4,E5 検知信号
P1,P2 出力面
R12,R23,R34,R45 重複領域
U1,U2 判定信号
W1 通行車線
W2 規制車線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8