(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143311
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】インバータ装置及びインバータ装置を有するモータ装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241003BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20241003BHJP
H02K 5/24 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02K11/33
H02K5/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055918
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 信明
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
5H770
【Fターム(参考)】
5H605AA04
5H605BB05
5H605CC01
5H605CC08
5H611BB01
5H611BB04
5H611TT01
5H611UA04
5H770AA21
5H770BA02
5H770QA28
5H770QA31
5H770QA37
5H770QA40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インバータケースの壁部の共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化可能な構成のインバータ装置を提供する。
【解決手段】インバータ装置1は、インバータ3と、インバータ3が配置されるインバータケース2と、を有する。インバータケース2は、内面または外面の少なくとも一方にリブ7を有する。リブ7は、インバータケース2においてリブ7を有する壁面を平面で見て、互いに隙間なく並んで接続された複数の仮想六角形状のうち、少なくとも二つの前記仮想六角形状のそれぞれ一部によって、六角形状以外の形状に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータと、
前記インバータが配置されるインバータケースと、
を有するインバータ装置であって、
前記インバータケースは、
内面または外面の少なくとも一方にリブを有し、
前記リブは、
前記インバータケースにおいて前記リブを有する壁面を平面で見て、互いに隙間なく並んで接続された複数の仮想六角形状のうち、少なくとも二つの前記仮想六角形状のそれぞれ一部によって、六角形状以外の形状に構成されている、
インバータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインバータ装置において、
前記リブは、
互いに隙間なく並んだ少なくとも二つの仮想六角形状によって構成された多角形状の外形を構成する形状を有する、
インバータ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のインバータ装置において、
前記リブは、
互いに隙間なく隣り合う三つの仮想六角形状によって構成される多角形状の外形を構成する形状を有する、
インバータ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のインバータ装置において、
前記リブは、
互いに隙間なく隣り合う三つの仮想六角形状が共有している頂点から延びる三つの辺が互いに連結された形状を有する、
インバータ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のインバータ装置において、
前記リブを複数有し、
前記複数のリブは、
複数の同一形状のリブを含み、
前記複数の同一形状のリブは、
前記複数の同一形状のリブを有する前記インバータケースの壁面を平面で見て、姿勢が一致している、
インバータ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のインバータ装置において、
前記リブを複数有し、
前記複数のリブは、
複数の同一の形状のリブを含み、
前記複数の同一の形状のリブは、
前記複数の同一の形状のリブを有する前記インバータケースの壁面を平面で見て、一の姿勢を有するリブと、前記一の姿勢と異なる他の姿勢を有するリブとを含む、
インバータ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のインバータ装置と、
前記インバータ装置によって制御されるモータと、
前記モータを収容するモータハウジングと、
を有し、
前記インバータ装置の前記インバータケースは、
前記モータハウジングと接続されている、
モータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置及びインバータ装置を有するモータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直流電力を交流電力に変換するインバータがインバータケース内に配置されたインバータ装置が知られている。前記インバータ装置は、モータの制御などに使用される。前記インバータ装置は、電気自動車のモータの制御に使われる場合、配線等の省略による小型化及び軽量化を目的として、前記モータを収容するモータハウジングに、直接取り付けられる場合がある。前記モータハウジングに直接取り付けられた前記インバータケースの壁部は、前記モータの駆動時に発生するモータ振動によって、共振が発生する可能性がある。そのため、前記インバータケースの壁部は、共振を抑制するために剛性の向上が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、内部に固定子及び回転子を有するフレームに、インバータを収容する制御ケースを設けた回転電機において、当該制御ケースの共振を抑制するための振動抑制構造として、ハニカム形状の複数のリブを有する前記制御ケースが開示されている。前記制御ケースは、前記ハニカム形状の複数のリブによって前記制御ケースの壁部の剛性が高められている。これにより、前記回転電機は、前記回転電機側からの振動伝達による前記制御ケースの共振を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すような前記制御ケースの壁部に配置されたハニカム形状の複数のリブは、前記壁部において前記ハニカム形状の複数のリブが配置された範囲の剛性を高めるとともに、前記壁部に加わる外力を分散して受け止めることによって、前記壁部の共振を抑制することができる。
【0006】
しかしながら、ハニカム形状の複数のリブは、前記壁部の一定の範囲に多数の六角形のリブを隙間なく位置させる必要があるため、単位面積当たりの重量の増加率が一般的なリブを配置する場合に比べて大きく、前記複数のリブを配置された壁部の剛性が必要以上に高い場合がある。
【0007】
本発明は、インバータがインバータケース内に配置されたインバータ装置において、前記インバータケースの壁部の共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化可能な構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るインバータ装置は、インバータと、前記インバータが配置されるインバータケースと、を有する。前記インバータケースは、内面または外面の少なくとも一方にリブを有する。前記リブは、前記インバータケースにおいて前記リブを有する壁面を平面で見て、互いに隙間なく並んで接続された複数の仮想六角形状のうち、少なくとも二つの前記仮想六角形状のそれぞれ一部によって、六角形状以外の形状に構成されている。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係るモータ装置は、前記インバータ装置によって制御されるモータと、前記モータを収容するモータハウジングと、を有する。前記インバータ装置の前記インバータケースは、前記モータハウジングと接続されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態に係るインバータ装置及び前記インバータ装置を有するモータ装置によれば、インバータケースの壁部の共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係るインバータ装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1におけるII-II線断面を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態2に係るインバータ装置の
図1におけるII-II線断面を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態3に係るインバータ装置の
図1におけるII-II線断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態4に係るインバータ装置の
図1におけるII-II線断面を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態5に係るインバータ装置の
図1におけるII-II線断面を示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態6に係るインバータ装置の
図1におけるII-II線断面を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態7に係るインバータ装置の
図1におけるII-II線断面を示す断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態8に係るインバータ装置の
図1におけるII-II線断面を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態9に係るインバータ装置の
図1におけるII-II線断面を示す断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態10に係るインバータ装置の
図1におけるII-II線断面を示す断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の各実施形態に係るモータ装置の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の例示的な実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表しているわけではない。
【0013】
また、以下の説明において、厚み方向とは、インバータケースの底壁部及び側壁部において、最も面積が大きい面に対して垂直な方向である。
【0014】
また、以下の説明において、同一とは、厳密に同一の場合だけでなく、実質的に同一とみなせる範囲を含む。
【0015】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”、“接合”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0016】
(実施形態1)
(インバータ装置1の構成)
図1を用いて、実施形態1に係るインバータ装置1の構成について説明する。
図1は、実施形態1に係るインバータ装置1の概略構成を示す断面図である。インバータ装置1は、モータ等の駆動装置に供給される電流を制御する装置である。
図1に示すように、インバータ装置1は、インバータケース2と、インバータ3とを有する。
【0017】
図1に示すように、インバータケース2は、インバータ3を含む電子部品等を収容する。すなわち、インバータ3は、インバータケース2内に配置されている。インバータケース2は、収容したインバータ3等を粉塵、衝撃等から保護する。インバータケース2は、その内部に、インバータ3を固定可能に構成されている。インバータケース2は、例えば、アルミダイカスト部品によって構成されている。なお、インバータケース2は、ダイカスト以外の製法によって構成された部品でもよい。
【0018】
インバータ3は、外部の電源装置から供給される直流電流を交流電流に変換する。インバータ3は、インバータケース2の図示しない電線用孔を通じて、電線によって、外部の電源装置とモータ等の駆動装置とに電気的に接続されている。インバータ3は、前記電源装置から供給される直流電流を交流電流に変換し、前記駆動装置に交流電流を供給する。
【0019】
このように構成されるインバータ装置1は、インバータ3を含む電子機器を、インバータケース2によって、粉塵、振動、衝撃等から保護している。よって、インバータ装置1は、電動モータ等のアクチュエータ近傍などのように、電子機器に対する動作環境が厳しい場所に配置可能である。
【0020】
(インバータケース2の構成)
次に、
図1及び
図2を用いて、インバータケース2について詳細に説明する。
図2は、
図1におけるインバータ装置1のII-II線断面を示す断面図である。
図2は、底壁部51をその厚み方向から見た図である。インバータケース2は、カバー4(
図1参照)と、ケース本体部5と、補強部6と、を有する。
【0021】
図1に示すように、ケース本体部5は、開口部分を有する箱形状の筐体である。ケース本体部5は、内部にインバータ3を配置可能である。ケース本体部5は、底壁部51と、底壁部51の周縁部を囲む側壁部52と、を有する。ケース本体部5は、インバータ3を含む電子機器等を収容可能な大きさに構成されている。
【0022】
底壁部51は、ケース本体部5の底壁を構成する。底壁部51は、平面視で矩形の板状部材である。底壁部51は、ケース本体部5の開口部分から見て、開口部分と重なっている。
【0023】
側壁部52は、ケース本体部5の側壁を構成する。側壁部52は、底壁部51の厚み方向に延びる角筒状の部材である。側壁部52は、底壁部51を囲う。側壁部52の基端部は、底壁部51の周縁部に連結されている。側壁部52の先端部は、ケース本体部5の開口部分を構成している。
【0024】
ケース本体部5の内部には、インバータ3を含む電子機器が収容される。本実施形態において、インバータ3は、底壁部51上に配置される。ケース本体部5は、開口部分をカバー4によって覆われている。よって、ケース本体部5は、インバータ3を、外部の粉塵、振動、衝撃等から保護することができる。
【0025】
補強部6は、ケース本体部5の剛性を向上させる。補強部6は、ケース本体部5において、インバータ3が配置される壁部である底壁部51に配置される。補強部6は、底壁部51のうち、ケース本体部5の底壁部51における内側の壁面51a上に位置する。すなわち、補強部6は、インバータケース2の内面上に位置する。補強部6は、壁面51aから底壁部51の厚み方向に突出するリブ7を複数有する。リブ7とケース本体部5とは、単一の部材からなる。
【0026】
図2に示すように、リブ7は、複数の六角形が互いに隙間なく並んで接続されたハニカム状を示す仮想線に含まれる仮想六角形状の一部によって構成される。リブ7は、例えば、壁面51aの平面視で、二つの前記仮想六角形状の一部によって構成された多角形状の外形を構成する。互いに隙間なく並んで接続された二つの仮想六角形状の一部によって構成された多角形状の外形とは、壁面51aを平面で見て、互いに隙間なく並んで接続された二つの仮想六角形状のうち、互いに共有する辺(
図2の仮想線部分)を除いた形状である。
【0027】
よって、リブ7は、複数の仮想六角形状が隙間なく並んでいるハニカム形状の一部によって構成されている。つまり、リブ7は、互いに隙間なく並んで接続された複数の仮想六角形状の一部によって、六角形状以外の形状に構成されている。また、リブ7は、壁面51aの平面視で、互いに隙間なく並んで接続された二つの仮想六角形状の一部によって構成される多角形状の閉断面を構成する。本実施形態において、複数のリブ7は、すべて同一形状である。
【0028】
リブ7は、壁面51aの全体に、複数配置される。複数のリブ7は、壁面51aに沿って互いに隙間なく並べられている。複数のリブ7は、壁面51aの平面視で、複数の仮想六角形状が隙間なく並んでいるハニカム状の仮想線と重なる位置にある。よって、リブ7の一部は、隣り合う他の複数のリブ7の一部の辺をそれぞれ構成している。このように、壁面51aの平面視で、六角形状でない多角形状の閉断面を構成する複数のリブ7が互いに一部の辺を共有した状態で位置している。
【0029】
また、複数のリブ7は、壁面51aの平面視で、壁面51aに対して、それぞれ同一の方向に互いに隙間なく並んで接続された二つの仮想六角形状の一部から構成される多角形状の外形によって構成される。すなわち、補強部6において、複数のリブ7は、壁面51aに対して、一方の仮想六角形状に接続されている他方の仮想六角形状の位置によって規定されるリブ7の姿勢が一致している。
【0030】
複数のリブ7は、壁面51aに沿って、接続された二つの仮想六角形の並び方向に1列に隙間なく等間隔に配置された複数のリブ7によってリブ群8を構成する。複数のリブ群8は、互いに隙間なく等間隔に配置される。補強部6が3列以上のリブ群8を含んでいる場合、1つのリブ群8の両側に隙間なく隣り合う2つのリブ群8は、中央の1つのリブ群8に対して、リブ群8の列が延びている方向における同一方向に同一量ずれた位置に配置されている。
【0031】
複数のリブ7は、インバータ3が取り付けられる底壁部51全体に配置されているので、底壁部51全体の剛性を好適に向上させる。よって、複数のリブ7は、底壁部51全体が膜のように振動する共振を抑制し、インバータ3に伝わる振動を軽減することができる。よって、外部機器からの振動からインバータ3を保護することができる。
【0032】
上述のように構成されるインバータ装置1では、インバータケース2は、補強部6を有する。補強部6は、インバータケース2において補強部6を有する面の平面視で、互いに隙間なく並んで接続された複数の仮想六角形状のうち、二つの仮想六角形状のそれぞれの一部によって構成される少なくとも一つのリブ7を有する。すなわち、リブ7は、ハニカム形状によって構成する場合に比べて、少ない量の材料によって構成されている。この際、リブ7は、インバータケース2の壁面51aの共振を抑制するための十分な剛性を有するハニカム形状の一部によって構成されている。よって、リブ7は、壁面51aの膜振動を抑制可能な剛性を有する。したがって、リブ7は、インバータケース2の壁部の剛性を高めて前記壁部の共振を抑制するとともに、リブ7の一部を構成する仮想六角形状と同一の大きさを有する六角形状によって構成されるハニカム形状のリブに比べて、単位面積当たりの必要な材料の量を抑制することができる。
【0033】
また、上述の構成では、インバータケース2の補強部6では、複数のリブ7が壁面51aに隙間なく並べられていることにより、複数のリブ7が位置する範囲の剛性を高めている。よって、インバータケース2の壁面は、複数のリブ7が位置する範囲の剛性を高めつつ、複数のリブ7が一部を構成する仮想六角形状と同一の大きさを有する六角形状によって構成されるハニカム形状の複数のリブを含む場合に比べて、単位面積当たりの必要な材料の量を抑制することができる。
【0034】
また、上述の構成では、リブ7は、互いに隙間なく並んだ複数の仮想六角形状の外形を構成する形状を有する。すなわち、リブ7は、隣り合う仮想六角形状が共有する辺を構成する部分を有していない。よって、リブ7は、隣り合う仮想六角形状が共有する辺を構成する部分を有するハニカム形状のリブと比べて、単位面積当たりの必要な材料の量を低減できる。また、リブ7は、閉断面を構成しているので、リブ7によって囲われた範囲に加わる外力を分散して受け止めることができる。よって、リブ7が配置された範囲の剛性を高めている。
【0035】
これにより、インバータケース2の共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0036】
(実施形態2)
(インバータ装置1Aの構成)
次に、
図3を用いて、本発明の実施形態2に係るインバータ装置1Aについて説明する。
図3は、本発明の実施形態2に係るインバータ装置1Aを、
図1のII-II線と同様の位置及び方向から見た断面図である。インバータ装置1Aは、インバータケース2Aを有する。インバータ装置1Aは、インバータケース2Aが有する補強部6Aの構成が、実施形態1のインバータ装置1における補強部6の構成と異なる。以下では、すでに述べた構成と異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図3に示すように、インバータケース2Aは、ケース本体部5と、補強部6Aとを有する。
【0038】
(補強部6Aの構成)
補強部6Aは、ケース本体部5において、インバータ3が取り付けられる面である底壁部51に配置される。補強部6Aは、底壁部51のうち、ケース本体部5の内側の壁面51aに配置される。補強部6Aは、リブ7Aによって構成される。補強部6Aは、リブ7Aを複数有する。また、補強部6Aは、同一形状のリブ7Aによって構成される。リブ7Aとケース本体部5とは、単一の部材からなる。
【0039】
リブ7Aは、壁面51aの平面視で、三つの仮想六角形状がそれぞれ1つの頂点Pを共有した状態で互いに隙間なく隣り合って構成される多角形状の外形を構成する。つまり、リブ7Aは、壁面51aの平面視で、頂点Pを中心に、前記仮想六角形状を120度ずつ回転させることによって得られる多角形状の外形を構成する。頂点Pを共有する三つの仮想六角形状が互いに隙間なく隣り合って構成される多角形状の外形とは、壁面51aの平面視で、互いに隙間なく隣り合う三つの仮想六角形状のうち、互いに共有する辺(
図3の仮想線部分)を除いた形状である。
【0040】
よって、リブ7Aは、複数の仮想六角形状が隙間なく並んでいるハニカム形状の一部によって構成されている。つまり、リブ7Aは、互いに隙間なく並んで接続された三つの仮想六角形状の一部によって、六角形状以外の形状を構成する。
【0041】
三つの仮想六角形状のそれぞれの一部によって構成されるリブ7Aにおいて、三つの仮想六角形状のそれぞれの一部は、頂点Pを回転中心とする回転方向に等間隔に位置している。よって、リブ7Aは、頂点Pを中心として、回転方向に等間隔な3方向に延びる外形部分を有する略Y字状に構成されている。
【0042】
複数のリブ7Aは、壁面51aの全体に、複数位置している。複数のリブ7Aは、壁面51aに沿って互いに隙間なく並べられている。複数のリブ7Aは、壁面51aの平面視で、複数の仮想六角形状が隙間なく並んでいるハニカム状の仮想線と重なる位置に位置している。よって、リブ7Aの一部は、隣り合う他のリブ7Aの一部をそれぞれ構成している。つまり、複数のリブ7Aのうち、互いに隣り合うリブ7A同士は、一部の辺を共有する。このように、補強部6Aは、壁面51aの平面視で、六角形状でない多角形状の閉断面を構成する複数のリブ7Aが互いに一部の辺を共有した状態で位置している。
【0043】
複数のリブ7Aは、壁面51aの平面視で、壁面51aに対して、それぞれ同一の3方向に互いに隙間なく位置した三つの仮想六角形状の一部から構成される多角形状の外形である。すなわち、補強部6Aにおいて、複数のリブ7Aは、壁面51aに対して、頂点Pを基準とする三つの仮想六角形状の位置によって規定されるリブ7Aの姿勢が一致している。
【0044】
複数のリブ7Aは、壁面51a上に、三つの仮想六角形状の一部によって構成されるリブ7Aにおいて、頂点Pを基準として、それぞれの仮想六角形状が位置する方向に、それぞれ同一の姿勢で、等間隔に、隙間なく位置している。
【0045】
更に、インバータ3が固定されるケース本体部5の底壁部51には、アルミダイカスト部品によって構成されるインバータケース2Aを金型から取り外すために使用する2つのエジェクタピンを接触させる接触部53を有している。接触部53は、壁面51aから底壁部51の厚み方向に延びる。
【0046】
接触部53は、壁面51aの平面視で、リブ7Aと重なる部分に位置している。本実施形態において、接触部53は、壁面51aの平面視で、隣り合う三つのリブ7Aがそれぞれ一つの頂点を互いに共有する部分に重なる。よって、接触部53は、リブ7Aによって補強されている。
【0047】
上述の構成では、リブ7Aは、互いに隙間なく隣り合う三つの仮想六角形状によって構成される多角形状の外形を構成する。すなわち、リブ7Aは、互いに隙間なく隣り合う三つの仮想六角形状のうち隣り合う仮想六角形状が共有する辺以外の辺を構成する。そのため、リブ7Aは、リブ7Aを構成する仮想六角形状と同一の大きさの3つの六角形状を互いに隣り合って隙間なく並べたハニカム形状のリブに比べて、単位面積当たりの必要な材料の量を抑制することができる。また、リブ7Aは、壁面51aの平面視で、互いに隙間なく並んで接続された三つの仮想六角形状の一部によって構成される多角形状の閉断面を構成しているので、リブを構成しない部分に加わる外力を分散して受け止めることができる。
【0048】
また、上述の構成では、複数の同一形状のリブ7Aは、リブ7Aを有する壁面51aに対する姿勢が一致している。これにより、複数の同一形状のリブ7A同士を隙間なく位置させ、壁面51aの単位面積当たりのリブ7Aの数を増やすことができる。
【0049】
これにより、インバータケース2Aの共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0050】
(実施形態3)
(インバータ装置1Bの構成)
次に、
図4を用いて、本発明の実施形態3に係るインバータ装置1Bについて説明する。
図4は、本発明の実施形態3に係るインバータ装置1Bを、
図1のII-II線と同様の位置及び方向から見た断面図である。インバータ装置1Bは、インバータケース2Bを有する。インバータケース2Bは、補強部6Bを有する。インバータ装置1Bにおいてインバータケース2Bの補強部6Bの構成が、実施形態2のインバータ装置1Aにおけるインバータケース2Aの補強部6Aの構成と異なる。
【0051】
(補強部6Bの構成)
図4に示すように、補強部6Bは、リブ7Aとリブ7Bによって構成される。補強部6Bは、リブ7A及びリブ7Bを複数有する。リブ7A、リブ7B及びケース本体部5は、単一の部材からなる。
【0052】
リブ7Bは、壁面51aの平面視で、リブ7Aを、頂点Pを中心として60度または180度回転した形状を有する多角形状の外形である。
【0053】
複数のリブ7Aは、壁面51a上に、同一の方向に等間隔で隙間なく1列に並んで位置している。複数のリブ7Bは、壁面51a上に、同一の方向に等間隔で隙間なく1列に並んで位置している。また、同一の方向に1列に並んだ複数のリブ7Aとリブ7Bとは、交互に隣り合って等間隔で隙間なく並んで位置している。また、複数のリブ7A及び7Bは、壁面51aの平面視で、複数の仮想六角形状が隙間なく並んでいるハニカム状の仮想線と重なる位置に位置している。
【0054】
上述の構成では、インバータケース2Bは、インバータケース2Bの壁面上に一の姿勢で位置している複数のリブ7Aと、前記一の姿勢と異なる他の姿勢で位置している複数のリブ7Bとを有する。これにより、インバータケース2Bの壁面には、前記複数のリブ7Aと前記複数のリブ7Bとを交互に隙間なく並べて位置させることができる。また、リブ7A及びリブ7Bは、51aの平面視で、互いに隙間なく並んで接続された三つの仮想六角形状の一部によって構成される多角形状の閉断面を構成しているので、リブを構成しない部分に加わる外力を分散して受け止めることができる。
【0055】
また、補強部6Bでは、複数のリブ7Aと複数のリブ7Bとが隙間なく等間隔で位置することにより、壁面51aの単位面積当たりのリブ7A及びリブ7Bの数を増やすことができる。よって、インバータケース2Bの共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0056】
(実施形態4)
(インバータ装置1Cの構成)
次に、
図5を用いて、本発明の実施形態4に係るインバータ装置1Cについて説明する。
図5は、本発明の実施形態4に係るインバータ装置1Cを、
図1のII-II線と同様の位置及び方向から見た断面図である。インバータ装置1Cは、インバータケース2Cを有する。インバータケース2Cは、補強部6Cを有する。インバータ装置1Cにおいてインバータケース2Cの補強部6Cの構成が、実施形態2のインバータ装置1Aにおけるインバータケース2Aの補強部6Aの構成と異なる。
【0057】
図5に示すように、インバータケース2Cは、ケース本体部5と、補強部6Cとを有する。
【0058】
(補強部6Cの構成)
補強部6Cは、ケース本体部5において、インバータ3が取り付けられる面である底壁部51上に位置している。補強部6Cは、底壁部51のうち、ケース本体部5の内側の壁面51a上に位置している。補強部6Cは、リブ7Cによって構成される。補強部6Cは、リブ7Cを複数有する。また、補強部6Cは、同一形状のリブ7Cによって構成される。リブ7Cとケース本体部5とは、単一の部材からなる。
【0059】
リブ7Cは、壁面51aの平面視で、互いに隙間なく隣り合う三つの仮想六角形状が共有している頂点P1から延びる三つの辺が頂点P1で互いに連結された形状を有する。リブ7Cの三つの辺は、三つの仮想六角形状のそれぞれの一部である。よって、リブ7Cは、複数の仮想六角形状が隙間なく並ぶハニカム形状の一部によって構成されている。
【0060】
リブ7Cを構成する前記三つの辺は、頂点P1を回転中心とする回転方向に等間隔に位置している。よって、リブ7Cは、頂点P1から、回転方向に等間隔な3方向に延びる辺を有する略Y字状に構成されている。
【0061】
複数のリブ7Cは、壁面51aの全体に、複数位置している。複数のリブ7Cは、壁面51a上に互いに隙間を空けて並べられている。すなわち、複数のリブ7Cは、互いに接続されていない。複数のリブ7Cは、壁面51aの平面視で、複数の仮想六角形状が隙間なく並ぶハニカム状の仮想線と重なる位置に位置している。
【0062】
また、複数のリブ7Cは、壁面51aの平面視で、壁面51aに対して、それぞれ頂点P1から同一の3方向に延びる三つ仮想六角形状のそれぞれの一部である三つの辺が頂点P1で互いに連結された形状である。すなわち、補強部6Cにおいて、複数のリブ7Cは、壁面51aに対して、頂点P1を基準とする三つの仮想六角形状の位置によって規定されるリブ7Cの姿勢が一致している。
【0063】
底壁部51が有する接触部53の少なくとも一部は、壁面51aの平面視で、リブ7Cと重なる部分に位置している。本実施形態において、接触部53の中心は、壁面51aの平面視で、リブ7Cの頂点P1に重なる。よって、接触部53は、リブ7Cによって補強されている。
【0064】
上述の構成では、リブ7Cは、互いに隙間なく隣り合う三つの仮想六角形状が共有している頂点P1から延びる三つの辺が互いに連結された形状を有する。よって、リブ7Cは、その一部を構成する仮想六角形状と同一の大きさを有する三つの仮想六角形状を互いに隣り合って隙間なく並べた形状のリブに比べて、単位面積当たりの必要な材料の量を抑制することができる。また、リブ7Cは、前記三つの仮想六角形状が共有している頂点P1から等間隔で三方向に延びる三つの辺によって構成されているため、インバータケース2Cの壁面の剛性を高めることができる。これにより、インバータケース2Cの共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0065】
(実施形態5)
(インバータ装置1Dの構成)
次に、
図6を用いて、本発明の実施形態5に係るインバータ装置1Dについて説明する。
図6は、本発明の実施形態5に係るインバータ装置1Dを、
図1のII-II線と同様の位置及び方向から見た断面図である。インバータ装置1Dは、インバータケース2Dを有する。インバータケース2Dは、補強部6Dを有する。インバータ装置1Dにおいてインバータケース2Dの補強部6Dの構成が、実施形態4のインバータ装置1Cにおけるインバータケース2Cの補強部6Cの構成と異なる。
【0066】
(補強部6Dの構成)
図6に示すように、補強部6Dは、リブ7Cとリブ7Dによって構成される。補強部6Dは、リブ7C及びリブ7Dを複数有する。リブ7C、リブ7D及びケース本体部5は、単一の部材からなる。
【0067】
リブ7Dは、前記リブ7Cに対して、頂点P1を中心として60度または180度回転した位置に配置された三つの仮想六角形の一部によって構成される形状である。
【0068】
複数のリブ7C及び複数のリブ7Dは、壁面51aの全体に、複数配置される。複数のリブ7C及び複数のリブ7Dは、壁面51aに沿って互いに隙間を空けて並べられている。すなわち、複数のリブ7C及び複数のリブ7Dは、互いに接続されていない。複数のリブ7C及び複数のリブ7Dは、壁面51aの平面視で、複数の仮想六角形状によって構成されるハニカム状の仮想線と重なる位置に位置している。
【0069】
前記複数のリブ7Cは、ハニカム状の仮想線を構成する仮想六角形状の第1、第3、第5頂点に位置する。複数のリブ7Dは、ハニカム状の仮想線を構成する仮想六角形状の第2、第4、第6頂点に位置する。つまり、複数のリブ7C及び複数のリブ7Dは、ハニカム状の仮想線を構成する複数の仮想六角形状の各頂点に位置している。よって、複数のリブ7C及び複数のリブ7Dによって構成される補強部6Dは、ハニカム状の仮想線において、各辺の一部を構成しない形状に構成される。
【0070】
上述の構成ではインバータケース2Dは、複数のリブ7Cと、複数のリブ7Dとを含む。これにより、複数のリブ7Cと複数のリブ7Dとを組み合わせて位置させ、前記壁面における単位面積当たりのリブ7C及びリブ7Dの数を増やすことができる。また、複数のリブ7C及び複数のリブ7Dは、壁面51aの平面視で、複数の仮想六角形状によって構成されるハニカム状の仮想線上において、前記ハニカム状を構成する複数の仮想六角形状の頂点と重なる位置に、互いに隙間を空けて位置している。これにより、補強部6Dは、ハニカム状の仮想線において、各辺の一部を構成しない形状であるため、共振を抑制するための必要な剛性を有する。よって、壁面51aにおいて、複数のリブ7C及びリブ7Dが位置する範囲の剛性を高めている。よって、インバータケース2Dの共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0071】
(実施形態6)
(インバータ装置1Eの構成)
次に、
図7を用いて、本発明の実施形態6に係るインバータ装置1Eについて説明する。
図7は、本発明の実施形態6に係るインバータ装置1Eを、
図1のII-II線と同様の位置及び方向から見た断面図である。
【0072】
インバータ装置1Eは、インバータケース2Eを有する。インバータケース2Eは、補強部6Eを有する。補強部6Eは、実施形態1の補強部6と比べて、複数のリブ7の位置が異なる。
【0073】
(補強部6Eの構成)
図7に示すように、補強部6Eは、リブ7によって構成される。補強部6Eは、リブ7を複数有する。また、補強部6Eは、同一形状且つ同一姿勢の複数のリブ7によって構成される。リブ7及びケース本体部5は、単一の部材からなる。
【0074】
複数のリブ7は、壁面51aに沿って、リブ7に含まれる接続された二つの仮想六角形の並び方向に1列に隙間なく等間隔に配置されたリブ群8を構成する。複数のリブ群8は、互いに隙間なく等間隔に配置される。補強部6Eが3列以上のリブ群8を含んでいる場合、1つのリブ群8の両側に隙間なく隣り合う2つのリブ群8は、中央の1つのリブ群8に対して、リブ群8の列が延びている方向における同一方向に異なる量ずれた位置、またはリブ群8の列が延びている方向における異なる方向に同一の量ずれた位置に配置されている。
【0075】
上述の構成では、複数の同一形状のリブ7は、リブ7を有する壁面51aに対して位置した姿勢が一致している。これにより、複数の同一形状のリブ7同士を隙間なく位置させ、壁面51aの単位面積当たりのリブ7の数を増やすことができる。これにより、インバータケース2Eの共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0076】
(実施形態7)
(インバータ装置1Fの構成)
次に、
図8を用いて、本発明の実施形態7に係るインバータ装置1Fについて説明する。
図8は、本発明の実施形態7に係るインバータ装置1Fを、
図1のII-II線と同様の位置及び方向から見た断面図である。
【0077】
インバータ装置1Fは、インバータケース2Fを有する。インバータケース2Fは、補強部6Fを有する。補強部6Fは、実施形態1の補強部6と比べて、複数種類のリブ7、リブ7E及びリブ7Fを含む点で異なる。
【0078】
(補強部6Fの構成)
図8に示すように、補強部6Fは、リブ7、リブ7E及びリブ7Fによって構成される。補強部6Fは、リブ7、リブ7E及びリブ7Fを複数有する。リブ7、リブ7E、リブ7F及びケース本体部5は、単一の部材からなる。
【0079】
リブ7Eは、壁面51aの平面視で、リブ7を任意の点を中心として60度回転した形状を有する多角形状の外形である。
【0080】
リブ7Fは、壁面51aの平面視で、リブ7を任意の点を中心として120度回転した形状を有する多角形状の外形である。
【0081】
複数のリブ7、リブ7E及びリブ7Fは、壁面51aの全体に、それぞれ複数配置される。複数のリブ7、リブ7E及びリブ7Fは、壁面51aに沿って並んでいる。数のリブ7、リブ7E及びリブ7Fは、複数の仮想六角形状が隙間なく並んでいるハニカム状の仮想線と重なる位置にある。リブ7、リブ7E及びリブ7Fは、リブ群8Aを構成する。リブ群8Aに含まれるリブ7、リブ7E及びリブ7Fは、壁面51aの平面視で、一つの頂点P2を共有した状態で互いに隙間なく位置している。
【0082】
リブ群8Aを構成するリブ7、リブ7E及びリブ7Fは、隣り合う他のリブ7、リブ7E及びリブ7Fの一部の辺をそれぞれ構成している。このように、壁面51aの平面視で、六角形状でない多角形状の閉断面を構成する複数のリブ7、リブ7E及びリブ7Fが互いに一部の辺を共有した状態で位置している。
【0083】
補強部6Fは、リブ群8Aを複数含んでいる。複数のリブ群8Aは、例えば、同一の方向に等間隔で1列に並んで位置している。補強部6Fが一列に並んだ複数のリブ群8Aを複数列含んでいる場合、一列に並んだ複数のリブ群8A同士は、例えば、互いに離れた状態で位置している。なお、一列に並んだ複数のリブ群8A同士は、例えば、互いに接触した状態で位置してもよい。
【0084】
上述の構成ではインバータケース2Fは、複数のリブ7、リブ7E及びリブ7Fを含む。これにより、複数のリブ7、リブ7E及びリブ7Fを組み合わせて位置させ、前記壁面における単位面積当たりの、リブ7、リブ7E及びリブ7Fの数を増やすことができる。よって、インバータケース2Fの共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0085】
(実施形態8)
(インバータ装置1Gの構成)
次に、
図9を用いて、本発明の実施形態8に係るインバータ装置1Gについて説明する。
図9は、本発明の実施形態8に係るインバータ装置1Gを、
図1のII-II線と同様の位置及び方向から見た断面図である。
【0086】
インバータ装置1Gは、インバータケース2Gを有する。インバータケース2Gは、補強部6Gを有する。補強部6Gは、実施形態7の補強部6Fと比べて、複数種類のリブ7、リブ7E及びリブ7Fの位置が異なる。
【0087】
(補強部6Gの構成)
図9に示すように、リブ7、リブ7E及びリブ7Fは、リブ群8Bを構成する。リブ群8Bに含まれるリブ7、リブ7E及びリブ7Fは、壁面51aの平面視で、互いに隙間なく環状に並んでいる。補強部6Gは、リブ7、リブ7E及びリブ7Fによって構成される。補強部6Fは、リブ7、リブ7E及びリブ7Fを複数有する。リブ7、リブ7E、リブ7F及びケース本体部5は、単一の部材からなる。
【0088】
リブ群8Bを構成するリブ7、リブ7E及びリブ7Fは、隣り合う他のリブ7、リブ7E及びリブ7Fの一部の辺をそれぞれ構成している。また、リブ群8Bは、リブ7、リブ7E及びリブ7Fの一部によって一つの六角形状が構成されている。このように、壁面51aの平面視で、六角形状でない多角形状の閉断面を構成する複数のリブ7、リブ7E及びリブ7Fが互いに一部の辺を共有した状態で位置している。
【0089】
補強部6Gは、リブ群8Bを複数含んでいる。複数のリブ群8Bは、壁面51a上に、少なくとも一部の辺を共有した状態で互いに隙間なく位置している。なお、複数のリブ群8B同士は、例えば、互いに離れた状態で位置していてもよい。
【0090】
上述の構成ではインバータケース2Gは、複数のリブ7、リブ7E及びリブ7Fを含む。これにより、複数のリブ7、リブ7E及びリブ7Fを組み合わせて位置させ、前記壁面における単位面積当たりの、リブ7、リブ7E及びリブ7Fの数を増やすことができる。また、前記三つのリブ7、7E、7Fのそれぞれの一部によって、六角形状を構成することで、リブ7、7E、7Fの一部を構成する仮想六角形状と同一の大きさを有する六角形状によって構成されるハニカム形状のリブに比べて、単位面積当たりの必要な材料の量を抑制することができる。よって、インバータケース2Gの共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0091】
(実施形態9)
(インバータ装置1Hの構成)
次に、
図10を用いて、本発明の実施形態9に係るインバータ装置1Hについて説明する。
図10は、本発明の実施形態9に係るインバータ装置1Hを、
図1のII-II線と同様の位置及び方向から見た断面図である。
【0092】
インバータ装置1Hは、インバータケース2Hを有する。インバータケース2Hは、補強部6Hを有する。補強部6Hは、実施形態1の補強部6と比べて、リブ7Eを含む点が異なる。
【0093】
(補強部6Hの構成)
図10に示すように、補強部6Hは、リブ7とリブ7Eによって構成される。補強部6Hは、リブ7とリブ7Eを複数有する。リブ7、リブ7E及びケース本体部5は、単一の部材からなる。
【0094】
複数のリブ7及びリブ7Eは、壁面51aの全体に、複数配置される。複数のリブ7及びリブ7Eは、壁面51aに沿って並べられている。複数のリブ7及びリブ7Eは、壁面51aの平面視で、複数の仮想六角形状が隙間なく並んでいるハニカム状の仮想線と重なる位置にある。リブ7及びリブ7Eは、リブ群8Cを構成する。リブ7Eは、壁面51aの平面視で、リブ7に対して、リブ7に含まれる接続された二つの仮想六角形の並び方向に隙間なく位置する。
【0095】
補強部6Hは、リブ群8Cを複数含んでいる。複数のリブ群8Cは、壁面51a上に、互いに隙間なく位置している。よって、リブ7及びリブ7Eの一部は、隣り合う他のリブ群8Cのリブ7及びリブ7Eの一部の辺をそれぞれ構成している。このように、壁面51aの平面視で、六角形状でない多角形状の閉断面を構成する複数のリブ7及びリブ7Eが互いに一部の辺を共有した状態で位置している。
【0096】
上述の構成では、インバータケース2Hは、複数のリブ7及びリブ7Eを含む。これにより、複数のリブ7及びリブ7Eを組み合わせて位置させ、前記壁面における単位面積当たりの、リブ7及びリブ7Eの数を増やすことができる。よって、インバータケース2Hの共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0097】
(実施形態10)
(インバータ装置1Iの構成)
次に、
図11を用いて、本発明の実施形態10に係るインバータ装置1Iについて説明する。
図11は、本発明の実施形態10に係るインバータ装置1Iを、
図1のII-II線と同様の位置及び方向から見た断面図である。
【0098】
インバータ装置1Iは、インバータケース2Iを有する。インバータケース2Iは、補強部6Iを有する。補強部6Iは、実施形態1の補強部6と比べて、リブ7Fを含む点が異なる。
【0099】
(補強部6Iの構成)
図11に示すように、補強部6Iは、リブ7とリブ7Fによって構成される。補強部6Iは、リブ7とリブ7Fを複数有する。リブ7、リブ7F及びケース本体部5は、単一の部材からなる。
【0100】
複数のリブ7及びリブ7Fは、壁面51aの全体に、複数配置される。複数のリブ7及びリブ7Fは、壁面51aに沿って並べられている。複数のリブ7及びリブ7Fは、壁面51aの平面視で、複数の仮想六角形状が隙間なく並んでいるハニカム状の仮想線と重なる位置にある。リブ7及びリブ7Fは、リブ群8Dを構成する。リブ7Fは、壁面51aの平面視で、リブ7に対して、リブ7に含まれる接続された二つの仮想六角形の並び方向に隙間なく位置する。
【0101】
補強部6Iは、リブ群8Dを複数含んでいる。複数のリブ群8Dは、壁面51a上に、互いに隙間なく位置している。よって、リブ7及びリブ7Fの一部は、隣り合う他のリブ群8Dのリブ7及びリブ7Fの一部の辺をそれぞれ構成している。このように、壁面51aの平面視で、六角形状でない多角形状の閉断面を構成する複数のリブ7及びリブ7Fが互いに一部の辺を共有した状態で位置している。
【0102】
上述の構成では、インバータケース2Iは、複数のリブ7及びリブ7Fを含む。これにより、複数のリブ7及びリブ7Fを組み合わせて位置させ、前記壁面における単位面積当たりの、リブ7及びリブ7Fの数を増やすことができる。よって、インバータケース2Iの共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができる。
【0103】
(モータ装置100)
次に、
図12を用いて、各実施形態に係るモータ装置100について説明する。
図12は、各実施形態に係るモータ装置100の概略構成を示す斜視図である。モータ装置100は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを駆動源とする車両に搭載され、前記車両の駆動源として使用される。
図12に示すように、モータ装置100は、モータ110と、モータハウジング120と、インバータ装置1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1Iのいずれか一つと、を有する。以下では、モータ装置100がインバータ装置1を有する場合について説明する。
【0104】
モータ110は、筒状のステータ111内に、ロータ112が中心軸P3を中心として回転可能に位置する、いわゆるインナーロータ型のモータである。モータ110は、モータハウジング120内に収容される。
【0105】
モータハウジング120は、モータ110を径方向外側から囲む筒状の周壁部121を有する。周壁部121の径方向一方側には、インバータ装置1が位置する。
【0106】
モータハウジング120の周壁部121の外周面には、インバータケース2の側壁部52が接続される。モータハウジング120及びインバータケース2は、アルミダイカスト部品によって一体に構成される。周壁部121の内側には、モータ110のステータ111が固定される。周壁部121の軸方向一方側の端部には、カバー部材122がボルト締結される。
【0107】
上述の構成では、インバータ装置1のインバータケース2は、モータ110を収容するモータハウジング120と接続される。これにより、インバータケース2の共振を抑制する剛性を確保しつつ、軽量化を図ることができるインバータ装置1を備えたモータ装置100を実現できる。
【0108】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0109】
上述の各実施形態では、インバータケース2、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G、2H、2Iの底壁部51は、平面視で矩形の板状部材である。しかしながら、インバータケースの底壁部は、板状であれば、どのような形状を有していてもよい。
【0110】
上述の実施形態1では、複数のリブ7は、壁面51aに対する姿勢が一致している。しかしながら、複数のリブは、壁面に対する姿勢が異なっていてもよい。
【0111】
上述の実施形態2から10では、接触部53は、壁面51aの平面視で、リブ7、7A、7B、7C、7D、7E、7Fと重なる。しかしながら、接触部は、壁面の平面視で、リブと重ならない位置にあってもよい。
【0112】
上述の各実施形態では、補強部6、6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H、6Iは、ケース本体部5において、インバータ3が取り付けられる底壁部51上に位置している。また、補強部6、6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H、6Iは、底壁部51のうち、ケース本体部5の内側を向く壁面51a上に位置している。しかしながら、補強部は、ケース本体部において、インバータが取り付けられる壁部以外の壁部上に位置していてもよい。補強部は、インバータケースの底壁部または側壁部の少なくとも一方に位置していればよい。また、補強部は、ケース本体部の外側を向く壁面上に位置していてもよい。
【0113】
上述の各実施形態では、補強部6、6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H、6Iは、リブ7、7A、7B、7C、7D、7E、7Fによって構成される。しかしながら、補強部は、リブ7、7A、7B、7C、7D、7E、7F以外の形状のリブを有していてもよい。補強部は、例えば、六角形状のリブを有していてもよい。また、補強部は、リブ以外の補強構造体を有していてもよい。
【0114】
上述の実施形態1では、リブ7は、壁面51aの平面視で、互いに隙間なく並んで接続された複数の仮想六角形状のうち、二つの前記仮想六角形状のそれぞれの一部によって構成される。しかしながら、リブは、前記リブを有する壁面の平面視で、互いに隙間なく並んで接続された複数の仮想六角形状のうち、少なくとも二つの前記仮想六角形状のそれぞれの一部によって構成されていればよい。
【0115】
上述の実施形態1では、リブ7は、壁面51aの平面視で、互いに隙間なく並んで接続された二つの仮想六角形状によって構成された多角形状の外形を構成する。しかしながら、リブは、前記リブを有する壁面の平面視で、互いに隙間なく並んで接続された三つ以上の仮想六角形状によって構成された多角形状の外形を構成していてもよい。すなわち、リブは、前記リブを有する壁面の平面視で、互いに隙間なく並んで接続された少なくとも二つの仮想六角形状によって構成された多角形状の外形を構成すればよい。
【0116】
上述の実施形態1から3及び6では、補強部6,6A、6B、6Eにおいて、複数のリブ7、7A、7Bは、壁面51aに沿って互いに隙間なく並べられている。しかしながら、補強部において、複数のリブは、壁面に沿って互いに隙間を空けて並べられていてもよい。
【0117】
上述の実施形態4では、補強部6Cにおいて、複数のリブ7Cは、壁面51aに対して位置した姿勢が一致している。しかしながら、補強部において、複数のリブは、壁面に対してそれぞれ異なる姿勢で位置していてもよい。
【0118】
上述の各実施形態では、複数のリブ7、7A、7B、7C、7D、7E、7Fは、壁面51aの平面視で、複数の仮想六角形状によって構成されるハニカム状の仮想線と重なる位置に位置している。しかしながら、複数のリブは、壁面の平面視で、複数の仮想六角形状によって構成されるハニカム状の仮想線と重ならない位置に位置していてもよい。
【0119】
上述の実施形態1から3及び6から10では、複数のリブ7、7A、7B、7E、7Fは、壁面53a上に、互いに隙間なく位置している。しかしながら、複数のリブは、壁面上に、互いに隙間を空けて位置していてもよい。
【0120】
上述の実施形態1及び6から10では、複数のリブ群8、8A、8B、8C、8Dは、壁面51a上に、互いに隙間なく位置している。しかしながら、複数のリブ群は、壁面上に、互いに隙間を空けて位置していてもよい。
【0121】
(1)
インバータと、前記インバータが配置されるインバータケースと、を有するインバータ装置である。前記インバータケースは、内面または外面の少なくとも一方にリブを有する。前記リブは、前記インバータケースにおいて前記リブを有する壁面を平面で見て、互いに隙間なく並んで接続された複数の仮想六角形状のうち、少なくとも二つの前記仮想六角形状のそれぞれ一部によって、六角形状以外の形状に構成されている。
【0122】
(2)
(1)に記載のインバータ装置において、前記リブは、互いに隙間なく並んだ少なくとも二つの仮想六角形状によって構成された多角形状の外形を構成する形状を有する。
【0123】
(3)
(1)から(2)のいずれか一項に記載のインバータ装置において、前記リブは、互いに隙間なく隣り合う三つの仮想六角形状によって構成される多角形状の外形を構成する形状を有する
【0124】
(4)
(1)から(3)のいずれか一項に記載のインバータ装置において、
前記リブは、互いに隙間なく隣り合う三つの仮想六角形状が共有している頂点から延びる三つの辺が互いに連結された形状を有する。
【0125】
(5)
(1)から(4)のいずれか一項に記載のインバータ装置において、前記リブを複数有する。前記複数のリブは、複数の同一形状のリブを含む。前記複数の同一形状のリブは、前記複数の同一形状のリブを有する前記インバータケースの壁面を平面で見て、姿勢が一致している。
【0126】
(6)
(1)から(4)のいずれか一項に記載のインバータ装置において、前記リブを複数有する。前記複数のリブは、複数の同一の形状のリブを含む。前記複数の同一の形状のリブは、前記複数の同一の形状のリブを有する前記インバータケースの壁面を平面で見て、一の姿勢を有するリブと、前記一の姿勢と異なる他の姿勢を有するリブとを含む。
【0127】
(7)
(1)から(6)のいずれか一項に記載のインバータ装置と、前記インバータ装置によって制御されるモータと、前記モータを収容するモータハウジングと、を有し、前記インバータ装置の前記インバータケースは、前記モータハウジングと接続されているモータ装置である。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、インバータ装置及び前記インバータ装置を有するモータ装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0129】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I インバータ装置
2、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G、2H、2I インバータケース
3 インバータ
4 カバー
5 ケース本体部
51 底壁部
51a 壁面
52 側壁部
53 接触部
6、6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H、6I 補強部
7、7A、7B、7C、7D、7E、7F リブ
8、8A、8B、8C、8D リブ群
100 モータ装置
110 モータ
111 ステータ
112 ロータ
120 モータハウジング
121 周壁部
122 カバー部材
P、P1、P2 頂点
P3 中心軸