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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143329
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】個装吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61F13/15 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055945
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 樹里
(72)【発明者】
【氏名】倉持 美帆子
(72)【発明者】
【氏名】伊東 莉菜
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 陽花
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 浩洋
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA08
3B200BA16
3B200BB02
3B200BB08
3B200BB20
3B200BB30
3B200DA25
3B200DE07
3B200DF08
3B200DF09
3B200EA18
3B200EA23
(57)【要約】
【課題】複数個重ね合わせてパッケージに収容される場合に生産効率の低下を回避する。
【解決手段】吸収性物品が紙製の包装シートにより個装されてなる個装吸収性物品であって、個装吸収性物品は、複数の個装吸収性物品が重ね合わされる際に他の個装吸収性物品と接する面に防滑加工が施されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品が紙製の包装シートにより個装されてなる個装吸収性物品であって、
前記個装吸収性物品は、複数の個装吸収性物品が重ね合わされる際に他の個装吸収性物品と接する面に防滑加工が施されている、個装吸収性物品。
【請求項2】
前記包装シートは、前記吸収性物品を個装した場合に表出する表出面の全面に防滑剤が塗布されている、請求項1に記載の個装吸収性物品。
【請求項3】
前記包装シートは、前記吸収性物品を個装した場合に表出する表出面のうち、前記吸収性物品を個装した場合に前記包装シートの重なり枚数が最も多くなる領域の少なくとも一部に防滑剤が塗布されている、請求項1に記載の個装吸収性物品。
【請求項4】
前記包装シートが、前記包装シートの長手方向の一端縁を含む第1領域に、前記長手方向の他端縁を含む第2領域が重なるように折り畳まれ、前記第1領域及び第2領域にわたって止着テープが設けられ、
前記止着テープは、前記包装シートのマシンMD方向が前記長手方向に直交する短手方向の場合、前記長手方向の長さが、前記包装シートが折り畳まれた状態における前記長手方向の長さの35%以上である、請求項1に記載の個装吸収性物品。
【請求項5】
前記包装シートが、前記包装シートの長手方向の一端縁を含む第1領域に、前記長手方向の他端縁を含む第2領域が重なるように折り畳まれ、前記第1領域及び第2領域にわたって止着テープが設けられ、
前記止着テープは、前記包装シートのマシンMD方向が前記長手方向の場合、前記長手方向に直交する短手方向の長さが、前記包装シートの前記短手方向の長さの15%以上である、請求項1に記載の個装吸収性物品。
【請求項6】
前記止着テープは、表面に防滑構造を有する、請求項4または請求項5に記載の個装吸収性物品。
【請求項7】
前記包装シートは、前記吸収性物品を個装した場合に表出する表出面とは反対側の面に、前記吸収性物品を前記包装シートに剥離可能に貼着するための擬似接着構造を有し、
前記擬似接着構造を構成する接着剤が前記表出面に染み出ている、請求項1に記載の個装吸収性物品。
【請求項8】
前記包装シートは、前記吸収性物品を個装した場合に表出する表出面に凹凸加工が施されている、請求項1に記載の個装吸収性物品。
【請求項9】
前記凹凸加工は、エンボス加工によって施されている、請求項8に記載の個装吸収性物品。
【請求項10】
前記凹凸加工は、印刷におけるインクの塗布によって施されている、請求項8に記載の個装吸収性物品。
【請求項11】
前記凹凸加工は、前記包装シートに開孔を形成することによって施されている、請求項8に記載の個装吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個装吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品は、パッケージに収容された状態で提供される。
【0003】
特許文献1には、吸収性物品を収容したパッケージの表面に、最外層に凹凸を有するマット層を備えることで表面の摩擦力を高め、陳列時に荷崩れを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-196541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品は、保管時の衛生確保、持ち運びの際の利便性向上等の理由から、包装シートによって個別に包装された個装吸収性物品としてパッケージに収容される。包装シートは、吸収性物品を個別に包装するものであるため、パッケージと比較して使用後に生じるごみの量が多い。そのため、近年、環境問題の観点から、従来の不織布やプラスチックフィルムではなく、包装シートを紙素材から構成することが進められている。
【0006】
ここで、上述した個装吸収性物品は、複数個が重ね合わされた状態でパッケージに収容される。そのため、特に包装シートとして表面の平滑性が高い紙を使用した場合、個装吸収性物品を複数個重ね合わせてパッケージに収容する際に個装吸収性物品どうしが滑りやすくなり、生産効率が低下してしまう虞がある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、複数個重ね合わせてパッケージに収容される場合に生産効率の低下を回避できる個装吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
吸収性物品が紙製の包装シートにより個装されてなる個装吸収性物品であって、
前記個装吸収性物品は、複数の個装吸収性物品が重ね合わされる際に他の個装吸収性物品と接する面に防滑加工が施されている。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、複数の個装吸収性物品が重ね合わされる際に他の個装吸収性物品と接する面に防滑加工が施されていることで、複数個重ね合わせてパッケージに収容される際に個装吸収性物品どうしが滑りにくくなり、生産効率の低下が回避される。
【0010】
また、包装シートが、吸収性物品を個装した場合に表出する表出面の全面に防滑剤が塗布されている構成としてもよい。
【0011】
このように構成されたものにおいては、複数個の個装吸収性物品がどのように重ね合わされた場合でも個装吸収性物品どうしが滑りにくくなる。
【0012】
また、包装シートが、吸収性物品を個装した場合に表出する表出面のうち、吸収性物品を個装した場合に包装シートの重なり枚数が最も多くなる領域の少なくとも一部に防滑剤が塗布されている構成としてもよい。
【0013】
このように構成されたものにおいては、複数個の個装吸収性物品が重ね合わされた場合に他の個装吸収性物品に最も接しやすい領域に防滑剤が塗布されていることとなる。これにより、複数個の個装吸収性物品が重ね合わされてパッケージに収容される際に個装吸収性物品どうしが滑りにくくなる。また、包装シートの一部のみに防滑剤が塗布される構成とすることで、コストアップが抑制される。
【0014】
また、包装シートが、包装シートの長手方向の一端縁を含む第1領域に、長手方向の他端縁を含む第2領域が重なるように折り畳まれ、第1領域及び第2領域にわたって止着テープが設けられ、止着テープが、包装シートのマシンMD方向が前記長手方向に直交する短手方向の場合、前記長手方向の長さが、包装シートが折り畳まれた状態における前記長手方向の長さの35%以上である構成としてもよい。
【0015】
このように構成されたものにおいては、複数個の個装吸収性物品が重ね合わされてパッケージに収容される際に止着テープによって個装吸収性物品どうしが滑りにくくなる。
【0016】
また、包装シートが、包装シートの長手方向の一端縁を含む第1領域に、長手方向の他端縁を含む第2領域が重なるように折り畳まれ、第1領域及び第2領域にわたって止着テープが設けられ、止着テープが、包装シートのマシンMD方向が前記長手方向の場合、前記長手方向に直交する短手方向の長さが、包装シートの前記短手方向の長さの15%以上である構成としてもよい。
【0017】
このように構成されたものにおいても、複数個の個装吸収性物品が重ね合わされてパッケージに収容される際に止着テープによって個装吸収性物品どうしが滑りにくくなる。
【0018】
また、止着テープが、表面に防滑構造を有する構成としてもよい。
【0019】
このように構成されたものにおいては、複数個の個装吸収性物品が重ね合わされてパッケージに収容される際に止着テープによって個装吸収性物品どうしをさらに滑りにくくさせることができる。
【0020】
また、包装シートが、吸収性物品を個装した場合に表出する表出面とは反対側の面に、吸収性物品を包装シートに剥離可能に貼着するための擬似接着構造を有し、擬似接着構造を構成する接着剤が前記表出面に染み出ている構成としてもよい。
【0021】
このように構成されたものにおいては、吸収性物品を包装シートに剥離可能に貼着するための擬似接着構造を用いて、個装吸収性物品どうしを滑りにくくさせることができる。
【0022】
また、包装シートが、吸収性物品を個装した場合に表出する表出面に凹凸加工が施されている構成としてもよい。
【0023】
このように構成されたものにおいては、複数個の個装吸収性物品が重ね合わされてパッケージに収容される際に、包装シートの表面に施された凹凸加工によって個装吸収性物品どうしが滑りにくくなる。
【0024】
また、凹凸加工がエンボス加工によって施されている構成としてもよい。
【0025】
このように構成されたものにおいては、複数個の個装吸収性物品が重ね合わされてパッケージに収容される際に、包装シートの表面に施されたエンボス加工によって個装吸収性物品どうしが滑りにくくなる。
【0026】
また、凹凸加工が、印刷におけるインクの塗布によって施されている構成としてもよい。
【0027】
このように構成されたものにおいては、複数個の個装吸収性物品が重ね合わされてパッケージに収容される際に、包装シートの表面に施された印刷におけるインクの塗布によって個装吸収性物品どうしが滑りにくくなる。
【0028】
また、凹凸加工が、包装シートに開孔を形成することによって施されている構成としてもよい。
【0029】
このように構成されたものにおいては、複数個の個装吸収性物品が重ね合わされてパッケージに収容される際に、包装シートに形成された開孔によって個装吸収性物品どうしが滑りにくくなる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数個重ね合わせてパッケージに収容される場合に生産効率の低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の個装吸収性物品の実施の一形態を示す平面図である。
図2図1に示した個装吸収性物品を展開した状態の平面図である。
図3図1に示したI-I断面図である。
図4図1に示したII部の拡大図である。
図5図1図4に示した個装吸収性物品がパッケージに収容される状態を示す図である。
図6】防滑加工の第1の実施形態を示す図である。
図7】防滑加工の第2の実施形態を示す図である。
図8図7に示した包装シートが吸収性物品を個装した状態の断面図である。
図9】防滑加工の第3の実施形態を示す図である。
図10】防滑加工の第4の実施形態を示す図である。
図11】防滑加工の第5の実施形態を示す図である。
図12図11に示した剥離紙とホットメルトと包装シートとの積層状態を示す断面図である。
図13】防滑加工の第6の実施形態を示す図である。
図14】防滑加工の第7の実施形態を示す図である。
図15】防滑加工の第8の実施形態を示す図である。
図16図15に示した包装シートが折り畳まれた後に複数個の個装吸収性物品が重ね合わされた状態を説明するための図である。
図17】防滑加工の第9の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一のまたは対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0033】
〈個装吸収性物品の基本的な構成〉
図1は、本発明の個装吸収性物品の実施の一形態を示す平面図である。図2は、図1に示した個装吸収性物品100を展開した状態の平面図であり、包装シート10の内面から若しくは吸収性物品1肌側から見た図である。また、図3は、図1に示したI-I断面図である。
【0034】
本実施形態は図1図3に示すように、包装シート10と、包装シート10によって個装された吸収性物品1とを含む個装吸収性物品100である。図2に示すように、包装シート10は、例えば展開した状態で細長形状であって、長手方向(縦方向)D1と、当該長手方向に直交する短手方向(横方向)D2とを有する。また、包装シート10の長手方向D1及び短手方向D2は、それぞれ吸収性物品1の長手方向及び短手方向にも対応する。
【0035】
(吸収性物品)
包装シート10により包装される吸収性物品1は、体液(経血、おりもの、尿等)の排出口に対向させるように装着するための形状を有し、例えば、扁平で細長形状の物品である。吸収性物品1の具体例としては、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、軽失禁用パッド等が挙げられる。
【0036】
吸収性物品1は、例えば図2に示すように、液透過性のトップシート3と、液不透過性のバックシート(不図示)と、これらのトップシート3とバックシートとの間に配置された吸収体4とを有している。
【0037】
バックシートとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シート等の少なくとも遮水性を有するシート材を用いることができる。ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。また、透湿性を有するものが用いられてもよい。
【0038】
トップシート3としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0039】
吸収体4は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉(superabsorbent polymer(SAP))、高吸水ポリマー繊維(superabsorbent fiber(SAF))及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。パルプとしては、広葉樹材から得られる広葉樹パルプ、針葉樹材から得られる針葉樹パルプ、またはその混合パルプであってよい。また、パルプは、使用済みのパルプから再生されたリサイクルパルプであってもよい。
【0040】
吸収体4の厚みは、0.5~25mmであってもよい。吸収体4は、体液排出口に対応させる領域(体液排出口対応領域)や、体液排出口対応領域より後方の、臀部の溝に対向する領域を、膨出させた構造とすることもできる。吸収体4は、トップシート3及びバックシートからはみ出さない寸法及び形状を有し、吸収体の前方及び後方の端縁部では、バックシートとトップシート3との外縁がホットメルト等の接着剤やヒートシール、超音波シール等の接着手段によって接合されている。
【0041】
図2に示すように、吸収体4の側方の外方において、短手方向D2両端部のそれぞれに長手方向D1に沿ってサイドシート7を設けることもできる。サイドシート7としては、撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。
【0042】
なお、図1図3に示す例では、吸収性物品1は、ウィングのない、いわゆる羽なしのタイプのものであるが、側方にそれぞれ延出するウィングを有する羽つきの物品として構成してもよい。ウィングは、サイドシートとバックシートとの接合により形成されていてよい。
【0043】
また、吸収性物品1のバックシートの側(非肌側、すなわち装着時に下着に対向させる側)には、吸収性物品1を下着に取り付けた際に下着からズレないようにするためのズレ止め用粘着部を設けることもできる。ズレ止め用粘着部は、例えば、長手方向D1または短手方向D2に延在する複数の帯状に形成されている。
【0044】
吸収性物品1の全長は、140~430mmとすることができ、吸収性物品1の幅(ウィングを有する場合にはウィングを除いた本体の幅)は40~130mmとすることができる。
【0045】
(包装シート)
本実施形態における包装シート10は紙である。紙製の包装シート10を利用することで、プラスチック削減に貢献でき、持続可能な開発目標の達成に寄与することができる。また、紙は、独特の風合い、例えば天然素材の優しい印象の見た目及び手触りを付与できる。なお、本明細書において、紙とは、植物繊維その他の繊維を膠着剤で膠着させて薄い平板状にしたものを指す。特に、植物繊維を主原料としたもの、例えば含有繊維のうち植物繊維、特にセルロース繊維が50%以上であるもの、好ましくは80%以上であるものを指すことができる。紙の原料たる植物繊維(パルプ)としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプが含まれていてもよく、これらは、機械パルプ、化学パルプのいずれであってもよい。パルプは、吸収性物品の構成要素及び/または吸収性物品用の包装シートからリサイクルされたパルプであってもよい。また、紙には、添加剤が添加されていてもよい。具体的な紙の例としては、洋紙、和紙、加工紙、合成紙等の様々な種類の紙を挙げることができる。さらに、従来他の用途で使用されている紙、例えば、新聞用紙、印刷用紙(上質紙を含む)、筆記用紙、図画用紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙等と呼ばれる紙であってもよい。薄葉紙である場合、薄口模造紙、インディアンペーパー、ライスペーパー、グラシン紙、ティシュペーパー、トイレットペーパー、ろ紙等であってもよい。
【0046】
なお、本明細書における、紙製の包装シートとは、主として上述の紙を含むシートを指す。紙製の包装シートには、紙のみからなる包装シートはもちろん、紙と、紙以外の材料からなるシートとが積層された積層シートも含まれ得る。包装シート10が、紙以外の材料からなるシートを含む場合、紙以外の材料は、樹脂フィルム、不織布等であってもよい。ただし、包装シート10が紙のみからなる場合、プラスチック削減の観点から、かつ/または紙独特の自然な風合いを製品に付与できるという観点で、特に好ましい。
【0047】
紙製の包装シート10は、何等かの加工が施されたものであってもよい。この加工には、例えば、カレンダー加工、撥水加工、スリット加工、プライ加工、印刷加工等が含まれていてもよい。また、包装シート10を撥水加工する場合、例えば、シリコーン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素樹脂等を含む撥水剤を、包装シート10の外面(吸収性物品1が包装された状態で外部に露出する側)及び外面と反対側の内面の少なくとも一方に塗布することができる。包装シート10の内面に撥水加工を施した場合、吸収性物品1の裏面に配置されたズレ止め用粘着部が包装シート10に対して容易に着脱可能になるので、剥離シートを省くことができる。但し、本形態による加熱されたロールを用いた圧着によりシール部を形成する製造方法では、包装シート10に撥水加工が施されていたとしても、撥水剤が脱離可能なシール部の形成を妨げる可能性があるため、個装吸収性物品100の両縁部のシール部15(後に詳述)に形成されていないことが好ましい。
【0048】
包装シート10の寸法は、包装する吸収性物品1の大きさや形状に応じて、例えば、包装シート10を完全に広げた状態(折り返しされていない状態)で、長手方向D1の長さ(単に長さと呼ぶ場合がある)は100~450mmとすることができ、短手方向D2の長さ(単に幅と呼ぶ場合がある)は50~200mmとすることができる。図示の例では、包装シート10は、展開した状態で長方形の形状を有するが、例えば長楕円形等の形状を有していてもよい。
【0049】
(個装吸収性物品の包装構造)
図1及び図3に示すように、吸収性物品1は、包装シート10と共に折り畳まれることによって包装されて、個装吸収性物品100が形成されている。折り畳みの際には、図2に示すように、まず、包装シート10の内面に吸収性物品1を、吸収性物品1のバックシート側が対向するように載置された状態とする。そして、包装シート10と吸収性物品1とが共に、幅方向D2に沿った第1折り線F1及び第2折り線F2にて長手方向D1に共に折り畳まれる。より具体的には、第1折り線F1にて、包装シート10の長手方向D1の一端11を含む第1領域R1が長手方向D1に折り返され、第2折り線F2にて、包装シート10の長手方向D1の他端12を含む第2領域R2が折り返される。包装シート10の第1領域R1と第2領域R2との間の領域は、第3領域R3である。図示の例では、包装シート10は、第2領域R2が先に折り畳まれ、第1領域R1が第2領域R2の外面に重なるように折り畳まれているが(図1及び図2)、第1領域R1及び第2領域R2の折り順は逆であってもよい。このように、包装シート10を吸収性物品1と共に巻三つ折り(内三つ折り)にして吸収性物品1を包んだ後に、短手方向D2の両縁部が、長手方向D1に沿ってそれぞれシールされ、シール部15が形成される。
【0050】
このような三つ折り以上の包装形式は、比較的簡便に形成でき、吸収性物品1を衛生的に包むことができるし、また吸収性物品1の取出しも容易である。なお、折り畳みの形式は三つ折りに限られず、四つ折り以上としてもよいし、二つ折りにすることもできる。
【0051】
さらに、個装吸収性物品100には、第1領域R1の端縁(包装シート10の一端11)付近において短手方向D2中央には、止着テープ30が設けられている。止着テープ30は、図1に示すように、包装シート10の一端11を跨ぐように、第1領域R1及び第2領域R2に亘って設けることができる。止着テープ30が設けられていることで、個装吸収性物品100の開封時には、使用者は止着テープ30を持って第1領域R1を持ち上げて引っ張ることができるので、開封がより容易となる。その際には、第1領域R1が、その下に位置する第2領域R2から剥がされる。
【0052】
(シール部)
図1に示すように、個装吸収性物品100においては、短手方向D2の両縁の、吸収性物品1が存在しない領域がそれぞれシールされ、シール部15が形成されている。本形態においては、このシール部15は、加熱された一対のロールに挿通させることで、包装シート10どうしを厚み方向に圧着することで形成されている。
【0053】
図1に示すように、シール部15は、例えば、個装吸収性物品100の長手方向D1の全長にわたって形成されている。これにより、ごみや塵、或いは誤って指または小さな物体が短手方向の端縁から侵入することを防止できる(封止性が得られる)という観点で好ましい。
【0054】
シール部15が設けられている短手方向D2の範囲は、例えば、短手方向D2の端縁から20mmまでの範囲である。シール部15は、上記範囲全体に形成されていてもよいし、上記範囲内の一部分に、例えば短手方向D2の端縁から離れた位置に形成されていてもよい。シール部15自体の短手方向D2の長さ(幅)は、3~15mmであることが好ましい。シール部15の短手方向D2の内縁は、長手方向D1に沿って直線状に延在していてもよいし、曲線状に、例えば波状に延在していてもよい。
【0055】
図4は、図1に示したII部の拡大図であり、シール部15を含む部分を示す。
【0056】
図4に示すように、シール部15は、例えば、平面視で互いに離隔した複数の圧着部(若しくは接合部)15aを含んでいる。各圧着部15aは、包装シート10どうしが厚み方向に、圧着により接合されてなる部分である。図示の例では、複数の圧着部15a以外の部分は、包装シート10どうしが接合されていない非接合部となっている。このように、複数の圧着部15aが互いに離隔して点在していることで、例えばシール部15の全面に亘って連続して包装シート10どうしが接合されている場合等に比べて、開封時の包装シートどうしを容易に剥がすことができて開封性を向上させることができる。また、個装吸収性物品100の両縁部が過度に硬くなり手触りを損ねることも防止できる。
【0057】
なお、圧着部15aのそれぞれの平面視形状は、図4に示す例では正方形であるが、図示の形状に限らず、例えば、長方形、平行四辺形等の正方形以外の四角形、四角形以外の多角形、円形、楕円形、ハート形、星形、滴形等であってもよい。また、圧着部15aのそれぞれのサイズは、例えば、一辺が0.25~2.5mmの正方形、またはそれと同等の面積を有するサイズとすることができる。
【0058】
上記のように構成された個装吸収性物品100は、パッケージに収容されて提供される。
【0059】
図5は、図1図4に示した個装吸収性物品100がパッケージに収容される状態を示す図である。
【0060】
図5に示すように、上述した個装吸収性物品100は、複数の個装吸収性物品100が重ね合わされた状態でパッケージに収容される。その際、特に包装シート10として平滑性が高い紙を使用した場合、個装吸収性物品100どうしが滑りやすくなる。そのため、個装吸収性物品100を搬送する搬送ライン上において、重ね合わされた個装吸収性物品100がばらけてしまうことになる。特に、マシンMD方向にばらけが生じやすい。ここで、上述したような個装吸収性物品100のパッケージへの収容は、搬送ライン上にて自動で行ってもよい。そのため、重ね合わされた個装吸収性物品100がばらけてしまうと、ばらけた個装吸収性物品100を手作業でパッケージに収容することとなり、生産効率が低下してしまう。
【0061】
そこで、本実施形態における個装吸収性物品100は、個装吸収性物品100が複数個重ね合わされる際に他の個装吸収性物品と接する面に防滑加工が施されている。以下に防滑加工の実施形態について説明する。
【0062】
〈防滑加工〉
(第1の実施形態)
図6は、防滑加工の第1の実施形態を示す図であり、包装シート10の外面から見た図である。
【0063】
図6に示すように本実施形態においては、包装シート10の外面の全面に防滑ニス20aが塗布されている。この面は、包装シート10が吸収性物品1を個装した場合に表出する表出面である。
【0064】
このように構成された個装吸収性物品においては、包装シート10に塗布された防滑ニス20aによってその表面が滑りにくくなっている。そのため、図5に示したように個装吸収性物品が複数個重ね合わされた場合に、ばらけにくくなる。これにより、個装吸収性物品100を複数個重ね合わせてパッケージに収容する際に生産効率が低下してしまうことを回避できる。
【0065】
また、包装シート10の外面の全面に防滑ニス20aが塗布されていることで、複数個の個装吸収性物品100がどのように重ね合わされた場合でも個装吸収性物品100どうしが滑りにくくなる。
【0066】
なお、包装シート10の表面を滑りにくくするためにその表出面に防滑剤として塗布するものは防滑ニスに限らない。例えば、マットニス等、包装シート10の表面に塗布した場合にその表面が滑りにくくなるものであればよい。具体的には、粘着系によるものやゴム摩擦によるものを用いることができる。また、シリカ含有樹脂によるものを用いれば、包装シート10の表面に微細な凸部を形成し、摩擦で滑りにくくすることができる。
【0067】
(第2の実施形態)
図7は、防滑加工の第2の実施形態を示す図であり、包装シート10の外面から見た図である。図8は、図7に示した包装シート10が吸収性物品1を個装した状態の断面図であり、図7に示したD1方向の断面を示す。
【0068】
図7に示すように本実施形態においては、包装シート10が吸収性物品1を個装した場合に表出する面の一部に防滑ニス20bが塗布されている。包装シート10は、上述したように吸収性物品1とともに巻三つ折りにされた場合、図8に示すように重なる枚数が2枚の領域と3枚の領域とが存在する。重なる枚数が2枚の領域は、第1領域R1と第3領域R3とが重なる領域と、第2領域R2と第3領域R3とが重なる領域とが存在する。本実施形態においては、第1領域R1と第2領域R2と第3領域R3との3枚が重なる領域の表出面の一部に防滑ニス20bが塗布されている。
【0069】
ここで、第1領域R1と第2領域R2と第3領域R3との3枚が重なる領域は、個装吸収性物品100の厚みが最も厚くなることで、複数個の個装吸収性物品100が重ね合わされた場合に他の個装吸収性物品100に最も接しやすい領域となる。
【0070】
そのため、図5に示したように個装吸収性物品が複数個重ね合わされた場合に、ばらけにくくなる。これにより、個装吸収性物品100を複数個重ね合わせてパッケージに収容する際に生産効率が低下してしまうことを回避できる。また、このように包装シート10の一部にのみ防滑ニス20bを塗布する構成とすることで、コストアップを抑制することができる。
【0071】
なお、第1領域R1と第2領域R2と第3領域R3との3枚が重なる領域の表出面に、いわゆるベタ印刷が施されている領域が存在する場合、防滑ニス20bをその領域に塗布してもよい。それにより、防滑ニス20bによって表面の光沢性が失われる等といったデザイン性が損なわれてしまうことを回避できる。
【0072】
(第3の実施形態)
図9は、防滑加工の第3の実施形態を示す図であり、個装吸収性物品の平面図である。
【0073】
図9に示すように本実施形態は止着テープ30aの形状によって防滑加工を施している。
【0074】
止着テープ30aは、図1に示したものと同様に、包装シート10の一端11を跨ぐように、第1領域R1と第2領域R2とに亘って設けられている。また、本実施形態においては、包装シート10のマシンMD方向Aが、包装シート10の短手方向D2となっている。また、個装吸収性物品の長手方向D1の長さL1が90mmであり、止着テープ30aのD1方向の長さL2が38mmとなっている。すなわち、止着テープ30aのD1方向の長さL2が、個装吸収性物品の長手方向D1の長さL1の42%となっている。なお、個装吸収性物品の長手方向D1の長さL1は、40mm~170mmであってもよく、止着テープ30aのD1方向の長さL2は、15mm~60mmであってもよい。
【0075】
従来は、止着テープ30aのD1方向の長さが、個装吸収性物品の長手方向D1の長さL1の28%となっていた。
【0076】
従来の個装吸収性物品は、図5に示したように複数個重ね合わされた場合、マシンMD方向Aに滑りやすくなっていた。ここで、止着テープ30aはその端辺において、包装シート10の表面との間に段差を有している。そのため、マシンMD方向Aに直交する方向の止着テープ30aの長さL2を長くすることで、止着テープ30aと包装シート10との間に生じる段差の長さが長くなり、これにより、個装吸収性物品が複数個重ね合わされた場合に、マシンMD方向Aに滑りにくくなる。その際、包装シート10の一端11を止める止着テープ30aを用いることで、新たな構成を追加することなく、重ね合わされた個装吸収性物品どうしを滑りにくくさせることができ、ばらけを防止できる。なお、止着テープ30aのD1方向の長さL2は、個装吸収性物品の長手方向D1の長さL1の35%以上であることが好ましい。
【0077】
なお、防滑構造として、止着テープ30aの表面に防滑ニスを塗布したり、エンボス加工を施したり、あるいは止着テープ30a自体をその表面がざらついた材料からなるものとしたりしてもよい。そのような構成とすることで、個装吸収性物品が複数個重ね合わされた場合にさらに滑りにくくすることができる。
【0078】
(第4の実施形態)
図10は、防滑加工の第4の実施形態を示す図であり、個装吸収性物品の平面図である。
【0079】
図10に示すように本実施形態は止着テープ30bの形状によって防滑加工を施している。
【0080】
止着テープ30bは、図1に示したものと同様に、包装シート10の一端11を跨ぐように、第1領域R1と第2領域R2とに亘って設けられている。また、本実施形態においては、包装シート10のマシンMD方向Bが、包装シート10の長手方向D1となっている。また、個装吸収性物品の短手方向D2の長さL3が128mmであり、止着テープ30aのD1方向の長さL4が23mmとなっている。すなわち、止着テープ30aのD2方向の長さL4が、個装吸収性物品の短手方向D2の長さL3の18%となっている。なお、個装吸収性物品の短手方向D2の長さL3は、50mm~200mmであってもよく、止着テープ30aのD2方向の長さL4は、8mm~30mmであってもよい。
【0081】
従来は、止着テープ30aのD2方向の長さが、個装吸収性物品の短手方向D2の長さL3の12%となっていた。
【0082】
従来の個装吸収性物品は、図5に示したように複数個重ね合わされた場合、マシンMD方向Bに滑りやすくなっていた。ここで、止着テープ30bはその端辺において、包装シート10の表面との間に段差を有している。そのため、マシンMD方向Bに直交する方向の止着テープ30bの長さL4を長くすることで、止着テープ30bと包装シート10との間に生じる段差の長さが長くなり、これにより、個装吸収性物品が複数個重ね合わされた場合に、マシンMD方向Bに滑りにくくなる。
【0083】
その際、包装シート10の一端11を止める止着テープ30bを用いることで、新たな構成を追加することなく、重ね合わされた個装吸収性物品どうしを滑りにくくさせることができ、ばらけを防止できる。なお、止着テープ30aのD2方向の長さL4が、個装吸収性物品の短手方向D2の長さL3の15%以上であることが好ましい。
【0084】
なお、本実施形態においても、防滑構造として、止着テープ30bの表面に防滑ニスを塗布したり、エンボス加工を施したり、あるいは止着テープ30b自体をその表面がざらついた材料からなるものとしてもよい。そのような構成とすることで、個装吸収性物品が複数個重ね合わされた場合にさらに滑りにくくすることができる。
【0085】
(第5の実施形態)
図11は、防滑加工の第5の実施形態を示す図であり、個装吸収性物品100を展開した状態の包装シート10の内面から若しくは吸収性物品1肌側から見た図である。図12は、図11に示した剥離紙5とホットメルト6と包装シート10との積層状態を示す断面図である。
【0086】
個装吸収性物品100は、個装した吸収性物品1が脱落しないように、包装シート10の内面、すなわち、吸収性物品1を個装した場合に表出する表出面とは反対側の面に擬似接着構造を設けることもできる。この擬似接着構造は、図11及び図12に示すように、包装シート10の内面に接着剤の一例となるホットメルト6を介して剥離紙5が貼着され、この剥離紙5に吸収性物品1が剥離可能に貼着された構成となっている。これにより、吸収性物品1は、包装シート10に剥離可能に貼着された状態となっている。
【0087】
本実施形態においては、ホットメルト6の塗布量を増やすことで、ホットメルト6が包装シート10の表出面に染み出ている。この際、ホットメルト6は図12に示すように、包装シート10の表出面に部分的に染み出たり、全体的に染み出た場合でも、包装シート10を厚み方向に通過することで、その表面に凹凸を有するものとなったりしている。
【0088】
そのため、包装シート10の表出面に染み出たホットメルト6によって、包装シート10の表出面の摩擦力が高くなり、重ね合わされた個装吸収性物品どうしを滑りにくくさせることができる。その際、吸収性物品1を包装シート10に剥離可能に貼着するための擬似接着構造を用いることで、新たな構成を追加することなく、重ね合わされた個装吸収性物品どうしを滑りにくくさせることができる。
【0089】
(第6の実施形態)
図13は、防滑加工の第6の実施形態を示す図であり、個装吸収性物品の平面図である。
【0090】
図13に示すように本実施形態においては、包装シート10に防滑加工として複数のエンボス加工40aが施されている。
【0091】
本実施形態においては、包装シート10のマシンMD方向Cが、包装シート10の短手方向D2となっている。また、エンボス加工40aは、包装シート10の長手方向D1に延びて互いに並行するライン状の複数の領域にて施されている。エンボス加工40aは、例えば直径が5mmの円形や5mm×5mmの正方形の凸部または凹部が規則的に配置されて形成されている。
【0092】
このように構成された個装吸収性物品においては、包装シート10のマシンMD方向Cが、包装シート10の短手方向D2となっていることで、複数個重ね合わされた場合に包装シート10の短手方向D2に滑りやすい。
【0093】
しかしながら、エンボス加工40aが、包装シート10の長手方向D1に延びるライン状の複数の領域にて施されている。そのため、包装シート10の短手方向D2においてエンボス加工40aの有無が繰り返し生じており、これにより、複数個重ね合わされた場合に包装シート10の短手方向D2に滑りにくくなる。
【0094】
(第7の実施形態)
図14は、防滑加工の第7の実施形態を示す図であり、個装吸収性物品の平面図である。
【0095】
図14に示すように本実施形態においては、包装シート10に防滑加工として複数のエンボス加工40bが施されている。
【0096】
本実施形態においては、包装シート10のマシンMD方向Dが、包装シート10の長手方向D1となっている。また、エンボス加工40bは、包装シート10の短手方向D2に延びて互いに並行するライン状の複数の領域にて施されている。エンボス加工40bは、例えば直径が5mmの円形や5mm×5mmの正方形の凸部または凹部が規則的に配置されて形成されている。
【0097】
このように構成された個装吸収性物品においては、包装シート10のマシンMD方向Dが、包装シート10の長手方向D1となっていることで、複数個重ね合わされた場合に包装シート10の長手方向D1に滑りやすい。
【0098】
しかしながら、エンボス加工40bが、包装シート10の短手方向D2に延びるライン状の複数の領域にて施されている。そのため、包装シート10の長手方向D1においてエンボス加工40bの有無が繰り返し生じており、これにより、複数個重ね合わされた場合に包装シート10の長手方向D1に滑りにくくなる。
【0099】
(第8の実施形態)
図15は、防滑加工の第8の実施形態を示す図であり、(a)は包装シート10の外面から見た図、(b)は第3領域R3におけるエンボス加工の一部を示す断面図、(c)は第1領域R1及び第2領域R2におけるエンボス加工の一部を示す断面図である。
【0100】
図15に示すように本実施形態においては、包装シート10の第3領域R3にエンボス加工50aが施され、第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれにエンボス加工50bが施されている。第3領域R3に施されたエンボス加工50aは、図15(b)に示すように包装シート10の外面側に凸となるような凸部51aが規則的に複数配置されて構成されている。また、第1領域R1及び第2領域R2のそれぞれに施されたエンボス加工50bは、図15(c)に示すように包装シート10の内面側に凸となるような凹部51bが規則的に複数配置されて構成されている。
【0101】
上記のように構成された包装シート10は、図2及び図3を用いて説明したように、その内面に吸収性物品が載置され、吸収性物品が載置された面が内側となるように折り畳まれる。それにより、包装シート10に吸収性物品が個装された個装吸収性物品が製造される。
【0102】
図16は、図15に示した包装シート10が折り畳まれた後に複数個の個装吸収性物品が重ね合わされた状態を説明するための図である。
【0103】
図16に示すように、図15に示した包装シート10が折り畳まれた後に複数個の個装吸収性物品が重ね合わされると、重ね合わされた個装吸収性物品100どうしにおいて、第1領域R1と第3領域R3とが互いに対向することになる。ここで、本実施形態における包装シート10においては、包装シート10の第1領域R1には、包装シート10の内面側に凸となるような凹部51bが規則的に複数配置されて構成されたエンボス加工50bが施されている。また、包装シート10の第3領域R3には、包装シート10の外面側に凸となるような凸部51aが規則的に複数配置されて構成されたエンボス加工50aが施されている。
【0104】
そのため、図16に示すように、複数個の個装吸収性物品100が重ね合わされると、重ね合わされた個装吸収性物品100間においてエンボス加工50bによる凹部51bにエンボス加工50aによる凸部51aは嵌まり込むように作用する。これにより、複数個の個装吸収性物品100が重ね合わされた場合に互いに滑りにくくなる。
【0105】
なお、エンボス加工50aによる凸部51aや、エンボス加工50bによる凹部51bは、例えば直径が5mmの円形や5mm×5mmの正方形の大きさを有するものであってもよい。
【0106】
(第9の実施形態)
図17は、防滑加工の第9の実施形態を示す図であり、個装吸収性物品の平面図である。
【0107】
図17に示すように本実施形態においては、包装シート10の全面に防滑加工としてエンボス加工が施されることで凹凸50cが形成されている。凹凸50cは、例えば直径が5mmの円形や5mm×5mmの正方形の凸部または凹部が規則的に配置されて形成されている。
【0108】
このように構成された個装吸収性物品においては、包装シート10の表出面に凹凸50cが存在することで、表面の摩擦力が高くなり、複数個重ね合わされた場合でも滑りにくくなる。
【0109】
なお、上述した第6~第9の実施形態においては、エンボス加工を施すことで包装シートに防滑加工となる凹凸加工を施している。しかしながら、包装シート10に対する印刷においてインクをドットで塗布することで凹凸加工を施してもよい。また、包装シート10を表面からくり抜いたり、包装シート10に針を用いて孔を開けたりすることで形成する開孔によって凹凸加工を施してもよい。
【0110】
また、第1~第9の実施形態にて示した防滑加工を組み合わせてもよい。例えば、第1の実施形態や第2の実施形態に示したように包装シートに防滑ニスを塗布するとともに、第3の実施形態や第4の実施形態にて示したように止着テープの形状によってその表面を滑りにくくしてもよい。また、マシンMD方向に合わせて、第3の実施形態や第4の実施形態にて示した止着テープの構成と、第6の実施形態や第7の実施形態にて示したエンボス加工の構成とを組み合わせてもよい。また、第1の実施形態や第2の実施形態に示したように包装シートに防滑ニスを塗布するとともに、第6~第9の実施形態にて示したように包装シートにエンボス加工を施してその表面を滑りにくくしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 吸収性物品
3 トップシート
4 吸収体
5 剥離紙
6 ホットメルト
7 サイドシート
10 包装シート
11 長手方向の一端
12 長手方向の他端
15 シール部
15a 圧着部
20a,20b 防滑ニス
30,30a,30b 止着テープ
40a,40b,50a,50b エンボス加工
50c 凹凸
51a 凸部
51b 凹部
100 個装吸収性物品
A,B,C,D マシンMD方向
D1 包装シートの長手方向
D2 包装シートの短手方向
F1 第1折り線
F2 第2折り線
R1 第1領域
R2 第2領域
R3 第3領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17