IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸製鋼所の特許一覧

<>
  • 特開-倣い検出装置 図1
  • 特開-倣い検出装置 図2
  • 特開-倣い検出装置 図3
  • 特開-倣い検出装置 図4
  • 特開-倣い検出装置 図5
  • 特開-倣い検出装置 図6
  • 特開-倣い検出装置 図7
  • 特開-倣い検出装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143340
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】倣い検出装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/127 20060101AFI20241003BHJP
   B23K 37/02 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
B23K9/127 503L
B23K9/127 505B
B23K37/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055963
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 金江
(72)【発明者】
【氏名】中尾 哲也
(57)【要約】
【課題】倣い検出装置を低コストで且つ高耐久に構成できるとともに、メンテナンスも容易にできる倣い検出装置を提供する。
【解決手段】倣い用当接具の変位を検出する倣い検出装置であって、上下方向の芯棒と、芯棒が内挿される筒体と、芯棒及び筒体を長手方向に沿って相対移動可能に支持する枠体と、芯棒が筒体に対して左右方向に揺動可能となるように連結する支持ピンと、枠体の上部に取付けられる載置プレートと、筒体の上部に取付けられ、載置プレートの上面側に配置される取付ベースと、取付ベースに取り付けられ、芯棒の揺動を介して倣い用当接具の左方向の変位を検出する左変位検出センサ及び右変位検出センサと、載置プレートに取り付けられ、筒体の上下動を介して、倣い用当接具の上下方向の変位を検出する上下変位検出センサと、取付ベースに取り付けられ、芯棒が筒体に対して略同芯となるように調整する調整機構と、を備えた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接線と平行な任意の部位と当接可能な倣い用当接具を有し、前記溶接線の延在方向に直交する、前記倣い用当接具の上下方向及び左右方向の変位を検出する倣い検出装置であって、
下端側に前記倣い用当接具が取付けられる上下方向の芯棒と、
前記芯棒の周囲に、前記芯棒と隙間を持って配置される筒体と、
前記筒体の周囲に配置され、前記芯棒及び前記筒体を、前記芯棒及び前記筒体の長手方向に沿って相対移動可能に支持する枠体と、
前記芯棒が前記筒体に対して左右方向に揺動可能となるように、前記芯棒の下部側で、前記芯棒と前記筒体とを連結する支持ピンと、
前記枠体の上部に取り付けられる載置プレートと、
前記筒体の上部に取り付けられ、前記載置プレートの上面側に配置される取付ベースと、
前記取付ベースに取り付けられ、前記芯棒の揺動を介して前記倣い用当接具の左方向の変位を検出する1つ又は複数の左変位検出センサと、
前記取付ベースに取り付けられ、前記芯棒の揺動を介して前記倣い用当接具の右方向の変位を検出する1つ又は複数の右変位検出センサと、
前記載置プレートに取り付けられ、前記筒体の上下動を介して、前記倣い用当接具の上下方向の変位を検出する1つ又は複数の上下変位検出センサと、
前記取付ベースに取り付けられ、前記芯棒を左右方向両側から押圧して、前記芯棒が前記筒体に対して略同芯となるように調整する調整機構と、を備えた、
倣い検出装置。
【請求項2】
前記調整機構は、前記取付ベースに形成された一対の取付孔に設けられた一対の付勢装置とし、
前記付勢装置は、前記芯棒に当接させる球状の当接部材と、前記当接部材を前記芯棒に向けて付勢する付勢部材と、前記付勢部材の付勢力を調整する調整体と、これらを並べて収容する筒状部材と、を有する、
請求項1に記載の倣い検出装置。
【請求項3】
前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサとを、互いのセンサ端子同士が向かい合うように配置した、
請求項1に記載の倣い検出装置。
【請求項4】
前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサと、前記上下変位検出センサとを、前記枠体の上面に配置された箱状のカバー体に収容し、
前記各検出センサに接続された配線を、前記カバー体の上面からまとめて配線した、
請求項1に記載の倣い検出装置。
【請求項5】
前記カバー体の内面を絶縁処理した、
請求項4に記載の倣い検出装置。
【請求項6】
前記芯棒の上端には、前記筒体から上方に突出し、前記筒体の外周面から前記支持ピンの延在方向に向かって延びる揺動板が取り付けられ、
左右一対設けた前記上下変位検出センサは、前記筒体を挟むように配置され、
前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサとは、前記揺動板に対して左右方向において異なる側で、且つ、前記一対の上下変位検出センサに対して前記支持ピンの延在方向において異なる側に配置される、
請求項1~5の何れか1項に記載の倣い検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接装置に用いられる倣い検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、一対の被溶接体の間に形成される溶接線に沿って自動溶接を行う自動溶接装置には、溶接トーチの前方に、溶接線に沿った開先に沿わせる倣い検出装置が設けられている。倣い検出装置は、開先の表面と当接可能な倣いローラと、倣いローラの溶接線に対するズレを検出するセンサと、を有している。自動溶接装置は、倣い検出装置によって検出された情報に基づいて、溶接トーチの位置を制御することにより、溶接線に沿った自動溶接を行っている。
【0003】
従来の倣い検出装置としては、ワーク表面と直交する方向に開口する中空のスライダと、スライダに遊入されて下部側が左右方向に揺動可能に軸支された検出棒と、検出棒の上部側に設けた扇型の歯車と、スライダ上部に軸支されて扇型の歯車と噛合うピニオンギヤと、ピニオンギヤに検出軸が連結された回転用の検出器と、スライダの上下変位を検出する上下位置検出器と、を備え、回転用の検出器によって、溶接線に沿わせた倣いローラの溶接線に対して直交する横断方向のズレ量を検出可能にした倣い検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-323476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の倣い用検出装置では、回転センサを用いたことによって、装置全体をコンパクトに構成できるとともに、倣いローラの溶接線に対するズレ量を精度よく検出できるものである。しかし、この倣い用検出装置は、検出棒の軸心を、スライダの軸心に合わせる機構を備えていないため、検出精度を保つためのメンテナンスに手間が掛かる。また、回転センサを用いたことによって、製造コストが非常に高くなる。さらに、連続的な溶接作業によって検出棒が頻繁に細かく上下動し、ピニオンギヤの正回転・逆回転が継続的に繰り返されることにより、ピニオンギヤの作動精度が悪化するという耐久性の低さが検出精度に影響する虞もある。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、倣い検出装置を低コストで且つ高耐久に構成できるとともに、メンテナンスも容易にできる倣い検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
[1] 溶接線と平行な任意の部位と当接可能な倣い用当接具を有し、前記溶接線の延在方向に直交する、前記倣い用当接具の上下方向及び左右方向の変位を検出する倣い検出装置であって、
下端側に前記倣い用当接具が取付けられる上下方向の芯棒と、
前記芯棒の周囲に、前記芯棒と隙間を持って配置される筒体と、
前記筒体の周囲に配置され、前記芯棒及び前記筒体を、前記芯棒及び前記筒体の長手方向に沿って相対移動可能に支持する枠体と、
前記芯棒が前記筒体に対して左右方向に揺動可能となるように、前記芯棒の下部側で、前記芯棒と前記筒体とを連結する支持ピンと、
前記枠体の上部に取り付けられる載置プレートと、
前記筒体の上部に取り付けられ、前記載置プレートの上面側に配置される取付ベースと、
前記取付ベースに取り付けられ、前記芯棒の揺動を介して前記倣い用当接具の左方向の変位を検出する1つ又は複数の左変位検出センサと、
前記取付ベースに取り付けられ、前記芯棒の揺動を介して前記倣い用当接具の右方向の変位を検出する1つ又は複数の右変位検出センサと、
前記載置プレートに取り付けられ、前記筒体の上下動を介して、前記倣い用当接具の上下方向の変位を検出する1つ又は複数の上下変位検出センサと、
前記取付ベースに取り付けられ、前記芯棒を左右方向両側から押圧して、前記芯棒が前記筒体に対して略同芯となるように調整する調整機構と、を備えた、
倣い検出装置。
[2] 前記調整機構は、前記取付ベースに形成された一対の取付孔に設けられた一対の付勢装置とし、
前記付勢装置は、前記芯棒に当接させる球状の当接部材と、前記当接部材を前記芯棒に向けて付勢する付勢部材と、前記付勢部材の付勢力を調整する調整体と、これらを並べて収容する筒状部材と、を有する、
[1]に記載の倣い検出装置。
[3] 前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサとを、互いのセンサ端子同士が向かい合うように配置した、
[1]に記載の倣い検出装置。
[4] 前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサと、前記上下変位検出センサとを、前記枠体の上面に配置された箱状のカバー体に収容し、
前記各検出センサに接続された配線を、前記カバー体の上面からまとめて配線した、
[1]に記載の倣い検出装置。
[5] 前記カバー体の内面を絶縁処理した、
[4]に記載の倣い検出装置。
[6] 前記芯棒の上端には、前記筒体から上方に突出し、前記筒体の外周面から前記支持ピンの延在方向に向かって延びる揺動板が取り付けられ、
左右一対設けた前記上下変位検出センサは、前記筒体を挟むように配置され、
前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサとは、前記揺動板に対して左右方向において異なる側で、且つ、前記一対の上下変位検出センサに対して前記支持ピンの延在方向において異なる側に配置される、
[1]~[5]の何れか1つに記載の倣い検出装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、倣い検出装置を低コストで且つ高耐久に構成できる。また、調整機構によって、前記筒体の中で左右揺動可能に軸支された前記芯棒の軸心と、前記筒体の軸心とをスムーズ且つ容易に合わせることができるため、倣い用当接具の変位の検出精度を保つためのメンテナンスが容易になる。また、倣い用当接具を介して上下動及び左右揺動する前記芯棒には、前記上下変位検出センサと、前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサと、が固定されないため、倣い検出装置の連続的な使用によって前記各検出センサの固定が緩んだり、前記各検出センサに接続される配線が劣化したりすることを効率的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明に係る倣い検出装置が用いられた片面溶接装置を示した側面図である。
図2図2は、本発明を適用した倣い検出装置20を示した側面図である。
図3図3は、倣い検出装置のA-A断面図である。
図4図4は、芯棒と、筒体と、枠体と、を示した分解斜視図である。
図5図5は、センサを除いた載置プレート上の構成を示した要部斜視図である。
図6図6は、倣い検出装置の内部構造を示した正面斜視図である。
図7図7は、倣い検出装置の内部構造を示した平面図である。
図8図8は、カバー体の内部を示した要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を適用した倣い検出装置の構成を説明する。なお、各図は、本発明の説明のために作成されたものであり、本発明の実施形態は、図示の内容に限らない。
【0011】
まず、本発明を適用した倣い検出装置の全体像を把握するために、図1に基づいて倣い検出装置が用いられた片面溶接装置について説明する。図1は、本発明に係る倣い検出装置が用いられた片面溶接装置を示した側面図である。
【0012】
片面溶接装置1は、図1に示すように、走行レール11と、溶接トーチ2を搭載したヘッドフレーム4と、溶接走行台車5と、スライダ6と、倣い検出装置20と、溶接位置制御部9と、を備える。
【0013】
走行レール11は、突き当てられた被溶接材W1、W2の間に連続して設けられた開先の長手方向に架設される。開先の長手方向の一端側には、被溶接材W1、W2の終端割れ防止用のシーリングビードSが形成されている。また、被溶接材W1、W2への開先加工は、切断機等を用いて行われ、その加工精度には、ばらつきがある。そのため、開先は必ずしも直線ではなく、若干湾曲している。
【0014】
ヘッドフレーム4は、被溶接材W1、W2に向けて垂下された溶接トーチ2を支持する。
溶接トーチ2は、開先の上方に位置して開先の延在する方向に直列に複数配置されている。これらの溶接トーチ2には、溶接ワイヤ送給装置WFMから溶接ワイヤが連続送給される。そして、図1に示すように、複数の溶接トーチ2、2、2を備えることが好ましい。
【0015】
また、ヘッドフレーム4は、支持台座4aと、支持台座4aから垂下された前支持腕4b及び後支持腕4cと、前支持腕4bと後支持腕4cの間に横架された架橋部材4dと、を備える。後支持腕4cには溶接によって、表ビードが形成された後に、残余のフラックスを吸引して回収するフラックス回収器8が装着されている。溶接点にフラックスを散布、供給するフラックス供給器7、7は、溶接トーチ2、2、2に取付けられるとともに、図示しないフラックス供給装置からフラックスを供給するためのフラックス供給ホース7a、7aが接続されている。また、フラックス回収器8には、フラックス回収ホース8aが接続されている。
【0016】
溶接走行台車5は、ヘッドフレーム4を懸架して、走行レール11の架設方向に移動するものである。
この溶接走行台車5は、ヘッドフレーム4の支持台座4aを、走行レール11の架設方向に直交する横断方向に移動自在に懸架する懸架部材5aと、懸架部材5aを走行レール11の架設方向に駆動するモータ及びモータの駆動量を検知するエンコーダを備える走行レール駆動部5bと、から構成される。
走行レール駆動部5bのエンコーダによって検知されたモータの駆動量は、溶接位置制御部に伝達され、溶接トーチ2、2、2の走行レール11の架設方向の位置座標が記憶される。
【0017】
スライダ6は、倣い検出装置20で検知された開先のズレに基づいて、開先のズレを修正する方向に、走行レール11の架設方向に直交する横断方向にヘッドフレーム4を移動させるものである。ここで、開先のズレとは、溶接位置のズレを指し、開先中央位置を溶接中の狙いの溶接位置とした場合に、開先中央位置と溶接トーチ2、2、2位置との左右方向の距離を意味する。ここで、左右方向とは、開先の延在方向に対して直交する方向であって、走行レール11の架設方向に直交する横断方向と同一方向である。
このスライダ6は、ヘッドフレーム4の支持台座4aに取り付けられたスライダ台6aと、スライダ台6aを横断方向に駆動するモータ及びモータの駆動量を検知するエンコーダを備えるスライダ駆動部6bと、から構成される。
スライダ駆動部6bのエンコーダによって検知されたモータの駆動量は、溶接位置制御部9に伝達され、溶接トーチ2、2、2の横断方向の位置座標が記憶される。
【0018】
倣い検出装置20は、ヘッドフレーム4の前支持腕4bに、支持部材4e、4fを介して、取付けられている。倣い検出装置20は、溶接時には、溶接トーチ2、2、2に先行して開先内を移動し、シーリングビードSの溶接開始側の端部まで開先のズレを検知するものである。検知した開先のズレに関する情報は、溶接位置制御部9に伝達され、溶接位置制御部9が、開先のズレを修正する方向に、ヘッドフレーム4を横断方向に移動制御する。
【0019】
また、図1に示すように、倣い検出装置20は、シーリングビードSの溶接開始側の端部に到達した際には、シーリングビードSへの衝突による脱線を防止するため、開先に対して垂直方向に退避して、開先のズレ検知を終了する。そのため、倣い検出装置20を昇降させる昇降手段を支持部材4fに備える。さらに、支持部材4fには、案内腕4gを介して終端検知器10が装着されている。
【0020】
終端検知器10は、開先に沿って移動するヘッドフレーム4の前方に位置して、被溶接材W1、W2の端部を検知して、倣い検出装置20がシーリングビードSの溶接開始側の端部に到達したことを検出する。そして、被溶接材W1、W2の端部を検知すると、案内腕4gが支持部材4f側に立ち上がり、終端検知器10が被溶接材W1、W2から離間される。また、終端検知器10としては、近接センサ、レーザ光を用いた検知器、CCDカメラ、検知用探針等を用いることができる。
【0021】
以下の実施形態では、倣い検出装置20が延在する方向を、上下方向と称する。また、溶接線又は開先の延在方向を、前後方向と称する。特に、倣い検出装置20を備えた片面溶接装置1が走行レール11に沿って溶接しながら移動する溶接方向を、前方と称し、その前後方向反対側を後方と称する。また、開先を形成する平面上で、開先の延在方向に対して直交する横断方向を、左右方向と称する。特に、走行レール11に沿って前方に移動する片面溶接装置1の進行方向左側を、左方と称し、走行レール11に沿って前方に移動する片面溶接装置1の進行方向右側を、右方と称する。
【0022】
次に、図2図8に基づいて、本実施形態に係る倣い検出装置20の具体的な構成について説明する。図2は、本発明を適用した倣い検出装置20を示した側面図であり、図3は、倣い検出装置のA-A断面図であり、図4は、芯棒と、筒体と、枠体と、を示した分解斜視図であり、図5は、センサを除いた載置プレート上の構成を示した要部斜視図である。
【0023】
(倣い検出装置)
倣い検出装置20は、倣いローラ21と、芯棒22と、筒体23と、枠体24と、載置プレート25と、調整機構26と、上下変位検出センサ27と、左変位検出センサ28と、右変位検出センサ29と、カバー体30と、を備えている。
上下方向に延在する芯棒22は、筒体23内で左右揺動可能に軸支されている。上下方向に延在する筒体23は、筒状の枠体24に上下動可能に内挿されている。枠体24の上端には載置プレート25が取付られており、載置プレート25の上面には、調整機構26と、上下変位検出センサ27と、左変位検出センサ28と、右変位検出センサ29と、が配置されている。また、載置プレート25の上面側に配置されたセンサ類は、カバー体30によって覆われている。この構成は、図2及び図8を参照するとよい。
【0024】
倣いローラ21は、下方が開放されたU字状に屈曲された支持プレート31と、左右方向に延在する支持軸32と、支持軸32によって軸支されて開先の表面に当接可能な車輪形状のローラ体33と、を有する。倣いローラ21は、溶接線と平行な任意の部位に沿ってスムーズに移動可能な転動体を備えていればよい。この構成は、図2を参照するとよい。
【0025】
芯棒22は、上下方向の下端側に支持プレート31を介して倣いローラ21が取付固定されている。芯棒22は、上下方向の上端側が載置プレート25を貫通して、載置プレート25の上方まで延設されている。
芯棒22の下部側は、前後方向の支持ピン34によって筒体23側に取付けられており、筒体23内で左右方向に揺動可能に軸支されている。
芯棒22の上部側は、調整機構26によって左右方向で挟持されており、芯棒22の左右揺動位置を調整できる。
芯棒22の上端を軸方向に切り欠いた切欠部22aには、前後方向に延在するT字状に形成された揺動板35が取付固定されている。揺動板35は、芯棒22の左右揺動に伴って、左変位検出センサ28又は右変位検出センサ29を押操作する。この構成は、図3及び図5を参照するとよい。
【0026】
筒体23は、芯棒22の周囲に、芯棒22と隙間を持って配置される。言い換えると、筒体23は、芯棒22の外径よりも径の大きい内径を有する上下方向の部材であり、内挿された芯棒22が内部で左右揺動可能に軸支されている。
【0027】
筒体23の上端は、載置プレート25を貫通して載置プレート25の上方まで延設されている。筒体23の上端には、揺動板35を配置可能にする前後方向の切欠きを形成することにより、左右一対の上下センサ操作部23a、23aが形成される。上下センサ操作部23a、23aにより、一対の上下変位検出センサ27、27の操作が行われる。
なお、一方の上下センサ操作部23aには、芯棒22上端の切欠部22aに揺動板35をボルト固定するボルトの締付作業をするための作業孔38が穿設されている。この構成は、図5を参照するとよい。
【0028】
筒体23の下部には、支持ピン34を支持するための前後方向の軸孔23bが貫通形成されている。これにより、筒体23は、内挿された芯棒22を筒体23中で左右揺動可能に軸支できる。この構成は、図3を参照するとよい。
筒体23の下端には、筒体23が枠体24の下から抜け落ちることを規制するための規制部材36を嵌合するための一対の切欠部23c、23cが形成されている。
規制部材36は、筒状の枠体24の下端側に取付けられる環状部材であって、規制部材36の内径は、芯棒22を挿通する一方で、筒体23を挿通しない大きさに形成されている。また、規制部材36の上面には、上方に向かって延設されるとともに、筒体23の切欠部23c、23cに嵌合する一対の凸部36a、36aを有する。一対の凸部36a、36aには、枠体24側に形成された固定孔24aにネジ固定するためのネジ孔36a1、36a1が形成されている。この構成は、図3及び図4を参照するとよい。
これにより、筒体23は、枠体24側に固定された規制部材36によって下支えされる。このため、筒体23は、枠体24から抜け落ちることが規制された状態で、枠体24内で上下動可能に内挿されている。
【0029】
枠体24は、支持部材4fを介して、ヘッドフレーム4側に昇降可能に支持されている。
枠体24は、筒体23の周囲に配置され、芯棒22及び筒体23を、芯棒22及び筒体23の軸方向に沿って相対移動可能に支持する。言い換えると、枠体24は、筒体23の外径と同程度の内径を有する上下方向の筒状部材であり、筒体23が上下動可能に内挿される。
【0030】
枠体24の内面の上下方向中途部には、筒体23の外径よりも径の大きい拡径部24bが形成されている。拡径部24bには、筒体23に外装された筒状の圧縮スプリング37が配置されている。
圧縮スプリング37は、その上端が拡径部24bの上端側に当接し、その下端が枠体24の内径に沿って拡径された筒体23下端のフランジ部23dに当接している。
これにより、圧縮スプリング37の付勢力によって、筒体23は、下端のフランジ部23dが規制部材36に当接した下限位置にある状態が維持される。この構成は、図3を参照するとよい。
すなわち、筒体23及び芯棒22は、開先に沿って転動する倣いローラ21から圧縮スプリング37の付勢力に抗する上向きの力を受けると、倣いローラ21が下限位置から上方に移動する。
【0031】
調整機構26は、筒体23の上部に取付けられて、載置プレート25の上方に配置された取付ベース39と、取付ベース39に挿通されて、芯棒22の上端側を左右方向で挟むように設けられた一対の付勢装置であるプランジャ40、40と、から構成されている。
【0032】
プランジャ40は、芯棒22の上部側面に当接する球状の当接部材41と、当接部材41を芯棒22に向けて左右方向に付勢する付勢部材である調整用圧縮スプリング42と、調整用圧縮スプリング42の付勢力を調整する調整体43と、当接部材41、調整用圧縮スプリング42,調整体43とを並べて収容する筒状部材である収容体44と、を有する。
【0033】
取付ベース39は、中央に筒体23が挿通されたブロック状の部材であって、左右方向に一対のプランジャ40、40を設置するための取付孔39a、39aが形成されている。また取付ベース39の上面には、取付孔39aに挿通されたプランジャ40を固定するための固定ピン45が挿通される上下方向の固定孔39bが形成されている。
なお、取付ベース39が取付けられる筒体23の上部には、一対の当接部材41、41で筒体23内の芯棒22上部側を挟持するための一対の露出孔23e、23eが形成されている。
【0034】
該構成の調整機構26によれば、筒体23の中で上部が左右揺動する芯棒22を左右方向で挟持し、左右から押圧する付勢力を容易に微調整できる。このため、メンテナンス時に芯棒22の軸心を筒体23の軸心に合わせ、略同芯となるように調整する作業をスムーズ且つ容易に行うことができる。また、同芯度が小さい調整が可能となる。
【0035】
次に、図6図8に基づいて、載置プレート上面側の具体的な配置構成について説明する。図6及び図7は、倣い検出装置の内部構造を示した正面斜視図及び平面図であり、図8は、カバー体の内部を示した要部断面図である。
【0036】
上下変位検出センサ27は、筒体23の左右一方側に配置された上下用第1スイッチセンサ27Aと、筒体23の左右他方側に配置された上下用第2スイッチセンサ27Bと、を有している。図示する例では、上下用第1スイッチセンサ27Aは筒体23の右側に配置され、上下用第2スイッチセンサ27Bは筒体23の左側に配置され、倣いローラ21の上下方向の変位を2段階で検出する。
また、上下用第1スイッチセンサ27Aと、上下用第2スイッチセンサ27Bとは、L字状に屈曲形成された板状部材であるセンサ支持部材46、46を介して、それぞれ載置プレート25の上面側に取付固定されている。この構成は、図6を参照するとよい。
【0037】
上下用第1スイッチセンサ27A及び上下用第2スイッチセンサ27Bには、平面視で、筒体23を挟んで互いに向かい合う内面側に、それぞれセンサ端子47、47が設けられている。この構成は、図7及び図8を参照するとよい。
その一方で、上下用第1スイッチセンサ27A及び上下用第2スイッチセンサ27Bの内面側と反対側の外面側には、配線48が接続されている。この構成は、図8を参照するとよい。
【0038】
なお、筒体23上端に形成した上下センサ操作部23aには、上下変位検出センサ27のセンサ端子47を操作するスイッチ操作部60が設けられている。
スイッチ操作部60は、上下センサ操作部23aに対して左右方向に挿通される操作ボルト61と、センサ端子47と反対側の面に配置された支持ナット62と、を有する。これにより、センサ端子47側に配置される操作ボルト61の突出量を調整できる。この構成は、図6及び図7を参照するとよい。
該構成によれば、各スイッチ操作部60の操作ボルト61の突出量を調整することで、上下変位検出センサ27により検出する、倣い検出装置20の上昇量を適宜調整できる。
例えば、各スイッチ操作部60は、倣いローラ21が下限位置から0.1mm上昇した場合には、上下用第1スイッチセンサ27Aのみがスイッチ操作され、倣いローラ21が下限位置から0.15mm上昇した場合には、上下用第2スイッチセンサ27Bもスイッチ操作されるように調整できる。設定値はこれに限られない。
【0039】
左変位検出センサ28は、前後方向に並べて連結された、左傾斜第1スイッチセンサ28Aと、左傾斜第2スイッチセンサ28Bと、を有している。左傾斜第1スイッチセンサ28Aと、左傾斜第2スイッチセンサ28Bとは、倣いローラ21が、溶接線の右側に移動したことを2段階で検出する。
同様に、右変位検出センサ29は、前後方向に並べて連結された、右傾斜第1スイッチセンサ29Aと、右傾斜第2スイッチセンサ29Bと、を有している。右傾斜第1スイッチセンサ29Aと、右傾斜第2スイッチセンサ29Bとは、倣いローラ21が、溶接線の左側に移動したことを2段階で検出する。
【0040】
左傾斜第1スイッチセンサ28Aを、上下用第1スイッチセンサ27Aの後方で取付ベース39上面に固定することにより、左傾斜第2スイッチセンサ28Bが左傾斜第1スイッチセンサ28Aの後方で片持ち支持される。同様に、右傾斜第1スイッチセンサ29Aを、上下用第2スイッチセンサ27Bの前方で取付ベース39上面に固定されることにより、右傾斜第2スイッチセンサ29Bが右傾斜第1スイッチセンサ29Aの前方で片持ち支持される。
言い換えると、平面視で、前後方向に延在する揺動板35の後部右側には、前方から、上下用第1スイッチセンサ27A、左傾斜第1スイッチセンサ28A、左傾斜第2スイッチセンサ28B、の順番で前後方向に並べて配置される。同様に揺動板35の前部左側には、後方から、上下用第2スイッチセンサ27B、右傾斜第1スイッチセンサ29A、右傾斜第2スイッチセンサ29B、の順番で前後方向に並べて配置される。すなわち、各スイッチセンサ27、28、29が、平面視で、芯棒22を軸として点対称に配置されている。この構成は、図7を参照するとよい。
【0041】
左傾斜第1スイッチセンサ28A及び左傾斜第2スイッチセンサ28Bには、平面視で揺動板35に向けた内面側に、それぞれセンサ端子49、49が設けられている。同様に、右傾斜第1スイッチセンサ29A及び右傾斜第2スイッチセンサ29Bには、平面視で揺動板35に向けた内面側にセンサ端子51、51が配置されている。この構成は、図7及び図8を参照するとよい。
その一方で、左傾斜第1スイッチセンサ28A及び左傾斜第2スイッチセンサ28Bと、右傾斜第1スイッチセンサ29A及び右傾斜第2スイッチセンサ29Bとは、平面視で、左傾斜第1スイッチセンサ28A及び左傾斜第2スイッチセンサ28Bのセンサ端子49、49と右傾斜第1スイッチセンサ29A及び右傾斜第2スイッチセンサ29Bのセンサ端子51、51が設けられた内面側と反対側の外面側に、配線52、52、53、53が接続されている。この構成は、図8を参照するとよい。
【0042】
なお、揺動板35には、左変位検出センサ28の各センサ端子49、49と、右変位検出センサ29の各センサ端子51、51と、を操作するスイッチ操作部60が前後方向に並べて設けられている。
スイッチ操作部60は、揺動板35に対して左右方向に挿通される操作ボルト61と、センサ端子49、51と反対側の面に配置された支持ナット62と、を有する。これにより、センサ端子49、51側に配置される操作ボルト61の突出量を微調整できる。この構成は、図6及び図7を参照するとよい。
該構成によれば、各スイッチ操作部60の突出量を調整することで、左変位検出センサ28及び右変位検出センサ29により検出する、倣いローラ21の溶接線からの左右方向の移動量を適宜調整できる。
例えば、各スイッチ操作部60は、倣いローラ21が開先の中心位置から右方向に移動し、揺動板が右方向に0.1mm移動した場合には、左傾斜第1スイッチセンサ28Aのみがスイッチ操作され、倣いローラ21が開先の中心位置からさらに右方向に移動し、揺動板35が右方向に0.15mm移動した場合には、左傾斜第2スイッチセンサ28Bもスイッチ操作されるように調整できる。
同様に、各スイッチ操作部60は、倣いローラ21が開先の中心位置から左方向に移動し、揺動板が左方向に0.1mm移動した場合には、右傾斜第1スイッチセンサ29Aのみがスイッチ操作され、倣いローラ21が開先の中心位置からさらに左方向に移動し、揺動板35が左方向に0.15mm移動した場合には、右傾斜第2スイッチセンサ29Bもスイッチ操作されるように調整できる。設定値はこれに限られない。
【0043】
カバー体30は、載置プレート25の上面側を覆うように下方が開放された箱状に形成された。
カバー体30の上面には、各センサ27、28、29に接続された配線48、52、53を集約した配線体55を取出すための開口部56が形成されている。
配線体55には、開口部56が形成されたカバー体30の上面全体を塞ぐ蓋部57が設けられている。また、蓋部57と配線体55との間には、隙間ができないように蓋部57の上面と下面とを挟むように配置されるシール部58が設けられた。この構成は、図8を参照するとよい。
これにより、簡易な構成で、カバー体30の中に粉塵が入ることを防止できる。このため、片面溶接装置1による溶接作業中に、粉塵がカバー体30の中に混入して倣い検出装置20の検出精度に影響したり、メンテナンスの頻度があがったりすることを効率的に防止できる。
【0044】
また、カバー体30の内面側には、厚さ0.5~1mmの絶縁コーティング剤を塗布する絶縁処理が施されている。カバー体30の内面側を絶縁処理する手段はこれに限られない。これにより、連続的な使用によって、各センサ27、28、29に接続された配線48、52、53の表面が劣化した場合であっても、配線48、52、53がカバー体30の内面に接触して通電する事態を確実に防止できる。
【0045】
(作用効果)
上述の構成によれば、倣い検出装置20は、載置プレート25上面側に配置した各センサによって、倣いローラ21を溶接線となる開先に沿って転動させた際に、倣いローラ21が開先に沿った前後方向に対し、上下方向、又は左右方向に所定距離以上移動したことを検出できる。
【0046】
上下変位検出センサ27は、筒体23及び芯棒22の上下動に伴って上下動する上下センサ操作部23a、23aによって操作されることにより、倣い検出装置20に対する開先の位置が基準位置から所定以上下方向または上方向にズレたことを2つの上下変位検出センサ27を用いて検出できる。ここで、倣い検出装置20に対する開先の位置が基準位置から所定以上上昇または下降したことを2つの上下変位検出センサ27(上下用第1スイッチセンサ27Aおよび上下用第2スイッチセンサ27B)で検出する場合の具体例について説明する。溶接中において、ヘッドフレーム4は、上下用第1スイッチセンサ27Aが検知するとともに、上下用第2スイッチセンサ27Bが検知しない状態で設置される。言い換えれば、この状態が、溶接中において、倣い検出装置20の上下方向に対する基準位置となる。そして、走行レール11に対する開先の相対位置が、下方向にズレたことを第1スイッチセンサ27Aの検知が切れることによって、検出でき、走行レール11に対する開先の相対位置が、上方向にズレたことを第2スイッチセンサ27Bの検知によって、検出できる。
【0047】
左変位検出センサ28は、右側に傾いた揺動板35によって押操作される。揺動板35は、倣いローラ21が開先中心位置から右方向に移動し、倣いローラ21が開先に当接することによって、芯棒22の下端部が所定以上左側に押されて左方向に変位すると、右側に傾く。これにより、左変位検出センサ28は、溶接線に沿って移動する倣い検出装置20が所定位置から所定以上右方に移動したことを2段階で検出できる。
【0048】
右変位検出センサ29は、左側に傾いた揺動板35によって押操作される。揺動板35は、倣いローラ21が開先中心から左方向に移動し、倣いローラ21が開先に当接することによって、芯棒22の下端部が所定以上右側に押されて右方向に変位すると、左側に傾く。これにより、右変位検出センサ29は、溶接線に沿って移動する倣い検出装置20が所定位置から所定以上左方に移動したことを2段階で検出できる。
【0049】
また、上述の倣い検出装置20では、倣いローラ21が溶接線の中心から左右方向に移動したことによって、芯棒22が左右方向に傾斜した場合、芯棒22の上端では、揺動板35のみが左右方向に揺動作動する。すなわち、芯棒22の左右揺動によっては、各センサ27、28、29の設置位置が移動することがないため、連続的な使用で、各センサ27、28、29の固定が緩んだり、配置がずれたりする可能性がより低くなる。
【0050】
また、上述の倣い検出装置20では、倣いローラ21が溶接線から上下方向に移動したことによって、芯棒22及び筒体23が上下動した場合であっても、上下変位検出センサ27は、載置プレート25上に取付固定されるため、連続的な使用で、各センサ27、28、29の固定が緩んだり、配置がずれたりする可能性がより低くなる。また、芯棒22及び筒体23が上下動した場合であっても、上下変位検出センサ27に接続された配線が殆ど動かないため、耐久性も向上する。
【0051】
また、上述の調整機構26によれば、揺動板35が取付られる芯棒22の軸心を、筒体23の軸心に略一致させる同芯操作をスムーズ且つ容易に行うことができる。このため、倣い検出装置20の検出精度を保つためのメンテナンスがより簡単になる。
【0052】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0053】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 溶接線と平行な任意の部位と当接可能な倣い用当接具を有し、前記溶接線の延在方向に直交する、前記倣い用当接具の上下方向及び左右方向の変位を検出する倣い検出装置であって、
下端側に前記倣い用当接具が取付けられる上下方向の芯棒と、
前記芯棒の周囲に、前記芯棒と隙間を持って配置される筒体と、
前記筒体の周囲に配置され、前記芯棒及び前記筒体を、前記芯棒及び前記筒体の長手方向に沿って相対移動可能に支持する枠体と、
前記芯棒が前記筒体に対して左右方向に揺動可能となるように、前記芯棒の下部側で、前記芯棒と前記筒体とを連結する支持ピンと、
前記枠体の上部に取り付けられる載置プレートと、
前記筒体の上部に取り付けられ、前記載置プレートの上面側に配置される取付ベースと、
前記取付ベースに取り付けられ、前記芯棒の揺動を介して前記倣い用当接具の左方向の変位を検出する1つ又は複数の左変位検出センサと、
前記取付ベースに取り付けられ、前記芯棒の揺動を介して前記倣い用当接具の右方向の変位を検出する1つ又は複数の右変位検出センサと、
前記載置プレートに取り付けられ、前記筒体の上下動を介して、前記倣い用当接具の上下方向の変位を検出する1つ又は複数の上下変位検出センサと、
前記取付ベースに取り付けられ、前記芯棒を左右方向両側から押圧して、前記芯棒が前記筒体に対して略同芯となるように調整する調整機構と、を備えた、
倣い検出装置。
本構成によれば、前記筒体の中で左右揺動可能に軸支された前記芯棒の軸心と、前記筒体の軸心とをスムーズ且つ容易に合わせることができるため、倣い用当接具の変位の検出精度を保つためのメンテナンスが容易になる。また、倣い用当接具を介して上下動及び左右揺動する前記芯棒には、前記上下変位検出センサと、前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサと、が固定されないため、倣い検出装置の連続的な使用によって前記各検出センサの固定が緩んだり、前記各検出センサに接続される配線が劣化したりすることを効率的に防止できる。
【0054】
(2) 前記調整機構は、前記取付ベースに形成された一対の取付孔に設けられた一対の付勢装置とし、
前記付勢装置は、前記芯棒に当接させる球状の当接部材と、前記当接部材を前記芯棒に向けて付勢する付勢部材と、前記付勢部材の付勢力を調整する調整体と、これらを並べて収容する筒状部材と、を有する、
(1)に記載の倣い検出装置。
本構成によれば、コストを抑えた簡易な構成で、前記芯棒の軸心を前記筒体の軸心に一致させる調整操作を容易にできる。また、前記芯棒の左揺動と右揺動との間で感度の差をなくすことができるとともに、前記芯棒の揺動作動に必要な作動力の調整もすることができる。
【0055】
(3)前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサとを、互いのセンサ端子同士が向かい合うように配置した、
(1)又は(2)に記載の倣い検出装置。
本構成によれば、各検出センサの裏側に接続される配線同士が干渉することを効率的に防止できる。
【0056】
(4) 前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサと、前記上下変位検出センサとを、前記枠体の上面に配置された箱状のカバー体に収容し、
前記各検出センサに接続された配線を、前記カバー体の上面からまとめて配線した、
(1)~(3)の何れか1つに記載の倣い検出装置。
本構成によれば、前記各検出センサに接続される配線を、前記カバー体の中の他の部材に干渉させずに取出すことが容易になる。また、前記カバー体上面の取出孔と配線との間の隙間を容易に埋めることができるため、前記カバー内に埃等が溜まることも効率的に防止できる。
【0057】
(5) 前記カバー体の内面を絶縁処理した、
(4)に記載の倣い検出装置。
本構成によれば、前記カバー内に収容された前記各検出センサに接続される配線が前記カバーと通電される虞がなくなるため、安全性が向上する。
【0058】
(6) 前記芯棒の上端には、前記筒体から上方に突出し、前記筒体の外周面から前記支持ピンの延在方向に向かって延びる揺動板が取り付けられ、
左右一対設けた前記上下変位検出センサは、前記筒体を挟むように配置され、
前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサとは、前記揺動板に対して左右方向において異なる側で、且つ、前記一対の上下変位検出センサに対して前記支持ピンの延在方向において異なる側に配置される、
(1)~(5)の何れか1つに記載の倣い検出装置。
本構成によれば、前記左変位検出センサと、前記右変位検出センサと、前記上下変位検出センサと、を前記載置プレート上面側にスペース効率良く配置できるため、装置全体がよりコンパクトになる。
【符号の説明】
【0059】
1 片面溶接装置
2 溶接トーチ
4a 支持台座
4b 前支持腕
4c 後支持腕
4d 架橋部材
4e,4f 支持部材
4g 案内腕
4 ヘッドフレーム
5a 懸架部材
5b 走行レール駆動部
5 溶接走行台車
6a スライダ台
6b スライダ駆動部
6 スライダ
7a フラックス供給ホース
7 フラックス供給器
8a フラックス回収ホース
8 フラックス回収器
9 溶接位置制御部
10 終端検知器
11 走行レール
20 検出装置
21 倣いローラ
22a,23c 切欠部
22 芯棒
23a 上下センサ操作部
23b 軸孔
23d フランジ部
23e 露出孔
23 筒体
24a,39b 固定孔
24b 拡径部
24 枠体
25 載置プレート
26 調整機構
27 上下変位検出センサ
27A 上下用第1スイッチセンサ
27B 上下用第2スイッチセンサ
28 左変位検出センサ
28A 左傾斜第1スイッチセンサ
28B 左傾斜第2スイッチセンサ
29 右変位検出センサ
29A 右傾斜第1スイッチセンサ
29B 右傾斜第2スイッチセンサ
30 カバー体
31 支持プレート
32 支持軸
33 ローラ体
34 支持ピン
35 揺動板
36a1 ネジ孔
36a 凸部
36 規制部材
37 圧縮スプリング
38 作業孔
39a 取付孔
39b 固定孔
39 取付ベース
40 プランジャ
41 当接部材
42 調整用圧縮スプリング
43 調整体
44 収容体
45 固定ピン
46 センサ支持部材
47,49,51 センサ端子
48,52,53 配線
55 配線体
56 開口部
57 蓋部
58 シール部
60 スイッチ操作部
61 操作ボルト
62 支持ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8