(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143345
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】シェード、ベッド、シェード制御装置、シェード制御方法およびシェード制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61G 11/00 20060101AFI20241003BHJP
A61G 7/043 20060101ALI20241003BHJP
A47D 15/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61G11/00 Z
A61G7/043
A47D15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055972
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 友毅
(72)【発明者】
【氏名】岩井 文
【テーマコード(参考)】
4C040
4C341
【Fターム(参考)】
4C040EE01
4C040EE08
4C040GG06
4C040GG15
4C341JJ03
4C341MM13
4C341MN20
4C341MP05
4C341MQ02
4C341MQ03
4C341MR03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】児の快適な環境を維持しつつ、児に対する処置を容易に行うことができるシェードを提供する。
【解決手段】ベッド100に着脱可能に配設されるシェード10であって、取付状態において、ベッド100の上方の少なくとも一部を覆うカバー20と、カバー20を、取付状態においてドーム状に保持する支持部材30と、ベッド100の両端において、支持部材30の両端を回転可能に軸支する連結部材40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドに着脱可能に配設されるシェードであって、
取付状態において、前記ベッドの上方の少なくとも一部を覆うカバーと、
前記カバーを、取付状態においてドーム状に保持する支持部材と、
前記ベッドの両端において、前記支持部材の両端を回転可能に軸支する連結部材と、
を備える、シェード。
【請求項2】
前記支持部材の両端に形成される第1貫通孔と、
前記連結部材に形成される第2貫通孔と、
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に挿通される係合部材と、
をさらに備え、
前記第2貫通孔は、大径部と、前記大径部の下方に形成される前記大径部よりも半径の小さい孔である小径部と、が連結された形状であり、
前記係合部材は、前記小径部に篏合する軸部と、前記小径部と前記大径部の間の径を有する頭部と、を有し、
前記頭部が前記大径部に挿通され、前記軸部が前記小径部に篏合することで、前記係合部材は前記第2貫通孔に着脱可能に連結される、
請求項1記載のシェード。
【請求項3】
前記支持部材は、複数の細長い平板状に構成され、前記支持部材の両端部にはそれぞれ貫通孔が形成され、前記係合部材は、それぞれの前記貫通孔に挿通される、
請求項2記載のシェード。
【請求項4】
前記連結部材は、前記ベッドの短手方向に渡って配設され、前記ベッドの床部下面に連結される、
請求項1記載のシェード。
【請求項5】
ベッドに配設されるシェードと、
センサ群と、
前記センサ群により取得される前記ベッド上又は前記ベッド周辺の情報に基づいて、前記シェードの開閉を決定する開閉状態決定部と、
前記決定に基づいて前記シェードの開閉を制御するシェード制御部と、
を備え、
前記シェードは請求項1乃至4のいずれかに記載のシェードである、
シェード制御装置。
【請求項6】
前記センサ群は、前記ベッド上又は前記ベッド周辺の環境に関する情報を取得する環境センサを含み、
前記環境に関する情報を参照して、前記ベッド上が悪環境であることを検知する状態検知部をさらに備え、
前記開閉状態決定部は、前記ベッド上が悪環境である場合に、前記シェードを閉状態とすることを決定する、
請求項5記載のシェード制御装置。
【請求項7】
前記センサ群は、前記ベッド上に存在する使用者の身体状態を取得するバイタルセンサを含み、
前記身体状態を参照して、少なくとも前記使用者に異常が生じていることを検知する状態検知部をさらに備え、
前記開閉状態決定部は、前記使用者に異常が生じている場合に、前記シェードを開状態とすることを決定する、
請求項5記載のシェード制御装置。
【請求項8】
前記センサ群は、前記ベッド上に存在する使用者の睡眠状態を取得する睡眠センサを含み、
前記開閉状態決定部は、前記使用者が覚醒している場合に前記シェードを開状態とすることを決定し、前記児が就寝している場合に前記シェードを閉状態とすることを決定する、
請求項5記載のシェード制御装置。
【請求項9】
前記開閉状態決定部は、現在時刻を参照し、前記現在時刻が所定の第1時間帯である場合に、前記シェードを閉状態とすることを決定し、前記現在時刻が前記第1時間帯以外の第2時間帯である場合に、前記シェードを開状態とすることを決定する、
請求項5記載のシェード制御装置。
【請求項10】
前記開閉状態決定部は、前記センサ群により緊急性のある異常を検出した場合には、前記緊急性のない異常を検出した場合よりも速い速度で前記シェードを展開することを決定する、
請求項5記載のシェード制御装置。
【請求項11】
前記ベッドの所定範囲内に配設されている第2ベッドの状態を取得する他機情報取得部をさらに備え、
前記開閉状態決定部は、前記他機情報取得部により取得される前記状態に基づいて、前記ベッドにおける前記シェードの開閉状態を決定する、
請求項5記載のシェード制御装置。
【請求項12】
本体と、
前記本体に着脱可能に配設されるシェードと、
を備え、
前記シェードは、
取付状態において、前記本体の上方の少なくとも一部を覆うカバーと、
前記カバーを、取付状態においてドーム状に保持する支持部材と、
前記本体の両端において、前記支持部材の両端を回転可能に軸支する連結部材と、
を備える、ベッド。
【請求項13】
ベッドに配設されるシェードを制御するシェード制御方法であって、
センサ群により取得されるベッド上又は前記ベッド周辺の情報に基づいて、前記シェードの開閉を決定する開閉状態決定ステップと、
前記決定に基づいて前記シェードの開閉を制御するシェード制御ステップと、
をコンピュータにより実行する、
シェード制御方法。
【請求項14】
ベッドに配設されるシェードを制御するシェード制御プログラムであって、
センサ群により取得される前記ベッド上又は前記ベッド周辺の情報に基づいて、前記シェードの開閉を決定する開閉状態決定命令と、
前記決定に基づいて前記シェードの開閉を制御するシェード制御命令と、
をコンピュータに実行させる、
シェード制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、シェード、ベッド、シェード制御装置、シェード制御方法およびシェード制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院内において新生児等の児を寝かせておくベッドが知られている。児を過度な明かりや風等から保護するため、ベッドにシェードを付することがある。
【0003】
その点、特許文献1には、カバーを側枠に支持させて取り付けたベビーベッドが開示されている。特許文献2には、発汗を検出するとイオン発生部で発生するイオン量を増加させる姿勢保持装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-61248号公報
【特許文献2】特開2015-209122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、児の快適な環境を維持するためには、昼間は明かりを認識させると共に、夜間は暗い環境を整える必要がある。また、病院においては児に対する処置が行われる場合があり、処置する際に一定の明るさが必要な場合がある。そこで、児の快適な環境を維持しつつ、児に対する処置を妨げないシェードが必要とされている。
【0006】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、児の快適な環境を維持しつつ、児に対する処置を妨げないシェードを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係るシェードは、ベッドに着脱可能に配設されるシェードであって、取付状態において、前記ベッドの上方の少なくとも一部を覆うカバーと、前記カバーを、取付状態においてドーム状に保持する支持部材と、前記ベッドの両端において、前記支持部材の両端を回転可能に軸支する連結部材と、を備える。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係るシェード制御装置は、ベッドに配設されるシェードと、センサ群と、前記センサ群により取得される前記ベッド上又は前記ベッド周辺の情報に基づいて、前記シェードの開閉を決定する開閉状態決定部と、前記決定に基づいて前記シェードの開閉を制御するシェード制御部と、を備え、前記シェードは上記記載のシェードである。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係るベッドは、ベッド本体と、前記ベッドに着脱可能に配設されるシェードと、を備え、前記シェードは、取付状態において、前記ベッド本体の上方の少なくとも一部を覆うカバーと、前記カバーを、取付状態においてドーム状に保持する支持部材と、前記ベッド本体の両端において、前記支持部材の両端を回転可能に軸支する連結部材と、を備える。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係るシェード制御方法は、ベッドに配設されるシェードを制御するシェード制御方法であって、センサ群により取得されるベッド上又は前記ベッド周辺の情報に基づいて、前記シェードの開閉を決定する開閉状態決定ステップと、前記決定に基づいて前記シェードの開閉を制御するシェード制御ステップと、をコンピュータにより実行する。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係るシェード制御プログラムは、ベッドに配設されるシェードを制御するシェード制御プログラムであって、センサ群により取得される前記ベッド上又は前記ベッド周辺の情報に基づいて、前記シェードの開閉を決定する開閉状態決定命令と、前記決定に基づいて前記シェードの開閉を制御するシェード制御命令と、をコンピュータに実行させる。
【0012】
なお、コンピュータプログラムは、各種のデータ読取可能な記録媒体に格納して提供したり、インターネット等のネットワークを介してダウンロード可能に提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0013】
児の快適な環境を維持しつつ、児に対する処置を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願発明の第1実施形態に係るシェード、およびシェードが搭載されたベッドの概略斜視図である。
【
図2】上記シェードおよび上記ベッドの背面図である。
【
図3】上記シェードを上記ベッドから取り外した状態を示す概略斜視図である。
【
図4】上記ベッドおよび上記シェードの概略部分平面図である。
【
図5】上記ベッドおよび上記シェードの連結部分の様子を示す概略部分斜視図である。
【
図6】上記ベッド、および上記シェードが備える連結部材の様子を示す概略部分側面図である。
【
図7】上記ベッドおよび上記シェードの連結部分の様子を示す概略部分斜視図である。
【
図8】上記ベッドおよび上記シェードを正面側・右側から見た概略斜視図であって、上記シェードを半開した状態を示す図である。
【
図9】上記ベッドおよび上記シェードを正面側・右側から見た概略斜視図であって、上記シェードを全開した状態を示す図である。
【
図10】上記ベッドおよび上記シェードを右側から見た概略部分側面図であって、上記シェードを収納した状態を示す図である。
【
図11】上記シェード制御装置が有する制御ブロック図である。
【
図12】上記シェード制御装置が有する機能ブロック図である。
【
図13】上記シェード制御装置が行う処理の流れの第1例を示すフローチャートである。
【
図14】上記シェード制御装置が行う処理の流れの第2例を示すフローチャートである。
【
図15】上記シェード制御装置が行う処理の流れの第3例を示すフローチャートである。
【
図16】本願発明の第2実施形態に係るシェード制御装置の機能ブロック図である。
【
図17】本願発明の第3実施形態に係るシェードの連結部分の様子を示す概略斜視図である。
【
図18】本願発明の第4実施形態に係るシェードの連結部分の様子を示す概略斜視図である。
【
図19】本願発明の第5実施形態に係るシェードの連結部分の様子を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しながら、本願発明を実施するための形態について説明する。図はすべて例示である。以下の詳細な説明では、説明のために、開示された実施形態の完全な理解を促すために、ある特定の詳細について述べられている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細に限られない。また、図面を単純化するために、周知の構造および装置については概略的に示されている。なお、以降の説明において、ベッド100の長手方向をX軸方向、短手方向をY軸方向、および鉛直方向をZ軸方向という。また、ベッド100の長手方向足側を正面側、頭側を背面側、と表現することがある。
【0016】
●シェード(1)
まず、本発明にかかるシェードの構成について説明する。
図1乃至
図5に示すように、シェード10は、例えばベッド100(ベッド本体100)に着脱可能に取り付けられ、明かりや風を遮る部材である。ベッド100は、例えば新生児が寝かせられる新生児用ベッドであり、使用者として例えば新生児や、その他の幼児等(以降の説明において、新生児および幼児を合わせて「児」ということがある。)が想定されている。なお、以降の説明では新生児ベッドを例に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限られず、例えば小児用ベッドや、小児用ストレッチャーであってもよい。また、ベッド100は、例えばGCU(新生児回復室、Growing Care Unit)、NICU(新生児特定集中治療室Neonatal Intensive Care Unit)又は一般病棟等の病院内で使用される他、診療所、助産院又は個人宅など適宜の空間で使用できる。
【0017】
ベッド100は例えば、かご110、かご110を支持する支柱120、支柱120に連結される足130、足130の載置面に連結されるキャスタ140等を備える。かご110は、例えば上方が開口し、側面が全周に渡って囲われている透明な部材である。かご110の底面はベッド100の床部となっていて、適宜のマットレス等が載置される。また、足130およびキャスタ140は複数あってよく、複数の足130それぞれには、上方に伸び出る点滴スタンド150が連結されていてもよい。また、かご110の下方には、適宜の物品を載置しておく台160が配設されている。
【0018】
シェード10は、少なくともかご110の長手方向第1端側を覆うことが可能に取り付けられている。シェード10は、当該第1端側において、短手方向全幅を覆うことが可能である。ベッド100の使用者は、当該第1端側に頭部を向けて寝ることで、目又は顔への明かりおよび風をシェード10により遮ることができる。
【0019】
シェード10は、主として、カバー20と、複数の支持部材30と、連結部材40と、係合部材70と、を備える。
【0020】
カバー20は、取付状態において、ベッド100の上方の少なくとも一部を覆う部材である。カバー20は、柔らかく、可撓性があり、折り畳み可能な部材により構成されている。カバー20は、例えば布製である。カバー20は、少なくとも一部の光、および風を遮断することで、ベッド使用者の環境を快適に保つことができる。また、カバー20の内側又は外側に消音材を貼り付けることで遮音機能を向上させてもよい。
【0021】
図2および
図3に示すように、カバー20は、背面側、すなわちベッド100の頭部側に対をなす尾部カバー21を備える。尾部カバー21は、支持部材33に対応する位置から垂れ下がる略矩形の布であり、カバー20と同じ素材により構成されていてよい。
【0022】
対をなす尾部カバー21の間には、略鉛直方向に沿って開口するスリット22が形成される。この構成によれば、センサ又は気管挿管チューブ等の適宜の器具をベッド100の外部からスリット22を介して使用者に連結することができる。また、スリット22の下方側が開放されている構成によれば、シェード10を上方に取り外す際に、スリット22を介して使用者に装着された器具は、スリット22の下方から引き出される。したがって、器具を使用者に装着したままシェード10を取り外すことができる。
【0023】
また、尾部カバー21は、取付状態においてカバー20の左右方向中央よりも左右側方に伸び出ている。その結果、対をなす尾部カバー21は、短手方向略中央において互いに重なり合っている。このような構成によれば、スリット22から侵入する光や風をより確実に軽減することができる。なお、この重複部分は、面ファスナ等の連結部材により着脱可能に連結されていてもよい。
【0024】
図1に示すように、複数の支持部材30は、細長い平板状の部材であり、取付状態において、カバー20をドーム状に保持する。複数の支持部材30は、部分円弧状に湾曲した部材であってもよいし、可撓性を有する部材からなり、両端が後述する連結部材40に連結されることにより撓んだ状態で保持される構成であってもよい。なお、複数の支持部材30は、本実施形態においては3個であるが、個数は任意である。また、本実施形態においては、全ての支持部材30が連結部材40に連結されるものとして説明したが、シェード10は、連結部材40に連結されずにカバー20の形状を保持する保持部材を有していてもよい。この保持部材は、例えば、可撓性のある樹脂製の棒状体であり、カバー20の内側又は外側に連結されている。
【0025】
支持部材30によりカバー20をドーム状に保持する構成によれば、カバー20と使用者との距離が適切に保たれ、快適な環境を確保できる。また、当該構成によれば、カバー20が使用者に直接かかることがないため、カバー20による使用者の気道閉塞といった恐れがなく、安全性を担保できる。また、支持部材30が可撓性を有する構成によれば、複数の支持部材30を互いに同長にしても重ね合わせて収容できるので、部材の統一化が図れる。
【0026】
支持部材30の両端には、それぞれ第1貫通孔311(
図5参照)が穿設されている。第1貫通孔311には、後述する係合部材70が挿通され、連結部材40に対し回転可能に軸支される。当該構成の詳細については、後述する。
【0027】
図4に示すように、連結部材40は、ベッド100と支持部材30とを連結する部材である。連結部材40は、ベッド100の短手方向に渡って配設される細長い平板状の部材である。連結部材40は、その両端部において支持部材30と連結されている。また、連結部材40は、かご110の底面に複数形成される孔111の一部に対応する位置に、複数の連結孔41が形成されている。なお、この孔111は、床部の通気性を確保するために設けられた孔である。連結部材40は、孔111と連結孔41とに挿通される挿通部材50により、かご110の床部底面に連結されている。ベッド100に予め形成される孔111を利用してかご110と連結部材40を連結する構成によれば、ベッド100の加工が不要であり、取付が簡便である。なお、本実施形態においては、シェード10は、連結部材40によりベッド100と連結されていたが、本発明の技術的範囲はシェード10がベッド100に連結する態様に限られず、ベッド100が備える適宜の部材上又はベッド100周辺に載置する構成であってもよい。
【0028】
また、連結部材40がベッド100の床部底面と連結される構成によれば、支持部材30又は連結部材40にかかった荷重はかご110の底面に伝達される。したがって、連結部材40がかご110の側面に連結されている構成に比べて、かご110の破損を防止することができる。かご110は使用者が触る可能性もあるため比較的破損しやすい柔らかい部材で構成されているところ、かご110の破損を防止できる当該構成は、一層有用である。
【0029】
図5に示すように、連結部材40の両端は、端部に向かって上方、側方、下方の順に屈曲され、下向きに開口するU字状となっている。その結果、両端には、ベッド100の載置面と略平行の第1面42と、第1面42から下方に伸び出る第2面43とが形成されている。なお、連結部材40の両端においては、少なくとも第1面42および第2面43に相当する面があればよく、連結部材40の略中央から端部に向かって上方に屈曲する構成は、なくてもよい。
【0030】
第1面42は、上下方向に貫通するベルト挿通孔421、422を備える。ベルト挿通孔421、422は、長手方向に主たる長さを有する略矩形の孔であり、互いに平行に形成されている。このベルト挿通孔421、422には、ベルト60が挿通される。ベルト60は、本実施形態においては伸縮性が小さい又は無い樹脂製の部材であるが、ゴム等の伸縮性のある部材であってもよい。ベルト60の端部と中腹部とはホック等の連結部材により適宜連結され、ベルト60はベルト挿通孔421、422に挿通されている状態で保持されている。
【0031】
図6に示すように、第2面43は、第2貫通孔431を備える。第2貫通孔431は、いわゆる鍵穴型の孔であり、より具体的には、比較的大きい大径部431aと、大径部431aの下方に形成される大径部431aよりも半径の小さい孔である小径部431bと、が連結された形状である。小径部431bは、大径部431aの下方に形成されている。小径部431bは、大径部431aの下方に伸び出る長円状であってよい。
【0032】
図5に示すように、係合部材70は、支持部材30を連結部材40に対して回動可能に保持する部材である。係合部材70は、複数の支持部材30それぞれの第1貫通孔311に挿通されている。また、係合部材70は、取付状態において、連結部材40が備える第2貫通孔431に挿通される。
【0033】
このような構成によれば、複数の支持部材30は、係合部材70を介して連結部材40と回動可能に軸支されているため、支持部材30が回動することによりカバー20をベッド100に取り付けた状態のまま容易に開閉することができる。
【0034】
図8は、カバー20が半開した状態を示す図である。カバー20および支持部材30同士の摩擦力等により、又は支持部材30がかご110に当接することによって、カバー20は半開状態で保持可能である。
【0035】
図9は、カバー20が全開した状態を示す図である。
図10は、
図9の全開状態から支持部材30をさらに回動させ、シェード10がベッド100の下方に収容されている様子を示す図である。同図に示すように、取付状態における支持部材30の長さは、支持部材30の取付位置からかご110の頭部側端部の周長よりも長い。したがって、支持部材30は、ベッド100の背面側および下方まで回動することができる。その結果、かご110の開口部を大きく開けることができるので、医療従事者や親族等の管理者が使用者に対し処置を行う場合にも、処置を妨げることがない。また、
図10に示すようにシェード10をベッド100の下方に収容可能な構成によれば、シェード10の保管場所を用意する必要がない。また、
図10の収容状態においては、シェード10を取り付けたままかご110全体を露出させることができるので、かご110および床部の清拭がしやすく、高いメンテナンス性を実現できる。
【0036】
ベッド100のある室内の照度が高い場合、騒音が大きい場合、又はベッド100に空調の風が直接当たってしまう場合等には、これらを遮ることで、使用者の快適な環境を維持する必要がある。特に使用者が新生児である場合には、目および耳が未発達なため、刺激を強く受けることから、環境の維持は一層重要である。特に、早産児においては、刺激に一層敏感である。また、同一空間内であっても照度や空調のばらつきがあるため、個別のケアが必要である。さらに、児の体内時計を調整して体調を整えるためには、GCU等の屋内においても日中は明るく夜間は暗くするといった措置が必要である。その一方で、児の環境に配慮した結果、夜間に室内の照明を暗くするものとすると、医療従事者が暗い中で作業することになり視力の低下や眼精疲労が懸念される。
【0037】
その点、本発明にかかるシェード10によれば、簡便に開閉することができるので、児の快適な環境を維持しつつ医療従事者の健康も担保できる。また、各ベッド100にシェード10が配設され、ベッド100ごとに開閉できるので、各児に合わせた環境を確保することができる。また、シェード10によれば、家族や医療従事者等の、児の関係者以外にのぞき込まれる機会を減らすことができるので、児のプライバシーが保護されるとともに、児のストレスを低減することができる。
【0038】
ここで、シェード10をベッド100から着脱する構成について説明する。
図7に示すように、係合部材70は、軸部71と、軸部71の両端部にそれぞれ形成される頭部72、73を備える。軸部71の径は、小径部431bより小さい。また、頭部72は大径部431aと小径部431bの間の径を有する。しなわち、頭部72の径は、大径部431aの内径よりも小さいため、頭部72は大径部431aに挿通可能になっていれる。また、頭部72の径は、小径部431bよりも大きいため、小径部431bにおいては抜き差しできない。また、軸部71の径は小径部431bよりも小さい。したがって、頭部72が大径部431aに挿通された状態で、係合部材70が自重又は加重により押し下げられると、軸部71が小径部431bに篏合されるとともに、頭部72は小径部431bに係止され、抜けない状態になる。また、取付状態において、係合部材70の頭部72が大径部431aに対応する位置まで上方に押し上げられると、係合部材70は連結部材40から取り外せる状態になる。
【0039】
このような構成によれば、ベッド100からシェード10を容易に着脱することができる。したがって、シェード10の清拭又は洗浄が可能になり、衛生的である。
【0040】
また、
図5に示すように、係合部材70の軸部71には、ベルト60と着脱可能に連結されるベルト61が挿通される。ベルト60およびベルト61は、例えばホックにより連結され、係合部材70の上下方向の移動を規制する。その結果、係合部材70は、軸部71が小径部431bに係合された状態に保持される。すなわち、ベルト60およびベルト61によれば、シェード10の脱落を防止できる。なお、ベルト60およびベルト61の固定態様は任意であり、ホックに代えて、例えばいわゆるバックル、面ファスナ、ボタンとボタンホール等、着脱可能な任意の構成により連結されていてもよい。
【0041】
なお、シェード10には、使用者が使用する適宜の物品を連結する構成があってもよい。例えば、シェード10の内部には、クリップおよび紐状体が連結される構造を備え、ハンカチが連結可能になっていてもよい。ハンカチに母乳を含ませておくことで、使用者としての新生児に安心感を与えることもできる。また、ハンカチの位置がある程度固定されるので、使用者および管理者にとって管理が容易である。
【0042】
なお、本実施形態のシェード10においては、カバー20は一重であったが、複数のカバーが重畳している構成であってもよい。この場合、複数のカバーは、互いに異なる特性を有するカバーであってもよい。例えば、遮光機能を備えた第1カバーと、遮音機能を備えた第2カバーと、により構成されていてもよい。また、この複数のカバーは、独立して開閉可能であってもよい。この場合、例えば複数のカバーそれぞれが、連結部材に軸支される支持部材を備えている。また、複数のカバーは、連結部材の異なる位置に軸支されていてもよく、それぞれ異なる連結部材に連結されていてもよい。
【0043】
●シェード(2)
ここで、
図17乃至
図19を用いて、シェード10をベッド100に連結する他の実施形態について説明する。なお、他の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。また、
図17乃至
図19において支持部材30の図示は省略されている。
図17に示す実施形態では、シェード10は、連結部分の構造として、連結部材40a、係合部材70a、およびストッパー73aを備える。係合部材70aは、軸部701aと、軸部701aより半径の大きい頭部702aを備える円柱状の部材であり、支持部材30の第1貫通孔311(
図17において不図示)に挿通されている。連結部材40aは、第2貫通孔431に代えて、上向きに開口するスリット431aを有する。また、係合部材70aは、連結部材40aのスリット431aに挿通される。
【0044】
ストッパー73aは、略U字状の平板であり、軸731aにより軸支されている。また、ストッパー73aは、内周面において渋み又は抜け止めを持たせた寸法又は表面形状をしており、当接した係合部材70aとの摩擦力が大きくなっている。また、ストッパー73aは、U字の内側において、係合部材70aに当接し、係合部材70aを上側から押さえ込んでいる。その結果、
図17に示す状態においては、係合部材70aはスリット431aから抜けない状態になっている。ストッパー73aが、軸731aを軸に図中左回りに回転すると、スリット431aの開口が開放され、係合部材70aをスリット431aから抜いてシェード10を取り外すことができる。
【0045】
図18に示す実施形態では、シェード10は、連結部分の構造として、連結部材40b(
図18(a)参照)、係合部材70b(
図18(c)参照)、およびストッパー73b(
図18(b)参照)、を備える。
【0046】
図18(a)および(c)に示すように、連結部材40bは、第2貫通孔431に代えて、下向きに開口するスリット401bを有する。
図18(c)に示すように、係合部材70bは、スリット401bに挿通される。ストッパー73bは、略L字状の平板であり、軸731bにより軸支されている。なお、ストッパー73bは、
図18(c)中の実線位置と左端の破線位置との間でのみ回動し、当該範囲以外には回動ができないよう適宜の構成により制限されている。ストッパー73bが、
図18(c)の実線の位置にある場合には、ストッパー73bと係合部材70bとが当接し、係合部材70bが抜き差しできない。係合部材70bをスリット401bの上端部まで押し上げ、ストッパー73bを左端の破線の位置まで、図中矢印の方向に回転させると、スリット401bの開口が開放され、係合部材70bをスリット401bから取り外せる状態になる。
【0047】
図19に示す実施形態では、シェード10は、連結部分の構造として、連結部材40、および係合部材70bを備える。係合部材70bは、いわゆるクランプピンであり、ボタン操作又はねじり操作等の適宜の操作により抜け止め機構が作動する部材である。この構成によれば、係合部材70bを第2貫通孔431に挿通し、作動させるだけで、係合部材70bを固定できるため、簡便である。
【0048】
●シェード制御装置(1)
図11に示すシェード制御装置1000は、シェード10の制御を司る構成要素である。シェード制御装置1000は、適宜の操作器から受信した入力情報、および、後述の各種センサから得た入力情報に基づき、適宜の制御手段を介して、シェード駆動部1300を制御することで、シェード10を開閉する。
【0049】
●シェード制御装置1000のハードウェア構成
図11は、実施形態に係るシェード制御装置1000のハードウェア構成例を示すブロック図である。同図に示すように、シェード制御装置1000は、主として、処理装置1100、処理装置1100に接続されるセンサ群1200、シェード駆動部1300および出力部1400により構成される。処理装置1100は、CPU(Central Processing Unit)1110、フラッシュメモリ1120、RAM(Random Access Memory)1130、操作部1140及びインターフェース回路1150を備える。処理装置1100は、インターフェース回路1150を介して、センサ群1200、シェード駆動部1300および出力部1400に接続されている。
【0050】
CPU1110は、中央演算装置であり、フラッシュメモリ1120に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、シェード制御装置1000の動作を統括制御する。フラッシュメモリ1120は、CPU1110の補助記憶装置であって、プログラムをはじめとしてCPU1110が利用する各種の情報を記憶する。
【0051】
RAM1130は、CPU1110の主記憶装置である。また、RAM1130は、一時的にデータを呼び出して処理するためのワークエリアである。
【0052】
操作部1140は、管理者の操作を受け付ける装置であり、例えば1又は複数の物理ボタンにより構成される。また、操作部1140は、タッチパネルディスプレイにより構成され、入力を受け付けるとともに適宜の情報を表示する構成であってもよい。操作部1140の操作子は、例えば物理ボタンであり、例えばベッド100上の使用者に対し医療行為又は看護行為等を行う医療従事者や、使用者の家族、特に使用者に付き添っている大人により操作可能となっている。所定の操作子は、かご110の外側に配設され、かご110内の使用者からは操作ができないようになっていてもよい。操作部1140は、例えば出力部1400を介して通知されるアラートを停止させる操作を受け付ける。
【0053】
センサ群1200は、ベッド100上又はベッド100周辺における情報を取得する部材である。
センサ群1200は例えば、主として、環境センサ1210およびバイタルセンサ1220に大別できる。
【0054】
環境センサ1210は、ベッド100上又はベッド100周辺における環境に関する情報を取得するセンサである。環境センサ1210は例えば、照度センサ1211、音センサ1212、風速センサ1213、および臭気センサ1214を含む。照度センサ1211は、照度を計測するセンサである。音センサ1212は、音圧又は音源そのものを計測するセンサであり、例えばマイクロホンであってよい。風速センサ1213は、風の速度、風圧、又は向き等を計測するセンサである。臭気センサ1214は、臭気の強さを計測するセンサである。
【0055】
環境センサ1210は、上述のセンサに限らず、例えば可視光カメラ、赤外線カメラ、湿度センサ、近接センサ、接触センサ、カラーセンサ等適宜のセンサ等を含んでいてよい。また、環境センサ1210は、例えば人間の接近を検知するいわゆる人感センサや、視線の検知を行うセンサを含んでいてもよい。また、環境センサ1210には、時刻情報を取得する構成を含んでいてもよい。
【0056】
バイタルセンサ1220は、ベッド100上に存在する使用者の身体状態に関する諸指標を計測するセンサである。バイタルセンサ1220は例えば、パルスオキシメータ1221、体温センサ1222、呼吸センサ1223および睡眠センサ1224を含む。パルスオキシメータ1221は、使用者の血中酸素飽和濃度又は脈拍を計測する。体温センサ1222は、使用者の体温を計測する。呼吸センサ1223は、使用者の呼吸回数、呼吸頻度又は呼吸の深さ等を計測する。睡眠センサ1224は、使用者の睡眠の有無および睡眠の深さ等を計測する。また、バイタルセンサ1220は、上述のセンサに限らず適宜のセンサを含むことができる。
【0057】
シェード駆動部1300は、シェード10を開閉する機構である。シェード駆動部1300は、例えば係合部材70と連結され、係合部材70を回動させるモータであってもよい。また、シェード駆動部1300は、エアセルに連結されるポンプであってもよい。本構成の場合、例えば、細長いエアセルの両端部が複数の支持部材30に連結され、ポンプによりエアセルを膨張させることで複数の支持部材30を互いに離間させ、シェード10を展開する構成であってもよい。また、ポンプによりエアセル内の気体を吸引することでシェード10を閉じる構成であってよい。エアセルによりシェード10を開閉する構成によれば、シェード10を水洗することができ衛生的である。また、シェード駆動部1300は、支持部材30を伸縮させる駆動を行う機構を有していてもよい。この構成によれば、カバー20をかご110にフィットさせることができる。
【0058】
シェード駆動部1300により自動でシェードを開閉できる構成によれば、シェード10を非接触で開閉することができ、衛生を一層良好に保つことができる。また、表示・操作部1140から開閉命令を入力することで開閉できる構成によれば、産後間もない母親が開閉する場合であっても、起き上がってシェード10を操作する手間が不要であるので、体の負担が軽減される。
【0059】
なお、シェード駆動部1300は、手動でシェード10を開閉させる場合に、開閉を妨げない構成であることが望ましい。また、シェード駆動部1300は、開閉を自動で行う自動モードと、手動で行う手動モードとに切替可能になっていて、手動モードの場合にはシェード駆動部1300が手動によるシェード10の開閉を妨げないものとしてもよい。例えば、シェード駆動部1300がエアセルに連結されるポンプで構成される場合、自動モードの場合にはエアセルを閉栓する一方、手動モードの場合にはエアセルを開放することによって、手動による開閉を容易に行わせることができる。
【0060】
出力部1400は、管理者等にアラート等を通知する構成であり、例えばスピーカや警告灯により構成される。また、出力部1400は、有線又は無線により接続される外部機器に対して適宜の情報を出力することで、管理者に通知を行ってもよい。また、出力部1400は、センサ群1200により検出された情報やシェード10の開閉状態を外部機器に出力してもよい。外部機器は、例えば1又は複数のシェード制御装置1000と接続される管理サーバであり、適宜の表示部により、シェード10およびその使用者の状態を表示可能になっている。
【0061】
処理装置1100は、クラウドコンピューティングにより構成されていてもよい。シェード制御装置1000に含まれる各構成は、無線で互いに接続されていてもよいし、一部又は全部が有線により接続されていてもよい。センサ群1200は、外部のシステムに含まれるものであってもよく、処理装置1100は外部のシステムからセンサ群1200の測定結果を受信するものであってもよい。
【0062】
なお、
図11に示した構成は例示であり、ある構成要素が別の構成要素を包含していてもよいし、各構成要素が有する機能部は、別の構成要素が有していてもよい。例えば、シェード制御装置1000の機能の一部又は全部がシェード10またはベッド100に搭載されていてもよい。また、シェード制御装置1000の機能の一部又は全部が、スマートホン、タブレット端末又はPHS(personal handy-phone system)といった携帯用端末に実現されていてもよい。この場合、処理装置1100自身が表示部や鳴動部等所有者に通知する構成、および当該構成を制御する制御部を備えている。なお、この携帯用端末の所有者は、例えば医療従事者であってもよいし、使用者の家族であってもよい。
【0063】
●シェード制御装置のソフトウェア構成
図12に示すように、シェード制御装置1000は、ソフトウェア資源として少なくとも、センサ情報取得部1010、状態検知部1020、開閉状態決定部1030、開閉状態取得部1040、シェード制御部1050およびアラート通知部1060を有する。
【0064】
センサ情報取得部1010は、センサ群1200により取得される情報を取得する機能部である。
また、センサ情報取得部1010は、時刻情報を取得してもよい。
【0065】
状態検知部1020は、例えば、センサ情報取得部1010により取得される情報に基づいて、使用者およびその周辺環境の状態を検知する機能部である。状態検知部1020は、特に環境センサ1210により取得される情報を参照し、悪環境を検知してもよい。悪環境とは、使用者のストレスを誘発するおそれのある適宜の状態であり、例えば照度が所定以上である状態、騒音レベルが所定以上である状態、又は風速が所定以上である状態等である。なお、騒音レベルを上昇させる要因として、使用者自身が発する音も含まれる。また、悪環境は、温湿度又は臭いが所定範囲を超える状態であってもよい。また、悪環境は、人の視線又は接近により生じるものであってもよい。環境が悪環境であることを判断する閾値は適宜設定可能であるが、例えばGCUにおいて一般的に採用される推奨環境の範囲を快適な環境とし、推奨環境の範囲外である場合に悪環境としてもよい。
【0066】
状態検知部1020は、使用している使用者に関する情報に基づいて悪環境の判定閾値を異ならせてもよい。使用者に関する情報は、例えば、週数や病状、特性等である。状態検知部1020は例えば、使用者の週数に応じて、照度の閾値を異ならせてもよい。特に早産による未熟児においては、週数によっては光受容体の未発達により光刺激がない方がよい場合や、光環境をコントロールする必要がなく、他の悪環境条件を優先すべき場合があるところ、本構成によれば、光刺激を遮断すべき使用者に対して適切に対応することができる。また、音の刺激に過敏な週数や病状、特性を有する使用者もいるところ、本構成によれば、音の刺激に対しても確実に検知することができる。また、状態検知部1020は、使用者に個別に紐づけられている特性情報に基づいて、悪環境の判定閾値を異ならせてもよい。このような構成によれば、個々の使用者の状況や事情に基づいて、悪環境を適切に検知できる。
【0067】
また、状態検知部1020は、センサ情報取得部1010により取得される情報に基づいて、使用者の身体状態を検知する。状態検知部1020は、例えば、バイタルセンサ1220により取得される情報から使用者の身体状態を検知するが、環境センサ1210により取得される情報を参照してもよい。状態検知部1020は、使用者が感じている快適度を推定してもよい。快適度は、例えば心拍数や心拍間隔変動、又は睡眠センサにより取得される睡眠の質の指標により推定される。また、状態検知部1020は、睡眠センサ1224により取得される情報に基づいて、使用者が睡眠状態か覚醒状態かを判定してもよい。状態検知部1020は、例えば睡眠センサ1224により取得される情報に基づいて、使用者の睡眠の履歴を参照し、使用者の睡眠時間が十分であるか、言い換えれば使用者が寝不足でないかを推定してもよい。さらに、状態検知部1020は、音センサ1212により取得される音を解析することで、使用者が泣いているかを判定してもよい。
【0068】
さらに、状態検知部1020は、使用者の異常を検知する。使用者の異常は、例えば、バイタルセンサ1220から取得される血中酸素飽和濃度、脈拍、体温又は呼吸数等が所定範囲外である場合である。また、状態検知部1020は赤外線センサや温度センサ等による寝姿勢判別から異常を検知してよい。さらに、状態検知部1020は、カラーセンサにより使用者の皮膚の色を判定し、皮膚の色に基づいて異常を検知してよい。状態検知部1020は、複数のセンサ群1200から取得される情報を参照して異常を検知してもよい。状態検知部1020は、各使用者のバイタルセンサ1220から取得される履歴に基づいて、異常の判定閾値を決定した上で、各使用者の異常を検知してもよい。
【0069】
なお、状態検知部1020は、カラーセンサにより新生児における黄疸の検知を行ってもよい。また、状態検知部1020は、カラーセンサにより排尿又は排便を検知してもよい。この場合、状態検知部1020は、カラーセンサにより尿又は便そのものを読み取る構成に代えて、又は加えて、使用者が装着するおむつに表示される適宜の表示を読み取る構成であってもよい。
【0070】
状態検知部1020は、ベッド100周辺の物品の移動を検知してもよい。この場合、状態検知部1020は例えば、接触センサ、近接センサ、カメラ等適宜のセンサからの情報を参照できる。このセンサは、例えば緊急用具が取り出されたことを検知してもよい。緊急用具は、例えばかご110下方の台160に載置されている緊急用抱っこひもであってよい。このような構成によれば、緊急用具が取り出されるような緊急事態においてシェード10が自動で展開するので、使用者を迅速に連れ出すことができる。また、シェード10が展開していることで使用者がベッド100上にいるか否かが一目で視認できるため、避難時に取り残す危険性を低減できる。
【0071】
開閉状態決定部1030は、センサ群1200により取得される情報に基づいて、シェード10の開閉を決定する機能部である。開閉状態決定部1030は、状態検知部1020により検知された状態が所定時間以上継続している場合に、開閉状態を決定してもよい。この構成によれば、開閉が過度に行われるのを防止できる。
【0072】
開閉状態決定部1030は例えば、ベッド100上が悪環境である場合に、シェード10を閉状態とすることを決定する。このような構成によれば、過度な照光や風等を遮ることで、使用者の環境を改善することができる。
【0073】
また、開閉状態決定部1030は、使用者が覚醒している場合にシェード10を開状態とし、使用者が就寝している場合にシェード10を閉状態とすることを決定してもよい。このような構成によれば、管理者はベッド100を覗き込むことなく使用者が覚醒しているか否かを確認でき便利である。また、管理者は、覚醒している使用者に対して、おむつ替え、採血又は入浴といった処置をして回る場合にも、シェード10が展開している使用者に処置を行えばよいため、処置すべき使用者が明確である。すなわち、管理者は、起きている使用者を優先して処置を行うことができる。また、使用者にとっても、処置のために起こされることがなく健康に良い。また、シェード10が展開している使用者に処置をすることになるため、処置の際にシェード10を展開する手間がかからず、管理者にとって利便性が高い。
【0074】
また、上述の構成によれば、シェード10の開閉により処置すべき使用者を管理者に案内することができるので、使用者の快適な睡眠を担保できる。また、使用者は、覚醒時には室内の明かりを十分感じられるとともに、就寝時には明かりを遮断することで深い睡眠が誘発されるため、使用者の健康にも有益である。
【0075】
開閉状態決定部1030は、時刻情報を参照し、所定の第1時間帯においてはシェード10を閉状態とし、第1時間帯以外の第2時間帯においてはシェードを開状態とすることを決定してもよい。第1時間帯は例えばいわゆる夜の時間帯であり、第2時間帯はいわゆる昼間の時間帯である。第1時間帯および第2時間帯の設定は、管理者により適宜変更可能であってもよい。第1時間帯および第2時間帯の設定は、例えば、所在地情報に応じて自動的に設定される構成であってもよい。所在地情報は、例えば管理者による入力の他、適宜のGNSS(全地球航法衛星システム、Global Navigation Satellite System)機能等により取得可能であってもよい。第1時間帯および第2時間帯の設定は、例えば所在地情報のうち緯度又は経度に基づいて設定されてよい。
【0076】
このような構成によれば、夜に睡眠、昼間に覚醒を誘導することで、睡眠のリズムを整えることができる。また、GCU等の屋内で長時間過ごす使用者に対しても日内の明暗を感じさせることで体内時計を調整し、使用者の体調を整えることができる。
【0077】
また、開閉状態決定部1030は、状態検知部1020により検知された睡眠時間を参照し、使用者の睡眠時間が所定未満である場合には、シェード10を閉状態とすることを決定してもよい。この場合、開閉状態決定部1030は、睡眠時間が所定未満であると推定している限りシェード10を閉状態としてもよいし、睡眠時間が所定未満であると推定した場合に、あらかじめ定められたタイミングでシェード10を閉状態とするものとしてもよい。
【0078】
従来、複数の児に快適な環境を提供するためには医療従事者の負担が大きかった。また、医療従事者の感覚に依存したケアのため、ばらつきが生じるおそれもあった。この点、上述のように、センサ群1200からの情報によりシェード10の開閉状態を決定する構成によれば、ケアの定量化又は均一化が可能になり、結果として多くの使用者の快適な環境を実現することができる。ひいては、使用者の成長や回復を促進できる。より具体的には、本発明にかかる構成によれば、早産によって産まれた未熟児や、何らかの病気を持って生まれた児に対して、外的ストレスを最小限にすることで母親の子宮内に近い環境を疑似的に実現し、快適な環境のもとで成長や発達を促す、いわゆるディベロップメンタルケアにも資することができる。
【0079】
開閉状態決定部1030は、センサ群1200からの情報に代えて、又は加えて、外部装置からの情報に基づいてシェード10の開閉を決定してもよい。開閉状態決定部1030は、適宜の通信プロトコルにより有線又は無線により情報を取得してよい。開閉状態決定部1030は、例えば災害の発生情報を取得すると、シェード10を閉状態にすることを決定してもよい。災害時にシェード10を閉じる構成によれば、上方から落下する物体から使用者を保護できる。
【0080】
また、開閉状態決定部1030は、外部装置を介して受信した開閉命令に基づいてシェード10を開閉してもよい。開閉命令は、管理者等により手動で入力されてよい。なお、この外部装置は、複数のシェード制御装置1000に接続されていて、1の開閉命令を複数のシェード制御装置1000に送信可能な構成になっていてもよい。また、開閉命令を受信したシェード制御装置1000は、通信可能に接続されている別のシェード制御装置1000に当該開閉命令を転送する構成でもよい。別のシェード制御装置1000は、例えば所定範囲内に存在するベッドおよびシェードに対応付けられるシェード制御装置、又は、当該シェード制御装置1000と同じベッドグループにグルーピングされているベッドのシェード制御装置である。このような構成によれば、管理者は、1の開閉命令を入力するだけで、複数のベッド100のシェード10を開閉することができるので、操作が簡便である。また、開閉状態決定部1030は、受信した開閉命令により自身のシェード10のみを開閉するか、合わせて他のベッドのシェードを開閉するかを判定する構成であってもよい。
【0081】
また、開閉状態決定部1030は、シェード10の開閉速度を決定してもよい。開閉状態決定部1030は、状態検知部1020により検知した状態に緊急性があるか否かを判定する。開閉状態決定部1030は例えば、検知された状態と、緊急性の有無とを対応付けて格納するテーブルを参照し、緊急性を判断してもよい。開閉状態決定部1030は、緊急性のある状態が検知されている場合には、緊急性のない状態の場合よりも速い速度でシェード10を展開することを決定してもよい。この構成によれば、管理者は、通常であればシェード10が閉まっている時間帯であっても、異常を確実に把握し、処置を行うことができる。また、シェード10を展開する手間がかからないため、管理者は使用者に対する処置を迅速に開始できる。また、管理者は、シェード10の展開速度を視認することで、使用者の異常を一早く知ることもできる。
【0082】
開閉状態取得部1040は、シェード10の開閉状態を取得する機能部である。開閉状態取得部1040は、例えばシェード駆動部1300からの情報に基づいて開閉状態を推定してもよい。また、開閉状態取得部1040は、シェード10の開閉状態を検知する適宜のセンサにより開閉状態を取得してもよい。
【0083】
シェード制御部1050は、判定の結果に基づいてシェード駆動部1300に制御信号を送信し、シェード10の開閉を制御する機能部である。シェード制御部1050は、開閉状態決定部1030により決定された状態と、開閉状態取得部1040により取得された現時点での開閉状態とが異なっている場合に、シェード駆動部1300を駆動し、シェード10の開閉を実行する。また、シェード制御部1050は、開閉状態決定部1030により決定された状態と、開閉状態取得部1040により取得された現時点での開閉状態とが等しい場合、シェード駆動部1300の駆動を行わないものとしてもよい。
【0084】
さらに、シェード10が複数のカバーを備え、各カバーが独立して開閉可能な場合には、開閉状態決定部1030は、各カバーの開閉状態を個別に決定してよい。この場合、複数のカバーは、それぞれ異なる条件で開閉が決定されてもよい。すなわち例えば、遮光機能を有する第1カバーは、照度が所定以上の場合に閉状態となり、遮音機能を有する第2カバーは、騒音レベルや音圧が所定以上の場合に閉状態となってもよい。このような構成によれば、より精密にベッド100上の環境を調整することができる。
【0085】
アラート通知部1060は、管理者に対してアラートを通知する機能部である。アラート通知部1060は、出力部1400を介してシェード10自体から音又は光等により通知を発報する構成であってもよいし、適宜の通信処理機能を介して、管理者が確認する遠隔装置に通知を送信する構成であってもよい。遠隔装置は、例えばスマートホン、タブレット端末又はPHSといった、可搬性のある携帯用端末であってもよいし、いわゆる据置型のコンピュータであってもよい。携帯用端末は、例えば医療従事者又は使用者の親が所持していてもよい。アラート通知部1060は、遠隔装置を発報させる構成に代えて、又は加えて、シェード10又は使用者の状態を表示させる構成であってもよい。
アラート通知部1060は、例えば操作部1140への操作を受け付けた場合に、アラートの通知を停止するものとしてもよい。
【0086】
上記した構成の他、例えば、シェード制御装置1000は外部の騒音を抑制する、いわゆるノイズキャンセリングの機能を有していてもよい。また、シェード制御装置1000は、ホワイトノイズや、生育に有用な諸音源の再生機能を有していてもよい。諸音源は、例えば大人の声、心拍音又はクラシック音楽であってよい。さらに、シェード制御装置1000は、シェード10の内側面に、使用者に視認させる映像を表示する機能を有していてもよい。映像の表示は、ディスプレイへの表示の他、シェード10の内側面に投影することで表示してもよい。投影する機能によれば、シェード10の内側面を活用できるので比較的低コストに実現できる。上述した種々の構成によっても、使用者の環境をより快適で有用なものにすることができる。
【0087】
また、シェード制御装置1000は、シェード10の周辺又は内部を撮影するカメラを制御し、撮影画像を外部機器に出力する機能を有していてもよい。シェード10内部にカメラを配設する構成によれば、シェード10が閉じた状態であっても使用者の様子を外部から確認することができる。
【0088】
さらに、シェード制御装置1000は、シェード10の開閉動作に加えて、使用者および周辺環境に基づいて適宜の装置を制御してもよい。例えば、シェード制御装置1000は、使用者の泣き声を検知すると、シェード10内の適宜の収容部を開口させ、ハンカチが露出する構成でもよい。
【0089】
●フローチャート
図13に示すように、まず、例えば現在時刻を参照し、開閉状態決定部1030により、就寝時間帯であるか否かを判定する(ステップS101)。現在時刻が就寝時間帯である場合(ステップS101でY)、ステップS102に進む。現在時刻が就寝時間帯でない場合(ステップS101でN)、ステップS104に進む。
【0090】
ステップS102において、開閉状態取得部1040によりシェード10の開閉状態を参照し、シェード10が閉状態であるか判定する(ステップS102)。シェード10が閉状態である場合(ステップS102でY)、処理を終了する。シェード10が開状態である場合(ステップS102でN)、シェード駆動部1300によりシェード10を閉じる(ステップS103)。
【0091】
ステップS104において、開閉状態取得部1040によりシェード10の開閉状態を参照し、シェード10が開状態であるか判定する(ステップS104)。シェード10が開状態である場合、処理を終了する。シェード10が閉状態である場合、シェード駆動部1300によりシェード10をゆっくり開き(ステップS105)、処理を終了する。
【0092】
次に、
図14を用いて悪環境を検知した場合の処理の流れを示す。
まず、状態検知部1020により児の在床環境が悪環境であるか判定する(ステップS201)。悪環境が検知されない場合、ステップS201に戻る。次いで、悪環境であることが検知される場合、開閉状態取得部1040によりシェード10が開状態であるか判定する(ステップS202)。シェード10が閉状態である場合、ステップS201に戻る。シェード10が開状態である場合には(ステップS202でY)、シェード駆動部1300によりシェード10を閉じる(ステップS203)。なお、ステップS201およびステップS202は順不同であり、同時であってもよい。
【0093】
次に、
図15を用いて緊急性のある異常を検知した場合の処理の流れを示す。
まず、状態検知部1020により緊急性のある異常が検出されるか判定する(ステップS301)。異常が検知されない場合、ステップS301に戻る。次いで、開閉状態取得部1040によりシェード10が閉状態であるか判定する(ステップS302)。シェード10が閉状態である場合には(ステップS302でY)、シェード駆動部1300によりシェード10を即座に展開する(ステップS303)。次いで、アラート通知部1060により管理者に対しアラートを通知する(ステップS304)。
【0094】
アラート通知部1060は解除動作の受付を待機する(ステップS305)。アラート通知部1060が解除動作を受け付けると(ステップS305でY)、アラート通知部1060によりアラートを停止し(ステップS306)、処理を終了する。なお、ステップS301およびステップS302は順不同であり、同時であってもよい。また、ステップS303およびステップ304は順不同であり、同時であってもよい。
【0095】
なお、シェード制御装置1000において制御されるシェードは、上述したシェード10の構成に限らず、取付状態において開閉可能な任意の形状が採用できる。例えば、シェードは、蛇腹状に折りたたまれ伸縮する構成であってもよい。また、シェードは、別途のレールに沿って摺動するカーテン状の構成であってもよい。
【0096】
●シェード制御装置(2)
ここで、
図16を用いて、第2実施形態に係るシェード制御装置2000aについて、先に説明した第1実施形態とは異なる部分を中心に説明する。シェード制御装置2000は、他のシェード制御装置2000が備えるセンサにより取得された情報を参照してシェード10の開閉態様を決定する点で、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付した。
【0097】
シェード制御装置2000aは、通信可能に接続された他のシェード制御装置2000bから情報を取得する他機情報取得部2070aを備える。シェード制御装置2000a、2000b間の通信に関しては、Wi-Fi子機、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC等の他の無線通信手段、または、USB接続などの有線通信手段を使用してもよい。他機情報取得部2070aは、シェード制御装置2000bの状態検知部1020が検知した情報を取得する。
【0098】
シェード制御装置2000aとシェード制御装置2000bは、互いに異なるシェード10およびセンサ群1200の情報を取得している。シェード制御装置2000aは、例えば、シェード制御装置2000bを介して、当該シェード制御装置2000aが対応付けられている第1ベッド100とは異なる第2ベッドにおける、使用者およびその周辺環境の状態を取得する。第2ベッドは、例えば第1ベッド100の近傍、すなわち所定範囲内に配設されているベッドである。ベッド100は移動可能であるため、他機情報取得部2070aは、近傍にあるベッドを特定した上で、当該ベッドにおける状態を取得してもよい。この場合、他機情報取得部2070aは、各ベッドの絶対位置座標を参照した上で、近傍のベッドを特定してもよいし、ベッド間の相対位置を算出することで近傍のベッドを特定してもよい。また、他機情報取得部2070aは、第1ベッドの周辺にある複数のベッドにおけるシェード10の開閉状態を取得してよい。他機情報取得部2070aは、例えば、あらかじめグループ化された複数のベッドにおけるシェード10の開閉状態を取得してもよい。
【0099】
他機情報取得部2070aは、周辺の他のベッドにおけるシェード10の開閉状態を取得してもよい。開閉状態決定部1030は、周辺の他のベッドのシェード10の開閉状態に基づいて、第1ベッド100におけるシェード10の開閉状態を決定してもよい。すなわち、開閉状態決定部1030は、周辺の他のベッドのシェード10が閉じている場合に、第1ベッド100のシェード10を閉じることを決定してもよい。このような構成によれば例えば、第1ベッド100の使用者が何等かの原因によりストレス環境に晒され、睡眠が抑制されている場合であっても、周辺の他のベッドの使用者が眠っている場合には、当該使用者のシェード10を閉じることができる。その結果、第1ベッド100の使用者を睡眠に誘導できる。
【0100】
また、開閉状態決定部1030は、周辺の他のベッドにおける使用者の状態を参照して、第1ベッド100の開閉状態を決定してもよい。すなわち、開閉状態決定部1030は、互いに近傍に存在するベッドにより構成されるベッドグループ内において多数決を取ることにより、第1ベッド100の開閉状態を決定してよい。また、この場合、当該グループに属するベッドのシェードは、第1ベッド100と同様に開閉する。例えば、シェード10が展開する時刻前であっても、当該グループに属するベッドの使用者が過半数以上覚醒している場合には、当該グループのシェード10をすべて開状態にしてもよい。
【0101】
他機情報取得部2070aは、第2ベッドにおける使用者の快適度を参照し、快適度が所定以上である場合に、第1ベッド100のシェード10の開閉状態を第2ベッドと同様にしてもよい。この構成によれば、快適に過ごしている第2ベッドの使用者の環境を第1ベッド100に流用することで、第1ベッド100の使用者の快適度を向上できる。
【0102】
また、他機情報取得部2070aは、第2ベッドにおける使用者の快適度を所定期間に渡って参照し、快適度と対応付けて取得してもよい。所定期間は、例えば1日であってもよいし、複数日間であってもよい。他機情報取得部2070aは、使用者の快適度が所定以上高い期間を特定し、当該期間におけるシェード10の開閉態様を抽出して、第1ベッドの開閉態様として適用してもよい。開閉態様は、開状態の長さ、閉状態の長さ、開閉時刻又は開閉頻度等を含む概念である。このような構成によれば、各使用者の実際の快適度に基づいたベストプラクティスを、他の使用者、特に他のベッドグループ又は他の施設に展開でき、使用者全体の快適度を向上することができる。
【0103】
(本願発明による技術的に顕著な効果)
本発明にかかるシェード、ベッド、シェード制御装置、シェード制御方法およびシェード制御プログラムにおいては、児の快適な環境を維持しつつ、児に対する処置を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0104】
10 :シェード
20 :カバー
30 :支持部材
311 :第1貫通孔
40 :連結部材
431 :第2貫通孔
431a :大径部
431b :小径部
50 :挿通部材
70 :係合部材
100 :ベッド
110 :かご
120 :支柱
130 :足
140 :キャスタ
1000 :シェード制御装置
1010 :センサ情報取得部
1020 :状態検知部
1030 :開閉状態決定部
1040 :開閉状態取得部
1050 :シェード制御部
1060 :アラート通知部
1200 :センサ群
1210 :環境センサ
1211 :照度センサ
1212 :音センサ
1213 :風速センサ
1220 :バイタルセンサ
1221 :パルスオキシメータ
1222 :体温センサ
1223 :呼吸センサ
1224 :睡眠センサ
1300 :シェード駆動部
1400 :通知部