(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143346
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】流体機械、流体機械システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055973
(22)【出願日】2023-03-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521362885
【氏名又は名称】コベルコ・コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】池田 遼太郎
(72)【発明者】
【氏名】依田 和行
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】日常的に変化する機器情報を容易に記録できるようにする。
【解決手段】流体機械30は、変化する機器情報を記録する記録部31aと、記録部31aに記録された機器情報を出力可能な形式に変換する変換部31d,31e,31fと、変換部によって変換された機器情報を帳票作成のために所定範囲内の携帯端末10に直接出力する出力部33,34,35とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変化する機器情報を記録する記録部と、
前記記録部に記録された前記機器情報を出力可能な形式に変換する変換部と、
前記変換部によって変換された前記機器情報を所定範囲内の携帯端末に出力する出力部と
を備える、流体機械。
【請求項2】
前記変換部は、前記記録部に記録された前記機器情報を画像表示されるコードに変換するコード生成部であり、
前記出力部は、前記コード生成部によって生成された前記コードを表示する表示部である、請求項1に記載の流体機械。
【請求項3】
前記コードは、QRコードである、請求項2に記載の流体機械。
【請求項4】
前記表示部が入力インタフェースを備え、出力する前記機器情報を前記表示部にて選択する、請求項2に記載の流体機械。
【請求項5】
前記変換部は、前記記録部に記録された前記機器情報を電波送信可能な電波情報に変換する電波情報生成部であり、
前記出力部は、前記電波情報生成部によって生成された前記電波情報を前記携帯端末によって近接読み取り可能に出力する電子タグである、請求項1に記載の流体機械。
【請求項6】
前記変換部は、前記記録部に記録された前記機器情報を信号送信可能な信号情報に変換する信号情報生成部であり、
前記出力部は、前記信号情報生成部によって生成された前記信号情報を前記携帯端末が近距離受信可能に送信する近距離通信部である、請求項1に記載の流体機械。
【請求項7】
前記機器情報は、運転データ、メンテナンスデータ、および異常データの少なくとも1つを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の流体機械。
【請求項8】
前記変換部は、前記機器情報とともに前記流体機械の取り扱い方法を記載したウェブページのアドレスを出力可能な形式に変換し、
前記出力部は、前記変換部によって変換された前記アドレスを所定範囲内の携帯端末に直接出力する、請求項1から6のいずれか1項に記載の流体機械。
【請求項9】
変化する機器情報を記録する記録部、前記記録部に記録された前記機器情報を出力可能な形式に変換する変換部、および、前記変換部によって変換された前記機器情報を所定範囲内に出力する出力部を含む流体機械と、
前記流体機械の前記出力部から前記機器情報を直接取得し、予め決められた形式に従って前記機器情報が表示される帳票を作成する機能を有している携帯端末と
を備える、流体機械システム。
【請求項10】
前記携帯端末は、前記帳票において前記機器情報を直接取得した際の日時を表示する機能を有している、請求項9に記載の流体機械システム。
【請求項11】
前記携帯端末から前記機器情報を受信し、前記機器情報を蓄積するサーバをさらに備える、請求項9または10に記載の流体機械システム。
【請求項12】
請求項1から6のいずれか1項に記載の流体機械から前記機器情報を直接取得するとともに予め決められた形式に従って前記機器情報が表示される帳票を作成するように携帯端末を機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機械、流体機械システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンプレッサなどの流体機械では、保守管理において運転データやメンテナンスデータを記録する必要がある。一般に、そのような記録作業は、作業員による手書きで行われている。従って、IT(情報技術)やインターネットを利用した簡便な保守管理システムが望まれている。
【0003】
特許文献1には、コンプレッサに関する機器情報をサーバに設けられたコンプレッサごとの専用ページに記録し、サーバの各専用ページにアクセスすることで当該機器情報を閲覧可能とするコンプレッサの保守管理システムが開示されている。具体的には、コンプレッサには、QRコード(登録商標)を表示した銘板が設けられている。そして、当該QRコード(登録商標)を情報端末によって読み取り、情報端末で専用ページにアクセスし、専用ページ上で機器情報を記録および管理できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシステムでは、エンドユーザまたは作業員がインターネットを介してコンプレッサメーカの管理するサーバの専用ページにアクセスする必要がある。そのため、インターネットに接続できない環境にコンプレッサが設置されている場合や専用ページの登録および閲覧が制限される社内規則等が設けられている場合、このようなシステムを使用できない。また、銘板に表示するQRコード(登録商標)は出荷時に印字され、QRコード(登録商標)には個体識別情報のみが埋め込まれている。
【0006】
本発明は、流体機械、流体機械システム、およびプログラムにおいて、日常的に変化する機器情報を容易に記録できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は、変化する機器情報を記録する記録部と、前記記録部に記録された前記機器情報を出力可能な形式に変換する変換部と、前記変換部によって変換された前記機器情報を所定範囲内の携帯端末に出力する出力部とを備える、流体機械を提供する。
【0008】
この構成によれば、出荷後に日常的に変化する機器情報を記録および出力できる。ここで、機器情報とは、流体機械において日常的に変化する任意の情報をいう。これにより、手書きの記録作業が不要となり、作業員のメンテナンス業務またはエンドユーザの日常管理を効率化できる。また、所定範囲内の携帯端末に対して流体機械から機器情報が直接出力されるため、流体機械から機器情報を取得する際にインターネットを利用する必要がない。所定範囲とは、作業員または一般のエンドユーザが、携帯端末によって、例えば、QRコード(登録商標)の読み取り、RF(Radio Frequency)タグの読み取り、またはBluetooth通信などによって流体機械から機器情報を直接取得可能な範囲をいう。このように流体機械とのインターネット接続が不要であるため、流体機械に対するインターネット接続用の機器や配線が不要となる。さらに、社内規則などの特定規則によってインターネット上の専用ページの登録および閲覧が制限されている場合でも、上記構成の流体機械を使用可能である。なお、流体機械は圧縮機または膨張機などであってもよい。携帯端末は、一般に使用されるスマートフォンまたはタブレット端末のような汎用機器であってもよいし、流体機械から機器情報を直接取得できる専用機器であってもよい。
【0009】
前記変換部は、前記記録部に記録された前記機器情報を画像表示されるコードに変換するコード生成部であってもよく、前記出力部は、前記コード生成部によって生成された前記コードを表示する表示部であってもよい。また、前記コードは、QRコード(登録商標)であってもよい。さらに、前記表示部が入力インタフェースを備え、出力する前記機器情報を前記表示部にて選択してもよい。
【0010】
この構成によれば、流体機械の表示部に表示されたコード(例えばQRコード(登録商標))をコード読み取り機能付きの携帯端末によって読み取ることで、流体機械から携帯端末に対して機器情報を簡易に出力できる。また、携帯端末に出力する機器情報を表示部において選択できることにより、必要な機器情報を簡易に出力できる。
【0011】
前記変換部は、前記記録部に記録された前記機器情報を電波送信可能な電波情報に変換する電波情報生成部であってもよく、前記出力部は、前記電波情報生成部によって生成された前記電波情報を前記携帯端末によって近接読み取り可能に出力する電子タグであってもよい。また、前記電子タグは、RFタグまたはICタグであってもよい。ここで、近接読み取りとは、数十センチメートル以内程度の範囲での非接触の読み取りをいう。
【0012】
この構成によれば、流体機械の電子タグ(例えばRFタグまたはICタグ)から機器情報を電波情報読み取り機能付きの携帯端末によって読み取ることで、流体機械から携帯端末に対して機器情報を簡易に出力できる。
【0013】
前記変換部は、前記記録部に記録された前記機器情報を信号送信可能な信号情報に変換する信号情報生成部であってもよく、前記出力部は、前記信号情報生成部によって生成された前記信号情報を前記携帯端末が近距離受信可能に送信する近距離通信部であってもよい。また、前記近距離通信部は、Bluetooth、Wi-Fi、赤外線、無線USB、または有線USBの通信接続機能を有していてもよい。
【0014】
この構成によれば、流体機械の近距離通信部(例えばBluetooth、Wi-Fi、赤外線、無線USB、または有線USBの機能を有する構成)から近距離通信機能付きの携帯端末によって信号情報を受信することで、流体機械から携帯端末に対して機器情報を簡易に出力できる。ここで、近距離通信とは、数十メートル以内の近距離での通信をいう。
【0015】
前記機器情報は、運転データ、メンテナンスデータ、および異常データの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0016】
この構成によれば、運転データ、メンテナンスデータ、および異常データの少なくとも1つを簡易に記録できる。これらの機器情報は、流体機械において重要度が高く、簡易に記録できることは有用である。
【0017】
前記変換部は、前記機器情報とともに前記流体機械の取り扱い方法を記載したウェブページのアドレスを出力可能な形式に変換してもよく、前記出力部は、前記変換部によって変換された前記アドレスを所定範囲内の携帯端末に直接出力してもよい。
【0018】
この構成によれば、紙の取扱説明書や異常コード表を持ち歩く必要なくウェブページを参照してメンテナンス作業の箇所や方法を確認でき、異常原因と解決策を容易に判断できる。
【0019】
本発明の第2の側面は、変化する機器情報を記録する記録部、前記記録部に記録された前記機器情報を出力可能な形式に変換する変換部、および、前記変換部によって変換された前記機器情報を所定範囲内に出力する出力部を含む流体機械と、前記流体機械の前記出力部から前記機器情報を直接取得し、予め決められた形式に従って前記機器情報が表示される帳票を作成する機能を有している携帯端末とを備える、流体機械システムを提供する。
【0020】
この方法によれば、前述と同様に、日常的に変化する機器情報を容易に記録できる。また、手書き等で帳票を作成するよりも携帯端末において帳票を簡易に作成でき、帳票を作成する手間を省くことができる。
【0021】
前記携帯端末は、前記帳票において前記機器情報を直接取得した際の日時を表示する機能を有していてもよい。
【0022】
この構成によれば、機器情報の取得日時を帳票に入力する手間を省くことができる。
【0023】
前記流体機械システムは、前記携帯端末から前記機器情報を受信し、前記機器情報を蓄積するサーバをさらに備えてもよい。
【0024】
この構成によれば、サーバに機器情報を蓄積することで、ビッグデータとして活用できる。例えば、流体機械の設置エリアごとに、または、流体機械の機種ごとに、様々な傾向を分析することができる。なお、サーバと携帯端末との通信にはインターネットが利用されてもよい。
【0025】
本発明の第3の側面は、変化する機器情報を記録する記録部、前記記録部に記録された前記機器情報を出力可能な形式に変換する変換部、および、前記変換部によって変換された前記機器情報を所定範囲内に出力する出力部を含む流体機械から前記機器情報を直接取得するとともに予め決められた形式に従って前記機器情報が表示される帳票を作成するように携帯端末を機能させる、プログラムを提供する。
【0026】
この方法によれば、前述と同様に、日常的に変化する機器情報を容易に記録できる。また、手書き等で帳票を作成するよりも携帯端末において帳票を簡易に作成でき、帳票を作成する手間を省くことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、流体機械、流体機械システム、およびプログラムにおいて、日常的に変化する機器情報を容易に記録できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施形態に係る流体機械システムの概略構成図。
【
図2】第1実施形態における流体機械の概略構成図。
【
図4】第2実施形態に係る流体機械システムの概略構成図。
【
図5】第3実施形態に係る流体機械システムの概略構成図。
【
図6】第3実施形態における流体機械の概略構成図。
【
図7】第4実施形態に係る流体機械システムの概略構成図。
【
図8】第4実施形態における流体機械の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図1を参照して、流体機械システム1は、携帯端末10と、流体機械30とを含んでいる。
【0031】
携帯端末10は、一般に使用されるスマートフォンまたはタブレット端末のような汎用機器であってもよいし、流体機械30から機器情報を直接取得できる専用機器であってもよい。ここで、機器情報とは、流体機械30において日常的に変化する任意の情報をいう。詳細については後述するが、例えば、機器情報は、運転データ、メンテナンスデータ、および異常データの少なくとも1つを含む。また、携帯端末10は、そのような変化する機器情報だけでなく、流体機械30の出荷時に付される不変の個体識別情報も流体機械30から直接取得してもよい。以下では、携帯端末10として撮像部(カメラ)11を有するスマートフォンを例に説明する。
【0032】
流体機械30は、圧縮機、膨張機、または、その他流体を扱う任意の機械であり得る。以下では、流体機械30として圧縮機を例に説明する。そのため、以下では、流体機械と圧縮機に対して同一の符号30を用いる。
【0033】
圧縮機30は、スクリュ式、スクロール式、またはターボ式などの任意の形式であり得る。また、圧縮機30は、単段、2段、または3段以上の任意の段数を有し得る。ここでは、スクリュ式の単段型の圧縮機30を例に説明する。
【0034】
スクリュ式の圧縮機30は、モータ(図示せず)によって回転駆動されたスクリュロータ(図示せず)によって吸い込んだ空気を圧縮して吐出する。スクリュ式の圧縮機30では、インバータ(図示せず)によるモータの回転数制御によって運転状態が様々に変化し得る。
【0035】
本実施形態では、保守管理の対象としての流体機械30の機器情報は、運転データ、メンテナンスデータ、および異常データを含む。ただし、保守管理の対象となる機器情報は、これらに限定されるものではない。
【0036】
運転データは、圧縮機30の運転に関連するデータである。例えば、運転データは、圧力、温度、電流、電力、電圧、回転数、露点、運転時間、運転回数、負荷率、およびロード/アンロード回数などを含む。
【0037】
メンテナンスデータは、圧縮機30のメンテナンスに関連するデータである。例えば、メンテナンスデータは、メンテナンス日時、メンテナンス内容、交換部品、過去の部品交換履歴、メンテナンスまでの時間、および部品交換までの時間などを含む。
【0038】
異常データは、圧縮機30の異常に関連するデータである。例えば、異常データは、異常発生日時、異常内容、および異常時の運転データなどを含む。
【0039】
図2を参照して、圧縮機30は、各部の制御を実行するコントローラ31を有している。
【0040】
コントローラ31は、演算処理および全体の制御を行う。コントローラ31は、例えば、ソフトウェアと協働して所定の機能を実現するCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。コントローラ31は、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路または再構成可能な電子回路等のハードウェア回路で構成されてもよいし、種々の半導体集積回路で構成されてもよい。種々の半導体集積回路としては、例えば、CPU、MPUの他に、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が挙げられる。また、コントローラ31は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等の記憶装置を含んでもよい。
【0041】
本実施形態では、コントローラ31は、機能的構成として、記録部31aと、異常判断部31bと、メンテナンス判定部31cと、コード生成部31dとを含んでいる。これらは、上記ハードウェアおよびソフトウェアの協働により実現される。また、これらは、それぞれ対応する回路(circuitry)と読み替えられてもよい。
【0042】
記録部31aは、日常的に変化する機器情報を記録する部分である。本実施形態では、記録部31aには圧縮機30の個体識別情報も記録されている。
【0043】
記録部31aによって記録される運転データは、圧縮機30が備える各種センサによって測定される。
図2の例では、そのような各種センサとして、圧力センサ32a,32b、温度センサ32c~32e、電力センサ32f、流量センサ32g、および負荷率センサ32hが設けられている。
【0044】
圧力センサ32aでは吐出圧力が測定され、圧力センサ32bでは吸込圧力が測定される。温度センサ32cでは吐出温度が測定され、温度センサ32dでは吸込温度が測定され、温度センサ32eではモータコイル温度が測定される。電力センサ32fでは圧縮機30の消費電力が測定される。流量センサ32gでは圧縮機30を流れる空気の流量が測定される。負荷率センサ32hでは圧縮機30の負荷率が測定される。
【0045】
上記の各種センサは単なる例示であり、代替的な構成が許容される。例えば、インバータの電流値やスクリュロータの回転数を測定するセンサを設け、消費電力や負荷率の算出を行ってもよい。
【0046】
異常判断部31bは、センサ32a~32hによって測定された値が適正な範囲から外れているか否かを判断する部分である。異常判断部31bは、センサ32a~32hによって測定された値が適正な範囲から外れている場合には異常が発生していると判断し、そうでない場合には異常が発生していないと判断する。異常判断部31bによって異常が発生していると判断されると、そのときの対応する運転データ、異常内容、および異常発生日時等が異常データとして記録部31aに記録される。
【0047】
メンテナンス判定部31cは、圧縮機30がメンテナンスを必要とする状態であるか否かを判断する部分である。メンテナンス判定部31cは、前回メンテナンスから所定時間経過した場合や特定の部品の交換時期が到来した場合などにメンテナンスが必要であると判断し、そうでない場合にはメンテナンス不要であると判断する。メンテナンスが必要であると判断され、メンテナンスが実際に行われると、記録部31aにメンテナンス日時やメンテナンス内容などのメンテナンスデータが記録される。
【0048】
コード生成部31dは、記録部31aに記録された機器情報を画像表示されるコードに変換する。本実施形態におけるコード生成部31dは、記録部31aに記録された機器情報を出力可能な形式に変換する変換部の一例である。コードは、QRコード(登録商標)またはバーコード等であり得る。ここでは、コードがQRコードである場合を例に説明する。
【0049】
本実施形態では、圧縮機30は、各種情報を表示可能な表示部33を含んでいる。例えば、表示部33は、圧縮機30の外面に設けられたディスプレイである。表示部33としてのディスプレイは、情報入力可能なタッチパネルで構成されてもよい。表示部33または携帯端末10からの要求により、表示部33には、コード生成部31dによって生成されたQRコード(登録商標)が表示される。表示部33に表示されたQRコード(登録商標)を携帯端末10のカメラ11で読み取ることによって、携帯端末10で機器情報を取得できる。なお、本実施形態における表示部33は、コード生成部31dによってQRコード(登録商標)に変換された機器情報を所定範囲内の携帯端末10に直接出力する出力部の一例である。
【0050】
本実施形態では、携帯端末10は、圧縮機30から機器情報を直接取得し、予め決められた形式に従って機器情報が表示される帳票を作成する機能を有している。即ち、携帯端末10には、圧縮機30から機器情報を読み取り、機器情報から帳票を自動的に作成するためのプログラムがインストールされている。代替的には、当該プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体(記録媒体)に格納されており、必要に応じて当該媒体から読み出されて携帯端末10において使用されてもよい。帳票は、機器情報が表示されていればよく、例えば、機器情報を配列表示することで表形式となっている。例えば、圧縮機30から読み取られる機器情報が、複数の機器情報のデータが連続する数字列である場合、プログラムは、当該連続する数字列を分割し、特定の機器情報に対応するデータに変換し、予め決められた形式に従って、特定の機器情報のデータごとに配列表示させ、機器情報を表示する帳票を作成する。また、例えば、圧縮機30から読み取られる機器情報が、特定の機器情報の項目と対応する機器情報の数値データとの組み合わせの集合である場合、プログラムは、当該集合を分割し、特定の機器情報の項目と対応する機器情報の数値データとの組み合わせに変換し、予め決められた形式に従って、特定の機器情報のデータごとに配列表示させ、機器情報を表示する帳票を作成する。
【0051】
図3を参照して、携帯端末10で取得した機器情報は、携帯端末10の画面上で帳票の形式で表示される。帳票に記載される機器情報は、既定のデータであってもよいし、作業者が任意に選択できるデータであってもよい。
【0052】
日報、週報、または月報等の特定期間の運転データを帳票に記載する場合は、運転データおよび個体識別情報が既定のデータとして帳票に自動的に表示されるように設定されてもよい。また、異常原因を帳票に記載する場合、運転データ、異常データ、個体識別情報、および圧縮機30の各種設定データが既定のデータとして帳票に自動的に表示されるように設定されてもよい。メンテナンス履歴を帳票に記載する場合、メンテナンスデータおよび個体識別情報が既定のデータとして帳票に自動的に表示されるように設定されてもよい。
【0053】
圧縮機30の表示部33が入力インタフェースを備え、帳票に表示するデータの選択を表示部33にて受け付けることができるようにしてもよい。すなわち、圧縮機30の表示部33にて帳票に表示するデータの選択を行った後、表示部33を介してコード生成部31dにコード作成信号を送信し、コード生成部31dにQRコード(登録商標)を作成させる。その後、帳票に表示するために選択された任意のデータがエンコードされたQRコード(登録商標)が表示部33に表示される。代替的には、そのようなデータは、携帯端末10で読み取る際に必要な機器情報の選択を受け付けるようにしてもよいし、機器情報を携帯端末10に蓄積するとともに蓄積された機器情報から携帯端末10上で選択を受け付けるようにしてもよい。
【0054】
再び
図3を参照して、本実施形態では、帳票の例として、吐出圧力、吸込圧力、吐出温度、吸込温度、モータコイル温度、1時間あたりの消費電力、1時間あたりの流量、負荷率、メンテナンス日時、および異常データなしの結果が機器情報として記載される帳票を携帯端末10の画面上に表示している。当該帳票において、運転データとして、吐出圧力、吸込圧力、吐出温度、吸込温度、モータコイル温度、1時間あたりの消費電力、1時間あたりの流量、および負荷率を示し、メンテナンスデータとしてメンテナンス日時を示し、異常データとして異常データなしの結果を示している。例えば、機器情報のデータが数値データの場合は、項目名(吐出圧力、吸込圧力等)と項目名に対応する数値データを一列に表示し、機器情報のデータが文字列の場合は、当該文字列のみを一列に表示することができる。
【0055】
本実施形態では、携帯端末10は、上記帳票において機器情報を直接取得した際の日時(作成日時または記録日時)を表示する機能を有している。例えば、当該機能は、前述のプログラムによって達成され得る。
【0056】
図3の携帯端末10の画面上では、「戻る」のボタンと、「ファイル出力」のボタンとが併せて表示されている。「戻る」のボタンを押下すると、QRコード(登録商標)の読み取り画面に戻る。「ファイル出力」のボタンを押下すると、所定のファイル形式で帳票を出力できる。
【0057】
表示部33に表示されるQRコード(登録商標)には、圧縮機30の取り扱い方法を記載したウェブページのアドレスの情報が含まれていてもよい。当該ウェブページのアドレスは、コード生成部31dによって上記QRコード(登録商標)に変換され得る。当該アドレスは、携帯端末10の画面上でURL(Uniform Resource Locator)として表示され、エンドユーザまたは作業員は当該URLを参照し、該当するウェブページに容易にアクセスできる。これにより、紙の取扱説明書や異常コード表を持ち歩く必要なくウェブページを参照してメンテナンス作業の箇所や方法を確認でき、異常原因と解決策を容易に判断できる。
【0058】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0059】
圧縮機30の出荷後に日常的に変化する機器情報を記録および出力できる。これにより、手書きの記録作業が不要となり、作業員のメンテナンス業務やエンドユーザの日常管理が効率化される。また、所定範囲内の携帯端末10に対して圧縮機30の機器情報を直接出力するため、圧縮機30から機器情報を取得する際にインターネットを利用する必要がない。このように圧縮機30からのインターネット接続が不要であるため、圧縮機30に対するインターネット接続用の機器や配線が不要となる。さらに、特定の規則等によってインターネット上の専用ページの登録および閲覧が制限されている場合でも問題ない。
【0060】
また、携帯端末10の撮像部11によって圧縮機30の表示部33に表示されたQRコードを読み取るという簡易な操作で、圧縮機30から携帯端末10に対して機器情報を簡易に出力できる。
【0061】
また、機器情報として、運転データ、メンテナンスデータ、および異常データを含むが、これらは圧縮機30において重要度が高く、簡易に記録できることは有用である。
【0062】
また、携帯端末10において帳票を自動的に作成できるため、帳票を作成する手間を省くことができる。このとき、帳票には記録日時または作成日時(即ち機器情報の取得日時)も自動的に表示されるため、記録日時または作成日時の入力の手間を省くこともできる。
【0063】
(第2実施形態)
図4に示す本実施形態の流体機械システム1は、携帯端末10と、サーバ20と、流体機械30とを含んでいる。流体機械システム1は、サーバ20を含む点以外は、第1実施形態と実質的に同じである。従って、第1実施形態にて示した部分については説明を省略する場合がある。
【0064】
サーバ20は、例えばパーソナルコンピュータのような情報処理装置またはクラウドサーバとして構成される公知の機器である。サーバ20は、携帯端末10から流体機械30の機器情報を受信し、当該機器情報を蓄積する。また、サーバ20は、変化する機器情報だけでなく不変の個体識別情報も受信および蓄積してもよい。サーバ20と携帯端末10との間の情報通信は、インターネット等のネットワークNを介して行われる。例えば、前述のプログラムが、携帯端末10からサーバ20へと機器情報を送信するように携帯端末10を機能させることにより達成され得る。携帯端末10において作成された帳票が携帯端末10からサーバ20へと送信されてもよい。
【0065】
本実施形態によれば、流体機械システム1はサーバ20を含むため、サーバ20に機器情報を蓄積することで、ビッグデータとして活用できる。例えば、圧縮機30の設置エリアごとに、または、圧縮機30の機種ごとに、様々な傾向を分析することができる。
【0066】
(第3実施形態)
図5,6に示す本実施形態の流体機械システム1は、変換部および出力部の態様が第1実施形態とは異なる。これらに関する部分以外は、第2実施形態と実質的に同じである。従って、第1,2実施形態にて示した部分については説明を省略する場合がある。
【0067】
本実施形態における変換部は、記録部31aに記録された機器情報を電波送信可能な電波情報に変換する電波情報生成部31eである。電波情報生成部31eは、第1実施形態のコード生成部31dと同様にコントローラ31の機能的構成の一つであり、コントローラ31のハードウェアおよびソフトウェアの協働により実現される。また、これは、対応する回路(circuitry)と読み替えられてもよい。
【0068】
本実施形態における出力部は、電波情報生成部31eによって生成された電波情報を携帯端末10によって近接読み取り可能に出力する電子タグ34である。電子タグ34は、RF(Radio Frequency)タグまたはIC(Integrated Circuit)タグのような電波を用いて非接触で情報を出力可能な機器である。電子タグ34は、圧縮機30の外面に設けられており、対応する近接読み取り機能を有する携帯端末10で機器情報を読み取ることができる。図示の例では、携帯端末10は、専用の読み取り機器となっている。ここで、近接読み取りとは、数十センチメートル以内程度の範囲での非接触の読み取りをいう。
【0069】
本実施形態によれば、携帯端末10によって圧縮機30の電子タグ34から機器情報を読み取ることで、圧縮機30から携帯端末10に対して機器情報を簡易に出力できる。なお、サーバ20およびネットワークNは省略されてもよい。
【0070】
(第4実施形態)
図7,8に示す本実施形態の流体機械システム1は、変換部および出力部の態様が第1実施形態とは異なる。これらに関する部分以外は、第2実施形態と実質的に同じである。従って、第1,2実施形態にて示した部分については説明を省略する場合がある。
【0071】
本実施形態における変換部は、記録部31aに記録された機器情報を信号送信可能な信号情報に変換する信号情報生成部31fである。信号情報生成部31fは、第1実施形態のコード生成部31dと同様にコントローラ31の機能的構成の一つであり、コントローラ31のハードウェアおよびソフトウェアの協働により実現される。また、これは、対応する回路(circuitry)と読み替えられてもよい。
【0072】
本実施形態における出力部は、信号情報生成部31fによって生成された信号情報を携帯端末10が近距離受信可能に送信する近距離通信部35である。近距離通信部35は、Bluetooth、Wi-Fi、赤外線、無線USB(Universal Serial Bus)、または有線USB(Universal Serial Bus)の通信接続機能を有している。近距離通信部35は、圧縮機30の外面または内部に設けられており、機器情報を携帯端末10に向けて送信することができる。即ち、対応する通信機能を有する携帯端末10によって、機器情報を受信することができる。図示の例では、携帯端末10は、対応する通信機能を有する一般のスマートフォンとなっている。
【0073】
本実施形態によれば、携帯端末10によって流体機械の近距離通信部35から機器情報を受信することで、圧縮機30から携帯端末10に対して機器情報を簡易に出力できる。なお、サーバ20およびネットワークNは省略されてもよい。
【0074】
以上より、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、個々の実施形態の内容を適宜組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 流体機械システム
10 携帯端末
11 撮像部(カメラ)
20 サーバ
30 圧縮機(流体機械)
31 コントローラ
31a 記録部
31b 異常判断部
31c メンテナンス判定部
31d コード生成部(変換部)
31e 電波情報生成部(変換部)
31f 信号情報生成部(変換部)
32a,32b 圧力センサ
32c,32d,32e 温度センサ
32f 電力センサ
32g 流量センサ
32h 負荷率センサ
33 表示部(出力部)
34 電子タグ(出力部)
35 近距離通信部(出力部)