(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143348
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】印刷方法
(51)【国際特許分類】
D06P 5/26 20060101AFI20241003BHJP
D06P 1/44 20060101ALI20241003BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
D06P5/26
D06P1/44 Z
B41M5/00 114
B41M5/00 120
B41M5/00 100
B41M5/00 132
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055977
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅本 匠
(72)【発明者】
【氏名】井上 千智
(72)【発明者】
【氏名】増岡 輝
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 大貴
(72)【発明者】
【氏名】松山 真里奈
(72)【発明者】
【氏名】先山 丈介
【テーマコード(参考)】
2H186
4H157
【Fターム(参考)】
2H186AB02
2H186AB05
2H186AB06
2H186AB08
2H186AB13
2H186AB15
2H186AB23
2H186BA08
2H186DA17
4H157AA02
4H157BA15
4H157DA01
4H157EA90
4H157FA17
4H157FA43
4H157FA46
4H157GA04
4H157GA11
4H157JA10
4H157JA14
4H157JB03
(57)【要約】
【課題】ラメ材の配置の自由度を高めることができる印刷方法を提供する。
【解決手段】印刷方法は、顔料インクを吐出して画像Aを形成する画像形成工程と、ラメ材Bを配置するラメ材配置工程と、前記カラー画像A2が形成され、且つ、前記ラメ材Bが配置された布帛Cに熱処理を加える熱処理工程と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料インクを吐出して画像を形成する画像形成工程と、
ラメ材を配置するラメ材配置工程と、
前記画像が形成され、且つ、前記ラメ材が配置された布帛に熱処理を加える熱処理工程と、
を備える、印刷方法。
【請求項2】
前記画像形成工程では、前記布帛に前記顔料インクを吐出して前記画像を形成し、
前記ラメ材配置工程では、前記画像が形成された前記布帛に前記ラメ材を配置する、
請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記画像形成工程は、樹脂を含む下地インクを前記布帛に吐出する工程、及び、前記下地インクとは異なる色のカラーインクを前記下地インクが吐出された前記布帛に吐出する工程を含んでいる、
請求項2に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記ラメ材配置工程では、シートに前記ラメ材を配置し、前記ラメ材が配置された前記シートの面を前記画像が形成された前記布帛に当接させる、
請求項2又は3に記載の印刷方法。
【請求項5】
前記ラメ材配置工程では、フィルムの表面に前記ラメ材を配置し、
前記画像形成工程では、前記ラメ材が配置された前記フィルムに前記顔料インクを吐出して前記画像を形成し、
前記画像が形成された前記フィルムに接着剤を付けて接着面を形成する接着面形成工程を備え、
前記熱処理工程では、前記フィルムの前記接着面が前記布帛に当接した状態で前記布帛及び前記フィルムに熱処理を加える、
請求項1に記載の印刷方法。
【請求項6】
前記画像形成工程は、カラーインクを前記ラメ材が配置された前記フィルムに吐出する工程、及び、前記カラーインクとは異なる色であり且つ樹脂を含む下地インクを前記カラーインクが吐出された前記フィルムに吐出する工程を含んでいる、
請求項5に記載の印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラメ材が付された画像を布帛に形成する印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラメ材が付された画像を布帛に形成する方法として、例えば、下記特許文献1の転写紙を用いる方法が知られている。この転写紙は、ベースシート上にラメ入りカバー層及び接着剤含有インク受容層を順に積層し、この接着剤含有インク受容層に逆像の画像が印刷されることにより形成される。そして、転写紙の印刷面を布帛に当接させた状態で転写紙がアイロンにより加熱されることにより印刷画像が転写紙から布帛に転写される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の転写紙におけるラメ入りカバー層は、透明な合成樹脂中にラメを分散させた透明フィルムである。このように、ラメ剤がカバー層に分散されているため、印刷画像の一部など、部分的にラメ剤を配置することが困難である。
【0005】
そこで、本開示は、ラメ材の配置の自由度を高めることができる印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様に係る印刷方法は、顔料インクを吐出して画像を形成する画像形成工程と、ラメ材を配置するラメ材配置工程と、前記画像が形成され、且つ、前記ラメ材が配置された布帛に熱処理を加える熱処理工程と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ラメ材は液体及び樹脂などに配合されずに配置されることにより、ラメ材を画像などに合わせて容易に配置でき、ラメ材の配置の自由度を高めることができる。
【0008】
本開示の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る印刷方法の一例を示すフローチャートである。
【
図2】前処理工程において前処理液を第1付与装置により布帛に付与する図である。
【
図3】前処理工程において布帛を乾燥装置により乾燥する図である。
【
図4】画像形成工程において顔料インクを印刷装置により布帛に吐出する図である。
【
図5】ラメ材配置工程においてラメ材をシートを介して布帛に配置する図である。
【
図6】布帛とシートとの間における下地、カラー画像及びラメ材の配置を概略的に示す図である。
【
図7】熱処理工程において布帛を熱処理装置により加熱する図である。
【
図8】洗濯工程において布帛を洗濯機により洗濯する図である。
【
図9】変形例に係る印刷方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】ラメ材配置工程においてラメ材をフィルムに配置する図である。
【
図11】画像形成工程において顔料インクを印刷装置によりフィルムに吐出する図である。
【
図12】接着面形成工程において接着剤を第2付与装置によりフィルムに付与する図である。
【
図13】接着面形成工程においてフィルム上の接着剤を加熱装置により加熱する図である。
【
図14】ラメ材が配置されたフィルムを布帛に重ね合わせる図である。
【
図15】布帛とフィルムとの間における接着層、下地、カラー画像及びラメ材の配置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では、全ての図面を通じて同一又は対応する要素には同一の参照符号を付している。
【0011】
本開示の一実施の形態に係る印刷方法は、
図6に示すように、顔料インクを吐出して画像Aを形成する画像形成工程と、ラメ材Bを配置するラメ材配置工程と、画像Aが形成され、且つ、ラメ材Bが配置された布帛Cに熱処理を加える熱処理工程と、を備えている。
【0012】
具体的には、印刷方法は、例えば、
図1に示すフローチャートの一例に従って実行される。以下では、布帛CとしてTシャツを用いた場合について説明するが、布帛CはTシャツに限定されない。例えば、布帛Cは、木綿及び絹などの天然繊維、並びに、ナイロン及びレーヨンなどの化学繊維など、繊維による織物である。
【0013】
まず、
図2に示すように、布帛Cに画像A(
図6)を定着するための前処理工程が実行される(ステップS1)。この前処理工程では、前処理液が第1付与装置10により布帛Cに付与される。前処理液は、多価金属塩、有機酸、水などを含んでいる。
【0014】
第1付与装置10は、前処理液を付与するスプレーヘッド10aを備えている。この第1付与装置10は、画像形成工程に用いられる印刷装置11(
図4)とは別に設けられた装置であってもよいし、印刷装置11であってもよい。この第1付与装置10が印刷装置11である場合には、印刷装置11は、顔料インクを吐出するヘッドに加えて、前処理液を付与するスプレーヘッド10aを有している。なお、前処理液の付与は、スプレーヘッド10aからの前処理液の噴霧に限定されず、例えばインクジェットヘッドからの前処理液の吐出、スタンプ、刷毛又はローラによる前処理液の塗布などの方法が用いられる。
【0015】
前処理液の付与範囲Dは、画像形成工程における画像A(
図4)の形成範囲を含んでいる。この前処理液の付与範囲Dでは、前処理液によって、布帛Cにおける繊維同士の間隙に膜が形成されるため、布帛Cに対する画像Aの密着性が向上する。また、前処理液の付与範囲Dでは、布帛Cに付着した前処理液によって、画像Aの発色が向上する。
【0016】
さらに、前処理工程では、
図3に示すように、前処理液の付与後に、布帛Cにおける前処理液が乾燥装置12により乾燥される。この乾燥装置12にはヒートプレス機が用いられる。ヒートプレス機は、プレスプレート又はプレスローラなどのプレス部12aを有している。高温の一対のプレス部12aにより、前処理液が付与された布帛Cが挟まれた状態で加熱されて乾燥し、前処理液の含有成分が布帛Cに定着する。なお、乾燥装置12はヒートプレス機に限定されず、例えばオーブンなど、前処理液が付与された布帛Cを加熱する装置が用いられてもよい。このオーブンが乾燥装置12として用いられる場合、オーブン内の高温空間において前処理液が付与された布帛Cが加熱されて乾燥し、前処理液の含有成分が布帛Cに定着する。
【0017】
続いて、
図4に示すように、布帛Cに顔料インクを吐出して画像Aを形成する画像形成工程が実行される(ステップS2)。画像形成工程は、樹脂を含む下地インクを布帛Cに吐出する工程、及び、下地インクとは異なる色のカラーインクを下地インクが吐出された布帛Cに吐出する工程を含んでいる。
【0018】
具体的には、顔料インクは、顔料を色材として含むインクであって、下地インク及びカラーインクを含み、印刷装置11により吐出される。この印刷装置11は、例えばインクジェットプリンタであって、顔料インクを吐出するインクジェットヘッドを有している。このインクジェットヘッドは、下地インクを吐出する下地ヘッド11a、及び、カラーインクを吐出するカラーヘッド11bを有している。
【0019】
画像形成工程では、印刷装置11が、下地インクを下地ヘッド11aから吐出させて、下地A1を布帛C上に形成する。それから、印刷装置11が、カラーインクをカラーヘッド11bから吐出させて、下地A1上にカラー画像A2を形成する。このように形成された下地A1及び下地A1上に積層されたカラー画像A2は、画像Aを構成する。
【0020】
下地インクは、例えば白色などの顔料を含み、カラーインクは、下地インクとは異なる色の顔料を含む。カラーインクとしては、例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクが挙げられる。
【0021】
さらに、顔料インクは、顔料に加えて、水などの溶媒、及び、樹脂を含有している。樹脂は、例えば、微粒子形状で顔料インクに配合されており、顔料インクに粘性を付与する機能と共に、顔料及びラメ材Bを布帛Cに定着させる機能を有している。樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂などが挙げられる。ウレタン樹脂及びアクリル樹脂の少なくとも一方を含む顔料インクは、画像Aを形成したインクの洗濯堅牢性を向上することができる。
【0022】
布帛Cに対するラメ材Bの定着力を向上するには、例えば、樹脂によるラメ材Bの保持力が向上することが考えられる。樹脂によるラメ材Bの保持力を向上させるには、樹脂量が多くなれば良い。例えば、カラーインクだけ吐出するよりも樹脂を含む下地インクと樹脂を含むカラーインクを吐出することが考えられる。下地インクはカラーインクの吐出量によらず一定の吐出量で塗布される場合が多く、下地インクとカラーインクとを吐出することにより、画像Aの形成範囲における樹脂の量が多くなりやすい。さらに、布帛Cの色及び材質の影響を低減するために、カラーインクの吐出量よりも下地インクの吐出量が多くなりやすいために、画像Aの形成範囲における樹脂の量が多くなりやすい。また、下地インクにおける樹脂の含有率が、カラーインクにおける樹脂の含有率よりも大きくても、画像Aの形成範囲における樹脂の量が多くなりやすい。なお、インクにおける樹脂の含有率が高いと、インクの粘度が高くなりやすい。これによりインクがインクジェットヘッドにより吐出される場合には、粘度が高いことによりインクの不吐出になりやすい。また粘度が高くなることを抑えるために、水の含有率、顔料の含有率を変化させると、形成した画像の色が薄くなるなど画質の低下を起こす可能性がある。従って、形成される画像の色によらずに一定の量の下地インクが吐出されることにより、画質の低下を抑えつつ、布帛Cに対するラメ材Bの定着力を向上することができる。なお、カラーインクには必ずしも樹脂が含まれなくてもよい。
【0023】
続いて、
図5に示すように、画像Aが形成された布帛Cにラメ材Bを配置するラメ材配置工程が実行される(ステップS3)。ラメ材配置工程は、シート13にラメ材Bを配置し、ラメ材Bが配置されたシート13の面を画像Aが形成された布帛Cに当接させる。
【0024】
具体的には、ユーザは、容器B1内のラメ材Bを刷毛14に付けて、ラメ材Bを容器B1からシート13の表面13a上に移動させる。それから、ユーザは、ラメ材Bの位置を画像Aに合わせるように、ラメ材Bを刷毛14によりシート13の表面13a上において移動させる。例えば、画像Aの全体に分散するようにラメ材Bはシート13上に配置されてもよいし、画像Aの一部を覆うようにラメ材Bはシート13上に配置されてもよい。このように、ラメ材Bの配置はシート13上で調整されるため、ラメ材Bの配置の自由度を高めることができる。
【0025】
なお、ラメ材Bの配置は刷毛14を用いた場合に限定されない。例えば、ユーザは、ラメ材Bを画像Aの全体に分散して配置する場合には、孔の開いたラメ材Bの収容容器から、ラメ材Bをシート13の表面13a上に振りかけてもよい。これにより、ラメ材Bをシート13上の広い範囲に分散して容易に配置することができる。また、ラメ材Bの配置に、ラメ材Bを画像A上に振りかける装置が用いられてもよい。
【0026】
ラメ材Bは、光沢を有する小片であって、薄板状及び粒子状などの形状を有し、金属及び樹脂などの材料により形成されている。このラメ材Bは液体及び樹脂などに配合されずにシート13上に配置されることにより、シート13上を移動し易い。このように、ラメ材Bの配置は、液体及び樹脂などの影響を受けないため、ラメ材Bの配置の自由度を高めることができる。
【0027】
シート13は、熱処理工程の加熱に対する耐熱性を有しており、例えばアルミニウムなどの金属、紙、及び、PET樹脂などの樹脂などにより形成されている。さらに、シート13は、低粘着性及び帯電し易い性質を有していてもよい。この場合、シート13は、シリコン樹脂及びフッ素樹脂などを含んでいてもよい。これにより、ラメ材Bは、静電引力によりシート13に付着するが、シート13に張り付かずにシート13上を移動し易いため、ラメ材Bの配置の自由度を高めることができる。
【0028】
そして、ラメ材Bがシート13の表面13a上に配置されると、その表面13aを下に向けてシート13を布帛C上に重ね合わせる。これにより、表面13a上のラメ材Bは、布帛C上の画像Aに当接し、画像Aのカラー画像A2に付着する。ここで、ラメ材Bが静電引力によりシート13の表面13aに付着しているため、ラメ材Bの配置を維持しながら、ラメ材Bを画像Aの所望の位置に配置することができる。なお、ユーザは、布帛Cの画像Aを下に向けて、上に向いたシート13の表面13a上に重ね合わせてもよい。これにより、表面13a上のラメ材Bが布帛C上の画像Aに当接し、画像A上の所望の位置に配置される。
【0029】
続いて、
図7に示すように、ラメ材Bが配置された布帛Cに熱処理を加える熱処理工程が実行される(ステップS4)。この熱処理工程には熱処理装置15としてヒートプレス機が用いられる。ヒートプレス機は、プレス板又はプレスローラなどのプレス部15aを有している。
図6に示すように、熱処理工程では、画像A及びラメ材Bがシート13と布帛Cとの間に挟まれた状態で、シート13及び布帛Cが一対の高温のプレス部15aに挟まれて加熱及び加圧される。
【0030】
これにより、画像Aを形成する顔料インクの樹脂は、軟化してラメ材Bに保持した状態で布帛Cに定着する。これにより、ラメ材Bは、その表面が画像Aのカラー画像A2から現れた状態で画像Aと共に布帛Cに定着する。なお、熱処理装置15はヒートプレス機に限定されず、例えばオーブンなどの加熱装置が用いられてもよい。オーブンが熱処理装置15として用いられる場合、熱処理では、オーブン内の高温空間において、ラメ材Bが画像Aに当接した布帛Cが加熱されて、ラメ材B及び画像Aが布帛Cに定着する。
【0031】
続いて、
図8に示すように、熱処理が加えられた布帛Cを洗濯する洗濯工程が実行される(ステップS5)。この洗濯工程において、布帛C上からシート13が取り外されてから、布帛Cが洗濯機16で水などの溶剤により洗濯される。これにより、画像A、及び、画像Aの樹脂により保持されているラメ材Bは布帛C上に残ったまま、布帛Cに定着していない前処理液の含有線成分、及び、画像Aの樹脂により保持されていないラメ材Bなど不要物が布帛Cから除去される。なお、
図1のフローチャートにおいて洗濯工程は省略されてもよい。
【0032】
さらに、洗濯工程では、洗濯された布帛Cが洗濯機16の乾燥機能により乾燥されてもよい。これにより、布帛Cに残留する溶剤が気化し、画像A及びラメ材Bが定着した状態で布帛Cが乾燥する。なお、布帛Cを乾燥させる乾燥機は、洗濯機16とは別の装置であってもよい。
【0033】
上記の通り、印刷方法は、顔料インクを吐出して画像Aを形成する画像形成工程と、ラメ材Bを配置するラメ材配置工程と、画像Aが形成され、且つ、ラメ材Bが配置された布帛Cに熱処理を加える熱処理工程と、を備えている。これにより、ラメ材Bは液体及び樹脂などに配合されずに配置されるため、液体などに影響されずに容易にラメ材Bの位置が調整されるため、ラメ材Bの配置の自由度を高めることができる。
【0034】
<変形例>
図1のフローチャートに示すように、DTG(Direct to Garment)などの印刷方法によれば画像Aが布帛Cに直接に形成された。但し、画像Aの形成方法はこれに限定されない。例えば、DTF(Direct To Film)などの印刷方法により、画像Aがフィルム19に形成されてから布帛Cに転写されてもよい。
【0035】
具体的には、フィルム19は、熱処理工程の加熱に対する耐熱性を有しており、例えばアルミニウムなどの金属、紙、及び、PET樹脂などの樹脂などにより形成されている。また、印刷方法は、
図9に示すフローチャートの一例に従って実行される。この印刷方法では、まず、
図10に示すように、フィルム19の表面19aにラメ材Bを配置するラメ材配置工程が実行される(ステップS11)。この
図9のステップS11のラメ材配置工程は、
図1のステップS3のラメ材配置工程と同様に、ラメ材Bは画像Aに合わせてフィルム19の表面19a上に刷毛14により配置される。ここで、ラメ材Bは液体及び樹脂などに配合されずにフィルム19上に配置されることにより、画像Aに合わせて自由に配置されるため、ラメ材Bの配置の自由度を高めることができる。
【0036】
続いて、
図11に示すように、ラメ材Bが配置されたフィルム19に顔料インクを吐出して画像Aを形成する画像形成工程が実行される(ステップS12)。画像形成工程は、カラーインクをラメ材Bが配置されたフィルム19に吐出する工程、及び、カラーインクとは異なる色であり且つ樹脂を含む下地インクをカラーインクが吐出されたフィルム19に吐出する工程を含んでいる。この顔料インク、及び、顔料インクを吐出する印刷装置11は、
図1のステップS2の画像形成工程で用いられた顔料インク及び印刷装置11とそれぞれ同様である。
【0037】
印刷装置11は、ラメ材Bが配置されたフィルム19の表面19a上にカラーインクをカラーヘッド11bから吐出させて、カラー画像A2が形成される。このカラー画像A2に、表面19a上のラメ材Bが付着する。また、カラー画像A2は、布帛Cへの転写により反転されるため、鏡像で形成される。それから、印刷装置11は、下地インクを下地ヘッド11aから吐出させて、下地A1をカラー画像A2上に形成する。この下地A1は、カラー画像A2の全体を覆う。このようにフィルム19上に形成されたカラー画像A2及び下地A1は、画像Aを構成する。
【0038】
布帛Cに対するラメ材Bの定着力を向上するには、例えば、樹脂によるラメ材Bの保持力が向上することが考えられる。樹脂によるラメ材Bの保持力を向上させるには、樹脂量が多くなれば良い。例えば、カラーインクだけ吐出するよりも樹脂を含む下地インクと樹脂を含むカラーインクを吐出することが考えられる。下地インクはカラーインクの吐出量によらず一定の吐出量で塗布される場合が多く、下地インクとカラーインクとを吐出することにより、画像Aの形成範囲における樹脂の量が多くなりやすい。さらに、布帛Cの色及び材質の影響を低減するために、カラーインクの吐出量よりも下地インクの吐出量が多くなりやすいために、画像Aの形成範囲における樹脂の量が多くなりやすい。また、下地インクにおける樹脂の含有率が、カラーインクにおける樹脂の含有率よりも大きくても、画像Aの形成範囲における樹脂の量が多くなりやすい。なお、インクにおける樹脂の含有率が高いと、インクの粘度が高くなりやすい。これによりインクがインクジェットヘッドにより吐出される場合には、粘度が高いことによりインクの不吐出になりやすい。また粘度が高くなることを抑えるために、水の含有率、顔料の含有率を変化させると、形成した画像の色が薄くなるなど画質の低下を起こす可能性がある。従って、形成される画像の色によらずに一定の量の下地インクが吐出されることにより、画質の低下を抑えつつ、布帛Cに対するラメ材Bの定着力を向上することができる。なお、カラーインクには必ずしも樹脂が含まれなくてもよい。
【0039】
続いて、
図12に示すように、画像Aが形成されたフィルム19に接着剤Eを付けて接着面E1(
図13)を形成する接着面形成工程が実行される(ステップS13)。例えば、接着剤Eは、粉末状であって、ホットメルトタイプである。接着剤Eがフィルム19の表面19aに第2付与装置17により振りかけられると、接着剤Eは、フィルム19の表面19a上の画像Aに付着する。それから、フィルム19を振ったり弾いたりすることにより、画像Aに付着していない余分な接着剤Eがフィルム19上から除去される。
【0040】
それから、
図13に示すように、フィルム19上の接着剤Eが、オーブンなどの加熱装置18により加熱される。ここで、フィルム19がオーブン内の高温空間において加熱されると、フィルム19上の画像Aに付着した接着剤E(
図12)が溶けて、接着層E2が画像A上に形成される。この接着層E2の下面は画像Aに接着し、接着層E2の上面は画像Aの接着面E1を構成する。接着層E2は透光性を有し、接着層E2を介して画像Aを視認可能である。
【0041】
続いて、
図14に示すように、ラメ材Bが配置された布帛Cに熱処理を加える熱処理工程が実行される(ステップS14)。この熱処理工程では、ユーザは、
図14及び
図15に示すように、接着面E1を下に向けてフィルム19を布帛C上に重ね合わせ、接着面E1を布帛Cに当接させる。これにより、鏡像の画像Aは反転される。なお、ユーザは、接着面E1を上に向けたフィルム19上に布帛Cを重ね合わせて、接着面E1を布帛Cに当接させてもよい。
【0042】
そして、接着層E2、画像A及びラメ材Bがフィルム19と布帛Cとの間に挟まれた状態で、フィルム19及び布帛Cが一対の高温のプレス部15aに挟まれて加熱及び加圧される。これにより、画像Aを形成する顔料インクの樹脂は軟化してラメ材Bを保持した状態で接着面E1が布帛Cに接着されることにより、ラメ材Bが画像Aと共に布帛Cに定着する。
【0043】
続いて、
図8に示すように、熱処理が加えられた布帛Cを洗濯する洗濯工程が実行される(ステップS15)。この洗濯工程は、
図1のステップS5の洗濯工程と同様である。このため、布帛C上からフィルム19が取り外されてから、布帛Cが洗濯機16で水などの溶剤により洗濯されることにより、画像A及びラメ材Bが布帛C上に定着した状態で、不要物が布帛Cから除去される。そして、洗濯された布帛Cが乾燥される。なお、
図9のフローチャートにおいて洗濯工程は省略されてもよい。
【0044】
この場合も、印刷方法は、顔料インクを吐出して画像Aを形成する画像形成工程と、ラメ材Bを配置するラメ材配置工程と、画像Aが形成され、且つ、ラメ材Bが配置された布帛Cに熱処理を加える熱処理工程と、を備えている。これにより、ラメ材Bは液体及び樹脂などに配合されずに配置されるため、液体などにより影響されずに容易にラメ材Bの位置が調整されるため、ラメ材Bの配置の自由度を高めることができる。
【0045】
なお、上記実施の形態及び変形例において、画像Aは、下地インクにより形成された下地A1、及び、カラーインクにより形成されたカラー画像A2を含んでいたが、画像Aの構成はこれに限定されない。画像Aは、下地A1を含まずにカラー画像A2を含んでいてもよい。この場合、画像形成工程では、下地インクを吐出せずに、カラーインクを吐出してカラー画像A2を画像Aとして形成してもよい。
【0046】
なお、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良及び他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更することができる。
【符号の説明】
【0047】
13 :シート
13a :表面
19 :フィルム
19a :表面
A :画像
A1 :下地
B :ラメ材
C :布帛
D :ラメ材
E :接着剤
E1 :接着面