(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143359
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】防音カバー
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20241003BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G10K11/16 150
F04B39/00 101T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055992
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊之
(72)【発明者】
【氏名】西森 規貴
(72)【発明者】
【氏名】松下 将明
(72)【発明者】
【氏名】粟 俊治
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隆司
【テーマコード(参考)】
3H003
5D061
【Fターム(参考)】
3H003AA01
3H003AC01
3H003BA07
5D061AA06
5D061AA23
5D061CC12
(57)【要約】
【課題】係止部を被係止部に係止させる作業を容易なものとすること。
【解決手段】防音カバー10は、カバー本体13の内面から内側に突出する規制突起50を備えている。規制突起50は、係止部41が被係止部46に係止される際に圧縮機11に接触することにより、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位することを規制する。これによれば、規制突起50が圧縮機11に接触することにより、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へそれ以上変位することが規制される。よって、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位してしまうことが抑制されるため、係止部41を被係止部46に係止させ易くなる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能に構成されるとともに閉じた状態において取付対象を覆うカバー本体と、
前記カバー本体の内側に配置されるとともに弾性変形可能に構成された吸音体と、
前記カバー本体に設けられる係止部と、
前記カバー本体に設けられるとともに前記係止部が係止される被係止部と、を備え、
前記係止部が前記被係止部に係止されることにより前記カバー本体が閉じた状態に保持される防音カバーであって、
前記カバー本体の内面から内側に突出するとともに、前記係止部が前記被係止部に係止される際に前記取付対象に接触することにより、前記カバー本体における前記被係止部が設けられている部位が前記カバー本体の内側へ変位することを規制する規制突起を備えていることを特徴とする防音カバー。
【請求項2】
前記吸音体は、前記カバー本体の内面に密着しており、
前記規制突起における前記カバー本体の内面からの突出長さは、前記吸音体が弾性変形する前の原形状での厚みの半分以上であることを特徴とする請求項1に記載の防音カバー。
【請求項3】
前記規制突起は、前記カバー本体の内面から前記吸音体における前記取付対象側に位置する面と同一面まで突出していることを特徴とする請求項2に記載の防音カバー。
【請求項4】
前記規制突起は、前記カバー本体の内面から前記吸音体における前記取付対象側に位置する面よりも前記カバー本体の内面寄りの位置まで突出していることを特徴とする請求項2に記載の防音カバー。
【請求項5】
前記規制突起は、前記カバー本体の内面において、前記被係止部とは前記カバー本体の厚み方向に重なる位置から突出していることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の防音カバー。
【請求項6】
前記規制突起は、前記吸音体が弾性変形する前の状態では前記取付対象から離れていることを特徴とする請求項1に記載の防音カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、防音カバーは、カバー本体と、吸音体と、を備えている。カバー本体は、開閉可能に構成されている。カバー本体は、閉じた状態において取付対象を覆う。吸音体は、カバー本体の内側に配置されている。吸音体は、弾性変形可能に構成されている。防音カバーは、係止部と、被係止部と、を備えている。係止部は、カバー本体に設けられている。被係止部は、カバー本体に設けられている。被係止部には、係止部が係止される。このように、係止部が被係止部に係止されることによりカバー本体が閉じた状態に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような防音カバーにおいては、係止部を被係止部に係止する際に、係止部から被係止部に対してカバー本体の内側に向けて力が作用する場合がある。すると、吸音体が潰れる等してカバー本体における被係止部が設けられている部位がカバー本体の内側へ変位してしまう場合がある。カバー本体における被係止部が設けられている部位がカバー本体の内側へ変位してしまうと、係止部を被係止部に係止させることが困難となる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する防音カバーは、開閉可能に構成されるとともに閉じた状態において取付対象を覆うカバー本体と、前記カバー本体の内側に配置されるとともに弾性変形可能に構成された吸音体と、前記カバー本体に設けられる係止部と、前記カバー本体に設けられるとともに前記係止部が係止される被係止部と、を備え、前記係止部が前記被係止部に係止されることにより前記カバー本体が閉じた状態に保持される防音カバーであって、前記カバー本体の内面から内側に突出するとともに、前記係止部が前記被係止部に係止される際に前記取付対象に接触することにより、前記カバー本体における前記被係止部が設けられている部位が前記カバー本体の内側へ変位することを規制する規制突起を備えている。
【0006】
これによれば、規制突起が取付対象に接触することにより、カバー本体における被係止部が設けられている部位がカバー本体の内側へそれ以上変位することが規制される。よって、カバー本体における被係止部が設けられている部位がカバー本体の内側へ変位してしまうことを抑制することができるため、係止部を被係止部に係止させ易くすることができる。その結果、係止部を被係止部に係止させる作業を容易なものとすることができる。
【0007】
上記防音カバーにおいて、前記吸音体は、前記カバー本体の内面に密着しており、前記規制突起における前記カバー本体の内面からの突出長さは、前記吸音体が弾性変形する前の原形状での厚みの半分以上であるとよい。
【0008】
このように、規制突起におけるカバー本体の内面からの突出長さが、吸音体が弾性変形する前の原形状での厚みの半分以上である構成は、カバー本体における被係止部が設けられている部位がカバー本体の内側へ変位してしまうことを抑制する上で好適である。
【0009】
上記防音カバーにおいて、前記規制突起は、前記カバー本体の内面から前記吸音体における前記取付対象側に位置する面と同一面まで突出しているとよい。
これによれば、規制突起が、カバー本体の内面から吸音体における取付対象側に位置する面と同一面まで延びているため、規制突起が取付対象に接触し易い。したがって、カバー本体における被係止部が設けられている部位がカバー本体の内側へ変位してしまうことを抑制し易くすることができる。
【0010】
上記防音カバーにおいて、前記規制突起は、前記カバー本体の内面から前記吸音体における前記取付対象側に位置する面よりも前記カバー本体の内面寄りの位置まで突出しているとよい。
【0011】
これによれば、規制突起が意図せず取付対象に接触してしまうことを抑制しつつも、カバー本体における被係止部が設けられている部位がカバー本体の内側へ変位してしまうことを抑制することができる。
【0012】
上記防音カバーにおいて、前記規制突起は、前記カバー本体の内面において、前記被係止部とは前記カバー本体の厚み方向に重なる位置から突出しているとよい。
このように、規制突起が、カバー本体の内面において、被係止部とはカバー本体の厚み方向に重なる位置から突出している構成は、カバー本体における被係止部が設けられている部位がカバー本体の内側へ変位してしまうことを抑制する上で好適である。
【0013】
上記防音カバーにおいて、前記規制突起は、前記吸音体が弾性変形する前の状態では前記取付対象から離れているとよい。
これによれば、カバー本体の内面から規制突起を突出させても、規制突起が取付対象から離れていることにより、取付対象の駆動時に規制突起と取付対象とが接触し接触音が発生してしまうことを好適に抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、係止部を被係止部に係止させる作業を容易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態におけるカバー本体が開いた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、カバー本体が閉じた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、係止部と被係止部との関係を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、防音カバーと圧縮機との関係を示す断面図である。
【
図6】
図6は、係止部を被係止部に係止している途中を示す断面図である。
【
図7】
図7は、変更例における防音カバーと圧縮機との関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、防音カバーを具体化した一実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。本実施形態の防音カバーは、円筒状のハウジングを備えた圧縮機に取り付けられている。したがって、本実施形態の防音カバーが取り付けられる取付対象は圧縮機である。
【0017】
<防音カバーの全体構成>
図1及び
図2に示すように、防音カバー10は、圧縮機11のハウジング12全体を覆うことが可能に構成されている。防音カバー10は、カバー本体13と、吸音体14と、を備えている。
【0018】
<カバー本体>
カバー本体13は、開閉可能に構成されている。カバー本体13の材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ABS樹脂、及びオレフィン系エラストマー等の合成樹脂等が採用されている。カバー本体13は、遮音性に優れた材料により形成されている。カバー本体13は、柔軟性を有している。
【0019】
カバー本体13は、第1カバー構成体15と、第2カバー構成体16と、ヒンジ17と、を有している。第1カバー構成体15は、半円筒状である。第1カバー構成体15は、半円板状の一対の第1端壁18と、半円筒状の第1周壁19と、を有している。第1周壁19は、一対の第1端壁18同士を繋いでいる。そして、第1周壁19及び一対の第1端壁18によって第1収容凹部20が区画されている。第1周壁19の端縁、及び各第1端壁18の端縁は、第1カバー構成体15の第1開口縁21を形成している。第1カバー構成体15の第1開口縁21は、第1収容凹部20の開口を形成している。第1カバー構成体15の第1開口縁21は、カバー本体13が開いた状態のときにカバー本体13の開口縁となるカバー縁である。したがって、カバー本体13は、カバー縁である第1開口縁21を有している。
【0020】
カバー本体13が閉じた状態において、第1収容凹部20は、圧縮機11のハウジング12の一部分を収容する。第1カバー構成体15は、第1周壁19が圧縮機11のハウジング12の周壁12aの一部分を覆うとともに、各第1端壁18がハウジング12の各端壁12bの一部分を覆うように、圧縮機11のハウジング12に対して配置されている。第1カバー構成体15の第1周壁19の延びる方向は、圧縮機11のハウジング12の周方向である。
【0021】
第2カバー構成体16は、半円筒状である。第2カバー構成体16は、半円板状の一対の第2端壁22と、半円筒状の第2周壁23と、を有している。第2周壁23は、一対の第2端壁22同士を繋いでいる。そして、第2周壁23及び一対の第2端壁22によって第2収容凹部24が区画されている。第2周壁23の端縁、及び各第2端壁22の端縁は、第2カバー構成体16の第2開口縁25を形成している。第2カバー構成体16の第2開口縁25は、第2収容凹部24の開口を形成している。第2カバー構成体16の第2開口縁25は、カバー本体13が開いた状態のときにカバー本体13の開口縁となるカバー縁である。したがって、カバー本体13は、カバー縁である第2開口縁25を有している。
【0022】
カバー本体13が閉じた状態において、第2収容凹部24は、圧縮機11のハウジング12における第1収容凹部20によって収容されていない残りの部分を収容する。第2カバー構成体16は、第2周壁23が、圧縮機11のハウジング12の周壁12aにおける第1カバー構成体15の第1周壁19によって覆われていない残りの部分を覆うように、圧縮機11のハウジング12に対して配置されている。したがって、第2カバー構成体16の第2周壁23の延びる方向は、圧縮機11のハウジング12の周方向である。また、第2カバー構成体16は、各第2端壁22がハウジング12の各端壁12bにおける第1カバー構成体15の各第1端壁18によって覆われていない残りの部分を覆うように、圧縮機11のハウジング12に対して配置されている。
【0023】
ヒンジ17は、第1カバー構成体15と第2カバー構成体16とを接続している。ヒンジ17は、第1周壁19の端縁と第2周壁23の端縁とを接続している。ヒンジ17は、第1カバー構成体15の第1周壁19及び第2カバー構成体16の第2周壁23と一体形成されているインテグラルヒンジである。したがって、ヒンジ17の材質は、カバー本体13の材質と同じである。
【0024】
ヒンジ17は、ヒンジ17を回動中心として第1カバー構成体15の第1開口縁21と第2カバー構成体16の第2開口縁25とが互いに接離する方向に第1カバー構成体15及び第2カバー構成体16を回動可能に構成されている。カバー本体13は、第1カバー構成体15の第1開口縁21と第2カバー構成体16の第2開口縁25とが突き合わせることにより閉じた状態となる。そして、カバー本体13は、閉じた状態において圧縮機11を覆う。
【0025】
<吸音体>
吸音体14は、カバー本体13の内側に配置されている。したがって、吸音体14は、カバー本体13の内側に配置される部材である。吸音体14は、カバー本体13と圧縮機11のハウジング12との間に配置されている。吸音体14は、圧縮機11のハウジング12全体を覆うことが可能に構成されている。吸音体14の材質としては、例えば、ウレタン材や不織布等が採用されている。吸音体14は、吸音性に優れた材料により形成されている。吸音体14は、弾性変形可能に構成されている。
【0026】
吸音体14は、第1吸音構成体26と、第2吸音構成体27と、を有している。第1吸音構成体26は、半円筒状である。第1吸音構成体26は、半円板状の一対の第1端壁28と、半円筒状の第1周壁29と、を有している。第1周壁29は、一対の第1端壁28同士を繋いでいる。第1吸音構成体26は、第1カバー構成体15の内側に配置されている。
【0027】
第1吸音構成体26の各第1端壁28は、第1カバー構成体15の各第1端壁18の内面に沿って延びている。第1吸音構成体26の各第1端壁28は、第1カバー構成体15の各第1端壁18の内面全面を被覆している。第1吸音構成体26の各第1端壁28は、第1カバー構成体15の各第1端壁18の内面に密着している。第1吸音構成体26の第1周壁29は、第1カバー構成体15の第1周壁19の内面に沿って延びている。第1吸音構成体26の第1周壁29は、第1カバー構成体15の第1周壁19の内面全面を被覆している。第1吸音構成体26の第1周壁29は、第1カバー構成体15の第1周壁19の内面に密着している。第1吸音構成体26は、第1吸音構成体26が弾性変形する前の原形状での厚みが第1カバー構成体15の厚みよりも厚く形成されている。
【0028】
第1周壁29の端縁、及び各第1端壁28の端縁は、第1吸音構成体26の第1開口縁30を形成している。第1吸音構成体26の第1開口縁30は、第1カバー構成体15の第1開口縁21と同一平面上に位置している。
【0029】
第1吸音構成体26は、第1リブ31を複数有している。複数の第1リブ31は、第1吸音構成体26の第1周壁29の内面から突出している。各第1リブ31は、圧縮機11のハウジング12の外周面に接触することにより、第1吸音構成体26を圧縮機11のハウジング12に対して支持する。第1吸音構成体26の第1周壁29の内面及び各第1端壁28の内面は、第1吸音構成体26が弾性変形する前の原形状であるときには圧縮機11のハウジング12から離れている。
【0030】
第2吸音構成体27は、半円筒状である。第2吸音構成体27は、半円板状の一対の第2端壁32と、半円筒状の第2周壁33と、を有している。第2周壁33は、一対の第2端壁32同士を繋いでいる。第2吸音構成体27は、第2カバー構成体16の内側に配置されている。
【0031】
第2吸音構成体27の各第2端壁32は、第2カバー構成体16の各第2端壁22の内面に沿って延びている。第2吸音構成体27の各第2端壁32は、第2カバー構成体16の各第2端壁22の内面全面を被覆している。第2吸音構成体27の各第2端壁32は、第2カバー構成体16の各第2端壁22の内面に密着している。第2吸音構成体27の第2周壁33は、第2カバー構成体16の第2周壁23の内面に沿って延びている。第2吸音構成体27の第2周壁33は、第2カバー構成体16の第2周壁23の内面全面を被覆している。第2吸音構成体27の第2周壁33は、第2カバー構成体16の第2周壁23の内面に密着している。したがって、吸音体14は、カバー本体13の内面に密着している。第2吸音構成体27は、第2吸音構成体27が弾性変形する前の原形状での厚みが第2カバー構成体16の厚みよりも厚く形成されている。
【0032】
第2周壁33の端縁、及び各第2端壁32の端縁は、第2吸音構成体27の第2開口縁34を形成している。第2吸音構成体27の第2開口縁34は、第2カバー構成体16の第2開口縁25と同一平面上に位置している。そして、カバー本体13が閉じた状態では、第1吸音構成体26の第1開口縁30と第2吸音構成体27の第2開口縁34とが突き合わされている。
【0033】
第2吸音構成体27は、第2リブ35を複数有している。複数の第2リブ35は、第2吸音構成体27の第2周壁33の内面から突出している。各第2リブ35は、圧縮機11のハウジング12の外周面に接触することにより、第2吸音構成体27を圧縮機11のハウジング12に対して支持する。第2吸音構成体27の第2周壁33の内面及び各第2端壁32の内面は、第2吸音構成体27が弾性変形する前の原形状であるときには圧縮機11のハウジング12から離れている。このように、吸音体14は、吸音体14が弾性変形する前の原形状であるときには、各第1リブ31及び各第2リブ35を除く部位が圧縮機11のハウジング12から離れている。
【0034】
<係止部>
防音カバー10は、係止部41を複数備えている。各係止部41は、第1カバー構成体15に設けられている。したがって、各係止部41は、カバー本体13に設けられている。各係止部41は、第1カバー構成体15の第1周壁19におけるヒンジ17が接続されている端縁とは異なる端縁、及び一対の第1端壁18の一方の端縁それぞれに対応する部分に設けられている。各係止部41は、第1カバー構成体15の外面から第1カバー構成体15の第1開口縁21を越えて所定の長さ分だけ延出している。したがって、各係止部41は、カバー本体13から延在している。各係止部41は、第1カバー構成体15に一体形成されている。したがって、各係止部41の材質は、カバー本体13の材質と同じである。
【0035】
図3に示すように、係止部41は、薄い平板状である。係止部41は、連結片42と、一対の接続片43と、取手片44と、を有している。
図3及び
図4に示すように、連結片42は、第1カバー構成体15の外面に連結されている。連結片42は、細長板状である。連結片42の長手方向は、第1カバー構成体15の第1開口縁21の延在方向に一致している。連結片42における第1カバー構成体15の第1開口縁21側の面は、第1開口縁21と同一面上に位置している。
【0036】
一対の接続片43は、連結片42の長手方向の両端部から所定の長さ分だけ延出している。一対の接続片43は、互いに平行に延びている。取手片44は、各接続片43における連結片42とは反対側の端部同士を接続している。取手片44は、舌片形状である。取手片44は、係止部41における第1カバー構成体15の外面からの延在方向の先端部を形成している。したがって、取手片44における各接続片43とは反対側の端は、係止部41の延在方向の先端である。連結片42、一対の接続片43及び取手片44は、引掛孔45を区画している。したがって、係止部41は、引掛孔45を区画する。引掛孔45は、四角孔状である。
【0037】
<被係止部>
図1及び
図2に示すように、防音カバー10は、被係止部46を複数備えている。各被係止部46は、第2カバー構成体16に設けられている。したがって、各被係止部46は、カバー本体13に設けられている。各被係止部46は、第2カバー構成体16の第2周壁23におけるヒンジ17が接続されている端縁とは異なる端縁、及び一対の第2端壁22の一方の端縁それぞれに対応する部分に設けられている。各被係止部46は、カバー本体13が閉じた状態においてカバー本体13の外面における各係止部41に対応する位置から突出している。各被係止部46は、第2カバー構成体16に一体形成されている。したがって、各被係止部46の材質は、カバー本体13の材質と同じである。
【0038】
図3及び
図4に示すように、被係止部46は、突起本体47と、係止凸部48と、を有している。突起本体47は、第2カバー構成体16の外面から突出している。したがって、被係止部46は、カバー本体13の外面から突出する突起である。突起本体47は、四角柱状である。突起本体47は、第2カバー構成体16の外面における第2開口縁25に連続する部分から突出している。係止凸部48は、突起本体47の先端部から第2カバー構成体16の第2開口縁25とは反対側に向けて突出している。被係止部46は、先端部が鉤状の突起である。
【0039】
被係止部46には、被係止部46が引掛孔45に挿入されることにより係止部41が引っ掛けられる。このように、係止部41が被係止部46に係止される。したがって、被係止部46には、係止部41が係止される。
【0040】
図2に示すように、各係止部41が各被係止部46に係止されることによりカバー本体13が閉じた状態に保持される。
図3及び
図4に示すように、係止凸部48は、係止部41が被係止部46に係止されている状態において突起本体47の先端部から係止部41の延在方向の先端に向けて突出している。
【0041】
<規制突起>
図4及び
図5に示すように、防音カバー10は、規制突起50を備えている。規制突起50は、第2カバー構成体16の内面から内側に突出している。したがって、規制突起50は、カバー本体13の内面から突出している。規制突起50は、カバー本体13の内面において、被係止部46とはカバー本体13の厚み方向に重なる位置からそれぞれ突出している。したがって、防音カバー10は、被係止部46の数と同じ数の規制突起50を備えている。各規制突起50は、第2カバー構成体16の内面における第2開口縁25に連続する部分からそれぞれ突出している。規制突起50は、例えば、四角柱状である。規制突起50は、カバー本体13に一体形成されている。
【0042】
吸音体14は、挿通部51を有している。挿通部51は、第2吸音構成体27に設けられている。挿通部51は、第2吸音構成体27の第2開口縁34に形成されている。挿通部51は、第2開口縁34から凹む凹部である。挿通部51は、第2吸音構成体27を第2吸音構成体27の厚み方向に貫通している。挿通部51は、第2吸音構成体27の第2開口縁34において、被係止部46とはカバー本体13の厚み方向に重なる部分にそれぞれ形成されている。したがって、防音カバー10は、被係止部46の数と同じ数の挿通部51を備えている。そして、挿通部51の内側には、規制突起50が挿通可能になっている。したがって、各規制突起50は、各挿通部51の内側に挿通されている。
【0043】
規制突起50は、カバー本体13の内面から吸音体14における圧縮機11のハウジング12側に位置する面14aと同一面まで突出している。したがって、規制突起50におけるカバー本体13の内面からの突出長さL1は、吸音体14が弾性変形する前の原形状での厚みT1の半分以上である。規制突起50は、吸音体14が弾性変形する前の状態では圧縮機11のハウジング12から離れている。
【0044】
[実施形態の作用]
次に、実施形態の作用について説明する。
圧縮機11が駆動することにより生じる音は、ハウジング12から放射される。このとき、防音カバー10の吸音体14によって、ハウジング12から放射される放射音が吸収される。さらに、カバー本体13は、吸音体14を透過した放射音を遮蔽する。これにより、ハウジング12から放射された放射音が防音カバー10よりも外部へ放射されることが抑制されている。
【0045】
図6に示すように、例えば、係止部41を被係止部46に係止する際には、係止部41の取手片44を引っ張りながら被係止部46を引掛孔45に挿入する。そして、係止部41の取手片44を被係止部46の係止凸部48と第2カバー構成体16の外面との間に配置する。このようにして、係止部41を被係止部46に係止させる。
【0046】
このような防音カバー10においては、係止部41を被係止部46に係止する際に、係止部41から被係止部46に対してカバー本体13の内側に向けて力が作用する場合がある。すると、吸音体14の第2リブ35が潰れる等してカバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位してしまう場合がある。このとき、規制突起50が圧縮機11のハウジング12に接触する。これにより、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へそれ以上変位することが規制される。したがって、規制突起50は、係止部41が被係止部46に係止される際に圧縮機11のハウジング12に接触することにより、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位することを規制する。よって、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位してしまうことが抑制されているため、係止部41を被係止部46に係止させ易くなっている。
【0047】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)防音カバー10は、カバー本体13の内面から内側に突出する規制突起50を備えている。規制突起50は、係止部41が被係止部46に係止される際に圧縮機11に接触することにより、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位することを規制する。これによれば、規制突起50が圧縮機11に接触することにより、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へそれ以上変位することが規制される。よって、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位してしまうことを抑制することができるため、係止部41を被係止部46に係止させ易くすることができる。その結果、係止部41を被係止部46に係止させる作業を容易なものとすることができる。
【0048】
(2)規制突起50におけるカバー本体13の内面からの突出長さL1が、吸音体14が弾性変形する前の原形状での厚みT1の半分以上である。このような構成は、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位してしまうことを抑制する上で好適である。
【0049】
(3)規制突起50が、カバー本体13の内面から吸音体14における圧縮機11側に位置する面14aと同一面まで突出しているため、規制突起50が圧縮機11に接触し易い。したがって、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位してしまうことを抑制し易くすることができる。
【0050】
(4)規制突起50が、カバー本体13の内面において、被係止部46とはカバー本体13の厚み方向に重なる位置から突出している。この構成は、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位してしまうことを抑制する上で好適である。
【0051】
(5)規制突起50は、吸音体14が弾性変形する前の状態では圧縮機11から離れている。これによれば、カバー本体13の内面から規制突起50を突出させても、規制突起50が圧縮機11から離れていることにより、圧縮機11の駆動時に規制突起50と圧縮機11とが接触し接触音が発生してしまうことを好適に抑制することができる。
【0052】
(6)各規制突起50が各挿通部51の内側に挿通されているため、第2吸音構成体27における第2カバー構成体16に対する移動が、各規制突起50によって規制される。したがって、第2吸音構成体27が第2カバー構成体16に対してずれてしまうことを抑制することができる。
【0053】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0054】
○
図7に示すように、規制突起50は、カバー本体13の内面から吸音体14における圧縮機11側に位置する面14aよりもカバー本体13の内面寄りの位置まで突出していてもよい。
図7に示す実施形態の規制突起50におけるカバー本体13の内面からの突出長さL1は、吸音体14が弾性変形する前の原形状での厚みT1の半分以上である。これによれば、規制突起50が意図せず圧縮機11に接触してしまうことを抑制しつつも、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位してしまうことを抑制することができる。
【0055】
○ 実施形態において、規制突起50におけるカバー本体13の内面からの突出長さL1が、吸音体14が弾性変形する前の原形状での厚みT1の半分であってもよい。
○ 実施形態において、規制突起50におけるカバー本体13の内面からの突出長さL1が、吸音体14が弾性変形する前の原形状での厚みT1の半分以下であってもよい。
【0056】
○ 実施形態において、規制突起50が、カバー本体13の内面において、被係止部46とはカバー本体13の厚み方向に重なる位置に対してずれた位置から突出していてもよい。
【0057】
○ 実施形態において、規制突起50は、吸音体14が弾性変形する前の状態で圧縮機11に接触していてもよい。
○ 実施形態において、規制突起50は、カバー本体13に一体形成されていなくてもよく、カバー本体13とは別部材であってもよい。要は、規制突起50は、カバー本体13の内面から内側に突出していればよい。そして、規制突起50は、係止部41が被係止部46に係止される際に圧縮機11に接触することにより、カバー本体13における被係止部46が設けられている部位がカバー本体13の内側へ変位することを規制するように構成されていればよい。
【0058】
○ 実施形態において、規制突起50は、例えば、四角柱状であったが、規制突起50の形状は特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、例えば、係止部41が突起であるとともに、被係止部46が引掛孔45を区画している構成であってもよい。要は、係止部41及び被係止部46の凹凸の関係は特に限定されるものではない。
【0059】
○ 実施形態において、吸音体14は、吸音体14が弾性変形する前の原形状であるときに圧縮機11のハウジング12に密着していてもよい。
○ 実施形態において、係止部41の数は適宜変更してもよい。この場合、被係止部46の数は係止部41の数に応じて適宜変更される。要は、被係止部46は、カバー本体13が閉じた状態においてカバー本体13の外面における係止部41に対応する位置に設けられていればよい。
【0060】
○ 実施形態において、カバー本体13がヒンジ17を有していない構成であってもよい。そして、防音カバー10は、例えば、半割れ筒形状である第1カバー構成体15と第2カバー構成体16とを組み合わせた構造であってもよい。また、防音カバー10は、一枚の帯状の薄板から形成されるカバー本体13を圧縮機11のハウジング12の周囲に一周巻くことによりハウジング12を覆う構造であってもよい。要は、カバー本体13が開閉可能に構成されており、係止部41が被係止部46に係止されることによりカバー本体が閉じた状態に保持される防音カバー10であればよい。
【0061】
○ 実施形態において、防音カバー10は、円筒状のハウジング12を備えた圧縮機11に取り付けられていたが、これに限らず、防音カバー10の取付対象は特に限定されるものではない。
【0062】
上記実施形態は、以下の付記に記載する構成を含む。
<付記1>
開閉可能に構成されるとともに閉じた状態において取付対象を覆うカバー本体と、
前記カバー本体の内側に配置されるとともに弾性変形可能に構成された吸音体と、
前記カバー本体に設けられる係止部と、
前記カバー本体に設けられるとともに前記係止部が係止される被係止部と、を備え、
前記係止部が前記被係止部に係止されることにより前記カバー本体が閉じた状態に保持される防音カバーであって、
前記カバー本体の内面から内側に突出するとともに、前記係止部が前記被係止部に係止される際に前記取付対象に接触することにより、前記カバー本体における前記被係止部が設けられている部位が前記カバー本体の内側へ変位することを規制する規制突起を備えていることを特徴とする防音カバー。
【0063】
<付記2>
前記吸音体は、前記カバー本体の内面に密着しており、
前記規制突起における前記カバー本体の内面からの突出長さは、前記吸音体が弾性変形する前の原形状での厚みの半分以上であることを特徴とする<付記1>に記載の防音カバー。
【0064】
<付記3>
前記規制突起は、前記カバー本体の内面から前記吸音体における前記取付対象側に位置する面と同一面まで突出していることを特徴とする<付記2>に記載の防音カバー。
【0065】
<付記4>
前記規制突起は、前記カバー本体の内面から前記吸音体における前記取付対象側に位置する面よりも前記カバー本体の内面寄りの位置まで突出していることを特徴とする<付記2>に記載の防音カバー。
【0066】
<付記5>
前記規制突起は、前記カバー本体の内面において、前記被係止部とは前記カバー本体の厚み方向に重なる位置から突出していることを特徴とする<付記1>~<付記4>のいずれか1つに記載の防音カバー。
【0067】
<付記6>
前記規制突起は、前記吸音体が弾性変形する前の状態では前記取付対象から離れていることを特徴とする<付記1>~<付記5>のいずれか1つに記載の防音カバー。
【符号の説明】
【0068】
10…防音カバー、11…取付対象である圧縮機、13…カバー本体、14…吸音体、14a…面、41…係止部、46…被係止部、50…規制突起。