(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143376
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20241003BHJP
H01L 21/8249 20060101ALI20241003BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20241003BHJP
H01L 29/06 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
H01L29/78 301S
H01L27/06 321A
H01L27/088 B
H01L29/78 301P
H01L29/06 301D
H01L29/06 301M
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056021
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】郡 充秀
【テーマコード(参考)】
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AA05
5F048AB10
5F048AC06
5F048AC10
5F048BA03
5F048BB05
5F048BB07
5F048BC03
5F048BC07
5F048BG13
5F048BG14
5F140AA25
5F140AB06
5F140AB10
5F140AC21
5F140AC22
5F140BA01
5F140BA16
5F140BC06
5F140BD05
5F140BE07
5F140BF04
5F140BF53
5F140BH02
5F140BH05
5F140BH30
5F140BK13
5F140BK23
5F140CB04
(57)【要約】
【課題】トランジスタの高耐圧化を図ること。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板40に達するように半導体基板40上の第2半導体層52および第1半導体層51を貫通して形成された第1トレンチ31と、第1トレンチ31内に埋め込まれた第1絶縁膜32A,32Bおよび導電部材33と、半導体基板40の手前まで延びた第2トレンチ61と、第2トレンチ61の第2側面および第2底面に形成されたn型の第2拡散層63と、第2トレンチ61内に埋め込まれた第2絶縁膜62と、第2トレンチ61の隣に形成されたウエル領域64と、ウエル領域64に形成されたソースコンタクト領域65と、ウエル領域64と第2トレンチ61とに跨って形成されたゲート絶縁膜およびゲート電極67と、第2トレンチ61に対してウエル領域64と反対側に設けられ、第2拡散層63と電気的に接続されたドレインコンタクト領域68と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板上の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上面に接する第2導電型の第2半導体層と、
前記半導体基板に達するように前記第2半導体層および前記第1半導体層を貫通して形成された第1トレンチと、
前記第1トレンチの側面を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜を介して前記第1トレンチに埋め込まれ、前記半導体基板と接する導電部材と、
前記第1トレンチの側面に形成された第2導電型の第1拡散層と、
前記第1トレンチよりも小さな幅を有し、前記半導体基板の手前まで延びた第2トレンチと、
前記第2トレンチの側面および底面に形成された第2導電型の第2拡散層と、
前記第2トレンチ内に埋め込まれた第2絶縁膜と、
前記第2半導体層の上面のうち前記第2トレンチの隣に形成された第1導電型のウエル領域と、
前記ウエル領域に形成された第2導電型のソースコンタクト領域と、
前記ウエル領域と前記第2トレンチとに跨って形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記第2半導体層の上面のうち前記第2トレンチに対して前記ウエル領域と反対側に設けられ、前記第2拡散層と電気的に接続された第2導電型のドレインコンタクト領域と、
を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第2拡散層は、
前記第2トレンチの両側面に形成された第1側面拡散層および第2側面拡散層と、
前記第2トレンチの底面に形成され、前記第1側面拡散層と前記第2側面拡散層とを繋ぐ底面拡散層と、
を含み、
前記第1側面拡散層は、前記ドレインコンタクト領域に電気的に接続されており、
前記第2側面拡散層は、前記第1側面拡散層よりも前記ウエル領域寄りに配置されており、
前記ドレインコンタクト領域と前記ソースコンタクト領域とは、前記第1側面拡散層、前記底面拡散層、前記第2側面拡散層、および前記ウエル領域を介して繋がっている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2トレンチの深さは、前記第2トレンチの幅よりも大きい
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2拡散層の厚さは、0.3μm以上3μm以下である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2拡散層の厚さは、1.5μm以上1.7μm以下である
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2トレンチの底面は、下に向けて凸となるように湾曲している
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2トレンチは、前記第1半導体層まで延びている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2トレンチを覆う第3絶縁膜を含む
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2トレンチの深さは、前記第3絶縁膜の厚さよりも大きい
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2絶縁膜内にフローティング電極が設けられている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2トレンチの幅は、0.3μm以上2.0μm以下である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2トレンチの深さは、3μm以上30μm以下である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1トレンチの幅は、1μm以上5μm以下である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1トレンチの深さは、5μm以上50μm以下である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記半導体基板と前記第1半導体層との間の第1導電型の第3半導体層を含む
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1トレンチは、前記第2半導体層の上面に垂直な厚さ方向から視て、閉じた環状に形成されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第2トレンチは、前記第2半導体層の上面と平行な第1方向において、前記ウエル領域の両側に設けられ、
前記ドレインコンタクト領域は、前記第2トレンチに対して前記ウエル領域と反対側に配置されている
請求項1~16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第2半導体層の上面に垂直な厚さ方向から視て、前記ゲート電極は、前記ソースコンタクト領域を囲むように環状に形成されている
請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
半導体基板上に第1半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層上に第2半導体層を形成する工程と、
第1トレンチ、および前記第1トレンチよりも幅が小さい第2トレンチを形成する工程と、
前記第1トレンチの側面に第1拡散層を形成するとともに、前記第2トレンチの側面および底面に第2拡散層を形成する工程と、
前記第1トレンチの側面に第1絶縁膜を形成するとともに、前記第2トレンチの側面および底面に第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第2半導体層の上面のうち前記第2トレンチの隣にウエル領域を形成する工程と、
前記第2半導体層の一部を介して前記ウエル領域と前記第2トレンチとに跨ってゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記ウエル領域にソースコンタクト領域を形成するとともに、前記第2半導体層の上面のうち前記第2トレンチに対して前記ウエル領域と反対側に、前記第2拡散層と接続されたドレインコンタクト領域を形成する工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第2トレンチを覆う第3絶縁膜を形成する工程を含む
請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
素子形成領域に形成されたトランジスタを含む半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。半導体装置は、半導体層と、半導体層の表面に選択的に形成されたソース領域およびドレイン領域と、ゲート酸化膜を介して半導体層上に形成されたゲート電極とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高耐圧のトランジスタが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する半導体装置は、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板上の第1半導体層と、前記第1半導体層の上面に接する第2導電型の第2半導体層と、前記半導体基板に達するように前記第2半導体層および前記第1半導体層を貫通して形成された第1トレンチと、前記第1トレンチの側面を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜を介して前記第1トレンチに埋め込まれ、前記半導体基板と接する導電部材と、前記第1トレンチの側面に形成された第2導電型の第1拡散層と、前記第1トレンチよりも小さな幅を有し、前記半導体基板の手前まで延びた第2トレンチと、前記第2トレンチの側面および底面に形成された第2導電型の第2拡散層と、前記第2トレンチ内に埋め込まれた第2絶縁膜と、前記第2半導体層の上面のうち前記第2トレンチの隣に形成された第1導電型のウエル領域と、前記ウエル領域に形成された第2導電型のソースコンタクト領域と、前記ウエル領域と前記第2トレンチとに跨って形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、前記第2半導体層の上面のうち前記第2トレンチに対して前記ウエル領域と反対側に設けられ、前記第2拡散層と電気的に接続された第2導電型のドレインコンタクト領域と、を含む。
【0006】
上記課題を解決する半導体装置の製造方法は、半導体基板上に第1半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層上に第2半導体層を形成する工程と、第1トレンチ、および前記第1トレンチよりも幅が狭い第2トレンチを形成する工程と、前記第1トレンチの側面に第1拡散層を形成するとともに、前記第2トレンチの側面および底面に第2拡散層を形成する工程と、前記第1トレンチの側面に第1絶縁膜を形成するとともに、前記第2トレンチの側面および底面に第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2半導体層の上面のうち前記第2トレンチの隣にウエル領域を形成する工程と、前記第2半導体層の一部を介して前記ウエル領域と前記第2トレンチとに跨ってゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、前記ウエル領域にソースコンタクト領域を形成するとともに、前記第2半導体層の上面のうち前記第2トレンチに対して前記ウエル領域と反対側に、前記第2拡散層と接続されたドレインコンタクト領域を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
上記半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、トランジスタの高耐圧化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の半導体装置を備える半導体モジュールの概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の半導体装置におけるトランジスタ領域の概略平面図である。
【
図3】
図3は、
図2のトランジスタ領域を3-3線で切断した概略断面図である。
【
図4】
図4は、
図3のトランジスタ領域のうちMISFETを拡大した概略断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の半導体装置の例示的な製造工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本開示における半導体装置のいくつかの実施形態について説明する。なお、説明を簡単かつ明確にするため、図面に示される構成要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするため、断面図ではハッチング線が省略されている場合がある。添付図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0010】
以下の詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図しない。
【0011】
[半導体モジュールの全体構成]
図1を参照して、一実施形態の半導体装置10を備える半導体モジュール100の構成について説明する。
図1は、半導体モジュール100の構成の一例の模式的な斜視構造を示している。なお、
図1では、図面を容易に理解するために半導体モジュール100のうち後述する封止樹脂140を二点鎖線で示し、半導体モジュール100の内部構成を示している。
【0012】
図1に示される互いに直交するXYZ軸のZ方向は、半導体モジュール100の厚さ方向に対応している。なお、本明細書において使用される「平面視」という用語は、明示的に別段の記載がない限り、Z方向に沿って半導体モジュール100を視ることをいう。また、本明細書において使用される「断面視」という用語は、明示的に別段の記載がない限り、Z方向に沿った平面で半導体装置10を切断した状態を、Z方向と直交する方向から視ることをいう。
【0013】
図1に示すように、半導体モジュール100は、パッケージ形態としてSOP(Small Outline Package)である。半導体モジュール100は、半導体装置10が実装されるダイパッド110と、半導体装置10と電気的に接続される複数のリード端子120と、半導体装置10と複数のリード端子120とを個別に接続する複数のワイヤ130と、これらを封止する封止樹脂140と、を備える。
【0014】
封止樹脂140は、例えばエポキシ樹脂を含む材料によって形成されている。封止樹脂140は、直方体形状に形成されている。封止樹脂140は、Z方向において互いに反対側を向く第1主面141および第2主面142と、第1主面141と第2主面142とを接続する4つの側面である第1~第4側面143~146と、を含む。第1側面143および第2側面144は封止樹脂140のX方向の両端面を構成し、第3側面145および第4側面146は封止樹脂140のY方向の両端面を構成している。なお、便宜上、第1主面141を「上面」と称し、第2主面142を「下面」を称してもよい。
【0015】
封止樹脂140内に配置されたダイパッド110は、Z方向を厚さ方向とする矩形平板状に形成されている。一例では、平面視におけるダイパッド110の形状は、X方向が長手方向となり、Y方向が短手方向となる長方形状である。ダイパッド110は、金属材料によって形成されている。一例では、ダイパッド110は、鉄(Fe)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、およびAl(アルミニウム)の少なくとも1つを含んでよい。また一例では、ダイパッド110は、ニッケル(Ni)めっき層、Auめっき層、Agめっき層、およびCuめっき層のうち少なくとも1つが形成された外面を有してよい。
【0016】
複数のリード端子120は、封止樹脂140内に設けられたインナーリード部と、封止樹脂140から突出することによって外部端子を構成するアウターリード部と、を含む。複数のリード端子120は、第1~第8リード端子121~128を含む。なお、リード端子120の数は、
図1の8つに限られず、半導体装置10の機能に応じて任意に変更可能である。
【0017】
第1~第4リード端子121~124は、ダイパッド110に対して封止樹脂140の第3側面145寄りに離隔して配置されている。第1~第4リード端子121~124は、Y方向において互いに離隔して配列されている。第1~第4リード端子121~124のアウターリード部の各々は、第3側面145から突出している。
【0018】
第5~第8リード端子125~128は、ダイパッド110に対して封止樹脂140の第4側面146寄りに離隔して配置されている。つまり、第1~第4リード端子121~124と、第5~第8リード端子125~128とは、ダイパッド110のX方向の両側に分散して配置されている。第5~第8リード端子125~128は、Y方向において互いに離隔して配列されている。第5~第8リード端子125~128のアウターリード部の各々は、第4側面146から突出している。
【0019】
一例では、複数のリード端子120は、Fe、Au、Ag、Cu、およびAlの少なくとも1つを含んでいてよい。また一例では、複数のリード端子120は、Niめっき層、Auめっき層、Agめっき層、およびCuめっき層のうち少なくとも1つが形成された外面を有してよい。
【0020】
半導体装置10は、例えばZ方向を厚さ方向とする矩形平板状の半導体チップ20によって構成されている。半導体チップ20は、例えばLSI(Large Scale Integration)チップを含む。平面視における半導体チップ20の形状は、例えば正方形状である。なお、平面視における半導体チップ20の形状は任意に変更可能である。半導体チップ20は、Z方向において互いに反対側を向く第1主面21および第2主面22(
図3参照)を有する。第1主面21は封止樹脂140の第1主面141と同じ側を向き、第2主面22は封止樹脂140の第2主面142と同じ側を向いている。このため、便宜上、第1主面21を「上面」と称し、第2主面22を「下面」と称してもよい。
【0021】
半導体チップ20の第1主面21には、LSI回路を構成する素子が作り込まれた複数の素子領域23が形成されている。複数の素子領域23は、例えばダイオード領域24、トランジスタ領域25、抵抗素子領域26などを含んでいてよい。さらに、半導体チップ20の第1主面21には、複数のパッド27が形成されている。複数のパッド27は、半導体チップ20の第1主面21のY方向の両端部において、X方向において互いに離隔して配列されている。
【0022】
抵抗素子領域26は、少なくとも1つの抵抗素子を含んでいてよい。ダイオード領域24は、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナーダイオード、ショットキーバリアダイオード、およびファストリカバリーダイオードのうち少なくとも1つを含んでいてよい。なお、トランジスタ領域25の詳細については後述する。
【0023】
半導体チップ20は、導電性接合材SDを用いてダイパッド110に実装されている。より詳細には、半導体チップ20は、ダイパッド110にダイボンディングされている。導電性接合材SDは、はんだまたは導電ペーストを含む。はんだは、鉛フリーはんだであってよい。はんだは、SnAgCu、SnZnBi、SnCu、SnCuNi、およびSnSbNiのうち少なくとも1つを含んでいてよい。導電性接合材SDは、例えばAgペーストを含んでいてよい。Agペーストは、焼結銀ペーストを含んでいてよい。焼結銀ペーストは、ナノサイズまたはマイクロサイズのAg粒子を有機溶剤に分散させたペーストを含んでいてよい。
【0024】
複数のワイヤ130は、半導体チップ20の複数のパッド27と、第1~第8リード端子121~128とを個別に電気的に接続している。複数のワイヤ130は、ボンディングワイヤの一例としてのAlワイヤを含む。なお、複数のワイヤ130は、Alワイヤに限られず、AuワイヤまたはCuワイヤであってもよい。
【0025】
なお、複数のワイヤ130の数は、
図1に示す8本に限られず、半導体チップ20の機能に応じて変更可能である。また、複数のワイヤ130に代えて、リボン等の平板状の金属板が用いられてもよい。このように、半導体モジュール100は、半導体チップ20と複数のリード端子120とを個別に電気的に接続する導線を含むといえる。
【0026】
また、半導体モジュール100のパッケージ形態は、SOPに限られず、任意に変更可能である。例えば、半導体モジュール100は、パッケージ形態としてTO(Transistor Outline)、QFN(Quad For Non Lead Package)、DFP(Dual Flat Package)、DIP(Dual Inline Package)、QFP(Quad Flat Package)、SIP(Single Inline Package)、もしくはSOJ(Small Outline J-leaded Package)、またはこれらに類する種々のパッケージ形態を有してもよい。
【0027】
[トランジスタ領域]
図2を参照して、半導体チップ20のトランジスタ領域25の平面構造について説明する。
図2は、
図1の半導体チップ20のトランジスタ領域25を拡大した平面構造を示している。
【0028】
図2に示すように、半導体チップ20は、第1主面21においてトランジスタ領域25を区画する素子分離構造30を含む。素子分離構造30は、平面視において所定形状のトランジスタ領域25を区画している。
図2の例では、素子分離構造30は、平面視においてX方向が短手方向となり、Y方向が長手方向となる略矩形環状に形成されている。このため、素子分離構造30で区画されたトランジスタ領域25は、X方向が短手方向となり、Y方向が長手方向となる略矩形状に形成されている。
【0029】
素子分離構造30は、平面視においてトランジスタ領域25の外形に沿って延びる帯状に形成されている。素子分離構造30の四隅となるコーナ部分は、平面視においてトランジスタ領域25から遠ざかる方向に湾曲する湾曲凸部となる。このため、トランジスタ領域25の四隅となるコーナ部分は、素子分離構造30のコーナ部分に対応する湾曲凸部となる。
【0030】
なお、素子分離構造30の平面視における形状、すなわちトランジスタ領域25の平面視における形状は任意に変更可能である。素子分離構造30は、平面視において多角環状、円環状、または楕円環状に形成されることによって、平面視において多角形状、円形形状、または楕円形状のトランジスタ領域25を区画してもよい。トランジスタ領域25には、少なくとも1つのトランジスタが形成されている。
【0031】
トランジスタは、JFET(Junction Field Effect Transistor:接合型トランジスタ)、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)、BJT(Bipolar Junction Transistor:バイポーラトランジスタ)、およびIGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)のうち少なくとも含んでいてよい。
【0032】
一例では、トランジスタは、プレーナゲート型のMISFET60を含む。MISFET60は、ドレインソース間に印加されるドレインソース電圧の大きさに応じて、HV(high voltage)-MISFET(例えば100V以上1000V以下)、MV(middle voltage)-MISFET(例えば30V以上100V以下)、およびLV(low voltage)-MISFET(例えば1V以上30V以下)のうちいずれか1つの形態をとり得る。一例では、例えばMISFET60がHV-MISFETによって構成されている。
【0033】
次に、
図3および
図4を参照して、トランジスタ領域25の断面構造について説明する。
図3は、
図2の3-3線でトランジスタ領域25を切断した断面構造を示している。
図4は、
図3のトランジスタ領域25の後述するMISFET60およびその周辺を拡大した断面構造を示している。
【0034】
図3に示すように、半導体装置10は、半導体チップ20内に形成された第1導電型の半導体基板40を含む。なお、半導体基板40の導電型である第1導電型は任意であり、半導体装置10の仕様に応じてn型またはp型を選択することができる。以下では、一例として、第1導電型がp型である場合について説明する。
【0035】
半導体基板40は、半導体チップ20内において第2主面22の側の領域に形成されている。半導体基板40は、半導体チップ20の側面の厚さ方向の一部を構成している。このため、半導体基板40は、平面視において半導体チップ20の全体にわたり形成されている。半導体基板40は、Z方向において互いに反対側を向く第1基板主面41および第2基板主面42を含む。第1基板主面41は第1主面21と同じ側を向き、第2基板主面42は第2主面22と同じ側を向いている。このため、第1基板主面41は上面と称することができ、第2基板主面42は下面と称することができる。半導体基板40は、シリコン(Si)を含む材料によって形成されている。一例では、半導体基板40として、Si基板が用いられる。半導体基板40のp型不純物濃度は、例えば1×1016cm-3以上1×1020cm-3以下であってよい。
【0036】
半導体装置10は、半導体基板40上に形成された半導体層50を含む。半導体層50は、半導体チップ20内において第1主面21の側の領域に形成されている。半導体層50は、半導体チップ20の側面の厚さ方向の一部を構成している。このため、半導体層50は、平面視において半導体チップ20の全体にわたり形成されている。
【0037】
半導体層50は、半導体基板40上の第1半導体層51と、第1半導体層51上の第2半導体層52と、半導体基板40と第1半導体層51との間に介在する第3半導体層53と、を含む。第1半導体層51の導電型は、半導体基板40の導電型(第1導電型)とは異なる第2導電型である。一例では、第1導電型がp型であり、第2導電型はn型である。第2半導体層52は、第1半導体層51と同じ導電型(第2導電型)である。一方、第3半導体層53は、半導体基板40と同じ導電型(第1導電型)である。
【0038】
第3半導体層53は、半導体基板40の第1基板主面41に接している。第3半導体層53は、例えばp型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)によって形成されている。第3半導体層53は、半導体基板40よりも低いp型不純物濃度を有していてよい。一例では、第3半導体層53のp型不純物濃度は、例えば1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってよい。
【0039】
第1半導体層51は、第3半導体層53上に形成されている。第1半導体層51は、Z方向において互いに反対側を向く第1主面51Aおよび第2主面51Bを含む。第1主面51Aは半導体チップ20の第1主面21と同じ側を向き、第2主面51Bは半導体チップ20の第2主面22と同じ側を向いている。このため、第1主面51Aは上面と称することができ、第2主面51Bは下面と称することができる。第1半導体層51は、第3半導体層53との境界部においてpn接合部54を形成している。つまり、半導体層50内には、その厚さ方向(Z方向)の途中部において、第2主面51Bに沿う水平方向(厚さ方向の直交方向)に延びるpn接合部54が形成されている。第1半導体層51は、例えばn型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)によって形成されている。
【0040】
第1半導体層51は、第1主面51Aの側の第1領域のn型不純物濃度が第2主面51Bの側の第2領域のn型不純物濃度よりも高い濃度勾配を有してよい。第1領域のn型不純物濃度は、例えば1×1016cm-3以上1×1021cm-3以下であってよい。第2領域のn型不純物濃度は、例えば1×1014cm-3以上1×1018cm-3以下であってよい。n型不純物としては、例えばリン(P)が用いられてよい。
【0041】
第2半導体層52は、第1半導体層51の第1主面51A(上面)に接している。第2半導体層52は、半導体チップ20内において第1主面21の側の領域に形成されているといえる。第2半導体層52は、Z方向において互いに反対側を向く第1主面52Aおよび第2主面52Bを含む。第1主面52Aは第1半導体層51の第1主面51Aと同じ側を向き、第2主面52Bは第1半導体層51の第2主面51Bと同じ側を向いている。このため、第1主面52Aは上面と称することができ、第2主面52Bは下面と称することができる。第1主面52Aは、例えば半導体チップ20の第1主面21を構成している。第2主面52Bは、第1半導体層51の第1主面51Aと接している。
【0042】
第2半導体層52は、Z方向に関して一様なn型不純物濃度を有してよいし、第1主面21に向かって上昇するn型不純物濃度の勾配を有してもよい。第2半導体層52のn型不純物濃度は、例えば1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下であってよい。第2半導体層52は、例えばn型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)によって形成されている。
【0043】
素子分離構造30は、半導体層50をZ方向に貫通して半導体基板40に達するように第1主面21からZ方向に延びている。素子分離構造30は、第1トレンチ31、第1絶縁膜32A,32B、導電部材33、および第1拡散層34A,34Bを含む。
【0044】
第1トレンチ31は、平面視において閉じた環状に形成されている。ここで、平面視は、「第2半導体層52の第1主面52A(上面)に垂直な厚さ方向から視て」と言い換えることもできる。
【0045】
第1トレンチ31は、半導体基板40に達するように第2半導体層52および第1半導体層51を貫通して形成されている。より詳細には、第1トレンチ31は、第1主面21から第2半導体層52、第1半導体層51、および第3半導体層53を貫通して半導体基板40に達している。第1トレンチ31は、半導体基板40の第1基板主面41からZ方向に凹む部分を含む。第1トレンチ31は、X方向に幅を有するとともに、X方向に対向する第1側面31A,31Bと、第1側面31A,31B同士を接続する第1底面31Cと、を含む。一例では、第1側面31Aは、平面視において、環状の第1トレンチ31の内周側の側面を構成している。第1側面31Bは、平面視において、環状の第1トレンチ31の外周側の側面を構成している。ここで、第1トレンチ31に関して、Z方向は「第1トレンチ31の深さ方向」となり、X方向は「第1トレンチ31の幅方向」となり、Y方向は「第1トレンチ31の長さ方向」となる。また、第1側面31A,31Bは「第1トレンチの側面」に対応し、第1底面31Cは「第1トレンチの底面」に対応している。
【0046】
図3の断面視において、第1トレンチ31は、第1主面21から半導体基板40に向けて幅寸法が徐々に小さくなるテーパ状に形成されている。
図3の断面視において、第1トレンチ31は、第1側面31A,31Bが第1底面31Cに向かうにつれて互いに近づくようなテーパ状に形成されているともいえる。第1トレンチ31の第1側面31A,31Bと第1底面31Cとを接続するコーナ部分は、角面状であってもよいし、丸面状であってもよい。
【0047】
一例では、第1トレンチ31の幅W1は、0.5μm以上10μm以下であってよい。一例では、第1トレンチ31の幅W1は、1μm以上5μm以下であってよい。一例では、第1トレンチ31の幅W1は、例えば2μm以上4μm以下であってよい。一例では、第1トレンチ31の深さH1は、例えば5μm以上50μm以下であってよい。ここで、第1トレンチ31の幅W1は、第1トレンチ31の幅方向の最大寸法である。第1トレンチ31の幅W1は、第2半導体層52の第1主面52Aにおける第1トレンチ31の幅方向の寸法であるといえる。
【0048】
第1絶縁膜32Aは、第1トレンチ31の第1側面31Aを覆っている。第1絶縁膜32Bは、第1トレンチ31の第1側面31Bを覆っている。一方、
図3に示す例では、第1絶縁膜32A,32Bは、第1トレンチ31の第1底面31Cを覆っていない。このため、第1トレンチ31の第1底面31Cを構成する半導体基板40は、第1絶縁膜32A,32Bから露出している。第1絶縁膜32A,32Bは、酸化シリコン膜(SiO
2膜)を含んでよい。一例では、第1絶縁膜32A,32Bは、半導体基板40の酸化物によって形成されたSiO
2膜を含んでよい。
【0049】
導電部材33は、第1絶縁膜32A,32Bを介して第1トレンチ31に埋め込まれている。第1トレンチ31は、第1絶縁膜32A,32Bから半導体基板40が露出しているため、導電部材33は、第1トレンチ31の第1底面31Cにおいて半導体基板40と接している。一例では、
図3の断面視において、導電部材33は、第1主面52Aから半導体基板40に向かうにつれて徐々に先細るテーパ状に形成されている。導電部材33は、例えば導電性のポリシリコンを含んでよい。導電部材33は、例えば半導体基板40と同じ導電型、すなわちp型の導電性のポリシリコンを含んでよい。導電部材33のp型不純物として、例えばホウ素(B)が用いられてよい。導電部材33には、図示しない配線が電気的に接続されてよい。これにより、この配線を介して、導電部材33の電位を制御することができる。
【0050】
第1拡散層34A,34Bは、半導体層50に形成されている。第1拡散層34Aは、第1トレンチ31の第1側面31Aに対して第1絶縁膜32Aとは反対側に形成されている。このため、第1拡散層34Aは、トランジスタ領域25に形成されている。第1拡散層34Bは、第1トレンチ31の第1側面31Bに対して第1絶縁膜32Bとは反対側に形成されている。このため、第1拡散層34Bは、トランジスタ領域25よりも外側に形成されている。第1拡散層34A,34Bは、平面視において第1トレンチ31の第1側面31A,31Bに沿って環状に形成されている。
【0051】
また、第1拡散層34Aは第1側面31Aの深さ方向(Z方向)の全体にわたり形成されており、第1拡散層34Bは第1側面31Bの深さ方向(Z方向)の全体にわたり形成されている。このため、第1拡散層34A,34Bは、第1主面21から半導体基板40に達するように第2半導体層52、第1半導体層51、および第3半導体層53を貫通して形成されている。第1拡散層34Aは、その厚さTA1が第1主面21から半導体基板40に向かうにつれて徐々に小さくなるように形成されている。第1拡散層34Bは、その厚さTB1が第1主面21から半導体基板40に向かうにつれて徐々に小さくなるように形成されている。第1拡散層34A,34Bは、例えば第1半導体層51と同じ導電型(この実施形態ではn型)を有する。
【0052】
図3および
図4に示すように、MISFET60は、トランジスタ領域25に形成された少なくとも1つのMISFETセル60Aによって構成されている。
図4は、1つのMISFETセル60Aの断面構造を示している。
【0053】
図4に示すように、MISFETセル60Aは、一対の第2トレンチ61、第2絶縁膜62、および第2拡散層63を含む。
図2および
図4に示すように、平面視において、各第2トレンチ61は、Y方向に沿って延びる帯状に形成されている。一対の第2トレンチ61は、X方向において互いに離隔して配列されている。平面視において、一対の第2トレンチ61の配列方向は、各第2トレンチ61が延びる方向と直交しているといえる。
【0054】
図4に示すように、各第2トレンチ61は、第1トレンチ31よりも小さな幅W2を有する。各第2トレンチ61は、第1トレンチ31よりも浅い深さH2を有する。つまり、各第2トレンチ61は、Z方向において第1主面21から半導体基板40の手前まで延びている。一例では、各第2トレンチ61は、Z方向において第1主面21から第1半導体層51の手前まで延びている。つまり、各第2トレンチ61は、第2半導体層52にのみ形成されている。ここで、第2トレンチ61の幅W2とは、平面視において第2トレンチ61が延びる方向と直交する方向の寸法である。
図4に示す例では、第2トレンチ61の幅W2は、X方向における第2トレンチ61の寸法である。
【0055】
図4の断面視において、第2トレンチ61は、X方向に対向する第2側面61A,61Bと、第2側面61A,61B同士を接続する第2底面61Cと、を含む。各第2トレンチ61の第2側面61Aは、X方向において各第2トレンチ61のうちトランジスタ領域25の外方寄りに形成された側面である。各第2トレンチ61の第2側面61Aは、各第2トレンチ61のうち第2半導体層52を介して素子分離構造30と対向する側面であるといえる。各第2トレンチ61の第2側面61Bは、X方向において各第2トレンチ61のうちトランジスタ領域25の中央寄りに形成された側面である。ここで、第2トレンチ61に関して、Z方向は「第2トレンチ61の深さ方向」となり、X方向は「第2トレンチ61の幅方向」となり、Y方向は「第2トレンチ61の長さ方向」となる。なお、X方向は、「一対の第2トレンチ61の配列方向」ともいえる。また、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bは「第2トレンチの側面」に対応し、第2底面61Cは「第2トレンチの底面」に対応している。
【0056】
図4の断面視において、第2トレンチ61は、第1主面21から第1半導体層51に向けて幅寸法が徐々に小さくなるテーパ状に形成されている。
図4の断面視において、第2トレンチ61は、第2側面61A,61Bが第2底面61Cに向かうにつれて互いに近づくようなテーパ状に形成されているともいえる。第2トレンチ61の第2側面61A,61Bと第2底面61Cとを接続するコーナ部分は、角面状であってもよいし、丸面状であってもよい。一例では、第2底面61Cは、第1半導体層51に向けて凸となるように湾曲している。換言すると、第2底面61Cは、下に向けて凸となるように湾曲している。
【0057】
一例では、第2トレンチ61の深さH2は、第2トレンチ61の幅W2よりも大きい。一例では、第2トレンチ61の深さH2は、第2トレンチ61の幅W2の2倍よりも大きい。一例では、第2トレンチ61の深さH2は、第2トレンチ61の幅W2の3倍よりも大きい。一例では、第2トレンチ61の深さH2は、第2トレンチ61の幅W2の4倍未満であってよい。一例では、第2トレンチ61の幅W2は、例えば0.3μm以上2.0μm以下であってもよい。一例では、第2トレンチ61の深さH2は、例えば3μm以上30μm以下であってよい。
【0058】
第2トレンチ61内には、第2絶縁膜62が埋め込まれている。より詳細には、第2絶縁膜62は、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cの各々を覆うとともに第2トレンチ61のリセス空間の全てを埋めるように形成されている。一例では、第2絶縁膜62は、SiO2膜を含んでいてよい。一例では、第2絶縁膜62は、半導体チップ20の酸化物によって形成されたSiO2膜を含んでよい。
【0059】
第2トレンチ61の周囲には、第2拡散層63が形成されている。第2拡散層63は、例えば第1半導体層51と同じ導電型(この実施形態ではn型)を有する。第2拡散層63は、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cを覆うように形成されている。より詳細には、第2拡散層63は、第2トレンチ61の両第2側面61A,61Bに形成された第1側面拡散層63Aおよび第2側面拡散層63Bと、第2トレンチ61の第2底面61Cに形成された底面拡散層63Cと、を含む。底面拡散層63Cは、第1側面拡散層63Aと第2側面拡散層63Bとを繋いでいる。
【0060】
第1側面拡散層63Aは、X方向において第2トレンチ61に対して素子分離構造30寄りに配置されている。第1側面拡散層63Aは、第2トレンチ61の第2側面61Aに対して第2絶縁膜62とは反対側に形成されている。第1側面拡散層63Aは、第2トレンチ61の深さ方向(Z方向)において、第2側面61Aの全体にわたり形成されている。第1側面拡散層63Aは、その厚さが第1主面21から第1半導体層51に向かうにつれて徐々に小さくなるように形成されている。ここで、第1側面拡散層63Aの厚さは、平面視において第1側面拡散層63Aが延びる方向と直交する方向の寸法である。
図4の例では、第1側面拡散層63Aの厚さは、第1側面拡散層63AのX方向の寸法である。
【0061】
第2側面拡散層63Bは、X方向において第2トレンチ61に対してトランジスタ領域25の中央寄りに配置されている。第2側面拡散層63Bは、第2トレンチ61の第2側面61Bに対して第2絶縁膜62とは反対側に形成されている。第2側面拡散層63Bは、その厚さが第1主面21から第1半導体層51に向かうにつれて徐々に小さくなるように形成されている。ここで、第2側面拡散層63Bの厚さは、平面視において第2側面拡散層63Bが延びる方向と直交する方向の寸法である。
図4の例では、第2側面拡散層63Bの厚さは、第2側面拡散層63BのX方向の寸法である。
【0062】
底面拡散層63Cは、第2トレンチ61の第2底面61Cを覆っている。底面拡散層63Cは、第2トレンチ61の第2底面61Cの形状に沿うように形成されている。つまり、底面拡散層63Cは、第1半導体層51に向けて凸となるように湾曲している。換言すると、底面拡散層63Cは、下に向けて凸となるように湾曲している。
【0063】
底面拡散層63Cは、例えば一様な厚さを有する。一例では、底面拡散層63Cの厚さは、第1側面拡散層63Aの厚さおよび第2側面拡散層63Bの厚さの双方よりも小さい。換言すると、第1側面拡散層63Aおよび第2側面拡散層63Bの双方は、底面拡散層63Cの厚さよりも厚い部分を含む。一例では、底面拡散層63Cの厚さは、第1側面拡散層63Aの厚さの最小値および第2側面拡散層63Bの厚さの最小値と等しい。ここで、底面拡散層63Cの厚さは、第2トレンチ61の深さ方向(Z方向)における底面拡散層63Cの寸法である。また、底面拡散層63Cの厚さと第1側面拡散層63Aの厚さの最小値との差が底面拡散層63Cの厚さの10%以内であれば、底面拡散層63Cの厚さが第1側面拡散層63Aの厚さと等しいといえる。底面拡散層63Cの厚さと第2側面拡散層63Bの厚さの最小値との差が底面拡散層63Cの厚さの10%以内であれば、底面拡散層63Cの厚さが第2側面拡散層63Bの厚さと等しいといえる。
【0064】
一例では、第2拡散層63の厚さは、0.3μm以上3μm以下である。好ましくは、第2拡散層63の厚さは、1.5μm以上1.7μm以下である。ここで、第2拡散層63の厚さは、第1側面拡散層63Aの厚さ、第2側面拡散層63Bの厚さ、および底面拡散層63Cの厚さのいずれであってもよい。
【0065】
MISFETセル60Aは、第1導電型(この実施形態ではp型)のウエル領域64、第2導電型(この実施形態ではn型)のソースコンタクト領域65、ゲート絶縁膜66、ゲート電極67、および第2導電型(この実施形態ではn型)のドレインコンタクト領域68を含む。
【0066】
ウエル領域64は、第2半導体層52の第1主面52Aのうち一対の第2トレンチ61のX方向の間に形成されている。ウエル領域64は、第1主面52Aのうち各第2トレンチ61の隣に形成されている。一例では、ウエル領域64は、X方向において、各第2トレンチ61から間をあけて形成されている。ウエル領域64は、第2半導体層52よりも高いp型不純物濃度を有する。ウエル領域64のp型不純物濃度は、例えば1×1014cm-3以上1×1018cm-3以下であってよい。なお、ウエル領域64は、「ボディ領域」と称してもよい。
【0067】
ウエル領域64は、平面視においてY方向に沿って延びている。
図2に示すように、平面視におけるウエル領域64の形状は、Y方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状である。一例では、ウエル領域64の長さ寸法(ウエル領域64のY方向の寸法)は、各第2トレンチ61の長さ寸法(各第2トレンチ61のY方向の寸法)よりも大きい。一例では、ウエル領域64の深さH3は、各第2トレンチ61の深さH2よりも浅い。一例では、ウエル領域64の幅W3は、各第2トレンチ61の幅W2よりも大きい。
【0068】
ウエル領域64は、第2トレンチ61に対して第1側面拡散層63Aよりも第2側面拡散層63Bの近くに配置されている。ウエル領域64は、第2側面拡散層63Bの隣に配置されているともいえる。このため、第2側面拡散層63Bは、第1側面拡散層63Aよりもウエル領域64寄りに配置されているといえる。
【0069】
ソースコンタクト領域65は、ソース電極S(
図3参照)に電気的に接続される領域であり、ウエル領域64に形成されている。ソースコンタクト領域65は、第2半導体層52の第1主面52Aに形成されている。ソースコンタクト領域65は、ウエル領域64のX方向の両端に対してX方向に離隔して形成されている。一例では、ソースコンタクト領域65は、ウエル領域64のX方向の中央に形成されている。ソースコンタクト領域65は、ウエル領域64よりも高いn型不純物濃度を有する。ソースコンタクト領域65のn型不純物濃度は、例えば1×10
16cm
-3以上1×10
21cm
-3以下であってよい。
【0070】
ゲート絶縁膜66は、第2半導体層52の第1主面52A上に形成されている。ゲート絶縁膜66は、ウエル領域64と第2トレンチ61とに跨って形成されている。一例では、ゲート絶縁膜66は、SiO2膜を含んでいてよい。一例では、ゲート絶縁膜66は、半導体チップ20の酸化物によって形成されたSiO2膜を含んでよい。
【0071】
ゲート電極67は、ゲート絶縁膜66上に形成されている。このため、ゲート電極67は、ウエル領域64と第2トレンチ61とに跨って形成されている。ゲート電極67は、半導体基板40と同じ導電型(この実施形態ではp型)の導電性のポリシリコンを含んでよい。ゲート電極67のp型不純物は、例えばBを含んでよい。なお、ゲート電極67は、n型不純物を含んでいてもよい。
【0072】
図2に示すように、平面視において、ゲート電極67は、ソースコンタクト領域65を囲むように環状に形成されている。より詳細には、ゲート電極67は、X方向に互いに離隔して配置され、Y方向に沿って延びる一対の主ゲート電極部67Aと、一対の主ゲート電極部67AのY方向の両端部において一対の主ゲート電極部67A同士を接続する一対のゲート接続部67Bと、を含む。各ゲート接続部67Bは、X方向に沿って延びている。これにより、ゲート電極67は、Y方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる略矩形枠状に形成されている。
【0073】
一対の主ゲート電極部67Aは、ソースコンタクト領域65のX方向の両側に配置されている。一対の主ゲート電極部67Aは、X方向においてソースコンタクト領域65から離隔している。一対のゲート接続部67Bは、ソースコンタクト領域65のY方向の両側に配置されている。各ゲート接続部67Bは、第2トレンチ61と素子分離構造30とのY方向の間に配置されている。つまり、各ゲート接続部67Bは、Y方向において第2トレンチ61よりも外側に配置されている。このため、各ゲート接続部67Bは、平面視において第2トレンチ61と重なっていない。
【0074】
図4に示すように、ドレインコンタクト領域68は、ドレイン電極D(
図3参照)と電気的に接続される領域であり、第2半導体層52の第1主面52Aのうち第2トレンチ61に対してウエル領域64とは反対側に設けられている。ドレインコンタクト領域68は、第2拡散層63と電気的に接続されている。より詳細には、ドレインコンタクト領域68は、各第2トレンチ61の第2側面61Aに形成された第1側面拡散層63Aに接続されている。つまり、
図4の例では、2つのドレインコンタクト領域68が第2半導体層52の第1主面52Aに形成されている。ドレインコンタクト領域68は第1側面拡散層63Aに設けられた第1コンタクト領域と、X方向において第1側面拡散層63Aから第2トレンチ61とは反対側にはみ出す第2コンタクト領域とを含む。また、第2側面拡散層63Bは、第1側面拡散層63Aよりもウエル領域64寄りに配置されているため、ドレインコンタクト領域68よりもウエル領域64寄りに配置されているといえる。
【0075】
図2に示すように、各ドレインコンタクト領域68は、平面視においてY方向に沿って延びる帯状に形成されている。各ドレインコンタクト領域68は、第2トレンチ61と素子分離構造30とのX方向の間に形成されている。一例では、各ドレインコンタクト領域68の長さ寸法(各ドレインコンタクト領域68のY方向の寸法)は、第2トレンチ61の長さ寸法と等しい。一例では、各ドレインコンタクト領域68の長さ寸法は、ソースコンタクト領域65の長さ寸法(ソースコンタクト領域65のY方向の寸法)と等しい。なお、各ドレインコンタクト領域68およびソースコンタクト領域65のそれぞれの長さ寸法は任意に変更可能である。
【0076】
MISFETセル60Aは、第2トレンチ61を覆う第3絶縁膜70を含む。第3絶縁膜70は、第2半導体層52の第1主面52Aに形成されたトレンチ74に埋め込まれている。第3絶縁膜70は、トランジスタ領域25のX方向の略全体にわたり形成されている。第3絶縁膜70は、一対の第2トレンチ61のX方向の間の領域を露出する第1開口部71と、ドレインコンタクト領域68を露出する一対の第2開口部72と、を含む。また、第3絶縁膜70は、素子分離構造30の一部を露出する第3開口部73を含んでいてよい。ゲート絶縁膜66は、X方向において第3絶縁膜70の第1開口部71の周縁を覆っている。
【0077】
第2トレンチ61の深さH2は、第3絶縁膜70の厚さH4よりも大きい。第3絶縁膜70の厚さH4は、ドレインコンタクト領域68の厚さ(ドレインコンタクト領域68のZ方向の寸法)およびソースコンタクト領域65の厚さ(ソースコンタクト領域65のZ方向の寸法)の双方よりも深い。一方、第3絶縁膜70の厚さH4は、ウエル領域64の深さH3よりも小さい。
【0078】
このようなMISFETセル60Aにおいては、ゲート電極67にゲート駆動電圧が印加されると、ドレイン電極Dからソース電極Sに向けて電流が流れる。より詳細には、ドレイン電極Dに電気的に接続されたドレインコンタクト領域68、第1側面拡散層63A、底面拡散層63C、第2側面拡散層63B、第2半導体層52、ウエル領域64、およびソースコンタクト領域65の順に電流が流れる。つまり、MISFETセル60Aにおいては、ドレインコンタクト領域68から第2トレンチ61を迂回してソースコンタクト領域65に電流が流れる。
【0079】
[半導体装置の製造方法]
図5~
図14を参照して、半導体装置10の製造方法の一例について説明する。以下では、MISFET60の製造に関連する工程を示すが、
図5~
図14に示す工程と並行して、または独立して、ダイオード領域24および抵抗素子領域26(ともに
図1参照)などのトランジスタ領域25以外の素子領域の機能素子が形成されてよい。なお、
図5~
図14において、
図2~
図4に示す半導体装置10の構成要素と同様な構成要素には同一符号が付されている。
【0080】
図5に示すように、半導体装置10の製造方法は、半導体基板40上に第1半導体層51を形成する工程と、第1半導体層51上に第2半導体層52を形成する工程とを含む。
より詳細には、まずp型不純物を含む半導体基板40が準備される。半導体基板40として、例えば半導体ウエハが準備される。半導体ウエハは、例えばSiウエハである。続いて、半導体基板40上に第3半導体層53、第1半導体層51、および第2半導体層52が形成される。第3半導体層53、第1半導体層51、および第2半導体層52は、半導体基板40のエピタキシャル成長によって形成される。一例では、半導体基板40の表面部に、p型不純物(例えば、B)が注入される。次に、p型不純物を導入しながらSiをエピタキシャル成長させることによって、半導体基板40上に第3半導体層53が形成される。次に、n型不純物を導入しながらSiをエピタキシャル成長させることによって、第3半導体層53上に第2半導体層52が形成される。その後、アニール処理を実施することによって、第3半導体層53の表面部に導入されたn型不純物が半導体基板40の厚さ方向(Z方向)の両側に拡散する。これにより、第3半導体層53と第2半導体層52との間に第1半導体層51(埋込層)が形成される。このように得られた半導体基板40および第1~第3半導体層51~53は、半導体チップ20に対応するので、第1主面21および第2主面22を有するといえる。つまり、第2半導体層52の第1主面52Aが第1主面21に対応し、半導体基板40の第2基板主面42が第2主面22に対応する。以下の説明では、半導体基板40および第1~第3半導体層51~53を総称して、「半導体ウエハ」とする場合がある。
【0081】
図6に示すように、半導体装置10の製造方法は、第1トレンチ31、および第1トレンチ31よりも幅が狭い第2トレンチ61を形成する工程を含む。つまり、第1トレンチ31および第2トレンチ61は、共通の工程で形成される。換言すると、第1トレンチ31および第2トレンチ61は同時に形成される。
【0082】
より詳細には、第1主面21にハードマスク200が形成される。ハードマスク200は、第1主面21のうち第1トレンチ31および第2トレンチ61が形成される領域を露出する第1開口部201および第2開口部202を有する。第1開口部201は、第1主面21のうち第1トレンチ31が形成される領域を露出している。第2開口部202は、第1主面21のうち第2トレンチ61が形成される領域を露出している。続いて、ハードマスク200を介して半導体基板40および第1~第3半導体層51~53をエッチングすることによって、半導体基板40に達するように第1~第3半導体層51~53をZ方向に貫通する第1トレンチ31が形成される。一方、ハードマスク200を介して第2半導体層52をエッチングすることによって、半導体基板40の手前まで延びた第2トレンチ61が形成される。一例では、第1トレンチ31の幅W1および第2トレンチ61の幅W2を調整することによって、第1トレンチ31の深さH1および第2トレンチ61の深さH2を調整してよい。
図6に示すとおり、第2トレンチ61は、第1トレンチ31よりも小さい幅を有する。ここで、第1トレンチ31は、平面視において閉じた環状に形成される。これにより、半導体ウエハにトランジスタ領域25が区画される。一方、第2トレンチ61は、トランジスタ領域25内において平面視でY方向に延びた直線状に形成される。
【0083】
第1トレンチ31の幅W1は、例えば0.5μm以上10μm以下であってよい。第1トレンチ31の幅W1は、例えば1μm以上5μm以下であってよい。第1トレンチ31の幅W1は、例えば2μm以上4μm以下であってよい。第1トレンチ31の深さH1は、例えば5μm以上50μm以下であってよい。第2トレンチ61の幅W2は、例えば0.3μm以上2.0μm以下であってもよい。第2トレンチ61の深さH2は、例えば3μm以上30μm以下であってよい。
【0084】
図7に示すように、半導体装置10の製造方法は、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bに第1拡散層34A,34Bを形成するとともに、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cに第2拡散層63を形成する工程を含む。
【0085】
図8および
図9に示すように、半導体装置10の製造方法は、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bに第1絶縁膜32A,32Bを形成するとともに、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cに第2絶縁膜62を形成する工程を備える。つまり、第1絶縁膜32A,32Bおよび第2絶縁膜62は、共通の工程で形成される。換言すると、第1絶縁膜32A,32Bおよび第2絶縁膜62は同時に形成される。
【0086】
より詳細には、
図7に示すように、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bと、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cとに、n型不純物が選択的に注入される。n型不純物は、例えば第1主面21の法線方向(Z方向)に対して3°~7°のチルト角をもって注入される。これにより、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bと、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cとに対して、n型不純物を効率よく注入することができる。n型不純物としては、例えばPが用いられてよい。
【0087】
第2拡散層63の厚さT2は、第1拡散層34Aの厚さTA1および第1拡散層34Bの厚さTB1の双方よりも小さい。
図7において、第2拡散層63の厚さT2は、0.3μm以上3μm以下であってよい。好ましくは、第2拡散層63の厚さT2は、1.5μm以上1.7μm以下であってよい。ここで、第2拡散層63の厚さT2は、例えば平面視において第1側面拡散層63Aが延びる方向と直交する方向における第1側面拡散層63Aの寸法である。なお、第2拡散層63の厚さT2は、平面視において第2側面拡散層63Bが延びる方向と直交する方向における第2側面拡散層63Bの寸法であってよい。
【0088】
次に、
図8に示すように、半導体ウエハに対して熱酸化処理が実施される。これにより、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bおよび第1底面31Cと、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cとに酸化膜210が形成される。この酸化膜210の形成時の熱によって、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bと、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cとに選択的に注入されたn型不純物が拡散する。これにより、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bに第1拡散層34A,34Bが形成され、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cに第2拡散層63が形成される。このように、第1拡散層34A,34Bおよび第2拡散層63は同時に形成される。
【0089】
続いて、エッチングによって、酸化膜210を選択的に除去する。一例では、酸化膜210のうち第1トレンチ31の第1底面31Cに形成された底面酸化膜211がエッチングによって除去される。これにより、
図9に示すように、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bに形成された第1絶縁膜32A,32Bと、第2トレンチ61に埋め込まれた第2絶縁膜62とが形成される。
【0090】
図10に示すように、半導体装置10の製造方法は、第1トレンチ31内に導電部材33を埋め込む工程を含む。より詳細には、例えばスパッタリングによって、第1トレンチ31の第1底面31Cおよび第1絶縁膜32A,32Bによって形成されたリセス空間と、第1主面21上とに電極膜が形成される。電極膜は、例えばポリシリコンによって形成される。その後、エッチングによって第1主面21上の電極膜が除去される。続いて、リセス空間に埋め込まれた電極膜にp型不純物が注入される。p型不純物としては、例えばBが用いられてよい。これにより、導電部材33が形成される。ここで、
図8の底面酸化膜211が除去されたことにともない、第1トレンチ31の第1底面31Cは、半導体基板40が露出している。このため、第1トレンチ31に埋め込まれた導電部材33は、半導体基板40と接している。
【0091】
図11に示すように、半導体装置10の製造方法は、第2トレンチ61を覆う第3絶縁膜70を形成する工程を含む。
より詳細には、マスク(図示略)を介して第2半導体層52をエッチングすることによって、トレンチ74が形成される。
図11に示すとおり、トレンチ74は、第2トレンチ61に形成される。第2トレンチ61に対応するトレンチ74は、第2トレンチ61の第2側面61A,61B、第2絶縁膜62、および第2拡散層63の一部をエッチングすることによって形成されている。また、トレンチ74は、第1トレンチ31の第1側面31A,31B、第1絶縁膜32A,32B、導電部材33、第1拡散層34A,34B、および第1主面21をエッチングすることによっても形成される。その後、各トレンチ74内に絶縁材料が堆積されることによって、第3絶縁膜70が形成される。絶縁材料としては、例えばSiO
2を含む材料が用いられてよい。
【0092】
図12に示すように、半導体装置10の製造方法は、第2半導体層52の第1主面52Aのうち第2トレンチ61の隣にウエル領域64を形成する工程を含む。
より詳細には、ウエル領域64用のp型不純物が第1主面52Aに注入される。一例では、ウエル領域64を形成すべき領域に対応する開口部を有するマスクが第1主面52A上に形成される。開口部は、例えば第1主面52Aのうち第2トレンチ61の隣に形成されている。続いて、マスクの開口部を介して、第1主面52Aに対してp型不純物が注入される。これにより、第1主面52Aのうち第2トレンチ61の隣にウエル領域64が形成される。なお、ウエル領域64は、第1主面52Aのうち第2拡散層63の第2側面拡散層63Bの隣に形成されているともいえる。
【0093】
図13に示すように、半導体装置10の製造方法は、ウエル領域64にソースコンタクト領域65を形成するとともに、第2半導体層52の第1主面52Aのうち第2トレンチ61に対してウエル領域64とは反対側に、第2拡散層63と接続されたドレインコンタクト領域68を形成する工程を含む。
【0094】
より詳細には、ソースコンタクト領域65用のn型不純物およびドレインコンタクト領域68用のn型不純物がそれぞれ第1主面52Aに注入される。一例では、ウエル領域64のうちソースコンタクト領域65を形成すべき領域に対応する第1開口部と、ドレインコンタクト領域68を形成すべき領域に対応する第2開口部とを有するマスクが第1主面52A上に形成される。第1開口部は、平面視においてウエル領域64内に形成されている。第2開口部は、平面視において第1トレンチ31と第2トレンチ61とのX方向の間に形成されている。第2開口部は、第2拡散層63の一部を露出している。続いて、マスクの第1開口部および第2開口部を介して、第1主面52Aに対してn型不純物が注入される。これにより、ウエル領域64にソースコンタクト領域65が形成される。また、第1主面52Aのうち第2トレンチ61に対してウエル領域64とは反対側にドレインコンタクト領域68が形成される。ドレインコンタクト領域68は、第2拡散層63の一部に形成されるため、第2拡散層63と接続されているといえる。このように、ソースコンタクト領域65およびドレインコンタクト領域68は同時に形成される。
【0095】
図14に示すように、半導体装置10の製造方法は、第2半導体層52の一部を介してウエル領域64と第2トレンチ61とに跨ってゲート絶縁膜66を形成する工程と、ゲート絶縁膜66上にゲート電極67を形成する工程とを含む。
【0096】
より詳細には、半導体ウエハに対して熱酸化処理が実施される。これにより、第2半導体層52の第1主面52A上に酸化膜が形成される。この酸化膜は、SiO2膜によって形成される。続いて、例えばスパッタリングによって酸化膜上に電極膜が形成される。電極膜は、例えばポリシリコンによって形成される。その後、電極膜にp型不純物が注入される。p型不純物としては、例えばBが用いられてよい。
【0097】
次に、例えばエッチングによって、ゲートレジストパターンを有するマスク(図示略)が電極膜上に形成される。続いて、マスクを用いたエッチングによって、電極膜および酸化膜のうちゲートレジストパターンに覆われた部分以外の部分が除去される。これにより、ゲート絶縁膜66およびゲート電極67が形成される。以上の工程を経て、半導体装置10が製造される。
【0098】
[作用]
半導体装置10の作用について説明する。
MISFETセル60Aは、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cに形成された第2拡散層63を含む。この第2拡散層63は、MISFETセル60Aのドリフト領域を構成している。このため、ゲート電極67にゲート駆動電圧が印加されると、ドレインコンタクト領域68から第2拡散層63およびウエル領域64を介してソースコンタクト領域65に向けて電流が流れる。つまり、ドレインコンタクト領域68から第2トレンチ61を迂回してソースコンタクト領域65に電流が流れる。これにより、ドレインコンタクト領域68からソースコンタクト領域65までの第2半導体層52における電流経路が長くなる。したがって、MISFETセル60Aの高耐圧化を図ることができる。
【0099】
[効果]
以上説明した半導体装置10によれば、以下の効果が得られる。
(1)半導体装置10は、p型の半導体基板40と、半導体基板40上の第1半導体層51と、第1半導体層51の第1主面51Aに接するn型の第2半導体層52と、半導体基板40に達するように第2半導体層52および第1半導体層51を貫通して形成された第1トレンチ31と、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bを覆う第1絶縁膜32A,32Bと、第1絶縁膜32A,32Bを介して第1トレンチ31に埋め込まれ、半導体基板40と接する導電部材33と、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bに形成されたn型の第1拡散層34A,34Bと、第1トレンチ31よりも小さな幅を有し、半導体基板40の手前まで延びた第2トレンチ61と、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cに形成されたn型の第2拡散層63と、第2トレンチ61内に埋め込まれた第2絶縁膜62と、第2半導体層52の第1主面52Aのうち第2トレンチ61の隣に形成されたp型のウエル領域64と、ウエル領域64に形成されたn型のソースコンタクト領域65と、ウエル領域64と第2トレンチ61とに跨って形成されたゲート絶縁膜66と、ゲート絶縁膜66上に形成されたゲート電極67と、第2半導体層52の第1主面52Aのうち第2トレンチ61に対してウエル領域64と反対側に設けられ、第2拡散層63と電気的に接続されたn型のドレインコンタクト領域68と、を含む。
【0100】
この構成によれば、ドレインコンタクト領域68とソースコンタクト領域65との間の電流経路が第2トレンチ61を迂回するように形成されるため、この電流経路を長くとることができる。したがって、半導体装置10の高耐圧化を図ることができる。
【0101】
(2)第2拡散層63は、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bに形成された第1側面拡散層63Aおよび第2側面拡散層63Bと、第2底面61Cに形成され、第1側面拡散層63Aと第2側面拡散層63Bとを繋ぐ底面拡散層63Cと、を含む。第1側面拡散層63Aは、ドレインコンタクト領域68に電気的に接続されている。第2側面拡散層63Bは、第1側面拡散層63Aよりもウエル領域64寄りに配置されている。ドレインコンタクト領域68とソースコンタクト領域65とは、第1側面拡散層63A、底面拡散層63C、第2側面拡散層63B、およびウエル領域64を介して繋がっている。
【0102】
この構成によれば、ドレインコンタクト領域68からソースコンタクト領域65に向けて、第1側面拡散層63A、底面拡散層63C、第2側面拡散層63B、およびウエル領域64の順に電流が流れる。これにより、ドレインコンタクト領域68とソースコンタクト領域65との間の電流経路が第2トレンチ61を迂回するように形成されるため、この電流経路を長くとることができる。
【0103】
(3)第2トレンチ61の深さH2は、第2トレンチ61の幅W2よりも大きい。
この構成によれば、第2トレンチ61を迂回するドレインコンタクト領域68とソースコンタクト領域65との間の電流経路を長くとることができる。
【0104】
(4)第2トレンチ61の第2底面61Cは、下に向けて凸となるように湾曲している。この構成によれば、第2底面61Cに形成された第2拡散層63の形状も下に向けて凸となるように湾曲するため、第2トレンチ61の第2底面61Cにおける電界集中を緩和することができる。
【0105】
(5)第2トレンチ61の深さH2は、第3絶縁膜70の厚さH4よりも大きい。
この構成によれば、第2トレンチ61を迂回するドレインコンタクト領域68とソースコンタクト領域65との間の電流経路を長くとることができる。
【0106】
(6)第2トレンチ61の幅W2は、0.3μm以上2.0μm以下である。
この構成によれば、第2トレンチ61の幅W2が狭いことによって、第1トレンチ31の第1底面31C上の第1絶縁膜32A,32Bを除去する工程において、第2トレンチ61の第2底面61C上の第2絶縁膜62を除去しようとしても第2絶縁膜62が残存しやすい。これにより、例えば第2トレンチ61内に導電部材が埋め込まれたとしても導電部材と第2半導体層52とが電気的に接続されることが抑制される。したがって、第2トレンチ61を迂回する電流経路がドレインコンタクト領域68とソースコンタクト領域65との間で形成されやすくなる。
【0107】
(7)半導体装置10の製造方法は、半導体基板40上に第1半導体層51を形成する工程と、第1半導体層51上に第2半導体層52を形成する工程と、第1トレンチ31、および第1トレンチ31よりも幅が狭い第2トレンチ61を形成する工程と、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bに第1拡散層34A,34Bを形成するとともに、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cに第2拡散層63を形成する工程と、第1トレンチ31の第1側面31A,31Bに第1絶縁膜32A,32Bを形成するとともに、第2トレンチ61の第2側面61A,61Bおよび第2底面61Cに第2絶縁膜62を形成する工程と、第2半導体層52の第1主面52Aのうち第2トレンチ61の隣にウエル領域64を形成する工程と、第2半導体層52の一部を介してウエル領域64と第2トレンチ61とに跨ってゲート絶縁膜66を形成する工程と、ゲート絶縁膜66上にゲート電極67を形成する工程と、ウエル領域64にソースコンタクト領域65を形成するとともに、第2半導体層52の第1主面52Aのうち第2トレンチ61に対してウエル領域64と反対側に、第2拡散層63と接続されたドレインコンタクト領域68を形成する工程と、を含む。
【0108】
この構成によれば、ドレインコンタクト領域68とソースコンタクト領域65との間の電流経路が第2トレンチ61を迂回するように形成されるため、この電流経路を長くとることができる。したがって、半導体装置10の高耐圧化を図ることができる。
【0109】
加えて、第1トレンチ31および第2トレンチ61が共通の工程で形成され、第1絶縁膜32A,32Bおよび第2絶縁膜62が共通の工程で形成されるため、半導体装置10の製造工程の簡素化を図ることができる。
【0110】
<変更例>
上記実施形態は例えば以下のように変更できる。上記実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、以下の変更例において、上記実施形態と共通する部分については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0111】
・上記実施形態において、MISFET60の構成は任意に変更可能である。一例では、
図15に示すように、MISFET60は、第2絶縁膜62に埋め込まれるフローティング電極80を含んでいてよい。フローティング電極80は、Z方向から視て、第2絶縁膜62から露出していてよい。フローティング電極80のうち第1主面52A寄りの端部は、第3絶縁膜70によって覆われている。つまり、フローティング電極80は、第2絶縁膜62および第3絶縁膜70によって覆われている。このため、フローティング電極80は、電気的にフローティング状態となる。
図15の断面視において、フローティング電極80は、例えば第2トレンチ61の第2底面61Cに向かうにつれて先細るテーパ状に形成されていてよい。
【0112】
図15の変更例のMISFET60において、フローティング電極80は、導電部材33を形成する工程(
図10参照)において形成される。つまり、フローティング電極80および導電部材33は、共通の工程で形成される。換言すると、フローティング電極80および導電部材33は、同時に形成される。なお、フローティング電極80および導電部材33は、個別の工程で形成されてもよい。
【0113】
・上記実施形態において、第2トレンチ61の深さH2は任意に変更可能である。一例では、
図16に示すように、第2トレンチ61は、第2半導体層52の第1主面52Aから第1半導体層51に達するように第2半導体層52を貫通していてよい。つまり、第2トレンチ61は、第2半導体層52の第1主面52Aから第1半導体層51まで延びていてよい。この場合、第2拡散層63の底面拡散層63Cは、Z方向において、第1半導体層51と第3半導体層53との境界であるpn接合部54よりも第1主面52A寄りに離隔して形成されることが好ましい。
【0114】
なお、
図16に示す例では、
図15に示す変更例のMISFET60と同様に、フローティング電極80が第2絶縁膜62に埋め込まれている。フローティング電極80は、Z方向から視て、第2絶縁膜62から露出していてよい。フローティング電極80のうち第1主面52A寄りの端部は、第3絶縁膜70によって覆われている。
図16に示す例において、フローティング電極80を省略してもよい。
【0115】
また、図示していないが、第2トレンチ61の深さH2は、第3絶縁膜70よりも薄くてもよい。すなわち、第2トレンチ61の第2底面61Cは、トレンチ74の底面よりも第2半導体層52の第1主面52A寄りに位置していてもよい。
【0116】
・上記実施形態において、平面視における第2トレンチ61の形状は任意に変更可能である。一例では、
図17に示すように、平面視において、第2トレンチ61は閉じた環状に形成されていてよい。
図17に示す例では、平面視において、第2トレンチ61はY方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形環状に形成されている。これにより、第2トレンチ61に埋め込まれた第2絶縁膜62は、平面視において閉じた環状に形成されている。平面視において、第2トレンチ61の4つのコーナ部分は、ソースコンタクト領域65から遠ざかるように湾曲凸状に形成されている。
【0117】
図17に示す例では、ゲート電極67は、平面視においてソースコンタクト領域65を囲む閉じた環状に形成されている。平面視において、ゲート電極67の4つのコーナ部分は、ソースコンタクト領域65から遠ざかるように湾曲凸状に形成されている。
【0118】
なお、
図17に示す例において、平面視における第2トレンチ61の形状は、矩形環状に限られず、楕円環状、トラック形状等の他の環状であってもよい。また、平面視におけるゲート電極67の形状も任意に変更可能である。
【0119】
・上記実施形態において、第2トレンチ61の深さH2と幅W2との関係は任意に変更可能である。一例では、第2トレンチ61の深さH2は、第2トレンチ61の幅W2よりも浅くてもよい。
【0120】
・上記実施形態において、第2トレンチ61の第2底面61Cの形状は任意に変更可能である。一例では、第2底面61Cは、第2トレンチ61の深さ方向(Z方向)と直交する平坦面であってもよい。
【0121】
・上記実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型である例について説明したが、第1導電型がp型、第2導電型がn型であってもよい。この場合の具体的な構成は、上記の説明および添付図面においてn型領域をp型領域に置き換え、p型領域をn型領域に置き換えることによって得られる。
【0122】
本開示における記述「AおよびBの少なくとも1つ」は、「Aのみ、または、Bのみ、またはAとBの両方」を意味するものとして理解されたい。
本明細書に記載の様々な例のうち1つまたは複数を、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0123】
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、例えば「第1要素が第2要素上に実装される」という表現は、或る実施形態では第1要素が第2要素に接触して第2要素上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1要素が第2要素に接触することなく第2要素の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1要素と第2要素との間に他の要素が形成される構造を排除しない。
【0124】
本開示で使用されるZ方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造は、本明細書で説明されるZ方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えば、X方向が鉛直方向であってもよく、またはY方向が鉛直方向であってもよい。
【0125】
<付記>
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載される構成要素には、実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0126】
[付記1]
第1導電型(p型)の半導体基板(40)と、
前記半導体基板(40)上の第1半導体層(51)と、
前記第1半導体層(51)の上面(51A)に接する第2導電型(n型)の第2半導体層(52)と、
前記半導体基板(40)に達するように前記第2半導体層(52)および前記第1半導体層(51)を貫通して形成された第1トレンチ(31)と、
前記第1トレンチ(31)の側面(31A,31B)を覆う第1絶縁膜(32)と、
前記第1絶縁膜(32)を介して前記第1トレンチ(31)に埋め込まれ、前記半導体基板(40)と接する導電部材(33)と、
前記第1トレンチ(31)の側面(31A,31B)に形成された第2導電型(n型)の第1拡散層(34)と、
前記第1トレンチ(31)よりも小さな幅を有し、前記半導体基板(40)の手前まで延びた第2トレンチ(61)と、
前記第2トレンチ(61)の側面(61A,61B)および底面(61C)に形成された第2導電型(n型)の第2拡散層(63)と、
前記第2トレンチ(61)内に埋め込まれた第2絶縁膜(62)と、
前記第2半導体層(52)の上面(52A)のうち前記第2トレンチ(61)の隣に形成された第1導電型(p型)のウエル領域(64)と、
前記ウエル領域(64)に形成された第2導電型(n型)のソースコンタクト領域(65)と、
前記ウエル領域(64)と前記第2トレンチ(61)とに跨って形成されたゲート絶縁膜(66)と、
前記ゲート絶縁膜(66)上に形成されたゲート電極(67)と、
前記第2半導体層(52)の上面(52A)のうち前記第2トレンチ(61)に対して前記ウエル領域(64)と反対側に設けられ、前記第2拡散層(63)と電気的に接続された第2導電型(n型)のドレインコンタクト領域(68)と、
を含む、半導体装置(10)。
【0127】
[付記2]
前記第2拡散層(63)は、
前記第2トレンチ(61)の両側面(61A,61B)に形成された第1側面拡散層(63A)および第2側面拡散層(63B)と、
前記第2トレンチ(61)の底面(61C)に形成され、前記第1側面拡散層(63A)と前記第2側面拡散層(63B)とを繋ぐ底面拡散層(63C)と、
を含み、
前記第1側面拡散層(63A)は、前記ドレインコンタクト領域(68)に電気的に接続されており、
前記第2側面拡散層(63B)は、前記第1側面拡散層(63A)よりも前記ウエル領域(64)寄りに配置されており、
前記ドレインコンタクト領域(68)と前記ソースコンタクト領域(65)とは、前記第1側面拡散層(63A)、前記底面拡散層(63C)、前記第2側面拡散層(63B)、および前記ウエル領域(64)を介して繋がっている
付記1に記載の半導体装置。
【0128】
[付記3]
前記第2トレンチ(61)の深さ(H2)は、前記第2トレンチ(61)の幅(W2)よりも大きい
付記1または2に記載の半導体装置。
【0129】
[付記4]
前記第2拡散層(63)の厚さ(T2)は、0.3μm以上3μm以下である
付記1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0130】
[付記5]
前記第2拡散層(63)の厚さ(T2)は、1.5μm以上1.7μm以下である
付記4に記載の半導体装置。
【0131】
[付記6]
前記第2トレンチ(61)の底面(61C)は、下に向けて凸となるように湾曲している
付記1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0132】
[付記7]
前記第2トレンチ(61)は、前記第1半導体層(51)まで延びている
付記1~6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0133】
[付記8]
前記第2トレンチ(61)を覆う第3絶縁膜(70)を含む
付記1~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0134】
[付記9]
前記第2トレンチ(61)の深さ(H2)は、前記第3絶縁膜(70)の厚さ(H4)よりも大きい
付記8に記載の半導体装置。
【0135】
[付記10]
前記第2絶縁膜(62)内にフローティング電極(80)が設けられている
付記1~9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0136】
[付記11]
前記第2トレンチ(61)の幅(W2)は、0.3μm以上2.0μm以下である
付記1~10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0137】
[付記12]
前記第2トレンチ(61)の深さ(H2)は、3μm以上30μm以下である
付記1~11のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0138】
[付記13]
前記第1トレンチ(31)の幅(W1)は、1μm以上5μm以下である
付記1~12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0139】
[付記14]
前記第1トレンチ(31)の深さ(H1)は、5μm以上50μm以下である
付記1~13のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0140】
[付記15]
前記半導体基板(40)と前記第1半導体層(51)との間の第1導電型(p型)の第3半導体層(53)を含む
付記1~14のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0141】
[付記16]
前記第1トレンチ(31)は、前記第2半導体層(52)の上面(52A)に垂直な厚さ方向(Z方向)から視て、閉じた環状に形成されている
付記1~15のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0142】
[付記17]
前記第2トレンチ(61)は、前記第2半導体層(52)の上面(52A)と平行な第1方向(X方向)において、前記ウエル領域(64)の両側に設けられ、
前記ドレインコンタクト領域(68)は、前記第2トレンチ(61)に対して前記ウエル領域(64)と反対側に配置されている
付記1~16のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0143】
[付記18]
前記第2半導体層(52)の上面(52A)に垂直な厚さ方向(Z方向)から視て、前記ゲート電極(67)は、前記ソースコンタクト領域(65)を囲むように環状に形成されている
付記17に記載の半導体装置。
【0144】
[付記19]
半導体基板(40)上に第1半導体層(51)を形成する工程と、
前記第1半導体層(51)上に第2半導体層(52)を形成する工程と、
第1トレンチ(31)、および前記第1トレンチ(31)よりも幅が小さい第2トレンチ(61)を形成する工程と、
前記第1トレンチ(31)の側面(31A,31B)に第1拡散層(34)を形成するとともに、前記第2トレンチ(61)の側面(61A,61B)および底面(61C)に第2拡散層(63)を形成する工程と、
前記第1トレンチ(31)の側面(31A,31B)に第1絶縁膜(32)を形成するとともに、前記第2トレンチ(61)の側面(61A,61B)および底面(61C)に第2絶縁膜(62)を形成する工程と、
前記第2半導体層(52)の上面(52A)のうち前記第2トレンチ(61)の隣にウエル領域(64)を形成する工程と、
前記第2半導体層(52)の一部を介して前記ウエル領域(64)と前記第2トレンチ(61)とに跨ってゲート絶縁膜(66)を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜(66)上にゲート電極(67)を形成する工程と、
前記ウエル領域(64)にソースコンタクト領域(65)を形成するとともに、前記第2半導体層(52)の上面(52A)のうち前記第2トレンチ(61)に対して前記ウエル領域(64)と反対側に、前記第2拡散層(63)と接続されたドレインコンタクト領域(68)を形成する工程と、
を含む、半導体装置(10)の製造方法。
【0145】
[付記20]
前記第2トレンチ(61)を覆う第3絶縁膜(70)を形成する工程を含む
付記19に記載の半導体装置の製造方法。
【0146】
[付記21]
前記第1方向(X方向)および前記第2半導体層(52)の上面(52A)に垂直な厚さ方向(Z方向)の双方と直交する方向を第2方向(Y方向)として、
前記厚さ方向(Z方向)から視て、前記第2トレンチ(61)は、前記第2方向(Y方向)に沿って直線状に延びている
付記17に記載の半導体装置。
【0147】
[付記22]
前記第2半導体層(52)の上面(52A)に垂直な厚さ方向(Z方向)から視て、前記第2トレンチ(61)は、前記ソースコンタクト領域(65)を囲む閉じた環状に形成されている
付記1~18のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0148】
[付記23]
前記第1側面拡散層(63)および前記第2側面拡散層(64)の双方の厚さは、前記第2半導体層(52)の上面(52A)から前記第2トレンチ(61)の底面(61C)に向かうにつれて徐々に薄くなる
付記2に記載の半導体装置。
【0149】
[付記24]
前記底面拡散層(63C)の厚さは、前記第1側面拡散層(63A)の厚さの最小値および前記第2側面拡散層(63B)の厚さの最小値と等しい
付記23に記載の半導体装置。
【0150】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0151】
10…半導体装置
20…半導体チップ
21…第1主面
22…第2主面
23…素子領域
24…ダイオード領域
25…トランジスタ領域
26…抵抗素子領域
30…素子分離構造
31…第1トレンチ
31A,31B…第1側面
31C…底面
32A,32B…第1絶縁膜
33…導電部材
34A,34B…第1拡散層
40…半導体基板
41…第1基板主面
42…第2基板主面
50…半導体層
51…第1半導体層
51A…第1主面
51B…第2主面
52…第2半導体層
52A…第1主面
52B…第2主面
53…第3半導体層
54…pn接合部
60…MISFET
60A…MISFETセル
61…第2トレンチ
61A,61B…第2側面
61C…第2底面
62…第2絶縁膜
63…第2拡散層
63A…第1側面拡散層
63B…第2側面拡散層
63C…底面拡散層
64…ウエル領域
65…ソースコンタクト領域
66…ゲート絶縁膜
67…ゲート電極
67A…主ゲート電極部
67B…ゲート接続部
68…ドレインコンタクト領域
70…第3絶縁膜(STI)
71…第1開口部
72…第2開口部
73…第3開口部
74…トレンチ
80…フローティング電極
100…半導体モジュール
110…ダイパッド
120…リード端子
121~128…第1~第8リード端子
130…ワイヤ
140…封止樹脂
141…第1主面
142…第2主面
143~146…第1~第4側面
200…ハードマスク
201…第1開口部
202…第2開口部
210…酸化膜
211…底面酸化膜
S…ソース電極
D…ドレイン電極
H1…第1トレンチの深さ
H2…第2トレンチの深さ
H3…ウエル領域の深さ
H4…第3絶縁膜の厚さ
W1…第1トレンチの幅
W2…第2トレンチの幅
W3…ウエル領域の幅
TA1,TB1…第1拡散層の厚さ
T2…第2拡散層の厚さ