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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143382
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】服薬補助容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/00 20060101AFI20241003BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61J7/00 L
B65D83/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056029
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
【テーマコード(参考)】
3E014
4C047
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PA03
3E014PB03
3E014PD11
3E014PE15
3E014PE16
3E014PE23
4C047CC09
4C047CC12
4C047CC14
4C047CC15
4C047CC16
4C047DD22
4C047NN07
(57)【要約】
【課題】薬剤を包むための流動性内容物を容易に取り出せるとともに、当該流動性内容物によって前記薬剤を容易に包むことができる、服薬補助容器を提供する。
【解決手段】服薬補助容器1は、流動性内容物Cを収容可能な容器本体2と、容器本体2に取り付けられるとともに流動性内容物Cを噴出可能なポンプ3と、ポンプ3に着脱可能な受皿部材4と、を備える。受皿部材4は、ポンプ3の装着キャップ31に着脱可能な装着部5と、装着部5が装着キャップ31に装着されたときにポンプ3の横ノズル33の真下の位置に配置されることによって横ノズル33の噴出口A3から噴出させた流動性内容物Cを受け止めることが可能であり且つ薬剤Mを載置可能な受皿6と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性内容物を収容可能な容器本体と、
前記容器本体に取り付けられるとともに前記流動性内容物を噴出可能なポンプと、
前記ポンプに着脱可能な受皿部材と、を備えており、
前記受皿部材は、前記ポンプの装着キャップに着脱可能な装着部と、前記装着部が前記装着キャップに装着されたときに前記ポンプの横ノズルの真下の位置に配置されることによって前記横ノズルの噴出口から噴出させた前記流動性内容物を受け止めることが可能であり且つ薬剤を載置可能な受皿と、を備える、服薬補助容器。
【請求項2】
前記装着部は、当該装着部を前記装着キャップに対して横方向に移動させることによって、当該装着キャップを前記装着部の内部に収容可能な開口部を備える、請求項1に記載された服薬補助容器。
【請求項3】
前記受皿は、前側の位置に配置されており、前記開口部は、左側又は右側のいずれか一方に向かって開口している、請求項2に記載された服薬補助容器。
【請求項4】
前記受皿の先端部分は、先細りした案内口に形成されている、請求項1に記載された服薬補助容器。
【請求項5】
前記受皿は、当該受皿の先端に向かうにしたがって上側に傾斜している、請求項1に記載された服薬補助容器。
【請求項6】
前記装着部は、前記ポンプに対して回転可能に装着されている、請求項1に記載された服薬補助容器。
【請求項7】
ツマミをさらに備える、請求項1に記載された服薬補助容器。
【請求項8】
前記受皿の凹部に着脱可能な匙部材をさらに備える、請求項1に記載された服薬補助容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、服薬補助容器に関する。
【背景技術】
【0002】
服薬補助容器として使用可能な、従来の容器としては、ゼリー状の薬剤を収容したパウチ形態の包装体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、他の従来の容器としては、スパウトを備えたパウチ容器が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014‐162485号公報
【特許文献1】特開2017‐145029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された包装体は、アルミニウム層等の金属層を含むため、当該包装体を押し潰すことによって内容物の取り出しが行われるときに、当該内容物の取り出し操作に不便さがある。また、特許文献2に記載されたパウチ容器は、当該パウチ容器を押し潰すことによってスパウトを通した内容物の取り出しが行われるため、当該内容物の取り出し操作にさらに不便さがある。
【0005】
加えて、例えば、服薬時において、薬剤の嚥下を補助するためにゼリー状の流動性内容物を使用する場合、当該流動性内容物の水分が分離してしまうことがある。このため、上記包装体又はパウチ容器を使用する場合、使い始めに分離した液体を捨てる操作が必要となる。
【0006】
さらに、薬剤の嚥下を補助するためには、当該薬剤を前記流動性内容物で包む必要がある。しかしながら、上記包装体又はパウチ容器を使用する場合、こうした包装体又はパウチ容器の他に、前記流動性内容物を取り出して当該流動性内容物で薬剤を包むために用いられる、他の部材(例えば、匙)が別途必要となる。
【0007】
本発明の目的は、薬剤を包むための流動性内容物を容易に取り出せるとともに、当該流動性内容物によって前記薬剤を容易に包むことができる、服薬補助容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る服薬補助容器は、流動性内容物を収容可能な容器本体と、前記容器本体に取り付けられるとともに前記流動性内容物を噴出可能なポンプと、前記ポンプに着脱可能な受皿部材と、を備えており、前記受皿部材は、前記ポンプの装着キャップに着脱可能な装着部と、前記装着部が前記装着キャップに装着されたときに前記ポンプの横ノズルの真下の位置に配置されることによって前記横ノズルの噴出口から噴出させた前記流動性内容物を受け止めることが可能であり且つ薬剤を載置可能な受皿と、を備える。
【0009】
(2)上記(1)の服薬補助容器において、前記装着部は、当該装着部を前記装着キャップに対して横方向に移動させることによって、当該装着キャップを前記装着部の内部に収容可能な開口部を備えることが好ましい。
【0010】
(3)上記(2)の服薬補助容器において、前記受皿は、前側の位置に配置されており、前記開口部は、左側又は右側のいずれか一方に向かって開口していることが好ましい。
【0011】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つの服薬補助容器において、前記受皿の先端部分は、先細りした案内口に形成されていることが好ましい。
【0012】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つの服薬補助容器において、前記受皿は、当該受皿の先端に向かうにしたがって上側に傾斜していることが好ましい。
【0013】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つの服薬補助容器において、前記装着部は、前記ポンプに対して回転可能に装着されていることが好ましい。
【0014】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つの服薬補助容器は、ツマミをさらに備えることが好ましい。
【0015】
(8)上記(1)~(7)のいずれか1つの服薬補助容器は、前記受皿の凹部に着脱可能な匙部材をさらに備えるものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、薬剤を包むための流動性内容物を容易に取り出せるとともに、当該流動性内容物によって前記薬剤を容易に包むことができる、服薬補助容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る服薬補助容器を概略的に示す平面図である。
図2図1の服薬補助容器の要部を概略的に拡大して示す側面図であり、図中、当該服薬補助容器の受皿部材の一部は、図1のX-X断面で示されている。
図3図1の服薬補助容器を使用して薬剤を流動性内容物で包む方法のうちの、容器本体からの流動性内容物を取り出す方法の一例を説明する図であり、図中、当該流動性内容物は、受皿部材の受皿に取り出された状態で概略的に示されている。
図4図1の服薬補助容器を使用して薬剤を流動性内容物で包む方法のうちの、流動性内容物に薬剤を載せ置く方法の一例を説明する図であり、図中、当該薬剤は、流動性内容物に載せ置かれた状態で概略的に示されている。
図5図1の服薬補助容器を使用して薬剤を流動性内容物で包む方法のうちの、流動性内容物で薬剤を包む方法の一例を説明する図であり、図中、流動性内容物上の薬剤は、さらなる流動性内容物によって包まれた状態で概略的に示されている。
図6】本発明の第2実施形態に係る、服薬補助容器の要部を概略的に拡大して示す側面図であり、図中、当該服薬補助容器の受皿部材の一部及び匙部材は、図1のX-X断面に相当する断面で示されている。
図7】本発明の第3実施形態に係る服薬補助容器の要部を概略的に拡大して示す側面図であり、図中、当該服薬補助容器の受皿部材の一部は、図1のX-X断面相当で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態に係る、服薬補助容器について、説明をする。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る、服薬補助容器1を概略的に示す平面図である。
【0020】
服薬補助容器1は、流動性内容物C(例えば、図3参照。)を取り出すことができる。流動性内容物Cは、流動性を有する内容物である。流動性内容物Cとしては、例えば、ゼリー状の内容物等の、ゲル状の内容物が挙げられる。流動性内容物Cは、薬剤M(例えば、図4参照。)の嚥下を容易にするために使用される。
【0021】
薬剤Mは、内服用薬剤である。薬剤Mとしては、例えば、カプセル剤、錠剤が挙げられる。ただし、薬剤Mは、粉末の薬剤であってもよい。
【0022】
図1に示すように、服薬補助容器1は、流動性内容物Cを収容可能な容器本体2と、容器本体2に取り付けられるとともに流動性内容物Cを噴出可能なポンプ3と、ポンプ3に着脱可能な受皿部材4と、を備えている。受皿部材4は、ポンプ3の装着キャップ31に着脱可能な装着部5と、装着部5が装着キャップ31に装着されたときにポンプ3の横ノズル33の真下の位置に配置されることによって横ノズル33の噴出口A3から噴出させた流動性内容物Cを受け止めることが可能であり且つ薬剤Mを載置可能な受皿6と、を備えている。
【0023】
加えて、服薬補助容器1は、ツマミ7をさらに備えている。本実施形態において、ツマミ7は、受皿部材4の装着部5に取り付けられている。ツマミ7は、後述するように、受皿部材4をポンプ3に対して回転させるために、また、受皿部材4をポンプ3から取り外すために使用することができる。
【0024】
ここで、符号Oは、容器本体2の中心軸線である。以下の説明において、容器本体2の中心軸線O(以下、単に「軸線O」ともいう。)が延在する方向は、容器本体2を水平面に置いたときに鉛直方向に対して平行になるものとする。さらに、以下の説明において、「下」とは、服薬補助容器1において容器本体2が配置される方向を意味し、また、「上」とは、服薬補助容器1においてポンプ3が配置される方向を意味することがある。さらに、以下の説明において、軸線Oが延在する方向を「軸線方向」ともいう。
【0025】
また、以下の説明において、横とは、軸線Oに対して直交する方向をいい、「横方向」ともいう。また、以下の説明において、横方向は、容器本体2を水平面に置いたときに水平方向に対して平行になるものとする。さらに、以下の説明において、「前」とは、軸線Oを中心にポンプ3の横ノズル33が指向する方向をいい、「後」とは、軸線Oを挟んで「前」と反対の方向をいう。さらに、「右」及び「左」は、軸線Oを中心に「前」及び「後」を基準に規定するものとする。
【0026】
図2は、服薬補助容器1の要部を概略的に拡大して示す側面図である。図2中、受皿部材4の受皿6は、図1のX-X断面で示されている。ここで、X-X断面は、軸線Oを含んで前後方向に延在する断面である。
【0027】
容器本体2の口部(図示省略。)には、ポンプ3の装着キャップ31が装着されている。本実施形態において、容器本体2は、既存のボトル容器である。本実施形態において、容器本体2は、前記口部に連なる首部2cと、首部2cに連なる肩部2bと、肩部2bに連なる胴部2aとを備えている。胴部2aの下端は、底部(図示省略。)によって閉じられている。容器本体2の内部には、流動性内容物Cを収容する収容空間(図示省略。)が形成されている。前記収容空間は、前記口部の上端に形成された開口部(図示省略。)を通して外界に通じている。
【0028】
ポンプ3もまた、既存の容器用のポンプである。ポンプ3は、容器本体2の前記収容空間に配置可能なシリンダ(図示省略。)と、前記シリンダの内部に摺動可能に配置されたピストン(図示省略。)と、を備えている。
【0029】
ポンプ3は、装着キャップ31を備えている。ポンプ3は、装着キャップ31を介して、容器本体2の前記口部に装着されている。また、ポンプ3は、装着キャップ31に対して上下動可能な押圧ヘッド32を備えている。押圧ヘッド32は、前記ピストンに連なっている。ポンプ3は、押圧ヘッド32を装着キャップ31に対して上下動させることによって、容器本体2の流動性内容物Cを吸入及び噴出させることができる。
【0030】
押圧ヘッド32は、横方向に延在する横ノズル33を備えている。流動性内容物Cは、横ノズル33の先端に形成された噴出口A3を通して外界に噴出させることができる。本実施形態において、横ノズル33の噴出口A3は、前方向斜め下向きに指向している。
【0031】
受皿部材4は、装着部5と受皿6とを一体的に備えている。
【0032】
本実施形態において、装着部5は、当該装着部5を装着キャップ31に対して横方向に移動させることによって、当該装着キャップ31を装着部5の内部に収容可能な開口部A5を備えている。
【0033】
本実施形態において、受皿部材4の装着部5は、ポンプ3の装着キャップ31の外周面を部分的に包囲する側壁5aと、装着キャップ31の上端を上側から部分的に覆う天壁5bとを備えている。本実施形態において、側壁5aは、図1に示すように、軸線Oを中心軸線とする半円筒状を有している。また、本実施形態において、天壁5bは、軸線Oを中心とする半円形状を有している。特に、本実施形態において、天壁5bは、押圧ヘッド32を押下げたときに、当該押圧ヘッド32と干渉しないように、図1に示すように、天壁5bの中心を半円形に取り除いた切り欠きC5が形成されている。図2に示すように、開口部A5と切り欠きC5とは、互いに連なることによって、1つの開口部を形成している。さらに、図2に示すように、本実施形態において、装着部5は、装着キャップ31の下端を下側から部分的に覆う下壁5cを備えている。本実施形態において、下壁5cもまた、天壁5bと同様の、軸線Oを中心とする半円形状を有している。また、本実施形態において、下壁5cは、容器本体2の首部2cと干渉しないように、天壁5bと同様の、下壁5cの中心を半円形に取り除いた切り欠きが形成されている。装着部5の天壁5b及び下壁5cは、ポンプ3の装着キャップ31の上下端によって上下方向に規制される。加えて、装着部5の側壁5аは、ポンプ3の装着キャップ31の外側面によって横方向に案内される。これによって、受皿部材4の装着部5は、当該受皿部材4をポンプ3の装着キャップ31に対して横からスライドさせることによって、当該装着キャップ31に取り外し可能に取り付けることができる。この場合、受皿部材4は、装着キャップ31に対して上下方向にガタツキを生じにくく、当該装着キャップ31に対して容易に着脱することができる。
【0034】
加えて、本実施形態において、受皿部材4の装着部5は、ポンプ3に対して回転可能に装着されている。本実施形態において、装着部5の側壁5aは、ポンプ3の装着キャップ31の外周面に対して摺動可能に取り付けられている。これによって、本実施形態において、受皿部材4は、ポンプ3に対して軸線Oの周りを周方向に、時計回りに又は反時計回りに回転させることができる。なお、本実施形態において、装着部5の天壁5bもまた、ポンプ3の装着キャップ31の天面に対して摺動可能に取り付けられている。
【0035】
本実施形態において、受皿部材4の受皿6は、図2に示すように、横ノズル33と同様に、前側の位置に配置されている。また、本実施形態において、装着部5の開口部A5は、図2に示すように、左側に向かって開口している。より具体的には、図2に示すように、開口部A5は、切り欠きC5とともに左側に向かって開口している。これによって、本実施形態において、受皿部材4の装着部5は、ポンプ3の装着キャップ31に対して横方向から、右から左へとスライドさせることによって、当該装着キャップ31に取り付けることができる。また、本実施形態によれば、受皿部材4の装着部5は、ポンプ3の装着キャップ31に対して横方向から、左から右へとスライドさせることによって、当該装着キャップ31から取り外すことができる。ただし、開口部A5は、図2と反対に、右側に向かって開口させることもできる。即ち、装着部5の開口部A5は、左側又は右側のいずれか一方に向かって開口させることができる。
【0036】
受皿6は、周壁6aと、周壁6aの下端を閉じる底壁6bとを備えている。これによって、受皿6の内側には、周壁6aと底壁6bとによって区画された、周壁6aの上端が開放された凹部Dが形成されている。凹部Dには、流動性内容物C及び薬剤Mを収容することができる。
【0037】
また、図1に示すように、本実施形態において、受皿6の先端部分6cは、先細りした案内口Daに形成されている。本実施形態において、受皿6の先端部分6cは、受皿6の周壁6aのうちの、当該周壁6aの前側先端部分である。図1に示すように、受皿6の先端部分6cは、前側に向かうしたがって左右方向の幅が狭まるように先細りしている。また、図2に示すように、受皿6の先端部分6cは、周壁6aの前側先端部分の上端部分である。受皿6の先端部分6cは、図2に示すように、前側に向かうしたがって周壁6aの上端6e(以下、単に、「受皿6の上端6e」ともいう。)に近づくように先細りしている。これによって、受皿6の凹部Dに収容された流動性内容物C及び薬剤Mは、案内口Daを通して、凹部Dから容易に取り出すことができる。
【0038】
また、図2に示すように、本実施形態において、受皿6は、当該受皿6の先端に向かうにしたがって上側に傾斜している。本実施形態において、受皿6の上端6eは、図2に示すように、当該受皿6の底壁6bに対して受皿6の前側先端に向かうにしたがって上側に向かって傾斜している。これによって、本実施形態において、受皿6の凹部Dの深さは、受皿6の先端に向かうにしたがって深くなる。本実施形態において、受皿6の底壁6bは、受皿部材4をポンプ3に装着した状態において、水平方向に延在している。ここで、凹部Dの深さとは、受皿6の上端6eと底壁6bの底面(上面)との間の寸法をいう。
【0039】
ここで、服薬補助容器1を使用して薬剤Mを流動性内容物Cで包む方法の一例について説明する。
【0040】
図1には、服薬補助容器1が当該服薬補助容器1を使用する前の初期状態で示されている。図1に示すように、服薬補助容器1の初期状態において、受皿部材4の受皿6は、ポンプ3の横ノズル33の真下の位置になるように配置しておく。なお、図1中、符号Pは、受皿6の底壁6bの中心の位置である。本実施形態では、図1に示すように、受皿部材4は、平面視において、受皿6における底壁6bの中心の位置Pが横ノズル33と整列するように、ポンプ3に対して装着されている。
【0041】
使用者は、薬剤Mを服薬するに際し、図2に示す初期状態から図3に示すように、ポンプ3の押圧ヘッド32を下側に押し下げる。これによって、容器本体2の流動性内容物Cは、横ノズル33の噴出口A3を通して、受皿6の凹部Dに取り出される。本実施形態において、横ノズル33の噴出口A3は、前方向斜め下向きに指向している。このため、流動性内容物Cは、図3に示すように、受皿6の周壁6aの前側部分に片寄るように取り出される。
【0042】
服薬補助容器1において、流動性内容物Cの取り出しには、前記シリンダ及び前記ピストンを備えるポンプ3を使用している。この場合、流動性内容物Cに含まれた水分が当該流動性内容物Cから分離していても、当該水分は、流動性内容物Cの残部とともに、ポンプ3を通過することによって攪拌される。したがって、服薬補助容器1によれば、流動性内容物Cは、ポンプ3の噴出口A3を通して、流動性内容物Cの水分と当該流動性内容物Cの残部とともに、ゼリー状に攪拌された内容物として取り出される。
【0043】
また、服薬補助容器1によれば、流動性内容物Cから分離した水分が容器本体2の前記収容空間で、当該流動性内容物Cの上層部に溜まっている状態にあっても、ポンプ3の前記シリンダに通じるパイプ(図示省略。)によって、当該ポンプ3の噴出口A3からは、分離した水分を含まない流動性内容物Cの下層部が優先的に取り出される。したがって、本実施形態によれば、服薬補助容器1の使用前に、流動性内容物Cから分離した液体を捨てる必要が無い。
【0044】
ゼリー状の流動性内容物Cを取り出したのち、押圧ヘッド32の押し下げを解除すれば、当該押圧ヘッド32は、既存のポンプと同様に、ばね等の弾性部材(図示省略。)の付勢力(復元力)によって上昇する。これによって、押圧ヘッド32は、図2に示す初期状態の位置に復帰する。
【0045】
次いで、使用者は、受皿部材4をポンプ3に対して軸線Oの周りで周方向の一方側に回転させる。これによって、受皿6は、横ノズル33の下側の位置からずらした位置に配置される。
【0046】
図1に示すように、本実施形態において、受皿部材4は、使用者が摘むことができるツマミ7を備えている。本実施形態において、ツマミ7は、装着部5の右側に取り付けられている。図1を参照すれば、使用者は、ツマミ7を使用することによって、受皿部材4を軸線Oの周りで時計回りに回転させる。これによって、受皿部材4の受皿6は、横ノズル33の下側の位置からずらした位置に配置される。これによって、使用者は、図4に示すように、受皿6の凹部Dの上側に横ノズル33が存在しない状態で、当該受皿6の上から、薬剤Mを受皿6の凹部Dに取り出された流動性内容物C上に載せ置くことができる。
【0047】
次いで、使用者は、受皿部材4をポンプ3に対して軸線Oの周りで周方向の他方側に回転させる。これによって、受皿6は、再び、横ノズル33の下側の位置に配置される。
【0048】
図1を参照すれば、本実施形態において、使用者は、ツマミ7を使用することによって、受皿部材4を軸線Oの周りで反時計回りに回転させる。これによって、受皿部材4の受皿6は、図1に示すように、再び、横ノズル33の真下の位置に配置される。このため、図5に示すように、使用者は、再び、押圧ヘッド32を押下げれば、容器本体2の流動性内容物Cは、横ノズル33の噴出口A3を通して、受皿6の凹部Dに取り出される。これによって、使用者は、図4に示す流動性内容物C上の薬剤Mに、図5に示すように、横ノズル33から取り出されたさらなる流動性内容物Cを載せ置くことができる。
【0049】
上述のとおり、服薬補助容器1を用いた一連の操作によれば、使用者は、簡略化された方法によって容易に、流動性内容物Cから分離した水分を捨てることなく、当該流動性内容物Cで薬剤Mを包むことができる。したがって、服薬補助容器1によれば、薬剤Mを包むための流動性内容物Cを容易に取り出せるとともに、当該流動性内容物Cによって薬剤Mを容易に包むことができる。
【0050】
また、服薬補助容器1によれば、ポンプ3の横ノズル33の噴出口A3を通して流動性内容物Cを取り出すことができる。これによって、流動性内容物Cは、受皿6の凹部Dの所望の位置を狙って取り出すことができる。
【0051】
加えて、服薬補助容器1によれば、受皿部材4をポンプ3に対して取り外すことができる。使用者は、例えば、ツマミ7を使用することによって、受皿部材4をポンプ3から容易に取り外すことができる。ポンプ3から取り出された受皿部材4は、スプーンのような匙部材として使用することができる。これによって、使用者は、流動性内容物Cに包まれた薬剤Mの嚥下を容易に行うことができる。さらに、受皿部材4がポンプ3から取り外せることによって、当該受皿部材4を取り外して洗浄することができる。
【0052】
また、本実施形態において、受皿部材4の装着部5は、当該装着部5をポンプ3の装着キャップ31に対して横方向に移動させることによって、当該装着キャップ31を装着部5の内部に収容可能な開口部A5を備えている。この場合、使用者は、押圧ヘッド32の横ノズル33を避けながら、受皿部材4を着脱させる必要が無い。したがって、この場合、受皿部材4をポンプ3に対して容易に着脱させることができる。
【0053】
また、本実施形態において、受皿6は、前側の位置に配置されており、装着部5の開口部A5は、左側又は右側のいずれか一方に向かって開口している。この場合、受皿部材4をポンプ3に対して容易に着脱させることができる。
【0054】
また、本実施形態において、受皿6の先端部分6cは、先細りした案内口Daに形成されている。この場合、受皿6の凹部Dに収容された流動性内容物C及び薬剤Mは、案内口Daを通して、凹部Dから容易に取り出すことができる。例えば、受皿部材4をポンプ3から取り外して匙部材として使用する場合、使用者は、受皿6の凹部Dに収容された流動性内容物C及び薬剤Mを、案内口Daを通して、容易に口に入れることができる。
【0055】
また、本実施形態において、受皿6は、当該受皿6の先端に向かうにしたがって上側に傾斜している。流動性内容物Cに包まれた薬剤Mを服用する場合、使用者は通常、受皿6の先端側から口に運ぶ。しかしながら、受皿6の先端を傾けた場合、薬剤Mを包んだ流動性内容物Cが受皿6の先端側からこぼれる虞がある。これに対し、本実施形態のように、受皿6を当該受皿6の先端に向かうにしたがって上側に傾斜させれば、受皿6の凹部Dの深さはおのずと、当該受皿6の先端側に向かうにしたがって深くなる。したがって、本実施形態によれば、受皿6の凹部Dの深さが当該受皿6の先端側ほど深くなるため、薬剤Mを包んだ流動性内容物Cを当該受皿6の先端からこぼれ難くすることができる。また、この場合、薬剤Mを包んだ流動性内容物Cを口に入れるとき、受皿部材4を大きく傾けることができることによって、受皿6の凹部Dに収容された流動性内容物C及び薬剤Mを容易に取り出すことができる。さらに、流動性内容物Cをポンプのノズル先端から吐出させる場合、当該流動性内容物Cが、ポンプから吐出されるときの勢いによって、受皿6の外に飛び出す虞がある。これに対し、本実施形態によれば、受皿6の凹部Dの深さは当該受皿の先端側ほど深くなるため、ポンプからの吐出に起因する、受皿6の先端からのこぼれも抑制することができる。特に、本実施形態によれば、流動性内容物Cが粘性の高い物質であるときは、流動性内容物C及び薬剤Mの取り出しが容易になる。
【0056】
また、本実施形態において、装着部5は、ポンプ3に対して回転可能に装着されている。この場合、受皿部材4をポンプ3に対して回転させることによって、受皿部材4の上側に横ノズル33が無い状態を容易に作り出すことができる。この場合、受皿6の凹部Dに対して薬剤Mを容易に入れることができる。また、この場合、薬剤Mを受皿6の底壁6bの所望の位置に容易に載せ置くことができる。なお、本実施形態において、押圧ヘッド32は、装着キャップ31に対して回転させることができる。この場合、受皿部材4の回転させることに代えて、押圧ヘッド32を装着キャップ31に対して回転させることによって、受皿部材4の上側に横ノズル33が無い状態を作り出すことができる。
【0057】
また、本実施形態において、受皿部材4は、ツマミ7を備えている。この場合、使用者は、ツマミ7を用いることによって、受皿部材4をポンプ3に対して容易に回転させることができる。また、この場合、使用者は、ツマミ7を用いることによって、受皿部材4をポンプ3から容易に取り外すことができる。なお、本実施形態において、ツマミ7は、装着部5の右側に取り付けられているが、ツマミ7は、所望の位置に取り付けることができる。例えば、ツマミ7は、装着部5の後側に取り付けることができる。また、開口部A5が右方向に向かって開口しているときには、ツマミ7は、装着部5の左側に取り付けられることができる。さらに、ツマミ7は、受皿6に取り付けることもできる。
【0058】
図6は、本発明の第2実施形態に係る、服薬補助容器1の要部を概略的に拡大して示す側面図である。図6中、当該服薬補助容器1の受皿部材4の一部及び匙部材8は、図1のX-X断面に相当する断面で示されている。
【0059】
本実施形態に係る服薬補助容器1は、受皿6の凹部Dに着脱可能な匙部材8をさらに備えている。この場合、流動性内容物C及び薬剤Mは、匙部材8に取り出される。そして、流動性内容物C及び薬剤Mが取り出された匙部材8は、ポンプ3から取り外すことができる。したがって、本実施形態によれば、受皿部材4をポンプ3から取り外すことなく、流動性内容物C及び薬剤Mの取り出しが可能になる。さらに、匙部材8が受皿部材4から取り外せることによって、当該匙部材8を取り外して洗浄することができる。
【0060】
本実施形態において、匙部材8は、受皿9と、受皿9に取り付けられた把手10とを備えている。匙部材8の受皿9は、受皿部材4の受皿6に形成された凹部Dに着脱可能に載せ置くことができる。匙部材8の受皿9の内側には、受皿部材4の受皿6と同様に、上端が開放された凹部D8が形成されている。凹部D8には、流動性内容物C及び薬剤Mを収容することができる。
【0061】
本実施形態に服薬補助容器1によれば、薬剤Mを流動性内容物Cで包むまでの操作は、図1~5を用いて説明した操作と同様である。ただし、薬剤Mを流動性内容物Cで包んだのちは、匙部材8を受皿部材4から取り外す。これによって、使用者は、匙部材8を用いることによって、流動性内容物Cに包まれた薬剤Mの嚥下を容易に行うことができる。なお、匙部材8を受皿部材4から取り外すときには、ツマミ7を用いることによって、匙部材8を受皿部材4ごと、ポンプ3に対して回転させることが好ましい。この場合、ポンプ3の横ノズル33が匙部材の取外しの邪魔にならないため、匙部材8を受皿部材4から容易に取り外すことができる。
【0062】
図7は、本発明の第3実施形態に係る服薬補助容器の要部を概略的に拡大して示す側面図である。図7中、本実施形態に係る服薬補助容器の受皿部材の一部は、図1のX-X断面相当で示されている。なお、本実施形態において、第1実施形態に係る服薬補助容器と実質的に同一の部分は、同一の符号を用いている。
【0063】
本実施形態に係る服薬補助容器は、上述の第1実施形態に係る服薬補助容器に対して、受皿部材4の装着部4の形態が異なっている。本実施形態において、受皿部材4の装着部5は、下壁4cが省略されている。この場合、装着部5、ひいては、受皿部材4は、ポンプ3の装着キャップ31に対して上から着脱させることができる。
【0064】
以上、本発明の例示的な実施形態に係る、繰出し容器について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、様々に変更することができる。例えば、受皿部材4の装着部5に形成された開口部A5及び切り欠きC5の形状並び切り欠きC5の有無は、ポンプ3の装着キャップ31の形態等に応じて適宜、変更することができる。例えば、切り欠きC5は、装着キャップ31の周囲の形態に応じて省略することができる。また、受皿部材4は、ポンプ3に対して回転させないようにすることができる。例えば、図6の実施形態の場合、匙部材8が受皿部材4から取り外させることから、当該受皿部材4は、ポンプ3に対して回転させないようにすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1:服薬補助容器, 2:容器本体, 3:ポンプ, 31:装着キャップ, 32:押圧ヘッド, 33:横ノズル, 4:受皿部材, 5:受皿部材の装着部, 6:受皿部材の受皿, 6a:受皿部材の受皿の周壁, 6b:受皿部材の受皿の底壁, 受皿部材の受皿の先端部分(受皿部材における受皿の周壁の先端部分), 6e:受皿部材における受皿の上端(受皿部材における受皿の周壁の上端), 7:受皿部材のツマミ, 8:匙部材, 9:匙部材の受皿, 10:匙部材の把手 C:流動性内容物, C5:受皿部材の装着部に形成された切り欠き, A5;受皿部材の装着部に形成された開口部, D:受皿部材の受皿の凹部, D8:匙部材の受皿の凹部, M:薬剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7