(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143392
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】積載ラック及び積載ラックを用いた施工方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20241003BHJP
B65D 61/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E04G21/16
B65D61/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056046
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 沙帆
(72)【発明者】
【氏名】松井 友香
(72)【発明者】
【氏名】南野 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】林 哲平
【テーマコード(参考)】
2E174
3E085
【Fターム(参考)】
2E174AA04
2E174BA01
2E174CA23
2E174CA34
2E174EA02
3E085AA03
3E085AB03
3E085AC04
3E085AC07
3E085AD02
3E085AD06
(57)【要約】
【課題】建築用部材を安定して積載可能な積載ラックを提供する。
【解決手段】積載ラック1は、その土台となる枠状のベース部材10、20と、ベース部材に架け渡され、建築用部材を載置するための中間受け部材40(受け部材)と、中間受け部材に取り付けられ、中間受け部材に対して可動する可動部材70とを備えている。中間受け部材40は、その延出方向の両端部にそれぞれ形成され、第1ベース部材10に対して上下方向に着脱可能に取り付けられる取り付け部42を有している。可動部材70は、中間受け部材40に対して「通常位置」と「可動位置」との間で可動する。可動部材70が「可動位置」にいるとき、取り付け部42及び可動部材70が第1ベース部材10を上下方向で挟み込んでおり、中間受け部材40が上下方向で移動規制されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築用部材を積載した状態で運搬可能な積載ラックであって、
前記積載ラックの土台となる枠状のベース部材と、
前記積載ラックの長さ方向及び幅方向のうち一方の方向に延びて、前記ベース部材に架け渡され、前記建築用部材を載置するための受け部材と、
前記受け部材に取り付けられ、前記受け部材に対して可動する可動部材と、を備え、
前記受け部材は、該受け部材の延出方向の両端部にそれぞれ形成され、前記ベース部材に対して上下方向に着脱可能に取り付けられる取り付け部を有し、
前記可動部材は、前記受け部材に対して、上面視において前記ベース部材とは重ならない通常位置と、上面視において前記ベース部材と重なる可動位置との間で可動し、
前記可動部材が前記可動位置にいるとき、前記取り付け部及び前記可動部材が、前記ベース部材を上下方向で挟み込んでいることを特徴とする積載ラック。
【請求項2】
前記受け部材は、前記積載ラックの幅方向に延びて、前記ベース部材に架け渡される中間受け部材であって、
前記可動部材は、前記受け部材の延出端部に取り付けられ、前記受け部材に対して前記受け部材の延出方向に沿って可動し、
前記可動部材が前記可動位置にいるとき、前記受け部材が、上下方向で移動規制された状態で前記ベース部材に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の積載ラック。
【請求項3】
前記受け部材は、前記取り付け部の内面に設けられ、前記取り付け部の内面から前記ベース部材の上面に向かって突出する固定凸部を有し、
前記固定凸部は、前記ベース部材の上面に設けられた固定穴部に着脱可能に固定され、
前記可動部材が前記可動位置にいるとき、前記受け部材が、上下方向及び水平方向で移動規制された状態で前記ベース部材に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の積載ラック。
【請求項4】
前記可動部材は、
前記受け部材の底面に沿って設けられ、前記受け部材の延出方向に延びている底壁部と、
前記底壁部から前記受け部材の幅方向に間隔を空けて設けられ、前記底壁部からそれぞれ上方に突出し、前記受け部材を挟み込むように配置される一対の側壁部と、
前記受け部材の上面に沿って設けられ、一対の前記側壁部の上端部を連結する上壁部と、を有し、
前記可動部材が前記可動位置にいるとき、前記底壁部が上面視において前記ベース部材と重なる位置に配置されることを特徴とする請求項2に記載の積載ラック。
【請求項5】
前記底壁部の幅方向の両端部には、それぞれ前記底壁部から下方に向かって突出する補強壁部が形成され、
前記補強壁部は、前記底壁部の長さ方向に沿って延びており、
前記可動部材が前記可動位置にいるとき、前記底壁部及び前記補強壁部が上面視において前記ベース部材と重なる位置に配置されることを特徴とする請求項4に記載の積載ラック。
【請求項6】
前記受け部材は、前記受け部材の上面又は側面に設けられ、前記受け部材の上面又は側面から外側に突出し、前記可動部材の可動を規制する凸形状のストッパ部材を有し、
前記可動部材は、前記通常位置と前記可動位置の間で切り替えるときに前記ストッパ部材を乗り越えて可動することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積載ラック。
【請求項7】
請求項1に記載の積載ラックを用いた施工方法であって、
前記積載ラックを組み立てるラック組み立て工程と、
組み立てた前記積載ラックに前記建築用部材を積載する積載工程と、
前記建築用部材を積載した状態で前記積載ラックを運搬する運搬工程と、
前記積載ラックを降ろす荷降ろし工程と、を含み、
前記運搬工程又は前記荷降ろし工程では、前記積載ラックの長さ方向の端部からフォークリフトのフォークを挿入し、前記フォークによって前記積載ラックの前記受け部材を保持することを特徴とする積載ラックを用いた施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載ラック及び積載ラックを用いた施工方法に係り、特に、建築用部材を積載した状態で運搬可能な積載ラック及び積載ラックを用いた施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場にて製造された建築用パネルや木製の施工用部材を運搬するために、これら建築用パネルや施工用部材を積載することが可能な積載ラックが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
具体的な積載、運搬方法について説明すると、まず工場の製造ラインから取り出された建築用パネルや施工用部材は、積載ラックに平積みされた状態で工場内に保管される。このとき、施工用部材は、パレット上に集積され、バンド等で固定された状態で平積みされることが多い。その後、トラック等によって、そのまま積載ラックに平積みされた状態で積み込まれ、施工現場に運搬される。
運搬された建築用パネルや施工用部材は、施工現場に据え付けられたレッカーやフォークリフト等によって積み下ろされ、施工現場に保管される。なお、積載ラックは、工場へ回収されても良いし、特許文献2のように保管ラックとして現場で利用されても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-89567号公報
【特許文献2】特開2020-105770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1、2のような積載ラックにおいて、建築用部材をより安定して積載することが可能な積載ラックが求められていた。
例えば、施工現場において建築用部材が積まれた積載ラックを降ろすときに、積載ラックをより安定させて荷降ろしできることが求められていた。
また、従来よりも容易に組み立てることが可能な積載ラックが求められていた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、従来よりも建築用部材を安定して積載することが可能な積載ラックを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、従来よりも容易に組み立てることが可能な積載ラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の積載ラックによれば、建築用部材を積載した状態で運搬可能な積載ラックであって、前記積載ラックの土台となる枠状のベース部材と、前記積載ラックの長さ方向及び幅方向のうち一方の方向に延びて、前記ベース部材に架け渡され、前記建築用部材を載置するための受け部材と、前記受け部材に取り付けられ、前記受け部材に対して可動する可動部材と、を備え、前記受け部材は、該受け部材の延出方向の両端部にそれぞれ形成され、前記ベース部材に対して上下方向に着脱可能に取り付けられる取り付け部を有し、前記可動部材は、前記受け部材に対して、上面視において前記ベース部材とは重ならない通常位置と、上面視において前記ベース部材と重なる可動位置との間で可動し、前記可動部材が前記可動位置にいるとき、前記取り付け部及び前記可動部材が、前記ベース部材を上下方向で挟み込んでいること、により解決される。
上記構成により、従来よりも建築用部材を安定して積載可能な積載ラックを実現することができる。
詳しく述べると、本発明の積載ラックでは、可動部材が受け部材に対して「通常位置」と「可動位置」の間で可動し、可動部材が「可動位置」にいるとき、受け部材(取り付け部)及び可動部材がベース部材を上下方向で挟み込んでいる。そのため、受け部材が、ベース部材に好適に組み付けられ、建築用部材をより安定して支持することができる。
また、可動部材を切り替えることで、受け部材を容易に組み立てることができ、かつ、受け部材を強固に組み付けられる。
【0007】
このとき、前記受け部材は、前記積載ラックの幅方向に延びて、前記ベース部材に架け渡される中間受け部材であって、前記可動部材は、前記受け部材の延出端部に取り付けられ、前記受け部材に対して前記受け部材の延出方向に沿って可動し、前記可動部材が前記可動位置にいるとき、前記受け部材が、上下方向で移動規制された状態で前記ベース部材に取り付けられると良い。
上記のように、受け部材が、上下方向で移動規制された状態でベース部材に取り付けられるため、受け部材が建築用部材をより安定して支持できる。
【0008】
このとき、前記受け部材は、前記取り付け部の内面に設けられ、前記取り付け部の内面から前記ベース部材の上面に向かって突出する固定凸部を有し、前記固定凸部は、前記ベース部材の上面に設けられた固定穴部に着脱可能に固定され、前記可動部材が前記可動位置にいるとき、前記受け部材が、上下方向及び水平方向で移動規制された状態で前記ベース部材に取り付けられると良い。
上記のように、受け部材が、上下方向及び水平方向で移動規制された状態でベース部材に取り付けられるため、受け部材が建築用部材をより安定して支持できる。
【0009】
このとき、前記可動部材は、前記受け部材の底面に沿って設けられ、前記受け部材の延出方向に延びている底壁部と、前記底壁部から前記受け部材の幅方向に間隔を空けて設けられ、前記底壁部からそれぞれ上方に突出し、前記受け部材を挟み込むように配置される一対の側壁部と、前記受け部材の上面に沿って設けられ、一対の前記側壁部の上端部を連結する上壁部と、を有し、前記可動部材が前記可動位置にいるとき、前記底壁部が上面視において前記ベース部材と重なる位置に配置されると良い。
上記構成により、受け部材に可動部材を強固に組み付けることができる。また、受け部材の延出方向に沿って可動部材を「通常位置」と「可動位置」の間で容易に切り替えることができる。
【0010】
このとき、前記底壁部の幅方向の両端部には、それぞれ前記底壁部から下方に向かって突出する補強壁部が形成され、前記補強壁部は、前記底壁部の長さ方向に沿って延びており、前記可動部材が前記可動位置にいるとき、前記底壁部及び前記補強壁部が上面視において前記ベース部材と重なる位置に配置されると良い。
上記構成により、可動部材の剛性を向上できる。その結果、受け部材が建築用部材をより安定して支持することができる。
【0011】
このとき、前記受け部材は、前記受け部材の上面又は側面に設けられ、前記受け部材の上面又は側面から外側に突出し、前記可動部材の可動を規制する凸形状のストッパ部材を有し、前記可動部材は、前記通常位置と前記可動位置の間で切り替えるときに前記ストッパ部材を乗り越えて可動すると良い。
上記のようにストッパ部材を有することで、可動部材が「通常位置」と「可動位置」の間で意図せず切り替わってしまうことを抑制できる。
【0012】
また前記課題は、本発明の積載ラックを用いた施工方法によれば、上記積載ラックを用いた施工方法であって、前記積載ラックを組み立てるラック組み立て工程と、組み立てた前記積載ラックに前記建築用部材を積載する積載工程と、前記建築用部材を積載した状態で前記積載ラックを運搬する運搬工程と、前記積載ラックを降ろす荷降ろし工程と、を含み、前記運搬工程又は前記荷降ろし工程では、前記積載ラックの長さ方向の端部からフォークリフトのフォークを挿入し、前記フォークによって前記積載ラックの前記受け部材を保持すること、により解決される。
上記構成により、従来よりも建築用部材を安定して積載することが可能な積載ラックを用いた施工方法を実現できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の積載ラック及び積載ラックを用いた施工方法によれば、従来よりも建築用部材を効率良く積載し、運搬することが可能となる。
また、従来よりも容易に積載ラックを組み立てることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】第1ベース部材、第2ベース部材、柱部材の分解斜視図である。
【
図3】
図2の要部拡大図であって、ロック部材、キー溝、第2キー溝を示す図である。
【
図6】ベース部材、柱部材、中間受け部材、可動部材の分解斜視図である。
【
図7】可動部材が「通常位置」にいることを示す図である。
【
図8】可動部材が「可動位置」に切り替わったことを示す図である。
【
図10】柱部材、連結部材、第2受け部材の分解斜視図である。
【
図11】積載ラックがフォークリフトによって把持された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について
図1~
図11を参照して説明する。
本実施形態は、建築用部材を積載した状態で運搬可能な積載ラックであって、従来よりも建築用部材を安定して積載することを可能とする「積載ラック」に関するものである。具体的には、積載ラックの構成部品(ベース部材、受け部材)同士を強固に組み付けて、建築用部材を安定して積載することを可能とする「積載ラック」に関するものである。
また、「積載ラックを用いた施工方法」の発明に関するものである。
【0016】
本実施形態の積載ラック1は、
図1に示すように、板状の建築用部材2を複数積載した状態で建築用部材2を運搬することが可能なラックである。例えば、工場で建築用部材2を平積みし、工場から施工現場まで建築用部材2を平積みした状態でトラックによって運搬するために用いられる。
積載ラック1は、使用用途に応じて調達物流ラック、運搬ラック(現送品ラック)、保管ラック(木材ラック)などとも称される。積載ラック1は、各用途に対応して共通で用いられても良いし、各用途に限定して用いられても良い。
【0017】
建築用部材2は、各種建物に用いられる板状の部材であって、外壁パネルや屋根パネル、腰壁パネル等の建築用パネルのほか、木製の施工用部材等を含むものである。建築用部材2は、現送品とも称される。
建築用部材2として建築用パネルを積載する場合には、その仕上げ面材を損傷させないように上下方向に所定の間隔を空けて載置され、木製の施工用部材を積載する場合には、パレット上に集積され、バンド等でパレットに固定される。
【0018】
積載ラック1は、
図1に示すように、枠状のベース部材(一対の第1ベース部材10、一対の第2ベース部材20)と、ベース部材の四隅に配置され、第1ベース部材10から上方へ延びている複数の柱部材30と、一対の第1ベース部材10に架け渡される中間受け部材40と、積載ラック1の長さ方向に延びて柱部材30同士を連結する一対の連結部材50と、積載ラック1の幅方向に延びて柱部材30同士を連結する一対の第2受け部材60と、を備えている。
また、積載ラック1は、
図6に示すように、中間受け部材40に取り付けられ、中間受け部材40に対して可動する可動部材70をさらに備えている。
上記「枠状のベース部材」は、一対の第1ベース部材10、一対の第2ベース部材20に相当する。
なお、柱部材30、中間受け部材40、連結部材50、第2受け部材60、可動部材70の取り付け位置、取り付け本数については適宜変更可能である。例えば、建築用部材2の積載量に応じて変更可能である。
【0019】
<第1ベース部材、第2ベース部材、柱部材>
第1ベース部材10、第2ベース部材20は、
図1~
図4に示すように、積載ラック1の土台となる部材であって、例えば金属材料の角パイプが加工された長尺体からなり、積載ラック1の剛性を確保するとともに、建築用部材2を上面に載置する受け部材としても機能する。
第1ベース部材10は、積載ラック1の長さ方向に長尺に延びており、柱部材30同士を連結している。
第2ベース部材20は、積載ラック1の幅方向に長尺に延びており、第1ベース部材10同士を連結している。
【0020】
第1ベース部材10は、ベース本体11と、ベース本体11の長さ方向の両端部にそれぞれ取り付けられ、ベース本体11から下方に延びている脚部15と、を備えている。
ベース本体11は、建築用部材2の受け部となる。
脚部15は、柱部材30を下方から支持する支持脚であって、ベース本体11の幅方向の外側面に取り付けられている。
【0021】
ベース本体11の両端部には、第2ベース部材20(係合突出部23)を水平方向に着脱可能に係合させるためのベース係合穴部12(ベース係合部)が形成されている。
ベース本体11の上面には、中間受け部材40(固定凸部43)を固定するための固定穴部13が間隔を空けて形成されている。また、ベース本体11の底面には、吊り上げ装置のスリングを掛け止めるスリング掛け止め部14が間隔を空けて形成されている。
【0022】
脚部15の上端部(上方部分)には、柱部材30(係合凸部32)を上下方向に着脱可能に係合させるための柱係合凹部16(柱係合部)と、支持突起33を挿通させるためのスリット状の支持溝17とが形成されている。
柱係合凹部16は、閉断面(矩形断面)構造を有している。支持溝17は、柱係合凹部16の内側面に形成され、上下方向に延びている溝である。
【0023】
図3に示すように、ベース係合穴部12と柱係合凹部16の境界部の上端部には、ベース係合穴部12及び柱係合凹部16に跨って設けられるキー溝18が形成されている。
キー溝18は、柱部材30の凸状のロック部材34を嵌めるためのスリット状の溝となっている。
【0024】
第2ベース部材20は、第2ベース本体21と、第2ベース本体21の長さ方向の両端部の側面にそれぞれ取り付けられ、当該長さ方向の外側に延びている延出部22と、一対の延出部22の延出端部にそれぞれ形成され、第1ベース部材10(ベース係合穴部12)に係合する係合突出部23(被係合部)と、係合突出部23の側部(外側部)に形成される第2キー溝24と、を備えている。
【0025】
第2ベース本体21は、建築用部材2の受け部となる。
延出部22は、建築用部材2との干渉を避けるべく、第2ベース本体21の外側面に取り付けられ、第2ベース本体21よりも上方に張り出さないように配置されている。
係合突出部23は、延出部22から側方に突出しており、ベース係合穴部12に対し水平方向から着脱可能に係合する。
具体的には、係合突出部23は、縦断面U字形状からなり、延出部22から第1ベース部材10に向かって突出する本体壁部23aと、本体壁部23aの幅方向の両端部からそれぞれ延びる一対の補強壁部23bと、を有している。
第2キー溝24は、柱部材30のロック部材34を嵌めるためのスリット状の溝である。
【0026】
柱部材30は、
図1~
図5に示すように、積載ラック1の支柱となる部材であって、例えば角パイプが加工された長尺体からなり、積載ラック1の四隅に配置され、合計四本となるように設けられている。
具体的には、柱部材30は、上下方向に長尺な横断面矩形状の柱本体31と、柱本体31の下端部に形成され、第1ベース部材10(柱係合凹部16)に係合する係合凸部32と、柱本体31の内側面から突出する支持突起33及びロック部材34と、柱本体31の外側面から突出する挟持部35と、を備えている。
また、柱部材30は、
図10に示すように、柱本体31の上方部分に設けられ、柱本体31の側面から互いに反対側に突出し、連結部材50(嵌合凸部52)又は第2受け部材60(第2嵌合凸部63)に係合する嵌合穴部36及び第2嵌合穴部37を備えている。
【0027】
係合凸部32は、
図3、
図4に示すように、閉断面を有している。
支持突起33は、係合凸部32の内側面から突出し、上下方向に延びている。
柱部材30は、係合凸部32が柱係合凹部16の内部に嵌まることで、上下方向において第1ベース部材10(脚部15)に組み付けられる。
このとき、支持突起33が支持溝17の内部に挿通され、支持溝17によって保持される。そのため、第1ベース部材10に対し柱部材30を組み付けるときに、柱部材30の位置決めがし易くなる。また、組み付け剛性を高められる。
【0028】
ロック部材34は、
図3、
図4に示すように、係合凸部32の内側面から突出している凸形状の部材であって、支持突起33に隣接して形成され、支持突起33よりも外側に突出している。
ロック部材34は、重なり合ったキー溝18及び第2キー溝24の双方に嵌まることで、第1ベース部材10と、第2ベース部材20と、柱部材30とを係合ロックする。
【0029】
挟持部35は、
図5に示すように、係合凸部32の外側面から突出している屈曲形状の挟持部材であって、支持突起33及びロック部材34とは反対側に形成されている。
挟持部35は、第1ベース部材10の柱係合凹部16を係合凸部32とで挟み込むことができる。そのため、第1ベース部材10に対し柱部材30を安定して組み付けられる。
【0030】
嵌合穴部36、第2嵌合穴部37は、
図10に示すように、上下方向に所定の間隔を空けて複数形成され、互いに共通の嵌合方式を有している。嵌合穴部36(第2嵌合穴部37)は嵌合ポケットとも称される。
嵌合穴部36は、積載ラック1の長さ方向において柱部材30の内側面に配置され、第2嵌合穴部37は、柱部材30の外側面に配置されている。
なお、嵌合穴部36は、連結部材50(嵌合凸部52)と嵌合し、第2嵌合穴部37は、第2受け部材60(第2嵌合凸部63)と嵌合するが、特に限定されない。例えば、嵌合穴部36が第2嵌合凸部63と嵌合し、第2嵌合穴部37が嵌合凸部52と嵌合しても良い。
【0031】
嵌合穴部36は、柱部材30の内側面から柱部材30の幅方向に間隔を空けて外側に突出する一対の側壁部36aと、一対の側壁部36aの突出端部を連結する連結壁部36bと、を有している。
第2嵌合穴部37も同様であって、第2嵌合穴部37は、一対の側壁部37aと、連結壁部37bと、を有している。
【0032】
上記構成において、
図3、
図4に示すように、第1ベース部材10(ベース係合穴部12)に第2ベース部材20(係合突出部23)が水平方向に係合した状態で、柱部材30(係合凸部32)が第1ベース部材10(柱係合凹部16)に上方から係合したときに、柱部材30のロック部材34が、第1ベース部材10と第2ベース部材20と柱部材30とをロック(係合ロック)する。
具体的には、第1ベース部材10のキー溝18と、第2ベース部材20の第2キー溝24とが重なるように配置され、ロック部材34がキー溝18及び第2キー溝24の双方に嵌まる。そうすることで、第1ベース部材10と第2ベース部材20と柱部材30とがロックされる。
【0033】
<中間受け部材>
中間受け部材40は、
図1、
図6~
図8に示すように、一対の第1ベース部材10又は一対の連結部材50に架け渡される部材であって、例えば角パイプが加工された長尺体からなり、建築用部材2を載置する受け部材として機能する。
具体的には、中間受け部材40は、積載ラック1の幅方向に長尺な受け本体41と、受け本体41の長さ方向の両端部にそれぞれ形成され、ベース本体11(連結本体51)を挟持する(把持する)取り付け部42と、取り付け部42の内面に設けられ、取り付け部42の内面からベース本体11(連結本体51)の上面に向かって突出する固定凸部43と、を備えている。
また、中間受け部材40は、受け本体41の上面に設けられ、受け本体41の上面から上方に突出し、可動部材70の可動を規制するための凸状のストッパ部材44をさらに備えている。
【0034】
取り付け部42は、ベース本体11(連結本体51)に対して上方から着脱可能に取り付けられ、ベース本体11を囲むように挟持する。
具体的には、取り付け部42は、所定の間隔を空けて設けられ、ベース本体11を水平方向において挟み込む一対の側壁部42aと、一対の側壁部42aの上端部を連結する連結壁部42bと、を有している。
固定凸部43は、取り付け部42(連結壁部42b)の底面から下方に突出し、ベース本体11の上面に設けられた固定穴部13に着脱可能に固定される。
【0035】
ストッパ部材44は、矩形板状からなり、受け本体41の中央部よりも端部側の位置に形成されている。ストッパ部材44は、可動部材70が乗り越えて移動することが可能な高さ位置に設定されている。
ストッパ部材44の形状については特に限定されない。可動部材70の可動をより規制するために、ストッパ部材44が受け本体41の長さ方向に長尺に延びていても良い。あるいは、ストッパ部材44の上面に微小の凹凸が付与されても良い。
また、ストッパ部材44は、受け本体41の側面に設けられ、受け本体41の側面から外側に突出していても良い。
【0036】
上記のように、中間受け部材40が取り付け部42、固定凸部43を備えることで、ボルト締結を不要としながらも、積載ラック1の組み付け剛性を高めることができる。
また、中間受け部材40が水平方向で移動規制された状態で第1ベース部材10(連結部材50)に組み付けられる。そのため、中間受け部材40によって建築用部材2をより安定して積載できる。
【0037】
<連結部材、第2受け部材>
連結部材50は、
図1、
図10に示すように、積載ラック1の長さ方向に並ぶ柱部材30を連結する部材であって、積載ラック1の剛性を付与する部材として機能する。
具体的には、連結部材50は、長尺な連結本体51と、連結本体51の長さ方向の両端部にそれぞれ形成され、柱部材30(嵌合穴部36)に嵌合する嵌合凸部52と、を有している。
嵌合凸部52は、連結本体51の長さ方向の端面に取り付けられ、連結本体51から下方に突出し、嵌合穴部36に対し上方から着脱可能に嵌合する。つまりは、嵌合凸部52は、くさび方式によって嵌合穴部36に嵌合する。
【0038】
上記構成において、
図10に示すように、連結部材50が柱部材30に組み付けられたとき、嵌合凸部52の端部(端面)が柱部材30の側面に当接し、かつ、嵌合凸部52が嵌合穴部36に嵌合した状態となる。
そうすることで、ボルト締結を不要とし、積載ラック1の組み付け剛性を高められる。
【0039】
第2受け部材60は、
図1、
図10に示すように、積載ラック1の幅方向に並ぶ柱部材30を連結する部材であって、積載ラック1の剛性を付与するほか、建築用部材2を載置する受け部材としても機能する。
具体的には、第2受け部材60は、長尺な受け本体61と、受け本体61の長さ方向の両端部の側面にそれぞれ取り付けられ、当該長さ方向の外側に延びている延出部62と、一対の延出部62の延出端部にそれぞれ形成され、柱部材30(第2嵌合穴部37)に嵌合するする第2嵌合凸部63と、を有している。
第2嵌合凸部63は、くさび方式によって第2嵌合穴部37に嵌合する。
【0040】
上記構成において、
図10に示すように、第2受け部材60が柱部材30に組み付けられたとき、受け本体61の長さ方向の端部(端面)が柱部材30の側面に当接し、かつ、延出部62が柱部材30の外側面に当接し、かつ、第2嵌合凸部63が第2嵌合穴部37に嵌合した状態となる。
そうすることで、ボルト締結を不要とし、積載ラック1の組み付け剛性を高められる。
【0041】
<可動部材>
可動部材70は、
図6~
図9に示すように、中間受け部材40の延出端部に取り付けられ、中間受け部材40の延出方向に沿って可動する部材である。
具体的には、可動部材70は、中間受け部材40に対して
図7に示す「通常位置」と、
図8に示す「可動位置」との間で可動する。
【0042】
可動部材70が「通常位置」にいるとき、可動部材70は上面視において第1ベース部材10とは重ならない位置に配置される。
一方で、可動部材70が「可動位置」にいるとき、可動部材70は上面視において第1ベース部材10と重なる位置に配置される。
詳しく述べると、可動部材70が「可動位置」にいるとき、中間受け部材40(取り付け部42)及び可動部材70が、第1ベース部材10を上下方向で挟み込んでいる。そのため、
図8に示すように、中間受け部材40が、上下方向で移動規制された状態で第1ベース部材10に取り付けられることになる。
【0043】
可動部材70は、
図7~
図9に示すように、中間受け部材40の底面に沿って設けられ、中間受け部材40の延出方向に延びている底壁部71と、底壁部71から上方に突出する一対の側壁部72と、一対の側壁部72の上端部を連結する上壁部73と、底壁部71から下方に突出する一対の補強壁部74と、を有している。
また、可動部材70は、一対の側壁部72の下端部からそれぞれ中間受け部材40の外側に突出し、底壁部71と重なる重ね合わせ部75を有している。
【0044】
底壁部71は、中間受け部材40(受け本体41)よりも幅広となるように形成されている。
一対の側壁部72は、底壁部71から中間受け部材40の幅方向に間隔を空けて設けられ、中間受け部材40を挟み込むように配置されている。
上壁部73は、中間受け部材40の上面に沿って配置されている。
一対の補強壁部74 は、底壁部71の幅方向の両端部に設けられ、底壁部71の長さ方向に沿って延びている。
なお、補強壁部74の形状は特に限定されない。例えば、補強壁部74は、底壁部71の幅方向の中央部と、両端部とに形成されても良い。あるいは、補強壁部74は、底壁部71の長さ方向に間隔を空けて複数形成されても良い。あるいは、底壁部71及一対の補強壁部74が、可動部材70の後面視においてU字形状を有しているところ、矩形状(ロ字形状)を有しても良い。
【0045】
重ね合わせ部75は、側壁部72から連続して延びており、上下方向で底壁部71と重ね合わされている。
重ね合わせ部75と底壁部71が重ね合わされた状態で締結ボルト76が取り付けられている。そうすることで、可動部材70が、中間受け部材40を囲むようにして組み付けられる。
【0046】
上記構成において、
図7に示すように、中間受け部材40が固定凸部43を有しているため、第1ベース部材10に中間受け部材40を水平方向で移動規制した状態で組み付けることができる。
また、
図8に示すように、積載ラック1が可動部材70を備えているため、第1ベース部材10に中間受け部材40を容易に組み付け、かつ、上下方向で移動規制した状態で組み付けることができる。
【0047】
上記構成において、
図7、
図8に示すように、可動部材70は、「通常位置」と「可動位置」の間で切り替えるときにストッパ部材44を乗り越えて可動する。
このようにストッパ部材44を利用することで、可動部材70が「通常位置」と「可動位置」の間で意図せず切り替わってしまうことを抑制できる。
【0048】
以上の構成により、従来よりも建築用部材を安定して積載することが可能な積載ラック1を実現できる。また、容易に組み立て可能な積載ラック1を実現できる。
特に、上記のような可動部材70を備えることで、中間受け部材40を容易に組み立てることができ、かつ、強固に組み付けることができる。
【0049】
<積載ラックを用いた施工方法>
次に、積載ラック1を用いた施工方法について説明する。
当該施工方法は、(1)「ラック組み立て工程」と、(2)「積載工程」と、(3)「運搬工程」と、(4)「荷降ろし工程」と、を少なくとも含むものである。以下、詳しく説明する。
なお、建物の基礎施工にあたって、上記以外の施工工程については説明を省略する。
【0050】
(1)「ラック組み立て工程」では、作業者が、
図2~
図8、
図10に示すように、積載ラック1を組み立てる。
(2)「積載工程」では、作業者が、組み立てた積載ラック1に建築用部材を積載する。
なお、建築用パネルを積載する場合には、その仕上げ面材を損傷させないように上下方向に所定の間隔を空けて載置される。木製の施工用部材を積載する場合には、パレット上に集積される。
【0051】
(3)「運搬工程」では、作業者が、建築用部材2を積載した状態で積載ラック1を運搬する。
具体的には、建築用部材2が平積みされた状態の積載ラック1をトラック等の運搬車両に積み込み、トラックによって工場から施工現場まで運搬する。
(4)「荷降ろし工程」では、作業者が、積載ラック1をトラック等の運搬車両から降ろす。
上記(3)「運搬工程」及び/又は(4)「荷降ろし工程」では、
図11に示すように、作業者が、積載ラック1の長さ方向の端部(短辺)からフォークリフトFのフォークF1を挿入し、フォークF1によって積載ラック1の中間受け部材40及び第2受け部材60を保持(把持)すると良い。
このように、強固に組み付けられた中間受け部材40を利用することで、積載ラック1の長さ方向の端部(短辺)からであっても、フォークリフトF(フォークF1)を挿入し、積載ラック1を運搬できる。そのため、トラックの荷台のサイズや形状によって、あるいは施工現場での敷地の制約等によって、積載ラック1の幅方向の端部(長辺)からフォークリフトF(フォークF1)を挿入して運べない場合であっても、臨機応変に対応することができる。
なお、作業者は、通常の通り、積載ラック1の幅方向の端部(長辺)からフォークF1を挿入し、積載ラック1の一対の第1ベース部材10を保持しても良い。
【0052】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、
図1に示すように、積載ラック1が、二本の第1ベース部材10と、二本の第2ベース部材20と、四本の柱部材30と、四本の中間受け部材40と、二本の連結部材50と、二本の第2受け部材60と、から構成されているが、各構成部品の部品数については特に限定されず変更可能である。
例えば、積載ラック1の剛性を確保できれば、中間受け部材40、連結部材50又は第2受け部材60の本数を減らしても良い。
あるいは、積載ラック1の剛性を高めるために、建築用部材2を好適に積載するために、柱部材30、中間受け部材40、連結部材50、第2受け部材60の本数を追加しても良い。
あるいは、柱部材30を上下方向に並べて連結させることで、積載ラック1の高さを高くしても良い。その場合には、高さの異なる柱部材30を用意しておくと良い。
【0053】
上記実施形態では、
図1に示すように、連結部材50が積載ラック1の長さ方向に延びており、第2受け部材60が積載ラック1の幅方向に延びているが、特に限定されない。
逆に、連結部材50が積載ラック1の幅方向に延びており、第2受け部材60が積載ラック1の長さ方向に延びていても良い。
【0054】
上記実施形態では、
図7、
図8に示すように、可動部材70が、中間受け部材40に沿ってスライド移動することで「通常位置(通常状態)」と「可動位置(可動状態)」の間で切り替わっているが、特に限定されない。
例えば、可動部材70が中間受け部材70に対して回転移動(水平方向に回転移動)することで、「通常位置」と「可動位置」の間で切り替わっても良い。
あるいは、可動部材70が、中間受け部材70に対して上下方向に移動することで、「通常位置」と「可動位置」の間で切り替わっても良い。その場合には、可動部材70が「通常位置」にいるときに、中間受け部材40が第1ベース部材10から着脱可能な状態になっていると良い。
【0055】
上記実施形態では、主として本発明に係る積載ラック及び積載ラックを用いた施工方法に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
特に、上記の実施形態にて説明したものは、あくまで一例に過ぎず本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0056】
1 積載ラック
2 建築用部材
10 第1ベース部材(ベース部材)
11 ベース本体
12 ベース係合穴部(ベース係合部)
13 固定穴部
14 スリング掛け止め部
15 脚部
16 柱係合凹部(柱係合部)
17 支持溝
18 キー溝
20 第2ベース部材(ベース部材)
21 第2ベース本体
22 延出部
23 係合突出部(被係合部)
23a 本体壁部
23b 補強壁部
24 第2キー溝
30 柱部材
31 柱本体
32 係合凸部(被係合部)
33 支持突起
34 ロック部材
35 挟持部
36 嵌合穴部
36a 側壁部
36b 連結壁部
37 第2嵌合穴部
37a 側壁部
37b 連結壁部
40 中間受け部材(受け部材)
41 受け本体
42 取り付け部
42a 側壁部
42b 連結壁部
43 固定凸部
44 ストッパ部材
50 連結部材(横架部材)
51 連結本体
52 嵌合凸部(嵌合部)
60 第2受け部材
61 受け本体
62 延出部
63 第2嵌合凸部
70 可動部材
71 底壁部
72 側壁部
73 上壁部
74 補強壁部
75 重ね合わせ部
76 締結ボルト
F フォークリフト
F1 フォーク